説明

発光構造体

【課題】蛍光発光表示部の発光効率を向上させ、さらに、発光積層体と光源の組み合わせによって、容易に表示内容を変化させることができる発光構造体を得る。
【解決手段】紫外線光源と、紫外線が照射される側から蛍光発光を示す蛍光発光層(A)、波長領域300nm〜400nmの全領域での紫外線反射率が10%以上である紫外線反射層(B)、が積層されている発光積層体(Q1,Q2)が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光発光を示す発光構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、蛍光発光層と紫外線光源を備え、紫外線光源のオン(紫外線照射下)・オフ(可視光下)の切替えにより、オフ時には表側(前面側)の表示内容を優先的に見せ、オン時には裏面の表示内容を優先的に見せる表示装置等が開発されている。このような装置では、紫外線光源のオン・オフを切替えるとともに、表示板前面またはその間に、優先される表示部以外(背後の光源等)を隠蔽するような層を積層することが行われている。例えば、特許文献1では、2種の異なる表示内容の樹脂フィルムの間にハーフミラーを介在させ、特許文献2では、表示板前面に透明ビーズ層を積層している。しかしながら、このような隠蔽層を積層する場合、隠蔽率が低すぎると、表示内容が混合するおそれがあり、反対に隠蔽率が高すぎると表示部の視認性が低下するおそれがある。
【0003】
これに対し、特許文献3では、蛍光発光層の視認性を向上させるために、光源の背後にミラー処理した反射層を設け、紫外線の外部漏洩を防止し輝度の高い蛍光表示とすることが行われている。しかしながら、光源の背後に反射層を設けるのみでは、表示部の蛍光層で蛍光発光に使用されなかった紫外線は漏出されるため発光効率が低下するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−287190号公報
【特許文献2】特開平7−84538号公報
【特許文献3】特開2003−29676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述のような問題点に鑑みなされたものであり、可視光下と紫外線照射下で異なる表示が可能な発光構造体において、蛍光発光表示部の発光効率を向上させ、さらに、発光積層体と光源の組み合わせによって、連続的に表示内容を変化させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、紫外線光源(X)と、特定の発光積層体が備えられていることを特徴とする発光構造体に想到し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明発光構造体は、下記の特徴を有するものである。
【0007】
1.紫外線の照射により発光する発光構造体であって、
紫外線光源(X)を囲むように、少なくとも2つ以上の発光積層体(Q)が備えられた発光ユニットを含み、
該発光積層体(Q)は、紫外線が照射される側から蛍光発光を示す蛍光発光層(A)、波長領域300nm〜400nmの全領域での紫外線反射率が10%以上である紫外線反射層(B)、が積層されていることを特徴とする発光構造体。
2.紫外線の照射により発光する発光構造体であって、
発光積層体(Q)を囲むように少なくとも2つ以上の紫外線光源(X)が備えられた発光ユニットを含み、
該発光積層体(Q)は、波長領域300nm〜400nmの全領域での紫外線反射率が10%以上である紫外線反射層(B)を挟むように、蛍光発光を示す蛍光発光層(A1)と(A2)が積層されていることを特徴とする発光構造体。
【発明の効果】
【0008】
本発明の発光構造体は、蛍光発光表示部の発光効率を向上させ、さらに、発光積層体と光源の組み合わせによって、容易に表示内容を変化させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明発光積層体の一例である。
【図2】本発明発光構造体の一例である。
【図3】本発明発光構造体の一例である。
【図4】本発明発光構造体の一例である。
【図5】本発明発光構造体の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0011】
本発明は、発光構造体は、紫外線の照射により発光する発光構造体であって、
光源と発光積層体(Q)を備えるものである。
(発光積層体(Q))
発光積層体(Q)(以下、単に「積層体(Q)」ともいう)は、紫外線を照射することにより発光する積層体であり、紫外線が照射される側に蛍光発光を示す蛍光発光層(A)、その反対側表面に波長領域300nm〜400nmの全領域での紫外線反射率が10%以上である紫外線反射層(B)を積層した積層体である。
【0012】
本発明の蛍光発光層(A)とは、透光性を有する材料(以下、「透光性材料」という。)に蛍光発光を示す顔料、染料等(以下、「蛍光材料」という。)を含むものである。
【0013】
透光性材料としては、透光性を有するものであれば、無機質材料、有機質材料のどちらでもよい。例えば、無機質材料としては、ガラス、水ガラス、低融点ガラス、シリコーン樹脂、等があげられる。また、有機質材料としては、アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、セルロールアセトブチレート樹脂、セルロースプロピオネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂等、または反応固化型のエポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。なお、「透光性」とは、可視光透過性に優れ、透明性を有するものである。
【0014】
蛍光材料としては、紫外線照射下において蛍光発光を示すものであれば限定されず、公知の蛍光染料や蛍光顔料等を使用することができる。本発明では、可視光下において蛍光発光を示さないものが好ましく、このような蛍光体の中でも、蛍光発光持続性、耐候性にも優れる無機蛍光顔料が特に好ましい。
【0015】
蛍光発光層(A)は、上記透光性材料と上記蛍光材料を含む組成物(以下「蛍光発光層用組成物」という。)を、フィルム状または板状等に成形したものである。その厚みは、通常0.01mm〜10mm、より好ましくは0.05〜5mmであり、この範囲内であれば、部分的に厚みを変化させてもよい。部分的に厚みを変化させることにより、発光輝度を変化させ、発光色の濃淡を表現することができる。また、蛍光発光層用組成物は、透光性材料(固形分)100重量部に対して、蛍光材料を0.5〜50重量部、さらには1〜30重量部添加することが好ましい。このような範囲である場合、蛍光発光層の発光輝度が高く、視認性に優れる。
【0016】
本発明の積層体(Q)には、少なくとも1つの蛍光発光層(A)が設けられていればよいが、2つの蛍光発光層(A1)、蛍光発光層(A2)(以下、単に「(A1)」、「(A2)」ともいう。)を設けることもできる。(A1)、(A2)は、透光性材料と蛍光材料を含むものであり、各々同一のものを使用しても良いが、表示内容を変化させる場合には、(A1)と(A2)の蛍光材料が異なることが好ましい。
上記(A1)と上記(A2)は後述の紫外線反射層(B)を挟むように設けられる。紫外線反射層(B)を挟むように(A1)、(A2)が設けられた場合、(A1)、(A2)のどちらか一方に紫外線を照射し、それぞれの層を個々に発光させてもよいが、(A1)、(A2)に同時に紫外線を照射することもできる。この場合、(A1)と(A2)の蛍光発光が調和し、美観性に優れる発光を得ることができる。
【0017】
本発明の波長領域300nm〜400nmの全領域での紫外線反射率が10%以上である紫外線反射層(B)は、本発明積層体(Q)の(A)層側から紫外線を照射した場合、(A)層とは反対側から蛍光発光層の発光が視認できる程度に、透明または半透明である層であることが好ましい。
【0018】
具体的には、(B)層の隠蔽率が、70%以下(好ましくは15%〜60%)であることが好ましい。このような範囲である場合、蛍光発光層の発光を阻害せず、優れた視認性を得ることができる。また、隠蔽率を15%以上とすることによって、(A)層側の光源の形状を、(B)層を介して視認され難くすることもできる。
隠蔽率を測定する方法としては、(B)層を隠蔽率試験紙上に置き、白地上と黒地上の視感反射率から隠蔽率を算出す方法が挙げられる。
なお、視感反射率は色彩色差計(「CR−300」:ミノルタ株式会社製)を用いて測定し算出することができる。
【0019】
また、(B)層は波長領域300nm〜400nmの全領域において紫外線反射率10%以上であることにより、蛍光体の励起に利用されずに放出されようとする紫外線を(B)層が反射し、(A)層に再度紫外線を照射し蛍光発光を繰り返すことにより、発光効率を向上させることができる。この場合、照射された紫外線が、(B)層を通過し放出されることはほとんどない。
紫外線反射率が10%より小さい場合は、紫外線が漏出してしまうおそれがあり、(A)層の発光効率向上効果を阻害するおそれがある。
なお、紫外線反射率は、分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−3100)で測定した値である。
このような、(B)層としては、上記範囲を満たすものであればよく、樹脂板、樹脂フィルム、ガラス板、セラミック板、不織布、織布、紙、等が挙げられる。
【0020】
特に、本発明では(B)層として、波長領域300nm〜400nmの紫外線を反射(散乱)する粉体(以下「紫外線反射性粉体」という)と、透光性材料を含む層を使用することが好ましい。
【0021】
透光性材料としては、(A)層と同様のものが使用できる。
また、紫外線反射性粉体は、波長領域300nm〜400nmの全領域において、紫外線反射率が50%以上、屈折率が1.5〜2.4(好ましくは1.5〜1.8)であることが好ましい。また、粒子径は特に限定されないが、通常0.2μm以下、または0.4μm以上10μm以下が好ましい。上記範囲とすることにより、紫外線を効率的に反射するとともに、蛍光発光(可視光)を拡散することができるため、優れた発光輝度を得ることができる。このような紫外線反射性粉体としては、例えば、アルミナ、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等を使用することができる。
【0022】
紫外線反射層(B)は、上記透光性材料と上記紫外線反射性粉体を含む組成物(以下、「紫外線反射層用組成物」という。)を、波長領域300nm〜400nmの全領域において紫外線反射率が10%以上(好ましくは15%以上、さらに好ましくは25%以上)となるように、フィルム状または板状等に成形したものが使用できる。その厚みは、上記の紫外線反射率を満たす範囲で適宜設定すればよく、通常0.01mm〜10mm、より好ましくは0.05〜5mmであり、この範囲内であれば、部分的に厚みを変化させてもよい。部分的に厚みを変化させることにより、蛍光発光層の発光輝度を変化させることができる。
紫外線反射層用組成物は、使用する紫外線反射性粉体の種類、成形する紫外線反射層の厚みにもよるが、透光性材料(固形分)100重量部に対して、紫外線反射性粉体を30〜400重量部、さらには50〜300重量部混合することが好ましい。このような範囲であれば、本発明の効果が得られ易い。
【0023】
さらに、本発明発光積層体(Q)は、本発明の効果を阻害しない限りであれば、着色層(C)を積層することもできる。着色層(C)を積層することにより、光源オフ時には着色層の色相、光源オン時には蛍光発光層(A)との組み合わせにより、様々な色相を表現することができる。
着色層(C)は、透光性材料と顔料及び/または染料を含む組成物(以下、「着色層用組成物」という。)をフィルム状または板状等に成形したものである。特に、着色層(C)は透光性を有する着色クリヤー層であることが好ましい。
【0024】
(C)層に使用できる透光性材料としては、蛍光発光層(A)と同様のものが使用できる。
顔料及び/または染料としては、特に限定されず、一般的なものを使用することができる。顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、カーボンブラック、モリブデンレッド、コバルトブルー、マンガンバイオレット、弁柄、紺青、群青等の無機質顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、モノアゾレッド、ファーストエロー、パーマネントイエロー、ジスアゾイエロー等のアゾ系顔料、ペリレンレッド等のペリレン系顔料、キナクリドンレッド等のキナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、メチン・アゾメチン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ジオキサジン系顔料等の有機質顔料;アルミニウム、ニッケル、ステンレス等の金属粉顔料;パール顔料、蓄光顔料等の特殊顔料、等が挙げられる。
また、染料としては、塩基性染料、酸性染料、直接染料、建染染料、分散染料、反応染料、などの各種染料等が使用可能である。
これらは所望の色相に応じて適宜選択すればよく、1種のみで使用してもよいし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
【0025】
(C)層は、上記透光性材料と上記顔料及び/または染料を含む組成物(以下「着色層用組成物」という。)を、フィルム状または板状等に成形したものである。その厚みは、通常0.01mm〜5mm、より好ましくは0.01〜1mmであり、この範囲内であれば、部分的に厚みを変化させてもよい。部分的に厚みを変化させることにより、色の濃淡を変化させることができる。着色層用組成物は、透光性材料(固形分)100重量部に対して、顔料及び/または染料を0.01〜5重量部、さらには0.03〜2重量部混合することが好ましい。このような範囲の場合、蛍光発光層(A)との組み合わせにより、優れた色相を表現することができる。
【0026】
着色層(C)を積層する場合、紫外線が照射される側から、蛍光発光を示す蛍光発光層(A)に、紫外線反射層(B)、及び着色層(C)が積層されることが好ましく、このときの積層体(Q)の蛍光発光層(A)は、1つであることが好ましい。
【0027】
また、(B)層と(C)層は、上記のように別々の層として積層してもよいが、(B)層と(C)層の効果を併せ持つ、透明または半透明の紫外線反射着色層(D)(以下、単に「(D)層」ともいう。)として積層することもできる。この場合、波長領域300nm〜400nmの全領域において紫外線反射率が10%以上であれば、(B)層及び(C)層の効果を発揮することができる。このような(D)層としては、例えば、透光性材料と紫外線反射性粉体、並びに顔料及び/または染料を含む組成物(紫外線反射着色層用組成物)をフィルム状または板状等に成形したものを使用することができる。
【0028】
(D)層は、上記透光性材料、上記紫外線反射性粉体、上記顔料及び/または染料を含む組成物(以下「紫外線反射着色層用組成物」という。)を、フィルム状または板状等に成形したものである。その厚みは、通常0.01mm〜10mm、より好ましくは0.01〜5mmであり、この範囲内であれば、部分的に厚みを変化させてもよい。部分的に厚みを変化させることにより、発光色の濃淡を変化させることができる。紫外線反射着色層用組成物は、透光性材料(固形分)100重量部に対して、紫外線反射性粉体を10〜400重量部(好ましくは30〜300重量)、顔料及び/または染料を0.01〜5重量部(好ましくは0.03〜2重量部)混合することが好ましい。
【0029】
また、本発明の(D)層は、本発明積層体に(A)層側から紫外線を照射した場合、(A)層とは反対側から蛍光発光層の発光が視認できる程度に、透明または半透明であればよく、(D)層の隠蔽率が、70%以下(好ましくは15%〜60%)であることが好ましい。70%を超える場合は、蛍光発光の視認性が低下するおそれがある。また、隠蔽率を15%以上とすることによって、(A)層側の光源の形状を、(D)層を介して視認され難くすることもできる。
【0030】
本発明発光積層体(Q)は、本発明の効果を阻害しない限りであれば、透光性を有する基材((E)層)等を積層することもできる。
透光性を有する基材(E)は、本発明の効果を阻害しないものであればよく、透光性材料をフィルム状、板状に成形したものを使用することができる。また、市販されているガラス板、樹脂板、樹脂フィルム等を使用してもよい。その厚みは、使用する基材の種類によって適宜設定すればよいが、通常、0.05mm〜10mmであることが好ましい。厚すぎる場合は、波長領域300nm〜400nmにおける紫外線吸収率が大きくなり、蛍光発光層の発光効率向上効果を阻害するおそれがある。また、可視光を吸収し、蛍光発光を吸収するため発光が視認し難くなるおそれもある。
【0031】
また、基材(E)の形状としては、特に限定されないが、凹凸基材であれば蛍光発光の多様性が高まる。凹凸形状は、凹部と凸部の差が0.01mm〜10mm、さらには0.05mm〜5mm程度であることが好ましい。この範囲であることにより、幻想的な発光を表現することができ、意匠性、美観性に優れる。
【0032】
本発明の積層体(Q)としては、蛍光発光層(A)、紫外線反射層(B)を積層した積層体(Q1)(以下、単に「積層体(Q1)」)、あるいは、蛍光発光層(A1)、紫外線反射層(B)、蛍光発光層(A2)の順に各層を積層した積層体(Q2)(以下、単に「積層体(Q2)」)が挙げられる(図1)。また、これらに、上記の着色層(C)、紫外線反射着色層(D)、及び透光性を有する基材(E)の何れかを積層したものが挙げられる。
【0033】
上記の積層体(Q2)において、(A1)のみに紫外線を照射した場合、(A1)の励起に使用されなかった紫外線は、紫外線反射層(B)で反射されるため(B)を透過し(A2)へ達することは殆どない。仮に(B)を透過したとしてもその光量は微量であるため、(A2)の発光は弱く視認され難く、(A1)の発光のみを視認できる。(A2)のみに紫外線を照射した場合も同様である。
【0034】
本発明積層体(Q)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、蛍光発光層用組成物、紫外線反射層用組成物をそれぞれフィルム状、板状等に成形した蛍光発光層(A)、紫外線反射層(B)を接着剤等を介して積層する方法、蛍光発光層に紫外線反射層用組成物を塗付し、硬化させる方法、または、紫外線反射層に蛍光発光層用組成物を塗付し、硬化させる方法等が挙げられる。
【0035】
上記蛍光発光層用組成物、または紫外線反射層用組成物をフィルム状、板状等に成形する際には、公知の成形方法で行えばよく、例えば、型枠成形、射出成形、注型成形等が挙げられ、蛍光発光層用組成物、または紫外線反射層用組成物を塗付する際には、スプレー、ローラー、こて、レシプロ、コーター、流し込み等の手段を用いることができる。また、成形時に、各組成物に、例えば、着色材、可塑剤、難燃剤、滑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、造膜助剤、吸着剤、架橋剤、酸化防止剤、触媒、ブロッキング防止剤等が含まれていてもよく、このような成分を常法で均一に混合して成形体を作製することができる。
【0036】
蛍光発光層(A)と紫外線反射層(B)を、接着剤等を介して積層する場合、本発明の効果を阻害しないような透光性の接着剤、粘着剤、粘着テープ等を使用することができる。また、上記蛍光発光層用組成物、または紫外線反射層用組成物の乾燥は通常、常温で行えばよいが加熱することも可能である。
【0037】
(光源)
紫外線光源(X)は、紫外光を発するものであればよいが、波長300nm〜400nmの範囲に輝線を有するものが好ましい。紫外線光源(X)は、(A)層の全面を照射するものであっても、局部的に照射しパターン(模様)を形成するものであってもよい。また、紫外線の照射強度を変化させたり、連続的にON/OFFを切り替えたりすることができるものであってもよい。さらに紫外線の照射方向を自由に選択できるような可動式のものであっても良い。このような紫外線光源(X)を使用することによって、積層体(Q)の表示内容を容易に変更することができる。
【0038】
本発明では、特に、遮蔽板(P)を備える紫外線光源(X)を使用することが好ましい。遮蔽板(P)は、紫外線光源(X)から照射される光を任意に遮ることができればよく、図柄や文字等が切り抜かれたような意匠が付与されていてもよい。この場合、遮蔽板を交換することによって、様々な発光を演出することができる。また、本発明では、紫外線光源(X)の周りを回転するように移動可能なものが好ましい。これにより、積層体(Q)への紫外線を全面に照射したり、局部的に照射したりすることが容易に可能となり、光源のON/OFFを切り替えや、照射強度に加え、部分的に照射される紫外線を遮蔽することにより発光面での発光の強弱を演出したり、発光が動くような幻想的なパターンを表現することが可能となる。
【0039】
このような遮蔽板(P)の材質としては、アルミニウム、銅、鉄、真鍮、ステンレス等の金属、塩化ビニル、アクリル、ポリカーボネート、ABS、PE、PP、スチロール、ポリアセタール等の樹脂、ボール紙等が挙げられる。また、その形状や大きさは、本発明を害さない限り限定されず、例えば、板状、半円筒状、等が挙げられる。
また、遮蔽板の内側には、反射層を設けることが好ましい。これにより、発光積層体に効率的に紫外線を照射することができる。このような反射層としては、例えば、紫外線反射効率の高いAg、Al、Au、Cr、Cu、Ni、Ti、Pt等の金属材料によるコーティング層、或いは、本発明の紫外線反射層(B)、または、カオリン、タルク、シリカ等を含む白色塗料による塗布層が挙げられる。さらに遮蔽板の外側にも、反射層を設けることができる。この場合、蛍光発光層の発光を反射し、発光を鮮明にすることができる。さらに、反射層の表面が微細な凹凸を有することにより光の乱反射効果をさらに高めることができるため好ましい。凹凸の高さは、1〜1000μm(好ましくは5〜500μm)であることが好ましい。
【0040】
(発光構造体)
本発明の発光構造体は、紫外線光源(X)を囲むように、少なくとも2つ以上の発光積層体(Q)が備えられた発光ユニット(I)(例:図2)を含むもの、及び/または、発光積層体(Q)を囲むように少なくとも2つ以上の紫外線光源(X)が備えられた発光ユニット(II)(例:図3)を含むものである。このとき、積層体(Q)の蛍光発光層(A)側が光源を向くように配置され、各蛍光発光層(A)は異なる蛍光発光を示すことが好ましい。
【0041】
上記発光ユニット(I)のように、紫外線光源(X)を囲むように、少なくとも2つ以上の発光積層体(Q)を配置する場合、本発明の発光構造体の発光を見る方向から、各積層体(Q)の蛍光発光が重なりあって見えるように配置すればよい。例えば、図2のように積層体で光源を挟むように配置できる。この場合、積層体と光源の間隔は1cm以上(好ましくは2cm以上)であればよい。この範囲であることにより、発光積層体を介して、光源が視認され難くなる。
【0042】
上記発光ユニット(II)のように、発光積層体(Q)を囲むように2つの紫外線光源(X)を配置する場合、紫外線光源(X)と積層体(Q)の間隔は発光積層体へ紫外線が照射できる範囲であれば、特に限定されない。
なお、本発明において「囲む」とは、図2、3のように「挟む」態様を包含するものである。
【0043】
図2のような遮蔽板(P)(図2;2−2)を備える紫外線光源(図2;2a)を挟むように、積層体(Q1)(図2;1−1)と(Q1′)(図2;1−2)を備える場合、遮蔽板(P)の回転により、例えば、蛍光発光層(A1)(図2;3−1)と蛍光発光層(A3)(図2;3−3)について、以下のような蛍光発光を得ることができる。
(イ)(A1)層のみを発光させる(図2−(イ))
(ロ)(A1)層を(A3)層より強く発光させる(図2−(ロ))
(ハ)(A1)層と(A3)層の両方を発光させる(図2−(ハ))
(ニ)(A3)層を(A1)層より強く発光させる(図2−(ニ))
(ホ)(A3)層のみを発光させる(図2−(ホ))
遮蔽板(P)を回転させることにより、上記(イ)〜(ホ)の発光を連続的に行うことができ、発光面で発光色が単色となったり混色となったり、発光が動くような幻想的な発光パターンを表現することが可能となる。
上記発光構造体の発光を見る方向は、発光積層体(Q1)、発光積層体(Q1′)のどちらの方向からも見ることができる。この場合、(B)層を介して、(A)層の背後に設置された光源の形状が視認され難くなる。
【0044】
図3のように、光源(図3;2B)、積層体(Q2)(図3;1−3)、光源(図3;2c)の順に備える場合、各光源に備えられた遮蔽板(P)(図3;2−2)の回転により、以下のような蛍光発光を得ることができる。
(へ)(A1)層のみを発光させる(図3−(ヘ))
(ト)(A1)層を(A2)層より強く発光させる(図3−(ト))
(チ)(A1)層と(A2)層の両方を発光させる(図3−(チ))
(リ)(A2)層を(A1)層より強く発光させる(図3−(リ))
(ヌ)(A2)層のみを発光させる(図3−(ヌ))
2つの遮蔽板(P)を回転させることにより、上記(ヘ)〜(ヌ)の発光を連続的に行うことができ、発光面で発光色が単色となったり混色となったり、発光が動くような幻想的な発光パターンを表現することが可能となる。
【0045】
また、上記の発光ユニット(I)と発光ユニット(II)を組み合わせることもできる。例えば、図4のように、光源(図4;2b)、積層体(Q2)(図4;1−3)、光源(図4;2a)、積層体(Q1′)(図4;1−2)の順に備える場合、遮蔽板(P)の回転により、上記(イ)〜(ホ)と上記(ヘ)〜(ヌ)の蛍光発光を組み合わせ、様々な発光色を混合することができ、様々な色彩を連続的に表現することができる。
さらに、図5のように、光源(図5;2b)、積層体(Q2)(図5;1−3)、光源(図5;2a)、積層体(Q2′)(図5;1−4)の順に備える場合、上記(ヘ)〜(ヌ)の蛍光発光が2種組み合わさり、より様々な色彩を連続的に表現することができる。この場合、蛍光発光層(A1)(図5;3−1)と、蛍光発光層(A3)(図5;3−3)は異なる発光を呈するものを使用することが好ましい。
【実施例】
【0046】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0047】
<蛍光発光層(A)>
・蛍光発光層用組成物1
アクリル樹脂エマルション100重量部(固形分)、緑色無機蛍光顔料10重量部、添加剤(分散剤、消泡剤等)4重量部を常法にて混合し、蛍光発光層用組成物1を作製した。
・蛍光発光層用組成物2
蛍光発光層用組成物1の緑色無機蛍光顔料の代わりに赤色無機蛍光顔料を15重量部用いた以外は、蛍光発光層用組成物1と同様に蛍光発光層用組成物2を作製した。
・蛍光発光層用組成物3
蛍光発光層用組成物1の緑色無機蛍光顔料の代わりに青色無機蛍光顔料を15重量部用いた以外は、蛍光発光層用組成物1と同様に蛍光発光層用組成物3を作製した。
【0048】
<紫外線反射層(B)>
・紫外線反射層用組成物1
アクリル樹脂エマルション100重量部(固形分)、アルミナ160重量部、添加剤(分散剤、消泡剤等)5重量部を常法にて混合し、紫外線反射層用組成物1を作製した。
・紫外線反射層用組成物2〜7
表1の配合に基づき、紫外線反射層用組成物1と同様に紫外線反射層用組成物2〜7を作製した。
なお、使用した原料を以下に示す。
・アルミナ:粒子径1μm、屈折率1.76
・硫酸バリウム:粒子径2μm、屈折率1.64
・重質炭酸カルシウム:粒子径1.5μm、屈折率1.56
・酸化チタン:粒子径0.25μm、屈折率2.71
・酸化亜鉛:粒子径1μm、屈折率1.95
【0049】
紫外線反射層用組成物1〜7に関して、以下の評価を実施した。
・評価1
隠蔽率試験紙の上に、作製した紫外線反射層用組成物1〜7を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)となるように塗付、硬化させた試験体を用い、試験体における黒地上塗膜と白地上塗膜の視感反射率を色彩色差計(「CR−300」:ミノルタ株式会社製)を用いて測定し隠蔽率(%)を算出した。結果は表1に示した。
【0050】
・評価2
アクリル板上に紫外線反射層用組成物1〜7を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)となるように塗付、硬化させた試験体を用い、波長領域300nm〜400nmでの反射率(%)を分光光度計(「UV−3100」:株式会社島津製作所製)で測定した。ブランクとして、アクリル板を使用した。
その結果、紫外線反射層用組成物1〜5では、波長領域300nm〜400nmの全領域おいて紫外線反射率は、25%以上であった。その代表値として、波長365nmでの紫外線反射率を表1に示す。(なお、アクリル板の波長365nmでの反射率は1.5%であった。)
【0051】
<着色層(C)>
・着色層用組成物1
アクリル樹脂エマルション100重量部(固形分)、フタロシアニンブルーン顔料0.2重量部を常法にて混合し、着色層用組成物1を作製した。
【0052】
(発光積層体(Q1)の製造)
・発光積層体1
ガラス板(300mm×200mm×3mm)の一方の面に、蛍光発光層用組成物1を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)で塗付、乾燥させ蛍光発光層(A)を成形した。次いで、蛍光発光層(A)とは反対側のガラス板一面に、紫外線反射層用組成物1を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)となるように塗付、乾燥し紫外線反射層(B)を成形し、積層体1を得た。
【0053】
・発光積層体2〜11
表2に示す蛍光発光層用組成物、紫外線反射層用組成物を用いて、発光積層体1と同様にして積層体2〜11を得た。
【0054】
・発光積層体12
片面にランダムな凹凸(凹部と凸部の最大差200μm)を有するアクリル板の凹凸面に紫外線反射層用組成物2を塗付厚が約250μmとなるように塗工した後、乾燥する前にゴムベラを用いて基材表面をすり切り、基材凹部で紫外線反射層用組成物の塗付厚が厚くなるように塗装し、乾燥させ、紫外線反射層(B)を積層した。次いで紫外線反射層(B)の上に蛍光発光層用組成物1を塗付厚が約150μmとなるように均一に塗付し、乾燥し蛍光発光層(A)を積層し、積層体12を得た。
【0055】
・発光積層体13
積層体1の紫外線反射層(B)上一面に、着色層用組成物1を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)となるように塗付、乾燥し着色層(C)を成形し、積層体13を得た。
【0056】
得られた積層体1〜13について、以下の評価を実施した。
・評価3
積層体1〜13において、蛍光発光層(A)から3cmの距離に紫外線光源(6W紫外線ランプ:365nm)を設置した。室内蛍光灯照射下(可視光下)において、紫外線反射層(B)を介して蛍光発光層(A)及びその背後に設置された紫外線光源の視認性を目視で評価し、光源の形状が認識できないものをA、認識できるものをBとした。
紫外線反射層(B)の隠蔽率が15%以下である、発光積層体3以外は良好な結果であった。(結果を表2に示した。)
【0057】
・評価4
積層体1〜13において、蛍光発光層(A)から3cmの距離に紫外線光源(6W紫外線ランプ:365nm)を設置し、暗室中で紫外線を照射し、積層体の発光輝度(cd/m)を、色彩輝度計「BM−5A」(株式会社トプコン製)を用いて測定した。結果を表2に示した。
【0058】
(ブランク)
ガラス板(300mm×200mm×3mm)の一方の面に、蛍光発光層用組成物1を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)となるように塗付、乾燥し蛍光発光層(A)を成形したものを、評価3〜4のブランクとした。
【0059】
(発光積層体(Q2)の製造)
・発光積層体14
ガラス板(300mm×200mm×3mm)の一方の面に、蛍光発光層用組成物1を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)で塗付、乾燥させ蛍光発光層(A1)を成形した。次いで、蛍光発光層(A1)とは反対側のガラス板一面に、紫外線反射層用組成物2を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)となるように塗付、乾燥し紫外線反射層(B)を成形した。次いで、紫外線反射層(B)の上に蛍光発光層用組成物2を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)となるように塗付、乾燥させ、蛍光発光層(A2)を成形し、積層体14を得た。
【0060】
・発光積層体15〜17
表2に示す蛍光発光層用組成物、紫外線反射層用組成物を用いて、発光積層体14と同様にして積層体15〜17を得た。
【0061】
得られた積層体14〜17について、以下の評価を実施した。
・評価3′
積層体14〜17において、蛍光発光層(A1)から3cmの距離に紫外線光源(6W紫外線ランプ:365nm)を設置した。室内蛍光灯照射下(可視光下)において、紫外線反射層(B)、蛍光発光層(A2)を介して蛍光発光層(A1)及びその背後に設置された紫外線光源の視認性を目視で評価し、光源の形状が認識できないものをA、認識できるものをBとした(評価3′−1)。
また、蛍光発光層(A2)から3cmの距離に紫外線光源(6W紫外線ランプ:365nm)を設置し、同様の評価を行った(評価3′−2)。
結果を表3に示した。
【0062】
・評価4′
積層体14〜17において、蛍光発光層(A1)から3cmの距離に紫外線光源(6W紫外線ランプ:365nm)を設置し、暗室中で紫外線を照射し、積層体1と同様に発光輝度(cd/m)を、色彩輝度計「BM−5A」(株式会社トプコン製)を用いて測定した(評価4′−1)。
また、蛍光発光層(A2)から3cmの距離に紫外線光源を設置し、同様に発光輝度(cd/m)を測定した(評価4′−2)。
結果を表3に示した。
【0063】
<発光構造体>
表4に示すように積層体と光源を順に配置し、発光構造体を作製した。このとき、積層体は蛍光発光層(A)が光源の方を向くように配置した。
光源は、紫外線光源の略半分を遮蔽でき、紫外線光源の周りを回転するように移動可能な遮蔽板(材質:塩化ビニル製、反射層:アルミニウム層)を備えた紫外線光源(6W紫外線ランプ:365nm)を用いた。
【0064】
(実施例1)
光源(2a)と積層体2、積層体8を配置した。光源(2a)により紫外線を照射し、備えられた遮蔽板を回転させた。その結果、積層体2の発光色である緑、積層体8の発光色である赤、及び積層体2と積層体8混色である黄色へ連続的に変化するように、様々な色彩の発光が得られた。
【0065】
(実施例2)
光源(2a)と積層体2、積層体10を配置した。光源(2a)により紫外線を照射し、備えられた遮蔽板を回転させた。その結果、積層体2の発光色である緑、積層体10の発光色である青、及び積層体2と積層体10の混色である水色へ連続的に変化するように、様々な色彩の発光が得られた。
【0066】
(実施例3)
光源(2a)、光源(2b)と積層体14、積層体10を配置した。このとき、積層体14の(A1)層が光源(2b)を向くように配置した。光源(2a)、光源(2b)により紫外線を照射し、備えられた遮蔽板を回転させた。その結果、積層体14の発光色である緑と赤、その混色の黄色、及び積層体10の発光色である青、積層体14と積層体10の混色である紫、水色、及び白へ連続的に変化するように、様々な色彩の発光が得られた。
【0067】
(実施例4)
光源(2a)、光源(2b)と積層体15、積層体8を配置した。このとき、積層体15の(A1)層が光源(2b)を向くように配置した。光源(2a)、光源(2b)により紫外線を照射し、備えられた遮蔽板を回転させた。その結果、積層体15の発光色である緑と青、その混色の水色、及び積層体8の発光色である赤、積層体15と積層体8の混色である紫、水色、及び白へ連続的に変化するように、様々な色彩の発光が得られた。
【0068】
(実施例5)
光源(2a)、光源(2b)と積層体16、積層体2を配置した。このとき、積層体16の(A1)層が光源(2b)を向くように配置した。光源(2a)、光源(2b)により紫外線を照射し、備えられた遮蔽板を回転させた。その結果、積層体16の発光色である赤と青、その混色の紫、及び積層体2の発光色である緑、積層体16と積層体2の混色である水色、黄色、及び白へ連続的に変化するように、様々な色彩の発光が得られた。
【0069】
(実施例6)
光源(2a)、光源(2b)、光源(2c)と積層体14、積層体15を配置した。このとき、積層体14の(A1)層が光源(2b)、積層体15の(A1)層が光源(2c)を向くように配置した。光源(2a)、光源(2b)、光源(2c)により紫外線を照射し、備えられた遮蔽板を回転させた。その結果、積層体14の発光色である緑と赤、その混色の黄色、及び積層体15の発光色である緑と青、その混色の水色、積層体14と積層体15の混色である緑色、水色、黄色、紫及び白へ連続的に変化するように、様々な色彩の発光が得られた。
【0070】
(実施例7)
光源(2a)、光源(2b)、光源(2c)と積層体14、積層体16を配置した。このとき、積層体14の(A1)層が光源(2b)、積層体16の(A1)層が光源(2c)を向くように配置した。光源(2a)、光源(2b)、光源(2c)により紫外線を照射し、備えられた遮蔽板を回転させた。その結果、積層体14の発光色である緑と赤、その混色の黄色、及び積層体16の発光色である赤と青、その混色である紫、積層体14と積層体16の混色である赤、水色、黄色、紫及び白へ連続的に変化するように、様々な色彩の発光が得られた。
【0071】
(実施例8)
光源(2a)、光源(2b)、光源(2c)と積層体15、積層体16を配置した。このとき、積層体15の(A1)層が光源(2b)、積層体16の(A1)層が光源(2c)を向くように配置した。光源(2a)、光源(2b)、光源(2c)により紫外線を照射し、備えられた遮蔽板を回転させた。その結果、積層体15の発光色である緑と青、その混色の水色、及び積層体16の発光色である赤と青、その混色の紫、積層体15と積層体16の混色である青、水色、黄色、紫及び白へ連続的に変化するように、様々な色彩の発光が得られた。
【0072】
(実施例9)
光源(2a)と積層体12、積層体8を配置した。光源(2a)により紫外線を照射し、備えられた遮蔽板を回転させた。その結果、積層体12の発光色は、基材凹部で強く、凸で弱い緑色の発光を示し、基材の凹凸パターンに応じた複雑な発光模様が認められた。また、積層体8の発光色である赤、及び積層体2と積層体8混色である黄色が、複雑な発光模様で連続的に変化するような色彩の発光が得られた。
【0073】
(実施例10)
光源(2a)と積層体13、積層体8を配置した。光源(2a)により紫外線を照射し、備えられた遮蔽板を回転させた。その結果、光源オフ時には青色の着色層が視認でき、光源オン時には、積層体13の発光色である青緑、積層体8の発光色である赤、着色層の青、及び積層体13と積層体8混色である黄緑色が、複雑な発光模様で連続的に変化するような色彩の発光が得られた。

【0074】
(比較例1)
光源(2a)と積層体2、積層体11を配置した。光源(2a)により紫外線を照射し、備えられた遮蔽板を回転させた。その結果、積層体2の発光色である緑に比べ、積層体11の発光色である青の発光が弱く、また積層体2と積層体11混色も緑の発光が強く、色相の変化に乏しい発光しか得られなかった。
【0075】
(比較例2)
光源(2a)と積層体6、積層体10を配置した。光源(2a)により紫外線を照射し、備えられた遮蔽板を回転させた。その結果、実施例2と比較して、積層体6の発光色である緑の発光が弱く、積層体6と積層体10混色の発光も弱いものであった。
【0076】
(比較例3)
光源(2a)と積層体6、積層体11を配置した。光源(2a)により紫外線を照射し、備えられた遮蔽板を回転させた。その結果、積層体6の発光色である緑、及び積層体11の発光色である青、及び積層体6と積層体11の混色である水色の発光も弱く、全体的に発光が弱く、色相の変化に乏しい発光しか得られなかった。
【0077】
(比較例4)
光源(2a)、光源(2b)と積層体17、積層体8を配置した。このとき、積層体17の(A1)層が光源(2b)を向くように配置した。光源(2a)、光源(2b)により紫外線を照射し、備えられた遮蔽板を回転させた。その結果、積層体17の発光色である緑と青、その混色の水色は発光が弱く、一方で積層体8の発光色である赤の発光が強く、積層体17と積層体8の混色は赤の発光が強い発光が強く、色相の変化に乏しい発光しか得られなかった。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【符号の説明】
【0082】
1…発光積層体(Q)
1−1…積層体(Q1)
1−2…積層体(Q1′)
1−3…積層体(Q2)
1−4…積層体(Q2′)
2a、2b、2c…光源
2−1…紫外線光源(X)
2−2…遮蔽板(P)
2−3…反射層
3…蛍光発光層(A)
3−1…蛍光発光層(A1)
3−2…蛍光発光層(A2)
3−3…蛍光発光層(A3)
3−4…蛍光発光層(A4)
4…紫外線反射層(B)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線の照射により発光する発光構造体であって、
少なくとも1つ以上の紫外線光源(X)を囲むように、少なくとも2つ以上の発光積層体(Q)が備えられた発光ユニットを含み、
該発光積層体(Q)は、紫外線が照射される側から蛍光発光を示す蛍光発光層(A)、波長領域300nm〜400nmの全領域での紫外線反射率が10%以上である紫外線反射層(B)、が積層されていることを特徴とする発光構造体。
【請求項2】
紫外線の照射により発光する発光構造体であって、
発光積層体(Q)を囲むように少なくとも2つ以上の紫外線光源(X)が備えられた発光ユニットを含み、
該発光積層体(Q)は、波長領域300nm〜400nmの全領域での紫外線反射率が10%以上である紫外線反射層(B)を挟むように、蛍光発光を示す蛍光発光層(A1)と(A2)が積層されていることを特徴とする発光構造体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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