説明

発電システム用のエンクロージャ

【課題】発電システム用のエンクロージャを開示する。
【解決手段】本エンクロージャ(10)は、複数の側壁(12)と、複数の側壁(12)に対してほぼ横方向に延びる屋根(14)とを含む。本エンクロージャ(10)はさらに、その各々が屋根(14)又は側壁(12)の一方と関連した複数のラッチ(30)と、その各々が屋根(14)又は側壁(12)の他方と関連した複数の係合要素(32)とを含む。複数のラッチ(30)の各々は、複数の係合要素(32)の1つに係合して、屋根(14)を複数の側壁(12)に解除可能に締結するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、総括的には発電システムに関し、より具体的には、発電システムを収容するためのエンクロージャに関する。
【背景技術】
【0002】
発電のような分野では、多様な発電システムが利用される。例えば、1つのタイプの発電システムは、ガスタービンシステムである。従来型のガスタービンシステムは、圧縮機、燃焼器及びタービンを含む。従来型のガスタービンシステムでは、加圧空気が圧縮機から燃焼器に供給される。燃焼器に流入した空気は、燃料と混合されかつ燃焼される。高温燃焼ガスは、燃焼器からタービンに流れて、ガスタービンシステムを駆動しかつ発電する。
【0003】
ガスタービンシステムのような発電システムは一般的に、エンクロージャ内に収容され、エンクロージャは、該システムを保護しかつ保守整備するための様々の機構を含む。一般的な従来技術のエンクロージャは、複数のナット/ボルトファスナを使用してその周辺部の周りで4つの側壁にボルト止めされた屋根を含む。従って、屋根及び側壁は、ほぼ中空の矩形エンクロージャを形成する。
【0004】
一般的に、システムが保守整備を必要とする時には、ガスタービンシステムのタービンケーシング、ロータ及び燃焼器缶のような様々なシステム部品にアクセスするために、エンクロージャの屋根を取外すことが必要である。しかしながら、保守整備のために屋根を取外すことができる前に、屋根は側壁から締結解除することが必要である。屋根の周辺部を囲む多数のナット/ボルトファスナを締結解除すること、次に保守整備が完了した後にナット/ボルトファスナを再締結することは、時間がかかりかつ非効率的なプロセスである。加えて、屋根は、該屋根及び側壁を互いに締結する前に該屋根を再配置した後に、該側壁と整列させなければならず、そのことは保守整備プロセスにさらに多くの時間を追加する。さらに、保守整備要員は、システムを運転停止した後であってナット/ボルトファスナを締結解除し始める前に、システム及びエンクロージャを温度低下させるのを可能にするために比較的長時間待機しなければならなくなる可能性がある。このことにより、保守整備プロセスがさらに非効率なものになる。この保守整備の期間が長ければ長いほど、システムによる発電及び利益創出における損失の増大が生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0049842号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、当技術分野では、発電システム用の改良型のエンクロージャが要望されていると言える。例えば、側壁に対する屋根の比較的高速締結及び締結解除を可能にするエンクロージャが、有利であると言える。加えて、屋根及び側壁を迅速に整列させる機構を備えたエンクロージャが要望されていると言える。
【0007】
本発明の態様及び利点は、次の説明においてその一部を記載しており、或いはそれら説明から自明なものとして理解することができ、或いは本発明の実施により学ぶことができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態では、発電システム用のエンクロージャを開示する。本エンクロージャは、複数の側壁と、複数の側壁に対してほぼ横方向に延びる屋根とを含む。本エンクロージャはさらに、その各々が屋根又は側壁の一方と関連した複数のラッチと、その各々が屋根又は側壁の他方と関連した複数の係合要素とを含む。複数のラッチの各々は、複数の係合要素の1つに係合して、屋根を複数の側壁に解除可能に締結するように構成される。
【0009】
本発明のこれらの及びその他の特徴、態様並びに利点は、以下の説明及び特許請求の範囲を参照して一層良好に理解されるであろう。本明細書に組入れておりかつ本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例示しておりかつ詳細な説明と共に本発明の原理を明らかにするのに役立つ。
【0010】
本発明の最良の形態を含む当業者への本発明の完全かつ有効な開示は、添付図面の図を参照した以下の本明細書の説明において行なう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の一実施形態によるエンクロージャの分解斜視図。
【図2】本開示の一実施形態による、図1に示すエンクロージャの組立斜視図。
【図3】本開示の一実施形態によるラッチ及び係合要素の前面図。
【図4】本開示の一実施形態によるラッチ及び係合要素を示す、図2の線4−4に沿った断面図。
【図5】本開示の別の実施形態によるラッチ及び係合要素の前面図。
【図6】本開示の別の実施形態によるラッチ及び係合要素を示す、図2の線6−6に沿った断面図。
【図7】本開示の一実施形態による剪断ピン及びボア孔を示す、図1の線7−7に沿った断面図。
【図8】本開示の別の実施形態による剪断ピン及びボア孔を示す、図1の線8−8に沿った断面図。
【図9】本開示の一実施形態による、隣り合う屋根セクションを互いに締結する機械的締結装置を示す、図2の線9−9に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、
1以上の実施例を図面に示している本発明の実施形態について詳細に説明する。各実施例は、本発明の限定ではなくて本発明の説明として示している。実際には、本発明においてその技術的範囲及び技術思想から逸脱せずに様々な修正及び変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として例示し又は説明した特徴要素は、別の実施形態で使用してさらに別の実施形態を生成することができる。従って、本発明は、そのような修正及び変更を特許請求の範囲及びその均等物の技術的範囲内に属するものとして保護することを意図している。
【0013】
図1及び図2を参照すると、ガスタービンシステム(図示せず)のような発電システム用のエンクロージャ10の一実施形態を示している。本開示はガスタービンシステムに限定されるものではなく、それどころか例えば蒸気タービンシステムを含むあらゆる好適な発電システムが本開示の技術的範囲及び技術思想の範囲内に属することを理解されたい。エンクロージャ10は一般的に、複数の側壁12と屋根14とを含むことができる。図示するように、例示的な実施形態では、エンクロージャは、前方側壁20、後方側壁22、右側側壁24及び左側側壁26のような4つの側壁を含む。しかしながら、本開示のエンクロージャ10は、4つの側壁12に限定されるものではないことを理解されたい。それどころか、4つよりも多い又は少ない側壁12を含む、側壁12のあらゆる好適な数が、本開示の技術的範囲及び技術思想の範囲内に属する。例示的な実施形態では、側壁12はさらに、地面に対してほぼ垂直に延びることができる。しかしながら、地面に対してあらゆる角度で延びる側壁12が本開示の技術的範囲及び技術思想の範囲内に属することを理解されたい。
【0014】
屋根14は、側壁12に対してほぼ横方向に延びることができる。例えば、屋根14は、側壁12に対してほぼ垂直に延びることができ、或いは様々な側壁12間で僅かに上向き及び/又は下向き角度で延びることができる。さらに、屋根14は、複数の屋根セクション28を含むことができる。例えば、例示的な実施形態では、屋根14は、2つの屋根セクション28を含むことができる。しかしながら、本開示のエンクロージャ10は、2つの屋根セクション28に限定されるものではないことを理解されたい。それどころか、2つよりも多い又は少ない屋根セクション28を含む、屋根セクション28のあらゆる好適な数が、本開示の技術的範囲及び技術思想の範囲内に属する。
【0015】
本開示によるエンクロージャ10は、側壁12に対する屋根14の比較的高速締結及び締結解除を可能にする様々な機構を含むことができる。例えば、エンクロージャ10は、複数のラッチ30と複数の係合要素32とを含むことができる。各係合要素32は、ラッチ30と組合せることができる。ラッチ30の各々は、屋根14又は側壁12の1つと関連させることができる。さらに、係合要素32の各々は、屋根14又は側壁12の1つと関連させることができる。従って、屋根14と関連したラッチ30の場合には、該ラッチ30がそれに対して結合される噛合い係合要素32は、側壁12と関連させることができる。側壁12と関連したラッチ30の場合には、該ラッチ30がそれに対して結合される噛合い係合要素32は、屋根14と関連させることができる。
【0016】
ラッチ30の各々は、該ラッチ30がそれと組合される噛合い係合要素32に係合するように構成することができる。例えば、ラッチ30及び係合要素32は、屋根14の周辺部の周りに及び側壁12の頂部端縁部の周りに配置することができ、かつさらに下記したように互いに係合するように配置することができる。各ラッチ30が係合要素32に係合すると、ラッチ30及び係合要素32は、屋根14を側壁12に解除可能に締結することができる。
【0017】
ラッチ30の全てを必ずしも屋根14のみと又は側壁12のみと関連させる必要がないことまた係合要素32の全てを必ずしも屋根14又は側壁12の他方のみと関連させる必要がないことを理解されたい。例えば、1以上のラッチ30のようなラッチ30の任意の部分を様々な側壁12と関連させることができ、一方、ラッチ30の残りの部分を屋根14と関連させることができる。さらに、1以上の係合要素32のような係合要素32の任意の部分を様々な側壁12と関連させることができ、一方、係合要素32の残りの部分を屋根14と関連させることができる。例えば、幾つかの実施形態では、1以上の側壁12は、その上にラッチ30のみ又は係合要素32のみを含むことができ、一方、その他の側壁12は、その上にラッチ30又は係合要素32の他方のみを含む。一実施形態では、右側側壁24及び左側側壁26は、その上にラッチ30を含んで、ラッチ30の一部分が該右側側壁24及び左側側壁26と関連しかつラッチ30の残りの部分が前方側壁20及び後方側壁22に隣接する屋根14と関連するようにすることができる。さらに、前方側壁20及び後方側壁22は、その上に係合要素32を含んで、係合要素32の一部分が該前方側壁20及び後方側壁22と関連しかつ係合要素32の残りの部分が右側側壁24及び左側側壁26に隣接する屋根14と関連するようにすることができる。しかしながら、上記したように、側壁12の各々は、ラッチ30及び/又は係合要素32を含むことができること、屋根14は、側壁12の各々に対するラッチ30及び/又は係合要素32の他方を含むことができることを理解されたい。
【0018】
上記したように、幾つかの実施形態では、ラッチ30は、側壁12と関連させることができ、一方、噛合い係合要素32は、屋根14と関連させることができる。一実施形態では、図3及び図4に示すように、ラッチ30は、それぞれの噛合い係合要素32に係合するように構成されたU−ボルト40を含むことができる。ラッチ30はさらに、枢動ポイント44の周りで枢動可能であって、該ラッチ30を係合要素32に解除可能に締結する取っ手42を含むことができる。従って、ラッチ30は、枢動可能であって、屋根14をそれぞれの側壁12に解除可能に締結することができる。U−ボルト40及び取っ手42は、取付けプレート46に取付けることができ、取付けプレート46は、側壁12に取付けることができる。例えば、図4に示すように、一実施形態では、側壁12は、上部I−ビーム48を含むことができる。I−ビーム48に対して、溶接、機械的締結又はあらゆるその他の好適な取付け法などによりL−ビーム50を取付けることができ、L−ビーム50に対して、取付けプレート46を取付けることができる。係合要素32は、U−ボルト40のようなそれぞれのラッチ30に係合するように構成されたフック52を含むことができる。フック52は、取付けプレート54に取付けることができ、取付けプレート54は、屋根14の端縁部56に取付けることができる。ラッチ30及び係合要素32は、U−ボルト40及びフック52が互いに係合することができるように配置することができる。従って、作動では、フック52に係合するようにU−ボルト40を移動させかつ次に取っ手42を枢動させて、屋根14をそれぞれの側壁12に解除可能に締結することができる。
【0019】
しかしながら、ラッチ30及び係合要素32は、図3及び図4に示しかつ上記したような実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。例えば、ラッチ30は、必ずしもU−ボルト40を含むことを必要とせず、それどころか、例えば係合要素32の係合及び側壁12に対する屋根14の解除可能な締結を可能にするあらゆる好適なボルト、フック、突出部、電磁装置、或いはあらゆるその他の好適なラッチ機構を含むことができる。加えて、係合要素32は、必ずしもフック52を含むことを必要とせず、それどころか、例えばラッチ30の係合及び側壁12に対する屋根14の解除可能な締結を可能にするあらゆる好適なボルト、突出部、陥凹又はボア孔、リング、電磁装置、或いはあらゆるその他の好適な係合機構を含むことができる。さらに、ラッチ30は、屋根14を側壁12に解除可能に締結するのに必ずしも枢動可能であることを必要としない。例えば、ラッチ30は、屋根14を側壁12に解除可能に締結するクランプ機構、空圧又は液圧機構、或いはあらゆるその他の好適な装置を含むことができる。
【0020】
加えて、屋根14及び側壁12の構成は、図3及び図4に示しかつ上記したような実施形態に限定されるものはない。例えば、側壁12は、必ずしもI−ビーム48及びL−ビーム50を含むことを必要としない。それどころか、本明細書に説明するようにラッチ30及び係合要素32を取付けるのを可能にするあらゆる好適な側壁12並びに屋根14構成が、本開示の技術的範囲及び技術思想の範囲内に属する。
【0021】
さらに、上記しかつ図3及び図4に示すようなラッチ30は必ずしも側壁12に取付けることを必要とせずまた上記しかつ図3及び図4に示すような係合要素32は必ずしも屋根14に取付けることを必要としないことを理解されたい。例えば、さらに別の実施形態では、ラッチ30は、屋根14に取付けることができ、係合要素32は、側壁12に取付けることができる。
【0022】
上記したように、幾つかの実施形態では、係合要素32は、側壁12と関連させることができ、一方、噛合いラッチ30は、屋根14と関連させることができる。1つの例示的な実施形態では、図5及び図6に示すように、ラッチ30は、それぞれの噛合い係合要素32に係合するように構成されたU−ボルト60を含むことができる。ラッチ30はさらに、枢動ポイント64の周りで枢動可能であって、該ラッチ30を係合要素32に解除可能に締結する取っ手62を含むことができる。従って、ラッチ30は、枢動可能であって、屋根14をそれぞれの側壁12に解除可能に締結することができる。U−ボルト60及び取っ手62は、取付けプレート66に取付けることができ、取付けプレート66は、屋根14の頂部表面68に取付けることができる。係合要素32は、U−ボルト60のようなそれぞれのラッチ30に係合するように構成されたフック72を含むことができる。フック72は、取付けプレート74に取付けることができ、取付けプレート74は、側壁12の外側表面76に取付けることができる。ラッチ30及び係合要素32は、U−ボルト60及びフック72が互いに係合することができるように配置することができる。従って、作動では、フック72に係合するようにU−ボルト60を移動させかつ次に取っ手62を枢動させて、屋根14をそれぞれの側壁12に解除可能に締結することができる。
【0023】
しかしながら、ラッチ30及び係合要素32は、図5及び図6に示しかつ上記したような実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。例えば、ラッチ30は、必ずしもU−ボルト60を含むことを必要とせず、それどころか、例えば係合要素32の係合及び側壁12に対する屋根14の解除可能な締結を可能にするあらゆる好適なボルト、フック、突出部、電磁装置、或いはあらゆるその他の好適なラッチ機構を含むことができる。加えて、係合要素32は、必ずしもフック72を含むことを必要とせず、それどころか、例えばラッチ30の係合及び側壁12に対する屋根14の解除可能な締結を可能にするあらゆる好適なボルト、突出部、陥凹又はボア孔、リング、電磁装置、或いはあらゆるその他の好適な係合機構を含むことができる。さらに、ラッチ30は、屋根14を側壁12に解除可能に締結するのに必ずしも枢動可能であることを必要としない。例えば、ラッチ30は、屋根14を側壁12に解除可能に締結するクランプ機構、空圧又は液圧機構、或いはあらゆるその他の好適な装置を含むことができる。
【0024】
加えて、上記したように、本明細書に説明するようにラッチ30及び係合要素32を取付けるのを可能にするあらゆる好適な側壁12及び屋根14構成が、本開示の技術的範囲及び技術思想の範囲内に属する。
【0025】
さらに、上記しかつ図5及び図6に示すようなラッチ30は必ずしも屋根14に取付けることを必要とせずまた上記しかつ図5及び図6に示すような係合要素32は必ずしも側壁12に取付けることを必要としないことを理解されたい。例えば、さらに別の実施形態では、ラッチ30は、側壁12に取付けることができ、係合要素32は、屋根14に取付けることができる。
【0026】
特に、図5及び図6に示しかつ上記したようなこの例示的な実施形態では、ラッチ30、特に取っ手62は、屋根14の頂部表面68に隣接する位置に取付けられる。従って、この例示的な実施形態によるラッチ30及び係合要素32は、エンクロージャ10の側壁12と隣接するエンクロージャ10又はその他の構造体の側壁12との間に間隙が殆ど存在しないような領域内において該エンクロージャ10上に実装することができる利点がある。例えば、幾つかの実施形態では、エンクロージャ10の前方側壁20、後方側壁22、右側側壁24及び/又は左側側壁26の1つ或いはそれ以上は、作業者が側壁12に取付けられたラッチ30に係合させかつ該ラッチ30を解除可能に締結するための間隙がそれらの間に殆ど存在しないような状態で、隣接する構造体に比較的近接させて配置することができる。これらの実施形態では、ラッチ30は、それらの側壁12に近接させて屋根の頂部表面68に取付けて、作業者が比較的迅速にかつ容易にラッチ30及び係合要素32を係合させかつ解除可能に締結するのを可能にすることができる。
【0027】
本開示によるエンクロージャ10はさらに、屋根14及び側壁12を迅速に整列させるのを可能にする様々な機構を含むことができる。例えば、図2、図3、図7及び図8に示すように、エンクロージャ10は、複数の剪断ピン80を含むことができ、複数のボア孔82を形成することができる。各ボア孔82は、剪断ピン80と組合せることができる。剪断ピン80の各々は、屋根14又は側壁12の1つと関連させることができる。さらに、ボア孔82の各々は、屋根14又は側壁12の1つと関連させることができる。従って、屋根14と関連した剪断ピン80の場合には、該剪断ピン80がそれに対して結合される噛合いボア孔82は、側壁12と関連させることができる。側壁12と関連した剪断ピン80の場合には、該剪断ピン80がそれに対して結合される噛合いボア孔82は、屋根14と関連させることができる。
【0028】
ボア孔82の各々は、該ボア孔82がそれと組合される噛合い剪断ピン80を受けるように構成することができる。例えば、剪断ピン80及びボア孔82は、屋根14の周辺部の周りに及び側壁12の上部部分の周りに配置かつ形成することができる。下記したように、ボア孔82によってその中に噛合い剪断ピン80を受けると、剪断ピン80及びボア孔82は、屋根14を、該剪断ピン80を備えかつ/又はボア孔82を形成したそれぞれの側壁12と整列させるように作用することができる。
【0029】
上述したように、剪断ピン80及びボア孔82は、屋根14を側壁12と整列させるように作用することができる。例えば、剪断ピン80は、あらゆる好適な断面プロフィールを有することができる。例えば、剪断ピン80は、円形又は楕円形断面プロフィール、矩形又は方形プロフィール、三角形プロフィール、或いはあらゆる好適な多角形状を持つプロフィールを有することができる。さらに、幾つかの実施形態では、剪断ピン80の断面プロフィールは、該剪断ピン80の長さ全体にわたって一定とすることができる。さらに別の実施形態では、剪断ピン80は、該剪断ピン80の基部84及び先端部86間において少なくとも部分的にテーパさせることができる。例えば、図2、図3、図7及び図8に示すように、剪断ピン80は、ほぼ円錐形剪断ピン80とすることができる。それに代えて、剪断ピン80は、角錐形とすることができ、或いはあらゆるその他の好適なテーパ構造を有することができる。
【0030】
ボア孔82は一般的に、剪断ピン80と噛合う、従って受けるように構成することができる。従って、ボア孔82は、剪断ピン80の断面プロフィールとほぼ等しい断面プロフィールを有することができる。例えば、剪断ピン80の断面プロフィールが該剪断ピン80の長さ全体にわたって一定であるような実施形態では、ボア孔82は、該ボア孔82がその中に剪断ピン80を受けることができるようなほぼ等しい断面プロフィールを有して、剪断ピン80を位置決めし、従って屋根14を、該剪断ピン80を備え又はボア孔82を形成したそれぞれの側壁12と整列させることができる。
【0031】
剪断ピン80がテーパ状であるさらに別の実施形態では、ボア孔82は、該剪断ピン80の基部84と噛合うように構成することができる。従って、これらの実施形態では、剪断ピン80の基部84の断面プロフィールとほぼ等しい断面プロフィールを有することができる。ボア孔82は、その中に剪断ピン80を受けて該剪断ピン80を位置決めし、従って屋根14を、該剪断ピン80を備えるか又は該ボア孔を形成したそれぞれの側壁12と整列させることができる。剪断ピン80のテーパ形状部は、例えば屋根14又は側壁12の変形による該剪断ピン80及びボア孔82間の不整列を修正するのを可能にすることができる利点がある。
【0032】
上記したように、各剪断ピン80は、屋根14又は側壁12と関連させることができ、各噛合いボア孔82は、屋根14又は側壁12の他方と関連させることができる。幾つかの実施形態では、図7及び図8に示すように、複数の剪断ピン80の各々は、側壁12と関連させることができ、屋根14は、複数のボア孔82を形成することができる。例えば、図7は、右側側壁24と関連した剪断ピン80及び屋根14内に形成された噛合いボア孔82の一実施形態を示している。図8は、前方側壁20と関連した剪断ピン80及び屋根14内に形成された噛合いボア孔82の一実施形態を示している。図示したような剪断ピン80は、基部84から側壁20、24を貫通して延びるネジ付き端部88を含む。ナット89は、ネジ付き端部88と組合せて剪断ピン80を側壁20、24に取付ける。噛合いボア孔82は、屋根14の底部表面90内に形成される。図示するように、屋根14が側壁20、24上に降下された時に剪断ピン80は、ボア孔82に係合して屋根14を調整し、位置決めしかつそれぞれの側壁20、24と整列させることができる。
【0033】
剪断ピン80は、ネジ付き端部88及びナット89の使用により取付けることを必要としないことを理解されたい。例えば、剪断ピン80は、溶接し、クランプし、あらゆるその他の好適な機械的ファスナを使用して締結し、或いはあらゆる好適な取付け装置を使用して別の方法で取付けることができる。
【0034】
前方側壁20及び右側側壁24に対する上記したような剪断ピン80及びボア孔82は同様に、後方側壁22及び左側側壁26と関連させることができることをさらに理解された。加えて、上記したように、本明細書で説明するように剪断ピン80を取付けかつボア孔82を形成するのを可能にするあらゆる好適な側壁12及び屋根14構成は、本開示の技術的範囲及び技術思想の範囲内に属する。
【0035】
特に、剪断ピン80及びボア孔82は側壁12に対して屋根14を位置決めすることに加えて、該側壁12に対する該屋根14の剪断抵抗をもたらす利点を有することができる。例えば、エンクロージャ10の屋根14は、地震及び/又は風力荷重により生じる様々な側方移動を受ける可能性がある。それらの荷重の結果として屋根14は、側壁12に対して剪断移動する傾向となる可能性がある。しかしながら、剪断ピン80及びボア孔82を設けることは、その剪断移動に抗する利点を有することができかつ従って屋根14及びエンクロージャ10全体に対して安定性及び耐久性を与えることができる。
【0036】
上記したように、本開示による屋根14は、複数の屋根セクション28を含むことができる。幾つかの実施形態では、屋根セクション28は、互いに締結することができる。例えば、図9は、2つの屋根セクション28を含む本開示の屋根14の一実施形態を示している。屋根セクション28は、該根セクション28を互いに締結することを可能にする様々な部品を含むことができる。例えば、図9に示すように、屋根セクション28の各々は、該屋根セクション28に取付けられたL−ビーム94を含むことができる。L−ビーム94は、互いに近接させて配置することができる。さらに、屋根セクション28を互いに締結するように構成された複数の機械的ファスナ96を設けることができる。例えば、図9に示すように、機械的ファスナ96は、ナット/ボルトの組合せとすることができる。ボルトはL−ビーム94を貫通して延びまたナットはボルト上に螺合して、隣り合う屋根セクション28を互いに締結することができる。それに代えて、機械的ファスナは、例えばクランプ、リベット、ネジ、ラチェット装置、電磁装置、突出部/陥凹部組合せ又は雄/雌装置組合せ、或いはあらゆるその他の好適な機械的締結装置とすることができる。幾つかの実施形態では、機械的ファスナ96は、締結解除されて、屋根セクション28をエンクロージャから個々に取外すことができるようにする利点を有する。それに代えて、機械的ファスナ96は、恒久的に屋根セクション28を互いに締結することができる。
【0037】
屋根セクション28は、必ずしもL−ビーム94を含む必要がないことを理解されたい。それどころか、本明細書で説明するように、隣り合う屋根セクション28を互いに締結するのを可能にするあらゆる好適な屋根セクション28構成は、本開示の技術的範囲及び技術思想の範囲内に属する。
【0038】
従って、上記したように本開示のエンクロージャ10は、側壁12に対する屋根14の比較的高速締結及び締結解除を可能にする利点がある。さらに、例示的な実施形態では、エンクロージャ10は、屋根14及び側壁12を迅速に整列させる機構を有する。従って、本エンクロージャ10は、その中の発電システムのより迅速かつより効率的な保守整備を可能にする。
【0039】
本明細書は最良の形態を含む実施例を使用して、本発明を開示し、当業者が、あらゆる装置又はシステムを製作しかつ使用しまたあらゆる組込み方法を実行することを含む本発明の実施を行なうことを可能にもする。本発明の特許性がある技術的範囲は、特許請求の範囲により定めており、当業者が想到するその他の実施例を含むことができる。そのようなその他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と相違しない構造的要素を含むか又はそれらが特許請求の範囲の文言と本質的でない相違を有する均等な構造的要素を含む場合には、特許請求の範囲の技術的範囲内に属する。
【符号の説明】
【0040】
10 エンクロージャ
12 側壁
14 屋根
20 前方側壁
22 後方側壁
24 右側側壁
26 左側側壁
28 屋根セクション
30 ラッチ
32 係合要素
40 U−ボルト
42 取っ手
44 枢動ポイント
46 取付けプレート
48 I−ビーム(側壁)
50 L−ビーム(側壁)
52 フック
54 取付けプレート
56 端縁部(屋根)
60 U−ボルト
62 取っ手
64 枢動ポイント
66 取付けプレート
68 頂部表面(屋根)
72 フック
74 取付けプレート
76 外側表面(側壁)
80 剪断ピン
82 ボア孔
84 基部
86 先端部
88 ネジ付き端部
89 ナット
90 底部表面(屋根)
94 L−ビーム
96 機械的ファスナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電システム用のエンクロージャ(10)であって、
複数の側壁(12)と、
前記複数の側壁(12)に対してほぼ横方向に延びる屋根(14)と、
その各々が前記屋根(14)又は側壁(12)の一方と関連した複数のラッチ(30)と、
その各々が前記屋根(14)又は側壁(12)の他方と関連した複数の係合要素(32)と
を備えており、前記複数のラッチ(30)の各々が、前記複数の係合要素(32)の1つに係合して、前記屋根(14)を前記複数の側壁(12)に解除可能に締結するように構成される、エンクロージャ(10)。
【請求項2】
前記複数のラッチ(30)の一部分が、前記複数の側壁(12)の少なくとも1つと関連し、前記複数の係合要素(32)の一部分が、前記複数の側壁(12)の少なくとも別の1つと関連する、請求項1記載のエンクロージャ(10)。
【請求項3】
その各々が前記屋根(14)又は側壁(12)の一方と関連した複数の剪断ピン(80)をさらに含み、その各々が前記屋根(14)又は側壁(12)の他方と関連した複数のボア孔(82)をさらに形成し、前記ボア孔(82)の各々が、前記複数の剪断ピン(80)の1つを受けて、前記屋根(14)を前記それぞれの側壁(12)と整列させるように構成される、請求項1又は請求項2記載のエンクロージャ(10)。
【請求項4】
前記複数の剪断ピン(80)の各々が、基部(84)及び先端部(86)間において少なくとも部分的にテーパしている、請求項3記載のエンクロージャ(10)。
【請求項5】
前記複数のボア孔(82)の各々が、前記それぞれの剪断ピン(80)の基部(84)と噛合うように構成される、請求項4記載のエンクロージャ(10)。
【請求項6】
前記複数の剪断ピン(80)の各々が、前記側壁(12)と関連し、前記屋根(14)が、前記複数のボア孔(82)を形成する、請求項3乃至請求項5のいずれか1項記載のエンクロージャ(10)。
【請求項7】
前記屋根(14)が、複数の屋根セクション(28)を含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のエンクロージャ(10)。
【請求項8】
前記複数の屋根セクション(28)を互いに締結するように構成された複数の機械的ファスナ(96)をさらに含む、請求項7記載のエンクロージャ(10)。
【請求項9】
前記係合要素(32)の各々が、前記それぞれのラッチ(30)に係合するように構成されたフック(72)を含む、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載のエンクロージャ(10)。
【請求項10】
前記ラッチ(30)の各々が、前記それぞれの係合要素(32)に係合するように構成されたU−ボルト(40)を含む、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載のエンクロージャ(10)。
【請求項11】
前記複数のラッチ(30)の各々が、前記屋根(14)を前記複数の側壁(12)に解除可能に締結するように枢動可能である、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載のエンクロージャ(10)。
【請求項12】
発電システム用のエンクロージャ(10)であって、
前方側壁(20)、後方側壁(22)、右側側壁(24)及び左側側壁(26)を備えた複数の側壁(12)と、
前記複数の側壁(12)に対してほぼ横方向に延びる屋根(14)と、
その各々が前記屋根(14)又は側壁(12)の一方と関連した複数のラッチ(30)と、
その各々が前記屋根(14)又は側壁(12)の他方と関連した複数の係合要素(32)と、
その各々が前記屋根(14)又は側壁(12)の一方と関連した複数の剪断ピン(80)と、
その各々が前記屋根(14)又は側壁(12)の他方内に形成された複数のボア孔(82)と
を備えており、前記複数のラッチ(30)の各々が、前記複数の係合要素(32)の1つと係合して、前記屋根(14)を前記複数の側壁(12)に解除可能に締結するように構成され、前記ボア孔(82)の各々が、前記複数の剪断ピン(80)の1つを受けて、前記屋根(14)を前記それぞれの側壁(12)と整列させるように構成される、エンクロージャ(10)。
【請求項13】
前記複数のラッチ(30)の一部分が、前記複数の側壁(12)の少なくとも1つと関連し、前記複数の係合要素(32)の一部分が、前記複数の側壁(12)の少なくとも別の1つと関連する、請求項12記載のエンクロージャ(10)。
【請求項14】
前記複数の剪断ピン(80)の各々が、基部(84)及び先端部(86)間において少なくとも部分的にテーパしている、請求項12又は請求項13記載のエンクロージャ(10)。
【請求項15】
前記複数の剪断ピン(80)の各々が、前記側壁(12)と関連し、前記屋根(14)が、前記複数のボア孔(82)を形成する、請求項12乃至請求項14のいずれか1項記載のエンクロージャ(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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