説明

発泡性洗浄剤

【課題】汚物に汚れた衣類や寝具の消臭洗濯をするための発泡性洗浄剤の提供。
【解決手段】消臭剤、洗浄剤、発泡成分を含有する発泡性洗浄剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般家庭用もしくは業務用の消臭機能を有した衣料用発泡性洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
身体障害者や身体の不自由な人の介護や乳児の世話において、汚物に汚れた衣類や寝具の始末には苦労が多い。汚物から発生する臭気は部屋中に充満し、介護者や世話をするものにとっても、多大な苦痛の原因となっている。また、介護されるものにとっても精神的に苦痛を感じられることは容易に想像できる。また、深夜の騒音を防止するためなどで汚染された衣類や寝具をすぐに洗えない場合がある。その場合臭気は発生し続け、家の中に臭気をさらに充満させることとなる。
従来、これらの対策として消臭剤を撒いたりマスキング剤を置く等していたが、消臭剤は衣類に染み込んでしまい悪臭元から発生する臭気を十分に消臭することはできなかった。また、マスキング剤では隠すことのできないほどの悪臭が発生することがしばしばあり、その消臭効果は十分とは言えなかった。また、汚染された衣類や寝具は放置するとその汚れを洗濯により落とすことが困難になるほど染み付くことがある。さらに、洗濯機に入れる作業のときに悪臭が発生し、洗剤を入れたりする作業に忌避感を感じることがしばしばある。
【0003】
汚れを洗浄する方法は、通常の洗濯機で洗う方法が一般的であるが、汚物による汚れは洗浄しにくく、手揉み洗いや漂白剤等の漬け置き洗いが必要であった。しかし、汚物の臭いや汚れに対する嫌悪感から、漬け置きせずにすぐに洗濯機にかけたり、そのまま放置して汚れが落ちにくくなることがしばしばあった。
特開2004−204220号公報では、衣服に広範囲に洗剤を塗布するために洗浄剤を泡状にして衣服に塗りつけることが記載されている。この方法では、衣類を泡で包み込み悪臭を防止することまでは記載されておらず、漬け置き効果も考えられていない。そのため、汚物に汚れた悪臭のある衣類や寝具を洗うのには適さないものである。
【特許文献1】特開2004−204220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、汚物に汚れた衣類や寝具の消臭洗濯をするための発泡性洗浄剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、消臭剤、洗浄剤、発泡成分を含有する発泡性洗浄剤である。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、介護用の衣類や寝具などの汚物汚れに対し、従来品に比べ、消臭効果のある、また、洗浄効果の強い発泡性洗浄剤を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明について、特にその好ましい形態を中心に、説明する。
本発明の発泡性洗浄剤は、汚染された衣類や寝具を覆うほどの泡を発生させることができ、その泡の成分として消臭剤と洗濯用洗浄剤を配合したことを特徴とする。
本発明洗浄剤を用いると、汚物などで汚染された衣類や寝具をバケツや洗濯機などに入れた後に、その衣類や寝具を覆うように泡を吹きつけて使用することができる。泡を保持することにより悪臭の拡散を物理的に阻止することができる。悪臭が泡の壁を通して拡散する部分は配合された消臭剤により消臭されて、空間に拡散することがほとんどない。
消臭剤の成分としては、植物油や両性界面活性剤、植物エキスなど消泡しにくい成分が好ましい。特に汚物から発生する悪臭はメルカプタンや硫化水素などの硫黄化合物、アンモニアやアミンなどの窒素化合物、アルデヒドや低級脂肪酸などの有機物であるのでそれらの悪臭に対し消臭効果があることが好ましい。具体的には、ベタイン化合物や緑茶抽出物、針葉樹抽出物、デキストリン系化合物、2価鉄塩化合物、大豆油誘導体、ヒノキ抽出物などが好ましい。
【0008】
さらに、香料などを配合してマスキング効果を付与することがより好ましい。
消臭剤は効果の強いほうがよいが、物質によっては泡の形成を阻害したり、持続時間を短縮するものもあるので、洗浄剤中の消臭剤の含有量は0.01重量%〜20重量%(固形分換算)が好ましい。
バケツ等に入れられ、泡で覆われた汚染衣類等は、適当な時間にそのまま洗濯機に投入することにより洗濯できる。この場合、新たに洗濯用洗剤を追加してもよい。
本発明洗浄剤に配合された消臭剤と洗濯用洗浄剤は、噴霧された後、衣類や寝具に染み込む。そのことによって、衣類に移染される可能性のある汚れと悪臭を移染から防止することができる。また、放置する時間に汚染された部分に洗剤成分が染み込むことにより、洗剤に着け置きされた状態になり、汚れが落ちやすくなる効果がある。また、バケツ等に衣類を入れる場合適量の水を予め入れておくことにより、この効果を増大させることができる。洗濯後も消臭剤の一部を残存させることにより、衣類等を着用・使用時にも消臭効果を持続させることもできる。
【0009】
洗濯用洗浄剤成分としては、石鹸やノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等が好ましい。消泡効果がないものが好ましいければ。具体的にはLAS(リニアアルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)、AE(アルキルエーテルスルフォン酸ナトリウム)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム等が好ましい。配合量として多すぎると泡の形成を阻害したり、持続時間を短縮するものがあるので1%〜40%(固形分換算)が好ましい。必要に応じて、糞尿汚れに対し効果のある、酵素、溶剤、アルカリ剤、キレート剤、殺菌剤、漂白剤等を加えてもよい。
【0010】
酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼなどが好ましい。溶剤としては、ブチレングリコール、ブチルカルビトール、フェノキシエタノール、プロピレングリコールなどが好ましい。ただし、消泡効果の強いアルコール類は避けたほうがよい。アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重曹、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。キレート剤としては、アミノカルボン酸誘導体型キレート剤、ポリカルボン酸及びその塩が好ましい。具体的には、エチレンジアミン4酢酸塩、ニトリロトリ酢酸塩、ヒドロキシエチレンジアミン5酢酸塩、ジエチレントリアミン5酢酸塩、アミノメチルグリシン2酢酸塩、アラニン2酢酸塩、イミノジコハク酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、セリンジ酢酸塩、イソセリンジ酢酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩などが好ましい。殺菌剤としては、イソプロピルメチルフェノール、パラベン、トリオキサン、ヨウ素、銀塩などが好ましい。漂白剤としては、過炭酸ソーダ、イソシアヌル酸などが好ましい。
【0011】
泡発生装置としては、ボトルに泡を噴出するトリガーのついたタイプや、スクイズボトルに泡を発生させるノズルのついたタイプや、ムース上の泡を発生させるエアゾールタイプが好ましい。衣服や寝具を覆うほどの泡を噴出させるにはエアゾールタイプが最もよい。しかし、噴出ノズルにポンプを取り付ければ、エアゾールタイプでなくても衣類を覆うほどの泡を容易に噴出させることができる。
通常、汚物は汚染直後は体温程度の温度がある。そのため発生する悪臭の量が多い。放置すると約20分程度で室温に低下し、悪臭の発生量は低下する。また、泡状になった消臭洗浄液が衣類や寝具を覆ってから、染み込みほぼ全体に洗浄液が行き渡るのに30分程度必要とする。そのため、泡の保持時間は30分以上が好ましい。より好ましくは、洗濯機などで洗浄するまでの時間、泡の形状を維持し、悪臭の発生を防ぎつづけることが望ましい。そのためには半日程度の泡の保持時間があればよい。発泡性成分としては、界面活性剤、発泡用ガスに加えて、界面活性剤に溶ける物質で高級アルコールなどの常温で固体の物質や粘着性物質を加えると、泡の保持時間が長くなるので好ましい。
【実施例】
【0012】
以下、実施例によりさらに詳しく説明する。
[実施例]
300mlのアルミ製エアゾール缶に次のものを充填し、ガスを充填後バルブを装着した。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル 32g
エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩 1g
植物油系消臭剤 アポライトQF(商品名)(日本化成株式会社製) 4g
セタノール 2g
アンモニア 微量
水 140g
LPG 20g
【0013】
[比較例]
市販液体洗浄剤(LAS系洗剤)をトリガー容器に詰め替えたものを比較例とした。
評価:失禁患者の布おむつを10リットルのバケツに投入したものを2個用意し、その上から実施例と比較例の洗浄剤をそれぞれ吹き付けた。
実施例は10秒ほどの噴射で15gの液が噴出し紙おむつ全体を覆うことができた。泡は布おむつに吸収されたが、8時間後も表面は泡の状態で覆われていた。悪臭はほとんど感じられなかった。8時間後、洗濯機でそのまま通常と同じ方法で洗った。黄ばみは全くなかった。
比較例はスプレーを10回することにより、15gの洗浄液が噴出した。当初泡の状態であったが、5分後布に吸い込まれて泡は消えた。悪臭は強く感じられた。
すぐに洗濯機でそのまま通常と同じ方法で洗った。大便の付いていた部分に黄ばみが残った。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、汚物に汚れた衣類や寝具の消臭洗濯に適した洗浄剤として好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消臭剤、洗浄剤、発泡性成分を含有することを特徴とする発泡性洗浄剤。

【公開番号】特開2006−328253(P2006−328253A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−155092(P2005−155092)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(303046266)旭化成ライフ&リビング株式会社 (64)
【Fターム(参考)】