説明

盗撮防止装置

【課題】映画館でのビデオカメラ等によるスクリーン盗撮防止装置を提供する。
【解決手段】スクリーンに赤外光を投射する装置し、盗撮される映像の品位を低下させ盗撮による著作権侵害を防止する。投射される赤外光は盗撮機器の正常機能を妨害し盗撮を防止するが、使用する赤外光は非可視光である為、観客に鑑賞を妨げることは無い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盗撮者が映画館に於いて不法に著作物の盗撮を行い、違法な著作物販売などにより不当な利益を得ることを防止する事やインターネットなどに公開し、著作者に不利益を与える事を防止する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1980年代、映画館でスクリーンを録画し、館内に流れる音声を録音して作成されたと考えられる映画の所謂海賊版ビデオが出回るようになった。これは、家庭用の録画録音機器の普及によって、映画館内に機器を容易に持ち込めるようになったためだと考えられている。この種の海賊版は、正規版のメディアから複製された海賊版と比較すると、影像や音声の品質が劣る一方で、映画が一般公開された直後に出回る点で、興行収入への影響が無視できないものであった。
【0003】
1990年代入ると、カメラやマイクの高性能化、小型化により、映画館における映画の録画・録音を、より鮮明に、かつ隠密に行うことが可能になった。さらに、これまで海賊版の流通媒体として主に使われてきたアナログのビデオテープに代わって、DVDやインターネットといったデジタル技術を基盤としたデータ複製、送信手段が普及した結果、海賊版を映像劣化させることなく複製し、短時間に世界中に流通させることが可能となった。その結果、海賊版の流通による興行収入への影響はいっそう深刻なものになっていった。アメリカ映画業協会の海外管轄団体であるMPA(Motion Picture Association of America)の試算によると、2005年、日本国内の映画館における盗撮によって流出した海賊版による日本国内の損害額は、邦画と洋画を合わせて180億円であったという。そして、同年の日本における映画興行収入は約1980億円であったことから、海賊版の流通が、興行収入を1割近く減少させていると指摘している。
【0004】
2007年8月30日に、「映画の盗撮の防止に関する法律」が施行され、法律によって映画館に置ける盗撮を防止する事が可能になった。この法律を有効に運用し、盗撮防止を行うのは勿論であるが、実際の運用では、盗撮者とのトラブル、盗撮に関係しない一般客への悪影響など、困難な場面も予想される。盗撮者を発見し、摘発する装置を導入し、運用する事が盗撮を根絶する為の重要手段であり、盗撮を効果的に防止する手段の開発も望まれる。
【0005】
著作権保護の為の従来技術としては、特開2006−258651の方法として映画館での盗撮防止の為、盗撮に使用する映像機器レンズの反射光を判定検出する方法がある。特開2002−197562の方法として、盗撮、盗聴する機器の存在を赤外線の有無で検知する装置及び方法。特開2001−313006による光ファイバーで赤外光を導入、発光させ、盗撮を防止する方法がある。いずれの場合もスクリーンに投射し、盗撮を防止するものではない。本発明は映画館でスクリーン上映された映像として善意の観客には悪影響を与えることなく、悪意の盗撮に対しては盗撮された映像の品位を悪化させ、結果として不法媒体の流通を防ぐ事に有る。
【特許文献1】特開2006−258651
【特許文献2】特開2002−197562
【特許文献1】特開2001−313006
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、盗撮者が映画館に於いて盗撮を行い、販売などにより不当な利益をうることを防止し、また、インターネットなどに公開し、著作者に不利益を与える事を防止する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の盗撮防止装置は、ビデオカメラの光学系が強力な赤外光を受けるとビデオカメラの自動焦点調整機構に狂いが生じることを利用し、ビデオカメラに強制的にピンボケ状態を作り出し、盗撮したビデオテープ、ハードディスクなどの映像を鑑賞に堪えないまでに劣化させる事を目的とする。また、ビデオカメラに使われているCCDなどの撮像素子に用いられる三原色フィルターが、本来ならカットすべき赤外光を或る程度通過させる事を利用し、スクリーンから客席に向けて不可視且つ強力な赤外光を放射する事で、盗撮したビデオテープ、ハードディスクなどの映像を見るに堪えないまでに劣化させる事を目的とする。図1は本発明例の装置で、赤外光の発光部1、発光タイミングを制御する制御部2、および電源部3から構成される。
【発明の効果】
【0008】
通常のビデオカメラのレンズや自動焦点機構などの光学系は、可視光領域の光による撮影に最適化されている。上記光学系を赤外領域にまで広げるには、多くのコストを要するのがその理由である。焦点位置が可視光領域と赤外光領域で異なる為、可視光領域の撮影に最適化されたビデオカメラで赤外照明された被写体を撮影すると、可視光領域の像は所謂ピンボケになる。この原理を利用して、可視光領域の光源から出た光、すなわちスクリーンに映されている映画より強力な赤外領域の光を可視光領域の光源付近、すなわちスクリーン付近から発射する。図4は本発明の実施例の映画館内部を示す。図4において、スクリーン9に上映される映画を盗撮するビデオカメラ8に向けてスクリーン9の近傍に配置された盗撮防止装置10a及び10bから盗撮妨害の赤外光を投射する。投射された赤外光を受光した、ビデオカメラの自動焦点調整機構は赤外領域の光に焦点を合わせようとするので、スクリーンを盗撮しているビデオカメラの画像はピンボケになる。この光学的様子を図5に示す。映画館内のスクリーンの近傍の撮像防止装置12から赤外光を盗撮ビデオカメラに向け投射する。スクリーンに投射された映像11に比し強い盗撮防止赤外光をビデオカメラに向けて投射するとビデオカメラは投射された盗撮防止装置の赤外発光体に焦点を結ぶ動作をする。このとき可視光と非可視光である赤外光は波長が異なる為、光学的な焦点位置が異なる。またスクリーンと盗撮防止装置のビデオカメラからの距離を変える事でも、撮像素子上のスクリーン映像がボケた状態になる。これは強い光に焦点を結ぶ自動焦点調整機能により盗撮防止装置に焦点を合わせる動作を行う事から、結果としてスクリーン上の映像は撮像素子上ではボケた状態になる。このときの実際のビデオカメラの自動焦点調整動作による映像を記録した写真を図9〜11に示す。図9では、盗撮防止装置が動作していない為、人形にピントが合っている。図10は、盗撮防止装置が動作した瞬間である。赤外線照射直後にはカメラの焦点調節が動作しないため、焦点は人形に合っている。しかしハレーションが生じるため、画面は見難くなる。図1の盗撮防止装置が動作し続けると、カメラの焦点調節が動作し盗撮防止装置に焦点が合う為、図11で示すように人形は所謂ピンボケになる。また、盗撮防止装置の光量が周囲の光量より大きいので、カメラのオートアイリスが動作し、画面が暗くなり、画像を見にくくする。これは本発明装置によるビデオカメラの露出調整機能を低下させる例である。図9〜11は、最新のハイビジョンビデオカメラによる盗撮防止装置の動作例であり、最新のビデオカメラによる盗撮にも効果があることが分かる。
【0009】
スクリーン上の映像よりも盗撮防止装置から出る赤外光の方が明るいと、ビデオカメラが判定すると、ビデオカメラは盗撮防止装置にピントを合わせる。このとき盗撮防止装置の赤外光を点滅すると、より大きな盗撮防止効果が得られる。ビデオカメラの自動焦点機構は、1〜3秒の時定数で動作するように設計されている為、盗撮防止装置を1〜3秒程度の間隔で点滅すれば、ビデオカメラの自動焦点機構は常に新しい目標を探して動作することになり、大きなピンボケ効果が得られる。盗撮防止装置からの赤外光が消えると、ビデオカメラは新しい目標を探して焦点を合わせようとするが、映画館内は暗いので焦点合わせに時間がかかり、大きく焦点がずれる為、盗撮防止装置の赤外光を点滅させれば、大きくピンボケ状態を作り出すことが出来る。図12で、盗撮防止装置が停止している間は、画面に焦点が合っている。図13は、盗撮防止装置が動作した瞬間であり、ビデオカメラは盗撮防止装置に焦点を合わせようとするため焦点が狂い、ピンボケ状態になっている。図14で、盗撮防止装置の赤外光が消えると、カメラは新しい目標を探して焦点を合わせようとするが、周囲が暗いと焦点合わせに時間がかかり、大きく焦点がずれる。ビデオカメラの自動焦点調整装置を切り、ピントを手動調整すれば、本件の盗撮防止装置の影響を受けないが、暗い映画館内で他の人に見つからないようにピントを合わせるのは非常に困難で、実用的でない。
【0010】
盗撮防止装置から放射される赤外光は人間には不可視で影響がないが、撮像素子にとっては大きな影響を及ぼす、投射される赤外光はビデオカメラのレンズ内部やCCD等の撮像素子等の光学系にハレーションやゴーストなどの映像の品質低下や偽画像を生じさせる妨害光となり、結果として、ビデオカメラに記録される盗撮映像は鑑賞に堪えなくなり、盗撮防止効果を発揮する。この様子を、図6と図7に示す。図6と図7は、最新のハイビジョンビデオカメラによる動作例だが、最新のビデオカメラによる盗撮にも効果があることが分かる。このとき、盗撮防止装置を断続すれば、ハレーションやゴースト等も画面上で点滅することになり、より見難い状態を作り出すことが出来、盗撮防止効果を補強する。この状況を記録し、盗撮防止効果を示す動画像の記録媒体も有るが、本明細書では記載できない為、割愛する。
【0011】
赤外光の点滅機構を備える盗撮防止装置で、例えば、点滅間隔を点灯2秒消灯2秒の時はデータの“1”、点灯2秒消灯4秒の時はデータの“0”を表すと定義付け、盗撮防止装置を点滅させれば、赤外光の点滅間隔により盗撮された画像から、盗撮された日時、映画館、スクリーン等を特定する事が出来る。図15にその様子を示す。通常盗撮防止装置が設置されている映画館の上映スケジュールは前もって分かっているので、盗撮防止装置の製造番号を点滅データとして盗撮防止装置にデータとして埋め込めば、盗撮された日時、映画館、スクリーン等を特定する事が出来る。また、カレンダー情報や時刻などを赤外光の点滅の間隔をデータとして埋め込めば、より詳しく盗撮された場所等の情報を得ることが出来る。この様子を、図8に示す。
【0012】
撮影された赤外光の点滅情報は、ビデオカメラ上には可視光と同じように映像として見ることが出来るので、盗撮された画像をスローモーションなどで再生すれば、特別な機械の追加無しで盗撮された場所等を容易に解析することが出来る。同様に赤外光により生じたビデオカメラのハレーションやゴースト映像等が画面上で点滅するので、盗撮された画像をスローモーションなどで再生すれば解析することが出来る。
【0013】
盗撮防止装置から放射される赤外光に、ビデオカメラのリモコンコードを重畳させれば、盗撮しているビデオカメラを制御できる。数分〜数十分置きにズームなどのリモコンコードを送れば、盗撮した画像が使えなくなると共に、盗撮者は誤って操作したと思う為、効果的である。また、上映開始後1時間頃に録画停止信号を送るのも効果的である。実際の装置では、順次各社のリモコンコードを送出することにより、多くの機種に対応することが出来る。
【発明の実施するため最良の形態】
【0014】
図1は、赤外光を用いた盗撮防止装置の例である。装置は、赤外光を放射する発光部1、発光を制御する制御基板2、電源部3、およびこれらを収納するケース4からなる。該装置による赤外光をスクリーン方向から客席に向けて投射する事が可能である。また、透過性の有るスクリーンでは、スクリーン背面からの投射も出来る為、観客には盗撮防止の機器を意識させることが無い構成も可能である。
【0015】
図2に、ビデオカメラに用いられる三原色フィルターの例と、可視光の範囲を示す。人間の目に見える波長の範囲は、大略400nm〜700nmである。ビデオカメラなどに用いられるCCDやMOS型撮像素子は、元々波長選択性はなく、光−電気の変換効率の差はあるものの、可視光と近赤外領域の全ての光で発電する。この撮像素子でカラー撮影を行うには、それぞれの撮像素子の前に赤、青、緑の三原色のフィルターを置き、それぞれ赤、青、緑の光の強さに応じた誘起された電荷を信号処理する事により、カラー信号を得る。理想的には、三原色フィルターは必要な領域では平坦な特性を持ち、不必要な領域では急峻に減衰する特性が望ましい。しかし現実には、限られたコストで良好なカラー再現性を得る為、図2のような緩やかなカーブの特性を持つフィルターを用いる。図2に青フィルター分光特性5、緑フィルター分光特性6、赤フィルター分光特性7の例を示す。
【0016】
本来ならば、赤外領域の光を撮像素子で発電を行なうと、可視光のカラー画像に悪影響があるので、赤外領域の光は完全にカットした方が良いが、現実のフィルターでは、遮断しきれず赤外領域にも通過光は存在する。
【0017】
本発明の盗撮防止装置では、三原色フィルターの近赤外残存領域は不可視で有る事を利用し、赤外LEDや赤外レーザーなどの不可視光をスクリーン方向から投影し、観客の目には見えない光でビデオカメラの自動焦点機構あるいは自動路露出機構に狂いを生じさせ、盗撮された画像を鑑賞に堪えなくして盗撮防止効果を得る物である。また、ハレーションやゴーストなどの映像の品質低下や偽画像を生じさせ、盗撮防止効果を得る物である。
【0018】
CCDやMOSなどの撮像素子の材料はシリコンであり、通常の撮像素子の発電可能な波長は、400nm〜1000nmである。この内、400nmから700nmは可視領域であり、700〜1000nm程度の波長を持つ発光素子でスクリーンを投射照明しても、この波長領域は人間の目には見えないので上映の妨げにはならない。人間には影響が無く、検知出来ない赤外光であるが、CCDまたはMOS型撮像素子では700nm〜1000nmを検知してしまい、この赤外領域の光で撮像素子に不自然な信号または信号飽和を起こすことが可能となる。人間の目と撮像素子の検知機能の違いを応用して、ビデオカメラによる不法撮影の妨害を行う事が出来る。700nm〜1000nmの光波長は所謂近赤外領域であり、本装置の発光器には、近赤外LEDや近赤外レーザーを用いる。
【0019】
発光素子にLEDを用いる場合は、LEDは目的とする波長よりも短い波長領域と、目的とする波長よりも長い波長領域にも発光成分を有する。図3に、代表的な近赤外LEDの発光特性を示す。このため、発光波長の中心値が余り可視領域に近いと、赤の成分が映写の邪魔をする恐れがあるので、700nm以下では発光しないLEDを選ぶ必要がある。盗撮に用いるビデオカメラのフィルターとの兼ね合いにもなるが、中心波長が800nm〜980nm程度のLED等の赤外発光素子を用いるのが適している。
【0020】
盗撮防止装置から放射された赤外光が鑑賞者の目に到達しても、非可視光なので、鑑賞者の目には何の影響も与え無い。しかし、ビデオカメラに到達した光は、ビデオカメラの撮像素子の有感度領域の波長なので、ビデオカメラ上の記録媒体に記録される。
ビデオカメラに撮影される赤外光の色は、ビデオカメラのフィルターと撮像素子の感度によって異なる。多くの場合、赤緑青(RGB)何れのフィルターも、近赤外領域に透過成分を残すので、白色に近い色となる。
【0021】
通常のビデオカメラのレンズや自動焦点機構および自動露光機構などの光学系は、可視光領域の光による撮影に最適化されている。上記光学系を赤外領域にまで広げるには、多くのコストを要するのがその理由である。焦点位置が可視光領域と赤外光領域で異なる為、可視光領域の撮影に最適化されたビデオカメラで赤外照明された被写体を撮影すると、可視光領域の像は所謂ピンボケまたはハレーション等を起こす。この原理を利用して、可視光領域の光源から出た光、すなわちスクリーンに映されている映画より強力な赤外領域の光を可視光領域の光源付近、すなわちスクリーン付近から発射すると、ビデオカメラの自動焦点調整機構は赤外領域の光に焦点を合わせようとするので、スクリーンを盗撮しているビデオカメラの画像はピンボケの映像になる。自動露光機構も同じく最適露光から外れた状態になる。図4は、映画館に於ける装置の一例である。また、上記説明の光学系の配置を図5に示す。
【0022】
スクリーン上の映像よりも盗撮防止装置から出る赤外光の方が明るいとビデオカメラが判定すると、ビデオカメラは盗撮防止装置にピントを合わせる、また露出制御を行う。このとき、盗撮防止装置の赤外光を点滅すると、より大きな盗撮防止効果が得られる。
【0023】
ビデオカメラの自動焦点機構は、1〜3秒程度の時定数で動作するように設計されている為、盗撮防止装置を1〜3秒程度の間隔で点滅すれば、ビデオカメラの自動焦点機構は常に新しい目標を探して動作することになり、大きなピンボケ効果が得られる。同時に露出機能も変化し結果として盗撮画質が低下する。盗撮防止装置からの赤外光が消えると、ビデオカメラは新しい目標を探して焦点を合わせようとするが、映画館内は暗いので焦点合わせに時間がかかり大きく焦点がずれる為、盗撮防止装置の赤外光を点滅すれば、大きくピンボケ状態を作り出すことが可能となり、露出機能もさらに低下させる事が出来る。盗撮防止効果をより高める為に、静止パターンでなく、盗撮防止装置から出す光を、0.5秒から3秒程度の間隔で点滅すると撮影された画像が見にくくなるが、その点滅の間隔は、一定間隔でなく、上映する映画の音のテンポによって変化させても良い。盗撮防止装置にマイクを内蔵させ、上映中の音に併せて発光する機能を図1の盗撮防止装置に搭載し、上映中の音を盗撮防止の赤外光及びパターンに反映させ、より盗撮画質を低下させる事が出来る。
【0024】
盗撮妨害用リモコン信号の赤外光を、ビデオカメラに向けて送信しても、盗撮防止装置のON(発光)の期間と重なると、盗撮防止装置の光が非常に強い為、ビデオカメラのリモコン受信部が飽和して動作しないことがある。このため、リモコン信号を送出する期間は、盗撮防止装置の発行を停止させ、リモコン信号を送出すればよい。図15にその様子を示す。盗撮防止装置の制御器が、リモコン信号を送出するタイミングを検出した時、盗撮防止装置の発行を停止し、代わりにリモコン信号を送出する。リモコン信号の繰り返しは高速なので、人間の目には連続発光に見える。その為、盗撮防止装置のONであるべき期間(図15では2秒間)リモコン信号を送出し続ければ、盗撮場所を特定するデータを誤らせることはない。図15で、符号22はリモコンの電流波形、図16はリモコン信号の詳細を表す。
【0025】
リモコン信号を送出する際、映画館内で使われている他の装置のリモコン通信を妨害しないようにしなければならない。盗撮防止装置の筐体外部にリモコン信号を受信する装置を設け、一定期間リモコン信号がないことを確認した後、リモコン信号を送出すれば、他の装置を妨害することが無くなる。図17で、符号23がリモコン信号検出器である。
【0026】
盗撮防止装置の電源を制御するのに、盗撮防止装置内部にマイクを設け、館内の音量が有るレベル以上になると自動的に電源が投入されるようにすれば、盗撮防止装置の外部に電源制御装置を設ける必要が無く、システムのコスト低減に寄与する。また、人手で電源を入り切りする必要がなくなる為、入れ忘れ、切り忘れ等のミスを無くし、人件費を節約することも出来る。音量が設定したレベル以上に達した後、一定時間経過後に電源を投入するように制御すれば、映画が始まってから盗撮防止装置が動作し始める為、盗撮者に気付かれにくい、という利点もある。音量が一定以下のレベルを一定時間持続したら、映画終了と判断して電源を切るようにすれば、電源切りも自動制御できる。
【0027】
盗撮防止装置の電源を制御するのに、盗撮防止装置外部に受光器を設け、スクリーンの明るさが有るレベル以上変動したら自動的に電源が投入されるようにすれば、盗撮防止装置の外部に電源制御装置を設ける必要が無く、システムのコスト低減に寄与する。また、人手で電源を入り切りする必要がなくなる為、入れ忘れ、切り忘れ等のミスを無くし、人件費を節約することも出来る。スクリーンの明るさの変動巾が設定したレベル以上に達した後、一定時間経過後に電源を投入するように制御すれば、映画が始まってから盗撮防止装置が動作し始める為、盗撮者に気付かれにくい、という利点もある。スクリーンの明るさが一定のレベルを一定時間持続したら、映画終了と判断して電源を切るようにすれば、電源切りも自動制御できる。
【0028】
映画館内の音量や映画館内の明るさ、スクリーンの明るさの変動幅などを組み合わせて電源を制御すれば、より高精度な制御が行える。盗撮ビデオカメラを妨害する為のリモコン信号の送出タイミングを制御する為にも、映画の開始タイミングを知ることは重要である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】 この発明に係る盗撮防止装置の構成例
【図2】 ビデオカメラのカラーフィルターの特性例
【図3】 近赤外LEDの波長特性の例
【図4】 盗撮防止装置の映画館内の実施例
【図5】 可視光と赤外光の焦点位置の説明図
【図6】 フレアーの例
【図7】 ゴーストの例
【図8】 盗撮防止装置に組み込んだID信号の例
【図9】 実ビデオカメラに於ける盗撮防止装置の動作例1
【図10】 実ビデオカメラに於ける盗撮防止装置の動作例2
【図11】 実ビデオカメラに於ける盗撮防止装置の動作例3
【図12】 実ビデオカメラに於ける盗撮防止装置の動作例4
【図13】 実ビデオカメラに於ける盗撮防止装置の動作例5
【図14】 実ビデオカメラに於ける盗撮防止装置の動作例6
【図15】 LEDを流れる電流の波形
【図16】 リモコン信号の例
【図17】 盗撮防止装置のリモコン信号検出器とスクリーンの明るさ検出器
【符号の説明】
【0030】
1 赤外光発光部
2 制御基板
3 電源部
4 ケース
5 青色フィルター分光特性
6 緑色フィルター分光特性
7 赤色フィルター分光特性
8 映画館内の盗撮ビデオカメラ
9 スクリーン
10a盗撮防止装置
10b盗撮防止装置
11 スクリーン
12 盗撮防止装置
13 赤外光の光束
14 赤外光の焦点位置
15 可視光の焦点位置
16 ビデオカメラのレンズ系
17 可視光の光束
18 ハイビジョンビデオカメラに現れた赤外光によるゴーストの例
19 ハイビジョンビデオカメラに現れた赤外光によるフレアの例
20 盗撮防止装置から放射される赤外光の点滅パターン
21 LEDに流れる電流波形
22 通常点灯に置き換えられるリモコンの電流波形
23 リモコン信号検出器
24 スクリーンの明るさ検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映画を上映閲覧する所謂映画館に於いて、ビデオカメラでの盗撮を防止する為、目に不可視で且つ、ビデオカメラの撮像素子に写る赤外光をスクリーン方向からビデオカメラに向けて投射する事により、盗撮を防止する事を特徴とする盗撮防止装置に於いて、800nm〜980nmの中心波長を持つ赤外光を、スクリーン近傍からビデオカメラに向かって発射することにより、ビデオカメラの自動撮像機能である自動焦点調整機構または自動露出調整機能を低下させ、盗撮した画像を鑑賞に堪えないようにすることを特徴とする盗撮防止装置。
【請求項2】
波長800nm〜980nmの赤外光を断続させることで焦点調整機構または露出調整機能を低下させることを特徴とする請求項1に記載の盗撮防止装置。
【請求項3】
波長800nm〜980nmの赤外光をビデオカメラに向けて発射することにより、ビデオカメラの撮像素子に盗撮防止装置の像を生じさせ、盗撮した画像を鑑賞に堪えないようにすることを特徴とする請求項1に記載の盗撮防止装置。
【請求項4】
波長800nm〜980nmの赤外光をビデオカメラに向けて発射することにより、ビデオカメラのレンズ内部や筐体内部に所謂ゴーストやハレーションを生じさせ、盗撮した画像を鑑賞に堪えないようにすることを特徴とする請求項1に記載の盗撮防止装置。
【請求項5】
波長800nm〜980nmの盗撮防止赤外光を点滅させる手段を持つ盗撮防止装置で、盗撮された日時、場所等を特定する為、盗撮防止装置が設置されている映画館の情報や、カレンダー情報、盗撮防止装置の製造番号などを、該赤外光の点滅の間隔をデータとして埋め込むことを特徴とする請求項1に記載の盗撮防止装置。
【請求項6】
スクリーン近傍より発射される赤外光に、所謂ビデオカメラのリモコンデータを重畳させ、録画を強制的に停止させる事を特徴とする請求項1に記載の盗撮防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−20263(P2010−20263A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203590(P2008−203590)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(508238392)株式会社iSAFE (3)
【Fターム(参考)】