説明

発泡マトリックスを有する植物用プラスター

本発明は植物に対して浸透性の活性物質を適用するためのプラスターに関し、活性物質を含むそのマトリックスは発泡し、そして、特に、活性物質を含むホットメルト接着剤より成る。その柔軟性と接着性に基づく該プラスターは、活性物質を木の幹又は枝に適用するために適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物、特に木の処理用の浸透性の活性物質を投与するためのデバイス、好ましくはパッチ形状のデバイス、に関する。前記パッチは、フォーム状構造を有する活性物質含有マトリックスで識別される。
【背景技術】
【0002】
浸透性の活性物質を植物に投与するためのパッチは公知である。
【0003】
そのために、特許文献1は、植物への活性物質のクチクラ透過塗布用のデバイス、及び殺真菌性、除草性、殺虫性、及び/又は、殺ダニ性を有する活性物質で植物を処理する方法を開示している。デバイスは活性物質を蓄える活性物質支持体の形状をなしており、活性物質支持体の表面は植物表面に対して接触層となる様に設計され、その層により活性物質が植物にデリバリーされる。装置は、更に、自己接着層をも特徴とすることができ、そして、その接触面積は高々20cm2である。
【0004】
特許文献2は、植物処理用のパッチ製剤を開示しており、その製剤は農業化学的に活性な物質、少なくとも1つの接着剤、必要に応じて、1つ又はそれ以上の添加剤の層を特徴とし、この層内でこれらの物質が固体マトリックス中に拡散していく。
【0005】
これらの植物用パッチは、活性物質を比較的剛直なポリマーマトリックス(例えば、PVC、ポリプロピレン又はポリブタジエン)中に含み、それは、これらのパッチの、例えば、葉の表面、又はまだ滑らかで、緑色の野菜植物の茎表面などの平らな表面への適用などにその有用性が限定されている。
【0006】
特許文献3は、裏打ち層と活性物質支持体から成るデバイスを開示し、それは植物への浸透性のある活性物質をデリバリーするための植物表面への接触層として機能する。装置は成形可能な活性物質用の貯蔵区画を有し、それ自身を、起伏のある表面に成形し、そして、硬化した二次表皮組織より構成され、クチクラで被覆されない植物の表面全体に活性物質をデリバリーすることを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP 0 254 196 B1
【特許文献2】EP 0 734 650 B1
【特許文献3】DE 39 22 366 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
記載した全てのデバイスは改良、特に、植物の幹又は枝への有用性の観点からの改良が可能であり、特に、比較的大きい直径と外周を有し、そして樹皮中に深い亀裂を進行させていく傾向のある古木への観点からの改良が可能である。この状況は、好ましくは、比較的大きい、活性物質含有の接触面積を有するデバイス、即ち、比較的に大きいパッチの使用を必要とするので、この改良の可能性は、パッチの接着特性、可塑性、及び、加工性に適用され、後者は、また、外皮、コルク、又は樹皮などの二次表皮組織より成る高度に不規則な表面を有する幹又は枝への使用に適している。最外層(コルク)は剥がれることなく、蓄積され、そしてリング状の樹皮(例えば、ベイスギ(Thuja plicata)の場合)、殻皮(セイヨウカジカエデ(Acer pseudoplatanus)、セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)、又は網状樹皮(例えば、フユナラ(Quercus petraea))へ進行することになる木には特に必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明の目的は、従来技術の不都合を避けながら、浸透性の活性物質を二次表皮組織を有する植物の幹及び枝へデリバリーするために特に好適なデバイスを提供することである。特に、デバイスは、比較的に大きい表面を含む、木質化した、起伏の激しい表面に確実に固定されるように、良好な接着特性と高弾性を有しなければならない。
【0010】
この目的は、活性物質を植物に、好ましくは、パッチ形状で適用するための本発明に記載のデバイスを提供することにより達成され、このデバイスは発泡した活性物質含有マトリックスを有することを特徴とする。活性物質含有マトリックスは、少なくとも1つのポリマー、及び/又は、エラストマー、好ましくは、活性物質含有の接着性組成物、そして、特に好ましくは、活性物質含有のホットメルト接着剤を有する活性物質含有組成物の形態を取る。
【0011】
本発明に記載のパッチは、植物又は木用のパッチに相当する。それは、マトリックス中に存在する浸透性の活性物質が、幹、枝、葉又は茎を通して植物へ進入し、そして、植物の維管束系内に分布されるように、植物と密着させられる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
パッチは、裏打ち層、活性物質含有マトリックス、及び活性物質含有マトリックスを貯蔵及び輸送のために保護する可剥性保護層を含む。接着性の、接着剤含有の被覆層は、更に、この保護層とマトリックスの間に位置し得る。しかしながら、本発明に記載のパッチの場合は、この被覆層は、マトリックスが自己接着性である場合、好ましくは、無して済ますことができる。裏打ち層も、また、マトリックス中に存在する活性物質が、特に、耐水性、又は耐候性に優れている場合、又はパッチが開放状態で使用されない場合、無しで済ますことができる。
【0013】
好ましくは活性物質に対して影響されない裏打ち層は、植物から見て反対側でパッチの構成を終了する。裏打ち層を形成するのに適切な材料は、ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)又はポリスチレン(PS)など)、紙、薄い金属箔(例えば、アルミニウム製)又は上記材料の複合材料である。裏打ち層は、パッチが植物上で明確に視認できるように着色されていてもよい。
【0014】
更なる実施態様において、裏打ち層は、例えば、金属又は繊維挿入物を用いて、ラミネートを安定化させるための支持層として機能するように設計できる。特別の実施態様において、裏打ち層の面積は、次の活性物質含有マトリックスのそれより大きく、そして、その裏面を感圧性接着剤でコーティングされる。それにより、同時に活性物質含有マトリックスを植物に付着するよう機能する。この実施態様において、更に別個の接着層を無しで済ますこともできる。
【0015】
活性物質に対する貯蔵区画、又は支持体として機能する活性物質を含むマトリックスは、1つの層又は複数の層から成り、全ての層が活性物資を含有することは必要とはしない。複数の層から成るマトリックスは、異なった活性物質を含んでもよく(例えば、2つの独立した層における2つの別個の活性物質)、そして、活性物質組み合わせの貯蔵槽を形成することができる。
【0016】
1つのマトリックス層、又は複数のマトリックス層は、更に、活性物質の放出を加速する又は遅延する手段を含んでもよい。適切な放出加速物質としては、ブチロラクトン、N−メチルピロリドン(NMP)及びN−オクチルピロリドン(NOP)が挙げられる。
【0017】
マトリックス物質は、好ましくは、少なくとも1つのポリマー又はエラストマーから成り、それには、例えば、自己接着性(即ち、感圧性接着剤)の活性物質含有マトリックスとなるようにするため、粘着性付与剤を加える。また、マトリックスは、自己接着性、即ち、感圧性の接着性ポリマーからあってもよい。適切な組成物及びガラス転移温度を有するポリマーは当業者に公知である。
【0018】
マトリックス材料として、接着性組成物を使用することは特に好ましい。マトリックス材料は自己接着特性(=「感圧性接着性」)を有し、パッチにおける追加の接着層の使用は、その様な場合、無しで済ますことができる。また、使用前に引き剥がされる保護フィルムは、この場合、活性物質含有マトリックスに直接適用できる。
【0019】
有利に使用できる接着性組成物は、天然及び合成のラテックス(エラストマー)、及びエチレン/酢酸ビニルコポリマー(好ましくは、20〜65%の間の酢酸ビニル含量を有するコポリマー)、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリビニル誘導体、ポリエステル、又はシリコーンなどのその他の合成ポリマーと、接着性樹脂、可塑剤、安定化剤、及び必要に応じて、その他の助剤などの対応する添加剤に基づく熱可塑性のホットメルト型感圧性接着性組成物である。
【0020】
適切なポリマーとしては、また、ホットメルトとして知られているホットメルトタイプの接着剤を含む。これらは物理的に調整された、室温で、固体の溶媒無しの形態中で単一成分として存在する接着性組成物である。種々のポリマー及びコポリマーは、ホットメルトタイプの接着剤用出発原料として利用可能であり、特に、a)エチレン/酢酸ビニル、エチレン/COコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/CO三元コポリマー、エチレン/アクリラート/CO三元コポリマー、プロピレン/ヘキセンコポリマー、ポリブテン、SIS/SBSコポリマー、熱可塑性エラストマー及び非晶性ポリオレフィンなどのポリマー及びコポリマー、b)線状熱可塑性ポリウレタンなどの重付加体、及びc)コポリエステル、ポリアミド樹脂、コポリアミド、ポリアミド/EVAコポリマー、ポリアミド/シロキサンコポリマー、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエステルアミド/イミン及びポリエーテルアミドなどの重縮合体などが利用可能である。その様なホットメルトタイプの接着剤は当業者に知られており、例えば、G.Habenicht: “Kleben”, 5th Ed., Springer Verlag, Berlin Heidelberg, (2005) p.206215より知られている。これらのホットメルトタイプの接着剤は、「ホットメルト接着剤」として本明細書に参照される。それらは、室温で感圧性の接着剤であり、それ故、室温では非粘着性で、加熱により液化し、冷却により、固化して結合を形成するヒートシール組成物(この文脈において意味するものではない)とは異なるものである。
【0021】
その軟化温度は50℃より高くなければならず、何故なら、「加工温度」は、一般的にはより高く、好ましくは、90℃以上であり、そして特に好ましくは110〜150℃の間である。好ましくは、軟化温度は70〜85℃の間である。必要に応じて、UV又は電子ビーム照射による後架橋が適切であるかも知れない(本明細書において、「加工温度」は、気体がポリマー又はエラストマーの溶融体に導入される温度を意味すると理解される)。
【0022】
特に好ましいのは、ホットメルト接着剤(また、ホットメルト自己接着剤又はホットメルト感圧性接着剤(HMPSAs)とも称される)である。ブロックコポリマーに基づくこれらの材料は、室温においても、「感圧性接着特性」を有するという利点を持っている。それらは、広範囲の可能な用途で識別され、何故なら、粘着性付与剤、可塑剤の選択、ポリマー分子のサイズ、使用した成分の分子量分布の結果として、ホットメルト接着剤のガラス転移温度を特異的に低下させて、意図した要求に合致させるために必要な接合が、臨界点でも確保されるからである。
【0023】
ホットメルト接着剤の高せん断力は、ポリマーの高凝集力により達成される。良好な粘着性は、使用した粘着性付与剤及び可塑剤の範囲の結果である。
【0024】
特に顕著な接着特性を有する系に対して、ホットメルト接着剤は、好ましくは、ブロックコポリマー、特に、A−B、A−B−Aブロックコポリマー又はこれらの混合物に基づくものである。硬質相Aは、主として、ポリスチレン又はその誘導体であり、一方軟質相は、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン又はこれらの混合物を、特に好ましくは、エチレン及びブチレン、又はこれらの混合物である。しかしながら、ポリスチレンブロックは、また、軟質相B中に、即ち、20質量%まで存在してもよい。しかし、全スチレン含量は、常に、35質量%以下でなければならない。低スチレン含量が接着性組成物をより粘着性にするので、5〜30質量%のスチレン含量が好ましい。特注製産したジブロック及びトリブロックコポリマーの混合物が特に有利で、ジブロックコポリマーの含量は80質量%以下が好ましい。有利な実施態様において、ホットメルト接着剤は下記に特定された組成を有する:
−10〜90質量%のブロックコポリマー;
−5〜80質量%の粘着性付与剤;
−60質量%未満の可塑剤;
−15質量%未満の添加剤;
−5質量%未満の安定化剤;及び
−0.5〜50質量%の活性物質(活性物質含有マトリックスの組成物を完成する)
【0025】
粘着性付与剤として機能する脂肪族又は芳香族油、ワックス、及び樹脂は、好ましくは、液状炭化水素、炭化水素ワックス及び炭化水素樹脂、又はそれらの混合物である。中鎖又は長鎖の脂肪酸及び/又はこれらのエステルは、可塑剤として使用される。これらの添加剤は、接着特性及び安定性を調整するために提供される。
【0026】
その上、更に、先行技術で記載された、例えば、可塑剤、増粘剤、膨潤剤、活性物質用浸透加速剤、可塑剤、保存剤、殺菌剤、pH調整剤、酸化防止剤、安定化剤、架橋剤、充填剤、及び/又は、フォーム安定化剤などの補助剤及び添加剤はマトリックス物資に加えてもよい。その様な物質は、特にドイツ特許公開第3922366A1号(例えば、コラム4、47行〜コラム6、40行)に記載されている。この資料は、本明細書の構成要素として、明確に参照され、組み入れられる。更に、この文脈における先行技術の資料としては、最初に引用した、欧州特許第0254196B1号及び欧州特許第0734650B1号があり、それらは、また、開示目的に対して、明確に参照される。
【0027】
接着性組成物に鉱物フィラー、繊維、中空微小球体又は固体の微小球体を充填することは可能である。
【0028】
ホットメルト接着剤は、好ましくは、50℃未満、好ましくは、70〜220℃の軟化点を、特に好ましくは、75〜120℃の軟化点を有する。
【0029】
ホットメルト接着剤は、好ましくは、10℃未満の、好ましくは、0〜−30℃、特に好ましくは、−6〜−25℃の、周波数0.1rad/sの条件下での動的複合ガラス転移温度を有する。接着特性に関して、本発明に記載のパッチに高い要望があるので、ホットメルト接着剤は、容易に使用できるようにするため、良好な粘着特性を有するべきである。
【0030】
植物と支持体/裏打ち材の裏側への、意図した要求特性に合致させなければならない必要な接合は、粘着性付与剤、可塑剤及びポリマー分子のサイズ、使用した成分の分子量分布の選択の結果として、ホットメルト接着剤のガラス転移温度の目標とする低下で達成される。
【0031】
本発明に記載のパッチは、マトリックスが発泡していることに特徴がある。これは、上記のエラストマー、及び/又は、ポリマーから成るマトリックス、並びに、本発明による好ましい接着性組成物、特にホットメルト接着剤の両者に適用される。
【0032】
フォーム構造の生成は、そのようなホットメルト接着剤に関して、以下により詳細に説明されるであろう。これは他の物質に対しても適用できる。
【0033】
活性物質は、加熱された撹拌容器中で、又は、例えば、加熱されたニーダー又はスクリュー系などの加熱されたホモジナイザー中で、好ましくは、接着性組成物中に分配される。一旦接着性組成物の製造が完了したら、活性物質を加えてもよい。しかし、活性物質は、また、中間体段階で、又は出発混合物中に導入してもよい。
【0034】
活性物質と共に提供されるエラストマー、ポリマー、又は接着性組成物は、好ましくは、窒素、二酸化炭素、希ガス、炭化水素若しくは空気、又はこれらの混合物などの不活性気体で発泡させられる。あるケースにおいては、アゾ、カーボナート、及びヒドラジド化合物などの気体発生物質の熱分解による付加的発泡が適切であると判明している。
【0035】
発泡率、即ち、マトリックス中の気体含量は、少なくとも、5容積%であり、そして、85容積%まで増加させてもよい。実際に、10〜75容積%の間の値、好ましくは50容積%までが有用であることが判明した。この特性は、組成を構成している成分、又は加工温度若しくは気体の発泡特性などの技術的パラメータによって調整される。接着性組成物又はエチレン−酢酸ビニルに基づくホットメルト接着剤は、好ましい発泡率を達成するために特に好適である。
【0036】
これらの組成物は、有利に加工され、即ち、50〜80℃の間の温度で軟化及び溶融される。更に、発泡率を調整するための決定的なパラメーターは、搬送された活性物質含有の接着性組成物が発泡気体に対抗する圧力である。
【0037】
フォーム構造を有するマトリックス中の気体のバブルサイズは、加工温度及び気体圧力に依存し、0.05〜3mm(直径)の範囲で変化してもよく、その範囲は0.2〜1.5mmが有利で、0.5〜1mmの範囲が特に好ましい。
【0038】
異なったバブルサイズが存在するため、バブルの分布は比較的不均一である。
【0039】
発泡したホットメルト接着剤は圧縮しなくても冷却するので、気体のバブルは、損傷されずに残っており、それは安定したフォームの生成に寄与する(軟質フォームとは対照的に)。この特性により、活性物質含有マトリックスは、また、パッチの全適用期間中、その発泡特性を一貫して保持する。発泡組成物は有利に冷却され、それは冷却した支持体、又は冷却したローラーにより達成できる。また、発泡した組成物を冷却トンネルを使用して、支持体上へ移送することは非常に好都合であることが判明した。適切な冷却温度は室温(20〜22℃)、又は室温未満(0〜20℃)の温度である。追加の冷却トンネルを使用することは、特に生成物がロール形状を生成する場合、非常に有利である。
【0040】
フォームは、連続気泡、半連続気泡、又は独立気泡のミクロ構造を有している。連続気泡構造は、パッチから揮発性の活性物質の放出を助けることができるので好ましい。
【0041】
本発明に記載のマトリックスの有利な特性は(発泡構造、感圧性接着特性)、接着剤の消耗が少なく、起伏のある表面に対してさえ、高い粘着性及び良好な密着性を有する。また、発泡マトリックスのある程度の弾性、ある程度の可塑性は、場合により、活性物質のパッチ分野において活用できる。
【0042】
発泡構造の更に有利な点は、活性物質の移送が、フォーム中の小胞の結果として急激に増加することであり、それにより、非常に良好な放出率が達成できる。
【0043】
本発明に記載の発泡接着性組成物を製造するための特に好適な方法は、フォーム混合原理により操作される。ここで、例えば、熱可塑性の接着性組成物は、例えば、窒素、空気又は一酸化炭素などの対象とする気体と、種々の容積比(約10〜80容積%)において、スターター/ローター系で高圧下、軟化点より高い温度(約120℃)で反応させる。
【0044】
気体の前圧は100barより高いけれども、系における気体/熱可塑性樹脂の混合圧力は40〜100bar、好ましくは40〜70barになる。かくして製造された「発泡接着性組成物」は、製造ラインを通して、アプリケーターユニットに到達する。市販のノズル、押出機系、又はチェンバー系(この文脈においては、例えば、ドイツ特許公開第19749467A1号参照)は、アプリケーターユニットに使用できる。
【0045】
更に、本発明に一致する適切な発泡性の熱可塑性接着性組成物、及び適用方法、及びデバイスは、例えば、米国特許第4059,714号、及び米国特許第4200207号に記載されている。
【0046】
本発明のために特に有利であり特に好適な発泡性熱可塑性ホットメルト接着剤の製造及び適用のためのデバイスを含む方法が、国際公開第2004/069424A2号に記載されている。この方法は、発泡性活性物質含有マトリックスのウェブ状の支持体(例えば、本発明に記載のパッチの裏打ちフィルム又は独立した支持体層)への注意深い適用を可能とし、それにより、より大きく適用プロファイルを創造することが可能となる。これは、厚くて、同時に適合性のある層が製造でき、その中に、当然、比較的に高含量の活性物質(非常に長い適用期間を有するパッチに対して、それは、単一の適用のための徐放性処方として設計されている)を組み入れることができることを意味する。
【0047】
本発明に記載のパッチは、原理的に植物の保護に使用されている全ての浸透性活性物質、又は活性物質の組合せを適用することに適している。その様な活性物質、例えば、殺ウイルス性、殺菌性、殺真菌性、殺ダニ性、及び殺虫性の活性物質は当業者に公知であり、そして、例えば、Bundesamt fuer Verbraucherschutz und Lebensmittelsicherheit [German Federal Office for Consumer Protection and Food Safety]において出版された、ドイツでの認可植物保護製品のリストに記載されている。
【0048】
これらの活性物質としては、特に、アバメクチン, アセキノシル、アセタミプリド、アクロニフェン、リン化アルミニウム、アミドスルフロン、アザジラクチン(ニーム)、アゾキシストルビン、安息香酸、β−シフルトリン、ビフェントリン、ボスカリド、ブロモキシニル、ブロムコナゾール、 ブプロフェジン、カルフェントラゾン、クロリダゾン、クロルピリホス、クロフェンテジン、クロチアニジン、シフルトリン、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、デルタメトリン、ジカンバ、ジクロルボス、ジフェノコナゾール、ジフルベンズロン、ジメトアート、ジメトモルフ、エポキシコナゾール、フェナリモール、フェンプロピジン、フルフェナセット、フルキンコナゾール、ホセチル、グリホサート、イマザリル、イミダクロプリド、イプロジオン、クレソキシム−メチル、λ−シハロトリン、メトコナゾール、ペンコナゾール、ピリミカルブ、プロパモカルブ、ピメトロジン、ピラクロストロビン、ピレトリン、 スピノサド、テブコナゾール、テブフェノジド、テフルトリン、テルブチラジン、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チアクロプリド、チアメトキサム、チフェンスルフロン、 チオファナート−メチル、トリルフルアニド、トリフロキシストルビン、トリチコナゾール、及びζ−シペルメトリンが挙げられる。
【0049】
特に好ましくは:アセタミプリド、クロチアニジン、ジフェノコナゾール、ジメトアート、ジメトモルフ、エポキシコナゾール、フェンプロピジン、フルフェナセット、フルキンコナゾール、ホセチル、イミザリル、イミダクロプリド、イプロジオン、クレソキシム−メチル、λ−シハロトリン、メトコナゾール、テチラコナゾール、チアベンダゾール、チアクロプリド及びチアメトキサムがある。
【0050】
活性物質、又は活性物質類は、例えば、マトリックス組成中での微小カプセル中に、溶解し、分散し、乳化し、又は分配する。
【0051】
本発明に記載の植物保護パッチを特徴付ける主要な特性は、発泡性の活性物質含有マトリックスであり、これにより、種々の利点が得られる。第一に、それは、パッチに非常に高度の柔軟性及び成型性を付与し、即ち、また、非常に大きいマトリックス面積を有する柔軟性のあるパッチの製造を可能とすることである。
【0052】
また、パッチは、比較的大量の活性物質を貯蔵することに適しており、それにより、長期間の適用を可能とする。
【0053】
そのフォーム構造のため、少なくとも1層として存在するマトリックスは、比較的に厚い。その様な層の厚さは、1mm〜15cmに伸びてもよく、3mm〜2cmは好ましい厚さである。
【0054】
活性物質含有マトリックス物質の施用量(面積当たりの質量)は、好ましくは、50〜1000g/m2の間であり、特に好ましくは、350〜700g/m2の間である。その上、発泡マトリックス構造は、感圧性仕上げの活性物質含有マトリックスの接着性(粘着性)を顕著に上昇させ、それにより、パッチの適用領域が、また、拡大する。
【0055】
活性物質含有マトリックスは、一個の構成に設計されてもよく、又は、例えば、間に入るマトリックスの無いエリアと共に、ダイアモンド、立方体などの構造を特徴としてもよく、それによりパッチの柔軟性が同じように影響を受ける。好ましい実施態様において(図1参照)、パッチは、互いに独立した別個のマトリックスエリアを有する連続製品として生産できる。引き裂き線はこれらのマトリックスエリアの間で提供され、それにより、使用者自身が、その用途に具体的に適用される所望の長さのパッチを作り出すことができる(例えば、厚くて、木質化した幹に適用される木用のパッチとして)。
【0056】
それ故、本発明は、また、浸透性の活性物質の植物への、特に木への、その幹又は枝を経由したデリバリーのための本発明に記載のデバイス、又はパッチの使用に関する(木用パッチ)。
【0057】
本発明は、より詳細に、次に示す実施例で説明するが、しかしそれに限定されない。実施例で特定したパラメーターは、本来は一般的なものであり、そして、明細書で記載した1つ又はそれ以上の本発明に記載の特徴と結びつけられる。
【0058】
図1は本発明に記載の植物保護の可能な実施態様を示す。活性物質含有マトリックスを有する部分(1)(それぞれの場合の面積は、2.5gの活性物質を有して12.5cm×10cm;活性物質含有の発泡性マトリックス材料の適用割合は690g/m2;発泡率は50〜70容積%;層の厚さは1.2mm)は、マトリックスの無い部分で遮断される、即ち、例えば、フィルム支持体/裏打ち層(2)は、ここでは、目にみえるようになる。この具体的な場合におけるマトリックス部分の間の距離は、例えば、20mmであり、そして、上端及び下端で突き出ているフィルムの幅は(これらの部分は、また、接着仕上げであってもよい)、例えば、20mmである。引き裂き線(例えば、ミシン目)(3)は、マトリックスの部分の間に位置付けられてもよく、それにより、使用者自身が、いかなる長さのパッチも製造できる。ここで、パッチの全サイズは、例えば、58cm×14cmである。
【0059】
〔実施例1〕
ホットメルト接着剤の形態における発泡性の活性物質含有マトリックス物質(全量:750g)は、以下の成分より製造した。
Abitol(登録商標) E 30.5質量%
Dertophene(登録商標) T105 19.5質量%
Evatane(登録商標) 40−45 15%質量%
N−メチルピロリドン 5質量%
ジメトアート(活性物質) 30質量%
成分は上記で記載順に、85℃以下で溶融し、そして撹拌した熱容器中で均一化した。
【0060】
溶融装置において、調製された組成物を必要温度まで加熱し、その後、加熱を継続した。適切なポンプ、この場合ギヤポンプ、を用いて、それを発泡ユニットへ運んだ。発泡ユニットの中心部は混合工程である。二段階のギアポンプ構造により、第一段階で溶融接着性組成物を計量するのが可能であるばかりでは無く、第二段階で溶融接着性組成物を気体と混合し、その後、混合物を均一化することが可能であった。加熱圧力管内で、生成したフォームを、特に設計した塗布システムを用いて支持体材料に塗布した。塗布システムは、ライン制御システムを経由して制御され、そして、全面積に亘っても、及び断続的にもコーティングすることも可能であった。コーティングした後、ウェブは、更なる加工、この場合はロールストックの製造が可能となる、温度まで冷却できる。
【0061】
発泡率は、50〜70容積%である。活性物質含有マトリックスのフォームを、図1に示す様に支持体に、約1.2mmの層厚に適用した。適用割合は690g/m2であった。これにより、寸法が14cm×58cmの、未だマトリックスの無い表面に、可剥性保護フィルム付きのパッチを生み出した。そのサイズ及び加工性により、このパッチは、木用のパッチとして極めて適切である。
【0062】
〔実施例2〕
ホットメルト接着剤の形態における発泡性の活性物質含有マトリックス材料(全量:750g)は、次の成分より調製された:
Abitol E 25.00質量%
Dertophene T105 30.00質量%
Evatane 40−45 20.00質量%
NMP 11.11質量%
N−オクチルピロリドン 5.56質量%
アセタミプリド(99.8%) 8.33質量%
【0063】
成分は上記で記載順に、120℃以下で溶融し、そして撹拌した熱容器中で均一化した。適切なポンプ、この場合ギヤポンプ、を用いて、それを発泡ユニットへ運んだ。発泡ユニットの中心部は混合工程である。二段階のギアポンプ構造により、第一段階で溶融接着性組成物を計量することが可能であるばかりで無く、第二段階で溶融接着性組成物を気体と混合し、その後、混合物を均一化することも可能であった。加熱圧力管内で、このように生成したフォームを、特に設計した適用システムを用いてウェブ状の支持体材料に適用した。適用システムは、ライン制御システムを経由して制御され、そして、全面積に亘っても、及び断続的にもコーティングすることが可能であった。コーティングした後、更に加工して個々のパッチを製造できるように、ウェブを約7℃の温度まで冷却した。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に記載の植物保護の可能な実施態様を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物保護に使用できる、少なくとも1つの浸透性活性物質を有する発泡性の活性物質含有マトリックスを含む活性物質含有パッチ。
【請求項2】
活性物質含有マトリックスが少なくとも1つのポリマー及び/又はエラストマー、好ましくは、接着性組成物を含むことを特徴とする請求項1に記載のパッチ。
【請求項3】
活性物質含有マトリックスが、ホットメルト接着剤で、且つ50℃より高い軟化温度を有する接着性組成物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のパッチ。
【請求項4】
活性物質含有マトリックスが、天然及び/又は合成ゴム、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリビニル誘導体、ポリエステル又はシリコーンを基にしたホットメルト接着剤を含む接着性組成物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパッチ。
【請求項5】
活性物質含有マトリックスが、ポリマー及びコポリマー、重付加物及び重縮合物のグループからのホットメルト接着剤である接着性組成物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のパッチ。
【請求項6】
活性物質含有マトリックスが、A−B又はA−B−Aブロックコポリマーを基にしたホットメルト接着剤を含む接着性組成物を含有し、ここで、相Aがポリスチレン又はポリスチレン誘導体であり、そして相Bが、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン又はイソプレンを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のパッチ。
【請求項7】
活性物質含有マトリックスの発泡率が10〜75容積%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のパッチ。
【請求項8】
活性物質含有マトリックスの層厚が1mm〜15cm、好ましくは3mm〜2cmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のパッチ。
【請求項9】
活性物質含有マトリックスが、分離している区域中に存在し、そして互いに分離することが可能であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のパッチ。
【請求項10】
裏打ち層及び可剥性保護層を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のパッチ。
【請求項11】
次の工程:
a)少なくと1つのポリマー及び/又はエラストマー、及び植物の保護に使用できる浸透性活性物質からなる活性物質含有溶融物を製造し;
b)a)で特定された溶融物の発泡のため、気体を導入し;
c)発泡組成物を支持体へ適用し;そして
d)活性物質含有発泡性マトリックスを生成した発泡組成物を冷却すること;
を含む活性物質含有パッチの製造方法。
【請求項12】
工程a)が、ポリマー又はエラストマーの軟化温度以上の温度、好ましくは、50℃以上の温度、特に好ましくは70〜85℃の間の温度で実施されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
工程b)が、高圧下で、好ましくは、100bar以上の圧力下で実施されることを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
工程b)による気体の導入が、ポリマー又はエラストマーの軟化温度以上の加工温度、好ましくは90〜150℃の間の温度で実施されることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
工程c)において、発泡組成物が、一定の厚さで、好ましくは、1mm〜15cm、特に好ましくは、3mm〜2cmの間で支持体に適用されることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
工程b)が、発泡率が5〜85容積%、好ましくは10〜75容積%となるような気体量を用いて実施されることを特徴とする請求項11〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
浸透性の活性物質を植物に対して適用するための請求項1〜10のいずれか1項に記載のパッチの使用。
【請求項18】
植物が木であることを特徴とする請求項16記載の使用。
【請求項19】
適用が木の幹又は枝を経由して実施される請求項16又は17記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−501956(P2011−501956A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531455(P2010−531455)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/009144
【国際公開番号】WO2009/056300
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(509275781)アイシーエス・イノベイティブ・ケア・システムズ・アンダーナッハ・ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】