説明

発泡支持リングの取出し方法および取出し工具

【課題】ツーリングカー用発泡支持リングの取出し方法および工具を提供することにある。
【解決手段】発泡支持リングの頂部とタイヤのビードとの間に空間(E)を形成する段階と、アクセスできる空間(E)を維持できる手段(F)を前記空間(E)内に導入して、第一ローラ(1)が前記空間(E)内に導入できるようにする段階と、第二および第三一ローラ(2、3)を、発泡支持リングの内径により形成される内部空間内に導入する段階とを有する、タイヤ(P)の内部空間から発泡支持リング(B)を取出す方法。保持手段(F)を取出した後、第一ローラ(1)を、第二および第三ローラ(2、3)に対して移動させ、第二および第三ローラ(2、3)の間で発泡支持リングを押込んでU型にする段階と、ローラ(1、2、3)を操縦することにより発泡支持リングを解放する段階とを更に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に装着するための、低圧走行可能な走行システムに関する。このようなシステムは、バルブが設けられたリムおよびタイヤを有し、かつほぼトロイダル形状を有する支持リングを収容している。
【背景技術】
【0002】
この支持リング(より一般的には、発泡支持リングと呼ばれている)は、一般に独立気泡ゴムで作られる。支持リングは、タイヤの空気圧が失われたときに荷重を支持するためのものである。或る場合には、気泡に加圧ガスを充填できる。
本発明は、より詳しくは、発泡支持リングを備えたシステムの組立て作業および分解作業に関するものである。
【0003】
このため、タイヤ内に発泡支持リングを挿入できる組立て方法および組立て機械が開発されている。これらの方法および機械は、タイヤ内に硬化バッグを導入するのに使用されている既知の機械および方法に基づいており、例えば、下記特許文献1に開示され、または図1に示されている。
これらの機械はシャーシ5を有し、該シャーシ5にはローラ1、2、3が取付けられている。これらのローラ1、2、3は、互いに平行なそれぞれの軸線y1y′1、y2y′2、y3y′3の回りで自由に回転できる。第一ローラ1は軸線ZZ′に沿って移動でき、他の2つのローラは、軸線ZZ′に垂直な軸線XX′に沿って、軸線ZZ′に対して対称的に移動する。従来技術において知られておりかつ図1に示された組立て機械は、垂直に配置された軸線ZZ′および水平に配置された軸線XX′を有している。
【0004】
発泡支持リングは、図5に示すように、ローラを用いて支持リングを圧縮することにより慣用方法で嵌装される。ローラ2、3は支持リングの内周部に接触され、ローラ1は支持リングの外周部に配置される。次に、ローラ1は、両ローラ2、3の間に支持リングを押込み、特許文献1に開示されまたは本願の図5に示すようにU型にする。
次に、支持リングの周囲にタイヤが配置され、ローラを適当に操縦することにより、支持リングをタイヤの内部空間内に解放する。
この方法は、硬化バッグを嵌装する作業を行うのに良く知られており、かつ発泡支持リングの嵌装、より詳しくは、一般に13−19インチのシート直径をもつツーリングカー用システムの組立てに特別な困難性なく適用できる。
【0005】
本件出願人の会社名義で出願された下記特許文献2および3にも均等の挿入手段が開示されている。これらの装置は、分解および取出しに付随する上記問題に対処するものではない。
下記特許文献4に開示された手段は、タイヤから中実チャンバを取出すためのものである。しかしながら、これらの手段を使用するには多くの注意が必要であり、グリッパと同様なプラー要素を用いてインサートを引出す場合には、その引っ張り力によりインサートが損傷を受け易い。
しかしながら、これらの手段は分解作業を行うようには設計されていない。より詳しくは、硬化バッグは、そのサイズを縮小させるべく前記チャンバが真空引きされたならば、一般に、適当な引っ張りグリッパを用いて取出される。
【0006】
発泡支持リングの特別な特徴の1つは、その体積が大気圧で実質的に一定であるということに留意すべきである。
例えば下記特許文献5には、インサートを傾けて取出す方法が開示されている。この特許文献5には、インサートの側壁に軸線方向推力を加えることによりインサートを射出できるプッシャバーを用いた機械および方法が開示されている。
この方法は、必要とされる引っ張り力に耐え得る充分な剛性を有する大きいサイズのインサートおよびタイヤに特に有効であるが、乗用車用タイヤにおけるように比較的弾性に富む発泡支持リングを備えたシステムには不適当であることが証明されている。
また、この方法には、発泡支持リングを軸線方向に変形させるという欠点があり、このため、発泡支持リングのソールには大きい捩り応力が加えられる。これらの応力は、支持リングとソールとの間の接合クオリティを低下させ、またはこの接合を破壊することもある。
【0007】
【特許文献1】米国特許第1 759 681号明細書
【特許文献2】欧州特許出願EP 1 354 730号明細書
【特許文献3】国際特許公開WO 95/33628号明細書
【特許文献4】フランス国特許FR2 319 503号明細書
【特許文献5】欧州特許出願EP 010 004 A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ツーリングカー用発泡支持リングの使用者に、特別な作業手順および適当な工具の使用を用いて、図1に示した種類の嵌装用機械の使用を可能にする方法および工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により提供される作業手順は次の段階、すなわち、
タイヤ(P)の内部空間から発泡支持リング(B)を取出す方法であって、発泡支持リングの頂部が、タイヤのビードにより定められる周囲より半径方向内方に押込まれて、発泡支持リングの頂部とタイヤのビードとの間に空間(E)を形成するまで、前記表面に凹みを形成できる手段(1)を用いてタイヤ(P)のトレッドストリップを半径方向に確実に押込む段階と、
前の段階で加えられた力が解放されたときにアクセスできる空間(E)を維持できる手段(F)を、前記空間(E)内に導入する段階と、
トレッドストリップに加えられた力を解放する段階と、
軸線(y1y′1)を有する第一ローラ(1)を前記空間(E)内に軸線方向に導入しかつそれぞれ軸線(y2y′2およびy3y′3)を有する第二および第三ローラ(2および3)を、発泡支持リングの内径により形成される内部空間内に導入する段階とを有し、軸線(y1y′1、y2y′2、y3y′3)は互いに平行であり、
保持手段(F)を取出した後、第一ローラ(1)を、第二および第三ローラ(2、3)に対し、両軸線(y2y′2、y3y′3)の実質的に中間の平面内に位置しかつ両軸線(y2y′2、y3y′3)により形成される平面に対して垂直な軸線に沿って移動させ、第二および第三ローラ(2、3)の間で発泡支持リングを押込んでU型にする段階と、
ローラ(1、2、3)を操縦することによりタイヤを分離しかつ発泡支持リングを解放する段階とを更に有している。
【0010】
本発明により提供される工具(F)は、互いに平行な2本のフォークで形成され、該フォークの一端は、端形成ハンドルが設けられたヘッドに結合されている。
これにより、特に乗用車に使用することを意図した発泡支持リングおよびタイヤの場合に、発泡支持リングの嵌装および取出しを行うのに同じ機械を使用できる。また、この方法は比較的簡単であり、この方法を実施するのに必要な特別な工具(F)は安価で容易に使用できる。
支持リングは半径方向平面内で折畳まれ、従って、取出し作業中にソールに捩り荷重が作用すること、およびソールと支持リングとの間の界面の損傷を完全に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明による方法の種々の段階を示す図1−図6に基いて本発明を説明する。
図1に示す機械Dは、第一駆動軸線ZZ′を垂直方向に支持するシャーシ5を有し、該第一軸線ZZ′に垂直な水平軸線y11′を有する第一ローラ1が、電気モータ10の作用により第一軸線ZZ′に沿って移動する。
水平に配置されかつ軸線ZZ′に対して垂直な第二駆動軸線XX′は、それぞれ軸線y22′およびy33′を有する第二ローラ2および第三ローラ3を支持している。尚、両軸線y22′およびy33′は前記軸線y11′に対して平行である。両ローラ2、3は、モータ20の作用により、軸線XX′に沿って軸線ZZ′に対して対称的に移動する。
シャーシ5のベースに配置された湾曲支持体6はタイヤを受入れ、該タイヤから、タイヤの内部空間内に配置された発泡支持リングを取出さなくてはならない。
【0012】
以下の図面には、本発明の種々の段階が示されている。
第一段階は、タイヤのトレッドストリップ上にローラ1を下降して、発泡支持リングの頂部がタイヤのビードにより定められる周囲より半径方向内方に押込まれるまで、前記表面に凹みを形成(punch-in)し、発泡支持リングの頂部とタイヤのビードとの間に空間Eを形成する。この空間Eは、図2に示すようにフォークFが係合できるように充分に大きくすべきである。
ひとたびフォークがビードと発泡支持リングの頂部との間に係合されたならば、ローラ1は、弾性応力の解放効果により、タイヤがその通常の形状にほぼ戻るまで上昇される。これにより、フォークは、ローラ1を、フォークの2本の枝部101、102(図6参照)と、支持リングと、タイヤのビードとの間の空間内に導入できる充分な空間Eを形成できる。従って、第二および第三ローラ2、3の位置は、図3に示すように、支持リングの内径により形成される空間内に両ローラ2、3が滑入できるように調節される。
【0013】
これにより、フォークを取出しかつ両ローラ2、3の間にローラ1を下降させ、図4に示すように、発泡支持リングを押下げて、該発泡支持リングを、その弾性により特徴のあるU型になるように変形させる。
この形状では、タイヤを適当に傾けることにより底部のビードを容易に分離でき、次にタイヤを上方に傾けることにより頂部のビードを分離して、図5に示すような形状にすることにより終了する。
唯一残っていることは、ローラ1を上昇させて、発泡支持リングを機械から解放することである。
【0014】
フォークFは、図6に示すように、互いに平行な2本の枝部101、102で形成され、各枝部の一端がフォークヘッド100に連結されている。フォークヘッドは細長バーで形成され、該細長バーには、2本の枝部101、102の各々が直角に溶接されている。フォークヘッドの両端部は、支持リングの取出しサイクル中にフォークの挿入および取出しを容易に行えるようにするため、作業者が両手で掴むことができる形状を有している。 両枝部間の間隔は、ローラ1が両枝部間で滑ることができるように設計される。実際には、この間隔は、小径システムであるか、大径システムであるかに基いて20−30cmの範囲内で定める。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】発泡支持リングを嵌装するのに適した機械を示す概略斜視図である。
【図2】工具を導入することからなる段階の終時の機械を示す概略図である。
【図3】ローラを導入することからなる段階の終時の機械を示す概略図である。
【図4】発泡支持リングをシェ−ピングする段階の終時の機械を示す概略図である。
【図5】タイヤが分離された後の機械を示す概略図である。
【図6】発泡支持リングを所定位置に保持するための工具を示す概略図である。
【符号の説明】
【0016】
1 第一ローラ
2 第二ローラ
3 第三ローラ
5 シャーシ
100 フォークヘッド
101、102 枝部
B 発泡支持リング
D 機械
E 空間
F フォーク
P タイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ(P)の内部空間から発泡支持リング(B)を取出す方法であって、発泡支持リングの頂部が、タイヤのビードにより定められる周囲より半径方向内方に押込まれて、発泡支持リングの頂部とタイヤのビードとの間に空間(E)を形成するまで、前記表面に凹みを形成できる手段(1)を用いてタイヤ(P)のトレッドストリップを半径方向に確実に押込む方法において、
前の段階で加えられた力が解放されたときにアクセスできる空間(E)を維持できる手段(F)を、前記空間(E)内に導入する段階と、
トレッドストリップに加えられた力を解放する段階と、
軸線(y1y′1)を有する第一ローラ(1)を前記空間(E)内に軸線方向に導入しかつそれぞれ軸線(y2y′2およびy3y′3)を有する第二および第三ローラ(2および3)を、発泡支持リングの内径により形成される内部空間内に導入する段階とを有し、軸線(y1y′1、y2y′2、y3y′3)は互いに平行であり、
保持手段(F)を取出した後、第一ローラ(1)を、第二および第三ローラ(2、3)に対し、両軸線(y2y′2、y3y′3)の実質的に中間の平面内に位置しかつ両軸線(y2y′2、y3y′3)により形成される平面に対して垂直な軸線に沿って移動させ、第二および第三ローラ(2、3)の間で発泡支持リングを押込んでU型にする段階と、
ローラ(1、2、3)を操縦することによりタイヤを分離しかつ発泡支持リングを解放する段階とを更に有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ローラ(1、2、3)はシャーシ(5)に取付けられており、該シャーシ(5)は、第一ローラ(1)を第一軸線(ZZ′)に沿って移動させかつ第二および第三ローラを軸線(ZZ′)に対して対称的に、軸線(ZZ′)に垂直な軸線(XX′)に沿って移動させることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記タイヤ(P)のトレッドストリップは、第一ローラ(1)を適当に操縦することにより確実に押圧されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記保持手段は、互いに平行な2本の枝部(101、102)で形成されかつこれらの枝部の一端がフォークヘッド(100)に連結されていることを特徴とする請求項1−3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記フォーク(101、102)間の間隔は、第一ローラ(1)が発泡支持リングの頂部とタイヤのビードとの間に空けられた空間(E)内に導入されるときに、第一ローラが両フォーク間で軸線方向に導入できるように設計されていることを特徴とする請求項4記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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