説明

発電装置

【課題】既存設備に対しても容易に実施可能であり、新たな外部電源を設ける必要がなく、余分な電力を消費せずに騒音を抑制することが可能な発電装置を提供する。
【解決手段】原動機1及び発電機2の稼動に伴い発生する振動エネルギーを、振動エネルギー/電気エネルギー変換手段5により電気エネルギーに変換し、これを電源供給手段6により騒音除去手段7に供給して原動機1及び発電機2の振動音及びエンジン運転音を含む騒音を除去するようにした。これにより、既存設備に対しても容易に実施可能であり、新たな外部電源を設ける必要がなく、余分な電力を消費せずに騒音を抑制することが可能な発電装置が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置に関し、特に発電装置の振動音、エンジン運転音等の騒音対策に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン発電装置のような発電装置は一般に、原動機、発電機、及び制御盤で構成されている。このような発電装置においては、原動機を稼動させるとその回転エネルギーにより発電機が稼動されるが、これに伴って発生する振動音やエンジン運転音等の騒音は、周辺の人々にとって非常に耳障りなものであった。
【0003】
このような騒音対策として、特許文献1では、無停電電源装置に搭載されたインバータからの所定の周波数のノイズ音を除去する装置として、ノイズが入力され、このノイズに対応する入力波形信号を生成する集音手段と、入力波形信号の位相をずらせて出力波形信号として出力するタイミング変更手段と、出力波形信号の波形変化に応じた音を出力する放音手段を備えたノイズ音除去装置が提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−233381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の発電装置の騒音対策としては、発電装置の設置場所を人々(例えばオフィス)から遠ざける、または発電装置を収納するパッケージあるいは部屋を、防音構造にする等の対策がとられていた。しかし、これらの騒音対策は、発電装置を新たに設置する場合には行い易いが、既存設備に対して行う場合には、新たな設置場所を確保するためのコストや、パッケージまたは部屋を防音構造にする工事のコストがかかるという問題があった。
【0006】
特許文献1に提示されたノイズ音除去装置によれば、無停電電源装置の設置場所の壁や天井を防音構造とすることなく、騒音を除去することができる。しかし、このノイズ音除去装置を稼動させるための電源を用意する必要があり、騒音対策のために常時電力を消費することになる。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、既存設備に対しても容易に実施可能であり、新たな外部電源を設ける必要がなく、余分な電力を消費せずに騒音を抑制することが可能な発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る発電装置は、原動機、発電機、及び制御盤を備えた発電装置であって、原動機及び発電機の稼動に伴い発生する振動エネルギーを電気エネルギーに変換する圧電素子を含む振動エネルギー/電気エネルギー変換手段と、原動機及び発電機の振動音及びエンジン運転音を含む騒音を打ち消す音を放出し該騒音を除去する騒音除去手段と、振動エネルギー/電気エネルギー変換手段から入力された電流を騒音除去手段に適合した電圧及び周波数に変換し騒音除去手段に出力する電源供給手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、原動機及び発電機の稼動に伴い発生する振動エネルギーを電気エネル
ギーに変換し、電源供給手段を介して騒音除去手段に供給して原動機及び発電機の騒音を除去するようにしたので、既存設備に対しても容易に実施可能であり、新たな外部電源を設ける必要がなく、余分な電力を消費せずに騒音を抑制することが可能な発電装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1に係る発電装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る発電装置を示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る発電装置の振動エネルギー/電気エネルギー変換手段を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態1に係る発電装置について、図面に基づいて説明する。図1は、本実施の形態1に係る発電装置の構成を示すブロック図、図2は本実施の形態1に係る発電装置を示す側面図である。図中、同一、相当部分には同一符号を付している。なお、本発明に係る発電装置の種類は、特に限定されるものではなく、屋内、屋外、及び自動車等に設置されるものを広く含むものである。
【0012】
発電装置100は、重油、灯油、軽油、及び都市ガス等のエネルギー源により稼動される原動機1と、この原動機1に直結され、原動機1の回転エネルギー(機械的エネルギー)を電気エネルギーに変換する発電機2を備えている。
【0013】
制御盤3は、原動機1及び発電機2の運転、停止、及び遮断機(図示せず)の開閉等を制御するとともに、負荷変動に対して回転数(周波数)、電圧を一定に保つ等の制御を行うものである。さらに、異常が発生した際に、制御盤3の盤面にて該異常を表示し、管理システムに対して異常信号を送信する等の機能も有する。
【0014】
収納容器4は、防音及び/または雨水浸入防止を目的として設けられたもので、例えば鋼板製のパッケージである。なお、パッケージで囲まれていない構造の発電装置100の場合、その発電装置が設置されている部屋が収納容器4に該当する。
【0015】
振動エネルギー/電気エネルギー変換手段5は、原動機1及び発電機2の稼動に伴い発生する振動エネルギーを電気エネルギーに変換する手段であり、本実施の形態1では、原動機1及び発電機2の各支持部(脚部)に設置されている。ただし、振動エネルギー/電気エネルギー変換手段5の設置場所は、これに限定されるものではなく、設置する数も自由に設定することができる。なお、振動エネルギー/電気エネルギー変換手段5の構成については、後に図3を用いて説明する。
【0016】
電源供給手段6は、振動エネルギー/電気エネルギー変換手段5から入力された電流を、騒音除去手段7に適合した電圧及び周波数に変換し騒音除去手段7に出力する電源回路である。本実施の形態1では、DC/DCコンバータ61とDC/ACインバータ62から構成され、これらは制御盤3内に収納されている。
【0017】
騒音除去手段7は、原動機1及び発電機2の振動音及びエンジン運転音を含む騒音を打ち消す音を放出し、該騒音を除去するもので、騒音キャンセラー71、マイク72、及び消音スピーカー73から構成される。ここで、騒音を打ち消す音は、原動機1の振動音に伴って生じる騒音、発電機2の振動音に伴って生じる騒音、エンジン運転音に伴って生じる騒音等の少なくとも1つの騒音を打ち消す音であっても、あるいは、これら複数の騒音
を打ち消す音であっても良い。騒音キャンセラー71は、マイク72により取り込んだ騒
音の入力波形信号の周波数と大きさを検知するとともに、該入力波形信号の位相を半波長遅らせた出力波形信号に応じた音を合成し、消音スピーカー73から放出する。
【0018】
本実施の形態1では、図2に示すように、騒音キャンセラー71は制御盤3内に収納されている。なお、マイク72及び消音スピーカー73の設置場所は、特に限定するものではないが、マイク72は騒音を効率的に取り込める位置、消音スピーカー73は、消音スピーカー73から放出された音により騒音が効率的に抑制される位置に設置されることが望ましい。
【0019】
図3に、本実施の形態1における振動エネルギー/電気エネルギー変換手段5の構成を示す。本実施の形態1における振動エネルギー/電気エネルギー変換手段5は、一対の円盤形状のゴム52の間に、円盤形状の2枚の電極53に挟まれた圧電セラミックス54からなる圧電素子が積層、接着され、一体化されたものである。これらの積層体は、上部のボルト51により原動機1及び発電機2に取り付けられ、下部のボルト51により設置面に取り付けられる。
【0020】
圧電セラミックス54としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のような原料粉末を成形して高温で焼成し、分極処理をしたものが用いられる。なお、振動エネルギー/電気エネルギー変換手段5を構成する圧電素子及びその他の部材の積層枚数や平面形状、厚み等は自由に選択でき、図3に限定されるものではない。
【0021】
次に、動作について説明する。発電装置100の運転時には、原動機1及び発電機2の稼動に伴い発生する振動エネルギーが、振動エネルギー/電気エネルギー変換手段5に伝達される。振動エネルギーは、振動エネルギー/電気エネルギー変換手段5の上下のボルト51から、圧縮力やせん断力等の外力として圧電素子に作用し、圧電素子が発電する。ここで得られた直流電流は、圧電素子の一対の電極53から導電性ケーブルを介して電源供給手段6に入力される。
【0022】
振動エネルギー/電気エネルギー変換手段5から電源供給手段6に入力された直流電流は、DC/DCコンバータ61、DC/ACインバータ62により、騒音除去手段7の騒音キャンセラー71に適した電圧及び周波数の交流電流に変換され、騒音キャンセラー71に出力される。
【0023】
電源供給手段6から電源を供給された騒音キャンセラー71は、原動機1及び発電機2の振動音及びエンジン運転音を含む騒音をマイク72により取り込み、該騒音の入力波形信号の周波数と大きさを検知するとともに、該入力波形信号の位相を半波長遅らせた出力波形信号に応じた音を合成し、消音スピーカー73から放出する。これにより、該騒音が打ち消され、除去される。
【0024】
以上のように、本実施の形態1によれば、原動機1及び発電機2の稼動に伴い発生する振動エネルギーを、振動エネルギー/電気エネルギー変換手段5により電気エネルギーに変換し、これを電源供給手段6により騒音除去手段7に供給して原動機1及び発電機2の騒音を除去するようにしたので、既存設備に対しても容易に実施可能であり、新たな外部電源を設ける必要がなく、余分な電力を消費せずに騒音を抑制することが可能な発電装置が得られる。
【0025】
また、騒音対策が必要な発電装置100の運転時には、振動エネルギー/電気エネルギー変換手段5により得られた電力(電流)を、電源供給手段6を介して騒音除去手段7に供給する動作が自動的に行われるため、騒音除去手段7の運転/停止操作を必要とせず、作業員の負担が増えない。さらに、騒音除去手段7の少なくとも一部、及び/または電源
供給手段6の少なくとも一部を、制御盤3内に収納することにより、装置の大型化、複雑化を避けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、発電装置の騒音対策として利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 原動機、2 発電機、3 制御盤、4 収納容器、
5 振動エネルギー/電気エネルギー変換手段、6 電源供給手段、7 騒音除去手段、51 ボルト、52 ゴム、53 電極、54 圧電セラミックス、
61 DC/DCコンバータ、62 DC/ACインバータ、
71 騒音キャンセラー、72 マイク、73 消音スピーカー、100 発電装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機、発電機、及び制御盤を備えた発電装置であって、前記原動機及び前記発電機の稼動に伴い発生する振動エネルギーを電気エネルギーに変換する圧電素子を含む振動エネルギー/電気エネルギー変換手段と、前記原動機及び前記発電機の振動音及びエンジン運転音を含む騒音を打ち消す音を放出し該騒音を除去する騒音除去手段と、前記振動エネルギー/電気エネルギー変換手段から入力された電流を前記騒音除去手段に適合した電圧及び周波数に変換し前記騒音除去手段に出力する電源供給手段を備えたことを特徴とする発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発電装置において、前記騒音除去手段は、騒音キャンセラー、マイク、及び消音スピーカーを含み、前記騒音キャンセラーは、前記マイクにより取り込んだ騒音の入力波形信号の周波数と大きさを検知するとともに、該入力波形信号の位相を半波長遅らせた出力波形信号に応じた音を合成し、前記消音スピーカーから放出することを特徴とする発電装置。
【請求項3】
請求項1に記載の発電装置において、前記騒音除去手段の少なくとも一部を、前記制御盤内に収納したことを特徴とする発電装置。
【請求項4】
請求項1に記載の発電装置において、前記電源供給手段の少なくとも一部を、前記制御盤内に収納したことを特徴とする発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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