説明

発酵槽床面の送風ブロアー配管工法

【課題】 発酵槽床面の送風ブロアーを容易かつ経済的に施工することができるばかりでなく、配管内の清掃も容易になる発酵処理槽床面の送風ブロアー配管工法を提供する。
【解決手段】発酵処理槽10の床面Fを全面に亙って金網(メッシュ鋼)3で被覆し、この上に折曲自在のフレキシブルホース1を、発酵処理槽10の長手方向に1スパン毎に、その両壁内面に沿う部分が所定の半円形状になるように屈曲折り返して複数列櫛状になるように配管し、任意箇所を針金等で結束して固定する。次いで、生コンクリート2をフレキシブルホース1の上面まで打設し、生コンクリート2が養生固化した後、任意の位置に上方からドリル等を用いて、ブロアー噴出孔4を穿設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業系資源廃棄物、畜産排泄物、農業集落排水汚泥、下水汚泥、食品廃棄物、水産系資源廃棄物、木質系資源廃棄物等の有機廃棄物を発酵処理して堆肥化するために使用される発酵処理槽に関し、特にその床面の送風ブロアー管の配管工法にするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、畜産排泄物や生ゴミ等の有機性廃棄物の処理においては、廃棄物に微生物を加えて発酵処理して堆肥化する方法が多く採用されている。この微生物による発酵処理方法では、有機物を微生物で発酵分解して、均一な低分子化合物を主成分とする有機肥料に変成処理する。例えば、生ゴミを堆肥化して処理する生ゴミ処理装置が種々提案されているが、いずれにしても発酵槽に収納した被処理物に床面から送気し、発酵を促すことが重要である。このため、従来は、図6及び図7に示すように、発酵槽10の床面上に先ず捨てコンクリート12を打って、そこに配管溝の型枠でもって並行する複数の溝条13を形成し、この溝条内にブロアー孔14を設けた樹脂製パイプ11を櫛状に敷設する方法が採られていた。
【0003】
また、可撓性を有する暖用の熱媒体管を、被暖面に沿って配管する方法であって、前記被暖面に沿って区画されて複数設けられるとともに、その被暖面に沿う方向に開口する開口部を有する配管収納部の、前記区画された一の配管収容部の前記開口部から、前記熱媒体管を湾曲状に折り返した状態で、その湾曲した先端側から前記一の配管収容部内に送り込んで、その一の配管収容部内に前記熱媒体管を配管した後、同様にして、他の配管収容部内に、前記熱媒体管の残りの部分を順次配管することにより、前記被暖面に沿って前記熱媒体管を配管する工法(特許文献1参照。)。所定の配管パターンを有するパイプ曲げ治具にパイプを供給して、パイプをパイプ曲げ冶具にて所定の配管パターンに曲げ、配管パターンに沿ったパイプ収容溝を有する床パネルの上にパイプ曲げ冶具を移動させ、パイプ曲げ冶具を保持したパイプを、配管パターンに沿って曲げた状態で床パネル側に突き出してパイプを全長に亙ってパイプ収納溝に嵌め込む工法(特許文献2参照。)。また、床面のブロアー配管ではないが、電動送風機、集塵フィルタなどを内蔵し、屋外などに設置された掃除機本体を有し、一端が前記掃除機本体に連通されて床下に設置された配管の他端を屋外に設けた吸引コンセントに接続してなり、前記吸込口コンセントに掃除用ホースを接続して掃除を行なう据置型電気掃除機の配管工法であって、フレキシブルホースを使用するもの(特許文献3。)等が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特許第4095955号公報
【特許文献2】特許第3729040号公報
【特許文献3】特許第3368523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記いずれの工法も手間が掛かり多大な労力とコストが嵩むという問題があった。本発明は、上記のような従来技術の課題に鑑み、発酵槽床面の送風ブロアーを容易かつ経済的に施工することができるばかりでなく、配管内の清掃も容易になる発酵処理槽床面の送風ブロアー配管工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的達成のため本発明は、発酵処理槽の底面に送風ブロアー管を配管する工法であって、少なくとも一本のフレキシブルホースを折り返して複数列状に配管通路を配置した後、生コンクリートを前記ホース上面まで打設し、生コンクリートが固化した後、任意の位置に複数のブロアー噴出孔を穿設することを第1の特徴とする。また、床面を金網にて被覆し、この金網上にフレキシブルホース載置して所定のピッチ毎に固定することを特徴とする請求項1記載の発酵処理槽床面の送風ブロアー配管工法。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以下のような優れた効果を奏する。
(1)槽の床面に溝条等を形成する手間を省くことができるので、経済的且つ配管施工が容易になる。
(2)一スパン毎に設置した管は一本のホースであるので、一方の開口から他方の開口に向けて送風あるいは送水することで、ホース内部の目詰まり等を容易に清掃することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。本実施例は、畜糞堆肥化槽に適用したものである。尚、畜糞堆肥化槽には攪拌粉砕装置が搭載されており、この攪拌粉砕装置は一対のスクリュー型の回転軸を有するものを垂下させ、鉛直軸方向に対して所定角度傾斜させて前後左右に移動可能に配置されている。
図1は本発明に係る発酵槽床面の送風ブロアー配管工法の一実施例を示す斜視図、図2は図1の要部拡大断面図、図3は図1の一部平面図、図4は本発明を適用した畜糞堆肥化施設を示す正面図、図5は図4の平面図、図6は従来の配管方法を模式的に示す斜視図、図7は図6の要部拡大斜視図である。
【実施例】
【0009】
図1乃至図3に示すように、先ず、発酵処理槽10の床面Fを全面に亙って金網(メッシュ鋼)3で被覆し、この上に折曲自在のフレキシブルホース1を、発酵処理槽10の長手方向に1スパン毎に、その両壁内面に沿う部分が所定の半円形状になるように屈曲折り返して複数列櫛状になるように配管し、任意箇所を針金等で結束して固定した。ここで、1スパンL=約15mとした。したがって、折り返し部分は金網3にヘアピン状に固定されることとなる。次いで、生コンクリート2をフレキシブルホース1の上面まで打設し、生コンクリート2が養生固化した後、任意の位置に上方からドリル等を用いて、ブロアー噴出孔4を穿設した。その際、フレキシブルホース1は、コンクリート2により隠れて視認できない。そこで、定規を当てるか、あるいは配置したホース1に倣って直線状に糸を張設して穿孔作業の目印とすればよい。
【0010】
尚、本実施例では、フレキシブルホース1として(ミラレックスRF管:商品名:未来工業株式会社製)を使用し、800mmピッチに、左右端部を曲折しながら金網3に固定し、ブロアー6の母管5から枝分けした立上がり管部1aに開閉バルブ7を取り付けて設置した。また、清掃用の排出管1bを外部に延出し、開閉バルブ7を取り付けて設置した。
【0011】
図4乃至図5は、有機廃棄物堆肥化舎屋を示すもので、野菜屑や残飯などの厨芥Sを発酵処理して堆肥化するための施設である。その発酵処理槽10は、コンクリート製で上面が解放された矩形状に形成され、槽壁上面には、走行用レールが敷設され、発酵処理槽10の底面には送風ブロアー6に連通された送気管1が全面にわたって櫛状に張設されており、収容された厨芥Sの発酵処理効率を高めるために底部から送気できるようにされている。
【0012】
発酵処理槽10の中には、厨芥Sを攪拌粉砕するための攪拌粉砕装置9が据え付けられる。攪拌粉砕装置9の主要部材は発酵処理槽10の槽壁に支持される一対の左右移動用レールを兼ねた架台8上に搭載されている。架台8はその一端を槽壁の縁上に設けられたレールに嵌合される車輪と他方に設けられたタイヤにより発酵処理槽10の上を往復移動可能とされている。
【0013】
架台8上には、2つのモーターが据付けられた台車8aが搭載されると共に、この台車8aに攪拌粉砕装置9が垂下して取付けられている。台車8a上の一方のモーターは、架台8上を左右に往復移動するための往復移動用モーターであり、他方のモーターは攪拌粉砕装置9を回動させるための攪拌シャフト駆動用モーターである。すなわち、架台8が発酵処理槽10の上を往復移動しながら、攪拌粉砕装置9が架台8上を左右水平に往復動する。したがって、攪拌粉砕装置9は発酵処理槽10内で平面視の軌跡でジグザグに移動し、貯留された厨芥Sを満遍なく攪拌することができる。発酵処理槽10の開放上面には、厨芥を発酵処理槽10内に投入するフラットコンベア15が設けられている。
【0014】
台車8に据え付けられた攪拌粉砕装置9には、対向するスクリュー羽根を有する一対の攪拌シャフトが設けられ、これら攪拌シャフトの下端は、発酵処理槽10の床面近傍まで達している。ここで、攪拌シャフトは中空のものが使用され、その上端部分にはロータリージョイントを介して、送風口が設けられ、攪拌時にシャフト先端部からイジェクター方式で発酵に最適な温風が送気して発酵を促進できるようにされている。
【0015】
このような垂直型のスクリュー式攪拌粉砕装置9は、攪拌中における処理槽内の熱の発散が少なく、高温発酵の持続性が高く、攪拌スクリューの先端よりエアーを出す仕組みになっているので、処理能力が高く、厨芥Sの移動量が比較的少ないため、処理槽の径が短くて済む。また、ベアリング等が被処理物の中に直接入らないので、故障が少なく構造もシンプルでメンテナンスも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る発酵槽床面の送風ブロアー配管工法を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1の要部拡大断面図である。
【図3】図1の一部平面図である。
【図4】本発明を適用した畜糞堆肥化施設を示す正面図である。
【図5】図4の平面図である。
【図6】従来の配管方法を模式的に示す斜視図である。
【図7】図6の要部拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
1 フレキシブルパイプ
1a 立上り管
1b 清掃用排出管
2 生コンクリート
3 金網
4 ブロアー孔
5 ブロアー母管
6 ブロアー
7 開閉バルブ
8 架台
8a 台車
9 攪拌装置
10 発酵処理槽
11 従来の配管
12 捨てコンクリート
13 溝条
14 ブロアー孔
15 フラットコンベア
F 床面
S 厨芥(有機廃棄物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵処理槽の底面に送風ブロアー管を配管する工法であって、少なくとも一本のフレキシブルホースを折り返して複数列状に配管通路を配置した後、生コンクリートを前記ホース上面まで打設し、生コンクリートが固化した後、任意の位置に複数のブロアー噴出孔を穿設することを特徴とする発酵処理槽床面の送風ブロアー配管工法。
【請求項2】
床面を金網にて被覆し、この金網上にフレキシブルホースを載置して所定のピッチ毎に固定することを特徴とする請求項1記載の発酵処理槽床面の送風ブロアー配管工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−64061(P2010−64061A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235785(P2008−235785)
【出願日】平成20年9月13日(2008.9.13)
【出願人】(599174339)株式会社天神製作所 (8)
【Fターム(参考)】