説明

発泡体用組成物および発泡体

【課題】高い発泡倍率を有し、発泡後の引張強さ、引裂強さおよび耐圧縮永久歪等の物性にも優れる発泡体用組成物の提供。
【解決手段】含窒素複素環およびカルボニル基を含有する側鎖を有する熱可塑性エラストマー(A)と、熱膨張性マイクロカプセル(B)とを含有する発泡体用組成物であって、
前記熱膨張性マイクロカプセル(B)の含有量が、前記発泡用組成物の全体の質量に対して0.01〜20質量%である発泡体用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡体用組成物および発泡体に関し、詳しくは、温度変化により架橋形成および架橋解離を繰り返し再現しうる特性(以下、「リサイクル性」という場合がある。)を有する熱可塑性エラストマーを含有する発泡体用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護や省資源等の立場から、使用済み材料の再利用が望まれている。
架橋ゴム(加硫ゴム)は、高分子物質と架橋剤(加硫剤)とが共有結合した安定な三次元網目構造を有するため非常に高い強度を示すが、強い共有結合による架橋のため再成形が難しいことが知られている。
一方、熱可塑性エラストマーは、物理的架橋を利用するものであり、予備成形等を含む煩雑な加硫・成形工程を必要とせずに、加熱溶融により容易に成形加工することができることが知られている。
そして、このような熱可塑性エラストマーの典型例としては、樹脂成分とゴム成分とを含み、常温では微結晶の樹脂成分が三次元網目構造の架橋点の役割を果たすハードセグメントとなり、ゴム成分(ソフトセグメント)の塑性変形を阻止し、昇温により樹脂成分の軟化または融解により塑性変形する熱可塑性エラストマーが知られている。
しかしながら、このような熱可塑性エラストマーは、充填剤等を配合して組成物として用いた場合に、硬度や密度が高くなり過ぎ、それに伴い質量、比重も増大し、また所定時間圧縮した後に開放した際の耐圧縮永久歪が十分でない場合があるため、キャップ材、パッキン材等の発泡体用途には用いるのは難しかった。
【0003】
かかる課題に対し、本出願人は、特許文献1において「イミノ基、含窒素複素環および共有結合性架橋部位からなる群より選択される少なくとも1つとカルボニル含有基とを含有する側鎖を有する熱可塑性エラストマー(A)と、発泡剤(D)とを含有する発泡体用組成物。」を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/090687号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者は、上記特許文献1に記載する発泡体用組成物について更に検討を重ねたところ、発泡倍率と、発泡後の引張強さ、引裂強さおよび耐圧縮永久歪等の物性との両立に改善の余地があることを明らかとした。
【0006】
そこで、本発明は、高い発泡倍率を有し、発泡後の引張強さ、引裂強さおよび耐圧縮永久歪等の物性にも優れる発泡体用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、所定の構造を含有する側鎖を有する熱可塑性エラストマーと熱膨張マイクロカプセルとを含有する発泡体用組成物の発泡体が、高い発泡倍率を有し、発泡後の引張強さ、引裂強さおよび耐圧縮永久歪等の物性にも優れることを見出し、本発明を達成するに至った。即ち、本発明は、下記(a)〜(i)を提供する。
【0008】
(a)含窒素複素環とカルボニル基とを含有する側鎖を有する熱可塑性エラストマー(A)と、熱膨張性マイクロカプセル(B)とを含有する発泡体用組成物であって、
上記熱膨張性マイクロカプセル(B)の含有量が、上記発泡用組成物の全体の質量に対して0.01〜20質量%である発泡体用組成物。
【0009】
(b)上記熱膨張性マイクロカプセル(B)が、熱可塑性樹脂からなる外殻と、上記外殻に内包され、かつ、上記熱可塑性樹脂の軟化点以下の沸点を有する発泡剤と、から構成される熱膨張性微小球である上記(a)に記載の発泡体用組成物。
【0010】
(c)上記熱可塑性エラストマー(A)の主鎖を構成するエラストマーが、ポリプロピレンゴムである上記(a)または(b)に記載の発泡体用組成物。
【0011】
(d)上記熱膨張性マイクロカプセル(B)の上記外殻を形成する上記熱可塑性樹脂が、ニトリル系重合体である上記(b)または(c)に記載の発泡体用組成物。
【0012】
(e)上記熱可塑性エラストマー(A)の側鎖が、下記式(1)で表される構造を含有する上記(a)〜(d)のいずれかに記載の発泡体用組成物。
【化1】


(式中、Aは含窒素複素環であり、Bは単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基である。)
【0013】
(f)上記式(1)で表される構造を含有する側鎖が、α位またはβ位で主鎖に結合する下記式(2)または(3)で表される構造を含有する上記(e)に記載の発泡体用組成物。
【化2】


(式中、Aは含窒素複素環であり、BおよびDはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基である。)
【0014】
(g)上記含窒素複素環が、イソシアヌル酸である上記(a)〜(f)のいずれかに記載の発泡体用組成物。
【0015】
(h)上記熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が、上記含窒素複素環を介して互いに架橋している上記(a)〜(g)のいずれかに記載の発泡体用組成物。
【0016】
(i)上記(a)〜(h)のいずれかに記載の発泡体用組成物を発泡させて得られる発泡体。
【発明の効果】
【0017】
以下に説明するように、本発明によれば、高い発泡倍率を有し、発泡後の引張強さ、引裂強さおよび耐圧縮永久歪等の物性にも優れる発泡体用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の発泡体用組成物は、含窒素複素環とカルボニル基とを含有する側鎖を有する熱可塑性エラストマー(A)と、熱膨張性マイクロカプセル(B)とを含有する発泡体用組成物であって、上記熱膨張性マイクロカプセル(B)の含有量が上記発泡用組成物の全体の質量に対して0.01〜20質量%である発泡体用の組成物である。
以下に、本発明の発泡体用組成物に用いられる熱可塑性エラストマー(A)および熱膨張マイクロカプセル(B)について詳述する。
【0019】
<熱可塑性エラストマー(A)>
本発明の発泡体用組成物に用いられる熱可塑性エラストマー(A)は、主鎖がエラストマーであり、含窒素複素環基およびカルボニル基を含有する側鎖を有するものである。
【0020】
上記熱可塑性エラストマー(A)の主鎖を構成するエラストマーは特に限定されず、天然高分子および合成高分子のいずれであってもよく、そのガラス転移点が室温(25℃)以下のポリマーであるのが好ましい。
上記エラストマーとしては、具体的には、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などのジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物;エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−アクリルゴム(AEM)、エチレン−ブテンゴム(EBM)、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンゴム、ポリプロピレンゴムなどのオレフィン系ゴム;等が挙げられ、これらを一種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、発泡体組成物の劣化が抑制され、発泡体の引張強度がより良好となる理由から、オレフィン系ゴムであるのが好ましく、中でも、発泡体用組成物の粘度が低くなり、押出し発泡による作業性が良好となる理由から、ポリプロピレンゴムであるのが好ましい。
【0021】
また、上記エラストマーは、液状または固体状であってもよく、その分子量は特に限定されず、本発明の発泡体用組成物および本発明の発泡体が用いられる用途ならびにこれらに要求される物性等に応じて適宜選択することができる。
本発明の発泡体用組成物および本発明の発泡体(以下、これらをまとめて「本発明の発泡体(組成物)」という場合がある。)を加熱(脱架橋)した時の流動性を重視する場合は、上記エラストマーは液状であることが好ましく、例えば、ポリプロピレンゴム等のオレフィン系ゴムでは、重量平均分子量が1,000〜50,000であることが好ましく、5,000〜30,000であることが特に好ましい。
一方、本発明の発泡体(組成物)の強度を重視する場合は、上記エラストマー性ポリマーは固体状であることが好ましく、例えば、ポリプロピレンゴム等のオレフィン系ゴムでは、重量平均分子量が10,000〜1,000,000であることが好ましく、50,000〜500,000であることが特に好ましい。
なお、本発明において、重量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(Gel permeation chromatography(GPC))により測定した重量平均分子量(ポリスチレン換算)である。測定にはテトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用いるのが好ましい。
【0022】
本発明においては、上記エラストマーを2種以上混合して用いることができる。この場合の各エラストマー同士の混合比は、本発明の発泡体(組成物)が用いられる用途、本発明の発泡体(組成物)に要求される物性等に応じて任意の比率とすることができる。
また、上記エラストマーのガラス転移点は、上述したように25℃以下であることが好ましく、上記エラストマーが2以上のガラス転移点を有する場合または2種以上の上記エラストマーを混合して用いる場合は、ガラス転移点の少なくとも1つは25℃以下であることが好ましい。
上記エラストマーのガラス転移点がこの範囲であると、本発明の発泡体(組成物)からなる成形物が室温でゴム状弾性を示すため好ましい。
なお、本発明において、ガラス転移点は、示差走査熱量測定(DSC−Differential Scanning Calorimetry)により測定したガラス転移点である。昇温速度は10℃/minにするのが好ましい。
【0023】
上記熱可塑性エラストマー(A)は、上記エラストマーが含窒素複素環とカルボニル基とを含有する側鎖を有するものである。
ここで、「側鎖」とは、上記エラストマーの側鎖および/または末端をいう。
また、「含窒素複素環とカルボニル基とを含有する側鎖を有する」とは、上記エラストマーの主鎖を形成する原子(通常、炭素原子。以下同様。)に、含窒素複素環およびカルボニル基を含有する側鎖が化学的に結合(例えば、共有結合等。以下同様。)をしていることをいう。
【0024】
本発明においては、上記熱可塑性エラストマー(A)が有する側鎖が、下記式(1)で表される構造を含有するのが好ましい。
【0025】
【化3】

【0026】
上記式(1)中、Aは含窒素複素環であり、Bは単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基である。
【0027】
ここで、上記式(1)中のAは、含窒素複素環であるが、後述するように熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が含窒素複素環を介して架橋(共有結合)している場合には、含窒素複素環は他の熱可塑性エラストマー(A)の側鎖と結合する結合手を有するものとなる。
上記含窒素複素環としては、例えば、特許文献1の[0083]〜[0091]段落に記載されたものの他、イソシアヌル酸(例えば、イソシアネート基含有化合物の3量体など)等が挙げられる。
これらのうち、本発明においては、発泡後の引張特性、引裂強さおよび耐圧縮永久歪等の物性がより良好となる理由から、イソシアヌル酸であるのが好ましい。
【0028】
また、含窒素複素環の好適態様であるイソシアヌル酸としては、例えば、下記式(4)で表されるものが挙げられる。
【0029】
【化4】

【0030】
上記式(4)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子;メチル基、エチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基;ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基などのヒドロキシ基含有基;塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;ヒドロキシ基;シアノ基;アミノ基;エステル基;または;エーテル基を表すが、後述するように熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が含窒素複素環を介して架橋(共有結合)している場合には、R1、R2およびR3のいずれか1つ以上が、他の熱可塑性エラストマー(A)の側鎖と結合する結合手を有するもの(例えば、メチレン基やエチレン基などのアルキレン基;メチレンエーテル基やエチレンエーテル基などのアルキレンエーテル基;等)となる。
【0031】
上記式(4)で表されるイソシアヌル酸としては、具体的には、例えば、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸やそれが他の熱可塑性エラストマー(A)の側鎖と結合した状態のもの等が挙げられ、
【0032】
一方、上記式(1)中のBとしては、具体的には、例えば、単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基)またはイオウ原子;これらの原子または基を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基またはアラルキレン基;これらの原子または基を末端に有する、炭素数1〜20のアルキレンエーテル基(アルキレンオキシ基、例えば、−O−CH2CH2−基)、アルキレンアミノ基(例えば、−NH−CH2CH2−基等)またはアルキレンチオエーテル基(アルキレンチオ基、例えば、−S−CH2CH2−基);これらを末端に有する、炭素数1〜20のアラルキレンエーテル基(アラルキレンオキシ基)、アラルキレンアミノ基またはアラルキレンチオエーテル基;等が挙げられる。
【0033】
ここで、上記アミノ基NR′の炭素数1〜10のアルキル基としては、異性体を含む、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
また、上記式(1)中のBの酸素原子、イオウ原子およびアミノ基NR′;ならびに;これらの原子または基を末端に有する炭素数1〜20の、アルキレンエーテル基、アルキレンアミノ基、アルキレンチオエーテル基、または、アラルキレンエーテル基、アラルキレンアミノ基、アラルキレンチオエーテル基等の酸素原子、アミノ基NR′およびイオウ原子は、隣接するカルボニル基と組み合わされ共役系のエステル基、アミド基、イミド基、チオエステル基等を形成することが好ましい。
これらのうち、上記式(1)中のBは、共役系を形成する、酸素原子、イオウ原子またはアミノ基;これらの原子または基を末端に有する、炭素数1〜20のアルキレンエーテル基、アルキレンアミノ基またはアルキレンチオエーテル基であることが好ましく、アミノ基(NH)、アルキレンアミノ基(−NH−CH2−基、−NH−CH2CH2−基、−NH−CH2CH2CH2−基)、アルキレンエーテル基(−O−CH2−基、−O−CH2CH2−基、−O−CH2CH2CH2−基)であることが特に好ましい。
【0034】
また、本発明においては、上記熱可塑性エラストマー(A)は、上記式(1)で表される構造を含有する側鎖を、α位またはβ位で主鎖に結合する下記式(2)または(3)で表される構造を含有する側鎖として有していることがより好ましい。
【0035】
【化5】

【0036】
上記式(2)および(3)中、Aは含窒素複素環であり、BおよびDはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基である。
【0037】
ここで、上記式(2)および(3)中のAは、上記式(1)中のA(含窒素複素環)と基本的に同様である。
また、上記記式(2)および(3)中のBおよびDは、上記式(1)中のB(有機基)と基本的に同様である。
ただし、上記式(3)中のDは、単結合;酸素原子、アミノ基NR′またはイオウ原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基またはアラルキレン基のイミド窒素と共役系を形成するものであることが好ましく、単結合であることが特に好ましい。
【0038】
本発明においては、上記熱可塑性エラストマー(A)が有する側鎖(具体的には、上記式(1)または上記式(2)もしくは(3)で表される構造等を含有する側鎖)は、上記エラストマーを構成する単量体100モル%に対して0.1〜50モル%の割合(導入率)で導入されていることが好ましい。0.1モル%未満では架橋時の強度が十分でない場合があり、50モル%を超えると架橋密度が高くなりゴム弾性が失われる場合がある。導入率がこの範囲であると、エラストマーの側鎖同士の相互作用が分子間または分子内で起こり、これらがバランス良く形成されるため、得られる本発明の発泡体(組成物)の架橋時の引張強度が高く、リサイクル性にも優れ、更に、耐圧縮永久歪が良好となる。これらの特性がより優れる点で、0.1〜30モル%の割合で側鎖が導入されているのがより好ましく、0.5〜20モル%の割合で側鎖が導入されているのが更に好ましい。
【0039】
また、本発明においては、上記熱可塑性エラストマー(A)は、耐圧縮永久歪がより良好となり、機械的強度も高くなるという理由から、その少なくとも一部が上記含窒素複素環を介して互いに架橋しているのが好ましい。
ここで、架橋は、分子内または分子間のいずれであってもよい。
また、架橋の具体的態様は特に限定されず、例えば、含窒素複素環の環を構成する窒素原子同士による水素結合性の架橋(下記反応式(5)参照)であってもよく、上記熱可塑性エラストマー(A)を製造する際に、後述する環状酸無水物基を側鎖に含有するエラストマー性ポリマーに対して、後述する含窒素複素環を導入しうる化合物のうち環状酸無水物基と反応する置換基(例えば、水酸基、チオール基、アミノ基等)を2個以上有する化合物(例えば、上述した1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸等)を反応させることにより形成される共有結合性の架橋(下記反応式(6)および(7)参照)であってもよい。
【0040】
【化6】

【0041】
【化7】

【0042】
【化8】

【0043】
本発明の発泡体用組成物に用いられる熱可塑性エラストマー(A)の製造方法は特に限定されず、通常の方法を選択することができる。
具体的には、特許文献1の[0138]段落に記載された方法、即ち、環状酸無水物基を側鎖に含有するエラストマー性ポリマーに含窒素複素環を導入しうる化合物を反応させる反応工程を具備する製造方法が好適に例示される。
また、上記反応工程に用いられる環状酸無水物基を側鎖に含有するエラストマー性ポリマーおよび含窒素複素環を導入しうる化合物は、それぞれ、特許文献1の[0139]〜[0140]段落および[0142]段落に記載されたものを用いることができる。
同様に、上記反応工程は、特許文献1の[0144]段落に記載された条件で施すことができる。
【0044】
<熱膨張マイクロカプセル(B)>
本発明の発泡体用組成物に用いられる熱膨張マイクロカプセル(B)は、熱可塑性樹脂を外殻とし、その内部に発泡剤が封入された構造を有する熱膨張性微小球であれば特に限定されない。
【0045】
上記熱可塑性樹脂は、重合性二重結合を1個有する(ラジカル)重合性単量体から重合した熱可塑性樹脂であれば特に限定されない。
上記重合性単量体としては、具体的には、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリルなどのニトリル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸などのカルボキシル基含有単量体;塩化ビニリデン、塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化ビニル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル系単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−クロルエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミドなどのアクリルアミド系単量体;N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミドなどのマレイミド系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−nオクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、n−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、クロロスチレン、3,4−ジクロルスチレンなどのスチレン系単量体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフイン系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル系単量体;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン系単量体;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル系単量体;ビニルナフタリン塩;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ここで、カルボキシル基含有単量体は、一部または全部のカルボキシル基が重合時に中和されていてもよい。また、(メタ)アクリルは、アクリルまたはメタクリルを意味する。また、マレイミド系単量体は、窒素原子に置換基を有する構造のN−置換マレイミド系単量体であると好ましい。
【0046】
これらのうち、上記重合性単量体としては、ニトリル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、カルボキシル基含有単量体、スチレン系単量体、酢酸ビニル、アクリルアミド系単量体、マレイミド系単量体、ハロゲン化ビニル系単量体であるのが好ましい。
【0047】
特に、上記重合性単量体として、ニトリル系単量体を用いると、得られる熱可塑性樹脂(ニトリル系重合体)からなる外殻の耐熱性や耐溶剤性が向上するために好ましい。
また、上記重合性単量体として、ニトリル系単量体と共にハロゲン化ビニル系単量体および/または(メタ)アクリル酸エステル系単量体をさらに用いると好ましい。
また、上記重合性単量体として、ハロゲン化ビニル系単量体を用いると、得られる熱可塑性樹脂(ハロゲン化ビニル系重合体)からなる外殻のガスバリヤー性が向上するため好ましい。
また、上記重合性単量体として、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を用いると、得られる熱膨張マイクロカプセル(B)の膨張挙動をコントロールし易くなるため好ましい。
また、上記重合性単量体として、ニトリル系単量体と共にカルボキシル基含有単量体を用いると、外殻の耐熱性や耐溶剤性が向上するとともに、熱可塑性樹脂のガラス転移温度が高くなり、熱膨張マイクロカプセル(B)を高温で熱膨張させることができるために好ましい。
また、上記重合体単量体として、ニトリル系単量体およびカルボキシル基含有単量体と共にハロゲン化ビニル系単量体および/または(メタ)アクリル酸エステル系単量体をさらに用いてもよい。
また、上記重合体単量体としてマレイミド系単量体を併用すると、熱膨張マイクロカプセル(B)の着色が少ないために好ましい。
【0048】
一方、発泡剤は、熱によって気化または膨張して気体を発生させる物質であれば特に限定されないが、上記熱可塑性樹脂の軟化点以下の沸点を有する物質であるのが好ましく、その具体例としては、炭素数1〜12の炭化水素およびそれらのハロゲン化物;エーテル構造を有し、塩素原子および臭素原子を含まない、炭素数2〜10の含弗素化合物;テトラアルキルシラン;加熱により熱分解してガスを生成する化合物;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
炭素数1〜12の炭化水素としては、具体的には、例えば、プロパン、シクロプロパン、プロピレン、ブタン、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、シクロペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロオクタン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、石油エーテル等が挙げられる。これらの炭化水素は、直鎖状、分岐状、脂環状のいずれでもよく、脂肪族であるものが好ましい。
また、炭素数1〜12の炭化水素のハロゲン化物としては、具体的には、例えば、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等が挙げられる。
【0050】
エーテル構造を有し、塩素原子および臭素原子を含まない、炭素数2〜10の含弗素化合物としては、具体的には、例えば、C327OCF2H、C3HF6OCH3、C2HF4OC223、C223OC223、C4HF8OCH3、C325OC232、C3HF6OC223、C334OCHF2、C3HF6OC325、C436OCHF2、C334OC2HF4、C3HF6OC334、C37OCH3、C49OCH3、C49OC25、C715OC25等のハイドロフルオロエーテル等を挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、ハイドロフルオロエーテルの(フルオロ)アルキル基は直鎖状でも分岐状でもよい。
テトラアルキルシランとしては、具体的には、炭素数1〜5のアルキル基を有するシラン類を挙げることができ、例えば、テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル−n−プロピルシラン等が挙げられる。
【0051】
加熱により熱分解してガスを生成する化合物としては、具体的には、例えば、アゾジカルボンアミド、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が挙げられる。
【0052】
本発明においては、上記熱膨張マイクロカプセル(B)の製造方法は特に限定されず、例えば、特許第4386962号公報に記載された方法により製造することができる。
また、上記熱膨張マイクロカプセル(B)としては、松本油脂製薬社製のマツモトマイクロスフェアー(登録商標)Fシリーズとして市販されているものを用いることができ、具体的には、超高温膨張型のF−170、F−190D等を好適に用いることができる。
【0053】
また、本発明においては、上記熱膨張性マイクロカプセル(B)の含有量は、本発明の発泡用組成物の全体の質量に対して0.01〜20質量%であり、0.1〜10質量%であるのが好ましい。
上記熱膨張性マイクロカプセル(B)の含有量が上記範囲であると、高い発泡倍率を有し、発泡後の引張強さ、引裂強さおよび耐圧縮永久歪等の物性にも優れる。
これは、アゾジカルボンアミド(ADCA)等を用いた化学発泡では発泡体中に気泡を保持することができないのに対し、熱膨張性マイクロカプセル(B)を用いると、膨張後においても発泡剤(気泡)を外殻内に保持することができるためであると考えられる。
【0054】
<スチレン系熱可塑性エラストマー>
本発明の発泡体用組成物は、圧縮永久歪を良好にする観点からスチレン系熱可塑性エラストマーを含有するのが好ましい。
上記スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、特許文献1の[0163]〜[0168]段落に記載されたものを用いることができる。
【0055】
<充填剤>
本発明の発泡体用組成物は、補強性と加工性を良好にする観点から充填剤を含有するのが好ましい。
上記充填剤としては、特許文献1の[0169]〜[0180]段落に記載されたものを用いることができる。
【0056】
本発明の発泡体用組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、防錆剤、接着付与剤、帯電防止剤、フィラーなどの各種添加剤等を含有することができる。
上記各種添加剤としては、特許文献1の[0182]〜[0210]段落に記載されたものを用いることができる。
【0057】
また、本発明の発泡体用組成物は、上記熱可塑性エラストマー(A)が自己架橋できるものもあるが、本発明の目的を損なわない範囲で加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤等を併用することもできる。
上記加硫剤等としては、特許文献1の[0211]および[0212]段落に記載されたものを用いることができる。
【0058】
本発明の発泡体(組成物)の製造方法は特に限定されず、例えば、上記熱可塑性エラストマー(A)と上記熱膨張マイクロカプセル(B)と必要に応じて含有してもよい各種添加剤等とをドライブレンドまたはニーダー等で混合した後に、単軸押出し機、二軸押出し機等を用いて押出し時に発泡させる方法や加熱プレス等で発泡させる方法等が挙げられる。
本発明においては、上記混合は、後述する実施例にも示すように、上記熱膨張マイクロカプセル(B)と、上記熱膨張マイクロカプセル(B)以外の成分を予め混合して得られたペレットとを混合させる態様が好ましい。なお、この態様で混合する場合、上記ペレットには、後に混合する上記熱膨張マイクロカプセル(B)の分散性を向上させる観点から、展着剤(例えば、パラフィンオイル等)を配合しておくことが好ましい。
【実施例】
【0059】
次に、実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜4、比較例1〜3)
下記第1表に示す質量部の成分のうち、熱膨張マイクロカプセル(B)および発泡剤を除く全ての成分を予め混練して得られる熱可塑性エラストマー組成物からなるペレット(直径1.5mm×長さ3mm)と下記第1表に示す質量部(括弧内の数字は質量%)の熱膨張マイクロカプセル(B)および発泡剤とをニーダーで120℃、5分間混練した後に、シート(2mm×150mm×150mm)用モールド内およびリュプケ(直径29mm×厚さ12.5mm)用モールド内で発泡させ、シート状の発泡体およびリュプケ状の発泡体を調製した。
【0060】
押出し発泡により得られた発泡体の比重、発泡倍率、引張特性、引裂強さおよび圧縮永久歪を以下に示す方法により測定した。その結果を下記第1表に示す。なお、比重および発泡倍率は、シート状の発泡体およびリュプケ状の発泡体のいずれも同様の値であった。
【0061】
<比重>
比重(g/cm3)は、全自動比重測定装置を用いて測定した。
【0062】
<発泡倍率>
発泡倍率は、発泡前後の比重を測定し、それらの比率(発泡前の比重/発泡後の比重)から算出した。
【0063】
<引張特性>
調製したシート状の各発泡体から3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、引張速度500mm/分での引張試験をJIS K6251:2004に準じて行い、50%モジュラス(M50)[MPa]、100%モジュラス(M100)[MPa]および引張強さ(TB)[MPa]を室温にて測定した。
【0064】
<引裂強さ>
調製したシート状の各発泡体について、JIS K6252:2007に準じて、引裂強さ(TrA)[MPa]を測定した。
【0065】
<圧縮永久歪み(C−Set)>
調製したリュプケ状の各発泡体を、専用治具で25%圧縮し、70℃で22時間放置した後の圧縮永久歪みをJIS K6262:2006に準じて測定した。
【0066】
【表1】

【0067】
上記第1表の各成分の詳細は以下のとおりである。
・熱可塑性エラストマー(A1):無水マレイン酸変性ポリプロピレン(アドマーQE060、三井化学社製)
・熱可塑性エラストマー(A2):無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体(TX−1215、三井化学社製)
・スチレン系熱可塑性エラストマー:セプトン4077(SEEPS、スチレン含有率:30質量%、クラレ社製)
・タナックP(含窒素複素環を導入しうる化合物):1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸(日星産業社製)
・ATA(含窒素複素環を導入しうる化合物):4H−3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(日本カーバイド社製)
・フェノール系老化防止剤:3−(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオン酸−n−オクタデシル(AO−50、ADEKA社製)
・パラフィンオイル:サンパー2280(日本サン石油社製)
・熱膨張マイクロカプセル(B1):F190D(外殻の熱可塑性樹脂:ニトリル系樹脂(軟化点:160〜170℃)、外殻内の発泡剤:n−ペンタン(沸点:36℃)、松本油脂製薬社製)
・発泡剤:アゾジカルボンアミド(AZ VI−8、分解温度:200℃、大塚化学社製)
【0068】
上記第1表から明らかなように、熱膨張マイクロカプセルに相当しないアゾジカルボンアミドを配合して調製した比較例2の組成物は、比較例1のベース組成物よりも比重が多少下がるが、発泡倍率は1.3倍程度までしか向上しなかった。また、発泡後の引張特性および引裂強さが低くなり、また、圧縮永久歪も大きくなることが分かった。
また、熱膨張マイクロカプセルを多量に配合して調製した比較例3の組成物は、比較例2の組成物よりも比重が下がり、発泡倍率は向上するが、発泡後の引張特性および引裂強さが更に低くなり、また、圧縮永久歪もより大きくなることが分かった。
これに対し、熱膨張マイクロカプセルを所定量配合して調製した実施例1〜4の組成物は、比較例2の組成物よりも比重が下がり、発泡倍率は向上し、かつ、比較例2の組成物よりも発泡後の引張特性および引裂強さが高くなり、また、圧縮永久歪も低くなることが分かった。
特に、熱可塑性エラストマー(A)の主鎖を構成するエラストマーとしてポリプロピレンゴムを用いた実施例1の組成物は、実施例3の組成物よりも発泡倍率が向上し、かつ、発泡後の引張特性が高くなることが分かった。
また、含窒素複素環を導入しうる化合物として1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸を用いた実施例1の組成物は、実施例4の組成物と同程度の発泡倍率を有し、かつ、実施例4の組成物よりも発泡後の引張特性および引裂強さが高くなり、また、圧縮永久歪も低くなることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
含窒素複素環およびカルボニル基を含有する側鎖を有する熱可塑性エラストマー(A)と、熱膨張性マイクロカプセル(B)とを含有する発泡体用組成物であって、
前記熱膨張性マイクロカプセル(B)の含有量が、前記発泡用組成物の全体の質量に対して0.01〜20質量%である発泡体用組成物。
【請求項2】
前記熱膨張性マイクロカプセル(B)が、熱可塑性樹脂からなる外殻と、前記外殻に内包され、かつ、前記熱可塑性樹脂の軟化点以下の沸点を有する発泡剤と、から構成される熱膨張性微小球である請求項1に記載の発泡体用組成物。
【請求項3】
前記熱可塑性エラストマー(A)の主鎖を構成するエラストマーが、ポリプロピレンゴムである請求項1または2に記載の発泡体用組成物。
【請求項4】
前記熱膨張性マイクロカプセル(B)の前記外殻を形成する前記熱可塑性樹脂が、ニトリル系重合体である請求項2または3に記載の発泡体用組成物。
【請求項5】
前記熱可塑性エラストマー(A)の側鎖が、下記式(1)で表される構造を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の発泡体用組成物。
【化1】


(式中、Aは含窒素複素環であり、Bは単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基である。)
【請求項6】
前記式(1)で表される構造を含有する側鎖が、α位またはβ位で主鎖に結合する下記式(2)または(3)で表される構造を含有する請求項5に記載の発泡体用組成物。
【化2】


(式中、Aは含窒素複素環であり、BおよびDはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基である。)
【請求項7】
前記含窒素複素環が、イソシアヌル酸である請求項1〜6のいずれかに記載の発泡体用組成物。
【請求項8】
前記熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が、前記含窒素複素環を介して互いに架橋している請求項1〜7のいずれかに記載の発泡体用組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の発泡体用組成物を発泡させて得られる発泡体。

【公開番号】特開2012−57132(P2012−57132A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204659(P2010−204659)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】