説明

発泡充填部材

【課題】シート状の発泡基材を、簡易な構成により、作業効率よく、構造物の空間の形状に対応した所定形状に形成することができ、それを、構造物の空間に、構造物の空間を画成する壁面に貼付せずに、作業効率よく配置することのできる発泡充填部材を提供すること。
【解決手段】シート状の第1発泡基材110および第2発泡基材111に、厚み方向を貫通する切り欠き部113、117を形成する。この発泡充填部材109では、切り欠き部113より第1発泡基材110を、切り欠き部117に挿入し、かつ、切り欠き部117より第2発泡基材111を、切り欠き部113に挿入することによって、ピラーの内部空間に対応した立体形状に形成することができ、これを内部空間内に配置することができる。そして、第1発泡基材110および第2発泡基材111を発泡させることで、内部空間内の全体に、発泡材を隙間なく充填することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の空間を発泡により充填するための発泡充填部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のピラーなどの中空構造物に、発泡材を充填するための発泡充填部材が知られている。
このような発泡充填部材としては、例えば、外部加熱によって発泡する材料よりなる発泡性基材と、発泡性基材の一側面を支持する支持板を有する支持部材とを備え、発泡性基材が、支持板に対応する大きさで略環状に形成され、支持板の一側面に、発泡性基材の内周面を支持する環状のせき壁が突設されている発泡充填具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この発泡充填具においては、ピラーなどの中空室に配置して外部から加熱すると、支持板によって、発泡性基材の発泡が、中空室の長手方向へは抑制され、長手方向に略直交する中空室の内周壁面に向かう方向へは促進されて、発泡体となる。また、支持板の環状のせき壁によって、発泡性基材が、その開口孔の中心部に向けて発泡することを防止できる。そのため、極めて少ない量の発泡性基材の加熱発泡に基づく発泡体によって、中空室が効率よく良好に遮断される。
【0004】
また発泡充填部材として、加熱により膨張する材料よりなる膨張層の片面側に、一方の端から他方の端にまで通った溝を形成し、反対面側に、貼付層を設けたシート状の空隙充填材が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
この空隙充填材においては、溝が形成されている個所は厚さが薄いので、自動車用ピラーの曲面に応じて湾曲させることができる。そのため、貼り付ける曲面の曲率が高くても、隙間なく貼り付けることができ、加熱後に発泡して膨張した際に、隙間なく充填することができる。
【特許文献1】特開2003−146243号公報
【特許文献2】特開2003−94475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載される発泡充填具では、支持板が、発泡性基材の中空室の長手方向への発泡や、自重による長手方向への垂れ下がり、垂れ落ちを規制すべく、発泡性基材の発泡時に、その表面方向と略直交する方向に加わる圧力や、発泡性基材の重量によって同方向へ屈曲しないように、硬質の合成樹脂材料によって形成されている。そのため、支持板を、予め中空室の断面形状に対応して成形しておく必要があり、各中空室の断面形状ごとに成形金型が必要となる。
【0006】
また、特許文献2に記載される空隙充填材は、貼付層を自動車用ピラーの曲面に貼り付けるため、空隙充填材を曲面に貼付した後に、その曲面に防錆塗料を塗布し、外部加熱により膨張層を膨張させて、空隙を充填するとき、曲面における空隙充填材が貼付されている部分には、防錆塗料が塗布されないという不具合を生じる。
本発明の目的は、シート状の発泡基材を、簡易な構成により、作業効率よく、構造物の空間の形状に対応した所定形状に形成することができ、それを、構造物の空間に、構造物の空間を画成する壁面に貼付せずに、作業効率よく配置することのできる発泡充填部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、構造物の空間を発泡により充填するための発泡充填部材であって、発泡材料からなるシート状をなし、厚み方向を貫通する切り欠き部が形成されている発泡基材を備え、前記発泡基材は、前記切り欠き部に発泡基材が挿入されることにより、所定形状に形成可能に、形成されていることを特徴としている。
この発泡充填部材では、シート状の発泡基材の切り欠き部に、同一または別の発泡基材を挿入することにより、発泡基材を組み合わせて、構造物の空間の形状に対応した所定形状に、形成することができる。そのため、シート状の発泡基材を、簡易な構成により、作業効率よく、構造物の空間の形状に対応した所定形状に形成することができる。その結果、構造物の空間の形状に対応した金型などを不要として、コストダウンを図ることができる。
【0008】
また、発泡充填部材は、発泡基材を壁面に貼付せずとも、構造物の空間内に、その空間の形状に対応した形状で、作業効率よく配置することができる。また、発泡基材が壁面に貼付されていないので、発泡充填部材の配置後においても、壁面に対する処理を可能とすることができる。
また、この発明の発泡充填部材においては、前記発泡基材の厚みが、0.5〜6.0mmであり、曲げ弾性率が、20〜150MPaであることが好適である。
【0009】
発泡基材の厚みと曲げ弾性率とがこのように設定されている場合は、空間内に配置された屈曲している発泡基材が、屈曲前のシート状に復元しようとする復元力(反発弾性)を生じる。そのため、空間内に配置されている発泡充填部材は、発泡基材の復元力によって、壁面に圧接されるので、構造物の空間内において、所定形状が保持される。その結果、発泡充填部材を、構造物の空間内において、その空間に対応した形状で、確実に保持させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の発泡充填部材では、構造物の空間の形状に対応した金型などを不要として、コストダウンを図ることができる。また、発泡充填部材の空間内への配置後においても、壁面に対する処理を可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の発泡充填部材の一実施形態を示す平面図である。
図1において、この発泡充填部材109は、後述する、自動車のピラー124などの内部空間125に発泡材を充填するために用いられ、発泡基材として、発泡材料からなるシート状の第1発泡基材110および第2発泡基材111を、別体として備えている(図2参照)。
【0012】
第1発泡基材110および第2発泡基材111は、加熱(例えば、120〜210℃前後)により発泡する発泡材料により形成されている。両発泡基材110、111は、各々平面視矩形状に形成されている。
発泡材料としては、特に制限されず、公知の発泡性ポリマーが用いられる。発泡性ポリマーとしては、特に制限されないが、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリケトンなどの樹脂、例えば、スチレン−ブタジエン−ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)などのゴムなどが挙げられる。好ましくは、エチレン・酢酸ビニル共重合体が用いられる。エチレン・酢酸ビニル共重合体を用いることにより、発泡倍率を高くすることができる。これら発泡性ポリマーは、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0013】
また、発泡材料には、発泡性ポリマーを発泡および硬化させるために、さらに、例えば、架橋剤、発泡剤、必要により発泡助剤などが適宜配合される。
架橋剤としては、特に制限されないが、例えば、加熱により分解され、遊離ラジカルを発生して分子間または分子内に架橋結合を形成させる公知のラジカル発生剤が用いられる。より具体的には、例えば、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジターシャリブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジターシャリブチルパーオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジターシャリブチルパーオキシヘキシン、1,3−ビス(ターシャリブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ターシャリブチルパーオキシケトン、ターシャリブチルパーオキシベンゾエートなどの有機過酸化物などが挙げられる。
【0014】
また、発泡性ポリマーが加硫可能である場合には、架橋剤として公知の加硫剤を用いることができる。そのような加硫剤としては、特に制限されないが、例えば、硫黄、硫黄化合物類、セレン、酸化マグネシウム、一酸化鉛、酸化亜鉛、ポリアミン類、オキシム類、ニトロソ化合物類、樹脂類、アンモニウム塩類などが挙げられる。
これら架橋剤は、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。また、架橋剤の配合割合は、特に制限されないが、例えば、発泡性ポリマーに対して、0.1〜10重量部、好ましくは、0.5〜7重量部である。
【0015】
また、加硫剤を用いる場合には、加硫促進剤を併用することができる。加硫促進剤としては、例えば、ジチオカルバミン酸類、チアゾール類、グアニジン類、スルフェンアミド類、チウラム類、キサントゲン酸類、アルデヒドアンモニア類、アルデヒドアミン類、チオウレア類などの公知の加硫促進剤が挙げられる。このような加硫促進剤は、1種または2種以上を適宜選択して用いることができ、その配合割合は、発泡性ポリマーに対して、0.1〜5重量部である。
【0016】
また、加硫促進剤とは反対に、成形性の調節などを目的として、例えば、有機酸やアミン類などの公知の加硫遅延剤などを適宜配合することもできる。
また、発泡剤としては、特に制限されないが、例えば、公知の無機系発泡剤や有機系発泡剤が用いられる。無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、アジド類などが挙げられる。
【0017】
また、有機系発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸アミドなどのアゾ系化合物、例えば、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、トリニトロトリメチルトリアミンなどのニトロソ系化合物、例えば、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、アリルビス(スルホニルヒドラジド)などのヒドラジド系化合物、例えば、p−トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)などのセミカルバジド系化合物、例えば、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタンなどのフッ化アルカン、例えば、5−モルホリル−15,4−チアトリアゾールなどのトリアゾール系化合物などが挙げられる。
【0018】
また、これら発泡剤のなかでも、発泡性ポリマーの軟化温度以上で分解してガスを発生し、かつ、後述する発泡材の形成時において、ほとんど発泡しないものが、組成に応じて適宜選択される。好ましくは、120〜210℃前後で発泡するものが用いられる。
これら発泡剤は、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。また、発泡剤の配合割合は、特に制限されないが、例えば、発泡性ポリマー100重量部に対して、5〜50重量部、好ましくは、10〜30重量部である。
【0019】
なお、発泡剤の配合量は、発泡基材の発泡時において、その発泡倍率が5〜25倍程度、好ましくは、10〜20倍程度で、実質的に独立気泡を生じさせる範囲であることが好適である。発泡剤の配合量が少なすぎると、発泡基材が十分に発泡せず、一方、発泡剤の配合量が多すぎると、発泡により得られる発泡材の樹脂だれによる空隙を生じ、いずれも充填性が抵下する。
【0020】
発泡助剤としては、特に制限されないが、例えば、発泡剤の種類に応じて適宜公知の発泡助剤を選択することができ、より具体的には、例えば、尿素を主成分とする尿素系化合物、例えば、酸化亜鉛、酸化鉛などの金属酸化物、例えば、サリチル酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸またはその金属塩などが挙げられる。好ましくは、高級脂肪酸金属塩が用いられる。
【0021】
これら発泡助剤は、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。また、発泡助剤の配合割合は、特に制限されないが、例えば、発泡性ポリマー100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは、5〜10重量部である。
さらに、発泡材料には、その目的および用途によって、得られる発泡材の物性に影響を与えない範囲において、例えば、安定剤、補強材、充填剤、軟化剤や、さらには必要に応じて、例えば、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、着色剤、防カビ剤、難燃剤などの公知の添加剤を適宜配合することができる。
【0022】
そして、発泡基材は、例えば、まず、上記した発泡材料において、各成分を上記した配合割合において配合した後、例えば、ミキシングロール、加圧式ニーダーなどを用いて混練し、その後、プレスやカレンダーロールなどを用いてシート状に連続成形するか、あるいは、発泡材料を、例えば、押出成形機を用いてシート状に連続成形し、次いで、矩形状をなし、厚み方向を貫通する切り欠き部113、117が形成されるように、打ち抜くことによって、得ることができる。
【0023】
このようにして形成される発泡基材は、厚みが、0.5〜6.0mm、好ましくは、1.5〜3.5mmに設定される。また、発泡基材は、曲げ弾性率が、20〜150MPa、好ましくは、60〜100MPaに設定される。このように設定されることによって、発泡基材には、適度の屈曲性および反発弾性が付与される。
第1発泡基材110の幅方向一方側側面である一方側長側面112の長手方向途中には、第2発泡基材111が挿入され、厚み方向を貫通する切り欠き部113が形成されている。切り欠き部113は、第1発泡基材110の一方側長側面112における長手方向一方側側面である一方側短側面114の近傍および長手方向他方側側面である他方側短側面115の近傍に、互いに第1発泡基材110の長手方向に所定間隔を隔てて、それぞれ形成されている。各切り欠き部113は、一方側長側面112から、第1発泡基材110の幅方向他方側側面である他方側長側面120に向かって凹状に切り欠かれており、その長手方向が、第1発泡基材110の幅方向と一致する平面視略矩形状に形成されている。
【0024】
なお、各切り欠き部113は、その長手方向と直交方向の幅Hが、挿入される第2発泡基材111の厚みIより僅かに小さく形成されている。これによって、挿入される第2発泡基材111を、切り欠き部113の両側面で挟持するように固定することができる。
第2発泡基材111の幅方向一方側側面である一方側長側面116の長手方向途中には、第1発泡基材110が挿入され、厚み方向を貫通する切り欠き部117が形成されている。切り欠き部117は、第2発泡基材111の一方側長側面116における長手方向一方側側面である一方側短側面118の近傍および長手方向他方側側面である他方側短側面119の近傍に、互いに第2発泡基材111の長手方向に所定間隔を隔てて、それぞれ形成されている。各切り欠き部117は、一方側長側面116から、第2発泡基材111の幅方向他方側側面である他方側長側面122に向かって凹状に切り欠かれており、その長手方向が、第2発泡基材111の幅方向と一致する平面視略矩形状に形成されている。なお、各切り欠き部117は、その長手方向と直交方向の幅Jが、挿入される第1発泡基材110の厚みKより僅かに小さく形成されている。これによって、挿入される第1発泡基材110を、切り欠き部117の両側面で挟持するように固定することができる。
【0025】
また、第1発泡基材110および第2発泡基材111は、第1発泡基材110よりも第2発泡基材111の方が長手方向に長く、また、第1発泡基材110の2つの切り欠き部113の長手方向の間隔よりも、第2発泡基材111の2つの切り欠き部117の長手方向の間隔が大きく形成されている。これにより、図1に示すように、第2発泡基材111の、長手方向中央部を湾曲させて、第2発泡基材111を、側面視U字状に形成した状態で、第1発泡基材110と組み合わせることができる。
【0026】
すなわち、第1発泡基材110の、各切り欠き部113と、第2発泡基材111の、各切り欠き部117とを、それらの開口が向かい合うように、第1発泡基材110および第2発泡基材111を直交方向に交差させて、第1発泡基材110の切り欠き部113より他方側長側面120側の連結部121を、第2発泡基材111の切り欠き部117に挿入し、かつ、第2発泡基材111の切り欠き部117より他方側長側面122側の連結部123を、第1発泡部110の切り欠き部113に挿入する。
【0027】
これにより、両発泡基材110、111が一体的に組み合される。また、切り欠き部113の両側面が、挿入される第2発泡基材111の連結部123を挟み、かつ、切り欠き部117の両側面が、挿入される第1発泡基材110の連結部121を挟むことで、両発泡基材110、111が互いに固定される。これによって、図2に示す立体形状の発泡充填部材109が形成される。
【0028】
そして、このようにして得られる発泡充填部材109は、構造物の間の空間や中空構造物の内部空間に配置して、発泡温度に加熱すれば、発泡により、その空間を隙間なく充填することができる。そのため、このような発泡充填部材109は、各種の産業製品の発泡充填部材として、用いることができる。
具体的には、このようにして得られる発泡充填部材109は、構造物の間の空間や中空構造物の内部空間に配置して、発泡温度(例えば、120〜210℃前後)に加熱すれば、発泡により、その空間を隙間なく充填することができる。そのため、このような発泡充填部材109は、特に制限されることなく、制振、防音、防塵、断熱、緩衝、水密などを目的として、構造物の空間に充填する、例えば、防振材、防音材、防塵材、断熱材、緩衝材、止水材などとして、各種の産業製品の発泡充填部材として、用いることができる。
【0029】
より具体的には、この発泡充填部材109を用いて、中空構造物として、例えば、自動車のピラーの内部空間を発泡により充填すれば、発泡により形成された発泡材により、エンジンの振動や騒音、あるいは、風きり音などが車室内に伝達されることを有効に防止することができる。
次に、この発泡充填部材109を用いる一例として、自動車のピラーの内部空間を充填する方法について説明する。
【0030】
この方法では、まず、図2に示すように、充填すべきピラー124の、内部空間125の立体形状および大きさに対応して形成された発泡充填部材109を、そのピラー124内に設置する。
ピラー124は、インナパネル126およびアウタパネル127を備えている。インナパネル126は、一側に開口が形成される略断面凹状をなし、開口の開口幅に沿う両端部には、フランジ部128が形成されている。アウタパネル127は、一側に開口が形成される断面略半円状をなし、開口の開口幅に沿う両端部には、フランジ部129が形成されている。そして、ピラー124は、インナパネル126およびアウタパネル127を、それらの各フランジ部128、129を対向当接させて、溶接により接合することによって、閉断面として、内部空間125が形成されるように、設けられている。
【0031】
そして、発泡充填部材109をピラー124内に設置するには、まず、インナパネル126およびアウタパネル127が分割されている状態で、発泡充填部材109の湾曲している第2発泡基材111を、アウタパネル127内に挿入する。次いで、第1発泡基材110を被覆するように、アウタパネル127にインナパネル126を重ねる。その後、インナパネル126およびアウタパネル127のフランジ部128、129を対向当接させて、溶接により接合することによって、ピラー124内に、発泡充填部材109を設置する。
【0032】
なお、この組み立てられたピラー124において、第1発泡基材110の一方側短側面114および他方側短側面115と、一方側表面130の長手方向両端部が、アウタパネル127の開口近傍に設けられた受け面131に当接し、かつ、第2発泡基材111の一方側短側面118および他方側短側面119が、インナパネル126の内側面に当接することにより、発泡充填部材109が、ピラー124内において固定されている。また、このようなピラー124は、より具体的には、車両ボディのフロントピラー、サイドピラーあるいはリヤピラーとして用いられる。
【0033】
その後、防錆処理など適宜の処理をした後に、例えば、その後の焼付塗装時の乾燥ライン工程での加熱によって、発泡充填部材109の第1発泡基材110および第2発泡基材111を発泡および硬化させることにより発泡材を形成し、この発泡材によってピラー124の内部空間125が隙間なく充填される。
なお、発泡材は、その密度(発泡材の重量(g)/発泡材の体積(cm))が、例えば、0.04〜0.2g/cm、さらには、0.05〜0.1g/cmであることが好ましく、また、発泡時の発泡倍率が、5〜25倍、さらには、10〜20倍であることが好ましい。
【0034】
この発泡充填部材109では、シート状の第1発泡基材110の切り欠き部113に、第2発泡基材111を挿入し、かつ、第2発泡基材111の切り欠き部117に、第1発泡基材110を挿入する簡易な構成により、作業効率よく、第1発泡基材110および第2発泡基材111を組み合わせて、ピラー124の内部空間125の形状に対応した所定形状に、形成することができる。そのため、ピラー124の内部空間125の形状に対応した金型などを不要として、コストダウンを図ることができる。
【0035】
また、発泡充填部材109は、第1発泡基材110および第2発泡基材111を内周壁面に貼付せずとも、ピラー124の内部空間125に、その内部空間の形状に対応した形状で、作業効率よく配置することができる。また、第1発泡基材110および第2発泡基材111が内周壁面に貼付されていないので、発泡充填部材109の配置後においても、内周壁面に対する防錆処理などを可能とすることができる。
【0036】
なお、本発明の発泡充填部材では、切り欠き部の形状、数、向き、さらにはそれによって規定される発泡充填部材の形状は、上記に限らず、構造物の空間に対応して、適宜選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の発泡充填部材の一実施形態(複数の発泡基材の組み合わせ)を示す平面図である。
【図2】図1の発泡充填部材を立体形状に形成し、ピラーの内部空間に設置した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
109 発泡充填部材
110 第1発泡基材
111 第2発泡基材
113 切り欠き部
117 切り欠き部














【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の空間を発泡により充填するための発泡充填部材であって、
発泡材料からなるシート状をなし、厚み方向を貫通する切り欠き部が形成されている発泡基材を備え、
前記発泡基材は、前記切り欠き部に発泡基材が挿入されることにより、所定形状に形成可能に、形成されていることを特徴とする、発泡充填部材。
【請求項2】
前記発泡基材の厚みが、0.5〜6.0mmであり、曲げ弾性率が、20〜150MPaであることを特徴とする、請求項1に記載の発泡充填部材。




















【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−189310(P2008−189310A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104578(P2008−104578)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【分割の表示】特願2004−137647(P2004−137647)の分割
【原出願日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】