説明

発症リスク分析装置及び発症リスク分析方法、並びにコンピュータプログラム

【課題】現実の発症リスクの分析を行うとともに、生活習慣改善後の発症リスクのシミュレーションを効果的に行う。
【解決手段】検査・問診データ121に基づいて、将来における所定疾患の現実の発症確率を予測する発症確率予測部130を備え、予測された現実の発症確率に基づく、所定疾患の現実の発症リスクの程度を示す表示を含むリスク表示部を表示装置103に表示させる。リスク表示部が表示されているときに、所定疾患と関連する一以上の危険因子項目の変更入力を受け付け、発症確率予測部130が変更された後のデータに基づいて、所定疾患の仮想の発症確率を予測する。予測された仮想の発症確率に基づく、将来における前記所定疾患の仮想の発症リスクの程度を示す表示を含むシミュレーション表示部を表示装置103に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発症リスク分析装置及び発症リスク分析方法、並びにコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病、虚血性心疾患、高血圧、高脂血症等の生活習慣病の発症初期には、患者は自覚症状に乏しい。従って、それら疾患の早期発見、早期治療は困難であることが一般的である。
【0003】
また、生活習慣病が早期に発見されたとしても、それに対する基本的治療法である食事、運動療法、服薬が遵守されにくいことが多い。さらに、患者の自己判断による治療の中断も少なくない。
【0004】
このようなことから、生活習慣病に関する患者への徹底した指導の必要性が唱えられている。また、発症予防に向け、生活習慣の改善を目的とする効果的な教育も求められている。
【0005】
このような背景の下に、例えば、生活習慣病の治療及び予防を支援する疾患治療指導システム(発症リスク分析装置)が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−24401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、発症リスク分析装置を使用するに際して、医師は、患者に各種の問診(年齢、飲酒・喫煙の習慣の有無、運動の習慣の有無等)を行い、さらに各種の検査(身長・体重、心電図、コレステロール値等)を行う。
【0008】
このとき、所定の疾患の現実の発症リスクを分析する機能だけでなく、特定の検査項目の値が改善したときの発症リスクをシミュレーションする機能を備えた発症リスク分析装置で生活習慣の改善指導を行うと効果的である。つまり、発症リスク分析装置でシミュレーションをしながらカウンセリングをすることで、患者に対して、生活習慣を改善させるための明確な目標や動機付けを行うことが可能となる。
【0009】
しかしながら、発症に大きな影響を与える危険因子項目は、疾患ごとに異なる。従って、疾患ごとの危険因子項目を熟知していないオペレータが操作を行うと、必ずしも効果的なシミュレーションを行うことができないことがある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、現実の発症リスクの分析を行うとともに、生活習慣改善後の発症リスクのシミュレーションを効果的に行うための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一つの実施態様に従う発症リスク分析装置は、被験者の健康状態に関する複数項目のデータの入力を受け付ける入力手段と、前記入力手段が入力を受け付けた入力データに基づいて、将来における所定疾患の現実の発症確率を予測する予測手段と、前記予測された現実の発症確率に基づく、前記所定疾患の現実の発症リスクの程度を示す表示を含む第1の画面を表示装置に表示させる第1の表示手段と、前記第1の画面が表示されているときに、前記複数項目のうち、前記所定疾患と関連する一以上の危険因子項目の前記入力データの変更入力を受け付ける変更手段と、前記変更手段によって変更された後のデータに基づいて、前記所定疾患の仮想の発症確率を予測するシミュレーション手段と、前記予測された仮想の発症確率に基づく、将来における前記所定疾患の仮想の発症リスクの程度を示す表示を含む第2の画面を、前記表示装置に表示させる第2の表示手段と、を備える。
【0012】
好適な実施形態では、前記危険因子項目を表示し、前記危険因子項目が複数あるときは、各危険因子項目の前記所定の疾患への影響度の大きさを識別可能に表示する第3の画面を表示させる第3の表示手段をさらに備え、前記変更手段は、前記第3の画面において変更入力を受け付けるようにしてもよい。
【0013】
好適な実施形態では、前記第3の画面には、前記入力手段が入力を受け付けた前記複数項目の入力データが表示され、ユーザから所定の操作を受け付けると、前記危険因子項目が前記危険因子項目以外の項目と識別可能に表示されるようにしてもよい。
【0014】
好適な実施形態では、前記現実の発症リスクの程度を示す表示及び前記仮想の発症リスクの程度を示す表示は、前記被験者の性別及び年代別の発症リスク平均に対するリスクの高さを示す表示であってもよい。
【0015】
好適な実施形態では、前記現実の発症リスクの程度を示す表示及び前記仮想の発症リスクの程度を示す表示は、前記現実の発症確率及び前記仮想の発症確率が何歳代に相当するかを示す表示であってもよい。
【0016】
好適な実施形態では、前記変更手段は、前記第3の画面に表示されたスライドバーにより、前記一以上の危険因子項目の前記入力データの変更入力を受け付けてもよい。
【0017】
好適な実施形態では、コメントの入力を受け付けるコメント入力手段と、少なくとも、前記現実の発症リスクの程度を示す表示と、前記仮想の発症リスクの程度を示す表示と、前記コメント入力手段が受け付けたコメントとを含むレポートを印刷する印刷手段と、をさらに備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る発症リスク分析装置のブロック構成図である。
【図2】定義テーブル60の内容を示す図である。
【図3】平均値テーブル70の内容を示す図である。
【図4】発症確率テーブル80の内容を示す図である。
【図5】入力画面200の一例を示す図である。
【図6】発症確率・シミュレーション画面300の一例を示す図である。
【図7】危険因子表示部340が表示されている発症確率・シミュレーション画面300の一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るリスク分析装置によって実行される処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る発症リスク分析装置のブロック構成図である。
【0021】
本実施形態に係る発症リスク分析装置は、発症リスク分析装置本体100、入力装置102、表示装置103及びプリンタ104から構成される。
【0022】
発症リスク分析装置本体100は、例えば汎用的なコンピュータシステムにより構成され、以下に説明する発症リスク分析装置本体100内の個々の構成要素または機能は、例えば、コンピュータプログラムを実行することにより実現される。このコンピュータプログラムはコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納することもできる。
【0023】
発症リスク分析装置本体100は、入出力制御部110、被験者データ記憶部120、発症確率予測部130、年代換算部140、基準リスク換算部150、レポート生成部160、定義テーブル60、平均値テーブル70及び発症確率テーブル80を備える。
【0024】
入出力制御部110は、入力装置102、表示装置103及びプリンタ104に対する入出力を制御する。
【0025】
被験者データ記憶部120は、被験者データとして、検査・問診データ121、発症確率データ123、シミュレーション入力データ125及びシミュレーション結果データ127を格納(記憶)する。
【0026】
検査・問診データ121は、入力画面200(図5参照)により入力された被験者の検査結果及び問診に関するデータである。
【0027】
発症確率データ123は、発症確率予測部130が予測した、被験者の所定の疾患に対する現実の発症確率を示すデータである。
【0028】
シミュレーション入力データ125は、シミュレーションを行うための入力データである。シミュレーション入力データ125は、後述するように、発症確率・シミュレーション画面300(図6参照)で検査・問診データ121が変更されたデータである。
【0029】
シミュレーション結果データ127は、シミュレーション入力データ125に基づいて発症確率予測部130が所定の疾患に対する発症確率のシミュレーションを行った結果を示すデータである。
【0030】
図2は、定義テーブル60の内容を示す図である。
【0031】
図2に示す定義テーブル60は、データ項目を定義するためのテーブルである。定義テーブル60は、疾患共通定義61と疾患別定義63とを有する。疾患共通定義61には、問診内容または検査結果のいずれかを示す分類611と、データ項目の名称612と、データの入力形式613と、選択肢/入力方法614とをデータ項目として有する。疾患別定義63には、オペレータの入力項目631と、シミュレーション対象項目632と、パラメータ633と、シミュレーション影響度634とをデータ項目として有する。
【0032】
データの入力形式613は、各データ項目が選択肢を提示する選択項目であるか、または、数値等の入力を受け付ける入力項目であるかを示す。選択肢/入力方法614は、選択項目に対して選択肢、入力項目に対して入力を受け付けるデータ型を示す。
【0033】
オペレータの入力項目631は、入力画面200で入力を受け付ける項目に「○」が付けられている。シミュレーション対象項目632は、対象となっている疾患のシミュレーションで利用するデータ項目に「○」が付けられている。パラメータ634は、発症確率予測部130が発症確率を予測するときに使用する項目別のパラメータである。シミュレーション影響度634は、発症確率予測部130がシミュレーションを行うときに、シミュレーション結果に及ぼす影響度が大きい項目を示す。例えば、図2の例では、影響度の大きい順に「1」〜「3」が登録されている。つまり、シミュレーション影響度634が設定されている項目は、各疾患に対して大きな影響を与える危険因子である。
【0034】
図3は、図1における平均値テーブル70の構造を示す図である。
【0035】
図3に示す平均値テーブル70は、危険因子を含むデータ項目の男女別、年齢別の平均値を記憶する。例えば、同図に示すように、5歳刻みで、各年代の男女の各項目に関するそれぞれの平均値を記憶する。この平均値テーブル70は、発症確率予測部130が予測を行うときに、必須項目のデータが未入力である場合の補完データとして利用される。なお、同図の例では、テーブル内の値の表記は省略している。
【0036】
発症確率予測部130は、後述する入力画面200で入力を受け付けた検査・問診データ121(入力データ)に基づいて、将来における所定疾患の現実の発症確率を予測する。例えば、発症確率予測部130は、比例ハザード法を用いて、10年後の所定の疾患の発症確率を予測する。発症確率予測部130が発症確率予測を行う際、定義テーブル60及び平均値テーブル70を参照する。例えば、発症確率予測部130は、対象疾患ごとに必要なパラメータ633を定義テーブル60から取得して、発症確率を予測する。このとき、発症確率予測部130が発症確率を予測するために必須の入力項目が未入力である場合、平均値テーブル70から未入力項目の値を取得して予測する。ここで算出された現実の発症確率が、発症確率データ123として格納される。
【0037】
また、発症確率予測部130は、検査・問診データ121のうち、所定疾患と関連する一以上の危険因子項目が変更された後のデータに基づいて、所定疾患の仮想の発症確率を予測するシミュレーションを行う。発症確率予測部130は、現実の発症確率を算出したときと同じ計算方法を用いてシミュレーションを行い、その被験者の仮想の発症確率を予測する。例えば、発症確率予測部130は、発症確率・シミュレーション画面300で入力されたシミュレーション入力データ125に基づいて、その被験者の仮想の発症確率を予測する。この仮想の発症確率がシミュレーション結果データ127として格納される。
【0038】
図4は、図1における発症確率テーブル80の構造を示す図である。
【0039】
図4に示す発症確率テーブル80は、男女別、年齢別の発症確率の平均値を記憶する。例えば、同図の場合、虚血性心疾患及び糖尿病について、男女別年代別の発症確率の平均値が記憶されている。なお、同図の例では、テーブル内の値の表記は省略している。
【0040】
年代換算部140は、発症確率テーブル80を参照して、発症確率予測部130が算出した発症確率を年代に変換する。たとえば、年代換算部140は、発症確率予測部130が算出した発症確率が何歳代の発症確率であるかを、発症確率テーブル80を参照して特定する。
【0041】
基準リスク換算部150は、発症確率テーブル80を参照して、発症確率予測部130が算出した発症確率が同性同年代の平均値の何倍であるかを示す基準リスクに換算する。例えば、基準リスク換算部150は、発症確率テーブル80を参照して、発症確率予測部130が算出したある被験者の発症確率と、その被験者と同性同年代の平均値とを比較して、発症確率予測部130が算出した発症確率に基づく基準リスクを算出する。
【0042】
表示装置103は、後述する図5から図7に示す表示画面を表示する。医師等のオペレータは、入力装置102を用いて表示装置103の表示画面において、必要な事項を入力する。プリンタ104は、レポート生成部160で生成したレポートを印刷出力する。
【0043】
図5は、表示装置103に表示される入力画面200の一例を示す図である。
【0044】
入力画面200は、被験者の健康状態に関する複数項目のデータの入力を受け付ける入力領域を有する。入力画面200は、定義テーブル60の入力項目612、形式613,選択肢614と対応する。即ち、入力画面200は、被験者の健康状態に関する複数項目のデータの入力を受け付ける。ここでは、生活習慣病として、虚血性心疾患と糖尿病を対象としている。入力画面200に対する入力は、入力装置(例えば、パソコンのマウスやキーボード)102によってなされる。
【0045】
図6は、図1における表示装置103に表示される発症確率・シミュレーション画面300の一例を示す図である。
【0046】
発症確率・シミュレーション画面300は、リスク表示部310(第1の画面)と、シミュレーション表示部320(第2の画面)と、データ項目表示部330(第3の画面)とを含む。
【0047】
リスク表示部310は、発症確率予測部130により予測された現実の発症確率に基づく、所定疾患の現実の発症リスクの程度を示す表示を含む。
【0048】
シミュレーション表示部320は、発症確率予測部130により予測された仮想の発症確率に基づく、将来における所定疾患の仮想の発症リスクの程度を示す表示を含む。
【0049】
リスク表示部310及びシミュレーション表示部320における現実の発症リスクの程度を示す表示及び仮想の発症リスクの程度を示す表示は、被験者の性別及び年代別の発症リスク平均に対するリスクの高さを示す表示である。また、現実の発症リスクの程度を示す表示及び仮想の発症リスクの程度を示す表示は、現実の発症確率及び仮想の発症確率が何歳代に相当するかを示す表示である。
【0050】
つまり、リスク表示部310及びシミュレーション表示部320には、発症確率予測部130が算出した所定疾患の発症確率がそのまま表示されるのではなく、年代換算部140が換算した発症確率が対応する年代を示す表示311、321、基準リスク換算部150が換算した同性同年代の発症確率平均に対する基準リスクの表示312、322、リスクの高さを示すリスクメータ313、323及び顔表示314、324が含まれる。
【0051】
図6の例では、リスク表示部310には、実年齢40歳の被験者に対して、虚血性心疾患に関しては、現在70歳の平均的な人の発症リスクと同じになり(年代表示311)、現在40歳の平均的な人と比べて発症リスクは3.2倍であることを表示している(基準リスク表示312)。また、糖尿病に関しては、現在70歳の平均的な人の発症リスクと同じになり(年代表示311)、現在40歳の平均的な人と比べて発症リスクは3倍であることを表示している(基準リスク表示312)。また、10年後の発症リスクが高いことを視覚的に被験者に把握させるために、リスクメータ313及び曇り顔の表示314も含まれている。
【0052】
また、シミュレーション表示部320には、実年齢40歳の被験者に対して、発症のリスクを抑えることができるように、次に説明するデータ項目表示部330または危険因子表示部340において、危険因子項目の入力データの変更を行うと、10年後の糖尿病の発症リスクは、現在45歳の人の発症リスクと同じになり(年代表示321)、現在40歳の平均的な人と比べて発症リスクは1.2倍であることが表示される(基準リスク表示322)。即ち、危険因子項目の値が変更後の値になるように生活習慣を改善することにより発症リスクは3倍から1.2倍に低下することになる。
【0053】
データ項目表示部330は、検査・問診データ121を表示する。データ項目表示部330は、リスク表示部310が表示されているときに、検査・問診データ121の項目のうち、所定疾患と関連する一以上の危険因子項目の検査・問診データ121の変更入力を受け付ける。例えば、データ項目表示部330は、ここに表示されている、虚血性心疾患、または糖尿病の危険因子項目を含む、検査・問診データ121の全項目の変更入力を受け付けることができる。
【0054】
また、データ項目表示部330がユーザから所定の操作を受け付けると、検査・問診データ121の項目のうち、危険因子項目が危険因子項目以外の項目と識別可能に表示される。例えば、データ項目表示部330が表示されていているときに、ユーザがシミュレーション表示部320の領域を選択すると、図7に示す危険因子表示部340へ遷移する。
【0055】
図7を参照すると、危険因子表示部340(第3の画面)は、危険因子以外の項目がデータ項目表示部330から消え、危険因子項目のみが表示される画面である。危険因子表示部340において、危険因子項目が複数あるときは、各危険因子項目の所定の疾患への影響度の大きさを識別可能に表示されるようにしてもよい。これは、例えば、定義テーブル60のシミュレーション影響度634に従って表示してもよい。例えば、疾患への影響度の大きさを、重要な順に赤、橙、青などと色分けしてもよい。
【0056】
データ項目表示部330ないしは危険因子表示部340で、検査・問診データ121の一部が変更入力された後のデータが、シミュレーション入力データ125として被験者データ記憶部120に記憶される。
【0057】
データ項目表示部330及び危険因子表示部340に表示されている数値項目(危険因子項目)は、スライドバーによりデータの変更入力を受け付ける。
【0058】
上述の実施形態では、発症確率・シミュレーション画面300が表示されているときに、オペレータが糖尿病のシミュレーション表示部320を選択すると、糖尿病の危険因子のみが変更対象として表示される危険因子表示部340へ遷移する。糖尿病の危険因子は、図7に示すように、体重と、HbA1cと、LDLである。危険因子表示部340では、これらの危険因子のみが変更可能である。このように、所定の疾患の危険因子のみを表示することによって、オペレータがその疾患の危険因子について知識がないときであっても、危険因子の数値を調整して、シミュレーション入力データ125を生成することができる。このようにして生成されたシミュレーション入力データ125でシミュレーションを行うことにより、効率的なシミュレーションが可能となる。
【0059】
図7の危険因子表示部340では、糖尿病の危険因子のうち、体重が最も影響度が大とすると、危険をイメージする赤で表示するようにしてもよい。
【0060】
発症リスク分析装置は、例えばシミュレーション後に、医師等によるコメントの入力を受け付けることができる。プリンタ104は、少なくとも、現実の発症リスクの程度を示す表示と、仮想の発症リスクの程度を示す表示と、入力装置102が受け付けたコメントとを含むレポートを印刷する。
【0061】
図8は、上述した実施形態に係る発症リスク分析装置によって実行される発症リスク分析処理の手順を示すフローチャートである。
【0062】
まず、入力装置102により、入力画面200において、被験者の検査データが入力される(ステップS100)。次に、発症確率予測部130が、入力された検査・問診データ121に基づいて、将来(10年後)における所定疾患の現実の発症確率を予測する(ステップS102)。
【0063】
その後、年代換算部140で、現実の発症確率の年代換算が行われ(ステップS103)、かつ、基準リスク換算部150で現実の発症確率の基準リスク換算が行われる(ステップS104)。そして、これらに基づいて、リスク表示部310、データ項目表示部330を含む発症確率・シミュレーション画面300が表示される(ステップS105)。このとき、シミュレーションはいまだ行われていないので、シミュレーション表示部320はブランクでもよいし、リスク表示部310と同じ内容を表示してもよい。
【0064】
続いて、入力装置102により、データ項目表示部330またはデータ項目表示部330から遷移した危険因子表示部340において危険因子のデータ変更入力が行われる(ステップS106)。すると、発症確率予測部130は、ステップS106で入力されたシミュレーション入力データ125に基づいて、シミュレーションを実行する(ステップS107)。表示装置103は、発症確率・シミュレーション画面300のシミュレーション表示部320にシミュレーション結果を表示する(ステップS108)。
【0065】
その後、再シミュレーションを行う場合は(ステップS109:Yes)、ステップS106へ戻って処理を行う。一方、再シミュレーションを行わない場合は(ステップS109:No)、オペレータによる入力装置102からのコメント入力を受け付ける(ステップS110)。そして、レポート生成部160で、入力されたコメントを反映したレポートを生成して、プリンタ104でレポート印刷する(ステップS111)。
【0066】
これにより、危険因子項目のデータを容易に変更入力でき、効率的なシミュレーションを行うことができる。
【0067】
本実施形態によれば、所定の疾患の現実の発症リスクの分析を行うとともに、生活習慣改善後のその疾患の発症リスクのシミュレーションを効果的に行うことができる。
【0068】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【0069】
例えば、発症リスク分析装置本体の機能をサーバに搭載し、複数のクライアント端末がそのサーバの機能を利用して発症リスク分析を行うことができる。
【符号の説明】
【0070】
60 定義テーブル
70 平均値テーブル
80 発症確率テーブル
100 発症リスク分析装置本体
102 入力装置
103 表示装置
104 プリンタ
110 入出力制御部
120 被験者データ記憶部
130 発症確率予測部
140 年代換算部
150 基準リスク換算部
160 レポート生成部
200 入力画面
300 発症確率・シミュレーション画面
310 リスク表示部
320 シミュレーション表示部
340 危険因子表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の健康状態に関する複数項目のデータの入力を受け付ける入力手段と、
前記入力手段が入力を受け付けた入力データに基づいて、将来における所定疾患の現実の発症確率を予測する予測手段と、
前記予測された現実の発症確率に基づく、前記所定疾患の現実の発症リスクの程度を示す表示を含む第1の画面を表示装置に表示させる第1の表示手段と、
前記第1の画面が表示されているときに、前記複数項目のうち、前記所定疾患と関連する一以上の危険因子項目の前記入力データの変更入力を受け付ける変更手段と、
前記変更手段によって変更された後のデータに基づいて、前記所定疾患の仮想の発症確率を予測するシミュレーション手段と、
前記予測された仮想の発症確率に基づく、将来における前記所定疾患の仮想の発症リスクの程度を示す表示を含む第2の画面を、前記表示装置に表示させる第2の表示手段と、を備える疾患の発症リスク分析装置。
【請求項2】
前記危険因子項目を表示し、前記危険因子項目が複数あるときは、各危険因子項目の前記所定の疾患への影響度の大きさを識別可能に表示する第3の画面を表示させる第3の表示手段をさらに備え、
前記変更手段は、前記第3の画面において変更入力を受け付ける、請求項1記載の疾患の発症リスク分析装置。
【請求項3】
前記第3の画面には、前記入力手段が入力を受け付けた前記複数項目の入力データが表示され、ユーザから所定の操作を受け付けると、前記危険因子項目が前記危険因子項目以外の項目と識別可能に表示される、請求項2記載の疾患の発症リスク分析装置。
【請求項4】
前記現実の発症リスクの程度を示す表示及び前記仮想の発症リスクの程度を示す表示は、前記被験者の性別及び年代別の発症リスク平均に対するリスクの高さを示す表示である、請求項1〜3のいずれかに記載の疾患の発症リスク分析装置。
【請求項5】
前記現実の発症リスクの程度を示す表示及び前記仮想の発症リスクの程度を示す表示は、前記現実の発症確率及び前記仮想の発症確率が何歳代に相当するかを示す表示である、請求項1〜3のいずれかに記載の疾患の発症リスク分析装置。
【請求項6】
前記変更手段は、前記第3の画面に表示されたスライドバーにより、前記一以上の危険因子項目の前記入力データの変更入力を受け付ける、請求項2または3に記載の疾患の発症リスク分析装置。
【請求項7】
コメントの入力を受け付けるコメント入力手段と、
少なくとも、前記現実の発症リスクの程度を示す表示と、前記仮想の発症リスクの程度を示す表示と、前記コメント入力手段が受け付けたコメントとを含むレポートを印刷する印刷手段と、をさらに備える、請求項1〜6のいずれかに記載の疾患の発症リスク分析装置。
【請求項8】
コンピュータを用いて、疾患の発症リスク分析を行う方法であって、
被験者の健康状態に関する複数項目のデータの入力を受け付けるステップと、
前記入力を受け付けた入力データに基づいて、将来における所定疾患の現実の発症確率を予測するステップと、
前記予測された現実の発症確率に基づく、前記所定疾患の現実の発症リスクの程度を示す表示を含む第1の画面を表示装置に表示させるステップと、
前記第1の画面が表示されているときに、前記複数項目のうち、前記所定疾患と関連する一以上の危険因子項目の前記入力データの変更入力を受け付けるステップと、
前記変更された後のデータに基づいて、前記所定疾患の仮想の発症確率をシミュレートするステップと、
前記シミュレートされた仮想の発症確率に基づく、将来における前記所定疾患の仮想の発症リスクの程度を示す表示と、前記現実の発症リスクの程度を示す表示とを含む第2の画面を、前記表示装置に表示させるステップと、を行う方法。
【請求項9】
疾患の発症リスク分析を行うためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、
被験者の健康状態に関する複数項目のデータの入力を受け付けるステップと、
前記入力を受け付けた入力データに基づいて、将来における所定疾患の現実の発症確率を予測するステップと、
前記予測された現実の発症確率に基づく、前記所定疾患の現実の発症リスクの程度を示す表示を含む第1の画面を表示装置に表示させるステップと、
前記第1の画面が表示されているときに、前記複数項目のうち、前記所定疾患と関連する一以上の危険因子項目の前記入力データの変更入力を受け付けるステップと、
前記変更された後のデータに基づいて、前記所定疾患の仮想の発症確率をシミュレートするステップと、
前記シミュレートされた仮想の発症確率に基づく、将来における前記所定疾患の仮想の発症リスクの程度を示す表示と、前記現実の発症リスクの程度を示す表示とを含む第2の画面を、前記表示装置に表示させるステップと、を実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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