説明

監視用表示装置

【課題】ダイレクト印刷通信規格対応のプリンターを接続して高い自由度の印刷レイアウトでグラフィック画像を印刷することができる監視用表示装置を提供する。
【解決手段】監視用表示装置は、制御機器からの状態情報を取得する状態情報取得部42及び液晶表示器12の他に、カメラ等の画像出力機器と印刷装置とを通信ケーブルで直接接続するための通信規格を利用して画像の印刷を行うための印刷条件設定部43、印刷画像生成部44及び印刷通信部45を備え、印刷条件設定部43は、印刷用紙のサイズ、印刷用紙中のグラフィック表示画像の印刷位置、及びグラフィック表示画像の印刷倍率を含む印刷条件を設定するための手段を有し、印刷画像生成部44は、印刷開始指示信号が与えられると、印刷条件設定部43で設定された印刷条件に基づいてグラフィック表示画像を含む印刷用紙全体の印刷画像を生成し、そのデータを印刷通信部45に渡す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御機器からの最新の状態情報をグラフィック表示画像によって監視するための監視用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場やプラント等の設備の監視用表示装置として、LCD(液晶ディスプレイ)等のグラフィック表示器を備えたものがある(例えば特許文献1参照)。この監視用表示装置は、設備に設けられたプログラマブルロジックコントローラ(PLC)のような各種制御機器から状態情報を取得し、予め記憶している図又は表の基本画像と取得した状態情報とを組み合わせることによって視認性の高いグラフィック表示画像を生成し、これを監視用画像としてグラフィック表示器に表示する。また、この種の監視用表示装置の中には、グラフィック表示器の表示面に透明電極等で構成されたいわゆるタッチパネルを入力装置として備えたものがある。また、プログラム表示器と呼ばれるものもあり、これはパーソナルコンピュータを用いて基本画像の図や表の編集を行ったり、制御機器の制御を行ったりすることができる。
【0003】
上記のような監視用表示装置において、監視用画像等のグラフィック画像をグラフィック表示器に表示するだけでなく、運転操作方法の説明書や帳票等の作成のためにプリンターから印刷したい場合がある。そこで、従来の監視用表示装置では、プリンターと接続するための接続ユニットをオプション(拡張ユニット)として用意し、あるいは、そのような機能を本体に備えさせている。印刷にはパーソナルコンピュータ用に市販されている汎用のプリンターが使用される。
【特許文献1】特開2000−242306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような汎用のプリンターは、パラレルインターフェイス(セントロニクス規格)を用いてパーソナルコンピュータに接続されるものが多かったが、近年はUSB(ユニバーサルシリアルバス)を用いた接続が主流になってきている。新しく市販されるプリンターの中にはパラレルインターフェイスを備えないでUSBポートのみを備えたものもある。このため、監視用表示装置又はその拡張ユニットに備えさせるプリンター接続機能をUSB対応にする必要が生じてきた。
【0005】
また、各製造者から提供される汎用のプリンターは、製造者ごと、あるいはプリンターの機種ごとに異なる制御コマンドが使用されているために、各プリンターに対応するためにはそれぞれの制御コマンドを用いたインターフェイスプログラム(ドライバ)が必要である。パーソナルコンピュータの場合は汎用のオペレーティングシステムで使用されるドライバーソフトウェアがプリンターの製造者から提供されるので、それを使用することができるが、ドライバーソフトウェアが提供されていないオペレーティングシステムや専用のシステムソフトウェアで動作する監視用表示装置の場合は、その製造者側で各プリンターのドライバーソフトウェアを開発し提供する必要がある。多くのプリンターに対応させようとすれば、ドライバーソフトウェアの開発等の負担が大きくなる。
【0006】
近年、ディジタルカメラの普及に伴い、ディジタルカメラとプリンターをUSBケーブルで直接接続してディジタルカメラに記憶されている画像をプリンターで直接印刷するための標準化された通信規格が提案され、実用化されている。これはカメラダイレクト又はカードダイレクトと呼称され、その例としてピクトブリッジ(PictBridge:登録商標)という通信規格がある。このような通信規格(以下、ダイレクト印刷通信規格という)に準拠したプリンターと画像出力機器(ディジタルカメラ等)であれば、製造者や機種が異なっていても互いに接続して画像印刷を直接行うことができる。
【0007】
そこで、監視用表示装置のプリンター接続機能をピクトブリッジに代表されるダイレクト印刷通信規格に準拠したものとすることが考えられる。そうすれば、プリンターごとのインターフェイスプログラムを用意しなくても、ダイレクト印刷通信規格に準拠したプリンターであればどれでも接続することができるであろう。ただし、ピクトブリッジはパーソナルコンピュータを介さないでディジタルカメラとプリンターとを直接接続して印刷することを目的として標準化された規格であり、印刷機能に制限がある。つまり、ディジタルカメラに記憶された複数の画像の中から印刷対象の1又は複数の画像を選択する機能と印刷のレイアウト(フォーマット)を指定するインターフェイスしか持っていない。したがって、例えば印刷用紙に対する印刷画像の位置や印刷倍率を設定することができない。しかし、操作説明書や帳票等の作成のために画像を印刷する場合は、印刷用紙に対する画像の印刷位置や印刷倍率を変えて印刷したいことが多い。そこで、監視用表示装置のプリンター接続機能にピクトブリッジのようなダイレクト印刷通信規格を利用するには、印刷レイアウトの自由度を高める工夫が必要である。
【0008】
本発明は、上記のような課題に鑑み、ダイレクト印刷通信規格対応の任意のプリンターを接続して高い自由度の印刷レイアウトでグラフィック画像を印刷することができる監視用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による監視用表示装置の第1の構成は、制御機器からの状態情報を取得する状態情報取得部と、予め記憶している図又は表の基本画像と状態情報取得部が取得した状態情報とを組み合わせることによってグラフィック表示画像を生成する表示画像生成部と、表示画像生成部によって生成されたグラフィック表示画像を表示するグラフィック表示器とを備え、制御機器からの最新の状態情報をグラフィック表示画像によって監視するための監視用表示装置であって、カメラ等の画像出力機器と印刷装置とを通信ケーブルで直接接続するための通信規格を利用して画像の印刷を行うための印刷条件設定部、印刷画像生成部及び印刷通信部を備え、印刷条件設定部は、印刷用紙のサイズ、印刷用紙中のグラフィック表示画像の印刷位置、及びグラフィック表示画像の印刷倍率を含む印刷条件を設定するための手段を有し、印刷画像生成部は、印刷開始指示信号が与えられると、印刷条件設定部で設定された印刷条件に基づいてグラフィック表示画像を含む印刷用紙全体の印刷画像を生成し、そのデータを印刷通信部に渡すことを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、カメラ等の画像出力機器と印刷装置とを通信ケーブルで直接接続するための通信規格(ダイレクト印刷通信規格)に対応している任意のプリンターを監視用表示装置に接続してグラフィック表示画像を印刷することができる。また、その際に、印刷条件設定部によって印刷用紙のサイズ、印刷用紙中のグラフィック表示画像の印刷位置、及びグラフィック表示画像の印刷倍率を含む印刷条件を設定することができるので、ユーザのニーズに応じた余白領域の作成及び確保が可能となる。つまり、高い自由度の印刷レイアウトでグラフィック表示画像を印刷することができる。
【0011】
本発明による監視用表示装置の第2の構成は、上記第1の構成において、印刷条件設定部は、グラフィック表示器に表示される印刷条件設定用画面と、入力手段と、入力設定された印刷条件を記憶する手段とを有することを特徴とする。このような構成によれば、監視用表示装置に本来備えられているグラフィック表示や入力手段等のハードウェア構成を利用して印刷条件設定部を実現することができる。なお、入力手段は、例えばグラフィック表示器の表示面に透明電極等で構成されたいわゆるタッチパネルであってもよいし、グラフィック表示器と別に設けられたキーボード等の入力装置であってもよい。
【0012】
本発明による監視用表示装置の第3の構成は、上記の各構成の一実施形態を示すものであり、グラフィック表示画像の一つとして、状態情報を有していない図又は表の基本画像が含まれることを特徴とする。つまり状態情報を含む監視用画像としてのグラフィック表示画像だけでなく、基本画像も印刷できるようにしたものである。
【0013】
本発明による監視用表示装置の第4の構成は、上記のいずれかの構成において、状態情報取得部、表示画像生成部及びグラフィック表示器を含む表示装置本体と、印刷通信部を含む印刷補助ユニットとが着脱自在であることを特徴とする。このような構成によれば、印刷補助ユニットをオプションの拡張ユニットとして用意し、表示装置本体の構成を必要最小限に抑えることができるので、表示装置本体の小形化及び低コスト化のために有利である。
【0014】
本発明による監視用表示装置の第5の構成は、上記のいずれかの構成において、印刷条件設定部によって設定される印刷条件の1つとして、印刷用紙とグラフィック表示画像との相対的な方向が設定可能であることを特徴とする。このような構成によれば、高い自由度の印刷レイアウトでグラフィック表示画像を印刷することができる。
【0015】
本発明による監視用表示装置の第6の構成は、上記の各構成の一実施形態を示すものであり、印刷画像生成部は、グラフィック表示画像を印刷倍率で拡大又は縮小したものと印刷用紙の全面余白画像とを印刷位置に従って重ね合わせることによって印刷画像を生成することを特徴とする。
【0016】
本発明による監視用表示装置の第7の構成は、上記の第6の構成と異なる別の施形態を示すものであり、印刷画像生成部は、印刷用紙の全面余白画像を印刷倍率の逆数で拡大又は縮小したものとグラフィック表示画像とを印刷位置に従って重ね合わせることによって印刷画像を生成することを特徴とする。
【0017】
ダイレクト印刷通信規格(ピクトブリッジ)では、印刷装置(プリンター)側で受信した画像を印刷用紙のサイズに合わせて拡大又は縮小するイメージ倍率変換機能が備えられているので、第7の構成でも第6の構成と同じ印刷結果が得られる。つまり、第6又は第7のいずれの構成によっても、グラフィック表示画像を含む印刷用紙全体の印刷画像、すなわちグラフィック表示画像の周囲に余白部が付加された印刷画像を生成することができる。
【0018】
本発明による監視用表示装置の第8の構成は、上記のいずれかの構成において、可搬記憶媒体の読み出し装置を更に備え、可搬記憶媒体に記憶された画像を読み出してグラフィック表示画像とすることが可能なことを特徴とする。このような構成によれば、例えば表示画像生成部で生成されたグラフィック表示画像を可搬記憶媒体に記憶しておき、別の機会に、又は別の監視用表示装置を用いて、可搬記憶媒体から読み出したグラフィック表示画像を表示又は印刷することが可能となる。
【0019】
本発明による監視用表示装置の第9の構成は、上記のいずれかの構成において、可搬記憶媒体の書き込み装置を更に備え、印刷画像が可搬記憶媒体に保存可能であることを特徴とする。このような構成によれば、グラフィック表示画像から生成された印刷画像を可搬記憶媒体に保存しておいて別の機会に、又は別の監視用表示装置で利用することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施例に係る監視用表示装置の概略を示す外観図である。図1(a)は正面図、図1(b)は側面図、図1(c)は背面図をそれぞれ示している。この表示装置は、略直方体の樹脂ケースを有する表示装置本体11の中にマイクロコンピュータとその周辺回路等が実装された電子回路基板を内蔵し、表示装置本体11の前面側にはグラフィック表示器としての液晶表示器12及びタッチパネルセンサーを備えている。
【0022】
液晶表示器12は、例えば解像度SVGA(800×600ドット)のカラー表示が可能である。液晶表示器12の表示面の上には、透明電極からなるタッチパネルセンサーが設けられている。例えば液晶表示器にキーボードの画像を表示し、特定のキーが押下(タッチ)されたことをタッチパネルセンサーによって検出することができる。この種のタッチパネルセンサー(単にタッチパネルということもある)についてはよく知られているので詳細な説明は省略する。
【0023】
表示装置本体11の背面の略中央部には、オプションとして用意される拡張ユニットを接続するための拡張コネクタ14が設けられている。図1の例では、プリンターを接続するための印刷補助ユニット13が拡張ユニットとして表示装置本体11の背面に取り付けられている。印刷補助ユニット13は略直方体の樹脂ケースの中にプリンターとの通信機能等を有する電子回路基板が内蔵されたものであり、表示装置本体11の拡張コネクタ14と直接接続されるコネクタ15と、USB(ユニバーサルシリアルバス)ケーブル16を接続するためのUSBポート17とを備えている。つまり、表示装置本体11の背面に取り付けられた印刷補助ユニット13と外部プリンター(印刷装置)とがUSBケーブル16を介して接続される。なお、印刷補助ユニット13の他に、LAN(ローカルエリアネットワーク)に接続するためのイーサネット(登録商標)ユニットやビデオ入力ユニット等が拡張ユニットとして用意されている。
【0024】
また、表示装置本体11の背面下部には、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)等の制御機器とケーブル接続するためのPLC用コネクタ18が設けられている。監視用表示装置は、PLC等の制御機器から状態情報を取得し、予め記憶している図又は表の基本画像と取得した状態情報とを組み合わせることによってグラフィック表示画像を生成して液晶表示器12に表示する。その他にも、バーコードリーダ接続用コネクタ19、各種I/Oユニットを接続するための端子台21、パーソナルコンピュータとの通信ケーブルを接続するための2種類の通信ポート22、ビデオ入力ユニットを接続するための第2拡張コネクタ23等が表示装置本体11の背面に設けられている。
【0025】
更に、表示装置本体11の背面右上部には可搬記憶媒体であるメモリカードを着脱可能なメモリカードスロット24が設けられ、その内部にメモリカードのデータ読み出し及び書き込みを行うカードリーダ・ライターが備えられている。メモリカードは後述するように、印刷画像の保存やグラフィック表示画像の読み出し(再利用)に使用される。
【0026】
図2は、本発明の実施例に係る監視用表示装置にプリンターを接続したシステム構成を示すブロック図である。この表示装置は、表示装置本体11の背面に取り付けられた印刷補助ユニット13を介して、ダイレクト印刷通信規格であるピクトブリッジ(PictBridge:登録商標)対応のプリンターと接続して画像印刷を行う機能を有する。図2では、表示装置本体11に内蔵されたマイクロコンピュータ(MPU)31がプログラムに従って実行する種々の機能のうち、グラフィック画像の表示及び印刷の機能を主に示している。
【0027】
図2のブロック図に示すように、表示装置本体11には、前述の液晶表示器(及びタッチパネル)12とマイクロコンピュータ31の他に、カードリーダ・ライター32、メモリ33、及び制御機器用のI/O34等を備えている。カードリーダ・ライター32は、可搬記憶媒体であるメモリカード35からデータを読み出してマイクロコンピュータ31に渡し、又はマイクロコンピュータ31からの指令にしたがってメモリカード35にデータを書き込むためのものである。また、マイクロコンピュータ31には、その内蔵ROMに記憶されたプログラムによって表示画像生成部41、状態情報取得部42、印刷条件設定部43及び印刷画像生成部44が構成されている。
【0028】
PLC等の制御機器36からの状態情報(例えば各種センサーによって検出された温度、電圧、電流等の値、あるいはカウンターから出力されたカウンター値等)は、I/O34を介してマイクロコンピュータ31に入力され、状態情報取得部42によって取得される。取得された状態情報は、予め記憶している図又は表の基本画像と組み合わされてグラフィック表示画像となる。基本画像は、例えばパーソナルコンピュータ等を用いて予め作成され、表示装置本体11のメモリ33に記憶されている。マイクロコンピュータ31の表示画像生成部41は、メモリ33から読み出した図又は表の基本画像に状態情報を反映させることによって、監視用画像であるグラフィック表示画像を生成する。このグラフィック表示画像は、グラフィック表示器である液晶表示器12に表示される。
【0029】
図3は、グラフィック表示画像の一例を示す図である。この例は、工場における生産管理のための監視用画像であり、品番、目標値及び現在値が表として液晶表示器12に表示される。この表のフォームは予めパーソナルコンピュータを用いて作成される。この監視用表示装置の液晶表示器12及びタッチパネルを用いて作表することも可能である。目標値(目標生産台数)も予め設定されている。現在値(現在生産台数)は、生産ラインに設置されたPLC等の制御機器36から刻々入力される値(カウンター値)が表示される。
【0030】
表の下には、タッチパネルを利用して入力を行うための3つのボタン(キー)が配置されている。「メニュー」ボタンは、メニュー画面に移動するためのボタンである。メニュー画面では、例えば目標値の設定、表の編集、基本画像又は監視用画像の保存、読み出し、印刷等のサブメニューを選択することができる。「BACK」ボタンは前ページへ移動するためのボタンであり、「NEXT」ボタンは次ページへ移動するためのボタンである。これらのボタンによって、複数ページにまたがる表を参照することができる。
【0031】
刻々変化する現在値の欄が空白の表は基本画像としてメモリ33に予め記憶されている。マイクロコンピュータ31の表示画像生成部41は、メモリ33から読み出した基本画像に、状態情報取得部42が制御機器36から取得した状態情報(現在値)を反映させることによって、図3に示すような監視用画像であるグラフィック表示画像を生成する。
【0032】
図4は、グラフィック表示画像の別の例を示す図である。この例は、プラントにおける各槽の温度や液量等の監視用画像である。プラントにおける複数の槽と、それらを接続する配管が立体的な図(絵)として視認性が高くなるように液晶表示器12に表示されている。監視対象の槽については、内部の液量がバーグラフで表示され、その下には液温が数値表示されている。液量及び液温は、実際のプラントの各槽に備えられた液量センサーや液温センサーの検出信号がPLC等の制御機器36を介して入力されるように構成されている。いずれかの槽で液量又は液温が異常な値になったときは、画面中央部に「EMERGENCY」マークが表示され、監視者の注意を促す。
【0033】
画面の左下には、プラントの自動・手動切替ボタンや、ポンプ、ファン等のオン・オフ切替ボタンが表示されている。これらのボタンは液晶表示器12に備えられたタッチパネルを利用して入力が行われる。図2のブロック図では省略されているが、入力された指令はマイクロコンピュータ31からI/O及びPLCを介して対象の機器・設備に伝送される。
【0034】
また、画面の右下には、同じくタッチパネルを利用して入力を行うための4つのボタン(キー)が配置されている。左から順に、「前ページ」ボタン、「メニュー1」ボタン、「メニュー2」ボタン、及び「次ページ」ボタンである。「メニュー1」ボタン及び「メニュー2」ボタンは、メニュー画面に移動するためのボタンである。複数のサブメニューが2つのメニュー画面に振り分けられている。複数のサブメニューには、図(基本画像)の編集メニュー、異常判断のためのしきい値の設定メニュー、基本画像又は監視用画像の保存、読み出し、印刷等のメニューが含まれる。
【0035】
図4のグラフィック表示画像から刻々変化する液量及び液温等の表示を除いたものが基本画像としてメモリ33に予め記憶されている。マイクロコンピュータ31の表示画像生成部41は、メモリ33から読み出した基本画像に、状態情報取得部42が制御機器36から取得した状態情報(液量及び液温等)を反映させることによって、図4に示すような監視用画像であるグラフィック表示画像を生成する。
【0036】
図2に戻って、画像印刷機能について説明する。本発明の監視用表示装置には、前述のようにダイレクト印刷通信規格(ピクトブリッジ)対応のプリンターと接続して監視用画像や基本画像等の印刷を行う機能を有する。この機能のために、マイクロコンピュータ31には、印刷条件設定部43及び印刷画像生成部44が構成されている。また、ダイレクト印刷通信規格対応の印刷通信部45を有する印刷補助ユニット13が表示装置本体11に接続され、これを介してプリンター51とUSBケーブルで接続される。
【0037】
プリンター51は、I/O52を介して受信した印刷用データをバッファメモリ53に一旦蓄え、バッファメモリ53からプリンタエンジン54に印刷用データが渡される。また、ダイレクト印刷通信規格対応のプリンターには、イメージ倍率変換部55が備えられている。これは、ディジタルカメラから受信した写真画像が用紙全体にちょうど収まるように、受信した印刷画像(のデータ)を拡大又は縮小する機能である。通常はプリンター51に搭載されたマイクロコンピュータによってこの機能が実現されている。
【0038】
したがって、例えば監視用表示装置で生成された監視用画像等のグラフィック表示画像をそのまま印刷画像に変換してプリンター51へ送信すると、印刷用紙(例えばA4用紙)の全体にその画像が印刷されることになる。しかし、写真の印刷と異なり、監視用表示装置における画像の印刷では、用紙の一部に任意の倍率で任意の位置に印刷することが求められる。つまり、ダイレクト印刷通信規格における印刷レイアウト等に関する自由度の低さを補うことが必要である
【0039】
そこで、本実施例の監視用表示装置では、マイクロコンピュータ31に備えられた印刷条件設定部43及び印刷画像生成部44によって、印刷倍率や印刷位置等の印刷条件をユーザが設定することができ、設定された印刷条件に従ってグラフィック表示画像を変換した印刷画像をプリンター51へ送信するように構成されている。印刷条件設定部43による印刷条件の設定に際して、液晶表示器12に設定用画面が表示され、タッチパネルによってユーザが設定入力を行うことができる。
【0040】
図5は、印刷条件の設定用画面の一例を示す図である。この設定用画面は、上側の「共通設定」と下側の「印刷設定」に大きく分けられている。「共通設定」の「プリンター機種」は、ダイレクト印刷通信規格対応プリンター以外のプリンターについても機種を限定して対応する場合を想定している。入力ボックスの右端の三角マークをタッチすれば、ダイレクト印刷通信規格対応プリンター以外の対応しているプリンターの機種のリストがプルダウンメニューとして現れるので、その中から選択することができる。ダイレクト印刷通信規格対応プリンターのみが接続可能な仕様ではこの設定項目は不要である。「用紙サイズ」は、印刷したい用紙のサイズ(A4,B5等)をプルダウンメニューに現れるリストから選択する。「メモリカード保存」は、印刷画像をメモリカードに保存したいときに設定する。つまり、左側の四角のボックスをタッチするとチェックマークが表示され、メモリカード保存が有効になる。
【0041】
「印刷設定」における「印刷方向」は、印刷用紙とグラフィック表示画像との相対的な方向を縦向き又は横向きのいずれかに設定することができる。図示の例では、「縦」の左側にチェックマークが入っており、縦向きが設定されている。「色モード」は、カラー印刷又はモノクロ印刷のいずれかを選択することができる。「印刷品質」は、印刷速度とトレードオフの関係にある印刷品質を標準(高品質)又は高速(低品質)のいずれかに設定することができる。「印刷倍率」は、例えば800×600ドットの表示画像を印刷用紙全体に印刷する倍率を1とし、それより小さい印刷倍率では印刷用紙の一部に表示画像が印刷されることになる。入力ボックスの右端の三角マークをタッチすれば現れるプルダウンメニューのリストの中から印刷倍率を選択することができる。
【0042】
「上側余白」及び「左側余白」は、印刷用紙の一部に表示画像を印刷するときに、その印刷位置を設定するために入力される。それぞれの入力ボックスにおける右端の上下の三角マークをタッチすることにより、入力ボックスの設定値を増減変更することができる。上側余白は印刷用紙の上端から印刷画像の上端までの距離(mm)を表し、左側余白は印刷用紙の左端から印刷画像の左端までの距離(mm)を表している。上側余白及び左側余白を設定すれば、用紙サイズ、印刷方向及び印刷倍率から下側余白及び右側余白は一義的に決まる。
【0043】
上記のような設定用画面で印刷条件が入力され、画面右上の「メニューに戻る」ボタンを押すとメニュー画面に移動すると共に、入力された印刷条件が印刷条件設定部43に渡されて確定する。この後、印刷開始ボタンがタッチされると、印刷開始指示信号が印刷画像生成部44に与えられる。印刷画像生成部44は、印刷条件設定部43からの印刷条件に基づいて、グラフィック表示画像を含む印刷用紙全体の印刷画像を生成する。つまり、グラフィック表示画像の周囲に余白を付加して印刷用画像データに変換したものが印刷画像として生成される。この印刷画像を生成する処理方法には、下記の2通りの方法がある。
【実施例1】
【0044】
図6は、本発明の実施例1に係る印刷画像の生成方法を示すフローチャートである。ステップ#101において印刷画像生成部44は印刷対象画像及び印刷条件を取得する。印刷対象画像は表示画像生成部41から取得した監視用画像(グラフィック表示画像)に限らず、液晶表示器12に表示可能な画像であれば何でもよい。例えば、メモリ33から取得した基本画像でもよいし、メモリカード35から読み出した画像でもよい。印刷条件は、上述のように印刷条件設定部43で設定されたものである。
【0045】
次のステップ#102では、印刷用紙の全面余白画像が生成される。つまり、印刷用紙全体の大きさに相当する余白(白べた)画像のデータが生成されるこの際に、印刷条件として設定された印刷サイズと印刷方向が参照される。続くステップ#103において、印刷対象画像の拡大又は縮小処理が実行される。この際に、印刷条件として設定された印刷倍率が参照される。例えば印刷倍率が1/2である場合は、印刷対象画像の大きさが1/2に縮小される。
【0046】
次のステップ#104において、印刷対象画像と全面余白画像との合成が行われる。この際に、印刷条件として設定された印刷位置が参照される。例えば、印刷位置として上側余白50mm及び左側余白20mmが設定されている場合は、印刷用紙の上端から50mmまで、及び、左端から20mmまでの範囲、そして用紙サイズ、印刷方向及び印刷倍率から一義的に決まる下側余白及び右側余白の範囲は余白データが残り、他の部分(中央部)は拡大又は縮小後の印刷対象画像のデータで置き換えられた画像データが得られる。
【0047】
得られた画像データは、次のステップ#105において印刷可能な画像形式に変換されて印刷画像となる。続くステップ#106で印刷画像のメモリカードへの保存が設定されているか否かがチェックされる。この設定は、図5を用いて説明した通りである。メモリカードへの保存が設定されていない場合は、印刷画像が印刷通信部45へ出力される(ステップ#107)。メモリカードへの保存が設定されている場合は、印刷出力の代わりに印刷画像がカードリーダ・ライター32へ渡され、メモリカード35に書き込まれる(ステップ#108)。
【実施例2】
【0048】
図7は、本発明の実施例2に係る印刷画像の生成方法を示すフローチャートである。ステップ#201において印刷画像生成部44は印刷対象画像及び印刷条件を取得し、次のステップ#202で印刷用紙の全面余白画像を生成する。これらの処理は実施例1と同様である。続くステップ#203では全面余白画像の拡大・縮小を行う。この際に、印刷条件として設定された印刷倍率が参照され、その逆数で全面余白画像を拡大又は縮小する。例えば印刷倍率が1/2である場合は、全面余白画像が2倍に拡大される。実施例1では全面余白画像を変えずに印刷対象画像を印刷倍率に従って拡大又は縮小したが、実施例2では印刷対象画像を変えずに全面余白画像を印刷倍率の逆数で拡大又は縮小する。したがって、印刷対象画像と全面余白画像との大きさの比は実施例1と実施例2で等しい。
【0049】
次のステップ#204では印刷対象画像と全面余白画像との合成が行われる。この合成処理は実施例1で説明したものと次の点を除いて同じである。つまり、実施例2では全面余白画像が印刷倍率の逆数で拡大又は縮小されているので、印刷位置が図5に示した例のように上側余白及び左側余白の数値(mm)として設定される場合は、その数値も印刷倍率の逆数で拡大又は縮小する必要がある。ステップ#206以降の処理については、実施例1のステップ#106以降の処理と全く同じであるので、説明を省略する。
【0050】
実施例2で印刷通信部45へ出力される印刷画像は、印刷倍率の逆数で拡大又は縮小されたものであるが、プリンター側で印刷画像全体が印刷用紙に収まるようにイメージ倍率変換処理が行われるので問題ない。すなわち、前述のように、プリンター51が監視用表示装置の印刷通信部45から受信した画像データは、イメージ倍率変換部55によって、印刷画像全体が用紙全体にちょうど収まるように拡大又は縮小された後にプリンタエンジン54に渡される。なお、上記の実施例1の場合は、印刷用紙にちょうど収まるサイズの印刷画像が印刷通信部45からプリンター51へ送られるので、プリンター51側でのイメージ倍率変換処理は実質的に行われないこと(倍率1)になる。
【0051】
以上、本発明の実施例及び変形例について説明したが、本発明は、これらの実施例や変形例に限らず、他の形態で実施することも可能である。例えば、図6及び図7のフローチャートにおいて、ステップ#101又はステップ#201の後に、所得した印刷対象画像(及び印刷条件)をメモリカード35に保存する処理ステップを付加してもよい。
【0052】
また、上記の実施例では印刷通信部45を含む印刷補助ユニット13が拡張ユニットとして表示装置本体に着脱自在である構成としたが、印刷通信部45を表示装置本体11に組み込み、拡張ユニットを使用せずにプリンター接続機能を実現するように構成してもよい。あるいは、印刷補助ユニット13にもマイクロコンピュータを搭載し、印刷画像生成部44等の機能を表示装置本体11ではなく印刷補助ユニット13に備えさせるように構成してもよい。
【0053】
また、図5に示した印刷条件設定用の画面(ユーザインターフェイス)は一例に過ぎず、種々変更可能である。例えば、印刷位置の設定方法として、余白の数値入力の代わりに、用紙と印刷画像の輪郭を画面に表示し、その上又は近傍に表示した上下左右の矢印ボタンをタッチすることによって印刷位置を画面上で視覚的に移動設定できるようにしてもよい。また、設定項目として、印刷部数や給紙方法、更には、余白部分に枠飾り、ヘッダー、フッター等を付加するようなページ修飾を追加してもよい。また、外部のパーソナルコンピュータ等を用いて印刷条件の設定を行い、設定された印刷条件を監視用表示装置へ転送するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施例に係る監視用表示装置の概略を示す外観図である。
【図2】本発明の実施例に係る監視用表示装置にプリンターを接続したシステム構成を示すブロック図である。
【図3】グラフィック表示画像の一例を示す図である。
【図4】グラフィック表示画像の別の例を示す図である。
【図5】印刷条件の設定用画面の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施例1に係る印刷画像の生成方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例2に係る印刷画像の生成方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
11 表示装置本体
12 液晶表示器(グラフィック表示器)
13 印刷補助ユニット
32 カードリーダ・ライター(読み出し・書き込み装置)
35 メモリカード(可搬記憶媒体)
36 PLC(制御機器)
41 表示画像生成部
42 状態情報取得部
43 印刷条件設定部
44 印刷画像生成部
45 印刷通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御機器からの状態情報を取得する状態情報取得部と、予め記憶している図又は表の基本画像と前記状態情報取得部が取得した状態情報とを組み合わせることによってグラフィック表示画像を生成する表示画像生成部と、前記表示画像生成部によって生成されたグラフィック表示画像を表示するグラフィック表示器とを備え、前記制御機器からの最新の状態情報をグラフィック表示画像によって監視するための監視用表示装置であって、
カメラ等の画像出力機器と印刷装置とを通信ケーブルで直接接続するための通信規格を利用して画像の印刷を行うための印刷条件設定部、印刷画像生成部及び印刷通信部を備え、
前記印刷条件設定部は、印刷用紙のサイズ、印刷用紙中の前記グラフィック表示画像の印刷位置、及び前記グラフィック表示画像の印刷倍率を含む印刷条件を設定するための手段を有し、
前記印刷画像生成部は、印刷開始指示信号が与えられると、前記印刷条件設定部で設定された印刷条件に基づいて前記グラフィック表示画像を含む前記印刷用紙全体の印刷画像を生成し、そのデータを前記印刷通信部に渡すことを特徴とする監視用表示装置。
【請求項2】
前記印刷条件設定部は、前記グラフィック表示器に表示される印刷条件設定用画面と、入力手段と、入力設定された印刷条件を記憶する手段とを有することを特徴とする
請求項1記載の監視用表示装置。
【請求項3】
前記グラフィック表示画像の一つとして、前記状態情報を有していない図又は表の基本画像が含まれることを特徴とする
請求項1又は2記載の監視用表示装置。
【請求項4】
前記状態情報取得部、前記表示画像生成部及び前記グラフィック表示器を含む表示装置本体と、前記印刷通信部を含む印刷補助ユニットとが着脱自在であることを特徴とする
請求項1、2又は3記載の監視用表示装置。
【請求項5】
前記印刷条件設定部によって設定される印刷条件の1つとして、印刷用紙とグラフィック表示画像との相対的な方向が設定可能であることを特徴とする
請求項1、2、3又は4記載の監視用表示装置。
【請求項6】
前記印刷画像生成部は、前記グラフィック表示画像を前記印刷倍率で拡大又は縮小したものと前記印刷用紙の全面余白画像とを前記印刷位置に従って重ね合わせることによって前記印刷画像を生成することを特徴とする
請求項1から5のいずれか1項記載の監視用表示装置。
【請求項7】
前記印刷画像生成部は、前記印刷用紙の全面余白画像を前記印刷倍率の逆数で拡大又は縮小したものと前記グラフィック表示画像とを前記印刷位置に従って重ね合わせることによって前記印刷画像を生成することを特徴とする
請求項1から5のいずれか1項記載の監視用表示装置。
【請求項8】
可搬記憶媒体の読み出し装置を更に備え、前記可搬記憶媒体に記憶された画像を読み出して前記グラフィック表示画像とすることが可能なことを特徴とする
請求項1から7のいずれか1項記載の監視用表示装置。
【請求項9】
可搬記憶媒体の書き込み装置を更に備え、前記印刷画像が前記可搬記憶媒体に保存可能であることを特徴とする
請求項1から8のいずれか1項記載の監視用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−48189(P2006−48189A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−225149(P2004−225149)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】