説明

監視回路

コンピュータの異常動作を検出して自動的に回避処置をとらせるフェールセーフシステム等に利用するのに有効な技術である監視回路に関するものである。
【課題】ノイズ対策や電源電圧の安定化に費やすコストを抑えることができる。
【解決手段】
コンデンサに電荷を充電する手段(1)と、監視対象の電源電圧を監視する電源電圧判定手段(5)と、前記コンデンサの電荷量が第一の電荷量を上回った際に放電を行う第一の放電手段(2a)と、前記電源電圧が第一の基準電圧を下回った際に前記コンデンサの放電を行う第二の放電手段(2b)と、前記コンデンサの電荷量が前記第一の電荷量を上回った後、前記コンデンサの電荷が放電されることによって前記第一の電荷量よりも低く設定された第二の電荷量を下回った際に前記監査対象をリセットするための信号を発する電荷量判定手段(4)と、を備えることを特徴とする監視回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンピュータの異常動作を検出して自動的に回避処置をとらせるフェールセーフシステム等に利用するのに有効な技術である監視回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は従来の監視回路の回路図を示している。同図に示す従来の監視回路は、監視対象の一例であるマイコン107の電源電圧108(VDD)が、マイコン107が安全に動作するための電源電圧よりも下回った減電時に、マイコン107を安全に終了させるためのマイコン107の電源電圧108の監視と、マイコン107が正常に動作していない時間が一定時間を超えたときにマイコン107をリセットするための、マイコン107が正常時に動作しているときにマイコン107から出力される正常動作クロックの到達間隔を測定している。マイコン107の電源電圧108の監視は電源電圧判定手段である比較器105を用いることによって行い、また、正常動作クロックの間隔の監視は、充電手段である定電流源101と、放電手段である定電流源102aと放電手段であるNMOSトランジスタ102bを制御することによりコンデンサ103に蓄積される電荷量を電荷量判定手段であるウィンドコンパレータ104で測定して一定の時間を作り出し、正常動作クロックの到達を観測して行う。したがって、電源電圧108が減電時ではなく正常であり、かつ正常動作クロックが監視回路に入力されているときは、マイコン107はリセットされることなく動作し続けることになる。なお、マイコン107の電源電圧と監視回路の電源は同一の電源電圧が使用されている。
【0003】
図5に示す従来の監視回路の動作を、図6に示す従来の監視回路の電圧変動図を用いて説明する。図6において、縦軸は電圧、横軸は時間を表しており、同図に示すグラフはそれぞれ(a)マイコン107の電源電圧108、(b)マイコン107からの正常動作クロック、(c)ウィンドコンパレータ104で測定するコンデンサ103の電荷量、(d)比較器105とウィンドコンパレータ104からのマイコン107へのリセット信号(ローでリセット状態)、(e)ウィンドコンパレータ104の出力、を示している。
【0004】
図6の縦線(0)は、図5に示す従来の監視回路とマイコン107に電源が入ったタイミングを示している。このとき充電回路である定電流源101は起動するが、定電流源101の充電速度よりも早く放電を行う定電流源102aと、スイッチング動作によってコンデンサ103の放電を行うNMOSトランジスタ102bも起動することからコンデンサ103の電荷は蓄積しない。なお、充電回路である定電流源101は監視回路の電源が落ちない限り常に起動していることから、コンデンサ103の電荷は放電手段である定電流源102aとNMOSトランジスタ102bが起動していない場合はコンデンサ103の電荷は蓄積を続け、コンデンサ103の電荷を放出するには定電流源102aとNMOSトランジスタ102bを起動することによって行う。NMOSトランジスタ102bが起動するとコンデンサ103の電荷は、定電流源102aのみが起動している場合に比較して瞬時に放電される。
【0005】
図6の縦線(6)と縦線(10)は、図5の従来の監視回路に示すマイコン107からの正常動作クロックが監視回路に入力されないので、充電手段である定電流源101によってコンデンサ103の電荷が蓄積され、電荷量判定手段であるウィンドコンパレータ104で測定するコンデンサ103の電荷量がウィンドコンパレータ104のハイ側の閾値電圧(VCthh)を上回ったタイミングを示している。このときウィンドコンパレータ104の出力がハイになり、このウィンドコンパレータ104の出力ハイによってマイコン107にリセットがかけられる。
【0006】
図6の縦線(3)と縦線(8)は、図5の従来の監視回路が監視する電源電圧108が下がり、比較器105のロー側の閾値電圧(VDDthl)を下回ったタイミングを示している。このとき比較器105の出力によってマイコン107にリセットがかけられる。
【0007】
図6の縦線(2)と縦線(5)は、図5の従来の監視回路にマイコン107からの正常動作クロックが入力されたので放電手段である定電流源102aを起動して、コンデンサ103の電荷を放電し始めるタイミングを示している。
【0008】
図6の縦線(1)と縦線(4)と縦線(9)は、図5の従来の監視回路のマイコン107の電源電圧108が上昇し、比較器105のハイ側の閾値電圧(VDDthh)を上回ったタイミングを示している。このとき放電手段である定電流源102aとNMOSトランジスタ102bが停止する。
【0009】
図5のウィンドコンパレータ104の出力はコンデンサ103の電荷量の変動によって図6に示すグラフ(e)に示す波形となる。ロジック回路106はウィンドコンパレータ104の出力をマイコン107や定電流源102aへ伝達させ、あるいは伝達させないように動作する。ロジック回路109も比較器105やロジック回路106やマイコン107の出力を定電流源101等に伝達させ、あるいは伝達させないように動作する。図5に示す108は監視回路の電源電圧でもあり、抵抗群110a、110b、110cはウィンドコンパレータ104のハイ側の閾値電圧とロー側の閾値値電圧(VCthl)を設定するために用いられている。
【0010】
図5に示す従来の監視回路は以上で説明したが、要約するとコンデンサ103の電荷が蓄積され、ウィンドコンパレータ104で測定する電圧がウィンドコンパレータ104のハイ側の閾値電圧を上回ると、ウィンドコンパレータ104の出力によってマイコン107にリセットをかけ、また電源電圧108が下がって比較器105のロー側の閾値電圧を下回ったときは比較器105の出力によってマイコン107にリセットをかけるように動作しており、2つの経路でマイコン107にリセットをかける構成となっている。そして電源電圧108が下がって比較器105のロー側の閾値電圧を下回った際にマイコン107にリセットをかけると同時に、一定期間を測定するためにコンデンサ103の電荷の放出を瞬時に行う。実開平5−40942号公報でも同様にコンデンサの電荷を瞬時に放電している。
【特許文献1】実開平5−40942
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし図5に示す従来の監視回路は、図6に示す縦線(4)のタイミングでマイコン107が正常に動作しているときのマイコン107からの正常動作クロック(A)が監視回路に入力されているにも係わらず、図6の縦線(3)で示すノイズ等によって引き起こされる電源電圧108の瞬断によって、電源電圧108が正常に復帰した際にもマイコン107をリセットしてしまう(同図に示すB)。つまりマイコン107は正常に動作しているにも係わらずマイコン107にリセットがかかることとなる。このように、マイコンの正常動作時にもノイズ等によって電源電圧が瞬断した際にマイコンがリセットされてしまうため、ノイズ対策や電源電圧の安定化にコストを費やすこととなり、また正常に動作しているマイコンがリセットされてしまうため、マイコンによって制御される制御対象物の処理が中断されることとなり、マイコンとその制御対象物を備える電子機器の処理速度が遅くなるといった問題が生じるのである。
【0012】
本発明は従来の前記実情に鑑み、従来の技術に内在する前記課題を解消する為になされたものであり、本発明の目的はノイズ対策を容易に実現する監視回路を提供することであり、さらに前述の監視回路を備えた半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1記載の監視回路は、
コンデンサに電荷を充電する手段と、
監視対象の電源電圧を監視する電源電圧判定手段と、
前記コンデンサの電荷量が第一の電荷量を上回った際に放電を行う第一の放電手段と、
前記電源電圧が第一の基準電圧を下回った際に前記コンデンサの放電を行う第二の放電手段と、
前記コンデンサの電荷量が前記第一の電荷量を上回った後、前記コンデンサの電荷が放電されることによって前記第一の電荷量よりも低く設定された第二の電荷量を下回った際に前記監査対象をリセットするための信号を発する電荷量判定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の監視回路は、
前記監視対象の電源電圧が前記第一の基準電圧を下回った際に前記コンデンサの電荷が放電されることによって、その電荷量が前記第二の電荷量を下回るまでに
前記監視対象の電源電圧が復帰して前記第一の基準電圧よりも高く設定された第二の基準電圧を上回った際に
前記第二の放電手段を停止することを特徴とする
請求項1記載の監視回路である。
【0015】
請求項3記載の監視回路は、
前記監視対象の電源電圧が前記第一の基準電圧を下回った際に前記コンデンサの電荷が放電されることによって、その電荷量が前記第二の電荷量を下回るまでに
前記監視対象の電源電圧が復帰して前記第一の基準電圧よりも高く設定された前記第二の基準電圧を上回った際に
前記第一及び前記第二の放電手段を停止する事を特徴とする
請求項1記載の監視回路である。
【0016】
請求項4記載の監視回路は、前記第一の放電手段が定電流源で、前記第二の放電手段がNMOSトランジスタであり、該NMOSトランジスタのオン抵抗が、前記第一の電荷量から前記第二の電荷量に相当する電荷を5μ秒から400μ秒で放出するように設定されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の監視回路である。
【0017】
請求項5記載の監視回路は、前記第一及び前記第二の放電手段が定電流源で、前記電源電圧判定手段が比較器で構成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の監視回路である。
【0018】
請求項6記載の半導体装置は、請求項1ないし請求項5のいずれかの監視回路を備えることを特徴とする半導体装置である。
【発明の効果】
【0019】
ノイズ対策を容易に実現する監視回路の提供を実現し、正常に動作しているマイコンの処理の不必要な中断することがなくなるため、マイコンによって制御される制御対象物の処理を中断することがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1に示す本発明に係わる監視回路は、図5に示す従来の監視回路に比較して、電源電圧判定手段の出力によってマイコンにリセットをかける経路を設けておらず、またスイッチング動作により放電を行うNMOSトランジスタのオン抵抗を高くして(本実施例ではコンデンサ3の電荷をほぼゼロまで放電するの約40μ秒必要とするオン抵抗の大きさを意図的に設定している)放電能力を抑えてある。また電源電圧が電源電圧判定手段である比較器のロー側の閾値電圧を下回ったあと、比較器のハイ側の閾値電圧に復帰した際に放電手段であるNMOSトランジスタ(第二の放電手段)を停止するように動作するものである。
【実施例1】
【0021】
以下、図1に示す本発明に係わる監視回路の実施例1の動作を、図2に示す本発明に係わる実施例1の監視回路の電圧変動図を用いて説明する。
なお、図2において、縦軸は電圧、横軸は時間を表しており、同図に示すグラフはそれぞれ(a)マイコン7の電源電圧8、(b)マイコン7からの正常動作クロック、(c)ウィンドコンパレータ104で測定するコンデンサ3の電荷量、(d)比較器5からマイコン7へのリセット信号(ローでリセット状態)、(e)ウィンドコンパレータ4の出力、を示している。
【0022】
図2に示す縦線(0)は図1の本発明に係わる監視回路と監視対象であるマイコン7の電源が入ったタイミングを示している。このとき充電回路である定電流源1は起動するが、それぞれが定電流源1の充電速度より早く放電する定電流源2a(第一の放電手段)とNMOSトランジスタ2b(第二の放電手段)も起動することからコンデンサ3の電荷は蓄積されない。なお、定電流源1は監視回路の電源が落ちない限り常に起動している。
【0023】
図2に示す縦線(1)はマイコン7の電源電圧8が電源電圧判定手段である比較器5のハイ側の閾値電圧(第二の基準電圧であるVDDthh)を上回ったタイミングを示しており、このとき比較器5の出力によって放電手段である定電流源2aおよびオン抵抗の高いNMOSトランジスタ2bが停止するので、コンデンサ3の電荷は蓄積し始める。なお、比較器5のハイ側の閾値電圧と後述のロー側の閾値電圧(第一の基準電圧であるVDDthl)は比較器5の出力を帰還して抵抗分割を行うことでヒステリシスを持たせて設定している。
【0024】
図2に示す縦線(1)と縦線(2)の間の区間は定電流源1によってコンデンサ3に電荷が蓄積されている状態を示している。
【0025】
図2に示す縦線(2)はコンデンサ3に電荷が蓄積し、コンデンサ3の電荷量が電荷量判定手段であるウィンドコンパレータ4のロー側の閾値電圧(第二の電荷量に相当する電圧VCthl)を上回ったので、ウィンドコンパレータ4の出力がローになったタイミングを示している。このときロジック回路6はこのウィンドコンパレータ4のローの出力を伝達させないように動作する。ロジック回路9もウィンドコンパレータ4や比較器5やマイコン7の出力を充電手段である定電流源1や放電手段である定電流源2aやオン抵抗の高いNMOSトランジスタ2bに伝達させ、あるいは伝達させない様に動作する。なおウィンドコンパレータ4のロー側の閾値電圧と後述のハイ側の閾値電圧(第一の電荷量に相当する電圧VCthh)はそれぞれウィンドコンパレータ4の電源電圧8を抵抗10a、10b、10cで分圧することによって設定されている。
【0026】
図2に示す縦線(2)と縦線(3)の間の区間は定電流源1によってコンデンサ3に電荷が蓄積されている状態を示している。
【0027】
図2に示す縦線(3)はコンデンサ3に電荷が蓄積し、ウィンドコンパレータ4で測定するコンデンサ3の電荷量がウィンドコンパレータ4のハイ側の閾値電圧を上回ったタイミングを示している。このときウィンドコンパレータ4の出力はハイになり、このウィンドコンパレータ4の出力によってマイコン7がリセット解除の状態になる。またウィンドコンパレータ4の出力によって放電手段である定電流源2aが起動される。
【0028】
図2に示す縦線(3)と縦線(4)の間の区間は、放電回路である定電流源2aが起動したことからコンデンサ3の電荷が放出されている状態を示している。
【0029】
図2に示す縦線(4)は、コンデンサ3の電荷が放出され、ウィンドコンパレータ4で測定するコンデンサ3の電荷量がウィンドコンパレータ4のハイ側の閾値電圧を下回ったタイミングを示している。このときウィンドコンパレータ4の出力はローになるが、ロジック回路6はこのウィンドコンパレータ4の出力ローを伝達させないように動作する。
【0030】
図2に示す縦線(4)と縦線(5)の間の区間は定電流源2aが起動しているのでコンデンサ3の電荷が放出されている状態を示している。
【0031】
図2に示す縦線(5)は、マイコン7からの正常動作クロックが本発明に係わる監視回路に入力されたタイミングを示している。マイコン7からの正常動作クロックの到達は監視回路の放電手段である定電流源2aを制御することによって行われる。マイコン7からの正常動作クロックが本発明に係わる監視回路に入力されると放電手段である定電流源2aが停止し、コンデンサ3の電荷が蓄積されはじめる。
【0032】
図2に示す縦線(5)と縦線(6)の間の区間は放電手段である定電流源2aが停止していることからコンデンサ3に電荷が蓄積されている状態を示している。
【0033】
図1に示す本発明に係わる監視回路は、図2に示す縦線(6)のタイミングと、縦線(6)と縦線(7)の間に示す区間において、同図に示す縦線(3)のタイミングと、縦線(3)と縦線(4)の間に示す区間と同一の動作をするため説明を省略する。
【0034】
図2に示す縦線(8)は放電手段である定電流源2aによってコンデンサ3の電荷が放出され、ウィンドコンパレータ4で測定するコンデンサ3の電荷量がウィンドコンパレータ4のロー側の閾値電圧を下回ったタイミングを示している。このときウィンドコンパレータ4の出力がハイになり、このウィンドコンパレータ4の出力によってマイコン4にリセットがかかるとともに放電手段である定電流源2aが停止する。
【0035】
図2に示す縦線(8)と縦線(9)の間に示す区間は、放電手段である定電流源2aが停止したことから、コンデンサ3の電荷が蓄積し始めた状態を示している。
【0036】
図1に示す本発明に係わる監視回路は、図2に示す縦線(9)のタイミングと、縦線(9)と縦線(11)の間の区間において、同図に示す縦線(2)のタイミングと、縦線(2)と縦線(4)の間に示す区間と同一の動作をするため動作説明を省略する。
【0037】
図2に示す縦線(12)は、ノイズ等によってマイコン7の電源電圧8が下がり、比較器5のロー側の閾値電圧を下回ったタイミングを示している。このとき比較器5の出力によって放電手段である定電流源2aに比較して放電能力があるオン抵抗の高いNMOSトランジスタ2bが起動されることから、コンデンサ3の電位は定電流源2aのみが起動しているときに比較して急激に下がり始める。
【0038】
図2に示す縦線(12)と縦線(13)の間の区間は、放電手段である定電流源2aと放電手段であるオン抵抗の高いNMOSトランジスタ2bによってコンデンサ3の電荷が放出されている状態を示している。なおオン抵抗の高いNMOSトランジスタ2bのオン抵抗は、定電流源2aとオン抵抗の高いNMOSトランジスタ2bとによって電荷量判定手段であるウィンドコンパレータ4のハイ側の閾値電圧に相当するコンデンサ3の電荷をウィンドコンパレータ4のロー側の閾値電圧に相当する電荷にまで放出するのに約40μ秒の時間がかかるように設定されている。
【0039】
図2に示す縦線(13)は電源電圧8が瞬段した状態から復帰して、比較器5のハイ側の閾値電圧を上回ったタイミングを示している。このとき比較器5の出力によって放電手段であるオン抵抗の高いNMOSトランジスタ2bは停止する。
【0040】
縦線(13)と縦線(13b)の間の区間は、放電手段である定電流源2aによってコンデンサ3の電荷が放出されている状態を示している。
【0041】
縦線(13b)はマイコン7からの正常動作クロックがロジック回路109に入力されるタイミングを示している。このマイコン7からの正常動作クロックによって放電手段である定電流源2aが停止される。
【0042】
図2に示す縦線(13b)と縦線(14)の間の区間は、放電手段である定電流源2aと放電手段であるオン抵抗の高いNMOSトランジスタ2bが停止していることから、充電手段である定電流源1によってコンデンサ3に電荷が蓄積し始めている状態を示している。
【0043】
図1に示す本発明に係わる監視回路は、図2に示す縦線(14)のタイミングと、縦線(14)と縦線(15)の間の区間において、同図に示す縦線(10)のタイミングと、縦線(10)と縦線(11)の間の区間と同一の動作をすることから動作説明を省略する。
【0044】
図2に示す縦線(16)は電源電圧8がノイズ等によって比較器5のロー側の閾値電圧を下回ったタイミングを示している。このとき比較器5の出力によって放電手段であるオン抵抗の高いNMOSトランジスタ2bが起動する。
【0045】
図2に示す縦線(16)と縦線(17)の間の区間は、放電手段である定電流源2aと放電手段であるオン抵抗の高いNMOSトランジスタ2bによって、コンデンサ3の電荷が瞬時に放出されている状態を示している。
【0046】
図2に示す縦線(17)はコンデンサ3の電荷が放出されウィンドコンパレータ4で測定するコンデンサ3の電位がウィンドコンパレータ4のロー側の閾値電圧を下回ったタイミングを示している。このときウィンドコンパレータ4の出力はハイとなり、このウィンドコンパレータ4の出力によってマイコン7にリセットがかかる。
【0047】
図2に示す縦線(17)と縦線(18)の間の区間は、電源電圧8の瞬断から復帰に向かっているものの、コンデンサ3の電荷は放電手段である定電流源2aと放電手段であるNオン抵抗の高いMOSトランジスタ2bによって放出したままの状態を示している。
【0048】
図2に示す縦線(18)はマイコン7の電源電圧8の瞬断から復帰して比較器5のハイ側の閾値電圧を上回ったタイミングを示している。このとき比較器5の出力によって放電手段である定電流源2aと放電手段であるオン抵抗の高いNMOSトランジスタ2bが停止する。
【0049】
図2に示す縦線(18)と縦線(19)の間に示す区間は、放電手段である定電流源2aと放電手段であるオン抵抗の高いNMOSトランジスタ2bが停止したため充電手段である定電流源1によってコンデンサ3に電荷が蓄積されている状態を示している。
【0050】
図1に示す本発明に係わる監視回路は、図2に示す縦線(19)のタイミングと、縦線(19)と縦線(21)の間の区間において、同図に示す縦線(9)のタイミングと、縦線(9)と縦線(11)の間の区間と同一の動作をするため動作説明を省略する。
【0051】
以上で説明したように、図1に示す本発明に係わる監視回路は、コンデンサ3の電荷が放出され、ウィンドコンパレータ4で測定するコンデンサ3の電位が下がってウィンドコンパレータ4のロー側の閾値電圧を下回ると、ウィンドコンパレータ4の出力によってマイコン7にリセットをかけ、また電源電圧8が比較器5のロー側の閾値電圧を下回ったときは比較器5の出力によってマイコン7にリセットをかけるのではなく、比較器5の出力によって放電手段であるオン抵抗の高いNMOSトランジスタ2bを起動してコンデンサ3の電荷を放出させ、それによってウィンドコンパレータ4で測定する電圧がウィンドコンパレータ4のロー側の閾値電圧を下回るとウィンドコンパレータ4の出力によってマイコン7にリセットをかけるように動作するものである。すなわち、本発明に係わる監視回路は、マイコン7の正常動作クロックの間隔と、マイコン7の電源電圧8の二つを監視するものの、マイコン7にリセットをかける経路は一つとなっているのである。
【0052】
マイコンが安全に動作することができる電圧を下回るとマイコンを安全に終了させるためにマイコンをリセットする必要があるが、マイコンの電源電圧がノイズ等によって瞬断したあとすぐに復帰する際など、マイコンにリセットをかける必要がないときに、図5の従来の監視回路はリセットをかけてしまうが、図1に示す本発明に係わる監視回路はマイコンにリセットをかける経路を一つだけにし、なおかつコンデンサの電荷をスイッチング動作により放出することで、一定の時間を確保することが可能となり、マイコンの電源電圧がノイズ等によって瞬時に下がってすぐ復帰する際などはマイコンにリセットをかけない様に動作するのである。
【0053】
以上のことから本発明に係わる監視回路の電圧変動図2は、従来の監視回路の電圧変動図6に示す、必要のないリセット信号(B)を発生させることはないので、本発明に係わる監視回路はノイズ対策を容易に実現することが可能となるのである。
【実施例2】
【0054】
以下、図3に示す本発明に係わる監視回路の実施例2の動作を、図4に示す本発明に係わる監視回路の実施例2の電圧変動図を用いて説明する。実施例2では実施例1に比較してロジック回路9の動作を変更し、なおかつ電源電圧判定手段である比較器5からロジック回路109への経路を設け、電源電圧が比較器5のロー側の閾値電圧を下回った際に放電回路である定電流源2a(第一の放電手段)とオン抵抗の高いNMOSトランジスタ2b(第二の放電手段)の両方を停止するように動作する。なお、図4において、縦軸は電圧、横軸は時間を表しており、同図に示すグラフはそれぞれ(a)マイコン7の電源電圧8、(b)マイコン7からの正常動作クロック、(c)ウィンドコンパレータ104で測定するコンデンサ3の電荷量、(d)比較器5からマイコン7へのリセット信号(ローでリセット状態)、(e)ウィンドコンパレータ4の出力、を示している。
【0055】
図4に示す本発明に係わる監視回路の電圧変動図は、図2に示す本発明に係わる監視回路の電圧変動図に比較して縦線(13)に示すタイミングでコンデンサ3の電荷が充電の状態に変化している。これはマイコン7の電源電圧8が比較器5のロー側の閾値電圧を下回ったあと、ハイ側の閾値電圧まで復帰した際は、比較器5の出力によって放電手段である定電流源2aとオン抵抗の高いNMOSトランジスタ2bの両方を停止させるようにロジック回路9が動作するからである。
【0056】
以上のように、図3の本発明に係わる監視回路の実施例2を用いても本発明に係わる監視回路の実施例1と同様に、従来の監視回路の課題を解決することが可能となる。
【0057】
本発明は、上述した実施形態に限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのあらゆる設計変更はすべて本発明の範囲に含まれる。例えば本発明の実施例1において説明したオン抵抗の高いNMOSトランジスタ2bのオン抵抗は一例に過ぎず、除去したいノイズの大きさによってオン抵抗の値を設定することができる。そのオン抵抗は、電荷量判定手段であるウィンドコンパレータ4のハイ側の閾値電圧に相当するコンデンサ3の電荷をウィンドコンパレータ4のロー側の閾値電圧に達するまで放出するのに5μから400μ秒の時間がかかるように設定してもよい。また本発明の放電手段にはNMOSスイッチ2bが用いられているが、オン抵抗の高いNMOSトランジスタ2bを定電流源に替えてコンデンサの電荷を放電してもほぼ同一の効果を得ることができる。また放電手段としてはアナログスイッチを用いてもほぼ同一の目的を達成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係わる実施例1の監視回路のブロック図
【図2】本発明に係わる監視回路の実施例1(図1)の電圧変動図
【図3】本発明に係わる実施例2の監視回路のブロック図
【図4】本発明に係わる監視回路の実施例2(図3)の電圧変動図
【図5】従来の監視回路のブロック図
【図6】従来の監視回路(図5)の電圧変動図
【符号の説明】
【0059】
1、2a 定電流源
2b NMOSトランジスタ
3 コンデンサ
4 ウィンドコンパレータ
5 比較器
6、9 ロジック回路
7 マイコン
8 マイコンと監視回路の電源電圧
10a、10b、10c 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサに電荷を充電する手段と、
監視対象の電源電圧を監視する電源電圧判定手段と、
前記コンデンサの電荷量が第一の電荷量を上回った際に放電を行う第一の放電手段と、
前記電源電圧が第一の基準電圧を下回った際に前記コンデンサの放電を行う第二の放電手段と、
前記コンデンサの電荷量が前記第一の電荷量を上回った後、前記コンデンサの電荷が放電されることによって前記第一の電荷量よりも低く設定された第二の電荷量を下回った際に前記監査対象をリセットするための信号を発する電荷量判定手段と、
を備えることを特徴とする監視回路。
【請求項2】
前記監視対象の電源電圧が前記第一の基準電圧を下回った際に前記コンデンサの電荷が放電されることによって、その電荷量が前記第二の電荷量を下回るまでに
前記監視対象の電源電圧が復帰して前記第一の基準電圧よりも高く設定された第二の基準電圧を上回った際に
前記第二の放電手段を停止することを特徴とする
請求項1記載の監視回路。
【請求項3】
前記監視対象の電源電圧が前記第一の基準電圧を下回った際に前記コンデンサの電荷が放電されることによって、その電荷量が前記第二の電荷量を下回るまでに
前記監視対象の電源電圧が復帰して前記第一の基準電圧よりも高く設定された前記第二の基準電圧を上回った際に
前記第一及び前記第二の放電手段を停止する事を特徴とする
請求項1記載の監視回路。
【請求項4】
前記第一の放電手段が定電流源で、前記第二の放電手段がNMOSトランジスタで構成されており、該NMOSトランジスタのオン抵抗が、前記第一の電荷量から前記第二の電荷量に相当する電荷を5μ秒から400μ秒で放出するように設定されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の監視回路。
【請求項5】
前記第一及び前記第二の放電手段が定電流源で、前記電源電圧判定手段が比較器で構成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の監視回路。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかの監視回路を備えることを特徴とする半導体装置。































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−12009(P2006−12009A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191009(P2004−191009)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】