説明

皮内注射アダプタ

本発明は、皮膚内へと薬剤を注射するための皮内注射アセンブリに関するものであって、アダプタを備えた皮内ニードル、あるいは、アダプタを備えた皮内シリンジ、あるいは、カニューレを有したシリンジを備えた連結デバイスのためのアダプタ、を形成することができる。皮内アダプタは、長手方向軸線を有したボディと、カニューレ用チャネルを有した中央部分と、長手方向軸線に対して平行に延在する先端側突起と、を備えている。アダプタの先端側突起は、長手方向軸線に対して平行に延在する第1皮膚接触表面を備えている。先端側突起の少なくとも一部は、透明とされ、これにより、患者の皮膚内へおよびカニューレの挿入時には、カニューレのうちの、境界平面よりも先端側の部分を、先端側突起の透明部分を通して見ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年7月23日付けで出願された“Devices and Methods for Intradermal Injection”と題する米国特許予備出願第61/271,565号と、2009年12月2日付けで出願された“Pivoting Adapter for Intradermal Injection”と題する米国特許予備出願第61/283,249号と、2010年4月19日付けで出願された“Needle Assemblies and Prefilled Syringes for Intradermal Injection”と題する米国特許予備出願第61/343,045号と、の優先権を主張するものである。これら文献の記載内容は、参考のためここに組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
皮内注射は、様々な診断用または治療用の組成物を患者に供給するために用いられる。皮内注射は、典型的には、患者の皮膚の、真皮内への、または、皮層内への、または、表皮の下部内に対してさえの(図2A)、比較的少ない量の薬剤の注射である。診断上のテストのために、例えば、患者の結核症に対する免疫状態やアレルギー症の状態を調べるために、物質を皮内的に注射することができる。ワクチンや薬剤やその他の組成物も皮内的に供給することができる。皮内注射は、他の供給技術よりも診断用または治療用の調合物(コンパウンド:compound)の必要な用量が少なくて済むので、多くの事例において好ましい。各個人間で、また、同じ個人でも身体の部位が違えば、皮膚の厚さにかなりの変化がある。一般に、皮膚の外層つまり表皮は、200〜500μmという厚さを有し、皮膚のより内側でより厚い真皮は、1.5〜3.5mmという厚さを有している。
【0003】
皮内注射を行うのは難しく、一般に、経験豊かな看護師あるいは医療専門家が必要である。カニューレの先端の配置が不正確であれば、注射の失敗を招くことになる。約3.0mmよりも深くへとカニューレ先端を配置する場合には、皮内投与量では不十分な皮下領域内へ注入物を供給することになる可能性がある。カニューレの不正確な配置は、また、真皮に挿入した後に、供給された調合物の皮膚表面上での損失を伴って、再び皮膚を穿刺することになるかもしれない。注射の後には、しばしば噴出効果(ジェット効果:jet effect)が起こり、穿刺痕を通って調合物が注入部位から出て行く。ジェット効果は、注射部位に対し垂直に配置されたカニューレを通じての注射や、特に浅い注射に対して、さらに顕著に表れる。皮内注射の成功は、多くの場合、注射を行う保健医療専門家の経験によって決まる。(標準的なカニューレを用いた)皮内注射の好ましい技法(テクニック:technique)では、保健医療専門家は、皮膚を引き伸ばし、カニューレの先端斜面部が上向きになるように向きを調節し、そして、短い先端斜面部を有したカニューレを、皮膚表面に対して約10〜15°という角度で挿入し、なおかつ、確実にカニューレの2mmから3mmが皮膚内に位置するようにする、ことが求められる。カニューレの先端は、理想的には、真皮中に位置して、もしくは表皮境界に近接して止まる。調合物は、ブリスタあるいは腫れを形成しながら、ゆっくりと患者の皮膚の内部に注入される。不正確な角度および/または深さでカニューレを挿入すれば、皮内注射の失敗を招くことになる。失敗した皮内注射が典型的に繰り返された場合には、患者に対しての、さらなる痛みや不快さや無効な処置を引き起こすこととなる。皮内(ID:intradermal)注射は、過去においては予防注射のためのものであると考えられており、とりわけ技術レベルが低い保健医療専門家が注射を行う場合には、満足できるID注射を行うことが難しいがゆえに、一般に、より信頼できる筋肉内または皮下の投与経路の方を選んで、拒否されてきた。
【0004】
皮内スペースの領域への投与は、マントゥーツベルクリン検査(Mantoux tuberculin test)ではごく普通に用いられており、そこでは、精製無蛋白ツベルクリン(purified protein derivative)が、27または30ゲージのカニューレと標準的なシリンジとを用いて、浅い角度で皮膚表面に注射される。その技法は、実行するのが非常に難しいことが知られており、特別な訓練を要するものである。一定程度の注射の位置の不正確さは、非常に数多くの誤った陰性のテスト結果をもたらすことになる。その結果、マントゥー法(Mantoux approach)は、物質の必要な用量が少なくて済むという利点があるにもかかわらず、物質を組織だって投与することへの皮内注射の採用を導くことはなかった。なぜなら、皮膚層内への薬剤の吸収が、典型的には、他の手法を使用して同じ物質を注射した場合と比較して、より優れているからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO 2008/131440 A1
【特許文献2】WO 97/41907 A2
【特許文献3】EP 0 457 477 A1
【特許文献4】US 5 437 640 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
比較的単純であって信頼性が高い皮内注射を提供でき、さらに、使用が比較的容易であり、さらに、ユーザーに対して比較的費用対効果が良好であり、薬剤の無駄を制限するような、皮内注射アダプタを構成して製造することが、要望されている。皮内注射アダプタのカニューレは、好ましくは、組み付けされた状態においては、アダプタおよび/またはバレルのボディに対して、固定的に取り付けられるあるいは固定される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
要約すれば、好ましい見地においては、本発明は、皮内注射を行うためのシリンジアセンブリに関するものであって、基端部と先端部とを有したバレルを備えている。カニューレは、シリンジバレルの先端部に対して連結される。突起が、シリンジバレルの先端部に対して連結される。突起は、カニューレから離間した位置にカニューレと平行に第1皮膚接触表面を有している。突起のうちの、カニューレの先端部の近傍に位置した少なくとも一部は、透明とされている。これにより、患者の皮膚内へとカニューレを挿入する際には、カニューレを見ることができる。
【0008】
加えて、シリンジアセンブリは、基端部と先端部とを有したボディを備えたアダプタから構成することができる。ボディの基端部は、シリンジバレルの先端部に対して連結することができる。カニューレは、ボディの先端部に対して連結される。そして、突起は、ボディの先端部に対して連結される。
【0009】
さらに、シリンジアセンブリは、基端部と先端部とを有したボディを備えたアダプタから構成することができ、ボディは、シリンジバレルの先端部に対して連結することができる。突起は、ボディに対して回転可能に連結される。突起は、カニューレを第1皮膚接触表面に対して平行に位置合わせし得るよう、カニューレ支持部材を備えることができる。
【0010】
さらに、シリンジアセンブリは、基端部と先端部とを有したボディを備えたているアダプタから構成することができ、ボディは、シリンジバレルの先端部に対して連結可能であり、突起は、ボディの先端部に対して連結される。第2皮膚接触表面が、ボディの先端部に対して連結される。カニューレは、突起と第2皮膚接触表面との間において、先端向きに延在する。少なくとも1つの支持部材が、ボディに対して連結され、これにより、カテーテルを、第1皮膚接触表面に対して平行に位置合わせすることができる。
【0011】
他の見地においては、本発明の好ましい実施形態は、皮内注射アダプタに関するものであって、皮内注射をするためのカニューレを備えている。アダプタは、長手方向軸線を有したボディと、中央部分と、先端側突起と、を備えている。中央部分は、長手方向軸線に沿って、ボディよりも先端側に位置している。中央部分には、長手方向軸線に対して平行に延在しかつ中央部分を貫通して延在しているカニューレ用チャネルが設けられている。カニューレ用チャネルは、カニューレ用チャネルのエッジを規定している。先端側突起は、長手方向軸線に対して平行に延在する第1皮膚接触表面を有している。第1皮膚接触表面は、カニューレの先端部が第1皮膚接触表面に対して平行に延在するようにして、カニューレから離間している。先端側突起は、カニューレがカニューレ用チャネルのエッジを横断するところとして規定された境界平面よりも先端側においては、透明とされている。
【0012】
他の見地においては、本発明の好ましい実施形態は、皮膚皮層内に薬剤を注射するための皮内注射アセンブリに関するものである。アセンブリは、カニューレとハブとバレルとプランジャーとを有したシリンジと、シリンジ用チャネルを有したボディと中央部分と先端側突起とを備えたアダプタと、を備えている。バレルは、円筒形状とされていて、内部に薬剤を受領し得るよう構成された中空の内部キャビティを有している。中央部分には、カニューレ用チャネルのエッジを規定しているカニューレ用チャネルが設けられている。先端側突起は、先端側ノーズを有している。アダプタは、さらに、基部部と、基端部と先端側ノーズとの間に延在する長手方向軸線と、を備えている。先端側突起は、長手方向軸線に対して平行に配置された第1皮膚接触表面を備えている。カニューレの先端部は、組立状態においては、カニューレギャップ距離の分だけ、第1皮膚接触表面から離間して配置される。カニューレの先端は、組立状態においては、カニューレ用チャネルのエッジよりも先端側に配置される。
【0013】
さらに他の見地においては、本発明の好ましい実施形態は、患者の皮層内に薬剤を注射するための方法に関するものであって、アダプタとシリンジとからなるアセンブリを使用し、アセンブリを、先端側突起を備えたものとし、先端側突起を、カニューレがカニューレ用チャネルのエッジを超えるところとして規定される境界平面よりも先端側に位置した透明部分と、境界平面よりも基端側に位置した不透明部分と、を有したものとする。アダプタは、さらに、カニューレの先端部に対して平行に配置された第1皮膚接触表面と、中央部分と、長手方向軸線と、を備えている。この方法においては、長手方向軸線がユーザーの皮膚に対して平行であるようにしてアダプタを患者の皮膚の近傍に配置し、アセンブリに対して力を印加して、アセンブリを皮膚に対して平行に駆動して、患者の皮膚に沿ってアセンブリをスライドさせ、患者の皮膚内へとカニューレを挿入し、患者の皮膚内へのカニューレの挿入と、第1皮膚接触表面に対しての患者の皮膚の位置とを、先端側突起の透明部分を通して視覚的に観測し、注射位置においてカニューレが患者の皮膚内に少なくとも部分的に配置されていることを確認し、患者の皮層内に薬剤を注射する。
【0014】
さらなる見地においては、本発明は、皮内注射を行うためのカニューレを有したシリンジに対して取り付けるための皮内注射アダプタに関するものである。アダプタは、ボディを備え、ボディは、長手方向軸線と、内部にシリンジの少なくとも一部を受領し得るよう構成されたシリンジ用チャネルと、を有している。中央部分には、長手方向軸線に対して平行に延在するカニューレ用チャネルが設けられている。カニューレ用チャネルは、カニューレ用チャネルのエッジを規定している。先端側突起は、長手方向軸線に対して平行に延在する。先端側突起は、長手方向軸線に対して平行に延在する第1皮膚接触表面を有している。第1皮膚接触表面は、組立状態においては、長手方向軸線から離間されていて、カニューレの先端に隣接する領域と、カニューレ用チャネルのエッジに隣接する領域と、の間にわたって連続的である。先端側突起は、カニューレがカニューレ用チャネルのエッジを超えるところとして規定される境界平面よりも先端側に位置した透明部分と、境界平面よりも基端側に位置した不透明部分と、を有している。境界平面は、長手方向軸線に対して垂直とされる。先端は、組立状態においては、境界平面よりも先端側に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の好ましい実施形態におけるシリンジおよびアダプタを示す上方からの斜視図である。
【図2】図1のアダプタに対してシリンジが取り付けられた組立状態を示す側面図であって、皮内注射を行うというプロセスにおいて、患者の皮膚内へとカニューレが挿入される様子が示されている。
【図2A】図2における領域2Aを拡大して、患者の皮膚を示す断面図である。
【図3】図1のアダプタを示す前方からの斜視図である。
【図3A】図1のアダプタのカニューレチャネルを拡大して示す背面側からの斜視図である。
【図4】図1のアダプタを示す側面図である。
【図5】図1のアダプタを示す背面側からの斜視図である。
【図6】図1のアダプタを示す平面図である。
【図7】図1のアダプタを示す断面図であって、図6の7−7線に沿った矢視断面図である。
【図8】図1のアダプタを示す背面図である。
【図9】図1のアダプタを示す底面図である。
【図10】図1のアダプタを示す正面図である。
【図11】本発明の好ましい第2実施形態におけるアダプタを示す上方からの斜視図である。
【図12】図11のアダプタの右側面図である。
【図13】本発明の好ましい第3実施形態におけるアダプタを示す底面図である。
【図14】注射位置においてシリンジに対して取り付けられた図13のアダプタを示す底面からの断面図である。
【図15】シリンジの先端部に対して取り付けられた図13のアダプタを拡大して示す底面図である。
【図16】本発明の好ましい第4実施形態におけるアダプタおよびシリンジを、部分的な分解図によって示す右側面図である。
【図17】図16のアダプタおよびシリンジを、部分的な分解図によって示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照しつつ、上記の説明および以下の詳細な説明を読むことにより、本発明をより明瞭に理解されるであろう。添付図面に図示された様々な実施形態は、現時点で好ましいものであり、本発明を例示するためのものである。しかしながら、本発明が、各実施形態の構成の細部にまで制限されるものではないことは、理解されるであろう。
【0017】
本明細書内において使用される各種の用語は、理解を容易とするためだけのものであり、本発明を制限するものではない。「右」、「左」、「下側」、「上側」という用語は、図面を参照する際の方向を示している。「内向きに」、「基端向きに」という用語は、アダプタや、アダプタとシリンジとからなるアセンブリや、これらに関する様々な部材の幾何学的中心に対して近づくという方向性を示している。「外向きに」、「先端向きに」という用語は、アダプタや、アダプタとシリンジとからなるアセンブリや、これらに関する様々な部材の幾何学的中心から遠ざかるという方向性を示している。「連結」、「連結可能」、「連結された」という用語は、直接的な係合によってのまたは中間介在部材を介しての、構成要素どうしの間の結合を意味している。各用語は、それらから派生された用語や類似した用語の意味合いをも含んでいる。
【0018】
図1〜図10に示すように、本発明の第1の好ましい実施形態は、患者の皮膚S内に皮内注射を行うためのカニューレ14を有したシリンジ12に対して取り付けるための皮内注射アダプタ10に関するものである。本発明の第1の好ましい実施形態においては、アダプタは、側部開口22を備えている。側部開口22は、長手方向軸線18に対して平行に、アダプタ10の長さの全体にわたって、延在している。側部開口22は、アダプタ10内へのシリンジ(すなわち、注射器)12の挿入を可能とする。これにより、組立状態における患者内への薬剤の注入を行うことができる。組立状態においては、カニューレ14の先端14aが、アダプタ10のカニューレ用チャネルのエッジ26aよりも、先端側に突出しており、カニューレ14の先端14aは、組立状態においては、この状態で固定されている。特に、側部開口22は、医療従事者が患者内へと薬剤を注入する前に、アダプタ10に対してシリンジ12を係合させることを可能とする。典型的には、アダプタ10は、無菌パッケージ内に収容されており、患者内へと薬剤を注射する前に、このパッケージから取り出して、シリンジ12に対して組み付けられる。したがって、複数のパッケージ済みアダプタ10と、複数のシリンジ12とを、注射実施施設に格納しておくことができ、患者内へと薬剤を注射することが必要となったときに、組み立てることができる。
【0019】
アダプタ10は、側部開口22を備えた構成に限定されるものではない(図11〜図17を参照されたい)。しかしながら、側部開口22は、アダプタ10に対してシリンジ12を比較的容易に組み付けることすなわち比較的容易に係合させることを可能とする。例えば、アダプタは、医療機関に対してまたは他のユーザーに対して、個別の無菌ユニットとして、販売することができる。アダプタは、皮膚S内への注射前に、予め充填されたシリンジ12に取り付けることができる。しかしながら、アダプタ10は、また、側部開口22を備えないものとして、構成することもできる。その場合には、シリンジ12は、アダプタ10のボディ16の基端部分16aを通して、シリンジ用チャネル20内へと導入される(図13〜図15を参照されたい)。加えて、アダプタ10は、アダプタ10を恒久的にシリンジ12に対して固定するようにしてあるいはシリンジ12に対して一体成型するようにして、構成することができる。その場合には、ボディ16が、シリンジ12に対して、恒久的に取り付けられる、あるいは、接着的に結合される、あるいは、一体的に形成される、あるいは、他の手法で恒久的に固定される(図16および図17を参照されたい)。アダプタ10は、好ましくは、保健医療専門家により、使用される。しかしながら、アダプタ10は、非保健医療専門家によっても、使用することができる。典型的には、アダプタ10がシリンジ12に対して事前に組み付けられている場合には、自分で注射を行うという可能性がある(例えば、図16および図17を参照されたい)。
【0020】
皮内注射アダプタ10は、さらに、中央部分24を備えている。中央部分24は、長手方向軸線18に対して平行に、この中央部分を通して延在しているカニューレ用チャネルを有している。カニューレ用チャネルは、カニューレ用チャネルのエッジ26aを規定している。エッジ26aは、この第1の好ましい実施形態においては、わずかに先端向きに先細りとなっている。エッジ26aは、長手方向軸線18に対して、垂直なものや、あるいは、他の角度を有したものとすることもできる。例えば、カニューレ用チャネルのエッジ26aは、様々な構成に応じて様々な向きとすることができる。これにより、様々な構成に応じて、カニューレ用チャネル26内にカニューレ14を導入することができ、アダプタ10に対してカニューレ14を位置合わせすることができる。組立状態においては、カニューレ14の少なくとも一部は、カニューレ用チャネル26内に受領され、カニューレ14の先端部は、カニューレ用チャネル26を超えて延在する。カニューレ用チャネルのエッジ26aは、長手方向軸線18に対して垂直に配置されることに限定されるものではなく、長手方向軸線18に対して傾斜することができる。第1の好ましい実施形態においては、カニューレ用チャネルのエッジ26aは、長手方向軸線18に対してわずかに傾斜している(図4および図9を参照されたい)。第1の好ましい実施形態においては、チャネルのエッジ26aを超えてカニューレ14が延在しているところに境界平面27が規定されている。境界平面27は、長手方向軸線18に対して直交しており、長手方向軸線18に対して交差している。カニューレ14の先端14aは、シリンジ12とアダプタ10とが組立状態とされたときには、境界平面27よりも先端側に位置している。カニューレ14と先端14aとは、組立状態において、注射プロセス時には、境界平面27に対しての相対位置を維持する。
【0021】
第1の好ましい実施形態においては、第2皮膚接触表面28が、テーパー角度Δでもって、カニューレ用チャネルのエッジ26aから基端方向に延在している。テーパー角度Δは、アダプタ10および/または関連シリンジ12の寸法に対して適合し得るように、設定または調整することができる。第2皮膚接触表面28の少なくとも一部は、好ましくは、比較的浅い角度でもってチャネルのエッジ26aから基端向きに先細りになっている。これにより、第2皮膚接触表面28は、患者の皮膚Sに沿って滑らかにスライドすることができる。第2皮膚接触表面28は、全体的に平面的で錐形状であることに限定されるものではなく、第2皮膚接触表面28は、異なる角度に配向することができ、長手方向軸線18に対して垂直な部分を有することができ(図12および図16を参照されたい)、円弧状とすることや、あるいは、わずかに湾曲することや、あるいは、全体的に直線形状の部分を有することや、あるいは、円弧形状および/または湾曲形状を有した付加的な部分を有することさえも、できる。
【0022】
先端側突起30が、中央部分24から長手方向軸線18に対して平行に延在している。第1の好ましい実施形態においては、先端側突起30は、長手方向軸線18から離間する向きに湾曲した、傾斜した先端側ノーズ32を備えている。傾斜したすなわち湾曲した先端側ノーズ32は、ユーザーまたは医療従事者が、患者の皮膚Sに対してアダプタ10を配置することを補助するとともに、先端側ノーズ32が患者の皮膚Sを削ったりあるいは荒く係合したりすることを制限して、患者の痛みと不快さを制限する。傾斜したすなわち湾曲した先端側ノーズ32は、さらに、カニューレ14を患者の皮膚S内へと挿入する際には、患者の皮膚Sに沿ってのアダプタ10の比較的円滑なスライドを促進するとともに、患者の皮膚Sに対して平行であるかあるいはわずかに傾斜した経路に沿ってアダプタ10を案内する。これにより、先端14aが真皮または皮層内に配置された状態で、カニューレ14を患者の皮膚S内へと挿入することができる。先端側突起30は、長手方向軸線18から離間する向きに傾斜する先端側ノーズ32を有したものに限定されるものではなく、先端部のところに鈍いエッジを有することができ、ユーザーまたは医療従事者が患者の皮膚Sに対してアダプタ10を配置することを補助し得るよう、テーパー形状や他の形状のものとすることができる。
【0023】
第1の好ましい実施形態においては、先端側突起30は、境界平面27よりも先端側の部分が透明とされている。これにより、皮膚S内へのカニューレ14の挿入時には、そして、皮内注射プロセスの全体にわたって、カニューレ14を、先端側突起30を通して見ることができる。先端側突起30を透明なものとすることにより、医療従事者や看護師が、また患者さえもが、先端側突起30を通してカニューレ14を見ることができ、これにより、注射時に、カニューレ14が、特にその先端14aが、患者の皮膚S内へと挿入されることを確認することができる。例えば、医療従事者は、ユーザーの皮膚に対してカニューレ14を配置することができ、そして、傾斜した起伏の多い領域では皮膚Sを不注意に刺してしまうことがあり得る。そのような誤挿入の場合には、ユーザーまたは医療従事者は、先端14aを皮膚Sの内部に配置しない状態でシリンジ12を駆動させて薬剤を放出してしまうこととなり得る。それにより、薬剤を失って浪費してしまうこととなる。カニューレ14が患者の皮膚Sの皮層内に配置されていないようなカニューレ14の誤配置状況でで薬剤を放出することは、薬剤を無駄にすることとなり、比較的コスト高なものとなって、多くの場合、2回目の注射を必要とする。これにより、典型的には、患者の痛みと不快さとを増大させることとなる。そのような状況では、潜在的に医療従事者または他のユーザーの知識なしで、患者は、予防接種を受けないこととなる。したがって、先端側突起30は、比較的透明であることが好ましい。これにより、医療従事者や看護師や患者は、注射を行う前に、カニューレ14が患者の皮膚Sの表面下に配置されていることを確認することができる。しかしながら、先端側突起30は、透明であることに限定されるものではなく、不透明であることもあり得る。
【0024】
先端側突起30は、長手方向軸線18に対して平行に延在している第1皮膚接触表面34を備えている。注射位置においては、第1皮膚接触表面34は、患者の皮膚Sの表面に対して接触し、これにより、カニューレ14の先端14aを、皮膚S内における予め定められた深さのところに配置することができる。これにより、先端14aを、皮膚Sの皮層内に配置することができ、薬剤を皮層内へと注入して吸収させることができる。第1皮膚接触表面34は、好ましくは、不連続ではないものとされる、すなわち、先端14aのところにおいてまたはその近傍において、開口または穴を有していないものとされる。これにより、皮膚Sがそのような開口または穴内へと押し込まれてしまう可能性を制限することができ、これにより、先端14aを、患者の皮膚S内へと十分に深くにまでさらには皮下スペースにさえへと配置することができる。したがって、全体的に連続的な第1皮膚接触表面34は、カニューレ14の先端14aと第1皮膚接触表面34との間の距離を制御する。これにより、先端14aが注射位置において皮層内に配置されるという傾向を増大させることができる(図2)。
【0025】
第1の好ましい実施形態においては、第1位置合わせ傾斜面36が、カニューレ用チャネル26内に配置されており、組立状態においては、カニューレ14を、第1皮膚接触表面34に対して平行に配向させ得るように構成されている(図2)。カニューレ14を第1皮膚接触表面34に対して平行に配向させることは、カニューレ14と第1皮膚接触表面34との間隔を制御し得ることのために、好ましい。これにより、注射位置においては、先端14aを、患者の皮膚Sの皮層内に配置することができる(図2)。
【0026】
第1の好ましい実施形態におけるアダプタ10は、さらに、カニューレ用チャネル26内に配置された第2位置合わせ傾斜面38を備えている。第2位置合わせ傾斜面38は、第1位置合わせ傾斜面36と協同して、組立状態においてカニューレ14を第1皮膚接触表面34に対して平行であるように配向させ得るように構成されている。第2位置合わせ傾斜面38は、好ましくは、カニューレ用チャネル26内において、第1位置合わせ傾斜面36よりも先端側に配置されている。カニューレ14は、好ましくは、組立状態においては、第1および第2の位置合わせ傾斜面36,38に対して係合する。アダプタ10は、カニューレ14の少なくとも先端側部分を第1皮膚接触表面34に対して平行に位置合わせするに際して、第1位置合わせ傾斜面36または第2位置合わせ傾斜面38のいずれか一方を備える構成に限定されるものではなく、アダプタ10は、中央部分24にまたはカニューレ用チャネル26内に、様々な代替可能な位置合わせ機構や非特定の位置合わせ機構を備えることができる。例えば、カニューレ用チャネル26は、カニューレ14を第1皮膚接触表面34に対して平行に位置合わせするV字形状グルーブと、カニューレ14を好ましくは第1皮膚接触表面34に対して平行なものとし得るよう、カニューレ14を第1皮膚接触表面34に対して位置合わせするためのクランプ機構または様々な代替可能な位置合わせ機構と、を備えることができる。加えて、カニューレ14は、第1皮膚接触表面34に対して平行に配向されることは必ずしも必要ではなく、それに代えて、第1皮膚接触表面34に対して平行に配向されることなく、カニューレ14の先端14aが皮膚Sの皮層内に位置決めされ得るように構成することができる。
【0027】
特に図3Aに示すように、第1の好ましい実施形態においては、第1および第2の位置合わせ傾斜面36,38は、上り勾配表面36a,38aと、頂点表面36b,38bと、下り勾配表面36c,38cと、を備えている。上り勾配表面36a,38aは、側部開口22を通してカニューレ14をカニューレ用チャネル26内へと案内することを補助する。下り勾配表面36c,38cは、好ましくは、組立状態においてカニューレ14をカニューレ用側壁40に向けて付勢する。カニューレ用側壁40は、好ましくは、カニューレ用チャネル26に対して少なくとも隣接しているところにおいては、長手方向軸線18に対して平行に延在している。カニューレ用チャネル26は、第1の好ましい実施形態においては、第1皮膚接触表面34と、カニューレ用側壁40と、位置決め壁42と、によって規定されており、中央部分24に属している。カニューレ14は、好ましくは、組立状態においては、カニューレ用側壁40に対して隣接して配置されている。より詳細には、カニューレ14は、組立状態においては、第1および第2の位置合わせ傾斜面36,38の下り勾配表面36c,38cに対して、なおかつ、カニューレ用側壁40に対して、係合して配置することができる。したがって、第1および第2の位置合わせ傾斜面36,38とカニューレ用側壁40とは、組立状態においては、カニューレ14を、第1皮膚接触表面34に対して平行に位置合わせし、組立状態においては、カニューレ14の中心軸線を、長手方向軸線18に沿って位置合わせする。しかしながら、カニューレ14は、上述したように、第1および第2の位置合わせ傾斜面36,38とカニューレ用側壁40とを利用して位置合わせおよび中心合わせされることに限定されるものではなく、代替的に、注射状況の際に先端14aが患者の皮膜の皮層内に配置されるようにしてアダプタ10によって位置合わせして配向させることができる。加えて、カニューレ14は、組立状態において長手方向軸線18に対して同軸的であることに限定されるものではなく、先端14が注射位置において皮層内に配置される限りにおいては、長手方向軸線18に対して位置合わせされていないすなわちわずかに傾斜することができる。
【0028】
図4に示すように、第1皮膚接触表面34は、カニューレ14の先端部から、比較的一定の距離でもって、離間される。第1皮膚接触表面34は、さらに、組立状態においては、カニューレ14の先端14aに隣接した領域と、チャネルのエッジ26aに隣接した領域と、の間において、連続的である。第1の好ましい実施形態においては、シリンジ12は、組立状態においては、長手方向軸線18に対して同軸的なものとすることができ、カニューレ14の先端部は、長手方向軸線18から離間する向きにわずかに上向きに傾斜することができる。これにより、カニューレ14の先端部を、皮膚接触表面34に対して平行に位置合わせすることができる。カニューレ14の先端部は、好ましくは、第1皮膚接触表面34から、カニューレギャップ距離Xだけ離間される。カニューレギャップ距離Xは、好ましくは、0.2mm以上とされ、0.2〜2mmという範囲内とすることができる。しかしながら、カニューレギャップ距離Xは、この範囲にあることに限定されるものではなく、注射位置においてカニューレ14の先端14aが患者の皮膚Sの皮層内に配置されることを可能とする任意の距離とすることができる。第1の好ましい実施形態においては、カニューレギャップ距離Xは、0.55mmとされる。加えて、カニューレギャップ距離Xのより好ましい範囲は、0.4〜0.8mmである。第1の好ましい実施形態におけるカニューレ14は、カニューレゲージ27とすることができ、第1皮膚接触表面34とカニューレ14の外径との間のカニューレギャップ距離Xは、0.55mm以上とすることができる。これにより、注射位置において、カニューレ14の先端14aを、皮層内に配置することができる。カニューレのギャップ距離Xは、カニューレ14の配向性(ランセットアップ、または、ランセットダウン)や、カニューレ14のゲージ数や、患者における注射の予想位置や、設計者が考慮し得る多数の他の要因によって、影響を受けることとなる。
【0029】
第1の好ましい実施形態においては、カニューレ14の先端14aは、カニューレ14がチャネルのエッジ26aを超えて延在する境界として規定される境界平面27から、長手方向軸線18に沿って、1.5〜10mmだけ突出したところに配置されている。境界平面27は、長手方向軸線18に対して交差しており、長手方向軸線18に対して垂直である。第1の好ましい実施形態においては、カニューレ14の先端14aは、カニューレ14がチャネルのエッジ26aを超えて延在する境界として規定される境界平面27を超えて、露出長さL の分だけ、先端側に配置されている。露出長さL は、上述したような1.5〜10mmに限定されるものではなく、注射状況において、患者の皮膚Sの皮層内への先端14aの挿入を可能とし得るような任意の長さとすることができる。より好ましい範囲においては、露出長さL は、2.5〜7mmとされ、さらに好ましい範囲においては、露出長さL は、2.5〜4mmとされる。組立状態においては、露出長さL は、好ましくは、組立状態においてカニューレがアダプタに対して移動またはスライドしないように、アダプタ10およびカニューレ14の設計時に、予め決定される。したがって、第1の好ましい実施形態においては、シリンジ12がアダプタ10に対して係合された後には、露出長さL が変わることはなく、カニューレ14と関連シリンジ12とは、ボディ16に対して、および、中央部分24に対して、および、先端側突起30に対して、スライドすることがない。
【0030】
第1の好ましい実施形態における先端側突起30は、境界平面27から先端側ノーズ32に向けて、少なくとも先端側においては、透明であり、境界平面27よりも基端側においては、不透明である。アダプタ10の中央部分24および残部は、好ましくは、不透明である。少なくとも境界平面27よりも先端側において先端側突起30を透明なものとすること、および、境界平面27よりも基端側において先端側突起30とアダプタ10とを不透明なものとすることは、注射時に医療従事者またはユーザーが皮膚Sを穿刺していることを、また、注射時に皮膚Sが第1皮膚接触表面34に対して係合していることを、視覚的に知らせる。カニューレ14の先端部は、境界平面27よりも先端側において先端側突起30が透明であることのために、また、アダプタ10の残部が不透明であることのために、また、境界平面27よりも基端側に配置されたカニューレ14の基端側部分が、アダプタ10の不透明な部分によって隠されてしまうことのために、見えたり見えなかったり、あるいは、注射位置においては皮膚Sの下に完全に配置される。カニューレ14が見えなくなることは、また、カニューレ14によって皮膚Sを穿刺している医療従事者またはユーザーに対して、十分な距離にわたって穿刺されていること、および、カニューレ14を挿入しようとしてそれ以上の挿入圧力または挿入力を印加する必要がないことを、視覚的に知らせる。このような視覚的な確認は、「高圧的な」医療従事者またはユーザーに関して、特に効果的であり得る。なぜなら、そのような「高圧的な」医療従事者またはユーザーは、注射位置において過度の圧力を印加しかねないからであり、また、第1皮膚接触表面34とカニューレ14との間において潜在的に皮膚Sを挟み込んで、カニューレ14を損傷させたり、先端14aを皮内層の外部に配置したり、しかねないからである。
【0031】
境界平面27よりも先端側部分を透明であるように、なおかつ、境界平面27よりも基端側部分を不透明であるように、先端側突起30を構成することにより、医療従事者またはユーザーは、カニューレ14のうちの、カニューレ用チャネルのエッジ26aを超えて延在する先端部が、患者の皮膚S内に進入していることを、さらに、皮膚Sが第1皮膚接触表面34に対して比較的一定の接触を行っていることを、視覚的に確認することができる。このことは、医療従事者またはユーザーに対して、カニューレ14の先端14aが、患者の皮膚Sの真皮内にまたは皮層内に配置されていることを視覚的に知らせる。これにより、薬剤を患者の皮膚Sの真皮内にまたは皮層内に注入することができ、患者の体内へと吸収させることができる。
【0032】
第1の好ましい実施形態においては、カニューレ14の先端14aは、好ましくは、先端側ノーズ32の先端エッジから、オーバーハング長さL の分だけ、離間されている。オーバーハング長さL は、好ましくは、特にアダプタ10が上向きの先端側ノーズ32を有さないならば、少なくとも1mmとされる。第1の好ましい実施形態においては、オーバーハング長さL は、2〜6mmである。オーバーハング長さL は、例えば医療従事者がカニューレを皮膚Sに対して垂直に皮膚S内へと導入しようとした場合のように、先端14aが露出されていることに基づく不注意な穿刺を受けることに関して、ユーザーおよび患者に対して安全性を提供するとともに、組立状態において先端14aと境界平面27との間の比較的一定のカニューレギャップ距離Xをなす部分を提供する。これにより、挿入時には、皮膚S内へと先端14aを正確に位置決めすることができる。カニューレギャップ距離Xは、好ましくは、境界平面27と先端14との間において、一定とされている。それは、カニューレ14の少なくとも先端部が、第1皮膚接触表面34に対して平行に延在していることの結果である。さらに、第1皮膚接触表面34は、好ましくは、少なくとも先端側ノーズ32が上向きに湾曲し始めるまでの限られた距離にわたって、直線状の経路に沿ってすなわち平行な経路に沿って、先端14aを超えて延在している。この限られた距離は、およそ1〜2mmとすることができる。オーバーハング長さL は、上記の寸法に限定されるものではなく、先端14aに対しての露出を制限し得る任意の寸法とすることができ、皮膚Sの表面から所望深さにまでカニューレ14を容易に挿入させ得る任意の寸法とすることができる。オーバーハング長さL は、さらに、患者の皮膚S内へとカニューレ14が垂直に挿入されることを防止する。患者の皮膚S内へとカニューレの先端14aを垂直に挿入しようと試みた場合には、典型的には、皮層内へと先端14aが不適切に配置されてしまうこととなり、皮層Sの望ましくない場所へと薬剤が注入されてしまうこととなる。
【0033】
図1および図2に示すように、第1の好ましい実施形態においては、シリンジ12は、バレル44と、バレル44の中空キャビティ44a内へとスライド可能にかつ液密的に係合したピストン46aを有したプランジャー46と、カニューレ14と、を備えている。バレル44は、全体的に円筒形状とされており、中空の内部キャビティ44aは、内部に薬剤を受領している。薬剤は、典型的には、中空の内部キャビティ44aの内部において、ピストン46aとカニューレ14との間に格納される。シリンジ12は、バレル44とプランジャー46とカニューレ14とを備えたものに限定されるものではなく、内部に薬剤を保持することができ、なおかつ、アダプタ10に対して連結することができ、なおかつ、動作時には、内部から薬剤を放出することができるようなすなわち患者の皮膚Sの皮層内に薬剤を注入し得るような、任意のデバイスから構成することができる。例えば、シリンジ12は、カニューレ14を有していないような、事前充填されたシリンジ12から構成することができる。その場合、カニューレ14は、アダプタ10に対して付設されることとなる(例えば、図11および図12を参照されたい)。
【0034】
第1の好ましい実施形態においては、アダプタ10は、少なくとも、ボディ16と、先端側ノーズ32と、中央部分24と、ボディ16を貫通して長手方向軸線18に対して平行に延在しているシリンジ用チャネル20と、を備えている。ボディ16は、シリンジ用チャネル20を備えており、好ましくは、アダプタ10上において、カニューレ用チャネル26を有した中央部分24よりも、基端側に配置されている。シリンジ用チャネル20は、組立状態においては、シリンジ12の少なくとも一部を受領し、特に、バレル44の少なくとも一部を受領する。アダプタ10は、さらに、側部開口22を備えている。側部開口22は、好ましくは、基端部16aと先端側ノーズ32との間において、アダプタ10の長さ全体に沿って、延在している、あるいは、少なくとも、カニューレ用チャネルのエッジ26aの近傍に位置した中央部分24の端部にまで延在している。側部開口22により、アダプタ10に対してまたはアダプタ10内へと、シリンジ12およびカニューレ14を選択的に挿入することができる。側部開口22は、好ましくは、バレル44の最大直径と比較してわずかに狭いものとされている。これにより、組立時には、バレル44を、シリンジ用チャネル20内へと、圧力ばめまたはスナップ止めすることができる。シリンジ用チャネル20内へとバレル44を圧力ばめまたはスナップ止めすることにより、組立後にアダプタ10内にシリンジ12を保持することを補助することができる。しかしながら、バレル44は、シリンジ用チャネル20内に圧力ばめまたはスナップ止めされる構成のものに限定されるものではなく、これに代えて、バレル44は、ステーキングや、クランピングや、接着性結合や、アダプタ10に対してシリンジ12を固定するための他の手法、によって、アダプタに対して係合または固定することができる。
【0035】
第1の好ましい実施形態においては、開口22の内部におけるシリンジ用チャネル20の形状は、狭いC字形状のクランプ止めセクションを規定している。組立状態においては、狭いC字形状のクランプ止めセクションの中に、シリンジ12が圧力ばめされる。
【0036】
図5に示すように、先端側突起30は、注射位置において皮膚Sに対して係合し得るよう(図2)、およそ3〜10mmという)の突出幅Wを有している。突出幅Wは、3〜10mmという範囲に限定されるものではなく、医療従事者またはユーザーによって操作し得るような、なおかつ、注射位置において皮層内にまたは真皮内に先端14aを適切に配置することを促進させ得るような、任意の幅とすることができる。第1の好ましい実施形態においては、突出幅Wは、バレル44の直径とほぼ同じであるか、あるいは、バレル44の直径よりもわずかに小さなものとされる。しかしながら、突出幅Wは、それらに限定されるものではない。シリンジ12およびアダプタ10の保管やパッケージングや操作性や全体的な取扱い性の点からは、突出幅Wが、バレル44の直径と一致しているかあるいはバレル44の直径よりもわずかに小さいことが、好ましい。突出幅Wは、好ましくは、挿入時に必要とされる力を最小化し得るように構成され、なおかつ、注射位置において挿入時に皮膚Sに対してのアダプタ10の位置を安定化させ得るように構成される。先端側突起30の突出幅Wは、他のシステム構成要素を一体化させ得るよう、バレル44よりも小さなものとすることができる、あるいは、安定性を最大化し得るよう、シリンジ12のバレル44よりも大きなものとすることができる。
【0037】
図1〜図3に示すように、第1の好ましい実施形態においては、カニューレ14は、カニューレハブ14bを備えている。カニューレハブ14bは、好ましくは、シリンジ12の縮径した先端部44bに対して一体的に係合する。カニューレ14は、好ましくは、カニューレハブ14b内に接着される金属材料から形成され、カニューレハブ14bは、典型的には、ポリマー材料またはプラスチック材料から形成される。アダプタ10は、好ましくは、さらに、位置決め壁48を備えている。位置決め壁48は、組立状態においては、バレル44の縮径した先端部44bに対して係合する。縮径した先端部44bと位置決め壁48との係合は、長手方向軸線18に沿ってのカニューレ14の先端14aの位置決めを制御する。これにより、所望の露出長さL と、所望のオーバーハング長さL と、を得ることができる。したがって、アダプタ10は、好ましくは、少なくともカニューレ14の先端14aに対しての縮径した先端部44bの位置に関して、既知の寸法を有したシリンジ12およびカニューレ14に対して、構成される。これにより、アダプタ10に対しての先端14aの位置決めを、制御可能とすることができる。シリンジ用チャネル20も、また、組立状態においてシリンジ12のバレル44を受領して保持し得るように、構成される。
【0038】
第1の好ましい実施形態においては、アダプタ10は、基部端16aのところに、カラー50を備えている。カラー50により、ユーザーは、アダプタ10を取り扱うことができる。カラー50を使用することにより、アダプタ10をユーザーの指に対して係合することができる。これにより、シリンジ12を、アダプタ10に対しての適切な位置に、維持することができる。
【0039】
アダプタ10は、好ましくは、さらに、指把持部分52を備えている。医療従事者または看護師が、指把持部分52を使用することにより、使用時にアダプタ10とシリンジ12とを把持して保持することができる。指把持部分52により、医療従事者または看護師は、先端側ノーズ32よりも基端側において、アダプタ10およびシリンジ12を把持することができる。これにより、先端14aの近傍箇所を制御することができる。注射時には、医療従事者は、典型的には、バレル44および/またはアダプタ10を把持することにより、組み立てられたアダプタ10およびシリンジ12を操作する。
【0040】
図11および図12に示すように、第2の好ましい実施形態においては、アダプタ10’は、第1の好ましい実施形態におけるアダプタ10と同様の構成を有している。しかしながら、カニューレ14’が、アダプタ10’に対して固定されており、ボディ16’が、シリンジ12’を受領するため側部開口を備えていない。さらに、第1実施形態と第2実施形態との間においては、構造および機能が、さらに相違している。第2の好ましい実施形態におけるアダプタ10’においては、第1の好ましい実施形態におけるアダプタ10と同様の特徴点を確認するために、同じ参照符号にプライム(’)を付加している。したがって、第2の好ましい実施形態におけるアダプタ10’のかなりの特徴点は、第1の好ましい実施形態におけるアダプタ10と同じまたは同様である。以下の説明においては、第2の好ましい実施形態におけるアダプタ10’に関する異なる特徴点が、強調されている。
【0041】
第2の好ましい実施形態においては、カニューレ14’が、アダプタ10’に対して固定されている。これにより、先端14a’が、第1の好ましい実施形態において上述したような所定範囲とされた露出長さL およびオーバーハング長さL でもって、先端側突起30’に対して配置されている。加えて、カニューレギャップ距離X’も、また、第1の好ましい実施形態において上述したような所定範囲とされている。カニューレ14’をアダプタ10’に対して固定したことにより、アダプタ10に対してカニューレ14’が位置ズレするという可能性が排除され、したがって、先端側突起30’に対して先端14a’が位置ズレするという可能性が排除される。
【0042】
第2の好ましい実施形態においては、アダプタ10’は、典型的には、予め充填されたシリンジ(図示せず)に対して関連しており、カニューレ14’を備えていない。アダプタ10’は、典型的には、従来のルアーを使用したボディ16’の基部端16a’に対して取り付けられる。シリンジ12’は、製造業者によって予め充填されることができ、あるいは、注射前に医療従事者またはユーザーによって充填することができ、あるいは、アダプタ10’との係合前に、カニューレやバイアルアダプタやスパイクや他の機構を使用してを予め充填されたシリンジ12’によって充填することができる。第2の好ましい実施形態においては、シリンジ12’は、ルアーによってボディ16’に対して取り付けられる構成に限定されるものではなく、これに代えて、他の手法によって、ボディ16’に対して取り付けたり固定したりすることができる。
【0043】
図13〜図15に示すように、第3の好ましい実施形態においては、アダプタ10”は、第1の好ましい実施形態におけるアダプタ10および第2の好ましい実施形態におけるアダプタ10’と同様の構成を有している。しかしながら、ボディ16”が、中央部分24”および先端側突起30”に対して、回転可能とされている。これにより、中央部分24”および先端側突起30”は、吸引位置においては、カニューレ14”から離間する向きに回転させることができ、また、組立状態においては、カニューレ14”の近傍へとまたはカニューレ14”との係合状態へと、回転させることができる。第3の好ましい実施形態においては、中央部分24”および先端側突起30”は、回転矢印Pによって示されているような円弧状経路に沿って、ボディ16”に対して回転可能とされている。アダプタ10”の第3の好ましい実施形態と他の実施形態との間の追加的な相違点について、以下において説明する。また、追加的な相違点は、図面上で認識することができる。先端側突起30”および中央部分24”は、カニューレ14”およびボディ16”に対して回転可能とされた構成に限定されるものではなく、先端側突起30”および中央部分24”は、カニューレ14”およびボディ16”に対してスライド可能なものとすることができる、あるいは、カニューレ14”を露出させた状態と組立状態との間にわたって移行可能であるような任意の態様でもってカニューレ14”およびボディ16”に対して移動可能なものとすることができる。第3の好ましい実施形態におけるアダプタ10”においては、第1の好ましい実施形態におけるアダプタ10および第2の好ましい実施形態におけるアダプタ10’と同様の特徴点を確認するために、同じ参照符号にダブルプライム(”)を付加している。したがって、第3の好ましい実施形態におけるアダプタ10”のかなりの特徴点は、第1の好ましい実施形態におけるアダプタ10および第2の好ましい実施形態におけるアダプタ10’と同じまたは同様である。以下の説明においては、第3の好ましい実施形態におけるアダプタ10”に関する異なる特徴点が、強調されている。
【0044】
第3の好ましい実施形態におけるアダプタ10”のボディ16”は、リング形状を有している。シリンジ用チャネル20”は、そのリング形状を貫通して延在している。ボディ16”は、カニューレハブ14b”と、縮径した先端部44b”と、ハブ44”の先端部と、シリンジ12”の他の部分と、に対して係合し得るように構成されている。これにより、シリンジ12”に対してアダプタ10”を固定することができる。ボディ16”は、回転アーム54”と回転シャフト56”と回転ハブ58”とによって、中央部分24”および先端側突起30”に対して回転可能とされている。第3の好ましい実施形態においては、回転ハブ58”は、ボディ16”の一部として形成されており、回転アーム54”および回転シャフト56”は、中央部分24”および先端側突起30”の一部として形成されている。これにより、中央部分24”および先端側突起30”は、ボディ16”がシリンジ12”に対して取り付けられた組立状態においては、ボディ16”およびシリンジ12”に対して回転することができる。これに代えて、ボディ16”は、回転アーム54”および先端側突起30”と一緒に一体成型によって形成することができ、その場合、ボディ16”は、ボディ16”と、中央部分24”および先端側突起30”と、の間の回転を可能とし得るよう、ボディ16”と回転アーム54”との間に位置するヒンジ(リビングヒンジ)(図示せず)を備えることができる。第1および第2の好ましい実施形態の場合と同様に、アダプタ10”の先端側突起30”は、好ましくは、境界平面27”よりも先端側においては、透明なものとされる、あるいは、少なくとも部分的に透明なものとされる。これにより、医療従事者は、組立状態での使用時には、カニューレ14”および/または皮膚Sを、視覚的にモニターすることができる。ボディ16”は、さらに、キャップ(図示せず)を選択的に受領し得るように構成されている。これにより、先端側突起30”および回転アーム54”がカニューレ14”から離間する向きに回転した際に、カニューレ14”をカバーすることができる。
【0045】
第3の好ましい実施形態におけるアダプタ10”は、カニューレ用チャネル26”内へとカニューレ14”を側方から挿入し得るように構成されている。カニューレ用チャネル26”は、V字形状を有しており、回転アーム54”の側に位置した広い部分と、広い部分の反対側に位置していて、カニューレ用側壁40”を形成する狭い頂点と、を有している。V字形状のカニューレ用チャネル26”は、第1の好ましい実施形態におけるアダプタ10の第1および第2の位置合わせ傾斜面36,38およびカニューレ用側壁40と同様に、カニューレ14”を、先端側突起30”に対しての適切な位置へと案内する。
【0046】
第3の好ましい実施形態においては、回転シャフト56”が、好ましくは、回転ハブ58”に対して締まりばめ(インターフェアレンスフィット)を形成している。リング形状のボディ16”は、好ましくは、組立時には、バレル44”上へとまたはハブ14b”上へと付勢されて、組立状態においては、シリンジ12”に対してアダプタ10”を保持する。ボディ16”は、押圧表面接触によって、あるいは、タングとグルーブとの係合によって、あるいは、突起によって、あるいは、バヨネットタイプの係合によって、あるいは、クランピングによって、あるいは、固定によって、あるいは、接着によって、あるいは、シリンジ12”に対してボディ16”を係合させ得るような任意の機構や手法によって、シリンジ12”に対して係合することができる。これにより、先端側突起30”は、カニューレ14”に対して、注射位置へと回転することができる。カニューレ14”は、中央部分24”のカニューレ用チャネル26”のV字形状グルーブによって、捕捉されて位置合わせされる。これにより、カニューレ14”は、好ましくは、第3の好ましい実施形態におけるカニューレ用側壁40”の狭い頂点の近傍に配置される。カニューレ14”の先端側およびカニューレの先端14a”は、第1皮膚接触表面34”の直下において、カニューレ用チャネル26”を通して延在する。先端側突起30”および回転アーム54”は、薬剤の吸引後に先端側突起30”および回転アーム54”が注射位置へと回転駆動された後には、カニューレ14”に対して、注射位置において、ロックすることができる。しかしながら、ロックする構成に限定されるものではなく、これに代えて、注射位置に固定することもできる。
【0047】
カニューレ用チャネル26”がなすV字形状グルーブは、また、V字形状グルーブカニューレ用チャネル26”の広い部分が先端側突起30”とは反対側に位置しているようにして、構成することができる。そのような構成においては、広い部分またはV字形状グルーブカニューレ用チャネル26”のマウスは、第2皮膚接触表面28”を通して延在する。これにより、第1皮膚接触表面34”は、中央部分24”および先端側突起30”が注射位置に向けて回転するときにはまた注射位置から回転するときには、カニューレ14”の頂部上へとまたは頂部から離間する向きに、円弧に沿って付勢される。つまり、第3の好ましい実施形態におけるアダプタ10”のこの代替可能な構成においては、V字形状グルーブという形状のカニューレ用チャネル26”の広い部分が、先端側突起30”とは反対側のところにおいて中央部分24の表面に沿って配置される、または、アダプタ10”の底面上に配置される。これに対し、第3の好ましい実施形態においては、広い部分またはV字形状グルーブカニューレ用チャネル26”のマウスは、中央部分24”の側方に配置されている。
【0048】
図16および図17に示すように、第4の好ましい実施形態においては、アダプタ10''' は、第1〜第3の好ましい実施形態におけるアダプタ10,10’,10”と同様の構成を有している。しかしながら、アダプタ10''' は、シリンジ12''' と一体的に形成されている、あるいは、シリンジ12''' に対して固定されている。第4の好ましい実施形態におけるアダプタ10''' においては、第1〜第3の好ましい実施形態におけるアダプタ10,10’,10”と同様の特徴点を確認するために、同じ参照符号にトリプルプライム(''' )を付加している。したがって、第4の好ましい実施形態におけるアダプタ10''' のかなりの特徴点は、第1〜第3の好ましい実施形態におけるアダプタ10,10’,10”と同じまたは同様である。以下の説明においては、第4の好ましい実施形態におけるアダプタ10''' に関する異なる特徴点が、強調されている。
【0049】
第4の好ましい実施形態におけるアダプタ10''' は、通常、予め充填された構成を意図したものである。その場合、シリンジ12'''は、アダプタ10''' に対して恒久的に取り付けられる、あるいは、アダプタ10''' と一体的に形成される。シリンジ12'''は、輸送および/または保管のために、無菌パッケージ内に包装される。アダプタ10''' は、好ましくは、中央部分24''' のところにおいて、シリンジ12''' のバレル44''' の直径とほぼ同じ直径を有している。しかしながら、そのような構成に限定されるものではない。加えて、第4の好ましい実施形態におけるアダプタ10''' のボディ16''' は、シリンジ12''' のバレル44''' に対して恒久的に結合される、あるいは、シリンジ12''' のバレル44''' と一体的に形成される。中央部分24''' および/またはボディ16''' の直径は、バレル44''' の直径と比較して、より小さなものともまたより大きなものともすることができる、あるいはこれに代えて、中央部分24''' および/またはボディ16''' は、楕円形や、あるいは、正方形や、あるいは、長方形や、あるいは、シリンジ12''' のバレルと一緒に形成されるあるいはシリンジ12''' のバレルに対して恒久的に係合される任意の形状でもって、形成することができる。例えば、第4の好ましい実施形態におけるアダプタ10''' は、バレル44''' と同時に形成される一体成型ポリマー材料から形成することができる。あるいは、アダプタ10''' は、ガラス材料から形成し得るシリンジ12''' のバレル44''' に対して組み付けることができる。あるいは、アダプタ10''' は、シリンジ12''' の製造時に、シリンジ12''' に対して恒久的に固定することができる。
【0050】
互いに一体成型されたようなあるいは製造時に互いに組み付けられたようなアダプタ10''' およびシリンジ12''' においては、製造業者は、第1皮膚接触表面34''' に対してのカニューレ14''' の位置決めと、カニューレギャップ距離X''' と、バレル44''' と先端14a''' との間のすべての流体流通経路(この流通経路は、好ましくは、制限される、あるいは、短くされる)と、長手方向軸線18''' に対してのカニューレ14''' の位置および向きと、を決定することができる。第4の好ましい実施形態における、一体成型されたあるいは一体組み付けされたアダプタ10''' においては、さらに、製造業者は、アダプタ10''' およびシリンジ12''' が最初に包装(パッケージング)される時点から、好ましくは注射プロセスの直前において、アダプタ10''' およびシリンジ12''' がパッケージから取り出されるまでにわたって、カニューレ14''' およびアダプタ10''' のうちの、皮膚に対して接触する部分を、殺菌性に維持することができる。第4の好ましい実施形態におけるアダプタ10''' においては、製造業者は、さらに、バレル44''' から先端14a''' までにいたる流体経路をシールすることができる。これにより、ユーザーがその場で組み立てた場合に発生する欠陥部品に起因するような流体経路からの漏洩を防止することができる。製造業者は、さらに、カニューレ14''' の先端14a''' の向きを、ランセットアップやあるいはランセットダウンやあるいは製造業者に有利なまたはユーザーに好都合な任意の向きに、予め決定することができる。
【0051】
第4の好ましい実施形態においても、アダプタ10''' は、好ましくは、弾性キャップ60''' を備えている。弾性キャップ60''' は、アダプタ10''' に対して、シリンジ12''' のバレル44''' 上にまたはハブ14b''' 上に、着脱可能に取り付けることができる。これにより、輸送時および保管時にアダプタ10''' を保護することができ、医療従事者または他のユーザーが患者内へと注射するまでの時点において、カニューレ14''' の先端14a''' をシールして、バレル44''' 内に薬剤を維持し得るとともに、アダプタ10''' の殺菌性を維持することができる。弾性キャップ60''' は、好ましくは、弾性材料から形成される。弾性材料は、バレル44''' またはアダプタ10''' の他の部分に対して適合して係合してシールを形成することができる。これにより、キャップ60''' がシリンジ12''' に対して取り付けられている際には、バレル44''' 内に薬剤をシールし得るとともに、アダプタ10''' の殺菌性を維持することができる。キャップ60''' は、好ましくは、組立状態(図示せず)においては、シリンジ12''' 上に嵌合される。これにより、キャップ60''' がシリンジ12''' に対して取り付けられている際には、先端14a''' が、弾性キャップ60''' をなす材料の中に配置されていることのために、先端14a''' を通しての流通経路を遮ることができるとともに、バレル44''' 内に薬剤を維持することができるすなわち薬剤の漏洩を防止することができる。
【0052】
キャップ60''' の直径は、製造設備に依存して、および/または、ユーザーまたは設計者の好みに依存して、バレル44''' の直径を超えることができる、あるいは、バレル44''' の直径と同じとすることができる、あるいは、バレル44''' の直径よりもわずかに小さなものとすることができる。キャップ60''' は、好ましくは、バレル44''' 上へとバレル44''' に向けてキャップ60''' を押すことによって、シリンジ12''' およびアダプタ10''' 上へと、取り付けられる。これにより、キャップ60''' は、バレル44''' の先端部に対して、バレル44''' の先端部を圧縮しながら係合する。そして、先端14a''' は、キャップ60''' の先端ヘッド部分60a''' のところにおいて、弾性材料内に配置される。バレル44''' 上へのキャップ60''' の好ましい嵌合により、および、先端ヘッド部分60a''' がなす材料内への先端14a''' の封入により、患者に対しての薬剤の注射前にアダプタ10''' からキャップ60''' を取り外すまでにわたって、アダプタ10''' の殺菌性を改良することができる、すなわち、アダプタ10''' の殺菌性を維持することができる。先端14a''' は、通常、患者内の薬剤の注射の直前までは、格納状態(貯蔵状態、保管状態)でもって、先端ヘッド部分60a''' に維持される。これにより、アダプタ10''' および/またはカニューレ14''' が汚染される傾向を低減し得るとともに、シリンジ12''' から薬剤が漏洩する傾向を低減することができる。キャップ60''' は、単一の弾性部材から形成される構成に限定されるものではなく、複数の弾性部材から形成することもできる、あるいは、弾性部材と、保管時や輸送時や注射プロセスの前にアダプタ10''' をカバーして保護する比較的剛直な材料と、の組合せとして形成することもできる。例えば、キャップ60''' は、上記の弾性キャップ60''' と同様に機能するような剛直ポリマーシェルの中に配置された弾性材料から形成することができる。
【0053】
図1〜図10に示すように、動作時には、シリンジ12は、予め充填されたものとされる、あるいは、薬剤が、バイアル瓶(図示せず)からシリンジ12内へと吸引される。シリンジ12は、アダプタ10とは別部材とすることができる。これにより、シリンジ12内へと薬剤を吸引することができる。そして、患者内へと薬剤を注射するのに使用するものとは異なるカニューレ14を使用することにより、シリンジ12内へと薬剤を吸引することができる。例えば、比較的大きなゲージ数のカニューレ14を使用することにより、バレル44内へと薬剤を吸引することができ、注射時には、その比較的大きなゲージ数のカニューレ14を、より小さなゲージ数のカニューレ14へと交換することができる。これに代えて、中央部分24および先端側突起30を、バレル44および/またはハブ14bに対して、および、カニューレ14に対して、ヒンジ的に連結することができる。これにより、バイアル瓶からシリンジ12内へと薬剤を吸引する際には、中央部分24および先端側突起30を、カニューレ14から離間する向きに回転させることができ、注射時には、組立状態へと回転によって戻すことができる。
【0054】
薬剤がシリンジ12内にある状態で、シリンジ12が、アダプタ10に対して取り付けられる。好ましくは、シリンジ12は、シリンジ用チャネル20内へと側部開口22を通して圧入される。これにより、アダプタ10に対してシリンジ12を係合することができる。組立状態においては、狭い先端部44bは、好ましくは、位置決め壁48に対向しつつ配置される。これにより、アダプタ10に対して先端14aを適切に位置決めすることができる。狭い先端部44bを位置決め壁48に対向して配置した後には、カニューレ14は、アダプタ10に対して相対移動することがない。
【0055】
好ましい組立状態においては、カニューレ14の少なくとも一部は、カニューレ用チャネル26内に配置されている。側方からの挿入時には、カニューレ14は、第1および第2の位置合わせ傾斜面36,38の上り勾配表面36a,38aに沿って、そして頂点表面36b,38bを超えて、さらに下り勾配表面36c,38cに沿って、移動することにより、カニューレ用チャネル26内へと案内される。組立状態においては、カニューレ14は、好ましくは、下り勾配表面36c,38cおよびカニューレ用側壁40に対して対向しつつ係合した状態で配置される。この状態におけるニードル14の位置決めは、カニューレ14を、第1皮膚接触表面34に対して平行な状態へと、付勢する。これにより、カニューレ14は、カニューレギャップ距離Xの分だけ、第1皮膚接触表面34から離間して配置される。カニューレギャップ距離Xは、好ましくは、先端14aが注射位置において患者の皮膚Sの皮層内に配置されるように、予め設定される。
【0056】
薬剤を患者の皮膚S内へと注射するに際しては、ユーザーは、指把持部分52および/またはバレル44を把持し、そして、アダプタ10を、患者の皮膚Sに対しての係合状態へと、付勢することができる。アダプタ10は、長手方向軸線18がユーザーの皮膚Sに対してほぼ平行となるようにして、患者の皮膚Sに対して配向されている。図2Aに詳細に示すように、アダプタ10は、皮膚Sに向けてわずかに下向きに付勢することができ、その後、少なくとも第1皮膚接触表面34が皮膚Sの表皮の表面に対して係合するようにして、ユーザーの皮膚Sに向けて付勢されつつ、ユーザーの皮膚Sに沿ってスライドすることができる。アダプタ10が皮膚Sに沿ってスライドする際には、先端側ノーズ32は、皮膚Sに沿ってのアダプタ10の比較的円滑なスライド移動を促進する。注射プロセス時には、カニューレ14は、アダプタ10に対して相対移動することがなく、カニューレ14は、好ましくは、露出長さL の全体にわたって、皮膚S内へと進入する。医療従事者またはユーザーは、先端側突起30の透明な先端部を通して、カニューレ14が皮膚S内へと進入していくことを、また、表皮が第1皮膚接触表面34に対して接触していることを、視覚的に確認することができる。先端側突起30の透明な先端部は、その透明度のために、境界平面27のところにおいて、先端側突起30の不透明な移行部分に対して、一線を画している。完全に係合した注射位置においては、ユーザーまたは医療従事者は、カニューレ14のうちの、境界平面27よりも先端側に位置したすべての部分が、皮膚S内に配置されていることを、視覚的に観測することができる。したがって、医療従事者は、カニューレ14が皮膚S内に配置されていることのために、カニューレ14が先端側突起30の透明部分を通して見えないことに、注意することができる。挿入時および注射時には、医療従事者または看護師は、透明な先端側突起30を通して、先端14aが皮膚S内へと進入していく様子を見ることができる。加えて、看護師または医療従事者は、先端側突起30を通して、皮膚Sが第1皮膚接触表面34に対して接触している様子を見ることができる。さらに、第1および第2の皮膚接触表面34,28は、皮膚Sに対してのカニューレ14の位置決めを促進する。これにより、皮層内におけるカニューレ14の先
端14aの位置決めをさらに促進することができる。注射位置においては、カニューレ14の先端14aは、皮膚Sの真皮内に配置されている。
【0057】
カニューレ14の先端14aが皮膚S内において適切に配置された後には、プランジャー46が、押圧される。これにより、ピストン46aが付勢され、バレル44からカニューレ14を通してさらには先端14aを通して皮層内へと薬剤が押し出される。薬剤は、皮層内へと吸収され、これにより、患者に対して臨床効果をもたらすことができる。
【0058】
カニューレギャップ距離Xは、注射位置(図2)においてカニューレ14の先端14aが皮層内に配置され得るように、構成されている。皮膚Sの表皮層および真皮層は、様々な厚さを有し得るものの、カニューレギャップ距離Xは、典型的な皮膚Sの表皮および真皮の最も一般的な厚さに関して、注射位置において先端14aが真皮内に配置されるようにあるいは先端14aが表皮の下部に配置されるように、構成されている。したがって、アダプタ10とシリンジ12との組合せは、先端14aが真皮層内にまたは表皮層内に配置されるという大きな確率をもたらすものであり、皮膚Sの好ましい層に対して直接的に薬剤を投与することによって臨床効果をもたらすものである。注射後には、シリンジ12およびアダプタ10は、典型的には挿入時とは逆向きに、皮膚Sから離間する向きに、引っ込めら、その後、シリンジ12およびアダプタ10は、廃棄される。
【0059】
図1,11,12に示すように、アダプタ10’の第2の好ましい実施形態の動作においては、カニューレ14のない予め充填されたシリンジ12がボディ16’の基端部16a’に対して取り付けられている点およびカニューレ14’がアダプタ10’に対して取り付けられている点を除いては、注射プロセスは、典型的には、同じである。
【0060】
図13〜図15に示すように、第3の好ましい実施形態におけるアダプタ10”は、上述したように、バレル44”および/またはハブ14b”に対してボディ16”を固定することによって、シリンジ12”に対して取り付けられている。シリンジ12”は、予め充填されたものとすることができる。あるいはこれに代えて、当業者には明らかなように、バレル44”内へと薬剤を吸引し得るよう、回転アーム54”および先端側突起30”を、カニューレ14”から離間する向きに回転させることができる。その場合、回転アーム54”と、中央部分24”と、先端側突起30”とが、カニューレ14”に向けて回転駆動され、最終的には、カニューレ14”の先端部が、第1皮膚接触表面34”に対して、好ましくは長手方向軸線18”に対して同軸的に、適切に配置される。注射位置においては、カニューレ14”の一部が、好ましくは、カニューレ用側壁40”のところにおいて、カニューレ用チャネル26”の頂点の近傍に、配置されている。その後、第1の好ましい実施形態におけるアダプタ10に関して詳細に上述したのと同じようにして、患者内へと薬剤を注射することができる。
【0061】
図2,16,17に示すように、第4の好ましい実施形態におけるアダプタ10''' を使用した場合、典型的には、医療従事者は、まず最初に、注射プロセスの直前に、殺菌パッケージから、アダプタ10''' およびシリンジ12''' を取り外す。患者は、注射の待ち受け状態とされ、キャップ60''' が、バレル44''' から取り外され、これにより、シリンジ12''' からキャップ60''' が取り外される。少なくともバレル44''' からキャップ60''' が取り外されるまでは、カニューレ14''' およびアダプタ10''' がキャップ60''' によって常に保護されていることのために、アダプタ10''' の殺菌性は、維持されており、流体経路は、閉塞されている。シリンジ12''' およびアダプタ10''' は、長手方向軸線18''' が、皮膚Sの表面に対して平行であるかあるいはわずかに傾斜しているようにして、また、第1皮膚接触表面34''' が皮膚Sの表面に対して係合し、これにより、シリンジ12''' およびアダプタ10''' が皮膚Sに対して位置合わせされるようにして、さらに、シリンジ12''' およびアダプタ10''' が先端向きに付勢され、これにより、カニューレ14''' が皮膚Sを穿刺し得るようにして、患者の皮膚Sに対して位置合わせされている。先端14a''' は、好ましくは、皮膚Sに進入し、アダプタ10''' の構成によって、皮層層または真皮層内へと案内される。注射時には、医療従事者または他のユーザーは、透明な先端側突起30''' を通して、カニューレ14''' の位置および皮膚を視覚的に確認することによって、カニューレ14''' が皮膚S内へと進入する様子を確認するとともに、皮膚Sの表面が第1皮膚接触表面34''' に対して係合していることを確認する。カニューレ14''' は、注射位置においては、医療従事者および/またはユーザーの視界から、視覚的に消えることとなる。医療従事者または他のユーザーが、皮膚S内へのカニューレ14''' の進入と、第1皮膚接触表面34''' に対しての皮膚Sの位置と、を確認した後に、カニューレ14''' に向けてプランジャー46''' を押圧することによって、皮膚層内へとまたは真皮層内へと薬剤が注射される。これにより、先端14a''' から患者内へと薬剤を注入することができる。シリンジ12''' およびアダプタ10''' は、その後、患者の皮膚Sの表面に対して平行に、患者の皮膚Sから離間する向きに駆動され、さらにその後、廃棄される。
【0062】
当業者であれば、本発明の広義な概念を逸脱することなく、上述の様々な実施形態を修正し得ることは、理解されるであろう。したがって、本発明は、上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に規定された精神および範囲内における様々な修正を包含するものである。
【符号の説明】
【0063】
10 アダプタ
12 シリンジ
14 カニューレ
14a 先端
18 長手方向軸線
20 シリンジ用チャネル
22 側部開口
24 中央部分
26 カニューレ用チャネル
27 境界平面
30 先端側突起
32 先端側ノーズ
34 第1皮膚接触表面
36 第1位置合わせ傾斜面
36a 上り勾配表面
36b 頂点表面
36c 下り勾配表面
38 第2位置合わせ傾斜面
38a 上り勾配表面
38b 頂点表面
38c 下り勾配表面
44 バレル
48 位置決め壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮内注射を行うためのシリンジアセンブリであって、
基端部と先端部とを有したシリンジバレルと;
前記シリンジバレルの前記先端部に対して連結されたカニューレと;
前記シリンジバレルの前記先端部に対して連結された突起と;
を具備し、
前記突起が、前記カニューレに対して平行に延在しているとともに前記カニューレに対して離間して配置された第1皮膚接触表面を備え、
前記突起のうちの、前記カニューレの先端部の近傍に位置した少なくとも一部が、透明とされており、これにより、患者の皮膚への挿入時には、前記カニューレを見ることができるようになっていることを特徴とするシリンジアセンブリ。
【請求項2】
請求項1記載のシリンジアセンブリにおいて、
さらに、基端部と先端部とを有したボディを備えたアダプタを具備し、
前記ボディの前記基端部が、前記シリンジバレルの前記先端部に対して連結可能とされ、
前記カニューレが、前記ボディの前記先端部に対してに連結され、
前記突起が、前記ボディの前記先端部に対して連結されていることを特徴とするシリンジアセンブリ。
【請求項3】
請求項1記載のシリンジアセンブリにおいて、
さらに、基端部と先端部とを有したボディを備えたアダプタを具備し、
前記ボディが、前記シリンジバレルの前記先端部に対して連結可能とされ、
前記突起が、前記ボディに対して回転可能に連結されていることを特徴とするシリンジアセンブリ。
【請求項4】
請求項3記載のシリンジアセンブリにおいて、
前記突起が、カニューレ支持部材を備え、これにより、前記カニューレを前記第1皮膚接触表面に対して平行に位置合わせすることができることを特徴とするシリンジアセンブリ。
【請求項5】
請求項1記載のシリンジアセンブリにおいて、
さらに、基端部と先端部とを有したボディを備えたアダプタを具備し、
前記ボディが、前記シリンジバレルの前記先端部に対して連結可能とされ、
前記突起が、前記ボディの前記先端部に対して連結され、
第2皮膚接触表面が、前記ボディの前記先端部に対して連結され、
前記カニューレが、前記突起と前記第2皮膚接触表面との間において先端向きに延在しており、
少なくとも1つの支持部材が、前記ボディに対してに連結され、これにより、前記カニューレを前記第1皮膚接触表面に対して平行に位置合わせすることができることを特徴とするシリンジアセンブリ。
【請求項6】
皮内注射を行うためのカニューレを備えた皮内注射アダプタであって、
長手方向軸線を有したボディと;
前記長手方向軸線に沿って前記ボディの先端側に配置された中央部分であるとともに、前記長手方向軸線に対して平行に貫通して延在したカニューレ用チャネルを有し、このカニューレ用チャネルが、カニューレ用チャネルのエッジを有している、中央部分と;
前記長手方向軸線に対して平行に延在した第1皮膚接触表面を備えた先端側突起と:
を具備し、
前記第1皮膚接触表面が、前記カニューレの先端部が前記第1皮膚接触表面に対して平行であるようにして、前記カニューレに対して離間して配置され、
前記先端側突起が、前記カニューレが前記カニューレ用チャネルの前記エッジを超えて延在しているところとして規定される境界平面よりも先端側のところに、透明部分を有し、これにより、患者の皮膚内への前記カニューレの挿入時には、前記透明部分を通して、前記カニューレを見ることができるようになっていることを特徴とするアダプタ。
【請求項7】
請求項6記載のアダプタにおいて、
前記カニューレの先端が、前記境界平面から3〜7mmのところに配置され、
前記先端側突起および前記中央部分が、前記境界平面よりも基端側においては、不透明なものとされていることを特徴とするアダプタ。
【請求項8】
請求項6記載のアダプタにおいて、
前記カニューレが、前記中央部分に対して固定され、
前記ボディが、シリンジのバレルに対して一体的に形成されていることを特徴とするアダプタ。
【請求項9】
請求項6記載のアダプタにおいて、
前記先端側突起が、吸引位置と組立状態との間にわたって移行可能とされていることを特徴とするアダプタ。
【請求項10】
請求項9記載のアダプタにおいて、
前記先端側突起が、前記ボディに対して回転可能に取り付けられていることを特徴とするアダプタ。
【請求項11】
請求項10記載のアダプタにおいて、
さらに、
回転シャフトを有しつつ、前記中央部分に対して取り付けられた回転アームと;
前記ボディに対して取り付けられた回転ハブと;
を具備し、
前記回転シャフトが、前記回転ハブによって回転可能に係合されていることを特徴とするアダプタ。
【請求項12】
請求項10記載のアダプタにおいて、
前記先端側突起が、ヒンジによって前記ボディに対して回転可能に取り付けられていることを特徴とするアダプタ。
【請求項13】
請求項9記載のアダプタにおいて、
前記先端側突起が、前記先端側突起が前記吸引位置から前記組立状態へと移行した後には、前記ボディに対して固定されていることを特徴とするアダプタ。
【請求項14】
請求項6記載のアダプタにおいて、
さらに、前記ボディ上において、シリンジ用チャネルの先端部のところに形成された位置決め壁を具備し、
前記組立状態においては、前記シリンジ用チャネルが、シリンジのバレルを受領し、
前記組立状態においては、前記位置決め壁が、前記バレルの縮径した先端部に対して係合していることを特徴とするアダプタ。
【請求項15】
皮層内に薬剤を注射するための皮内注射アセンブリであって、
カニューレと、ハブと、バレルと、プランジャーと、を備えているシリンジであるとともに、前記バレルが、全体的に円筒形という形状を有し、前記バレルが、内部に薬剤を受領し得るよう構成された中空の内部キャビティを有している、シリンジと;
シリンジ用チャネルを有したボディと、エッジを有したカニューレ用チャネルを備えた中央部分と、先端側ノーズと基端部とこれら先端側ノーズおよび基端部の間にわたって延在する長手方向軸線とを有した先端側突起と、を備えたアダプタと;
を具備し、
前記先端側突起が、前記長手方向軸線に対して平行に配置された第1皮膚接触表面を備え、
前記カニューレの先端部が、組立状態においては、カニューレギャップ距離の分だけ、前記第1皮膚接触表面から離間され、
前記カニューレの先端が、前記組立状態においては、前記カニューレ用チャネルの前記エッジよりも先端側に配置されていることを特徴とするアセンブリ。
【請求項16】
請求項15記載のアセンブリにおいて、
前記カニューレの先端が、前記組立状態においては、前記先端側ノーズから1〜6mmのところに配置されていることを特徴とするアセンブリ。
【請求項17】
請求項15記載のアセンブリにおいて、
前記先端側突起が、前記組立状態において前記カニューレが前記カニューレ用チャネルの前記エッジを超えて延在しているところとして規定される境界平面よりも先端側のところに、透明部分を有し、
前記アダプタの前記先端側突起および前記中央部分が、前記境界平面よりも基端側においては、不透明なものとされていることを特徴とするアセンブリ。
【請求項18】
請求項15記載のアセンブリにおいて、
前記先端側ノーズが、前記長手方向軸線から離間する向きに湾曲していることを特徴とするアセンブリ。
【請求項19】
請求項15記載のアセンブリにおいて、
前記アダプタが、さらに、前記中央部分に配置されたカニューレ用チャネルを備え、
前記カニューレが、前記組立状態においては、前記カニューレ用チャネル内に少なくとも部分的に配置されていることを特徴とするアセンブリ。
【請求項20】
請求項15記載のアセンブリにおいて、
さらに、前記アダプタおよび前記バレルの一部に対して着脱可能に取り付けられる弾性キャップを具備し、
前記カニューレの先端が、格納状態においては、前記弾性キャップの先端ヘッド部の中に配置されることを特徴とするアセンブリ。
【請求項21】
請求項15記載のアセンブリにおいて、
前記カニューレの前記先端が、前記カニューレ用チャネルの前記エッジによって規定された境界平面から、露出長さの分だけ離間されていることを特徴とするアセンブリ。
【請求項22】
請求項21記載のアセンブリにおいて、
前記露出長さが、1.5〜10mmとされていることを特徴とするアセンブリ。
【請求項23】
患者の皮膚の皮層内に薬剤を注射するための方法であって、
アダプタとシリンジとを備えてなるアセンブリを使用し、
このアセンブリが、先端側突起を具備し、
前記先端側突起が、カニューレがカニューレ用チャネルのエッジを超えて延在しているところとして規定される境界平面よりも先端側のところに、透明部分を有し、さらに、前記境界平面よりも基端側においては、不透明なものとされ、
前記アダプタが、さらに、前記カニューレの先端部に対して平行に配置された第1皮膚接触表面と、中央部分と、長手方向軸線と、を備える場合に、
この方法においては、
a)患者の皮膚の近傍に前記アダプタを配置し、この場合、前記長手方向軸線がユーザーの皮膚と平行であるものとし;
b)前記アセンブリが皮膚に対して平行であるようにしつつ前記アセンブリを皮膚に向けて移動させ、これにより、前記アセンブリを患者の皮膚に沿ってスライドさせ、これにより、前記カニューレを患者の皮膚内に挿入し;
c)前記カニューレが患者の皮膚内に挿入される様子と、前記第1皮膚接触表面に対してのユーザー皮膚の位置とを、前記先端側突起の前記透明部分を通して、視覚的に観測し;
d)注射位置において前記カニューレが患者の皮膚内に少なくとも部分的に配置されていることを確認し;
e)皮層内に薬剤を注射する;
ことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23記載の方法において、
さらに、
f)患者の皮膚から前記アセンブリレを引き抜き、これにより、患者の皮膚から前記カニューレを取り外し;
g)前記アセンブリを廃棄する;
ことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項23記載の方法において、
さらに、
f)前記ステップa)に先立って、前記シリンジの縮径した先端部を前記アダプタの位置決め壁に対向させるようにして、前記シリンジのバレルを前記アダプタのシリンジ用チャネル内へと挿入することにより、前記シリンジを前記アダプタに対して係合させる;
ことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項23記載の方法において、
さらに、
f)前記ステップ(a)の前に、前記シリンジ内へと薬剤を吸引させ;
g)このステップ(f)の後に、前記アダプタの前記先端側突起および前記中央部分を回転させて前記シリンジに対して位置合わせする;
ことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項23記載の方法において、
さらに、
f)前記ステップ(a)の前に、前記アセンブリから弾性キャップを取り外す;
ことを特徴とする方法。
【請求項28】
皮内注射を行うためのカニューレを有したシリンジに対して取り付けるための、皮内注射アダプタであって、
長手方向軸線と、内部にシリンジの少なくとも一部を受領し得るよう構成されたシリンジ用チャネルと、を有したボディと;
エッジを形成しつつ前記長手方向軸線に対して平行に延在しているカニューレ用チャネルを有した中央部分と;
前記長手方向軸線に対して平行に延在した先端側突起と;
を具備し、
前記先端側突起が、前記長手方向軸線に対して平行に延在する第1皮膚接触表面を備え、
前記第1皮膚接触表面が、前記長手方向軸線から離間しているとともに、組立状態においては、カニューレの先端に隣接した領域と前記カニューレ用チャネルの前記エッジに対して隣接した領域との間にわたって連続的なものとされ、
前記先端側突起が、前記カニューレが前記カニューレ用チャネルの前記エッジを超えて延在しているところとして規定される境界平面を境として、この境界平面よりも先端側のところに透明部分を有し、前記境界平面よりも基端側のところに不透明部分を有し、
前記境界平面が、前記長手方向軸線に対して垂直なものとされ、
前記カニューレの先端が、前記組立状態においては、前記境界平面よりも先端側に配置されていることを特徴とするアダプタ。
【請求項29】
請求項28記載のアダプタにおいて、
さらに、
前記長手方向軸線に対して平行に、前記アダプタの長さ全体に沿って延在する側部開口を具備し、
この側部開口が、前記シリンジを内部に選択的に挿入可能としているおよび前記シリンジを内部から選択的に取り外し可能としていることを特徴とするアダプタ。
【請求項30】
請求項28記載のアダプタにおいて、
さらに、
前記カニューレ用チャネル内に配置された第1位置合わせ傾斜面を具備し、
この第1位置合わせ傾斜面が、前記カニューレの前記先端部を、前記組立状態においては、前記第1皮膚接触表面に対して平行に配向させ得るよう構成されていることを特徴とするアダプタ。
【請求項31】
請求項28記載のアダプタにおいて、
さらに、
前記カニューレ用チャネル内に配置された第2位置合わせ傾斜面を具備し、
この第2位置合わせ傾斜面が、前記第1位置合わせ傾斜面と協働して、前記カニューレの前記先端部を、前記組立状態において、前記第1皮膚接触表面に対して平行に配向させ得るよう構成され、
前記第1位置合わせ傾斜面および前記第2位置合わせ傾斜面が、上り勾配表面と、頂点表面と、下り勾配表面と、を有していることを特徴とするアダプタ。
【請求項32】
請求項28記載のアダプタにおいて、
さらに、
前記長手方向軸線に対して平行に延在するカニューレ用側壁と;
前記長手方向軸線に対して平行に延在する位置決め壁と;
を具備し、
前記カニューレ用チャネルが、第1皮膚接触表面と、前記カニューレ用側壁と、前記位置決め壁と、によって形成され、
前記組立状態においては、前記カニューレが、前記カニューレ用側壁に隣接して配置されることを特徴とするアダプタ。
【請求項33】
請求項32記載のアダプタにおいて、
さらに、
前記カニューレ用チャネル内において、前記位置決め壁上に配置された第1および第2の位置合わせ傾斜面を具備し、
前記第1位置合わせ傾斜面および前記第2位置合わせ傾斜面が、前記カニューレ用側壁に対して隣接した下り勾配表面を備え、
前記組立状態においては、前記カニューレが、前記下り勾配表面と前記カニューレ用側壁とに対して隣接して配置されることを特徴とするアダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図2A】
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【公表番号】特表2013−500074(P2013−500074A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521832(P2012−521832)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/043071
【国際公開番号】WO2011/011697
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(512016906)エスアイディー・テクノロジーズ・エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】