説明

発酵培養液からの不溶性酵素の回収及び不溶性酵素の製剤

本発明は、微生物細胞又は細胞残屑を除去せずに、微生物発酵培養液から不溶性酵素を回収し製剤するための方法を提供する。不溶性酵素を含む粒状及び液体の製剤もまた提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2008年6月9日に出願した米国仮出願第61/060,087の優先権を主張し、その出願は参照により本明細書にその全体が取り込まれる。
【背景技術】
【0002】
発明の分野
本発明は、微生物細胞又は細胞残屑の存在下、微生物の発酵培養液から一以上の目的酵素を回収する方法、及び回収された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物から調製される固体及び液体製剤に関する。
【0003】
背景技術
従来、液体又は固体製品形態で用いる酵素を工業用微生物発酵培養液から回収することは、一般的にいくつかの処理工程を含む。多くの従来的回収方法は、連続的に起こる4つの似たような工程、すなわち、
微生物培養液からの産生物ではない不溶性成分の除去、
生産物の単離、
精製、及び
ポリッシング(polishing)、
を含む。(例えば、Enzymes in Industry: Production and Applications (2007) Wolfgang Aehle, ed., 3rd edition, Wiley-VCH, p. 49; Bioseparations: Science and Engineering (2003) R.G. Harrison, P. Todd, S.R. Rudge, D.P. Petrides, Oxford University Press,p.32を参照願いたい。)例えば、細胞内に生産される酵素の回収及び製剤化は一般的に以下の処理工程を含む。それは、
(1)細胞溶解、
(2)前処理、
(3)細胞分離、
(4)濃縮、及び
(5)製剤化―(a)液体安定性のために化学薬品添加、その後、仕上げ用ろ過(polish filtration)、又は(b)固体安定性のための化学薬品添加、その後、乾燥
である。
【0004】
細胞溶解は細胞壁を破壊することにより細胞から目的の酵素を放出する。細胞溶解は、細胞をリゾチームのような細胞壁を分解する酵素と接触させることにより、pH、温度、可溶化酸素の濃度、グルコース濃度、塩濃度、又は、自然発生的な可溶化を生じる他の添加剤の濃度の変化のような発酵環境の変化を導入することにより、均質化によるような細胞壁の機械的破壊により、又は、これらの方法の組み合わせにより、達成されてよい。細胞外に発現される(培養培地に分泌される)場合、細胞溶解は任意である。(Isolation and Purification of Proteins (2003) R. Hatti-Kaul and B. Mattiasson, ed., Marcell Dekker, Inc.,pp.1-27を参照願いたい。)
【0005】
細胞溶解後、細胞分離工程を用いて目的の酵素を含む清澄溶液を生成する。一般的に、細胞分離は遠心及び/又はろ過を含み、発酵の間及び/又は発酵後、及び/又は細胞溶解の結果として生成する細胞残屑及び任意の不溶性物質を除去する。適切な遠心方法はディスクスタック(disk stack)又はデンカンター型遠心分離機を含む。適切なろ過方法はロータリー型真空ろ過、プレート‐フレームろ過プレス装置を通したろ過、又は精密ろ過膜を通したろ過を含む。
【0006】
遠心分離を用いる細胞分離は、しばしば清澄度及び処理能力の間の妥協で得られる。高い処理能力の遠心分離を用い、それから高い処理能力のろ過を通してその後の処理工程を妨害するのに十分な量の微量のけん濁固形物を除去することは、一般的なやり方である。今日実施される多くのろ過方法は、効率的な分離を達成するために、珪藻土又はその類似物のような加工助剤及び炭素(PCT出願WO01/87468)の使用を必要とする。珪藻土は、ろ過工程の処理能力及びろ過物の清澄性を改善する。
【0007】
前処理工程は、一般的に目的酵素を含む液体から細胞又は細胞残屑の物理的分離を行う前に用いる。そのような工程を用いずに細胞残屑を分離することは、小さな粒子サイズの残屑及び溶解発酵培養液の粘性のある性質によって、一般的にコスト高であり時間もかかる。しばしば、前処理は溶解又は非溶解培養液への凝集剤の導入を含む。高分子電解質は発酵培養液から細菌細胞を除去する場合において細胞凝集を増強する方法として多くの注目を集めた。Baran (1988) Colloids Surf. 31:259-264; Bautista他、(1986) Biotechnol. Lett. 8:315-318; Chen and Berg (1993) Chem. Eng. Sci. 48:1775-1784; Cumming他、(1996) Biotechnol. Tech. 4:55-60; Hustedt及びTheelen (1989) DeChema Biotechnology Conferences − VCH Veragsgesselschaft 3:1071-1075; Ramsden他、(1998) Biotechnol. Tech. 12:599-603; Shan他、(1996) J. Biotechnol. 49:173-178。
【0008】
凝集は目的酵素を含む液体部分から細胞残屑を除去する働きをする。いくつかの通常用いる凝集剤は、ポリエチレンイミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、及びメタクリロイルオキシエチル トリメチルアンモニウムクロライド‐アクリルアミドコポリマーを含む。細胞残屑の凝集は、電荷に基づく現象であり、有効性のために低イオン強度を必要とする。結果として、水による発酵培養液の希釈は、細胞残屑を凝集することが一般的に必要となる。
【0009】
所望の最終産物濃度及び純度次第で、細胞分離工程からの目的酵素を含む上澄み溶液は、製品を製造する製剤化のための条件にあわせてよい。しかしながら、製剤化前の酵素の濃度を増加するために度々さらなる処理が必要となる。濃縮は、典型的には、熱安定性酵素のための限外ろ過又は蒸留により達成される脱水工程を含む。濃縮のための他の方法は、沈殿、結晶化、及びクロマトグラフィーを含む。(PCT出願WO 91/09941を参照願いたい。)これらは、費用が高いので、工業的酵素回収において一般的なやり方ではない。
【0010】
上述のように、従来の酵素の回収及び製剤化は、複数の工程を含む。製造方法に追加される各工程は、最終の生産量を減少させ、エネルギー、時間、及び労力の点でコストがかかる。
【0011】
発現方法の進歩により、発酵培養液中に比較的高い酵素濃度(例えば、10から100g/l)を得ることができるようになった。ある場合、発現レベルは、目的酵素の溶解限度を超え、酵素は、発酵の終わりに沈殿状態又は結晶状態で存在する。上述のように、従来の回収工程を発酵培養液から酵素を回収するために用いる場合、酵素沈殿物は、細胞分離工程の間、不溶性細胞残屑及び他の不溶性物質を伴って同時に除かれるであろう。結果として、回収収量は低くなるであろう。この問題を解決するひとつの案は、回収工程の後すぐにポリオールを過飽和酵素溶液に添加し、その沈殿を防ぐことを含む。(欧州特許第EP1417301)しかしながら、そのような方法は、さらなる材料コストを必要とし、回収方法のために余分な工程を追加する。ポリオールの添加をせずに不溶性酵素を回収する方法が有利であろう。
【0012】
酵素含有顆粒は、洗剤、織物処理、食品(例えば、ベーキング)、動物飼料、及び燃料エタノール産業を含むいくつかの産業において製品へ取り込まれる。そのような顆粒は、流動床スプレーコーティング、高せん断造粒、押し出し、球形化、顆粒化、及びスプレー乾燥を含む多くの技術により調製されてよい。
【0013】
従来、そのような酵素含有顆粒は、顆粒へ取り込まれる前に溶解性形態である酵素を含み、微生物宿主中に発現する場合、酵素は、細胞溶解から生成される微生物細胞及び/又は細胞残屑を除くために少なくとも部分的に精製される。
【0014】
不溶性酵素が、微生物培養液中に存在する場合、回収前に可溶化が必要となる。いくつかの場合、これはpH及び/又は温度の変化により又は単塩の添加により容易に達成できる。他の場合、ポリオール又は糖の添加が必要となる。可溶化の後で、細胞分離を行うことができる。得られる上澄みストリームは、一般的にとても薄くて製剤化のために用いることができない。一般的に、限外ろ過を濃縮工程に使用する。添加される糖は、限外ろ過膜を自由に通過し、破棄用ストリームになる。得られる濃縮物を一般的に液体製品へ製剤化し得る。しかしながら、必ずしも顆粒化に適応するわけではない。結果として、顆粒化前に糖の除去が必要となる。これは、透析ろ過により達成でき、それにより、さらに多くの廃棄物が発生する。このアプローチの問題点は、プロセス工程及び破棄物の故に、培養液及び固体産物の重大なコスト上昇が生じることである。本発明はそのような培養液から経済的に産物を生成する方法の代替的方法である。
【0015】
酵素が不溶性状態であり細胞及び/又は不溶性細胞成分が除去されないような顆粒状酵素製剤の必要性がある。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、不溶性酵素の回収及び製剤に関する方法、及び本明細書に記載のように回収された及び製剤化された不溶性酵素を含む組成物を提供する。
【0017】
ある態様においては、本発明の方法は、
微生物細胞及び/又は細胞残屑を除去せずに微生物培養液から不溶性酵素を回収すること、
それにより回収された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を生成すること、
ここで、酵素の少なくとも一部が、微生物培養液に不溶性であることを特徴とすることを含む、
微生物細胞及び/又は微生物細胞からの細胞残屑を含む微生物培養液から不溶性酵素を回収する方法を提供する。ある態様においては、方法は、
(a)微生物細胞及び酵素を含む微生物培養液を提供する工程、ここで、少なくとも一部の酵素が微生物培養液中で不溶性であるようにする工程、及び
(b)微生物細胞及び/又は細胞残屑を除去せずに微生物培養液から不溶性酵素を回収し、それにより回収された不溶性酵素を含む組成物を生成する工程、ここで、組成物は、微生物細胞及び/又は細胞残屑を含むようにする工程、
を含む微生物培養液から不溶性酵素を回収することを提供する。幾つかの実施態様においては、不溶性酵素は、酵素的に活性である(言い換えると、酵素が、固体の状態で触媒的に活性であるか、触媒のポテンシャルを有するか、生じるべき触媒作用の適切な条件下にて及び適切な溶剤中に溶解する場合触媒的に活性になる)。
【0018】
幾つかの実施態様においては、微生物培養液が、
酵素を微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む微生物培養液とブレンドすることであって、酵素が微生物細胞により生成されず、及び酵素が微生物培養液に不溶性であるか、酵素が微生物培養液に溶解性であるが沈殿剤の添加により、酵素の少なくとも一部が不溶性なることをさらに含むこと、
微生物細胞により発現された溶解性酵素を含む微生物培養液に沈殿剤を添加し、それにより酵素の少なくとも一部が不溶性にさせられること、及び
微生物細胞中の酵素を発酵培地に発現し、ここに酵素の少なくとも一部が発酵培地に不溶性であるようにすること、
から選択される方法により生成される。
【0019】
幾つかの実施態様においては、回収操作が、培養液調整、細胞溶解、均質化(homogenization)、透析ろ過(diafilteration)、及び固液分離から選択される少なくとも一つの回収操作を含む。幾つかの実施態様においては、回収は、任意の順序で実施される、培養液調整、細胞溶解、均質化、透析ろ過及び固液分離から選択される二以上の回収操作を実施することを含む。
【0020】
幾つかの実施態様においては、不溶性酵素の回収は、微生物培養液の液相の少なくとも一部を除去すること含む。幾つかの実施態様においては、微生物培養液の液相の少なくとも一部の除去は、微生物培養液を濃縮することを含む。幾つかの実施態様においては、微生物培養液の濃縮は、限外ろか、精密ろ過、逆浸透、及びナノろ過から選択される膜ろ過法を含む。幾つかの実施態様においては、微生物培養液の液相の少なくとも一部の除去、例えば、微生物培養液の濃縮は、回転式ドラム型真空ろ過、プレート‐フレームろ過、ベルト型ろ過、遠心分離、サイクロン分離、デカンテーション、及び、蒸留から選択される方法を含む。
【0021】
幾つかの実施態様においては、不溶性酵素の回収は、透析ろ過を含む。
【0022】
幾つかの実施態様においては、微生物培養液は、酵素の発現に適した条件下にて、培養培地中に酵素を発現する微生物細胞を増殖することにより生成され、ここで、酵素は、増殖条件下にて不溶性である。他の実施態様においては、微生物培養液は、酵素の発現に適した条件下にて、培養培地中に酵素を発現する微生物細胞を増殖することにより生成され、ここで、酵素は、増殖条件下にて溶解性であり、酵素を回収する前に沈殿剤を添加し、酵素の少なくとも一部が微生物培養液中で不溶性となる。幾つかの実施態様においては、沈殿剤はpHの調整、温度調整、塩の添加、酸の添加、塩基の添加、少なくとも一つの他のタンパク質の添加、緩衝液の添加、高分子電解質の添加、及びそれらの組み合わせから選択される。ある実施態様においては、不溶性酵素は、沈殿剤を溶解性酵素を含む微生物培養液に添加することより酵素の少なくとも一部が微生物培養液中で不溶性となって生成される。ここで、沈殿剤がpHの調整、温度調整、塩の添加、酸の添加、塩基の添加、少なくともひとつの他のタンパク質の添加、緩衝液の添加、及び高分子電解質の添加、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0023】
幾つかの実施態様においては、回収される不溶性酵素を含む組成物は、無傷の微生物細胞を含む。ある実施態様においては、無傷の微生物細胞は生きている微生物細胞である。別の実施態様においては、無傷の微生物細胞は死んでいる微生物細胞である。他の実施態様においては、回収される不溶性酵素を含む組成物は、溶解した微生物細胞を含む。
【0024】
微生物培養液中で発現される酵素が不溶性である、幾つかの実施態様においては、方法は、不溶性酵素の回収前又は後に、微生物細胞膜を破壊し、微生物細胞溶解物を生成することを含む。微生物培養液中で発現される酵素が溶解性である、他の実施態様においては、方法は、沈殿される酵素の回収の前に、沈殿剤の添加の前又は後に、微生物細胞膜を破壊することを含む。
【0025】
幾つかの実施態様においては、微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む微生物培養液は、無傷の微生物細胞の微生物細胞膜を破壊することにより生成される微生物細胞溶解物を含む。
【0026】
幾つかの実施態様においては、微生物細胞膜の破壊は、微生物細胞溶解を生じることができる酵素と微生物細胞を接触することを含む。ある実施態様においては、微生物細胞溶解を生じることができる酵素は、リゾチーム酵素である。他の実施態様においては、微生物細胞膜の破壊は、均質化のような機械的細胞膜破壊方法を含む。幾つかの実施態様においては、微生物細胞膜の破壊は、例えば、均質化、高せん断混合(high shear mixing)、押出圧力、及び高せん断ポンピング(high shear pumping)から選択される機械的せん断方法を含む。幾つかの実施態様においては、不溶性酵素を回収する前又は後に、微生物細胞溶解物を均質化し、均質化した微生物細胞溶解物を生成することをさらに含む。
【0027】
幾つかの実施態様においては、方法は、不溶性酵素を回収する前又は後に、微生物細胞溶解物を透析ろ過することをさらに含む。幾つかの実施態様においては、方法は、不溶性酵素を回収する前又は後に、微生物細胞溶解物を均質化する及び透析ろ過することをさらに含む。
【0028】
幾つかの実施態様においては、微生物細胞は、細菌細胞である。幾つかの実施態様においては、細菌細胞は、バシルス(Bacillus)細胞である。幾つかの実施態様においては、バシルス(Bacillus)細胞は、バシルス スブチリス(B. subtilis)細胞又はバシルス リチェニフォルミス(B. licheniformis)細胞である。
【0029】
幾つかの実施態様においては、微生物細胞は、真菌細胞である。幾つかの実施態様においては、真菌細胞は、トリコデルマ(Trichoderma)細胞である。幾つかの実施態様においては、トリコデルマ(Trichoderma)細胞は、トリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)細胞である。
【0030】
幾つかの実施態様においては、酵素の少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、又は90%が微生物培養液中に不溶性である。
【0031】
回収方法の幾つかの実施態様においては、不溶性酵素の純度が、少なくとも約10%増加している。
【0032】
別の態様においては、本発明は、本明細書に記載のように、微生物培養液から不溶性酵素を回収する方法に従って生成される組成物を提供し、ここで、組成物は、回収された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む。ある実施態様においては、組成物は、少なくとも一つの製剤成分をさらに含む。
【0033】
別の態様においては、本発明は、
(a)例えば、本明細書に記載のように、微生物培養液から不溶性酵素を回収する方法に従って生成される、微生物不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を提供する工程、
(b)酵素が少なくとも部分的に溶解するように、酵素を溶解する物質の一以上を添加することにより及び/又は物理的条件を変化することにより、不溶性酵素の少なくとも一部を溶解し、それにより、溶解性酵素溶液を生成する工程、及び
(c)工程(b)で調製された溶液から固形物を除去し、それにより、清澄液体酵素溶液を生成する工程
を含む清澄液体酵素溶液を生成する方法を提供する。
【0034】
別の態様においては、本発明は、不溶性酵素、例えば、回収された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑、を含む組成物を含む酵素含有顆粒を生成することを含む、酵素含有顆粒を作成する方法を提供する。ある実施態様においては、方法は、
(a)不溶性酵素、例えば、回収された不溶性酵素、及び微生物細胞及び/又は細胞残屑、を含む組成物を提供する工程、及び
(b)不溶性酵素を含む酵素含有顆粒を生成する工程を含む。幾つかの実施態様においては、不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物は、微生物培養液から不溶性酵素の回収のための本明細書に記載のいずれかの方法に従って生成される。ある実施態様においては、不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物は、微生物細胞及び/又は細胞残屑を除去せずに、微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む微生物培養液から不溶性酵素を回収することを含む方法により生成され、それにより、回収された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を生成し、ここで、酵素の少なくとも一部は、微生物培養液中に不溶性である。幾つかの実施態様においては、酵素は、顆粒中にて酵素的に活性である(言い換えると、酵素は、固体の状態で触媒的に活性であるか、触媒のポテンシャルを有するか、生じるべき触媒作用の適切な条件下にて及び適切な溶剤中に溶解する場合触媒的に活性になる)。
【0035】
ある実施態様においては、酵素含有顆粒は、トップスプレー流動床方法で生成される。幾つかの実施態様においては、酵素含有顆粒は、トップスプレー流動床方法、ボトムスプレーウルスターコーター(Wurster coater)方法、高せん断造粒(high shear granulation)、押し出し成形、及びパンコーティングから選択される造粒方法により生成される。
【0036】
ある実施態様においては、方法は、トップスプレー流動床装置において、コアの上に不溶性酵素、例えば、回収された不溶性酵素、及び微生物細胞及び/又は細胞残屑、を含む組成物を含む酵素含有層をコーティングすることを含む。方法は、任意に、コアと酵素含有層の間に塩層をコーティングすることを含む。ある実施態様においては、方法は、酵素含有層の上にバリア塩を含む層をコーティングすることをさらに含む。ある実施態様においては、方法は、バリア塩層の上にポリマー及び/又は色素を含む外側のコーティング層をコーティングすることをさらに含む。
【0037】
ある実施態様においては、方法は、不溶性酵素、例えば、回収された不溶性酵素、及び微生物細胞及び/又は細胞残屑、を含む酵素含有コアの上にバリア塩層及び/又は一以上のコーティング層をコーティングすることを含む。ある実施態様においては、酵素含有コアは、トップスプレー流動床装置により生成される。ある実施態様においては、酵素含有コアは、高せん断造粒により生成される。
【0038】
別の態様においては、本発明は、
コア、
任意に、コアの上にコーティングされる塩層、及び
コアの上にコーティングされる酵素含有層を含み、ここで、酵素含有層が、コア又は塩層の上にコーティングされ、酵素含有層が、本明細書に記載のいずれかの方法に従って生成される不溶性酵素、例えば、回収された不溶性酵素、及び微生物細胞及び/又は細胞残屑、を含む組成物を含む酵素含有層である
ことを含む酵素含有顆粒を提供する。幾つかの実施態様においては、不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物は、微生物培養液から不溶性酵素の回収のための本明細書に記載の任意の方法に従って生成される。ある実施態様においては、酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物は、微生物細胞及び/又は細胞残屑を除去せずに、微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む微生物培養液から不溶性酵素を回収することを含む方法により生成され、それにより、回収された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を生成し、酵素の少なくとも一部が微生物培養液中に不溶性である。幾つかの実施態様においては、酵素は、顆粒中にて酵素的に活性である(言い換えると、酵素は、固体の状態で触媒的に活性であるか、触媒のポテンシャルを有するか、生じるべき触媒作用の適切な条件下にて及び適切な溶剤中に溶解する場合触媒的に活性になる)。
【0039】
ある実施態様においては、酵素含有顆粒は、酵素含有層の上にコーティングされるバリア塩層をさらに含む。ある実施態様においては、酵素含有顆粒は、バリア塩層の上にコーティングされる外側のコーティング層をさらに含み、ここで外側のコーティング層がポリマー及び/又は色素を含む。
【0040】
別の実施態様においては、本発明は、酵素含有コア及びバリア塩層及び/又はコアを囲んでいる一以上のコーティング層を含む酵素含有顆粒を提供し、ここで、コアが不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物含むことを特徴とする。幾つかの実施態様においては、不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物は、微生物培養液から不溶性酵素の回収のための本明細書に記載の任意の方法に従って生成される。ある実施態様においては、酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物は、微生物細胞及び/又は細胞残屑を除去せずに、微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む微生物培養液から不溶性酵素を回収することを含む方法により生成され、それにより、回収された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を生成し、酵素の少なくとも一部が微生物培養液中に不溶性である。幾つかの実施態様においては、酵素は、顆粒中にて酵素的に活性である(言い換えると、酵素は、固体の状態で触媒的に活性であるか、触媒のポテンシャルを有するか、生じるべき触媒作用の適切な条件下にて及び適切な溶剤中に溶解する場合触媒的に活性になる)。
【0041】
ある実施態様においては、酵素含有コアは、トップスプレー流動床装置により生成される。ある実施態様においては、酵素含有コアは、高せん断造粒により生成される。
【0042】
別の態様においては、本発明は、本明細書に記載の任意の酵素含有顆粒を含む組成物を提供する。ある実施態様においては、その組成物は、洗剤組成物である。別の実施態様においては、その組成物は、織物処理組成物である。別の実施態様においては、その組成物は、動物飼料組成物である。別の実施態様においては、その組成物は、食品組成物である。
【0043】
別の態様においては、本発明は、不溶性酵素、例えば、回収された不溶性酵素、及び微生物細胞及び/又は細胞残屑、を含む組成物を含む酵素含有液体製剤を提供する。幾つかの実施態様においては、不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物は、微生物培養液から不溶性酵素の回収のための本明細書に記載の任意の方法に従って生成される。ある実施態様においては、不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物が、微生物細胞及び/又は細胞残屑を除去せずに、微生物培養液から不溶性酵素を回収することを含む方法により生成され、それにより、回収された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を生成し、酵素の少なくとも一部が微生物培養液中に不溶性である。幾つかの実施態様においては、酵素は、液体製剤中にて酵素的に活性である(言い換えると、酵素は、触媒的に活性であるか、触媒のポテンシャルを有するか、生じるべき触媒作用の適切な条件下にて及び適切な溶剤中に溶解する場合触媒的に活性になる)。幾つかの実施態様においては、酵素含有液体製剤は、ポリオール、塩、保存剤、界面活性剤、及び抗酸化剤から選択される製剤成分の一以上をさらに含む。幾つかの実施態様においては、液体製剤はポリオールをさらに含む。幾つかの実施態様においては、液体製剤は、塩をさらに含む。幾つかの実施態様においては、液体製剤は、保存剤をさらに含む。幾つかの実施態様においては、液体製剤は、界面活性剤をさらに含む。
【0044】
別の態様においては、本発明は、本明細書に記載の任意の方法に従って生成された、回収された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を液体中に懸濁することを含む酵素含有液体製剤を調製する方法を提供する。
【0045】
別の態様においては、本発明は、
(a)本明細書に記載の任意の方法に従って生成された、回収された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を提供する工程、及び
(b)組成物中に不溶性酵素を溶解する工程
を含む酵素含有液体製剤を調製する方法を提供する。ある実施態様においては、方法は、工程(b)の後及び工程(c)の前に微生物細胞及び/又は細胞残屑を除去する工程をさらに含み、それにより清澄液体製剤を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、実施例13に記載のように、洗剤中に保存後、実施例4に記載のように調製された、酵素含有顆粒の洗浄使用活性性能を示す。
【図2】図2は、洗剤中に保存後、実施例1、2、4、及び6において調整した顆粒の酵素的安定性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
詳細な説明
本発明は、培養液から微生物細胞又は溶解された不溶性細胞残屑を除去せずに微生物発酵培溶液から不溶性酵素を回収し、製剤化するための方法を提供する。また、本発明は、本明細書に記載の方法に従って回収された、例えば、不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む顆粒及び液体製剤を提供する。
【0048】
特段の断りがない限り、本発明の実施は、当業者の知っている、従来の分子生物学(組み換え方法を含む)、微生物学、細胞生物学、及び生化学、の従来の方法を使用する。そのような方法は、例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, second edition (Sambrook他、1989); Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait, ed., 1984; Current Protocols in Molecular Biology (F. M. Ausubel他、eds., 1994); PCR: The Polymerase Chain Reaction (Mullis他、eds., 1994); and Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual (Kriegler, 1990)の文献に十分説明される。
【0049】
本明細書にて他に定義されていない限り、本明細書で用いるすべての技術的及び特別な用語はこの発明に属する当業者によって普通に理解されるものと同様の意味を持つ。Singleton、他、 DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY, 2D ED.、John Wiley and Sons, New York (1994)及びHale & Markham, THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY, Harper Perennial, NY (1991)が、当業者には本発明で用いられる用語の多くの一般的辞書となる。本明細書に記載されているものと同様又は同等のいずれの方法及び材料も本発明の実施及び実験に用いられ得る。
【0050】
数値域は範囲を限定する数値を含む。
【0051】
他に示していない限り、それぞれ、核酸は5´から3´の方向において左から右へ記載され、アミノ酸配列はアミノ基からカルボシキル基の方向において左から右へ記載される。
【0052】
定義
本明細書にて用いる用語、「ポリヌクレオチド」は、任意の長さ及び任意の3次構造及び1本鎖又は複数鎖(例えば、1本鎖、2本鎖、三重螺旋、等)のヌクレオチドの重合体をいい、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、及び/又はデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドの類似物又は修飾された形態を含み、修飾されたヌクレオチド又は塩基又はその類似物を含む。遺伝子コードは、縮重するので、2以上のコドンを、特定のアミノ酸をコードするために用いてよく、本発明は、特定のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む。使用条件下にて、ポリヌクレオチドが所望の機能性を維持する限り、修飾されたヌクレオチド又はヌクレオチド類似物の任意のタイプを用いてよく、ヌクレアーゼ耐性(デオキシ、2´‐O‐‐Me、ホスホロチオネート等)を増加する修飾を含む。また、ラベルを欠失又は捕捉の目的のために含んでよく、例えば、放射能又は非放射能ラベル又は例えば、ビオチンのような、アンカーを含む。また、用語ポリヌクレオチドはペプチド核酸(PNA)も含む。ポリヌクレオチドは自然に発生し又は非自然に発生してよい。用語「ポリヌクレオチド」及び「核酸」及び「オリゴヌクレオチド」は本明細書にて互換的に用いる。本発明のポリヌクレオチドはRNA、DNA、又は両方、及び/又は修飾された形態及び/又はそれらの類似物を含んでよい。ヌクレオチドの配列は非ヌクレオチド成分により割りこまれてよい。一以上のホスホジエステル結合は代替的な結合グループにより置換されてよい。これらの代替的結合グループは、次の態様を含むが、これらに限定されない。それは、リン酸塩がP(O)S(「チオエート(thioate)」)、P(S)S(「ジチオエート(dithioate)」)、(O)NR(「アミデート(amidate)」)、P(O)R、P(O)OR’、CO又はCH「ホルムアセタール(formacetal)」)、により置換される。ここで、各R又はR’は独立的にH又は置換又は非置換のアルキル(1−20C)であって、任意にエーテル(−O−)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、又はアラルジルを含む。ポリヌクレオチド中のすべての結合が同定される必要はない。ポリヌクレオチドは直鎖又は環状でよく、又は直鎖及び環状の一部の組み合わせを含む。
【0053】
本明細書で用いる「ポリペプチド」は、アミノ酸を含む任意の組成物及び当業者によりタンパク質と認識される任意の組成物をいう。従来のアミノ酸残基のための1文字又は3文字コードは本明細書にて用いる。任意の長さのアミノ酸ポリマーをいうために、用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は本明細書にて互換可能に用いられる。ポリマーは直鎖又は分岐鎖でよく、修飾アミノ酸を含んでよく、非アミノ酸により割り込まれてよい。また、その用語は、自然に修飾されたアミノ酸ポリマー又は介在により修飾されたアミノ酸ポリマーを含み、ここで介在は、例えば、ジスフィルド結合形成、グリコシル化、リピデーション(lipidation)、アセチル化、リン酸化、又はラベル成分を結合するような任意の他の操作又は修飾である。また、その定義の中には例えば、アミノ酸の一以上の類似物(例えば、非天然アミノ酸等を含む)及び周知の他の修飾を含むポリペプチドを含む。
【0054】
「ベクター」は、一以上の細胞のタイプへ核酸を導入するために設計されるポリヌクレオチド配列をいう。ベクターは、クローニングベクター、発現ベクター、シャトルベクター、プラスミド、ファージ粒子、カセット等を含む。
【0055】
本明細書にて用いる用語、「発現」は、ポリペプチドが遺伝子の核酸配列に基づいて生成される方法をいう。その方法は、転写及び翻訳を含む。
【0056】
「発現ベクター」は、宿主においてコード配列の発現を可能にする適切な制御配列の一以上に作動可能に結合されたDNAコード配列(例えば、遺伝子配列)を含むDNA構築体をいう。そのような制御配列は、転写を行うプロモーター、そのような転写を制御する任意のオペレーター配列、適切なmRNAリボゾーム結合部位をコードしている配列、及び転写及び翻訳の停止を制御する配列を含んでもよい。ベクターはプラスミド、ファージ粒子でもよく、単に潜在遺伝子の挿入体でもよい。適切な宿主へ形質転換されたら、ベクターは複製し、宿主遺伝子から独立して機能する可能性があり、又はある場合はその遺伝子自身へ組み込まれる可能性がある。プラスミドは、ベクターの形態として最も普通に用いる。しかしながら、本発明は、同等の機能を果たし周知であるか又は周知になる発現ベクターの他の形態を含むものである。
【0057】
「プロモーター」は、遺伝子の転写を開始するためにRNAポリメラーゼを結合することに関係する調節配列である。プロモーターは、誘導プロモーター又は構成的プロモーターでよい。本発明に用いてよい誘導プロモーターの例は、誘導プロモーターである、トリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)cbh1であり、これに限定されない。
【0058】
用語「作動可能に結合する」とは、要素が機能的に関連できるよう要素が並んでいることをいう。例えば、プロモーターが、コード配列の転写を制御する場合、プロモーターは、コード領域に作動可能に結合する。
【0059】
用語「転写制御下にて」は、ポリヌクレオチド配列の転写が、転写開始又は転写の促進に貢献する要素に作動可能に結合することにより依存することを意味し、このことは当業者に周知である。
【0060】
用語「翻訳制御下にて」は、mRNAが形成された後におこる調節プロセスを示すことは周知である。
【0061】
「遺伝子」は、ポリペプチドを生産するのに関係するDNAセグメントをいい、コード領域の前後の領域、及び個々のコードセグメント(エクソン)間に介在する配列(イントロン)を含む。
【0062】
本明細書にて用いる用語「宿主細胞」は、ポリペプチドの生産のための組み換え発現ベクターがポリペプチドの発現のためにトランスフェクションされた細胞又はセルラインをいう。宿主細胞は単一の宿主細胞の子孫を含み、子孫は、自然に、偶然に、又は意図的な変異によって、オリジナルの親細胞に必ずしも完全に同一(形態学的に又は総合的なゲノムDNA相補的に)である必要はない。宿主細胞は、発現ベクターとインビボでトランスフェクト又は形質転換した細胞を含む。「宿主細胞」は、糸状真菌株及び特にトリコデルマ種(Trichoderma sp.)株の細胞から創製された細胞及びプロトプラスト両者をいう。
【0063】
細胞、核酸、タンパク質、又はベクターについて用いられる時、用語「組み換え体」は、異種の核酸もしくはタンパク質又は天然の核酸もしくはタンパク質の改変の導入により修飾された細胞、核酸、タンパク質、又はベクターを示す、又は細胞がそのように修飾された細胞由来していることを示す。つまり、例えば、組み換え細胞が、細胞の天然の形(非組み換え体)には見出されない遺伝子を発現し、異常に発現した天然遺伝子を発現し、遺伝子を不充分に発現し、又は全く発現しない場合をいう。
【0064】
「シグナル配列」は、タンパク質のN末端部分に結合するアミノ酸配列を意味し、細胞からタンパク質の成熟型の分泌を機能する。細胞外タンパク質の成熟型は、分泌過程で切断されるシグナル配列を欠損している。
【0065】
用語「選択的マーカー」又は「選択可能なマーカー」は、導入される核酸又はベクターを含む宿主の選択を容易にする宿主中の発現可能な遺伝子をいう。選択的マーカーの例は、抗菌剤(例えば、ハイグロマイシン、ブレオマイシン、又はクロラムフェニコール)及び/又は宿主細胞の栄養的利益のような代謝利益を与える遺伝子を含むが、これらに限定されない。
【0066】
用語「由来する(derived from)」は、文脈次第で「を起源とする(originated from)」、「から得られる(obtained from)」、「から得ることができる(obtainable from)」、から「単離される(isolated from)」、及び「から創生される(created from)」を意味する。
【0067】
用語「糸状菌」は、Eumycotina亜門の全ての糸状形態いう(Alexopoulos, C. J. (1962), INTRODUCTORY MYCOLOGY, Wiley, New Yorkを参照願いたい)。これらの菌は、キチン、セルロース、及びその他の複合ポリサッカロイドからなる細胞壁を有する栄養菌糸体によって特徴付けられる。本発明の糸状菌は、形態的、生理的、及び遺伝的に、酵母とは区別される。糸状菌による栄養増殖は菌糸の延長によるものであり、炭素異化は、絶対的好気性による。本明細書にて糸状菌親細胞は、トリコデルマ(Trichoderma)(例えば、トリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)(トリコデルマ ロンギプラチアタム(T. longibrachiatum)として以前分類及び現在ヒポクレア ジェコリアナ(Hypocrea jecorina)としても知られる)、トリコデルマ ビリデ(Trichoderma viride)、トリコデルマ コニンギー(Trichoderma koningii)、トリコデルマ ハージアヌム(Trichoderma harzianum))、ペニシリウム種(Penicillium sp.)、フミコーラ種(Humicola sp.)(例えば、フミコーラ インソレンス(Humicola insolens)及びフミコーラ グリセア(Humicola grisea))、クリソスポリウム種(Chrysosporium sp.)(例えば、クリソスポリウム ルクノウエンス(C. lucknowense)、グリオクラジウム種(Gliocladium sp.)、アスペルギルス種(Aspergillus sp.)(例えば、アスペルギルス オリザエ(A. oryzae)、アスペルギルス ニガー(A. niger)、及びアスペルギルス アワモリ(A. awamori))、フザリウム種(Fusarium sp.)、ニューロスポラ種(Neurospora sp.)、ヒポクレア種(Hypocrea sp.)、又はエメリセラ種(Emericella sp.)(また、Innis 他 (1985) Sci. 228:21-26を参照願いたい)を含むがこれらに限定されない。
【0068】
本明細書にてもちいる用語、「トリコデルマ(Trichoderma)」又は「トリコデルマ種(Trichoderma sp.)」は、従来又は現在トリコデルマ(Trichoderma)として分類される任意の真菌属をいう。
【0069】
用語「培養する」は、液体又は固体培地において成長に適切な条件下にて、微生物細胞の集団を増殖することをいう。
【0070】
ポリヌクレオチド又はタンパク質に関して、用語「異種の(heterologous)」は宿主細胞に自然的に発生しないポリヌクレオチド又はタンパク質をいう。いくつかの実施態様においては、タンパク質は、商業的に重要な産業用タンパク質である。その用語は、自然的に発生する遺伝子、変異された遺伝子、及び/又は合成遺伝子によりコードされるタンパク質を含むことを意図する。ポリヌクレオチド又はタンパク質に関して、用語「相同の(homologous)」は、宿主細胞中自然的に発生するポリヌクレオチド又はタンパク質をいう。
【0071】
細胞へ核酸配列を挿入するという文脈中「導入される」という用語は、「トランスフェクション」、「形質転換」、「形質導入」を意味し、核酸配列が細胞の遺伝子(例えば、染色体、プラスミド、プラスチド、又はミトコンドリアDNA)へ取り込まれ、自律レプリコンへ転換し、又は一時的に発現する原核細胞又は真核細胞への核酸配列の取り込みに関することを含む。
【0072】
本明細書にて用いる用語「形質転換される」、「安定に形質転換される」及び「トランスジェニックの」は、細胞がその遺伝子に組み込まれ又は複数世代を通して維持されるエピソームプラスミドとして保持される外来種(例えば、異種の)の核酸配列を有することを意味する。
【0073】
用語、「単離される」、及び「分離される」は、自然に結合する少なくとも一つの成分から除去される物質(例えば、タンパク質、核酸、又は細胞)をいう。例えば、これらの用語は、例えば、自然のままの生物系など、その天然状態中に見られるように通常それを伴っている成分が、実質的又は本質的に無い物質をいうことができる。
【0074】
本明細書にて用いる用語「回収される」は、微生物培養液の一以上の溶解性成分から酵素の少なくとも一部の分離、及び/又は例えば、培養液中の水又はエタノールのような一以上の溶剤から少なくとも一部の分離をいう。回収される酵素は、しばしば回収プロセス前より高い純度である。しかしながら、いくつかの実施態様においては、回収される酵素は、回収プロセス前より同じか低い純度でもよい。
【0075】
用語、「分泌タンパク質」は、細胞から遊離されるポリペプチドの領域をいう。いくつかの実施態様においては、分泌タンパク質は、組み換え融合ポリペプチドから放出又は切断されるタンパク質である。
【0076】
用語、「分泌」は、宿主細胞において膜から細胞外スペース及び周りの培地へ通過するタンパク質の選択的動きをいう。
【0077】
本明細書にて用いる用語「特異的活性」は、特定の条件下にて、単位時間当たり酵素調製物によって産物に転換される基質のモル数をいう。特異的活性は単位(U)/タンパク質のmgとして表わされる。
【0078】
本明細書にて用いる、「洗剤組成物」及び「洗剤製剤」の用語は、汚れた物の洗浄用洗浄媒体において使用を意図する混合物に関して用いる。幾つかの好ましい実施態様において、この用語は、布地及び/又は衣類の洗濯に関して用いる(例えば、「洗濯洗剤」)。別の実施態様においては、この用語は食器、刃物など洗浄に用いるもののような他の洗剤(例えば、「食器洗浄洗剤」)をいう。本発明は任意の特定の洗剤製剤又は組成物に限定することを意図しない。実際、この用語は界面活性剤、トランスフェラーゼ、加水分解酵素、オキシドレダクターゼ、ビルダー、漂白剤、漂白活性剤、青味剤、蛍光染料、凝固阻害剤、マスキング剤、酵素活性剤、抗酸化剤、及び安定化剤を含む洗剤が考えられる。
【0079】
本明細書にて用いる用語「殺菌」は、表面から混入物の除去、並びに、ものの表面上の微生物の阻害又は死滅をいう。本発明は任意の特定の表面、もの、又は取り除くべき混入物又は微生物に限定しない。
【0080】
「微生物培養液」又は「発酵培養液」は、微生物の(例えば、細菌の又は真菌の)細胞が増殖する成長培地及び本明細書に記載のように酵素の発現に適した成長培地をいう。
【0081】
「不溶性酵素」は、固相に存在する酵素をいう。不溶性酵素は固相及び液相、例えば、微生物培養液の固相及び液相の分離の際固相を用いて分離される(即ち、パーティション)。微生物培養液全体において、固相の一部である不溶性酵素に加えて、一般的に、幾つかの酵素が、培地中液相に見られることも理解できる。不溶性酵素は、細胞固形物又は他の固形成分など、微生物培養液中固形物に生じてよく、微生物培養液内で沈殿又は結晶化されてよい。
【0082】
本明細書にて用いる「可溶化」又は「溶解する」は、酵素の沈殿を生じさせる又は不溶性形態中に酵素を維持させる条件又は物質の除去、又は物理的条件の変化(例えば、温度の変化、混合、超音波処理)又は不溶性酵素を溶解性の状態にさせる可溶化物質(例えば、可溶化溶剤、例えば、水、ポリオール類、塩類、酸類、塩基類、界面活性剤類)の添加をいう。
【0083】
不溶性酵素を「精製すること」又は不溶性酵素の「精製」は、目的としない成分、例えば、目的としない微生物培養液の液体成分を部分的又は完全に除去することによる目的の酵素の精製をいう。精製酵素含有組成物は、酵素が精製された混合物より一以上の成分の量が低い。
【0084】
サンプル中、酵素の「純度」は、乾燥固体の全体量で酵素活性を割ることにより計算できる。乾燥固体は液体が除去された後すべての物質の存在の尺度となる。乾燥固体は、とりわけ、タンパク質、塩、炭水化物、代謝産物、核酸、脂質、細胞、細胞残屑、及び消費した発酵培地を含むことができる。酵素純度は、乾燥固体中の成分の一以上に関連する割合として表現できる。
【0085】
「細胞残屑」は、細胞膜破壊後、つまり、微生物細胞の溶解後、放出される細胞壁及び他の不溶性細胞の成分をいう。
【0086】
「培養液調整」は、後の工程での培養液操作に関する特性を改善するために設計された微生物発酵培養液の前処理をいう。培養調整液は、培養液の化学成物及び/又は物理的特性及び/又はレオロジー的特性を変化させ、下流の回収及び/又は製剤化プロセスにおいてその使用を機能させる。培養液調整は、更なる処理をせずにpH変化、加熱処理、冷却、添加剤の添加(例えば、カルシウム、塩、凝集剤、還元剤、酵素活性化剤、酵素阻害剤、及び/又は界面活性剤)、混合、及び/又は培養液の時間に制限を設けた維持(例えば、0.5から200時間)など、一以上の処理を含んでよい。
【0087】
「ATCC」はマナッサス、バージニア、20108に位置するアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)をいう。
【0088】
「NRRL」はアグリカルチャー・リサーチ・サービス・カルチャー・コレクション、ナショナルセンター・フォー・アグリカルチャー・ユーティリゼーション・リサーチ(以前はUSDA ノーザン・リージョナル・リサーチ・ラボラトリーとして知られる)ピオリア、イリノイをいう。
【0089】
「a」、「an」及び「the」は、内容が明らかに他の事を指し示していない限り、複数の指示対象を含む。
【0090】
回収方法
本発明は、微生物培養液から細胞又は細胞残屑を除去せずに、微生物培養液(即ち、酵素を発現する細胞が増殖した微生物の発酵培地)から不溶性酵素を回収する方法を提供する。不溶性酵素の回収は、微生物培養液の可溶性成分から、不溶性酵素を部分的に又は実質的に完全に分離すること、言い換えると、微生物培養液の可溶性成分の少なくとも一部分から不溶性酵素を分離することを含む。本明細書に記載の回収プロセスは、目的の不溶性酵素を一以上含む発酵培養液を細胞又は細胞残屑の除去をせずに、使用のための製剤化されうる目的の回収酵素へ転換する。
【0091】
ある実施態様においては、方法は、酵素を発現する微生物細胞が増殖した微生物培養液及び酵素の少なくとも一部が不溶性である微生物培養液を提供すること、及び細胞を除去せずに不溶性酵素を回収すること、それにより回収された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を生成することを含む。別の実施態様においては、発現された酵素は、微生物培養液中可溶性であり、酵素の少なくとも一部が、沈殿剤の一以上の添加により、不溶性の状態になる。別の実施態様においては、酵素は、微生物細胞により発現されず、微生物細胞が増殖した微生物培養液に添加される。微生物培養液に添加された酵素は、不溶性であるか又は溶解性で、一以上の沈殿剤の添加により不溶性の状態となり得る。微生物細胞は、不溶性酵素の回収前に又は後に溶解してよく、不溶性細胞残屑を生成する。
【0092】
幾つかの実施態様においては、発現された溶解性又は不溶性酵素を含む微生物培養液を外部的に生成された溶解性又は不溶性酵素を含む組成物と組み合わせる。一以上の沈殿剤を少なくとも一つの酵素(微生物培養液を生産した微生物細胞により発現された酵素及び/又は微生物培養液に添加された酵素)を不溶性にするように添加する。
【0093】
幾つかの実施態様においては、液相の少なくとも一部が微生物培養液から除去される時、溶解性酵素は不溶性酵素と一緒に回収されてよい。
【0094】
一般的に、回収された不溶性酵素は、封入体として存在する。
【0095】
幾つかの実施態様においては、別個の微生物発酵からの微生物培養液の2以上を組み合わせ、及び不溶性酵素の一以上を組み合わせた微生物培養液から回収する。
【0096】
本発明の方法は、不溶性酵素は酵素的に活性である。即ち、酵素的反応を触媒できる。不溶性酵素は、触媒的ポテンシャルを有し、即ち、酵素が不溶性の形態中において及び/又は溶剤中に可溶化となった後、及び触媒活性が生ずるのに適切な条件下にて触媒的に活性である。ある実施態様においては、不溶性酵素が不溶性形態中及び可溶化後両方において触媒的に活性である。ある実施態様においては、不溶性酵素は、不溶性形態中不活性であり、可溶化後触媒的に活性になる。
【0097】
種々の実施態様においては、酵素の少なくとも約90、80、70、60、50、40、30、20、又は10%が、不溶性酵素の回収前に微生物培養液中に不溶性である。いくつかの実施態様においては、不溶性酵素の純度は、不溶性酵素の回収後少なくとも約10%増加する。
【0098】
微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む微生物培養液中の不溶性酵素の回収は、例えば、濃縮及び/又は透析ろ過によるものを含んでよい。不溶性酵素を含む微生物培養液は、培養液の溶解性部分の少なくとも一部を除去するように周知の技術の一以上により、濃縮してよく、それにより、培養液中の不溶性酵素の濃度が増加する。周知の技術は、膜処理(例えば、限外ろ過、精密ろ過、ナノフィルタレーション)、遠心分離、及び抽出を含むが、これらに限定されない。濃縮に代えて、又は、濃縮と共に、透析ろ過を一般的に、水に対して微生物培養液を透析ろ過する膜処理を用いることにより、微生物培養液の溶解性部分の少なくとも一部を置換するために用いてよい。
【0099】
本発明の方法では、微生物細胞を目的の酵素の発現に適した条件下にて、培養培地中で培養し、それにより、目的の酵素を含む微生物培養液を生成する。例えば、目的の酵素は、発現ベクターから宿主細胞中に発現してよい。目的の酵素を培養培地へ分泌してよく、又は分泌されずに細胞内に発現してよい。
【0100】
培養培地に分泌される酵素は、細胞の増殖に用いる条件下にて、培養培地中で本来不溶性であってよく、又は酵素の不溶性が酵素の回収前に沈殿剤を添加することにより誘発されてよい。沈殿剤の例は、塩類(例えば、NaCl、NaSO、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、約0.1から約50%(w/v)濃度)、高分子電解質(例えば、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、タンニン酸、ポリリン酸塩)、及び温度又はpHの変化、又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。(Isolation and Purification of Proteins (2003) R. Hatti-Kaul及びB. Mattiasson, ed., Marcel Dekker, Inc., pp.225-275; Bioseparations: Science and Engineering (2003) R.G. Harrison, P. Todd, S.R. Rudge, D.P. Petrides, pp. 243-271; Protein Purification: Principles and Practice (1994) R.K. Scopes, Springer, pp. 71-101.; Protein Purification Process Engineering (1994) R.G. Harrison, ed., Marcel Dekker Inc.,“Differential Precipitation of Proteins,” pp.115-208を参照願いたい。)
【0101】
また、溶解性酵素も例えば、基質‐酵素相互作用又は阻害剤‐酵素相互作用などの親和性相互作用により、例えば、親和性樹脂と接触することにより、不溶性の状態になってよい。
【0102】
細胞内に発現する及び分泌されない酵素は細胞の可溶化により放出してよい。放出された酵素をそれが放出される培養培地中の条件下では本来不溶性の物質であってよく、又は不溶性は、上述のように酵素の回収の前に沈殿剤の添加により誘発されてよい。
【0103】
本明細書に記載の目的の酵素を発現のために用いることができる微生物細胞は、原核細胞又は真核細胞、例えば、細菌の微生物又は真菌の微生物でよい。用いられ得る真核微生物の例は、トリコデルマ種(Trichoderma sp.)、ヒポクレア(Hypocrea sp.)種、アスペルギルス種(Aspergillus sp.)、ペニシリウム種(Penicillium sp.)、サッカロミセス種(Saccharomyces sp.)、シゾサッカロミセス種(Schizosaccharomyces sp.)、ハンセヌラ種(Hansenula sp.)及びフザリウム種(Fusarium sp.)を含むが、これらに限定されない。用いられ得る原核微生物の例は、バシルス種(Bacillus sp.)、ストレプトミセス種(Streptomyces sp.)、パントエア種(Pantoea sp.)、エシェリキア種(Escherichia sp.)及びシュードモナス種(Pseudomonas sp)を含むが、これらに限定されない。
【0104】
不溶性の形態で発現される酵素又は例えば、沈殿剤の添加により、溶解性の形態で発現され、不溶性の状態にできる酵素は本明細書に記載の方法に従って回収されてよく、任意に、本明細書に記載のように粒状の又は液体の製剤中に製剤化してよい。いくつかの実施態様においては、酵素は、加水分解酵素、例えば、プロテアーゼ(細菌の(例えばスブチリシン)又は真菌類、酸性、中性、又はアルカリ性)、アミラーゼ(アルファ又はベータ)、リパーゼ、又はセルラーゼである。いくつかの実施態様においては、酵素は、例えば、米国特許第4,760,025、EP特許第130 756、又はPCT出願番号WO 91/06637に記載のスブチリシンである。いくつかの実施態様においては、酵素は、PCT出願番号WO08/112459に記載のアルファ‐アミラーゼである。いくつかの実施態様においては、酵素は、セルラーゼであり、例えば、マルチフェクトL250(商標)(Multifect L250)、又はプラダックス(商標)(Puradax)であり、これらはGenencor, Division of Danisco US, Inc.から商業的に入手できる。いくつかの実施態様においては、酵素は、オキダーゼ、オキシゲナーゼ、トランスフェラーゼ、デヒドラターゼ、レダクターゼ、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラチナーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、ベータ‐グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、カタラーゼ、イソメラーゼ、ペクチン分解酵素、又はマンナナーゼ、又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施態様においては、酵素は、フィターゼである。いくつかの実施態様においては、酵素は、ペルヒドロラーゼ酵素であり、例えば、PCT出願第WO 05/056782に記載の酵素である。
【0105】
本明細書に記載の回収方法により、不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物が生産される。いくつかの実施態様においては、組成物は、傷が無い微生物細胞を含む。ある実施態様においては、傷が無い微生物細胞は、生きた微生物細胞である。ある実施態様においては、傷の無い微生物細胞は、死んだ細胞である。(例えば、発酵混合物のpHを、鉱物酸を用いる相溶性有機酸のpKaの約2pH単位以下に調整することにより、及び混合物に相溶性有機酸及び/又は有機酸塩の十分な量を添加し、実質的に完全な細胞死を与えることにより、細胞を死滅する方法を記載する米国特許第5,801,034を参照願いたい。)
【0106】
幾つかの実施態様においては、組成物は、可溶化された微生物細胞、即ち、微生物細胞の可溶化により生成された細胞残屑を含む。ある実施態様においては、方法は、不溶性タンパク質の回収前に、微生物細胞膜を破壊し、微生物細胞可溶化物を生成することを含む。微生物培養液中に溶解する酵素及び一以上の沈殿剤の添加により誘発される不溶性の酵素の場合において、微生物細胞膜の破壊が、沈殿剤の添加前又は後いずれかで生じてよい。いくつかの実施態様においては、細胞膜の破壊は、細胞が微生物細胞を可溶化できる酵素、例えば、リゾチーム酵素と接触することにより達成される。ある実施態様においては、微生物細胞を可溶化できる酵素で可溶化した細胞をさらに均質化し、均質化した微生物細胞溶解物を生成する。他の実施態様においては、細胞膜の破壊は、機械的均質化により達成できる。
【0107】
本明細書に記載のように調製された一以上の不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む酵素含有組成物を粒状又は液体の製剤に製剤化してよい。
【0108】
粒状製剤
低いダスティングの、安定した酵素顆粒を不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む微生物培養液から生成してよい。幾つかの実施態様においては、不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む微生物培養液は、上述の任意の回収方法に従って生成される。酵素顆粒は周知の方法により生成してよく、その例は、トップスプレー流動床コーティング装置で、ボトムスプレー式ウルスター(Wurster)コーティング装置で、又はドラム造粒(例えば、高せん断粒状)押し出し成型、又はパンコーティングである。
【0109】
本発明は、例えば、上述のような回収方法を通して生成された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を提供し、組成物を含む酵素含有顆粒を生成し、ここで、顆粒中の不溶性酵素が、酵素的に活性であるとき、即ち、生じるべき触媒活性のために適切な条件下、酵素が基質と接触する時、酵素的に活性化できることを特徴とする、酵素含有顆粒を作成する方法を提供する。酵素は、例えば、酵素含有顆粒の使用において、生じるべき酵素活性のために適切な条件下にて、基質存在下、不溶性形態中及び/又は溶剤に溶解している場合、触媒的に活性である。ある実施態様においては、酵素は不溶性形態中及び可溶化後両方において触媒的に活性である。ある実施態様においては、酵素は不溶性形態中不活性であり、可溶化後、触媒的に活性になる。
【0110】
ある実施態様においては、酵素含有顆粒をトップスプレー流動床装置で生成する。ある実施態様においては、上述のような不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を含む酵素含有層をトップスプレー流動床装置でコアの表面上にコーティングする。任意に、顆粒は、コアと酵素含有層の間に塩層を含んでよい。塩は、例えば、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、又はそれらの混合物から選択されてよい。一以上の更なる層を酵素含有層の表面上にコーティングしてよい。例えば、バリア塩層を酵素含有層の表面上にコーティングしてよい。幾つかの実施態様においては、外側コーティング層の一以上を酵素含有層の表面上、又は酵素含有層の表面上にコーティングされたバリア塩層の表面上にコーティングしてよい。外側コーティング層は、例えば、ポリマー及び/又は色素を含んでよい。
【0111】
幾つかの実施態様においては、上述のように、不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物は、コアの中に取り込まれ、一以上の層は酵素含有コアの表面上にコーティングされる。例えば、バリア塩層は、酵素含有コアの表面上にコーティングされてよい。幾つかの実施態様においては、一以上の外側コーティング層は、酵素含有コアの表面上、又は、酵素含有コアの表面上にコーティングされたバリア塩層の表面上にコーティングされてよい。外側コーティング層は、例えば、ポリマー及び/又は色素を含んでよい。
【0112】
いくつかの実施態様においては、不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む顆粒を高せん断造粒など、ドラム式造粒により生成する。そのような顆粒は、酵素含有コア(不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む)及びコアを覆うコーティング層の一以上を含む。そのようなコーティング層は、ポリエチレングリコール又はポリビニルアルコール等、ポリマー、二酸化チタン又はグリセロールなど色素を含むが、これらに限定されない。
【0113】
また、本発明の顆粒は、可塑剤、充填剤、及び潤滑剤などのような成分をさらに含んでよいが、これらに限定されない。
【0114】
本発明は、コア及びコアの周りの層中の酵素含有組成物又はコアに取り込まれている酵素含有組成物、及び任意に一以上の追加的な層を含む酵素含有顆粒を提供する。酵素含有組成物は、例えば、上述のように生成した不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は微生物細胞残屑を含む。不溶性酵素は、顆粒中で酵素的に活性であるとき、つまり、生じるべき触媒活性のために適切な条件下、酵素が基質と接触する場合、酵素的に活性化されうる。また、微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物中の溶解性酵素(例えば、溶解性酵素及び細胞及び/又は細胞残屑を有する微生物培養液)も本明細書に記載のように、粒状の製剤において製剤設計してよい。
【0115】
本発明の顆粒は低いダストを有する。例えば、ホイバッハ摩耗試験により測定して、50、40、30、20、10、5、4、2、1、又は0.5 mg/pad未満である。周囲の湿度及び温度条件下にて貯蔵される場合、顆粒は安定であるが、使用時に、水と接触して溶解又は分散し、酵素を放出する。
【0116】
保護コーティングの無い小さな顆粒は、酵素顆粒製造プラント中及び使用者の製造プラントでの両方で、空気輸送及び充填作業の間、大量のダストを発生させる。ダストは、衛生問題及び製造問題の両方を生じうるので、出来る限り最小限にすべきである。いくつかの産業用試験が、摩耗に対する機械的耐性及び異なる粒状の酵素製剤のダスティング形成を測定するために開発されてきた。これらは、ホイバッハ摩耗試験及びエルトリエーション(elutriation)試験を含む。ホイバッハ試験は、回転するパドルを用いて、シリンダーチャンバー内に含まれる顆粒床を通って、鋼球を転がし、及び同時にその床を通って空気流をいきわたらせ、発生する任意のダストをはぎ取ることにより、対象粒子を所定の粉砕化及び流動化する力で評価する。発生したダストは、チューブを通して吸引により引きつけられ、ホイバッハチャンバーの外でフィルターパッド上に沈殿される。回収されたダストの重量又は活性成分をホイバッハダストと呼ぶ。エルトリエーション試験において、顆粒を背の高い試験管内でガラスフリット上に置き、一定の時間の間にわたって、一定の乾燥空気流で流動化する。ホイバッハ及びエルトリエーションダスト試験の原理、操作、及び限定の説明は例えば、“Enzymes In Detergency” ed. Jan H. van Ee., Ch. 15, pgs. 310 − 312, (Marcel Dekker, Inc. New York (1997)及び本明細書に引用される文献に記載される。また、ホイバッハダスト試験は米国特許第5,324,649、5,879,920、及び7,108,821に記載される。
【0117】
コアは、顆粒の内側の核である。本発明にて用いるために有用なコアは、好ましくは、高い水和性の物質(言い換えると、水中にて容易に分散又は溶解する物質)である。コア材料は、真性水溶液への移行により、水中で分散(水和された時に分散される)しても、又は水中で溶解してもよい。クレイ(ベントライト、カオリン)、ノンパレイル及び凝集ジャガイモデンプンは、分散すると考えられる。ノンパレイルは、コーティング装置で粉体及び溶液の層をシードクリスタルに結合することにより、球状体の表面上に構築され及び球状へ丸くしたシードクリスタルからなる球状粒子である。一般的に、ノンパレイルは、スクロースなど糖及びトウモロコシデンプンなど粉体の組み合わせから作られる。適切なコアは、スクロース結晶、塩化ナトリウム、又は硫酸ナトリウムシード、及び硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどで構成されてよい他の無機塩を含むシード結晶物質をさらに含む。
【0118】
無機塩及び/又は糖及び/又は小さい有機分子から構成される顆粒は、本発明のコアとして用いてよい。コアの中に取り込んでよい適切な水溶性成分は、塩化ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、尿素、クエン酸、スクロース、乳糖等を含む。水溶性成分は水分散性成分と組み合わせることができる。本発明のコアは、次の一以上をさらに含んでよい。それは、活性成分、ポリマー、充填剤、可塑剤、繊維材料、増量剤及びコアに用いるのに知られる他の化合物である。適切なポリマーはポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール、酸化ポリエチレン、及びポリビニルピロリジンを含む。PVAは、部分的に加水分解された(70−90%)、中程度に加水分解された(90−98%)、完全に加水分解された(98−99%)、かなり加水分解された(99−100%)PVA又は低粘度から高粘度を伴うそれらの混合物でよい。
【0119】
本明細書に記載される酵素含有顆粒のコアは、一以上の無機塩又はスクロース結晶からなってよい。いくつかの実施態様においては、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸カルシウム、又はそれらの組み合わせからなる。ある実施態様においては、コアは、硫酸ナトリウムからなる。
【0120】
コアに用いるために有用な充填剤は、嵩高さを加え及びコストを低減するために用いる不活性物質、又は最終顆粒中に意図された酵素活性を調整の目的のために用いる不活性物質を含む。充填剤などの例は、尿素、塩類、糖類、及びクレイ、タルク、シリケート、カルボキシメチルセルロース及びデンプン類などのような水溶性剤を含むが、これらに限定されない。
【0121】
本発明のコアに用いるために好適な可塑剤は、そのガラス転移温度を低減するためにポリマーに添加された不揮発性溶剤であり、それにより、もろさが低減し、及び変形能が増強される。一般的な可塑剤は、低分子量の有機化合物であり、特に可塑化されるポリマーに高い特異性がある。その例としては、糖類(グルコース、フルクトース、及びスクロース等)、糖アルコール(ソルビトール、キシリトール、及びマルチトールなど)、ポリオール(例えば、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はポリエチレングリコールなど多くのヒドロキシラジカル基を有するアルコールのような多価アルコール)尿素又はジブチル又はジメチルフタレートなど他の知られる可塑剤など極性の低分子有機化合物、又は水を含むがこれらに限定されない。
【0122】
本発明のコア中に用いるために有用な繊維物質は、高い引張強さを有する物質及び1から50ミクロンの直径及び少なくとも直径の4倍に等しい長さを有する微細なフィラメントに形成できる物質を含む。一般的な繊維物質は、セルロース、グラスファイバー、メタルファイバー、ゴムファイバー、アズロン(トウモロコシ、ピーナッツ、及び牛乳中に自然的に発生するたんぱく質から製造される)及び合成ポリマーファイバーを含むが、これらに限定されない。合成物は、レイヨン(商標)(Rayon)、ナイロン(Nylon)、アクリル、ポリエステル、オレフィン、サラン(Saran)スパンデックス(Spandex)及ビナル(Vinal)を含む。典型的なセルロースファイバーは直径約30ミクロンを有する160ミクロンの平均繊維長さを有する。
【0123】
コアは、周知の多様な造粒方法により加工でき、結晶化、沈殿、パンコーティング、流動床コーティング、回転式噴霧、押し出し成形、球状化、ドラム式造粒、及び高せん断凝集を含む。
【0124】
本発明のある実施態様においては、コアは、任意にさらにコーティングできる水溶性又は分散性ノンパレイル(上述のように糖でも又は塩でも)又は、ポリビニルアルコール(PVA)単独でも、二酸化チタン、タルク、又は、スクロース若しくはポリオールなど可塑剤のような抗凝固剤と組み合わせても用いるシードクリスタル(ノンパレイル)から構築される水溶性又は分散性ノンパレイルである。ノンパレイルのコーティング中PVAのレベルは、コーティングされるノンパレイルの重量の約0.5%から20%存在してよい。
【0125】
一般的に、本明細書に取り込まれる任意の活性成分を含むコアは、衝撃感度粒子である。しかしながら、本発明は、コアのタイプにより限定されず、多くの特許及び刊行物は、本発明に用いられるコアを記載し、引用文献はUSP 5,879,920、USP 4,689,287及びWO 00/24877である。
【0126】
酵素
一以上不溶性酵素を本発明の低いダスティングの、安定的な酵素顆粒中に用いてよい。上述のように調製される、一以上の不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む酵素含有組成物は、本明細書に記載する顆粒に取り込まれてよい。
【0127】
いくつかの実施態様においては、酵素は、一般的に加水分解酵素、例えば、プロテアーゼ(細菌の(例えばスブチリシン)又は真菌類、酸性、中性、又はアルカリ性)、アミラーゼ(アルファ又はベータ)、リパーゼ、又はセルラーゼである。いくつかの実施態様においては、酵素は、例えば、米国特許第4,760,025、EP特許第130 756、又はPCT出願番号WO 91/06637に記載のスブチリシンである。いくつかの実施態様においては、酵素は、PCT出願番号WO08/112459に記載のアルファ‐アミラーゼである。いくつかの実施態様においては、酵素はセルラーゼであり、例えば、マルチフェクトL250(商標)(Multifect L250)、プラダックス(商標)(Puradax)であり、これらはGenencor, Division of Danisco US, Inc.から商業的に入手できる。いくつかの実施態様においては、酵素は、オキダーゼ、オキシゲナーゼ、トランスフェラーゼ、デヒドラターゼ、レダクターゼ、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラチナーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、ベータ‐グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、カタラーゼ、イソメラーゼ、ペクチン分解酵素、又はマンナナーゼ又は、それらの組み合わせを含む。いくつかの実施態様においては、酵素は、フィターゼを含む。いくつかの実施態様においては、酵素は、ペルヒドロラーゼ酵素を含み、例えば、PCT出願第WO 05/056782に記載の酵素である。いくつかの実施態様においては、酵素は、基質(例えば、汚れ)を加水分解できる。
【0128】
ある態様において、微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物中の一以上の不溶性酵素は、顆粒のコアに取り込まれる。別の好ましい態様においては、微生物細胞及び/又は細胞残屑に含まれる組成物中の一以上の酵素は、コアの周りに積層される。コアの周りに積層された場合、酵素を含む層は、ポリマーなどバインダーをさらに含む。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)などのビニルポリマーである。
【0129】
任意に、酵素を含む層は、酵素含有組成物に加えて一以上の他の成分をさらに含んでよい。そのような非酵素成分は、ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール)、糖(例えば、スクロース、サッカロース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マルトデキストリン)、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、タピオカデンプン、ジャガイモデンプン、化学的又は物理的修飾デンプン)、デキストリン、消泡剤(例えば、Foamblast 882 (Emerald Foam Control)、Erol DF 204K (Ouvrie PMC)、DG436 (ODG Industries, Inc.)、KFO 880 (KABO Chemicals, Inc.)のようなポリエーテルポリオール)、糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール)、界面活性剤(例えば、Neodol 23−6.5(Shell Chemical LP, Houston, TX)及び Lutensol TO65 (BASF)のようなアルコールエトキシレート)、及び再付着防止剤(例えば、Repel−o−Tex SRP6 (Rhodia, Inc.)、Texcare SRN−100又はSRN−170 (Clariant GmbH)、Sorez−100(ISP Corp.)のようなポリエチレングリコールポリエステル)を含むが、これらに限定されない。
【0130】
「消泡剤」は泡を防ぎ、泡を壊すために用いる化合物である。また、これらは、デフォーマー(defoamer)又はデフォーマー剤(defoaming agent)といわれる。これらの化合物は液体の表面弾性を減少し、準安定性な泡の形成を防ぐ界面活性物質である。液体の表面弾性及び界面活性物質の間で平衡に達する性質の結果として泡が壊れる。(Vardar-Sukan (1991) Recent Adv. Biotechnol. 113-146)。本明細書に記載の顆粒に有用な消泡剤は、一般的にバイオプロセス中の使用に適している。適切な消泡剤は、脂質、油、ワックス、脂肪酸、又はエステル、アルコール、硫酸塩、スルホン酸塩、脂肪酸、石鹸、窒素化合物、リン酸塩、ポリグリコール、硫黄化物、チオ化合物、シロキサン及びハロゲン化及び無機化合物を含むが、これらに限定されない。(Ghildyal (1988) Adv. Appl. Microbiol. (1988) 33:173-222)。いくつかの実施態様においては、油、脂肪酸、エステル、ポリグルコール、及びシロキサンが有用である。いくつかの実施態様においては、消泡剤は、エチレンオキシドプロピレンオキシドコポリマーである。ある実施態様においては、オキシドプロピレンオキシドコポリマーは、約2200の分子量(例えば、Mazu(商標)としてMazer Chemicals, Inc.から入手可能である)を有する。
【0131】
本発明の顆粒を酵素固形物(上述のように生成された、回収された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑)の重量に基づき0.01%から50%又は75%を含んでよい。種々の実施態様においては、顆粒は、少なくとも約0.5、5、10、20、30、又は40%重量の酵素固形物を含んでよい。任意のバインダー及び本明細書に記載の他の成分を含む酵素固形物を含む層は、顆粒の重量に基づき、約0.2%から70%又は80%の間を含んでよい。
【0132】
いくつかの実施態様においては、20センチポイズ未満の粘度を有する酵素含有層により、凝集が生じないように造粒できる。
【0133】
コーティング層
本発明の顆粒は、一以上の他のコーティング層をさらに含んでよい。コーティング層は、顆粒の最終用途に応じて任意の多くの機能に役立ってよい。例えば、コーティングは、活性成分、特に酵素に漂白による酸化に対する耐性を与え、コーティング層は、顆粒を水性媒体へ導入する時に所望の溶解速度を与え、又は顆粒の保管安定性を増強し及び顆粒内で微生物の増殖の可能性を低減するために環境湿度に対して防壁となりうる。
【0134】
本発明の実施態様においては、コーティング層は、一以上のポリマー、及び任意に、低残渣色素又は潤滑剤など他の賦形剤を含む。そのような賦形剤は、当業者に知られている。さらに、コーティング剤を同じ又は異なるカテゴリーの他の活性剤とともに用いてよい。
【0135】
適切なポリマーは、PVA及び/又はPVP又は両者の混合物を含む。もしPVAが用いられる場合、PVAは、部分的に加水分解された、完全に加水分解された、又は中程度に加水分解されたPVAであって、低度から高程度の粘度を有するPVA(好ましくは、低粘度を有する部分的に加水分解されたPVA)でよい。有用な他のビニルポリマーは、ポリビニルアセテート及びポリビニルピロリドンを含む。例えば、有用なコポリマーは、PVA−メチルメタクリレートコポリマーを含む。PEGなど他のポリマーは外側の層に用いてもよい。これらのさらなるコーティング層は、一以上の次のものをさらに含む。それは、可塑剤、色素、界面活性剤又は静電気防止剤などの潤滑剤及び任意に追加的な酵素である。本発明のコーティング層に用いるのに好適な可塑剤は、本明細書に既に記載したものである。本発明のコーティング層に用いるのに好適な色素は、二酸化チタン又は炭酸カルシウムなど微細に分割されたホワイトナー、又は着色色素又はそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。好ましいそのような色素は、溶解時、低残渣色素である。
【0136】
本明細書にて用いる「潤滑剤」は、表面の摩擦を低減する、顆粒の表面を滑らかにする、静電気を低減する、又は顆粒のもろさを低減する任意の物質をいう。また、潤滑剤は、コーティングプロセスでのバインダーの粘着性を低減することにより、コーティングプロセスを改善する点で関係する役割もまたになう。つまり、潤滑剤は、抗凝集剤及び湿潤剤として働くことができる。
【0137】
好適な潤滑剤は、界面活性剤(イオン性、非イオン性、又はインイオン性)、脂肪酸、抗静電気剤、及び防塵剤を含むが、これらに限定されない。好ましい潤滑剤は、界面活性剤、及びより好ましくは、9から15炭素原子鎖の長さのアルカン又はアルケン直鎖、第一級アルコール又はそれら、エトキシレート又はエトキシサルフェート誘導体などアルコールをベースとした界面活性剤である。そのような界面活性剤は、Shell International Petroleum Company製のネオドール(商標)(Neodol)製品ラインとして商業的に入手可能である。他の適切な潤滑剤は、スタティックガード(商標)(StaticGuard)、ダウニー(商標)(Downey)、トリトン(Triton) X100又は120等のような抗静電気剤、テフロン(Teflon)等のような防塵剤、又は当業者に知られている他の潤滑剤を含むが、これらに限定されない。
【0138】
バインダー、構造化剤、及びバリア層など、他の中間層を含んでよい。好適なバリア物質は、例えば、無機塩、糖類、又は、有機酸又は塩類を含む。構造化剤は、ポリサッカロイド類又はポリペプチドでよい。好ましい構造化剤は、デンプン、修飾デンプン、カラギーナン、セルロース、修飾セルロース、アラビアゴム、グアーゴム、アカシアゴム、キサンタンゴム、ローカスビームゴム、キトサン、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸を含む。好ましい、構造化剤は、低アレルギー性である。構造化剤2以上の組み合わせを本発明の顆粒中に用いることができる。バインダーは、糖類及び糖アルコール類を含むが、これらに限定されない。好適な糖類は、スクロース、グルコース、フルクトース、ラフィノース、トレハロース、ラクトース及びマルトースを含むが、これらに限定されない。好適な糖アルコール類は、ソルビトール、マンニトール及びイノシトールを含む。
【0139】
バリア層
いくつかの実施態様においては、バリア層は、本明細書に記載のように、酵素含有顆粒中、酵素層表面又は酵素含有コアの表面にコーティングされる。いくつかの実施態様においては、バリア層は、例えば、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、及び/又は硫酸アンモニウムのような一以上の塩を含む。いくつかの実施態様においては、バリア層は、硫酸ナトリウムを含む、硫酸ナトリウムからなる、又は実質的に硫酸ナトリウムからなる。いくつかの実施態様においては、バリア層は、糖(例えば、スクロース)、ポリサッカライド(例えば、デンプン)、又はそれらの組み合わせを含む。
【0140】
いくつかの実施態様においては、バリア層は水和物である。用語「水和した」は、バリア物質が遊離形態または結合形態、もしくはそれら2つの組合せで水を含有することを意味する。水和の水は、コーティングプロセス中またはその後のいずれかに加えてよい。水和の程度は、物質それ自体及び温度、それが適用される湿度及び乾燥条件の関数となる。
【0141】
「中程度又は高い」水分活性は少なくとも約0.25、0.30、又は0.35の水分活性を有することを意味する。本明細書にて称される水分活性は、顆粒が顆粒上にコーティングされるバリア物質の一層を有する(が、さらなるコーティングが無い)場合の、その顆粒自身の水分活性をいう。さらなるコーティングは異なる層としてバリア物質の水分活性の正確な測定を困難にするおそれがある。
【0142】
理論で拘束されることを意図しないが、0.25より大きい水分活性を有する物質が25%より大きい相対湿度での貯蔵条件下に水分を取り込む駆動力を低減することが予想される。たいていの気候は25%以上の相対湿度を有する。多くの洗剤は約0.3から0.4の範囲で水分活性を有する。顆粒の水分活性が、周囲の洗剤又は貯蔵天候のものより実際に高いならば、顆粒により水分を取り込む駆動力は除去され、さらに水分は顆粒からその周囲に放出されるに至る。たとえ顆粒の水分活性が洗剤又は対応する相対湿度の水分活性より低くても、バリア層に存在する水分は顆粒により取り込まれる水分の量を制限し、タンパク質コアに影響を与えるシールドとして働くだろう。
【0143】
塩水和物の場合、水和物物質は、結晶の結合水を有する結晶塩水和物である。その水和物は、得られるコーティングされる顆粒が0.25を上回る水分活性を有するように、又は触感では乾燥している状態である顆粒を維持しながらできるだけ高い水分活性を有するような方法で選択され、適用されるべきである。塩水和物又は任意の他の適切な水和バリア物質をそのような方法にて、適用することにより、顆粒による水分のさらなる取り込みを誘発するすべての駆動力を除去する。重要な結果として、過ホウ酸塩又は過酸化物の陰イオンのような酵素活性に有害な物質の輸送の駆動力が除去される。媒体として水がない場合、これらの物質は、酵素コアへ浸透する可能性が低くなる。実験データは、顆粒中の酵素活性が安定な塩水和物で酵素コアをコーティングすることにより実質的に増強されることを示す。
【0144】
水和バリア層の生産のために有用な塩の例は、硫酸マグネシウム7水和物、硫酸亜鉛7水和物、硫酸銅5水和物、リン酸ナトリウム2塩基性7水和物、硝酸マグネシウム6水和物、ホウ酸ナトリウム10水和物、クエン酸ナトリウム2水和物及び酢酸マグネシウム4水和物を含む。
【0145】
外側のコーティング層
いくつかの実施態様においては、酵素含有顆粒は外側のコーティング層を含む。ある実施態様においては、外側のコーティング層を酵素層の表面にコーティングする。いくつかの実施態様においては、外側のコーティング層を一以上の中間コーティング層の表面にコーティングする。ある実施態様においては、外側のコーティング層を酵素層の表面を又は酵素含有コアの表面をコーティングするバリア層の表面にコーティングする。
【0146】
いくつかの実施態様においては、外側のコーティング層は一以上のポリマーを含む。適切なポリマーはポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアセテート、PVA−メチルメタクリレートコポリマー、PVP−PVAコポリマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、キトサン、アラビアゴム、キサンタン、カラギーナン、ラテックスポリマー、及び腸溶性ポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0147】
いくつかの実施態様においては、外側のコーティング層はPVAを含む。外側のコーティング層中に含まれる有用なPVAは、低粘度から高粘度を有する、部分的に加水分解される、完全に加水分解される、及び中程度に加水分解されるPVAを含む。(例えば、米国特許第5,324,649を参照願いたい。)ある実施態様においては、外側のコーティング層は低粘度を有する部分的に加水分解されるPVAを含む。
【0148】
いくつかの実施態様においては、外側のコーティング層は一以上の色素を含む。有用な色素の例は、二酸化チタン又は炭酸カルシウムのような白い微粉、硫酸カルシウム、タルク、又は着色顔料又は染料を含むが、これらに限定されない。一般的にそのような色素は、溶解すると低残渣色素である。ポリマー及び/又は色素に加えて外側のコーティング層は可塑剤、増量剤、潤滑剤、界面活性剤、及び再付着防止剤の一以上を含んでもよい。
【0149】
有用な可塑剤は、ポリオール(例えば、糖類、糖アルコール類、ポリエチレングリコール類(PEG類)、グリコール、プロピレングリコール)、尿素、クエン酸トリエチル、フタル酸ジブチル又はジメチル、又は水を含むが、これらに限定されない。
【0150】
有用な増量剤は、糖類(例えば、スクロース、マルトデキストリン又はトウモロコシシロップ固形物のようなデンプン加水分解物)、クレイ(例えば、カオリン又はベントナイト)、及びタルクを含むが、これらに限定されない。「増量剤」は、別の物質(一般的に高いコスト及び高い性能)に加える物質(一般的に低いコスト)であり、物質を修飾し、希釈する。
【0151】
有用な潤滑剤は、非イオン界面活性剤類(例えば、Neodol、Lutensol TO 65)、牛脂アルコール類、脂肪酸類、脂肪酸塩類(例えば、ステアリン酸マグネシウム)、及び脂肪酸エステル類を含むが、これらに限定されない。
【0152】
有用な界面活性剤は、Neodol 23−6.5及びLutensol TO65のようなアルコールエトキシレ−ト類を含むが、これらに限定されない。
【0153】
有用な再付着防止剤は、Repel−o−Tex SRP6、Texcare SRN−100又はSRN−170、及びSorex−100のようなポリエチレングリコールポリエステル類を含むが、これらに限定されない。
【0154】
他の補助成分
補助成分を本発明の酵素含有顆に添加してもよい。補助成分としては、金属塩、可溶化剤、活性化剤、酸化防止剤、染料、阻害剤、結合剤、香料、硫酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、尿素、塩酸グアニジン、炭酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、二酸化チオ尿素、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンのような酵素保護剤/スカベンジャーやグリシン、グルタミン酸ナトリウムなどのアミノ酸、ウシ血清アルブミン、カゼイン等などのようなタンパク質、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤及び長鎖脂肪酸塩を含む界面活性剤、ビルダー、アルカリまたは無機電解質、漂白剤、青味剤及び蛍光染料及び凝固阻害剤を含むがこれらに限定されない。
【0155】
マトリックス顆粒
ある実施態様においては、顆粒は、糖又は糖アルコール及び構造化剤と組み合わせて混合された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を含むタンパク質「マトリックス」を含む(EP1037968B1を参照願いたい。)任意に、バリア層を酵素含有マトリックスの表面上に積層してよく、又はバリア物質は酵素含有マトリックスに含まれてよい。また、任意にコーティングをシード粒子、シード粒子周辺の酵素マトリックス及び/又はバリア層の表面上に適用してよい。いくつかの実施態様においては、構造化剤はポリサッカライド又はポリペプチドである。マトリックスはコアを通して均一であり、又はシード粒子の表面上に積層してよい。シード粒子及びマトリックスの間又はマトリックス及びバリア層の間に一以上の層があり、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)のようなコーティングである。マトリックス顆粒は、例えば、トップスプレー流動床装置で生成されることができる。
【0156】
酵素マトリックスが積層される時に不活性な粒子であるシード粒子は、無機塩類、糖類、糖アルコール類、有機酸又は塩類など小さな有機分子、クレイ又はシリケートなど鉱物類、又はこれらの2以上の組み合わせから構成できる。シード粒子に取り込まれるために好適な可溶性成分は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、尿素、クエン酸、クエン酸塩、ソルビトール、マンニトール、オレイン酸塩、スクロース、ラクトース等を含む。可溶性成分をタルク、カオリン、またはベントナイトなど分散成分と組み合わせてよい。シード粒子を多様な造粒方法により作成してよく、造粒方法は、結晶化、沈殿、パンコ−ティング、流動床コーティング、流動床凝集、回転式噴霧、押し出し成形、顆粒化、球状化、ドラム式造粒及び高せん断凝集を含む。本発明の顆粒において、シード粒子を用いる場合、シード粒子:顆粒の比は1:1である。
【0157】
好適な糖類は、スクロース、グルコース、フルクトース、ラフィノース、トレハロース、ラクトース及びマルトースような糖を含む。好適な糖アルコール類は、ソルビトール、マンニトール及びイノシトールを含む。マトリックス中の糖又は糖アルコール対構造化剤の割合は、好ましくは、タンパク質マトリックスの重量に基づき0.1%から90%である。マトリックス中の糖又は糖アルコールは、タンパク質に添加される糖又は糖アルコールで良く、又はタンパク質が存在する発酵培養液由来でよい。
【0158】
構造化剤はポリサッカライド又はポリペプチドでよい。化合物のこれらの分類は、高い分子量及び高い水の溶解度の同時に存在する所望の特性ある。理論に拘束されずに、構造化剤の高い分子量は、糖又は糖アルコールマトリックス単独での欠ている二つの重要な特性に寄与する。それは、
(1)粒子のダストになる性質を顕著に低減する粒子への凝集性及び強さを提供する、及び
(2)マトリックス構造を通してポリマーネットワーク又は「ケージ」を形成する理由により水及び小さい分子に対して拡散するバリアとして役立つことである。これは、顕著に顆粒の安定性を改善する。
【0159】
好ましい構造化剤は、デンプン、修飾デンプン、カラギーナン、セルロース、修飾セルロース、アラビアゴム、グアーゴム、アカシアゴム、キサンタンゴム、ローカスビームゴム、キトサン、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸を含む。好ましくは、構造化剤は、低アレルギー性である。構造化剤2以上の組み合わせを本発明の顆粒中に用いることができる。
【0160】
酵素含有マトリックスは、一以上の合成ポリマー又は当業者が知っている他の賦形剤をさらに含んでよい。適切な合成ポリマーは、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及びポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドを含む。また、酵素含有マトリックスは、可塑剤及び抗凝集剤もさらに含んでよい。本発明の使用に有用な可塑剤は、グリセロール、プロピレングリコール、又はポリエチレングリコール(PEG)のようなポリオール、尿素、又はクエン酸トリエチル、ジブチル又はジメチルフタレートなど他の知られる可塑剤、又は水を含む。好適な抗凝集剤は、微細な不溶性物質又はタルク、TiO、クレイ、アモルファスシリカ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及び炭酸カルシウムなど溶けにくい物質を含む。
【0161】
マトリックス顆粒は、バリア層をさらに含むことができる。バリア層はマトリックス中のタンパク質または酵素に不利に影響し得る基質の拡散を遅くする、または防止するために使用できる。バリア層は、バリア物質から構成され、タンパク質コアの表面上にコーティングされ、又はバリア物質はタンパク質コア中に含まれていてもよい。適当なバリア物質としては、例えば、無機塩類又は有機酸類または塩類が挙げられる。また、タンパク質のないマトリックスをバリア層として用いることができる。
【0162】
また、本発明のマトリックス顆粒は、一以上のコーティング層を含んでよい。例えば、そのようなコーティング層は、例えば、そのようなコーティング層は1以上の中間のコーティング層、またはそのようなコーティング層は1以上の外側のコーティング層またはそれらの組合わせでよい。酵素顆粒の最終用途に依存して、顆粒組成物において多くの機能のいくつかを果たすことができる。例えば、コーティングは漂白剤による酸化に対して酵素耐性を与えることができ、水性媒体へ顆粒を導入する際に望ましい溶出速度を生じ、または酵素の貯蔵安定性を高めてかつ顆粒内の微生物の増殖の可能性を減少させるための周囲湿度に対する防壁となる。
【0163】
適切なコーティングは、水溶性ポリマー又はポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)など水分散性フィルム形成ポリマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、キトサン、アラビアゴム、キサンタン、カラギーナン、キトサン、ラテックスポリマー、及び腸溶性コーティング剤を含む。さらに、コーティング剤を同じ又は異なるカテゴリーの他の活性剤とともに使用してよい。
【0164】
コーティング層中に含まれる有用なPVAは、低粘度から高粘度を有する、部分的に加水分解される、完全に加水分解される、及び中程度に加水分解されるPVAを含む。好ましくは、外側のコーティング層は低粘度を有する部分的に加水分解されるPVAを含む。他の有用なビニルポリマーは、ポリビニルアセテート及びポリビニルピロリドンを含む。有用なコポリマーは、例えば、PVA−メチルメタクリレートコポリマー及びPVP−PVAコポリマーを含む。さらに、本発明のコーティング層は、一以上の次のものを含む。それは、可塑剤、増量剤、潤滑剤、色素、及び任意に追加される酵素である。本発明のコーティング層に用いるために有用な可塑剤は、糖類、糖アルコール類、ポリエチレングリコール(PEG)、尿素、グリコール、プロピレングリコール、又はクエン酸トリエチル、フタル酸ジブチル又はジメチルなどのような他に知られる可塑剤、又は水を含む。本発明のコーティング層に用いるために有用な色素は、二酸化チタン又は炭酸カルシウムのような白い微粉、着色顔料及び染料又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。好ましいそのような色素は、溶解すると低残渣色素である。有用な増量剤は、スクロースなどの糖類又はマルトデキストリン及びトウモロコシシロップ固形物などデンプン加水分解物、カオリン及びベントナイトなどクレイ及びタルクを含む。有用な潤滑剤は、Neodolなど非イオン界面活性剤、牛脂アルコール、脂肪酸、ステアリン酸マグネシウムなど脂肪酸塩及び脂肪酸エステルを含む。
【0165】
液体製剤
本発明は、例えば、上述のように回収される、微生物細胞及び/又は細胞残屑を有する組成物中に不溶性酵素を含む酵素含有液体製剤を提供する。酵素は、酵素的に活性である又は触媒的ポテンシャルを有する、言い換えると、液体製剤において、適切な溶剤中、及び生じるべき触媒活性のための条件下にて、試験又は使用適用中に触媒的活性を有し得る。種々の実施態様においては、液体製剤は、保存の間に製品の物理的及び生化学的特性を「安定させる」、言い換えると維持する製剤成分(安定化物質)を含んでよい。これは、次のものを含むが、これらに限定されない。それは、一以上のポリオール類、一以上の塩類、一以上の保存剤、又は一以上の緩衝塩(及びpH調整のための酸又は塩基)、一以上の界面活性剤、一以上のアミノ酸類、一以上の抗酸化剤又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施態様においては、液体製剤は、約1から約50%(w/v)濃度で、一以上のポリオール類、例えば、グルコース、スクロース、ソルビトール、グリセロール、ラクトース、デキストロース、プロピレングリコールを含む。幾つかの実施態様においては、液体製剤は、約0.1から約50%(w/v)濃度で、一以上の塩類、例えば、NaCl、CaCl2、Na2SO4、ギ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルタミン酸1ナトリウム、塩化カルシウムを含む。幾つかの実施態様においては、液体製剤は、約0.1から約5%(w/v)濃度で、一以上の保存剤、例えば、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラベンを含む。幾つかの実施態様においては、液体製剤は、約0.1から約20%(w/v)濃度で、一以上の緩衝塩、例えば、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、MES、HEPESを含む。酸(例えば、酢酸若しくはギ酸など弱酸、又はHCl若しくはH2SO4など強酸)又は塩基(例えば、NaOH又はKOH)は、pH調整のために用いてよい。液体製剤を記載する引用文献に関しては、Isolation and Purification of Proteins (2003) R. Hatti-Kaul and B. Mattiasson, ed., Marcell Dekker, Inc., pp. 549-604を参照願いたい。
【0166】
また、本発明は、微生物細胞及び/又は細胞残屑を有する組成物中、例えば、上記のように回収される、不溶性酵素を含む液体製剤であって、ここで酵素が液体製剤中酵素的に活性であることを特徴とする製剤を調製する方法を提供する。ある実施態様においては、例えば、上述のように回収される不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は微生物残屑を含む組成物を提供すること、任意に、液体中、典型的には水中に、上述のように、一以上の製剤成分、例えば、一以上のポリオール、一以上の塩、一以上の保存剤、及び/又は一以上の緩衝塩と組成物を混合することにより、部分的に又は完全に不溶性酵素を溶解すること、それにより液体製剤を生産することを含む。ある実施態様においては、方法は、例えば、上述のように回収される不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を提供すること、不溶性酵素を溶解すること、任意に、液体中、典型的には水中に、例えば、上述のように、一以上の製剤成分、例えば、一以上のポリオール、一以上の塩、一以上の保存剤、及び/又は一以上の緩衝塩を有する組成物を回収された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物と混合すること、膜ろ過、及び/又は遠心分離など、例えば、ろ過により微生物細胞及び/又は細胞残屑を除くことにより溶解性酵素を含む組成物を清澄化にすること、それにより、清澄液体製剤を製造することを含む。
【0167】
組成物
本発明は、酵素含有顆粒又は上述のように液体製剤を含む組成物を提供する。酵素含有顆粒または液体製剤に加えて、組成物は、洗浄(例えば、洗剤)、織物処理、又は動物飼料、醸造、焼成、食品又は飲料水のような特定の利用にて顆粒又は液体製剤の使用に適する成分を含む。
【0168】
洗浄組成物
いくつかの実施態様においては、本明細書に記載の酵素含有顆粒又は液体製剤は、洗浄性能及び/又は洗浄効果を提供するために例えば、洗濯又は食器洗浄に用いる洗剤のような洗浄組成物に含有される。洗浄組成物中に含有されるのに有用な酵素は、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、ベータ‐グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、ペルヒドロラーゼ、アミラーゼ、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。一般的な組み合わせはアミラーゼと併せて、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ及び/又はセルラーゼのような従来の適用酵素のカクテルである。
【0169】
また、例えば、洗浄性能を手助けし、又は増強するために、洗浄すべき物質の処理のために、又は香料、着色剤、染料などを有する場合のように洗浄組成物の美しさを修正するために補助的な材料も洗浄組成物中に含まれてよい。そのような補助的な材料は本明細書に記載の酵素含有顆粒に追加して、添加されるものである。これらの添加成分の正確な性質、及びその含有レベルは、組成物の物理的形態及びそれが用いられる洗浄操作の性質に依存する。適切な補助的な材料は、界面活性剤、ビルダー、キレート剤、染料移動阻害剤、沈着補助剤(deposition aids)、分散剤、酵素安定剤、触媒材料、漂白活性化剤、漂白促進剤、プリフォーム過酸、ポリマー分散剤、クレイ汚れ除去/再付着防止剤、光沢剤、泡立ち抑制剤、染料、香料、構造弾性剤、生地柔軟剤、担体、ヒドロトープ、処理補助剤及び/又は色素を含むが、これらに限定されない。下記の開示に加え、そのような他の補助的材料の適切な例及び使用のレベルは、米国特許第5,576,282、6,306,812、及び6,326,348に記載される。
【0170】
幾つかの実施態様においては、洗浄組成物はリン酸塩を含まない。幾つかの実施態様においては、洗浄組成物は、非リン酸塩含有食器洗浄洗剤である。幾つかの実施態様においては、非リン酸塩洗浄組成物は、非リン酸塩ビルダー、例えば、クエン酸塩を含む。
【0171】
界面活性剤
本明細書に記載の洗浄組成物は、界面活性剤又は界面活性剤システムを含んでよく、ここで界面活性剤は非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤(ampholytic surfactant)、両性界面活性剤(zwitterionic surfactant)、半極性非イオン界面活性剤、及びそれらの混合物から選択される。一般的に界面活性剤は、対象の洗浄組成物の重量に基づいて、約0.1%から約60%、約1%から約50%又は約5%から約40%のレベルで存在する。
【0172】
ビルダー
本明細書に記載の洗浄組成物は、一以上の洗剤ビルダー又はビルダーシステムを含んでよい。ビルダーを使用する場合、一般的に本明細書に記載の洗浄組成物は、その洗浄組成物の重量に基づいて少なくとも約1%、約3%から約60%、又は約5%から約40%のビルダーを含む。
【0173】
ビルダーはアルカリ金属、ポリリン酸アンモニウム及びアルカノールアンモニウム塩、ケイ酸塩アルカリ金属、アルカリ土類及びアルカリ金属炭酸塩、アルミノケイ酸塩ビルダー、ポリカルボキシレート化合物、エーテル ヒドロキシポリカルボキシレート、エチレン又はビニルメチルエーテルを有する無水マレイン酸のコポリマー、1、3、5−トリヒドロキシベンゼン‐2,4,6‐トリスルホン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸、多様なアルカリ金属、エチレンジアミン4酢酸及びニトリル3酢酸のようなポリ酢酸のアンモニウム及び置換アンモニウム塩、及びメリト酸、コハク酸、クエン酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボキシリック酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、及びそれらの可溶性塩のようなポリカルボキシレートを含むが、これらに限定されない。
【0174】
キレート剤
本明細書に記載の洗浄組成物は、一以上のキレート剤を含んでよい。適切なキレート剤は銅、鉄、及び/又はマンガンキレート剤及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。キレート剤を用いる場合、キレート組成物は、対象洗浄組成物の重量に基づき約0.1%から約15%、又は約3.0%から約10%のキレート剤を含んでよい。
【0175】
沈着補助剤
本明細書に記載の洗浄組成物は、一以上の沈着補助剤を含んでよい。適切な沈着補助剤は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカルボキシレート、ポリテレフタル酸のような汚れ放出ポリマー、及びカオリナイト、モントモリロナイト、アタパルジャイト、イライト、ベントナイト、ハロイサイト、及びこれらの混合物等のクレイを含む。
【0176】
染料移動阻害剤
本明細書に記載の洗浄組成物は、一以上の染料移動阻害剤を含んでよい。適切なポリマー製染料移動阻害剤は、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン、及びポリビニルイミダゾール、並びにこれらの混合物を含むがこれらに限定されない。本明細書に記載の洗浄組成物に存在する場合、染料移動阻害剤は、その洗浄組成物の重量に基づき約0.0001%から約10%、約0.01%から約5%、又は約0.1%から約3%のレベルにて存在してよい。
【0177】
分散剤
本明細書に記載の洗浄組成物は、一以上の分散剤を含んでよい。適切な水溶性有機分散剤は、次のものを含むが、これらに限定されない。それは、ホモ−又はコポリマー酸又はそれらの塩を含み、ポリカルボン酸の場合には、2炭素原子を超えない間隔でお互いに分離しているカルボキシルラジカルを少なくとも2つ含んでいる。
【0178】
酵素安定剤
洗剤に用いることができる酵素は、多様な方法により安定化される。本明細書にて用いる酵素は、例えば、イオン等を酵素に提供する最終組成物において、カルシウム及び/又はマグネシウムイオンの水溶性の供給源の存在によって安定化される。
【0179】
触媒金属複合体
本明細書に記載の洗浄組成物は、一以上の触媒金属複合体を含んでよい。金属含有漂白触媒のひとつのタイプは、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンカチオン等の明らかな漂白触媒活性を有する遷移金属カチオン、亜鉛又はアルミウムカチオン等の僅かな漂白活性を有するか又は漂白活性を有しない予備的な金属カチオン、及び触媒及び予備的な金属カチオンに明らかな安定度定数を有する金属イオン封鎖剤、特にエチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、及びこれらの水溶性塩を含む触媒システムである。そのような触媒は、米国特許第4,430,243に開示されている。本明細書にて用いるマンガン含有触媒は、周知であり、例えば、米国特許第5,576,282に記載される。本明細書にて用いるコバルト漂白触媒は、周知であり、例えば、米国特許第5,597,936及び5,595,967に記載される。そのようなコバルト触媒は、既知の方法で容易に調製することができ、例えば、米国特許第5,597,936及び5,595,967に記載される。
【0180】
また、本明細書に記載の組成物は少なくとも1つのマクロポリサイクリックリジッドリガンド(macropolycyclic rigid ligand)、MRLとして略される遷移金属複合体、を含む。実際的には、これは限定するものではないが、本明細書に記載の組成物及び洗浄プロセスは水溶性の洗浄媒体中に、活性MRL類が少なくとも1ppmのオーダーで存在するように調節可能であり、しばしば、約0.005ppmから約25ppm、約0.05ppmから約10ppm、又は約0.1ppmから約5ppmのMRLが、洗浄液中に存在する。遷移金属漂白触媒における最適な遷移金属は、マンガン、鉄、及びクロミウムを含む。ある実施態様においては、MRLは、5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンのような架橋固定された非常に強固なリガンドである。適切な遷移金属MRLは、既知の方法で容易に調製することができ、例えば、WO00/332601及び米国特許第6,225,464に記載される。
【0181】
本明細書に記載の洗浄組成物を表面又は織物上の場所を洗浄するために用いることができる。一般的に、少なくともその場所の一部は、原液の状態の中又は洗浄液で希釈された中で上述の洗浄組成物と接触し、それからその場所は、任意に洗浄及び/又は濯がれる。洗浄はゴシゴシ洗うこと、機械的攪拌を含むが、これらに限定されない。織物は、通常の消費者が使用する条件で洗濯できるほとんどの織物を含んでよい。開示する洗浄組成物は、一般的に溶液中約500ppmから約15,000ppmまでの濃度にて洗浄してよい。洗浄溶剤が水の場合、一般的に水の温度は約5℃から約90℃の範囲であり、その場所が織物を含む場合、水対織物の質量比は一般的に約1:1から約30:1である。
【0182】
織物処理組成物
いくつかの実施態様においては、本明細書に記載の酵素含有顆粒又は液体製剤は、織物処理組成物に含まれる。織物処理組成物に含有されるのに適切な酵素は、セルラーゼ、ペルヒドロラーゼ、ポリエステラーゼ、アミラーゼ、カタラーゼ、ペクチナーゼ、及びラッカーゼを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施態様においては、織物処理組成物は、再付着防止剤(例えば、Repel−O−Tex、Sorez 100 (ISP Corp.))も含んでよい。
【0183】
動物飼料組成物
いくつかの実施態様においては、本明細書に記載の酵素含有顆粒又は液体製剤は、動物飼料組成物に含まれる。飼料組成物に含有されるのに適切な酵素は、セルロース分解性酵素及び/又はヘミセルロース分解酵素を含む。飼料組成物に含有するのに適切な酵素の例は、フィターゼ、キシラナーゼ、ホスファターゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、エステラーゼ、酸化還元酵素、リパーゼ、トランスフェラーゼ、セルラーゼ、ホスホリパーゼ、リグニナーゼ、及びベータ‐グルカナーゼを含むが、これらに限定されない。
【0184】
次の実施例は説明を意図し、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0185】
実施例1
従来の回収方法を用いる部分的に沈殿する酵素を含有する発酵培養液からの酵素濃縮物及び粒状製剤の調製
細菌溶解物の調製
PCT出願番号WO08/112459に記載のようにアルファ‐アミラーゼ酵素を組み換え的に発現するバシルス リチェニフォルミス(Bacillus licheniformis)を周知の従来技術を用いて発酵した。発酵後、培養液は沈殿された酵素を含んだ。培養液のサンプルを5分間10,000rpmにて遠心分離した。得られた上澄みは、遠心分離前の培養液全量中に測定された全酵素活性の10%を含んだ。酵素の90%は、不溶性だった。アルファ‐アミラーゼ活性を米国特許出願番号12/041,917に記載のように測定した。
【0186】
細胞溶解物に関して、培養液温度を40℃に調整し、0.01%(w/w)リゾチームを添加した。培養液を48時間維持し、それから、0.6部(part)の水で希釈し、すぐに4%の陽イオンポリマー(C581、Cytec Industries, Inc.製)で凝集させた。珪藻土(FW12、World Minerals製)を凝集された培養液に4%w/wで添加し、FW12珪藻土ケーキでコーティングしたHR9000フィルターパッドを取り付けたデッドエンド真空フィルターを通してろ過した。細胞分離後、ろ液中の酵素の収率は6%であった。
【0187】
清澄ろ液を10K分子量カットオフ(MWCO)ポリエーテルスルホン(PES)らせん状にねじれた膜(KOCH Membrane Systems)を備えた限外ろ過フィルターを用いて濃縮した。最終濃縮物は11.5g/l又は1.15%(w/v)の活性アルファ‐アミラーゼ及び27.04%(w/w)の乾燥固体物質を含んだ。
【0188】
この方法のおける全体の収量は、全体培養液における最初の酵素活性の5%であり、純度は4.3%(活性乾燥固体物/全量の乾燥固体物)であった。
【0189】
粒状の製剤
粒状の組成物を次のように酵素濃縮物から調製した。
【0190】
スプレー1
粒径サイズが150μmから350μmの範囲を有する513グラムの硫酸ナトリウム結晶(Saltec)をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。これに、11.5g/Lの活性アミラーゼ、1.6%のタルク(Nytal 400)、0.5%のポリビニルアルコール(Erkol 5/88)、1.0%の消泡剤(Foamblast 882 Emerald Performance Materials製)、及び1.6%トウモロコシデンプン(Cargill Foods)を含む2062グラムの溶液を硫酸ナトリウム結晶の表面にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 3.6 gpm(g/分(grams per minute))、1.5時間かけて13.6 gpmに上げる。後の実験工程の間13.6 gpmにて維持する。
インレット温度 69℃、30分後72℃に上昇。
アウトレット温度 43.9℃と46.2℃の間
流動化空気流 76.0 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と81.4cfmの間
噴霧空気圧 30 psi(ポンド/平方インチ(pounds per square inch))、1.5時間かけて40 psiに増加する。

1043gの産物を取り出した。
【0191】
スプレー2
スプレー1から1043グラムの酵素顆粒をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。333グラムの硫酸ナトリウム(顆粒組成物の20%)を含む1667グラムの水溶液をそれから酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 8.3 gpm(g/分(grams per minute))、15分かけて19.2 gpmに上げる。後の実験工程の間19.2 gpmにて維持する。
インレット温度 63℃、15分後80℃に上昇。
アウトレット温度 44.2℃と47.8℃の間
流動化空気流 79.5 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と82.6cfmの間
噴霧空気圧 40 psi(ポンド/平方インチ(pounds per square inch))

1363グラムの産物を取り出した。
【0192】
スプレー3
スプレー2から1363グラムの酵素顆粒をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。83グラムの(顆粒組成物の5%)ポリビニルアルコール(Erkol製5/88)、83グラムの(顆粒組成物の5%)の二酸化チタン(DuPont製R902)、及び25グラム(顆粒組成物の1.5%)のネオドール(Neodol) (Shell Chemicals 製23-6.5)を含む1065グラムの水溶液をそれから酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 4.2 gpm (g/分(grams per minute))、 30分かけて12.2 gpmに上げる。後の実験工程の間12.2 gpmにて維持する。
インレット温度 75℃、30分後78℃に上昇。
アウトレット温度 46.0℃と52.4℃の間
流動化空気流 78.4 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute)と81.2cfmの間
噴霧空気圧 40 psi

1487グラムの最終産物を取り出した。
【0193】
ホイバッハ摩耗試験を使用して、顆粒のダストを分析した。顆粒のダストレベルは1.66mg/padであった。
【0194】
実施例2
沈殿物を溶解し、続いて従来の回収方法により部分的に沈殿した酵素を含有する発酵培養液から酵素濃縮物及び粒状製剤の調製
酵素濃縮物の調製
PCT出願番号WO08/112459に記載のようにアルファ‐アミラーゼ酵素を組み換え的に発現するバシルス リチェニフォルミス(Bacillus licheniformis)を周知の従来技術を用いて発酵した。発酵後、培養液は沈殿された酵素を含んだ。培養液のサンプルを5分間10,000rpmにて遠心分離した。得られた上澄みは遠心分離前の培養液全量中に測定された総酵素活性の5%を含んだ。酵素の95%酵素は、不溶性だった。
【0195】
細胞溶解物に関して、培養液温度を40℃に調整し、0.01%(w/w)リゾチームを添加した。培養液を1.5時間維持した。それから温度を60℃に上げ1時間60℃にて維持した。培養液をそれから1部(part)の水で希釈した。
【0196】
加熱段階及び希釈後沈殿された酵素が不溶性で残った。それらから溶解物を室温にて28時間、5%グルコース及び3%(w/w)NaClとpH9にて穏やかに混合しながらインキュベートし、細胞を分離した。沈殿されたアルファ‐アミラーゼ活性(84%)の多くが溶解された。
【0197】
溶解物をそれから4%(w/w)陽イオンポリマー(Cytec Industries, Inc.製C581)で凝集した。珪藻土(World Minerals製FW12)を凝集された培養液に4%(w/w)で添加し、FW12珪藻土ケーキでプレコーティングした回転式真空ドラムフィルターを通してろ過した。細胞分離後、ろ液中に得られた酵素は、87%であった。
【0198】
清澄ろ液を10K分子量カットオフ(MWCO)PESらせん状にねじれた膜(KOCH Membrane Systems)を備えた限外ろ過フィルターを用いて濃縮した。最終濃縮物は60g/l又は6%(w/v)の活性アルファ‐アミラーゼ及び27%(w/w)の乾燥固体物質を含んだ。
【0199】
この方法のおける全体の収量は、全体培養液における最初の酵素活性の84%であり、純度は22%(活性乾燥固体物/全量の乾燥固体物)であった。しかしながら、濃縮物はグルコース及びNaClを含んだ。これらの物質の除去は、方法の費用に返って影響を与える。
【0200】
粒状の製剤
粒状の組成物を次のように酵素濃縮物から調製した。
【0201】
スプレー1
200μmから600μmの範囲の粒径サイズを有する478グラムのスクロース結晶をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。これに、これに、60.0g/Lの活性アミラーゼ、及び115グラム(顆粒組成物の9.8%)のトウモロコシデンプン(Cargill Foods)を含む628グラムの溶液をスクロース結晶の表面にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 2.9 gpm(g/分(grams per minute))、52分かけて17.3 gpmに上げる。後の実験工程の間20.2 gpmにて維持する。
インレット温度 スプレー1について71℃と74℃の間
アウトレット温度 44.7℃と48.5℃の間
流動化空気流 83.5 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と87.2cfmの間
噴霧空気圧 32 psi(ポンド/平方インチ(pounds per square inch))、52分かけて40 psiに増加する。

700gの産物を取り出した。
【0202】
スプレー2
スプレー1から700グラムの酵素顆粒をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。120グラム(顆粒組成物の10.2%)のスクロース(C&H Sugars)、120グラム(顆粒組成物の10.2%)のトウモロコシデンプン(Cargill Foods)、72グラム(顆粒組成物の6.1%)の二酸化チタン(DuPont製R902)、及び15グラム(顆粒組成物の1.3%)のネオドール(Neodol)(Shell Chemicals 製23-6.5)を含む1308グラムの水溶液をそれから酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 12.2 gpm(g/分(grams per minute))、10分かけて20.2 gpmに上げる。後の実験工程の間20.2 gpmにて維持する。
インレット温度 74℃、15分後82℃に上昇。
アウトレット温度 46.3℃と47.7℃の間
流動化空気流 85.0 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と88.0cfmの間
噴霧空気圧 35psiと36psiの間

988グラムの産物を取り出した。
【0203】
スプレー3
スプレー2から988グラムの酵素顆粒をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。29グラムの(顆粒組成物の2.5%)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC E-15 Dow Chemicals製)、及び4グラム(顆粒組成物の0.3%)のポリエチレングリコール600(Carbowax Electron Microscopy Sciences製)を含む586グラムの水溶液をそれから酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 8.1 gpm(g/分(grams per minute))、45分かけて15.6 gpmに上げる。後の実験工程の間15.6 gpmにて維持する。
インレット温度 75℃と82℃の間
アウトレット温度 43.6℃と50.3℃の間
流動化空気流 85.0 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute)と87.8cfmの間
噴霧空気圧 40 psi

1014グラムの最終産物を取り出した。
【0204】
ホイバッハ摩耗試験を使用して、顆粒をダストに関して分析した。顆粒のダストレベルは2.80mg/padであった。
【0205】
実施例3
部分的に沈殿される酵素を含有する発酵培養液から均質化される細胞溶解物由来酵素濃縮物及び粒状製剤の調製
均質化される細胞溶解物の調製
PCT出願番号WO08/112459に記載のようにアルファ‐アミラーゼ酵素を組み換え的に発現するバシルス リチェニフォルミス(Bacillus licheniformis)を周知の従来技術を用いて発酵した。発酵後、培養液は沈殿された酵素を含んだ。培養液のサンプルを5分間10,000rpmにて遠心分離した。得られた上澄みは、遠心分離前の培養液全量中に測定された総酵素活性の6%を含んだ。
【0206】
溶解物を実施例2に記載のように処理した。それから、溶解物を10℃に冷却し、Gaulin ホモゲナイザー中6,000psiにて均質化した。酵素の収率は90%であり、純度は6%(活性乾燥固体/乾燥固体の全量)であった。
【0207】
粒状の製剤
粒状の組成物を均質化溶解物から次のように調製した。
【0208】
スプレー1
150μmから350μmの範囲の粒径サイズを有する17.64キログラムの硫酸ナトリウム結晶(Saltec)をDeseret 60流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。これに、12.53g/Lの活性アミラーゼ、5.88キログラム(顆粒組成物の5%)のタルク(Nytal 400)、1.18キログラム(顆粒組成物の1.0%)の消泡剤(Foamblast 882 Emerald Performance Materials製)、及び7.06キログラム(顆粒組成物の6%)のトウモロコシデンプン(Cargill Foods)、及び1.18キログラム(顆粒組成物の1.0%)ネオドール(Neodol)(Shell Chemicals 製23-6.5)を含む259.41キログラムの溶液を硫酸ナトリウム結晶の表面にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。


溶液スプレー速度 50 gpm(g/分(grams per minute))、3時間かけて500 gpmに上げる。後の実験工程の間500 gpmにて維持する。
インレット温度 73℃及び85℃の間
アウトレット温度 42.7℃と55.7℃の間
流動化空気流 800 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と952cfmの間
噴霧空気圧 60 psi(ポンド/平方インチ(pounds per square inch))、5時間かけて68 psiに増加する。

65.2キログラムの産物を取り出した。
【0209】
スプレー2
スプレー1から65.2キログラムの酵素顆粒をDeseret 60流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。22.22キログラムの硫酸ナトリウム(顆粒組成物の20%)を含む111.11キログラムの水溶液をそれから酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 スプレー2全体にわたって500 gpm(g/分(grams per minute))から580 gpmの間
インレット温度 85℃
アウトレット温度 48.3℃と54.1℃の間
流動化空気流 1109 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と1234cfmの間
噴霧空気圧 70 psi

88キログラムの産物を取り出した。
【0210】
スプレー3
スプレー2から84.967キログラムの酵素顆粒をDeseret 60流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。6.12キログラムの(顆粒組成物の5.2%)ポリビニルアルコール(Erkol製5/88)、6.12キログラムの(顆粒組成物の5.2%)の二酸化チタン(DuPont製R902)、1.53キログラム(顆粒組成物の1.3%)のタルク(Nytal 400)、及び1.53キログラム(顆粒組成物の1.3%)のネオドール(Neodol) (Shell Chemicals製23-6.5)を含む84.97キログラムの水溶液をそれから酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 スプレー3全体にわたって310 gpm(g/分(grams per minute))から400 gpmの間
インレット温度 85℃
アウトレット温度 48.8℃と56.8℃の間
流動化空気流 1070 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute)と1238cfmの間
噴霧空気圧 70 psiと76 psiの間

97.6キログラムの産物を取り出した。
【0211】
スプレー4
スプレー3から97.6キログラムの酵素顆粒をDeseret 60流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。471グラム(顆粒組成物の0.4%)のネオドール(Neodol) (Shell Chemicals 製23-6.5)を含む9.41キログラムの水溶液をそれから酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 スプレー4全体にわたって295 gpm(g/分(grams per minute))
インレット温度 85℃
アウトレット温度 47.1℃と51.1℃の間
流動化空気流 1126 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute)と1220cfmの間
噴霧空気圧 65 psiと68 psiの間

101.2キログラムの産物を取り出した。
【0212】
ホイバッハ摩耗試験を使用して、顆粒をダストに関して分析した。顆粒のダストレベルは0.33mg/padであった。
【0213】
実施例4
部分的に沈殿される酵素を含有する発酵培養液から均質化され、透析ろ過される細胞溶解物由来酵素濃縮物及び粒状製剤の調製
均質化された細胞溶解物の調製
PCT出願番号WO08/112459に記載のようにアルファ‐アミラーゼ酵素を組み換え的に発現するバシルス リチェニフォルミス(Bacillus licheniformis)を周知の従来技術を用いて発酵した。発酵後、培養液は沈殿された酵素を含んだ。均質化された溶解物を実施例3のように調製した。
【0214】
均質化された溶解物を10K分子量カットオフ(MWCO)PESらせん状にねじれた膜(KOCH Membrane Systems)を備えた限外ろ過フィルターを用いて透析ろ過し濃縮した。最終濃縮物は11g/l又は1.1%(w/v)の活性アルファ‐アミラーゼ及び16.7%(w/w)の乾燥固体物質を含んだ。
【0215】
均質化された溶解物を水道用水を用いて透析ろ過(diafilter)した。一定体積の透析ろ過を実施した。即ち、均質化された溶解物を含む供給タンクにおいて体積を一定に保ち、システムから除かれる透過物の体積を交換するために水道水を加えることにより実施した。透析ろ過水の全量は0.5xの初期の均質化された溶解物であった。透析ろ過した均質化溶解物を16%(w/w)乾燥固形物にさらに濃縮した。得られた調製物の純度は9.3%(活性乾燥固体/乾燥固体の全量)であった。純度は実施例3で調製された均質化された溶解物より1.25倍高かった。
【0216】
粒状の製剤
粒状の組成物を均質化され、透析ろ過した溶解物から次のように調製した。
【0217】
スプレー1
150μmから350μmの範囲の粒径サイズを有する29.606キログラムの硫酸ナトリウム結晶(Saltec)をDeseret 60流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。これに、14.2g/Lの活性アミラーゼ、5.88キログラム(顆粒組成物の5%)のタルク(Nytal 400)、1.18キログラム(顆粒組成物の1.0%)の消泡剤(Foamblast 882 Emerald Performance Materials製)、及び11.77キログラム(顆粒組成物の10%)のトウモロコシデンプン(Cargill Foods)、及び1.18キログラム(顆粒組成物の1.0%)ネオドール(Neodol) (Shell Chemicals 製23-6.5)を含む170.79キログラムの溶液を硫酸ナトリウム結晶の表面にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 106 gpm(g/分(grams per minute))、5時間かけて550 gpmに上げる。後の実験工程の間550 gpmにて維持する。
インレット温度 80℃及び82.6℃の間
アウトレット温度 51.0℃と60.9℃の間
流動化空気流 804 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と1058cfmの間
噴霧空気圧 65 psi(ポンド/平方インチ(pounds per square inch))、5時間かけて70 psiに増加する。

66.6キログラムの産物を取り出した。
【0218】
スプレー2
スプレー1から66.6キログラムの酵素顆粒をDeseret 60流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。22.22キログラムの硫酸ナトリウム(顆粒組成物の20%)を含む111.11キログラムの水溶液をそれから酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 スプレー2全体にわたって400 gpm(g/分(grams per minute))から640 gpmの間
インレット温度 83.5℃と85.6℃の間
アウトレット温度 51.4℃と54.8℃の間
流動化空気流 1097 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と1246cfmの間
噴霧空気圧 70 psi(ポンド/平方インチ(pounds per square inch))

93.8キログラムの産物を取り出した。
【0219】
スプレー3
スプレー2から93.8キログラムの酵素顆粒をDeseret 60流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。6.12キログラムの(顆粒組成物の5.2%)ポリビニルアルコール(Erkol製5/88)、6.12キログラムの(顆粒組成物の5.2%)の二酸化チタン(DuPont製R902)、1.53キログラム(顆粒組成物の1.3%)のタルク(Nytal 400)、及び1.53キログラム(顆粒組成物の1.3%)のネオドール(Neodol)(Shell Chemicals 製23-6.5)を含む84.97キログラムの水溶液をそれから酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 スプレー3全体にわたって200 gpm(g/分(grams per minute))から410 gpmの間
インレット温度 79.6℃と83.9℃の間
アウトレット温度 55.9℃と59.6℃の間
流動化空気流 1121 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute)と1244cfmの間
噴霧空気圧 70 psiと75 psiの間

108.4キログラムの産物を取り出した。
【0220】
スプレー4
スプレー3から108.4キログラムの酵素顆粒をDeseret 60流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。471グラム(顆粒組成物の0.4%)のネオドール(Neodol) (Shell Chemicals 製23-6.5)を含む9.41キログラムの水溶液をそれから酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 スプレー4全体にわたって250 gpm(g/分(grams per minute))
インレット温度 82.7℃と82.9℃の間
アウトレット温度 57.4℃と59.7℃の間
流動化空気流 1157 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute)と1299cfmの間
噴霧空気圧 70 psi

110.0キログラムの産物を取り出した。
【0221】
ホイバッハ摩耗試験を使用して、顆粒をダストに関して分析した。顆粒のダストレベルは0.15mg/padであった。
【0222】
実施例5
部分的に沈殿される酵素を含有する発酵培養液から透析ろ過された(Diafiltered)細胞溶解物由来の酵素濃縮物及び粒状製剤の調製
透析ろ過された細胞溶解物の調製
PCT出願番号WO08/112459に記載のようにアルファ‐アミラーゼ酵素を組み換え的に発現するバシルス リチェニフォルミス(Bacillus licheniformis)を周知の従来技術を用いて発酵した。発酵後、培養液は沈殿された酵素を含んだ。細胞を実施例2に記載のように溶解した。溶解物を実施例4に記載のように水道水を用いて透析ろ過した。透析ろ過した溶解物を18.2%(w/w)乾燥固体にさらに濃縮した。得られた調製物の純度は17%(活性乾燥固体/乾燥固体の全量)であった。純度は実施例3で調製された均質化された溶解物より1.7倍高かった。
【0223】
実施例6
部分的に沈殿された酵素を含有する発酵培養液から透析ろ過された細胞溶解物由来の酵素濃縮物及び粒状製剤の調製
透析ろ過された細胞溶解物の調製
PCT出願番号WO08/112459に記載のようにアルファ‐アミラーゼ酵素を組み換え的に発現するバシルス リチェニフォルミス(Bacillus licheniformis)を実施例1に記載のように発酵した。溶解物を実施例5に記載のように透析ろ過及び濃縮した。得られた調製物は2.14%の酵素活性を有し、乾燥固体は17.2%であった。
【0224】
粒状の製剤
粒状の組成物を次のように透析ろ過された溶解物から調製した。
【0225】
スプレー1
150μmから350μmの範囲の粒径サイズを有する691グラムの硫酸ナトリウム結晶(Saltec)をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。これに、23.41g/Lの活性アミラーゼ、5%のタルク(Nytal 400)、1.0%消泡剤(Foamblast 882 Emerald Performance Materials製)、及び5%トウモロコシデンプン(Cargill Foods)を含む691グラムの溶液を硫酸ナトリウム結晶の表面にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 2.6gpm(g/分(grams per minute))、1.5時間かけて14.1 gpmに上げる。
インレット温度 69℃、30分後72℃に上昇。
アウトレット温度 44.9℃と45.8℃の間
流動化空気流 78.6 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と80.8cfmの間
噴霧空気圧 30 psi(ポンド/平方インチ(pounds per square inch))、1.5時間かけて40 psiに増加する。

1050gの産物を取り出した。
【0226】
スプレー2
スプレー1から1050グラムの酵素顆粒をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。333グラムの硫酸ナトリウム(顆粒組成物の20%)を含む1667グラムの水溶液をそれから酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 15.6 gpm(g/分(grams per minute))と17.4 gpmの間
インレット温度 78℃ と82℃の間
アウトレット温度 46.0℃と47.5℃の間
流動化空気流 78.6 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と82.0cfmの間
噴霧空気圧 40 psi(ポンド/平方インチ(pounds per square inch))

1352グラムの産物を取り出した。
【0227】
スプレー3
スプレー2から1352グラムの酵素顆粒をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。88グラムの(顆粒組成物の5%)ポリビニルアルコール(Erkol製5/88)、88グラムの(顆粒組成物の5%)の二酸化チタン(DuPont製R902)、及び26グラム(顆粒組成物の1.5%)のネオドール(Neodol) (Shell Chemicals 製23-6.5)を含む1127グラムの水溶液をそれから酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 3.2 gpm(g/分(grams per minute))、60分かけて10.2 gpmに上げる。後の実験工程の間10.2 gpmにて維持する。
インレット温度 75℃、10分後80℃に上昇。
アウトレット温度 52.0℃と53.7℃の間
流動化空気流 82.5 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute)と83.1cfmの間
噴霧空気圧 40 psi

1535グラムの最終産物を取り出した。
【0228】
ホイバッハ摩耗試験を使用して、顆粒をダストに関して分析した。顆粒のダストレベルは1.50mg/padであった。
【0229】
実施例7
溶解性酵素を有する微生物培養液濃縮物の調製及び粒状製剤の調製
酵素濃縮物の調製
スブチリシンプロテアーゼを発現するバシルス スブチリス(Bacillus subtilis)を周知の方法を用いて発酵した。発酵後、培養液は多くの溶解性のスブチリシン酵素を含んだ。培養液を5分間10,000rpmにて遠心分離した。得られた上澄みは、全体の培養液サンプル中の活性と同じように活性を含んだ。培養液をpH5.8±0.2に調整し、1.5±0.2部(part)の水道用水で希釈し、すぐに8%C311(Kemira)で凝集した。凝集した培養液をFW12珪藻土(World Minerals製FW12)でプレコーティングした回転式真空ドラムフィルターを通してろ過した。清澄ろ液を10K MWCO PESらせん状にねじれた膜(KOCH Membrane Systems)を備えた限外ろ過フィルターを用いて濃縮した。最終濃縮物は57.23g/L及び19.1%(w/w)の乾燥固体物質を含んだ。酵素濃縮物の上澄み(14,000rpm、4分)活性により測定したように、酵素濃縮物スブチリシン活性は造粒前に溶解物に残存し、全体の酵素濃縮物と同様の活性であった。
【0230】
粒状の製剤
粒状の組成物を次のように限外ろ過された濃縮物から調製した。
【0231】
スプレー1
150μmから350μmの範囲の粒径サイズを有する643グラムの硫酸ナトリウム結晶(Saltec)をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。これに、活性プロテアーゼ、0.7%のタルク(Nytal 400)、0.9%消泡剤(Foamblast 882 Emerald Performance Materials製)、及び0.5%ポリビニルアルコール(Erkol製5/88)を含む643グラムの溶液を硫酸ナトリウム結晶の表面にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 3.5 gpm(g/分(grams per minute))、1.5時間かけて9.0 gpmに上げる。
インレット温度 57℃、1時間15分後86℃に上昇。
アウトレット温度 45.2℃と48.9℃の間
流動化空気流 72.4 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と83.6cfmの間
噴霧空気圧30 psi(ポンド/平方インチ(pounds per square inch))、30分かけて37 psiに増加する。

769グラムの産物を取り出した。
【0232】
スプレー2
スプレー1から769グラムの酵素顆粒をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。400グラムの硫酸ナトリウム(顆粒組成物の27.7%)を含む2001グラムの水溶液をそれから酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 10 gpm(g/分(grams per minute))と17.5 gpmの間
インレット温度 73℃と76℃の間
アウトレット温度 44.6℃と45.7℃の間
流動化空気流 79.7 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と81.4cfmの間
噴霧空気圧 40 psi(ポンド/平方インチ(pounds per square inch))

1178グラムの産物を取り出した。
【0233】
スプレー3
スプレー2から1178グラムの酵素顆粒をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。78グラムの(顆粒組成物の5.4%)ポリビニルアルコール(Erkol製5/88)、78グラムの(顆粒組成物の5.4%)の二酸化チタン(DuPont製R902)、20グラム(顆粒組成物の1.35%)のタルク(Nytal 400)、及び20グラム(顆粒組成物の1.35%)のネオドール(Neodol)(Shell Chemicals 製23-6.5)を含む1127グラムの水溶液をそれから酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 5.2 gpm(g/分(grams per minute))、30分かけて12.2 gpmに上げる。後の実験工程の間12.2 gpmにて維持する。
インレット温度 70℃、15分後76℃に上昇。
アウトレット温度 51.0℃と52.5℃の間
流動化空気流 80.7 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute)と84.2cfmの間
噴霧空気圧 40 psiと42 psiの間

1356グラムの産物を取り出した。
【0234】
スプレー4
スプレー3から1356グラムの酵素顆粒をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。3グラム(顆粒組成物の0.22%)のネオドール(Neodol)(Shell Chemicals 製23-6.5)を含む67.0グラムの水溶液をそれから酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 スプレー4全体にわたって17.0 gpm
インレット温度 76℃
アウトレット温度 44.0℃と46.5℃の間
流動化空気流 80.8 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute)と81.7cfmの間

1359グラムの最終産物を取り出した。
【0235】
ホイバッハ摩耗試験を使用して、顆粒をダストに関して分析した。顆粒のダストレベルは1.03mg/padであった。
【0236】
実施例8
沈殿物を有する酵素濃縮物及び粒状の製剤の調製
沈殿される酵素を含む酵素濃縮物の調製
硫酸ナトリウムを実施例7での限外ろ過の後、最終酵素濃縮物に12%(w/v)の濃度にて添加し、沈殿を誘発した。硫酸ナトリウムを含む濃縮物を18時間10℃にて混合した。得られたスラリーを造粒用に用いるために使用した。
【0237】
粒状の製剤
粒状の組成物を次のように沈殿物を含む酵素濃縮物から調製した。
【0238】
スプレー1
150μmから350μmの範囲の粒径サイズを有する500グラムの硫酸ナトリウム結晶(Saltec)をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。これに、活性プロテアーゼ、0.7%のタルク(Nytal 400)、0.9%消泡剤(Foamblast 882 Emerald Performance Materials製)、及び0.5%ポリビニルアルコール(Erkol製5/88)を含む999グラムの溶液を硫酸ナトリウム結晶の表面にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 4.5 gpm(g/分(grams per minute))、30分かけて10.6 gpmに上げる。
インレット温度 69.0℃と74℃の間
アウトレット温度 44.5℃と47.1℃の間
流動化空気流 79.8 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と82.2cfmの間
噴霧空気圧 31 psi(ポンド/平方インチ(pounds per square inch))、60分かけて40 psiに増加する。

705グラムの産物を取り出した。
【0239】
スプレー2
スプレー1から705グラムの酵素顆粒をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。それから、369グラムの硫酸ナトリウム(顆粒組成物の27.7%)を含む1847グラムの水溶液を酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 15.2 gpm(g/分(grams per minute))と18.2 gpmの間
インレット温度 70℃と78℃の間
アウトレット温度 42.9℃と45.1℃の間
流動化空気流 80.2 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と81.2cfmの間
噴霧空気圧 40 psi(ポンド/平方インチ(pounds per square inch))

1061グラムの産物を取り出した。
【0240】
スプレー3
スプレー2から1061グラムの酵素顆粒をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。それから、72グラムの(顆粒組成物の5.4%)ポリビニルアルコール(Erkol製5/88)、72グラムの(顆粒組成物の5.4%)の二酸化チタン(DuPont製R902)、18グラム(顆粒組成物の1.35%)のタルク(Nytal 400)、及び18グラム(顆粒組成物の1.35%)のネオドール(Neodol) (Shell Chemicals 製23-6.5)を含む1000グラムの水溶液を酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 3.8 gpm(g/分(grams per minute))、60分かけて9.9 gpmに上げる。後の実験工程の間9.9 gpmを維持する。
インレット温度 72℃、15分後84℃に上昇。
アウトレット温度 51.4℃と52.9℃の間
流動化空気流80.4 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute)と82.3cfmの間
噴霧空気圧 40 psiと42 psiの間

1226グラムの産物を取り出した。
【0241】
スプレー4
スプレー3から1226グラムの酵素顆粒をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。それから、3グラム(顆粒組成物の0.22%)のネオドール(Neodol) (Shell Chemicals 製23-6.5)を含む62.0グラムの水溶液を酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 スプレー4全体にわたって17.0 gpm
インレット温度 69℃
アウトレット温度 41.4℃と42.3℃の間
流動化空気流 80.8 cfm (立方フィート/分(cubic feet per minute)と80.5cfmの間

1228グラムの最終産物を取り出した。
【0242】
ホイバッハ摩耗試験を使用して、顆粒をダストに関して分析した。顆粒のダストレベルは2.50mg/padであった。
【0243】
実施例9
酵素沈殿物を有する溶解された微生物培養液及び粒状の製剤の調製
沈殿された酵素を有する微生物培養液溶解物の調製
実施例7で記載のようにスブチリシンプロテアーゼを発現するバシルス スブチリス(B. subtilis)を周知の方法を用いて発酵した。発酵後、培養液は多くの溶解性スブチリシン酵素を含んだ。リゾチームを1%濃度にて培養液に添加し、3時間37℃にて維持した。得られた溶解物は、溶解性及び不溶性酵素両者を含み、57g/mL活性及び18.23%乾燥固体を含んだ。
【0244】
粒状の製剤
粒状の組成物を次のように沈殿された酵素有する溶解物から調製した。
【0245】
スプレー1
150μmから350μmの範囲の粒径サイズを有する585グラムの硫酸ナトリウム結晶(Saltec)をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。これに、活性プロテアーゼ、0.7%のタルク(Nytal 400)、0.9%消泡剤(Foamblast 882 Emerald Performance Materials製)、及び0.5%ポリビニルアルコール(Erkol製5/88)を含む993グラムの溶液を硫酸ナトリウム結晶の表面にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 4.5 gpm(g/分(grams per minute))、2時間かけて12.5 gpmに上げる。
インレット温度 63.0℃と70℃の間
アウトレット温度 43.0℃と47.5℃の間
流動化空気流 79.8 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と81.1cfmの間
噴霧空気圧 31 psi(ポンド/平方インチ(pounds per square inch))、30分かけて38 psiに増加する。

785グラムの産物を取り出した。
【0246】
スプレー2
スプレー1から785グラムの酵素顆粒をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。それから、400グラムの硫酸ナトリウム(顆粒組成物の27.7%)を含む2001グラムの水溶液を酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 15.2 gpm(g/分(grams per minute))と21.2 gpmの間
インレット温度 65℃と78℃の間
アウトレット温度 44.1℃と45.6℃の間
流動化空気流 78.5 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と81.6cfmの間
噴霧空気圧 39 psiと40 psiの間

1168グラムの産物を取り出した。
【0247】
スプレー3
スプレー2から1168グラムの酵素顆粒をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。それから、78グラムの(顆粒組成物の5.4%)ポリビニルアルコール(Erkol製5/88)、78グラムの(顆粒組成物の5.4%)の二酸化チタン(DuPont製R902)、20グラム(顆粒組成物の1.35%)のタルク(Nytal 400)、及び20グラム(顆粒組成物の1.35%)のネオドール(Neodol)(Shell Chemicals 製23-6.5)を含む1083グラムの水溶液を酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 3.0 gpm(g/分(grams per minute))、 60分かけて8.0 gpmに上げる。後の実験工程の間8.0 gpmを維持する。
インレット温度 73℃、30分後78℃に上昇。
アウトレット温度 52.0℃と52.9℃の間
流動化空気流 80.3 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute)と83.7cfmの間
噴霧空気圧 40 psiと42 psiの間

1347グラムの産物を取り出した。
【0248】
スプレー4
スプレー3から1347グラムの酵素顆粒をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。それから、3グラム(顆粒組成物の0.22%)のネオドール(Neodol)(Shell Chemicals 製23-6.5)を含む67.0グラムの水溶液を酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 スプレー4全体にわたって12.6 gpm
インレット温度 63℃
アウトレット温度 41.1℃と44.1℃の間
流動化空気流 80.9 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute)と81.5cfmの間

1349グラムの最終産物を取り出した。
【0249】
ホイバッハ摩耗試験を使用して、顆粒をダストに関して分析した。顆粒のダストレベルは1.4mg/padであった。
【0250】
実施例10
溶解性酵素有する濃縮された真菌の培養液及び粒状の製剤の調製
溶解性酵素を有する濃縮された真菌発酵培養液の調製
グルコアミラーゼを発現するトリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)を周知の方法を用いて発酵した。発酵後、培養液は多くの溶解性グルコ‐アミラーゼを含んだ。グルコアミラーゼ活性をU.S. Patent Application No.7262041に記載のように測定した。細胞をU.S. Patent Application No.2007/0246406のように精密ろ過により除去した。清澄培養液を10K分子量カットオフ(MWCO)PESらせん状にねじれた膜を用いて10倍に濃縮した。酵素濃縮物を使用時まで10℃にて保存した。貯蔵の時、沈殿物が形成された。沈殿物を遠心分離(10,000g、20分、10℃)により除去した。得られた透明な上澄みを下記に記載のように粒状の組成物の調製のために用いた。
【0251】
粒状の製剤
次のように、粒状の組成物を真菌発酵培養液中の溶解性酵素から調製した。
【0252】
スプレー1
150μmから350μmの範囲の粒径サイズを有する466グラムの硫酸ナトリウム結晶(Saltec)をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。これに、活性プロテアーゼ、5%トウモロコシデンプン(Cargill Foods)及び1%ポリビニルアルコール(Erkol製5/88)を含む512グラムの溶液を硫酸ナトリウム結晶の表面にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 8.2 gpm(g/分(grams per minute))、15分かけて10.1 gpmに上げる。後の実験工程の間10.1 gpmを維持する。
インレット温度 71℃と77℃の間
アウトレット温度 46.7℃と49.1℃の間
流動化空気流 75.3 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と80.7cfmの間
噴霧空気圧 31 psi(ポンド/平方インチ(pounds per square inch))、45分かけて41 psiに増加する。

615グラムの産物を取り出した。
【0253】
スプレー2
スプレー1から615グラムの酵素顆粒をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。それから、533グラムの硫酸ナトリウム(顆粒組成物の40%)を含む2667グラムの水溶液を酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 15.4 gpm(g/分(grams per minute))と18.5 gpmの間
インレット温度 72℃と78℃の間
アウトレット温度 43.8℃と45.7℃の間
流動化空気流 80.0 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と81.8cfmの間
噴霧空気圧 38 psi

1113グラムの産物を取り出した。
【0254】
スプレー3
スプレー2から1113グラムの酵素顆粒をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。それから、40グラムの(顆粒組成物の3%)ポリビニルアルコール(Erkol製5/88)及び80グラム(顆粒組成物の6%)のタルク(Nytal 400)を含む667グラムの水溶液を酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 4.6 gpm(g/分(grams per minute))、60分かけて11.0 gpmに上げる。
インレット温度 68℃、10分後82℃に上昇。
アウトレット温度 44.2℃と52.4℃の間
流動化空気流 82.3 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute)と83.5cfmの間
噴霧空気圧 40 psi

1221グラムの最終産物を取り出した。
【0255】
ホイバッハ摩耗試験を使用して、顆粒をダストに関して分析した。顆粒のダストレベルは1.66mg/padであった。
【0256】
実施例11
酵素沈殿物を有する真菌の培養液及び粒状の製剤の調製
実施例10に記載のようにグルコ‐アミラーゼを発現するトリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)を周知の方法で発現した。発酵後、培養液は多くの溶解性グルコ‐アミラーゼを含んだ。米国特許第5,801,034に記載のように溶解せずに細胞を死滅した。実施例10から酵素濃縮物を遠心分離することにより得られる沈殿物を死滅細胞を含む培養液へ添加した。得られた培養液は、溶解性及び不溶性酵素両者を含んだ。酵素含有培養液は、447U/mL活性及び19.7%(w/w)乾燥固体であった。沈殿物に存在する量を全体のサンプルの活性及び上澄み(14,000rpm、5分)を測定することにより決定した。データを下記表1にまとめる。90%の活性が、上澄み(溶解性酵素として)に存在し及び10%が沈殿された形態中に存在した。
【表1】

【0257】
粒状の製剤
次のように、粒状の組成物を沈殿された酵素含有真菌培養液から調製した。
【0258】
スプレー1
150μmから350μmの範囲の粒径サイズを有する472グラムの硫酸ナトリウム結晶(Saltec)をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。これに、活性プロテアーゼ、5%トウモロコシデンプン(Cargill Foods)及び1%ポリビニルアルコール(Erkol製5/88)を含む494グラムの溶液を硫酸ナトリウム結晶の表面にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 8.2 gpm(g/分(grams per minute))、10分かけて10.8 gpmに上げる。後の実験工程の間10.8 gpmを維持する。
インレット温度 68℃と71℃の間
アウトレット温度 44.7℃と46.5℃の間
流動化空気流 78.5 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と79.4cfmの間
噴霧空気圧 33 psi(ポンド/平方インチ(pounds per square inch))、20分かけて40 psiに増加する。

612グラムの産物を取り出した。
【0259】
スプレー2
スプレー1から612グラムの酵素顆粒をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。それから、533グラムの硫酸ナトリウム(顆粒組成物の40%)を含む2667グラムの水溶液を酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 17.2 gpm(g/分(grams per minute))と23.4 gpmの間
インレット温度 74℃と82℃の間
アウトレット温度 44.6℃と45.5℃の間
流動化空気流 81.2 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute))と81.9cfmの間
噴霧空気圧 38 psi

1081グラムの産物を取り出した。
【0260】
スプレー3
スプレー2から1081グラムの酵素顆粒をVector FL−1流動床コーティング装置へ充填し、流動化した。それから、40グラムの(顆粒組成物の3%)ポリビニルアルコール(Erkol製5/88)及び80グラム(顆粒組成物の6%)のタルク(Nytal 400)を含む667グラムの水溶液を酵素顆粒上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングパラメーターを下記に示す。

溶液スプレー速度 7.2 gpm(g/分(grams per minute))、60分かけて10.8 gpmに上げる。
インレット温度 78℃、 60分後81℃に上昇。
アウトレット温度 52.7℃と53.1℃の間
流動化空気流 83.2 cfm(立方フィート/分(cubic feet per minute)と83.6cfmの間
噴霧空気圧 41 psi

1190グラムの最終産物を取り出した。
【0261】
ホイバッハ摩耗試験を使用して、顆粒をダストに関して分析した。顆粒のダストレベルは7.9mg/padであった。
【0262】
実施例12
細胞成分及び不溶性酵素を含む濃縮物から調製した顆粒での洗剤中の酵素安定性
実施例4に記載のように調製した酵素顆粒の安定性を多様な洗剤基剤において評価した。洗剤基剤は、Calgonite 5-1、クエン酸塩を有するWFK、リン酸塩を有するWFK、及びSomat(Henkel)であった。WFK洗剤基剤はwfk Testgewebe GmbH (www.testgewebe.de)から入手できる。洗剤中酵素顆粒(2%w/w)を密閉容器中22℃に保った。残存酵素活性を0、5週間、2カ月、及び4カ月の時間にて貯蔵後測定した。データを下記表2にまとめる。
【表2】

【0263】
実施例13
細胞成分及び不溶性酵素を有する沈殿物から調製される顆粒の適用性能
実施例4に記載のように調製された酵素顆粒の洗浄性能を漂白洗剤基剤を含むIEC A*中に貯蔵前及び後で評価した。サンプルを1週間37℃/70%相対湿度(RH)にて蓋のあいたカップに保存した。新しい顆粒及び新しい洗剤を用いた並びに1週間洗剤中に保存した顆粒を用いた適用試験を多様な汚れ、即ち、CS-26(綿上トウモロコシデンプン)、CS-27(綿上ジャガイモデンプン)、CS-28(綿上コメデンプン)、CS-29(綿上タピオカデンプン)、及びEMPA-161(綿上デンプン)、を用いて実施した。
【0264】
洗浄試験
洗浄試験をMiele Novotronic W822洗浄機中で実施した。プログラムは「通常」/「綿」、温度は40℃、水硬度は8.5GH、洗剤は、0.15gのPurafect 4000 E (Genencor Division of Danisco US Inc.より入手) 及び0.139gの実施例4の顆粒を含む8g/L(=136g/洗浄)用量の漂白剤を伴うIEC A*であった。
【0265】
性能測定
測定をMinolta CR300 Colorimeter、CIELAB L*abスケール、D65スタンダード イルミネイト、UVフィルター無し、白のバックグラウンドで行った。汚れ除去(SR)を次の式を用いて計算した。

【0266】
図1は実施例4の顆粒の試験性能が貯蔵の間変化せずに維持されたことを示す。
【0267】
実施例14
細胞成分及び不溶性酵素を含む濃縮物から調製される顆粒での保存の間の酵素安定性
実施例7−9に記載のように調製された酵素顆粒を保存安定性について評価した。用いた条件は、開いた容器に入れたサンプルを用いて70%相対湿度のチャンバー中37℃にて行った。残存活性を測定し、最初の活性に基づいて計算した。データを下記表3にまとめる。
【表3】

【0268】
実施例15
実施例1−5に記載の回収方法の特性比較
上記実施例1−5に記載のように回収されたアルファ‐アミラーゼの活性及び精製を表4に記載する。酵素純度は、酵素活性を乾燥固体の総量で割ることにより算出した。
【表4】

【0269】
実施例16
細胞成分及び不溶性酵素を含む濃縮物から調製される顆粒に関する漂白剤含有洗剤基剤中に保存する間の酵素安定性
実施例1、24、及び6に記載のように調製される酵素顆粒を漂白粉を有するIEC A*洗剤基剤中の安定性について評価した。IEC A*粉洗剤をWFKから購入した。それは漂白洗剤を含んでいない。次の漂白系を加えた。それは、3%TEAD、及び20%過ホウ酸塩2HOである。用いた保存条件は、37℃、70%相対湿度のチャンバーの中、開いたポリプロピレン容器中にサンプルを入れた。残存活性を測定し、最初の活性に基づいて計算した。データを図2に示す。
【0270】
実施例17
酵素結晶を含む発酵培養液からの清澄酵素溶液の調製
すべての操作を室温で行った。
【0271】
出発材料
アスパラギン酸プロテアーゼを発現するように遺伝子組み換えされたトリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)を周知な標準条件下にて発酵した。例えば、米国特許第7,429,476を参照願いたい。採取時点の発酵培養液のpHは4.62であり、酵素は、スピンダウン中全体の活性の98%を有する大きな結晶を形成した。
【0272】
ろ過1−プロテアーゼ結晶の回収
521グラムの採取した培養液を63gの珪藻土ろ過助剤Celatom FW-6とビーカーの中でブレンドした。0.45μmナイロン膜フィルター(Nalgene 154-0045)を通して、302gのブレンドをろ過した。155gのろ液及び146gのフィルターケーキを回収した。酵素活性の98%がフィルターケーキ中に残存した。ろ液を破棄した。
【0273】
結晶の可溶化
前段階のフィルターケーキの131gをビーカーへ移し、87gの50mM硫酸とブレンドした。室温にて45分間放置後、ブレンドはpH3.2を有し、顕微鏡ですべてのプロテアーゼ結晶が溶解されたことを確認した。
【0274】
ろ過2−プロテアーゼ溶液の清澄化
前段階からの結晶の可溶化ブレンドの184gをろ過1にて用いたフィルターと同じ型でろ過した。ケーキの表面が乾燥したとき、50gの水で洗浄することにより沈殿固形物からろ液を除いた。154gのろ液を回収し、80gのフィルターケーキを破棄した。透明なろ液は、出発培養液の力価より16%より高い力価にて出発酵素活性の88%を含んだ。
【0275】
実施例18
清澄酵素製剤調製
出発材料:細菌発酵培養液
アルファ‐アミラーゼ酵素を組み換え的に発現するバシルス リチェニフォルミス(B. licheniformis)を周知な方法を用いて発酵した。発酵後、培養液を0.01%(w/w)リゾチームを用いて2時間溶解し、続いて2時間60℃の温度で温めた。
【0276】
18.1 溶解性酵素(従来の回収)を含む培養液からの調製
5gの出発材料を10分間14,000rpmにて遠心分離し、液相から固相を分離した。上澄みは、88%の酵素活性を含んだ。乾燥固体による純度は、6%であった。全タンパク質による純度は、14%であった。
【0277】
18.2 不溶性酵素を含む培養液から調製
溶解物中アルファ‐アミラーゼ酵素の結晶化
40gの出発物質を用いた。20%酢酸を用いて、溶解物のpHを5に調整した。そのpH調製物をシェーカーでインキュベートした。50℃及び80rpmの振盪条件であった。
【0278】
遠心分離1−アルファ‐アミラーゼ結晶及び細胞残屑の回収
44時間のインキュベート後、5gの溶解物を10分間14,000rpmにて遠心分離し、液相から固相を分離した。
【0279】
アルファ‐アミラーゼ結晶の可溶化
回収された固形物を水道水中にもとの溶解物の重量の5gに達するまで再懸濁した。3gのプロピレングリコールを懸濁液に添加した。5%NaOHを用いて、pHを6.5に調整し、室温にて18時間反転することにより混合した。それから、混合物を40℃にて2時間インキュベートした。
【0280】
遠心分離2−アルファ‐アミラーゼ溶液の清澄化
結晶可溶化ブレンドを10分間14,000rpmにて遠心分離し、液相から固相を分離した。0.45μmシリンジフィルターを用いて、得られたもの(液体上澄み)をさらに清澄化した。透明なアミラーゼ溶液は、結晶化に用いた最初の溶解物中にあった活性の85%を含んだ。乾燥固体による純度は、42%であった。総タンパク質による純度は、34%であった。
【0281】
18.3 凝集剤を用いる不溶性酵素を含む培養液から調製
凝集
実施例18.2から溶解アルファ‐アミラーゼ結晶を含む5g溶解物に10g/LのC581陽イオンポリマーを添加した。それから、手で10回上下に反転することにより優しく混合した。
【0282】
遠心分離2−アミラーゼ溶液の清澄化
凝集結晶可溶化ブレンドを10分間14,000rpmにて遠心分離し、液相から固相を分離した。透明なものは、結晶化に用いた最初の溶解物中にあった活性の85%を含んだ。全タンパク質による純度は、39%であった。
【0283】
実施例18.1、18.2及び18.3に記載のように回収されるアルファ‐アミラーゼの純度を表5に示す。酵素純度を乾燥固体の総量で、又は総タンパク質濃度で酵素活性を割ることにより計算した。
【表5】

【0284】
理解を明らかにする目的のために図及び実施例の方法で、発明を詳細に説明したけれども、ある変更及び修飾は本発明の特許請求の範囲及び精神を逸脱せずに実施できることは当業者にとって明らかである。従って、説明は、本発明の特許請求の範囲に限定することを意図していない。
【0285】
あたかも各々個々の刊行物、特許、又は特許出願が、具体的に及び個別に参考により組み入れられていることを示すように、本明細書にて引用されるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、参考により本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物細胞及び/又は細胞残屑を除去せずに微生物培養液から不溶性酵素を回収する工程、及び
回収された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を生成する工程であって、
酵素の少なくとも一部が、微生物培養液に不溶性であるように設けられる工程を含む、
微生物細胞及び/又は微生物細胞からの細胞残屑を含む微生物培養液から不溶性酵素を回収する方法。
【請求項2】
微生物培養液が、
酵素を微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む微生物培養液とブレンドすること、ここで、前記酵素が微生物細胞により生成されず、及び前記酵素が微生物培養液に不溶性であるか、又は前記酵素が微生物培養液に溶解性であるが沈殿剤の添加により、該酵素の少なくとも一部を不溶性にすることをさらに含むこと、
沈殿剤を微生物細胞により発現された溶解性酵素を含む微生物培養液に添加し、それにより酵素の少なくとも一部を不溶性とすること、及び
発酵培地において微生物細胞中の酵素を発現し、酵素の少なくとも一部が発酵培地に不溶性であるように設けること、
から選択される方法により生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
回収する工程が、培養液調整、細胞溶解、均質化、透析ろ過、及び固液分離から選択される少なくとも一つの回収操作を含み、
ここで、回収する工程が、二以上の回収操作を実施することを含む時、回収操作が、任意の順序で実施されてよいことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
回収する工程が、微生物培養液から液相の少なくとも一部を除去することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
微生物培養液から液相の少なくとも一部を除去することが、微生物培養液を濃縮することを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
微生物培養液を濃縮することが、限外ろか、精密ろ過、逆浸透、及びナノろ過から選択される膜ろ過法を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
微生物培養液から液相の少なくとも一部を除去することが、回転式ドラム型真空ろ過、プレート‐フレームろ過、ベルト型ろ過、遠心分離、サイクロン分離、デカンテーション、及び、蒸留から選択される方法を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
不溶性酵素が溶解性酵素を含む微生物培養液に沈殿剤を添加することにより生成され、それにより酵素の少なくとも一部が微生物培養液中で不溶性になり、ここで、沈殿剤がpHの調整、温度調整、塩の添加、酸の添加、塩基の添加、少なくともひとつの他のタンパク質の添加、緩衝液の添加、及び高分子電解質の添加、又はそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
回収された不溶性酵素を含む組成物が、無傷の微生物細胞を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
無傷の微生物細胞が生きている微生物細胞であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
無傷の微生物細胞が死んでいる微生物細胞であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む微生物培養液が、微生物細胞溶解物を含み、ここで、微生物細胞溶解物が、微生物細胞膜を破壊することにより生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
方法が、無傷の微生物細胞の微生物細胞膜を破壊し、回収される不溶性酵素を含む微生物細胞溶解物を生成することをさらに含む請求項9に記載の方法。
【請求項14】
微生物細胞膜を破壊することが、微生物細胞溶解ができる酵素と微生物細胞を接触することを含むことを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
微生物細胞溶解ができる酵素が、リゾチーム酵素であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
微生物細胞膜を破壊することが、均質化、高せん断混合、押出圧力、及び高せん断ポンピングから選択される機械的せん断方法を含むことを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項17】
微生物細胞溶解物を均質化し、均質化した微生物細胞溶解物を生成することをさらに含むことを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項18】
微生物細胞溶解物を透析ろ過することをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
微生物細胞が細菌細胞であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
細菌細胞がバシルス(Bacillus)細胞であることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
バシルス(Bacillus)細胞がバシルス スブチリス(B. subtilis)細胞又はバシルス リチェニフォルミス(B. licheniformis)細胞であることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
微生物細胞が真菌細胞であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
真菌細胞がトリコデルマ(Trichoderma)細胞であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
トリコデルマ(Trichoderma)細胞がトリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)細胞であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
酵素の少なくとも約10%が、微生物培養液中に不溶性であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項26】
不溶性酵素の純度が、回収する前の不溶性酵素の純度と比較して、少なくとも10%増加していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項27】
組成物が、回収される不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法により生成される組成物。
【請求項28】
少なくとも一つの製剤成分をさらに含むことを特徴とする請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
(a)不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を提供する工程、
(b)酵素が少なくとも部分的に溶解するように、酵素を溶解する物質の一以上を添加することにより及び/又は物理的条件を変化することにより、不溶性酵素の少なくとも一部を溶解し、それにより、溶解性酵素溶液を生成する工程、及び
(c)工程(b)に従って調製された溶液から固形物を除去し、それにより、清澄液体酵素溶液を生成する工程
を含む清澄液体酵素溶液を生成する方法。
【請求項30】
不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を含む酵素含有顆粒を生成することを含む、
酵素を含有する粒状製剤を作成する方法。
【請求項31】
不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物が、微生物細胞及び/又は細胞残屑を除去せずに微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む微生物培養液から不溶性酵素を回収する工程を含む方法により生成され、それにより、回収された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を生成し、ここで、酵素の少なくとも一部が、微生物培養液中で不溶性であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
酵素含有顆粒が、トップスプレー流動床方法、ボトムスプレーウルスターコーター方法、高せん断造粒、押し出し成形、及びパンコーティングから選択される造粒方法により生成されることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項33】
トップスプレー流動床装置において、コアの上に不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む酵素含有層をコーティングすることを含み、任意に、コアと酵素含有層の間に塩層をコーティングすることを含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項34】
酵素含有層の上にバリア塩を含む層をコーティングすることをさらに含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
バリア塩層の上にポリマー及び/又は色素を含む外側のコーティング層をコーティングすることをさらに含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
酵素含有顆粒が、不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む酵素含有コアの上にバリア塩層及び/又は一以上のコーティング層をコーティングすることにより生成されることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項37】
酵素含有コアがトップスプレー流動床装置により生成されることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
酵素含有コアが高せん断造粒により生成されることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項39】
酵素含有顆粒であって、
コア、
任意にコアの上にコーティングされる塩層、及び
コア又は塩層の上にコーティングされる酵素含有層を含み、ここで、酵素含有層が不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を含む
酵素含有顆粒。
【請求項40】
不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物が、微生物細胞及び/又は細胞残屑を除去せずに、微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む微生物培養液から不溶性酵素を回収する工程を含む方法により生成され、それにより、回収された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を生成し、酵素の少なくとも一部が微生物培養液中に不溶性であることを特徴とする請求項39に記載の酵素含有顆粒。
【請求項41】
酵素含有層の上にコーティングされるバリア塩層をさらに含むことを特徴とする請求項39に記載の酵素含有顆粒。
【請求項42】
バリア塩層の上にコーティングされる外側のコーティング層をさらに含み、ここで外側のコーティング層がポリマー及び/又は色素を含むことを特徴とする請求項39に記載の酵素含有顆粒。
【請求項43】
酵素含有顆粒であって、
酵素含有コア及びバリア塩層及び/又はコアを囲んでいる一以上のコーティング層を含み、ここで、コアが不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を含む
酵素含有顆粒。
【請求項44】
不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物が、微生物細胞及び/又は細胞残屑を除去せずに、微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む微生物培養液から不溶性酵素を回収する工程を含む方法により生成され、それにより、回収された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を生成し、酵素の少なくとも一部が微生物培養液中に不溶性であることを特徴とする請求項43に記載の酵素含有顆粒。
【請求項45】
酵素含有コアがトップスプレー流動床装置により生成されることを特徴とする請求項43に記載の酵素含有顆粒。
【請求項46】
酵素含有コアが高せん断造粒により生成されることを特徴とする請求項43に記載の酵素含有顆粒。
【請求項47】
請求項39から46のいずれか一つに記載の酵素含有顆粒を含む洗剤組成物。
【請求項48】
請求項39から46のいずれか一つに記載の酵素含有顆粒を含む織物処理組成物。
【請求項49】
請求項39から46のいずれか一つに記載の酵素含有顆粒を含む動物飼料組成物。
【請求項50】
請求項39から46のいずれか一つに記載の酵素含有顆粒を含む食品組成物。
【請求項51】
不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を含む酵素含有液体製剤。
【請求項52】
不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物が、微生物細胞及び/又は細胞残屑を除去せずに、微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む微生物培養液から不溶性酵素を回収する工程を含む方法により生成され、それにより、回収された不溶性酵素及び微生物細胞及び/又は細胞残屑を含む組成物を生成し、酵素の少なくとも一部が微生物培養液中に不溶性であることを特徴とする請求項51に記載の液体製剤。
【請求項53】
ポリオール、塩、保存剤、界面活性剤、及び抗酸化剤から選択される製剤成分の一以上をさらに含むことを特徴とする請求項51に記載の液体製剤。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−523562(P2011−523562A)
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513640(P2011−513640)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/046783
【国際公開番号】WO2009/152176
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(509240479)ダニスコ・ユーエス・インク (81)
【Fターム(参考)】