説明

発泡生成物を製造するための不燃性ポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールプレミックス

【課題】発泡生成物を製造するための不燃性ポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールプレミックスを提供する。
【解決手段】前記プレミックスは、ポリオール、HFC365mfcと付加的なフッ化炭素との二成分系発泡剤混合物4質量%以上、およびリンをベースとする難燃剤 10〜20質量%から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡材料、特にポリウレタン発泡生成物を製造するための、不燃性ポリステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールプレミックスに関する。
【0002】
ポリウレタンフォームは、イソシアネートと、ポリオールまたはポリオール混合物とを、発泡剤、特にヒドロフルオロアルカンの存在下で反応させることによって製造される。
【0003】
ポリウレタン発泡材料を製造するための、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)の発泡剤としての使用は公知である。1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンは、−27℃を下廻る引火点を有するために、可燃性の液体であるとされ、これらの発泡剤としての使用は制限されている。したがって、通常は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンは、フッ化炭化水素との混合物の形で使用される。
【0004】
公知の発泡剤混合物は、HFC365mfcの他に、たとえば、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)または1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)または1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)を含む。これらの発泡剤混合物は、引火点を有しておらず、したがって、発泡プラスチックの製造に適している。
【0005】
同様に、フォーム形成ために、最初に種々の出発材料から、いわゆるプレミックスを製造し、その後に、イソシアネートと一緒にして反応させることは公知かつ通常のことである。プレミックスを製造するために、ポリオールまたはポリエーテル、発泡剤、触媒および場合によっては他の添加剤を、必要量で一緒に混合する。フォームはその後に、プレミックスと1個のイソシアネートまたは複数個のイソシアネートと、接触されることによって製造される。
【0006】
挙げられた発泡剤混合物を使用することによって製造されるプレミックスは、驚くべきことに、クリティカルな発泡剤量を過剰にした場合には、発泡剤混合物およびポリオール系が可燃性でないのにもかかわらず、低い引火点に基づいてすべての系が可燃性であると評価される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、発泡材料を製造するための、不燃性の安定化したプレミックスを提供することであり、この場合、これは、系中での発泡剤の含量が4質量%を上廻る場合にも引火点を示すことはない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるプレミックスは、
a)ポリオール、好ましくはポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールを装入し、
b)4〜35質量%、好ましくは10〜15質量%の発泡剤混合物、この場合、この発泡剤混合物は、HFC365mfc以外に、少なくとも5質量%、好ましくは7質量%の他のフッ化炭化水素、特にHFC134a、HFC227eaまたはHFC245faを含有し、および、
c)10〜20質量%、好ましくは10〜15質量%のリン化合物、好ましくはトリエチルホスフェートまたはトリス−クロロイソプロピルホスフェート
から成る。
【0009】
リン化合物として、同様にリンをベースとする公知の難燃剤を使用することができる。
【0010】
このプレミックスを、公知技術および公知の方法で、添加剤、たとえば、触媒、安定化剤および他の添加剤と混合する。
【0011】
本発明によるプレミックスは、公知技術および公知方法で、1個のイソシアネートまたは複数個のイソシアネートと接触させて、かつ発泡させる。
【0012】
ポリウレタンフォームを製造するために、通常、ポリイソシアネートは、たとえば2〜4個のイソシアネート基を有している。これらの製造およびこの方法に使用可能な基本的な薬剤は公知である。
【0013】
これらのイソシアネートは、18個までのC−原子を有する脂肪族炭化水素基、15個までのC−原子を有する脂環式炭化水素基、6〜15個のC−原子を有する芳香族炭化水素基または8〜15個のC−原子を有する芳香族脂肪族炭化水素基を有している。工業的に特に好ましい出発材料は、たとえば、2,4−および2,6−トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンプロピルフェニルイソシアネートおよびこれらの混合物である。さらに、前記の修飾されたポリイソシアネートを使用することができ、この場合、これらは、カルボジイミド基、ウレタン基、アロファネート基、イソシアノレート基、尿素基またはビウレット基を含有していてもよい。
【0014】
他の出発成分は、イソシアネートに対して少なくとも2個の反応性水素原子を有する化合物である。特に、分子量400〜10000を有する化合物であり、この場合、これらは、好ましくは2〜8個のヒドロキシル基を含有し、かつさらに、アミノ基、チオール基またはカルボキシル基を含有することができる。
【0015】
他の助剤および添加剤として、発泡系に、付加的な化学的発泡剤、たとえば水を添加することができる。さらに添加可能であるのは、触媒、たとえば、第3級アミン、たとえばジメチルシクロヘキシルアミン、および/または有機金属化合物である。これは、表面活性添加剤、たとえば、乳化剤または発泡安定化剤、たとえば、シロキサンポリエーテルコポリマーを添加することができ、反応遅延化剤、整泡剤、たとえばパラフィン、脂肪族アルコールまたはジメチルポリシロキサン、顔料および染料を添加することができる。
さらに添加可能であるのは、老化防止剤および耐候剤、充填剤、染料、帯電防止剤、核形成剤、孔調整剤または殺生作用物質である。
【0016】
適した触媒は、たとえば、国際特許出願WO96/14354に挙げられている。これに加えて、有機性アミン、アミノアルコールおよびアミノエーテル、たとえば、モルホリン化合物、たとえば、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、2−ジメチルアミノエチル−3−ジメチルアミノプロピル−エーテル、2−ジメチルアミノエチルエーテル、2,2−ジモルホリノジエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルモルホリン、N−ジメチルモルホリンが含まれる。また、有機金属化合物、たとえば、錫化合物、コバルト化合物、または鉄化合物が、触媒として有用である。使用可能であるのは、たとえば、錫ジオクトエート、コバルトナフテネート、ジブチル錫ジラウレートおよび鉄アセトニルアセテートである。
【0017】
本発明によるプレミックスの利点は、難燃剤、たとえばトリエチルホスフェート、トリス−クロロイソプロピルホスフェートおよび他のリン酸塩またはホスホン酸塩を添加することによって、成分の溶解挙動を変更することが明らかにされ、この引火点が上昇し、"可燃性"の評価がなくなることである。したがって、プレミックスの貯蔵および運搬が容易になる。
【実施例】
【0018】
例1:
ポリエーテルポリオール(Tercarol A350)を、10質量%の発泡剤(ポリオールに対して)と混合し、かつ引火点を測定した。発泡剤として、94%のHFC 365mfcと6%のHFC 227eaとから成る二成分系混合物を使用した。
DIN EN ISO 13736による引火点:15℃
例2〜5:
プレミックスを、例1と同様に、ポリエーテルポリオール(Tercarol A350)および10質量%の二成分発泡剤混合物から製造し、さらに付加的なトリエチルホスフェート(TEP)またはトリス−クロロイソプロピルホスフェート(TCPP)をさらに添加した。引火点は、DIN EN ISO 13763にしたがって測定した。引火点を算定することはできなかった。
【0019】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオールに対してa)1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンと、b)1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンまたは1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとの二成分系発泡剤混合物 4〜35質量%およびトリエチルホスフェートまたはトリス−クロロイソプロピルホスフェートであるリン化合物 10〜20質量%を含有することを特徴とする、分子量400〜10000を有し、2〜8個のヒドロキシル基を含有し、かつさらにアミノ基、チオール基またはカルボキシル基を有していてもよい化合物の群から選択されたポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオール、触媒、安定化剤のような添加剤、他の助剤および発泡剤から成る、発泡生成物を製造するための不燃性プレミックス。
【請求項2】
ポリオールに対して二成分系発泡剤混合物 10〜15質量%を含有する、請求項1に記載の不燃性プレミックス。
【請求項3】
ポリオールに対してリン化合物 10〜15質量%を含有する、請求項1または2に記載の不燃性プレミックス。

【公開番号】特開2009−74099(P2009−74099A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4269(P2009−4269)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【分割の表示】特願2002−589554(P2002−589554)の分割
【原出願日】平成14年4月16日(2002.4.16)
【出願人】(592165314)ゾルファイ フルーオル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (55)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Fluor GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Allee 20,D−30173 Hannover,Germany
【Fターム(参考)】