説明

白熱電球

【課題】フィラメントからの光が口金碍子に反射されて生じるハレーションが抑制され、スポットライトの光源とした時漏れ光が少ない白熱電球。
【解決手段】筒状のバルブ11と、バルブ11の一端のシール部を取り囲む筒状の口金碍子40と、バルブ11内において平面状に形成されたフィラメント20とを有し、バルブ11のシール部が下方を向くよう配置したときに、口金碍子40の周壁は、フィラメント20に係る平面Fを境界として、正面側の領域部分40aが背面側の領域部分40bより高く、フィラメント20の中心Oからフィラメント20に係る平面Fに垂直な正面側の方向に光中心距離と同じ距離だけ離れた点Sと、フィラメントに係る平面Fからそれに垂直な方向に伸びる直線と口金碍子40の正面側の領域部分40aの上端の外周縁との交点をPとを通過する基準直線Aの高さレベルより、背面側の領域部分40bの上端が下方に位置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタジオや舞台などの照明に用いられるスポットライト等の照明装置の光源として好適な大出力型の白熱電球に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばスタジオや舞台などを照明する手段として、スポットライトなどの照明装置が利用されており、かかる照明装置の光源としては、大出力型の白熱電球が広く用いられている(特許文献1参照。)。
【0003】
図12は、従来の白熱電球を具えたスポットライトの構成の概略を示す説明図である。このスポットライトは、白熱電球50を有し、この白熱電球50の後方には、白熱電球50からの光を反射する半球状の反射鏡60が配置され、白熱電球50の前方には、白熱電球50からの光および反射鏡60からの反射光を集光するレンズ70が配置されている。 白熱電球50は、一端にピンチシール部52が形成され、他端に排気管残部53が形成された、石英ガラスよりなる円筒状のバルブ51を有し、このバルブ51内には、平面状に形成されたフィラメント55が配置されている。具体的には、フィラメント55は、それぞれバルブ51の管軸に略平行に伸びる、例えばタングステンよりなる複数のコイル状のフィラメントセグメント56がトビ部(図示省略)によって連結されて構成されており(図1のフィラメント20参照)、フィラメントセグメント56の各々は、当該フィラメント55からの光が効率的に照射されるよう、同一平面上(図12において紙面に垂直な方向と上下方向とによって形成される平面上)に沿って並ぶよう配置されている。また、バルブ51におけるピンチシール部52には、有底筒状の口金碍子58が設けられている。
【0004】
このような白熱電球50を有するスポットライトにおいては、演出等の観点から、例えば人などの照明対象体が位置する照明対象領域のみを照明すること、すなわち、照明対象領域に光が照射され、かつ、照明対象領域以外の領域、例えば照明対象領域の周辺領域には、光が照射されないことが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−319624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の白熱電球50を有するスポットライトにおいては、白熱電球50のフィラメント55から直接放射される光以外の漏れ光が存在するため、照明対象領域の周辺領域にも光が照射されてしまい、照明対象体が位置する領域のみを照明することは困難である。
本発明者らは、このような漏れ光が生ずる原因を検討したところフィラメント55からの光L1が口金碍子58の内壁面や上端面に乱反射して生ずる反射光L2がレンズ70に入光することにより、ハレーションを引き起こすためであることが判明した。また、一般的な口金碍子は、白色セラミックスによって形成されているため、乱反射して生ずる反射光L2が強くなり、引き起こされるハレーションが強くなっていることも判明した。
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、フィラメントからの光が口金碍子に反射されて生じるハレーションが抑制され、例えばスポットライトの光源として利用したときに漏れ光が少ない白熱電球を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の白熱電球は、一端にシール部が形成された筒状のバルブと、このバルブのシール部を取り囲むよう設けられた筒状の口金碍子と、前記バルブ内において平面状に形成されたフィラメントとを有する白熱電球において、
前記バルブのシール部が下方を向くよう配置したときに、前記口金碍子の周壁は、前記フィラメントに係る平面を境界として、正面側の領域部分が背面側の領域部分より高くなるよう形成されており、
前記フィラメントの中心から当該フィラメントに係る平面に垂直な正面側の方向に光中心距離と同じ距離だけ離れた点をSとし、前記フィラメントに係る平面からそれに垂直な方向に伸びる直線と前記口金碍子の周壁における正面側の領域部分の上端の外周縁との交点をPとしたとき、前記バルブの管軸を含む前記フィラメントに係る平面に垂直な断面において、前記口金碍子の周壁における背面側の領域部分の上端が、点Sと点Pとを通過する基準直線の高さレベルより下方に位置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の白熱電球においては、前記口金碍子の下端の中心から前記フィラメントに係る平面に垂直な正面側の方向に光中心距離と同じ距離だけ離れた点をRとしたとき、前記口金碍子の周壁における正面側の領域部分の上端が、点Rと前記フィラメントの下端とを通過する他の基準直線の高さレベルより下方に位置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の白熱電球によれば、口金碍子の周壁は、前記フィラメントに係る平面を境界として、正面側の領域部分が背面側の領域部分より高くなるよう形成されており、当該背面側の領域部分の上端が特定の基準直線の高さレベルより下方に位置されることにより、フィラメントからの光が口金碍子の周壁における背面側の領域部分の内壁面に反射されても、この反射光は 口金碍子の周壁における正面側の領域部分によって遮断されるので、フィラメントからの光が口金碍子に反射されて生じるハレーションを抑制することができ、従って、例えばスポットライトの光源として利用したときに漏れ光を少なくすることができる。
また、前記バルブの管軸を含む前記フィラメントに係る平面に垂直な断面において、口金碍子の周壁における正面側の領域部分の上端が、他の特定の基準直線の高さレベルより下方に位置されることにより、フィラメントからの光が口金碍子の周壁における正面側の領域部分の上端面で反射されて生じるハレーションを抑制することができ、従って、例えばスポットライトの光源として利用したときに漏れ光を一層少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の白熱電球の一例における構成をバルブおよび口金碍子の一部を破断して示す説明用正面図である。
【図2】図1の白熱電球を特定の基準直線と共に示す説明側面図である。
【図3】図1に示す白熱電球における口金碍子を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図である。
【図4】図1の白熱電球を他の特定の基準直線と共に示す説明用側面図である。
【図5】本発明の白熱電球を具えたスポットライトの構成の概略を示す説明図である。
【図6】口金碍子の変形例を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図である。
【図7】口金碍子の他の変形例を示す説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図8】口金碍子の更に他の変形例を示す説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図9】フィラメントの変形例を示す説明図である。
【図10】実施例1に係るスポットライトの照度分布を示す図である。
【図11】比較例1に係るスポットライトの照度分布を示す図である。
【図12】従来の白熱電球を具えたスポットライトの構成の概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の白熱電球の一例における構成をバルブおよび口金碍子の一部を破断して示す説明用正面図である。
この白熱電球10は、石英ガラスよりなる円筒状のバルブ11を有し、このバルブ11の一端には、ピンチシール部12が形成され、当該バルブ11の他端には、排気管残部13が形成されている。
バルブ11内における中央位置には、平面状に形成されたフィラメント20がその中心がバルブ11の管軸上に位置するよう配置されている。図示の例のフィラメント20を具体的に説明すると、フィラメント20は、それぞれバルブ11の管軸に略平行に伸びる、例えばタングステンよりなる複数(図示の例では6つ)のコイル状のフィラメントセグメント21を有し、これらのフィラメントセグメント21が、それぞれの軸が同一平面上に沿って並ぶよう配置され、フィラメントセグメント21の端部が、隣接するフィラメントセグメント21の端部にトビ部22によって互いに一体に連結されて構成され、これにより、フィラメント20全体が平面状とされている。
フィラメント20の一端部23および他端部24は、一対の内部リード棒25の先端部に巻回されて接続されている。内部リード棒25の各々の基端部は、ピンチシール部12内に互いに離間して埋設された例えばモリブデンよりなる一対の金属箔26の一端部に接続された状態で、当該ピンチシール部12に気密に融着されて固定され、金属箔26の各々の他端部には、ピンチシール部12から外方に伸びる、例えばタングステンよりなる外部リード棒27が接続されている。
【0013】
バルブ11内におけるピンチシール部12とフィラメント20との間には、柱上の第1のガラス片30が、内部リード棒25の各々に融着して固定された状態で、バルブ11の管軸と略垂直な方向に沿って配置されており、この第1のガラス片30には、フィラメント20に向かって伸びる複数(図示の例では2つ)のアンカー31が固定され、当該アンカー31の先端部がフィラメント20のトビ部22に係合されており、これにより、フィラメント20は、アンカー31を介して第1のガラス片30に支持されている。
また、バルブ11内には、当該バルブ11の管軸に沿って伸びる棒状のサポータ28が配置され、このサポータ28の一端部は、第1のガラス片30に固定され、当該サポータ28の他端部は、バルブ11の排気管残部13に進入して固定されている。
バルブ11内における排気管残部13とフィラメント20との間には、柱状の第2のガラス片32が、サポータ28に融着して固定された状態で、バルブ11の管軸と略垂直な方向に沿って配置されており、この第2のガラス片32には、フィラメント20に向かって伸びる複数(図示の例では3つ)のアンカー33が固定され、当該アンカー33の先端部がフィラメント20のトビ部22に係合されており、これにより、フィラメント20は、アンカー33を介して第2のガラス片32に支持されている。
【0014】
バルブ11のピンチシール部12には、当該ピンチシール部12を取り囲むよう、例えばセラミックスよりなる有底円筒状の口金碍子40が設けられている。図示の例の口金碍子40の周壁は、底部41上に形成された胴部42と、この胴部42に連続して形成された、その外周の径が先端に向かって小径となるテーパ部43とよりなるものである。
口金碍子40の底部41の外面には、当該底部41に垂直に伸びるピン状の一対の接続端子44が設けられており、接続端子44の各々は、リード線35を介して外部リード棒27に電気的に接続されている。
【0015】
図2に示すように、口金碍子40の周壁は、白熱電球10をそのバルブ11のピンチシール部12が下方を向くよう配置したときに、フィラメント20に係る平面Fを境界として、正面側(図2において左側)の領域部分40aが背面側の領域部分40bより高くなるよう形成されている。そして、フィラメント20の中心Oから当該フィラメント20に係る平面に垂直な正面側の方向に光中心距離Lと同じ距離だけ離れた点をSとし、フィラメント20に係る平面Fから当該平面Fに垂直な方向に伸びる直線と口金碍子40の周壁における正面側の領域部分40aの上端の外周縁との交点をPとしたとき、バルブ11の管軸を含むフィラメント20に係る平面Fに垂直な断面(図2において、口金碍子40の断面と同一の断面)において、口金碍子40の周壁における背面側の領域部分40bの上端が、点Sと点Pとを通過する特定の基準直線Aの高さレベルより下方に位置されている。
ここで、「光中心距離」とは、フィラメント20の中心から口金碍子の下端すなわち底部の外面までの距離を意味し、例えばスポットライトにおける反射鏡は、一般的に、光中心距離を半径とする半球面に沿って形成される。
【0016】
図示の例の口金碍子40は、図3にも示すように、その周壁におけるフィラメント20に係る平面が位置される箇所に溝部Dが形成され、この溝部Dより正面側の領域部分40aは、その上端が第1のガラス片30より高い位置まで伸びた状態に形成されており、これにより、第1のガラス片30の正面側が口金碍子40の周壁における正面側の領域部分40aによって取り囲まれている。一方、口金碍子40の溝部Dより背面側の領域部分40bにおいては、その上端が正面側の領域部分40aの上端より低い位置にあり、更に、当該領域部分40bの上端面には、半円形状の切欠きKが形成されている。
【0017】
また、この例の白熱電球10においては、図4に示すように、口金碍子40の下端すなわち底部41の外面から、フィラメント20に係る平面Fに垂直な正面側の方向に光中心距離Lと同じ距離だけ離れた点をRとしたとき、口金碍子40の周壁における正面側の領域部分40aの上端が、点Rとフィラメント20の下端とを通過する他の特定の基準直線Bの高さレベルより下方に位置されている。
【0018】
口金碍子40の周壁における正面側の領域部分40aの上端面の幅(周壁の厚み)は、1.5mm以下であることが好ましく、これにより、フィラメント20からの光が当該領域部分40aの上端面に反射して生ずる反射光を低減することができ、フィラメントからの光が口金碍子の周壁における正面側の領域部分の上端面で反射されて生じるハレーションを抑制することができる。
【0019】
また、口金碍子40の周壁における正面側の領域部分40aにおいては、その上端面およびそれに続く内周壁面の上端領域が非光反射性のものであることが好ましい。
非光反射性を付与するためには、上記の表面領域に例えば黒色塗装を施せばよい。
また、正面側の領域部分40aの内周壁面における非光反射性とされる上端領域は、当該領域部分40aの上端から下方に5mm以上の離れた位置までの領域であることが好ましい。
このような構成を採用することにより、フィラメント20からの光が口金碍子40の周壁における正面側の領域部分40aの上端面および内周壁面で反射されて生じるハレーションを抑制することができる。
【0020】
上記の白熱電球10によれば、口金碍子40の周壁は、フィラメント20に係る平面Fを境界として、正面側の領域部分40aが背面側の領域部分40bより高くなるよう形成されており、当該背面側の領域部分40bの上端が特定の基準直線Aの高さレベルより下方に位置されることにより、フィラメント20からの光が口金碍子40の周壁における背面側の領域部分40bの内周壁面に反射されても、この反射光は 口金碍子40の周壁における正面側の領域部分40bによって遮断されるので、フィラメント20からの光が口金碍子40に反射されて生じるハレーションを抑制することができ、従って、例えばスポットライトの光源として利用したときに漏れ光を少なくすることができる。
また、口金碍子40の周壁における正面側の領域部分40aの上端が、他の特定の基準直線Bの高さレベルより下方に位置されることにより、フィラメント20からの光が口金碍子40の周壁における正面側の領域部分40aの上端面で反射されて生じるハレーションを抑制することができ、従って、例えばスポットライトの光源として利用したときに漏れ光を一層少なくすることができる。
【0021】
図5は、本発明の白熱電球を具えたスポットライトの構成の概略を示す説明図である。このスポットライトは、例えば図1に示す白熱電球10を有し、この白熱電球10の後方には、白熱電球10からの光を反射する半球状の反射鏡45が配置されている。この反射鏡45の反射面は、白熱電球10の光中心距離Lを半径とする球面Qに沿って形成されている。また、白熱電球10の前方には、白熱電球10からの光および反射鏡45からの反射光を集光するレンズ46が、その光軸がフィラメント20の中心から当該フィラメント20に係る平面Fに垂直な方向に伸びる直線上に位置するよう配置されている。
このようなスポットライトにおいては、白熱電球10のフィラメント20から放射された光は、直接または反射鏡45に反射された後、レンズ46によって集光され、例えば人などの照明対象体が位置する照明対象領域に照射される。
而して、このようなスポットライトによれば、本発明の白熱電球10を有するため、フィラメント20からの光が口金碍子40に反射されて生じるハレーションが抑制されるので、漏れ光の低減化を図ることができる。
【0022】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上記の形態に限定されず、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、口金碍子は、図3に示す形状のものに限定されず、図6に示すように、正面側の領域部分40aの上端と背面側の領域部分40bの上端との間に段部が形成されることにより、正面側の領域部分40aが背面側の領域部分40bより高くなるよう形成されていてもよい。また、口金碍子は、図7に示すように、矩形の有底筒状であって、その正面側の外壁面および背面側の外壁面がテーパ状に形成され、背面側の領域部分40bの上端面がテーパ状とされることにより、正面側の領域部分40aが背面側の領域部分40bより高くなるよう形成されていてもよい。更に、口金碍子は、図8に示すように、矩形の有底筒状であって、その正面側の外壁面および背面側の外壁面がテーパ状に形成され、正面側の領域部分40aの上端と背面側の領域部分40bの上端との間に段部が形成されることにより、正面側の領域部分40aが背面側の領域部分40bより高くなるよう形成されていてもよい。また、口金碍子を形成する筒状体は、円形、矩形のものに限られず、六角形、その他の多角形のものであってもよい。
また、フィラメント20は、平面状に形成されたものであれば、図1に示す形状のものに限定されず、例えば図9(a)に示すように、複数のフィラメントセグメント21が平行に並ぶよう配置され、かつ、隣接するフィラメントセグメント21の両端の高さレベルが互いに異なるよう配置されてなるもの、図9(b)に示すように、4つのフィラメントセグメント21がM字型に配置されてなるもの、図9(c)に示すように、単一のフィラメントセグメント21が波状に湾曲されてなるものであってもよい。
【実施例】
【0023】
〈実施例1〉
図1〜図4に示す構成に従い、下記の仕様のバルブ、フィラメントおよび口金碍子を用いて、本発明に係る白熱電球を作製した。
バルブは、石英ガラスよりなり、排気管残部を除く全長が113mm、内径が20mm、外径が23mm、ピンチシール部の長さは25mmである。
フィラメントは、タングステンよりなり、6つのフィラメントセグメントの長さは、それぞれ14mmであり、フィラメント形成領域における管軸方向の寸法が14mm、管軸方向と垂直な方向の寸法が12.7mmである。
口金碍子の寸法は、底部の外径が35mm、高さ(軸方向の長さ)が53mmであり、上端から10mmまでの部分がテーパ部とされている。また、口金碍子の周壁における正面側の領域部分の上端面の幅(周壁の厚み)は、1.0mmである。
作製した白熱電球は、定格電力が1000W、全光束が21600lm、色温度が3020Kのものである。
また、この白熱電球は、その光中心距離が90mmであり、口金碍子の周壁における背面側の領域部分の上端が、点Sと点Pとを通過する特定の基準直線の高さレベルより下方に位置され、かつ、口金碍子の周壁における正面側の領域部分の上端が、点Rとフィラメントの下端とを通過する他の特定の基準直線の高さレベルより下方に位置されているものである。
【0024】
次いで、図5に示す構成に従い、上記の白熱電球、口径180mmのレンズ、および半径が90mmの球面反射鏡を用い、スポットライトを作製した。ここで、白熱電球からレンズまでの距離が90mm、白熱電球から球面反射鏡までの距離が90mmとなるよう、レンズ、白熱電球および球面反射鏡を配置した。
そして、上記のスポットライトを点灯し、スポットライトからの光の照射面の照度分布を測定した。結果を図10に示す。
【0025】
〈比較例1〉
口金碍子を下記の仕様のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の構成の白熱電球およびスポットライトを作製し、このスポットライトからの光の照射面の照度分布を測定した。結果を図11に示す。
【0026】
図10および図11の結果から明らかなように、比較例1に係るスポットライトにおいては、計測位置Gにおいて、光が口金碍子に反射されて生じるハレーションによる漏れ光があるのに対し、実施例1に係るスポットライトによれば、計測位置Gにおいて、ハレーションによる漏れ光が低減されていることが確認された。
【符号の説明】
【0027】
10 白熱電球
11 バルブ
12 ピンチシール部
13 排気管残部
20 フィラメント
21 フィラメントセグメント
22 トビ部
23 フィラメントの一端部
24 フィラメントの他端部
25 内部リード棒
26 金属箔
27 外部リード棒
28 サポータ
30 第1のガラス片
31 アンカー
32 第2のガラス片
33 アンカー
35 リード線
40 口金碍子
40a 正面側の領域部分
40b 背面側の領域部分
41 底部
42 胴部
43 テーパ部
44 接続端子
45 反射鏡
46 レンズ
50 白熱電球
51 バルブ
52 ピンチシール部
53 排気管残部
55 フィラメント
56 フィラメントセグメント
58 口金碍子
60 反射鏡
70 レンズ
A 特定の基準直線
B 他の特定の基準直線
D 溝部
F フィラメントに係る平面
K 切欠き
O フィラメントの中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端にシール部が形成された筒状のバルブと、このバルブのシール部を取り囲むよう設けられた筒状の口金碍子と、前記バルブ内において平面状に形成されたフィラメントとを有する白熱電球において、
前記バルブのシール部が下方を向くよう配置したときに、前記口金碍子の周壁は、前記フィラメントに係る平面を境界として、正面側の領域部分が背面側の領域部分より高くなるよう形成されており、
前記フィラメントの中心から当該フィラメントに係る平面に垂直な正面側の方向に光中心距離と同じ距離だけ離れた点をSとし、前記フィラメントに係る平面からそれに垂直な方向に伸びる直線と前記口金碍子の周壁における正面側の領域部分の上端の外周縁との交点をPとしたとき、前記バルブの管軸を含む前記フィラメントに係る平面に垂直な断面において、前記口金碍子の周壁における背面側の領域部分の上端が、点Sと点Pとを通過する基準直線の高さレベルより下方に位置されていることを特徴とする白熱電球。
【請求項2】
前記口金碍子の下端の中心から前記フィラメントに係る平面に垂直な正面側の方向に光中心距離と同じ距離だけ離れた点をRとしたとき、前記口金碍子の周壁における正面側の領域部分の上端が、点Rと前記フィラメントの下端とを通過する他の基準直線の高さレベルより下方に位置されていることを特徴とする請求項1に記載の白熱電球。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−277882(P2010−277882A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130178(P2009−130178)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【出願人】(390032573)丸茂電機株式会社 (17)