発光装置及び照明装置
【課題】簡単な構成でセラミックス製の基板の破損を抑制できる発光装置及びこの発光装置を備えた照明装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、複数の発光素子32が実装されるとともに、ねじ貫通部36が形成されたセラミックス製の基板31と、前記ねじ貫通部36を貫通し、前記基板31が取付けられる取付部2にねじ込まれるとともに、ねじ込まれることにより、ねじ貫通部36の縁部Eにねじ込み方向と交差する方向の力が作用するのを抑制する抑制手段を有して基板31を取付部2に保持する取付ねじ33とを備えた発光装置3である。
【解決手段】本発明は、複数の発光素子32が実装されるとともに、ねじ貫通部36が形成されたセラミックス製の基板31と、前記ねじ貫通部36を貫通し、前記基板31が取付けられる取付部2にねじ込まれるとともに、ねじ込まれることにより、ねじ貫通部36の縁部Eにねじ込み方向と交差する方向の力が作用するのを抑制する抑制手段を有して基板31を取付部2に保持する取付ねじ33とを備えた発光装置3である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、LED等の発光素子を用いた発光装置及びこれを備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED等の発光素子は、その温度が上昇するに従い、光の出力が低下し、耐用年数も短くなる。このため、LEDやEL素子等の固体発光素子を光源とする発光装置にとって、耐用年数を延したり発光効率等の特性を改善したりするために、発光素子の温度が上昇するのを抑制することが必要である。
このような発光装置において、発光素子を実装する基板には、放熱性の向上の他、電気絶縁性や耐熱性の確保が要求される。
【0003】
これらの要求を充足するため、発光素子を実装する基板としてセラミックス製の基板を用いる発光装置が知られている。このセラミックス製の基板は、放熱部材等の取付部に取付ねじによって固定されている。
【0004】
ところが、セラミックス製の基板は、脆く割れやすい性質を有している。このため、セラミックス製の基板を取付部に取付ねじによって固定すると、取付ねじの締付け力が基板にかかり、基板に割れが発生する場合がある。
さらに、セラミックス製の基板と取付部との熱膨張率の相違から、発光装置の使用中に、セラミックス製の基板に応力がかかり、基板が破損することがある。
【0005】
このようなセラミックス製の基板の破損を回避するため、セラミックス製の基板を取付部に固定する方法として、基板の表面側から弾性部材によって押圧して取付部に固定する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−227412号公報
【特許文献2】特開2009−94322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような固定方法では、構成が複雑化するとともに、部品点数が増加し、固定作業が煩雑化する虞が生じる。
【0008】
本発明の実施形態は、上記課題に鑑みなされたもので、簡単な構成によりセラミックス製の基板の破損を抑制できる発光装置及びこの発光装置を備えた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態による発光装置は、複数の発光素子が実装されるとともに、ねじ貫通部が形成されたセラミックス製の基板を備えている。
【0010】
また、前記ねじ貫通部を貫通し、前記基板が取付けられる取付部にねじ込まれるとともに、ねじ込まれることにより、ねじ貫通部の縁部にねじ込み方向と交差する方向の力が作用するのを抑制する抑制手段を有して基板を取付部に保持する取付ねじを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、簡単な構成によりセラミックス製の基板の破損を抑制できる発光装置及びこの発光装置を備えた照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る照明装置(LEDランプ)を示す斜視図である。
【図2】同断面図である。
【図3】同発光装置を取付けた状態を示す斜視図である。
【図4】同発光装置を示す斜視図である。
【図5】同取付ねじを示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は断面図である。
【図6】同発光装置の取付状態を示す一部断面図である。
【図7】同発光装置の取付状態を示す断面図である。
【図8】同じく、発光装置の取付状態(取付完了状態)を示す断面図である。
【図9】同発光装置を照明装置(道路灯)に配設した例を示す斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る発光装置における取付ねじを示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は断面図である。
【図11】同発光装置の取付状態(取付完了状態)を示す一部断面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る発光装置における取付ねじを示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は断面図である。
【図13】同発光装置の取付状態(取付完了状態)を示す一部断面図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る発光装置の取付状態(取付完了状態)を示す一部断面図である。
【図15】従来例に係る発光装置の取付状態(取付完了状態)を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施形態について図1乃至図8を参照して説明する。図1及び図2は、照明装置として電球形LEDランプを示している。図3乃至図8は、前記電球形LEDランプに配設された発光装置を示している。なお、各図において同一部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。
【0014】
図1及び図2に示すように、LEDランプ1は、ランプ本体2と、このランプ本体2に配設された発光装置3と、点灯装置4と、この点灯装置4が収容されたカバー部材5と、カバー部材5に取付けられた口金6と、発光装置3を覆ってランプ本体2に取付けられたグローブ7とを備えている。
【0015】
ランプ本体2は、例えば、熱伝導性が良好なアルミニウム等の金属材料からなり、放熱部材としての機能を有している。また、詳細を後述する発光装置3の取付部としての機能を兼ね備えている。
【0016】
ランプ本体2は、一端側から他端側へ向かって徐々に拡径された略円柱をなしている。複数の放熱フィン21がランプ本体2の外周面に一体に形成されている。ランプ本体2の他端側には、発光装置3を取付けるための取付凹部22が形成されているとともに、一端側に、カバー部材5を挿入する嵌合凹部23が形成されている。
【0017】
また、ランプ本体2の他端側の外周部には、グローブ7の開口側に対向する段部24が全周に亘って形成されており、この段部24には、グローブ7から下方に拡散された光を反射するリング25が取付けられている。
【0018】
放熱フィン21は、ランプ本体2の一端側から他端側へと径方向への突出量が徐々に大きくなるように傾斜して形成されており、これら放熱フィン21は、周方向に互いに略等間隔で形成されている。
【0019】
図2乃至図4に示すように、発光装置3は、基板31と、この基板31の一面側、すなわち、表面側に実装された複数の発光素子32と、基板31を取付部としてのランプ本体2に取付ける取付ねじ33とを備えている。
【0020】
基板31は、絶縁性を有し、白色系の酸化アルミニウムや窒化アルミニウム等のセラミックス材料から形成されている。基板31は、略四角形状の多角形状に形成されており、各角部は、R形状をなしている。
【0021】
なお、基板31の材料は、ボロンナイトライド、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、フォルステライト、ステアタイト、低温焼結セラミックス等が適用でき、格別特定の材料に限定されるものではない。また、基板31の形状は、四角形状に限らず、円形や六角形等の多角形であってもよく、設計に応じて適宜選択が可能である。
【0022】
基板31の表面側には、配線パターンが形成されており、この配線パターンは、給電導体及び給電端子から構成されている。給電導体及び給電端子は、基板31上に例えば、銀(Ag)又は銀(Ag)を主成分とする合金をスクリーン印刷することによって形成されている。なお、スクリーン印刷に代えてめっき処理によって形成することもできる。また、この形成材料には、銅(Cu)、金(Au)等の導電性に優れた金属を適用できる。
【0023】
なお、給電端子には、図示しないコネクタが接続されるようになっており、このコネクタを介して給電端子、給電導体、発光素子32へと給電されるようになっている。
【0024】
基板31の表面上には、複数の発光素子32が実装されている。発光素子32は、LEDのベアチップからなり、基板31の表面上に直に接着されている。LEDのベアチップには、例えば、白色系の光を発光部で発光させるために、青色の光を発するものが用いられている。これら複数の発光素子32は、複数の列(発光素子列)を形成して並べられている。
【0025】
LEDのベアチップは、例えば、InGaN系の素子であり、透光性のサファイア素子基板に発光層が積層されており、発光層は、n型窒化物半導体層と、InGaN発光層と、p型窒化物半導体層とが順次積層されて略直方体形状に形成されている。そして、発光層に電流を流すための電極は、上面側に設けられており、p型窒化物半導体層上にp型電極パッドで形成されたプラス側電極と、n型窒化物半導体層上にn型電極パッドで形成されたマイナス側電極とで構成されている。
【0026】
これら、電極は、ボンディングワイヤにより電気的に接続されている。ボンディングワイヤは、金(Au)の細線からなっており、実装強度の向上とLEDのベアチップの損傷低減のため金(Au)を主成分とするバンプを介して接続されている。なお、ボンディングワイヤには、例えば、銅線、アルミニウム線及び白金線等の金属細線を適用することができる。
【0027】
発光素子32の接続は、個々の発光素子列において、その列が延びる方向に隣接された発光素子32の異極の電極同士が接続されるようになっている。つまり、隣接された発光素子32の内で一方の発光素子32のプラス側電極と、隣接された発光素子32の内で他方の発光素子32のマイナス側電極とがボンディングワイヤで順次接続されている。これによって、個々の発光素子列を構成する複数の発光素子32は電気的に直列に接続される。
【0028】
基板31の表面上には、枠部材34が設けられている。この枠部材34は、白色の合成樹脂製であり略四角形状に塗布され、内周面で囲まれた枠部材34の内側に、各発光素子32が配設されている。つまり、発光素子32の実装領域は、枠部材34によって囲まれた状態となっている。
【0029】
枠部材34の内側には、封止部材35が充填されて基板31上に設けられている。封止部材35は、透光性合成樹脂、例えば、透明シリコーン樹脂製であり、発光素子32の実装領域を封止している。
【0030】
また、封止部材35は、蛍光体を適量含有している。蛍光体は、発光素子32が発する光で励起されて、発光素子32が発する光の色とは異なる色の光を放射する。発光素子32が青色光を発する本実施形態では、白色光を出射できるようにするために、蛍光体には青色の光とは補色の関係にある黄色系の光を放射する黄色蛍光体が使用されている。封止部材35は、未硬化の状態で枠部材34の内側に所定量注入された後に加熱硬化させて設けられている。
【0031】
さらに、基板31の対角線上の角部には、一対のねじ貫通部36が形成されている。このねじ貫通部36は、円形状であり、基板31の表裏に貫通して形成されている。
【0032】
一方、ランプ本体2における取付凹部22には、一対のねじ穴26が形成されている。このねじ穴26は、基板31のねじ貫通部36と対向して形成されている。
【0033】
したがって、発光装置3は、取付ねじ33によってランプ本体2に取付けられる。つまり、発光装置3は、取付凹部22に載置された状態で、基板31のねじ貫通部36を貫通し、取付凹部22のねじ穴26にねじ込まれる取付ねじ33によって取付けられている。
【0034】
この発光装置3の取付状態について図5乃至図8を参照して詳細に説明する。図5は、取付ねじ33を示し、図6、図7及び図8は、取付ねじ33によって基板31がランプ本体2に取付けられる状態を示しており、図6は、取付ねじ33の側面を示し、ランプ本体2及び基板31を断面にして示している。図7及び図8は、取付ねじ33、ランプ本体2及び基板31を断面にして示している。
【0035】
図5に示すように、本実施形態の取付ねじ33には、TPねじ(トリプルスクリューねじ)と呼ばれるねじが用いられている。取付ねじ33は、例えば、ステンレス材料から形成されており、頭部33a、軸部33b、座面33cを一体に有している。頭部33aは、なべ形であり、頂部にはプラスドライバが係合できる十字穴33a1が形成されている。頭部33aの下側からは円筒状の軸部33bが延出していて、この軸部33bの外周にはねじ山が形成され雄ねじとして構成されている。
【0036】
座面33cは、頭部33aと軸部33cとの繋ぎ部位である首部に形成されている。座面33cは、皿ばね座金の形状をなし、ばね性を有し比較的大きな外径で鍔状に形成されている。具体的には、座面33cは、頭部33aの下側から、この頭部22aの外径より大きく、かつ軸部33bの先端方向に向かって傘状に傾斜して形成されている。したがって、座面33cの内側、すなわち、軸部33b側には、傘状の傾斜に応じた環状のスペース33dが形成されるようになっている。
【0037】
図6及び図7に示すように、基板31のねじ貫通部36が取付凹部22のねじ穴26に対応して載置された状態で、取付ねじ33がねじ穴26にねじ込まれる。ねじ穴26の内周にはねじ溝が形成され雌ねじとして構成されている。
【0038】
取付ねじ33の軸部33bをねじ貫通部36に貫通させて、プラスドライバ等の工具の先端を十字穴33a1に挿入し、取付ねじ33を回動してねじ穴26にねじ込む。取付ねじ3の回動を進めると、図8に示すように、座面33cの外周部が基板31の表面上に当接する。さらに、回動を進めると、傘状に傾斜した座面33cが平坦になる方向に弾性変形する。したがって、座面33cに図示矢印Fで示すように下側方向、つまり、基板31を取付凹部22に圧接するような力が作用し、基板31が取付凹部22に固定され保持される。因みに、この場合、取付ねじ33の締付トルクは、0.2〜0.3N・mに設定されている。
【0039】
ところで、図15を参照して従来行われていた発光装置3の取付状態について説明する。図15は、取付ねじSによって基板31が取付凹部22に固定されている状態を示している。取付ねじSには、一般的な、なべ形小ねじが用いられている。
【0040】
取付ねじSは、頭部Sa、軸部Sb、座面Scを一体に有している。この場合、取付ねじSの座面Scが小さいことに起因して、締め付け力が貫通部36の外周縁において座面Scが食い込むように下側方向に集中し、この力が図示矢印Fで示すように、下方斜め横方向に向かって作用する。つまり、ねじ貫通部36の縁部Eに取付ねじSのねじ込み方向と交差する方向の力(矢印F)が作用することとなる。この力は、ねじ貫通部36を広げる方向の応力であり、このため、前記のように例えば、0.2〜0.3N・mの締付トルクで取付ねじSをねじ込むと、ねじ貫通部36を起点として基板31に割れが生じる虞が生じる。
【0041】
加えて、セラミックス製の基板31と取付部としてランプ本体2との熱膨張率の相違から、発光装置3の使用中に、セラミックス製の基板31に応力がかかり、上記の取付ねじSのねじ込みに伴う応力と相俟って、基板31の割れの発生を助長する結果となる。
【0042】
しかしながら、再度図5乃至図8に示すように、本実施形態においては、座面33cの内側には、環状のスペース33dが形成されている。このため、取付ねじ33をねじ穴26にねじ込んだ際、ねじ貫通部36の縁部Eに座面33cが当接して、その縁部Eに応力がかかることが抑制される。すなわち、ねじ貫通部36の縁部Eに取付ねじ33のねじ込み方向と交差する方向の力が作用するのを抑制することが可能となる。
【0043】
したがって、前記スペース33dは、座面33cがねじ貫通部36の縁部Eに当接するのを回避又は抑制する逃げ部として作用し、換言すれば、ねじ貫通部36の縁部Eに取付ねじ33のねじ込み方向と交差する方向の力が作用するのを抑制する抑制手段となっている。
なお、本実施形態の場合、0.8〜0.9N・mの締付トルクで取付ねじ33をねじ込んだ場合においても基板31に割れが生じないことが確認できた。
【0044】
続いて、図2に代表して示すように、点灯装置4は、四角形平板状の点灯回路基板41に回路部品が実装されて構成されている。点灯回路基板41には、その両面に亘って、トランジスタQ、抵抗素子R、定電圧ダイオードZD、全波整流器REC及びコンデンサC等の回路部品が実装されている。また、点灯回路基板41は、縦方向、つまり、長手方向を上下に縦形配置してカバー部材5内に収納されている。なお、前記基板31と点灯装置4とは、図示しない配線孔を挿通するリード線によって電気的に接続されている。
【0045】
カバー部材5は、例えば、PBT樹脂等の絶縁性を有する材料により、嵌合凹部23内の形状に沿って略円筒状に形成されている。また、カバー部材5の中間部の外周面には、ランプ本体2の一端側と口金6との間を絶縁するための絶縁部であるフランジ部51が径方向に突出して周方向全体に介在している。なお、カバー部材5の内部には、点灯回路基板41を埋没させるように放熱性及び絶縁性を有する充填材であるシリコーン系の樹脂等を充填してもよい。
【0046】
口金6は、E型のものであり、点灯回路基板41と配線により電気的に接続されており、図示しない照明器具のランプソケットにねじ込まれるねじ山を備えた筒状のシェル61と、このシェル61の頂部に絶縁部62を介して設けられたアイレット63とを備えている。
【0047】
グローブ7は、光拡散性を有するガラス又は合成樹脂等により略半球状に形成されており、ランプ本体2の他端側と連続する形状となっている。また、このグローブ7は、球状の頂部から徐々に下方に向かって拡開するように形成され、最大径位置から縮径されるように形成されている。
【0048】
以上のようなLEDランプ1では、商用電源から点灯装置4を通じて発光装置3に電力が供給される。この結果、基板31上の発光素子32が一斉に発光する。発光素子32から出射された光は、封止部材35を透過して白色光となる。白色光は、グローブ7に向けて放射されるとともに、グローブ7を透過して外部に照射される。グローブ7のうち最大径の部分を透過してランプ本体2の方向に向かう光は、リング25により反射されて光の利用方向に照射される。
【0049】
発光素子32の発光時には、熱が発生する。この熱は、基板31の裏面側からランプ本体2の取付凹部22に伝導される。ランプ本体2に伝導された熱は、放熱フィン21に伝わり放熱される。この結果、発光素子32の温度上昇が抑制され、発光効率を良好に維持できる。
【0050】
発光素子32から発生した熱によりセラミックス製の基板31及び取付部としてランプ本体2が加熱される。そうすると、基板31とランプ本体2は、材質の相違から熱膨張率に差異が生じるので、セラミックス製の基板31に応力がかかる。
【0051】
しかしながら、取付ねじ33の座面33cには、逃げ部としてスペース33dが形成され、ねじ貫通部36の縁部Eに取付ねじ33のねじ込み方向と交差する方向の力が作用するのが抑制されているので、基板31に応力が重畳的にかかるのを抑制し得る。
したがって、LEDランプ1の使用中に、セラミックス製の基板31が割れるといった不具合を回避することができる。
【0052】
以上のように本実施形態によれば、簡単な構成でセラミックス製の基板31の破損を抑制できる発光装置3及びこの発光装置3を備えたLEDランプ1を提供することができる。
【0053】
次に、図9は、上記発光装置3が複数配設された照明装置として道路灯10を示している。道路灯10は、支柱11の上端部に灯具12が取付けられて構成されている。支柱11は、道路際に立設され、灯具12から照射される光によって道路上が照明されるようになっている。灯具12内には、上記発光装置3が配設されており、発光装置3からの光が透光性のカバー13を透過して放射されるようになっている。
【0054】
このような照明装置によれば、上記発光装置3が奏する作用効果を実現することができ、また、特に、発光装置3が振動を受けやすい環境におかれることになるが、この場合にも基板31の破損を抑制することができる。
【0055】
次に、本発明の第2の実施形態について図10及び図11を参照して説明する。図10及び図11は、発光装置3の取付状態を示しており、図10は、取付ねじ33を示し、図11は、取付ねじ33によって基板31がランプ本体2に取付けられる状態をランプ本体2及び基板31を断面にして示している。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。
【0056】
図10に示すように、本実施形態の取付ねじ33には、ワッシャーヘッドねじと呼ばれるタイプのねじが用いられている。取付ねじ33は、例えば、ステンレス材料から形成されており、頭部33a、軸部33b、座面33cを一体に有している。頭部33aは、なべ形であり、頂部には十字穴33a1が形成されている。頭部33aの下側からは円筒状の軸部33bが延出していて、この軸部33bの外周にはねじ山が形成され雄ねじとして構成されている。
【0057】
座面33cは、頭部33aと軸部33cとの繋ぎ部位である首部に形成されている。座面33cは、円形の平坦状でありワッシャー形状をなして頭部33aの下面より大きな外径で鍔状に形成されている。
【0058】
図11に示すように、基板31のねじ貫通部36が取付凹部22のねじ穴26に対応して載置された状態で、取付ねじ33がねじ穴26にねじ込まれる。ねじ穴26の内周にはねじ溝が形成され雌ねじとして構成されている。
【0059】
取付ねじ33の軸部33bをねじ貫通部36に貫通させて、取付ねじ33を回動してねじ穴26にねじ込む。取付ねじ3の回動を進めると、座面33cが基板31の表面上に当接する。さらに、回動を進めると、座面33cの平坦状の部分に図示矢印Fで示すように下側方向、つまり、基板31を取付凹部22に圧接するような力が作用し、基板31が取付凹部22に固定され保持される。
【0060】
この場合、座面33cの外径が大きいため、取付ねじ33の締付けによって生じる基板31への力は、矢印Fで示すように分散され、ねじ貫通部36の縁部Eに作用する応力は抑制される。具体的には、座面33cの外径寸法Dは、ねじ穴26の穴径寸法dの2倍以上であることが好ましく、基板31表面における領域の有効利用の観点を加味すると、2倍〜4倍が好適値となる。
【0061】
したがって、座面33cの外径寸法Dをねじ穴26の穴径寸法dの2倍以上に設定する構成は、ねじ貫通部36の縁部Eに取付ねじ33のねじ込み方向と交差する方向の力が作用するのを抑制する抑制手段となっている。
【0062】
以上のように本実施形態によれば、座面33cの外径寸法Dをねじ穴26の穴径寸法dの2倍以上に設定することにより、取付ねじ33の締付けによって生じる力を分散させることができ、第1の実施形態と同様に、簡単な構成でセラミックス製の基板31の破損を抑制できる発光装置3及びこの発光装置3を備えた照明装置を提供することができる。
【0063】
次に、本発明の第3の実施形態について図12及び図13を参照して説明する。図12及び図13は、発光装置3の取付状態を示しており、図12は、取付ねじ33を示し、図13は、取付ねじ33によって基板31がランプ本体2に取付けられる状態をランプ本体2及び基板31を断面にして示している。なお、第2の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。
【0064】
図12に示すように、本実施形態の取付ねじ33には、トラスねじと呼ばれるタイプのねじが用いられている。この取付ねじ33の頭部33aは、なべ形であり大きく形成されている。したがって、頭部33aの下面側に形成される座面33cの外径が大きいものとなっている。
座面33cの外径寸法Dは、第2の実施形態と同様に、ねじ穴26の穴径寸法dの2倍以上であることが好ましく、2倍〜4倍が好適値である。
【0065】
図13に示すように、以上の構成により、座面33cの外径が大きいため、取付ねじ33の締付けによって生じる基板31への力は、矢印Fで示すように分散され、ねじ貫通部36の縁部Eに作用する応力は抑制される。
【0066】
以上のように本実施形態によれば、取付ねじ33の締付けによって生じる力を分散させることができ、簡単な構成でセラミックス製の基板31の破損を抑制できる発光装置3及びこの発光装置3を備えた照明装置を提供することができる。
【0067】
次に、本発明の第4の実施形態について図14を参照して説明する。図14は、取付ねじ33によって基板31がランプ本体2に取付けられる状態をランプ本体2及び基板31を断面にして示している。なお、第2の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。
【0068】
本実施形態の取付ねじ33には、一般的な、なべ形小ねじが用いられている。そして、取付ねじ33における頭部33aの下面と基板31の表面との間には、リング状のワッシャー33eが介在されるようになっている。したがって、このワッシャー33eによって座面33cが形成されるようになっており、座面33cは頭部33aの下面より大きな外径を有している。
座面33cの外径寸法Dは、第2の実施形態と同様に、ねじ穴26の穴径寸法dの2倍以上であることが好ましく、2倍〜4倍が好適値である。
【0069】
このように、ワッシャー33eが形成する座面33cの外径が大きいため、取付ねじ33の締付けによって生じる基板31への力は、矢印Fで示すように分散され、ねじ貫通部36の縁部Eに作用する応力は抑制される。
【0070】
以上のように本実施形態によれば、取付ねじ33の締付けによって生じる力を分散させることができ、簡単な構成でセラミックス製の基板31の破損を抑制できる発光装置3及びこの発光装置3を備えた照明装置を提供することができる。
【0071】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、第1の実施形態において、座面の逃げ部で構成される抑制手段に加え、第2の実施形態の抑制手段、すなわち、座面の外径寸法をねじ穴の穴径寸法の2倍以上とする構成を採用するようにしてもよい。また、基板に形成されるねじ貫通部は、貫通孔であっても切欠きであってもよい。
発光素子は、LED等の固体発光素子を適用できる。さらに、発光素子の実装個数には特段制限はない。
【0072】
また、上記実施形態の発光装置は、LEDランプとしての光源や屋内又は屋外で使用される各種照明器具、ディスプレイ装置等の装置本体に組込んで照明装置として構成できる。
【符号の説明】
【0073】
1・・・照明装置(LEDランプ)、2・・・取付部(ケース本体)、
3・・・発光装置、10・・・照明装置(道路灯)、
26・・・ねじ穴、31・・・基板、
32・・・発光素子(LEDチップ)、33・・・取付ねじ、
33a・・・頭部、33b・・・軸部、
33c・・・座面、33d・・・スペース、
33e・・・ワッシャー、36・・・ねじ貫通部、
E・・・縁部
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、LED等の発光素子を用いた発光装置及びこれを備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED等の発光素子は、その温度が上昇するに従い、光の出力が低下し、耐用年数も短くなる。このため、LEDやEL素子等の固体発光素子を光源とする発光装置にとって、耐用年数を延したり発光効率等の特性を改善したりするために、発光素子の温度が上昇するのを抑制することが必要である。
このような発光装置において、発光素子を実装する基板には、放熱性の向上の他、電気絶縁性や耐熱性の確保が要求される。
【0003】
これらの要求を充足するため、発光素子を実装する基板としてセラミックス製の基板を用いる発光装置が知られている。このセラミックス製の基板は、放熱部材等の取付部に取付ねじによって固定されている。
【0004】
ところが、セラミックス製の基板は、脆く割れやすい性質を有している。このため、セラミックス製の基板を取付部に取付ねじによって固定すると、取付ねじの締付け力が基板にかかり、基板に割れが発生する場合がある。
さらに、セラミックス製の基板と取付部との熱膨張率の相違から、発光装置の使用中に、セラミックス製の基板に応力がかかり、基板が破損することがある。
【0005】
このようなセラミックス製の基板の破損を回避するため、セラミックス製の基板を取付部に固定する方法として、基板の表面側から弾性部材によって押圧して取付部に固定する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−227412号公報
【特許文献2】特開2009−94322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような固定方法では、構成が複雑化するとともに、部品点数が増加し、固定作業が煩雑化する虞が生じる。
【0008】
本発明の実施形態は、上記課題に鑑みなされたもので、簡単な構成によりセラミックス製の基板の破損を抑制できる発光装置及びこの発光装置を備えた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態による発光装置は、複数の発光素子が実装されるとともに、ねじ貫通部が形成されたセラミックス製の基板を備えている。
【0010】
また、前記ねじ貫通部を貫通し、前記基板が取付けられる取付部にねじ込まれるとともに、ねじ込まれることにより、ねじ貫通部の縁部にねじ込み方向と交差する方向の力が作用するのを抑制する抑制手段を有して基板を取付部に保持する取付ねじを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、簡単な構成によりセラミックス製の基板の破損を抑制できる発光装置及びこの発光装置を備えた照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る照明装置(LEDランプ)を示す斜視図である。
【図2】同断面図である。
【図3】同発光装置を取付けた状態を示す斜視図である。
【図4】同発光装置を示す斜視図である。
【図5】同取付ねじを示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は断面図である。
【図6】同発光装置の取付状態を示す一部断面図である。
【図7】同発光装置の取付状態を示す断面図である。
【図8】同じく、発光装置の取付状態(取付完了状態)を示す断面図である。
【図9】同発光装置を照明装置(道路灯)に配設した例を示す斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る発光装置における取付ねじを示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は断面図である。
【図11】同発光装置の取付状態(取付完了状態)を示す一部断面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る発光装置における取付ねじを示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は断面図である。
【図13】同発光装置の取付状態(取付完了状態)を示す一部断面図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る発光装置の取付状態(取付完了状態)を示す一部断面図である。
【図15】従来例に係る発光装置の取付状態(取付完了状態)を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施形態について図1乃至図8を参照して説明する。図1及び図2は、照明装置として電球形LEDランプを示している。図3乃至図8は、前記電球形LEDランプに配設された発光装置を示している。なお、各図において同一部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。
【0014】
図1及び図2に示すように、LEDランプ1は、ランプ本体2と、このランプ本体2に配設された発光装置3と、点灯装置4と、この点灯装置4が収容されたカバー部材5と、カバー部材5に取付けられた口金6と、発光装置3を覆ってランプ本体2に取付けられたグローブ7とを備えている。
【0015】
ランプ本体2は、例えば、熱伝導性が良好なアルミニウム等の金属材料からなり、放熱部材としての機能を有している。また、詳細を後述する発光装置3の取付部としての機能を兼ね備えている。
【0016】
ランプ本体2は、一端側から他端側へ向かって徐々に拡径された略円柱をなしている。複数の放熱フィン21がランプ本体2の外周面に一体に形成されている。ランプ本体2の他端側には、発光装置3を取付けるための取付凹部22が形成されているとともに、一端側に、カバー部材5を挿入する嵌合凹部23が形成されている。
【0017】
また、ランプ本体2の他端側の外周部には、グローブ7の開口側に対向する段部24が全周に亘って形成されており、この段部24には、グローブ7から下方に拡散された光を反射するリング25が取付けられている。
【0018】
放熱フィン21は、ランプ本体2の一端側から他端側へと径方向への突出量が徐々に大きくなるように傾斜して形成されており、これら放熱フィン21は、周方向に互いに略等間隔で形成されている。
【0019】
図2乃至図4に示すように、発光装置3は、基板31と、この基板31の一面側、すなわち、表面側に実装された複数の発光素子32と、基板31を取付部としてのランプ本体2に取付ける取付ねじ33とを備えている。
【0020】
基板31は、絶縁性を有し、白色系の酸化アルミニウムや窒化アルミニウム等のセラミックス材料から形成されている。基板31は、略四角形状の多角形状に形成されており、各角部は、R形状をなしている。
【0021】
なお、基板31の材料は、ボロンナイトライド、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、フォルステライト、ステアタイト、低温焼結セラミックス等が適用でき、格別特定の材料に限定されるものではない。また、基板31の形状は、四角形状に限らず、円形や六角形等の多角形であってもよく、設計に応じて適宜選択が可能である。
【0022】
基板31の表面側には、配線パターンが形成されており、この配線パターンは、給電導体及び給電端子から構成されている。給電導体及び給電端子は、基板31上に例えば、銀(Ag)又は銀(Ag)を主成分とする合金をスクリーン印刷することによって形成されている。なお、スクリーン印刷に代えてめっき処理によって形成することもできる。また、この形成材料には、銅(Cu)、金(Au)等の導電性に優れた金属を適用できる。
【0023】
なお、給電端子には、図示しないコネクタが接続されるようになっており、このコネクタを介して給電端子、給電導体、発光素子32へと給電されるようになっている。
【0024】
基板31の表面上には、複数の発光素子32が実装されている。発光素子32は、LEDのベアチップからなり、基板31の表面上に直に接着されている。LEDのベアチップには、例えば、白色系の光を発光部で発光させるために、青色の光を発するものが用いられている。これら複数の発光素子32は、複数の列(発光素子列)を形成して並べられている。
【0025】
LEDのベアチップは、例えば、InGaN系の素子であり、透光性のサファイア素子基板に発光層が積層されており、発光層は、n型窒化物半導体層と、InGaN発光層と、p型窒化物半導体層とが順次積層されて略直方体形状に形成されている。そして、発光層に電流を流すための電極は、上面側に設けられており、p型窒化物半導体層上にp型電極パッドで形成されたプラス側電極と、n型窒化物半導体層上にn型電極パッドで形成されたマイナス側電極とで構成されている。
【0026】
これら、電極は、ボンディングワイヤにより電気的に接続されている。ボンディングワイヤは、金(Au)の細線からなっており、実装強度の向上とLEDのベアチップの損傷低減のため金(Au)を主成分とするバンプを介して接続されている。なお、ボンディングワイヤには、例えば、銅線、アルミニウム線及び白金線等の金属細線を適用することができる。
【0027】
発光素子32の接続は、個々の発光素子列において、その列が延びる方向に隣接された発光素子32の異極の電極同士が接続されるようになっている。つまり、隣接された発光素子32の内で一方の発光素子32のプラス側電極と、隣接された発光素子32の内で他方の発光素子32のマイナス側電極とがボンディングワイヤで順次接続されている。これによって、個々の発光素子列を構成する複数の発光素子32は電気的に直列に接続される。
【0028】
基板31の表面上には、枠部材34が設けられている。この枠部材34は、白色の合成樹脂製であり略四角形状に塗布され、内周面で囲まれた枠部材34の内側に、各発光素子32が配設されている。つまり、発光素子32の実装領域は、枠部材34によって囲まれた状態となっている。
【0029】
枠部材34の内側には、封止部材35が充填されて基板31上に設けられている。封止部材35は、透光性合成樹脂、例えば、透明シリコーン樹脂製であり、発光素子32の実装領域を封止している。
【0030】
また、封止部材35は、蛍光体を適量含有している。蛍光体は、発光素子32が発する光で励起されて、発光素子32が発する光の色とは異なる色の光を放射する。発光素子32が青色光を発する本実施形態では、白色光を出射できるようにするために、蛍光体には青色の光とは補色の関係にある黄色系の光を放射する黄色蛍光体が使用されている。封止部材35は、未硬化の状態で枠部材34の内側に所定量注入された後に加熱硬化させて設けられている。
【0031】
さらに、基板31の対角線上の角部には、一対のねじ貫通部36が形成されている。このねじ貫通部36は、円形状であり、基板31の表裏に貫通して形成されている。
【0032】
一方、ランプ本体2における取付凹部22には、一対のねじ穴26が形成されている。このねじ穴26は、基板31のねじ貫通部36と対向して形成されている。
【0033】
したがって、発光装置3は、取付ねじ33によってランプ本体2に取付けられる。つまり、発光装置3は、取付凹部22に載置された状態で、基板31のねじ貫通部36を貫通し、取付凹部22のねじ穴26にねじ込まれる取付ねじ33によって取付けられている。
【0034】
この発光装置3の取付状態について図5乃至図8を参照して詳細に説明する。図5は、取付ねじ33を示し、図6、図7及び図8は、取付ねじ33によって基板31がランプ本体2に取付けられる状態を示しており、図6は、取付ねじ33の側面を示し、ランプ本体2及び基板31を断面にして示している。図7及び図8は、取付ねじ33、ランプ本体2及び基板31を断面にして示している。
【0035】
図5に示すように、本実施形態の取付ねじ33には、TPねじ(トリプルスクリューねじ)と呼ばれるねじが用いられている。取付ねじ33は、例えば、ステンレス材料から形成されており、頭部33a、軸部33b、座面33cを一体に有している。頭部33aは、なべ形であり、頂部にはプラスドライバが係合できる十字穴33a1が形成されている。頭部33aの下側からは円筒状の軸部33bが延出していて、この軸部33bの外周にはねじ山が形成され雄ねじとして構成されている。
【0036】
座面33cは、頭部33aと軸部33cとの繋ぎ部位である首部に形成されている。座面33cは、皿ばね座金の形状をなし、ばね性を有し比較的大きな外径で鍔状に形成されている。具体的には、座面33cは、頭部33aの下側から、この頭部22aの外径より大きく、かつ軸部33bの先端方向に向かって傘状に傾斜して形成されている。したがって、座面33cの内側、すなわち、軸部33b側には、傘状の傾斜に応じた環状のスペース33dが形成されるようになっている。
【0037】
図6及び図7に示すように、基板31のねじ貫通部36が取付凹部22のねじ穴26に対応して載置された状態で、取付ねじ33がねじ穴26にねじ込まれる。ねじ穴26の内周にはねじ溝が形成され雌ねじとして構成されている。
【0038】
取付ねじ33の軸部33bをねじ貫通部36に貫通させて、プラスドライバ等の工具の先端を十字穴33a1に挿入し、取付ねじ33を回動してねじ穴26にねじ込む。取付ねじ3の回動を進めると、図8に示すように、座面33cの外周部が基板31の表面上に当接する。さらに、回動を進めると、傘状に傾斜した座面33cが平坦になる方向に弾性変形する。したがって、座面33cに図示矢印Fで示すように下側方向、つまり、基板31を取付凹部22に圧接するような力が作用し、基板31が取付凹部22に固定され保持される。因みに、この場合、取付ねじ33の締付トルクは、0.2〜0.3N・mに設定されている。
【0039】
ところで、図15を参照して従来行われていた発光装置3の取付状態について説明する。図15は、取付ねじSによって基板31が取付凹部22に固定されている状態を示している。取付ねじSには、一般的な、なべ形小ねじが用いられている。
【0040】
取付ねじSは、頭部Sa、軸部Sb、座面Scを一体に有している。この場合、取付ねじSの座面Scが小さいことに起因して、締め付け力が貫通部36の外周縁において座面Scが食い込むように下側方向に集中し、この力が図示矢印Fで示すように、下方斜め横方向に向かって作用する。つまり、ねじ貫通部36の縁部Eに取付ねじSのねじ込み方向と交差する方向の力(矢印F)が作用することとなる。この力は、ねじ貫通部36を広げる方向の応力であり、このため、前記のように例えば、0.2〜0.3N・mの締付トルクで取付ねじSをねじ込むと、ねじ貫通部36を起点として基板31に割れが生じる虞が生じる。
【0041】
加えて、セラミックス製の基板31と取付部としてランプ本体2との熱膨張率の相違から、発光装置3の使用中に、セラミックス製の基板31に応力がかかり、上記の取付ねじSのねじ込みに伴う応力と相俟って、基板31の割れの発生を助長する結果となる。
【0042】
しかしながら、再度図5乃至図8に示すように、本実施形態においては、座面33cの内側には、環状のスペース33dが形成されている。このため、取付ねじ33をねじ穴26にねじ込んだ際、ねじ貫通部36の縁部Eに座面33cが当接して、その縁部Eに応力がかかることが抑制される。すなわち、ねじ貫通部36の縁部Eに取付ねじ33のねじ込み方向と交差する方向の力が作用するのを抑制することが可能となる。
【0043】
したがって、前記スペース33dは、座面33cがねじ貫通部36の縁部Eに当接するのを回避又は抑制する逃げ部として作用し、換言すれば、ねじ貫通部36の縁部Eに取付ねじ33のねじ込み方向と交差する方向の力が作用するのを抑制する抑制手段となっている。
なお、本実施形態の場合、0.8〜0.9N・mの締付トルクで取付ねじ33をねじ込んだ場合においても基板31に割れが生じないことが確認できた。
【0044】
続いて、図2に代表して示すように、点灯装置4は、四角形平板状の点灯回路基板41に回路部品が実装されて構成されている。点灯回路基板41には、その両面に亘って、トランジスタQ、抵抗素子R、定電圧ダイオードZD、全波整流器REC及びコンデンサC等の回路部品が実装されている。また、点灯回路基板41は、縦方向、つまり、長手方向を上下に縦形配置してカバー部材5内に収納されている。なお、前記基板31と点灯装置4とは、図示しない配線孔を挿通するリード線によって電気的に接続されている。
【0045】
カバー部材5は、例えば、PBT樹脂等の絶縁性を有する材料により、嵌合凹部23内の形状に沿って略円筒状に形成されている。また、カバー部材5の中間部の外周面には、ランプ本体2の一端側と口金6との間を絶縁するための絶縁部であるフランジ部51が径方向に突出して周方向全体に介在している。なお、カバー部材5の内部には、点灯回路基板41を埋没させるように放熱性及び絶縁性を有する充填材であるシリコーン系の樹脂等を充填してもよい。
【0046】
口金6は、E型のものであり、点灯回路基板41と配線により電気的に接続されており、図示しない照明器具のランプソケットにねじ込まれるねじ山を備えた筒状のシェル61と、このシェル61の頂部に絶縁部62を介して設けられたアイレット63とを備えている。
【0047】
グローブ7は、光拡散性を有するガラス又は合成樹脂等により略半球状に形成されており、ランプ本体2の他端側と連続する形状となっている。また、このグローブ7は、球状の頂部から徐々に下方に向かって拡開するように形成され、最大径位置から縮径されるように形成されている。
【0048】
以上のようなLEDランプ1では、商用電源から点灯装置4を通じて発光装置3に電力が供給される。この結果、基板31上の発光素子32が一斉に発光する。発光素子32から出射された光は、封止部材35を透過して白色光となる。白色光は、グローブ7に向けて放射されるとともに、グローブ7を透過して外部に照射される。グローブ7のうち最大径の部分を透過してランプ本体2の方向に向かう光は、リング25により反射されて光の利用方向に照射される。
【0049】
発光素子32の発光時には、熱が発生する。この熱は、基板31の裏面側からランプ本体2の取付凹部22に伝導される。ランプ本体2に伝導された熱は、放熱フィン21に伝わり放熱される。この結果、発光素子32の温度上昇が抑制され、発光効率を良好に維持できる。
【0050】
発光素子32から発生した熱によりセラミックス製の基板31及び取付部としてランプ本体2が加熱される。そうすると、基板31とランプ本体2は、材質の相違から熱膨張率に差異が生じるので、セラミックス製の基板31に応力がかかる。
【0051】
しかしながら、取付ねじ33の座面33cには、逃げ部としてスペース33dが形成され、ねじ貫通部36の縁部Eに取付ねじ33のねじ込み方向と交差する方向の力が作用するのが抑制されているので、基板31に応力が重畳的にかかるのを抑制し得る。
したがって、LEDランプ1の使用中に、セラミックス製の基板31が割れるといった不具合を回避することができる。
【0052】
以上のように本実施形態によれば、簡単な構成でセラミックス製の基板31の破損を抑制できる発光装置3及びこの発光装置3を備えたLEDランプ1を提供することができる。
【0053】
次に、図9は、上記発光装置3が複数配設された照明装置として道路灯10を示している。道路灯10は、支柱11の上端部に灯具12が取付けられて構成されている。支柱11は、道路際に立設され、灯具12から照射される光によって道路上が照明されるようになっている。灯具12内には、上記発光装置3が配設されており、発光装置3からの光が透光性のカバー13を透過して放射されるようになっている。
【0054】
このような照明装置によれば、上記発光装置3が奏する作用効果を実現することができ、また、特に、発光装置3が振動を受けやすい環境におかれることになるが、この場合にも基板31の破損を抑制することができる。
【0055】
次に、本発明の第2の実施形態について図10及び図11を参照して説明する。図10及び図11は、発光装置3の取付状態を示しており、図10は、取付ねじ33を示し、図11は、取付ねじ33によって基板31がランプ本体2に取付けられる状態をランプ本体2及び基板31を断面にして示している。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。
【0056】
図10に示すように、本実施形態の取付ねじ33には、ワッシャーヘッドねじと呼ばれるタイプのねじが用いられている。取付ねじ33は、例えば、ステンレス材料から形成されており、頭部33a、軸部33b、座面33cを一体に有している。頭部33aは、なべ形であり、頂部には十字穴33a1が形成されている。頭部33aの下側からは円筒状の軸部33bが延出していて、この軸部33bの外周にはねじ山が形成され雄ねじとして構成されている。
【0057】
座面33cは、頭部33aと軸部33cとの繋ぎ部位である首部に形成されている。座面33cは、円形の平坦状でありワッシャー形状をなして頭部33aの下面より大きな外径で鍔状に形成されている。
【0058】
図11に示すように、基板31のねじ貫通部36が取付凹部22のねじ穴26に対応して載置された状態で、取付ねじ33がねじ穴26にねじ込まれる。ねじ穴26の内周にはねじ溝が形成され雌ねじとして構成されている。
【0059】
取付ねじ33の軸部33bをねじ貫通部36に貫通させて、取付ねじ33を回動してねじ穴26にねじ込む。取付ねじ3の回動を進めると、座面33cが基板31の表面上に当接する。さらに、回動を進めると、座面33cの平坦状の部分に図示矢印Fで示すように下側方向、つまり、基板31を取付凹部22に圧接するような力が作用し、基板31が取付凹部22に固定され保持される。
【0060】
この場合、座面33cの外径が大きいため、取付ねじ33の締付けによって生じる基板31への力は、矢印Fで示すように分散され、ねじ貫通部36の縁部Eに作用する応力は抑制される。具体的には、座面33cの外径寸法Dは、ねじ穴26の穴径寸法dの2倍以上であることが好ましく、基板31表面における領域の有効利用の観点を加味すると、2倍〜4倍が好適値となる。
【0061】
したがって、座面33cの外径寸法Dをねじ穴26の穴径寸法dの2倍以上に設定する構成は、ねじ貫通部36の縁部Eに取付ねじ33のねじ込み方向と交差する方向の力が作用するのを抑制する抑制手段となっている。
【0062】
以上のように本実施形態によれば、座面33cの外径寸法Dをねじ穴26の穴径寸法dの2倍以上に設定することにより、取付ねじ33の締付けによって生じる力を分散させることができ、第1の実施形態と同様に、簡単な構成でセラミックス製の基板31の破損を抑制できる発光装置3及びこの発光装置3を備えた照明装置を提供することができる。
【0063】
次に、本発明の第3の実施形態について図12及び図13を参照して説明する。図12及び図13は、発光装置3の取付状態を示しており、図12は、取付ねじ33を示し、図13は、取付ねじ33によって基板31がランプ本体2に取付けられる状態をランプ本体2及び基板31を断面にして示している。なお、第2の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。
【0064】
図12に示すように、本実施形態の取付ねじ33には、トラスねじと呼ばれるタイプのねじが用いられている。この取付ねじ33の頭部33aは、なべ形であり大きく形成されている。したがって、頭部33aの下面側に形成される座面33cの外径が大きいものとなっている。
座面33cの外径寸法Dは、第2の実施形態と同様に、ねじ穴26の穴径寸法dの2倍以上であることが好ましく、2倍〜4倍が好適値である。
【0065】
図13に示すように、以上の構成により、座面33cの外径が大きいため、取付ねじ33の締付けによって生じる基板31への力は、矢印Fで示すように分散され、ねじ貫通部36の縁部Eに作用する応力は抑制される。
【0066】
以上のように本実施形態によれば、取付ねじ33の締付けによって生じる力を分散させることができ、簡単な構成でセラミックス製の基板31の破損を抑制できる発光装置3及びこの発光装置3を備えた照明装置を提供することができる。
【0067】
次に、本発明の第4の実施形態について図14を参照して説明する。図14は、取付ねじ33によって基板31がランプ本体2に取付けられる状態をランプ本体2及び基板31を断面にして示している。なお、第2の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。
【0068】
本実施形態の取付ねじ33には、一般的な、なべ形小ねじが用いられている。そして、取付ねじ33における頭部33aの下面と基板31の表面との間には、リング状のワッシャー33eが介在されるようになっている。したがって、このワッシャー33eによって座面33cが形成されるようになっており、座面33cは頭部33aの下面より大きな外径を有している。
座面33cの外径寸法Dは、第2の実施形態と同様に、ねじ穴26の穴径寸法dの2倍以上であることが好ましく、2倍〜4倍が好適値である。
【0069】
このように、ワッシャー33eが形成する座面33cの外径が大きいため、取付ねじ33の締付けによって生じる基板31への力は、矢印Fで示すように分散され、ねじ貫通部36の縁部Eに作用する応力は抑制される。
【0070】
以上のように本実施形態によれば、取付ねじ33の締付けによって生じる力を分散させることができ、簡単な構成でセラミックス製の基板31の破損を抑制できる発光装置3及びこの発光装置3を備えた照明装置を提供することができる。
【0071】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、第1の実施形態において、座面の逃げ部で構成される抑制手段に加え、第2の実施形態の抑制手段、すなわち、座面の外径寸法をねじ穴の穴径寸法の2倍以上とする構成を採用するようにしてもよい。また、基板に形成されるねじ貫通部は、貫通孔であっても切欠きであってもよい。
発光素子は、LED等の固体発光素子を適用できる。さらに、発光素子の実装個数には特段制限はない。
【0072】
また、上記実施形態の発光装置は、LEDランプとしての光源や屋内又は屋外で使用される各種照明器具、ディスプレイ装置等の装置本体に組込んで照明装置として構成できる。
【符号の説明】
【0073】
1・・・照明装置(LEDランプ)、2・・・取付部(ケース本体)、
3・・・発光装置、10・・・照明装置(道路灯)、
26・・・ねじ穴、31・・・基板、
32・・・発光素子(LEDチップ)、33・・・取付ねじ、
33a・・・頭部、33b・・・軸部、
33c・・・座面、33d・・・スペース、
33e・・・ワッシャー、36・・・ねじ貫通部、
E・・・縁部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子が実装されるとともに、ねじ貫通部が形成されたセラミックス製の基板と;
前記ねじ貫通部を貫通し、前記基板が取付けられる取付部にねじ込まれるとともに、ねじ込まれることにより、ねじ貫通部の縁部にねじ込み方向と交差する方向の力が作用するのを抑制する抑制手段を有して基板を取付部に保持する取付ねじと;
を具備することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記抑制手段は、取付ねじの座面の内側に形成された逃げ部であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記抑制手段は、取付ねじの座面の外径寸法が取付部に形成されたねじ穴の穴径寸法の2倍以上に形成されることにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
装置本体と;
装置本体に配設された請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の発光装置と;
を具備することを特徴とする照明装置。
【請求項1】
複数の発光素子が実装されるとともに、ねじ貫通部が形成されたセラミックス製の基板と;
前記ねじ貫通部を貫通し、前記基板が取付けられる取付部にねじ込まれるとともに、ねじ込まれることにより、ねじ貫通部の縁部にねじ込み方向と交差する方向の力が作用するのを抑制する抑制手段を有して基板を取付部に保持する取付ねじと;
を具備することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記抑制手段は、取付ねじの座面の内側に形成された逃げ部であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記抑制手段は、取付ねじの座面の外径寸法が取付部に形成されたねじ穴の穴径寸法の2倍以上に形成されることにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
装置本体と;
装置本体に配設された請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の発光装置と;
を具備することを特徴とする照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−256438(P2012−256438A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127363(P2011−127363)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
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