説明

発光装置及びこれを備えた撮像装置、並びに調光方法

【課題】選択された撮影テーマに応じて、撮影画像に演出効果を付与することができる発光装置及び撮像装置、並びに調光方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る発光装置(20)は、被写体に対して光を照射するとともに、色温度を変化させることが可能な発光部(23)と、撮影画像に演出効果を付与するために選択された撮影テーマに応じて、発光部(23)の色温度を変化させるように制御する発光制御部(21)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発光装置及びこれを備えた撮像装置、並びに調光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDを用いた発光部を有する小型かつ省電力な発光装置が知られている。このような発光装置において、撮影シーン(例えば、夕焼けなど)の環境照明に合わせて、発光部の色温度を変化させた補助光を被写体に照射する発光装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−170875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、撮影テーマを選択して、その選択された撮影テーマに応じて、撮影画像に演出効果を付与したい場合がある。
しかしながら、特許文献1に記載の発光装置においては、撮影シーンの環境照明に応じた補助光を被写体に対して照明するに過ぎず、撮影画像に演出効果を付与することができない。
【0005】
本発明は、選択された撮影テーマに応じて、撮影画像に演出効果を付与することができる発光装置及び撮像装置、並びに調光方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
請求項1に記載の発明は、被写体に対して光を照射するとともに、色温度を変化させることが可能な発光部(23)と、撮影画像に演出効果を付与するために選択された撮影テーマに応じて、前記発光部(23)の色温度を変化させるように制御する発光制御部(21)と、を備えること、を特徴とする発光装置(20)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発光装置(20)であって、複数の撮影テーマから少なくとも1つの撮影テーマを選択可能な操作部(24)と、前記複数の撮影テーマそれぞれに対応する前記発光部(23)の色温度に関する情報を記憶する記憶部(25)と、を備え、前記発光制御部(21)は、前記操作部(24)により選択された撮影テーマに応じて、前記記憶部(25)に記憶された前記発光部(23)の色温度に関する情報に基づいて、前記発光部(23)の色温度を変化させるように制御すること、を特徴とする発光装置(20)である。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発光装置(20)であって、解析された前記被写体の画像データによって、複数の撮影テーマから少なくとも1つの撮影テーマが自動的に選択される解析選択部と、前記複数の撮影テーマそれぞれに対応する前記発光部(23)の色温度に関する情報を記憶する記憶部(25)と、を備え、前記発光制御部(21)は、前記解析選択部により選択された撮影テーマに応じて、前記記憶部(25)に記憶された前記発光部(23)の色温度に関する情報に基づいて、前記発光部(23)の色温度を変化させるように制御すること、を特徴とする発光装置(20)である。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発光装置(20)であって、前記記憶部(25)に記憶される前記発光部(23)の色温度に関する情報を変更可能な変更部(211)を備えること、を特徴とする発光装置(20)である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発光装置(20)であって、前記撮影画像は、動画画像であること、を特徴とする発光装置(20)である。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発光装置(20)であって、前記発光制御部(21)は、前記発光部(23)の色温度を時間経過とともに変化させるように制御すること、を特徴とする発光装置(20)である。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発光装置(20)を備える撮像装置(1)である。
請求項8に記載の発明は、被写体に対して光を照射するとともに、撮影画像に演出効果を付与するために選択された撮影テーマに応じて、発光部(23)の色温度を変化させること、を特徴とする調光方法である。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の調光方法であって、複数の撮影テーマから少なくとも1つの撮影テーマを選択可能な操作部(24)と、前記複数の撮影テーマそれぞれに対応する前記発光部(23)の色温度に関する情報を記憶する記憶部(25)と、を備え、前記操作部(24)により選択された撮影テーマに応じて、前記記憶部(25)に記憶された前記発光部(23)の色温度に関する情報に基づいて、前記発光部(23)の色温度を変化させること、を特徴とする調光方法である。
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の調光方法であって、解析された前記被写体の画像データによって、複数の撮影テーマから少なくとも1つの撮影テーマが自動的に選択される解析選択部と、前記複数の撮影テーマそれぞれに対応する前記発光部(23)の色温度に関する情報を記憶する記憶部(25)と、を備え、前記解析選択部により選択された撮影テーマに応じて、前記記憶部(25)に記憶された前記発光部(23)の色温度に関する情報に基づいて、前記発光部(23)の色温度を変化させること、を特徴とする調光方法である。
請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の調光方法であって、前記記憶部(25)に記憶される前記発光部(23)の色温度に関する情報を変更可能な変更部(211)を備えること、を特徴とする調光方法である。
請求項12に記載の発明は、請求項8〜11のいずれか一項に記載の調光方法であって、前記撮影画像は、動画画像であること、を特徴とする調光方法である。
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の調光方法であって、前記発光部(23)の色温度を時間経過とともに変化させること、を特徴とする調光方法である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、選択された撮影テーマに応じて、撮影画像に演出効果を付与することができる発光装置及び撮像装置、並びに調光方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るカメラのブロック構成図である。
【図2】発光装置側メモリに記憶された第1記憶テーブルを示す図である。
【図3】発光装置側メモリに記録された第2記憶テーブルを示す図である。
【図4】選択された撮影テーマに応じて撮影を行なう場合におけるカメラの調光制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るカメラ1のブロック構成図である。図2は、発光装置側メモリ25に記憶された第1記憶テーブルを示す図である。図3は、発光装置側メモリ25に記録された第2記憶テーブルを示す図である。
【0011】
本実施形態におけるカメラ1は、撮影画像が静止画画像である場合及び撮影画像が動画画像である場合のいずれにも適用することができる。
本実施形態のカメラ1は、図1に示すように、装置本体10と、発光装置20と、を備える。装置本体10は、インターフェース部30を介して発光装置20に電気的に接続されている。
【0012】
装置本体10は、撮像光学系11と、撮像素子12と、本体側操作部13と、表示部14と、カメラ制御部15と、本体側メモリ16と、測光部17と、を有する。
撮像光学系11は、詳細は図示しないが、合焦レンズ群を含む複数のレンズ群を備えている。合焦レンズ群は、後述するカメラ制御部15によって光軸方向に移動駆動されて合焦作用を行う。
【0013】
撮像素子12は、たとえばCCDやCMOS等の光電変換素子であって、撮像光学系11によってその撮像面に結像された画像を電気信号に変換して出力する。
【0014】
本体側操作部13は、図示しないが、レリーズボタンや各種スイッチボタンを含み、使用者がそれらを操作することによって、レリーズ操作や後述する表示部14に表示された各種機能の選択や解除等を行うことができるようになっている。本体側操作部13により選択された撮影の設定やレリーズボタンなどの使用者からの入力情報は、後述するカメラ制御部15に出力される。
【0015】
表示部14は、LCD等によって構成されており、カメラ1のボディ背面に設けられている。そして、表示部14は、撮像素子12が撮影中のリアルタイムの画像(スルー画像)や、撮影済みの画像を表示する。また、表示部14は、再生条件、撮影条件、カメラの基本設定等の設定が可能なメニュー画面等を表示することができるようになっている。
【0016】
カメラ制御部15は、CPU等を有して構成されており、当該カメラ1を構成する各要素を統括的に制御する。すなわち、カメラ制御部15は、合焦(AF)制御、露出(AE)制御、撮像素子12からの画像情報の読み出し及び画像処理、画像情報の本体側メモリ16への保存、画像情報の記録メディア(図示せず)への保存、表示部14への撮影画像や各種設定条件の表示等を制御する。
【0017】
カメラ制御部15は、インターフェース部30を介して発光装置20の後述する発光制御部21と通信を行い、発光制御部21を制御する。発光制御部21については後述する。
【0018】
カメラ制御部15における合焦制御は、撮像素子12による撮影画像からデフォーカス量を算出し、デフォーカス量がゼロとなるように撮像光学系における合焦レンズを移動制御する。また、カメラ制御部15は、その合焦情報に基づいて、被写体までの距離情報を算出する。
カメラ制御部15における露出制御は、後述する測光部17から入力される測光情報と、使用者によって設定された露出モード、絞り値、シャッタ速度、ISO感度等とに基づいて露出値を決定する。
【0019】
測光部17は、撮像素子12による撮影画像から露光評価値を演算し、測光情報としてカメラ制御部15に出力する。
本体側メモリ16は、画像処理した一連の画像データを記録する。また、本体側メモリ16には、使用者が本体側操作部13を介して操作入力した設定情報などが記憶されるほか、カメラ1の動作や制御に必要なプログラム、このプログラムの実行に必要な設定値などが記憶される。
【0020】
次に、発光装置20について説明する。発光装置20は、図1に示すように、発光制御部21と、駆動回路22と、発光部23と、発光装置側操作部24と、発光装置側メモリ25と、を有する。
【0021】
発光装置側操作部24は、図示しないが、各種スイッチボタンを含み、使用者がそれらを操作することによって、表示部14に表示された撮影テーマの選択や解除、発光装置側メモリ25に記憶された発光部23の色温度に関する情報の変更等を行うことができるようになっている。撮影テーマの選択については、発光装置側操作部24は、使用者が複数の撮影テーマから少なくとも1つの撮影テーマを選択可能になっている。撮影テーマは、撮影画像に演出効果を付与するために選択される。発光装置側操作部24により選択された撮影テーマの設定などの使用者からの入力情報は、後述する発光制御部21に出力される。
【0022】
発光部23は、LED等の発光体を有して構成されている。具体的には、発光部23は、赤、青、緑の三種類のLEDが配列されることで構成されている。発光部23は、電源(図示せず)から駆動回路22を介して供給される電力により、被写体に対して光を照射することが可能となっている。また、発光部23は、駆動回路22を介して供給される電力に応じて色温度を変化させることが可能となっている。発光部23の色温度については後述する。
駆動回路22は、発光部23を駆動する回路である。
【0023】
発光制御部21は、発光部23の色温度を変化させるように、駆動回路22を制御する(調光する)。また、発光制御部21は、撮影画像に演出効果を付与するために発光装置側操作部24により選択された撮影テーマに応じて、駆動回路22を制御する。
具体的には、発光制御部21は、発光部23における三色のLEDの電流のデューティ比や電流値などを変化させるように駆動回路22を制御して、発光部23による照明光の色温度を変化させることが可能となっている。
【0024】
発光制御部21は、発光装置側操作部24により選択された撮影テーマに応じて、後述する発光装置側メモリ25に記憶された発光部23の色温度に関する情報に基づいて、発光部23の色温度を変化させるように制御する。
【0025】
また、発光制御部21は、変更部211を有している。変更部211は、発光装置側操作部24により入力された色温度の変更情報により、発光装置側メモリ25に記憶されている色温度に関する情報を変更可能である。具体的には、変更部211は、使用者が発光装置側操作部24により色温度の変更情報が入力されることにより、発光装置側メモリ25に記憶されている色温度に関する情報を変更する。
【0026】
発光装置側メモリ25は、複数の撮影テーマそれぞれに対応する発光部23の色温度に関する情報を記憶する。具体的には、発光装置側メモリ25は、図2及び図3に示すように、記憶テーブルを有している。発光装置側メモリ25の記憶テーブルは、例えば、図2に示す第1記憶テーブルと、図3に示す第2記憶テーブルとを含んでいる。
【0027】
第1記憶テーブルには、図2に示すように、発光装置側操作部24により選択された撮影テーマごとに、撮影テーマに応じて発光部23の色温度を時間経過とともに変化させるように、環境温度の色温度に対する発光部23の色温度の変化の値が設定値として記憶されている。
第2記憶テーブルには、図3に示すように、発光装置側操作部24により選択された撮影テーマごとに、撮影テーマに応じて発光部23の色温度が一定の色温度になるように、環境温度の色温度に対する発光部23の色温度の差の値が設定値として記憶されている。
【0028】
ここで、発光部23の色温度について説明する。
発光部23の色温度は、例えば、温度が低いほど赤みがかっており、温度が低い状態から高くなるにつれて黄色みを帯びた白になり、さらに温度が高くなると青みがかっている。つまり、色温度は、寒色系の色ほど色温度が高く、暖色系の色ほど色温度が低い。なお、一般的に、環境照明が蛍光灯の場合には、色温度は6500K程度であって、白色に近い昼光色である。
使用者は、このような発光部23の色温度の色味を考慮して、撮影テーマを選択することにより、撮影テーマに応じた色温度を設定することができる。
【0029】
また、色温度は、使用者にとっては、その色味の変化が知覚的に均等でないように感じられる。そのため、色温度を設定する際には、色温度(K)の逆数のスケールである「mired(10−6−1)」を用いる。例えば、環境照明が蛍光灯である場合には、色温度は、6500K程度、換算すると160mired程度である。なお、本実施形態においては、色温度(K)の逆数のスケールである「mired(10−6−1)」を用いる場合にも、単に色温度という。
【0030】
本実施形態においては、発光部23の色温度は、撮影テーマごとに、環境照明の色温度の値を基準としてオフセットを与えた値によりあらかじめ設定される。具体的には、本実施形態においては、撮影テーマに応じた色温度は、発光装置側メモリ25の第1記憶テーブル及び第2記憶テーブルに記憶されている。
【0031】
図2に示す第1記憶テーブルには、例えば、撮影シーンの環境照明が蛍光灯(6500K,160mired)である場合、選択された撮影テーマに応じて、蛍光灯の色温度から照明光の色温度を時間経過とともに変化させる設定値が記憶されている。
この第1記憶テーブルは、動画撮影時において、発光部23の色温度の値として主に用いられる。
【0032】
例えば、使用者は、動画撮影時において、撮影画像に対して、時間経過とともに青みがかっていくような「Cool」な色を付与したいと考えている。そのため、使用者は、第1記憶テーブルを用いて、発光装置側操作部24を操作することにより、撮影テーマとして、第1記憶テーブルの上段に示すような「Cool」を選択する。撮影テーマにおける「Cool」は、例えば、発光部23の色温度を、環境照明の色温度である160miredから1秒ごとに10miredずつ下げていく設定である。
【0033】
また、使用者は、動画撮影時において、撮影画像に対して、一定の時間間隔で色が点滅するような「Pop」な色を付与したいと考えている。そのため、使用者は、第1記憶テーブルを用いて、発光装置側操作部24を操作することにより、第1記憶テーブルの中段に示すような「Pop」を選択する。撮影テーマにおける「Pop」は、例えば、発光部23の色温度を、1秒ごとに、環境照明の160miredから180mired、180miredから160mired、・・・、というように繰り返し変化させる設定である。
【0034】
また、使用者は、動画撮影時において、撮影画像に対して、時間経過とともに赤みがかっていくような「Nostalgic」な色を付与したいと考えている。そのため、使用者は、第1記憶テーブルを用いて、発光装置側操作部24を操作することにより、第1記憶テーブルの下段に示すような「Nostalgic」を選択する。撮影テーマにおける「Nostalgic」は、例えば、発光部23の色温度を、環境照明の160miredから1秒ごとに50miredずつ上げていく設定である。
【0035】
また、図3に示す第2記憶テーブルには、例えば、環境照明が蛍光灯(6500K,160mired)である場合、撮影テーマに応じて、蛍光灯の色温度である160miredを基準としてオフセットを与えたものが設定値として記憶されている。
この第2記憶テーブルは、静止画撮影において、発光部23の色温度の値として主に用いられる。なお、第2記憶テーブルは、動画撮影における発光部23の色温度の値として用いられてもよい。
【0036】
例えば、使用者は、静止画撮影時において、撮影画像に対して、青みがかっている「Cool」な色を付与したいと考えている。そのため、使用者は、第2記憶テーブルを用いて、発光装置側操作部24を操作することにより、第2記憶テーブルの上段に示すような「Cool」を選択する。撮影テーマにおける「Cool」により設定される発光部23の色温度は、例えば、環境照明の色温度である160miredから30mired下げた130miredである。
【0037】
また、使用者は、静止画撮影時において、撮影画像に対して、「Pop」な色を付与したいと考えている。そのため、使用者は、第2記憶テーブルを用いて、発光装置側操作部24を操作することにより、第2記憶テーブルの中段に示すような「Pop」を選択する。撮影テーマにおける「Pop」により設定される発光部23の色温度は、例えば、環境照明の160miredと同じ値である。
【0038】
また、使用者は、静止画撮影時において、撮影画像に対して、赤みがかっている「Nostalgic」な色を付与したいと考えている。そのため、使用者は、第2記憶テーブルを用いて、発光装置側操作部24を操作することにより、第2記憶テーブルの下段に示すような「Nostalgic」を選択する。撮影テーマにおける「Nostalgic」により設定される発光部23の色温度は、例えば、環境照明の160miredから150mired上げた310miredである。
【0039】
上記構成のカメラ1は、本体側操作部13における図示しないレリーズボタンが押圧操作(レリーズ操作)されると、撮像素子12がその撮像面に結像された被写体像光を電気信号に変換して出力する。そして、カメラ制御部15は、その電気信号に基づいて画処理を行うことで画像データを生成し、画像データを図示しない記録メディアに記録(すなわち撮影)する。
【0040】
次に、前述したカメラ1の発光装置20の制御(発光制御)を、図4に示すフローチャートを参照して説明する。図4は、選択された撮影テーマに応じて撮影を行なう場合におけるカメラ1の調光制御のフローチャートである。
本実施形態では、カメラ1において動画撮影を行なう場合について説明する。
【0041】
まず、ステップS1において、使用者は、撮影テーマを発光装置側操作部24により選択する。
カメラ制御部15は、発光制御部21に入力された撮影テーマの情報により、撮影時における照明光の撮影テーマを選択させるためのメニュー画面(図示省略)を表示部14に表示する。照明光の撮影テーマとしては、例えば、第1記憶テーブルに記憶される時間とともに色温度を変化させるもの(図2参照)や、第2記憶テーブルに記憶される環境照明を基準として一定の色温度を設定するもの(図3参照)が用意されている。また、第1記憶テーブル(図2参照)における時間とともに色温度を変化させる撮影テーマとして、「Cool」、「Pop」、「Nostalgic」等が用意されている。
本実施形態においては、使用者は、発光装置側操作部24を操作することにより、撮影テーマとして、例えば、図2に示す第1記憶テーブルに記憶された撮影テーマから、動画撮影における「Cool」を選択する。
【0042】
ステップS2において、使用者がレリーズボタンを半押しすることで撮影が開始される。使用者によってレリーズボタンが半押し操作されると、本体側操作部13は、カメラ制御部15に検出信号を出力する。
【0043】
ステップS3において、測光部17により測光が行なわれる。具体的には、撮像素子12から出力されるRGBの輝度信号から被写体輝度を求める。
【0044】
ステップS4において、カメラ制御部15は、測光部17により測光された被写体輝度に基づいて、補助照明として発光部23を発光(フラッシュ)させるか否かを判別する。補助照明を発光させる場合には、処理は、ステップS5に進む。補助照明を発光させない場合には、ステップS12に進む。
【0045】
ステップS4において補助照明を発光させない場合(NO)には、ステップS12において、被写体輝度に基づいて適切な露出となるようにシャッタースピード及び絞り値を決定するとともに、RGBの輝度信号値などに基づいてホワイトバランスの調整値を決定して各信号のゲインを調節する。その後、ステップS13において、レリーズボタンの全押しによる撮影信号が入力されると、後述するステップS10において、撮影が行われる。
【0046】
一方、ステップS4において補助照明を発光させる場合(YES)には、ステップS5において、RGBの信号値から輝度情報を取り除いて、昼光、蛍光灯、曇りなどの想定される環境照明と比較することにより環境照明の色温度を検出する。
【0047】
その後、ステップS6において、レリーズボタンの全押しによる撮影信号が入力されると、カメラ制御部15は、この検出された環境照明の色温度でプリ発光をするように、発光制御部21に発光要求信号を送信する。
【0048】
ステップS7において、発光制御部21は、カメラ制御部15からの発光要求に応じて、駆動回路22を制御することにより、発光部23を環境照明の色温度でプリ発光させる。
【0049】
ステップS8において、カメラ制御部15は、プリ発光時に撮像素子12から得られた被写体輝度に基づいて、適切な露出となるように、シャッタースピード及び絞り値を決定する。そして、カメラ制御部15は、RGBの輝度信号値などに基づいて、ホワイトバランスの調整値を決定して、各信号のゲインを調節する。
【0050】
露出及びホワイトバランスの調整が終了すると、ステップS9において、カメラ制御部15は、選択された撮影テーマに応じた補助照明の色温度での本発光の要求を、発光制御部21に送信する。
【0051】
ステップS10において、動画撮影が実行される。撮影の実行中には、発光部23は、選択された撮影テーマに応じた色温度で本発光している状態にある。
本実施形態においては、撮影テーマは、時間経過とともに青みがかっていくような「Cool」が選択されている。そのため、動画撮影時において、発光部23の色温度は、時間経過とともに、青みがかっていくように変化する。レリーズボタンが押されている間、発光部23の色温度が時間経過とともに変化している状態で、動画撮影は、継続して実行される。
【0052】
ステップS11において、演出効果が付与された動画画像データは、本体側メモリ16に記録される。その際、本体側メモリ16には、画像データとともに、撮影テーマ情報が関連情報として付加されて記録される。
以上により、発光制御(調光方法)に係る一連の処理が終了する。
【0053】
このような発光(調光)制御を行うことにより、発光装置20は、撮影画像に演出効果を付与するために選択された撮影テーマに応じて、発光部23の色温度を変化させることができる。従って、撮影テーマを選択することで、撮影画像において使用者が表現したい意図に応じた演出効果を、撮影画像に付与することができる。
なお、本実施形態においては、使用者が撮影テーマとして動画撮影における「Cool」を選択した場合を例に説明したが、使用者が撮影テーマとして動画撮影における「Pop」や「Nostalgic」を選択した場合においても、選択された撮影テーマに応じた色温度で、撮影画像に演出効果を付与することができる。
【0054】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)発光部23の色温度を、選択された撮影テーマに応じて変化させることができる。これにより、撮影テーマを選択することで、撮影画像において使用者が表現したい意図に応じた演出効果を、撮影画像に付与することができる。従って、撮影画像の表現が豊かになり、映像の演出効果を高めることができる。
(2)また、撮影テーマを発光装置側操作部24により選択することができる。そのため、発光装置側操作部24により撮影テーマ選択するだけで、撮影画像において使用者が表現したい意図に応じた演出効果を、撮影画像に付与することができる。
(3)また、発光部23の色温度を時間経過とともに変化させることができる。これにより、動画撮影時の動画画像において、より効果的な演出効果を撮影画像に付与することができる。
(4)また、発光装置側メモリ25に記憶される発光部23の色温度に関する情報を変更可能な変更部211を備える。そのため、撮影テーマにおける色温度の設定を任意に変更することができる。これにより、より効果的な演出効果を撮影画像に付与することができる。
【0055】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)前記実施形態では、動画撮影時における動作について説明したが、これに制限されず、静止画撮影時においても同様に、発光部23の色温度を環境照明の色温度から変化させることができる。静止画撮影時においては、例えば、発光装置側メモリ25の第2記憶テーブル(図3参照)に記憶される発光部23の色温度設定値に基づいて、撮影テーマに応じて、発光部23の色温度を一定の色温度で発光させることができる。
(2)前記実施形態では、選択される撮影テーマは、発光装置側操作部24により選択可能な構成としたが、これに制限されず、自動的に選択されるように構成されていてもよい。この場合、発光装置20は、解析された被写体の画像データによって、複数の撮影テーマから少なくとも1つの撮影テーマが自動的に選択される解析選択部を備え、この解析選択部により選択された撮影テーマに応じて、発光部23の色温度を変化させることができる。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0056】
1:カメラ、10:装置本体、20:発光装置、21:発光制御部、23:発光部、24:発光装置側操作部、25:発光装置側メモリ、211:変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に対して光を照射するとともに、色温度を変化させることが可能な発光部と、
撮影画像に演出効果を付与するために選択された撮影テーマに応じて、前記発光部の色温度を変化させるように制御する発光制御部と、を備えること、
を特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置であって、
複数の撮影テーマから少なくとも1つの撮影テーマを選択可能な操作部と、
前記複数の撮影テーマそれぞれに対応する前記発光部の色温度に関する情報を記憶する記憶部と、を備え、
前記発光制御部は、前記操作部により選択された撮影テーマに応じて、前記記憶部に記憶された前記発光部の色温度に関する情報に基づいて、前記発光部の色温度を変化させるように制御すること、
を特徴とする発光装置。
【請求項3】
請求項1に記載の発光装置であって、
解析された前記被写体の画像データによって、複数の撮影テーマから少なくとも1つの撮影テーマが自動的に選択される解析選択部と、
前記複数の撮影テーマそれぞれに対応する前記発光部の色温度に関する情報を記憶する記憶部と、を備え、
前記発光制御部は、前記解析選択部により選択された撮影テーマに応じて、前記記憶部に記憶された前記発光部の色温度に関する情報に基づいて、前記発光部の色温度を変化させるように制御すること、
を特徴とする発光装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の発光装置であって、
前記記憶部に記憶される前記発光部の色温度に関する情報を変更可能な変更部を備えること、
を特徴とする発光装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の発光装置であって、
前記撮影画像は、動画画像であること、
を特徴とする発光装置。
【請求項6】
請求項5に記載の発光装置であって、
前記発光制御部は、前記発光部の色温度を時間経過とともに変化させるように制御すること、
を特徴とする発光装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の発光装置を備える撮像装置。
【請求項8】
被写体に対して光を照射するとともに、
撮影画像に演出効果を付与するために選択された撮影テーマに応じて、発光部の色温度を変化させること、
を特徴とする調光方法。
【請求項9】
請求項8に記載の調光方法であって、
複数の撮影テーマから少なくとも1つの撮影テーマを選択可能な操作部と、
前記複数の撮影テーマそれぞれに対応する前記発光部の色温度に関する情報を記憶する記憶部と、を備え、
前記操作部により選択された撮影テーマに応じて、前記記憶部に記憶された前記発光部の色温度に関する情報に基づいて、前記発光部の色温度を変化させること、
を特徴とする調光方法。
【請求項10】
請求項8に記載の調光方法であって、
解析された前記被写体の画像データによって、複数の撮影テーマから少なくとも1つの撮影テーマが自動的に選択される解析選択部と、
前記複数の撮影テーマそれぞれに対応する前記発光部の色温度に関する情報を記憶する記憶部と、を備え、
前記解析選択部により選択された撮影テーマに応じて、前記記憶部に記憶された前記発光部の色温度に関する情報に基づいて、前記発光部の色温度を変化させること、
を特徴とする調光方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の調光方法であって、
前記記憶部に記憶される前記発光部の色温度に関する情報を変更可能な変更部を備えること、
を特徴とする調光方法。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の調光方法であって、
前記撮影画像は、動画画像であること、
を特徴とする調光方法。
【請求項13】
請求項12に記載の調光方法であって、
前記発光部の色温度を時間経過とともに変化させること、
を特徴とする調光方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−20171(P2013−20171A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154836(P2011−154836)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】