説明

皮膚組織コレステロールの非侵襲的測定法と器具

本発明は皮膚のコレステロールを非侵襲的に計測する方法と器具を提供する。更に具体的に言えば、本発明は一つの観点で見ると、皮膚の選択区域へ検出試薬を塗布するデバイスを提供している。別の観点では、本発明は皮膚に結着した検出試薬の分量に対応する可視的な変化をつくる標示デバイスを提供する。本発明の方法と器具は実施に際してなんらの他の器具を必要としないので、例示であって限定するのではないが、家庭環境で自分で試験するのに適している。そのようなものであるから本発明で粥状硬化症とそれに関連の血管疾患の危険性を個人で評定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2005年2月28日に出願した米国仮出願60/656、381に基づく利益を請求し、そしてその全内容を本文に参照により取り込むものとする。
【0002】
本発明は皮膚、もしくは皮膚組織のコレステロールを非侵襲的に測定する方法と器具に係るものである。さらに、具体的には本発明は、典型的には器具を使用することなく、自己検査に好都合であるような、皮膚サンプルのコレステロールを直接分析検査することに係るものである。一つの観点から見れば本発明は皮膚の選択区域に検出試薬を塗布するデバイスを提供しており、別の観点から見れば本発明は皮膚に結着した検出試薬の分量に対応する可視的な変化をつくる標示デバイスを提供している。
【背景技術】
【0003】
粥状硬化症になっていたり、もしくはその疾患を進行させていたりする危険性のある人や高コレステロール・レベルに起因する同様の病気または他の病気に罹っている危険がある人を特定するには皮膚コレステロールの高い人を識別するのが有用である。
【0004】
粥状硬化症により生じる冠状動脈疾患が北米におけるそして世界の多くの地域で罹患率と死亡率の原因の第1位である。予防と診療にはその病気に罹っている人達ばかりでなくその病気が進行している人達を費用効果的に検出することが必要である。それ故、粥状硬化症の危険性を予知できるマーカー分子のレベル決定が目下の大きな関心事である。
【0005】
血漿全コレステロール・レベルの測定は粥状硬化症の危険性を決定する最も広く使われている方法の一つである。しかしながら、血漿全コレステロール・レベルだけでは危険予測は正確ではなく、血漿リポタンパク質を測定して初めてよい結果が得られる。低密度リポタンパク質(LDL)と高密度リポタンパク質(HDL)との両方でコレステロールを測定するのが全コレステロール・レベルを測定する上で効果的である。これらの測定は食事のコレステロールの介入を避けるため長期の断食後に血液を採取して行うことが必要である。さらに、血液採取は愉快なものではなく、感染の危険も多少はある。さらに、しばしば分析は複雑で高価な設備を必要とする。
【0006】
ユーザーにコレステロール・レベルを測定させるデバイスの一例が米国特許5,340,539に示されている。この特許は医師や診療所を訪ねることに関わる問題の中幾つかをないものにし、絶食を簡易にする。しかしながら、ランセットで指先を刺して血液サンプルを採取しなければならず、そのことは多くの人達にとっては嫌なことである。
【0007】
多くの場合血漿コレステロールとリポ蛋白のレベルは粥状硬化症の進展程度と関連していない。それ故、粥状硬化症の程度を反映して心疾患の危険度を知る他のマーカー分子を分析検査することが望ましい。
【0008】
例えば、血漿内に見出されるコレステロールに加えて、組織内に有意の量のコレステロールが発生し、そしてその組織内のコレステロールのレベルが増大すると、それは粥状硬化症の進展において大きな役割を果たしていることを示している。皮膚を含めて組織内のコレステロールの蓄積は動脈壁沈着に見出されるコレステロールの量と密接に関連していることが立証されている。それ故皮膚のコレステロールの測定は粥状硬化症の程度を反映することとなる。事実、皮膚生検試料のサンプルのコレステロール・レベルは粥状硬化症の程度と関連しており、そして虚血性心臓病の患者の危険程度の評価となることが判っている(ボイソ エィチ デェー グラーヴ ジェイ等 アン ビオル クリン 第40巻、364−365、1982)。また、凍結乾燥皮膚生検試料のサンプルからのコレステロールの測定は健常者と虚血性心臓病の患者とにおける血清脂質指数に関連する(ワイ.ピー.ニキティン等 カーディオロジアII、48−51、1987)。
【0009】
粥状硬化症の危険度を評定するのに皮膚コレステロールを測定するため皮膚生検試料のサンプルを採取することの欠点は皮膚サンプルの採取に痛みを伴うことである。さらに、生検場所での感染の危険もあり得る。皮膚サンプルを得るには訓練された専門家を普通必要とする。加えて、そのようなサンプルは皮下脂肪と皮膚の幾つかの層を含んでいて、それらのあるものは高度に血管新生化している。従って、これらのサンプルはコレステロールの異質源を含んでおり、再現性のある、信頼できるコレステロール評定結果を出すものではない。
【0010】
皮膚直下の血液内の様々な物質もしくは皮膚表面の様々な物質を分析評価する一つの方法が米国特許4,458,686に開示されている。この特許は発生酸素濃度の電気化学的計測に基礎を置いている。しかしながら、皮膚を通って分散しない非揮発性物質があるので皮膚表面で酸素変化を起こさせるため皮膚の下に酵素を埋め込むことが必要である。この特許はコレステロールを測定するための酵素コレステロールオキシダーゼ(酸化酵素)の使用を開示しているが、それは測定されている皮膚コレステロールではなくて血液コレステロールであると思われる。
【0011】
従って、他の源からのコレステロールによって影響を受けない皮膚内のコレステロールの非侵襲測定のための簡単な方法と器具とが必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は皮膚のコレステロールの非侵襲的測定法と器具を提供する。具体的には、一つの観点から見れば、本発明は皮膚の選択区域へ検出試薬を塗布するデバイスを提供している。別の観点から見れば、本発明は皮膚に結着した検出試薬の分量に対応する可視的変化をつくりだす標示デバイスを提供する。本発明の方法と器具とは実施するのに器具の使用を必要とせず、限定すると言うのではないが例えば家庭での使用である自己検査に適している。そのように本発明は個人で粥状硬化症と関連血管性疾患の危険を評定するのに役立つ。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一つの観点から見れば、本発明は、
a)皮膚の選択区域に検出試薬を塗布して皮膚に存在するコレステロールへ結着させ、
b)皮膚の選択区域に標示面を当て、この標示面は皮膚の選択区域に接触すると検出試薬に反応する溶液を有していて、その反応によって皮膚のコレステロールに結合した検出試薬の分量に対応する可視的な色の変化をつくりだし、そして
c)その標示面に生じた色を分析して皮膚コレステロールを測定する
ことを特徴とする皮膚コレステロールの測定法である。
【0014】
検出試薬を毛細管作用により皮膚の選択区域に塗布できる。本発明の好ましい実施形態においては少なくとも一つの吸上げ要素により皮膚の選択区域に検出試薬を塗布する。吸上げ要素は検出試薬で飽和している。本発明の好ましい実施形態では、吸上げ要素は適切なアプリケーターによって保持されている。
【0015】
さらに、吸上げ要素は検出試薬を解放するよう調整された程度だけ変形する。
【0016】
皮膚に存在するコレステロールが所定の閾値を越えるとき工程bで可視的な色変化が生じるように検出試薬の濃度を選定する。
【0017】
検出試薬の塗布は、皮膚の選択区域内の離れた2つの区域にコントロール検出試薬とテスト検出試薬とを塗布することから成る。コントロール検出試薬はテスト検出試薬よりも濃度が高くなっている。この場合、皮膚に存在するコレステロールが所定の閾値を越えるとき工程bで可視的な色変化が生じるようにテスト検出試薬の濃度を選定する。
【0018】
さらに、皮膚のコレステロールに結着しなかった余分の検出試薬を除去する工程を、工程aの後で工程bの前に含んでいる。適切な吸収媒体により余分な検出試薬を取除く。
【0019】
標示面は検出試薬中のレポーター成分と反応する基質溶液を含んでいる。標示面は基質溶液で飽和されている吸収材料のパッドであり、その基質溶液は検出試薬中のレポーター成分と反応する。
【0020】
更に、この方法は、反射分光光度法による生じた色の分析を含んでいる。または、生じた色を比色計により分析する。比色計は例えばカラーバンドの階調列でもよいが、これに限定するものではない。
【0021】
本発明を別の観点から見ると、それは
a)ボデーと、
b)このボデーに一端で保持されていて、第2の端で皮膚の選択区域に接触し、この第2の端で皮膚の選択区域へ検出試薬を移すようにした少なくとも一つのアプリケーターと
を備えることを特徴とした皮膚の選択区域へ検出試薬を塗布する器具である。
【0022】
好ましくは、毛細管作用を利用してアプリケーターが皮膚の選択区域へ検出試薬を塗布する。一つの態様としてアプリケーターは吸上げ要素を含んでいる。
【0023】
ボデーは吸上げ要素の一端を受ける少なくとも一つの凹所を含んでいる。凹所の深さは吸上げ要素を受け入れるに足り、吸上げ要素の第2の端はその凹所を越えることはない。さらに、好ましい本発明の実施形態では、凹所の一部分の周辺は吸上げ要素の周辺よりも大きくなっている。凹所の大きな周辺の部分は吸上げ要素の第2の端を包囲してその周りに間隙をつくっているのが好ましい。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では吸上げ要素は繊維プラグである。吸上げ要素はまた不活性のポリオレフィンであってもよい。
【0025】
アプリケーターはゲルでもよい。
【0026】
アプリケーターは円筒形であるのが好ましく、そこでは2つのアプリケーターを設けてあって、これらのアプリケーターは相互から離れており、一方のアプリケーターはコントロール検出試薬を塗布し、第2のアプリケーターはテスト検出試薬を塗布するようになっている。各アプリケーターの第2の(もしくは上方の)端の横断面はそれぞれ異なっている。
【0027】
アプリケーターは検出試薬で飽和されている。
【0028】
さらに別の観点でみれば、本発明は皮膚のコレステロールに定着する検出試薬の分量に対応する可視的な色の変化を生じる標示器具であって、この器具のボデーがつくっている標示面は皮膚の選択区域に接触することができ、その標示面は皮膚の選択区域のコレステロールに結着する検出試薬と接触すると反応するに足るだけの溶液を含んでおり、その標示面の少なくとも一部分へ可視的な色の変化を生じさせる。
【0029】
溶液は検出試薬のレポーター成分と反応する基質溶液である。
【0030】
標示面が吸収材料から成り、好ましくはその吸収材料は溶液で飽和されている。一つの実施形態では、吸収材料はパッドであって、そのパッドは織成されていたり、またはパッドは押圧された繊維シート構造である。パッドは親水性材料であり、もしくはパッドはセルロースをベースとした吸収シートであり、またパッドはガラスファィバー材料から構成されている。
【0031】
さらに別の観点から見れば本発明は、
a)ボデーと、
b)このボデーに一端で保持されていて、第2の端で皮膚の選択区域に接触し、この第2の端で皮膚の選択区域へ検出試薬を移すようにした少なくとも一つのアプリケーターと、
c)ボデーがつくっている標示面と
を備え、その標示面は皮膚の選択区域に接触することができ、標示面は皮膚の選択区域のコレステロールに結着する検出試薬と接触すると反応するに足るだけの溶液を含んでいてその標示面の少なくとも一部分へ可視的な色の変化を生じさせることを特徴とした皮膚のコレステロールを測定する器具である。
【0032】
毛細管作用を利用してアプリケーターは皮膚の選択区域へ検出試薬を塗布する。一つの実施形態ではアプリケーターは吸上げ要素を含んでいる。
【0033】
ボデーの外面の少なくとも一つの凹所が吸上げ要素の一端を受け入れている。ボデーの外面の凹所は吸上げ要素の一端を受け入れるに足る深さを有していて、吸上げ要素の第2の端はボデーの外面を越えることがない。さらに、凹所の周辺部は吸上げ要素の周辺よりも大きくなっていて、その周辺が吸上げ要素の第2の端を包囲し、好ましい実施形態ではその周りに間隙を残している。
【0034】
一つの実施形態では、吸上げ要素は繊維プラグである。または、吸上げ要素は不活性のポリオレフィン材料である。
【0035】
別の実施形態ではアプリケーターはゲルである。
【0036】
好ましい実施形態では吸上げ要素は円筒形であり、2つのアプリケーターが設けられていて、それらは相互に離れていて一方のアプリケーターにはコントロール検出試薬を塗布し、第2のアプリケーターにはテスト検出試薬を塗布している。この実施形態では、各アプリケーターの第2の端の横断面は異なっている。
【0037】
アプリケーターは検出試薬で飽和することができる。
【0038】
さらに、標示面上の溶液は検出試薬のレポーター成分と反応する基質溶液である。
【0039】
標示面は吸収材料から成り、好ましい実施形態では吸収材料は溶液で飽和されている。
【0040】
吸収材料はパッドであり、パッドは織成されている。またはパッドは押圧された繊維シート構造となっているか、もしくはパッドは親水性材料から構成されている。パッドはセルロースをベースとした吸収シートであり、もしくはパッドはガラスファィバー材料から構成されている。
【0041】
好ましい実施形態では、ボデーの両側が少なくとも一つのアプリケーターと標示面となっている。
【0042】
吸収媒体をさらに備え、この吸収媒体はボデーに設けられていて、少なくとも一つのアプリケーターと標示面とから離れている。一つの態様では、吸収媒体は親水性材料から構成されている。
【0043】
少なくとも一つのアプリケーターを呈するボデーの表面に少なくとも一つのマーカーを備えており、この少なくとも一つのマーカーは検出試薬が移されている皮膚区域に隣接した皮膚の選択区域に圧痕をつくるような形となっている。標示面に少なくとも一つの第2のマーカーを備え、この少なくとも一つの第2のマーカーは前記の少なくとも一つのマーカーと形が一致している。
【0044】
さらに別の観点から見れば、本発明は
a)検出試薬源と、
b)皮膚の選択区域に検出試薬を塗布するアプリケーターと、
c)検出試薬と接触するとき反応する溶液源と、
d)皮膚の選択区域に標示面が接触すると溶液を受け入れる標示面と
を備え、皮膚のコレステロールに結着した検出試薬と溶液は反応して標示面の少なくとも一つの部分に可視的な色の変化をつくることを特徴とする皮膚のコレステロールを測定するキットである。
【0045】
好ましくは。キットのアプリケーターは毛細管作用を利用して検出試薬を皮膚の選択区域に塗布する。アプリケーターは吸上げ要素を含んでおり、この吸上げ要素は繊維プラグであるか、もしくは吸上げ要素は不活性のポリオレフィン材料から成っている。さらに、アプリケーターはゲルであってよい。
【0046】
キットには2つのアプリケーターを設け、これらのアプリケーターは相互に離されていて一つのアプリケーターにはコントロール検出試薬を塗布し、第2のアプリケーターにはテスト検出試薬を塗布する。各アプリケーターの第2の端は異なる横断面を呈している。
【0047】
さらに、アプリケーターは検出試薬の源となっている。好ましくは、アプリケーターは検出試薬で飽和されている。
【0048】
さらに、容液は検出試薬のレポーター成分と反応する基質溶液であり、好ましくは、標示面は吸収材料から成る。さらに、好ましい実施形態では吸収材料は溶液の源である。吸収材料は溶液で飽和されている。
【0049】
一つの態様では本発明のキットの吸収材料はパッドである。このパッドは織られている、もしくはパッドは圧縮された繊維シート構造である、もしくはパッドは親水性材料から構成されている、もしくはパッドはセルロースをベースにした吸収シートである、もしくはパッドはガラスファイバー材料から構成されている。
【0050】
キットは吸収媒体をさらに備えている。その吸収媒体は親水性材料から構成されている。
【0051】
さらに、キットのアプリケーターと標示面とは器具の反対面に設けられている。または、
アプリケーター、標示面そして吸収媒体を器具に設けてもよい。
【0052】
キットはつくられた色を分析する反射分光光度計をさらに備えている。または、つくられた色を分析する比色計をさらに備え、その比色計は、カラーバンドの階調列であってよいが、これに限定するのではない。
【0053】
皮膚に存在するコレステロールに結着させるため皮膚の選択区域へ検出試薬を塗布する方法が提供され、その方法は、
a)十分な量の検出試薬を含み、毛細管作用を利用して皮膚の選択区域へ検出試薬を移す少なくとも一つのアプリケーターを用意し、
b)皮膚の選択区域をアプリケーターに接触させて皮膚を検出試薬で湿らす
ことを特徴としている。
【0054】
少なくとも一つの吸上げ要素により皮膚の選択区域に検出試薬を塗布する。さらに、その吸上げ要素を検出試薬で飽和させる。
【0055】
吸上げ要素が調整された量だけ変形して検出試薬を解放する。
【0056】
吸上げ要素は適切なアプリケーターに保持されている。
【0057】
さらに、検出試薬を塗布する方法とは、コントロール検出試薬とテスト検出試薬とを皮膚の選択区域内でこれらの検出試薬を塗布する2つの離れた区域へそれぞれ塗布することである。一つの態様としては、コントロール検出試薬は高濃度のテスト検出試薬である。
【0058】
本発明は、皮膚のコレステロールを測定するため皮膚に存在するコレステロールに結着する検出試薬の分量に相当する可視的な色変化をつくる方法を提供し、その方法は
a)検出試薬と反応する溶液を有する標示面を皮膚の選択区域へ当て、標示面が皮膚の選択区域に接触するとその皮膚のコレステロールに結着した検出試薬の分量に相当する可視的な色変化をつくり、そして
b)標示面につくられた色を分析して皮膚のコレステロールを測定する
ことを特徴とする。
【0059】
標示面は検出試薬内のレポーター成分と反応する基質溶液を含んでいる。その標示面は基質溶液で飽和させた吸収材料のパッドであり、基質溶液は検出試薬内のレポーター成分と反応する。
【0060】
つくられた色は反射分光光度計で分析、または比色計を使って分析され、この比色計は例えばカラーバンドの階調列である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
本発明をよりよく理解するため本発明がどのように実施されるかを明示する添付図を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。図面を簡単に説明する。
【0062】
図1は、皮膚の選択区域へ検出試薬を塗布する本発明のデバイスの部分の横断面図である。
【0063】
図2は図1のデバイスの平面図である。
【0064】
図3は本発明の標示デバイスの部分の平面図である。
【0065】
図4は図1のデバイスと図2の標示デバイスとを含む本発明の器具の斜視図である。
【0066】
図5は図4の器具の平面図である。
【0067】
図6は図4の器具の底面図である。
【0068】
図7ないし図12は図4の器具を使用した本発明の方法の一つの実施形態を示す。
【0069】
図7aは図7の7a―7a線に沿う横断面図である。
【0070】
本発明は皮膚コレステロールの非侵襲的測定の方法と器具とを提供するものである。さらに具体的には、本発明をその一面から見れば皮膚の選択区域へ検出試薬を塗布するデバイスを提供している。本発明を別の面から見れば皮膚に結着した検出試薬の分量に対応する可視的な変化をつくる標示デバイスを提供している。本発明の方法と器具とは設備を必要としないので、自分で検査できる、例えば、限定するのではないが家庭内で実施することができる。そうであるから本発明は以下に明らかとなるように粥状硬化症とその関連の血管疾患の危険性を個人が評定するのに有用である。
【0071】
一般的には、本発明は皮膚コレステロールを測定する方法を提供する。その方法とは、皮膚の選択区域に検出試薬を塗布して皮膚に存在するコレステロールへ結着させ、その試薬はレポーター成分を含んでおり、必要なときには適切な吸収媒体で余分の検出試薬を取除き、皮膚の選択区域へ標示面を当て、この標示面は、それが皮膚の選択区域に接触するとそのレポーター成分と反応する溶液を有しており、その反応とはレポーター成分が皮膚のコレステロールに結着している検出試薬の分量に対応する可視的な色変化をつくることであり、そしてその標示面に生じた色を分析して皮膚コレステロールを測定するのである。
【0072】
皮膚のどこでもテストすることはできるのであるが、最も適している区域は手のひらであることが判っている。手のひらの皮膚には脂肪腺がない。そのような脂肪腺があるとそれからの分泌が結果に影響することのあるコレステロールを含んでいるからである。また、手のひらは後で説明するように場所を選んで本発明の器具を当てやすいのである。以下の説明では、検査する皮膚の区域は手のひらとしている。しかし、当業者であれば本発明は手のひらでの使用に限定されるものではなく、他の皮膚の区域に当てられることは理解されよう。
【0073】
皮膚区域のコレステロールの分析はコレステロールを特定する検出試薬を使用することにより達成される。さらには、検出試薬はリポーター成分とリンクしていて、この成分が適切な基質溶液と反応するとき測定できる信号を発生する。
【0074】
皮膚の選択区域に検出試薬を当てると皮膚に存在するコレステロール成分へ結着してこれを特定する。検定の一つの形では、検出試薬はタイプA‐C‐Bの化合物であり、ここでAは特定性コレステロール結合成分、Bはレポーター成分そしてCはリンク成分である。このタイプの試薬は米国特許5,489,510に説明されており、本文で参照することにより含めることとする。
【0075】
A成分は皮膚のコレステロールへ結合して識別し特定できるようにする成分ならば何でもよいが、ステロイド・グリコシド、トリテルペン・グリコシド、疎水性蛋白、ポリエン抗生物質、抗コレステロール抗体であるが、これらに限定するものではない。
【0076】
Bが酵素であるA‐C‐Bタイプの成分が使える。適切な酵素の例は、限定するのではないが、ペルオキシダーゼ、アルカリ・フォスファターゼ、ウレアーゼ、ガラクトシダーゼ、グルコース・オキシダーゼそしてアセチル・コリンエステラーゼである。
【0077】
さらに、レポーター成分Bへ特定性のコレステロール結合成分Aを結合する適切なリンク成分Cは、限定するのではないが、例えばゼロレングス架橋剤、同質二元機能性架橋剤そして異質二元機能性架橋剤を含む。ゼロレングス架橋剤はA分子とB分子との間に余分の原子を含まない結合によりそれらの分子の結合を果たしている。同質二元機能性架橋剤はA分子とB分子を結合するのに使用される2つの同じ反応基を有し、それらの分子の間に使用されるその特定性の同質二元機能性剤の長さに応じて異なる数の原子をそれらの間に有するリンクを形成する。同様に、異質二元機能性架橋剤はA分子とB分子を結合するのに使用される2つの異なる官能基を有し、それらの分子の間に使用されるその特定性の異質二元機能性剤の長さに応じて異なる数の原子を有するリンクを形成する。C成分は同じタイプの、もしくは異なるタイプの多元機能性グループを有する高分子の架橋剤であり、AとBの多くの分子がポリマーバックボーンにリンクすることを可能にする。
【0078】
A‐C‐Bタイプの有用な試薬は例えば、Aはジギトニン、Bはワサビダイコン・ペルオキシダーザ、そしてCは無水マレイン酸-N‐ビニルピロリドン・コポリマーである。
【0079】
本発明の器具と方法とを様々な観点から詳述する。以下に例示としてのデバイスと器具を用いている本発明の方法を説明する。
【0080】
図1,2は本発明を一つの観点から見ての、皮膚の選択区域へ検出試薬を塗布するデバイスを示している。デバイス10はボデー12と少なくとも一つのアプリケーター14を含んでいる。図1,2ではボデー12の一部分だけを示している。ボデーの形状は変わるものと理解されたい。さらに、ボデーはユーザーが容易に掴んで本発明の方法を実施するためデバイスを使えるようにする様々な形のハンドル(図示せず)を持っている。
【0081】
アプリケーター14はそれの一端16で(図1に示すアプリケーターでは下端で)ボデー12に支えられている。第2の端18で(図1に示すアプリケーターでは上端で)皮膚の選択区域に接触するようになっている(図7a参照)。以下に説明するようにして、アプリケーター14の第2の端18を使って検出試薬で皮膚の選択区域を湿らす。
【0082】
本発明の好ましい実施形態ではアプリケーター14は毛細管作用を使って皮膚の選択区域へ検出試薬を移している。例えば家庭環境において自分で検査するには被験者の皮膚へ検出試薬を実際に塗布する手段を必要とし、その他には何も測定用具を必要とはしない。本発明者は、皮膚のはっきりした区域へ検出試薬をいつも同じように塗布するのに毛細管作用を利用するのがよいことを確認した。図1,2の実施形態では吸上げ要素20を使って毛細管作用を利用している。
【0083】
図示の実施形態ではボデー12はアプリケーター14を受ける凹所22を含んでいる。特に、凹所22は低い部分24と上方部分26とを有している。アプリケーター14の端16は、限定するのではないが例えば摩擦嵌めにより凹所22の低い方の部分24に保持される形にされている。
【0084】
凹所22の上方部分26の周辺はアプリケーター14の周辺よりも大きい。図に示されたように、ボデー12内の凹所22の上方部分26はアプリケーター14の第2の端18を包囲していて、環状空間の形の間隙28をその周りにつくっている。
【0085】
さらに、好ましい実施形態ではアプリケーター14はボデー12内で窪まされていて、アプリケーター14の第2の端18の接触面17はボデーの表面30よりも高くなってはいない。
【0086】
好ましい実施形態ではアプリケーター14は検出試薬で飽和していて接触させるとその検出試薬を皮膚へ移す。検出試薬のこの移しは接触させて皮膚を湿らせるときに起こらなければならず、オペレーターが加える圧力とは関係なく起きる。アプリケーターを飽和させておくのが好ましいけれども、当業者には明らかなことであるが、アプリケーターを飽和させる必要はない。接触時に皮膚の区域を湿らせるに足るだけの量の検出試薬を含ませる必要はある。
【0087】
様々な形のアプリケーター14を本発明で使用できる。例えば、アプリケーターは、ゲルでもあっても、毛細管作用で液体を保持する繊維プラグであってもよい。不活性ポリオレフィン材料のプラグが有用である。それらは親水性であり、それにより検出試薬のような水をベースとする液体を吸収しやすい形で使いやすいからである。強化された壁を持ち、繊維要素が長さ方向に向いているプラグが有用である。それらは軸方向の強度が十分であり、そして軸に沿って液体を容易に通して、接触時に液体を皮膚に移すからである。
【0088】
さらに、アプリケーター14の横断面は様々な形状、幅そして長さであってもよい。円筒形プラグがアプリケーター14として使用するのに便利である。直径が皮膚に移される検出試薬の面積を決定し、従って標示面につくられる色つきスポットの面積を決めるからであって、このことは後述する。例えば、限定するのではないが、適切なプラグの直径は約3mmから約15mmであって、好ましくは約4mmから約10mmである。さらに、そのようなプラグの高さは、約4mmから約10mmである。
【0089】
前に述べたように、好ましくはアプリケーター14はボデー12内に入り込んでいて、アプリケーター14の第2の端18がボデー12の表面30よりも高くならないようにする。このことは、手のひらもしくは他の皮膚区域に接触するときオペレーターによるアプリケーター14の第2の端18へ加えられる力の大きさを制限するようにする。あまり強い力だと検出試薬の過剰の分量を押し出して皮膚の大きな調整されない区域を湿らしてしまうからである。逆に、力が弱すぎると皮膚との接触が不十分になって皮膚の湿潤も不十分となる。それ故、アプリケーターへ加える圧力を調整し、しかも皮膚との接触は十分となるようにする必要がある。
【0090】
好ましい実施形態ではこの調整は、アプリケーター14の第2の端18がボデー12の表面30の下に凹んでいるよう示している図1に示すようにアプリケーター14をボデー12の凹所22内に入れることによって実施できる。アプリケーター14は限定するのではない例示として、約0.2mmから約2mm程度、好ましくは約0.5mmから約1mm程度低くなっている。こうして、手もしくは他の皮膚区域により加えられる過剰な力は大体がボデー12の周面へ移されていき、アプリケーター14へかかることはない(図7a)。一般に、アプリケーター14が皮膚の選択区域と接触するとその皮膚の選択区域とその下の肉質の領域は容易に変形してアプリケーター14の第2の端18との適切な接触をつくる。手のひらの小指球領域の肉質部(図7)は特に適していて、簡単に変形してアプリケーター14の第2の端18と十分な接触をつくる。
【0091】
間隙28もしくは環状空間もアプリケーター14が手のひらに接触するとき過剰な検出試薬が皮膚に搾り出されるのを防ぐ。アプリケーター14の第2の端18へ加えられる過剰な圧力はアプリケーター14を外へ変形させる。この外への変形は間隙28に収容される。アプリケーター14の第2の端18は凹所22の上方部分26の壁32により阻止されないからである。
【0092】
間隙28がなければアプリケーターと同じ直径の凹所内に、アプリケーターへの過剰圧力を加えることで、アプリケーターから抑えることのできない過剰な検出試薬を押し出して皮膚の過剰な湿潤をもたらすことになる。実際、間隙28もしくは環状リングが、アプリケーターから搾り出された過剰な検出試薬を溜める貯蔵所となっている。この間隙28の幅は限定ではなく、例示として約0.2mmから約2mm程度、最も好ましくは約0.5mmから約1mm程度である。
【0093】
アプリケーターのための上述した寸法は本発明の実施形態の説明のためであって、これらの寸法に本発明を限定するものではなく、他にも適切な形や寸法はある。
【0094】
皮膚のコレステロールへ結着した検出試薬の分量に対応する可視的な色変化をつくる標示デバイス50を図3に示す。標示デバイスのボデー52が標示面54を呈している。標示面54はボデー52の上になっていて皮膚の選択区域に接触できる。さらに、以下に説明するように、標示面54は十分な分量の溶液を含んでいて、その溶液が皮膚の選択区域のコレステロールに結着した検出試薬と接触すると反応して少なくとも標示面の一部分に可視的な色変化をつくる。
【0095】
図3に示す実施形態において、標示面54はパッド56の形の吸収材であって、好ましくは溶液、例えば検出試薬のレポーター成分と反応する基質溶液で飽和されている。具体的には、特定性の結着検出試薬の検出は、検出試薬のレポーター成分と反応する基質溶液もしくは発信化合物を介して行われる。このことは、検出試薬のレポーター成分が酵素であるときに最も達成しやすい。その場合、その基質溶液は酵素に対して色をつくる発色基質である。過酸化基質例えば、過酸化水素を発色酸化還元レポーター成分と組み合わせて使用するシステムではワサビダイコン・ペルオキシダーゼが普通使われている酵素である。
【0096】
多くの臨床分析と免疫測定では酵素成分は流体相で基質と反応して色つき溶液をつくり、その溶液の色の強さを分光測定する。または、酵素レポーター成分が固体相で固定化されている検定、例えば免疫ブロットではその固定した酵素の上に沈殿性の色形成基質の溶液を塗る。これが結着酵素の箇所で沈着して色つき生成物を生じる。
【0097】
本発明の方法では検出試薬の特定性コレステロール結着成分を介して皮膚へ固定化酵素が結着する。流体相で使用され、そして上に述べた免疫ブロット検定で使用されるような基質溶液を使う従来の検出法には固定化酵素は受け入れられるものではない。
【0098】
本発明での新規に判明したことは、十分な分量の基質溶液を含んだ(好ましくはそのような溶液で飽和させた)吸収材のパッド56をレポーター成分の結着した皮膚区域へ接触させると色発現(color development)を生じることである。この色発現は本質的に流体相であるが、免疫ブロット法でつくられるのと同じ仕方で基質パッドに色発現を生じる。酵素反応から生じる可溶性もしくは不溶性の色つきレポーター成分はパッド56の組織間スペース(図示しない)に捕捉され、そして緩慢に分散し、それにより色つき領域をつくる。
【0099】
発現した色領域は塗布された皮膚に固定化された酵素検出試薬の面積に対応する。例えば、図1,2を参照して上に説明したようにアプリケーター14を使って、皮膚へ検出試薬を塗布したとき、以下の一層詳しい説明から明らかとなるように、対応する円形色つきスポット58がパッド56上に得られる。
【0100】
特定性の結着検出試薬に面積で対応している色つきスポット58を発生することに加えて色つきスポット58のインテンシティもしくは強さは使用した検出試薬の濃度に対応する。スポットの色の強さは、限定するのでなく例として、反射分光光度法により簡単便利に測定でき、そして彩度、反射もしくは光学的密度として色の定量記録をつくれる。
【0101】
基質溶液を吸収するのに適切なパッド56として使用できる幾つもの種類の材料がある。パッドを構成する材料とそれの組織間スペースの開度とが基質溶液がどのように吸収されるかに影響し、そしてそのことが色つきスポット58をどれだけ明確につくれるかの決め手となる。
【0102】
薄い、織成したもしくはプレスした繊維状シート材料が最適であり、そして親水性材料は水をベースとした基質溶液を用いるパッド56には特に有用である。セルロースをベースとした吸収シートは容易に入手でき、そしてパッド56として使用すると十分に色をつけたスポット58をつくる。ガラスファイバー材料の薄いシートはフィルターとして使用するのに最適である。ガラスファイバーは高度に親水性であり、そしてフィルター・グレード材料の詰まった、蛇行状毛細管は、色の分散が殆どない非常にはっきりとしたスポット58を生じる。さらに、ガラスファイバーは非常に白く、そして色つきスポット58を示すのに、特に薄い色のスポットの良好な背景となる。
【0103】
十分に色をつけたスポット58をつくるのに適した基質溶液にパッド56を浸すことも望ましい。例えば、検出試薬がA‐C‐Bタイプであって、ワサビダイコン・ペルオキシダーゼを酵素成分としていると、その場合高度に敏感な、市販されている基質試薬をレポーター成分として使用できる。これらのレポーター成分は典型的に過酸化水素とベンジジンをベースとした酸化還元標示色素、例えば3,3’,5,5’‐テトラメチルベンジジンであり、そしてペルオキシダーゼ酵素と反応して青色を呈する。これらの液体をベースとした試薬は標示デバイスのパッド56を浸して色つきスポットをつくるのに特に有利である。
【0104】
過酸化物があってもなくても、乾いた試薬片とパッドが標示色素と一緒になって、ペルオキシダーゼもしくは疑似ペルオキシダーゼの活性を検出する。乾いた試薬パッドの一つのタイプはペルオキシダーゼのレポーターを採用しているが、過酸化物もしくはペルオキシドはなく、そして便内のヘモグロビン(疑似ペルオキシダーゼ)の検出に使用される。ヘモグロビンは潜血のマーカーであり、そして結腸癌の検出に試薬パッドを使う。このシステムにおいて酸化還元レポーターは通常グアヤク脂であり、多孔性マトリックスに吸収されている。糞便物質を多孔性パッドの一側に塗布して試験所に送る。試験所では過酸化水素溶液をパッドの第2の側に塗布し、その溶液はマトリックスを通って分散してヘモグロビンがあるとそれと反応する。グアヤク脂とのその後の反応でヘモグロビンの存在を示す青色の反応物を生じる。当業者であればグアヤク脂以外のペルオキシダーゼのための酸化還元レポーターもそのようなパッドに使用でき、それらも含んでいることを理解されよう。
【0105】
第2のタイプの乾いた試薬パッドを使用してペルオキシダーゼの活動を検出する、例えば尿浸漬棒を使ってヘモグロビンを検出する。一般に、これらのシステムは有機ヒドロ過酸化物(例えば、クメンヒドロ過酸化物、ブチル過酸化物もしくは同様の化合物)並びに酸化還元標示色素(o−・トリジン,3,3’,5,5’‐テトラメチルベンジジン、もしくは同様の酸化還元標示材)を採用している。これらの試薬の溶液は安定剤、緩衝剤そして他の成分と一緒に多孔性マトリックスに吸収され、それから乾燥されて適切な標示パッドを形成する。例えば、米国特許4,071,318と5,318,894は本文に参照して取り込むものとし、これらの文献はそのような乾燥試薬材料を調製する方法を示している。
【0106】
本発明をさらに別の観点から見れば、上述のタイプの乾燥試薬パッドの両方とも皮膚コレステロールに結着した検出試薬の過酸化物の活動を発信する標示システムとして使用できる。第1の場合においてはグアヤク脂もしくは他の過酸化物標示剤を含む乾燥パッドを希釈過酸化水素溶液で湿らせ、そして本発明の方法では検出試薬の結着した手のひらをその湿らせたパッドに当てる。皮膚のコレステロールへ結着したペルオキシダーゼは結着検出試薬の区域に対応する色の変化を標示パッド上に生じさせる。
【0107】
第2の場合には、ヒドロ過酸化物と標示薬との両方を含む乾燥パッドを水で湿らせる。検出試薬が結着した手のひらを湿ったパッドに当てる。特に、皮膚のコレステロールに結着した検出試薬は結着したペルオキシダーゼに対応する区域でパッドに色変化を生じる。
【0108】
すべての場合において、基質浸漬の吸収パッド56を本発明に従って使用すると皮膚へ基質溶液を直接塗布しなくて済み、そしてそのことが引き起こす非常に限定的な包含問題を回避する。
【0109】
図1,2に示す検出試薬を塗布するデバイス10と図3に示す標示デバイス50とは図4,5,6に最もよく示されている一つの器具100に容易に組み合わせられる。単一の器具100の中に標示デバイス50とデバイス10のアプリケーター14を組み合わせることにより、本発明ではコレステロール・レベルを自分で検査する比較的簡単な方法を与えており、それによって限定するのではなく例示として、特に家庭環境で自分で検査できる。
【0110】
図1,2でデバイス10に対して、そして図3で標示デバイス50に対して使用したのと同じ参照文字の先頭に「1」を付けて器具100を参照する。例えば、図4では図1のアプリケーター14を114としており、そして図6では図3の標示面54を154としている。新しい素子には、先頭に「2」を付けて、例えば器具100はボデー202を含み、その一端にハンドル204を、そして他端に皮膚接触部(もしくは端)206を有し、この皮膚接触部はアプリケーター114と標示面154とを支持している。器具100は検出試薬を塗布するデバイス10と標示デバイス50とを組み合わせる実施形態を表していることを理解されたい。図示の器具100は、端206の一面上にアプリケーター114を、そしてそれの他面に標示面154を示している。当業者には自明な他の形態も本発明の範疇のものである。例えば、器具100は必要なら、過剰の検出試薬をふき取る付加的な吸収媒体(図示せず)のためのスペースをつくってもよい。吸収媒体はアプリケーターと標示面とから離してある。
【0111】
図1,2について上に述べた検出試薬を塗布するデバイス10の説明は、器具100を使って検出試薬を塗布する限り、器具100の説明ともなっている。具体的には、器具100では少なくとも一つのアプリケーター114(図示の実施形態では2つ示されている)が凹所122内に設けている(図5参照)。さらに、アプリケーター114は凹所に収められていて、その第2の端118は器具100のボデー202の表面130よりも高くない。
【0112】
器具100の表面130には幾つものロケーター・マーカー208aが端206の部分206の周りに間隔をあけて配置されている。これらのマーカーの目的は以下に説明するように、検出試薬を塗布するとき器具100が接触する皮膚の区域に圧痕を残すことである。
【0113】
本発明の好ましい実施形態である器具100では図5に示すように2つのアプリケーター114が相互から離してある。一方のアプリケーターは皮膚区域へコントロール検出試薬を塗布し、第2のアプリケーターはテスト検出試薬を塗布する。図4,5の器具100の実施形態は横断面が同じであるアプリケーター114を示しているけれども、皮膚に接触する各アプリケーターの第2の端の横断面は異なっていてもよい。こうしておくと一目でどちらがコントロール検出試薬で、どちらがテスト検出試薬かが判る。
【0114】
同様に、図3を参照して上に述べた標示デバイス50の説明は、器具100が標示デバイスとして使用される限り、器具100の説明でもある。具体的に言えば、器具100は少なくとも一つの標示面154(図6の実施形態では2つになっている)を有する。標示面154は、それが皮膚の選択面に接触するとき皮膚のコレステロールへ結着した検出試薬の分量に対応する可視的な色変化をつくれる。図3の標示デバイス50について以前説明したように、標示面154はパッド156の形の吸収材であって、このましくは溶液、例えば器具100のアプリケーター114が塗布する検出試薬のレポーター成分と反応する基質溶液で飽和している。
【0115】
同様に、端206の表面210は間隔をあけて幾つかのロケーター・マーカー208bを器具100の表面130の周りに配している。これらのマーカーの目的は以下に説明するように、検出試薬を塗布するときマーカー208aが皮膚に残すそれに対応する圧痕に一致させて、パッド156が皮膚の同じ区域に重なるようにすることである。
【0116】
本発明の好ましい実施形態である器具100では図6に示すように2つのパッド156が相互から離してある。各パッド156はアプリケーター114の一つに対応する。しかし、一つのパッドの大きさを器具100に対して示されている2つのパッド156の面積と同じ面積としてもよい。パッドの他の形状や形態は当業者には明らかであろう。
【0117】
試験目的のため皮膚はコントロール検出試薬とテスト検出試薬との両方に接触し、各検出試薬は別個のアプリケーター114により塗布される。実際には、同じ検出試薬を両方のアプリケーターで使い、コントロールには高濃度の検出試薬を使う。高濃度のコントロール検出試薬を選び、次いで色発現すれば標示面154で、皮膚コレステロール・レベルとは関係なく、試験したすべてが個々にはっきりと見える色つきスポットをつくる。コントロール検出試薬で簡単に区別できる色つきスポットを与えることは、皮膚の区域例えば手のひらが検出試薬と十分良好な接触をすることを個々に確実にする。
【0118】
テスト検出試薬を移すアプリケーターは、コントロール検出試薬と同じ検出試薬であって低濃度のものを含んでいる。テスト検出試薬濃度を選定して、標示面で色発現した後皮膚のコレステロールのレベルを色の強さが反映している色つきスポットをつくる。
【0119】
本発明を別の観点から見れば、検出試薬濃度を選定して、皮膚のコレステロールの設定閾値レベルでは標示面に色つきスポットをつくらないようにする。この閾値レベル以上の皮膚のコレステロール・レベルを持つ人では、その人の皮膚のコレステロール・レベルを反映する強度のスポットをつくる。このようにして、皮膚のコレステロール・レベルが選定値以上である人を識別する簡単なテストが提供され(すなわち、認識できる色つきスポットがつくられる)、それ故所定の閾値量を超えている人については粥状硬化症と他の関連心臓血管の疾患の危険が増大していると考えられる。
【0120】
本発明を別の観点から見れば、試験されたすべての人に色つきスポットを生じ、それの強度がその人の皮膚のコレステロール・レベルに比例しているように検出試薬の濃度を選定することもできる。皮膚のコレステロールのレベルが高い人は、皮膚のコレステロールのレベルが低い人よりも所与の時間が経過すると多くの検出試薬と結合し、そして発現した色は結着した検出剤の分量に比例する。このタイプの検定では色つきスポットの色の強さは以下に説明するように、比色カードの幾つかの規定の色の一つと合うことになる。つくられるスポットの色で個人の皮膚のコレステロールを準定量的に決定でき、例えば低、正常、高と言ったような幾つかの危険グループの一つのどれかに決められる。
【0121】
色量測定器を使ってこれらの検定で色発現された色つきスポットの強度を更に正確に測定できる。例えば、簡単な反射分光光度計を使って、参照し本文に取り込んでいる国際特許出願公開WO01/011359A3に開示しているようにして、色の属性例えば、彩度、反射、そして光学的密度を使って色の分量を決定できる。
【0122】
図7、7a、8、9、10、11、12を参照し、そして本発明の器具100を例にとって以下に本発明の方法を詳細に説明する。同じ方法が別のデバイス10と標示デバイス50を使っても以下の工程を経ることにより実施できる。
【0123】
先ず、器具100を使って検出試薬を皮膚の選択区域に、例えば手のひら300へ塗布する。この例では、アプリケーター114は2つの丸い、吸収性のポリオレフィン・フィルター114a、114bであって、直径5mm、長さ5mmであって、これらはフィルトローナ・インコーポレテッド(リッチモンド、VA)から入手できる。カートリッジ内に摩擦嵌めしてフィルターを保持するようになっている注入モールドしたポリプロピレンのカートリッジにフィルターを嵌め込むと、第2の端118は器具の表面130の約5mm下に位置する。加えて、各フィルターの第2の端118は幅約0.75mmの環状空間に包囲されている。ジギトニン(A)と、無水マレイン酸‐N‐ビニルピロリドン・コポリマー(C)に結合したワサビダイコン・ペルオキシダーゼ(B)のA‐C‐B複合体の検出試薬で各フィルターは飽和している。一つのフィルター114aはポジチブ・コントロールと称し、高濃度の検出試薬で飽和しており、第2のフィルター114bはテスト・フィルターと称して低濃度の検出試薬で飽和している。典型的には、そのポジチブ・コントロールは約50−100ug/mLの検出試薬を有し、そしてテスト検出試薬は約1−10ug/mLである。
【0124】
手のひら300の小指球を選んで、清潔にし、乾かし、それから器具100の端206に当てて、アプリケーター114aと114bの検出試薬と接触させる。このことにより検出試薬は図8の304aと304bに示すように皮膚のコレステロールに結着する。図8では304aはアプリケーター114aからのコントロール検出試薬を表し、そして304bはアプリケーター114bからのテスト検出試薬を表す。または、器具を手のひら300と接触させることもできる。一分ほどアプリケーター114aと114bとに接触させてから手のひら300と器具100とを図8に示すように離す。また、図8に示すように、マーカー208aは手のひら300に圧痕306を残し、検出試薬が塗布された皮膚の区域の輪郭を描く。所望であれば、マーカー208aは皮膚に適切な言葉、例えば、「コントロール」もしくは「テスト」を、304aと304bの傍で、コントロール検出試薬とテスト検出試薬が皮膚のコレステロールに結着した処に記すラベルでもよい。
【0125】
結着しなかった余分の検出試薬があると、図9に示すように吸収媒体もしくはふき取りパッド302を当ててふき取る。セルロース材料の新しいところを手のひらに当てることにより2度拭き取りをする。すべての拭き取り工程は拭き取りパッド302で手のひら300の小指球区域にしっかり押し付けて行う。皮膚を一回拭き取るだけで殆ど全部の結着しない余分の検出試薬を取除けるが、三回拭き取るのが最もよいことがわかった。三回以上は通常不必要であって、結着しない検出試薬をそれ以上取除けると言うことはない。
【0126】
もしあれば、過剰の検出試薬を除去することは必要であると言うのは、結着した検出試薬だけが意味のある信号を発生するからである。洗浄は、非特定性の結着検出試薬の除去の代替的で均等的な手段ではあるけれども、この例では器具100のような器具によってその後に続く工程を行うので、簡単迅速なテストでは、洗浄は不便ではある。
【0127】
様々なタイプの吸収媒体302のどれでも拭き取り材料として適している。綿やセルロースをベースとしたティッシューのような高度に吸収性のある織成された親水性材料が特に適している。使い捨てのキッチンタオルや他の同様のシート材料が好ましく、そして手のひらに糸屑を残さないものが最も好ましい。
【0128】
器具100の説明に関連して先に述べたように、吸収媒体302はアプリケーター114を保持する面130に隣接した器具の部分である。このようにして検出試薬の塗布後簡単なやり方で、非特定性の結着検出試薬を除去するため吸収媒体302へ手のひらを当てる。別の形の仕方では、図9に示すように、吸収剤媒体は検出試薬を塗布するのに使う器具から分離されていて、そして拭き取り工程ではその分離吸収媒体302へ手のひらを持っていく。
【0129】
新しく準備されたパッド156、例えば基質溶液で飽和させた図10に示すパッド156aと156bに特定性結着検出試薬を持つ小指球手のひら区域300を当てる。ファイバーガラス材料934AH(ホワットマン インコーポレーテッド)とケイ‐ブルー・マックス基質溶液(ネオゲン コーポレーション)を使用するのが典型である。または、器具100を手のひら300に接触させることができる。どちらでも、パッド156aと156bは、図8にそれぞれ304aと304bとで示されている皮膚のコレステロールへ検出試薬が結着しているところに揃う。従って、器具100の端206の面210のマーカー208bを使って、端206をマーカー208aが手のひら300に残した圧痕306に揃える。
【0130】
パッド156aと156bで基質溶液に一分ほど接触させてから図11に示すように手のひらを退かす。
【0131】
パッド156aと156bから手のひら300を退けると、ほぼ直径が5mm位の1つ、もしくは2つの丸い、青いスポット158aと158bとがパッドに出ている。これらのスポット158aと158bはアプリケーター114aと114bからの検出試薬が304aと304bとして手のひらに結着しているところに対応する。
【0132】
ポジティブ・コントロールアプリケーターに対応する位置にすべての人が青いスポットを持つことになる。もしも低閾値濃度の検出試薬をテスト・アプリケーターで使用したら、第2のスポットは被試験者の皮膚のコレステロール・レベルによって見えたり見えなかったりする。皮膚のコレステロールのレベルが低い、もしくは正常である人は第2のテスト・スポットをつくることはなく、皮膚のコレステロールのレベルが高い人は第2のテスト・スポットをつくる。
【0133】
非閾値レベルの検出試薬を第2のテスト・アプリケーターで使うと、そのときはすべての人が2つの青いスポットをつくる。強い青のポジティブ・コントロールスポットに加えて、強さの変わる第2の青いスポットが見られる。この第2のスポットの強度はテストされた人の皮膚のコレステロール・レベルにより異なり、図12に示すように比色カード308を使ってその強度を測ることができる。
【0134】
強度の変わる青色色素の帯310を有する比色カード308で試験スポットの色強度を測定する。一つの実施形態では、各帯の中心に直径約4mmの孔312をあけておく。この実施形態では、比色カード308はパッド156b上でテスト・スポット158bの上を案内され、色の各帯310の中心の孔312にテスト・スポットが現れるようにする。テスト・スポットとそれを包囲する色つき帯310との間で強度が一致するまで各帯310の孔312をそのテスト・スポットの上に載せていく。
【0135】
対応する皮膚のコレステロール・レベルに基づいて危険指標を反映するスコアを各色つきバンド310に付けておくことができる。皮膚のコレステロールレベルの高い人は強い青色スポットをつくり、スコアが高くなり、そして粥状硬化症が発症もしくは進行中であると言う大きな危険性と高レベルのコレステロールに起因する同様の他の疾患を持っている危険性がある。
【0136】
正常と危険占有率における皮膚のコレステロール・レベルの範囲は比色カード308の帯310の強度もしくはインテンシティを決定するけれども、使用した基質溶液により帯310の色が決まる。3,3’,5,5’‐テトラメチルベンジジン基質なら色発現スポットは水色である。この基質を使って色発現した色調と彩度の範囲に基づいて適切な比色計をつくる。他の基質では異なる色が発現され、そしてそれに対応する比色カードが必要とされる。
【0137】
パッド156aおよび156bにおけるバックグラウンドのベースとなる着色の協働によって、発現色と強度の範囲は変わってくる。乾いた試薬パッドでは黄色もしくは橙色の着色が青発色標示剤で生じる。低レベルの基質変換においては色つきスポットは黄色もしくは橙色のままである。中間レベルではスポットは緑っぽく、そして高レベルでスポットは緑がかった青色となる。このことにより強度比較に代えて可変色で比較でき、色発現スポットの選択可能で有利な読み取りが簡便にできる。
【0138】
器具100を使って本発明の方法を説明してきたけれども、幾つもの他のデバイスも使うことができ、そのような器具としては検出試薬を塗布するデバイスと標示デバイスとが別々になっているものがある。従って、本発明は皮膚のコレステロールを自分で計測する、限定するのではなく例示である家庭環境で実施できるキットに適している。
【0139】
そのキットは検出試薬源、皮膚の選択区域へ検出試薬を塗布するアプリケーター、検出試薬と接触すると反応する溶液源そして溶液を受ける標示面とを含み、その標示面が皮膚の選択区域に接触すると、皮膚のコレステロールに結着した検出試薬と溶液が反応して標示面の少なくとも一部に可視的な色変化をつくる。
【0140】
キットのアプリケーターは、前述のデバイス10に、もしくは器具100にあるのと同じでよい。好ましい実施形態では、アプリケーターは検出試薬の源となっている(すなわち、それは検出試薬で予め飽和されている)。しかしながら、本発明が意図しているのは、キットでは検出試薬が別になっており、そのためユーザーはアプリケーターを浸漬することになる。
【0141】
同様に、キットの標示面は前述のデバイス50に、もしくは器具100にあるのと同じでよい。それ故、標示面は溶液の源である(すなわち、基質溶液に事前に浸漬されている)。しかしながら、本発明がここでも意図しているのは、キットでは基質溶液を別にしていて、そのためユーザーは標示面(パッド)を浸漬しなければならない。
【0142】
本発明のキットは必要なら拭き取りのための吸収媒体も含んでいる。
【0143】
例えば器具100で既に説明したように、同じ器具にアプリケーターと標示面とを(例えば、それぞれ一方の面と他方の面とに)設けることができ、キットにそのように組み合わされる。
【0144】
さらに、キットではアプリケーター、標示面そして吸収媒体を同じ器具につくってもよい。
【0145】
最後に、方法が実施されるときつくられた色を分析する手段をキットが提供する。例えば、キットはつくられた色を分析する比色計を含むことができる。前に説明したように、比色計はカラーバンドの階調列でよい。または、キットはつくられた色を分析する反射分光光度計を含んでよい。
【0146】
以下の説明はそれに限定するものではなく、例示である。本発明の他の実施形態はこの説明から当業者には明らかであろう。
【0147】
開示した本発明の実施形態は好ましいものと考えられているけれども、本発明の思想から逸脱することなく様々に変更して実施できる。開示は例示であって、これに尽きているものではない。本書の説明は当業者に対して多くの変形態様を示唆している。それらすべての変形態様は特許請求の範囲に含まれる。当業者であれば開示された実施形態以外の均等物も特許請求の範囲に包含されることを認めるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】皮膚の選択区域へ検出試薬を塗布する本発明のデバイスの部分の横断面図である。
【図2】図1のデバイスの平面図である。
【図3】本発明の標示デバイスの部分の平面図である。
【図4】図1のデバイスと図2の標示デバイスとを含む本発明の器具の斜視図である。
【図5】図4の器具の平面図である。
【図6】図4の器具の底面図である。
【図7】図4の器具を使用した本発明の方法の一つの実施形態を示す。
【図8】図4の器具を使用した本発明の方法の一つの実施形態を示す。
【図9】図4の器具を使用した本発明の方法の一つの実施形態を示す。
【図10】図4の器具を使用した本発明の方法の一つの実施形態を示す。
【図11】図4の器具を使用した本発明の方法の一つの実施形態を示す。
【図12】図4の器具を使用した本発明の方法の一つの実施形態を示す。
【図7a】図7の7a―7a線に沿う横断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)皮膚の選択区域に検出試薬を塗布して皮膚に存在するコレステロールへ結着させ、
b)皮膚の選択区域に標示面を当て、この標示面は皮膚の選択区域に接触すると検出試薬に反応する溶液を有していて、その反応によって皮膚のコレステロールに結着した検出試薬の量に対応する可視的な色の変化をつくりだし、そして
c)その標示面に生じた色を分析して皮膚コレステロールを測定する
ことを特徴とする皮膚コレステロールの測定法。
【請求項2】
検出試薬を毛細管作用により皮膚の選択区域に塗布する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
検出試薬を少なくとも一つの吸上げ要素により皮膚の選択区域に塗布する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
吸上げ要素は検出試薬で飽和している請求項3に記載の方法。
【請求項5】
吸上げ要素は検出試薬を解放するよう調整された程度だけ変形する請求項3もしくは4に記載の方法。
【請求項6】
吸上げ要素は適切なアプリケーターによって保持されている請求項3〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
皮膚に存在するコレステロールが所定の閾値を越えるとき工程bで可視的な色変化が生じるように検出試薬の濃度を選定する請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
検出試薬の塗布は、皮膚の選択区域内の離れた2つの区域にコントロール検出試薬とテスト検出試薬とを塗布することから成る請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
コントロール検出試薬はテスト検出試薬よりも濃度が高い請求項8に記載の方法。
【請求項10】
皮膚に存在するコレステロールが所定の閾値を越えるとき工程bで可視的な色変化が生じるようにテスト検出試薬の濃度を選定する請求項8もしくは9に記載の方法。
【請求項11】
皮膚のコレステロールに結着しなかった余分の検出試薬を除去する工程を、工程aの後で工程bの前に含んでいる請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
適切な吸収媒体により余分な検出試薬を取除く請求項11に記載の方法。
【請求項13】
標示面は検出試薬内のレポーター成分と反応する基質溶液を含んでいる請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
標示面は基質溶液で飽和されている吸収材料のパッドであり、その基質溶液は検出試薬中のレポーター成分と反応する請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
生じた色を反射分光光度法により分析する請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
生じた色を比色計により分析する請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
比色計はカラーバンドの階調列である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
a)ボデーと、
b)このボデーに一端で保持されていて、第2の端で皮膚の選択区域に接触し、この第2の端で皮膚の選択区域へ検出試薬を移すようにした少なくとも一つのアプリケーターと
を備えることを特徴とした皮膚の選択区域へ検出試薬を塗布する器具。
【請求項19】
アプリケーターが毛細管作用を利用して皮膚の選択区域へ検出試薬を塗布する請求項18に記載の器具。
【請求項20】
アプリケーターが吸上げ要素を含んでいる請求項18もしくは19に記載の器具。
【請求項21】
ボデーが吸上げ要素の一端を受ける少なくとも一つの凹所を含んでいる請求項20に記載の器具。
【請求項22】
凹所の深さは吸上げ要素を受け入れるに足り、吸上げ要素の第2の端はその凹所を越えることはない請求項21に記載の器具。
【請求項23】
凹所の一部分の周辺は吸上げ要素の周辺よりも大きい請求項21もしくは22に記載の器具。
【請求項24】
凹所の大きな周辺の部分は吸上げ要素の第2の端を包囲している請求項23に記載の器具。
【請求項25】
凹所の大きな周辺の部分は吸上げ要素の第2の端を包囲してその周りに間隙をつくっている請求項24に記載の器具。
【請求項26】
吸上げ要素は繊維プラグである請求項20ないし25のいずれかに記載の器具。
【請求項27】
吸上げ要素は不活性のポリオレフィンである請求項20〜25のいずれかに記載の器具。
【請求項28】
アプリケーターはゲルである請求項18〜25のいずれかに記載の器具。
【請求項29】
アプリケーターは円筒形である請求項18〜28のいずれかに記載の器具。
【請求項30】
2つのアプリケーターを用意し、これらのアプリケーターは相互から離れていて、一方のアプリケーターはコントロール検出試薬を塗布し、第2のアプリケーターはテスト検出試薬を塗布するようになっている請求項18〜29のいずれかに記載の器具。
【請求項31】
各アプリケーターの第2の端の横断面はそれぞれ異なっている請求項30に記載の器具。
【請求項32】
アプリケーターは検出試薬で飽和されている請求項18〜31のいずれかに記載の器具。
【請求項33】
皮膚のコレステロールに結着する検出試薬の量に対応する可視的な色の変化を生じる標示器具であって、この器具のボデーが標示面をつくっていて、その標示面は皮膚の選択区域に接触することができ、その標示面は皮膚の選択区域のコレステロールに結着する検出試薬と接触すると反応するに足るだけの溶液を含んでいて、その標示面の少なくとも一部分へ可視的な色の変化を生じさせることを特徴とした標示器具。
【請求項34】
溶液は検出試薬のレポーター成分と反応する基質溶液である請求項33に記載の標示器具。
【請求項35】
標示面が吸収材料から成る請求項33もしくは34に記載の標示器具。
【請求項36】
吸収材料は溶液で飽和されている請求項35に記載の標示器具。
【請求項37】
吸収材料はパッドである請求項35〜36のいずれかに記載の標示器具。
【請求項38】
パッドは織成されている請求項37に記載の標示器具。
【請求項39】
パッドは押圧された繊維シート構造である請求項37に記載の標示器具。
【請求項40】
パッドは親水性材料である請求項37に記載の標示器具。
【請求項41】
パッドがセルロースをベースとした吸収シートである請求項37に記載の標示器具。
【請求項42】
パッドがガラスファィバー材料から構成されている請求項37に記載の標示器具。
【請求項43】
a)ボデーと、
b)このボデーに一端で保持されていて、第2の端で皮膚の選択区域に接触し、この第2の端で皮膚の選択区域へ検出試薬を移すようにした少なくとも一つのアプリケーターと、
c)ボデーがつくっている標示面と
を備え、その標示面は皮膚の選択区域に接触することができ、その標示面は皮膚の選択区域のコレステロールに結着した検出試薬と接触すると反応するに足るだけの溶液を含んでいてその標示面の少なくとも一部分へ可視的な色の変化を生じさせることを特徴とした皮膚のコレステロールを測定する器具。
【請求項44】
毛細管作用を利用してアプリケーターは皮膚の選択区域へ検出試薬を塗布する請求項43に記載の器具。
【請求項45】
アプリケーターは吸上げ要素を含んでいる請求項43もしくは44に記載の器具。
【請求項46】
ボデーの外面の少なくとも一つの凹所が吸上げ要素の一端を受け入れる請求項45に記載の器具。
【請求項47】
ボデーの外面の凹所は吸上げ要素の一端を受け入れるに足る深さを有していて、吸上げ要素の第2の端がボデーの外面を越えることがない請求項46に記載の器具。
【請求項48】
凹所の周辺部は吸上げ要素の周辺よりも大きい請求項46もしくは47に記載の器具。
【請求項49】
周辺の大きい凹所の部分が吸上げ要素の第2の端を包囲している請求項48に記載の器具。
【請求項50】
周辺の大きい凹所の部分が吸上げ要素の第2の端を、その周りに間隙を残して包囲している請求項49に記載の器具。
【請求項51】
吸上げ要素は繊維プラグである請求項45〜50のいずれかに記載の器具。
【請求項52】
吸上げ要素は不活性のポリオレフィン材料である請求項45〜50のいずれかに記載の器具。
【請求項53】
アプリケーターはゲルである請求項43〜50のいずれかに記載の器具。
【請求項54】
吸上げ要素は円筒形である請求項45〜50のいずれかに記載の器具。
【請求項55】
2つのアプリケーターは相互に離れていて一方のアプリケーターはコントロール検出試薬を塗布し、第2のアプリケーターはテスト検出試薬を塗布する請求項43〜54のいずれかに記載の器具。
【請求項56】
各アプリケーターの第2の端の横断面は異なっている請求項55に記載の器具。
【請求項57】
アプリケーターは検出試薬で飽和している請求項43〜56のいずれかに記載の器具。
【請求項58】
溶液は検出試薬のレポーター成分と反応する基質溶液である請求項43〜57のいずれかに記載の器具。
【請求項59】
標示面は吸収材料から成る請求項43もしくは58に記載の器具。
【請求項60】
吸収材料は溶液で飽和されている請求項59に記載の器具。
【請求項61】
吸収材料はパッドである請求項59もしくは60に記載の器具。
【請求項62】
パッドは織成されている請求項61に記載の器具。
【請求項63】
パッドは押圧された繊維シート構造となっている請求項61に記載の器具。
【請求項64】
パッドは親水性材料から構成されている請求項61に記載の器具。
【請求項65】
パッドはセルロースをベースとした吸収シートである請求項61に記載の器具。
【請求項66】
パッドはガラスファィバー材料から構成されている請求項61に記載の器具。
【請求項67】
ボデーの両側が少なくとも一つのアプリケーターと標示面を呈している請求項43〜66のいずれかに記載の器具。
【請求項68】
吸収媒体をさらに備え、吸収媒体はボデーに設けられていて、前記の少なくとも一つのアプリケーターと標示面とから離れている請求項43ないし67のいずれかに記載の器具。
【請求項69】
吸収媒体は親水性材料から構成されている請求項68に記載の器具。
【請求項70】
前記の少なくとも一つのアプリケーターを呈するボデーの表面に少なくとも一つのマーカーを備えており、この少なくとも一つのマーカーは検出試薬が移されている皮膚区域に隣接した皮膚の選択区域に圧痕をつくるような形となっている請求項67,68もしくは69のいずれかに記載の器具。

【請求項71】
標示面に少なくとも一つの第2のマーカーを備え、この少なくとも一つの第2のマーカーは前記の少なくとも一つのマーカーと形が一致している請求項70に記載の器具。
【請求項72】
a)検出試薬源と、
b)皮膚の選択区域に検出試薬を塗布するアプリケーターと、
c)検出試薬と接触するとき反応する溶液源と、
d)溶液を受け入れる標示面と
を備え、皮膚の選択区域に標示面が接触するとき皮膚のコレステロールに結着した検出試薬と溶液は反応して標示面の少なくとも一つの部分に可視的な色の変化をつくることを特徴とする皮膚のコレステロールを測定するキット。
【請求項73】
アプリケーターは毛細管作用を利用して検出試薬を皮膚の選択区域に塗布する請求項72に記載のキット。
【請求項74】
アプリケーターは吸上げ要素を含んでいる請求項72もしくは73に記載のキット。
【請求項75】
吸上げ要素は繊維プラグである請求項74に記載のキット。
【請求項76】
吸上げ要素は不活性のポリオレフィン材料から成る請求項74に記載のキット。
【請求項77】
アプリケーターはゲルである請求項72,73もしくは74に記載のキット。
【請求項78】
2つのアプリケーターを設け、これらのアプリケーターは相互に離されていて、一つのアプリケーターはコントロール検出試薬を塗布し、第2のアプリケーターはテスト検出試薬を塗布する請求項72〜77のいずれかに記載のキット。
【請求項79】
各アプリケーターの第2の端は異なる横断面を呈している請求項78に記載のキット。
【請求項80】
アプリケーターは検出試薬の源となっている請求項72〜79のいずれかに記載のキット。
【請求項81】
アプリケーターは検出試薬で飽和されている請求項80に記載のキット。
【請求項82】
溶液は検出試薬のレポーター成分と反応する基質溶液である請求項72〜81のいずれかに記載のキット。
【請求項83】
標示面は吸収材料から成る請求項72〜82のいずれかに記載のキット。
【請求項84】
吸収材料は溶液の源である請求項83に記載のキット。
【請求項85】
吸収材料は溶液で飽和されている請求項84に記載のキット。
【請求項86】
吸収材料はパッドである請求項83、84もしくは85に記載のキット。
【請求項87】
パッドは織成されている請求項86に記載のキット。
【請求項88】
パッドは圧縮された繊維シート構造である請求項86に記載のキット。
【請求項89】
パッドは親水性材料から構成されている請求項86に記載のキット。
【請求項90】
パッドはセルロースをベースにした吸収シートである請求項86に記載のキット。
【請求項91】
パッドはガラスファイバー材料から構成されている請求項86に記載のキット。
【請求項92】
吸収媒体をさらに備えている請求項72〜91のいずれかに記載のキット。
【請求項93】
吸収媒体は親水性材料から構成されている請求項92に記載のキット。
【請求項94】
アプリケーターと標示面が器具の反対面に設けられているキット。
【請求項95】
アプリケーター、標示面そして吸収媒体を器具に設けた請求項92もしくは93に記載のキット。
【請求項96】
つくられた色を分析する反射分光光度計をさらに備える請求項72〜95のいずれかに記載のキット。
【請求項97】
つくられた色を分析する比色計をさらに備える請求項72〜95のいずれかに記載のキット。
【請求項98】
比色計がカラーバンドの階調列である請求項97に記載のキット。
【請求項99】
皮膚に存在するコレステロールに結着させるため皮膚の選択区域へ検出試薬を塗布する方法において、
a)十分な量の検出試薬を含んでいて、毛細管作用を利用して皮膚の選択区域へ検出試薬を移す少なくとも一つのアプリケーターを用意し、
b)皮膚の選択区域をアプリケーターに接触させて皮膚を検出試薬で湿らす
ことを特徴とした方法。
【請求項100】
少なくとも一つの吸上げ要素により皮膚の選択区域に検出試薬を塗布する請求項99に記載の方法。
【請求項101】
吸上げ要素を検出試薬で飽和させる請求項100に記載の方法。
【請求項102】
吸上げ要素が調整された量だけ変形して検出試薬を解放する請求項100もしくは101に記載の方法。
【請求項103】
吸上げ要素は適切なアプリケーターに保持されている請求項99ないし102のいずれかに記載の方法。
【請求項104】
検出試薬を塗布するとは、コントロール検出試薬とテスト検出試薬とを皮膚の選択区域内の2つの離れた区域へ塗布することである請求項99〜103のいずれかに記載の方法。
【請求項105】
コントロール検出試薬はテスト検出試薬よりも濃度が高い請求項105に記載の方法。
【請求項106】
皮膚のコレステロールを測定するため皮膚に存在するコレステロールに結着する検出試薬の分量に対応する可視的な色変化をつくる方法であって、
a)標示面が皮膚の選択区域に接触するとき検出試薬と反応する溶液を有する標示面を皮膚の選択区域へ当て、その皮膚のコレステロールに定着した検出試薬の量に対応する可視的な色変化をつくり、そして
b)標示面につくられた色を分析して皮膚のコレステロールを測定する
ことを特徴とする方法。
【請求項107】
標示面は検出試薬内のレポーター成分と反応する基質溶液を含んでいる請求項106に記載の方法。
【請求項108】
標示面は基質溶液で飽和させた吸収材料のパッドであり、基質溶液は検出試薬内のレポーター成分と反応する請求項106もしくは107に記載の方法。
【請求項109】
つくられた色は反射分光光度計で分析する請求項106〜108のいずれかに記載の方法。
【請求項110】
つくられた色は比色計を使って分析される請求項106〜108のいずれかに記載の方法。
【請求項111】
比色計はカラーバンドの階調列である請求項110に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7a】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−532020(P2008−532020A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557297(P2007−557297)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000293
【国際公開番号】WO2006/089431
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(506364097)プレエムディ インク. (3)
【Fターム(参考)】