説明

発色反応検出装置及び発色反応検出機器安定化プログラム

【課題】簡易な構成で発色反応検出機器が安定したことを検出し、使用時期を問わず安定的に高精度な検出を行うことを可能とした発色反応検出装置を提供する。
【解決手段】被測定物の発色反応を検出する発色反応検出機器2と、発色反応検出機器の状態を把握する情報処理端末3とを備え、発色反応検出機器2は、光を発生させる発光手段22aと、発光手段22aの発光を制御する制御手段22bと、光導波路基板中を通った光を検出して光検出信号を計測する受光手段22cと、を備え、情報処理端末3は、光検出信号を受信し、光検出信号の変動率を算出する算出手段32と、算出手段32によって算出された変動率から発色反応検出機器が安定したか否かを判断する判断手段33と、判断手段33の判断結果を報知する報知手段3gとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物の発色反応を検出する発色反応検出機器と、発色反応検出機器の状態を把握する情報処理端末とから構成される発色反応検出装置及び発色反応検出機器安定化プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インシュリン等の各種ホルモン、タンパク質、血糖等のセンシング対象物質の濃度測定方法として、例えば、電極反応で発生する電圧を測定する方法や物質と反応して吸着される色素を用いてその色変化をレーザ光等の光量の変化で測定する光学式濃度測定方法等を挙げることができる。このうち、光学式濃度測定方法は、測定の分解能が高いという利点がある。
【0003】
この光学式濃度測定方法について簡単に説明すると以下の通りである。すなわち、ガラスチップの上に液体状の被測定物を配置し、被測定物に例えば色素を反応させて被測定物の濃度に応じて入射光が吸収されるようにする。その後、ガラスチップ内にレーザ光を導き、被測定物が配置された領域を通過したレーザ光をガラスチップの外側に取り出して光量の検出を行う。この検出された光量の値から被測定物の濃度を算出する。
【0004】
この光学式濃度測定方法を採用する濃度測定装置としては以下の特許文献1に開示された構成を備える濃度測定装置を挙げることができる。
【0005】
この濃度測定装置は、光導波路基板を載置してこの光導波路基板と対向する基板載置面を有するブロックと、濃度検出用の光を出射する光源を備える光源モジュールと検出器とを備え、光源モジュールと検出器とがブロックに固定され、光源から出射される光がブロックに載置された光導波路基板に規定の入射角度で入射するように設定され、光導波路基板から出射される光を受ける位置に検出器の受光面が配置されていることを要旨とする。
【特許文献1】特開2006−90902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された発明の構成を採用する濃度測定装置では、その電源投入直後に測定を行うと、その測定結果の値(光検出信号)が一定しないという現象が生ずる可能性があった。
【0007】
すなわち、同一の濃度である複数の被測定物を使用して上記濃度測定装置においてそれらの濃度を測定すると、被測定物の濃度は同一であることから光検出信号は同一の値を示す。それにもかかわらず、測定の度にそれらの測定結果の値がバラつくと、精度の良い濃度測定を行うことは困難である。また、例えば電源投入直後一定の時間の間は測定結果の値が一定しないということであれば、上記濃度測定装置を使用しての測定可能な時間が限定されることになり、使い勝手が悪い。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、簡易な構成で発色反応検出機器が安定したことを検出し、使用時期を問わず安定的に高精度な検出を行うことを可能とした発色反応検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、発色反応検出装置において、光導波路基板上に配置された被測定物に光導波路基板中を通る光を照射し、光を受光することによって被測定物の発色反応を検出する発色反応検出機器と、発色反応検出機器の状態を把握する情報処理端末とを備え、発色反応検出機器は、光を発生させる発光手段と、発光手段の発光を制御する制御手段と、光導波路基板中を通った光を検出して光検出信号を計測する受光手段と、を備え、情報処理端末は、発色反応検出機器から送信された光検出信号を受信し、光検出信号の変動率を算出する算出手段と、算出手段によって算出された変動率から発色反応検出機器が安定したか否かを判断する判断手段と、判断手段の判断結果を報知する報知手段とを備える。
【0010】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、光導波路基板上に配置された被測定物に前記光導波路基板中を通る光を照射し、前記光を受光することによって前記被測定物の発色反応を検出する発色反応検出機器の状態を把握する情報処理端末を、発色反応検出機器から送信された光検出信号を受信し、光検出信号の変動率を算出する算出手段と、算出手段によって算出された変動率から発色反応検出機器が安定したか否かを判断する判断手段と、判断手段の判断結果を報知する報知手段として機能させるための発色反応検出機器安定化プログラムである。
【0011】
本発明の実施の形態に係る第3の特徴は、発色反応検出装置において、光導波路基板上に配置された被測定物に光導波路基板中を通る光を照射し、光を受光することによって被測定物の発色反応を検出する発色反応検出機器と、発色反応検出機器の状態を把握する情報処理端末とを備え、発色反応検出機器は、光を発生させる発光手段と、発光手段の発光を制御する制御手段と、光導波路基板中を通った光を検出して光検出信号を計測する受光手段と、発色反応検出機器内の温度を検出する温度検出手段と、を備え、情報処理端末は、発色反応検出機器から送信された温度検出手段によって検出された温度情報を受信し、温度情報に基づいて変動率を算出する算出手段と、算出手段によって算出された変動率から発色反応検出機器が安定したか否かを判断する判断手段と、判断手段の判断結果を報知する報知手段とを備える。
【0012】
本発明の実施の形態に係る第4の特徴は、光導波路基板上に配置された被測定物に前記光導波路基板中を通る光を照射し、前記光を受光することによって前記被測定物の発色反応を検出する発色反応検出機器の状態を把握する情報処理端末を、発色反応検出機器から送信された発色反応検出機器が備える温度検出手段によって検出された温度情報を受信し、温度情報に基づいて変動率を算出する算出手段と、算出手段によって算出された変動率から発色反応検出機器が安定したか否かを判断する判断手段と、判断手段の判断結果を報知する報知手段として機能させるための発色反応検出機器安定化プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば簡易な構成で発色反応検出機器が安定したことを検出し、使用時期を問わず安定的に高精度な検出を行うことを可能とした発色反応検出装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
まず、第1の実施の形態に係る発色反応検出装置を説明する。本発明の第1の実施の形態に係る発色反応検出装置1は、発色反応検出機器2と情報処理端末3とから構成される。
【0016】
発色反応検出機器2は、図1に示すような被測定物の発色反応を検出する機器である。発色反応検出機器2は略直方体の筐体を有し、筐体外部21の上面に矩形状の開口部21aが形成されている。一方、筐体内部22には被測定物を測定するための各手段(後述)が収められており、被測定物を載置する領域が開口部21aに露出している。
【0017】
筐体外部21の上面には開口部21aを開閉させる蓋21bが回動自在に支持されている。この蓋21bの端部には、筐体外部21の上面に形成されたスイッチ孔21cに嵌合するピン21dが設けられている。なお、蓋21bの内側面には黒色に塗装されて光を吸収するようにされている。
【0018】
スイッチ孔21cの下方には、図1では図示しないインターロックのスイッチが配置されており、蓋21bが閉じられたときに筐体内部22に設けられた各手段の駆動が可能となるようにされている。さらに、筐体外部21の上面には後述する発光手段の駆動スイッチ21eが設けられている。インターロックスイッチがピン21dで押されている状態、すなわち、蓋21bが閉じた状態でのみ駆動スイッチ21eをONにできるようになっている。
【0019】
筐体内部22には、図2に示すように、発光手段22aと、制御手段22bと、受光手段22cと、通信制御手段22dと、信号入力手段22eとがバスBを介して接続されて設けられている。信号入力手段22eは、インターロックスイッチや駆動スイッチ21eの総称である。
【0020】
発光手段22aは、被測定物に設けられたセンシング膜中を導波させる光を発生させる。光を発光させるためには、上述したように、蓋21bが閉じられてインターロックスイッチが入っている状態で、かつ、操作者が駆動スイッチ21eを押す必要がある。制御手段22bは、信号入力手段22eからの信号を受信してこのような条件が揃ったことを検知した上で被測定物の測定を行うための発光手段22aの発光を制御する。発光手段22aから出射された光は、被測定物のいわゆるセンシング膜で吸収されながら光導波膜内を進む。センシング膜を導波した光は受光手段22cにおいて検出され光検出信号が計測される。受光手段22cによって計測された光検出信号は通信制御手段22dを介して情報処理端末3に送信される。
【0021】
図3は、情報処理端末3の内部構成を示すブロック図である。情報処理端末3としては、例えばいわゆるパソコン等、発色反応検出機器2の状態を把握することのできる情報処理端末であればどのような形態のものであっても良い。
【0022】
情報処理端末3は、CPU(Central Processing Unit)3aと、ROM(Read Only Memory)3bと、RAM(Random Access Memory)3c及び入出力インターフェイス3dがバス3eを介して接続されている。入出力インターフェイス3dには、入力手段3fと、表示手段3gと、通信制御手段3hと、記憶手段3iと、リムーバブルディスク3jと、情報処理端末3の各部を駆動する駆動部を制御する駆動部制御手段3kとが接続されている。
【0023】
CPU3aは、入力手段3fからの入力信号に基づいてROM3bから情報処理端末3を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶手段3iに格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。またCPU3aは、入力手段3fや入出力インターフェイス3dを介して、図1に示す発色反応検出機器2からの光検出信号や図3において図示していないその他の外部機器からの入力信号に基づいて各種装置の制御を行う。さらにCPU3aは、RAM3cや記憶手段3i等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAM3cにロードするとともに、RAM3cから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、データの計算または加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
【0024】
入力手段3fは、情報処理端末3の操作者が各種の操作を入力するキーボード、ダイヤル等の入力デバイスにより構成されており、操作者の操作に基づいて入力信号を作成しバス3eを介してCPU3aに送信される。表示手段3gは、例えば液晶ディスプレイであり、例えばCPU3aからバス3eを介して出力信号を受信し、CPU3aの処理結果や操作者に対する報知等を表示する手段である。
【0025】
通信制御手段3hは、LANカードやモデム等の手段であり、情報処理端末3を発色反応検出機器2との間で、或いはインターネットやLAN等の通信ネットワークに接続することを可能とする手段である。通信制御手段3hを介して通信ネットワークと送受信したデータは入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス3d及びバス3eを介してCPU3aに送受信される。なお、本発明の実施の形態において発色反応検出機器2と情報処理端末3との間は例えば、イーサネット(登録商標)によって接続されている。
【0026】
記憶手段3iは、半導体や磁気ディスクで構成されており、CPU3aで実行されるプログラムやデータが記憶されている。
【0027】
リムーバブルディスク3jは、光ディスクやフレキシブルディスクのことであり、ディスクドライブによって読み書きされた信号は、入出力インターフェイス3d及びバス3eを介してCPU3aに送受信される。
【0028】
なお、本発明の実施の形態における情報処理端末3では、発色反応検出機器安定化プログラムが記憶手段3i、或いはリムーバブルディスク3jに格納されており、CPU3aに読み込まれ実行されることにより安定化調整手段30が情報処理端末3に実装されることになる。
【0029】
図4は、情報処理端末3に実装された安定化調整手段30の内部構成を示すブロック図である。以下に安定化調整手段30内の各手段の働きをも合わせて図5に示す発色反応検出機器の安定化の流れを説明する。
【0030】
まず、発色反応検出機器2を使用にあたって、発色反応検出機器2の蓋21bを開く(ST1)。これは、安定化作業を行う際に使用する被測定物を開口部21aに載置するためである(ST2)。なお、ここで使用する被測定物(いわゆるチップ)は、実際に測定対象となるセンシング対象物質と反応するセンシング膜が備えられたチップではなく、センシング膜のないベアチップと呼ばれるチップである。ベアチップが発色反応検出機器2に載置された後、蓋21bが閉められ(ST3)、発色反応検出機器2に電源が投入される(ST4)。
【0031】
一方、情報処理端末3においては発色反応検出機器安定化プログラムを起動することによって安定化調整手段30がCPU3aに実装される(ST5)。これによって情報処理端末3において発色反応検出機器2が安定したか否かを判断することができるようにされる。発色反応検出機器2の駆動スイッチ2eが押し下げられることにより(ST6)、信号入力手段22eからの信号が制御手段22bに入力され、制御手段22bは発光手段22aに発光の開始を指示する。これにより具体的な安定化の作業が開始する。
【0032】
駆動スイッチ2eが押し下げられることにより、制御手段22bは、発光手段22aが例えば、1秒に1回の割合で発光するように制御する。受光手段22cは光導波路内を通ってきた光を受光して情報処理端末3に送信する。情報処理端末3では、安定化作業の開始から所定の時間にまずベースラインを確認する(ST7)。
【0033】
発色反応検出機器2において検出される光検出信号の減衰率を算出するに当たって、その基準となるのはセンシング対象物質の検出がゼロである場合、すなわち、被測定物において光吸収作用が起こらず、光導波路を通った光の強度が減衰しない場合の光検出信号強度である。この信号レベルを以下、「ベースライン」と表記する。そこで、発色反応検出機器2の安定化を図るにあたっては、まずベアチップを用いて基準となるベースラインの確認を行う。
【0034】
受光手段22cで受光した光の光検出信号は情報処理端末3の通信制御手段3hを介して、安定化調整手段30の受信手段31に入る。受信手段31では、この光検出信号を発光手段22aの発光回数分受信することになる。なお、ベースラインの確認にいくつの光検出信号を使用するか(どのくらいの時間発光させるか)は任意に設定することができる。
【0035】
算出手段32では、受信手段31が受信した複数の光検出信号を基にベースラインを算出し、記憶手段3iに算出結果を記憶させる。発色反応検出機器2が安定したか否かの判断は、このベースラインと光検出信号の変動率を用いて行われる。
【0036】
ベースラインの確認が終了すると、一旦、発色反応検出機器2の状態をリセットするために蓋21bの開閉を行う。これによってインターロックもリセットされ(ST8及びST9)、その上で制御手段22bが改めて駆動スイッチ2eが押し下げられたことを検知して(ST10)安定化の作業に入る。
【0037】
受光手段22cは発光手段22aからの発光を受光するとその光検出信号を情報処理端末3に送信する。送信された光検出信号は記憶手段3iに記憶されるとともに、安定化調整手段30の受信手段31を介して算出手段32に入る(ST11)。算出手段32では、例えば、10分間分の光検出信号を基に光検出信号の変動率を算出する。但し、発色反応検出機器2に電源を投入してから10分間は基となる光検出信号を受信して記憶手段3iに記憶するのみで算出手段32では変動率の算出は行わない。光検出信号を検出する時間はここでは10分としているが、任意に定めることができる。
【0038】
検出時間は、図3の情報処理端末3の内部構成には図示しない時間計測手段において計測され、例えば、CPU3aにおいて設定された検出時間が経過したか否かが判断される(ST12)。検出時間が経過した場合は(ST12のYES)、算出手段32において光検出信号の変動率が算出される(ST13)。
【0039】
算出手段32は、発色反応検出機器2から送信される複数の光検出信号から光検出信号の変動率を算出する。そして、判断手段33がこの変動率と記憶手段3iに記憶されているベースラインとを比較することによって発色反応検出機器2において検出される光検出信号の値が安定したか否かを判断する(ST14)。例えば、ベースラインを基準として±0.4%の範囲内に変動率が納まっているならば、安定していると判断することができる。なお、ベースラインを基準としてどの範囲内であれば安定していると判断するかは予めその範囲を決めておくことができる。
【0040】
判断手段33による比較、判断によって変動率が所定の範囲内にないと判断された場合(ST14のNO)、その結果は表示手段3gにおいて表示される。操作者はこの表示手段3gに表示された報知内容を参照して、改めてステップ7に戻り、その時点でのベースラインを確認するところから始めて安定化の手順を繰り返す。
【0041】
一方、判断手段33の判断結果が変動率は所定の範囲内にあるとする場合は(ST14のYES)、その旨が表示手段3gにおいて操作者に対して報知される。この報知を見た操作者は、発色反応検出機器2が安定したとして、測定作業を開始する。
【0042】
このように、簡易な構成で発色反応検出機器が安定したことを検出し、使用時期を問わず安定的に高精度な検出を行うことを可能とした発色反応検出装置を提供することができる。
【0043】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0044】
第1の実施の形態においては、光検出信号の変動率を算出するに当たって複数の光検出信号の値を使用することから、この光検出信号を検出する所定の時間を必要とした。また、光検出信号を検出するためにベアチップをセットする必要もあった。一方で、発明者の継続的な研究により、光検出信号の変動率は、発色反応検出機器2内の温度変化に影響を受けることが解明されてきた。
【0045】
そこで、本発明の第2の実施の形態においては、発色反応検出機器2内に温度検出手段22fを設け(図2参照)、検出された温度を基に発色反応検出機器2が安定したか否かを判断する。
【0046】
温度検出手段22fは、例えば、熱電対やサーミスタを好適に使用することができる。また、温度検出手段22fの設置場所としては、例えば、発光手段22a、受光手段22cを含む光学ブロックを覆う断熱材の中や発光手段22aの発光を制御する制御手段22bの近傍等を挙げることができる。
【0047】
本発明の第2の実施の形態における発色反応検出機器2の安定化の流れは、図6のフローチャートに示すように、まず、発色反応検出機器2の電源を投入する(ST21)。その後、情報処理端末3において発色反応検出機器安定化プログラムが起動される(ST22)。このことによって安定化調整手段30がCPU3aに実装される。操作者によって例えば、情報処理端末3の表示手段3gに表示された画面に従って安定化作業開始のボタンをクリックすると、情報処理端末3から発色反応検出機器2に対して安定化作業を開始する旨の信号が送られ(ST23)、安定化の作業が開始される。
【0048】
発色反応検出機器2では電源が投入されることによって温度検出手段22fが発色反応検出機器2内の温度変化を検出する(ST24)。検出された温度に関する情報は、ネットワークを介して情報処理端末3が受信する(ST25)。この温度に関する情報は記憶手段3iに記憶される。
【0049】
記憶手段3iにはまず予め決められた時間、温度検出手段22fからの温度に関する情報を記憶する。その後、図3の情報処理端末3の内部構成に図示しない時間計測手段がその決められた時間の経過を検出すると(ST26のYES)、算出手段32において温度の変動率が算出される(ST27)。なお、この検出時間は任意に定めることができる。
【0050】
記憶手段3iには、予め発色反応検出機器2において計測される温度の変動率と安定化との関係を示す情報が記憶されている。この情報は、第2の実施の形態においては、例えば、発色反応検出機器2が安定していると判断することができる閾値を示すものである。従って、判断手段33では、この情報と算出手段32で算出された温度の変動率とを基に、変動率が閾値よりも低い値である場合に発色反応検出機器2が安定したと判断する(ST28)。
【0051】
温度の変動率が閾値よりも高い場合には(ST28のNO)、発色反応検出機器2が未だ安定していないと判断できるので、判断手段33は表示手段3gを介して操作者に報知する。それと同時に、ステップ27に戻り、算出手段32がさらに発色反応検出機器2から継続して送信されてくる温度情報を基に温度の変動率を算出する。
【0052】
温度の変動率が閾値よりも低い場合には(ST28のYES)、発色反応検出機器2は安定したと判断できるので、発色反応検出機器2の安定化作業は終了する。
【0053】
このように、発色反応検出機器内の温度変化を基に安定化の作業を行うことによって、第1の実施の形態において述べた安定化の作業よりも、さらに簡易な構成で発色反応検出機器が安定したことを検出し、使用時期を問わず安定的に高精度な検出を行うことを可能とした発色反応検出装置を提供することができる。
【0054】
なお、上述した本発明の実施の形態においては、作業者への報知手段として情報処理端末3における表示手段3gを用いて視覚的に報知する例を挙げているが、作業者への報知の方法は、例えば、聴覚に訴えるものであっても良い。
【0055】
また、上述の発色反応検出装置では、情報処理端末が発色反応検出機器の状態を把握し安定化を図ることとしているが、情報処理端末が備える各手段を発色反応検出機器に設け、発色反応検出機器自体が自らの安定化を図るように構成することも可能である。
【0056】
また、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。さらに、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】発色反応検出装置を構成する発色反応検出機器全体を示す斜視図である。
【図2】図1に示す発色反応検出機器の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る情報処理端末の内部構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示す情報処理端末に実装される安定化調整手段の内部構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る発色反応検出機器の安定化の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る発色反応検出機器の安定化の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1…発色反応検出装置、2…発色反応検出機器、3…情報処理端末、21…外部筐体、22…内部筐体、22a…発光手段、22b…制御手段22b…受光手段、22d…通信制御手段、22e…温度検出手段、30…安定化調整手段、31…受信手段、32…算出手段、33…判断手段、34…送信手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路基板上に配置された被測定物に前記光導波路基板中を通る光を照射し、前記光を受光することによって前記被測定物の発色反応を検出する発色反応検出機器と、前記発色反応検出機器の状態を把握する情報処理端末とを備え、
前記発色反応検出機器は、
前記光を発生させる発光手段と、
前記発光手段の発光を制御する制御手段と、
前記光導波路基板中を通った光を検出して光検出信号を計測する受光手段と、を備え、
前記情報処理端末は、
前記発色反応検出機器から送信された前記光検出信号を受信し、前記光検出信号の変動率を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された変動率から前記発色反応検出機器が安定したか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果を報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする発色反応検出装置。
【請求項2】
光導波路基板上に配置された被測定物に前記光導波路基板中を通る光を照射し、前記光を受光することによって前記被測定物の発色反応を検出する発色反応検出機器の状態を把握する情報処理端末を、
前記発色反応検出機器から送信された光検出信号を受信し、前記光検出信号の変動率を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された変動率から前記発色反応検出機器が安定したか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果を報知する報知手段
として機能させるための発色反応検出機器安定化プログラム。
【請求項3】
光導波路基板上に配置された被測定物に前記光導波路基板中を通る光を照射し、前記光を受光することによって前記被測定物の発色反応を検出する発色反応検出機器と、前記発色反応検出機器の状態を把握する情報処理端末とを備え、
前記発色反応検出機器は、
前記光を発生させる発光手段と、
前記発光手段の発光を制御する制御手段と、
前記光導波路基板中を通った光を検出して光検出信号を計測する受光手段と、
前記発色反応検出機器内の温度を検出する温度検出手段と、を備え、
前記情報処理端末は、
前記発色反応検出機器から送信された前記温度検出手段によって検出された温度情報を受信し、前記温度情報に基づいて変動率を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された変動率から前記発色反応検出機器が安定したか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果を報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする発色反応検出装置。
【請求項4】
光導波路基板上に配置された被測定物に前記光導波路基板中を通る光を照射し、前記光を受光することによって前記被測定物の発色反応を検出する発色反応検出機器の状態を把握する情報処理端末を、
前記発色反応検出機器から送信された前記発色反応検出機器が備える温度検出手段によって検出された温度情報を受信し、前記温度情報に基づいて変動率を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された変動率から前記発色反応検出機器が安定したか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果を報知する報知手段
として機能させるための発色反応検出機器安定化プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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