説明

発熱パック及びその使用方法

【課題】使用者の身体に対して優れた順応性を有し、月経痛等の症状を和らげることを意図した発熱パック及びその使用方法を提供する。
【解決手段】空気中の酸素と接触して発熱する成形性発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を実質的に平面状の基材上に積層し、更に、被覆材を被せ、発熱組成物成形体の周縁部をヒートシールし、前記発熱組成物成形体により構成される区分発熱部と、前記ヒートシールにより構成される区分け部とを有する発熱パックであって、前記基材及び前記被覆材は、ヒートシール可能な熱可塑性樹脂フィルムから構成され、前記基材は、ポケット、収納区画又は収納区域を有せず、前記基材及び/又は前記被覆材は、予め穿孔により通気性手段が設けられており、前記発熱パックの長手方向の剛軟度が100mm以下であり、該方向の短手方向の剛軟度率が50以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟性を有し、快適な熱を効率よく、安定して身体に伝達するとともに、使用者の身体に対して優れた順応性を有し、月経痛等の症状を和らげることを目的とした熱パック及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄等の金属の酸化反応を利用した発熱組成物は粉体又は粒状、粘体やクリーム体として提供されてきた。それらを利用した発熱パックは、コスト、安全性、発熱温度等からみて非常に優れており、例えば、通気性を有する袋に充填されたいわゆる化学カイロとして既に実用に供せられている。
【0003】
また、発熱袋の装着を容易にするために、特許文献1には、扁平状発熱袋の片面に通気性を持たせ、他の片面のほぼ全面にわたってベタ若しくは適宜模様状に非転着性の粘着剤層(粘着部と同じ意味)を設け、この粘着剤層を有する面を下着の上から貼り付ける構成とした発熱袋が提案されている。
また、特許文献2には、通気性包材の通気量を制限し発熱持続時間を長くする目的で通気性面に粘着剤層を部分的に設けた発熱袋も提案されている。
特許文献3には、このほか、発熱袋の周辺部分に接着テープを帯状に貼着した発熱袋が開示され、或いは、特許文献4には、両面接着テープを貼り付けるようにした発熱袋なども提案されている。これら発熱袋の粘着剤面を下着の外側から身体の方に向けて貼る構成であることが示唆されている。これらの発熱袋は、貼るタイプの発熱袋(以下、貼るタイプと記す)と称されて広く使用されている。
また、特許文献5には、空気中の酸素と接触して発熱する発熱組成物又はシート状発熱パックを収納した扁平状の発熱袋の通気面に粘着部を設け、前記発熱袋の通気性粘着面を下着の内側に貼り付けて下着に固定し、非粘着面を皮膚に接触させて人体を直接暖める発熱袋が開示されている。
また、貼るタイプ発熱袋における発熱袋から身体への熱伝達性を向上させ、発熱袋の軽量化、薄型化をはかった発熱袋として、扁平状袋の片面に通気性を持たせ、他の片面に粘着部を設け、粘着部の面を皮膚に直接貼るようにした発熱袋も開発されている。
また、皮膚に直接貼りつけている時の皮膚のかゆみやかぶれ発生の防止などの目的で粘着剤層の面積を30〜70%とすることも提案(特許文献6)されている。このほか粘着部に替えて水分含有ゲル層を皮膚に貼る面とした発熱袋も開発されている。これらの発熱袋はいずれも皮膚に直接貼ることから直貼りタイプの発熱袋(以下、直貼りタイプと記す)と称されている。
これらの貼るタイプの発熱袋、直貼りタイプの発熱袋は、寒冷等に対して暖を採る目的の発熱袋のほか、夏場の冷房による冷え過ぎの防止、生理痛、神経痛、筋肉痛等の緩解、疲労回復などを目的とした医療用具としても利用されている。
一方、より快適な使用感を得るため、発熱組成物の片奇り防止や多種の形状によるフィット性を求めて、増粘剤、結合剤等を用い、形状維持性と発熱特性の維持を図った発熱組成物がいろいろ提案されている。例えば、特許文献7には0.5mm以上の平均粒径となるように造粒した発熱組成物の製造方法、及び添加水に粘着性バインダ成分を10〜20重量部配合することにより造粒後粒子強度を向上した発熱組成物の製造法が提案されている。
また、特許文献8にはコーンスターチ、馬鈴著デンプン等の粉末状増粘剤を添加して形状維持性を待たせた発熱組成物からなる使い捨てカイロが提案されている。
また、特許文献9には粉末状又は粒状発熱組成物にCMC等の結合剤を混合し圧縮成型した固形発熱組成物が提案されている。
また、特許文献10には架橋剤等と吸水性ポリマーを使用し、圧力により加圧一体化した発熱パックが提案されている。また、特許文献11には増粘剤を便用し粘性を持たせた、インキ状乃至クリーム状の発熱組成物及び発熱パック及びその製造方法が提案されている。
また、特許文献12には結合剤を使用した発熱組成物成形体の表面をCMC等の通気性皮膜で覆い、形状維待を図ったものが提案されている。
また、特許文献13や、特許文献14には発熱組成物を粘体やクリーム状物にし、形状を従来の矩形から足形状や楕円形状に代え、被保温体の輸郭に適合できるようにすることが提案されている。
また、少なくとも一面が通気性を有する包材間に発熱組成物を封入した発熱部をシール部で区画された複数個の小発熱部から構成し、柔軟構造を有する発熱パックが開示されている。特許文献15、特許文献16では、粉体状発熱組成物を区分けした区画に充填し、シール部で複数個の区画されている発熱部からなる発熱パックが開示されている。
また、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21及び特許文献22には、凝集化剤や乾燥結合剤を使用した発熱組成物や収納ポケットを有する基材を使用して、発熱組成物発熱部を複数の区画に分けた発熱パックが提案されている。
【0004】
しかしながら、これら貼るタイプ及び直貼りタイプの発熱袋には次のような問題点があった。即ち、下着の外側に貼るタイプの発熱袋は下着の上から装着することから身体へ効率よく熱伝達されないという不都合があった。また、このことから所望の温かさ、所望の持続時間を得るためには発熱組成物の量を多く必要とする結果、発熱袋が重く、嵩高となるほか、着衣が薄着の場合などでは発熱袋を装着している状態が外部から見え易いという不都合もあった。
【0005】
更に貼るタイプ発熱袋のうち、通気性面に粘着剤層を部分的に設けた発熱袋の場合には、装着中の体位の変化などによる身体と発熱袋の密着度によって通気性が変化するために、ぬるくなったり、あつすぎるなど一定した温かさが得られないという欠点があった。また、接着テープを帯び状に貼った発熱袋、或いは両面粘着テープを貼りつけるようにした発熱袋は、製造工程が複雑となるほか、使用する際に繁雑さがあることや、粘着力不足となることから、市場から消え去っている状況である。
【0006】
また、下着の内側に貼るタイプの扁平状の発熱袋は、発熱袋下着に押さえられているため、装着部から脱落することはないが、発熱部が1つであり、柔軟性に欠け、使用中、ごわごわ感があり、使用感が悪く、特に扁平状の発熱袋のサイズが大きくなると、顕著になり、問題であった。
【0007】
一方、直貼りタイプの発熱袋は、皮膚面に直接貼り付けることから、発熱特性の変化が直ちに装着部分の皮膚面に伝わり、やけどを生じさせ易くなる虞があり、やけどの虞を避けるために発熱特性を所望の発熱特性よりも低めに設定せざるを得ないという不都合があった。
【0008】
更に、発熱袋を貼る時に冷たさを感じること、はがす時には痛みを感じること、貼りつけている皮膚部分にかゆみ、或いはかぶれを生じる場合があるという不都合があった。更に、使用中に発汗した場合には、汗により粘着部が剥がれるために発熱パックが脱落すること、及び汗により不快感を生じるという不都合もあった。
【0009】
また、皮膚に貼る面の粘着部の面積を少なくした場合においても、貼りつけている皮膚部分のかゆみやかぶれの発生を防止することができなかった。一方、粘着部に替えて、水一ゲル層を用いた場合においては使用する際の冷たさを解消することができなかった。このほか発熱袋が皮膚に直に貼り付けられているために、皮膚の伸縮が妨げられたことによる、引きつり感などの違和感を伴うという不都合もあった。
【0010】
また、発熱部を複数の分室に区画しても、凝集助剤等で、発熱組成物を固めた形態のものは、発熱性能が悪化する問題もあった。
【0011】
また、従来、発熱パックは充填方式で製造されたり、凝集剤や結合剤を含有させた発熱組成物を凝集体や圧縮体を減圧成形された収納区画を有する包材へ充填され製造されていた。また、基材に充填用ポケットを予め作製しておき、そのポケットに発熱組成物を充填し、包材をその上に被せ、シールすることにより製造されていた。
【0012】
また、粉状発熱組成物や粒状発熱組成物を発熱組成物として用い、区分化した発熱部を有する発熱パックを製造する場合、充填方式を用いる方法では、粉状発熱組成物や粒状発熱組成物を一部シールをした袋状の収納体に収納し全体をシールするため、区分領域のサイズに製造上制限があった。即ち、粉状発熱組成物や粒状発熱組成物を部分シールしながら充填する方法では小サイズの区分領域を複数個有する発熱パックを製造することは機械的には実質的に不可能であり、更に発熱組成物がシール部に混入し、シール不足等による問題が生じていた。特に、サイズが20mm以下の部分形状を持つものや20mm以下の小さい形状の連続生産は実質的に不可能であった。また、特許文献23に開示されている回転磁石方式を用いる方法では、複雑な操作を行なわなければならないし、構造も複雑である。したがって、発熱層形成時の操作が面倒であり、使用する装置が複雑且つ高価で、故障しやすくメンテナンスに手間がかかり、取扱が不便であるという問題を有し、更に発熱部サイズの小型化にも限界があった。
また、ポケット方式を用いる方法では、凝集剤や結合剤を含む発熱組成物を用い、凝集剤や結合剤を含む発熱成分の乾燥粉末混合物をそのままか、圧縮して顆粒、ペレット、錠剤又はスラグに整形した発熱組成物を、予め、包材に作成されてある凹状のポケット内に充填し、圧縮し、発熱部を作成する。ところで、複数の区分発熱部を有する発熱パックでは、凝集剤や結合剤が混入されていないものに比ベ、発熱時間が著しく落ち、特に最短の長さが15mm以下であるような狭い領域を有する区分発熱部や小さいサイズの区分発熱部にすると発熱持続時間が著しく短くなり、実用上問題があった。発熱持続時間を長くしようとすると区分化された発熱部1個の寸法を大きくとる必要が生じ、大きいサイズの区分発熱部を有する発熱パックになってしまう問題があった。また、粉体状又は粒状発熱組成物を用いるでも予め包材に凹状のポケットを設けなければならず、複雑な操作が伴っていた。また、ポケットに収納し、包材で、発熱組成物を封入後、更にポケット内の発熱組成物に水分を添加し、空気と接して発熱可能な発熱組成物にする必要があり、その工程の設けなければならず、工程が複雑になり、コスト的にも問題があった。
【0013】
以上のような発熱部が1個である単包形態では例えば接着保持が困難で容易に脱落したり、装着に強い違和感を生じたりする問題点があった。かかる問題点は、発熱パックの反応進行に伴う塊状化による柔軟性の低下でより助長される。また収納袋を形成する延伸フィルムが発熱で収縮カールして単包袋の端部が捲れ上がり、そこへの引っ掛りで接着保持のカイロが簡単に剥がれて落下する問題点もあった。
【0014】
【特許文献1】実公昭56−34735号公報
【特許文献2】実開平3−96816号公報
【特許文献3】実開昭62−119914号公報
【特許文献4】実用新案登録第1686986号公報
【特許文献5】特開2001−198150
【特許文献6】特開平9−557号公報
【特許文献7】特開平4−293989号公報
【特許文献8】特開平6−343658号公報、
【特許文献9】特開昭59−189183号公報
【特許文献10】国際公開第00/13626号パンフレット
【特許文献11】特開平9−75388号公報
【特許文献12】特開昭60−101448号公報
【特許文献13】特開平9−276317号公報
【特許文献14】特開平11−299817号公報
【特許文献15】実開平1−110718号公報
【特許文献16】実開平6−26829号公報
【特許文献17】特開2000−288008号公報
【特許文献18】特表平11−507593号公報
【特許文献19】特表平11−508314号公報
【特許文献20】特表平11−508786号公報
【特許文献21】特表平11−512954号公報
【特許文献22】特表2002−514104号公報
【特許文献23】特開平7−124193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
以上のことから、本発明は、発熱パックが使用前、中、後で柔軟性があり、発熱パックの装着が容易であるとともに、一面において使用者の衣服に取り付け且つ他面において使用者の皮膚に直接当てられ、熱パックの快適な熱を効率よく、安定して身体に伝達するとともに、使用者の身体に対して優れた順応性を有し、月経痛等の症状を和らげることを意図した発熱パック及びその使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の発熱パックは、請求項1に記載の通り、空気中の酸素と接触して発熱する成形性発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を実質的に平面状の基材上に積層し、更に、被覆材を被せ、発熱組成物成形体の周縁部をヒートシールし、前記発熱組成物成形体により構成される区分発熱部と、前記ヒートシールにより構成される区分け部とを有する発熱パックであって、
1)前記基材及び前記被覆材は、ヒートシール可能な熱可塑性樹脂フィルムから構成され、
2)前記基材は、ポケット、収納区画又は収納区域を有せず、
3)前記基材及び/又は前記被覆材は、予め穿孔により通気性手段が設けられており、
4)前記区分発熱部は、前記区分け部を介して複数設けられ、
5)前記成形性発熱性組成物は、鉄粉、炭素成分、反応促進剤及び水を必須成分とし、易動水値が0.01〜20であり、凝集助剤、凝集化剤、集塊補助剤、乾燥バインダー、乾燥結合剤、乾燥結合材、粘着性素材、増粘剤及び賦形剤を含まず、
6)前記発熱パックの長手方向の剛軟度が100mm以下であり、該方向の短手方向の剛軟度率が50以上であることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発熱パックは、請求項1に記載の発熱パックにおいて、前記基材及び前記被覆材の剛軟度が200mm以下であることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発熱パックは、請求項1又は2に記載の発熱パックにおいて、前記ヒートシール可能な熱可塑性樹脂フィルムの熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレン、鹸化したエチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体及びそれらの混合物並びにそれらの積層体から成る材料から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発熱パックは、請求項1乃至3の何れかに記載の発熱パックにおいて、前記ヒートシール可能な熱可塑性樹脂フィルムが、熱可塑性樹脂からなる第1の側面と鹸化したエチレン酢酸ビニル共重合体及びエチレン酢酸ビニル共重合体とから成る第2の側面とを有する共有押し出し成形による積層体であることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発熱パックは、請求項1乃至4の何れかに記載の発熱パックにおいて、前記積層体が、ポリプロピレン素材と、エチレン酢酸ビニル共重合体素材との共有押し出し成形の積層体であり、前記ポリプロピレンが、前記積層体の全体厚さの10%から90%であることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発熱パックは、請求項5に記載の発熱パックにおいて、前記ポリプロピレンが、前記積層体の全体の厚さの40%から60%であることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発熱パックは、請求項1乃至6の何れかに記載の発熱パックにおいて、前記発熱部が、区分け部を介して設けられた複数の区分発熱部を有し、中心点が四辺形を構成する4つの隣接する前記区分発熱部の少なくとも1つが、他の3つの前記区分発熱部間に存在する前記区分け部の最小幅の中心線を通り、且つ、前記中心線に直交する線の少なくとも1本以上の線の少なくとも一端部を遮断するように、各区分発熱部は互いに関して十分に近接しており、隣接する4つの区分発熱部間にある少なくとも1つの区分け部の幅が隣接する4つの区分発熱部の最小直径の37.5%以下であることを特徴とする。
また、請求項8に記載の発熱パックは、請求項1乃至6の何れかに記載の発熱パックにおいて、前記発熱部が、区分け部を介して設けられた複数の区分発熱部を有し、中心点が三角形を構成する3つの隣接する前記区分発熱部の少なくとも1つが、他の2つの区分発熱部間に存在する区分け部の最小幅の中心線を通り、前記中心線に直交する直線の一端部を遮断するように、前記3つの隣接する前記区分発熱部間に存在する前記区分け部の幅の最小幅が、前記三角形を構成する前記区分発熱部の最小直径の測定値の15%以下であることを特徴とする。
また、請求項9に記載の発熱パックは、請求項1乃至8の何れかに記載の発熱パックにおいて、前記成形性発熱組成物が、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、水素発生抑制剤、骨材、繊維状物、機能性物質、界面活性剤、有機ケイ素化合物、焦電物質、保湿剤、肥料成分、疎水性高分子化合物、発熱助剤、鉄以外の金属、酸化鉄以外の金属酸化物、酸性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする。
また、請求項10に記載の発熱パックは、請求項1乃至9の何れかに記載の発熱パックにおいて、前記成形性発熱性組成物が、重量で30%から80%の鉄粉と、重量で3%から25%の炭素材料と、重量で0.5%から10%の反応促進剤と、重量で1%から40%の水とを備えることを特徴とする。
また、請求項11に記載の発熱パックは、請求項1乃至10の何れかに記載の発熱パックにおいて、前記区分発熱部に前記発熱性組成物成形体を封入した時に、前記発熱組成物成形体の容積に対して前記区分発熱部容積の比率を0.7から1.0としたことを特徴とする。
また、請求項12に記載の発熱パックは、請求項1乃至11の何れかに記載の発熱パックにおいて、前記発熱組成物成形体が圧縮されており、0.85g/cmよりも大きい密度を有することを特徴とする。
また、請求項13に記載の発熱パックは、請求項1乃至12の何れかに記載の発熱パックの前記被覆材側に、第1外側包材を設け、前記基材側に第2外側包材を設け、第1面及び第2面は凹凸状であり、前記発熱パックは固定手段として粘着材層からなる手段を有し、前記手段は、前記第1外側包材からなる第1面に位置して、前記第1面は酸素浸透手段を有し、長手方向の剛軟度が100mm以下であり、それと直交する方向の短手方向の剛軟度率が50以上であることを特徴とする。
本発明の発熱パックの使用方法は、請求項14に記載の通り、請求項1乃至13の何れかに記載の発熱パックを衣服と皮膚の間に保持する使用方法であって、前記発熱パックの通気面上に設けられた粘着剤層を介して、発熱パックを衣服の内側に貼りつけ、他面を皮膚に接触させて、皮膚温度を20秒から24時間の期間、32℃から50℃に維持することを特徴とする。
また、請求項15に記載の発熱パックの使用方法は、請求項14に記載の発熱パックの使用方法において、前記使用方法において、32℃から39℃に維持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、
1)ポケット等の発熱組成物収納を意図した収納部を予め設けていない、実質的に平面状の基材及び成形性発熱組成物及び型成型法を使用し、実質的に平面状の基材を使用し、前記基材上に成形性発熱組成物の成形体である発熱組成物成形体を積層し、更に、被覆材を被せ、発熱組成物成形体の周縁部をヒートシールし、凹凸状の発熱パックが製造できたことにより、発熱パックの低コスト化ができた。
2)本発明の発熱パックを使用した凹凸状発熱パックは区分け部を介して複数の区分発熱部からなる区分発熱部を有しているため、柔軟性と構造維持性があり身体に良く沿い、使用中の体位の変化などに係わりなく安定した発熱特性を保持することができるようになった。
3)衣服の内側に発熱パックを固定し、他面を身体に接触される発熱パックにより発熱パックを皮膚に貼ることなしに皮膚に直接接触させて人体を暖めることができるようになり、従来の直貼り発熱パックの不具合点であった、発熱パックを貼り付けた直後の冷たさ、貼り付けた部位のかゆみやかぶれの発生、発熱パックを剥すときの痛み、及び発汗した場合に発熱袋が脱落したり汗が吸収されず不快感を生じるなどの問題点が全て解消された。
4)発熱パックの熱を効率よく皮膚に伝達できることから、発熱パックを軽量で、薄い物とすることができ、装着時の違和感なしに、所望の持続時間を得ることができるようになった。このため、扁平状の発熱パックでは困難であった大型の発熱パックや寒さをしのぐための暖を採る発熱パックのほか、夏の冷房による体調不良の防止、生理痛、神経痛、筋肉痛等の緩解、疲労回復等を目的とした医療用具としても優れた効果を得ることができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の発熱パックは、空気中の酸素と接触して発熱する成形性発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を実質的に平面状の基材上に積層し、更に、被覆材を被せ、発熱組成物成形体の周縁部をヒートシールし、前記発熱組成物成形体により構成される区分発熱部と、前記ヒートシールにより構成される区分け部とを有する発熱パックであって、
1)前記基材及び前記被覆材は、ヒートシール可能な熱可塑性樹脂フィルムから構成され、
2)前記基材は、ポケット、収納区画又は収納区域を有せず、
3)前記基材及び/又は前記被覆材は、予め穿孔により通気性手段が設けられており、
4)前記区分発熱部は、前記区分け部を介して複数設けられ、
5)前記成形性発熱性組成物は、鉄粉、炭素成分、反応促進剤及び水を必須成分とし、易動水値が0.01〜20であり、凝集助剤、凝集化剤、集塊補助剤、乾燥バインダー、乾燥結合剤、乾燥結合材、粘着性素材、増粘剤及び賦形剤を含まず、
6)前記発熱パックの長手方向の剛軟度が100mm以下であり、該方向の短手方向の剛軟度率が50以上であるものである。
【0019】
また、(1)前記発熱部が、区分け部を介して設けられた複数の区分発熱部を有し、中心点が四辺形を構成する4つの隣接する前記区分発熱部の少なくとも1つが、他の3つの前記区分発熱部間に存在する前記区分け部の最小幅の中心線を通り、且つ、前記中心線に直交する線の少なくとも1本以上の線の少なくとも一端部を遮断するように、各区分発熱部は互いに関して十分に近接しており、隣接する4つの区分発熱部間にある少なくとも1つの区分け部の幅が隣接する4つの区分発熱部の最小直径の37.5%以下にすることで、優れた温度帯特性を得ることができる。
また、(2)前記発熱部が、区分け部を介して設けられた複数の区分発熱部を有し、中心点が三角形を構成する3つの隣接する前記区分発熱部の少なくとも1つが、他の2つの区分発熱部間に存在する区分け部の最小幅の中心線を通り、前記中心線に直交する直線の一端部を遮断するように、前記3つの隣接する前記区分発熱部間に存在する前記区分け部の幅の最小幅が、前記三角形を構成する前記区分発熱部の最小直径の測定値の15%以下とすることで、優れた温度帯特性を得ることができる。
即ち、前記(1)や(2)のように区分発熱部を配置することにより、区分発熱部のヒートシールを容易にし、
1)発熱パックの温度帯を大きな温度差を付けず、穏やかに変化させ、区分発熱間の温度の変化率を最小にすることができる。
2)各区分発熱部間の相互の保温効果により、発熱ラップの発熱領域の最高温度領域と最低温度領域の温度差の幅を小さくして、全体の温度帯として幅を小さくして温度帯の均一化を図ることができる。
3)発熱ラップの長軸方向の端部から中央に向かって、穏やかに温度が上昇する温度帯が得られ、快適な採暖ができる。
【0020】
次に、本発明の発熱パックについて説明する。
発熱パックは、基材に固定された、複数の個別区分発熱部を有している。
これらの区分発熱部は互いに間隔を置いて配設され、各区部発熱部は、残りの区分発熱部から独立して作動する。
各区分発熱部は、発熱組成物成形体又はその圧縮体の周縁部の基材及び被覆材をヒートシールして製造される。これにより、空隙を少なくして、発熱組成物成形体又はその圧縮体が区分発熱部内で移動することを抑える。更に、区分発熱部は簡単には縮まないようにすることができる。
従って、大きな発熱部を少数設けるよりも、使用者の身体に容易に適合することになる。
【0021】
基材や被覆材は、ヒートシール可能な熱可塑性樹脂フィルムからなり、可撓性の熱可塑性樹脂の材料から作られる。
また、鉄粉を使用し、空気中の酸素と接触して発熱する発熱組成物を使用した使い捨てカイロや発熱パックに、従来から使用されている包材が使用できる。発熱組成物成形体又はその圧縮体を含有する区分発熱部は剛軟度が高く、その間に存在し、発熱組成物成形体又はその圧縮体を含有しない、ヒートシール部である区分け部は剛軟度が低い。前記区分発熱部と区分け部からなる発熱部は約0℃乃至約80℃の間で、剛軟度差を保つことができるので、区分け部がヒンジとして機能し、区分発熱部よりも優先的に曲がる。区分発熱部と区分け部からなる温熱パックは常温から加温時(約20℃乃至約60℃)まで、区分け部がヒンジとして機能し、区分発熱部よりも優先的に曲がる。加熱時にも良好な剛軟度差は尚維持される。この結果、温熱パックは、区分発熱部の構造的支持を維持し、処理中又は使用中の連続層構造の受け入れ難い伸長を防止するに十分な剛性を有する一方、加熱されたときも優れた剛軟度を尚維持する。
【0022】
発熱パックの長手方向の剛軟度は100mm以下であり、好ましくは60mm以下であり、より好ましくは50mmであり、更に好ましくは30mm以下であり、更に好ましくは20mm以下である。また、剛軟度比は2以上である。この剛軟度及び剛軟度比は少なくとも20℃〜60℃の間で保持される。
【0023】
基材及び被覆材の剛軟度は100mm以下であり、好ましくは60mm以下であり、より好ましくは50mm以下である。基材及び被覆材の剛軟度は少なくとも20℃〜60℃の間で保持される。基材及び被覆材は被覆材の剛軟度は種類、厚み、延伸度等により調整できる。
尚、少なくとも基材及び被覆材の一部は通気性である。
【0024】
前記基材、被覆材を構成する素材としては、発熱組成物の収納袋として機能すれば制限はない。通常化学カイロや発熱パックに使用されている素材が使用できる。例えば素材として非通気性素材、通気性素材、吸水性素材、非吸水性素材、非伸長性素材、伸長性素材、伸縮性素材、非伸縮性素材、発泡素材、非発泡素材、非ヒートシール性素材、ヒートシール性素材等が一例として挙げられ、フィルム、シート、不織布、織布等及びそれらの複合体の所望の形態で、所望の用途により適宜使用できる。
通常、基材は非通気性フィルム又はシートからなり、被覆材は通気性フィルム又はシート又は不織布からなるが、逆でもかまわなし、双方が通気性を有していてもよい。また、敷材は通気性や非通気性は適宜使い分ければよい。
前記収納袋の包材は単層構造でもよく、多層構造でもよく、その構造には制限はない。また、包材は少なくとも基材及び被覆材からなるが、発熱組成物成形体を積層する包材が基材であり、発熱組成物成形体に被せる包材が被覆材であり、通気性のありなしは関係ない。一例として、非通気性の包材を基材、通気性性包材を被覆材として、多層構造の例を説明すれば、基材がA層/B層又はA層/B層/C層又はA層/B層/C層/D層からなるものや、被覆材がF層/G層又はE層/F層/G層又はF層/H層/G層からなるものが一例として挙げられる。A層は、ポリエチレン等熱可塑性樹脂フィルム、ポリエチレンやEVA等のヒートシール層や、吸水性紙類等、B層はナイロン等の熱可塑性樹脂の不織布、非吸水性紙類、吸水性紙類、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミド(ナイロン等)フィルム等熱可塑性樹脂フィルム、非吸水性紙類や吸水性紙類等の芯材等、C層は粘着剤層、非吸水性紙類、吸水性紙類、ポリエチレン等熱可塑性樹脂フィルム、滑り止め層、ポリエステルやナイロン等の熱可塑性樹脂の不織布等、D層はセパレータ、ポリエチレン等熱可塑性樹脂フィルム、不織布等、E層はヒートシール層等、F層はポリエチレン等熱可塑性樹脂製多孔質フィルムや穿孔フィルム等、ポリエチレン等熱可塑性樹脂製フィルム、非吸水性紙類、吸水性紙類等、G層はポリエステルやナイロン等の熱可塑性樹脂の不織布等、H層は非吸水性紙類、吸水性紙類等である。例えば、基材又は被覆材の例としては、メタロセン触媒使用のポリエチレン製ヒートシール層/ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン製ヒートシール層/ポリプロピレンフィルム、EVA製ヒートシール層/ポリプロピレンフィルム、EVA製ヒートシール層/ポリプロピレンフィルム/粘着剤層/セパレータ、EVA製ヒートシール層/ポリエチレンフィルム/ナイロン不織布、不織布/多孔質フィルム、メタロセン触媒使用のポリエチレン製ヒートシール層/ポリエチレンフィルム/ナイロン不織布、メタロセン触媒使用のポリエチレン製ヒートシール層/ポリプロピレンフィルム/ポリプロピレン不織布、不織布/(紙及び/又は穿孔(針、レーザー)フィルム)/多孔質フィルム、不織布/(紙及び/又は多孔質フィルム)/穿孔(針、レーザー)フィルム、不織布/(紙及び/又は多孔質フィルム)/不織布等が一例として挙げられる。各層の積層方法については制限はなく、各層の直接積層でもよく、各層は通気性粘着剤層やラミネート剤層を介して積層してもよく、熱溶融押出し等でラミネートをしてもよい。また、本発明ではメタロセン触媒を使用して製造したポリエチレンもポリエチレンに含む。
例えば、不織布、多孔質フィルム等の前記素材を通気性接着層を介して積層する場合、前記通気性接着層の形成は、接着性物質を加熱溶融下に熱風を介し吹付け展開するカーテンスプレー方式やメルトブロー方式やスロットスプレー方式などの適宜な方式で接着性物質を繊維化して多孔質フィルムや通気性基材やセパレータ等からなる適宜な支持基材上に展開堆積させ多孔状態の接着層とする方法などが一例として挙げられる。
前記基材、披覆材、敷材及びそれらを構成する素材の厚さとしては、用途によって大きく異なるが、制限はない。通常は5〜5000μm、好ましくは10〜500μm、より好ましくは20〜250μmである。
前記非通気性素材としては、非通気性があれば制限はない。ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体等ポリマーからなるフィルム、シート、塗布物及びそれらに酸化ケイ素等の金属(半導体も含む)化合物を積層したものやそれらを使った複合素材が一例として挙げられる。
例えば、前記非通気性素材の中で、非通気性の高いフィルムとしては、非通気性素材フィルム上に半導体を含む金属やその化合物の薄膜を単層又は多層に設けたものが一例として挙げられる。例えば、半導体を含む金属としては、ケイ素、アルミニウム等及びこれら金属を含む合金や混合物等が一例として挙げられる。半導体を含む金属化合物としては、上記金属又は合金や混合物の酸化物、窒化物及び酸窒化物が一例として挙げられる。例えば、酸化ケイ素層、酸化アルミニウム層、酸窒化ケイ素層やそれらの任意層をポリエステル製フィルムに積層したものや、更に、それに延伸ポリオレフィンフィルム(例えば2軸延伸ポリプロピレンフィルム)を積層したものが一例として挙げられる。
前記通気性素材としては、通気性があれば制限はない。例えば、多孔質フィルム及び穿孔フィルム等の通気性フィルムや紙類、不織布等の単独で通気性を有するもの、紙類及びそれに通気性フィルムや不織布等を少なくとも1種以上積層し通気性を持たせたもの、不織布にポリエチレンフィルムがラミネートされた非通気性の包材に針などを用いて微細な孔を設けて通気性を持たせたもの、繊維が積層され熱圧着されて通気性を制御された不織布、多孔質フィルム、或いは、多孔質フィルムに不織布を貼り合わせたもの等が一例として挙げられる。ここで、穿孔フィルムとはポリエチレンフィルムなどの非通気性フィルムに針で微細な孔を設けて通気性を待たせたものである。
通気性としては、発熱が維持できれば制限はない。通常の発熱に使用される場合、通気性はリッシー法(Lyssy法)による透湿度が、通常は50〜10,000g/m/24hrであり、好ましくは70〜5,000g/m/24hrであり、より好ましくは100〜2,000g/m/24hr、更に好ましくは100〜700g/m/24hrである。
この透湿度が、50未満であると発熱量が少なくなり、十分な温熱効果が得られないので好ましくなく、一方、10,000g/m/24hrを越えると発熱温度が高くなって安全性に問題が生じる虞れが生じるので好ましくない。ただし、用途によっては10,000g/m/24hrを越えたり、場合によっては開放系に近い透湿度で使用することも制限されない。
前記伸縮性包材としては、伸縮性があれば、特に限定されるものではない。即ち、全体として、伸縮性があればよく、単品でも、伸縮性基材同士又は伸縮性基材と非伸縮性基材との組み合わせによる複合品でもよい。
例えば、天然ゴム、再生ゴム、合成ゴム、エラストマー、伸縮性形状記憶ポリマー等の単品やこれらの混合物やこれらと非伸縮性素材との混合品、混抄品やこれらの組み合わせ品から構成される織物、フィルム、糸、ストランド、リボン、テープ、スクリム構造弾性状フィルム等が一例として挙げられる。
前記多孔質フィルムとしては、制限はないが、ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等と充填材からなるフィルムを延伸した多孔質フィルムで、適宜選択することができる。
前記不織布としては、制限はないが、レーヨン、ナイロン(ポリアミド)、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、ビニロン、ポリエチレン、ポリウレタン、キュプラ、綿、セルロース、パルプ等の材質からなる単織維又は複合繊維の単一不織布又はそれら繊維の混抄又は異積繊維層の積層が用いられる。また、製法的には乾式不織布、湿式不織布、スパンボンド、スパンレース等を使用することができる。芯鞘構造の複合繊維からなる不織布でもよい。肌と接する面の不織布は起毛の(毛羽立てた)不織布が好ましい。また、伸縮性不織布や非伸縮性不織布も使用できる。
前記吸水性素材としては、吸水性を有するフィルム状ないしシート状のものであれば特に限定されるものではない。
この吸水性素材としては、その素材自体が吸水性を有するか否かを問わず、結果として吸水性を有するものであれば特に限定されるものではない。
具体的には、例えば、吸水性を有する発泡フィルム・シート(吸水性発泡ポリウレタン等の発泡体)や紙類、吸水性を有する繊維で形成された不織布や織布、或いは、吸水性を有する繊維を含む不織布や織布、又は吸水性の多孔質フィルム・シートなどの吸水材の他、吸水性の有無を問わず、発泡フィルム・シート、不織布、織布又は多孔質フィルム・シートに、吸水剤を含有、含浸、練り込み、転写又は担持させて吸水性を付与ないし増大させたり、吸水性の有無を問わず、発泡フィルム・シート、紙類、不織布、織布又は多孔質フィルム・シートに、本発明物の平面形状に切断した吸水性の発泡フィルム・シート、紙類、不織布、織布又は多孔質フィルム・シート等の吸水性素材を本発明物の片面又は両面に当てがって吸水性が付与されたものが挙げられる。
特に、本発明の発熱パックにおいて、皮膚と接触する面は、汗などに対する吸水性など快適な面とするために、発汗した場合には汗が吸収されるように、皮膚と接触する面の包材を、保水率20%以上の吸水性の繊維を主成分とする不織布又は織布を用いた包装材で構成されることが好ましい。保水率20%以上の吸水性の繊維としては、綿、絹、麻、ウール、ポリアクリロニトリル系合成繊維、ポリアミド系合成繊維、ポリビニルアルコール系合成繊維、アセテート繊維、トリアセテート繊維、再生繊維等を例示することができる。更に、吸水性が優れた不織布として、高吸水性ポリマーを不織布に保持させた不織布等を用いることもできる。尚、これらの繊維を主成分とする不織布又は織布は、皮膚に対して感触が比較的良好なものでもある。
更に、前記包材に、汗の吸収性の高い高吸水性の包装材を用いることもできる。例えば、表面が高吸水性樹脂で被覆された繊維を含む不織布、中空状で表面に多数の微細孔を有する繊維を含む不織布、断面形状が多数の嚢もしくは複層状等を形成することによって毛細管作用を持たせた繊維を含む不織布などが用いられる。
このほか、非粘着面の包装材に、吸水性無機化合物を保持させた不織布、或いは、フィルムを用いることもできる。例えば、不織布に珪藻土、ゼオライト、シリカゲルなどの粉末を保持させた不織布、シリカ、アルミナ等の粉末をポリエチレンなどの合成樹脂に比較的多量に保持させたフィルム等も用いることができる。
【0025】
前記発熱組成物としては、鉄粉、炭素成分、反応促進剤及び水を必須成分として含有し、凝集助剤、乾燥結合材、凝集化剤、粘着剤バインダ、増粘剤及び賦形剤を含まず、易動水値を0.01〜20とする余剰水を有し、前記余剰水による成形性を持ち、且つ発熱組成物中の水分がバリア層として機能せず、空気と接触して発熱反応を起こす発熱組成物であれば制限はない。
【0026】
更に所望により、前記発熱組成物は、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、水素発生抑制剤、骨材、繊維状物、機能性物質、界面活性剤、有機ケイ素化合物、焦電物質、保湿剤、肥料成分、疎水性高分子化合物、発熱助剤、鉄以外の金属、酸化鉄以外の金属酸化物、酸性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を加えてもよい。
【0027】
また、本発明の発熱組成物等は、その配合割合は特に限定されるものではないが、反応促進剤1.0〜50重量部であり、水は1.0〜60重量部で、鉄粉100重量部に対して、炭素成分1.0〜50重量部、保水剤0.01〜10重量部、吸水性ポリマー0.01〜20重量部、pH調整剤0.01〜5重量部、水素発生抑制剤0.01〜12重量部、発熱組成物として易動水値が0.01〜20になるように配合割合を選択するのが好ましい。
更に、前記発熱組成物に下記のものを鉄粉に対して、下記の配合割合で加えてもよい。即ち、鉄以外の金属1.0〜50重量部、酸化鉄以外の金属酸化物1.0〜50重量部、界面活性剤0.01〜5重量部、疎水性高分子化合物、骨材、繊維状物、機能性物質、有機ケイ素化合物、焦電物質はそれぞれ0.01〜10重量部、保湿剤、肥料成分、発熱助剤はそれぞれ0.01〜10重量部、酸性物質0.01〜1重量部である。尚、磁性体を更に配合するようにしてもよく、配合割合は所望により適宜決めればよい。
尚、この配合割合は、反応混合物、発熱混合物にも適用することができる。また、反応混合物の易動水値は通常0.01未満である。
【0028】
前記水としては、適当なソースからのものでよい。その純度及び種類等には制限はない。
水の含有量は、発熱組成物の場合、発熱組成物の1〜70重量%、より好ましくは1〜60重量%、更に好ましくは7〜60重量%、更に好ましくは10〜50重量%、更に好ましくは20〜50重量%を含有する。
また、酸化性ガスによる接触処理をする前の反応混合物及び発熱混合物の場合、反応混合物又は発熱混合物の0.5〜20重量%、より好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは3〜20重量%、更に好ましくは4〜15重量%を含有する。
【0029】
前記炭素成分としては、炭素を成分としたものであれば制限はない。カーボンブラック、黒鉛、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレンなどが一例として挙げられる。ドーピング等により導電性を有するものであってもよい。ココナツの殻、木材、木炭、石炭、骨炭などから調製された活性炭や、動物産物、天然ガス、脂肪、油及び樹脂のような他の原料から調製されたものも一例として挙げられる。特に、吸着保持能を有する活性炭が好ましい。
また、炭素成分としては、必ずしも単独で存在する必要はなく、炭素成分を含有及び/又は炭素成分で被覆された鉄粉を発熱組成物に使用した場合、炭素成分が単独に存在しなくても、前記発熱組成物は炭素成分を含むものとする。
【0030】
前記反応促進剤としては、発熱物質の反応促進ができるものであれば制限はない。金属ハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、金属硫酸塩類等が一例として挙げられる。金属ハロゲン化物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化第一鉄、臭化第二鉄、沃化ナトリウム、沃化カリウム等が一例として挙げられる。硝酸塩しては硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が一例として挙げられる。酢酸塩としては、酢酸ナトリウム等が一例として挙げられる。炭酸塩としては、炭酸第一鉄等が一例として挙げられる。金属硫酸塩類としては、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄等が一例として挙げられる。
【0031】
前記保水剤としては、保水できれば制限はない。木粉、パルプ粉、活性炭、おがくず、多くの綿毛を有する綿布、綿の短繊維、紙層、植物質材料及び他の大きい毛細管機能と親水性とを有する植物性多孔質材料、活性白土、ゼオライト等の含水ケイ酸マグネシウム質粘度鉱物、パーライト、バーミキュライト、シリカ系多孔質物質、珊瑚化石、火山灰系物質(テラバルーン、シラスバルーン、タイセツバルーン等)等が一例として挙げられる。尚、これら保水剤の保水力の増加、形状維持力の強化等のため、焼成及び/又は粉砕等の加工処理をしたものもよい。
前記吸水性ポリマーは、架橋構造を有し、かつ自重に対するイオン交換水の吸水倍率が3倍以上の樹脂であれば特に限定されるものではない。また、表面を架橋したものでもよい。従来公知の吸水性ポリマーや市販のものも用いることもできる。
吸水性ポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリル酸架橋体、ポリ(メタ)アクリル酸塩架橋体、スルホン酸基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル架橋体、ポリオキシアルキレン基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミド架橋体、(メタ)アクリル酸塩と(メタ)アクリルアミドとの共重合架橋体、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルと(メタ)アクリル酸塩との共重合架橋体、ポリジオキソラン架橋体、架橋ポリエチレンオキシド、架橋ポリビニルピロリドン、スルホン化ポリスチレン架橋体、架橋ポリビニルピリジン、デンプン−ポリ(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合体のケン化物、デンプン−ポリ(メタ)アクリル酸(塩)グラフト架橋共重合体、ポリビニルアルコールと無水マレイン酸(塩)との反応生成物、架橋ポリビニルアルコールスルホン酸塩、ポリビニルアルコール−アクリル酸グラフト共重合体、ポリイソブチレンマレイン酸(塩)架橋重合体等が一例として挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記吸水性ポリマー中の生分解性を有する吸水性ポリマーとしては、生分解性を有する吸水性ポリマーであれば制限はない。ポリエチレンオキシド架橋体、ポリビニルアルコール架橋体、カルボキシメチルセルロース架橋体、アルギン酸架橋体、澱粉架橋体、ポリアミノ酸架橋体、ポリ乳酸架橋体などが一例として挙げられる。
前記pH調整剤としては、pHが調整できれば制限はない。アルカリ金属の弱酸塩、水酸化物など、或いは、アルカリ土類金属の弱酸塩、水酸化物などがあり、NaCO、NaHCO、NaPO、NaHPO、Na10、NaOH、KOH、Ca(OH)、Mg(OH)、Ca(POなどが一例として挙げられる。
前記水素発生抑制剤としては、水素の発生を抑制するものであれば制限はない。イオウ化合物、酸化剤、アルカリ性物質、イオウ、アンチモン、セレン、リン及びテルルからなる群より選ばれた少なくとも1種又は2種以上からなるものが一例として挙げられる。尚、イオウ化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属との化合物で、硫化カルシウム等の金属硫化物、亜硫酸ナトリウム等の金属亜硫酸塩やチオ硫酸ナトリウム等金属チオ硫酸塩等が一例として挙げられる。
前記酸化剤としては、硝酸塩、酸化物、過酸化物、ハロゲン化酸素酸塩、過マンガン酸塩、クロム酸塩等が一例として挙げられる。
前記骨材としては、充填剤として有用であり、及び/又は、発熱組成物の多孔質化に有用であれば制限はない。化石サンゴ(サンゴ化石、風化造礁サンゴ等)、竹炭、備長炭、シリカ−アルミナ粉、シリカ−マグネシア粉、カオリン、結晶セルロース、コロイダルシリカ、軽石、シリカゲル、シリカ粉、マイカ粉、クレー、タルク、合成樹脂の粉末やペレット、発泡ポリエステル及びポリウレタンのような発泡合成樹脂、藻土、アルミナ、繊維素粉末等が一例として挙げられる。尚、カオリン及び結晶セルロースは、本発明の発熱組成物には含まないものとする。
前記繊維状物としては、無機系の繊維状物及び/又は有機系の繊維状物である、ロックウール、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維、パルプ、紙、不織布、織物、綿や麻等の天然繊維、レーヨン等再生繊維、アセテート等の半合成繊維、合成繊維及びそれらの粉砕品が一例として挙げられる。
前記機能性物質としては、機能を有する物質であれば制限はないが、マイナスイオン発生物質や遠赤外線放射物質等から選ばれた少なくとも1種が一例として挙げられる。前記マイナスイオン発生物質としては、直接、間接を問わず、結果としてマイナスイオンは発生すれば制限はない。トルマリン、化石サンゴ、花崗岩、プロピオン酸カルシウムストロンチウムなどの共誘電体、ラジウム、ラドン等の放射性物質を含む鉱石等が一例として挙げられる。前記遠赤外線放射物質としては、遠赤外線を放射するものであれば制限はない。セラミック、アルミナ、ゼオライト、ジルコニウム、シリカ等が一例として挙げられる。
前記界面活性剤としては、アニオン、カチオン、ノニオン、両性イオンを含む界面活性剤を包含する。特に、ノニオン界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルフェノール・エチレンオキサイド付加物、高級アルコール燐酸エステル等が一例として挙げられる。
前記有機ケイ素化合物としては、少なくともSi−O−R及び又はSi−N−R及び又はSi−Rの結合を持つ化合物であれば制限はない。モノマー、低縮合物、ポリマー等の形態で、メチルトリエトキシシラン等の有機シラン化合物、ジメチルシリコーンオイル、ポリオルガノシロキサン又はそれらを含有するシリコーン樹脂組成物等が一例として挙げられる。
前記焦電物質としては、焦電性(パイロ電気又はピロ電気)を有する物であれば制限はない。電気石、イキョク鉱物焦電性鉱物が一例として挙げられる。特に電気石の一種であるトルマリンが好ましい。トルマリンとしては、ドラバイト(苦土電気石)、ショール(鉄電気石)、エルバイト(リチア電気石)等が挙げられる。
前記保湿剤としては、保湿ができれば制限はない。ヒアルロン酸、コラーゲン、グリセリン、尿素等が一例として挙げられる。
前記肥料成分としては、窒素、燐酸、カリウムの3要素のうち少なくとも1種を含む成分であれば制限はない。骨粉、尿素、硫安、過燐酸石灰、塩化カリウム、硫酸カルシウム等が一例として挙げられる。
前記疎水性高分子化合物としては、組成物中の水抜けをよくするため、水との接触角が40°以上、より好ましくは50°以上、更に好ましくは60°以上の高分子化合物であれば制限はない。形状も制限はなく、粉体、顆粒、粒、錠等が一例として挙げられる。ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が一例として挙げられる。
前記発熱助成剤としては、金属粉、金属塩、金属酸化物などがあり、Cu、Mn、CuCl、FeCl、二酸化マンガン、酸化第二銅、四三酸化鉄等やそれらの混合物等が一例として挙げられる。
前記酸化鉄以外の金属酸化物としては、酸化性ガスによる鉄の酸化を阻害しなければ如何なるものでもよいが二酸化マンガン、酸化第2銅等が一例として挙げられる。
前記酸性物質としては、無機酸、有機酸、及び酸性塩の何れでもよく、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、蓚酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、クロル酢酸、塩化鉄、硫酸鉄、蓚酸鉄、クエン酸鉄、塩化アルミニウム、塩化アンモニウム、次亜塩素酸等が一例として挙げられる。
【0032】
前記鉄粉とは、通常の鉄粉、鉄合金粉、鉄粉の表面の少なくとも一部に酸素含有皮膜を有する鉄粉又は鉄合金粉からなる活性鉄粉が好ましい。尚、鉄酸化物皮膜とは、鉄の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物等の酸素を含む鉄からなる皮膜である。また、活性鉄粉とは、鉄粉表面に鉄酸化物皮膜を少なくとも局部的に形成したもので、地鉄と鉄酸化物皮膜間に形成される局部電池や鉄酸化物皮膜内外のピットによる酸化反応促進効果が得られるものである。
前記鉄粉は、限定はされないが、鋳鉄鉄粉、アトマイズ鉄粉、電解鉄粉、還元鉄粉、スポンジ鉄粉及びそれらの鉄合金粉等が一例として使用できる。更に、これら鉄粉が炭素や酸素を含有していてもよく、また、鉄を50%以上含む鉄で、他の金属を含んでいてもよい。合金等として含まれる金属の種類は鉄成分が発熱組成物の成分として働けば特に制限はないが、アルミニウム、マンガン、銅、ニッケル、ケイ素、コバルト、パラジウム及びモリブデン等の金属、半導体が一例として挙げられる。本発明の金属には半導体も含める。これらの金属及び合金は表面のみ又は内部のみに有していても表面と内部との両方に有していてもよい。
本発明の鉄粉において、前記鉄以外の金属の含有量は、鉄粉全体に対して通常0.01〜50重量%であり、好ましくは0.1〜10重量%である。
【0033】
前記鉄の表面の少なくとも一部に酸素含有皮膜を有する鉄粉としては、
A.発熱組成物の必須成分又はそれに酸性物質やその他必要成分を加えたものを酸化性ガスとの接触処理し、鉄製分を部分酸化し、鉄成分の表面を少なくとも部分酸化した活性鉄粉
B.ウスタイトの含有量が2〜50重量%の活性鉄粉
C.厚さ3nm以上の鉄酸化皮膜を表面に有する鉄粉
D.活性鉄粉と活性鉄粉以外の鉄粉の混合物
等が一例として挙げられる。
【0034】
上記Aについて
機構としては、詳しくはわからないが、酸化性ガスと成分の接触により、成分の酸化、特に鉄粉の酸化により、鉄粉の表面に鉄酸化物皮膜、即ち、酸素含有皮膜が形成されるとともに、活性炭の表面も酸化され、及び/又は酸化された鉄成分が付着し、ともに親水性が付与され、又、向上し、水の仲立ちによる成分間の結合や構造化が起きていると推定される。
即ち、鉄粉の表面に鉄酸化被膜が形成されたり、鉄粉粒子が不規則形状になったり、酸化により歪みが発生したり、含水ピットが形成されたり、何らかの機能変化が起こり、鉄粉が活性化され、発熱立ち上がり性が向上すると推定される。
また、鉄酸化物皮膜中にマグネタイト(Fe)が存在する場合、導電性に優れるので好ましく、また、へマタイト(Fe)が存在する場合もポーラスとなるので好ましい。また、炭素成分も表面が酸化され、表面酸化物の多い炭素成分になり、親水性も増加し、活性も増加すると推定される。
前記鉄粉の表面を覆う酸素含有皮膜である鉄酸化皮膜の厚さは、オージェ電子分光法を用いて、通常3nm以上であり、好ましくは3nm〜100μnmであり、より好ましくは30nm〜100μnmであり、更に好ましくは30nm〜50μmであり、更に好ましくは30nm〜1μmであり、更に好ましくは30nm〜500nmであり、更に好ましくは50nm〜300nmである。鉄の酸素含有被膜の厚さを3nm以上とすることにより、鉄の酸素含有被膜の厚さが酸化反応の促進効果を発揮でき、空気等の酸化性ガスと接触して、酸化反応をすぐに開始させることができる。鉄の酸素含有被膜の厚さが100nm以上であると、発熱時間が短くなるおそれがあるが、用途によっては使用できる。
【0035】
また、上記活性鉄粉によれば、鉄粉と反応促進剤と水を必須成分とし、含水量が0.5〜20重量%で、余剰水量を示す易動水値が0.01未満の反応混合物を用いることにより、酸化性ガスと接触処理時の反応速度を上げ、反応混合物の温度上昇分を1℃以上にする時間を10分以内で達成できる。所定温度以上に達する時間を短くすることにより、適正な活性化をすることができ、鉄粉上の不必要な酸化を防止できる。
また、反応混合物を酸化性ガス接触処理することにより製造された発熱混合物に炭素成分等の添加や水分調整を行い、易動水値を0.01〜50にした発熱組成物は適度にべたつき、優れた成形性を有し、型通し成形法や鋳込み成形法の成形法が適用でき各種形状の発熱パックが生産できる。特に易動水値が0.01〜20の発熱組成物は空気と接触してすぐに発熱反応を始め、優れた発熱立ち上がり性を有し、且つ、優れた成形性を有する優れたものである。
反応混合物の酸化ガスの接触処理方法は、鉄粉と反応促進剤と水を必須成分とし、含水量が0.5〜20重量%で、易動水値が0.01未満の反応混合物を、酸化性ガスと接触処理し、反応混合物の温度上昇分を1℃以上にさせるものであれば特に制限はないが、
具体例として更に一例を挙げれば、
1.鉄粉、反応促進剤及び水の反応混合物を酸化性ガス雰囲気中、自己発熱反応させ、鉄粉を部分酸化し、表面に鉄酸化皮膜を有する鉄粉を含有する発熱混合物の製造方法、
2.鉄粉、反応促進剤、酸性物質及び水の反応混合物を酸化性ガス雰囲気中、自己発熱反応させる発熱混合物の製造方法、
3.鉄粉、反応促進剤、炭素成分及び水の反応混合物を酸化性ガス雰囲気中、自己発熱反応させる発熱混合物の製造方法、
4.鉄粉、反応促進剤、酸性物質、炭素成分及び水の反応混合物を酸化性ガス雰囲気中、自己発熱反応させる発熱混合物の製造方法、
5.1乃至4の何れかに記載の反応混合物又は発熱混合物が上記成分以外の成分を含有し、1乃至4の何れかに記載の方法を行う部分酸化鉄粉を含有する発熱混合物の製造方法、
6.1乃至5の何れかに記載の方法を、環境温度より10℃以上に加温した環境で行う発熱混合物の製造方法、
7.1乃至6の何れかに記載の方法を酸化性ガスを吹き込んで行う発熱混合物の製造方法、
8.7に記載の方法で、環境温度より10℃以上に加温した酸化性ガスを吹き込んで行う発熱混合物の製造方法、
9.1乃至8の何れかに記載の方法で、発熱反応による温度上昇の最高点である最高温度を超えるまで、酸化性ガス接触処理を行う発熱組成物の製造方法、
10.1乃至8の何れかに記載の方法で、発熱反応による最高温度を超え、更に、前記最高温度から少なくとも10〜20℃下がるまで、酸化性ガス接触処理を行う発熱混合物の製造方法、
11.1乃至8の何れかに記載の方法で、発熱反応による温度上昇の最高点である最高温度を超えるまで、酸化性ガス接触処理を行い、その後酸化性ガスを遮断し、少なくとも反応混合物の温度が前記最高温度から少なくとも10〜20℃下がるまで、保持する発熱組成物の製造方法、
12.1乃至5の何れかに記載された反応混合物又は発熱混合物を酸化性ガス環境下で、温度上昇分を1℃以上にする発熱混合物の製造方法、
等が一例として挙げられる
更に、発熱混合物に他の成分を加え、更に、酸化性ガス処理を行い、発熱混合物としてもよい。
尚、酸化性ガス接触処理時の反応混合物の環境は0℃以上の環境下で、酸化性ガスと接触させ、10分以内に、反応混合物の温度上昇分を1℃にさせれば制限はなく、開放系で行う場合、フタのない容器の中に存在する状態でも、不織布等の通気性シート状物を通じて空気等の酸化性ガスが入る状態でもよい。
また、酸化性ガス接触処理は撹拌下、非撹拌下、流動下又は非流動下の何れでもよく、バッチ式でも連続式でもよい。
最終的な発熱組成物としては、
1)上記1乃至12の何れかに記載の方法で製造された発熱混合物を発熱組成物原料とする発熱組成物、
2)1)の発熱組成物に他の成分を加えた発熱組成物、
3)1)又は2)の何れかに記載の発熱組成物を水分調整した発熱組成物、
の何れかが挙げられる。また、前記必須成分以外の成分を添加する時期と水分調整の時期の順序の制限はない
ここで、反応混合物、更に酸化性ガス処理を行う前の発熱混合物中の含水量は通常0.5〜20重量%であり、好ましくは1〜15重量%であり、より好ましくは2〜10重量%であり、更に好ましくは3〜10重量%であり、更に好ましくは6〜10重量%である。
前記酸化性ガスとの接触後の反応混合物の温度は温度上昇分が1℃以上であれば制限はないが、好ましくは1〜80℃であり、より好ましくは1〜70℃であり、更に好ましくは1〜60℃であり、更に好ましくは1〜40℃である。
反応混合物と酸化性ガスとの接触時の環境温度は反応混合物の温度が所定以上に上がれば、制限はないが、好ましくは0℃以上であり、より好ましくは0〜250℃であり、更に好ましくは10〜200℃であり、更に好ましくは20〜150℃であり、更に好ましくは25〜100℃であり、更に好ましくは25〜50℃である。
反応混合物と酸化性ガスとの接触時の反応混合物の温度上昇分が1℃以上になる時間が10分以内であれば制限はないが、好ましくは1秒〜10分であり、より好ましくは1秒〜7分であり、更に好ましくは1秒〜5分であり、更に好ましくは2秒〜5分であり、更に好ましくは2秒〜3分であり、更に好ましくは2秒〜1分である。
酸化性ガスの温度は前記環境温度が保たれれば、制限はない。
酸化性ガスとは、気体で酸化性があれば如何なるものでもよいが、酸素ガス、空気、又は窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガスと酸素ガスとの混合気体が一例として挙げられる。前記混合気体としては、酸素が含まれていれば制限はないが、10%以上の酸素ガスを含むことが好ましく、これらの中で、特に、空気が好ましい。所望ならば、白金、パラジュウム、イリジュウム及びそれらの化合物などの触媒を用いることもできる。
酸化反応は、撹拌下に酸化性ガス雰囲気で、所望により加圧下で、更に/若しくは、超音波照射下で行うことができる。
酸化反応の最適条件は実験的に適宜決めればよい。
酸化性ガスの使用量は、制限はなく、酸化性ガスの種類、鉄粉の種類や粒度、水分量、処理温度、処理方法などによって調整をすればよい。
開放系の場合は、必要酸素量が取り込めれば制限はない。反応混合物の飛散やゴミ等の混入を防ぐため、不織布や織布等の通気性素材で回りを囲んでもよく、通気性がある状態であれば開放系とする。
酸化性ガスを吹き込む方式で、空気を使用した場合、一例として、鉄粉200gに対して、1気圧下、空気の量は、好ましくは0.01〜1000リットル/分、より好ましくは0.01〜100リットル/分、更に好ましくは0.1〜50リットル/分である。他の酸化性ガスの場合、空気の場合を基準として、酸素の濃度により換算すればよい。
所望により、過酸化物を添加してもよい。過酸化水素、オゾンが一例として挙げられる。
ここで、酸化性ガスとの接触処理時の反応混合物又は発熱混合物の状態は鉄粉が部分酸化されれば、静置状態でも、移動状態でも、撹拌等による流動状態でも何れでもよく、適宜選択すればよい。また、反応混合物、発熱混合物及び発熱組成物の各成分の混合時並びに水分調整時の混合酸化性ガスとの接触処理時の環境に制限はなく、酸化性ガス雰囲気中や酸化性ガスの吹き込み等が一例として挙げられる。
【0036】
上記発熱組成物の温度上昇を測定する方法は次の通りである。
1)周囲温度20±1℃の条件下、発熱組成物を非通気性の外袋封入状態で1時間放置する。
2)脚付き支持台の塩化ビニル製支持板(厚さ3mm×長さ縦600mm×幅横600mm)の裏面の中央部付近に成形型の抜き穴形状を覆うように磁石を設ける。
3)温度センサーを支持板中央部上に置く。
4)厚さ約80μmの粘着剤層付き厚さ25μm×長さ250mm×幅200mmのポリエチレンフィルムの中央がセンサーのところにくるようにして、粘着剤層を介して支持板に貼り付ける。
5)外袋から発熱組成物を取り出す。
6)前記ポリエチレンフィルムの中央部上に、長さ80mm×幅50mm×高さ3mmの抜き穴を持つ長さ250mm×幅200mmの型板を置き、その抜き穴付近に試料を置き、押し込み板を型板上に沿って動かし、試料を押し込みながら抜き穴へ入れ、型板面に沿って、試料を押し込みながら擦り切り(型押し込み成形)、型内に試料を充填する。次に、支持板下の磁石を除き、温度測定を開始する。
発熱温度の測定はデータコレクタを用い、測定タイミング2秒で、10分間温度測定をし、3分後の温度をもって、発熱立ち上がり性を判定する。
発熱パックの発熱試験については、JIS温度特性試験に従うものとする。
【0037】
前記酸化性ガス処理をした発熱組成物中の鉄粉又は活性鉄粉は、表面の少なくとも一部が鉄の酸素含有皮膜で被覆されている。鉄の酸素含有皮膜の表面の被覆程度は表面の少なくとも一部が被覆されていれば、制限はなく、全面でもよい。本発明の発熱組成物の場合、塩素イオン等の反応促進剤のイオンが発熱組成物に含まれるので、塩素イオン等の反応促進剤のイオンによる腐食効果により、酸化皮膜の防食効果がないので、一種の腐食である酸化反応が阻害されることはない。特に鉄の酸素含有皮膜が塩素イオン等の反応促進剤のイオンと共存して作成される場合は、その効果は大である。上記鉄以外の金属が表面にある場合はそれら鉄以外の金属以外の部分の少なくとも一部が鉄の酸素含有皮膜で被覆されていればよい。
本発明の鉄粉には、
1.全面(均一)腐食、
2.孔食、すきま腐食、
3.応力腐食割れ等がおこり、
等する領域が生じるとともに、凹凸やすき間も生ずる。このため、親水性及び酸化触媒性(FeO等)を自らの部分に持つことになると推定される。混合でなく、自らの部分に酸素含有皮膜を持つことが発熱組成物を製造する上に重要である。特に鉄成分を反応促進剤、水を必須成分として酸化性ガスとの接触処理をした鉄成分には、酸化物、水酸化物、塩素イオン、水素イオン等を主体とする反応活性部が生じ、発熱反応性、親水性が向上し、発熱立ち上がり性、成形性が著しく向上すると思われる。
【0038】
上記Bについて
前記所定量のウスタイトを含む鉄成分に含まれるFeO(ウスタイト)量は、通常は2〜50重量%であり、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは2〜30重量%であり、更に好ましくは5〜30重量%であり、更に好ましくは6〜30重量%である。50重量%を超えても発熱立ち上がり性はよいが、発熱持続時間が短くなる。2重量%未満であると発熱立ち上がり性が鈍くなる。
前記所定量の酸素含有皮膜やウスタイトを有する鉄粉の酸素含有皮膜の厚さやウスタイト量は積層時の発熱組成物又は発熱組成物成形体に適用する。
【0039】
前記鉄粉が炭素成分を含有及び/又は炭素成分で被覆された鉄粉も好ましく、前記炭素成分に対して、鉄成分が50重量%以上であれば前記炭素成分の割合は制限はないが、鉄粉表面が0.3〜3.0重量%の導電性炭素質物質で部分的に被覆された鉄粉は有用である。導電性炭素質物質は、カーボンブラック、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン等が一例として挙げられ、ドーピングによって導電性を有するものであってもよく、鉄粉は、還元鉄粉、アトマイズ鉄粉、スポンジ鉄粉が一例として挙げられ、特に、導電性炭素質物質が活性炭で、鉄粉が還元鉄粉である場合が発熱パックには有用である。
また、導電性炭素質物質被覆を効率よく行うために鉄粉の流動性を害さない程度に0.01〜0.05重量%の油分、例えばスピンドル油等を添加してもよい。
【0040】
発熱パック中の発熱組成物の易動水値及び混合物や発熱パック中の発熱組成物中の鉄粉の鉄酸化被膜の厚さ、ウスタイト量を測定する場合は、発熱組成物や混合物を各項目に従って測定すればよい。即ち、
1)易動水値
発熱パックから発熱組成物を取り出し、前記易動水値の測定法に従って測定する。
2)鉄粉の鉄酸化皮膜の厚さ、ウスタイト量
窒素雰囲気下、窒素置換されたイオン交換水に発熱組成物、発熱組成物成形体、発熱組成物圧縮体又は混合物を分散させ、磁石で鉄粉を分離し、窒素雰囲気下で乾燥させたものを測定用試料とする。
【0041】
本発明の発熱組成物は、鉄粉、炭素成分、反応促進剤、水を必須成分とし、その製造方法は、工業的に実用化が可能で、鉄粉と反応促進剤と水を必須成分とし、含水量が1〜20重量%で、余剰水量を示す易動水値が0.01未満の反応混合物を、0℃以上の環境下、酸化性ガスと接触させ、10分以内に反応混合物の温度上昇分を1℃以上にし、発熱混合物を製造し、該発熱混合物を原料とし、発熱組成物とするか、又は、その後、更に水分調整をし発熱組成物とするか、炭素成分等の添加や水分調整をし、発熱組成物としてもよい。
本発明は反応混合物の含水量を一定量以下、特に余剰水量を一定量以下にし、酸化性接触処理をすることで、短時間に酸化性ガス接触処理が行えるようにした。余剰水量の特定化と短時間処理により、発熱組成物の初期の発熱立ち上がりがよくなかったり、発熱保持時間が短くなったりする等の酸化性ガス接触処理に起因する悪影響が回避でき、工業的大量生産方法が確立できた。また、酸化性ガス接触処理中は、攪拌等をしなくてもよいが、攪拌等をした方が酸化性ガス接触処理が確実に行える。
ここで、酸化性ガスとの接触処理の反応混合物又は発熱混合物の状態は鉄粉が部分酸化されれば、静置状態でも、移動状態でも、撹拌等による流動状態でも何れでもよく、適宜選択すればよい。また、反応混合物、発熱混合物及び発熱組成物の各成分の混合時並びに水分調整時の混合時の環境に制限はなく、酸化性ガス雰囲気中や酸化性ガスの吹き込み等が一例として挙げられる。
【0042】
水分調整とは発熱混合物を酸化性ガスと接触処理した後に水又反応促進剤の水溶液を加えることである。加える量には制限はないが、接触処理により、減量した重量を加えることや、所望の易動水値となる重量を加えることが一例として挙げられる。
水分調整を行うかどうかは用途により適宜決めればよい。
【0043】
本発明の発熱組成物は、鉄粉、炭素成分、反応促進剤、水を必須成分とし、鉄粉、反応促進剤及び水を必須成分とした反応混合物を酸化性ガスで接触処理したものを原料にしたもので、通常は発熱混合物を水分調製したもので、発熱立ち上がりがよく、適量の余剰水と相まって、優れた成形性を有する発熱組成物である。また、これを使用して、使用時にすぐに温まる発熱パックが製造できる。
したがって、少なくとも鉄粉は、更に炭素成分も含め、酸化性ガスの接触処理による酸化の履歴を有し、これが優れた発熱立ち上がり性、発熱持続性及び優れた成形性に深くかかわっていると思われる。
【0044】
本発明の酸化性ガスの接触処理をした鉄粉を使用すると、発熱組成物中の活性炭等の炭素成分を、例えば、20%以上減らすことができる。炭素成分添加量を減少することにより、コストが下がる。
【0045】
本発明の発熱混合物の製造方法によれば、優れた発熱立ち上がり性、優れた親水性、優れた成形性を有する発熱組成物を得ることができる。易動水値0.01〜50、特に0.01〜20との併用により著しく優れた成形性と発熱特性を併せ持つ発熱組成物が得られる。
本発明の製造方法により製造された発熱組成物は発熱立ち上がり性が著しく向上されているので、発熱組成物中の活性炭等の炭素成分の添加量を、例えば、20%以上減少でき、コストダウンに貢献できる。
また、親水性が著しく向上されているので、型を使った成形性が著しく向上するので、成形後に発熱組成物成形体の周辺に発熱組成物の崩れ片をまき散らさないので、シールが的確にでき、シール切れのない発熱パックが製造できる。これにより、種々の形状の発熱組成物成形体が製造でき、種々の形状の発熱パックができる。
【0046】
また、発熱組成物の発熱立ち上がり性を向上させる意味から、下記のものが好ましい。
1)発熱組成物の必須成分又はそれに酸性物質やその他必要成分を加えたものを酸化性ガスとの接触処理(自己発熱等)したもの、それを水分調整したもの又はその他の成分を加え混合し、発熱組成物としたもの。
2)表面の少なくとも一部に酸化物等の酸素含有被膜を有する下記いずれかの活性鉄粉を鉄粉として使用する。
a)鉄粉の表面についてオージェ電子分光法で求めた3nm以上の厚さの鉄の酸素含有皮膜を有する鉄粉。
b)ウスタイトの含有量が鉄とのX線ピーク強度比で、2〜50重量%の鉄粉。
3)鉄粉の表面の少なくとも一部に酸化物等の酸素含有被膜を有する活性鉄粉を酸素含有被膜を有しない鉄粉に混合したものを鉄粉とて使用する。この場合、活性鉄粉が60%以上で、活性鉄粉以外の鉄粉を40%未満とした混合物とすることが好ましい。
【0047】
前記酸化性ガス処理をした発熱組成物又は活性鉄粉を含有する発熱組成物及びそれを利用してものを長時間保存する場合は、水素発生抑制剤を組み合わせるのが好ましい。これにより、水素発生が抑制され、保存時等に外袋の膨らみもなく、発熱立ち上がり性のよい発熱特性の優れた発熱パックが得られるからである。
【0048】
また、前記易動水値0.01〜20以外の発熱組成物は、立ち上がり特性に影響しない範囲において、水溶性高分子、凝集助剤、凝集化助剤、集塊補助剤、乾燥結合材、乾燥結合剤、乾燥バインダ、粘着素材、増粘剤、賦形剤、凝集剤、可溶性粘着性素材を含有することができる。
【0049】
また、市場に提供される、発熱組成物を収納袋に収納した発熱パックは非通気性の収納袋である外袋に収納して長期保存可能を前提として提供されるので、水素発生抑制剤を含有した発熱組成物を使用することが好ましい。酸化性ガスの接触処理を経た発熱組成物は活性な組成物であるので、水素発生抑制剤を含有する事が肝要である。また、pH調整剤を併用するとその効力はより強化される。
【0050】
また、易動水値0.01未満の発熱組成物は、その反応特性や発熱特性に影響しない範囲において、凝集助剤、凝集化剤、集塊補助剤、乾燥バインダー、乾燥結合剤、乾燥結合材、粘着性素材、増粘剤、賦形剤、水溶性高分子をそれぞれ0.01〜3重量部の範囲内で含有してもよい。
前記凝集助剤とは、特許第3161605号公報(特表平11−508314号公報)に記載されている凝集助剤で、ゼラチン、天然ガム、コーンシロップ等である。
前記凝集化剤とは、特表平2002−514104号公報に記載されている凝集化剤で、コーンシロップ、マルチトールシロップ等である。
前記集塊補助剤とは、特表平2001−507593号公報に記載されている集塊補助剤で、コーンシロップ等である。
前記乾燥バインダーとは、特表平2002−514104号公報に記載されている乾燥バインダーで、微結晶セルロース、マルトデクストリン等又はこれらの混合物である。
前記乾燥結合剤とは、特表平2001−507593号公報に記載されている乾燥結合剤で、マルトデクストリン、噴霧された乳糖等である。
前記乾燥結合材とは、特表平11−508314号公報に記載されている乾燥結合材で、微晶質セルロース、マルトデクストリン等又はこれらの混合物である。
前記粘着性素材又はバインダーとは、特開平4−293989号公報に記載されている粘着性素材又はバインダーで、水ガラス、ポリビニールアルコール(PVA)、カルボキシメツルセルロース(CMC)等である。
前記増粘剤とは、特開平6−343658号公報に記載されている増粘剤で、コーンスターチ、馬鈴薯デンプン等である。
前記賦形剤とは、特開平7−194641号公報に記載されている賦形剤で、α化でんぷん、アルギン酸ナトリウム等である。
前記水溶性高分子とは、粘着剤層での水溶性高分子が使用できる。
【0051】
本発明の成形性発熱組成物を構成する非水溶性固形成分の粒径は、発熱組成物が成形性を有すれば制限はない。発熱組成物を成形した発熱組成物成形体のサイズである縦、横、高さの何れかが小さくなる場合は粒径を小さくする方が成形性が向上する。
更に、成形性発熱組成物を構成する固形成分の粒径を小さくすることは成形上好ましい。成形性発熱組成物を構成する成分中、反応促進剤と水を除く非水溶性固形成分の最大粒径は好ましくは2.5mm以下であり、より好ましくは930μm以下であり、更に好ましくは500μm以下であり、更に好ましくは300μm以下であり、更に好ましくは250μm以下であり、更に好ましくは200μm以下であり、且つ、前記固形成分の粒径の80%以上が、通常500μm以下で有り、好ましくは300μm以下で有り、より好ましくは250μm以下であり、更に好ましくは200μm以下であり、更に好ましくは150μm以下であり、更に好ましくは100μm以下である。
尚、非水溶性固形成分の粒径とは、篩を使って分離し、前記篩を通過したものをその篩の口径から算出した粒径である。即ち、篩を、上から8、12、20、32、42、60、80、100、115、150、200、250及び280メッシュ等の篩並びに受皿の順に組み合せる。最上段の8メッシュ篩に非水溶性固形成分粒子を約50g入れ、自動振盈機で1分間振盈させる。各篩及び受皿上の非水溶性固形成分粒子の重量を秤量し、その合計を100%として重量分率により粒径分布を求める。特定メッシュの飾の下のすべての受け皿の合計が前記粒径分布の合計値である100%になった場合、前記特定メッシュの口径から算出した大きさ(μm)をもって、その非水溶性固形成分の粒径とする。尚、各メッシュ篩は他のメッシュ篩を組み合わせてもよい。ここで、16メッシュパスは粒径1mm以下、20メッシュパスは粒径850μm以下、48メッシュパスは粒径300μm以下、60メッシュパスは粒径250μm以下、65メッシュパスは粒径200μm以下、80メッシュパスは粒径180μm以下、100メッシュパスは粒径150μm以下、115メッシュパスは粒径120μm以下、150メッシュパスは粒径100μm以下、250メッシュパスは粒径63μm以下とする。以下のメッシュも同様とする。
【0052】
また、発熱組成物は、水分調整状態や余剰水量により、粉体又は粒状発熱組成物(易動水値が0.01未満)、成形性発熱組成物(易動水値が0.01〜20)、シャーベット状発熱組成物(易動水値が20を超え50以下)に分類することができる。易動水値により分類された発熱組成物は前記通りである。
【0053】
本発明における成形性とは、抜き穴を有する抜き型を用いた型通し成形や凹状の型を用いた鋳込み成形により、抜き穴や凹状型の形状で発熱組成物の積層体ができ、型離れを含め成形後、発熱組成物成形体の成形形状を維持することを示すものである。成形性があると発熱組成物成形体が少なくとも被覆材に覆われ、基材と被覆材の間にシール部が形成されるまで、形状が維持されので、所望の形状でその形状周縁部でシールが出来、シール部に発熱組成物の崩れ片であるいわゆるゴマが散在しないので、シール切れがなくシールできる。ゴマの存在はシール不良の原因となる。
次に、上記成形性について、測定装置、測定方法及び判定法について説明する。
1)測定装置
測定装置については、走行可能な無端状ベルトの上側にステンレス製成形型(中央部に縦60mm×横40mmの四隅がR5に処理された抜き穴を有する厚さ2mm×縦200mm×横200mmの板〉と固定可能な擦り切り板を配置し、それと反対側である無端状ベルトの下側に磁石(厚さ12.5mm×縦24mm×横24mm、磁石が並列に2個)を配置する。前記磁石は、擦り切り板及びその近傍の領域、且つ、成形型の抜き穴の進行方向と垂直な方向の断辺(40mm)で覆われる領域より大きい領域を覆うものとする。
2)測定方法
測定方法については、前記測定装置の無端状ベルトの上に厚さ1mm×縦200mm×横200mmのステンレス板を置き、その上に厚み70μm×縦200mm×横200mmのポリエチレンフィルムを置き、更にその上にステンレス製成形型を置く。その後、前記成形型の抜き穴の無端状ベルトの進行側端部から50mmの位置に擦り切り板を固定後、前記擦り切り板と前記抜き穴の間で擦り切り板付近に発熱組成物50gを置き、無端状ベルトを1.8m/minで動かし、発熱組成物を擦り切りながら成形型の抜き穴へ充填する。
成形型が擦り切り板を完全に通過後、無端状ベルトの走行を停止しする。次に成形型を外し、ポリエチレンフィルム上に積層された発熱組成物成形体を観察する。
3)判定方法
判定方法については、前記発熱組成物成形体の周縁部において、最大長さが800μmを超える発熱組成物成形体の崩れ片が無く、最大長さ300から800μmの発熱組成物成形体の崩れ片が5個以内である場合に、前記発熱組成物は成形性があるとする。前記成形性は、成形方式に使用する発熱組成物には必須の性質である。これがないと成形方式による発熱パックの製造は不可能である。
【0054】
本発明の発熱組成物は、耐圧縮性を有するもので、ここで耐圧縮性とは成形型に収容した発熱組成物成形体を型内圧縮し、型厚みの70%の厚みを有する発熱組成物圧縮体が、圧縮前の発熱組成物成形体の発熱立ち上がり性(発熱組成物の発熱試験での試験開始後1分と3分での温度差)の80%以上の発熱立ち上がり性を保持することである。
ここで、耐圧縮性のための発熱立ち上がり性の測定法について説明する。
1.発熱組成物成形体
1)脚付き支持台の塩化ビニル製支持板(厚さ5mm×長さ600mm×幅600mm)の裏面の中央部付近に成形型の抜き穴形状を覆うように磁石を設ける。
2)温度センサーを支持板の表面中央部上に置く。
3)厚さ約80μmの粘着剤層付き厚さ25μm×長さ250mm×幅200mmのポリエチレンフィルムの中央がセンサーのところにくるようにして、粘着剤層を介して支持板に貼り付ける。
4)長さ280mm×幅150mm×厚さ50μm〜2mmの敷板上に長さ230mm×幅155mm×厚さ25μm〜100μmのポリエチレンフィルムの一端が敷板の外側に約20mm出るようにし、且つ、その長さ方向は一端が敷板の一端とほぼ一致するようにポリエチレンを設置する。
5)前記敷板上のポリエチレンフィルム上に長さ80mm×幅50mm×高さ3mmの抜き穴を持つ長さ230mm×幅120mm×厚さ3mmの型板を置く。その場合、型板の長さ方向の一端を敷板とポリエチレンフィルムが一致して置かれている一端に合わせ、更に、幅方向において、ポリエチレンフィルムが敷板より外側にはみ出している側と反対の端部より約20mm中央部の位置に型板の幅の一端部がくるようにして、型板をポリエチレンフィルム上に設置する。次に、支持板上に敷板とともに置く。
6)その抜き穴付近に試料を置き、押し込み板を型板上に沿って動かし、試料を押し込みながら抜き穴へ入れ、型板面に沿って、試料を押し込みながら擦り切り(型押し込み成形)、型内に試料を充填する。
7)支持板下の磁石を除き、更に、はみ出したポリエチレンフィルムの端部を押さえ、敷板を除き、温度測定を開始する。
2.発熱組成物圧縮体
1)〜6)は、発熱組成物成形体の場合と同じである。
8)抜き穴と凹凸の関係で、ほぼぴったりと抜き穴に入る、厚さ0.9mmの凸部を有する押し型を抜き穴に合わせておき、ロールプレスや板プレスにて圧縮して、厚さ2.1mmの発熱組成物圧縮体を型内に作成する(型厚みの70%に圧縮)。
9)支持板上に敷板とともに置き、支持板下の磁石を除き、更に、はみ出したポリエチレンフィルムの端部を押さえ、敷板を除き、温度測定を開始する。
発熱温度の測定は、データコレクタを用い、測定タイミング2秒で、5分間温度測定をし、1分後と3分後の温度差をもって耐圧縮性を判定する。
圧縮後の厚みは、好ましくは型厚みの50〜99.5%であり、より好ましくは60〜99.5%であり、更に好ましくは60〜95%である。
尚、本発明において、発熱組成物成形体には、発熱組成物圧縮体を含むものとする。
【0055】
本発明の区分発熱部又は発熱組成物成形体は、最大幅は、通常、0.5〜60mmであり、好ましくは0.5〜50mmであり、更に好ましくは1〜50mmであり、更に好ましくは3〜50mmであり、更に好ましくは3〜30mmであり、更に好ましくは5〜20mmであり、更に好ましくは5〜15mmであり、更に好ましくは5〜10mmである。また、最高高さは、通常0.1〜30mmであり、好ましくは0.1〜10mmであり、更に好ましくは0.3〜10mmであり、更に好ましくは1〜10mmであり、更に好ましくは2〜10mmである。また、最長長さは、通常5〜300mmであり、好ましくは5〜200mmであり、より好ましくは5〜100mmであり、更に好ましくは20〜150mmであり、更に好ましくは30〜100mmである。
前記区分発熱部の容積又は発熱組成物成形体の体積は、通常、0.015〜500cmであり、好ましくは0.04〜30cmであり、より好ましくは0.1〜30cmであり、更に好ましくは1〜30cmであり、更に好ましくは3〜20cmである。
前記区分発熱部において、発熱組成部物収納領域である区分発熱部が発熱組成物成形体で満たされた時に、発熱組成物成形体占有領域である発熱組成物成形体の体積と発熱組成物収納領域である区分発熱部の容積との容積比は通常0.6〜1であり、好ましくは0.7〜1であり、より好ましくは0.8〜1であり、更に好ましくは0.9〜1.0である。
また、前記区分発熱部の間隔である区分け部の幅は区分けができれば制限はないが、通常0.1〜50mmであり、好ましくは0.3〜50mmであり、より好ましくは0.3〜50mmであり、更に好ましくは0.3〜40mmであり、更に好ましくは0.5〜30mmであり、更に好ましくは1.0〜20mmであり、更に好ましくは3〜10mmである。
尚、前記発熱組成物成形体又は区分発熱部の形状は如何なるものでもよいが、平面形状で、円、楕円、多角形状、星形状、花形状等が一例として挙げられる。立体形状では、多角錐形状、円錐形状、錐台形状、球形状、平行六面体形状、円筒体形状、半円柱体形状、半楕円柱体形状、蒲鉾形状体、円柱体形状、楕円柱体形状等が一例として挙げられる。また、これらの形状は角部にアールを設け、角部を曲線状や曲面状にしてもよいし、中央部等に凹部があってもよい。
また、本発明の発熱組成部成形体の体積とは、発熱組成物成形体又は圧縮された発熱組成物成形体の体積を意味する。
また、区分発熱部の容積とは、発熱組成物成形体を収納した区分発熱部の内部容積を意味する。
【0056】
上述の成分を備える区分発熱部は、成形性発熱組成物を型成形法により成形した発熱組成物成形体を基材上に積層し、被覆材を被せ、発熱組成物成形体の周縁部をヒートシールすることによって、典型的に形成される。好ましくは各区分発熱部は同様の量の発熱組成物成形体を有し、又同様の酸素浸透手段を有する。しかし、結果として発生される区分発熱部温度が、意図する使用のために容認された治療と安全範囲内にある限り、発熱組成物成形体の量、区分発熱部の形状及び酸素浸透性は区分発熱部毎に異なることが可能である。
【0057】
発熱性組成物成形体の発熱酸化反応の速度、期間及び温度は、空気との接触面積を変えることにより、更に詳しく言えば、酸素の拡散/浸透性を変えることにより、所望の通り制御される。好ましくは各区分発熱部は同様な容積の発熱組成物成形体と同様な酸素浸透手段を有している。これに代えて、発熱組成物成形体の容積、形状及び酸素浸透手段は、結果的に生ずる区分発熱部温度が同じで有る限り、区分発熱部毎に変えることもできる。
【0058】
発熱パックの第1面には第1の外側包材があり、これは第1粘着層により基材に付着されている。第2面には第2の外側包材があり、これは第2粘着層により基材に付着されている。好ましくは第1外側包材と第2外側包材は同一の材料から作られており、第1粘着層と第2粘着層は同一の材料から作られている。
【0059】
第1外側包材と第1粘着層は、好ましくは被覆材におけるよりも空気浸透性が大きい。更には、第1外側包材と第1粘着層は、好ましくは被覆材の酸素浸透性を感知できる程度には変えない。従って、被覆材のみが各区分発熱部への酸素の流量を制御する。
【0060】
また、基材、被覆材の外側に外側包材を設ける場合には制限はないが粘着層や接着層を介して設けることが好ましい。特に粘着層を介して設けることが好ましい。粘着層は粘着剤により構成されるが、前記粘着剤層が使用できる。
【0061】
本発明の発熱パックは、広範な身体輸郭に容易に適合し、持続する、簡便で快適な熱投与及び身体形状との優れた適合性を実現しつつ、パックが使用中に折り目乃至隆起を生ずるのを防止し、区分発熱部内容物の容易な剥き出しを防止するに十分な剛性を維持する。
【0062】
また、発熱パックは、複数の個別区分発熱部を備え、この個別区分発熱部は典型的には発熱性組成物成形体を有し、好ましくは特定の鉄の酸化反応を伴い、更に発熱パックに沿って間隔を置いて固定される所定の物理的寸法と封入特性とを有する。区分発熱部と区分け部とからなる発熱部からなる発熱パックは区分発熱部は非柔軟性であり、区分け部は柔軟性であるので、区分けは区部発熱部の間のヒンジとして働き、区分発熱部よりも優先的に曲がる。これによって、温熱パックは区分発熱部の構造的な支持を維持し、処理中又は使用中の1つ又は複数の連続層の構造の許容できない伸長を防止し、また、区分発熱部の内容物に対する容易なアクセスを防止するので、1つ又は複数の発熱パックは、本発明の発熱パックに組み込まれるときに、使用者の身体との優れた順応性を有することによって効果的かつ有効となる。
【0063】
更に、本発明者は、本発明の発熱パックの中に区分発熱部を組み込むときに、1つ又は複数の発熱パック内で、本発明の発熱部を構成する、基材、被覆材、発熱組成物成形体又はその圧縮体の素材、区分発熱部の形状及び配置を適切に選択し、温熱パックの剛軟性に方向付けすることにより、前記方向付けされた剛軟性が発熱パックの構造的な支持を増すことを発見した。即ち、すべての方向に柔軟であると粘着剤層による固定手段を有する発熱パックは身体に固定するときに丸まり、粘着剤層により発熱パック自身が固定されてしまい、取り扱いが難しくなる。一定方向に非柔軟性を他方向に柔軟性を持たせることにより、発熱パックを的確に身体に固定でき、使用中も柔軟性が保て、取り扱い性及び使用感の優れた発熱パックを得た。
【0064】
更に、本発明は、前記パックを使用方法として筋肉痛等の痛みを有する人間の患部である身体部分に本発明の発熱パックをあてがうことによって、持続される皮膚温度を約32℃から約50℃に約20秒から約24時間の期間維持し、好ましくは皮膚温度を約32℃から約43℃に1時間以上の期間維持し、このような痛みからの解放を引き延ばす、痛みを有する人間の骨格、筋肉及び/又は前述の痛みを含む急性の、繰り返し性の、及び/又は慢性の痛みを治療する方法を更に含んでいる。
【0065】
前記第1外側包材は好ましくは柔らかい可撓材料である。第1外側包材に適した材料は、それらに限定されないが、成形フィルム、織布、ニット及び不織布を含んでおり、これはカード不織布、スパンボンド法不織布、空気撚り不織布、熱接着不織布、水撚り不織布、溶融膨潤不織布、及び/又は空気貫通接着不織布である。第1外側包材の材料組成は、コットン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等である。第1外側包材用に特に適した材料は、疎水性ポリプロピレンのカード化された熱接合織物である。
【0066】
前記第2外側包材は、柔らかくて揉み易い、皮膚に炎症を起こさない材料である。第2外側包材に適した材料は、それらに限定されないが、成形フィルム、織布、二ット及び不織布を含んでおり、これはカード不織布、スパンボンド法不織布、空気撚り不織布、熱接着不織布、水撚り不織布、溶融膨潤不織布、及び/又は空気貫通接着不織布である。第2外側包装材の材料は、コットン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等である。第2外側包材用に特に適した材料は、ポリプロピレンのカード化された熱接合織物である。
【0067】
また、好ましくは外側包材の剛軟度は100mm以下であり、より好ましくは60mm以下であり、更に好ましくは50mm以下である。外側包材の剛軟度は少なくとも20℃〜60℃の間で保持されるのが好ましい。外側包材の剛軟度は種類、厚み、延伸度等により調整できる。
【0068】
固定手段としては、関節周囲部用温熱包装体や発熱部を有するものを所要部に固定できる固定能カを有するものであれば制限はない。
前記固定手段として一般的に採用されている、粘着剤層、鍵ホック、ホックボタン、ベルクロ等の面ファスナー、マグネット、バンド、ひも等及びそれらを組み合わせたものを任意に使用できる。
尚、バンドの場合、面ファスナーと粘着剤層との組み合わせで調整用固定手段を更に構成しても構わない。
ここで、面ファスナーとは、マジックテープ(登録商標)、マジックファスナー(登録商標)、ベルクロファスナー、フックアンドループテープ等の商品名で知られているもので、雌ファスナーであるループと前記雌ファスナー締結し得る雄ファスナーであるフックとの組み合わせで締結機能を有するものである。前記ループ機能を有するものとして、不織布や、毛羽立ち、わなを有する糸の織布等あるが、バンドを形成する芯材の表面にこれらループ機能(雌ファスナー機能)を有するものを被覆してもよいが、これ自体でバンドを構成してもよい。雄ファスナー部材であるフック部材は特に制限はないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂やポリアミド、ポリエステル等から形成されたものが一例として挙げられる。フックの形状は特に限定されるものではないが、断面がI字型、逆L字型、逆J字型、いわゆるきのこ型等の形状のフックがループに引っかかり易く、かつ肌に極度の刺激感を与えない点で好ましい。尚、フックがファスニングテープの全面積に粘着されていてもよく、更にテープ基体を省略してフックのみで、ファスニングテープとして使用してもよい。
前記粘着剤層は、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、界面活性剤、有機ケイ素化合物、疎水性高分子化合物、焦電物質、酸化防止剤、骨材、繊維状物、保湿剤、機能性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有してもよい。
本発明の粘着剤は、非親水性粘着剤、混合粘着剤、親水性粘着剤(ジェル等)に分類される。
前記粘着剤層を構成する粘着剤としては、皮膚や衣服に付着するに必要な粘着力を有するものであれば、制限はなく、溶剤系、水性系、エマルジョン型、ホットメルト型、反応性、感圧系、或いは、非親水性粘着剤、親水性粘着剤などの各種形態が用いられる。
前記粘着剤層は、前記非親水性粘着剤から構成される非親水性粘着剤1層と前記非親水件粘着剤から構成される非親水性粘着剤層とがある。
前記非親水性粘着剤層が吸水性ポリマーや保水剤を含有しで吸水性を改良したものは非親水性粘着剤層として扱う。
前記親水性粘着剤層と基材又は被覆材との間にホットメルト系の粘着剤を設けてもよい。
また、前記親水性粘着剤を関節周囲部用温熱包装体に設ける場合制限はなく、関節周囲部用温熱包装体のシール処理後に親水性粘着剤層を関節周囲部用温熱包装体に設けてもよい。
また、粘着剤層としては、通気性を有するものであっても、通気性を有しないものであってもよい。用途に応じて適宜選択をすればよい。通気性としては、全体として通気性があればよい。例えば、部分的に粘着剤が存在し、部分的に粘着剤の存在しない部分があり、領域全体として通気性がある粘着剤層が一例として挙げられる。
通気性の基材及び/又は被覆材に粘着剤をそのまま層状に積層するにあたり、その通気性を維持する方法としては、例えば、粘着剤を印刷、或いは、転写により、粘着剤層を部分的に積層し、その非積層部を通気部とする方法と、粘着剤を糸状に円を描きながら、一方向に移動させたり、ジグザグに移動させたりするなど適宜二次元方向に運行させ、その糸状の粘着剤の隙間が通気性ないし透湿性を推持させたり、粘着剤を発泡させる方法やメルトブロー方式で形成された層とが一例として挙げられる。
非親水性粘着剤層を構成する粘着剤はアクリル系粘着剤、酢酸ビニル系粘着剤(酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル樹脂系ホットメルト粘着剤)、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルアセタール系粘着剤、塩化ビニル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ポリエチレン系粘着剤、セルロース系粘着剤、クロロプレン(ネオプレン)系粘着剤、ニトリルゴム系粘着剤、ポリサルファイド系粘着剤、ブチルゴム系粘着剤、シリコーンゴム系粘着剤、スチレン系粘着剤(例えば、スチレン系ホットメルト粘着剤〉、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が一例として挙げられる。これらのうち、粘着力が高く、安価で、長期安定性が良く、しかも温熱を与えても粘着力の低下が少ない等の理由より、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤又はホットメルト系高分子物質を含有する粘着剤が望ましい。
前記粘着剤に前記ベースポリマーの他に、所望により、他の成分、例えば、ロジン類、クマロンインデン樹脂、水添石油樹脂、無水マレイン酸変性ロジン、ロジン誘導体類又はC5系石油樹脂等の脂環族系石油樹脂に代表される石油樹脂類等の粘着付与剤やテルペンフェノール系樹脂、ロジンフェノール系樹脂、アルキルフェノール系樹脂等のフェノール系粘着付与剤(特にアニリン点が50℃以下の粘着付与剤)、ヤシ油、ヒマシ油、オリープ油、ツバキ油、流動パラフィン等の軟化剤、軟化剤、老化防止剤、充墳剤、骨材、粘着調整剤、粘着改良剤、着色剤、消泡剤、増粘剤、改質剤等が適宜配合し、ナイロン製衣類や混紡布製衣類への粘着性向上等の性能向上をしてもよい。
前記ホットメルト系の粘着剤としては、粘着性を付与した公知のホットメルト系粘着剤が挙げられ、具体的には、例えば、SIS、SBS、SEBS又はSIPS等のA−B−A型ブロック共重合体をベースポリマーとするスチレン系粘着剤、塩化ビニル樹脂をベースポリマーとする塩化ビニル系粘着剤、ポリエステルをベースポリマーとするポリエステル系粘着剤、ポリアミドをベースポリマーとするポリアミド系粘着剤、アクリル樹脂をベースポリマーとするアクリル系粘着剤、ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンをベースポリマーとするポリオレフィン系粘着剤、1,2−ポリブタジエンをベースポリマーとする1,2−ポリブタジエン系粘着剤又はポリウレタンをベースポリマーとするポリウレタン系粘着剤、或いは、接着性の改善や安定性等を変えたこれらの変性体からなる粘着剤、若しくはこれらの粘着剤の2種以上の混合物が挙げられる。また、発泡させた粘着剤から構成される粘着剤層や粘着剤が架橋されたものから構成される粘着剤層も使用できる。
前記非芳香族系ホットメルト系粘着剤とは、ベースポリマーが芳香族環を含有しないホットメルト系粘着剤であれば、制限はない。オレフィン系ホットメルト系粘着剤やアクリル系ホットメルト系粘着剤等が一例として挙げられる。芳香族環を含有しないベースポリマーである非芳香族系ポリマーとは、オレフィンやジエン等のポリマーやコポリマーが挙げられる。一例としてオレフィン系ポリマーが挙げられる。オレフィン系ポリマーは、エチレン、αオレフィンの重合体又は共重合体である。また、他のモノマーとしてブタジエン、イソプレン等のジエンも加えたものもよい。
αオレフィンとしては、二重結合が末端にあるモノマーであれば制限はなく、プロピレン、ブテン、ヘプテン、ヘキセン、オクテン等が一例として挙げられる。
芳香族系ホットメルト系粘着剤とは、ベースポリマーが芳香族環を含有するホットメルト系粘着剤で、A−B−A型ブロック共重合体に代表されるスチレン系のホットメルト系粘着剤等が一例として挙げられる。
前記A−B−A型ブロック共重合体において、Aブロックはスチレン、メチルスチレン等のモノビニル置換芳香族化合物Aで、非弾性重合体ブロックであり、Bブロックはブタジエン、イソプレン等の共役ジエンの弾性重合体ブロックであり、具体的には、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、又はこれらの水添タイプ(SEBS、SIPS)等が挙げられ、また、これらを混合して用いてもよい。
上記非親水性粘着剤層の水分増加による粘着力低下防止対策として上記非親水性粘着剤粘着剤に更に吸水性ポリマーが配合された粘着剤層も使用できる。
前記親水性粘着剤層を構成する親水性粘着剤としては、親水性ポリマーや水溶性ポリマーを主成分として、粘着性を有し、粘着剤として親水性であれば特に制限はない。
前記親水性粘着剤の構成成分としては、ポリアクリル酸等の親水性ポリマーやポリアクリル酸ナトリウムやポリビニルピロリドン等の水溶性ポリマー、乾燥水酸化アルミニウムやメタケイ酸アルミン酸金属塩等の架橋剤類、グリセリンやプロピレングリコール等の軟化剤類、また、軽質流動パラフィンやポリブテン等の高級炭化水素やミリスチン酸イソプロピル等の一級アルコール脂肪酸エステル、シリコーン油等の含ケイ素化合物、モノグリセリド等の脂肪酸グリセリンエステル、オリーブ油等の植物油等の油性成分、また、パラオキシ安息香酸メチルやパラオキシ安息香酸プロピル等の防腐剤、N−メチル−2−ピロリドン等の溶解剤、カルボキシメチルセルロース等の増粘剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油やソルビタン脂肪酸エステル等の界面活性剤、酒石酸等のオキシカルボン酸、軽質無水ケイ酸、吸水性ポリマー、カオリン等の賦形剤、D−ソルビトール等の保湿剤、エデト酸ナトリウムやパラオキシ安息香酸エステルや酒石酸等の安定化剤、架橋型吸水性ポリマー、ホウ酸等のホウ素化合物、水等が一例として挙げられる。また、これらの任意の組み合わせから構成される。
仮着シール部は、粘着剤層を介して形成されるが、粘着剤層を構成する粘着剤は、常温でタックがある高分子組成物で形成された層で、仮着後ヒートシールができれば限定はない。
また、仮着に使用される粘着剤層を構成する粘着剤は前記粘着剤層の粘着剤が便用できる。非親水性の粘着剤が好ましい。粘着剤層を構成する粘着剤はヒートシールを構成するヒートシール材と相溶性が良く、粘着剤のベースポリマーの融点はヒートシール材の融点以下が好ましい。特に、ホットメルト系接着剤にはホットメルト系粘着剤が好ましい。また、ヒートシール材がオレフィン系の素材である場合は粘着剤としては、オレフィン系の粘着剤が好ましい一例として挙げられる。
通気調整材を固定する接着層は通常使用されている接着剤や粘着剤から構成される。特に粘着剤は有用であり、前記粘着剤層を構成する粘着剤が使用できる。
また、接着層の設ける方法については通気調整材が固定できれば制限はなく、全面に設けても、部分的や間欠的に設けてもよい。網状、ストライプ状、ドット状、帯状等、各種形状が一例として挙げられる。
また、粘着剤層を親水性粘着剤層にした場合、前記親水性粘着剤層と発熱組成物成形体との間に水分保持力の差がある場合にはその間にある基材等の包材を介して、水分の移動が起こり、双方に取って、不都合が起こる。特に保存中に多く起こる。これを防止するために、これらの間に介在する包材は、透湿度が、少なくとも、リッシー法(Lyssy法)による透湿度で、2g/m/day以下であることが好ましい。これを使用することにより、発熱体を非通気性収納袋である外袋に収納し保存する場合、水分移動が防げる。
粘着剤層に親水性粘着剤層を使用した場合、発熱組成物成形体と親水性粘着剤層との間に設けられた防湿性包装材の透湿度は、発熱性能に影響しない範囲で、水分の移動が防止できれば制限はないが、リッシー法(Lyssy法)による透湿度で、通常、2g/m/day以下であり、好ましくは1.0g/m/day以下であり、より好ましくは0.5g/m/day以下であり、更に好ましくは0.01〜0.5g/m/dayである。ここで、大気圧下、40℃、90%RHという条件下の値である。尚、前記防湿性包装材は基材や被覆材としても使用できるし、単独で基材や被覆材等に積層してもよい。
前記防湿性包材は、発熱組成物成形体と親水性粘着剤層の間の水分移動が防止できれば、制限はないが、金属蒸着フィルム、金属酸化物の蒸着フィルム、金属箔ラミネートフィルム、EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合物、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物)系フィルム、二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニリデンコートフィルム、ポリ塩化ビニリデンをポリプロピレン等の基材フィルムに塗布してなるポリ塩化ビニリデンコートフィルム、アルミニウム箔等の金属箔、ポリエステルフィルム基材にアルミニウム等の金属を真空蒸着やスパッタリングしてなる非通気性包材、可撓性プラスチック基材の上に、酸化ケイ素、酸化アルミニウムを設けた構造の透明バリア性フィルムを使用した包装用積層体が一例として挙げられる。前記外袋等に使用されている非通気性包材も使用できる。
また、特開平2002−200108号公報の防湿性包材等の包材も使用でき、この記載内容を本発明に組み入れる。
水含有の親水性粘着剤(ジェル等)を粘着剤層に使用する場合、発熱組成物と前記粘着剤層の水分平衡を調整するために、発熱組成物中の塩化ナトリウム等の反応促進剤や吸水性ポリマー等の水分確保力のある物質の含有量を発熱組成物に対して、10〜40重量%の範囲で、好ましくは15〜40重量%の範囲で、更に好ましくは15〜30重量%の範囲で調整してもよい。
また、透湿性がよく、皮膚への刺激性が低い粘着剤としては、特開平10−265373号公報、特開平9−87173号公報等の含水粘着剤(親水性粘着剤、ジェル)や特開平6−145050号公報、特開平6−199660号公報に記載されているホットメルト塗工できる粘着剤や特開平10−279466号公報や特開平10−182408号公報に記載されているゴム系粘着剤も有用であり、本各文献を引用し、全文を本明細書に組み入れる。
前記粘着剤層に含ませる機能性物質としては、機能を有する物質であれば制限はないが、芳香化合物、植物エキス、生薬、香料、スリム化剤、鎮痛剤、血行促進剤、むくみ改善剤、抗菌剤、殺菌剤、防かび剤、消臭剤、脱臭剤、経皮吸収性薬剤、脂肪分解成分、マイナスイオン発生体、遠赤外線放射体、磁気体、湿布剤、化粧料、竹酢液又は木酢液等から選ばれた少なくとも一種を一例として挙げられる。
具体的には、メントール、ベンツアルデヒド等の芳香族化合物、ヨモギエキス等の植物エキス、モグサ等の生薬、ラベンダー、ローズマリー等の香料、アミノフィリン、茶エキス等のスリム化剤、インドメタシン、d1−カンフル等の鎮痛剤、酸性ムコポリサッカライド、カミツレ等の血行促進剤、セイヨウトチンキ、フラボン誘導体等のむくみ改善剤、ホウ酸水、生理的食塩水、アルコール水等の湿布剤、タイソウ抽出液、カフェイン、トナリン等の脂肪分解成分、アロエエキス、ビタミン剤、ホルモン剤、抗ヒスタミン剤、アミノ酸類等の化粧料、石炭酸誘導体、ホウ酸、ヨード剤、逆性石鹸、サリチル酸系の物質、イオウ、抗生物質等の抗菌剤や殺菌剤、或いは、防かび剤が一例として挙げられる。
経皮吸収性薬剤としては、経皮吸収性のものであれば特に限定されるものではないが、コルチコステロイド類、消炎鎮痛剤、高血圧剤、麻酔剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、抗菌性物質、抗真菌物質、皮膚刺激剤、炎症抑制剤、抗てんかん剤、鎮痛剤、解熱剤、麻酔剤、殺菌剤、抗微生物抗生物質、ビタミン類、抗ウィルス剤、むくみ改善剤、利尿剤、血圧降下剤、冠血管拡張剤、鎮咳去痰剤、スリム化剤、抗ヒスタミン剤、不整脈用剤、強心剤、副腎皮質ホルモン剤、血行促進剤、局所麻酔剤、脂肪分解成分等及びそれらの混合物が一例として挙げられるが、これらに限定されない。これら薬物は、1種又は必要に応じて2種以上配合されて用いられる。
この薬物の含有量としては、薬効を期待できる範囲であれば特に限定されるものではないが、薬理効果や経済性、更に、粘着力等の観点より、経皮吸収性の薬物の含有量が粘着剤100重量部に対して、好ましくは0.01〜25重量部、更に好ましくは0.5〜15重量部である。
また、粘着剤層の設ける方法については関節周囲部用温熱包装体が固定できれば制限はなく、全面に設けても、部分的や間欠的に設けてもよい。網状、ストライプ状、ドット状、帯状等、各種形状が一例として挙げられる。
【0069】
発熱パックは、第2面を折り目の内側にし、外側面をパッケージの内部に曝して折り畳まれ、非通気性収納袋である外袋の封入される。発熱パックは、外袋から出されて、酸素が発熱組成物成形体に反応し発熱する。この発熱パックは、コンパクトであり、携帯可能である。
【0070】
同じ面に、通気性層として取り付け手段を配置する事により、本発明の発熱パックは、使用者の衣服の内側で着用され、使用者の身体に直接接触される。
【0071】
使用前に、発熱パックは、保存、輸送等のために、酸素不透過性の収納袋である外袋に封入される。前記外袋は非通気性のものであればそのほかの制限はなく、ラミネートされているものでもよいたとえばOPP、CPP、ポリ塩化ビニリデン、酸化アルミニウムや酸化ケイ素等の酸化金属(半導体を含む)などにより防湿処理されたナイロン、ポリエステル、ポリプロピレンフィルム、更にはアルミニウム箔又はアルミニウム蒸着されたプラスチックフィルムなどがあげられる。その例としては、製造された発熱パックを2枚の非通気性フィルム又はシートの間に封着した発熱パックが一例として挙げられる。
【0072】
本発明における発熱組成物は、型通し成形法や鋳込み成型法等の型成形方式により成形される。型の選択により前記区分発熱部の最大の幅が1〜20mmであり、最大の直径が1〜20mm(楕円等の径が2つ以上あるものは短径等の最も短い径を言う)であり、最高の高さが0.1〜20mmであり、区分発熱部の間隔が1〜20mmに調整し、更に、前記基材及び被覆材はヒートシール層を有し、少なくとも一方のヒートシール層の上に粘着剤からなる粘着層を設け、基材、発熱組成物成形体、被覆材が少なくとも発熱組成物成形体の周縁部にて基材と被覆材を前記粘着層を介して、仮着し、仮着シール部を形成した後に、前記仮着シール部をシートシールしヒートシール部を形成する。また、前記仮着シール部の幅より狭く、ヒートシールをし、その後、仮着シール部内でヒートシールされていない領域を発熱組成物を移動させることにより、開着する。これにより、発熱組成物成形体が安定し、ヒートシールによる本格的シールが容易になり、シールずれ等がなくなり、高速で、細線のヒートシール幅化がシールなく、具現化でき、発熱部の区分けによる発熱時間の低下等の発熱特性を低下させることなく発熱部の区分けができる。発熱パックに外側包材を設け発熱パックを製造するが、開着は発熱パックの製造時又は製造後でもよい。
【0073】
型通し成形法とは抜き型を使用し、長尺の基材の上に型の抜き形状の発熱組成物成形体を積層する成形機とそれを長尺の被覆材で覆い、目的とする区分け部分及び基材と被覆材の周辺部をシール(ヒートシールや圧着シールや熱圧着シール等)できる回転式のシール器を用いて、そのシール器を介し、発熱組成物成形体の周辺部及び区分け部分の必要箇所をヒートシールし、封入処理する連続形成方法などである。
【0074】
鋳込み成形法とは凹部を有する鋳込み型への充填と基材への移設により、発熱組成物成形体を長尺基材上へ積層する成型法である。連続式の場合は、ドラム状回転体による凹部への充填と基材への移設により、発熱組成物成形体を長尺基材上へ積層する成形機とそれを長尺の被覆材で覆い、目的とする区分け部分及び基材と被覆材の周辺部をシール(ヒートシールや圧着シールや熱圧着シール等)できる回転式のシール器を用いて、そのシール器を介し、発熱組成物成形体の縁部及び区分け部分の必要箇所をヒートシールし、封入処理する連続形成方法などである。
【0075】
また、本発明の発熱組成物の成形には、磁石を使用してもよい。磁石を利用すると、発熱組成物の型内への収容や、その成形体の型からの離脱が容易にでき、発熱組成物成形体の成形がより容易になる。
【0076】
尚、少なくとも前記発熱組成物成形体と被覆材の間に通気性粘着剤層を設けたりして、発熱パックを製造してもよい。少なくとも前記発熱組成物成形体と被覆材の間に通気性粘着剤層を設ける場合は、少なくとも前記発熱組成物成形体と被覆材の間に通気性粘着剤層が存在していれば、制限はない。例えば被覆材の発熱組成物成形体と対する面に設けてもよいし、前記発熱組成物成形体上や積層された前記発熱組成物成形体と基材に通気性粘着剤層層設け、被覆材と発熱組成物成形体及び/又は基材と間での加圧等による仮着が一例として挙げられる。
【0077】
また、前記基材及び基材上に積層された発熱組成物成形体と被覆材間を、粘着層により仮着してから、発熱組成物成形体の周縁部及び発熱パックの周辺部をヒートシールする発熱パックの高速製造法が可能になる。
【0078】
本発明においてヒートシール層を構成するヒートシール材としては、単独素材でもよく、ヒートシール層を有する複合素材でもよく、加熱によって少なくともその一部が接合しうるものであれば制限はない。一例を挙げると、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンやオレフィン共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合樹脂などのエチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂等のエチレン系ホットメルト樹脂、ポリアミド系ホットメルト樹脂、ブチラール系ホットメルト樹脂、ポリエステル系ホットメルト樹脂、ポリアミド系ホットメルト樹脂、ポリエステル系ホットメルト樹脂、ポリメチルメタクリレート系ホットメルト樹脂、ポリビニルエーテル系ホットメルト樹脂、ポリウレタン系ホットメルト樹脂、ポリカーボネート系ホットメルト樹脂、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等のホットメルト系樹脂及びそのフィルムやシートが一例として挙げられる。また、ホットメルト系樹脂及びそのフィルムやシートには、種々の酸化防止剤等添加剤を配合したものも使用することができる。特に、低密度ポリエチレン、メタロセン触媒使用のポリエチレンが有用である。
【0079】
本発明において仮着とは、基材と被覆材との間に発熱組成物成形体を挟持する場合に、粘着剤からなる粘着層を介して、少なくとも基材と披覆材を粘着し、ヒートシールをするまでの間、収納した発熱組成物成形体を保留しておくための弱い感圧接着又は粘着をいう。
また、開着とは、ヒートシール後の仮着シール部において、末ヒートシール部領域の発熱組成物を前記領域に移動させること等により仮着を解くことである。
仮着シール部は、粘着層を介して形成されるが、粘着層を構成する粘着剤は、常温でタックがある高分子組成物で形成された層で、仮着後ヒートシールができれば限定はない。
また、仮着に使用される粘着層を構成する粘着剤としては、前記粘着剤層の粘着剤が使用できるが、非親水性の粘着剤が好ましい。粘者層を構成する粘着剤はヒートシールを構成するヒートシール材と相溶性が良いものが好ましく、粘着剤のベースポリマーの融点はヒートシール材の融点以下が好ましい。特に、ホットメルト系粘着剤が好ましい。また、ヒートシール材がオレフィン系の素材である場合は粘着剤としては、オレフィン系の粘着剤が好ましい一例として挙げられる。
尚、仮着のための粘着層の設けかたには制限はなく、全面に設けても、部分的や間欠的に設けてもよい。網状、ストライプ状、ドット状、帯状等、各種形状が一例として挙げられる。
【0080】
更に本発明は、このような痛みに苦しんでいる人間の身体の特定領域に典型的に熱を加えることによって、このような痛みに苦しんでいる人間の筋肉、骨格、及び/又は言及した身体の痛みを含む急性の、繰り返し性の、及び/又は慢性の身体、膝の痛みを治療する方法を含んでいる。本方法は、好ましくは上述の発熱パックをこのような痛みに苦しんでいる人間の悩みのある部分、好ましく腹部又は生理部に、約20秒から約24時間、好ましくは約20分から約20時間、より好ましくは約4時間から約16時間、最も好ましくは約8時間から約12時間あてがうことによって、このような痛みに苦しんでいる人間の膝に対して皮膚温度を約32℃から約50℃、好ましくは約32℃から約45℃、より好ましくは約32℃から約42℃、最も好ましくは約32℃から約39℃、更に最も好ましくは約32℃から約37℃に維持する方法を有し、この場合長期間高温を用いることによってもたらされる可能性のある肌焼けのような如何なる不具合もなしに所望の治療効果が達成されるように、最高皮膚温度及び皮膚温度を最高皮膚温度に維持する時間の長さを、このような治療を必要とする人間によって適切に選択することが可能である。好ましくは本方法は、筋肉、骨格及び/又は言及した身体の痛みを含む急性の、繰り返し性の、及び/又は慢性の身体の痛みを有する人間の身体に対して持続される皮膚温度を、約32℃から約43℃、好ましくは約32℃から約42℃、より好ましくは約32℃から約41℃、最も好ましくは約32℃から約39℃、更に最も好ましくは約32℃から約37℃に、約1時間以上の期間、好ましくは約4時間以上、より好ましくは約8時間以上、更に好ましくは約16時間以上、最も好ましくは約24時間維持して、このような痛みを有する人間の骨格、筋肉及び/又は言及した腹痛及び/又は月経痛のような身体の痛みを含む急性の、繰り返す、及び/又は慢性の身体の痛みをかなり緩和し、又使用者の悩みのある身体部分から熱源が取り除かれた後でも、少なくとも約2時間、好ましくは少なくとも約8時間、より好ましくは少なくとも約16時間、最も好ましくは少なくとも約1日、更に最も好ましくは少なくとも約3日間このような痛みの緩和をかなり引き延ばす方法を含んでいる。
【0081】
易動水値とは、発熱組成物中に存在する水分の中で発熱組成物外へ移動できる余剰水分の量を示す値である。この易動水値について、図12乃至図16を使って説明する。図12に示すように、中心点から放射状に45度間隔で8本の線が書かれたNO.2(JIS P 3801 2種)の濾紙25を、図13及び図14に示すように、ステンレス板29上に置き、前記濾紙25の中心に、内径20mm×高さ8mmの中空円筒状の穴27を持つ長さ150mm×幅100mmの型板26を置き、その中空円筒状の穴27付近に試料28を置き、押し込み板22を型板26上に沿って動かし、試料28を押し込みながら中空円筒状の穴27へ入れ、型板26面に沿って、試料を擦り切る(型押し込み成形)。次に、前記穴27を覆うように非吸水性の70μmポリエチレンフィルム24を置き、更にその上に、厚さ5mm×長さ150mm×幅150mmのステンレス製平板23を置き、発熱反応が起こらないようにして、5分間保持する(図15)。その後、濾紙25を取り出し(図16)、放射状に書かれた線に沿って、水又は水溶液の浸みだし軌跡を中空円筒の穴の縁である円周部31から浸みだし先端までの距離30として、mm単位で読み取る。同様にして、各線上からその距離23を読み取り、合計8個の値を得る。読み取った8個の各値(a,b,c,d,e,f,g,h)を測定水分値とする。その8個の測定水分値を算術平均したものをその試料の水分値(mm)とする。また、真の水分値を測定するための水分量は内径20mm×高さ8mmの前記発熱組成物等の重量に相当する前記発熱組成物等の配合水分量とし、その水分量に相当する水のみで同様に測定し、同様に算出したものを真の水分値(mm)とする。水分値を真の水分値で除したものに100をかけた値が易動水値である。即ち、
易動水値=[水分値(mm)/真の水分値(mm)]×100
同一試料に対して、5点測定し、その5個の易動水値を平均し、その平均値をその試料の易動水値とする。また、発熱パック中の発熱組成物の易動水値を測定する場合、真の水分値を測定する水分量は発熱組成物の赤外線水分計による水分量測定から発熱組成物の含水率を算出し、それを基に、測定に必要な水分量を算出し、前記水分量により真の水分値を測定算出する。
【0082】
本発明において、易動水値0.01〜20の余剰水量を有する発熱組成物を成形した発熱組成物成形体は、基材に積層し、被覆材を被せ、少なくとも発熱組成物成形体の周縁部をシールするだけで発熱パックとすることができる。基材や被覆材等の包材に収納した後は、水分を添加する必要がない。従って、工程が著しく簡素化されるので、コスト的にも優位性がある。
本発明での易動水値(0〜100)は、0.01〜20であり、より好ましくは0.01〜18であり、更に好ましくは0.01〜15であり、更に好ましくは0.01〜13であり、更に好ましくは1〜13であり、更に好ましくは3〜13である。
本発明の余剰水を連結物質とした、成形性のある発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を用いた発熱パックは、前記発熱組成物は凝集助剤、乾燥結合剤、凝集化剤等を使用せず、易動水値0.01〜20で表される適量の余剰水を連結物質とするものである。
発熱組成物中の余剰水は適量になると、組成物の成分中の親水基に対しては双極子相互作用又は水素結合等によって水和し、また、疎水基の周辺においても高い構造性を有して存在すると推定される。これにより砂ダンゴ状態になり、発熱組成物の成形性が生ずると推定される。これは何らかの意味で連結物質である連結水である。これ以外に、自由に動ける自由水と呼べる状態の水分もあり、余剰水が増加すれば構造が軟化し、自由水が増加すると思われる。また、鉄粉が酸化反応を起こす支配因子は、水の存在量と鉄粉表面への酸素供給量である。吸着水膜(100Å未満)程度では水分が十分でなく、酸化速度は小さいといわれている。吸着膜が約1μm程度になると、水分量が十分になる。また、水膜の厚さが薄いため、鉄粉表面への酸素の供給も容易となり、大きな酸化速度を示す。更に膜が厚くなり、吸着膜が1μmを超えると、酸素供給量が減少すると推定される。一定以上の成形性と酸化速度を示す最適水分量を表す易動水値が0.01〜20であるとの知見を得、本発明を完成した。
即ち、適量の余剰水を用いることにより、水分の表面張力で各成分粒子をつなぎ止め、発熱組成物に成形性を生じさせ、水分が実質的にバリア層として機能しないため、発熱組成物は空気と接触して発熱する。更に、活性鉄粉を用いた発熱組成物や活性発熱組成物を用いることにより発熱立ち上がり性の著しく優れ、また、成形性の高い発熱組成物となる。また、成形積層方式により製造した発熱組成物成形体中の水分を包材や吸水性シートに移動させることなく発熱する。更に、発熱組成物成形体をシール部により区分けした区分発熱部を複数設けることにより、発熱パック自身が柔軟性を有し、人体各所や曲面を有する物体等の柔軟性の要求される箇所への装着に優れ、使用感に優れた発熱パックを提供できる。
また、前記基材、被覆材及び発熱組成物成形体において、少なくとも被覆材と発熱組成物成形体とを粘着剤層を介して、仮着してから、発熱組成物成形体の周縁部及び発熱パック周辺部をヒートシールすることにより、ヒートシールの確実性が向上するので、発熱パック製造の高速化及びヒートシール幅の小幅化が図れる。
【0083】
本発明の成形性とは抜き穴を有する抜き型を用いた型通し成形や、凹状の型を用いた鋳込み成形により、抜き穴や凹状型の形状で発熱組成物の成形体ができ、型離れを含め成形後、発熱組成物成形体の成形形状を維持することを示すものである。
成形性があると発熱組成物成形体が少なくとも被覆材に覆われ、基材と被覆材の間にシール部が形成されるまで、形状が維持されので、所望の形状でその形状周縁部でシールができ、シール部に発熱組成物の崩れ片であるいわゆるゴマが散在しないので、シール切れがなくシールできる。ゴマの存在はシール不良の原因となる。
1)測定装置としては、
走行可能な無端状ベルトの上側にステンレス製成形型(中央部に縦60mm×横40mmの四隅がR5に処理された抜き穴を有する厚さ2mm×縦200mm×横200mmの板)と固定可能な擦り切り板を配置し、それと反対側である無端状ベルトの下側に磁石(厚さ12.5mm×縦24mm×横24mmの磁石が並列に2個)を配置する。
前記磁石は、擦り切り板及びその近傍の領域、且つ、成形型の抜き穴の進行方向に対する最大断面の領域(40mm)より大きい領域を覆う。
2)測定法としては、
前記測定装置の無端状ベルトの上に厚さ1mm×縦200mm×横200mmのステンレス板を置き、その上に厚み70μm×縦200mm×横200mmのポリエチレンフィルムを置き、更にその上にステンレス製成形型を置く。
その後、前記成形型の抜き穴の無端状ベルトの進行側端部から50mmの位置に擦り切り板を固定後、前記擦り切り板と前記抜き穴の間で擦り切り板付近に発熱組成物50gを置き、無端状ベルトを1.8m/minで動かし、発熱組成物を擦り切りながら成形型の抜き穴へ充填する。成形型が擦り切り板を完全に通過後、無端状ベルトの走行を停止する。次に成形型を外し、ポリエチレンフィルム上に積層された発熱組成物成形体を観察する。
3)判定法としては、
前記発熱組成物成形体の周縁部において、最大長さが800μmを超える発熱組成物成形体の崩れ片がなく、最大長さ300から800μmの発熱組成物成形体の崩れ片が5個以内である場合に、前記発熱組成物は成形性があるとする。
成形方式に使用する発熱組成物には必須の性質である。これがないと成形方式による発熱パックの製造は不可能である。
【0084】
本発明において、実質的に平面状とは、発熱組成物を収納するために予め設けられた収納用のポケット、収納区画、収納区域等の収納用凹部を有しない平らな面をいう。従って、意図的に発熱組成物を収納しない凹凸は存在してもよい。
本発明のポケットとは、発熱組成物を収納するために、予め包材に設けられた収納用ポケットであり、特表2001−507593号公報に記載されているようなポケットである。意図的な発熱組成物成形体の収納用でない凹凸はポケットではないので、そのような凹凸が基材にあっても、実質的な平面状の基材とする。
前記収納区画とは、発熱組成物を収納するために、予め包材に設けられた収納用収納区画であり、特許316160号公報、特表平11−508314号公報に記載されているような収納区画である。意図的な発熱組成物成形体の収納用でない凹凸は収納区画ではないので、そのような凹凸が基材にあっても、実質的な平面状の基材とする。
前記収納区域とは、発熱組成物を収納するために、予め包材に設けられた収納用収納区域であり、特許316160号公報、特表平11−508314号公報に記載されているような収納区域である。意図的な発熱組成物成形体の収納用でない凹凸は収納区域ではないので、そのような凹凸が基材にあっても、実質的な平面状の基材とする。
【0085】
本発明における剛軟度とは、剛性(ハリ、コシ)又は柔軟性を示し、JlS−L−1096A法(45°カンチレバー法)に準じ、試料として発熱パック自身を用いたこと以外は同法に従ったものである。即ち、一端が45度の斜面をもつ表面の滑らかな水平台の上に発熱パックの一辺をスケール基線に合わせて置く。次に、適当な方法によって発熱パックを斜面の方向に緩やかに滑らせて、発熱パックの一端の中央点が斜面Aと接したときに他端の位置をスケールによって読む。剛軟度は発熱パックが移動した長さ(mm)で示され、それぞれ発熱パック5枚を測り、縦方向及び横方向、又は、一方向及びそれと直交する方向それぞれの平均値でそれぞれの方向の剛軟度を表す(整数位まで)。ただし、測定にあたって、粘着剤層付き発熱パックの粘着剤側面を水平台側面と相対するようにして測定する場合には、セパレータを付けた粘着剤側面が水平台側面に相対するようにおく。いずれにしても、最小の剛軟度が測定される側の測定値を採用する。
また、
1)水平台には発熱パックの発熱組成物入り発熱部が幅5mm以上×長さ20mm以上残っていること。ただし、長さは発熱組成物が存在している領域を横断していること又は発熱組成物が存在している領域と存在していない領域を直線的に横断していること。
2)粘着剤層付き発熱パックの場合は粘着剤層のセパレータとして剛軟度30mm以下のプラスチックフィルム、或いは、厚み50μm以下、好ましくは25μm以下の腰のない、或いは、軽く揉んでシワができるプラスチックフィルム等の腰のない、柔らかいフィルムを使用し、粘着剤層に添って設けること。また、基材及び/又は被覆材の剛軟度は100mm×200mmの試験片を作成し、200mm方向の剛軟度を採用する。
本発明では、少なくとも一方向の剛軟度は、通常100mm以下であり、好ましくは80mm以下であり、より好ましくは50mm以下であり、更に好ましくは30mm以下であり、更に好ましくは20mm以下である。
【0086】
本発明における発熱パック又は発熱部の剛軟度率とは、一方向における発熱パック又は発熱部の全長に対する剛軟度率であり、次式により算出される。
剛軟度率=(A/B)×100
A:一方向における発熱パック又は発熱部の剛軟度
B:前記一方向における発熱パック又は発熱部の全長
本発明では、少なくとも一方向の剛軟度率は、通常50以下であり、好ましくは40以下であり、より好ましくは30以下である。
【0087】
本発明における剛軟度比とは、発熱パック又は発熱部の厚み方向と直交する面において、一方向の剛軟度と、それと直交する方向の剛軟度において小さい剛軟度に対する比である。剛軟度比は、好ましくは2以上である。
【0088】
本発明におけるスジ状に間隔をおいて設けた区分発熱部を有する発熱パックの場合は、直角方向になる2方向における剛軟度の差の絶対値が最大になる、平行六面体形状の区分発熱部をスジ状に間隔をおいて設けた発熱パックや、更に粘着剤層を設けた発熱パックや、その粘着剤層をスジ状に間隔をおいて設けた発熱パックは、一方向に対して非常に柔軟性であり、一方向に対しては剛性であるので、肩こり、腰痛、筋肉疲労等の症状を緩和し、特に生理痛の症状緩和する等の効能を発揮する。更に、発熱パックの幅方向に、ほぼ幅寸法の大きさで巻けて、コンパクトになり、収納にも便利である。またセパレータ付きの場合は剛軟度の低いセパレータを使用すれば巻くことができる。
また、身体に沿わせて発熱パックを設ける場含、身体は二次的曲面が多く、肩、脚、腹、腰、腕等は1方向は、ほぼ直線的になっており、他の2方向はほぼ曲面から造られる。従って、1方向はほぼ直線的であり、他の2方向は曲面を造ることができる本発明の発熱パックは2次元的曲面が造れるので、身体にうまく沿わすことができ、身体の採暖や諸症状の緩和、治療に最適である。
また、本発明の発熱パックは凸部区分発熱部の大きさや間隔を調整することにより、柔軟で、均一温度分布を示す発熱部や模様状温度分布を示す発熱部が得られる。模様状温度分布により、加温部のつぼ効果を向上させることができる。
区分発熱部を有する発熱パックにおいて、厚み方向に直交する面における剛軟度の最小剛軟度は、好ましくは50mm以下であり、より好ましくは40mm以下であり、更に好ましくは30mm以下であり、更に好ましくは5〜30mmである。
この剛軟度及び剛軟度比は、少なくとも20〜60℃の間で保持される。
【0089】
保水率とは、下記の方法で測定、算出したものである。約5cmの長さにカットし、よく開繊された試料繊維約1gを純水中に浸漬し、20分間(20℃)経過後、遠心脱水機を用いて2000rpmの回転で繊維間の水を除去する。このようにして調整した試料の重量(W1)を測定する。次に前記試料を80℃の真空乾燥機中で恒量になるまで乾燥して重量(W2)を測定する。次式により保水率を算出する。
保水率(%)=[(W1−W2)/W2]×100
本発明においては保水率20%以上が好ましい。
【実施例】
【0090】
以下、本発熱パックの実施例について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の通気性面を持つ発熱パックの一実施例の平面図である。
図2は、図1のZ−Z線断面図で、発熱パックの積層構造を表わしている。
図3は、発熱パックの一部の拡大部分を使って区分発熱部の製造工程を示したものである。
図4は、発熱パックの一部の拡大部分を使って他の区分発熱部の製造工程を示したものである。
図5は、本発明の他の発熱パックの斜視図である。発熱パックの区分発熱部の通気性表面の部分的なランダムな範囲を含み、全体的に蜘蛛の巣状の粘着剤層を設けた型を示す。
図6は、図5のY−Y断面図で、発熱パックと粘着剤層と粘着剤層の保護用セパレータとの積層構造を表わしている。
図7は、発熱パックの基材が通気性である一実施例を示す。
図8は、本発明の接着と通気性面を持つ発熱パックの一実施例の平面図で、区分発熱部の形と区分け部に設けられた固定用粘着剤層の縞を表わしている。
図9は、図8のX−X断面図で、発熱パックと粘着剤層と粘着剤層の保護用セパレータとの積層構造を表わしている。
図10は、腰の部分から見た女性のパンティの平面図で、パンティが着用された時に使用者の腹部へ温熱パックが熱を伝達するようにパンティの前面に置かれた温熱パックを示している。
図11は、図1の温熱パックの断面図で、非通気性の包装中にたたみ込まれた温熱パックを示す。
【0091】
図1及び図2に示したように、発熱パック1は複数の区分発熱部3を有する。区分発熱部3は、平面状の基材6上に型成形された発熱組成物成形体2を積層し、更に、被覆材7を被せた後、発熱組成物成形体2の外周部をヒートシールすることにより形成される。基材6と被覆材7の差は実質的に無く、最初に発熱組成物成形体2が積層されるものを基材6とする。通気性は、基材6と被覆材7の少なくとも何れかが有すればよいが、通常、基材6は非通気性であり、被覆材7は通気性を有する。
【0092】
複数の区分発熱部3は互いに離れ、独立して存在している。発熱組成物成形体2はそれぞれの区分発熱部3中に密に収納されている。隣接する発熱組成物成形体2間には、区分け部4が存在するため、大きな発熱部の発熱パック1よりも身体の輪郭に沿わせることができる。尚、発熱組成物成形体2は、圧縮されて区分発熱部3中に存在していてもよい。区分発熱部3は容易には曲がらないが、区分け部において曲げることができる。各区分発熱部3は、ほぼ同一の量の発熱組成物成形体2及び通気性を持つことが好ましい。
【0093】
図3は、製造工程の一例で、図3(a)は、非通気性の基材6を、(b)は、それに成形性発組成物成形体2を積層したものを、(c)は、それに穿孔(5)した通気性の被覆材7を被せたものを、(d)は、発熱組成物成形体2の外周部をヒートシールし、区分発熱部3及び区分け部4を形成する発熱パックである。
図3(e)は、通気性の被覆材7に、通気性の第一接着層8を介して通気性の第一外側包材10を設け、非通気性の基材6に、第二接着層9を介して第二外側包材11を設けた発熱パック1の一部拡大図である。図3(f)は通気性の第一外側包材10上に通気性粘着材層12Aを介してセパレータ13を設けた発熱パック1の一部拡大図である。
【0094】
図4(a)〜(d)は、製造工程の他の例で、予め穿孔5することにより通気性を備えた基材6を使用し、被覆材7に非通気性の素材を使用した以外は、図3と同様にして発熱パック1を作製する例である。
図4(e)は、非通気性の被覆材7に、第一接着層8を介して第一外側包材10を設け、通気性の基材6に、通気性の第二接着層9を介して、通気性の第二外側包材11を設けた発熱パック1の一部拡大図を示す。図4(f)は、通気性の第一外側包材10上に通気性粘着材層12Aを介してセパレータ13を設けた発熱パック1の一部拡大図である。
【0095】
基材6又は被覆材7の材質としては、熱可塑性樹脂フィルムを必須構成としていれば制限はなく、メタロセン触媒を使用したものも含み、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルのフィルム、スチレンブロックコポリマー、フィルムでコートされた不織布及び透過膜等を使用することができる。本実施例では、基材6に厚さが0.001インチ(0.025mm)の低密度ポリエチレンフィルムを使用している。基材6や被覆材7に通気部5を設ける場合には、好ましくは複数の開口部を設けるようにする。具体的には、基材6及び/又は被覆材7を熱した針で刺して孔を開ける等して開口部5を設ける。開口部5のサイズは、好ましくは直径約0.1mmから約0.08mmまでであり、開口部5の個数は、好ましくは区分発熱部1個あたり20から60である。他の開口部を作る方法としては、冷えた針で刺す方法、真空生成又は高圧ウォータージェット生成工法等を使用することができる。更に、多孔性の担体物質と組み合わせるなどして、微小孔膜或いは半透過性膜から造ってもよい。通気性は、リッシー法(Lyssy法)による透湿度が、通常は50〜10,000g/m/24hrである。
【0096】
図5に示すものでは、前記した発熱パック1を外側包材に収容したものである。図6は、図5の断面図を示すものである。
図5及び図6はメルトブロー法やカーテンスプレー法等により設けられた蜘蛛の巣状の粘着剤層12が設けられている。粘着剤は、第一の外側包材10に、使用後使用者の衣服から発熱パック1を取り除いた時に優先的に粘着剤12が第一の外側包材10に残るように、隣接する発熱部3間に埋入することが望ましい。尚、粘着剤層12を構成する粘着剤は、非通気性であるが、上記のように蜘蛛の巣状、線状或いはランダムに設けることにより、粘着剤層12は通気性を有するようにすることができる。
【0097】
また、基材6側にも、接着層9を介して第二の外側包材11が設けられている。
そして、温熱パック33の第一の面16は、衣服に貼着され、反対面17は身体側に位置する。
ここで、第一の外側包材10及びこれを接着する接着層8は、被覆材7より、好ましくは空気に対してより透過性がある。更に、好ましくは被覆材7の酸素透過性を著しく変化させないものである。これにより、被覆材7の通気性が各区分発熱部3への酸素の流量を調節することができる。
【0098】
粘着剤層12を保護するためにセパレータ13を設けてもよい。前記粘着材層12はセパレータ或いは粘着対象物の表面に対する粘着力よりも、外側包材10へのより強い結合を持つことが好ましい。更に、衣服への接着剤層12は第一の面16上に設けられているが、望ましくは線状の粘着剤或いは小繊維とする。
【0099】
区分発熱部3の通気性を、第一外側包材10と第一の接着層8の通気性、粘着剤層12の通気性より低下する通気性分量だけ、高めておいて発熱性能を高めるようにしてもよい。
【0100】
また、通気性面に設けられる接着層や粘着剤層の位置、面積割合、形状、通気性については以下の通りである。
位置は特に制限はないが、少ない面積で効率よく衣服に貼り付けるために、通気性粘着面に均一に分散して設けることが好ましい。通気性粘着面を形成するためには、例えば、通気性の包装材に予め粘着剤を部分的に設けたり、非通気性包装材のほぼ全面に粘着剤を塗布した後に、針孔を開けて通気性にする等の方法がある。
その面積の割合は、通常は、通気性粘着面の面積全体の5〜95%であり、好ましくは20〜70%である。5%未満であると、外側包材10や発熱パック1が剥がれやすくなり、一方95%超えの場合は通気孔を形成するのに困難性を生じる。
その形状に関しては、接着層や粘着剤層を水玉模様状、斑点状、亀甲状、ストライプ状、或いは格子状に設けることもでき、その形状に特に制限されるものではない。
また、単位面積当たり塗布される粘着剤の量についても特に限定されるものではない。粘着剤の塗布分布に関しても特に制限されるものではないが、発熱特性の均一化を図るために、通気性面全体にほぼ均一な通気性状態に設定することが好ましく、粘着剤の塗布分布もほぼ均一な分布を有するものが好都合である。
【0101】
通気性粘着面の通気性とは、接着剤や粘着剤が塗布された状態での通気性を意味するものであり、前記接着層が設けられた通気性面や粘着剤層が設けられた通気性粘着面が前記当する。その通気性はリッシー法(Lyssy法)による透湿度が、通常は50〜10,000g/m/24hrであり、好ましくは70〜5,000g/m/24hrであり、より好ましくは100〜2,000g/m/24hr、更に好ましくは100〜700g/m/24hrである。
【0102】
別に、接着剤層12は、粘着性を有するフィルムや機械的な固定手段であってもよい。この場合、所定の圧力等の条件により被着面に貼着されるものであれば、セパレータ13は除外されてよい。
以上のことは、被覆材7の代わりに、基材6が通気性を有する場合も同様である。
図7は、発熱パック1の基材6側を通気性とし、基材6面全体に蜘蛛の巣状の粘着剤層9を介してセパレータ11を設けた例を示す。
【0103】
図8及び図9は温熱パック1の別の態様を示している。粘着剤層12が発熱パックの区分け部に上端から下端へ延びるまっすぐな平行の縞であり、この粘着剤層12は第一の外側包材10側に設けられている。粘着剤層12を設ける方法としては、カーテンスプレーによる帯状コーティング或いは印刷とがある。この構成により、区分発熱部3に酸素を通過させることができる。セパレータ13は望ましくはシリコーン処理紙である。
【0104】
図10は股19と前面パネル20を持つパンティ18を示している。温熱パック1は望ましくはパンティ18のウェストバンドの付近に位置する上端の方向に置かれる。この場合温熱パック33は生理痛緩和用温熱パックとして働く。温熱パック1の使用方法は制限されない。他の使用方法としては、発熱パックを首に巻いて、首の後部を温めて、目の疲れ緩和用発熱パックや頭痛緩和用発熱パックとして用いることができる。
【0105】
図11に示されるように、温熱パック1は保存や輸送等の場合、温熱パック1の第基材6側が内側となるように、非通気性の外袋21に半分に折りたたんで収納する。
【0106】
温熱パック1は主として、衣服の内側に固定され、他面が身体に接触して使用されるが、通常の使用温度は39℃〜45℃であり、39℃〜45℃の温度を維持するために必要とされる酸素透過性は非常に低いものである。
本発明の区分発熱部3は、例えば、長径40mm×短径20mmのサイズで、3mmの厚さで、2.8グラムの発熱組成物成形体2により構成される。そして、通気性がリッシー法の透湿度で400g/m/24hrで、20℃で1気圧の空気にさらされた時、約8時間に亘り約41℃の温度を生じる。この透過性は、区分発熱部3を構成する基材6又は被覆材7に0.5mmの直径の26個の開口部により達成される。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の発熱パックの一実施例の平面図
【図2】同Z−Zの断面図
【図3】(a)〜(f) 本発明の発熱パック及び発熱パックの製造の一実施工程模式図
【図4】(a)〜(f) 本発明の発熱パック及び発熱パックの製造の一実施工程模式図
【図5】本発明の発熱パックの他の実施例の斜視図
【図6】同Y−Yの断面図
【図7】本発明の発熱パックの他の実施例の断面図
【図8】本発明の発熱パックの他の実施例の平面図
【図9】同X−Xの断面図
【図10】股と全面パネルのあるパンティと発熱パックを示す模式図
【図11】半分に折りたたまれて外袋に封入された発熱パックを示す断面図
【図12】本発明の易動水値測定用濾紙の平面図
【図13】本発明の易動水値測定を説明するための斜視図
【図14】本発明の易動水値測定を説明するための断面図
【図15】本発明の易動水値測定を説明するための断面図
【図16】本発明の易動水値測定実施後の濾紙の平面図
【符号の説明】
【0108】
1 発熱パック
2 発熱組成物成形体
3 区分発熱部
4 区分け部
5 酸素透過手段
6 基材
7 不織布
8 第1の接着層9第2の接着層
10 第1の外側包材
11 第2の外側包材
12 取り付け手段
12A 粘着剤層
13 セパレータ
14 上端部
15 下端部
16 第1の面
17 第2の面
18 パンティ
19 股
20 前面パネル
21 外袋(酸素非透過性収納袋)
22 押し込み板
23 平板
24 非吸水性フィルム(ポリエチレンフィルム等)
25 中心点から放射状に45度間隔で8本の線がかかれた濾紙
26 中空円筒状の穴を持つ型板
27 穴
28 試料
29 ステンレス板
30 水又は溶液の浸みだし先端までの距離
31 濾紙上の中空円筒状の穴相当位置
32 水又は溶液の浸みだし距離測定用濾紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中の酸素と接触して発熱する成形性発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を実質的に平面状の基材上に積層し、更に、被覆材を被せ、発熱組成物成形体の周縁部をヒートシールし、前記発熱組成物成形体により構成される区分発熱部と、前記ヒートシールにより構成される区分け部とを有する発熱パックであって、
1)前記基材及び前記被覆材は、ヒートシール可能な熱可塑性樹脂フィルムから構成され、
2)前記基材は、ポケット、収納区画又は収納区域を有せず、
3)前記基材及び/又は前記被覆材は、予め穿孔により通気性手段が設けられており、
4)前記区分発熱部は、前記区分け部を介して複数設けられ、
5)前記成形性発熱性組成物は、鉄粉、炭素成分、反応促進剤及び水を必須成分とし、易動水値が0.01〜20であり、凝集助剤、凝集化剤、集塊補助剤、乾燥バインダー、乾燥結合剤、乾燥結合材、粘着性素材、増粘剤及び賦形剤を含まず、
6)前記発熱パックの長手方向の剛軟度が100mm以下であり、該方向の短手方向の剛軟度率が50以上であることを特徴とする発熱パック。
【請求項2】
前記基材及び前記被覆材の剛軟度が200mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の発熱パック。
【請求項3】
前記ヒートシール可能な熱可塑性樹脂フィルムの熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレン、鹸化したエチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体及びそれらの混合物並びにそれらの積層体から成る材料から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発熱パック。
【請求項4】
前記ヒートシール可能な熱可塑性樹脂フィルムが、熱可塑性樹脂からなる第1の側面と鹸化したエチレン酢酸ビニル共重合体及びエチレン酢酸ビニル共重合体とから成る第2の側面とを有する共有押し出し成形による積層体であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の発熱パック。
【請求項5】
前記積層体が、ポリプロピレン素材と、エチレン酢酸ビニル共重合体素材との共有押し出し成形の積層体であり、前記ポリプロピレンが、前記積層体の全体厚さの10%から90%であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の発熱パック。
【請求項6】
前記ポリプロピレンが、前記積層体の全体の厚さの40%から60%であることを特徴とする請求項5に記載の発熱パック。
【請求項7】
前記発熱部が、区分け部を介して設けられた複数の区分発熱部を有し、中心点が四辺形を構成する4つの隣接する前記区分発熱部の少なくとも1つが、他の3つの前記区分発熱部間に存在する前記区分け部の最小幅の中心線を通り、且つ、前記中心線に直交する線の少なくとも1本以上の線の少なくとも一端部を遮断するように、各区分発熱部は互いに関して十分に近接しており、隣接する4つの区分発熱部間にある少なくとも1つの区分け部の幅が隣接する4つの区分発熱部の最小直径の37.5%以下であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の発熱パック。
【請求項8】
前記発熱部が、区分け部を介して設けられた複数の区分発熱部を有し、中心点が三角形を構成する3つの隣接する前記区分発熱部の少なくとも1つが、他の2つの区分発熱部間に存在する区分け部の最小幅の中心線を通り、前記中心線に直交する直線の一端部を遮断するように、前記3つの隣接する前記区分発熱部間に存在する前記区分け部の幅の最小幅が、前記三角形を構成する前記区分発熱部の最小直径の測定値の15%以下であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の発熱パック。
【請求項9】
前記成形性発熱組成物が、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、水素発生抑制剤、骨材、繊維状物、機能性物質、界面活性剤、有機ケイ素化合物、焦電物質、保湿剤、肥料成分、疎水性高分子化合物、発熱助剤、鉄以外の金属、酸化鉄以外の金属酸化物、酸性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の発熱パック。
【請求項10】
前記成形性発熱性組成物が、重量で30%から80%の鉄粉と、重量で3%から25%の炭素材料と、重量で0.5%から10%の反応促進剤と、重量で1%から40%の水とを備えることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の発熱パック。
【請求項11】
前記区分発熱部に前記発熱性組成物成形体を封入した時に、前記発熱組成物成形体の容積に対して前記区分発熱部容積の比率を0.7から1.0としたことを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の発熱パック。
【請求項12】
前記発熱組成物成形体が圧縮されており、0.85g/cmよりも大きい密度を有することを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の発熱パック。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れかに記載の発熱パックの前記被覆材側に、第1外側包材を設け、前記基材側に第2外側包材を設け、第1面及び第2面は凹凸状であり、前記発熱パックは固定手段として粘着材層からなる手段を有し、前記手段は、前記第1外側包材からなる第1面に位置して、前記第1面は酸素浸透手段を有し、長手方向の剛軟度が100mm以下であり、それと直交する方向の短手方向の剛軟度率が50以上であることを特徴とする発熱パック。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れかに記載の発熱パックを衣服と皮膚の間に保持する使用方法であって、前記発熱パックの通気面上に設けられた粘着剤層を介して、発熱パックを衣服の内側に貼りつけ、他面を皮膚に接触させて、皮膚温度を20秒から24時間の期間、32℃から50℃に維持することを特徴とする発熱パックの使用方法。
【請求項15】
前記使用方法において、32℃から39℃に維持することを特徴とする請求項14に記載の発熱パックの使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−275082(P2007−275082A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207840(P2004−207840)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(503289805)マイコール・プロダクツ株式会社 (19)
【Fターム(参考)】