説明

発射ユニット及び遊技機

【課題】球の直径がばらついた場合であっても、安定した球発射強度を実現することができ、遊技者の技量発揮に資することのできる発射ユニット及び遊技機を提供すること。
【解決手段】この発射ユニット15は、球23の流下による遊技を実現するための遊技領域6bに向けて球23を弾球発射するパチンコ機2用の発射ユニット15であって、球23を発射位置19に保持する保持部材16と、発射位置19にある球23を弾球する発射槌17と、弾球された球23を遊技領域6bに向けて案内する発射レール18と、を有し、保持部材16が、球23の直径に拘わらず、球23の中心Oと発射レール18の延長方向との垂直距離Hを一定に維持する芯出し機能を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発射ユニット及び遊技機に係り、特に遊技媒体としての球を弾球発射し、その流下による遊技を実現する弾球遊技機において、発射強度の安定化を図ることのできる発射ユニット等に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機においては、弾球発射された球が遊技領域(遊技盤の表面(前面又は後面)に構成された領域であって、球の流下による遊技や演出を実現するための領域。)を流下して、その流下の過程で球が遊技領域内の障害釘(ゲージともいう。)や羽根車に衝突しつつ転回して流下方向が変化する。その結果、遊技領域上に配置された各種入賞口に球が入賞すれば所定の景品球払出しがされ、一方いずれの入賞口にも入賞せずアウト口に球が流入すれば景品球払出しはされない。遊技者は、弾球における自らの技量を発揮して、又は球の流下における偶然性を利用しつつ球の入賞及び景品球払出しを期待し、遊技を楽しむのである。
【0003】
このようなパチンコ機においては、遊技者が発射レバーや回転ハンドル(発射ハンドル)等の操作部材を操作することにより、球の発射強度の調整が可能となっている。そして、遊技者は、遊技領域内のどのあたりに球を流下させるかという狙いに応じて発射強度を調整し、その技量を発揮するのである。したがって、パチンコ機においては、遊技者の調整意図を忠実に反映させるべく、球の発射強度の安定性を確保することが重要となる。
【0004】
球発射強度が一定となるように遊技者が調整操作しても、発射ユニットにおける球発射強度がばらついてしまって、結果として球発射ごとに異なる強度になってしまうと、狙い通りに球発射を行うことができなくなって遊技者は充分な技量の発揮ができず、遊技に不満を感じてしまうこととなる。そこで、パチンコ機等の遊技機において球発射強度の安定を図るための提案として、例えば、特許文献1,2に開示のものがある。
【0005】
【特許文献1】特開2001−129165号公報
【特許文献2】特開平11−104298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示のものは、発射レールと打撃部材との芯のズレを低減するものであり、特許文献2に開示のものは、打撃槌による打撃方向を調整することにより安定発射を図るものである。しかしながら、パチンコ機において用いられる球(パチンコ球)の直径が常に一定とは限らず、ある程度のばらつきを生じてしまう場合は、発射位置に保持された球の中心位置と発射レールとの相対位置にズレを生じてしまう。
【0007】
このような場合には、発射レールと打撃槌との芯ズレを低減したり、打撃方向を調整したとしても、球ごとに打撃位置(弾球点)と球の中心との位置関係がばらついてしまい、安定した球発射を実現することが難しくなってしまう。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、球の直径がばらついた場合であっても、安定した球発射強度を実現することができ、遊技者の技量発揮に資することのできる発射ユニット及び遊技機を提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての発射ユニットは、球の流下による遊技を実現するための遊技領域に向けて球を弾球発射する遊技機用の発射ユニットであって、球を発射位置に保持する保持部材と、発射位置にある球を弾球する発射槌と、弾球された球を遊技領域に向けて案内する発射レールと、を有し、保持部材が、球の直径に拘わらず、球の中心と発射レールの延長方向との垂直距離を一定に維持する芯出し機能を有していることを特徴とする。
【0010】
芯出し機能を有する保持部材が、球の直径に拘わらずその中心と発射レールの延長方向との垂直距離を一定に維持するので、発射位置に保持される球の直径が球ごとに異なる場合であっても、安定した球発射を行うことができる。つまり、球の直径が異なる場合であっても、発射レールから球の中心までの垂直方向距離(発射レールの延長方向に対する直交方向に沿った球中心までの距離であって、以下、単に「高さ」という場合がある。)が一定となるように自動調整することができるので、発射槌が弾球時に球に接触する位置(打撃位置又は弾球点ともいう。)を安定させることができる。
【0011】
弾球点における発射槌の弾球方向を発射レールの延長方向と一致させた場合には、弾球方向の延長線上に球の中心を位置させることができ、効率よく強い発射強度で、かつ安定した発射強度で球発射を行うことができる。
【0012】
なお、この発射ユニットは、典型的にはパチンコ機等の遊技機に備えられるものであり、そのパチンコ機において用いられる球は、典型的には例えば直径11mm±0.05mm程度の寸法ばらつきを有するパチンコ球である。また、発射ユニットとしては、回転角度を検知可能に構成された回転ハンドルを遊技者が操作することにより、その検知角度に応じた発射強度で発射槌が電気的に発射動作を行う電動式のものや、発射槌と連動回転する発射レバーを遊技者が操作することにより発射強度調整を行う手動式のもの等が概念できる。
【0013】
なお、弾球点における弾球方向が球の中心又は中心近傍の所定範囲を通る場合には、弾球のエネルギーの損失が少なく効率のよい弾球を実現することができる。このような、いわゆるスイートスポットを捉えた弾球を、本願においては「適確打ち」と呼び、逆にスイートスポットを捉え損ねてエネルギー損失の大きい弾球を、本願においては「打ち損じ」と呼ぶこととする。
【0014】
保持部材が、その断面において互いに傾斜する少なくとも2つの傾斜辺を有し、各傾斜辺と各々接触する少なくとも2点で支持することにより球を各傾斜辺間に保持し、各傾斜辺の角度中心線が発射レールの延長方向と平行であってもよい。
【0015】
各傾斜辺間に保持された球は、直径が異なってもその球中心が各傾斜辺の角度中心線(すなわち、各傾斜辺の角度二等分線。)上に位置するようになっている。その角度中心線が発射レールの延長方向と平行であるので、保持部材に保持される球は、直径に拘わらずその球中心が発射レールの延長線から等距離に位置する。したがって、弾球点における発射槌の弾球方向を発射レールの延長方向と一致させた場合には、この保持部材に保持された球を効率よく強い発射強度で、かつ安定した発射強度で球発射を行うことができる。なお、各傾斜辺は、その両端部分において開口する錐台形状を呈する。また、各傾斜辺は、相互に傾斜するように配置された2つの別個の平板部材によって構成されてもよいし、円錐台形状の保持部材又は角錐台形状の保持部材の一部が、各傾斜辺を構成してもよい。
【0016】
ここで、断面とは、球の発射方向、すなわち発射レールの延長方向を含む面における断面を意味し、一般には、この発射ユニットが取り付けられる遊技機における遊技盤の盤面と平行な面における断面である。
【0017】
保持部材が、同一平面上にある少なくとも3以上の点位置で球を保持し、かつ平面の法線が発射レールの延長方向と平行であってもよい。
【0018】
保持部材により同一平面上にある少なくとも3以上の点位置で保持された球は、直径が異なってもその中心がその平面の法線上に位置する。例えば、正三角形の頂点位置にある3つの点位置で保持された球は、その直径に拘わらず中心が常に正三角形の中心(重心)を通る法線上に位置する。
【0019】
この法線と発射レールの延長方向とが平行であるので、保持部材に保持される球は、直径に拘わらずその中心が発射レールの延長線から等距離に位置する。したがって、弾球点における発射槌の弾球方向を発射レールの延長方向と一致させた場合には、この保持部材に保持された球を効率よく強い発射強度で、かつ安定した発射強度で球発射を行うことができる。
【0020】
本発明の他の例示的側面としての発射ユニットは、球の流下による遊技を実現するための遊技領域に向けて球を弾球発射する遊技機用の発射ユニットであって、球を発射位置に保持する保持部材と、発射位置にある球を弾球する発射槌と、弾球された球を遊技領域に向けて案内する発射レールと、を有し、保持部材が、球の直径に拘わらず、発射位置にある球の中心と弾球点とを結ぶ直線の方向と、弾球点における発射槌の移動方向とを一致させる芯出し機能を有していることを特徴とする。
【0021】
芯出し機能を有する保持部材が、発射位置にある球の中心と弾球点とを結ぶ直線の方向と、弾球点における発射槌の移動方向(すなわち、弾球方向。)とを一致させるので、発射位置に保持される球の直径が球ごとに異なる場合であっても、安定した球発射を行うことができる。つまり、球の直径が異なる場合であっても、弾球点における弾球方向が球の中心近傍を通るようにすることができるので、球の直径に拘わらず適確打ちを実現することができ、効率よく強い発射強度で、かつ安定した発射強度で球発射を行うことができる。
【0022】
本発明の更に他の例示的側面としての遊技機は、遊技領域をその表面に構成する遊技盤と、遊技盤を遊技者にとって視認可能となるように保持する枠体と、遊技盤に対してその前方に一定距離以上離間して配置された前面透明板と、上記の発射ユニットと、を有することを特徴とする。
【0023】
この遊技機は、上記の発射ユニットを有しているので、球の発射強度を安定させることができる。発射強度のばらつきを低減して遊技者の意図を充分に反映させた発射強度とすることができるので、遊技者にとって狙い通りの球発射を行うことができる遊技機となる。遊技者は技量を存分に発揮して遊技を楽しむことができるので、遊技の興趣増大を図ることができる。
【0024】
なお、この遊技機は、前述したように典型的にはパチンコ機であるが、もちろん球の流下による遊技を実現するあらゆる遊技機が概念される。また、パチンコ機においても、いわゆるセブン機、ハネモノ、権利モノと呼ばれるもの、雀球やアレンジボール機等の組合せ式のもの等を含んで概念される。
【0025】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、球の直径に拘わらず、弾球方向の延長線上に球の中心を位置させることができ、常に安定かつ高効率(すなわち、エネルギー損失が少ない。)な球発射を実現することができる。打ち損じを低減することができ、結果的に、遊技者が狙い通りに技量を発揮し易くなり、興趣増大を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る遊技機としてのパチンコ機2の正面図である。このパチンコ機2は、枠体3、遊技盤6、前面ガラス(前面透明板)10、貯留皿14、発射ユニット15を有している。
【0028】
なお、遊技機は、パチンコ機2の他にピンボール機、スマートボール機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、球を弾球発射し、その流下による遊技を実現することができるあらゆる遊技機を含む。なお、パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等の種々のパチンコ機を概念することができるが、本実施の形態1においては、デジパチ遊技を実現するいわゆる1種タイプのパチンコ機(セブン機ともいう。)について例示説明する。
【0029】
パチンコ機2の枠体3は、後述する遊技盤6を保持するためのもので、このパチンコ機2の周囲及び前方又はそれに加えて後方を囲むように構成される。枠体3内には、遊技盤6の他にも各種電子基板や遊技媒体用の経路等各種機構部品が配置され、枠体3によって周囲側面及び前面又はそれに加えて後方からのパチンコ機2内部への不正アクセスが防止されるようになっている。
【0030】
例えば、最外郭に配置されてパチンコ機2の周囲を囲む筐体枠4、その内側にヒンジ部(揺動支持部)22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤6を保持する機枠9、機枠9の前方にヒンジ部22によって前方開閉可能に揺動支持され、前面ガラス10とその周囲を装飾する装飾部材32とを保持する装飾枠12を有して枠体3が構成される。なお、前面ガラス10は、枠体3内部に保持された遊技盤6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材であるが、詳細は後述する。
【0031】
遊技盤6は、その遊技盤面(表面)6a側に球23の流下による遊技を実現するための遊技領域6bを構成するための盤状部材であり、遊技盤面6aを前方から遊技者にとって視認可能となるように枠体3(本実施の形態1においては、枠体3の一部としての機枠9。)に保持されている。その遊技盤面6aには略円形状に周囲を囲むようにレール飾り(不図示)が取り付けられており、レール飾りの内周面(内側面)が遊技盤面6aに対して立設するように配置されている。そして、その内側面によって画定され、内側面に面した略円形状の領域が遊技領域6bとなっている。
【0032】
遊技領域6bには、その遊技領域6b内を流下する球23と衝突してその流下方向を変更させるための多数のゲージ(障害釘、不図示。)が配置されている。また、遊技領域6b内には、普通入賞口28、始動口29等の各種入賞口、通過ゲート33、風車(不図示)等も配置されており、流下する球23が各入賞口に流入して景品球払出しの契機となったり、通過ゲート33を通過したり、風車を回転させたりすることによって、球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。
【0033】
遊技領域6b内には、センター役物7や大入賞口ユニット13も配置されている。そのセンター役物7は、図柄表示装置7aとその図柄表示装置7aの表示画面周囲に配置されるセンター飾り8とを有して構成されている。センター役物7は、遊技領域6bの略中央に配置されて通常遊技や特別遊技(いわゆる、大当り遊技)等における遊技演出を実現するものである。そのうち、図柄表示装置7aは、その表示画面に図柄や映像を表示することによって遊技演出を実現するものである。図柄表示装置7aとしては、例えば液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等を適用することができる。
【0034】
図柄表示装置7aは、遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示画面(映像表示面)上に映像表示を行うものである。この表示画面上には、例えば、3桁の数字又は文字等により構成される表示図柄7cが回転又は停止するように映像として表示される。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示画面上に表示されるようになっている。
【0035】
センター飾り8は、図柄表示装置7aの表示画面の周囲であって遊技盤面6a上に配置された樹脂製の造形体であり、例えば表示画面の周囲を囲むように配置されている。センター飾り8には、模様や色彩が付され、また、キャラクター等の造形が施されており、装飾的な演出効果を発揮するようになっている。
【0036】
後述する発射ユニット15により球23が発射されると、球23はレール飾りの内側面に沿いつつ進行して遊技領域6b内の上部に至る。その後、球23はゲージに衝突しつつ遊技領域6b内を下方に流下し、あるものは普通入賞口28に流入して一定数の景品球払出しの契機となり、あるものはいずれの入賞口にも流入せずに遊技領域6b内最下部に位置するアウト口30に流入してパチンコ機2の外部へと排出される。
【0037】
球23が始動口29に流入すると、その流入に起因して図柄表示装置7aの表示図柄7cが回転表示(特別遊技の抽選。)を開始し、その表示図柄7cが所定の態様(例えば、「7・7・7」。)で停止表示すれば、図柄変動遊技における大当たり(特別遊技)が発生する。そして、大入賞口ユニット13の開閉扉が開放して多量の入賞球を受け入れ、多量の景品球が貯留皿14へと払い出されるようになっている。
【0038】
前面ガラス10は、遊技盤6に対して一定距離以上離間して配置された透明板である。前面ガラス10は透明平板ガラスで形成されて装飾枠12の裏面側に保持され、遊技盤6との間に球23が流下する流下空間を形成する機能、遊技者が前面ガラス10を通して遊技盤6を視認できるように視認性を確保する機能、遊技者が遊技盤6に不正にアクセス(接触)できないように不正アクセスを防止する機能、を発揮する。
【0039】
貯留皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施の形態1においては上皿14aと下皿14bとを有している。上皿14aは、装飾枠12の下方に配置され、下皿14bは上皿14aの更に下方に配置されており、遊技終了時等には、球排出ボタン14cの操作に基づいて上皿14a内の球23が下皿14b内へと排出されるようになっている。
【0040】
発射ユニット15は、上皿14aから球供給装置(不図示)によって送り出された球23を発射位置に停止保持し、遊技領域6bの上部に向けて弾球発射するためのものである。図2は、このパチンコ機2の発射ユニット15の概略構成を示す模式構成図である。この図2においては、説明容易のために、部分的に断面図としている。発射ユニット15は、保持部材16、発射槌17、発射レール18を有して大略構成されており、パチンコ機2において遊技盤6の下方であって正面視右側部分(すなわち、回転ハンドル15aに近い位置。)に配置されて、実質的に機枠9に取り付けられている。
【0041】
保持部材16は、球供給装置によって送り出された球23を、発射位置19に停止保持するためのものである。保持部材16は、上部板16aと下部板16bとを有して構成されている。この上部板16a及び下部板16bは、それぞれ略平板状の部材であって互いに傾斜するように対向して配置され、この両板16a,16bの傾斜によって球23の芯出し機能が発揮されるようになっている。
【0042】
その上部板16aと下部板16bとの距離は、上端開口16c側(すなわち、球23を弾球発射した際に球23が出射する側。)において球23の直径(例えば、11mm)よりも若干大きく設定され、下端開口16d側(すなわち、発射槌17が弾球動作において進入する側。)において球23の直径よりも若干小さく設定されている。したがって、球供給装置によって発射レール18上に送り出された球23は、上端開口16cからスムーズに両板16a,16bの間に進入する。そして、下端開口16dにおいては両板16a,16b間の距離は球23の直径よりも若干小さいので、球23が下端開口16dから零れ落ちることはなく、両板16a,16b間の発射位置19に保持されることとなる。
【0043】
図3は、この保持部材16に球23が保持される様子を説明する説明図である。上部板16aと下部板16bとは、上端開口16c側が離間し、下端開口16d側が近接するように互いに傾斜しているので、その間に保持される球23のうち直径が標準的な大きさのもの(球23”)は、上端開口16cと下端開口16dとの中間近傍に保持され、直径が大きいもの(球23’)は上端開口16cに近い側に保持され、直径が小さいもの(球23)は下端開口16dに近い側に保持される。
【0044】
上部板16aと下部板16bとが為す角の角度中心線Xは、発射レール18の発射位置19近傍における延長方向(延長線L)と平行となるように設定されている。発射位置19に保持される球23’の中心O’、球23”の中心O”、球23の中心Oのいずれもが角度中心線X上に位置するので、中心O’,O”,Oから発射レール18の延長線Lまでの垂直距離H’,H”,Hが一定距離となるように構成されている。
【0045】
発射槌17は、発射位置19にある球23を弾球するための部材である。本実施の形態1においては、発射槌17は、金属製の本体17aの一部に樹脂又はバネ部材等によって弾性を付加された弾球部17bが設けられており、回転軸17cを中心に揺動回転することによって弾球部17bで球23を弾球するように構成されている。
【0046】
遊技者が回転ハンドル15a(図1参照)を回転操作することにより、その回転角度がセンサ(不図示)によって検出され、その検出値に応じた回転速度で発射槌17が回転するようになっている。回転ハンドル15aの回転角度が大きい場合は、発射槌17の回転速度が速くなり、その結果強い発射強度で球23が弾球発射される。逆に、回転ハンドル15aの回転角度が小さい場合は、発射槌17の回転速度が遅くなり、その結果弱い発射強度で球23が弾球発射される。
【0047】
発射位置19に保持された球23に弾球部17bが当接する位置(すなわち、弾球点23a。)は、発射レール18の延長線Lからの垂直距離がHとなる位置に調整されている。そして、弾球点23aにおける発射槌17の移動方向(弾球方向)Pが延長線Lと平行になるように調整されている。
【0048】
換言すれば、発射槌17における弾球部17bの揺動回転軌跡Wと発射位置19にある球23との交点(弾球点)23aが延長線Lから高さ(垂直距離)Hの位置となるように設定されている。そして、交点(弾球点)23aにおける揺動回転軌跡Wの接線方向(弾球方向)Pが延長線Lと平行になるように設定されている。
【0049】
したがって、弾球点23aにおける弾球方向Pの延長線上に球23の中心Oが位置することとなり、適確打ちを行うことができる。発射槌17の回転エネルギーの損失を低減し、効率よく球23にエネルギー伝達して球発射を行うことができる。
【0050】
ここで、球23の直径がばらついたとしても、その中心O(O’,O”)は常に延長線Lから垂直距離H(H’,H”)の位置にある。したがって、そのような場合であっても、弾球点23aにおける弾球方向Pの延長線上近傍に球23の中心Oが位置することとなり、打ち損じを生じることなく常に安定した球発射を実現することができる。なお、球23の直径のばらつきによって球23の保持位置が上端開口16c寄りとなったり下端開口16d寄りとなったりする。そのため、回転運動を行う弾球部17bが球23に当接する弾球点23aが、延長線Lから垂直距離Hの位置から僅かにズレる場合があるが、球23の中心Oが常に延長線Lから垂直距離Hの位置に維持されている(芯出しされている。)ので、そのズレによる影響は殆どない。
【0051】
発射レール18は、発射槌17によって弾球された球23を遊技領域6bの上部近傍へと導くべくレール飾りに向けて案内するためのレール部材である。発射レール18は、パチンコ機2の正面視において左側から右側にかけて下がり傾斜するように配置されている。その右側端18aにおいて保持部材16の上端開口16cと接続されるようになっており、弾球された球23が保持部材16の上端開口16cから発射レール18の右側端18aへとスムーズに案内されるようになっている。そして、発射レール18の左側端18bからレール飾りへと案内され、球23は遊技領域6bの上部へと導かれるようになっている。
【0052】
発射レール18は、典型的には正面視において直線状のレール部材であるが、設計の都合に応じて図3に示すように滑らかな曲線状のレールとしてもよい。その際、発射レール18の右側端18a近傍における接線方向が、延長線Lの延長方向として概念される。
【0053】
なお、本実施の形態1においては、図4(a)にその外観斜視図を示すように、保持部材16が上部板16aと下部板16bとを有し、球23がその上下の2点において両板16a,16bによって挟持されるように保持される例について説明した。しかしながら、図4(b)にその変形例の外観斜視図を示すように、保持部材16が中空円錐台形状とされていて、その中空内部に球23が保持されるようになっていてもよい。この場合において、遊技盤6に平行な面である保持部材16の断面における保持部材の上下内壁16e,16fが各々傾斜辺に相当することとなる。
【0054】
[実施の形態2]
図5は、本発明の実施の形態2に係る発射ユニット15の概略構成を示す模式構成図である。この実施の形態2においては、保持部材16が、発射位置19にある球23の弾球点23aと中心Oとを結ぶ直線の方向と、弾球点23aにおける発射槌17の移動方向とを一致させるように構成されて芯出し機能が発揮されている。
【0055】
発射槌17の移動は回転移動であり、その弾球部17bの軌跡Wは、円弧形状を呈する。したがって、球23の直径が異なってその保持位置が上端開口16c寄りとなったり下端開口16d寄りとなったりした場合に、弾球方向Pが僅かに上向きとなったり下向きとなったりしてしまう。したがって、本実施の形態2においては、図5に示すように、保持部材16を弾球部17bの揺動回転軌跡Wに沿うように上に凸の曲線状として、弾球方向Pのズレによるエネルギー損失を低減している。
【0056】
その結果、球23の直径が変動し、保持位置が上端開口16c寄りとなったり下端開口16d寄りとなったりしても、弾球点23aにおける弾球方向P上に球23の中心Oが常に位置するようになっている。したがって、弾球の際の発射槌17の回転エネルギーが球23の直径に拘わらず常に効率よく球23へと与えられ、安定かつ少ないエネルギー損失で効率よく球発射を行うことができるようになっている。
【0057】
なお、上記実施の形態1,2においては、発射槌17が揺動回転する場合について例示説明したが、発射槌17が発射レール18の延長線Lの延長方向に平行な方向に沿って直線的に前後移動することにより、発射位置19における球23を弾球発射してもよい。その場合、実施の形態1における「球23の中心Oと発射レール18の延長線Lの延長方向との垂直距離を一定に維持する」芯出し機能と、実施の形態2における「球23の中心Oと弾球点23aとを結ぶ直線の方向と弾球点23aにおける弾球方向Pの方向とを一致させる」芯出し機能とが同じ機能となる。実施の形態2のように、保持部材16を上の凸の曲線状としなくても、実施の形態1のように直線状とすることにより、球23の直径に拘わらずその中心Oと弾球点23aとを結ぶ直線の方向と弾球点23aにおける弾球方向Pの方向とを一致させることができる。
【0058】
[実施の形態3]
図6は、本発明の実施の形態3における発射ユニット45の概略構成を示す模式構成図である。この実施の形態3においては、発射ユニット45がいわゆる垂直発射構造とされており、パチンコ機の正面視左側下部近傍に配置されている。
【0059】
この発射ユニット45においては、発射レール48が略垂直(実質的には、図6に示すように、若干左側へ倒れて急な右下がり傾斜となっている。)に延びるように配置され、その下端48bの下方に連続するように保持部材46が位置している。保持部材46は、互いに傾斜配置される右側板46aと左側板46bとを有して構成され、両側板46a,46bの角度中心線X2が発射レール48の延長線L2に平行となるように設定されている。
【0060】
球供給装置により発射レール48上に供給された球23は、保持部材46の上端開口46cから保持部材46内部へと至り、発射位置19に保持される。保持部材46内部では、球23の直径の大きさによって、上端開口46c寄りに保持されたり下端開口46d寄りに保持されたりするが、その球23の中心Oは常に角度中心線X2上にあるように調整される。したがって、延長線Lから球23の中心Oまでの垂直距離H2は球23の直径に拘わらず一定に維持される。そのため、球23の直径に拘わらず、発射槌47は、常に安定した適確打ちを実現することができる。
【0061】
[実施の形態4]
図7は、本発明の実施の形態4に係る発射ユニット55の概略構成を示す模式構成図である。この実施の形態4においては、実施の形態3と同様に発射ユニット55がいわゆる垂直発射とされており、パチンコ機の正面視左側下部近傍に配置されている。
【0062】
この発射ユニット55の保持部材56は、発射レール58の下方に配置されて球23を下方で受け止めるように保持する。保持部材56は、その二面図を図8に示すように、正三角形の頂点位置に配置された3点の突起部56aを有し、その突起部56aが3つの点位置で球23を保持するようになっている。
【0063】
3点の突起部56aによって球23を保持するので、球23の直径に拘わらずその中心Oを常に正三角形の中心の上方に位置させることができる。すなわち、正三角形を含む平面Nの法線であって正三角形の中心を通るもの(法線X3)の上に、球23の中心Oが位置することとなる。したがって、この法線X3と発射レール58の延長線L3とを平行とすることにより、芯出し機能を発揮することができる。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施の形態及び変形例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】図1に示すパチンコ機の発射ユニットの概略構成を示す模式構成図である。
【図3】図2に示す保持部材に球が保持される様子を説明する説明図である。
【図4】図3に示す保持部材の外観斜視図であって、(a)は本発明の実施の形態1に係るものを示し、(b)はその変形例に係るものを示す。
【図5】本発明の実施の形態2に係る発射ユニットの概略構成を示す模式構成図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る発射ユニットの概略構成を示す模式構成図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係る発射ユニットの概略構成を示す模式構成図である。
【図8】図7に示す保持部材の二面図である。
【符号の説明】
【0066】
H,H’,H”,H2:垂直距離
L,L2,L3:延長線
N:平面
O,O’,O”:中心
P:弾球方向
X,X2:角度中心線
X3:法線
W:揺動回転軌跡
2:パチンコ機(遊技機)
3:枠体
4:筐体枠(枠体の一部)
6:遊技盤
6a:遊技盤面(表面)
6b:遊技領域
7:センター役物
7a:図柄表示装置
7c:表示図柄
8:センター飾り
9:機枠(枠体の一部)
10:前面ガラス(前面透明板)
12:装飾枠(枠体の一部)
13:大入賞口ユニット
14:貯留皿
14a:上皿
14b:下皿
14c:球排出ボタン
15,45,55:発射ユニット
15a:回転ハンドル
16,46,56:保持部材
16a:上部板
16b:下部板
16c,46c:上端開口
16d:下端開口
16e:上内壁
16f:下内壁
17,47:発射槌
17a:本体
17b:弾球部
17c:回転軸
18,48,58:発射レール
18a:右側端
18b:左側端
19:発射位置
22:ヒンジ部(揺動支持部)
23,23’,23”:球
23a:弾球点
28:普通入賞口
29:始動口
30:アウト口
32:装飾部材
33:通過ゲート
46a:右側板
46b:左側板
48b:下端
56a:突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
球の流下による遊技を実現するための遊技領域に向けて該球を弾球発射する遊技機用の発射ユニットであって、
前記球を発射位置に保持する保持部材と、
該発射位置にある前記球を弾球する発射槌と、
弾球された前記球を前記遊技領域に向けて案内する発射レールと、を有し、
前記保持部材が、
前記球の直径に拘わらず、前記球の中心と前記発射レールの延長方向との垂直距離を一定に維持する芯出し機能を有している発射ユニット。
【請求項2】
前記保持部材が、その断面において互いに傾斜する少なくとも2つの傾斜辺を有し、該各傾斜辺と各々接触する少なくとも2点で支持することにより前記球を前記各傾斜辺間に保持し、該各傾斜辺の角度中心線が前記発射レールの延長方向と平行である請求項1に記載の発射ユニット。
【請求項3】
前記保持部材が、同一平面上にある少なくとも3以上の点位置で前記球を保持し、かつ該平面の法線が前記発射レールの延長方向と平行である請求項1に記載の発射ユニット。
【請求項4】
球の流下による遊技を実現するための遊技領域に向けて該球を弾球発射する遊技機用の発射ユニットであって、
前記球を発射位置に保持する保持部材と、
該発射位置にある前記球を弾球する発射槌と、
弾球された前記球を前記遊技領域に向けて案内する発射レールと、を有し、
前記保持部材が、
前記球の直径に拘わらず、前記発射位置にある前記球の中心と弾球点とを結ぶ直線の方向と、該弾球点における前記発射槌の移動方向とを一致させる芯出し機能を有している発射ユニット。
【請求項5】
前記遊技領域をその表面に構成する遊技盤と、
該遊技盤を遊技者にとって視認可能となるように保持する枠体と、
前記遊技盤に対してその前方に一定距離以上離間して配置された前面透明板と、
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の発射ユニットと、を有する遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−240356(P2009−240356A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87332(P2008−87332)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】