説明

監視制御システムおよび監視サーバ

【課題】全ての表示端末において、どのユーザが通信パスの障害を認識したのかを容易に判別する。
【解決手段】表示端末12,21は、通信パスの障害を認識したユーザを識別するユーザ識別情報を障害認識通知に付加し、監視サーバ3は、表示端末12,21からのユーザ識別情報に基づいて、ユーザを識別するユーザ識別部33と、通信パスの障害に対する認識状態を示す障害認識状態情報をユーザ毎に管理し、ユーザ識別部33により識別されたユーザに対応する障害認識状態情報を障害認識済みに更新するデータ制御部31と、データ制御部31に管理されている障害認識状態情報に基づいて、障害認識済みであるユーザに応じて表示形態を変えて、障害認識済みを示す情報を障害情報画面に付加する表示制御部32とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、システム内の障害情報をユーザに提供する監視制御システムおよび監視サーバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の監視制御システムでは、監視対象である各通信伝送装置(ノード)や通信パスの障害状態を監視サーバで一元管理している。そして、監視サーバでは、管理している各障害状態に基づいて障害パス情報画面を生成している。この障害パス情報画面は、各ノードや通信パス全体を管理するユーザの表示端末に表示される。
また、監視サーバは、表示端末を介してユーザにより障害に対する認識操作がなされた場合には、障害パス情報画面の表示形態を変え、ユーザが障害認識済みであることを示している。これにより、全ての表示端末において、ユーザが障害を認識したか否かを判別することができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3329804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される方法では、複数存在するいずれのユーザによる認識操作であっても同一の表示形態に変えている。そのため、特に通信パスを構成する各ノードが国や企業を越えて複数箇所にまたがって存在する場合、どのユーザがその障害を認識したかを判別することは困難であるという課題がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、全ての表示端末において、どのユーザが通信パスの障害を認識したのかを容易に判別することができる監視制御システムおよび監視サーバを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る監視制御システムは、通信パスの障害に関する情報を管理し、障害が発生している通信パスを示す障害パス情報画面を生成する監視サーバと、監視サーバにより生成された障害パス情報画面を表示し、ユーザにより通信パスの障害が認識された場合に障害認知通知を監視サーバに出力する表示端末とを備え、表示端末は、通信パスの障害を認識したユーザを識別するユーザ識別情報を障害認識通知に付加し、監視サーバは、表示端末からの障害認識通知に付加されたユーザ識別情報に基づいて、ユーザを識別するユーザ識別部と、通信パスの障害に対する認識状態を示す障害認識状態情報をユーザ毎に管理し、ユーザ識別部により識別されたユーザに対応する障害認識状態情報を障害認識済みに更新するデータ制御部と、データ制御部に管理されている障害認識状態情報に基づいて、障害認識済みであるユーザに応じて表示形態を変えて、当該障害認識済みを示す情報を障害パス情報画面に付加する表示制御部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、上記のように構成したので、全ての表示端末において、どのユーザが通信パスの障害を認識したのかを容易に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係る監視制御システムの構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る監視サーバの構成を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1におけるデータ制御部に管理されている通信パスデータを示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る監視制御システムによる障害が検出された際・障害が認識された際の動作を示すシーケンスである。
【図5】この発明の実施の形態1に係る監視サーバによる障害が検出された際・障害が認識された際の動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態1における通信パスP1の障害検出直後の障害パス情報画面を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態1における全体管理ユーザが通信パスP1の障害認識後の障害パス情報画面を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態1におけるノード管理ユーザが通信パスP1の障害認識後の障害パス情報画面を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係る監視サーバによる障害が回復した際の動作を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態1における通信パスP1の障害回復後の障害パス情報画面を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態2に係る監視サーバの構成を示す図である。
【図12】この発明の実施の形態2におけるデータ制御部に管理されている通信パスデータを示す図である。
【図13】この発明の実施の形態2に係る監視制御システムによる障害が検出された際・障害が認識された際・対処期限が設定された際の動作を示すシーケンスである。
【図14】この発明の実施の形態2に係る監視サーバによる対処期限が設定された際の対処期限保持動作を示すフローチャートである。
【図15】この発明の実施の形態2に係る監視サーバによる対処期限が設定された際の時刻判断動作を示すフローチャートである。
【図16】この発明の実施の形態2における障害パス情報画面を示す図である。
【図17】この発明の実施の形態2における全体管理ユーザが設定した対処期限を経過後の障害パス情報画面を示す図である。
【図18】この発明の実施の形態2におけるノード管理ユーザが設定した対処期限を経過後の障害パス情報画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る監視制御システムの構成を示す図であり、図2はこの発明の実施の形態1に係る監視サーバの構成を示す図である。
監視制御システムは、図1に示すように、複数の局舎1a〜1d、管理局舎2、監視サーバ3およびルータ4から構成されている。
【0010】
各局舎1a〜1dはそれぞれ、通信伝送装置であるノード(ノードA〜D)11a〜11d、表示端末12a〜12dおよびルータ13a〜13bを有し、対応するノード11a〜11dを管理するものである。なお以下において、特に区別する必要がない場合には、局舎1、ノード11、表示端末12、ルータ13と示す。
管理局舎2は、表示端末21およびルータ22を有し、所定のノード11から構成される通信パス全体を管理するものである。
【0011】
なお図1では、説明の便宜上、4つのノード11a〜11d、5つの表示端末12a〜12d,21を示しているが、どちらも2つ以上の任意の数で構成される。また、各ノード11、各表示端末12,21および監視サーバ3は、ルータ4,13,22を介してネットワーク接続されている。
【0012】
ここで、各表示端末12,21は、監視サーバ3から受信した、障害が発生している通信パス(障害パス)を示す障害パス情報画面を表示する。また、表示端末12,21は、ユーザによる障害パスに対する認識操作を受け付ける。表示端末12,21は、ユーザから障害パスに対する認識操作を受け付けた場合には、その旨を示す障害認識通知に、認識したユーザを識別する情報(ユーザ識別情報)を付加して監視サーバ3に送信する。
【0013】
監視サーバ3は、論理的に各ノード11および各表示端末12,21と接続されており、通知パスの障害に関する情報(通知パスデータ)を一元管理し、この通知パスデータに基づいて表示端末12,21へのグラフィカルな表示(障害パス情報画面)を提供するものである。この監視サーバ3の監視対象は、各ノード11、ノード11間を接続して構成される物理的な波長多重通信回線D1、および、論理的な通信パスP1である。なお図1に示す通信パスP1では、ノードBを経由したノードA−ノードC間を例示しているが、通信パスは任意の2つのノード11間で複数構成される。
【0014】
この監視サーバ3は、図2に示すように、データ制御部31および表示制御部32から構成されている。
データ制御部31は、各局舎1から収集したデータ(通信パス設定情報、障害情報通知や障害回復通知)や表示制御部32からのデータ(ユーザ認識情報)に基づいて、各通信パスデータを管理するものである。
【0015】
表示制御部32は、データ制御部31に管理されている通信パスデータに基づいて、障害パスを示す障害パス情報画面を生成するものである。また、表示制御部32は、データ制御部31により通信パスデータが更新された場合には、この通信パスデータに基づいて、障害パス情報画面を更新する。この表示制御部32により生成された障害パス情報画面は各表示端末12,21に出力される。
【0016】
また、表示制御部32は、ユーザ識別部33を有している。このユーザ識別部33は、表示端末12,21から受信した障害情報通知に付加されたユーザ識別情報に基づいて、障害パスを認識したユーザを識別するものである。このユーザ識別部33に識別されたユーザを示す情報は、このユーザが障害を認識した通信パスを示す情報とともにユーザ認識情報としてデータ制御部31に出力される。
【0017】
次に、データ制御部31に管理されている通信パスデータについて説明する。
図3はこの発明の実施の形態1におけるデータ制御部31に管理されている任意の通信パスデータの構成を示す図である。
通信パスデータは、図3に示すように、通信パスに関する情報(通信パス情報)と、この通信パスに障害が発生した場合における、各ユーザの障害認識状態(障害未認識、障害認識済み)を示す情報(障害認識状態情報)とを保有する領域を有している。
【0018】
この通信パス情報には、通信パスの名称を示す情報(パス名称)と、この通信パスを構成する各ノードを示す情報(パス構成)と、この通信パスの障害発生有無や障害発生日を示す情報(障害状態)とが含まれている。
また、障害認識状態情報には、通信パス全体を管理(全体管理)するユーザによる障害認識状態を示す情報、各ノード11を管理(ノード管理)するユーザによる障害認識状態を示す情報とが含まれている。なお、通信パスに障害が発生していない場合には、障害認識状態情報は全て障害未認識に初期化設定されている。
また、通信パスを構成するノード11や、この通信パスに関連するユーザ(通信パスを構成するノード11を管理するユーザ、通信パス全体を管理するユーザ)等に関する情報(通信パス設定情報)は、ユーザが表示端末12,21を介して入力することによってデータ制御部31に記憶される。
【0019】
次に、上記のように構成された監視サーバ3による障害が検出された際・障害が認識された際の動作について説明する。図4は監視制御システムによる動作を示すシーケンスであり、図5は監視サーバ3による動作を示すフローチャートである。なお以下では、通信パスP1(ノードB)で障害が発生し、通信パスP1の障害が認識された場合について説明する。
監視サーバ3による障害が検出された際・障害が認識された際の動作では、図5に示すように、まず、データ制御部31は、ノードBの障害を検出する(ステップST51)。すなわち、図4に示すように、通信伝送を行っているノードBに障害が発生した場合、このノードBで障害が発生したことを示す障害情報通知がデータ制御部31に送信される。そして、データ制御部31は、受信した障害情報通知に基づいて、障害が発生しているノードBを検出する。
【0020】
次いで、データ制御部31は、障害が発生したノードBを構成要素とする通信パスP1を識別し、通信パスP1に対応する通信パスデータの障害状態を“発生中”に更新する(ステップST52)。このデータ制御部31により更新された通信パスデータ(表示情報)は表示制御部32に出力される。
【0021】
次いで、表示制御部32は、データ制御部31により更新された通信パスデータに基づいて、全ての表示端末12,21の障害パス情報画面を更新する(ステップST53)。すなわち、表示制御部32は、図6に示すように、障害が発生した通信パスP1を示す情報を障害パス情報画面に追加する。この際、通信パスP1の表示部分を赤色点滅で表示するとともに、この通信パスP1を構成するノード11(ノードA〜C)を示すマークを菱形で表示する。これにより、通信パスP1に障害が発生し、この通信パスP1に関連するユーザによる障害認識がされていないことを、全ての表示端末12,21で共有して認識することができる。
なお図6に示す通信パスP5,P12,P23は、その他の障害パスであり、この通信パスに関連する全てのユーザが障害認識を行った状態(通信パスの表示部分が白抜き表示、かつ、この通信パスを構成するノード11を示すマークが円形表示)を示している。
【0022】
また、障害パス情報画面の下部には、現在選択している通信パス(ユーザにより障害パス情報画面の左部の選択ボタンが押下された通信パス)の障害をユーザが認識したことを宣言するための認識ボタンが設けられている。
表示端末12,21は、ユーザにより認識ボタンが押下された場合には、その旨を示す障害認識通知に、認識したユーザを識別するユーザ識別情報を付加してユーザ識別部33に送信する。なお図4では、ノードBを管理するユーザBが認識ボタンを押下した場合について示している。
【0023】
次いで、ユーザ識別部33は、表示端末12,21から障害認識通知を受信する(ステップST54)。
次いで、ユーザ識別部33は、全体管理ユーザが通信パスP1の障害を認識したかを判断する(ステップST55)。すなわち、ユーザ識別部33は、受信した障害認識通知に付加されたユーザ識別情報に基づいて、通信パスP1の障害を認識したユーザが通信パス全体を管理するユーザであるかを判断する。
【0024】
このステップST55において、ユーザ識別部33が、全体管理ユーザが通信パスP1の障害を認識したと判断した場合には、データ制御部31は、通信パスP1に対応する通信パスデータにおいて、全体管理項目の障害認識状態を“障害認識済み”に更新する(ステップST56)。このデータ制御部31により更新された通信パスデータ(表示情報)は表示制御部32に出力される。
【0025】
次いで、表示制御部32は、データ制御部31により更新された通信パスデータに基づいて、全ての表示端末12,21の障害パス情報画面を更新する(ステップST59)。この際、表示制御部32は、図7に示すように、障害パス情報画面の通信パスP1の表示部分を赤色点滅表示から白抜き表示に変更する。これにより、通信パス全体を管理するユーザが通信パスP1の障害を認識したことを、全ての表示端末12,21で共有して認識することができる。
【0026】
一方、ステップST55において、ユーザ識別部33は、全体管理ユーザは通信パスP1の障害を認識していないと判断した場合には、次いで、関連ノード管理ユーザが通信パスP1の障害を認識したかを判断する(ステップST57)。すなわち、ユーザ識別部33は、受信した障害認識通知に付加されたユーザ識別情報に基づいて、通信パスP1の障害を認識したユーザが、この通信パスP1を構成するノード11を管理するユーザであるかを判断する。
【0027】
このステップST57において、ユーザ識別部33が、関連ノード管理ユーザが通信パスP1の障害を認識したと判断した場合には、データ制御部31は、通信パスP1に対応する通信パスデータにおいて、該当するノード管理項目の障害認識状態を“障害認識済み”に更新する(ステップST58)。ここで、ノードBを管理するユーザBが障害認識を行った場合には、データ制御部31は、ノードB管理項目の障害認識状態を“障害認識済み”に更新する。このデータ制御部31により更新された通信パスデータ(表示情報)は表示制御部32に出力される。
【0028】
次いで、表示制御部32は、データ制御部31からの通信パスデータに基づいて、全ての表示端末12,21の障害パス情報画面を更新する(ステップST59)。ここで、ノード11Bを管理するユーザBが障害認識を行った場合には、表示制御部32は、図8に示すように、障害パス情報画面の通信パスP1のノードBを示すマークを菱形表示から円形表示に変更する。これにより、ノードBを管理するユーザBが通信パスP1の障害を認識したことを、全ての表示端末12,21で共有して認識することができる。
【0029】
一方、ステップST57において、ユーザ識別部33は、関連ノード管理ユーザが通信パスP1の障害を認識していないと判断した場合、すなわち、通信パスP1を構成していないノード11(例えばノードD)のユーザが通信パスP1の障害を認識した場合には、通信パスP1とは未関連のユーザであると判断し、通信パスデータの更新は行わない。
【0030】
次に、監視サーバ3による障害が回復した際の動作について説明する。図9は監視サーバ3による動作を示すフローチャートである。なお以下では、通信パスP1(ノードB)の障害が回復した場合について説明する。
監視サーバ3による障害が回復した際の動作では、図9に示すように、まず、データ制御部31は、ノードBでの障害の回復を検出する(ステップST91)。すなわち、障害が発生していたノードBが回復した場合、このノードBでの障害が回復したことを示す障害回復通知がデータ制御部31に送信される。そして、データ制御部31は、受信した障害回復通知に基づいて、障害が回復したノードBを検出する。
【0031】
次いで、データ制御部31は、障害が回復したノードBを構成要素とする通信パスP1を識別し、通信パスP1に対応する通信パスデータの障害状態を“未発生”に更新する(ステップST92)。
次いで、データ制御部31は、通信パスP1に対応する通信パスデータにおいて、全ての障害認識状態を“障害未認識”に設定して初期化する(ステップST93)。このデータ制御部31により更新された通信パスデータは表示制御部32に出力される。
【0032】
次いで、表示制御部32は、データ制御部31により更新された通信パスデータに基づいて、全ての表示端末12,21の障害パス情報画面を更新する(ステップST94)。すなわち、表示制御部32は、図10に示すように、障害が回復した通信パスP1を示す情報を障害パス情報画面から削除する。これにより、障害が発生していた通信パスP1が回復したことを、全ての表示端末12,21で共有して認識することができる。
【0033】
以上のように、この実施の形態1によれば、障害パスが認識されたことをユーザ単位で管理し、障害認識を行ったユーザに応じて表示形態を変えて、この障害認識済みを示す情報を障害パス情報画面に付加するように構成したので、国、企業を越えたノード11により構成される通信パスに障害が発生した場合にも、どのユーザが障害認識を行ったのかを、全ての表示端末12,21で容易に識別することができる。
【0034】
実施の形態2.
図11はこの発明の実施の形態2における監視サーバ3の構成を示す図である。この図11に示す実施の形態2に係る監視サーバ3は、図2に示す実施の形態1に係る監視サーバ3に時刻管理部34を追加したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
なお、各表示端末12,21は、実施の形態1における機能に加えて、障害パスの対処期限の設定を受け付ける機能を有している。すなわち、各表示端末12,21は、ユーザにより、障害パスに対する認識操作がなされる際に、この障害パスに対する対処期限の設定を受け付ける。この表示端末12,21により受け付けられた対処期限を示す情報は障害認識通知に付加されて監視サーバ3に送信される。
【0035】
時刻管理部34は、現在時刻を示す情報を保持するものである。この時刻管理部34に保持されている現在時刻情報はデータ制御部31により抽出される。
また、データ制御部31は、実施の形態1における機能に加えて、障害パスの対処期限を管理する機能を有している。すなわち、データ制御部31は、図12に示すように、表示端末12,21から受信した対処期限情報を、該当する通信パスデータの該当する管理項目(全体管理項目または各ノード管理項目)に記憶する。また、データ制御部31は、時刻管理部34に保持されている現在時刻を定期的にチェックし、現在時刻が対処期限を越えたと判断した場合には、この対処期限情報を対処期限切れに更新する。
【0036】
また、表示制御部32は、実施の形態1における機能に加えて、障害パス情報画面に障害パスの対処期限切れを示す情報を付加する機能を有している。すなわち、表示制御部32は、データ制御部31に管理されている通信パスデータの対処期限情報が対処期限切れである場合には、この対処期限切れであるユーザに応じて表示形態を変えて、対処期限切れを示す情報を障害パス情報画面に付加する。
【0037】
次に、上記のように構成された監視サーバ3による対処期限が設定された際の動作について説明する。図13は監視制御システムによる動作を示すシーケンスであり、図14は監視サーバ3による対処期限保持動作を示すフローチャートであり、図15は監視サーバ3による時刻判断動作を示すフローチャートである。なお以下では、通信パスP1(ノードB)で障害が発生し、通信パスP1の障害に対する認識・対処期限の設定が行われた場合について説明する。
【0038】
なお、通信パスP1に障害が発生した際に表示端末12,21に表示される障害パス情報画面の下部には、図16に示すように、現在選択している通信パスの対処期限を設定するための項目が設けられている。
表示端末12,21は、ユーザにより障害パスに対する対処期限が設定され、認識ボタンが押下された場合には、障害認識通知にユーザ識別情報および対処期限情報を付加して監視サーバ3に送信する。なお図13では、ノードBを管理するユーザBが障害パスに対する対処期限を設定し、認識ボタンを押下した場合について示している。
【0039】
まず、監視サーバ3による対処期限が設定された際の対処期限保持動作では、図14に示すように、ユーザ識別部33は、表示端末12から障害認識通知を受信する(ステップST141)。
次いで、ユーザ識別部33は、全体管理ユーザが通信パスP1の障害に対する対処期限を設定したかを判断する(ステップST142)。すなわち、ユーザ識別部33は、受信した障害認識通知に付加されたユーザ識別情報に基づいて、通信パスP1の障害に対する対処期限を設定したユーザが通信パス全体を管理するユーザであるかを判断する。
【0040】
このステップST142において、ユーザ識別部33が、全体管理ユーザが通信パスP1の障害に対する対処期限を設定したと判断した場合には、データ制御部31は、通信パスP1に対応する通信パスデータにおいて、全体管理項目に対処期限情報を記憶する(ステップST143)。
【0041】
一方、ステップST142において、ユーザ識別部33は、全体管理ユーザは通信パスP1の障害に対する対処期限を設定していないと判断した場合には、次いで、関連ノード管理ユーザが通信パスP1の障害に対する対処期限を設定したかを判断する(ステップST144)。すなわち、ユーザ識別部33は、受信した障害認識通知に付加されたユーザ識別情報に基づいて、通信パスP1の障害に対する対処期限を設定したユーザが、この通信パスP1を構成するノード11を管理するユーザであるかを判断する。
【0042】
このステップST144において、ユーザ識別部33が、関連ノード管理ユーザが通信パスP1の障害に対する対処期限を設定したと判断した場合には、データ制御部31は、通信パスP1に対応する通信パスデータにおいて、該当するノード管理項目に対処期限情報を記憶する(ステップST145)。
【0043】
一方、ステップST144において、ユーザ識別部33は、関連ノード管理ユーザが通信パスP1の障害に対する対処期限設定を行っていないと判断した場合、すなわち、通信パスP1を構成していないノード11(例えばノードD)のユーザが通信パスP1の障害を認識した場合には、通信パスP1とは未関連のユーザであると判断し、対処期限情報の記憶は行わない。
以上の処理により、障害パスに対する対処期限情報を、設定したユーザ毎に通信パスデータに記憶することができる。
【0044】
次に、監視サーバ3による対処期限が設定された際の時刻判断動作では、図15に示すように、まず、データ制御部31は、通信パスP1に対応する通信パスデータの全体管理項目に記憶されている対処期限を、時刻管理部34から取得した現在時刻と比較し、現在時刻が対処期限を越えているかを判断する(ステップST151)。
【0045】
このステップST151において、データ制御部31は、現在時刻が全体管理項目の対処期限を越えていると判断した場合には、全体管理項目の対処期限情報を“対処期限切れ”に更新する(ステップST152)。このデータ制御部31により更新された通信パスデータ(表示情報)は表示制御部32に出力される。
【0046】
次いで、表示制御部32は、データ制御部31により更新された通信パスデータに基づいて、全ての表示端末12,21の障害パス情報画面を更新する(ステップST153)。この際、表示制御部32は、図17に示すように、障害パス情報画面の通信パスP1の表示部分を赤色点滅表示から赤色点灯表示に変更する。これにより、通信パス全体を管理するユーザにより設定された通信パスP1の障害に対する対処期限を経過したことを、全ての表示端末12,21で共有して認識することができる。
【0047】
次いで、データ制御部31は、通信パスP1に対応する通信パスデータの各ノード管理項目に記憶されている対処期限を、時刻管理部34から取得した現在時刻と比較し、現在時刻が対処期限を越えているかを判断する(ステップST154)。
【0048】
このステップST154において、データ制御部31は、現在時刻がノード管理項目の対処期限を越えていると判断した場合には、該当するノード管理項目の対処期限情報を“対処期限切れ”に更新する(ステップST155)。ここで、ノードBを管理するユーザBが対処期限設定を行った場合には、データ制御部31は、ノードB管理項目に記憶されている対処期限情報を“対処期限切れ”に更新する。このデータ制御部31により更新された通信パスデータ(表示情報)は表示制御部32に出力される。
【0049】
次いで、表示制御部32は、データ制御部31により更新された通信パスデータに基づいて、全ての表示端末12,21の障害パス情報画面を更新する(ステップST156)。ここで、ノードBを管理するユーザBが対処期限設定を行った場合には、表示制御部32は、図18に示すように、障害パス情報画面の通信パスP1を構成するノードBを示すマークを円形表示から×表示に変更する。これにより、ノードBを管理するユーザBにより設定された通信パスP1の障害に対する対処期限を経過したことを、全ての表示端末12,21で共有して認識することができる。
なお、障害パス情報画面上の対処期限切れ表示となった箇所は、ユーザにより再度認識ボタンが押下されることによって、再び認識済みの状態に戻る。
【0050】
以上のように、この実施の形態2によれば、障害パスに対して設定された対処期限をユーザ単位で管理し、現在時刻が対処期限を越えた場合に、この対処期限を設定したユーザに応じて表示形態を変えて、この対処期限切れを示す情報を障害パス情報画面に付加するように構成したので、全ての表示端末12,21で障害パスに対する対処状況を共有することができ、ユーザの保守運用性を向上させることができる。
【0051】
実施の形態3.
実施の形態2では、現在時刻が対処期限を越えた場合、通信パスデータの該当する対処期限情報を対処期限切れに更新し、障害パス情報画面に対処期限切れ表示(全体管理ユーザに対する対処期限切れでは赤色点灯表示、ノード管理ユーザに対する対処期限切れではノードマークの×表示)を行っている。しかしながら、これに限るものではなく、現在時刻が対処期限を越えた場合に、通信パスデータの該当する障害認識状態を未認識に戻し、障害パス情報画面に未認識表示(全体管理対する対処期限切れでは赤色点滅表示、ノード管理ユーザに対する対処期限切れではノードマークの菱形表示)を行うようにしてもよい。
【0052】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1,1a〜1d 局舎、2 管理局舎、3 監視サーバ、4 ルータ、11,11a〜11d ノード、12,12a〜12d 表示端末、13,13a〜13d ルータ、21 表示端末、22 ルータ、31 データ制御部、32 表示制御部、33 ユーザ識別部、34 時刻管理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信パスの障害に関する情報を管理し、障害が発生している通信パスを示す障害パス情報画面を生成する監視サーバと、前記監視サーバにより生成された障害パス情報画面を表示し、ユーザにより前記通信パスの障害が認識された場合に障害認知通知を前記監視サーバに出力する表示端末とを備えた監視制御システムにおいて、
前記表示端末は、
前記通信パスの障害を認識したユーザを識別するユーザ識別情報を障害認識通知に付加し、
前記監視サーバは、
前記表示端末からの障害認識通知に付加されたユーザ識別情報に基づいて、ユーザを識別するユーザ識別部と、
前記通信パスの障害に対する認識状態を示す障害認識状態情報をユーザ毎に管理し、前記ユーザ識別部により識別されたユーザに対応する障害認識状態情報を障害認識済みに更新するデータ制御部と、
前記データ制御部に管理されている障害認識状態情報に基づいて、障害認識済みであるユーザに応じて表示形態を変えて、当該障害認識済みを示す情報を障害パス情報画面に付加する表示制御部とを備えた
ことを特徴とする監視制御システム。
【請求項2】
前記表示端末は、
ユーザから、認識した通信パスの障害に対する対処期限の設定を受け付け、
前記監視サーバは、
現在時刻を保持する時刻管理部をさらに備え、
前記データ制御部は、前記表示端末により受け付けられた対処期限を示す情報をユーザ毎に管理し、前記時刻管理部に保持されている現在時刻が前記対処期限を越えたと判断した場合に当該対処期限情報を対処期限切れに更新し、
前記表示制御部は、前記データ制御部に管理されている対処期限情報に基づいて、対処期限切れであるユーザに応じて表示形態を変えて、当該対処期限切れを示す情報を障害パス情報画面に付加する
ことを特徴とする請求項1記載の監視制御システム。
【請求項3】
前記データ制御部は、前記時刻管理部に保持されている現在時刻が前記対処期限を越えたと判断した場合に対応する障害認識状態情報を未認識に更新し、
前記表示制御部は、前記データ制御部に管理されている障害認識状態情報に基づいて、未認識であるユーザに応じて表示形態を変えて、当該未認識を示す情報を障害パス情報画面に付加する
ことを特徴とする請求項2記載の監視制御システム。
【請求項4】
通信パスの障害に関する情報を管理し、障害が発生している通信パスを示す障害パス情報画面を生成し、ユーザにより前記通信パスの障害が認識されたことを示す障害認知通知を受信する監視サーバにおいて、
前記通信パスの障害を認識したユーザを識別するユーザ識別情報が付加された障害認識通知を受信し、当該ユーザ識別情報に基づいて、ユーザを識別するユーザ識別部と、
前記通信パスの障害に対する認識状態を示す障害認識状態情報をユーザ毎に管理し、前記ユーザ識別部により識別されたユーザに対応する障害認識状態情報を障害認識済みに更新するデータ制御部と、
前記データ制御部に管理されている障害認識状態情報に基づいて、障害認識済みであるユーザに応じて表示形態を変えて、当該障害認識済みを示す情報を障害パス情報画面に付加する表示制御部と
備えたことを特徴とする監視サーバ。
【請求項5】
現在時刻を保持する時刻管理部をさらに備え、
前記データ制御部は、ユーザにより設定された、認識した通信パスの障害に対する対処期限を示す情報を受信してユーザ毎に管理し、前記時刻管理部に保持されている現在時刻が前記対処期限を越えたと判断した場合に当該対処期限情報を対処期限切れに更新し、
前記表示制御部は、前記データ制御部に管理されている対処期限情報に基づいて、対処期限切れであるユーザに応じて表示形態を変えて、当該対処期限切れを示す情報を障害パス情報画面に付加する
ことを特徴とする請求項4記載の監視サーバ。
【請求項6】
前記データ制御部は、前記時刻管理部に保持されている現在時刻が前記対処期限を越えたと判断した場合に対応する障害認識状態情報を未認識に更新し、
前記表示制御部は、前記データ制御部に管理されている障害認識状態情報に基づいて、未認識であるユーザに応じて表示形態を変えて、当該未認識を示す情報を障害パス情報画面に付加する
ことを特徴とする請求項5記載の監視サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−114555(P2012−114555A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259947(P2010−259947)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】