説明

皮膚貼着用医療シート

【課題】 人体の凝り又は痛み或いは痺れ等のある患部に貼着することにより、治療や健康増進を図ることができるようにした皮膚貼着用医療シートを提供する。
【解決手段】 医療シートは、相互に独立した粘着シートと、該粘着シートに対して貼替え自在に粘着される治療シートとにより構成されている。治療シートは、基材シートと、該基材シートの表面に積層されたゲルマニウム粉末を含有する治療作用層と、該基材シートの裏面に積層された平滑な剥離容易層を備えている。粘着シートは、保持シートと、該保持シートの表面に積層された粘着剤層を備えており、該粘着剤層に前記治療シートの剥離容易層を剥離自在に粘着せしめた状態で、粘着剤層が治療シートの外周にはみ出すことにより貼付部を形成する。ゲルマニウムの治癒効果は永久的に持続するので、治療シートを繰返し使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の凝り又は痛み或いは痺れ等のある患部に貼着することにより、治療や健康増進を図ることができるようにした皮膚貼着用医療シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人体の凝りや痛みに対して、ゲルマニウムが治癒効果を有することが知られている。このため、有機ゲルマニウムを含有した錠剤やドリンク剤が販売されており、また、無機ゲルマニウムを使用したブレスレットが提供されている。
【0003】
ところで、本発明者が知見したところによると、凝り又は痛み或いは痺れ等のある患部に対する治療は、従来の湿布剤のように、薬効成分を表面に積層した粘着シートを患部に貼着することが患者にとって簡便であり、しかも、治癒効果に優れている。
【0004】
このため、粒状のゲルマニウムの結晶固体を粘着シートの表面に固定し、ゲルマニウムを患部に接触させた状態で粘着シートを皮膚に貼着するように構成した医療シートが提案されている。
【特許文献1】特開2000−33126公報
【特許文献2】特開2002−224228公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献に示されるような粘着シートにゲルマニウムの結晶固体を設けた医療シートは、患部に対して粒状のゲルマニウム結晶固体をピンポイントで貼付させる必要があるため、貼付作業が煩雑であると共に不便である。
【0006】
それにも増して、ゲルマニウムは素材それ自体が高価であり、更に、結晶固体とするための工程を必要とするため、極めて高コストであり、しかも、医療シートは、使用の後、全体として廃棄されるので、不経済である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ゲルマニウムが有する前述のような人体に対する優れた治療効果が永久的に持続することを知見し、ゲルマニウムを使用した医療シートを提供するに際し、該ゲルマニウム素材を繰返し使用可能とすることにより、経済性を向上することを課題とする。
【0008】
また、本発明は、ユーザが医療シートを患部に貼着するに際し、前述のようなピンポイントによる貼付という煩雑な作業を必要とせず、簡単容易に使用することができ、簡便な貼着作業を可能にすることを課題とする。
【0009】
更に、本発明は、製造容易にして可及的に安価に提供できる構成でありながら、ゲルマニウム本来の治癒効果を十分に発揮できる医療シートを提供することを課題とする。
【0010】
そこで、本発明が手段として構成したところは、相互に独立した粘着シートと、該粘着シートに対して貼替え自在に粘着される治療シートとから成り、前記治療シートは、基材シートと、該基材シートの表面に積層されたゲルマニウム粉末を含有する治療作用層と、該基材シートの裏面に積層された平滑な剥離容易層を備えており、前記粘着シートは、保持シートと、該保持シートの表面に積層された粘着剤層を備えており、該粘着剤層に前記治療シートの剥離容易層を剥離自在に粘着せしめた状態で、粘着剤層が治療シートの外周にはみ出すことにより貼付部を形成するように構成されて成る点にある。
【0011】
本発明において、治療シートの治療作用層は、水溶性塗料の94〜68重量%と、ゲルマニウム粉末の6〜32重量%との混合物を、基材シートの表面に塗布することにより形成することが好ましい。
【0012】
この際、治療シートの治療作用層は、前記塗料とゲルマニウム粉末との混合物を、基材シートの表面に対して0.001〜0.02g/cm2の範囲で塗布することにより形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の本発明によれば、医療シートは、相互に独立した粘着シートと治療シートのセットとして提供されるので、ユーザは、粘着シートに対して治療シートを粘着することにより、医療シートとして使用することができる。
【0014】
そこで、粘着シートのほぼ中央部に治癒シートを重ね合わせると、粘着剤層を介して粘着シートと治癒シートが一体化される。この状態で、粘着シートは、治癒シートの周囲に貼付部を形成するので、ユーザは、治癒シートの治療作用層を患部に当て、貼付部の粘着剤層を皮膚に貼着すれば良い。この際、治療作用層は、ゲルマニウム粉末を含有しているので、患部の凝り、痛み、痺れ等を好適に治癒することができる。特に、ゲルマニウムを含む治療作用層は、治療シートの表面の全面にわたり積層された面状に広がる膜状の層を形成しているため、患部の広い領域にわたり治癒効果を発揮することができ、従って、従来のようなピンポイントでの貼着は必要でないので、貼着作業を簡単容易とする。
【0015】
ところで、貼着の後、ユーザは、医療シートを患部から剥離することができるが、その際、使用済みの粘着シートから治療シートを容易に剥がして分離することができる。即ち、治療シートは裏面の平滑な剥離容易層を粘着シートの粘着剤層に粘着されているので、治療シートの縁部分を指先で摘んで引っ張ると、該剥離容易層が粘着剤層から簡単に引き剥がされ、治療シートを使用済みの粘着シートから分離する。そこで、ゲルマニウムが有する人体の治療効果は永久的に持続するので、分離した治療シートは、別の新しい粘着シートに再び粘着させることにより、繰り返し使用することができる。従って、ユーザは、1枚の治療シートに対して、複数枚の粘着シートを保持しておけば、治療シートが破損するまで、何回でも使用することができ、経済的である。
【0016】
また、請求項2に記載の本発明によれば、治療シートの治療作用層は、水溶性塗料の94〜68重量%と、ゲルマニウム粉末の6〜32重量%との混合物を、基材シートの表面に塗布することにより形成される。本発明者の実験データによれば、塗料を主剤とする混合物におけるゲルマニウム粉末の含有量は、6重量%未満になるとゲルマニウム固有の人体に対する治癒効果を十分に発揮することができない。その一方において、ゲルマニウムの治癒効果は、粉末の含有量が約10〜20重量%の近辺で顕在化し、32重量%以上に増量しても、治癒効果に顕著な差を見出すことができない。そして、32重量%を超えると、ゲルマニウム粉末が膜層の表面から剥離し易くなり、粉末が脱落することによる弊害が生じる。例えば、植物性の有機ゲルマニウムは人体に無害であるが、鉱物から採取される無機ゲルマニウムは、服用すると体外に排出されず肝臓にたまり肝毒症を起こす危険があるため、微粒粉末であっても治療作用層から剥離することは好ましくない。しかも、ゲルマニウム素材は極めて高価であるから、前記32重量%を超えるときはコスト対効果の点で好ましくない。本発明において、前記混合物におけるゲルマニウム粉末の含有量のベストモードは、約10〜20重量%であり、従って、基材シートの表面に対する塗布ムラを考慮すると、8重量%〜25重量%の範囲で選択することにより、必要十分な治癒効果と、粉末の剥離脱落の防止と、高価なゲルマニウムの無駄な使用を抑制することによる低コストという3条件を全て満足させることができる。
【0017】
更に、請求項3に記載の本発明によれば、治療シートの治療作用層は、塗料とゲルマニウム粉末との混合物を、前述のようなゲルマニウム粉末の含有量6〜32重量%の条件に基づき、基材シートの表面に対して0.001〜0.02g/cm2の範囲で塗布することにより形成される。本発明者の実験データによれば、前記混合物の塗布量は、0.001g/cm2未満になると、層厚が余りにも薄く、所定面積あたりのゲルマニウム粉末の含有量が少ないため、ゲルマニウム固有の治癒効果を十分に発揮することができない。その一方において、治癒効果は、約0.0015〜0.005g/cm2の近辺で顕在化し、0.02g/cm2以上に層を厚くしても、治癒効果に顕著な差を見出すことができない。そして、0.02g/cm2を超えると、治療シートの柔軟性が阻害され、医療シートを人体の起伏表面に貼着することが困難になる。しかも、ゲルマニウム素材は極めて高価であるから、0.02g/cm2を超えるときはコスト対効果の点で好ましくない。本発明において、前記混合物の塗布量のベストモードは、約0.0012〜0.012g/cm2であり、基材シートの表面に対する塗布ムラを考慮すると、0.001〜0.015g/cm2の範囲で選択すれば良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0019】
(全体構成)
図1に示すように、医療シート1は、相互に独立した治療シート2と粘着シート3とから構成されている。
【0020】
(治療シートの構成)
治療シート2は、図2(A)に拡大断面を示すように、基材シート4と、該基材シート4の表面に積層されたゲルマニウム粉末を含有する治療作用層5と、該基材シート4の裏面に積層された平滑な剥離容易層6を備えている。
【0021】
前記基材シート4は、合成樹脂シート、織布又は不織布、その他、シート状素材を任意に使用することができるが、表面の治療作用層5及び裏面の剥離容易層6を好適に接着一体化する素材を選択することが好ましい。
【0022】
治療作用層5は、水溶性塗料にゲルマニウム粉末を混練した混合物を基材シート4の表面に塗布し、乾燥硬化せしめることにより形成されており、基材シート4の表面に一体的に固着された薄膜層を形成する。この際、ゲルマニウム(Ge)は、植物性の有機ゲルマニウムと鉱物から採取された無機ゲルマニウムとの何れを問わないが、半導体製品に使用されているようなゲルマニウム成分を純度99.999%とした高純度の素材を採用することが好ましい。そこで、ゲルマニウム粉末は、微粉末(例えば粒径約50μm程度)のものであり、水溶性の塗料に混練することによりスラリー状とされた液状の混合物を生成し、該混合物を基材シート4の表面に塗布することにより治療作用層5を形成する。
【0023】
この際、前記混合物は、水溶性塗料を94〜68重量%、ゲルマニウム粉末を6〜32重量%の割合で配合される。本発明のベストモードにおいて、混合物100重量%に対する配合比は、水溶性塗料が92〜75重量%、ゲルマニウム粉末が10重量%〜20重量%である。従って、製造工程における塗布ムラによる誤差を考慮すると、水溶性塗料を92〜75重量%、ゲルマニウム粉末を8重量%〜25重量%とすることが好ましい。
【0024】
そして、前記混合物は、基材シート4の表面に対して、0.001〜0.02g/cm2の範囲で塗布することにより治療作用層5を形成する。本発明のベストモードにおいて、混合物の塗布量は、0.0012〜0.012g/cm2である。従って、製造工程における塗布ムラによる誤差を考慮すると、0.001〜0.015g/cm2とすることが好ましい。
【0025】
本発明の1実施例において、配合比を水溶性塗料約90重量%、ゲルマニウム粉末約10重量%として混練した混合物の約1kgに対して溶剤(水)を添加した液体が、基材シート(幅1.3m×長さ50m)の全表面に塗布され、これにより治療作用層を形成している。従って、治療作用層は、計算上は0.0015g/cm2(1000g/(130cm×5000cm))であり、部分的な塗布ムラを考慮しても、前記ベストモードの0.0012〜0.012g/cm2の範囲が保証される。
【0026】
剥離容易層6は、基材シート4の裏面に薄い合成樹脂の膜層を形成する。このような膜層は、基材シート4の裏面に対して、合成樹脂フィルムをラミネートしたり、合成樹脂を皮膜状に塗布することにより形成することができる。
【0027】
(粘着シートの構成)
粘着シート3は、図2(B)(C)に拡大断面を示すように、保持シート7と、該保持シート7の表面に積層された粘着剤層8を備えている。
【0028】
保持シート7は、合成樹脂シート、織布又は不織布、その他、シート状素材を任意に使用することができるが、人体の患部における起伏表面に貼着容易とするため、可及的に薄く、適宜の伸縮性を有する素材とすることが好ましく、更に粘着剤層8を好適に接着一体化する素材を選択することが好ましい。
【0029】
粘着剤層8に関して、保持シート7のほぼ中央部は、非粘着部9を形成することが好ましい。図2(B)の実施例において、非粘着部9は、粘着剤層8を欠落せしめることにより形成されている。また、図2(C)の実施例において、非粘着部9は、粘着剤層8にマスキングシート9aを重ねることにより形成されている。
【0030】
そこで、図2(B)(C)の何れの実施例においても、後述するように、治療シート2の剥離容易層6を保持シート7の粘着剤層8のほぼ中央領域に重ね合わせると、非粘着部9の周囲に臨む粘着剤層8の取付部8aが治療シート2の周縁近傍部の裏面に粘着され、これにより治療シート2と粘着シート3を一体化した医療シート1が提供される。
【0031】
この際、粘着シート3の粘着剤層8は、治療シート2の外周にはみ出した貼付部8bを形成する。従って、治療シート2の治療作用層5を人体の患部に対面させ、貼付部8bを人体の皮膚に粘着せしめることにより、医療シート1を患部に貼着することができる。
【0032】
(医療シートの使用方法)
図1(A)に示すように、医療シート1は、市販等、ユーザに提供されるときは、粘着シート3の表面を離型シート10により被覆されている。尚、市販に際して、治療シート2と粘着シート3は相互に独立しており、1枚の治療シート2に対して複数枚の粘着シート3がセットとして販売される。
【0033】
そこで、ユーザは、図1(A)に示すように、粘着シート3から離型シート10を剥離することにより粘着剤層8を露出させ、次いで、図1(B)に示すように、粘着シート3のほぼ中央部に治療シート2を重ね合わせ粘着させる。これにより、治療シート2の剥離容易層6が粘着剤8の取付部8aに粘着され、図1(C)に示すように、治療シート2と粘着シート3が一体化される。
【0034】
従って、ユーザは、治療シート2の治療作用層5を所望の患部に対面させ、粘着剤層8の貼付部8bを患部近傍の皮膚に粘着せしめることにより、医療シート1を貼着する。これにより、治療作用層5に含有されたゲルマニウム粉末が患部の凝り、痛み、痺れ等を治癒する。
【0035】
所定時間が経過後、ユーザは、患部から医療シート1を引き剥がし、廃棄することができるが、その際、使用済の粘着シート3から治療シート2を分離し、使用済みの粘着シート3だけを廃棄し、分離した治療シート2を繰返し使用することができる。分離に際し、治療シート2の周縁を指先で摘み、使用済みの粘着シート3から引き離すと、治療シート2の粘着面には表面を平滑とした剥離容易層6が形成されているので、治療シート2を簡単容易に分離することができる。
【0036】
上述した通り、患部に対するゲルマニウムの治癒効果は永久的に持続するので、治療シート2は、破損するまで繰返し使用することが可能であり、新しい粘着シート3に対して前述と同様の作業により粘着させることにより、再び使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態を示しており、(A)は独立した治療シートと粘着シートを示す斜視図、(B)は治療シートを粘着シートに粘着させるための作用を示す斜視図、(C)は治療シートを粘着シートに粘着させた使用可能状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態を示しており、(A)は治療シートの断面を示す拡大図、(B)は粘着シートの第1実施例に治療シートを粘着せしめた状態を示す拡大断面図、(C)は粘着シートの第2実施例に治療シートを粘着せしめた状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 医療シート
2 治療シート
3 粘着シート
4 基材シート
5 治療作用層
6 剥離容易層
7 保持シート
8 粘着剤層
8a 取付部
8b 貼付部
9 非粘着部
10 離型シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に独立した粘着シート(3)と、該粘着シート(3)に対して貼替え自在に粘着される治療シート(2)とから成り、
前記治療シート(2)は、基材シート(4)と、該基材シート(4)の表面に積層されたゲルマニウム粉末を含有する治療作用層(5)と、該基材シート(4)の裏面に積層された平滑な剥離容易層(6)を備えており、
前記粘着シート(3)は、保持シート(7)と、該保持シート(7)の表面に積層された粘着剤層(8)を備えており、該粘着剤層(8)に前記治療シート(2)の剥離容易層(6)を剥離自在に粘着せしめた状態で、粘着剤層(8)が治療シート(2)の外周にはみ出すことにより貼付部(8b)を形成するように構成されて成ることを特徴とする皮膚貼着用医療シート。
【請求項2】
治療シート(2)の治療作用層(5)は、水溶性塗料の94〜68重量%と、ゲルマニウム粉末の6〜32重量%との混合物を、基材シート(4)の表面に塗布することにより形成されて成ることを特徴とする請求項1に記載の皮膚貼着用医療シート。
【請求項3】
治療シート(2)の治療作用層(5)は、前記塗料とゲルマニウム粉末との混合物を、基材シート(4)の表面に対して0.001〜0.02g/cm2の範囲で塗布することにより形成されて成ることを特徴とする請求項2に記載の皮膚貼着用医療シート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−34653(P2006−34653A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−219605(P2004−219605)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(504289510)アイキュアー有限会社 (1)
【Fターム(参考)】