説明

発電プラントにおけるエネルギー管理

電力の消費が程度の異なる需要の期間を示す電力市場において、低需要の期間中に生成した電力を管理するための方法。この方法は、低需要の期間中に電磁波放射(EMR)乾燥によって固体化石燃料を高品質化することと高品質化した燃料の貯蔵および利用を含む。燃料の利用は、高需要の期間に電力を生成するために燃焼すること、熱を消費する他の産業プロセスにおいて燃焼すること、または他の企業体に燃料を売買することを含み得る。本方法で使用されるEMR乾燥は、高品質化した化石燃料中の内在水分含有量を少なくとも半減することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体化石燃料を燃焼する事業体におけるエネルギー管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力生産事業体は、毎日のサイクル中で一様ではない電力需要への対処に苦闘している。一日の期間中、需要は一時間毎に変化し、典型的に朝と晩に需要はピークに達し、夜間の需要は低い。高需要と低需要のレベル差は、高需要レベルの50%以上に達することもある。電気はそのままの形態で貯蔵できない産物であるため、事業体の発電容量の大部分が非効率に使われている。さらに、発電レベルを頻繁に大きく変動させることは、運転費用と機械的磨耗の面で高コストになっており、特に石炭などの固体化石燃料を燃焼する発電プラントにおいてはそうである。
【0003】
化石燃料を燃焼する電力事業体は、燃料に込められた熱を蒸気に変換する工程を稼動しており、この蒸気が電気を作り出すタービンを駆動する。石炭火力発電事業体のプロセスは、石炭搬入・および石炭準備部、燃焼装置を備えたボイラー、灰・および排出物処理部、タービンおよび発電関連設備、水処理部ならびに補助設備を含む。
【0004】
石炭搬入・および準備系統は、列車、荷船またはその他の輸送手段に対する荷下ろし設備、通常、1.5〜2か月の生産分の石炭を貯蔵する石炭貯蔵場、石炭を貯蔵場からプラントまで駆動するための原料搬入設備、石炭供給装置、粉砕プラントおよびボイラーの燃焼装置への供給設備を含む。
【0005】
石炭火力発電プラントは、非常に遅いプロセスの動的特性により、その稼動は費用がかかり複雑である。石炭火力発電プラントは電力生産を開始できるまでの準備に多くの時間を必要とし、低需要期間中には停止状態に切り換えるのは不経済になる。同時に、プラントの一貫性と運転の安全を考慮するために、発電部はその負荷と緊密に同期化されなければならない。需要が臨界値を下回るレベルに減少している場合に、石炭燃料だけではボイラーの必要な熱的状態を十分に維持することはできず、ボイラーを適切な状態に保つためにはディーゼルなどの他の燃料を石炭と共に使用しなければならない。これが、運転費用を上げる望ましくない条件になっている。
【0006】
高需要期間と低需要期間との間の負荷の落差を縮めて需要を平均化するために、消費者に高需要期間には消費を抑え、低需要期間には消費を増加するよう奨励する使用時間帯により異なる料金設定をした積極的な戦略を事業体は実施している。高需要期間の電気料金は低需要期間の電気料金の数倍になることもあるが、この戦略だけでは需要の落差を埋めるには必ずしも十分ではない。
【0007】
低需要期間中に生成された過剰な電力を蓄えて、高需要期間中に使用するために、様々な解決策が数多く提案されてきた。提案された解決策の中に、低需要中に水を高い高度に揚水し、高需要期間中に水力発電ユニットの動力源としてこの水を逆に利用するというものがある。この方法は「揚水貯蔵」として知られており、米国を含む世界中の数か所で使用されている。揚水貯蔵は多額の資本コストがかかり、環境への影響も大きい。
【0008】
特許文献1は、圧縮空気を蓄えることによってピーク時外の時間帯のエネルギーを蓄積することを提案している。ピーク時間には、圧縮空気がガス・タービンを駆動する。特許文献2は、圧縮空気をガス・タービン中で燃料を燃やすために使用する(常備のコンプレッサをその後オフに切り換える)ことを提案している。特許文献3は、蒸気タービンにおける石炭ガス化により得た石炭ガスを燃焼する発電プラントを開示する。ピーク時外の時間帯中に生成された石炭ガスを加圧容器に貯蔵し、ピーク時間中にガス・タービン中で燃焼する。
【0009】
米国での電力の50%以上が石炭から生成される。米国の石炭生産は、年当り11億米トンである。この石炭の90%以上が電力を生み出すために使用される。アメリカは、現在の消費レベルで今後250年間存続する石炭埋蔵量をもつ。
【0010】
石炭の品質は、発熱量、含水量、揮発性物質含有量、灰含有量、および硫黄含有量などの多岐の属性によって評価できる。各属性は、程度の差はあるが、石炭の使用のしかた、その燃焼特性ひいてはその経済的価値に影響を与える。これらの属性は石炭の埋蔵地ごとに異なり、さらにある埋蔵地内においても、石炭の特性が実質的に異なることもある。
【0011】
ワイオミング州とモンタナ州にまたがるパウダー河川流域(PRB)などの埋蔵地や世界中のその他の類似の埋蔵地は、「低ランクの」石炭として一般に知られる石炭を含有する。低ランクの石炭は亜瀝青炭や亜炭を含み、褐炭としても知られる。これらの石炭の水分含有量は相当多く、30%を優に超える。
【0012】
含水量に関連して、米国材料試験協会(ASTM)により公表された以下の定義と標準的方法を本出願では信頼すべきものとする。
【0013】
参照することによりここに組み入れられる870.19(a)項または870.20(a)項のいずれかにより定められたように、総水分は、厳格に制御された温度、時間および空気流の条件のもとで空気雰囲気中での重量の損失量を意味する。
【0014】
また、定められたように、内在水分は、肉眼で見える割れ目に存在する水分は除外するが、孔隙中の水分を含む自然の状態で石炭層の不可欠な一部として存在する水分を意味する。
【0015】
余剰水分は、高ランクの石炭の場合には870.19項に従って、低ランクの石炭の場合は870.20項に従って、どちらも参照することによりここに組み入れられる、計算された総水分と内在水分の差を意味する。「余剰水分」は、本出願では「表面水分」と言う。
【0016】
低ランクの石炭は、亜瀝青炭Cおよび亜炭を意味する。
高ランクの石炭は、無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭AおよびBを意味する。
【0017】
内在水分の評価のための実験室手順は、参照することによりここに組み入れられるASTM D1412-93に概説される。評価する石炭試料の収集もASTM文書に定められる。
【0018】
手短に述べると、実験室手順は次のとおりである。石炭を細かい粉にすりつぶし、石炭の表面水分がほとんど乾燥し、石炭の残留表面水分が周囲湿度に等しくなるように一定の時間の間、開放空気にさらす。石炭中に残留する水分が内在水分であると仮定する。次に、石炭をオーブン中で加熱し、内在水分含有量を質量の損失から計算する。
【0019】
石炭中の水分には、表面水分と内在水分の二つの異なった種類がある。表面水分は、雨水または散水システムの場合のように、物理的に石炭に水をかけることによって石炭を濡らした結果起こり得る石炭粒子に含まれた水である。太陽または高温ガス流などの熱源に、または遠心分離機のような物理的乾燥装置に石炭粒子をさらすことで、この水分は除去することができる。
【0020】
内在水分は、主として石炭の形成時期以来石炭粒子内部に閉じ込められている水、または長い期間と高い圧力を要する過程で石炭粒子に浸透した水である。内在水分は、典型的には、毛細管現象により石炭粒子に閉じ込められているか、または化学的に石炭に結合しており、さらに極端な力を高温および/または高圧の形態で使用しない限り、表面水分を乾燥させるために使用されるプロセスによって取り除くことはできない。
【0021】
内在水分に対する従来の石炭の脱水または乾燥プロセスは、複雑であり、極端な条件で実施される。これらのプロセスの多くは、石炭粒子を従来の加熱法により加熱し、システムに圧力を導入または組み込むという技術に基づく。プロセスにおいて合成された力が、石炭粒子から内在水分を排出する。この種のプロセスで処理された石炭の最終的な含水量は、プロセス内部のそのときの現状の周囲条件に主に依存する。最終的に、石炭中の内在水分の乾燥は低レベルにとどまり、そのために大量のエネルギーと乾燥プロセス中での石炭の長い滞留時間を費やす結果になる。
【0022】
既存の脱水技術は、石炭粒子から水を蒸発させるために従来の熱伝達プロセスを利用する。このプロセスの不利なところは、水を蒸発させるために外側から内側へ石炭粒子を加熱することである。石炭は熱伝達に対して非常に高い抵抗を有する断熱物質であることが知られているが、これが非効率性の原因である。つまり、各石炭粒子とその周囲を熱する際に多くの熱を消費し、石炭粒子の熱伝達に対する高い抵抗を凌駕するほど温度傾度を大きくしなければならない。このような加熱は危険であり、石炭を高温にさらすうちに石炭を着火する可能性があるので特別な配慮を必要とする。
【0023】
低ランクの内在水分が多い石炭を高品質化するための脱水プロセスは、産業的な脱水システムの大規模な展開を制限することになった二つの大きな難点に歴史的に直面してきた。今まで生産されてきた低ランクの高品質化された石炭は、低い自己点火点と低ランクの生の石炭を含む他の石炭よりも早く起こる自然発火を示した。試験では、脱水した石炭の山を空気流に多時間(典型的には、72時間未満)さらすと、石炭が自然発火または自己点火を起こす温度に達することがわかった。石炭粒子の自然加熱および自然発火は、内在水分の多い生の石炭の共通の問題であったが、このような事象は何日、何週間もの、より長い期間にわたり開放空気にさらした後で通常は発生する。この現象は、表面面積対体積比を実質的に増加し、したがって石炭粒子の空気中水分の吸収をより活性にする脱水プロセスによってさらに悪化し、高品質化された石炭の貯蔵寿命をさらに短くする。
【0024】
石炭の脱水において観察されたもう一つの問題は、多量の粉炭が発生することである。プロセスを出た後の乾燥した石炭を移送する際に、乾燥した石炭はより砕けやすくなるため、石炭粒子のサイズが劣化し、炭塵がより多く出る。乾燥した石炭は、湿気のある石炭のようにその表面に小さな粒子を捉えておく本来の能力を失っている。このために、運搬中に塵サイズの粒子が剥離し消失するとともに、火災や爆発を引き起こす高い危険がある。
【0025】
非特許文献1に掲載された記事は、石炭のドライクリーニング、すなわち、水中浮遊を伴わずに不良廃棄物(岩石)から石炭を分離することを論じている。ドライクリーニング・プロセスでは、供給石炭の含水率は粒子が互いに密着するレベルに達せず、表面水分の関数である。したがって、低ランクの石炭は、かなり高い内在水分レベルをもつことがあっても表面は乾燥し、ドライクリーニングに適する。記事は、表面水分を十分に低いレベルに下げるために熱乾燥を使用できることを示唆し、石炭をベルトで搬送しマイクロ波ドライヤを通過させることを推奨する。この種のドライヤ中では、水は熱エネルギーをすぐに吸収し気化されるが、石炭は加熱されない。
【0026】
特許文献4は、コーキングまたはガス化する高品質粉炭用のMW乾燥装置およびプロセスを開示している。この装置は、閉じた処理ゾーンを通過する無端コンベヤ・ベルト、石炭ベルトの両側にある電極板、および湿気を除去するために熱空気をベルト上に送る送風システムを具備する。
【0027】
特許文献5は、導電性の粉末材料、特にコーキング前の石炭粉用のMW加熱/乾燥方法を開示している。アーク放電を避けるために粉砕が使用される。含水率は、IR検出器測定によりリアルタイムに統制可能である。
【特許文献1】米国特許第3631673号明細書
【特許文献2】米国特許第5491969号明細書
【特許文献3】米国特許第3849662号明細書
【特許文献4】米国特許第4280033号明細書
【特許文献5】米国特許第4259560号明細書
【非特許文献1】The Australian Coal Review, October 1999, p.27
【発明の開示】
【0028】
本発明は、新しいエネルギー管理システムおよび同システムで使用される石炭などの固体化石燃料を高品質化するためのプロセスに関する。さらに詳しくは、本発明は、電力のコストが大幅に高くなる高需要期間における使用のために、低需要期間に生成される安価な電力を高品質化した石炭の形態で貯蔵するためのプロセスに関する。
【0029】
本発明は、低需要期間中に電力を生成、貯蔵し、高需要期間における高価格での発電に使用するビジネス方法とこの貯蔵を可能にする物理的方法を組み合わせている。
【0030】
本発明の方法では、例えば夜間の低需要時間帯に低コストの電力を低コスト、低発熱量の化石燃料を高品質化するために消費し、高コスト、高発熱量の燃料の代替として使用する。高品質化した燃料は貯蔵され、発電部で一日中使用され、小売エネルギー市場で相当高価格で売れる電力を生成するために、特に高需要期間に使用される。
【0031】
本発明の第一の態様によれば、電力の消費が程度の異なる需要の期間を示す電力市場において、低需要の期間中に生成した電力を管理するための方法が提供される。この方法は、低需要の期間中に電磁波放射(EMR)乾燥によって固体化石燃料を高品質化することと高品質化した燃料の利用を含む。
【0032】
利用は、好適には、少なくとも高需要の期間に電力を生成するために高品質化した化石燃料を燃焼することを含む。しかし、利用は、熱を消費する他の産業プロセスにおいて燃料を燃焼することまたは他の企業体に燃料を売買することをも含む。
【0033】
管理方法は、特に、発電プラントでの適用に有効であり、高品質化が同プラントで生成された電力によって実行される。好適には、高品質化した化石燃料は、同プラントで貯蔵され、少なくとも高需要の期間に電力を生成するために燃焼される。
【0034】
好適には、低需要期間に生産される、高品質化し、貯蔵された化石燃料の量は、高需要の期間における同プラントでの発電のためのすべての燃料消費をカバーする。さらに好適には、高品質化し、貯蔵された化石燃料の平均の一日当たりの量は、同プラントでの発電のため平均の一日当たりの燃焼消費を少なくともカバーする。
【0035】
好適には、上記方法に使用されるEMR乾燥は、高品質化した化石燃料中の内在水分含有量を50%以上減少させることを含む。
【0036】
本発明の第二の態様によれば、固体化石燃料の高品質化の方法が提供される。この方法は、高品質化した化石燃料中の内在水分含有量を少なくとも半減するように、EMRによって固体化石燃料を脱水することを含む。電気的脱水プロセスによって得られる高品質化した化石燃料の一日当りの量は、発電プラントまたは/および他の産業プロセスの一日当りの消費量と同等である。
【0037】
固体化石燃料としては、内在水分含有量の多い低ランクの石炭、油頁岩、タール砂、亜瀝青炭などが可能である。しかし、もとより内在水分が少ない高ランクの石炭を1%の内在水分ほどの低水分にさらに乾燥させることもできる。
【0038】
上記方法は、その他の消費者による電力消費が程度の異なる需要の期間を示し、電気的脱水プロセスが電力消費の低需要期間中に実行される場合、最良に実施することができる。
【0039】
好適には、EMR脱水プロセスは、高品質化した状態の化石燃料を燃焼する発電プラントによって生産された電力を用いて実行される。上記プロセスは、さらに詳しくは、電力生産のピークが一日のうちで何度かある状況で発電プラントが稼動し、乾燥プロセスは電力生産のピーク外の時間帯に主として行われるように実行される。
【0040】
上記方法は、ピーク外の時間帯に得た高品質化した化石燃料を貯蔵することと、一日のうちのピーク時間帯における電力生成に高品質化した化石燃料を使用することを含む。好適には、ピーク外の時間帯に得られる高品質化した化石燃料の量は、発電プラントの一日の消費量または後続の二つの低需要期間の間の期間の消費量を少なくともカバーする。これは、脱水プロセスの運転コストを実質上削減する。
【0041】
EMR乾燥は、高温ガスを用いて表面水分を除去することを前処理として行ってもよい。
【0042】
好適には、EMR乾燥はマイクロ波放射によって実行される。
【0043】
本発明の方法は、具体的には、電磁波放射による低品質の固体化石燃料の低温度、低圧力での脱水(乾燥)を実現する。この方法は、短時間の中断が可能な運転に適する短い起動、停止期間しか必要とせず、設置面積も小さいので、発電プラント内またはそばに配置することができる。次の日の石炭の需要分を生産するように低需要期間に低ランクの石炭を高品質化するための本方法を使用すれば、事業体は年間何百万ドルもの燃料コストの削減が可能になる。
【0044】
物理的脱水プロセスは、固体化石燃料を高周波数の電磁波放射にさらすことに基づく。放射に基づく脱水プロセスには、他のプロセスに勝る利点が多くある。放射による脱水は大気圧で行われ、燃料粒子自体を加熱せずにすむ。プロセスの起動手順とその停止は迅速であり、それ故、低コストの電力を利用する必要に迫られて非連続的な中断が可能な運転にプロセスは適合する。さらに、燃料粒子からその水分の一部を機械的に除去し得るが、燃料粒子の脱水は水の完全な蒸発を必要としない点で放射は他の技術よりも効率的であると言える。
【0045】
大きなスペースを必要とし、通常、燃料の供給源の近くに配置される、極端な熱および圧力条件を必要とする既存の内在水分脱水プロセスとは異なり、本発明の方法は小さな設置面積で実現することができ、静かで環境に優しく、操作が簡単であり、燃料の価値連鎖の両側、すなわち供給源側と事業体側に適合するものとなっている。
【0046】
当プロセスの一つ基本的な前提は、燃料粒子が無線周波数、マイクロ波またはそれより高い周波数での電磁波放射を受けるようにすることである。放射の強度、すなわち、燃料の単位体積当りのエネルギー密度および放射の周波数は、すべての関連する要素を考慮に入れた要件に応じて変動され得る。当プロセスのもう一つの重要な前提は、一日中、特に高需要期間により高価な電力を生産するために使用される燃料を脱水および高品質化するために低需要期間中の安価な電力を使用することである。これは、より高い収益を生む高需要期間に使用されるように、低需要期間中に電力を生成し、燃料の内部に貯蔵することができる革新的な手段を事業体にもたらす。
【0047】
当プロセスを事業体の発電部の近くに配置する場合には、事業体の既存の燃料搬入設備に当プロセスを統合し、資本経費を大幅に節減することがかなりの程度まで可能になる。この場合、脱水のプロセスは、燃料固体を挽いて粉体状にしてからボイラーの燃焼装置へ粉体を供給する粉砕部の前段で実行される。こうした場合、従来の既存の原料搬入設備を用いて低品質の燃料を貯蔵場から引き込むことができる。燃料は次に、従来の熱の手段、すなわち高温ガスの蒸気によって乾燥された後、放射部を通過させられる。脱水(高品質化)した燃料は、後で使用するために貯蔵してもよいし、あるいは放射部から粉砕部へ直接流入してもよい。続いて、通常の発電プラントの運転プロセスが開始できる。
【0048】
高品質化した燃料を後で使用するために貯蔵する場合、ビンやサイロまたはその他の密閉した乾燥原料貯蔵部などの既存のまたは新しい密閉貯蔵設備を使用することができる。この燃料は、次に、粉砕部へ直接供給し、通常の発電プラントのプロセスに再投入することができる。高品質化した燃料を密閉貯蔵環境で制御された条件のもとで保持することは、燃料の貯蔵寿命を延ばし、望ましくない発火の危険を減らす。蓄積された燃料は、サイロ、ビンまたはその他の貯蔵手段に貯蔵することができる。貯蔵期間中に、燃料およびその微粉が燃焼するのを防ぐために、貯蔵設備を窒素または二酸化炭素などの不活性ガスでパージすることができる。
【0049】
低品質の固体燃料が放射を受ける前に、燃料のサイジングをしてもよい。これは、例えば、グレーディングまたはミリングなどの適切な手段で行えばよい。さらなる粒子サイジングが、脱水プロセス後、燃料を燃焼装置へ供給する前に行う粉砕ステップ中で行われる。低品質の燃料をEMRにより乾燥させると微粉が生じ、放射後の燃料は砕けやすい特性を呈するようになり、これは粉砕部では好都合なことになり得る。
【0050】
本発明の方法は、乾燥した化石燃料が搬送などの付加的な取扱いをそれほど要さないように、化石燃料を空間的にも時間的にもそれを消費する場所の近くで高品質化することを可能にする。乾燥直後に、粉砕というさらなるサイズ縮小プロセスを燃料が受けるようにしてもよい。したがって、粉炭が搬送中に消失するようなことはなく、火災や爆発を引き起こす危険は低下する。
【0051】
燃料は一括に処理されてもよいが、好適には、半連続的また連続的に処理される。したがって、適切な搬送装置上で燃料を一つまたは複数の電磁波放射源を通るように搬送または通過させてよい。このような装置は、好適には電磁波放射に対して不活性である。
【0052】
搬送装置には、適切なものであればどんな材質でも使用してよく、放射に対して不活性である、例えば、セラミックまたはステンレス鋼の材料から作られるコンベヤまたはその他の搬送装置により利用を構成できる。これは、燃料粒子から閉じ込められた水分を取り除くという主目的に寄与しないプロセスの要素を加熱するためにエネルギーを無駄に浪費しないことを確実にする。
【0053】
一つまたは複数の段で燃料が放射を受けるようにしてもよい。適切な周波数での電磁波放射は燃料粒子内の水分子を励起し、その結果、水が駆出されて燃料から放出されるように水の温度を上昇させる。これは、次には、燃料粒子の温度を上げることになり得る。水の温度がより高くなれば、表面張力効果が減少し、その結果、燃料粒子中の毛細管内に水を閉じ込める力が減少し、脱水プロセスはより効率的になる。
【0054】
各段の物理的特性を変動させることもできる。例えば、少なくとも一つの段では、燃料が燃焼するのを防止する発火抑制物質として働き、発現する可能性があり、爆発を引き起こす可能性のある状態を抑制する窒素または二酸化炭素などの適当な不活性ガスの存在の下で燃料が電磁波放射を受けるようにすることができる。このガスはまた、燃料中に元から含まれている可能性がある表面水分または放射プロセス中に形成される表面水分を除去するように、処理される燃料を加熱することができる。
【0055】
ほとんどの場合、放射プロセスによって放出される水蒸気は清浄であり、大気に放出してかまわない。
【0056】
水蒸気を除去する冷却ステップを燃料が受けるようにしてもよく、その後乾燥燃料をふるいがけしてから回収してもよい。放射の結果として蓄積する可能性があるすべての余剰な表面水分を取り除くために、脱水後の石炭粒子を一定の周囲条件の下に保持することが必要になることもある。
【0057】
本発明の次なる態様によれば、上記の方法を実行するための以下に示すシステムが提供される。
【0058】
発電プラントにおいて固体化石燃料を燃焼することによるエネルギー生産のためのシステムは、固体化石燃料を高品質化するためのEMR乾燥プラントと高品質化した固体化石を燃焼装置へ移動するための搬送手段を具備する。EMRプラントは、高品質化した固体化石燃料中の内在水分含有量を50%以上削減するように適合される。当該システムは、好適には、発電プラントの一日の消費量と少なくとも同等の量の高品質化した固体化石燃料を貯蔵するのに適した貯蔵手段を具備する。
【0059】
発電などの産業プロセスにおいて燃焼される高品質化した固体化石燃料を生産するためのシステムであり、高品質化した固体化石燃料中の内在水分含有量を50%以上削減するように適合されたEMR乾燥プラントと産業プロセスの一日の消費量と少なくとも同等の量の前記高品質化した固体化石燃料を貯蔵するのに適した貯蔵手段を具備するシステム。
【0060】
高品質化した固体化石燃料中の内在水分含有量を50%以上削減するように適合されたEMR乾燥プラントを具備する、高品質化した固体化石燃料を生産するためのシステムであり、EMR乾燥プラントは、低ランクの石炭、油頁岩、タール砂のうちの一つを処理するように構成される。
【0061】
本発明のさらに別の態様によれば、前述の方法によりまたは前述のシステムにおいてEMR乾燥によって得られる高品質化した固体化石燃料が提供される。われわれの試験では、高品質化した燃料は発熱量の増加または排出物の減少を示すと同時に、その経済的価値も増加することを示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
本発明を理解し、発明が実際にどのように実施し得るかを把握するために、非限定的な例のみを用いて、添付の図1を参照して実施形態を以下に説明する。
【0063】
図1を参照すると、本発明によるプロセスおよびシステムの一例の各ステップおよび構成要素が、背景技術で説明した電力生産事業体における石炭燃焼の既存のプロセスを背景にして図示される。例示の目的で、図1は石炭を脱水するためのプロセスを示すが、その他の固体化石燃料にも同様に適合する。ここに示したプロセスは、石炭貯蔵場と粉砕プラントへの供給を行う石炭バンカーの間で実施されるように設計されている。
【0064】
プロセスを実行するための生産の仕組みは、次の主構成要素を含む。石炭貯蔵部10、石炭準備部12、積込みステーション16、マイクロ波乾燥プラント20、冷却硬化部34、乾燥石炭貯蔵部66、粉砕部68、および水処理プラント30。この仕組みのその他の構成要素は、これより先で明らかになるであろう。この図面では、囲み領域8が本発明のプロセスを表わし、囲み領域外にある部分が事業体における既存のプロセスを表わす。
【0065】
低ランクの湿った石炭が貯蔵部10に貯蔵され、適切な技術を用いて、石炭のサイジングを行うことができる石炭準備部12へ供給される。必要に応じて、石炭をいずれかの適切な手段によりグレーディングまたはミリングすることができる。
【0066】
石炭は、次に、積込みステーション16へ渡され、そこでマイクロ波放射に対して透過であり、機械的な損傷を生じずにプロセス温度に耐えられる搬送装置(例えば、コンベヤ)へ石炭は移される。マイクロ波放射によって加熱されず、この放射を実質的に減衰しない材質、例えば、セラミクス、プラスチックまたはステンレス鋼の材料が適当なコンベヤ(図示せず)の構造に使用できる。積込みステーション16は、従来の原料搬入システムを使用する。設計は特定の用途ごとに異なることもあり、また一括処理方式または連続処理方式を採用する場合で異なることがある。一括動作では、一定の形状で石炭はMW乾燥プラント20へ積み込まれ、乾燥のために必要なエネルギーは放射時間に依存する。連続動作では、石炭はマイクロ波乾燥プラント20を通過するように移動され、乾燥のために必要なエネルギーは移動の速度に依存する。
【0067】
マイクロ波乾燥プラント20は、ハウジングと多数のマイクロ波放射源(図示せず)を具備する。ハウジングは、ステンレス鋼などの特別な材料で作られ、マイクロ波放射がハウジングから逃げないように隠蔽され、これにより周囲環境が電磁気的に安全であり、放出水蒸気やガスが抑制されることを確実にする。ハウジングはまた、エネルギー入力に相対して乾燥石炭の産出を最大にするように、電磁波放射が石炭に直接焦点を合わせるように設計される。
【0068】
MW放射源は、マグネトロンまたはその他の適切な技術を使用して作ることができる。各放射源の放射周波数およびハウジング中に広がるエネルギー密度は、すべての関連状況を考慮に入れた要件に応じて変動可能である。同様に、石炭が放射を受ける期間も脱水プロセスの効率を考慮に入れて変動可能である。
【0069】
プロセス条件によって決まる、強制空気または窒素や二酸化炭素などの不活性ガスが、供給源22からプラント20へ送られる。強制空気または不活性ガスの注入は、ハウジング内を低湿度環境に維持するために使用される。ハウジング内の湿気は、石炭から放出された水分のせいとプロセスの低温度のせいである。相当な量の水蒸気28が石炭から放出される。この水蒸気は、ハウジング内へ注入される空気または不活性ガス22によって大気へ追い払われる。
【0070】
過剰な量の水分が石炭から放出される場合、ユニットから排出する水24を水処理プラント30へ送ることができる。この処理は、石炭から除去される水を周囲環境へ放出できる場合には必要ではないこともある。
【0071】
MW乾燥プラント20は、例えば、単一段からなるようにできる。また、必要な脱水の程度と脱水される石炭の量に応じて決まる複数段で同プラントを構成することもできる。
【0072】
複数のMWプラント部を並列におよび相互に直列に積み重ねることができる。並列のユニットは、プロセス全体の容量を増大するために利用され、一方、直列のユニットは各ラインの容量を個別に増大するために利用される。
【0073】
プラント20から出てくる乾燥した石炭は、冷却硬化部34へ送られる。この段階で、石炭は、電磁波放射により除去された内在水分の結果である表面水分を含む可能性がある(下記を参照)。
【0074】
冷却硬化部30から出てくる高品質化した石炭64は、乾燥石炭密閉貯蔵部66または事業体のプロセスにおける次段、通常は、燃焼される石炭を準備する粉砕部68のどちらかへ送ることができる。
【0075】
貯蔵部66は、MW放射プラントが非作動時に粉体製造の高負荷期間中の必要を満たすに足る量の高品質化した石炭を保持する大きさをもつ。発火または着火に導電しない状態下に石炭を置いておくために、不活性ガス70を密閉貯蔵部66にも導入することができる。図1において分割する破線で示されるように、密閉貯蔵部66は、既存の事業体の構成の一部であってもよく、あるいは乾燥プロセスによって生産された高品質化した石炭を収容するために特に追加されてもよい。
【0076】
バイパス接続72は、冷却硬化部30と粉砕部68の間の直接接続を提供する。バイパスは、粉体製造の低需要期間の間作動することができる。
【0077】
プロセスの動作時のモードは、石炭がエネルギーを貯蔵するための容量としての役割を担い、高需要期間に使用される石炭を高品質化するために安価な電力を使用するというものである。この方式は、低需要期間中は発電プラントに一定の負荷での動作状態を維持させ、一日中でより均衡のとれた安定した負荷特性をもたらすので、電力生成を安定化させるという点でさらに事業体に利益をもたらす。プロセスはまた、比較的短い起動期間と停止期間しか必要としない。
【0078】
全プロセスで必要になるエネルギーのコストを削減するために、各MWプラント部は、電力需要が最も低いほんの数時間のうちに丸一日の運転に必要な量の石炭を乾燥させるのに十分なプロセス容量を有するものとする。つまり、プロセスが一定の時間だけ作動すればよく、一日のうちの需要の変化に応じてオンオフを切り換えればよい。
【0079】
本発明の例示的なプロセスは、石炭貯蔵場10で事業体の通常のプロセスから離れ、粉砕部68への入力で通常のプロセスへと戻る。密閉貯蔵部66は、高需要期間に備えた石炭を保持するように設計され、脱水MWプラント20が非作動時に高需要期間中の必要を満たす貯蔵容量をもつ。
【0080】
MW放射が一例として使用されたが、他の電磁波放射を使用してもよい。電磁波放射は、石炭粒子内部に閉じ込められた内在水分を加熱する。この水が加熱されるにつれて、石炭粒子内で圧力増加が生じ、この圧力が水蒸気を各石炭粒子から逃すための駆動力として働く。石炭粒子の表面に出るまでの途中で、水蒸気は粒子内に閉じ込められている他の水も機械的に連れ出すことができる。すべての内在水分を石炭粒子から逃すために蒸発させる必要はないので、このプロセスは放射の熱的収率を増加できる。その結果、プロセス条件は比較的低い温度に保たれ、石炭から放出された水がすべて気相になるのではない。液体の水が石炭の表面から除去されて、機械的手段によってハウジングから排出されることもある。強制空気または不活性ガス22の注入は、過剰な水を除去するための方法として役立つが、他の方法も可能である。
【0081】
適度なプロセス条件において高周波数の電磁波放射を用いて、例えば、パウダー河川の石炭のような低ランクの石炭で実施された脱水試験は、内在水分を25%以上のレベルから1〜2%のレベルへ減少させることができることを証明した。さらに、試験は、内在水分が6〜10%と元々少ない高ランクの石炭でも1%ほどの低水分に減少させることができ、高ランクの石炭にもプロセスが適合することを証明した。また、石炭のEMR乾燥は、その揮発性物質含有量、石炭発熱量の臨界属性およびボイラー内での急速な燃焼性をそのまま保つことがわかった。EMRによる固体化石燃料の高品質化のプロセスは、放射レベル、放射時間、粒子サイズなど制御しやすいプロセス変数が豊富であり、プロセスを制御しやすく、最適化しやすくする要素も豊富である。
【0082】
初期試験のために、ある量の生のPRB石炭をイスラエルのハイファ市にある実験室に輸送した。試料は、出力900ワット、周波数2,450MHzの国産の電子レンジで処理した。処理した石炭に加えて、生の石炭の試料も分析した。下に示す表1は試験の概要である。
【0083】
【表1】

【0084】
実験室分析から以下のことが明らかである。
− 物理的試験中に観測された重量の損失は、石炭の内在水分の減少によるものである。
− 水分が除去され、試料の総質量が減少した事実に基づき、処理された石炭は異なる組成を示す。
− PRB石炭に対するすべての他の内在水分乾燥プロセスとの大きな相違であるが、揮発性物質はプロセスの影響を受けなかった。実際、揮発性物質の含有量は内在水分の減少に比例して増加した。
【0085】
この表に示した実験室結果は、PRB石炭中の内在水分の乾燥が可能なだけではなく、プロセスは比較的効率的でもあることを示した。さらに、プロセスが低電力需要期間中に実行されれば、プロセスは非常に経済的でもある。
【0086】
下に示す表2は、プロセス効率の概要を示す。
【0087】
【表2】

【0088】
石炭中の内在水分を乾燥させるための電磁波放射技術は、少なくとも以下にあげる潜在的な利点を提供する。低圧力および低温度で比較的簡単な費用のかからないプロセス、大量の石炭を連続的にまたは半連続的に処理可能なEMRユニット内の滞留時間が短い、清浄であり環境に優しい処理方法、容易に起動と停止ができるプロセス、標準的な事業体において配置できる小さい設置面積をもつプロセス、高コストの電力を生産するように高需要期間中に使用される石炭を高品質化するために低コストのエネルギーを利用するプロセス、短時間のうちに消費される燃料を産出するプロセスであるので自然発火の問題を排除する、石炭を粉体に粉砕する段の近くに配置されるプロセスであるので粉炭の問題を排除する、および事業体の全体的発電プロセスにうまく統合できるソリューションである。
【0089】
具体的な実施形態の説明を提示してきたが、本発明の範囲を逸脱しない範囲で様々な変更が可能であるものと考慮される。例えば、本方法は石炭以外の固体化石燃料を高品質化するために修正して使用することができる。本発明の方法は、別の燃料乾燥事業体(電力を生産しない)で実行されもよいし、高品質化した固体燃料を他の消費者に売買することもできるし、あるいはセメント・キルン、加熱炉などの他の産業設備で使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の方法による低ランクの石炭乾燥および利用の概要図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の消費が程度の異なる需要の期間を示す電力市場において、生成した電力を管理するための方法であって、
− 前記電力を使用して、低需要期間にEMR乾燥によって固体化石燃料を高品質化することと、
− 前記高品質化した固体化石燃料の利用と、
を含む方法。
【請求項2】
前記利用は、前記高品質化した固体化石燃料を少なくとも高需要の期間中の電力生成に使用することと、前記高品質化した固体化石燃料を熱を消費する産業プロセスで燃焼することと、前記高品質化した固体化石燃料を売買することとの少なくとも一つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
発電プラントによって適用され、前記高品質化が同プラントで生成された電力によって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記高品質化した固体化石燃料の少なくとも一部を貯蔵することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記利用は、少なくとも高需要の期間に同発電プラントでの電力生成のために前記高品質化した化石燃料を燃焼することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記高品質化して貯蔵された化石燃料の量は、高需要の期間中に電力生成のために消費される量に少なくとも等しい、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記高品質化して貯蔵された化石燃料の平均の一日当りの量は、同プラントでの発電に平均して一日当たり消費される量に少なくとも等しい、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記EMR乾燥は、高品質化した化石燃料中の内在水分含有量を50%以上削減することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記固体化石燃料は、低ランクの石炭、油頁岩、タール砂のうちの一つ以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
産業プロセスにおいて燃焼させる固体化石燃料を高品質化するための方法であって、電磁波放射(EMR)によって前記固体化石燃料を乾燥させることを含み、それにより高品質化した化石燃料中の内在水分含有量を50%以上削減し、前記EMRによって得られる高品質化した化石燃料の一日当りの量は、前記産業プロセスでの一日当りの消費量と同等である方法。
【請求項11】
第一のエネルギー消費者以外の他の消費者による電力消費が程度の異なる需要の期間を示す地域で、前記EMR乾燥は第一のエネルギー消費者によって実行され、前記EMR乾燥は前記電力消費の低需要期間中に実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記EMR乾燥は、高品質化した状態の化石燃料を燃焼する発電プラントによって生産された電力を用いて実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
外部消費者向けの電力生産のピークが一日のうちで何度かある状況で前記発電プラントが稼動し、前記EMR乾燥は前記電力生産のピーク外の時間帯に主として実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ピーク外の時間帯に得た高品質化した化石燃料を貯蔵することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ピーク外の時間帯に得た高品質化した化石燃料の量は、前記発電プラントにより一日当り消費される量に少なくとも等しい、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記固体化石燃料は、低ランクの石炭、油頁岩、タール砂のうちの一つ以上である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記EMR乾燥はその前処理として高温ガス中での乾燥を行う、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
EMR乾燥はマイクロ波放射によって行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記産業プロセスは、小売市場における外部消費者向けの電力生産のピークが一日のうちで何度かある状況で稼動するプラントでの発電であり、前記EMR乾燥は、同発電プラントによって生産された電力を使用して前記電力生産のピーク外の時間帯に主として実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記高品質化した固体化石燃料は、前記産業プロセスを実施する設備において貯蔵される、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
前記高品質化した固体化石燃料は密閉容器中に貯蔵され、前記容器は発火を防止するために不活性ガスでパージされる、請求項10に記載の方法。
【請求項22】
前記固体化石燃料はEMR乾燥の前に所定のサイズに縮小される、請求項10の方法。
【請求項23】
EMR乾燥は一つまたは複数の段で実行され、少なくとも一つの段は内在水分の除去に当てられる、請求項10に記載の方法。
【請求項24】
EMR乾燥は不活性ガスの存在下で少なくとも一部は実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項25】
高品質化した固体化石燃料の冷却を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項26】
請求項10から請求項25のいずれかに記載の方法によって得られる高品質化した固体化石燃料。
【請求項27】
産業プロセスにおいて燃焼させる固体化石燃料を高品質化するための方法であって、電磁波放射(EMR)によって前記固体化石燃料を乾燥させることを含み、前記固体化石燃料は低ランクの石炭、油頁岩、タール砂のうちの一つ以上である方法。
【請求項28】
産業プロセスにおいて燃焼させる固体化石燃料を高品質化するための方法であって、電磁波放射(EMR)によって前記固体化石燃料を乾燥させることを含み、第一のエネルギー消費者以外の他の消費者による電力消費が程度の異なる需要の期間を示す地域で前記EMR乾燥は第一のエネルギー消費者によって実行され、前記EMR乾燥は前記電力消費の低需要期間中に実行される方法。
【請求項29】
発電プラントにおいて燃焼させる固体化石燃料を高品質化するための方法であって、電磁波放射(EMR)によって前記固体化石燃料を乾燥させることを含み、前記EMR乾燥および前記燃焼は同発電プラントで実行される方法。
【請求項30】
前記EMR乾燥は、高品質化した化石燃料中の内在水分含有量を50%以上削減することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項31】
燃焼装置を含む発電プラントにおいて固体化石燃料を燃焼させることによりエネルギーを生産するためのシステムであって、
高品質化した固体化石燃料中の内在水分含有量を50%以上削減するように構成された、前記固体化石燃料を高品質化するためのEMR乾燥プラントと、
高品質化した固体化石を前記燃焼装置へ移動するための搬送手段と、
を具備するシステム。
【請求項32】
前記発電プラントの一日の消費量と少なくとも同等の量の前記高品質化した固体化石燃料を貯蔵するのに適した貯蔵手段をさらに具備する、請求項33に記載のシステム。
【請求項33】
産業プロセスにおいて燃焼させる高品質化した固体化石燃料を生産するためのシステムであって、
高品質化した固体化石燃料中の内在水分含有量を50%以上削減するように構成されたEMR乾燥プラントと、
前記産業プロセスの一日の消費量と少なくとも同等の量の前記高品質化した固体化石燃料を貯蔵するのに適した貯蔵手段と、
を具備するシステム。
【請求項34】
前記産業プロセスは発電である、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
高品質化した固体化石燃料を生産するためのシステムであって、高品質化した固体化石燃料中の内在水分含有量を50%以上削減するように構成されたEMR乾燥プラントを具備し、前記EMR乾燥プラントは低ランクの石炭、油頁岩、タール砂のうちの一つを処理するように構成されるシステム。

【図1】
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【公表番号】特表2008−509239(P2008−509239A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524458(P2007−524458)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【国際出願番号】PCT/IL2004/001077
【国際公開番号】WO2006/013551
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(507038744)マイクロコール インク (1)
【Fターム(参考)】