説明

発光表示パネル用表示部材の製造方法

【課題】電子写真印刷機を使用して多重刷りを行い透過光の表示部材を製造するにあたり、印刷面に生じるピンホールを無くす。
【解決手段】第一の解決手段は、(1)一枚の印刷基材211を用いること、(2)刷り回数を2分けすること、(3)印刷基材211を順方向に送りつつ表面22に2色の透過パターン301を印刷すること、(4)印刷基材211を逆方法に送りつつ裏面23に左右逆転した2色の透過パターン302を印刷する。他の解決手段は、(5)一枚の印刷基材を用いること、(6)刷り回数を色毎に分割すること、(7)印刷基材を順方向に送りつつ表面に第一色の透過パターンを印刷すること、(8)印刷基材を逆方法に送りつつ裏面に左右逆転した他の色の透過パターンを印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は家庭用電気機器、音響機器、携帯電話などの小型電子機器、自動車などのインジケータ(indicator)類に用いられるものであり、表示文字・表示目盛り・マークなどのパターン表示を行う発光表示パネルの構成部品である表示部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特定色光を透過する透過パターンを有する表示部材に、裏面側から光を照射して表面側に透過パターンを表示する発光表示パネルが知られていて(例えば、特許文献1参照)、当該発光表示パネルの構成部品として表示部材が使用されている。
【0003】
表示部材は特定色光を透過する透過パターンを有している。表示部材は、例えば、電子写真印刷機(製版不要のデジタルオフセット印刷機)を使用して印刷により製造される。汎用される電子写真印刷機には、現像された画像を感光体から中間転写体へ(一次)転写し、全色の画像を転写させた後、一括して印刷基材に(二次)転写させる中間転写方式が採用されている。透過パターンは、例えば、ロール状の印刷基材に、A色色分刷版とA色インキを用いてK回重ね刷りをして、B色色分刷版とB色インキを用いてP回重ね刷りをして製造される。意図する色の光を透過させる適切な透過性を担保し、かつ意図しない色の光の透過を防いで、隠蔽性を担保するために、同一画像の版と同一インキを用いる重ね刷りが行われる。
【0004】
しかし、このように多重刷りにより作成した表示部材上の透過パターンには、特定の領域に微小なピンホールが発生し、光源からの光が当該ピンホールを通過するために、表示パターンが乱れたり、発光表示パネルの品位が低下したりするなどの欠点があった。なお、ここで刷り重ね回数を減少させると、ピンホールの発生を減少させることができるが、そうすると隠蔽性の低下や適切な透過性を確保できず、発光表示パネルとして機能しなくなる。よって、適切な隠蔽性と透過性を保持しつつ、ピンホールの発生を解消する必要があった。ピンホールとは、画像を貫通する微細な孔又は、画像に内在する微細な孔のことである。
【0005】
発光表示パネルは透過光を視覚観察するものである。透過光を観察する表示物にあっては、比較的小さなピンホールであっても、ピンホール透過光が視覚観察される。一方、通常の印刷物(その典型は紙への印刷物である)は印刷面での反射光を視覚観察する。反射光を観察する印刷物にあっては、上記のような比較的小さなピンホールであれば、ピンホールの存在は視覚認識されない。
【0006】
通常の印刷物にあっては無視できる小さなピンホールであっても、透過光を観察する表示物においては視覚観察される。このため、小さなピンホールであっても、発光表示パネルの品位低下の要因となる。透過光を観察する発光表示パネルにおいてピンホールに対する対策は、通常の印刷物におけるピンホールに対する対策以上に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−262008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、電子写真印刷機を使用して多重刷りを行い透過光の表示部材を製造するにあたり、多重刷り回数を減少させることなく適切な隠蔽性と透過率を保持しつつ、印刷面に生じるピンホールを無くすことにある。
【0009】
本発明のその他の課題は、本発明の説明により明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者は電子写真印刷機を使用する多重刷りにより得られた表示部材を観察し、以下に記述する知見を得た。
【0011】
図9は、従来の透過パターン90の平面説明図である。透過パターン90は電子写真印刷機を使用して、印刷基材に青色インキを4回の重ね刷り印刷し、黒色インキを3回の重ね刷り印刷して製造したものである。印刷面を表面側として図示している。印刷方向を矢印91で示している。説明の便宜上、透過パターン90において、印刷方向に平行な方向を矢印92に示す左右方向とし、印刷方向と直交する矢印93に示す方向を上下方向とする。
【0012】
透過パターン90は黒色インキ95で描かれた枠形状の中に、青色インキ94で描かれたL字形状を含んでいる。発光表示パネルの表示部材として当該透過パターンを用いると、光源照射時に観察面にL字形状が浮かびあがり、消灯時に当該L字形状が消失する。
【0013】
透過パターン90は黒色インキと青色インキの左右方向境界線96a、96bと96cを有する。左右方向境界線の印刷方向前側に、ピンホール頻発領域97a、97bと97cが出現する。
【0014】
電子写真印刷機において刷版中にインキが印刷されない部分(非画像部)があると、感光体上の当該部分に微量の溶剤が付着する。例えば、黒色色分刷版の場合には、中央に位置するL字形部分は非画像部であり、当該部分に微量の溶剤が付着する。
【0015】
電子写真印刷機を使用する印刷では、まず、感光体にインキ画像を形成し、当該インキ画像を中間転写体へ(一次)転写する。同一色の同一画像を多重刷りする場合には、同一の一次転写過程を刷り回数繰り返して中間転写体にインキを蓄積する。異なる色分版を重ね刷りする場合には、異なる色のインキと当該色分刷版を用いて感光体にインキ画像を形成し、これを一次転写する。これらを併用して多重印刷される場合もある。
【0016】
中間転写体上に全色全重ね回数のインキ画像を載せた(蓄積した)後、これらインキ画像を一括して印刷基材に(二次)転写させる。
【0017】
一次転写(感光体と中間転写体間の圧力と回転)または二次転写(中間転写体と圧胴間の圧力と回転)により、それぞれ一次転写では感光体と中間転写体の接する線若しくは面または二次転写では中間転写体と印刷基材が接する線若しくは面が、印刷方向に沿って移動するので、非画像部に付着した溶剤は左右方向境界線の近傍に集められる。そして、この集められた溶剤が気化しきれず残留しピンホールの原因となる。
【0018】
青色色分刷版の場合には枠側に微量の溶剤が付着し、溶剤はピンホール頻発領域97bと97cに集められる。黒色色分刷版の場合には枠内に微量の溶剤が付着し、溶剤はピンホール頻発領域97aに集められる。
【0019】
そして、転写時の加圧により、青色色分刷版における非画像部の残留溶剤が黒色インキの存在する画像部へ浸透し、同様に黒色色分刷版における非画像部の残留溶剤が青色インキの存在する画像部へ浸透する。このようにインキの刷り重ね方向に、一方の色の非画像部の残留溶剤が他方の色の画像部に浸透する。画像部に浸透した溶剤が気化しインキを押しのけ空洞が生じることで、当該部分の色の透過率が増加しピンホールとして視認される。
【0020】
さらに、ピンホール発生箇所の確認として、次の比較実験を行った。
(1)単色の同一の刷版(青色色分刷版または黒色色分刷版)のみによる多重刷り
(2)上記と同一の黒色色分刷版と、全面に青色インクを印刷する青色版による多重刷り
(3)上記と同一の青色色分刷版と、全面に黒色インクを印刷する黒色版による多重刷り
(1)乃至(3)は、用いる版が異なるだけで、色版ごとの刷る回数等の他条件は上記と同一で印刷物を作成した。
【0021】
(1)では、ピンホールは確認されなかった。これから、非画像部の溶剤は印刷平面方向には浸透せず、その色自身の画像にはピンホールを生じさせないことが分かった。
【0022】
図10は(2)の実験を説明する説明図である。印刷物は枠領域である青インキと黒インキ98で描かれた領域の中に、L字形状の青インキ94の領域が存在する。この印刷物では、ピンホール頻発領域97aのみが確認された。
【0023】
図11は(3)の実験を説明する説明図である。印刷物は枠領域である黒インキ95で描かれた領域の中に、L字形状の青インキと黒インキ98で描かれた領域が存在する。この印刷物では、ピンホール頻発領域97bおよび97cが確認された。
【0024】
(2)と(3)の結果から、一方の色版の非画像部の溶剤が、他方の画像部にピンホールを発生させることがわかった。以上から、ピンホールの原因となる溶剤の帰属が裏付けられた。
【0025】
以上述べたように、ピンホール発生箇所は印刷方向と画像に依存する特徴を有する。ピンホールは、印刷平面内で印刷方向に垂直であり、かつ異なる色で構成される境界線に限らず、印刷方向に垂直に近い角度となる異色間境界線付近にも視認された。しかし、印刷平面内で印刷方向に平行および平行に近い角度を有する異色間境界線には視認されなかった。
【0026】
また、ピンホールは、刷り重ね回数を増加するにつれ、その程度がひどくなることが確認された。これは、刷り重ね回数により非画像部の除去すべき溶剤の量が増加したためと考えられる。なお、ピンホール発生の程度を、目視、ピンホールの数、ピンホール径の大きさ、およびピンホール発生領域の広さ等で評価した。ここで、ピンホールの程度がひどいとは、ピンホールを視認でき、ピンホール数が多く、ピンホール径が大きく、またはピンホール発生領域が広い等をいう。
【0027】
当該ピンホール発生の問題を解消するために、残留溶剤の揮発が重要と考え、加熱温度、加熱時間、刷り順等の印刷条件による最適化を試みたが、低減できたものの、無視できる程度以下に抑えることはできなかった。電子写真印刷機は、溶剤を揮発させるため中間転写体に加熱機構を備えている。しかし、ピンホールの発生を解消できなかったのは、刷り重ね回数の増加に伴い残留溶剤量が多くなり残留溶剤の揮発が不十分であったためと考えられる。なお、単に加熱による残留溶剤の揮発を促進させればよいというわけではなく、例えば、加熱温度を上昇させすぎると網点の付きが悪くなり転写性が低下する、または、加熱時間を増加させすぎると印刷基材の収縮により位置精度が悪くなる等、別の問題が生じる。このように、印刷条件を変更するのみでは、当該問題を解消できなかった。つまり、多重刷りの結果、残留した溶剤を揮発させるのでは、当該問題の解消に不十分であった。
【0028】
そこで、発明者は、以上の観察と考察に基づき、鋭意検討の結果、残留してしまった溶剤を揮発させるのではなく、印刷構成を変更して、揮発すべき残留溶剤量を減少させる、または、残留させないという、本発明をするに至った。
【0029】
以下に課題を解決するための手段を述べる。
【0030】
本発明の一の態様にかかる表示部材の製造方法は、
特定色光を透過する透過パターンを有する表示部材に背面側から光を照射して観察面側に透過パターンを表示する発光表示パネルに使用する表示部材を製造する方法であって、
感光体にインキを付着し、インキ画像を感光体から中間転写体に転写し印刷基材にこれを転写する電子写真印刷機を使用し、
帯状の印刷基材に、
A色色分刷版とA色インキを用いてK回重ね刷りをして、B色色分刷版とB色インキを用いてP回重ね刷りをして透過パターンを印刷により作成したものであって、
透過パターンの左右方向は帯状の印刷基材における長手方法と平行である透過パターンを作成する表示部材の製造方法において、
第一印刷基材に表側透過パターンと裏側透過パターンを印刷した、以下の工程からなる第一の表示部材の製造方法である。
(ただし、Kは2以上の正の整数であり、Pは2以上の正の整数である)
ア 第一A色色分刷版を用いて感光体にA色インキを付着してA色インキ画像を形成し前記A色インキ画像を中間転写体に転写する過程をL回行い、前記中間転写体にL回の前記A色インキ画像を蓄積する工程(ただし、L=floor(K/2)であり、floor(x)は床関数を表している)
イ 第一B色色分刷版を用いて前記感光体にB色インキを付着してB色インキ画像を形成し前記B色インキ画像を前記中間転写体に転写する過程をQ回行い、前記中間転写体にQ回の前記B色インキ画像を蓄積する工程(ただし、Q=floor(P/2)であり、floor(x)は床関数を表している)
ウ 前記アの工程で蓄積された前記A色インキ画像と、前記イの工程で蓄積された前記B色インキ画像を、帯状の第一印刷基材をその長手方向の先端方向から後端方向へ搬送しつつ、前記中間転写体から第一印刷基材の表面に転写することにより表側透過パターンを印刷する工程
エ 第一A色色分刷版と左右を逆転した第二A色色分刷版を作成し、第一B色色分刷版と左右を逆転した第二B色色分刷版を作成する工程
オ 第二A色色分刷版を用いて感光体にA色インキを付着してA色インキ画像を形成し前記A色インキ画像を中間転写体に転写する過程をM回行い、前記中間転写体にM回の前記A色インキ画像を蓄積する工程(ただし、M=K−Lである)
カ 第二B色色分刷版を用いて前記感光体にB色インキを付着してB色インキ画像を形成し前記B色インキ画像を前記中間転写体に転写する過程をR回行い、前記中間転写体にR回の前記B色インキ画像を蓄積する工程(R=P−Qである)
キ 前記オの工程で蓄積された前記A色インキ画像と前記カの工程で蓄積された前記B色インキ画像を、表側透過パターンが形成された帯状の第一印刷基材をその長手方向の後端方向から先端方向へ搬送しつつ、前記表側透過パターンと見当を合せて、前記中間転写体から第一印刷基材の裏面に転写することにより裏側透過パターンを印刷し、第一の表示部材を得る工程。
【0031】
上記のアの工程とイの工程は、必ずしも時間的に先後に行う必要はない。例えば、A色インキ画像を1回転写した後に、B色インキ画像を1回転写し、その後任意の色のインキ画像を規定の回数になるまで、任意の順序で転写してもよい。また、例えば、A色インキ画像をL回転写し、その後にB色インキ画像をQ回転写してもよい。さらに、例えば、B色インキ画像をQ回転写し、その後に、A色インキ画像をL回転写してもよい。
【0032】
また、上記オの工程とカの工程は、必ずしも時間的に先後に行う必要はない。上記アの工程とイの工程の実施順序と同様に、任意の順序に行えばよい。
【0033】
以下に説明する本発明の他の態様にあっても、インキ画像の形成と転写の工程は、実施順序に格別の制限はなく、任意の順序に行うことができる。
【0034】
以上に述べた一の態様にかかる表示部材の製造方法は、以下に要約することができる。すなわち、
・一枚の印刷基材を用いること、
・刷り回数を2分けすること、
・表面側に、2色の透過パターンを、印刷基材を順方向に送りつつ印刷すること、
・裏面側に、左右逆転した2色の透過パターンを、印刷基材を逆方法に送りつつ印刷すること、
を特徴とする。
【0035】
本発明の他の態様にかかる表示部材の製造方法は、
・二枚の印刷基材を用いること、
・刷り回数を2分けすること、
・一方の印刷基材に、2色の透過パターンを印刷して一方の透過パターンを得ること、
・他方の印刷基材に、2色の透過パターンを印刷して他方の透過パターンを得ること
・一方の透過パターンと他方の透過パターンを重ねること、
を特徴とする。
【0036】
本発明は、左右を逆転させて作成する第二A色色分刷版と、左右を逆転させて作成する第二B色色分刷版は不要となり、より一層簡便な表示部材の製造方法となる。
【0037】
本発明の好ましい実施態様にかかる表示部材の製造方法は、前記他方の印刷基材に、左右逆転した2色の透過パターンを、印刷して前記他方の透過パターンを得るものであってもよい。
【0038】
このとき、見当合わせや異色間の印刷のバラツキにより、境界面から光が抜ける不良が起こることがある。これに対応するため、請求項1乃至3にかかる発明では、一方の印刷面に対応する青色色分刷版の画像部の寸法をわずかに大きくし、同様に黒色色分刷り版の被画像部をわずかに大きくした。請求項4乃至6にかかる発明では、青色色分刷版のL字の寸法は、黒色色分刷版の非画像部のL字の寸法より、大きい設計となっている。具体的には、約300μmオフセットしている。ただし、この設計事項を、図3乃至11にはあえて強調して記載しなかった。なお、上記オフセット操作を行うことで、上記不良を解消できたにもかかわらず、境界面付近は視認上問題はなかった。
【0039】
本発明のさらに他の態様にかかる表示部材の製造方法は、
特定色光を透過する透過パターンを有する表示部材に背面側から光を照射して観察面側に透過パターンを表示する発光表示パネルに使用する表示部材を製造する方法であって、
感光体にインキを付着し、インキ画像を感光体から中間転写体に転写し印刷基材にこれを転写する電子写真印刷機を使用し、
帯状の印刷基材に、
A色色分刷版とA色インキを用いてK回重ね刷りをして、B色色分刷版とB色インキを用いてP回重ね刷りをして透過パターンを印刷により作成したものであって、
透過パターンの左右方向は帯状の印刷基材における長手方法と平行である透過パターンを作成する表示部材の製造方法において、
第五印刷基材に表側透過パターンと裏側透過パターンを印刷した、以下の工程からなる第四の表示部材の製造方法である。
(ただし、Kは2以上の正の整数であり、Pは2以上の正の整数である)
ナ 第一A色色分刷版を用いて感光体にA色インキを付着してA色インキ画像を形成し前記A色インキ画像を中間転写体に転写する過程をK回行い、前記中間転写体にK回の前記A色インキ画像を蓄積する工程
ニ 前記ナの工程で蓄積された前記A色インキ画像を、帯状の第五印刷基材をその長手方向の先端方向から後端方向へ搬送しつつ、前記中間転写体から第一印刷基材の表面に転写することにより表側透過パターンを印刷する工程
ヌ B色色分刷版と左右を逆転した第二B色色分刷版を作成する工程
ネ 第二B色色分刷版を用いて前記感光体にB色インキを付着してB色インキ画像を形成し前記B色インキ画像を前記中間転写体に転写する過程をP回行い、前記中間転写体にP回の前記B色インキ画像を蓄積する工程
ノ 前記ネの工程で蓄積された前記B色インキ画像を、表側透過パターンが形成された帯状の第五印刷基材をその長手方向の後端方向から先端方向へ搬送しつつ、前記表側透過パターンと見当を合せて、前記中間転写体から第五印刷基材の裏面に転写することにより裏側透過パターンを印刷し、第四の表示部材を得る工程。
【0040】
以上に述べたさらに他の態様にかかる表示部材の製造方法は、以下に要約することができる。すなわち、
・一枚の印刷基材を用いること、
・重ね刷りを色毎に分割すること、
・表面側に、透過パターン中のA色パターンのみを、印刷基材を順方向に送りつつ印刷すること、
・裏面側に、透過パターン中のB色パターンのみを、左右逆転して、印刷基材を逆方法に送りつつ印刷すること、
を特徴とする。
【0041】
本発明のさらにその他の態様にかかる表示部材の製造方法は、
・二枚の印刷基材を用いること、
・重ね刷りを色毎に分割すること、
・一方の印刷基材に、透過パターン中のA色パターンのみを、印刷して一方の透過パターンを得ること、
・他方の印刷基材に、透過パターン中のB色パターンのみを、左右逆転して、印刷して他方の透過パターンを得ること
・一方の透過パターンと他方の透過パターンを重ねること、
を特徴とする。
【0042】
本発明は、左右を逆転させて作成する第二B色色分刷版が不要であり、より一層簡便な表示部材の製造方法となる。
【0043】
本発明の好ましい実施態様にかかる表示部材の製造方法は、前記他方の印刷基材に、左右逆転したB色の透過パターンのみを、印刷して前記他方の透過パターンを得るものであってもよい。
【0044】
本発明のその他の態様にかかる発光表示パネルは、本発明にかかるいずれかの表示部材の製造方法により製造した表示部材と、前記表示部材の裏面側に配置した光源からなる光透過パターンを表示する発光表示パネルである。
【発明の効果】
【0045】
請求項1乃至6にかかる表示部材の製造方法は、発光表示パネルとしての機能を発現するために多重刷りをして隠蔽性と透過性を保持しつつ、ピンホールを解消できる利点がある。
【0046】
請求項1乃至3にかかる表示部材の製造方法は、重ね刷りの回数を分割して表示部材に混色印刷を行うものであり、本製造方法により得られる表示部材はピンホール数が少なくなり、また、ピンホールの径が小さくなるという利点がある。
【0047】
請求項4乃至6にかかる表示部材の製造方法は、重ね刷りの回数を分割して表示部材に単色印刷を行うものであり、本製造方法により得られる表示部材はピンホールが出現しない利点がある。
【0048】
本発明のその他の態様にかかる発光表示パネルは、特定色透過時にピンホールに由来する色抜けがないので、発光表示パネルの品位が上がる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は発光表示パネルを示した断面説明図である。
【図2】図2は電子写真印刷機の概要を示した説明図である。
【図3】図3は実施例1にかかる第一の表示部材を説明する説明図であり、図3(a)は刷数分割表側透過パターンと刷数分割逆転裏側透過パターンを印刷した第一印刷基材を説明する断面説明図であり、図3(b)にA−Bで示した断面を図示している。図3(b)は表側に刷数分割表側透過パターンを印刷した第一印刷基材を説明する平面説明図であり、図3(c)は裏側に刷数分割逆転裏側透過パターンを印刷した第一印刷基材を説明する平面説明図である。
【図4】図4は実施例2にかかる第二の表示部材を説明する説明図であり、図4(a)は第二パターン部材を説明する断面説明図であり、図4(c)にA−Bで示した断面を図示している。図4(b)は第三パターン部材を説明する断面説明図であり、図4(d)にA−Bで示した断面を図示している。図4(c)は刷数分割表側透過パターンを印刷した第二印刷基材である第二パターン部材を説明する平面説明図であり、図4(d)は刷数分割正転裏側透過パターンを印刷した第三印刷基材である第三パターン部材を説明する平面説明図である。
【図5】図5は実施例3にかかる第三の表示部材を説明する説明図であり、図5(a)は第二パターン部材を説明する断面説明図であり、図5(c)にA−Bで示した断面を図示している。図5(b)は第四パターン部材を説明する断面説明図であり、図5(d)にA−Bで示した断面を図示している。図5(c)は刷数分割表側透過パターンを印刷した第二印刷基材である第二パターン部材を説明する平面説明図であり、図5(d)は刷数分割逆転裏側透過パターンを印刷した第四印刷基材である第四パターン部材を説明する平面説明図である。
【図6】図6は実施例4にかかる第四の表示部材を説明する説明図であり、図6(a)は色分割表側透過パターンと色分割逆転裏側透過パターンを印刷した第五印刷基材を説明する断面説明図であり、図6(b)にA−Bで示した断面を図示している。図6(b)は表側に色分割表側透過パターンを印刷した第五印刷基材を説明する平面説明図であり、図6(c)は裏側に色分割逆転裏側透過パターンを印刷した第五印刷基材を説明する平面説明図である。
【図7】図7は実施例5にかかる第五の表示部材を説明する説明図であり、図7(a)は第六パターン部材を説明する断面説明図であり、図7(c)にA−Bで示した断面を図示している。図7(b)は第七パターン部材を説明する断面説明図であり、図7(d)にA−Bで示した断面を図示している。図7(c)は色分割表側透過パターンを印刷した第六印刷基材を説明する平面説明図であり、図7(d)は色分割正転裏側透過パターンを印刷した第七印刷基材を説明する平面説明図である。
【図8】図8は実施例6にかかる第六の表示部材を説明する説明図であり、図8(a)は第六パターン部材を説明する断面説明図であり、図8(c)にA−Bで示した断面を図示している。図8(b)は第八パターン部材を説明する断面説明図であり、図8(d)にA−Bで示した断面を図示している。図8(c)は色分割表側透過パターンを印刷した第六印刷基材を説明する平面説明図であり、図8(d)は色分割逆転裏側透過パターンを印刷した第八印刷基材を説明する平面説明図である。
【図9】図9は従来の透過パターンの平面説明図である。
【図10】図10は特定の部分にインキを印刷する黒色色分刷版と、全面に青色インクを印刷する青色色分刷版による従来の多重刷り印刷物の説明図である。
【図11】図11は特定の部分にインキを印刷する青色色分刷版と、全面に黒色インクを印刷する黒色色分刷版による従来の多重刷り印刷物の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、図面を参照して本発明の実施例にかかる表示部材の製造方法と発光表示パネルをさらに説明する。本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするため、一部の構成要素を誇張して表現するなど模式的に表しているものがある。このため、構成要素間の寸法や比率などは実物と異なっている場合がある。また、本発明の実施例に記載した部材や部分の寸法、材質、形状、その相対位置などは、とくに特定的な記載のない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎない。さらに、符号である数字は部品などを集合的に示す場合があり、個別の部品や部分などを示す場合に、当該数字のあとにアルファベットの添字を付けているものがある。
【実施例1】
【0051】
第一の表示部材(1枚両面印刷・混色刷数分割・逆転パターン)
図2は電子写真印刷機の概要を示した説明図である。
【0052】
電子写真印刷機10は感光体11と中間転写体12を有する。A色とB色からなる画像印刷を例にとり、電子写真印刷機10の動作を説明する。A色色分刷版を用いて感光体11にインキが付着され、インキ画像が形成される。このインキ画像が中間転写体12に転写される。次にB色色分刷版を用いて感光体11にインキが付着され、インキ画像が形成される。このインキ画像が中間転写体12に転写される。このようにして、中間転写体12にインキ画像が蓄積される。色分刷版はデジタル処理されるが、「刷版」の形で説明する。以下、同様である。
【0053】
中間転写体12に蓄積されたインキ画像が、圧胴13により印刷面が中間転写体に接しつつ搬送される印刷基材21に転写される。印刷基材21は、巻き出しロール14から巻き出されて、中間転写体12と圧胴13の間を通り、巻き取りロール15に巻き取られる。印刷基材は帯状の基材がロール状に巻かれていて、複数の表示部材単位が長手方向に並んで印刷される。矢印16に示す方向が印刷基材の進行方向である。
【0054】
第一の表示部材は、青色インキをK回重ね刷りし、黒色インキをP回重ね刷りする。
【0055】
本発明と本実施例1乃至6において、KとPの上限値に特に制限はない。PとKの刷り回数の合計は、通常15以下であり、好ましくは7以下である。
【0056】
本実施例においてK=4、P=3である。
【0057】
図3(a)は刷数分割表側透過パターンと刷数分割逆転裏側透過パターンを印刷した第一印刷基材を説明する断面説明図であり、図3(b)にA−Bで示した断面を図示している。
【0058】
まず、第一印刷基材211の一方表面である表面22に表側透過パターンである刷数分割表側透過パターン301を印刷する。
【0059】
図3(b)は表側に刷数分割表側透過パターンを印刷した第一印刷基材を説明する平面説明図である。第一印刷基材211は矢印24で示す長手方向の先端方向(矢印25)から後端方向(矢印26)に、中間転写体12と圧胴13の間に位置付けられ印刷される。
【0060】
刷数分割表側透過パターン301a、301bは、輪郭形状が方形であり、中央に青色インキ33がL字状に印刷され、その周りを黒色インキ34が取り囲んでいる。第一青色色分刷版はL字状にインキを置き、インキの周りを空白部とした構成である。第一黒色色分刷版は中のL字状部分を空白部とし、枠部分にインキを置く構成である。
【0061】
刷数分割表側透過パターン印刷時の青色インキの重ね刷り回数はL回である。ここで、
L=floor(K/2)で表され、
floor(x)は床関数を表している。
【0062】
床関数は実数Xに対してX以下の最大の整数と定義される。
【0063】
Kは4であるから、K/2=2であり、L=2となる。
【0064】
刷数分割表側透過パターン印刷時の黒色インキの重ね刷り回数はQ回である。ここで、
Q=floor(P/2)で表され、
floor(x)は床関数を表している
Pは3であるから、P/2=1.5であり、Q=1となる。
【0065】
電子写真印刷機10を動作させ、中間転写体12に2刷り分の青色インキ画像と1刷り分の黒色インキ画像を蓄積する。すなわち、感光体11に第一青色色分刷版を用いて青色インキを付着して青色インキ画像を形成し、当該インキ画像を中間転写体12に転写する。(仮に青過程と呼ぶ。)また、感光体11に第一黒色色分刷版を用いて黒色インキを付着して黒色インキ画像を形成し、当該インキ画像を中間転写体12に転写する。(仮に黒過程と呼ぶ。)
青過程を2回と黒過程を1回行う。この合計3回の過程は、どのような順序でおこなってもよい。例えば、青過程、青過程、黒過程の順序でもよく、また例えば、青過程、黒過程、青過程の順序でもよく、また例えば、黒過程、青過程、青過程の順序でもよい。
【0066】
次に、中間転写体12に蓄積したインキを、帯状の第一印刷基材211をその長手方向の先端方向から後端方向側に送り込んで、第一印刷基材の表面に転写することにより刷数分割表側透過パターン301a、301bを印刷する。刷数分割表側透過パターン301aが先に印刷され、刷数分割表側透過パターン301bが続いて印刷される。
【0067】
刷数分割表側透過パターン301a、301bの左右方向(矢印31)は帯状の印刷基材における長手方向(矢印24)である。
【0068】
境界線、例えば境界線35は、青色インキ33と黒色インキ34の色分け線である。境界線の印刷進行方向前側である、表側境界前領域35a、35b、35cは、多重刷り回数が少ないために、残留溶剤の量が少なくなり揮発に十分な加熱がなされることで、ピンホール数が少なくなり、また、ピンホールの径が小さくなる。
【0069】
刷数分割表側透過パターンを印刷した第一印刷基材は巻き取りロール15に巻き取られる。
【0070】
続いて、第二青色色分刷版と第二黒色色分刷版を作成する。第二青色色分刷版は、第一青色色分刷版の左右を逆転した刷版である。第二黒色色分刷版は、第一黒色色分刷版の左右を逆転した刷版である。
【0071】
次に、図3(a)に示すような、刷数分割表側透過パターンを印刷した第一印刷基材211に刷数分割逆転裏側透過パターン302を印刷する。
【0072】
青色インキはM=K−Lで示されるM回重ね刷りする。今、K=4、L=2であるからM=2となる。
【0073】
黒色インキはR=P−Qで示されるR回重ね刷りする。今、P=3、Q=1であるからR=2となる。
【0074】
電子写真印刷機10を動作させ、中間転写体12に、2刷り分の青色インキ画像と2刷り分の黒色インキ画像を蓄積する。すなわち、感光体11に第二青色色分刷版を用いて青色インキを付着して青色インキ画像を形成し、当該インキ画像を中間転写体12に転写する。(仮に青過程と呼ぶ。)また、感光体11に第二黒色色分刷版を用いて黒色インキを付着して黒色インキ画像を形成し、当該インキ画像を中間転写体12に転写する。(仮に黒過程と呼ぶ。)
青過程を2回と黒過程を2回行う。上述した刷数分割表側透過パターン印刷と同様に、青過程と黒過程の実行順序は任意である。
【0075】
次に、中間転写体12に蓄積したインキを第一印刷基材211に印刷する。すなわち、巻き取られた刷数分割表側透過パターン印刷済の第一印刷基材のロールを、巻き出しロール14にセットし、中間転写体12と圧胴13の間に送り込む。第一印刷基材211は後端方向側を先頭にして、先端方向側を後ろにして送り込まれる。刷数分割逆転裏側透過パターンは刷数分割表側透過パターンと見当を合わせて印刷される。
【0076】
図3(c)は裏側に刷数分割逆転裏側透過パターン40を印刷した第一印刷基材を説明する平面説明図である。第一印刷基材211は後端方向(矢印26)から先端方向(矢印25)の方向に送られる。刷数分割逆転裏側透過パターン302aが先に印刷され、次に刷数分割逆転裏側透過パターン302bが印刷される。
【0077】
青色インキ33と黒色インキ34の色分け線である境界線の近傍である、裏側境界前領域45a、45b、45cは、多重刷り回数が少ないために、残留溶剤の量が少なくなり揮発に必要な加熱がなされることで、ピンホール数が少なくなり、また、ピンホールの径が小さくなる。
【0078】
図3(a)に示すように、第一の表示部材は、第一印刷基材211の表面22に刷数分割表側透過パターン301a、301bが印刷されていて、第一印刷基材211の裏面23に刷数分割逆転裏側透過パターン302a、302bが印刷されている。刷数分割表側透過パターン301aは、刷数分割逆転裏側透過パターン302bと見当を合わせて印刷されている。
【0079】
青色インキ33は表側に2回刷り重ねられ、裏側に2回刷り重ねられ、かつ見当を合わせて印刷されている。このため、表と裏を合算した青色インキの膜厚は、一の表面に4回の刷り重ねを行った膜厚と同等である。
【0080】
黒色インキ34は表側に1回刷り重ねられ、裏側に2回刷り重ねられ、かつ見当を合わせて印刷されている。このため、表と裏を合算した黒色インキの膜厚は、一の表面に3回の刷り重ねを行った膜厚と同等である。
【0081】
このように、両面印刷により刷り回数を分散し、印刷基材の印刷面当たりの刷り回数を減少させることで、印刷面の単位面積当たりの残留溶剤量を減少させることができ、従来の温度設定領域において溶剤を揮発するのに十分な熱を加えることができ、ピンホール解消の効果が得られる。
【0082】
かつ印刷基材の両印刷面を互いに印刷方向を180°転換して作成することで、ピンホールの発生箇所が分散し、印刷基材の一方の印刷面のピンホール不発生領域部分と、もう一方の印刷面のピンホール発生領域部分の重ね合わせが可能となる。つまり、第一の表示部材にあっては、境界線前領域は、図3と図4における35aと45a、35bと45b、および35cと45cのように、表面22と裏面23では同一境界線を挟んで長手方向の両側に分離して出現する。このため、例えピンホールが発生したとしても視認できない程度の無視できる水準まで低減させるという、ピンホールの出現量が減少する効果も併せ持っている。
【0083】
また、上記の方法では、ピンホール発生の解消のために多重刷り回数を減少させることないため、発光表示パネルの適切な隠蔽性や透過率を保持しつつ、ピンホール発生を解消できる。
【0084】
このように残留溶剤量の減少と溶剤の発生箇所の分散というピンホール解消の効果が得られる。さらに、多重刷りに伴う転写不良(転写性の低下により、インキが中間転写体に残る不良)の解消、見当ズレの低減、及び印刷面の平面化等の付随的効果も得られる。
【0085】
印刷基材は、シート状、帯状のいずれであってもよい。印刷基材は、通常は、無色透明である。もっとも、無色透明に限られるものではなく、表示部材にしたときに、青色透過領域と遮光領域を備えていればよい。その材質としては、光を透過する材質、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル系樹脂、AN樹脂などの汎用樹脂を挙げることができる。また、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂などの汎用エンジニアリング樹脂や、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアリル系耐熱樹脂などのスーパーエンジニアリング樹脂を用いることもできる。
【0086】
インキは、樹脂バインダー中に顔料や染料などの着色材を含有したものを使用できる。
【0087】
以上のように製造された印刷済の印刷基材を適宜切り分けて、表示部材にする。
【実施例2】
【0088】
第二の表示部材(2枚片面印刷・混色刷数分割・正転パターン)
実施例2にかかる第二の表示部材は、印刷基材を2枚使用する点、裏側透過パターンが左右逆転しない点などが特徴であり、残余の点は第一の表示部材と同一である。ここでは、第一の表示部材との相違点を中心に第二の表示部材とその製造方法を説明する。
【0089】
第二の表示部材は、第二パターン部材402と第三パターン部材403を重ね合わせたものである。図4(a)は第二パターン部材402の断面説明図である。第二パターン部材402は帯状の第二印刷基材212の一方表面に刷数分割表側透過パターン301が複数印刷されている。図4(b)は第三パターン部材403の断面説明図であり、帯状の第三印刷基材213の一方表面に刷数分割正転裏側透過パターン303が複数印刷されている。
【0090】
第二の表示部材は、第一の表示部材と同じく、青色インキをK回重ね刷りし黒色インキをP回重ね刷りする。本実施例においてK=4、P=3である。
【0091】
まず、第二印刷基材212の一方表面に表側透過パターンである刷数分割表側透過パターン301を印刷する。
【0092】
図4(c)は刷数分割表側透過パターンを印刷した第二印刷基材である第二パターン部材を説明する平面説明図である。第二印刷基材212は長手方向の先端方向(矢印25)から後端方向(矢印26)に、中間転写体12と圧胴13の間に位置付けられ印刷される。
【0093】
刷数分割表側透過パターン301は実施例1と同じである。
【0094】
刷数分割表側透過パターン印刷時の青色インキの重ね刷り回数はL回である。ここで、
L=floor(K/2)で表され、
floor(x)は床関数を表している。Kは4であるから、K/2=2であり、L=2となる。
【0095】
刷数分割表側透過パターン印刷時の黒色インキの重ね刷り回数はQ回である。ここで、
Q=floor(P/2)で表され、
floor(x)は床関数を表している。Pは3であるから、P/2=1.5であり、Q=1となる。
【0096】
電子写真印刷機10を動作させ、中間転写体12に、2刷り分の青色インキ画像と1刷り分の黒色インキ画像を蓄積する。次に、中間転写体12に蓄積したインキを、帯状の印刷基材21をその長手方向の先端方向から後端方向側に送り込んで、印刷基材の表面に転写することにより刷数分割表側透過パターン301a、301bを印刷する。
【0097】
以上により、第二パターン部材402が作成される。
【0098】
次に、第三印刷基材213に刷数分割正転裏側透過パターン303を印刷する。図4(d)は刷数分割正転裏側透過パターンを印刷した第三印刷基材である第三パターン部材を説明する平面説明図である。
【0099】
刷数分割正転裏側透過パターン303は、刷数分割表側透過パターン301と等しい。すなわち、黒色インキ34で描かれた枠内に青色インキ33でL字形状が描かれている。
【0100】
刷数分割正転裏側透過パターン303にあって、青色インキはM=K−Lで示されるM回重ね刷りする。今、K=4、L=2であるからM=2となる。
【0101】
また、黒色インキはR=P−Qで示されるR回重ね刷りする。今、P=3、Q=1であるからR=2となる。
【0102】
電子写真印刷機10を動作させ、中間転写体12に、2刷り分の青色インキ画像と2刷り分の黒色インキ画像を蓄積する。その後、中間転写体12から第三印刷基材213に転写して印刷する。
【0103】
以上により、第三パターン部材403が作成される。
【0104】
刷数分割表側透過パターンと刷数分割正転裏側透過パターンは、多重刷り回数が少ないために、残留溶剤の量が少なくなり揮発に十分な加熱がなされることで、ピンホール数が少なくなり、また、ピンホールの径が小さくなる。
【0105】
第二パターン部材402と第三パターン部材403を適宜切断し、両者を、見当を合せて重ね合わせ貼り合せる。または、両者を、見当を合わせて重ね合わせ貼り合せた後切断してもよい。このとき、片方のインキ面と他方の印刷基材面を対面させる。
【0106】
こうして、第二の表示部材を得る。
【実施例3】
【0107】
第三の表示部材(2枚片面印刷・混色刷数分割・逆転パターン)
実施例3にかかる第三の表示部材は、裏側透過パターンが左右逆転している点などが特徴であり、残余の点は第二の表示部材と同一である。ここでは、第二の表示部材との相違点を中心に第三の表示部材を説明する。
【0108】
第三の表示部材は、第二パターン部材402と第四パターン部材404を重ね合わせたものである。図5(a)は第二パターン部材402の断面説明図である。第二パターン部材402は帯状の第二印刷基材212の一方表面に刷数分割表側透過パターン301が複数印刷されている。
【0109】
図5(b)は第四パターン部材404の断面説明図であり、帯状の第四印刷基材214の一方表面に刷数分割逆転裏側透過パターン302が複数印刷されている。
【0110】
第三の表示部材は、第一の表示部材と同じく、青色インキをK回重ね刷りし、黒色インキをP回重ね刷りする。本実施例においてK=4、P=3である。
【0111】
図5(c)は刷数分割表側透過パターンを印刷した第二印刷基材である第二パターン部材を説明する平面説明図である。
【0112】
第二パターン部材402は、実施例2で説明したものと同一であり、同一の製造方法で製造される。
【0113】
次に、第四印刷基材214に刷数分割逆転裏側透過パターン302を印刷する。図5(d)は刷数分割逆転裏側透過パターンを印刷した第四印刷基材である第四パターン部材を説明する平面説明図である。
【0114】
刷数分割正転裏側透過パターン302は、実施例1で説明したものと同一である。すなわち、第二青色色分刷版と第二黒色色分刷版を用いてインキ画像が形成される。ここで、青色インキはM=K−Lで示されるM回重ね刷りする。今、K=4、L=2であるからM=2となる。
【0115】
黒色インキはR=P−Qで示されるR回重ね刷りする。今、P=3、Q=1であるからR=2となる。
【0116】
電子写真印刷機10を動作させ、中間転写体12に、2刷り分の青色インキ画像と2刷り分の黒色インキ画像を蓄積する。その後、中間転写体12から第四印刷基材214に転写して印刷する。
【0117】
以上により、第四パターン部材404が作成される。
【0118】
刷数分割表側透過パターンと刷数分割逆転裏側透過パターンは、多重刷り回数が少ないために、残留溶剤の量が少なくなり揮発に必要な加熱がなされることで、ピンホール数が少なくなり、また、ピンホールの径が小さくなる。
【0119】
第二パターン部材402と第四パターン部材404を適宜切断し、両者を、見当を合せて重ね合わせ貼り合せる。または、両者を、見当を合わせて重ね合わせ貼り合せた後切断してもよい。このとき、インキ面どうし、または、印刷基材面どうしを対面させる。インキ面どうしを対面させた場合には、印刷基材面が表面と裏面になるので、印刷面は擦り傷など不測の外力から保護される。こうして、第三の表示部材を得る。
【0120】
第三の表示部材において、境界線前領域は、第二パターン部材と第四パターン部材では、同一境界線を挟んで長手方向の両側に分離して出現する。このため、ピンホールの出現量が減少する効果も併せ持っている。
【実施例4】
【0121】
第四の表示部材(1枚両面印刷・色毎分割・逆転パターン)
第四の表示部材は青色インキをK回重ね刷りし、黒色インキをP回重ね刷りする。本実施例においてK=4、P=3である。
【0122】
図6(a)は色分割表側透過パターンと色分割逆転裏側透過パターンを印刷した第五印刷基材を説明する断面説明図である。
【0123】
まず、第五印刷基材215の一方面である表面22に表側透過パターンである色分割表側透過パターン311を印刷する。色分割表側透過パターン311a、311bは第一青色色分刷版を用いた青色インキによる印刷である。色分割表側透過パターン311a、311bは方形枠形状中にL字状に青色インキを置き、L字状の周りを空白部とした構成である。
【0124】
色分割表側透過パターン311a、311b印刷時の青色インキ重ね刷り回数はK回(すなわち4回)である。なお、色分割表側透過パターン印刷時の黒色インキ重ね刷り回数はゼロ回である。
【0125】
電子写真印刷機10を動作させ、感光体11に第一青色色分刷版を用いて青色インキを付着して青色インキ画像を形成し、当該インキ画像を中間転写体12に転写する。この過程を4回繰り返して中間転写体12に4回重ね刷り分の青色インキを蓄積する。
【0126】
図6(b)は表側に色分割表側透過パターンを印刷した第五印刷基材215を説明する平面説明図である。
次に帯状の第五印刷基材215をその長手方向の先端方向(矢印25)から後端方向(矢印26)に送り込んで、中間転写体12に蓄積したインキを第五印刷基材の表面に転写することにより、色分割表側透過パターン311a、311bを印刷する。
【0127】
色分割表側透過パターン311aが先に印刷され、色分割表側透過パターン311bが続いて印刷される。
【0128】
色分割表側透過パターン311a、311bは単一色インキの重ね刷りであり、ピンホールは出現しない。
【0129】
色分割表側透過パターンを印刷した第五印刷基材は巻き取りロール15に巻き取られる。
【0130】
続いて、第二黒色色分刷版を作成する。第二黒色色分刷版は第一黒色色分刷版の左右を逆転した刷版であり、実施例1において説明したものと同一である。
【0131】
色分割表側透過パターンを印刷した第五印刷基材の裏面23に、裏側透過パターンである色分割逆転裏側透過パターン312を印刷する。色分割逆転裏側透過パターン312a、312bは第二黒色色分刷版を用いた黒色インキによる印刷である。
【0132】
色分割逆転裏側透過パターン312a、312b印刷時の黒色インキ重ね刷り回数はP回(すなわり3回)である。なお、色分割逆転裏側透過パターン印刷時の青色インキ重ね刷り回数はゼロ回である。
【0133】
電子写真印刷機10を動作させ、感光体11に第二黒色色分刷版を用いて黒色インキを付着して黒色インキ画像を形成し、当該インキ画像を中間転写体12に転写する。この過程を3回繰り返して中間転写体12に3回重ね刷り分の黒色インキを蓄積する。
【0134】
色分割表側透過パターン印刷済の第五印刷基材のロールを巻き出しロール14にセットし、中間転写体12と圧胴13の間に送り込む。図6(c)は裏側に色分割逆転裏側透過パターンを説明する平面説明図である。第五印刷基材215は後端方向(矢印26)を先頭にして先端方向(矢印25)を後ろにして送り込まれる。色分割逆転裏側透過パターンは色分割表側透過パターンと見当を合せて印刷される。
【0135】
色分割逆転裏側透過パターン312bが先に印刷され、次に色分割逆転裏側透過パターン312aが印刷される。
【0136】
色分割逆転裏側透過パターン312a、312bは単一色インキの重ね刷りであり、ピンホールは出現しない。
【0137】
図6(a)は色分割表側透過パターンと色分割逆転裏側透過パターンを印刷した第五印刷基材を説明する断面説明図であり、図6(b)にA−Bで示した断面を図示している。色分割表側透過パターン311aと色分割逆転裏側透過パターン312bが見当を合せて形成され、色分割表側透過パターン311bと色分割逆転裏側透過パターン312aが見当を合せて形成されている。
【0138】
印刷済の第五印刷基材を適宜切断して、第4の表示部材とする。
【0139】
以上説明した第四の表示部材(1枚両面印刷・色毎分割・逆転パターン)は、第四‐二の表示部材(1枚両面印刷・色毎分割・正転パターン)とする変形実施をすることができる。
【0140】
第四‐二の表示部材の製造を説明する。なお、第四の表示部材の製造とほぼ同様であるから、相違点のみを説明する。残余の点は第4の表示部材の製造と同一である。
【0141】
まず、第五‐二印刷基材の表面に表側透過パターンである色分割表側透過パターンを印刷する。当該印刷は第一青色色分刷版を用いて、ロール状の第五‐二印刷基材をその長手方向の先端部分から後端方向に送り込んで印刷する。
【0142】
次に、巻き取りロールに巻き取られた第五‐二印刷基材を巻き戻すことのより、先端方向が表皮側に位置するロールとする。
【0143】
続いて、第五‐二印刷基材の裏面に裏側透過パターンである色分割裏側透過パターンを印刷する。当該印刷は第一黒色色分刷版を用いて、第五‐二印刷基材をその長手方向の先端方向から後端方向に送り込んで印刷する。
【0144】
このようにして、印刷済みの第五‐二印刷基材を得て、これを適宜切断して、第四‐二の表示部材とする。
【実施例5】
【0145】
第五の表示部材(2枚片面印刷・色毎分割・正転パターン)
実施例5にかかる第五の表示部材は、印刷基材を2枚使用する点、裏側透過パターンが左右逆転しない点などが特徴であり、残余の点は第四の表示部材と同一である。ここでは、第四の表示部材との相違点を中心に第五の表示部材とその製造方法を説明する。
【0146】
第五の表示部材は、第六パターン部材406と第七パターン部材407を重ね合わせたものである。図7(a)は第六パターン部材406の断面説明図である。第六パターン部材406は帯状の第六印刷基材216の一方表面に色分割表側透過パターン311が複数印刷されている。図7(b)は第七パターン部材407の断面説明図であり、帯状の第七印刷基材217の一方表面に色分割正転裏側透過パターン313が複数印刷されている。
【0147】
第五の表示部材は、第一の表示部材と同じく、青色インキをK回重ね刷りし、黒色インキをP回重ね刷りする。本実施例においてK=4、P=3である。
【0148】
図7(c)は色分割表側透過パターンを印刷した第六印刷基材を説明する平面説明図である。
【0149】
第六印刷基材216の一方表面に表側透過パターンである色分割表側透過パターン311を印刷する。第六印刷基材216は長手方向の先端方向(矢印25)から後端方向(矢印26)に、中間転写体12と圧胴13の間に位置付けられ印刷される。
【0150】
色分割表側透過パターン311は実施例4と同じである。すなわち、第一青色色分刷版を用いた青色インキによる印刷である。
【0151】
電子写真印刷機10を動作させ、感光体11に第一青色色分刷版を用いて青色インキを付着して青色インキ画像を形成し、当該インキ画像を中間転写体12に転写する。この過程を4回繰り返して中間転写体12に4回重ね刷り分の青色インキを蓄積する。
【0152】
次に帯状の第六印刷基材216をその長手方向の先端方向(矢印25)から後端方向(矢印26)に送り込んで、中間転写体12に蓄積したインキを第六印刷基材の表面に転写することにより、色分割表側透過パターン311a、311bを印刷する。
【0153】
図7(c)は一方表面に色分割表側透過パターンを印刷した第六印刷基材216を説明する平面説明図である。色分割表側透過パターン311aが先に印刷され、色分割表側透過パターン311bが続いて印刷される。以上により、第六パターン部材406が作成される。
【0154】
色分割表側透過パターン311a、311bは単一色インキの重ね刷りであり、ピンホールは出現しない。
【0155】
続いて、第七印刷基材217に色分割正転裏側透過パターン313を印刷して第7パターン部材を作成する。色分割正転裏側透過パターン313は、第一黒色色分刷版を用いて黒インキで印刷する。色分割正転裏側透過パターンの黒色重ね刷り回数は3回である。
【0156】
電子写真印刷機10を動作させ、感光体11に第一黒色色分刷版を用いて黒色インキを付着して黒色インキ画像を形成し、当該インキ画像を中間転写体12に転写する。この過程を3回繰り返して中間転写体12に3回重ね刷り分の黒色インキを蓄積する。
【0157】
第七印刷基材217を中間転写体12と圧胴13の間に送り込み、中間転写体12に蓄積された黒色インキを第七印刷基材に転写する。
【0158】
図7(d)は色分割正転裏側透過パターンが印刷された第七パターン部材を説明する平面説明図である。色分割正転裏側透過パターン313aが先に印刷され、次に色分割正転裏側透過パターン313bが印刷される。
【0159】
色分割正転裏側透過パターン313a、313bは単一色インキの重ね刷りであり、ピンホールは出現しない。
【0160】
第六パターン部材406と第七パターン部材407を適宜切断し、両者を、見当を合せて重ね合わせ貼り合わせる。または、両者を、見当を合わせて重ね合わせ貼り合わせた後切断してもよい。このとき、片方のインキ面と他方の印刷基材面を対面させる。こうして、第五の表示部材を得る。
【実施例6】
【0161】
第六の表示部材(2枚片面印刷・色毎分割・逆転パターン)
実施例6にかかる第六の表示部材は、裏側透過パターンが左右逆転している点などが特徴であり、残余の点は第五の表示部材と同一である。ここでは、第五の表示部材との相違点を中心に第六の表示部材とその製造方法を説明する。
【0162】
第六の表示部材は、第六パターン部材406と第八パターン部材408を重ね合わせたものである。図8(a)は第六パターン部材406の断面説明図である。第六パターン部材406は帯状の第六印刷基材216の一方表面に色分割表側透過パターン311が複数印刷されている。図8(b)は第八パターン部材408の断面説明図であり、帯状の第八印刷基材218の一方表面に色分割逆転裏側透過パターン313が複数印刷されている。
【0163】
第六の表示部材は、第四の表示部材と同じく、青色インキをK回重ね刷りし、黒色インキをP回重ね刷りする。本実施例においてK=4、P=3である。
【0164】
第六パターン部材406は、実施例5で説明したものと同一である。
【0165】
図8(c)は一方表面に色分割表側透過パターンを印刷した第六印刷基材216を説明する平面説明図である。色分割表側透過パターン311aが先に印刷され、色分割表側透過パターン311bが続いて印刷される。
【0166】
次に、第八印刷基材218に色分割逆転裏側透過パターン312を印刷する。色分割逆転裏側透過パターン312は、実施例4で説明したものと同一である。すなわち、第二黒色色分刷版を用いて黒色インキによりインキ画像が形成される。黒色インキはP回(すなわち3回)重ね刷りする。
【0167】
電子写真印刷機10を動作させ、中間転写体12に、3刷り分の黒色インキ画像を蓄積する。その後、中間転写体12から第八印刷基材218に転写して印刷する。
【0168】
以上により、第8パターン部材408が作成される。
【0169】
図8(d)は色分割逆転裏側透過パターンが印刷された第八パターン部材を説明する平面説明図である。色分割逆転裏側透過パターン312aが先に印刷され、次に色分割逆転裏側透過パターン312bが印刷される。
【0170】
色分割逆転裏側透過パターン312a、312bは単一色インキの重ね刷りであり、ピンホールは出現しない。
【0171】
第六パターン部材406と第八パターン部材408を適宜切断し、両者を、見当を合せて重ね合わせ貼り合わせる。または、両者を、見当を合わせて重ね合わせ貼り合わせた後切断してもよい。このとき、インキ面どうし、または印刷基材面どうしを対面させる。こうして、第六の表示部材を得る。
【実施例7】
【0172】
(発光表示パネル)
続いて、表示部材を用いる発光表示パネルを説明する。図1は発光表示パネルを示した断面説明図である。
【0173】
発光表示パネル70は表示部材71と光照射部材72からなる。矢印74は観察面側を示し、矢印75は背面側を示している。光照射部材72の中に光源73が配置されている。
【0174】
光源73を点灯すれば、光が表示部材72に達する。表示部材の中で、青色インキが印刷されたL字部分は青色の光のみを透過する。このため、観察者は青色L字形状を視認することになる。
【0175】
一方、光源73が消灯すれば、表示部材71を透過する光がなくなり、観察者は表示部材の表面になにも視認しない。
【0176】
以上説明した表示部材の製造方法と発光表示パネルはその技術的範囲内で種々に変更して実施することができる。
【0177】
例えば、表示部材は、2色のインキ印刷物のみならず、3色以上のインキ印刷物であってもよい。また、例えば、光照射部材は2以上の色の光を発するものであってもよい。
【符号の説明】
【0178】
10 電子写真印刷機
11 感光体
12 中間転写体
25 先端方向
26 後端方向
33 青色インキ
34 黒色インキ
70 発光表示パネル
71 表示部材
72 光照射部材
90 従来の透過パターン
91 印刷方向
97 ピンホール頻発領域
211 第一印刷基材
212 第二印刷基材
213 第三印刷基材
214 第四印刷基材
215 第五印刷基材
216 第六印刷基材
217 第七印刷基材
218 第八印刷基材
301 刷数分割表側透過パターン
302 刷数分割逆転裏側透過パターン
303 刷数分割正転裏側透過パターン
311 色分割表側透過パターン
312 色分割逆転裏側透過パターン
313 色分割正転裏側透過パターン
402 第二パターン部材
403 第三パターン部材
404 第四パターン部材
406 第六パターン部材
407 第七パターン部材
408 第八パターン部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定色光を透過する透過パターンを有する表示部材に背面側から光を照射して観察面側に透過パターンを表示する発光表示パネルに使用する表示部材を製造する方法であって、
感光体にインキを付着し、インキ画像を感光体から中間転写体に転写し印刷基材にこれを転写する電子写真印刷機を使用し、
帯状の印刷基材に、
A色色分刷版とA色インキを用いてK回重ね刷りをして、B色色分刷版とB色インキを用いてP回重ね刷りをして透過パターンを印刷により作成したものであって、
透過パターンの左右方向は帯状の印刷基材における長手方法と平行である透過パターンを作成する表示部材の製造方法において、
第一印刷基材に表側透過パターンと裏側透過パターンを印刷した、以下の工程からなる第一の表示部材の製造方法。
(ただし、Kは2以上の正の整数であり、Pは2以上の正の整数である)
ア 第一A色色分刷版を用いて感光体にA色インキを付着してA色インキ画像を形成し前記A色インキ画像を中間転写体に転写する過程をL回行い、前記中間転写体にL回の前記A色インキ画像を蓄積する工程(ただし、L=floor(K/2)であり、floor(x)は床関数を表している)
イ 第一B色色分刷版を用いて前記感光体にB色インキを付着してB色インキ画像を形成し前記B色インキ画像を前記中間転写体に転写する過程をQ回行い、前記中間転写体にQ回の前記B色インキ画像を蓄積する工程(ただし、Q=floor(P/2)であり、floor(x)は床関数を表している)
ウ 前記アの工程で蓄積された前記A色インキ画像と、前記イの工程で蓄積された前記B色インキ画像を、帯状の第一印刷基材をその長手方向の先端方向から後端方向へ搬送しつつ、前記中間転写体から第一印刷基材の表面に転写することにより表側透過パターンを印刷する工程
エ 第一A色色分刷版と左右を逆転した第二A色色分刷版を作成し、第一B色色分刷版と左右を逆転した第二B色色分刷版を作成する工程
オ 第二A色色分刷版を用いて感光体にA色インキを付着してA色インキ画像を形成し前記A色インキ画像を中間転写体に転写する過程をM回行い、前記中間転写体にM回の前記A色インキ画像を蓄積する工程(ただし、M=K−Lである)
カ 第二B色色分刷版を用いて前記感光体にB色インキを付着してB色インキ画像を形成し前記B色インキ画像を前記中間転写体に転写する過程をR回行い、前記中間転写体にR回の前記B色インキ画像を蓄積する工程(R=P−Qである)
キ 前記オの工程で蓄積された前記A色インキ画像と前記カの工程で蓄積された前記B色インキ画像を、表側透過パターンが形成された帯状の第一印刷基材をその長手方向の後端方向から先端方向へ搬送しつつ、前記表側透過パターンと見当を合せて、前記中間転写体から第一印刷基材の裏面に転写することにより裏側透過パターンを印刷し、第一の表示部材を得る工程。
【請求項2】
特定色光を透過する透過パターンを有する表示部材に背面側から光を照射して観察面側に透過パターンを表示する発光表示パネルに使用する表示部材を製造する方法であって、
感光体にインキを付着し、インキ画像を感光体から中間転写体に転写し印刷基材にこれを転写する電子写真印刷機を使用し、
帯状の印刷基材に、
A色色分刷版とA色インキを用いてK回重ね刷りをして、B色色分刷版とB色インキを用いてP回重ね刷りをして透過パターンを印刷により作成したものであって、
透過パターンの左右方向は帯状の印刷基材における長手方法と平行である透過パターンを作成する表示部材の製造方法において、
第二印刷基材に表側透過パターンを印刷して第二パターン部材を製造し、第三印刷基材に裏側透過パターンを印刷して第三パターン部材を製造し、第二パターン部材と第三パターン部材を重ねて第二の表示部材を得る、以下の工程からなる第二の表示部材の製造方法。
(ただし、Kは2以上の正の整数であり、Pは2以上の正の整数である)
ク 第一A色色分刷版を用いて感光体にA色インキを付着してA色インキ画像を形成し前記A色インキ画像を中間転写体に転写する過程をL回行い、前記中間転写体にL回の前記A色インキ画像を蓄積する工程(ただし、L=floor(K/2)であり、floor(x)は床関数を表している)
ケ 第一B色色分刷版を用いて前記感光体にB色インキを付着してB色インキ画像を形成し前記B色インキ画像を前記中間転写体に転写する過程をQ回行い、前記中間転写体にQ回の前記B色インキ画像を蓄積する工程(ただし、Q=floor(P/2)であり、floor(x)は床関数を表している)
コ 前記クの工程で蓄積された前記A色インキ画像と、前記ケの工程で蓄積された前記B色インキ画像を、帯状の第二印刷基材をその長手方向の先端方向から後端方向へ搬送しつつ、前記中間転写体から第二印刷基材の表面に転写することにより表側透過パターンを印刷して、第二パターン部材を得る工程
サ 第一A色色分刷版を用いて感光体にA色インキを付着してA色インキ画像を形成し前記A色インキ画像を中間転写体に転写する過程をM回行い、前記中間転写体にM回の前記A色インキ画像を蓄積する工程(ただし、M=K−Lである)
シ 第一B色色分刷版を用いて前記感光体にB色インキを付着してB色インキ画像を形成し前記B色インキ画像を前記中間転写体に転写する過程をR回行い、前記中間転写体にR回の前記B色インキ画像を蓄積する工程(R=P−Qである)
ス 前記サの工程で蓄積された前記A色インキ画像と前記シの工程で蓄積された前記B色インキ画像を、第三印刷基材をその長手方向の先端方向から後端方向へ搬送しつつ、前記中間転写体から第三印刷基材の表面に転写することにより裏側透過パターンを印刷して、第三パターン部材を得る工程
セ 第二パターン部材と第三パターン部材を、見当を合せて重ね貼り合わせて第二の表示部材を得る工程。
【請求項3】
特定色光を透過する透過パターンを有する表示部材に背面側から光を照射して観察面側に透過パターンを表示する発光表示パネルに使用する表示部材を製造する方法であって、
感光体にインキを付着し、インキ画像を感光体から中間転写体に転写し印刷基材にこれを転写する電子写真印刷機を使用し、
帯状の印刷基材に、
A色色分刷版とA色インキを用いてK回重ね刷りをして、B色色分刷版とB色インキを用いてP回重ね刷りをして透過パターンを印刷により作成したものであって、
透過パターンの左右方向は帯状の印刷基材における長手方法と平行である透過パターンを作成する表示部材の製造方法において、
第二印刷基材に表側透過パターンを印刷して第二パターン部材を製造し、第四印刷基材に裏側透過パターンを印刷して第四パターン部材を製造し、第二パターン部材と第四パターン部材を重ねて第三の表示部材を得る、以下の工程からなる第三の表示部材の製造方法。
(ただし、Kは2以上の正の整数であり、Pは2以上の正の整数である)
ク 第一A色色分刷版を用いて感光体にA色インキを付着してA色インキ画像を形成し前記A色インキ画像を中間転写体に転写する過程をL回行い、前記中間転写体にL回の前記A色インキ画像を蓄積する工程(ただし、L=floor(K/2)であり、floor(x)は床関数を表している)
ケ 第一B色色分刷版を用いて前記感光体にB色インキを付着してB色インキ画像を形成し前記B色インキ画像を前記中間転写体に転写する過程をQ回行い、前記中間転写体にQ回の前記B色インキ画像を蓄積する工程(ただし、Q=floor(P/2)であり、floor(x)は床関数を表している)
コ 前記クの工程で蓄積された前記A色インキ画像と、前記ケの工程で蓄積された前記B色インキ画像を、帯状の第二印刷基材をその長手方向の先端方向から後端方向へ搬送しつつ、前記中間転写体から第二印刷基材の表面に転写することにより表側透過パターンを印刷して、第二パターン部材を得る工程
コ−1 第一A色色分刷版と左右を逆転した第二A色色分刷版を作成し、第一B色色分刷版と左右を逆転した第二B色色分刷版を作成する工程
サ−1 第二A色色分刷版を用いて感光体にA色インキを付着してA色インキ画像を形成し前記A色インキ画像を中間転写体に転写する過程をM回行い、前記中間転写体にM回の前記A色インキ画像を蓄積する工程(ただし、M=K−Lである)
シ−1 第二B色色分刷版を用いて前記感光体にB色インキを付着してB色インキ画像を形成し前記B色インキ画像を前記中間転写体に転写する過程をR回行い、前記中間転写体にR回の前記B色インキ画像を蓄積する工程(R=P−Qである)
ス−1 前記サ−1の工程で蓄積された前記A色インキ画像と前記シ−1の工程で蓄積された前記B色インキ画像を、第四印刷基材をその長手方向の先端方向から後端方向へ搬送しつつ、前記中間転写体から第四印刷基材の表面に転写することにより裏側透過パターンを印刷して、第四パターン部材を得る工程
セ−1 第二パターン部材と第四パターン部材を、見当を合せて重ね貼り合わせて第三の表示部材を得る工程。
【請求項4】
特定色光を透過する透過パターンを有する表示部材に背面側から光を照射して観察面側に透過パターンを表示する発光表示パネルに使用する表示部材を製造する方法であって、
感光体にインキを付着し、インキ画像を感光体から中間転写体に転写し印刷基材にこれを転写する電子写真印刷機を使用し、
帯状の印刷基材に、
A色色分刷版とA色インキを用いてK回重ね刷りをして、B色色分刷版とB色インキを用いてP回重ね刷りをして透過パターンを印刷により作成したものであって、
透過パターンの左右方向は帯状の印刷基材における長手方法と平行である透過パターンを作成する表示部材の製造方法において、
第五印刷基材に表側透過パターンと裏側透過パターンを印刷した、以下の工程からなる第四の表示部材の製造方法。
(ただし、Kは2以上の正の整数であり、Pは2以上の正の整数である)
ナ 第一A色色分刷版を用いて感光体にA色インキを付着してA色インキ画像を形成し前記A色インキ画像を中間転写体に転写する過程をK回行い、前記中間転写体にK回の前記A色インキ画像を蓄積する工程
ニ 前記ナの工程で蓄積された前記A色インキ画像を、帯状の第五印刷基材をその長手方向の先端方向から後端方向へ搬送しつつ、前記中間転写体から第一印刷基材の表面に転写することにより表側透過パターンを印刷する工程
ヌ B色色分刷版と左右を逆転した第二B色色分刷版を作成する工程
ネ 第二B色色分刷版を用いて前記感光体にB色インキを付着してB色インキ画像を形成し前記B色インキ画像を前記中間転写体に転写する過程をP回行い、前記中間転写体にP回の前記B色インキ画像を蓄積する工程
ノ 前記ネの工程で蓄積された前記B色インキ画像を、表側透過パターンが形成された帯状の第五印刷基材をその長手方向の後端方向から先端方向へ搬送しつつ、前記表側透過パターンと見当を合せて、前記中間転写体から第五印刷基材の裏面に転写することにより裏側透過パターンを印刷し、第四の表示部材を得る工程。
【請求項5】
特定色光を透過する透過パターンを有する表示部材に背面側から光を照射して観察面側に透過パターンを表示する発光表示パネルに使用する表示部材を製造する方法であって、
感光体にインキを付着し、インキ画像を感光体から中間転写体に転写し印刷基材にこれを転写する電子写真印刷機を使用し、
帯状の印刷基材に、
A色色分刷版とA色インキを用いてK回重ね刷りをして、B色色分刷版とB色インキを用いてP回重ね刷りをして透過パターンを印刷により作成したものであって、
透過パターンの左右方向は帯状の印刷基材における長手方法と平行である透過パターンを作成する表示部材の製造方法において、
第六印刷基材に表側透過パターンを印刷して第六パターン部材を製造し、第七印刷基材に裏側透過パターンを印刷して第七パターン部材を製造し、第六パターン部材と第七パターン部材を重ねて第五の表示部材を得る、以下の工程からなる第五の表示部材の製造方法。
(ただし、Kは2以上の正の整数であり、Pは2以上の正の整数である)
ハ 第一A色色分刷版を用いて感光体にA色インキを付着してA色インキ画像を形成し前記A色インキ画像を中間転写体に転写する過程をK回行い、前記中間転写体にK回の前記A色インキ画像を蓄積する工程
ヒ 前記ハの工程で蓄積された前記A色インキ画像を、帯状の第六印刷基材をその長手方向の先端方向から後端方向へ搬送しつつ、前記中間転写体から第六印刷基材の表面に転写することにより表側透過パターンを印刷して第六パターン部材を製造する工程
フ 第一B色色分刷版を用いて感光体にB色インキを付着してB色インキ画像を形成し前記B色インキ画像を中間転写体に転写する過程をP回行い、前記中間転写体にP回の前記B色インキ画像を蓄積する工程
ヘ 前記フの工程で蓄積された前記B色インキ画像を、第七印刷基材をその長手方向の先端方向から後端方向へ搬送しつつ、前記中間転写体から第七印刷基材の表面に転写することにより裏側透過パターンを印刷して第七パターン部材を製造する工程。
ホ 第六パターン部材と第七パターン部材を、見当を合せて重ね貼り合わせて第五の表示部材を得る工程。
【請求項6】
特定色光を透過する透過パターンを有する表示部材に背面側から光を照射して観察面側に透過パターンを表示する発光表示パネルに使用する表示部材を製造する方法であって、
感光体にインキを付着し、インキ画像を感光体から中間転写体に転写し印刷基材にこれを転写する電子写真印刷機を使用し、
帯状の印刷基材に、
A色色分刷版とA色インキを用いてK回重ね刷りをして、B色色分刷版とB色インキを用いてP回重ね刷りをして透過パターンを印刷により作成したものであって、
透過パターンの左右方向は帯状の印刷基材における長手方法と平行である透過パターンを作成する表示部材の製造方法において、
第六印刷基材に表側透過パターンを印刷して第六パターン部材を製造し、第八印刷基材に裏側透過パターンを印刷して第八パターン部材を製造し、第六パターン部材と第八パターン部材を重ねて第六の表示部材を得る、以下の工程からなる第六の表示部材の製造方法。
(ただし、Kは2以上の正の整数であり、Pは2以上の正の整数である)
ハ 第一A色色分刷版を用いて感光体にA色インキを付着してA色インキ画像を形成し前記A色インキ画像を中間転写体に転写する過程をK回行い、前記中間転写体にK回の前記A色インキ画像を蓄積する工程
ヒ 前記ハの工程で蓄積された前記A色インキ画像を、帯状の第六印刷基材をその長手方向の先端方向から後端方向へ搬送しつつ、前記中間転写体から第六印刷基材の表面に転写することにより表側透過パターンを印刷して第六パターン部材を製造する工程
ヒ−1 B色色分刷版と左右を逆転した第二B色色分刷版を作成する工程
フ−1 第ニB色色分刷版を用いて感光体にB色インキを付着してB色インキ画像を形成し前記B色インキ画像を中間転写体に転写する過程をP回行い、前記中間転写体にP回の前記B色インキ画像を蓄積する工程
ヘ 前記フ−1の工程で蓄積された前記B色インキ画像を、第八印刷基材をその長手方向の先端方向から後端方向へ搬送しつつ、前記中間転写体から第八印刷基材の表面に転写することにより裏側透過パターンを印刷して第八パターン部材を製造する工程。
ホ 第六パターン部材と第八パターン部材を、見当を合せて重ね貼り合わせて第六の表示部材を得る工程。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれかに記載した表示部材の製造方法により製造した表示部材と、前記表示部材の裏面側に配置した光源からなる光透過パターンを表示する発光表示パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−215367(P2011−215367A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83300(P2010−83300)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】