説明

発酵乳添加剤

【課題】、発酵乳の生理機能を増強、品質安定化、おいしさを向上させる発酵乳添加剤を提供する。
【解決手段】
平均鎖長が3.5以上でありかつキシロビオース含有量が25%以下であることを特徴とするキシロオリゴ糖を有効成分として含有する発酵乳添加剤。酸性キシロオリゴ糖を有効成分として含有する発酵乳添加剤。酸性キシロオリゴ糖が、1分子中に少なくとも1つ以上のウロン酸残基を側鎖として有する前記発酵乳添加剤。ウロン酸が、グルクロン酸もしくは4−O−メチル−グルクロン酸である前記発酵乳添加剤。キシロオリゴ糖又は酸性キシロオリゴ糖が、「リグノセルロース材料を酵素的及び/又は物理化学的に処理してキシロオリゴ糖成分及び酸性キシロオリゴ糖成分とリグニン成分の複合体を得、次いで該複合体を酸加水分解処理することによって得られたキシロオリゴ糖混合物を分離して得たもの」である前記発酵乳添加剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発酵乳に添加することで、発酵乳の持つ生理機能を増強し、同時に発酵乳の品質安定化やおいしさの向上を可能にする発酵乳添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、我が国において生活習慣病の増加が問題となっている。生活習慣病の原因の多くは、生活習慣の乱れによるものである。例えば、食生活におけるカロリーの過剰摂取や栄養バランスの不均衡、人体に悪影響を及ぼす種々の環境汚染物質の混入、更には周囲の環境からくる精神的なストレスなどが、生活習慣を悪化させる問題として近年顕著化している。
このような環境の中で、少しでも生活習慣病にかかる時期を遅らせようというのが、予防医学の概念であり、その為には日常の食生活に少なからず工夫を加えることが必要である。
【0003】
食品の栄養素は、主に生体を構成するタンパク質、脂質、糖質の3つの栄養素に加え、生命活動の基本となる種々の代謝を円滑に行うのに必要なビタミン類、ミネラル類の2つを加えた5大栄養素が基本となっている。また、近年になって認知された食物繊維は、上記栄養素を吸収する腸管機能の調節という重要な役割を担っている。現代の栄養学では、5大栄養素と食物繊維を合わせた6大栄養素を偏り無く摂取することを推奨し、「一日30品目」といった食生活の指導の基本となっている。しかし、現代人を取り巻く環境は必ずしもこのような理想の食生活を送ることができなくなっている。
そこで提唱されるのが、3次機能(代謝調節、生体防御、疾病予防、疾病回復、老化防止などの体調調節機能)を持つ食品の摂取である。例えば、特定保健用食品の関与成分として広く認知されている発酵乳類(プロバイオティクス)やオリゴ糖類(プレバイオティクス)は、整腸作用に加え、花粉症やアトピー性皮膚炎の症状を緩和する作用等の幅広い分野での利用が期待されている(非特許文献1参照)。
【0004】
ところで、前記プロバイオティクスやプレバイオティクスのそれぞれの効果を増強することを目的として、両者を配合したシンバイオティクスと定義される商品が開発されている(非特許文献1参照)。
シンバイオティクスは、例えば乳酸菌等の乾燥粉末とオリゴ糖を適当な比率で混合したものがあり、その形態は顆粒、粉末、カプセル錠、タブレット錠、チュアブル錠等が挙げられる。
しかし、代表的なプロバイオティクス食品である発酵乳はpHが低いため、プレバイオティクスを配合する場合、低pH条件下での安定性が必要である。また、添加したプレバイオティクスが、発酵乳中の乳酸菌によって消費されてしまう。
従って、発酵乳にプレバイオティクスを配合した場合、プレバイオティクスの減少や、乳酸菌による過発酵のための品質低下が起きやすい等の問題があった。
【0005】
以上のような背景から、発酵乳中で安定であり、乳酸菌に影響を与えず、かつ、風味や栄養面での機能を損なわないプレバイオティクスとしての発酵乳添加剤が求められていた。
【0006】
上記のような発酵乳添加剤としては、ガラクトオリゴ糖やキシロオリゴ糖が挙げられ、これらのオリゴ糖を含有する発酵乳が販売されている。
ガラクトオリゴ糖は酸や熱に比較的安定であり、発酵乳添加剤としては優れた素材である。しかし、ガラクトオリゴ糖は乳酸菌に資化されるため、発酵乳添加剤として使用した場合に、発酵過程や保存期間中にガラクトオリゴ糖が分解されたり、製造過程における過発酵や保存期間中の発酵乳の品質低下などが懸念される
一方、キシロオリゴ糖は、ガラクトオリゴ糖と同様に酸や熱に安定であり、乳酸菌にも資化されないため、発酵乳の品質に影響を与えにくい。
【0007】
現在市販されているキシロオリゴ糖は、コーンコブ(Zea mays)をキシラナーゼ(Trichoderma sp.由来)で酵素反応させて得られた、キシロビオースを主成分(28%以上)とするものである(非特許文献2参照)。キシロビオースはビフィズス菌に対する資化性に優れており、おなかの調子を整える特定保健用食品(個別申請型および規格基準型)の関与成分として広く使われている。しかし、キシロビオースのような重合度の低いオリゴ糖は、重合度の高いキシロオリゴ糖よりも甘みが強く、添加する食品によっては不必要な甘みを付与する等の問題があった。
コーンコブ以外の原料を用いたキシロオリゴ糖の製造方法としては、広葉樹キシランを酸加水分解や飽和水蒸気処理による方法が報告されている。しかし、これらの方法で得られたキシロオリゴ糖は、キシロビオースとキシロトリオースで30%近くを占めており、前述のコーンコブ由来のキシロオリゴ糖と同様の問題があった(非特許文献3参照)。
【0008】
【非特許文献1】Curr Opin Biotechnol. 2002 Oct;13(5):490−496.
【非特許文献2】食安発第0721001号 平成18年7月21日「特定保健用食品(規格基準型)の成分規格の一部改正等について」
【非特許文献3】ウッドケミカルスの最新技術;第4章「ヘミセルロースの利用技術」 清水一允 、シーエムシー出版(2000年)
【非特許文献4】日本農芸化学会大会講演要旨集 2005年度大会(札幌) :264
【非特許文献5】日本薬学会第127年会(2007年)要旨集4:60
【特許文献1】特開2001−226409号公報
【特許文献2】特開2003−183133号公報
【特許文献3】特開2003−221307号公報
【特許文献4】特開2007−049953号公報
【特許文献5】特開2004−182621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、発酵乳に添加することで、発酵乳の持つ生理機能を増強し、同時に発酵乳の品質安定化やおいしさの向上を可能にする発酵乳添加剤を提供することである。
【0010】
本発明者らは前記課題を解決する為、鋭意研究した結果、キシロオリゴ糖または酸性キシロオリゴ糖を発酵乳に添加することで、発酵乳の持つ生理機能を増強し、同時に発酵乳の品質安定化やおいしさの向上を可能にすることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
なお、リグノセルロース材料よりキシロオリゴ糖、酸性キシロオリゴ糖を得る方法、及び、その方法によって得られたキシロオリゴ糖、酸性キシロオリゴ糖は特徴的な構造を有し、多くの生理活性を有することが本出願人らによって明らかになっている(特許文献1〜5参照)。
本発明は、これらのキシロオリゴ糖、酸性キシロオリゴ糖を有効成分として含有する新規な発酵乳添加剤に関するものである。
【0012】
本発明は以下の構成を採用する。
即ち、本発明の第1は、平均鎖長が3.5以上でありかつキシロビオース含有量が25%以下であることを特徴とするキシロオリゴ糖を有効成分として含有する発酵乳添加剤である。
【0013】
本発明の第2は、酸性キシロオリゴ糖を有効成分として含有する発酵乳添加剤である。
【0014】
本発明の第3は、酸性キシロオリゴ糖が、1分子中に少なくとも1つ以上のウロン酸残基を側鎖として有する本発明の第2に記載の発酵乳添加剤である。
【0015】
本発明の第4は、ウロン酸が、グルクロン酸もしくは4−O−メチル−グルクロン酸である本発明の第3に記載の発酵乳添加剤である。
【0016】
本発明の第5は、キシロオリゴ糖又は酸性キシロオリゴ糖が、「リグノセルロース材料を酵素的及び/又は物理化学的に処理してキシロオリゴ糖成分及び酸性キシロオリゴ糖成分とリグニン成分の複合体を得、次いで該複合体を酸加水分解処理することによって得られたキシロオリゴ糖混合物を分離して得たもの」であることを本発明の第1もしくは第2のいずれかに記載の発酵乳添加剤である。
【0017】
本発明の発酵乳添加剤は、平均鎖長が3.5以上でありかつキシロビオース含有量が25%以下であることを特徴とするキシロオリゴ糖、または、酸性キシロオリゴ糖を有効成分として含有するものである。重合度が高く、甘みの少ないキシロオリゴ糖が、本発明の発酵乳添加剤の有効成分として適している。
キシロオリゴ糖とは、キシロースの2量体であるキシロビオース、3量体であるキシロトリオース、あるいは4量体〜20量体程度の重合体である。
本発明で使用するキシロオリゴ糖の重合度は、単一重合度のキシロオリゴ糖の場合、3.5〜20が好ましく、5〜10がより好ましい。
また、本発明においては、異なる重合度を有する複数のキシロオリゴ糖の混合組成物もキシロオリゴ糖と称する。キシロオリゴ糖は、天然物から製造することが一般的であるため、実際にはこのような混合組成物として得られることが多い。該混合組成物の平均重合度は、キシロオリゴ糖のキシロース鎖長の平均値で示される。
本発明で使用するキシロオリゴ糖の平均重合度は、3.5〜20が好ましく、3.5〜6.5がより好ましい。
なお、キシロオリゴ糖組成物に含まれるキシロース鎖長の上限と下限の差は、20以下が好ましく、15以下がより好ましい。
また、キシロオリゴ糖組成物中のキシロビオース含有量は、25%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
【0018】
また、本発明で発酵乳添加剤の有効成分となる酸性キシロオリゴ糖とは、該キシロオリゴ糖1分子中に、少なくとも1つ以上のウロン酸側鎖を有するものを言う。1分子中のウロン酸側鎖の個数は、平均1〜5個が好ましく、平均1〜2個がより好ましい。
ウロン酸は、天然に存在するものとしてグルクロン酸、4−O−メチルグルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、イズロン酸等が挙げられる。
本発明に使用する酸性キシロオリゴ糖のウロン酸側鎖としては、特に限定されないが、グルクロン酸もしくは4−O−メチルグルクロン酸が好ましい。
本発明で使用する酸性キシロオリゴ糖の重合度は、単一重合度の酸性キシロオリゴ糖の場合、1〜30が好ましく、5〜20がより好ましい。
また、異なる重合度を有する複数の酸性キシロオリゴ糖の混合組成物である酸性キシロオリゴ糖の平均重合度は、4〜20のものが好ましく、7〜13がより好ましい。また、多分散度は1〜2が好ましく、1〜1.6がより好ましい。
尚、本発明において、酸性キシロオリゴ糖の分子中のウロン酸の結合位置は特に限定されない。結合の種類も特に限定されないが、キシロースの2位とウロン酸の1位が結合したα−1,2結合のものが好ましい。
【0019】
キシロオリゴ糖の製造方法としては、(1)加圧加熱、爆砕又はアルカリ処理等の糖化処理を行ない、直接キシロオリゴ糖液を製造する方法、(2)加圧加熱、アルカリ加熱処理や抽出、精製したキシランを出発原料とし、これに酵素を作用させて糖化処理してキシロオリゴ糖液を製造する方法、(3)植物体の原料を細片化し、アルカリ加熱処理後、直接酵素を作用させて糖化処理してから固液分離し、キシロオリゴ糖液を製造する方法、(4)リグノセルロース材料を酵素的及び/又は物理化学的に処理してキシロオリゴ糖成分とリグニン成分の複合体を得、次いで該複合体を酸加水分解処理してキシロオリゴ糖混合物を得、得られるキシロオリゴ糖混合物から、キシロオリゴ糖と1分子中に少なくとも1つ以上のウロン酸残基を側鎖として有する酸性キシロオリゴ糖を分離する方法が挙げられる。
本発明で使用するキシロオリゴ糖および酸性キシロオリゴ糖の製造方法については、特に限定するものではないが、(4)の製造方法が、比較的高い重合度のものを大量に安価に製造することが可能である点で特に好ましい。以下にその概要を示す。
【0020】
キシロオリゴ糖および酸性キシロオリゴ糖は、化学パルプ由来のリグノセルロース材料を原料とし、加水分解工程、濃縮工程、希酸処理工程、精製工程を経て得ることができる。加水分解工程では、希酸処理、高温高圧の水蒸気(蒸煮・爆砕)処理もしくは、ヘミセルラーゼによってリグノセルロース中のキシランを選択的に加水分解し、オリゴ糖とリグニンからなる高分子量の複合体を中間体として得る。濃縮工程では逆浸透膜等により、オリゴ糖−リグニン様物質複合体が濃縮され、低重合度のオリゴ糖や低分子の夾雑物などを除去することができる。濃縮工程は逆浸透膜を用いることが好ましいが、限外濾過膜、塩析、透析などでも可能である。得られた濃縮液の希酸処理工程により、複合体からリグニン様物質が遊離し、キシロオリゴ糖と酸性キシロオリゴ糖を含む希酸処理液を得ることができる。この時、複合体から切り離されたリグニン様物質は酸性下で縮合し沈殿するのでセラミックフィルターや濾紙などを用いたろ過等により除去することができる。希酸処理工程では、酸による加水分解を用いることが好ましいが、リグニン分解酵素などを用いた酵素分解などでも可能である。
【0021】
精製工程は、限外濾過工程、脱色工程、吸着工程からなる。一部のリグニン様物質は可溶性高分子として溶液中に残存するが、限外濾過工程で除去され、着色物質等の夾雑物は活性炭を用いた脱色工程によってそのほとんどが取り除かれる。限外濾過工程は限外濾過膜を用いることが好ましいが、逆浸透膜、塩析、透析などでも可能である。こうして得られた糖液中にはキシロオリゴ糖と酸性キシロオリゴ糖が溶解している。イオン交換樹脂を用い、キシロオリゴ糖および酸性キシロオリゴ糖を分離・精製することができる。糖液をまず強陽イオン交換樹脂にて処理し、糖液中の金属イオンを除去する。ついで強陰イオン交換樹脂を用いて糖液中の硫酸イオンなどを除去する。この工程では、硫酸イオンの除去と同時に弱酸である有機酸の一部と着色成分の除去も同時に行っている。強陰イオン交換樹脂で処理された糖液はもう一度強陽イオン交換樹脂で処理し更に金属イオンを除去する。最後に弱陰イオン交換樹脂で処理し、酸性キシロオリゴ糖を樹脂に吸着させる。キシロオリゴ糖は電荷を持たないため、最後の弱陰イオン交換樹脂の非吸着画分から得ることができる。このようにして得られたキシロオリゴ糖溶液から、スプレードライや凍結乾燥処理等により、白色のキシロオリゴ糖組成物の粉末を得ることができる。
【0022】
弱陰イオン交換樹脂に吸着した酸性キシロオリゴ糖を、低濃度の塩(NaCl、CaCl、KCl、MgClなど)によって溶出させることにより、夾雑物を含まない酸性キシロオリゴ糖溶液を得ることができる。このとき、溶出してきた酸性キシロオリゴ糖溶液を更に強陽イオン交換樹脂で処理することで、塩から遊離の酸に変換することが可能である。また、陽イオン交換樹脂での処理時間を調節することで、塩と遊離の酸の比率を任意に変更することが可能である。このようにして得られた酸性キシロオリゴ糖溶液から、スプレードライや凍結乾燥処理等により、白色の酸性キシロオリゴ糖組成物の粉末を得ることができる。
【0023】
上記製造方法のメリットは、前述の通り、経済性と平均重合度の高いキシロオリゴ糖及び酸性キシロオリゴ糖が容易に得られる点にある。なお、この方法で得られるキシロオリゴ糖及び酸性キシロオリゴ糖の平均重合度は、例えば、希酸処理条件を調節するか、再度ヘミセルラーゼで処理する等の方法によって変えることが可能である。
【0024】
本発明は、上記したキシロオリゴ糖、または酸性キシロオリゴ糖を有効成分とする発酵乳添加剤である。発酵乳添加剤は、これらのキシロオリゴ糖および酸性キシロオリゴ糖のみを成分とするものでもよく、これらを任意の他成分と組み合わせた組成物であってもよい。
上記発酵乳添加剤は、単独で用いることが可能である。または、当該分野で公知の固体又は液体の賦形剤とともに用いて、発酵乳添加剤とすることができる。
【0025】
固体の賦形剤としては、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、コーンスターチ、ゼラチン、澱粉等が挙げられる。また、液体の賦形剤としては、水、グリセリン、脂肪油、ソルビトール等が挙げられる。
【0026】
本発明の発酵乳添加剤が添加される発酵乳とは、乳等省令によって定義される「はつ酵乳」、及び同省令によって定義される「乳酸菌飲料」である。
【0027】
本発明で用いるキシロオリゴ糖を1日1g摂取することで整腸効果を発揮することが、ヒト介入試験により確認されている(非特許文献4参照)。また、本発明で用いる酸性キシロオリゴ糖を、アトピー性皮膚炎モデルマウスに体重1kgあたり0.1g摂取させることで、皮膚炎症状の悪化を抑制することが確認されている(非特許文献5参照)。本結果から、ヒトにおいては一日あたり0.1〜1gの摂取で効果を発揮すると考えられる。よって、キシロオリゴ糖または酸性キシロオリゴ糖の一日あたりの摂取量が0.1〜1g程度になるように発酵乳に添加することが望ましい。添加量としては、発酵乳の種類や形態によってその量を適宜調節することが可能であるが、有効成分であるキシロオリゴ糖、または酸性キシロオリゴ糖を、0.01〜10質量%添加することが好ましく、0.1質量%〜5質量%添加することがより好ましい。
【実施例】
【0028】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0029】
<分析法の概要>
本発明におけるキシロオリゴ糖および酸性キシロオリゴ糖の物理化学的性質の分析法を以下に示した。
(1) 全糖量の定量
全糖量は検量線をD−キシロース(和光純薬工業(株)製)を用いて作製し、フェノール硫酸法(還元糖の定量法 第2版、学会出版センター発行:ISBN 4−7622−0102−2)にて定量した。
(2) 還元糖量の定量
還元糖量は検量線をD−キシロース(和光純薬工業(株)製)を用いて作製、ソモジ−ネルソン法(還元糖の定量法 第2版、学会出版センター発行:ISBN 4−7622−0102−2)にて定量した。
(3) ウロン酸量の定量
ウロン酸は検量線をD−グルクロン酸(和光純薬工業(株)製)を用いて作製、カルバゾール硫酸法の変法(Anal. Biochem.,54,484−489)にて定量した。酸性キシロオリゴ糖の1分子当たりのウロン酸個数は、下式によって求めた。
1分子当たりのウロン酸個数 = ウロン酸濃度 ÷ 還元糖濃度
(4) 平均重合度の決定法
糖液の全糖濃度と還元糖濃度を測定し、下式によって平均重合度を求めた。
平均重合度 = 全糖濃度 ÷ 還元糖濃度
(5)キシロオリゴ糖の分子量分布分析法
キシロオリゴ糖の重合度分布は、イオンクロマトグラフ(ダイオネクス社製 DX500糖分析システム)を使用し、カラムはCarbo Pac PA−10(4.6×250mm)を用いた。溶離液には、A液として0.1M NaOH溶液を、B液として0.5M CHCOONaを含む0.1M NaOH溶液を用い、流速は1ml/minとした。A液からB液への直線的濃度勾配の溶出条件は以下の通りで行った。尚、検出にはパルスアンペロメトリック電気化学検出器 ED50を用いた。
0〜10min A 100%、B 0%
10〜30min A 60%、B 40%
得られたクロマトグラムから各重合度のキシロオリゴ糖の分布と、重合度の上限と下限の差を求めた。
(6)キシロオリゴ糖組成物中のキシロビオース濃度測定法
前述(5)に記載の装置、カラム、溶離液、検出器を用い、溶出条件も同様に設定した上で、サンプルに内部標準としてゲンチオビオース(和光純薬製)を用い、ゲンチオビオースとキシロビオースの面積比から、サンプル中のキシロビオースの含有量を求めた。
(7)酸性キシロオリゴ糖の分子量分布分析法
酸性キシロオリゴ糖の分子量分布は、ゲル濾過クロマトグラフィー法によって分析した。Waters製Alliance (2695 Separations Module)を使用し、カラムはSHODEX製OHpak SB−803 HQ(8.0×300mm)とOHpak SB−802.5 HQ(8.0×300mm)を直列に接続して用いた。カラムオーブンは50℃に設定した。溶離液には0.2M NaCl溶液を用い、流速は0.5ml/minとした。検出は示差屈折系(2414 RI Detector)を用いた。分子量分布の標準曲線の作成には、プルランの標準品(Shodex製STANDARD P−82)を用いた。尚、低分子のオリゴ糖画分の標準品としてはグルコースM.W.180)およびマルトトリオース(M.W.504)、マルトヘプタオース(M.W.1152)を用いた。得られた酸性キシロオリゴ糖のクロマトグラフィーと、分子量標準曲線から、酸性キシロオリゴ糖の分子量分布(プルラン換算)および多分散度を求めた。
【0030】
<キシロオリゴ糖および酸性キシロオリゴ糖の調製>
本発明で使用するキシロオリゴ糖及び酸性キシロオリゴ糖の調製方法を以下に示す。
(1)原料として、国内産広葉樹チップ20%、ユーカリ材80%からなる混合広葉樹チップをクラフト蒸解、酸素脱リグニンを行ったパルプを用いた。60℃の高温水を用いて、パルプ濃度を1.6%に希釈し、容積10m3のタンクに受け入れた。続いて、タンクに濃硫酸を添加、攪拌してpH5.5に調整した後、ドラムフィルター(新菱製作所製:φ2000×600SUF)でパルプを脱水洗浄した。脱水後のパルプ濃度は約20%であった。この20%パルプに50℃の温水を加え、パルプ濃度を10%に希釈すると同時に、キシラナーゼコンクが対パルプ50〔ユニット/g〕となるように連続添加して、トランポスクリューで十分に混合した。混合後のパルプを中濃度ポンプ(新菱製作所製:200×RPK)で容積2m3の円筒型反応槽(φ800mm×4000mmH)に押し込み、反応時間が40分間となるように連続処理した後、反応後のパルプをスクリュープレス(新菱製作所製:250×1000SPH−EN)で約40%に脱水して、パルプのキシラナーゼ反応濾液を得た。反応開始から60分目以降は、50℃温水ではなく、キシラナーゼ反応濾液の50質量%をトランポスクリューに戻し、ドラムフィルターで脱水した20%パルプを10%に希釈してキシラナーゼ処理を連続的に行った。反応開始150分目以降には、キシラナーゼ反応濾液中の全糖濃度は0.92%に増加しており、このときのキシロオリゴ糖の平均重合度は4.7であった。このようなパルプに対するキシラナーゼ処理を24時間連続して実施することにより、反応開始150分目以降、糖濃度約0.9%の反応濾液を安定して取り出すことができ、最終的に糖濃度0.9%のキシラナーゼ反応濾液を15m3得ることができた。得られた反応濾液を、ミクロンレート1μmのバックフィルター(ISPフィルターズ製)、続いてミクロンレート0.2μmのセラミックフィルター(日本ポール製)で濾過して、清澄な反応濾液を得た。更に逆浸透膜(日東電工製:NTR−7450)で15倍に濃縮することにより、全糖濃度11%の濃縮液を1m3得ることができた。
【0031】
(2)上記により得られた濃縮糖液1m3を、濃硫酸を用いてpH3.5に調整後、121℃で45分間酸処理した。50℃まで冷却した後、酸処理後に生成した不溶性残渣をミクロンレート0.2μmのセラミックフィルター(日本ポール製)で除去して、UF膜(クラレ製:MU−6025)で脱色後、更に活性炭(三倉化成製:PM−SX)を10kg添加して、50℃・2時間処理して、脱色処理した糖液を得た。得られた糖液を、SV1.5で強カチオン樹脂(三菱化学製:PK−218、300L)→弱アニオン樹脂(三菱化学製:WA30、300L)→強カチオン樹脂(三菱化学製:PK−218、300L)→弱アニオン樹脂(三菱化学製:WA30、300L)からなる4床4塔式でイオン交換処理して脱塩・脱色することにより、精製済みのキシロオリゴ糖溶液(糖濃度4.3%、1100L)を得た。得られたキシロオリゴ糖溶液を、スプレードライヤー(大川原化工機製:ODA−25型)で処理して、45kgのキシロオリゴ糖粉末を得た。
ここで得られたキシロオリゴ糖の平均重合度は5.1であった。
また、重合度の上限と下限の差は13であり、キシロビオースの含有量は6.7%であった。
尚、キシロオリゴ糖の重合度分布を示したクロマトグラフを図1に示した。
【0032】
(3)前項(2)で、精製済みのキシロオリゴ糖溶液を得た後、2塔目及び4塔目の弱アニオン樹脂に75mMの塩化ナトリウム水溶液をSV1.5で流して、酸性キシロオリゴ糖溶液(糖濃度2.8%、600L)を回収した。回収した酸性キシロオリゴ糖溶液を、強カチオン樹脂でpH5に調整後、糖濃度20%まで濃縮して、スプレードライヤー(大川原化工機製:ODA−25型)で処理して、15kgの酸性キシロオリゴ糖粉末を得た。
ここで得られた酸性キシロオリゴ糖の平均重合度は10.8であった。
また、得られた酸性キシロオリゴ糖の重合度は10.1、多分散度は1.28であった。オリゴ糖1分子中のウロン酸個数は1.4個であった。
尚、酸性キシロオリゴ糖の分子量分布を図2に示した。
【0033】
尚、以降の実施例において、得られたキシロオリゴ糖および酸性キシロオリゴ糖をそれぞれNX5、UX10とした。
【0034】
<試験1:腸内Bifidobacterium属の増殖促進活性の比較>
本発明のキシロオリゴ糖、酸性キシロオリゴ糖の、腸内Bifidobacterium属に対する増殖促進活性について、以下の方法で試験した。
被検物質としては、前述の方法により得たNX5、UX10、及び、市販のキシロオリゴ糖(サントリー製、以下XOS)、ガラクトオリゴ糖(日新製糖製、以下GOS)、フラクトオリゴ糖(明治製菓製、以下FOS)を用いた。
【0035】
<試験方法の概要>
(1)糞便バッチ培養法の手順
健常な成人男性1名から糞便を採取し、直ちに嫌気グローブボックス(Forma scientific社製)内で、予め窒素置換しておいたPBS(リン酸緩衝生理食塩水)に懸濁し、10%スラリーとした。次に、本10%スラリーを100μl、最終濃度1%となるように前記PBSに希釈した被検物質溶液を100μl、前記PBSを800μl加えて総量を1mlとした。尚、対象にはオリゴ糖を含まないPBSを用いた。次に、嫌気グローブボックス内のインキュベータ中で、37℃にて48時間インキュベートした。インキュベート後、懸濁液を15,000rpm、5min間遠心して糞便ペレットを回収した。
【0036】
(2)糞便からのDNAの抽出
前記(1)で得られた糞便ペレットおよび、インキュベート前の糞便からDNAを抽出した。抽出にはQiagen社製 QIAamp DNA Stool Mini Kitを用い、添付のプロトコールに従って抽出操作を行った。
【0037】
(3)糞便中の総菌数におけるBifidobacterium属占有率の測定
糞便中の総菌数におけるBifidobacterium属占有率の測定は、前記(2)で抽出した糞便DNAを用いた定量PCR法によって行った。定量PCRは、MJ Research社製のDNA Engine Opticonと、本装置に最適化されたFINNZYMES社製DyNAmo HS SYBER Green qPCR kitを使用した。PCR産物の定量、解析はMJ Research社製Opticon Monitorを用いた。
総菌数の測定には下記のプライマーの組み合わせを用いた。
Forward primer 5' CGTATTACCGCGGCTGCT 3'
Reverse Primer 5' CCAGGGTATCTAATCCTGTTTGC 3'
また、Bifidobacterium属の測定には下記のプライマーの組み合わせを用いた。
Forward primer 5' CTCCTGGAAACGGGTC 3'
Reverse Primer 5' GGTGTTCTTCCCGATATCTA 3'
【0038】
PCR反応液の組成は、糞便から抽出したDNA溶液1μl、5μMに調製したプライマーをそれぞれ1μl、超純水7μl、キットに付属のPCR反応バッファー10μlを加え、20μlとした。PCR反応条件は、総菌数の測定においては、95℃、15分を1サイクル、94℃で15秒、60℃で15秒、72℃で30秒、75℃で蛍光測定を30サイクル、50℃〜95℃で1℃刻みに蛍光測定を1サイクル行った。
Bifidobacterium属の菌数測定においては、95℃、15分を1サイクル、94℃で15秒、55℃で15秒、72℃で60秒、75℃で蛍光測定を30サイクル、50℃〜95℃で1℃刻みに蛍光測定を1サイクル行った。
なお、総菌数測定用のプライマーを用いた時の増幅領域を領域A、Bifidobacterium属菌数測定用プライマーを用いたときの増幅領域を領域Bとする。あらかじめ領域Aおよび領域BのPCR産物をそれぞれ作成・精製し、280nmの吸光度からコピー数を算出したものを検量線用DNAとした。領域Aおよび領域BそれぞれのPCR反応において、先に作成した検量線用DNAのコピー数とCt値から検量線を作成し、糞便から抽出したDNA1μlあたりに含まれる、領域A、及びBのコピー数を算出した。
総菌数におけるBifidobacterium属の占有率は、次式によって表すことができる。
Bifidobacterium属の占有率=(領域Bのコピー数/領域Aのコピー数)×100 (%)
【0039】
(4)腸内Bifidobacterium属の増殖促進活性の比較
糞便バッチ培養試験において、オリゴ糖添加前の糞便におけるBifidobacterium属の占有率と、各種オリゴ糖を添加し、48時間インキュベートした後の糞便におけるBifidobacterium属の占有率を比較し、腸内Bifidobacterium属の増殖促進活性を評価した。
【0040】
<試験結果>
糞便バッチ培養試験において、被検物質としてNX5を添加したものを実施例1、UX10を添加したものを実施例2、XOSを添加したものを比較例1、GOSを添加したものを比較例2、FOSを添加したものを比較例3、オリゴ糖を含まないPBSを用いたものを比較例4とし、各試験区における腸内Bifidobacterium属の増殖促進活性を表1に示した。
表1より、NX5およびUX10はBifidobacterium属の増殖促進活性を有し、その活性はGOS、FOSよりも高く、市販のキシロオリゴ糖(XOS)と同等であることが判明した。
このことから、NX5およびUX10はプレバイオティクス作用を有し、その増殖促進活性は、従来より発酵乳添加剤として使用されているGOSより高く、市販のXOSと同等であることから、発酵乳添加剤として適していることが明らかとなった。
【0041】
<試験2:ヨーグルトの品質に及ぼす影響の比較>
本発明のキシロオリゴ糖、酸性キシロオリゴ糖を発酵乳添加剤として配合したヨーグルトを作製し、菌数、pH、おいしさ、オリゴ糖の残存率を試験した。
発酵乳添加剤とする被検物質としては、試験1と同様、NX5、UX10、及び、XOS、GOS、FOSを用いた。
【0042】
<試験方法の概要>
(1)ヨーグルトの作製
水500mlを5分間煮沸後、約50℃になるまで室温で放置した。市販のスキムミルクを100g添加し、更に、被検物質を最終濃度1%になるように添加後、攪拌して均一とした。次に、市販のヨーグルト(プレーンタイプ)を50g添加し、攪拌して均一にした後、40℃で7時間インキュベートした。これを6℃の冷蔵庫に移し、3時間冷却後、以下の試験に供した。
【0043】
(2)ヨーグルト中の乳酸菌数測定
ヨーグルト1gを秤量し、PBSを9ml加えて均一になるまで攪拌し、更にPBSを用いてヨーグルト希釈液を調製した。
このヨーグルト希釈液を滅菌したシャーレに100μl入れ、50℃に加温した乳酸菌検出培地を15ml加え、37℃にて48時間培養した。培養後、黄変したコロニーを計数し、希釈倍率を乗じてヨーグルト1g中の乳酸菌数を求めた。
なお、乳酸菌検出培地としては、BCP加プレートカウント培地(極東製薬社製)を用いた。
【0044】
(3)ヨーグルトのpH測定
ヨーグルト1gを秤量し、蒸留水を9ml加えて均一になるまで攪拌し、ハンディーpHメーター(Twin pH、堀場製作所製)を用いて作製直後、及び2週間冷蔵保存後のpHを測定した。
【0045】
(4)ヨーグルト摂取試験
ヨーグルトについて、作製直後、および2週間冷蔵保存後のものを、任意に選出したパネラー(男性3名、女性3名;年齢28〜48歳)に摂取してもらい、おいしさ、酸味の強さ、甘みの強さの尺度をVAS(Visual Analog Scale)法により0〜10点で評価した。
評価に使用したアンケート表を図3に示した。検定はt検定を用いた。
【0046】
(5)ヨーグルト中のオリゴ糖の定量
ヨーグルト1gを秤量し、500ppmゲンチオビオースを1ml、蒸留水を8ml、加えて均一になるまで攪拌後、15,000rpm、10分間遠心して上清を回収した。得られた上清中のオリゴ糖は、イオンクロマトグラフを用いて測定した。ダイオネクス社製 DX500糖分析システムを使用し、カラムはCarbo Pac PA−10(4.6×250mm)を用いた。溶離液には、A液として0.1M NaOH溶液を、B液として0.5M CHCOONaを含む0.1M NaOH溶液を用い、流速は1ml/minとした。A液からB液への直線的濃度勾配の溶出条件は以下の通りで行った。尚、検出にはパルスアンペロメトリック電気化学検出器 ED50を用いた。
0〜10min A 100%、B 0%
10〜30min A 60%、B 40%
内部標準として添加したゲンチオビオースと各オリゴ糖の面積比から、サンプル中のオリゴ糖含有量を求めた。
尚、UX10は、分解によって生じる中性のキシロオリゴ糖を測定することにより、ヨーグルト中での安定性を評価した。
オリゴ糖残存率は、添加した濃度(1%)に対し、ヨーグルト中から定量された濃度の比率を百分率で示した。
【0047】
<試験結果>
ヨーグルト作製時に被検物質としてNX5を添加したものを実施例3、UX10を添加したものを実施例4、XOSを添加したものを比較例5、GOSを添加したものを比較例6、FOSを添加したものを比較例7、オリゴ糖を添加しないで作製したものを比較例8とした。表2にヨーグルト中の乳酸菌数、表3にヨーグルトのpH、表4にヨーグルトの摂取試験の評価、表5に、ヨーグルト中のオリゴ糖残存率を示した。
表2の結果より、作製直後の乳酸菌数は、実施例、比較例間の差は認められなかった。一方、2週間冷蔵保存後は、比較例6〜8で実施例3および実施例4と比較して低下する傾向が見られた。
表3の結果より、作製直後のヨーグルトのpHは、実施例、比較例間の差は認められなかった。一方、2週間冷蔵保存後は、比較例6〜8で実施例3及び実施例4と比較して低下する傾向が見られた。
表4の結果より、作製直後および2週間保存後のヨーグルトにおいて、実施例3および実施例4は、比較例5〜8に対して、おいしさのスコアが有意に高かった。
酸味の強さのスコアについては、2週間保存後のヨーグルトにおいて、実施例3および4、並びに比較例5は、比較例6〜8に対して有意に低かった。
甘みの強さのスコアについては、作製直後のヨーグルトにおいて、実施例3、実施例4および比較例6、比較例8は、比較例5および7に対して有意に低かった。
表5の結果より、比較例6および7において、ヨーグルト作製直後および2週間保存後において、オリゴ糖が減少していた。
以上の結果から、本発明のキシロオリゴ糖および酸性キシロオリゴ糖は、高いプレバイオティクス活性を有しており、ヨーグルトの製造過程や保存期間中に分解を受けにくく、発酵乳に添加した際に、品質の安定化、おいしさの向上と維持に有効であり、現在発酵乳添加剤として用いられているキシロビオースが主成分のキシロオリゴ糖やガラクトオリゴ糖と比較して、発酵乳添加剤として高い性能を有していることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のキシロオリゴ糖または酸性キシロオリゴ糖を発酵乳添加剤として発酵乳に添加することで、発酵乳の持つ生理機能を増強し、同時に発酵乳の品質安定化やおいしさの向上を可能にする。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】キシロオリゴ糖のクロマトグラムを表す図である。
【図2】酸性キシロオリゴ糖の分子量分布パターンを表す図である。
【図3】ヨーグルト摂取試験のアンケートを表す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均鎖長が3.5以上でありかつキシロビオース含有量が25%以下であることを特徴とするキシロオリゴ糖を有効成分として含有することを特徴とする発酵乳添加剤。
【請求項2】
酸性キシロオリゴ糖を有効成分として含有することを特徴とする発酵乳添加剤。
【請求項3】
酸性キシロオリゴ糖が、1分子中に少なくとも1つ以上のウロン酸残基を側鎖として有することを特徴とする請求項2に記載の発酵乳添加剤。
【請求項4】
ウロン酸が、グルクロン酸もしくは4−O−メチル−グルクロン酸であることを特徴とする請求項3に記載の発酵乳添加剤。
【請求項5】
キシロオリゴ糖又は酸性キシロオリゴ糖が、「リグノセルロース材料を酵素的及び/又は物理化学的に処理してキシロオリゴ糖成分及び酸性キシロオリゴ糖成分とリグニン成分の複合体を得、次いで該複合体を酸加水分解処理することによって得られたキシロオリゴ糖混合物を分離して得たもの」であることを特徴とする請求項1もしくは請求項2のいずれかに記載の発酵乳添加剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−44996(P2009−44996A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213469(P2007−213469)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】