監視装置
【課題】キャッシュレジスタからの金銭抜き取りを検知する。
【解決手段】監視装置100は、キャッシュレジスタが載置される空間を撮像したフレーム画像を取得する画像取得部102と、基準画像とフレーム画像とを比較する画像処理部104と、を有する。画像処理部104は、店員領域に存在する店員の位置を基点とする複数の分割領域を設定する複数領域設定部116と、複数の分割領域のうちの少なくともひとつと開いているキャッシュレジスタのドロアが占めるドロア領域とが重畳する場合に、重畳する分割領域におけるフレーム画像の画素値からドロアに対して店員が動作を行っているか否かを判定する動作検知部118と、顧客領域におけるフレーム画像の画素値から顧客領域における顧客の存否を判定する顧客存否判定部112と、ドロアに対して店員が動作を行っていると判定され、かつ、顧客がいないと判定された場合、警告を送信する監視部120と、を含む。
【解決手段】監視装置100は、キャッシュレジスタが載置される空間を撮像したフレーム画像を取得する画像取得部102と、基準画像とフレーム画像とを比較する画像処理部104と、を有する。画像処理部104は、店員領域に存在する店員の位置を基点とする複数の分割領域を設定する複数領域設定部116と、複数の分割領域のうちの少なくともひとつと開いているキャッシュレジスタのドロアが占めるドロア領域とが重畳する場合に、重畳する分割領域におけるフレーム画像の画素値からドロアに対して店員が動作を行っているか否かを判定する動作検知部118と、顧客領域におけるフレーム画像の画素値から顧客領域における顧客の存否を判定する顧客存否判定部112と、ドロアに対して店員が動作を行っていると判定され、かつ、顧客がいないと判定された場合、警告を送信する監視部120と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置に関し、特に人の動作を検知する監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
書店やコンビニエンスストアなどの店舗では多くの場合、各所に監視カメラが設けられている。特に現金が保管されているキャッシュレジスタの周辺は監視カメラで監視されていることが多い。この監視カメラの役割としてはまず、外部の者による万引きの防止、およびその証拠の収集が考えられる。
【0003】
特許文献1には、万引きする者に特徴的な動作を検知してオーナーに知らせる判別装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−135001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オーナーにとって万引きと並んで気をつけたいのが、店員によるキャッシュレジスタの不正操作、特にキャッシュレジスタからの現金の抜き取りである。これはいわゆる内部の不正であり、既存の監視システムでは検知が難しい。
【0006】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、人の不正な動作を検知しうる技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は監視装置に関する。この監視装置は、キャッシュレジスタが載置される空間を撮像したフレーム画像を取得する画像取得部と、基準画像と画像取得部によって取得されたフレーム画像とを比較する画像処理部と、を備える。画像処理部は、キャッシュレジスタを操作する側の第1領域に存在する人の位置を基点とする複数の第2領域を設定する複数領域設定部と、複数の第2領域のうちの少なくともひとつと開いているキャッシュレジスタのドロアが占める第3領域とが少なくとも部分的に重畳する場合に、第3領域と少なくとも部分的に重畳する第2領域におけるフレーム画像の画素値からキャッシュレジスタのドロアに対して人が動作を行っているか否かを判定する動作検知部と、第1領域とは異なる第4領域におけるフレーム画像の画素値から第4領域における人の存否を判定する存否判定部と、動作検知部においてキャッシュレジスタのドロアに対して人が動作を行っていると判定され、かつ、存否判定部において第4領域に人がいないと判定された場合、所定の処理を行う監視部と、を含む。
【0008】
この態様によると、第1領域に存在する人の位置を基点として設定された第2領域におけるフレーム画像の画素値を使用して、キャッシュレジスタに対する人の動作を検知することができる。
【0009】
本発明の別の態様もまた、監視装置である。この監視装置は、対象が載置される空間を撮像したフレーム画像を取得する画像取得部と、基準画像と画像取得部によって取得されたフレーム画像とを比較する画像処理部と、を備える。画像処理部は、所定の第1領域に存在する人の位置を基点とする複数の第2領域を設定する複数領域設定部と、複数の第2領域のうちの少なくともひとつと対象に関連する第3領域とが少なくとも部分的に重畳する場合に、第3領域と少なくとも部分的に重畳する第2領域におけるフレーム画像の画素値から対象に対して人が動作を行っているか否かを判定する動作検知部と、動作検知部において対象に対して人が動作を行っていると判定された場合、所定の処理を行う監視部と、を含む。
【0010】
本発明の別の態様もまた、監視装置である。この監視装置は、人を撮像したフレーム画像を取得する画像取得部と、画像取得部によって取得されたフレーム画像に対して、人の位置を基点とする監視領域を設定する監視領域設定部と、監視領域を複数の分割監視領域に分割する監視領域分割部と、複数の分割監視領域のうちの少なくともひとつにおけるフレーム画像の特性の変化に基づいて人が動作を行っているか否かを判定する判定部と、を備える。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を装置、方法、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、人の不正な動作を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態に係る監視装置を含む監視システムを示す概略図である。
【図2】図1の監視装置およびその周辺の機能および構成を示すブロック図である。
【図3】図2の領域設定部によって設定される領域を示す説明図である。
【図4】図2の領域分割部におけるリーチ領域の設定および分割を説明するための説明図である。
【図5】図2の差分判定部における判定を説明するための説明図である。
【図6】背景画像を示す模式図である。
【図7】図1の監視装置における一連の処理を示すフローチャートである。
【図8】第1変形例に係る領域分割部におけるリーチ領域の分割を説明するための説明図である。
【図9】第2変形例に係る領域分割部におけるリーチ領域の分割を説明するための説明図である。
【図10】第3変形例に係る領域分割部におけるリーチ領域の設定および分割を説明するための説明図である。
【図11】第4変形例に係る重畳領域を説明するための説明図である。
【図12】第2の実施の形態の領域設定部によって設定される領域を示す説明図である。
【図13】第2の実施の形態の領域分割部におけるリーチ領域の設定および分割を説明するための説明図である。
【図14】第2の実施の形態の差分判定部における判定を説明するための説明図である。
【図15】不審動作判別装置を示すブロック図である。
【図16】個別動作別特徴算出係数の算出と記録までの処理手順を示す流れ図である。
【図17】移動体の判別の処理手順を示す流れ図である。
【図18】第6変形例に係る監視装置における店員の「ちらちら周りを確認するしぐさ」の検知方法の一例を説明するための説明図である。
【図19】店員が「ちらちら周りを確認するしぐさ」を行っている場合の各分割監視領域における輝度変化の一例を示すグラフである。
【図20】人が監視カメラに向かって歩いてくる場合を説明するための説明図である。
【図21】第7変形例に係る領域分割部におけるリーチ領域の分割を説明するための説明図である。
【図22】色情報としては頭部の色のみが示されたリーチ領域を示す説明図である。
【図23】変化領域を説明するための説明図である。
【図24】記憶部に記憶されるパターンデータの構造の一例を示すデータ構造図である。
【図25】第1左側分割領域および第2左側分割領域のそれぞれに割り当てられた値の時間的な変遷の一例を示すグラフである。
【図26】第1右側分割領域および第2右側分割領域のそれぞれに割り当てられた値の時間的な変遷の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0015】
(第1の実施の形態)
店舗においてキャッシュレジスタおよびその周辺で通常行われる動作としては、例えば顧客がキャッシュレジスタの前に立って購入したい商品をチェックアウトすることがある。この場合、キャッシュレジスタの前に立つ顧客がおり、かつ、キャッシュレジスタを操作する店員がいる。また、そのような顧客がいなければ普通店員はキャッシュレジスタの周りにおらず、いたとしてもキャッシュレジスタのドロアを開ける理由はない。以上の正常な状態に対して例えば以下の条件が満たされる場合、店員の不正が疑われる状態といえる。
(1)キャッシュレジスタの前に立つ顧客がいない、かつ、
(2)キャッシュレジスタを操作する店員がいる、かつ、
(3)キャッシュレジスタのドロアが開いている、かつ、
(4)ドロアに手が触れている。
この場合、店員がキャッシュレジスタから現金を盗んでいる可能性がある。
【0016】
第1の実施の形態に係る監視装置は、店舗に設置されたキャッシュレジスタおよびその周辺を撮像する監視カメラに接続される。監視装置は監視カメラからの画像を解析し、例えば上記の条件(以下、「店員不正動作条件」と呼ぶ)が満たされると監視センタに警告を発する。店員不正動作条件は店員によるキャッシュレジスタの不正動作を検出するための条件である。これにより、たとえキャッシュレジスタから現金が盗まれても、監視装置からの警告によりその事実をいち早くキャッチして適切な対処ができる。
【0017】
図1は、第1の実施の形態に係る監視装置100を含む監視システム1を示す概略図である。監視システム1は、店舗10の例えば天井に設置されキャッシュレジスタ4付近の画像を所定の周期で取得する監視カメラ2と、監視カメラ2からフレーム画像データ(以下、単にフレーム画像と称す)を取得する監視装置100と、を備える。特に監視カメラ2の画角は、キャッシュレジスタ4、キャッシュレジスタ4を操作する店員5、店員5の手元、およびキャッシュレジスタ4の前に立つ顧客を撮影できる方向に設定される。
【0018】
監視システム1はさらに、監視センタ20内に設けられインターネットなどのネットワーク6を通じて監視装置100と通信するセンタサーバ22と、監視パネル24と、を備える。センタサーバ22は図示の監視装置100以外にも図示されない他の同様の監視装置とネットワーク6を介して通信する。監視パネル24は複数の監視モニタ26を含み、各監視モニタ26は対応する監視カメラからのフレーム画像を表示する。
監視装置100は、監視センタ20内のセンタサーバ22に設けられてもよく、その場合には、監視カメラ2のデータをネットワーク6を介してセンタサーバ22に送ることになる。
【0019】
監視装置100は、監視カメラ2から送られてくるフレーム画像を処理した結果、店員5がキャッシュレジスタ4に対して異常もしくは不正な動作(以下単に不正動作と称す。)を行なっていると判定した場合、ネットワーク6を通じてセンタサーバ22に警告を送る。センタサーバ22は、その警告を受けると複数の監視モニタ26のうち警告が送られてきた監視カメラ2に対応する監視モニタ26を強調する。この強調方法としては例えば強調すべき監視モニタ26の輝度を他の監視モニタ26よりも高くしてもよく、また監視モニタ26に点滅表示させてもよい。また、例えばひとつの監視モニタ26に複数の監視カメラが対応している場合は、割り込み処理などにより警告が送られてきた監視カメラ2のカメラ画像を監視モニタ26に映してもよい。これにより、監視センタ20内で店舗における不正等を監視している監視者は容易に不正動作の可能性を察知することができる。
【0020】
また、監視装置100は、キャッシュレジスタ4に対して不正動作が行われていると判定した場合、ネットワーク6および基地局7を介して店舗10のオーナーの携帯端末8にも警告を送る。特に監視装置100は、携帯端末8にキャッシュレジスタ4のIDや監視カメラ2のフレーム画像の一部を含む電子メールを送信する。これにより店舗10のオーナーは不正動作を素早く察知できる。
【0021】
図2は、監視装置100およびその周辺の機能および構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(central processing unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0022】
監視装置100は、画像取得部102と、画像処理部104と、基準画像DB106と、基準画像更新部108と、を備える。
画像取得部102は、キャッシュレジスタ4が載置される空間を撮像したフレーム画像を監視カメラ2から取得する。監視カメラ2は天井に設置されているので、その監視カメラ2によって撮像されるフレーム画像は、キャッシュレジスタ4が載置される空間を店員5の頭部側から撮像したものとなる。以下キャッシュレジスタ4に対して店舗10の天井側を上として説明する。
【0023】
画像処理部104は、背景画像158(図6で後述)や過去画像などの基準画像と画像取得部102によって取得されたフレーム画像とを比較する。画像処理部104はその比較の結果、店員5がキャッシュレジスタ4に対して不正動作、例えば現金の抜き取り、を行っていると判定すると、センタサーバ22に警告を送信する。
ここで背景画像158は、キャッシュレジスタ4が載置される空間を撮像したフレーム画像のうち、店員および顧客のいずれも存在せず、キャッシュレジスタ4のドロアが閉まっている状態のフレーム画像である。また過去画像とは、画像処理部104で処理されるフレーム画像よりも過去の、例えば1フレーム前のフレーム画像である。基準画像DB106は、基準画像を記憶する。
【0024】
店舗10における業務の都合上キャッシュレジスタ4周辺の状況、例えば物の配置が変わることが考えられる。この場合、画像処理部104における不正動作の誤判定を防ぐために背景画像158を更新する必要がある。
基準画像更新部108は、画像取得部102によって取得されたフレーム画像を使用して背景画像158および過去画像を生成し、生成されたそれらの画像で基準画像DB106を更新する。
基準画像更新部108は、定期的にもしくは監視装置100の管理者、例えばオーナーからの指示が入力手段138からあると、基準画像DB106に記憶される背景画像158をその時点で画像取得部102によって取得されたフレーム画像で置き換える。これにより画像処理部104における誤判定の数を低減できる。
【0025】
画像処理部104は、領域設定部110と、顧客存否判定部112と、開閉判定部114と、複数領域設定部116と、動作検知部118と、監視部120と、領域指定部122と、を含む。
領域設定部110は、画像取得部102によって取得されたフレーム画像のなかに画像比較の対象となる少なくともひとつの領域を設定する。本実施の形態ではフレーム画像の全体を基準画像の全体と比較するのではなく、フレーム画像のうち必要な部分を切り出して比較する。これにより処理に必要なメモリ量を低減しうる。
【0026】
領域設定部110は、フレーム画像のなかに顧客領域を設定する顧客領域設定部124と、フレーム画像のなかにドロア領域を設定するドロア領域設定部126と、フレーム画像のなかに店員領域を設定する店員領域設定部128と、を有する。
図3は、領域設定部110によって設定される領域を示す説明図である。顧客領域142は、フレーム画像140のうちキャッシュレジスタ4の前に立つ顧客が存在する領域である。店員領域144は、キャッシュレジスタ4を操作する店員が存在する領域である。ドロア領域146は、キャッシュレジスタ4のドロア(図3では不図示)を開けた場合にそのドロアが占める領域である。
【0027】
顧客領域設定部124は、フレーム画像140の2次元座標系において、後述する領域指定部122によって予め指定された4つまたは5つ以上の多角形の座標を結んで形成される矩形の領域内に含まれる画像データを特定することによって顧客領域142を設定する。ドロア領域設定部126および店員領域設定部128についても同様である。
【0028】
図2に戻る。領域指定部122は、顧客領域142、店員領域144、ドロア領域146の各領域を設定するための4つの座標または5つ以上の多角形をそれぞれ入力手段138から取得する。
【0029】
顧客存否判定部112は、顧客領域142内における背景画像158の画素値とフレーム画像140の画素値との差分を演算し、その差分の絶対値の総和が所定の値以下であればフレーム画像140の顧客領域142には顧客が存在しないと判定する。顧客存否判定部112は、差分の絶対値の総和が所定の値より大きければフレーム画像140の顧客領域142に顧客が存在すると判定する。なお、差分の絶対値の総和が所定の値より大きい場合、顧客存否判定部112は画像処理部104におけるそのフレーム画像140の処理を中断させる。
【0030】
開閉判定部114は、以下の(1)〜(3)のいずれかの基準を使用してキャッシュレジスタ4のドロアの開閉を判定する。
(1)開閉判定部114は、ドロア領域146内における背景画像158の画素値とフレーム画像140の画素値との差分を演算し、その差分の絶対値の総和が所定の値以上であればドロアが開いていると判定する。
(2)開閉判定部114は、ドロア領域146内における背景画像158の画素値とフレーム画像140の画素値との差分の絶対値を新たな画素値とする差分画像のなかに、所定のドロアの形状を認識できる場合はドロアが開いていると判定する。
(3)(1)の条件と(2)の条件の両者が成立する場合に開閉判定部114はドロアが開いていると判定する。この場合、より正確にドロアの開閉判定を行うことができる。
【0031】
開閉判定部114においてドロアが閉じていると判定される場合に、開閉判定部114は画像処理部104におけるそのフレーム画像140の処理を中断させる。
また、開閉判定部114は、(1)の基準では差分の絶対値の総和の大きさによって、(2)の基準ではドロアの形状によって、ドロアがどの程度開いているか、つまりドロアの開きの度合いを判別してもよい。さらに開閉判定部114は判別されたドロアの開きの度合いに基づいて、ドロア領域設定部126で設定されたドロア領域146の例えば大きさや範囲を変更してもよい。特に開閉判定部114は判別されたドロアの開きの度合いに合致するようにドロア領域146を変更してもよい。この場合、ドロアの実際の開き具合により即した不正動作判定が可能となるので、誤判定の可能性を低減できる。
【0032】
複数領域設定部116は、店員領域144における店員5の存否をまず判定し、存在する場合はその店員5の位置を基点とする複数の領域を設定する。複数領域設定部116は、店員存否判定部130と、領域分割部132と、を有する。
店員存否判定部130は、店員領域144内における背景画像158の画素値とフレーム画像140の画素値との差分を演算し、その差分の絶対値の総和が所定の値以上であればフレーム画像140の店員領域144に店員が存在すると判定する。差分の絶対値の総和が所定の値より小さい場合、店員存否判定部130は画像処理部104におけるそのフレーム画像140の処理を中断させる。
【0033】
領域分割部132は、店員存否判定部130において店員領域144に店員5が存在すると判定されると、その店員5の店員領域144内での位置を基点(この場合は中心)とするリーチ領域を設定し、そのリーチ領域を分割する。
図4は、領域分割部132におけるリーチ領域148の設定および分割を説明するための説明図である。領域分割部132は店員5の頭部5aの位置の座標をパターン認識等の公知の技術を使用して算出する。領域分割部132は、頭部5aの位置の座標を中心に所定の範囲、例えば手が届く程度の範囲の領域をリーチ領域148として設定する。ここでリーチ領域148を大きくしすぎると画像処理部104における処理量が増え、小さくしすぎると腕の長さの個人差に対応できなくなりうる。したがってリーチ領域148はそれらの影響が拮抗する範囲とされる。例えば、店員5の位置から1m程度の距離が外縁となるようにリーチ領域148を設定してもよい。領域分割部132は、フレーム画像140上のスケール、例えば画素単位、と実空間内のスケール、例えばm(メートル)単位との間の換算を行う換算部(不図示)を有する。
領域分割部132は、リーチ領域148を頭部5aの位置において直交する2本の直線150、152によって4分割する。分割後の領域をそれぞれ第1〜第4分割領域154a〜154dと呼ぶ。
【0034】
図2に戻る。動作検知部118は、第1〜第4分割領域154a〜154dのうちの少なくともひとつとドロア領域146とが少なくとも部分的に重畳する場合に、ドロア領域146と少なくとも部分的に重畳する分割領域におけるフレーム画像140の画素値からキャッシュレジスタ4のドロアに対して店員5が動作を行っているか否かを判定する。動作検知部118は、重畳判定部134と、差分判定部136と、を有する。
【0035】
具体的に、重畳判定部134は、第1〜第4分割領域154a〜154dのうちの少なくともひとつとドロア領域146とが少なくとも部分的に重畳するか否かを判定する。これは例えば第1〜第4分割領域154a〜154dに含まれる画素とドロア領域146に含まれる画素との間に共通する画素が存在するか否かによって判定される。
【0036】
差分判定部136は、重畳判定部134において重畳すると判定された場合、第1〜第4分割領域154a〜154dの各領域内における現在のフレーム画像140の画素値と基準画像DB106から取得する過去画像、例えば現在よりも1フレーム前のフレーム画像の画素値との差分を演算する。差分判定部136は、ドロア領域146と少なくとも部分的に重畳する分割領域における差分の絶対値の総和が所定の第1判定値以上であり、かつ、それ以外の分割領域における差分の絶対値の総和が所定の第2判定値以下である場合に、キャッシュレジスタ4のドロアに対して店員5が動作を行っていると判定する。第1判定値と第2判定値とは等しく設定されてもよく、また、異なる値に設定されてもよい。
【0037】
図5は、差分判定部136における判定を説明するための説明図である。図5では第1分割領域154aがドロア領域146と部分的に重畳している。一人の店員5がキャッシュレジスタ4のドロア156に対して片手で動作を行っている場合、店員5の手5bの動きによって第1分割領域154aにおける差分の絶対値の総和は大きくなる。したがって、第1判定値を適切に設定することにより、ドロア156に対して店員5が何かの動作を行っていると判定できる。
【0038】
また、他の分割領域(第2〜第4分割領域154b〜154d)における差分の絶対値の総和も演算され、第2判定値と比較される。これにより差分判定部136における誤判定が低減される。仮に第1分割領域154aにおける差分の絶対値の総和と第1判定値との比較のみを使用して判定を行う場合を考える。すると例えば監視カメラ2の誤動作や外来ノイズによってフレーム画像140とそれよりも1フレーム前のフレーム画像との間で全体的な輝度変化が生じた場合、店員5がドロア156に手を伸ばしていなくても第1分割領域154aにおける差分の絶対値の総和は第1判定値以上となりえる。そうなるとドロア156に対して店員5が何かの動作を行っていると誤判定される可能性がある。しかしながら本実施の形態に係る監視装置100の差分判定部136ではドロア領域146と少なくとも部分的に重畳する分割領域における差分だけでなく他の分割領域における差分も使用して動作判定するので、かかる誤判定の可能性を低減できる。フレーム画像140とそれよりも1フレーム前のフレーム画像との間で全体的な輝度変化が生じた場合は、他の分割領域(第2〜第4分割領域154b〜154d)における差分の絶対値の総和もまた大きくなるからである。第2判定値を適切な値に設定することでそのような誤判定の多くを排除できる。
【0039】
図2に戻る。監視部120は、動作検知部118においてキャッシュレジスタ4のドロア156に対して店員5が動作を行っていると判定され、かつ、顧客存否判定部112において顧客領域142に顧客がいないと判定され、かつ、開閉判定部114においてドロア156が開いていると判定された場合、不正動作が行われていると判定する。
監視部120は不正動作が行われていると判定されると、ネットワーク6を介してセンタサーバ22および携帯端末8に警告を送る。センタサーバ22に送られる警告は、不正動作が行われていると判定された時刻と、キャッシュレジスタ4のIDやフレーム画像140などの不正動作が行われている場所を特定するための情報と、を含む。
【0040】
監視部120はさらに、不正動作が行われていると判定された後所定の待機時間、例えば一分が経過するまでは次の警告を送信しない。これにより誤判定が起こってもそれに対する警告の数を低減できる。
【0041】
図6は、背景画像158を示す模式図である。背景画像158は、キャッシュレジスタ4の周辺に店員や顧客などの人がいない状態で、キャッシュレジスタ4の周辺を上から撮像したフレーム画像である。
【0042】
上述の実施の形態において、基準画像DB106の例は、ハードディスクやメモリである。また、本明細書の記載に基づき、各ブロックを、図示しないCPUや、インストールされたアプリケーションプログラムのモジュールや、システムプログラムのモジュールや、ハードディスクから読み出したデータの内容を一時的に記憶するメモリなどにより実現できることは本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0043】
図7は、監視装置100における一連の処理を示すフローチャートである。画像取得部102は、キャッシュレジスタ4が載置される空間を撮像したフレーム画像140を監視カメラ2から取得する(S202)。領域設定部110は、フレーム画像140のなかに顧客領域142と、店員領域144と、ドロア領域146と、を設定する(S204)。顧客存否判定部112において顧客領域142に顧客がいると判定された場合(S206のY)、処理はステップS202に戻る。顧客領域142に顧客がいないと判定された場合(S206のN)、開閉判定部114においてドロア156の開閉が判定される(S208)。開閉判定部114においてドロア156が閉まっていると判定される場合(S208のN)、処理はステップS202に戻る。開閉判定部114においてドロア156が開いていると判定される場合(S208のY)、店員存否判定部130において店員領域144における店員5の存否が判定される(S210)。店員存否判定部130において店員領域144に店員5がいないと判定された場合(S210のN)、処理はステップS202に戻る。店員存否判定部130において店員領域144に店員5がいると判定された場合(S210のY)、領域分割部132は店員5の位置を基点とするリーチ領域148を設定する(S212)。領域分割部132は、そのリーチ領域148を第1〜第4分割領域154a〜154dに分割する(S214)。重畳判定部134においてドロア領域146は第1〜第4分割領域154a〜154dのいずれとも重畳しないと判定された場合(S216のN)、処理はステップS202に戻る。重畳判定部134において第1〜第4分割領域154a〜154dのうちの少なくともひとつとドロア領域146とに少なくとも部分的に重畳があると判定された場合(S216のY)、差分判定部136において、重畳する分割領域内におけるフレーム画像140の画素値とフレーム画像140の1フレーム前のフレーム画像の画素値との間の差分を使用した判定が行われる(S218)。差分判定部136において、重畳する分割領域における差分の絶対値の総和が第1判定値より小さいと判定された場合(S218のN)、処理はステップS202に戻る。差分判定部136において、重畳する分割領域における差分の絶対値の総和が第1判定値以上と判定された場合(S218のY)、差分判定部136において他の分割領域における差分を使用した判定が行われる(S220)。差分判定部136において、他の分割領域における差分の絶対値の総和が第2判定値より大きいと判定された場合(S220のN)、処理はステップS202に戻る。差分判定部136において、他の分割領域における差分の絶対値の総和が第2判定値以下と判定された場合(S220のY)、監視部120はセンタサーバ22および携帯端末8に対して警告を送信する(S222)。
【0044】
なお、ステップS206とステップS208とを入れ替えてもよい。すなわち、開閉判定部114におけるドロア156の開閉判定を最初に行ってもよい。
【0045】
以上の構成による監視装置100およびそれを含む監視システム1の動作を説明する。
監視システム1によってキャッシュレジスタ4の周辺が監視されているなかで店員5がキャッシュレジスタ4から現金を盗んだとする。すると監視装置100は監視カメラ2から送られてくるフレーム画像を処理して店員5の不正な動作を検知し、監視センタ20の監視者および店舗10のオーナーにその旨を知らせる。監視者やオーナーは監視装置100からの知らせに基づき警察への通報や盗んだ店員5の特定などを迅速に行うことができる。
【0046】
本実施の形態に係る監視装置100によると、監視カメラ2からのフレーム画像140に領域を設定し、その領域内におけるフレーム画像140の画素値を使用した条件判定を基に不正動作を判定する。したがって、例えばフレーム画像に映る店員の動作を追跡しその軌跡から計算することによって不正判定を行う場合と比較して、画像処理における計算量を低減することができる。また、店員5の位置の周りに複数の領域すなわち第1〜第4分割領域154a〜154dを設定し、各分割領域内におけるフレーム画像140の画素値を使用した条件判定を基に不正動作を判定する。したがって、やはり画像処理における計算量を低減できる。
【0047】
また、顧客存否判定部112がフレーム画像140の顧客領域142に顧客が存在すると判定した場合、顧客存否判定部112は画像処理部104におけるそのフレーム画像140の処理を中断させる。顧客領域142に顧客が存在する場合、店員5がキャッシュレジスタ4から現金を盗んでいると判定するための必要条件のひとつが欠ける。したがって画像処理部104におけるその余の判定結果を待つまでもなくそのフレーム画像140からは不正動作は検出されない。そこで顧客領域142に顧客が存在すると判定された時点で現フレーム画像140の処理をやめて次のフレーム画像の処理を始めることで画像処理部104における処理量を低減し、より効率的な監視装置100の運用が可能となる。
開閉判定部114がドロアが閉じていると判定した場合に開閉判定部114は画像処理部104におけるそのフレーム画像140の処理を中断させること、および、店員存否判定部130がフレーム画像140の店員領域144に店員5が存在しないと判定した場合に店員存否判定部130は画像処理部104におけるそのフレーム画像140の処理を中断させること、についても同様の作用効果がある。
【0048】
領域分割部132における領域分割の変形例を説明する。
図8は、第1変形例に係る領域分割部132aにおけるリーチ領域148の分割を説明するための説明図である。領域分割部132aは、リーチ領域148を店員5の頭部5aの位置を囲む2本の略楕円160a、bで分割する。その結果リーチ領域148は、それぞれが店員5の頭部5aの位置を囲む環状の第1〜第3環状分割領域162a〜162cに分割される。
【0049】
第1変形例に係る動作検知部118aは、まず一番外側の第1環状分割領域162aがドロア領域146と少なくとも部分的に重畳するか否かを判定する。動作検知部118aは、重畳すると判定された場合、第1〜第3環状分割領域162a〜162cの各領域内におけるフレーム画像140の画素値と基準画像DB106から取得する過去画像、例えば現在よりも1フレーム前のフレーム画像の画素値との差分を演算する。動作検知部118aは差分の絶対値の総和が所定の値以上となる環状分割領域の時間的な変遷を基に、店員5がキャッシュレジスタ4のドロア156に対して動作を行っているかを判定する。
【0050】
特に動作検知部118aは、ドロア領域146と第1環状分割領域162aのみが重畳する場合、差分の絶対値の総和が所定の値以上となる環状分割領域が時が経つにつれて、第3環状分割領域162c、第2環状分割領域162b、第1環状分割領域162aの順番に移り変わるときに、店員5がキャッシュレジスタ4のドロア156に対して動作を行っていると判定する。具体的には、第3環状分割領域162cにおける差分の絶対値の総和が所定の値以上となったときのフレーム画像を基点、例えばn0番目のフレームとする。n0番目のフレーム以降で初めて第2環状分割領域162bにおける差分の絶対値の総和が所定の値以上となったときのフレーム画像をn1番目のフレームとする。n1番目のフレーム以降で初めて第1環状分割領域162aにおける差分の絶対値の総和が所定の値以上となったときのフレーム画像をn2番目のフレームとする。ここでn0、n1およびn2はいずれも自然数であり、n0<n1<n2を満たす。
なお、n0番目のフレームとn1番目のフレームとの間のフレームにおけるフレーム画像では、第3環状分割領域162cにおける差分の絶対値の総和が所定の値以上となっていてもよいし、なっていなくてもよい。また、n1番目のフレームとn2番目のフレームとの間のフレームにおけるフレーム画像では、第2環状分割領域162bにおける差分の絶対値の総和が所定の値以上となっていてもよいし、なっていなくてもよい。
【0051】
また動作検知部118aは、ドロア領域146と第1環状分割領域162aのみが重畳する場合に、差分の絶対値の総和が所定の値以上となる環状分割領域が、第3環状分割領域162c、第2環状分割領域162b、第3環状分割領域162c、の順番に移り変わるときは、店員5がキャッシュレジスタ4のドロア156に対して動作を行っているとは判定しない。
【0052】
第1の実施の形態に係る監視装置100では店員5が腕を伸ばして引っ込めるといった動作を判別するのは難しい。しかしながら本変形例によると、容易にそのような動作を判別できる。したがって店員5の腕の動きにもとづいて不正動作を判定できる。特に店員5の腕がドロア領域146に届いていない場合は不正動作と判定されないので、誤判定の数を低減できる。
【0053】
図9は、第2変形例に係る領域分割部132bにおけるリーチ領域148の分割を説明するための説明図である。領域分割部132bは、リーチ領域148を店員5の頭部5aの位置を囲む2本の略楕円160a、bおよび頭部5aの位置において直交する2本の直線150、152によって分割する。
本変形例によると、第1の実施の形態の作用効果および第1変形例の作用効果の両者を得ることができる。したがって、さらに誤判定の少ない不正動作判定が可能となる。
【0054】
図10は、第3変形例に係る領域分割部132cにおけるリーチ領域の設定および分割を説明するための説明図である。領域分割部132cは、店員領域144に存在する店員5の位置とドロア領域146との間にリーチ領域148cを設定する。領域分割部132cは、リーチ領域148cを店員5の位置からの距離によって、例えば等間隔となるように分割する。その結果図10ではリーチ領域148cは第1〜第4帯状分割領域164a〜164dおよび残余分割領域166に分割される。動作検知については重畳判定がない点を除き第1変形例に係る動作検知部118aに準ずる。
【0055】
本変形例によると、店員5の位置に対して設定するリーチ領域148cを第1の実施の形態の場合と比べて小さくできる。したがってより計算量を低減できる。
なお、領域分割部132cは店員5の手先周辺をさらに細かく分割してもよい。
【0056】
第1の実施の形態では領域分割部132においてリーチ領域148を分割してから重畳判定部134で重畳判定する場合について説明したが、これに限られず、リーチ領域148を分割しなくてもよい。例えば第4変形例では、領域分割部132の代わりにリーチ領域設定部を設けてもよい。リーチ領域設定部は、店員存否判定部130において店員領域144に店員5が存在すると判定されると、その店員5の店員領域144内での位置を中心とするリーチ領域148を設定する。またこの場合、重畳判定部はリーチ領域148とドロア領域146とが少なくとも部分的に重畳するか否かを判定する。重畳する場合、重畳判定部はそれらが重畳する重畳領域180を設定する。言い換えると、重畳判定部はリーチ領域148に対して重畳領域180およびそれ以外の領域の2つの領域を設定する。
図11は、第4変形例に係る重畳領域180を説明するための説明図である。リーチ領域148のうちドロア領域146と重畳する部分が重畳領域180である。
【0057】
第4変形例に係る差分判定部136dは、重畳判定部において重畳すると判定された場合、重畳領域180内における現在のフレーム画像140の画素値と基準画像DB106から取得する過去画像、例えば現在よりも1フレーム前のフレーム画像の画素値との差分を演算する。
【0058】
本変形例によると、リーチ領域148よりも小さな重畳領域180を差分演算に使用するので画像処理部104におけるデータの処理量を低減できると共に、重畳部分だけを見て動作を検知するので検知の確実性が向上する。
【0059】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、監視カメラ2が天井に設置されて、店員5の頭部側からキャッシュレジスタ4が載置される空間を撮像する。一方、第2の実施の形態では、監視カメラ2が店舗10の壁に設置されて、店員5の側方からキャッシュレジスタ4が載置される空間を撮像する。監視カメラ2の画角は、店員5の頭から足までを撮像できる画角に設定される。以下、第1の実施の形態と共通する部分の説明は省略する。
【0060】
図12は、領域設定部110によって設定される領域を示す説明図である。領域設定部110は、フレーム画像174のなかに顧客領域168と、店員領域170と、ドロア領域172と、を設定する。顧客領域168は、画像取得部102によって取得されるフレーム画像174のうちキャッシュレジスタ4の前に立つ顧客が存在する領域である。店員領域170は、キャッシュレジスタ4を操作する店員が存在する領域である。ドロア領域172は、キャッシュレジスタ4のドロア(図12では不図示)を開けた場合にそのドロアが占める領域である。
【0061】
領域分割部132は、店員存否判定部130において店員領域170に店員5が存在すると判定されると、その店員5の店員領域170内での位置を中心とするリーチ領域を設定し、そのリーチ領域を分割する。
図13は、領域分割部132におけるリーチ領域176の設定および分割を説明するための説明図である。領域分割部132は店員5の頭部5aの位置の座標をパターン認識等の公知の技術を使用して算出する。領域分割部132は、頭部5aの位置の座標を基準に所定の範囲、例えば手が伸ばせる程度の範囲の領域をリーチ領域176として設定する。 領域分割部132は、リーチ領域176を水平方向に頭部5aの大きさ程度の間隔で分割する。分割後の領域をそれぞれ第1〜第3分割領域178a〜178cと呼ぶ。
【0062】
重畳判定部134は、第1〜第3分割領域178a〜178cのうちの少なくともひとつとドロア領域172の上方とが少なくとも部分的に重畳するか否かを判定する。
差分判定部136は、重畳判定部134において重畳すると判定された場合、第1〜第3分割領域178a〜178cの各領域内におけるフレーム画像174の画素値と基準画像DB106から取得する過去画像、例えば現在よりも1フレーム前のフレーム画像の画素値との差分を演算する。差分判定部136は、ドロア領域172の上方と少なくとも部分的に重畳する分割領域における差分の絶対値の総和が所定の第1判定値以上であり、かつ、それ以外の分割領域における差分の絶対値の総和が所定の第2判定値以下である場合に、キャッシュレジスタ4のドロアに対して店員5が動作を行っていると判定する。
【0063】
図14は、差分判定部136における判定を説明するための説明図である。図14では第2分割領域178bがドロア領域172の上方172aと部分的に重畳している。一人の店員5がキャッシュレジスタ4のドロア156に対して足は動かさずに手で動作を行っている場合、店員5の手5bの動きによって第2分割領域178bにおける差分の絶対値の総和は大きくなる。したがって、第1判定値を適切に設定することによりドロア156に対して店員5が何かの動作を行っていると判定できる。
【0064】
また、他の分割領域(第1分割領域178a、第3分割領域178c)における差分の絶対値の総和も演算され、第2判定値と比較される。この意義は第1の実施の形態と同様である。
【0065】
本実施の形態によると第1の実施の形態の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0066】
以上、実施の形態に係る監視装置100の構成と動作について説明した。これらの実施の形態は例示であり、その各構成要素や各処理の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。例えば第1の実施の形態と第2の実施の形態を組み合わせること、つまりキャッシュレジスタ4を上方および側方の両方向から2台の監視カメラで監視し、それらの監視カメラからのフレーム画像をそれぞれ第1の実施の形態、第2の実施の形態で説明したように処理することも可能である。
【0067】
第1および第2の実施の形態において、リーチ領域を設定する前に領域分割部132は、店員5の位置とドロア領域の位置との間の距離を演算してもよい。領域分割部132は、その距離が所定の距離以下の場合にリーチ領域を設定してもよい。この場合、店員5とドロアとの距離が遠い場合はリーチ領域の設定、分割や不正判定を行わなくてもよいので、監視装置全体の処理速度が向上しうる。
【0068】
第1および第2の実施の形態では、画像処理部104が開閉判定部114を含み、開閉判定部114はフレーム画像140からドロアの開閉を判定する場合について説明したが、これに限られない。例えば、画像処理部104の外部に開閉判定部を設けてもよい。この開閉判定部は、キャッシュレジスタ4から受信するドロアの開閉を示す開閉信号を基にドロアの開閉を判定してもよい。
【0069】
第1および第2の実施の形態では、監視部は警告を発する場合について説明したが、これに限られない。例えば、不正動作があると判定された場合、監視部は不正動作の対象となったキャッシュレジスタ4のIDと不正動作があった時刻とを記録テーブルに記録してもよい。この場合、記録テーブルに記録される情報は、後に犯人を割り出すための一助となる。また、監視システム1は監視カメラ2からのフレーム画像を常時録画せず、監視部は不正動作の判定を契機として録画を開始してもよい。この場合、必要なストレージのキャパシティを低減できる。
【0070】
第1および第2の実施の形態では、監視装置100と監視カメラ2とを別体として説明したが、これに限られず、監視装置100の機能は監視カメラ2に組み込まれてもよい。また、監視装置100は監視センタ20に備えられてもよい。
【0071】
第1および第2の実施の形態では、差分判定部136は、現在のフレーム画像140の画素値と基準画像DB106から取得する過去画像、例えば現在よりも1フレーム前のフレーム画像の画素値との差分を演算する場合について説明したが、これに限られない。例えば、ドロア156が開いている状態の背景画像すなわちキャッシュレジスタ4が載置される空間を撮像したフレーム画像のうち、店員および顧客のいずれも存在せず、キャッシュレジスタ4のドロア156が開いている状態のフレーム画像が使用されてもよい。この場合、差分判定部136は、現在のフレーム画像140の画素値とドロア156が開いている状態の背景画像の画素値との差分を演算してもよい。また、過去画像としてドロア156に店員5の手が届いていないことが明らかな程度まで遡ったフレーム画像を使用してもよい。これらの場合、差分によってドロア156に店員5の手がかかっているか否かが判定されうる。
【0072】
第1および第2の実施の形態で説明した不正動作を判定するための条件に、店員5がきょろきょろ当たりを見回すなどの「ちらちら周りを確認するしぐさ」を加えてもよい。この場合に対応する第5変形例では、監視部は、動作検知部118においてキャッシュレジスタ4のドロアに対して店員5が動作を行っていると判定され、かつ、顧客存否判定部112において顧客領域に顧客がいないと判定され、かつ、開閉判定部114においてドロアが開いていると判定され、かつ不審動作判別装置1000によって店員5の「ちらちら周りを確認するしぐさ」が検知された場合、不正動作が行われていると判定する。
【0073】
本変形例に係る不審動作判別装置1000を図15に示しており、この例では移動体である人間の頭部の動きから不審者を判別するのに適用したものである。この移動体の判別装置では、更にはオペレータが入力操作する入力手段1004を有して構成している。演算処理部1001は、監視カメラにより取得した人間の頭部の2次元位置情報を処理し,後述する特徴データを用いて移動体を不審者等か否かを判別処理して出力する部分である。
【0074】
演算処理部1001には、図15の例では位置情報処理手段1011と、人間の頭部の2次元位置データを記録する記録手段1012と、動作特徴データ算出手段1013と、個別動作別特徴係数算出手段1014と、個別動作別特徴算出係数を記録保存する記録手段1015と、個別動作別特徴量算出手段1016と、判別手段1017と、個別動作別特徴指示手段1018と、個別動作選択指示手段1019とを有しており、これらについては以下にそれぞれ説明する。
【0075】
位置情報処理手段1011は、撮影した映像情報に対して所定の画像処理を行い、この処理で取得した移動体である人間の頭部のx座標値とy座標値の位置データを得る部分であり、処理取得した移動体の位置データは、メモリ等の記録手段1012に出カして保存する。
【0076】
動作特徴データ算出手段1013は、記録手段1012中の指定時間内における移動体の位置データを用いて、後述する計算式により動作別の特徴量の算出に必要な特徴データ、即ち移動体の動作特徴データである少なくとも動作の距離と、速さと、角度と、2次元座標データのx座標の移動量とy座標の移動量の相関係数との各特徴データを算出する部分である。この動作特徴データ算出手段1013で算出した移動体の動作特徴データは、個別動作毎に該否判別の閾値を設定することを目的とする場合には個別動作別特徴係数算出手段1014で使用し、判別対象体の個別動作の該否判別を目的とする場合には個別動作別特徴量算出手段1016で使用する。
【0077】
動作特徴データ算出手段1013で算出する動作の距離と、速さと、角度と、2次元座標データのx座標の移動量とy座標の移動量の相関係数の各特徴データは、以下に例示する各式で算出する。
(1)動作の距離特徴データのうち、指定時間内における動作中心からの距離の平均
は、式1で求める。
【0078】
【数1】
【0079】
ただし、iは指定時間の位置データの番号、N は指定時問内の位置データの数、riは指定時間内の動作中心座標値とi番日の位置データとの距離である。
(2)動作の距離特徴データのうち、指定時間内における動揺中心からの距離の標準偏差(ばらつき)σrは、式2で求める。
【0080】
【数2】
【0081】
ただし、iとNとriと
は、上記のものと同様である。
(3)動作の速さ特徴データのうち、指定時間内における軌跡長の平均
は、式3で求める。
【0082】
【数3】
【0083】
ただし、Δriのi番目の位置データとi+1番目の位置データ間の距離は、式3−1で求められ、iとNは上記のものと同様であり、Δtは指定時間、xiとyiは、それぞれi番目の位置データ、xi+1とyi+1は、それぞれi+1番目の位置データである。
【0084】
【数4】
【0085】
(4)動作の速さ特徴データのうち、指定時間内における軌跡長の標準偏差(ばらつき)σΔtは、式4で求める。
【0086】
【数5】
【0087】
ただし、Δriと
とΔtは、上記のものと同様である。
(5)動作の角度特徴データのうち、指定時間内における変動角度の平均
は、式5で求める。
【0088】
【数6】
【0089】
ただし、θiのi番目の位置データの角度は、式5−1により求められ、Δθiのi番目の位置データとi+1番目の位置データ間の角度は、式5−2により求められ、Δtとxiとyiは、上記のものと同様であり、cxとcyは、それぞれ動作中心のx座標の値とy座標の値である。
【0090】
【数7】
【0091】
【数8】
【0092】
(6)動作の角度特徴データのうち、指定時間内の変動角度の標準偏差(ばらつき)σΔθは、式6で求める。
【0093】
【数9】
【0094】
ただし、Δθiと
とΔtは、上記のものと同様である。
(7)動作の関連性特徴データのうち、xとyの相関係数Cxyは、式7で求める。
【0095】
【数10】
【0096】
ただし、xiとyiととcxとcyは、上記のものと同様であり、σxは指定時間内のx座標における標準偏差で、式7−1により求められ、またσyは指定時間内のy座標における標準偏差で、式7−2により求められる。
【0097】
【数11】
【0098】
【数12】
【0099】
(8)動作の関連性特徴データのうち、面積Sは、式8で求める。
【0100】
【数13】
【0101】
ただし、σxとσyは、上記のものと同様である。
【0102】
なお、特徴データの算出式には、上記以外に移動体が撮影した画像中の動作中心を基準として第1から第4象限の動揺中らからの距離の平均や最大距離を求める計算式等も使用することができる。
【0103】
個別動作別特徴係数算出手段1014では、個別動作毎に該否判別の閾値を設定するために、動作特徴データ算出手段1013で算出された特徴データと、オペレータが操作する入力手段1004から個別動作別特徴指示手段1018を介して入力した不審レベルを用いて、移動体の個別動作毎の最適な動作の個別動作別特徴算出係数を算出し、これを記録手段1015に保存している。
【0104】
個別動作別特徴係数算出手段1014おいての個別動作別特徴算出係数は、次のように周知の重回帰分析によって算出する。
特徴データを説明変数とし、不審レベルを目的変数として、重回帰分析を行い、係数(回帰係数)と各特長データの危険率を求める。そして、求めた危険率が高ければ、不要な特徴データとみなす。例えば不審者を撮影し、「ちらちら周りを確認するしぐさ」の動きをする不審者を要因分析した結果、表1の値が算出される。
【0105】
【表1】
【0106】
上記の表1から不要な特徴データを削除するため、例えば危険率が50%以上の場合は、不審者を判別するための特徴データから削除し、そして再度の要因分析する。要因分析は、定めた危険率が50%以上の特徴量がなくなるまで、繰り返し実施する。この繰り返しによって、表1から特徴データの変動角(平均)及び変動角(標準偏差)は削除され、表2に示すようになり、このときの係数(回帰係数)等が記録手段1015に記録保存される。
【0107】
【表2】
【0108】
個別動作別特徴量算出手段1016では、判別対象体の個別動作の該否判別を行うために、少なくとも移動体の動作の距離と、速さと、角度と、2次元座標データのx座標の移動量とy座標の移動量の相関係数の各特徴データを説明変数とし、記録手段1015に記録した表2に示す特徴データと係数(回帰係数)と切片を用いて、下記のように個別動作別特徴量として目的変数を算出する。
【0109】
つまり、個別動作別特徴量算出手段1016では、記録手段1015に保存した表2の係数の積と切片とを全て加算して、個別動作別特徴量を目的変数として算出する。したがって、個別動作別特徴量は、下記の算出量の値となる。
【数14】
【0110】
なお、個別動作別特徴係数算出手段1014での個別動作別特徴算出係数の算出には、上記した重回帰分析以外に、主成分分析や、判別分析や、ニューラルネットワークの技術を利用して行うことができる。
【0111】
上記した移動体の位置データを使用する動作特徴データ算出手段1013と個別動作別特徴係数算出手段1014は、別のパソコンに組み込んで算出処理を行って、移動体の位置データから動作特徴データ、個別動作別特徴算出係数を順に求めることもできる。そして、算出結果の個別動作別特徴算出係数を、入力手段1004から演算処理部1001内の記録手段1015に記録して使用することもできる。このような算出処理をする場合、個別動作別特徴係数算出手段1014及び個別動作別特徴指示手段1018は、演算処理部1001に設ける必要がなくなる。
【0112】
個別動作別特徴量算出手段1016で算出した個別動作別特徴量の値は、判別手段1017で使用する。判別手段1017では、個別動作別特徴量の値と予め設定した闘値との比較を行い、その大小から移動体が不審者であるか否かを判別し、その結果を監視部に出力する。
【0113】
また、個別動作別特徴指示手段1018は、オペレータが入力手段1004を用いて動作の名称や動作レベルを操作入力し、個別動作別特徴係数算出手段1014に指示するために用いられる。オペレータによる動作の名称と動作レベルの入力は、例えば回りをちらちら確認する動作を人の不審な動作として判別する場合に、動作の名称を「ちらちら周りを確認するしぐさ」と入力し、動作レベルは0〜100の中で「ちらちら周りを確認するしぐさ」の動作を非常によく表現している場合には「100」を入力し、不審な動作でない場合は「0」を入力する。
【0114】
人間の頭部の2次元位置データから予め個別動作別特徴算出係数の算出、及び記録手段1015に記録までの実施する処理手順の例を、図16及び図17に示している。図16の処理手順は、監視カメラで取得した指定時間内の人間の頭部の2次元位置データを、位置情報処理手段1011で処理し(ステップS1021)、動作特徴データ算出手段1013において移動体の動作の距離と、速さと、角度と、2次元座標データのx座標の移動量とy座標の移動量の相関係数の各特徴データを算出処理し(ステップS1022)、オペレータが入力手段から動作名称と動作レベルの入力を受けてから(ステップS1023)、それをもとに個別動作別特徴係数算出手段1014で個別動作別特徴算出係数の算出処理を行い(ステップS1024)、個別動作別特徴算出係数を記録手段1015に記録保存の処理(ステップS1025)を行っている。
【0115】
また、監視カメラからの画像を活用した別の処理手順の場合上記ステップS1021部分の処理に代えて、位置情報処理手段1011において画像中の人から頭部の重心位置の算出と保管を行い、更に保管された頭部の重心位置から一定時間、例えば15秒間の重心位置の取得処理を行って、次のステップS1022からステップS1025までの処理を行わせることもできる。
【0116】
図17には移動体の判別を行う本発明の判別手順を示しており、ステップS1031とステップS1032の処理は、図16に示すステップS1021とステップS1022の処理手順と同一であり、次のステップS1033は、監視対象施設で使用者が、任意に指示する施設特有の監視を必要とする動作名称の入力処理である。移動体の判定にあたっては、移動体の動作の距離と、速さと、角度と、2次元座標データのx座標の移動量とy座標の移動量の相関係数の各特徴データをもとにした個別動作別特徴算出係数を用いて個別動作別特徴量を算出処理し(ステップS1034)、この個別動作別特徴量の値と予め設定した闘値との判定処理を行い(ステップS1035)、その判定結果を出力処理する(ステップS1036)。
【0117】
上記した移動体の判別の処理手順、つまり監視カメラで取得した移動体の位置情報を処理して移動体の位置データを得る処理手順、移動体の位置データをから少なくとも移動体の動作の距離と速さと角度と2次元座標データのx座標の移動量とy座標の移動量の相関係数との各特徴データを算出する処理手順、各特徴データから算出して予め記録された個別動作別特徴算出係数を用いて移動体の個別動作別特徴量を算出する処理手順、算出した個別動作別特徴量の値と予め設定した闘値と比較して判別する処理手順は、移動体の判別プログラムとて作成し、演算処理部として用いるパソコンに組み込んで使用することができる。
【0118】
「ちらちら周りを確認するしぐさ」の動作を行う店員5の検出にあたっては、まず監視カメラで一定時間に撮影した画像から、対象の人の頭部の重心位置を求めて位置データを取得する。「ちらちら周りを確認するしぐさ」の動作の個別動作別特徴算出係数(回帰係数)を用いて、この位置データから求められる対象者の頭部の動作の距離、速さ、角度、2次元座標データのx座標の移動量とy座標の移動量の相関係数の各特徴データを説明変数として重回帰分析を行う。そして、算出された目的変数(「ちらちら周りを確認するしぐさ」の特徴量)と闘値とを比較して判定を行い、監視部に判定結果を出力する。
【0119】
第5変形例では、人間の頭部の2次元位置情報を処理した位置データから、少なくとも動作の距離と速さと角度と2次元座標データのx座標の移動量とy座標の移動量の相関係数との各特徴データを算出し、各特徴データを基に予め記録された個別動作別特徴算出係数を用いて移動体の個別動作別特徴量を算出し、ここで求めた個別動作別特徴量の値と予め設定した闘値と比較して移動体を判別する手法を使用して、店員5の「ちらちら周りを確認するしぐさ」を検知する場合について説明した。第6変形例では、領域を分割し各領域の特性、例えば輝度や画素値や領域の大きさ、の変化を監視することで店員5の動作を検知する。
これにより人が特定の部位、例えば頭や足、だけを動かしている場合もその動作を検知できる。
【0120】
第6変形例に係る監視装置は、店員5を撮像したフレーム画像を取得する画像取得部を備える。この画像取得部として図1の画像取得部102を使用してもよい。第6変形例に係る監視装置はさらに、画像取得部によって取得されたフレーム画像に対して、店員5の位置を基点とする監視領域を設定する監視領域設定部(不図示)と、監視領域を複数の分割監視領域に分割する監視領域分割部(不図示)と、複数の分割監視領域のうちの少なくともひとつにおけるフレーム画像の特性の変化に基づいて人が動作を行っているか否かを判定する判定部(不図示)と、を備える。
【0121】
図18は、第6変形例に係る監視装置における店員5の「ちらちら周りを確認するしぐさ」の検知方法の一例を説明するための説明図である。図18は、画像取得部が店員5を側方から撮像する場合を示す。監視領域設定部は、画像取得部によって取得されたフレーム画像302に対して、店員5の頭部5aの位置を基点とする監視領域304を設定する。監視領域分割部は、監視領域304を5つの分割監視領域306a〜306eに分割する。以上の監視領域の設定および分割は第2の実施の形態における領域分割部132の機能と同様であってもよい。
【0122】
図18に示されるようにフレーム画像302では前を向いていた店員5が次のフレーム画像308では横を向いた場合、頭部5aに対応する分割監視領域306aにおける輝度は、他の分割監視領域306b〜306eにおける輝度よりも多く変化する。判定部はそのような変化を検出すると、店員5が「ちらちら周りを確認するしぐさ」を行っていると判定し、例えば図2の監視部120に通知する。
【0123】
図19は、店員5が「ちらちら周りを確認するしぐさ」を行っている場合の各分割監視領域における輝度変化の一例を示すグラフである。図19のグラフでは、y軸は輝度変化量を任意の単位で示し、x軸は時間を任意の単位で示す。このグラフから分かる通り、頭部5aに対応する分割監視領域306aにおける輝度変化量は他の分割監視領域306b〜306eにおける輝度変化量よりも顕著に大きくなっている。
【0124】
図18および図19に示される技術的思想は、キャッシュレジスタに対する店員5の不正動作を検知するためだけでなく、より一般的に人の動作を検知するためにも適用できる。例えば、商品棚の前できょろきょろする者を特定して通知するためにも使用できる。
【0125】
これに関し、人が監視カメラに向かって歩いてくることや人が座り込んだり立ち上がったりすることを検出する技術について説明する。
図20は、人310が監視カメラに向かって歩いてくる場合を説明するための説明図である。画像取得部は、フレーム画像312を取得する。監視領域設定部は、フレーム画像312に対して人310の例えば頭部310aの位置を基点として監視領域318を設定する。監視領域分割部は、監視領域318を5つの分割監視領域316a〜316eに分割する。人310が監視カメラに向かって歩いてくる場合、次のフレーム画像314では監視領域318および各分割監視領域316a〜316eは大きくなる。また、通常人が歩くときは胸部などの上半身の動きは小さく脚などの下半身の動きは大きい。したがって、判定部はフレーム画像312と次のフレーム画像314との間で監視領域318が大きくなり、かつ下半身に対応する分割監視領域316d、316eにおける輝度変化がそれ以外の分割監視領域316a、316b、316cにおける輝度変化よりも大きい場合、人310が監視カメラに向かって歩いていると判定する。
また、人310が座り込んだ場合、監視領域318のうち下半身に対応する分割監視領域316d、316eは、それ以外の分割監視領域316a、316b、316cよりも大きな割合で小さくなる。したがって判定部は、それを検出すると人310が座り込んだと判定する。人310が立ち上がる場合はその逆である。
【0126】
以上、実施の形態にもとづき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎないことはいうまでもなく、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能であることはいうまでもない。
【0127】
第1および第2の実施の形態で説明した不正動作を判定するための条件に、複数の連続するフレーム画像から得られる画素値の時間的な変遷のパターンによって表すことのできる店員5の動作、例えば店員5が頭を左右に振って周りの様子を窺うなどの周期的または振動的な動作(以下、「そわそわ動作」と称する)の検知を含めてもよい。あるいはまた、第1および第2の実施の形態で説明した不正動作を判定するための条件のうちドロアに手が触れていることの検知をそわそわ動作の検知に置き換えてもよい。
【0128】
キャッシュレジスタから現金を盗むなどの不正を行う店員は、そのような不正をする前または後に、周りに自分を見ている人がいないかチェックする場合が多い。そのような動作のひとつが上述のそわそわ動作である。このようなそわそわ動作の検知を店員不正動作条件のひとつとすることで、より実態に即した形での不正動作の検知が可能となり、例えば検知の精度を高めることができる。
【0129】
この場合に対応する第7変形例では、領域分割部は、店員存否判定部130において店員領域144に店員5が存在すると判定されると、その店員5の店員領域144内での位置を基点(この場合は中心)とするリーチ領域を設定し、そのリーチ領域を分割する。
【0130】
図21は、第7変形例に係る領域分割部におけるリーチ領域302の分割を説明するための説明図である。領域分割部は、リーチ領域302を直立で静止している店員5の頭部5aの位置を囲む複数の閉曲線である3本の略楕円304a、304b、304c、および頭部5aの位置を通る直線306で分割する。特に、3本の略楕円304a、304b、304cの中心は直立で静止している店員5の頭部5aの位置と一致し、直線306は店員5aの右半身と左半身とを分ける直線となるよう設定される。
直線306は例えば店員の左肩の端部5bと右肩の端部5cとを結ぶ線分の垂直二等分線として設定されてもよい。
【0131】
その結果、リーチ領域302は、店員5の左側において内側から第1左側分割領域L1、第2左側分割領域L2、第3左側分割領域L3、第4左側分割領域L4、店員5の右側において内側から第1右側分割領域R1、第2右側分割領域R2、第3右側分割領域R3、第4右側分割領域R4に分割される。
また、領域分割部は店員5の頭部5aの色を記憶部(不図示)に記憶させる。
【0132】
監視装置の画像処理部は別の動作検知部(不図示)を含む。この別の動作検知部は、第1左側分割領域L1、第2左側分割領域L2、第3左側分割領域L3、第4左側分割領域L4、第1右側分割領域R1、第2右側分割領域R2、第3右側分割領域R3および第4右側分割領域R4におけるフレーム画像の画素値の時間的な変遷のパターンを取得するパターン取得部と、パターン取得部によって取得されたパターンが店員領域144に存在する店員5の所定の動作、例えばそわそわ動作によるパターンと対応するか否かを判定するパターン判定部と、を有する。
【0133】
パターン取得部は、現在のフレーム画像のリーチ領域302に対応する部分および現在よりも1フレーム前のフレーム画像のリーチ領域302に対応する部分に対して、記憶部によって記憶される店員5の頭部5aの色でフィルタ処理を施し、それぞれに色情報としては頭部5aの色のみを残す。現在のフレーム画像のリーチ領域302に対応する部分にこのフィルタ処理を施した結果得られる画像データをフィルタ処理後現在画像、現在よりも1フレーム前のフレーム画像のリーチ領域302に対応する部分にこのフィルタ処理を施した結果得られる画像データをフィルタ処理後過去画像と称す。
図22は、色情報としては頭部5aの色のみが示されたリーチ領域302を示す説明図である。
【0134】
パターン取得部は、第1左側分割領域L1、第2左側分割領域L2、第3左側分割領域L3、第4左側分割領域L4、第1右側分割領域R1、第2右側分割領域R2、第3右側分割領域R3および第4右側分割領域R4の各領域内におけるフィルタ処理後現在画像の画素値と、その領域内におけるフィルタ処理後過去画像の画素値との差分を演算する。特にパターン取得部は、各領域における差分の絶対値の総和を演算する。
【0135】
パターン取得部は、各領域について演算された差分の絶対値の総和と所定の第3判定値とを比較し、第3判定値以上となっている領域を変化領域として決定する。
図23は、変化領域を説明するための説明図である。図23では、店員の頭部5aが左側に動いたので第1左側分割領域L1の画素値に変化が現れる。その結果、第1左側分割領域L1における画素値の差分の絶対値の総和が第3判定値を超え、第1左側分割領域L1が変化領域として決定される。
【0136】
パターン取得部は、変化領域として決定される領域の時間的な変遷のパターン、すなわち時間的に連続する複数のフレームの進行に合わせて変化領域として決定される領域がどのように移り変わるかを示すパターンを取得する。例えばパターン取得部は、あるフレームにおいて変化領域として決定された領域に対して値「1」を、そうでない領域に対して値「0」を、割り当てる。パターン取得部は、時間的に連続する複数のフレームのそれぞれにおいて各領域に割り当てられるそのような値をパターンデータとして記憶部に記憶させる。
【0137】
図24は、記憶部に記憶されるパターンデータ370の構造の一例を示すデータ構造図である。パターンデータは、時間軸すなわちフレームの順番に沿って各領域に割り当てられた値を保持するデータである。
【0138】
パターン判定部は、記憶部に記憶されるパターンデータが監視者やオーナーにより予め設定されたそわそわ条件を満たすか否かを判定する。監視者やオーナーは、このそわそわ条件を店員5がそわそわ動作をしている場合にパターンデータに表れる特徴に基づき設定する。パターン判定部は、記憶部に記憶されるパターンデータがこのそわそわ条件を満たす場合、そのパターンデータはそわそわ動作によるパターンデータと対応すると判定する。この際、パターン判定部は値の時間的な変遷を複数の領域について組み合わせて判定してもよい。
【0139】
図25は、第1左側分割領域L1および第2左側分割領域L2のそれぞれに割り当てられた値の時間的な変遷の一例を示すグラフである。図25において横軸は時間、縦軸は割り当てられた値を示す。図25には、店員の頭部5aが左側に動いたことを示す箇所が3つ320、322、324示されている。すなわち図25に示されるデータから店員の頭部5aが左側に3回動いたことが分かる。なお、変化領域が外側になるほど大きな動作となる。
【0140】
図26は、第1右側分割領域R1および第2右側分割領域R2のそれぞれに割り当てられた値の時間的な変遷の一例を示すグラフである。図26において横軸は時間、縦軸は割り当てられた値を示す。図26には、店員の頭部5aが右側に動いたことを示す箇所が2つ326、328示されている。すなわち図26に示されるデータから店員の頭部5aが右側に2回動いたことが分かる。
【0141】
例えば、監視者またはオーナーがそわそわ動作を検知するためのそわそわの回数を、店員の頭部5aの右側への動きが2回以上かつ左側への動きが2回以上と定義し、そのようにそわそわ条件を設定する場合、図25および図26に示されるパターンデータでは時間14でそわそわ動作が検知されることとなる。
【0142】
監視部は、動作検知部118においてキャッシュレジスタ4のドロアに対して店員5が動作を行っていると判定され、かつ、顧客存否判定部112において顧客領域に顧客がいないと判定され、かつ、開閉判定部114においてドロアが開いていると判定され、かつ、別の動作検知部において取得されたパターンがそわそわ動作によるパターンと対応すると判定された場合、不正動作が行われていると判定してもよい。
【0143】
あるいはまた、監視部は、顧客存否判定部112において顧客領域に顧客がいないと判定され、かつ、開閉判定部114においてドロアが開いていると判定され、かつ、別の動作検知部において取得されたパターンがそわそわ動作によるパターンと対応すると判定された場合、不正動作が行われていると判定してもよい。
【0144】
本変形例によると、分割された各領域の画素値の時間的な変遷のパターンに着目し、それとそわそわ動作に特徴的なパターンとを比較することでそわそわ動作を検知し、その検知を不正動作検知の条件としている。したがって、分割された領域に含まれる画素のみを差分演算の対象とするのでそわそわ動作の検知のために必要な計算量を低減できる。また、キャッシュレジスタ周りの不正動作の実態により即した形での不正動作検知が可能となる。
【0145】
なお第7変形例において、動作検知部118における判定および顧客存否判定部112における判定および開閉判定部114における判定はフレームごとに行うことが可能であるのに対し、別の動作検知部における判定は基本的に複数のフレームを必要とする。したがって、監視部は、判定の前後関係に関する以下のいずれかのモードで不正動作の有無の判定を行ってもよい。
【0146】
第1モード:監視部は、別の動作検知部において取得されたパターンがそわそわ動作によるパターンと対応すると判定されたフレームまたはそれ以降のフレームにおいて、顧客存否判定部112における判定結果および開閉判定部114における判定結果を取得し、不正動作の有無の判定を行う。この場合、店員がまずそわそわ動作を行って周りを確認してから不正動作を行う場合により好適に対応した検知が可能となる。
【0147】
第2モード:監視部は、動作検知部118においてキャッシュレジスタ4のドロアに対して店員5が動作を行っていると判定され、かつ、顧客存否判定部112において顧客領域に顧客がいないと判定され、かつ、開閉判定部114においてドロアが開いていると判定されたフレームまたはそれ以降のフレームにおいて、別の動作検知部における判定結果を取得し、不正動作の有無の判定を行う。この場合、店員が不正動作を行った後に周りを確認する場合により好適に対応した検知が可能となる。
【0148】
なお、パターン取得部は、頭の動き以外にも、手や体全体などのパターンデータを取得してもよい。手の場合には、パターン取得部は手の色でフィルタ処理を行い、パターンデータを取得する。体全体の場合には、パターン取得部は体全体の色のフィルタもしくは現在のフレーム画像と前回のフレーム画像の差分からパターンデータを取得する。これらのパターンデータをパターン判定部で処理することにより、頭以外の体の部位や体全体の周期的又は振動的な動作を検知することができる。
【符号の説明】
【0149】
1 監視システム、 2 監視カメラ、 4 キャッシュレジスタ、 5 店員、 8 携帯端末、 10 店舗、 20 監視センタ、 22 センタサーバ、 100 監視装置、 102 画像取得部、 104 画像処理部、 106 基準画像DB、 108 基準画像更新部、 110 領域設定部、 112 顧客存否判定部、 114 開閉判定部、 116 複数領域設定部、 118 動作検知部、 120 監視部、 122 領域指定部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置に関し、特に人の動作を検知する監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
書店やコンビニエンスストアなどの店舗では多くの場合、各所に監視カメラが設けられている。特に現金が保管されているキャッシュレジスタの周辺は監視カメラで監視されていることが多い。この監視カメラの役割としてはまず、外部の者による万引きの防止、およびその証拠の収集が考えられる。
【0003】
特許文献1には、万引きする者に特徴的な動作を検知してオーナーに知らせる判別装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−135001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オーナーにとって万引きと並んで気をつけたいのが、店員によるキャッシュレジスタの不正操作、特にキャッシュレジスタからの現金の抜き取りである。これはいわゆる内部の不正であり、既存の監視システムでは検知が難しい。
【0006】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、人の不正な動作を検知しうる技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は監視装置に関する。この監視装置は、キャッシュレジスタが載置される空間を撮像したフレーム画像を取得する画像取得部と、基準画像と画像取得部によって取得されたフレーム画像とを比較する画像処理部と、を備える。画像処理部は、キャッシュレジスタを操作する側の第1領域に存在する人の位置を基点とする複数の第2領域を設定する複数領域設定部と、複数の第2領域のうちの少なくともひとつと開いているキャッシュレジスタのドロアが占める第3領域とが少なくとも部分的に重畳する場合に、第3領域と少なくとも部分的に重畳する第2領域におけるフレーム画像の画素値からキャッシュレジスタのドロアに対して人が動作を行っているか否かを判定する動作検知部と、第1領域とは異なる第4領域におけるフレーム画像の画素値から第4領域における人の存否を判定する存否判定部と、動作検知部においてキャッシュレジスタのドロアに対して人が動作を行っていると判定され、かつ、存否判定部において第4領域に人がいないと判定された場合、所定の処理を行う監視部と、を含む。
【0008】
この態様によると、第1領域に存在する人の位置を基点として設定された第2領域におけるフレーム画像の画素値を使用して、キャッシュレジスタに対する人の動作を検知することができる。
【0009】
本発明の別の態様もまた、監視装置である。この監視装置は、対象が載置される空間を撮像したフレーム画像を取得する画像取得部と、基準画像と画像取得部によって取得されたフレーム画像とを比較する画像処理部と、を備える。画像処理部は、所定の第1領域に存在する人の位置を基点とする複数の第2領域を設定する複数領域設定部と、複数の第2領域のうちの少なくともひとつと対象に関連する第3領域とが少なくとも部分的に重畳する場合に、第3領域と少なくとも部分的に重畳する第2領域におけるフレーム画像の画素値から対象に対して人が動作を行っているか否かを判定する動作検知部と、動作検知部において対象に対して人が動作を行っていると判定された場合、所定の処理を行う監視部と、を含む。
【0010】
本発明の別の態様もまた、監視装置である。この監視装置は、人を撮像したフレーム画像を取得する画像取得部と、画像取得部によって取得されたフレーム画像に対して、人の位置を基点とする監視領域を設定する監視領域設定部と、監視領域を複数の分割監視領域に分割する監視領域分割部と、複数の分割監視領域のうちの少なくともひとつにおけるフレーム画像の特性の変化に基づいて人が動作を行っているか否かを判定する判定部と、を備える。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を装置、方法、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、人の不正な動作を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態に係る監視装置を含む監視システムを示す概略図である。
【図2】図1の監視装置およびその周辺の機能および構成を示すブロック図である。
【図3】図2の領域設定部によって設定される領域を示す説明図である。
【図4】図2の領域分割部におけるリーチ領域の設定および分割を説明するための説明図である。
【図5】図2の差分判定部における判定を説明するための説明図である。
【図6】背景画像を示す模式図である。
【図7】図1の監視装置における一連の処理を示すフローチャートである。
【図8】第1変形例に係る領域分割部におけるリーチ領域の分割を説明するための説明図である。
【図9】第2変形例に係る領域分割部におけるリーチ領域の分割を説明するための説明図である。
【図10】第3変形例に係る領域分割部におけるリーチ領域の設定および分割を説明するための説明図である。
【図11】第4変形例に係る重畳領域を説明するための説明図である。
【図12】第2の実施の形態の領域設定部によって設定される領域を示す説明図である。
【図13】第2の実施の形態の領域分割部におけるリーチ領域の設定および分割を説明するための説明図である。
【図14】第2の実施の形態の差分判定部における判定を説明するための説明図である。
【図15】不審動作判別装置を示すブロック図である。
【図16】個別動作別特徴算出係数の算出と記録までの処理手順を示す流れ図である。
【図17】移動体の判別の処理手順を示す流れ図である。
【図18】第6変形例に係る監視装置における店員の「ちらちら周りを確認するしぐさ」の検知方法の一例を説明するための説明図である。
【図19】店員が「ちらちら周りを確認するしぐさ」を行っている場合の各分割監視領域における輝度変化の一例を示すグラフである。
【図20】人が監視カメラに向かって歩いてくる場合を説明するための説明図である。
【図21】第7変形例に係る領域分割部におけるリーチ領域の分割を説明するための説明図である。
【図22】色情報としては頭部の色のみが示されたリーチ領域を示す説明図である。
【図23】変化領域を説明するための説明図である。
【図24】記憶部に記憶されるパターンデータの構造の一例を示すデータ構造図である。
【図25】第1左側分割領域および第2左側分割領域のそれぞれに割り当てられた値の時間的な変遷の一例を示すグラフである。
【図26】第1右側分割領域および第2右側分割領域のそれぞれに割り当てられた値の時間的な変遷の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0015】
(第1の実施の形態)
店舗においてキャッシュレジスタおよびその周辺で通常行われる動作としては、例えば顧客がキャッシュレジスタの前に立って購入したい商品をチェックアウトすることがある。この場合、キャッシュレジスタの前に立つ顧客がおり、かつ、キャッシュレジスタを操作する店員がいる。また、そのような顧客がいなければ普通店員はキャッシュレジスタの周りにおらず、いたとしてもキャッシュレジスタのドロアを開ける理由はない。以上の正常な状態に対して例えば以下の条件が満たされる場合、店員の不正が疑われる状態といえる。
(1)キャッシュレジスタの前に立つ顧客がいない、かつ、
(2)キャッシュレジスタを操作する店員がいる、かつ、
(3)キャッシュレジスタのドロアが開いている、かつ、
(4)ドロアに手が触れている。
この場合、店員がキャッシュレジスタから現金を盗んでいる可能性がある。
【0016】
第1の実施の形態に係る監視装置は、店舗に設置されたキャッシュレジスタおよびその周辺を撮像する監視カメラに接続される。監視装置は監視カメラからの画像を解析し、例えば上記の条件(以下、「店員不正動作条件」と呼ぶ)が満たされると監視センタに警告を発する。店員不正動作条件は店員によるキャッシュレジスタの不正動作を検出するための条件である。これにより、たとえキャッシュレジスタから現金が盗まれても、監視装置からの警告によりその事実をいち早くキャッチして適切な対処ができる。
【0017】
図1は、第1の実施の形態に係る監視装置100を含む監視システム1を示す概略図である。監視システム1は、店舗10の例えば天井に設置されキャッシュレジスタ4付近の画像を所定の周期で取得する監視カメラ2と、監視カメラ2からフレーム画像データ(以下、単にフレーム画像と称す)を取得する監視装置100と、を備える。特に監視カメラ2の画角は、キャッシュレジスタ4、キャッシュレジスタ4を操作する店員5、店員5の手元、およびキャッシュレジスタ4の前に立つ顧客を撮影できる方向に設定される。
【0018】
監視システム1はさらに、監視センタ20内に設けられインターネットなどのネットワーク6を通じて監視装置100と通信するセンタサーバ22と、監視パネル24と、を備える。センタサーバ22は図示の監視装置100以外にも図示されない他の同様の監視装置とネットワーク6を介して通信する。監視パネル24は複数の監視モニタ26を含み、各監視モニタ26は対応する監視カメラからのフレーム画像を表示する。
監視装置100は、監視センタ20内のセンタサーバ22に設けられてもよく、その場合には、監視カメラ2のデータをネットワーク6を介してセンタサーバ22に送ることになる。
【0019】
監視装置100は、監視カメラ2から送られてくるフレーム画像を処理した結果、店員5がキャッシュレジスタ4に対して異常もしくは不正な動作(以下単に不正動作と称す。)を行なっていると判定した場合、ネットワーク6を通じてセンタサーバ22に警告を送る。センタサーバ22は、その警告を受けると複数の監視モニタ26のうち警告が送られてきた監視カメラ2に対応する監視モニタ26を強調する。この強調方法としては例えば強調すべき監視モニタ26の輝度を他の監視モニタ26よりも高くしてもよく、また監視モニタ26に点滅表示させてもよい。また、例えばひとつの監視モニタ26に複数の監視カメラが対応している場合は、割り込み処理などにより警告が送られてきた監視カメラ2のカメラ画像を監視モニタ26に映してもよい。これにより、監視センタ20内で店舗における不正等を監視している監視者は容易に不正動作の可能性を察知することができる。
【0020】
また、監視装置100は、キャッシュレジスタ4に対して不正動作が行われていると判定した場合、ネットワーク6および基地局7を介して店舗10のオーナーの携帯端末8にも警告を送る。特に監視装置100は、携帯端末8にキャッシュレジスタ4のIDや監視カメラ2のフレーム画像の一部を含む電子メールを送信する。これにより店舗10のオーナーは不正動作を素早く察知できる。
【0021】
図2は、監視装置100およびその周辺の機能および構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(central processing unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0022】
監視装置100は、画像取得部102と、画像処理部104と、基準画像DB106と、基準画像更新部108と、を備える。
画像取得部102は、キャッシュレジスタ4が載置される空間を撮像したフレーム画像を監視カメラ2から取得する。監視カメラ2は天井に設置されているので、その監視カメラ2によって撮像されるフレーム画像は、キャッシュレジスタ4が載置される空間を店員5の頭部側から撮像したものとなる。以下キャッシュレジスタ4に対して店舗10の天井側を上として説明する。
【0023】
画像処理部104は、背景画像158(図6で後述)や過去画像などの基準画像と画像取得部102によって取得されたフレーム画像とを比較する。画像処理部104はその比較の結果、店員5がキャッシュレジスタ4に対して不正動作、例えば現金の抜き取り、を行っていると判定すると、センタサーバ22に警告を送信する。
ここで背景画像158は、キャッシュレジスタ4が載置される空間を撮像したフレーム画像のうち、店員および顧客のいずれも存在せず、キャッシュレジスタ4のドロアが閉まっている状態のフレーム画像である。また過去画像とは、画像処理部104で処理されるフレーム画像よりも過去の、例えば1フレーム前のフレーム画像である。基準画像DB106は、基準画像を記憶する。
【0024】
店舗10における業務の都合上キャッシュレジスタ4周辺の状況、例えば物の配置が変わることが考えられる。この場合、画像処理部104における不正動作の誤判定を防ぐために背景画像158を更新する必要がある。
基準画像更新部108は、画像取得部102によって取得されたフレーム画像を使用して背景画像158および過去画像を生成し、生成されたそれらの画像で基準画像DB106を更新する。
基準画像更新部108は、定期的にもしくは監視装置100の管理者、例えばオーナーからの指示が入力手段138からあると、基準画像DB106に記憶される背景画像158をその時点で画像取得部102によって取得されたフレーム画像で置き換える。これにより画像処理部104における誤判定の数を低減できる。
【0025】
画像処理部104は、領域設定部110と、顧客存否判定部112と、開閉判定部114と、複数領域設定部116と、動作検知部118と、監視部120と、領域指定部122と、を含む。
領域設定部110は、画像取得部102によって取得されたフレーム画像のなかに画像比較の対象となる少なくともひとつの領域を設定する。本実施の形態ではフレーム画像の全体を基準画像の全体と比較するのではなく、フレーム画像のうち必要な部分を切り出して比較する。これにより処理に必要なメモリ量を低減しうる。
【0026】
領域設定部110は、フレーム画像のなかに顧客領域を設定する顧客領域設定部124と、フレーム画像のなかにドロア領域を設定するドロア領域設定部126と、フレーム画像のなかに店員領域を設定する店員領域設定部128と、を有する。
図3は、領域設定部110によって設定される領域を示す説明図である。顧客領域142は、フレーム画像140のうちキャッシュレジスタ4の前に立つ顧客が存在する領域である。店員領域144は、キャッシュレジスタ4を操作する店員が存在する領域である。ドロア領域146は、キャッシュレジスタ4のドロア(図3では不図示)を開けた場合にそのドロアが占める領域である。
【0027】
顧客領域設定部124は、フレーム画像140の2次元座標系において、後述する領域指定部122によって予め指定された4つまたは5つ以上の多角形の座標を結んで形成される矩形の領域内に含まれる画像データを特定することによって顧客領域142を設定する。ドロア領域設定部126および店員領域設定部128についても同様である。
【0028】
図2に戻る。領域指定部122は、顧客領域142、店員領域144、ドロア領域146の各領域を設定するための4つの座標または5つ以上の多角形をそれぞれ入力手段138から取得する。
【0029】
顧客存否判定部112は、顧客領域142内における背景画像158の画素値とフレーム画像140の画素値との差分を演算し、その差分の絶対値の総和が所定の値以下であればフレーム画像140の顧客領域142には顧客が存在しないと判定する。顧客存否判定部112は、差分の絶対値の総和が所定の値より大きければフレーム画像140の顧客領域142に顧客が存在すると判定する。なお、差分の絶対値の総和が所定の値より大きい場合、顧客存否判定部112は画像処理部104におけるそのフレーム画像140の処理を中断させる。
【0030】
開閉判定部114は、以下の(1)〜(3)のいずれかの基準を使用してキャッシュレジスタ4のドロアの開閉を判定する。
(1)開閉判定部114は、ドロア領域146内における背景画像158の画素値とフレーム画像140の画素値との差分を演算し、その差分の絶対値の総和が所定の値以上であればドロアが開いていると判定する。
(2)開閉判定部114は、ドロア領域146内における背景画像158の画素値とフレーム画像140の画素値との差分の絶対値を新たな画素値とする差分画像のなかに、所定のドロアの形状を認識できる場合はドロアが開いていると判定する。
(3)(1)の条件と(2)の条件の両者が成立する場合に開閉判定部114はドロアが開いていると判定する。この場合、より正確にドロアの開閉判定を行うことができる。
【0031】
開閉判定部114においてドロアが閉じていると判定される場合に、開閉判定部114は画像処理部104におけるそのフレーム画像140の処理を中断させる。
また、開閉判定部114は、(1)の基準では差分の絶対値の総和の大きさによって、(2)の基準ではドロアの形状によって、ドロアがどの程度開いているか、つまりドロアの開きの度合いを判別してもよい。さらに開閉判定部114は判別されたドロアの開きの度合いに基づいて、ドロア領域設定部126で設定されたドロア領域146の例えば大きさや範囲を変更してもよい。特に開閉判定部114は判別されたドロアの開きの度合いに合致するようにドロア領域146を変更してもよい。この場合、ドロアの実際の開き具合により即した不正動作判定が可能となるので、誤判定の可能性を低減できる。
【0032】
複数領域設定部116は、店員領域144における店員5の存否をまず判定し、存在する場合はその店員5の位置を基点とする複数の領域を設定する。複数領域設定部116は、店員存否判定部130と、領域分割部132と、を有する。
店員存否判定部130は、店員領域144内における背景画像158の画素値とフレーム画像140の画素値との差分を演算し、その差分の絶対値の総和が所定の値以上であればフレーム画像140の店員領域144に店員が存在すると判定する。差分の絶対値の総和が所定の値より小さい場合、店員存否判定部130は画像処理部104におけるそのフレーム画像140の処理を中断させる。
【0033】
領域分割部132は、店員存否判定部130において店員領域144に店員5が存在すると判定されると、その店員5の店員領域144内での位置を基点(この場合は中心)とするリーチ領域を設定し、そのリーチ領域を分割する。
図4は、領域分割部132におけるリーチ領域148の設定および分割を説明するための説明図である。領域分割部132は店員5の頭部5aの位置の座標をパターン認識等の公知の技術を使用して算出する。領域分割部132は、頭部5aの位置の座標を中心に所定の範囲、例えば手が届く程度の範囲の領域をリーチ領域148として設定する。ここでリーチ領域148を大きくしすぎると画像処理部104における処理量が増え、小さくしすぎると腕の長さの個人差に対応できなくなりうる。したがってリーチ領域148はそれらの影響が拮抗する範囲とされる。例えば、店員5の位置から1m程度の距離が外縁となるようにリーチ領域148を設定してもよい。領域分割部132は、フレーム画像140上のスケール、例えば画素単位、と実空間内のスケール、例えばm(メートル)単位との間の換算を行う換算部(不図示)を有する。
領域分割部132は、リーチ領域148を頭部5aの位置において直交する2本の直線150、152によって4分割する。分割後の領域をそれぞれ第1〜第4分割領域154a〜154dと呼ぶ。
【0034】
図2に戻る。動作検知部118は、第1〜第4分割領域154a〜154dのうちの少なくともひとつとドロア領域146とが少なくとも部分的に重畳する場合に、ドロア領域146と少なくとも部分的に重畳する分割領域におけるフレーム画像140の画素値からキャッシュレジスタ4のドロアに対して店員5が動作を行っているか否かを判定する。動作検知部118は、重畳判定部134と、差分判定部136と、を有する。
【0035】
具体的に、重畳判定部134は、第1〜第4分割領域154a〜154dのうちの少なくともひとつとドロア領域146とが少なくとも部分的に重畳するか否かを判定する。これは例えば第1〜第4分割領域154a〜154dに含まれる画素とドロア領域146に含まれる画素との間に共通する画素が存在するか否かによって判定される。
【0036】
差分判定部136は、重畳判定部134において重畳すると判定された場合、第1〜第4分割領域154a〜154dの各領域内における現在のフレーム画像140の画素値と基準画像DB106から取得する過去画像、例えば現在よりも1フレーム前のフレーム画像の画素値との差分を演算する。差分判定部136は、ドロア領域146と少なくとも部分的に重畳する分割領域における差分の絶対値の総和が所定の第1判定値以上であり、かつ、それ以外の分割領域における差分の絶対値の総和が所定の第2判定値以下である場合に、キャッシュレジスタ4のドロアに対して店員5が動作を行っていると判定する。第1判定値と第2判定値とは等しく設定されてもよく、また、異なる値に設定されてもよい。
【0037】
図5は、差分判定部136における判定を説明するための説明図である。図5では第1分割領域154aがドロア領域146と部分的に重畳している。一人の店員5がキャッシュレジスタ4のドロア156に対して片手で動作を行っている場合、店員5の手5bの動きによって第1分割領域154aにおける差分の絶対値の総和は大きくなる。したがって、第1判定値を適切に設定することにより、ドロア156に対して店員5が何かの動作を行っていると判定できる。
【0038】
また、他の分割領域(第2〜第4分割領域154b〜154d)における差分の絶対値の総和も演算され、第2判定値と比較される。これにより差分判定部136における誤判定が低減される。仮に第1分割領域154aにおける差分の絶対値の総和と第1判定値との比較のみを使用して判定を行う場合を考える。すると例えば監視カメラ2の誤動作や外来ノイズによってフレーム画像140とそれよりも1フレーム前のフレーム画像との間で全体的な輝度変化が生じた場合、店員5がドロア156に手を伸ばしていなくても第1分割領域154aにおける差分の絶対値の総和は第1判定値以上となりえる。そうなるとドロア156に対して店員5が何かの動作を行っていると誤判定される可能性がある。しかしながら本実施の形態に係る監視装置100の差分判定部136ではドロア領域146と少なくとも部分的に重畳する分割領域における差分だけでなく他の分割領域における差分も使用して動作判定するので、かかる誤判定の可能性を低減できる。フレーム画像140とそれよりも1フレーム前のフレーム画像との間で全体的な輝度変化が生じた場合は、他の分割領域(第2〜第4分割領域154b〜154d)における差分の絶対値の総和もまた大きくなるからである。第2判定値を適切な値に設定することでそのような誤判定の多くを排除できる。
【0039】
図2に戻る。監視部120は、動作検知部118においてキャッシュレジスタ4のドロア156に対して店員5が動作を行っていると判定され、かつ、顧客存否判定部112において顧客領域142に顧客がいないと判定され、かつ、開閉判定部114においてドロア156が開いていると判定された場合、不正動作が行われていると判定する。
監視部120は不正動作が行われていると判定されると、ネットワーク6を介してセンタサーバ22および携帯端末8に警告を送る。センタサーバ22に送られる警告は、不正動作が行われていると判定された時刻と、キャッシュレジスタ4のIDやフレーム画像140などの不正動作が行われている場所を特定するための情報と、を含む。
【0040】
監視部120はさらに、不正動作が行われていると判定された後所定の待機時間、例えば一分が経過するまでは次の警告を送信しない。これにより誤判定が起こってもそれに対する警告の数を低減できる。
【0041】
図6は、背景画像158を示す模式図である。背景画像158は、キャッシュレジスタ4の周辺に店員や顧客などの人がいない状態で、キャッシュレジスタ4の周辺を上から撮像したフレーム画像である。
【0042】
上述の実施の形態において、基準画像DB106の例は、ハードディスクやメモリである。また、本明細書の記載に基づき、各ブロックを、図示しないCPUや、インストールされたアプリケーションプログラムのモジュールや、システムプログラムのモジュールや、ハードディスクから読み出したデータの内容を一時的に記憶するメモリなどにより実現できることは本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0043】
図7は、監視装置100における一連の処理を示すフローチャートである。画像取得部102は、キャッシュレジスタ4が載置される空間を撮像したフレーム画像140を監視カメラ2から取得する(S202)。領域設定部110は、フレーム画像140のなかに顧客領域142と、店員領域144と、ドロア領域146と、を設定する(S204)。顧客存否判定部112において顧客領域142に顧客がいると判定された場合(S206のY)、処理はステップS202に戻る。顧客領域142に顧客がいないと判定された場合(S206のN)、開閉判定部114においてドロア156の開閉が判定される(S208)。開閉判定部114においてドロア156が閉まっていると判定される場合(S208のN)、処理はステップS202に戻る。開閉判定部114においてドロア156が開いていると判定される場合(S208のY)、店員存否判定部130において店員領域144における店員5の存否が判定される(S210)。店員存否判定部130において店員領域144に店員5がいないと判定された場合(S210のN)、処理はステップS202に戻る。店員存否判定部130において店員領域144に店員5がいると判定された場合(S210のY)、領域分割部132は店員5の位置を基点とするリーチ領域148を設定する(S212)。領域分割部132は、そのリーチ領域148を第1〜第4分割領域154a〜154dに分割する(S214)。重畳判定部134においてドロア領域146は第1〜第4分割領域154a〜154dのいずれとも重畳しないと判定された場合(S216のN)、処理はステップS202に戻る。重畳判定部134において第1〜第4分割領域154a〜154dのうちの少なくともひとつとドロア領域146とに少なくとも部分的に重畳があると判定された場合(S216のY)、差分判定部136において、重畳する分割領域内におけるフレーム画像140の画素値とフレーム画像140の1フレーム前のフレーム画像の画素値との間の差分を使用した判定が行われる(S218)。差分判定部136において、重畳する分割領域における差分の絶対値の総和が第1判定値より小さいと判定された場合(S218のN)、処理はステップS202に戻る。差分判定部136において、重畳する分割領域における差分の絶対値の総和が第1判定値以上と判定された場合(S218のY)、差分判定部136において他の分割領域における差分を使用した判定が行われる(S220)。差分判定部136において、他の分割領域における差分の絶対値の総和が第2判定値より大きいと判定された場合(S220のN)、処理はステップS202に戻る。差分判定部136において、他の分割領域における差分の絶対値の総和が第2判定値以下と判定された場合(S220のY)、監視部120はセンタサーバ22および携帯端末8に対して警告を送信する(S222)。
【0044】
なお、ステップS206とステップS208とを入れ替えてもよい。すなわち、開閉判定部114におけるドロア156の開閉判定を最初に行ってもよい。
【0045】
以上の構成による監視装置100およびそれを含む監視システム1の動作を説明する。
監視システム1によってキャッシュレジスタ4の周辺が監視されているなかで店員5がキャッシュレジスタ4から現金を盗んだとする。すると監視装置100は監視カメラ2から送られてくるフレーム画像を処理して店員5の不正な動作を検知し、監視センタ20の監視者および店舗10のオーナーにその旨を知らせる。監視者やオーナーは監視装置100からの知らせに基づき警察への通報や盗んだ店員5の特定などを迅速に行うことができる。
【0046】
本実施の形態に係る監視装置100によると、監視カメラ2からのフレーム画像140に領域を設定し、その領域内におけるフレーム画像140の画素値を使用した条件判定を基に不正動作を判定する。したがって、例えばフレーム画像に映る店員の動作を追跡しその軌跡から計算することによって不正判定を行う場合と比較して、画像処理における計算量を低減することができる。また、店員5の位置の周りに複数の領域すなわち第1〜第4分割領域154a〜154dを設定し、各分割領域内におけるフレーム画像140の画素値を使用した条件判定を基に不正動作を判定する。したがって、やはり画像処理における計算量を低減できる。
【0047】
また、顧客存否判定部112がフレーム画像140の顧客領域142に顧客が存在すると判定した場合、顧客存否判定部112は画像処理部104におけるそのフレーム画像140の処理を中断させる。顧客領域142に顧客が存在する場合、店員5がキャッシュレジスタ4から現金を盗んでいると判定するための必要条件のひとつが欠ける。したがって画像処理部104におけるその余の判定結果を待つまでもなくそのフレーム画像140からは不正動作は検出されない。そこで顧客領域142に顧客が存在すると判定された時点で現フレーム画像140の処理をやめて次のフレーム画像の処理を始めることで画像処理部104における処理量を低減し、より効率的な監視装置100の運用が可能となる。
開閉判定部114がドロアが閉じていると判定した場合に開閉判定部114は画像処理部104におけるそのフレーム画像140の処理を中断させること、および、店員存否判定部130がフレーム画像140の店員領域144に店員5が存在しないと判定した場合に店員存否判定部130は画像処理部104におけるそのフレーム画像140の処理を中断させること、についても同様の作用効果がある。
【0048】
領域分割部132における領域分割の変形例を説明する。
図8は、第1変形例に係る領域分割部132aにおけるリーチ領域148の分割を説明するための説明図である。領域分割部132aは、リーチ領域148を店員5の頭部5aの位置を囲む2本の略楕円160a、bで分割する。その結果リーチ領域148は、それぞれが店員5の頭部5aの位置を囲む環状の第1〜第3環状分割領域162a〜162cに分割される。
【0049】
第1変形例に係る動作検知部118aは、まず一番外側の第1環状分割領域162aがドロア領域146と少なくとも部分的に重畳するか否かを判定する。動作検知部118aは、重畳すると判定された場合、第1〜第3環状分割領域162a〜162cの各領域内におけるフレーム画像140の画素値と基準画像DB106から取得する過去画像、例えば現在よりも1フレーム前のフレーム画像の画素値との差分を演算する。動作検知部118aは差分の絶対値の総和が所定の値以上となる環状分割領域の時間的な変遷を基に、店員5がキャッシュレジスタ4のドロア156に対して動作を行っているかを判定する。
【0050】
特に動作検知部118aは、ドロア領域146と第1環状分割領域162aのみが重畳する場合、差分の絶対値の総和が所定の値以上となる環状分割領域が時が経つにつれて、第3環状分割領域162c、第2環状分割領域162b、第1環状分割領域162aの順番に移り変わるときに、店員5がキャッシュレジスタ4のドロア156に対して動作を行っていると判定する。具体的には、第3環状分割領域162cにおける差分の絶対値の総和が所定の値以上となったときのフレーム画像を基点、例えばn0番目のフレームとする。n0番目のフレーム以降で初めて第2環状分割領域162bにおける差分の絶対値の総和が所定の値以上となったときのフレーム画像をn1番目のフレームとする。n1番目のフレーム以降で初めて第1環状分割領域162aにおける差分の絶対値の総和が所定の値以上となったときのフレーム画像をn2番目のフレームとする。ここでn0、n1およびn2はいずれも自然数であり、n0<n1<n2を満たす。
なお、n0番目のフレームとn1番目のフレームとの間のフレームにおけるフレーム画像では、第3環状分割領域162cにおける差分の絶対値の総和が所定の値以上となっていてもよいし、なっていなくてもよい。また、n1番目のフレームとn2番目のフレームとの間のフレームにおけるフレーム画像では、第2環状分割領域162bにおける差分の絶対値の総和が所定の値以上となっていてもよいし、なっていなくてもよい。
【0051】
また動作検知部118aは、ドロア領域146と第1環状分割領域162aのみが重畳する場合に、差分の絶対値の総和が所定の値以上となる環状分割領域が、第3環状分割領域162c、第2環状分割領域162b、第3環状分割領域162c、の順番に移り変わるときは、店員5がキャッシュレジスタ4のドロア156に対して動作を行っているとは判定しない。
【0052】
第1の実施の形態に係る監視装置100では店員5が腕を伸ばして引っ込めるといった動作を判別するのは難しい。しかしながら本変形例によると、容易にそのような動作を判別できる。したがって店員5の腕の動きにもとづいて不正動作を判定できる。特に店員5の腕がドロア領域146に届いていない場合は不正動作と判定されないので、誤判定の数を低減できる。
【0053】
図9は、第2変形例に係る領域分割部132bにおけるリーチ領域148の分割を説明するための説明図である。領域分割部132bは、リーチ領域148を店員5の頭部5aの位置を囲む2本の略楕円160a、bおよび頭部5aの位置において直交する2本の直線150、152によって分割する。
本変形例によると、第1の実施の形態の作用効果および第1変形例の作用効果の両者を得ることができる。したがって、さらに誤判定の少ない不正動作判定が可能となる。
【0054】
図10は、第3変形例に係る領域分割部132cにおけるリーチ領域の設定および分割を説明するための説明図である。領域分割部132cは、店員領域144に存在する店員5の位置とドロア領域146との間にリーチ領域148cを設定する。領域分割部132cは、リーチ領域148cを店員5の位置からの距離によって、例えば等間隔となるように分割する。その結果図10ではリーチ領域148cは第1〜第4帯状分割領域164a〜164dおよび残余分割領域166に分割される。動作検知については重畳判定がない点を除き第1変形例に係る動作検知部118aに準ずる。
【0055】
本変形例によると、店員5の位置に対して設定するリーチ領域148cを第1の実施の形態の場合と比べて小さくできる。したがってより計算量を低減できる。
なお、領域分割部132cは店員5の手先周辺をさらに細かく分割してもよい。
【0056】
第1の実施の形態では領域分割部132においてリーチ領域148を分割してから重畳判定部134で重畳判定する場合について説明したが、これに限られず、リーチ領域148を分割しなくてもよい。例えば第4変形例では、領域分割部132の代わりにリーチ領域設定部を設けてもよい。リーチ領域設定部は、店員存否判定部130において店員領域144に店員5が存在すると判定されると、その店員5の店員領域144内での位置を中心とするリーチ領域148を設定する。またこの場合、重畳判定部はリーチ領域148とドロア領域146とが少なくとも部分的に重畳するか否かを判定する。重畳する場合、重畳判定部はそれらが重畳する重畳領域180を設定する。言い換えると、重畳判定部はリーチ領域148に対して重畳領域180およびそれ以外の領域の2つの領域を設定する。
図11は、第4変形例に係る重畳領域180を説明するための説明図である。リーチ領域148のうちドロア領域146と重畳する部分が重畳領域180である。
【0057】
第4変形例に係る差分判定部136dは、重畳判定部において重畳すると判定された場合、重畳領域180内における現在のフレーム画像140の画素値と基準画像DB106から取得する過去画像、例えば現在よりも1フレーム前のフレーム画像の画素値との差分を演算する。
【0058】
本変形例によると、リーチ領域148よりも小さな重畳領域180を差分演算に使用するので画像処理部104におけるデータの処理量を低減できると共に、重畳部分だけを見て動作を検知するので検知の確実性が向上する。
【0059】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、監視カメラ2が天井に設置されて、店員5の頭部側からキャッシュレジスタ4が載置される空間を撮像する。一方、第2の実施の形態では、監視カメラ2が店舗10の壁に設置されて、店員5の側方からキャッシュレジスタ4が載置される空間を撮像する。監視カメラ2の画角は、店員5の頭から足までを撮像できる画角に設定される。以下、第1の実施の形態と共通する部分の説明は省略する。
【0060】
図12は、領域設定部110によって設定される領域を示す説明図である。領域設定部110は、フレーム画像174のなかに顧客領域168と、店員領域170と、ドロア領域172と、を設定する。顧客領域168は、画像取得部102によって取得されるフレーム画像174のうちキャッシュレジスタ4の前に立つ顧客が存在する領域である。店員領域170は、キャッシュレジスタ4を操作する店員が存在する領域である。ドロア領域172は、キャッシュレジスタ4のドロア(図12では不図示)を開けた場合にそのドロアが占める領域である。
【0061】
領域分割部132は、店員存否判定部130において店員領域170に店員5が存在すると判定されると、その店員5の店員領域170内での位置を中心とするリーチ領域を設定し、そのリーチ領域を分割する。
図13は、領域分割部132におけるリーチ領域176の設定および分割を説明するための説明図である。領域分割部132は店員5の頭部5aの位置の座標をパターン認識等の公知の技術を使用して算出する。領域分割部132は、頭部5aの位置の座標を基準に所定の範囲、例えば手が伸ばせる程度の範囲の領域をリーチ領域176として設定する。 領域分割部132は、リーチ領域176を水平方向に頭部5aの大きさ程度の間隔で分割する。分割後の領域をそれぞれ第1〜第3分割領域178a〜178cと呼ぶ。
【0062】
重畳判定部134は、第1〜第3分割領域178a〜178cのうちの少なくともひとつとドロア領域172の上方とが少なくとも部分的に重畳するか否かを判定する。
差分判定部136は、重畳判定部134において重畳すると判定された場合、第1〜第3分割領域178a〜178cの各領域内におけるフレーム画像174の画素値と基準画像DB106から取得する過去画像、例えば現在よりも1フレーム前のフレーム画像の画素値との差分を演算する。差分判定部136は、ドロア領域172の上方と少なくとも部分的に重畳する分割領域における差分の絶対値の総和が所定の第1判定値以上であり、かつ、それ以外の分割領域における差分の絶対値の総和が所定の第2判定値以下である場合に、キャッシュレジスタ4のドロアに対して店員5が動作を行っていると判定する。
【0063】
図14は、差分判定部136における判定を説明するための説明図である。図14では第2分割領域178bがドロア領域172の上方172aと部分的に重畳している。一人の店員5がキャッシュレジスタ4のドロア156に対して足は動かさずに手で動作を行っている場合、店員5の手5bの動きによって第2分割領域178bにおける差分の絶対値の総和は大きくなる。したがって、第1判定値を適切に設定することによりドロア156に対して店員5が何かの動作を行っていると判定できる。
【0064】
また、他の分割領域(第1分割領域178a、第3分割領域178c)における差分の絶対値の総和も演算され、第2判定値と比較される。この意義は第1の実施の形態と同様である。
【0065】
本実施の形態によると第1の実施の形態の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0066】
以上、実施の形態に係る監視装置100の構成と動作について説明した。これらの実施の形態は例示であり、その各構成要素や各処理の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。例えば第1の実施の形態と第2の実施の形態を組み合わせること、つまりキャッシュレジスタ4を上方および側方の両方向から2台の監視カメラで監視し、それらの監視カメラからのフレーム画像をそれぞれ第1の実施の形態、第2の実施の形態で説明したように処理することも可能である。
【0067】
第1および第2の実施の形態において、リーチ領域を設定する前に領域分割部132は、店員5の位置とドロア領域の位置との間の距離を演算してもよい。領域分割部132は、その距離が所定の距離以下の場合にリーチ領域を設定してもよい。この場合、店員5とドロアとの距離が遠い場合はリーチ領域の設定、分割や不正判定を行わなくてもよいので、監視装置全体の処理速度が向上しうる。
【0068】
第1および第2の実施の形態では、画像処理部104が開閉判定部114を含み、開閉判定部114はフレーム画像140からドロアの開閉を判定する場合について説明したが、これに限られない。例えば、画像処理部104の外部に開閉判定部を設けてもよい。この開閉判定部は、キャッシュレジスタ4から受信するドロアの開閉を示す開閉信号を基にドロアの開閉を判定してもよい。
【0069】
第1および第2の実施の形態では、監視部は警告を発する場合について説明したが、これに限られない。例えば、不正動作があると判定された場合、監視部は不正動作の対象となったキャッシュレジスタ4のIDと不正動作があった時刻とを記録テーブルに記録してもよい。この場合、記録テーブルに記録される情報は、後に犯人を割り出すための一助となる。また、監視システム1は監視カメラ2からのフレーム画像を常時録画せず、監視部は不正動作の判定を契機として録画を開始してもよい。この場合、必要なストレージのキャパシティを低減できる。
【0070】
第1および第2の実施の形態では、監視装置100と監視カメラ2とを別体として説明したが、これに限られず、監視装置100の機能は監視カメラ2に組み込まれてもよい。また、監視装置100は監視センタ20に備えられてもよい。
【0071】
第1および第2の実施の形態では、差分判定部136は、現在のフレーム画像140の画素値と基準画像DB106から取得する過去画像、例えば現在よりも1フレーム前のフレーム画像の画素値との差分を演算する場合について説明したが、これに限られない。例えば、ドロア156が開いている状態の背景画像すなわちキャッシュレジスタ4が載置される空間を撮像したフレーム画像のうち、店員および顧客のいずれも存在せず、キャッシュレジスタ4のドロア156が開いている状態のフレーム画像が使用されてもよい。この場合、差分判定部136は、現在のフレーム画像140の画素値とドロア156が開いている状態の背景画像の画素値との差分を演算してもよい。また、過去画像としてドロア156に店員5の手が届いていないことが明らかな程度まで遡ったフレーム画像を使用してもよい。これらの場合、差分によってドロア156に店員5の手がかかっているか否かが判定されうる。
【0072】
第1および第2の実施の形態で説明した不正動作を判定するための条件に、店員5がきょろきょろ当たりを見回すなどの「ちらちら周りを確認するしぐさ」を加えてもよい。この場合に対応する第5変形例では、監視部は、動作検知部118においてキャッシュレジスタ4のドロアに対して店員5が動作を行っていると判定され、かつ、顧客存否判定部112において顧客領域に顧客がいないと判定され、かつ、開閉判定部114においてドロアが開いていると判定され、かつ不審動作判別装置1000によって店員5の「ちらちら周りを確認するしぐさ」が検知された場合、不正動作が行われていると判定する。
【0073】
本変形例に係る不審動作判別装置1000を図15に示しており、この例では移動体である人間の頭部の動きから不審者を判別するのに適用したものである。この移動体の判別装置では、更にはオペレータが入力操作する入力手段1004を有して構成している。演算処理部1001は、監視カメラにより取得した人間の頭部の2次元位置情報を処理し,後述する特徴データを用いて移動体を不審者等か否かを判別処理して出力する部分である。
【0074】
演算処理部1001には、図15の例では位置情報処理手段1011と、人間の頭部の2次元位置データを記録する記録手段1012と、動作特徴データ算出手段1013と、個別動作別特徴係数算出手段1014と、個別動作別特徴算出係数を記録保存する記録手段1015と、個別動作別特徴量算出手段1016と、判別手段1017と、個別動作別特徴指示手段1018と、個別動作選択指示手段1019とを有しており、これらについては以下にそれぞれ説明する。
【0075】
位置情報処理手段1011は、撮影した映像情報に対して所定の画像処理を行い、この処理で取得した移動体である人間の頭部のx座標値とy座標値の位置データを得る部分であり、処理取得した移動体の位置データは、メモリ等の記録手段1012に出カして保存する。
【0076】
動作特徴データ算出手段1013は、記録手段1012中の指定時間内における移動体の位置データを用いて、後述する計算式により動作別の特徴量の算出に必要な特徴データ、即ち移動体の動作特徴データである少なくとも動作の距離と、速さと、角度と、2次元座標データのx座標の移動量とy座標の移動量の相関係数との各特徴データを算出する部分である。この動作特徴データ算出手段1013で算出した移動体の動作特徴データは、個別動作毎に該否判別の閾値を設定することを目的とする場合には個別動作別特徴係数算出手段1014で使用し、判別対象体の個別動作の該否判別を目的とする場合には個別動作別特徴量算出手段1016で使用する。
【0077】
動作特徴データ算出手段1013で算出する動作の距離と、速さと、角度と、2次元座標データのx座標の移動量とy座標の移動量の相関係数の各特徴データは、以下に例示する各式で算出する。
(1)動作の距離特徴データのうち、指定時間内における動作中心からの距離の平均
は、式1で求める。
【0078】
【数1】
【0079】
ただし、iは指定時間の位置データの番号、N は指定時問内の位置データの数、riは指定時間内の動作中心座標値とi番日の位置データとの距離である。
(2)動作の距離特徴データのうち、指定時間内における動揺中心からの距離の標準偏差(ばらつき)σrは、式2で求める。
【0080】
【数2】
【0081】
ただし、iとNとriと
は、上記のものと同様である。
(3)動作の速さ特徴データのうち、指定時間内における軌跡長の平均
は、式3で求める。
【0082】
【数3】
【0083】
ただし、Δriのi番目の位置データとi+1番目の位置データ間の距離は、式3−1で求められ、iとNは上記のものと同様であり、Δtは指定時間、xiとyiは、それぞれi番目の位置データ、xi+1とyi+1は、それぞれi+1番目の位置データである。
【0084】
【数4】
【0085】
(4)動作の速さ特徴データのうち、指定時間内における軌跡長の標準偏差(ばらつき)σΔtは、式4で求める。
【0086】
【数5】
【0087】
ただし、Δriと
とΔtは、上記のものと同様である。
(5)動作の角度特徴データのうち、指定時間内における変動角度の平均
は、式5で求める。
【0088】
【数6】
【0089】
ただし、θiのi番目の位置データの角度は、式5−1により求められ、Δθiのi番目の位置データとi+1番目の位置データ間の角度は、式5−2により求められ、Δtとxiとyiは、上記のものと同様であり、cxとcyは、それぞれ動作中心のx座標の値とy座標の値である。
【0090】
【数7】
【0091】
【数8】
【0092】
(6)動作の角度特徴データのうち、指定時間内の変動角度の標準偏差(ばらつき)σΔθは、式6で求める。
【0093】
【数9】
【0094】
ただし、Δθiと
とΔtは、上記のものと同様である。
(7)動作の関連性特徴データのうち、xとyの相関係数Cxyは、式7で求める。
【0095】
【数10】
【0096】
ただし、xiとyiととcxとcyは、上記のものと同様であり、σxは指定時間内のx座標における標準偏差で、式7−1により求められ、またσyは指定時間内のy座標における標準偏差で、式7−2により求められる。
【0097】
【数11】
【0098】
【数12】
【0099】
(8)動作の関連性特徴データのうち、面積Sは、式8で求める。
【0100】
【数13】
【0101】
ただし、σxとσyは、上記のものと同様である。
【0102】
なお、特徴データの算出式には、上記以外に移動体が撮影した画像中の動作中心を基準として第1から第4象限の動揺中らからの距離の平均や最大距離を求める計算式等も使用することができる。
【0103】
個別動作別特徴係数算出手段1014では、個別動作毎に該否判別の閾値を設定するために、動作特徴データ算出手段1013で算出された特徴データと、オペレータが操作する入力手段1004から個別動作別特徴指示手段1018を介して入力した不審レベルを用いて、移動体の個別動作毎の最適な動作の個別動作別特徴算出係数を算出し、これを記録手段1015に保存している。
【0104】
個別動作別特徴係数算出手段1014おいての個別動作別特徴算出係数は、次のように周知の重回帰分析によって算出する。
特徴データを説明変数とし、不審レベルを目的変数として、重回帰分析を行い、係数(回帰係数)と各特長データの危険率を求める。そして、求めた危険率が高ければ、不要な特徴データとみなす。例えば不審者を撮影し、「ちらちら周りを確認するしぐさ」の動きをする不審者を要因分析した結果、表1の値が算出される。
【0105】
【表1】
【0106】
上記の表1から不要な特徴データを削除するため、例えば危険率が50%以上の場合は、不審者を判別するための特徴データから削除し、そして再度の要因分析する。要因分析は、定めた危険率が50%以上の特徴量がなくなるまで、繰り返し実施する。この繰り返しによって、表1から特徴データの変動角(平均)及び変動角(標準偏差)は削除され、表2に示すようになり、このときの係数(回帰係数)等が記録手段1015に記録保存される。
【0107】
【表2】
【0108】
個別動作別特徴量算出手段1016では、判別対象体の個別動作の該否判別を行うために、少なくとも移動体の動作の距離と、速さと、角度と、2次元座標データのx座標の移動量とy座標の移動量の相関係数の各特徴データを説明変数とし、記録手段1015に記録した表2に示す特徴データと係数(回帰係数)と切片を用いて、下記のように個別動作別特徴量として目的変数を算出する。
【0109】
つまり、個別動作別特徴量算出手段1016では、記録手段1015に保存した表2の係数の積と切片とを全て加算して、個別動作別特徴量を目的変数として算出する。したがって、個別動作別特徴量は、下記の算出量の値となる。
【数14】
【0110】
なお、個別動作別特徴係数算出手段1014での個別動作別特徴算出係数の算出には、上記した重回帰分析以外に、主成分分析や、判別分析や、ニューラルネットワークの技術を利用して行うことができる。
【0111】
上記した移動体の位置データを使用する動作特徴データ算出手段1013と個別動作別特徴係数算出手段1014は、別のパソコンに組み込んで算出処理を行って、移動体の位置データから動作特徴データ、個別動作別特徴算出係数を順に求めることもできる。そして、算出結果の個別動作別特徴算出係数を、入力手段1004から演算処理部1001内の記録手段1015に記録して使用することもできる。このような算出処理をする場合、個別動作別特徴係数算出手段1014及び個別動作別特徴指示手段1018は、演算処理部1001に設ける必要がなくなる。
【0112】
個別動作別特徴量算出手段1016で算出した個別動作別特徴量の値は、判別手段1017で使用する。判別手段1017では、個別動作別特徴量の値と予め設定した闘値との比較を行い、その大小から移動体が不審者であるか否かを判別し、その結果を監視部に出力する。
【0113】
また、個別動作別特徴指示手段1018は、オペレータが入力手段1004を用いて動作の名称や動作レベルを操作入力し、個別動作別特徴係数算出手段1014に指示するために用いられる。オペレータによる動作の名称と動作レベルの入力は、例えば回りをちらちら確認する動作を人の不審な動作として判別する場合に、動作の名称を「ちらちら周りを確認するしぐさ」と入力し、動作レベルは0〜100の中で「ちらちら周りを確認するしぐさ」の動作を非常によく表現している場合には「100」を入力し、不審な動作でない場合は「0」を入力する。
【0114】
人間の頭部の2次元位置データから予め個別動作別特徴算出係数の算出、及び記録手段1015に記録までの実施する処理手順の例を、図16及び図17に示している。図16の処理手順は、監視カメラで取得した指定時間内の人間の頭部の2次元位置データを、位置情報処理手段1011で処理し(ステップS1021)、動作特徴データ算出手段1013において移動体の動作の距離と、速さと、角度と、2次元座標データのx座標の移動量とy座標の移動量の相関係数の各特徴データを算出処理し(ステップS1022)、オペレータが入力手段から動作名称と動作レベルの入力を受けてから(ステップS1023)、それをもとに個別動作別特徴係数算出手段1014で個別動作別特徴算出係数の算出処理を行い(ステップS1024)、個別動作別特徴算出係数を記録手段1015に記録保存の処理(ステップS1025)を行っている。
【0115】
また、監視カメラからの画像を活用した別の処理手順の場合上記ステップS1021部分の処理に代えて、位置情報処理手段1011において画像中の人から頭部の重心位置の算出と保管を行い、更に保管された頭部の重心位置から一定時間、例えば15秒間の重心位置の取得処理を行って、次のステップS1022からステップS1025までの処理を行わせることもできる。
【0116】
図17には移動体の判別を行う本発明の判別手順を示しており、ステップS1031とステップS1032の処理は、図16に示すステップS1021とステップS1022の処理手順と同一であり、次のステップS1033は、監視対象施設で使用者が、任意に指示する施設特有の監視を必要とする動作名称の入力処理である。移動体の判定にあたっては、移動体の動作の距離と、速さと、角度と、2次元座標データのx座標の移動量とy座標の移動量の相関係数の各特徴データをもとにした個別動作別特徴算出係数を用いて個別動作別特徴量を算出処理し(ステップS1034)、この個別動作別特徴量の値と予め設定した闘値との判定処理を行い(ステップS1035)、その判定結果を出力処理する(ステップS1036)。
【0117】
上記した移動体の判別の処理手順、つまり監視カメラで取得した移動体の位置情報を処理して移動体の位置データを得る処理手順、移動体の位置データをから少なくとも移動体の動作の距離と速さと角度と2次元座標データのx座標の移動量とy座標の移動量の相関係数との各特徴データを算出する処理手順、各特徴データから算出して予め記録された個別動作別特徴算出係数を用いて移動体の個別動作別特徴量を算出する処理手順、算出した個別動作別特徴量の値と予め設定した闘値と比較して判別する処理手順は、移動体の判別プログラムとて作成し、演算処理部として用いるパソコンに組み込んで使用することができる。
【0118】
「ちらちら周りを確認するしぐさ」の動作を行う店員5の検出にあたっては、まず監視カメラで一定時間に撮影した画像から、対象の人の頭部の重心位置を求めて位置データを取得する。「ちらちら周りを確認するしぐさ」の動作の個別動作別特徴算出係数(回帰係数)を用いて、この位置データから求められる対象者の頭部の動作の距離、速さ、角度、2次元座標データのx座標の移動量とy座標の移動量の相関係数の各特徴データを説明変数として重回帰分析を行う。そして、算出された目的変数(「ちらちら周りを確認するしぐさ」の特徴量)と闘値とを比較して判定を行い、監視部に判定結果を出力する。
【0119】
第5変形例では、人間の頭部の2次元位置情報を処理した位置データから、少なくとも動作の距離と速さと角度と2次元座標データのx座標の移動量とy座標の移動量の相関係数との各特徴データを算出し、各特徴データを基に予め記録された個別動作別特徴算出係数を用いて移動体の個別動作別特徴量を算出し、ここで求めた個別動作別特徴量の値と予め設定した闘値と比較して移動体を判別する手法を使用して、店員5の「ちらちら周りを確認するしぐさ」を検知する場合について説明した。第6変形例では、領域を分割し各領域の特性、例えば輝度や画素値や領域の大きさ、の変化を監視することで店員5の動作を検知する。
これにより人が特定の部位、例えば頭や足、だけを動かしている場合もその動作を検知できる。
【0120】
第6変形例に係る監視装置は、店員5を撮像したフレーム画像を取得する画像取得部を備える。この画像取得部として図1の画像取得部102を使用してもよい。第6変形例に係る監視装置はさらに、画像取得部によって取得されたフレーム画像に対して、店員5の位置を基点とする監視領域を設定する監視領域設定部(不図示)と、監視領域を複数の分割監視領域に分割する監視領域分割部(不図示)と、複数の分割監視領域のうちの少なくともひとつにおけるフレーム画像の特性の変化に基づいて人が動作を行っているか否かを判定する判定部(不図示)と、を備える。
【0121】
図18は、第6変形例に係る監視装置における店員5の「ちらちら周りを確認するしぐさ」の検知方法の一例を説明するための説明図である。図18は、画像取得部が店員5を側方から撮像する場合を示す。監視領域設定部は、画像取得部によって取得されたフレーム画像302に対して、店員5の頭部5aの位置を基点とする監視領域304を設定する。監視領域分割部は、監視領域304を5つの分割監視領域306a〜306eに分割する。以上の監視領域の設定および分割は第2の実施の形態における領域分割部132の機能と同様であってもよい。
【0122】
図18に示されるようにフレーム画像302では前を向いていた店員5が次のフレーム画像308では横を向いた場合、頭部5aに対応する分割監視領域306aにおける輝度は、他の分割監視領域306b〜306eにおける輝度よりも多く変化する。判定部はそのような変化を検出すると、店員5が「ちらちら周りを確認するしぐさ」を行っていると判定し、例えば図2の監視部120に通知する。
【0123】
図19は、店員5が「ちらちら周りを確認するしぐさ」を行っている場合の各分割監視領域における輝度変化の一例を示すグラフである。図19のグラフでは、y軸は輝度変化量を任意の単位で示し、x軸は時間を任意の単位で示す。このグラフから分かる通り、頭部5aに対応する分割監視領域306aにおける輝度変化量は他の分割監視領域306b〜306eにおける輝度変化量よりも顕著に大きくなっている。
【0124】
図18および図19に示される技術的思想は、キャッシュレジスタに対する店員5の不正動作を検知するためだけでなく、より一般的に人の動作を検知するためにも適用できる。例えば、商品棚の前できょろきょろする者を特定して通知するためにも使用できる。
【0125】
これに関し、人が監視カメラに向かって歩いてくることや人が座り込んだり立ち上がったりすることを検出する技術について説明する。
図20は、人310が監視カメラに向かって歩いてくる場合を説明するための説明図である。画像取得部は、フレーム画像312を取得する。監視領域設定部は、フレーム画像312に対して人310の例えば頭部310aの位置を基点として監視領域318を設定する。監視領域分割部は、監視領域318を5つの分割監視領域316a〜316eに分割する。人310が監視カメラに向かって歩いてくる場合、次のフレーム画像314では監視領域318および各分割監視領域316a〜316eは大きくなる。また、通常人が歩くときは胸部などの上半身の動きは小さく脚などの下半身の動きは大きい。したがって、判定部はフレーム画像312と次のフレーム画像314との間で監視領域318が大きくなり、かつ下半身に対応する分割監視領域316d、316eにおける輝度変化がそれ以外の分割監視領域316a、316b、316cにおける輝度変化よりも大きい場合、人310が監視カメラに向かって歩いていると判定する。
また、人310が座り込んだ場合、監視領域318のうち下半身に対応する分割監視領域316d、316eは、それ以外の分割監視領域316a、316b、316cよりも大きな割合で小さくなる。したがって判定部は、それを検出すると人310が座り込んだと判定する。人310が立ち上がる場合はその逆である。
【0126】
以上、実施の形態にもとづき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎないことはいうまでもなく、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能であることはいうまでもない。
【0127】
第1および第2の実施の形態で説明した不正動作を判定するための条件に、複数の連続するフレーム画像から得られる画素値の時間的な変遷のパターンによって表すことのできる店員5の動作、例えば店員5が頭を左右に振って周りの様子を窺うなどの周期的または振動的な動作(以下、「そわそわ動作」と称する)の検知を含めてもよい。あるいはまた、第1および第2の実施の形態で説明した不正動作を判定するための条件のうちドロアに手が触れていることの検知をそわそわ動作の検知に置き換えてもよい。
【0128】
キャッシュレジスタから現金を盗むなどの不正を行う店員は、そのような不正をする前または後に、周りに自分を見ている人がいないかチェックする場合が多い。そのような動作のひとつが上述のそわそわ動作である。このようなそわそわ動作の検知を店員不正動作条件のひとつとすることで、より実態に即した形での不正動作の検知が可能となり、例えば検知の精度を高めることができる。
【0129】
この場合に対応する第7変形例では、領域分割部は、店員存否判定部130において店員領域144に店員5が存在すると判定されると、その店員5の店員領域144内での位置を基点(この場合は中心)とするリーチ領域を設定し、そのリーチ領域を分割する。
【0130】
図21は、第7変形例に係る領域分割部におけるリーチ領域302の分割を説明するための説明図である。領域分割部は、リーチ領域302を直立で静止している店員5の頭部5aの位置を囲む複数の閉曲線である3本の略楕円304a、304b、304c、および頭部5aの位置を通る直線306で分割する。特に、3本の略楕円304a、304b、304cの中心は直立で静止している店員5の頭部5aの位置と一致し、直線306は店員5aの右半身と左半身とを分ける直線となるよう設定される。
直線306は例えば店員の左肩の端部5bと右肩の端部5cとを結ぶ線分の垂直二等分線として設定されてもよい。
【0131】
その結果、リーチ領域302は、店員5の左側において内側から第1左側分割領域L1、第2左側分割領域L2、第3左側分割領域L3、第4左側分割領域L4、店員5の右側において内側から第1右側分割領域R1、第2右側分割領域R2、第3右側分割領域R3、第4右側分割領域R4に分割される。
また、領域分割部は店員5の頭部5aの色を記憶部(不図示)に記憶させる。
【0132】
監視装置の画像処理部は別の動作検知部(不図示)を含む。この別の動作検知部は、第1左側分割領域L1、第2左側分割領域L2、第3左側分割領域L3、第4左側分割領域L4、第1右側分割領域R1、第2右側分割領域R2、第3右側分割領域R3および第4右側分割領域R4におけるフレーム画像の画素値の時間的な変遷のパターンを取得するパターン取得部と、パターン取得部によって取得されたパターンが店員領域144に存在する店員5の所定の動作、例えばそわそわ動作によるパターンと対応するか否かを判定するパターン判定部と、を有する。
【0133】
パターン取得部は、現在のフレーム画像のリーチ領域302に対応する部分および現在よりも1フレーム前のフレーム画像のリーチ領域302に対応する部分に対して、記憶部によって記憶される店員5の頭部5aの色でフィルタ処理を施し、それぞれに色情報としては頭部5aの色のみを残す。現在のフレーム画像のリーチ領域302に対応する部分にこのフィルタ処理を施した結果得られる画像データをフィルタ処理後現在画像、現在よりも1フレーム前のフレーム画像のリーチ領域302に対応する部分にこのフィルタ処理を施した結果得られる画像データをフィルタ処理後過去画像と称す。
図22は、色情報としては頭部5aの色のみが示されたリーチ領域302を示す説明図である。
【0134】
パターン取得部は、第1左側分割領域L1、第2左側分割領域L2、第3左側分割領域L3、第4左側分割領域L4、第1右側分割領域R1、第2右側分割領域R2、第3右側分割領域R3および第4右側分割領域R4の各領域内におけるフィルタ処理後現在画像の画素値と、その領域内におけるフィルタ処理後過去画像の画素値との差分を演算する。特にパターン取得部は、各領域における差分の絶対値の総和を演算する。
【0135】
パターン取得部は、各領域について演算された差分の絶対値の総和と所定の第3判定値とを比較し、第3判定値以上となっている領域を変化領域として決定する。
図23は、変化領域を説明するための説明図である。図23では、店員の頭部5aが左側に動いたので第1左側分割領域L1の画素値に変化が現れる。その結果、第1左側分割領域L1における画素値の差分の絶対値の総和が第3判定値を超え、第1左側分割領域L1が変化領域として決定される。
【0136】
パターン取得部は、変化領域として決定される領域の時間的な変遷のパターン、すなわち時間的に連続する複数のフレームの進行に合わせて変化領域として決定される領域がどのように移り変わるかを示すパターンを取得する。例えばパターン取得部は、あるフレームにおいて変化領域として決定された領域に対して値「1」を、そうでない領域に対して値「0」を、割り当てる。パターン取得部は、時間的に連続する複数のフレームのそれぞれにおいて各領域に割り当てられるそのような値をパターンデータとして記憶部に記憶させる。
【0137】
図24は、記憶部に記憶されるパターンデータ370の構造の一例を示すデータ構造図である。パターンデータは、時間軸すなわちフレームの順番に沿って各領域に割り当てられた値を保持するデータである。
【0138】
パターン判定部は、記憶部に記憶されるパターンデータが監視者やオーナーにより予め設定されたそわそわ条件を満たすか否かを判定する。監視者やオーナーは、このそわそわ条件を店員5がそわそわ動作をしている場合にパターンデータに表れる特徴に基づき設定する。パターン判定部は、記憶部に記憶されるパターンデータがこのそわそわ条件を満たす場合、そのパターンデータはそわそわ動作によるパターンデータと対応すると判定する。この際、パターン判定部は値の時間的な変遷を複数の領域について組み合わせて判定してもよい。
【0139】
図25は、第1左側分割領域L1および第2左側分割領域L2のそれぞれに割り当てられた値の時間的な変遷の一例を示すグラフである。図25において横軸は時間、縦軸は割り当てられた値を示す。図25には、店員の頭部5aが左側に動いたことを示す箇所が3つ320、322、324示されている。すなわち図25に示されるデータから店員の頭部5aが左側に3回動いたことが分かる。なお、変化領域が外側になるほど大きな動作となる。
【0140】
図26は、第1右側分割領域R1および第2右側分割領域R2のそれぞれに割り当てられた値の時間的な変遷の一例を示すグラフである。図26において横軸は時間、縦軸は割り当てられた値を示す。図26には、店員の頭部5aが右側に動いたことを示す箇所が2つ326、328示されている。すなわち図26に示されるデータから店員の頭部5aが右側に2回動いたことが分かる。
【0141】
例えば、監視者またはオーナーがそわそわ動作を検知するためのそわそわの回数を、店員の頭部5aの右側への動きが2回以上かつ左側への動きが2回以上と定義し、そのようにそわそわ条件を設定する場合、図25および図26に示されるパターンデータでは時間14でそわそわ動作が検知されることとなる。
【0142】
監視部は、動作検知部118においてキャッシュレジスタ4のドロアに対して店員5が動作を行っていると判定され、かつ、顧客存否判定部112において顧客領域に顧客がいないと判定され、かつ、開閉判定部114においてドロアが開いていると判定され、かつ、別の動作検知部において取得されたパターンがそわそわ動作によるパターンと対応すると判定された場合、不正動作が行われていると判定してもよい。
【0143】
あるいはまた、監視部は、顧客存否判定部112において顧客領域に顧客がいないと判定され、かつ、開閉判定部114においてドロアが開いていると判定され、かつ、別の動作検知部において取得されたパターンがそわそわ動作によるパターンと対応すると判定された場合、不正動作が行われていると判定してもよい。
【0144】
本変形例によると、分割された各領域の画素値の時間的な変遷のパターンに着目し、それとそわそわ動作に特徴的なパターンとを比較することでそわそわ動作を検知し、その検知を不正動作検知の条件としている。したがって、分割された領域に含まれる画素のみを差分演算の対象とするのでそわそわ動作の検知のために必要な計算量を低減できる。また、キャッシュレジスタ周りの不正動作の実態により即した形での不正動作検知が可能となる。
【0145】
なお第7変形例において、動作検知部118における判定および顧客存否判定部112における判定および開閉判定部114における判定はフレームごとに行うことが可能であるのに対し、別の動作検知部における判定は基本的に複数のフレームを必要とする。したがって、監視部は、判定の前後関係に関する以下のいずれかのモードで不正動作の有無の判定を行ってもよい。
【0146】
第1モード:監視部は、別の動作検知部において取得されたパターンがそわそわ動作によるパターンと対応すると判定されたフレームまたはそれ以降のフレームにおいて、顧客存否判定部112における判定結果および開閉判定部114における判定結果を取得し、不正動作の有無の判定を行う。この場合、店員がまずそわそわ動作を行って周りを確認してから不正動作を行う場合により好適に対応した検知が可能となる。
【0147】
第2モード:監視部は、動作検知部118においてキャッシュレジスタ4のドロアに対して店員5が動作を行っていると判定され、かつ、顧客存否判定部112において顧客領域に顧客がいないと判定され、かつ、開閉判定部114においてドロアが開いていると判定されたフレームまたはそれ以降のフレームにおいて、別の動作検知部における判定結果を取得し、不正動作の有無の判定を行う。この場合、店員が不正動作を行った後に周りを確認する場合により好適に対応した検知が可能となる。
【0148】
なお、パターン取得部は、頭の動き以外にも、手や体全体などのパターンデータを取得してもよい。手の場合には、パターン取得部は手の色でフィルタ処理を行い、パターンデータを取得する。体全体の場合には、パターン取得部は体全体の色のフィルタもしくは現在のフレーム画像と前回のフレーム画像の差分からパターンデータを取得する。これらのパターンデータをパターン判定部で処理することにより、頭以外の体の部位や体全体の周期的又は振動的な動作を検知することができる。
【符号の説明】
【0149】
1 監視システム、 2 監視カメラ、 4 キャッシュレジスタ、 5 店員、 8 携帯端末、 10 店舗、 20 監視センタ、 22 センタサーバ、 100 監視装置、 102 画像取得部、 104 画像処理部、 106 基準画像DB、 108 基準画像更新部、 110 領域設定部、 112 顧客存否判定部、 114 開閉判定部、 116 複数領域設定部、 118 動作検知部、 120 監視部、 122 領域指定部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャッシュレジスタが載置される空間を撮像したフレーム画像を取得する画像取得部と、
基準画像と前記画像取得部によって取得されたフレーム画像とを比較する画像処理部と、を備え、
前記画像処理部は、
前記キャッシュレジスタを操作する側の第1領域に存在する人の位置を基点とする複数の第2領域を設定する複数領域設定部と、
前記複数の第2領域のうちの少なくともひとつと開いている前記キャッシュレジスタのドロアが占める第3領域とが少なくとも部分的に重畳する場合に、前記第3領域と少なくとも部分的に重畳する第2領域におけるフレーム画像の画素値から前記キャッシュレジスタのドロアに対して人が動作を行っているか否かを判定する動作検知部と、
前記第1領域とは異なる第4領域におけるフレーム画像の画素値から前記第4領域における人の存否を判定する存否判定部と、
前記動作検知部において前記キャッシュレジスタのドロアに対して人が動作を行っていると判定され、かつ、前記存否判定部において前記第4領域に人がいないと判定された場合、所定の処理を行う監視部と、を含むことを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記複数領域設定部は、前記第1領域に存在する人の位置を基点とする第5領域を設定し、前記第5領域を分割することで前記複数の第2領域を設定することを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記画像取得部は、前記キャッシュレジスタが載置される空間を人の頭部側から撮像したフレーム画像を取得し、
前記複数領域設定部は、前記第5領域を前記基点を通る線で分割することを特徴とする請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記画像取得部は、前記キャッシュレジスタが載置される空間を人の頭部側から撮像したフレーム画像を取得し、
前記複数領域設定部は、前記第5領域を前記基点を囲む複数の閉曲線で分割することを特徴とする請求項2に記載の監視装置。
【請求項5】
前記画像取得部は、前記キャッシュレジスタが載置される空間を人の頭部側から撮像したフレーム画像を取得し、
前記複数領域設定部は、前記第5領域を前記基点を通る線で分割し、かつ、前記基点を囲む複数の閉曲線で分割することを特徴とする請求項2に記載の監視装置。
【請求項6】
前記複数領域設定部は、前記第1領域に存在する人の位置と開いている前記キャッシュレジスタのドロアの位置との間に第5領域を設定し、前記第5領域を前記第1領域に存在する人の位置からの距離によって分割することで前記複数の第2領域を設定することを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項7】
前記画像取得部は、前記キャッシュレジスタが載置される空間を人の側面側から撮像したフレーム画像を取得し、
前記複数領域設定部は、前記第1領域に存在する人の頭部の位置を基点とする第5領域を設定し、前記第5領域を分割することで前記複数の第2領域を設定することを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項8】
対象が載置される空間を撮像したフレーム画像を取得する画像取得部と、
基準画像と前記画像取得部によって取得されたフレーム画像とを比較する画像処理部と、を備え、
前記画像処理部は、
所定の第1領域に存在する人の位置を基点とする複数の第2領域を設定する複数領域設定部と、
前記複数の第2領域のうちの少なくともひとつと前記対象に関連する第3領域とが少なくとも部分的に重畳する場合に、前記第3領域と少なくとも部分的に重畳する第2領域におけるフレーム画像の画素値から前記対象に対して人が動作を行っているか否かを判定する動作検知部と、
前記動作検知部において前記対象に対して人が動作を行っていると判定された場合、所定の処理を行う監視部と、を含むことを特徴とする監視装置。
【請求項9】
キャッシュレジスタが載置される空間を撮像したフレーム画像を取得する機能と、
フレーム画像において前記キャッシュレジスタを操作する側の第1領域に存在する人の位置を基点とする複数の第2領域を設定する機能と、
前記複数の第2領域のうちの少なくともひとつと開いている前記キャッシュレジスタのドロアが占める第3領域とが少なくとも部分的に重畳する場合に、前記第3領域と少なくとも部分的に重畳する第2領域におけるフレーム画像と基準画像の画素値から前記キャッシュレジスタのドロアに対して人が動作を行っているか否かを判定する機能と、
前記第1領域とは異なる第4領域におけるフレーム画像と基準画像の画素値から前記第4領域における人の存否を判定する機能と、
前記キャッシュレジスタのドロアに対して人が動作を行っていると判定され、かつ、前記第4領域に人がいないと判定された場合、所定の処理を行う機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
人を撮像したフレーム画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部によって取得されたフレーム画像に対して、人の位置を基点とする監視領域を設定する監視領域設定部と、
前記監視領域を複数の分割監視領域に分割する監視領域分割部と、
前記複数の分割監視領域のうちの少なくともひとつにおけるフレーム画像の特性の変化に基づいて人が動作を行っているか否かを判定する判定部と、を備えることを特徴とする監視装置。
【請求項11】
前記複数領域設定部によって設定された複数の第2領域におけるフレーム画像の画素値の時間的な変遷のパターンを取得し、取得されたパターンが前記第1領域に存在する人の所定の動作によるパターンと対応するか否かを判定する別の動作検知部をさらに備え、
前記監視部は、前記動作検知部において前記キャッシュレジスタのドロアに対して人が動作を行っていると判定され、かつ、前記存否判定部において前記第4領域に人がいないと判定され、かつ、前記別の動作検知部において対応すると判定された場合、所定の処理を行うことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の監視装置。
【請求項12】
キャッシュレジスタが載置される空間を撮像したフレーム画像を取得する画像取得部と、
基準画像と前記画像取得部によって取得されたフレーム画像とを比較する画像処理部と、を備え、
前記画像処理部は、
前記キャッシュレジスタのドロアが開いているか否かを判定する開閉判定部と、
前記キャッシュレジスタを操作する側の第1領域に存在する人の位置を基点とする複数の第2領域を設定する複数領域設定部と、
前記複数領域設定部によって設定された複数の第2領域におけるフレーム画像の画素値の時間的な変遷のパターンを取得し、取得されたパターンが前記第1領域に存在する人の所定の動作によるパターンと対応するか否かを判定する動作検知部と、
前記第1領域とは異なる第3領域におけるフレーム画像の画素値から前記第3領域における人の存否を判定する存否判定部と、
前記動作検知部において対応すると判定され、かつ、前記開閉判定部において前記キャッシュレジスタのドロアが開いていると判定され、かつ、前記存否判定部において前記第3領域に人がいないと判定された場合、所定の処理を行う監視部と、を含むことを特徴とする監視装置。
【請求項1】
キャッシュレジスタが載置される空間を撮像したフレーム画像を取得する画像取得部と、
基準画像と前記画像取得部によって取得されたフレーム画像とを比較する画像処理部と、を備え、
前記画像処理部は、
前記キャッシュレジスタを操作する側の第1領域に存在する人の位置を基点とする複数の第2領域を設定する複数領域設定部と、
前記複数の第2領域のうちの少なくともひとつと開いている前記キャッシュレジスタのドロアが占める第3領域とが少なくとも部分的に重畳する場合に、前記第3領域と少なくとも部分的に重畳する第2領域におけるフレーム画像の画素値から前記キャッシュレジスタのドロアに対して人が動作を行っているか否かを判定する動作検知部と、
前記第1領域とは異なる第4領域におけるフレーム画像の画素値から前記第4領域における人の存否を判定する存否判定部と、
前記動作検知部において前記キャッシュレジスタのドロアに対して人が動作を行っていると判定され、かつ、前記存否判定部において前記第4領域に人がいないと判定された場合、所定の処理を行う監視部と、を含むことを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記複数領域設定部は、前記第1領域に存在する人の位置を基点とする第5領域を設定し、前記第5領域を分割することで前記複数の第2領域を設定することを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記画像取得部は、前記キャッシュレジスタが載置される空間を人の頭部側から撮像したフレーム画像を取得し、
前記複数領域設定部は、前記第5領域を前記基点を通る線で分割することを特徴とする請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記画像取得部は、前記キャッシュレジスタが載置される空間を人の頭部側から撮像したフレーム画像を取得し、
前記複数領域設定部は、前記第5領域を前記基点を囲む複数の閉曲線で分割することを特徴とする請求項2に記載の監視装置。
【請求項5】
前記画像取得部は、前記キャッシュレジスタが載置される空間を人の頭部側から撮像したフレーム画像を取得し、
前記複数領域設定部は、前記第5領域を前記基点を通る線で分割し、かつ、前記基点を囲む複数の閉曲線で分割することを特徴とする請求項2に記載の監視装置。
【請求項6】
前記複数領域設定部は、前記第1領域に存在する人の位置と開いている前記キャッシュレジスタのドロアの位置との間に第5領域を設定し、前記第5領域を前記第1領域に存在する人の位置からの距離によって分割することで前記複数の第2領域を設定することを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項7】
前記画像取得部は、前記キャッシュレジスタが載置される空間を人の側面側から撮像したフレーム画像を取得し、
前記複数領域設定部は、前記第1領域に存在する人の頭部の位置を基点とする第5領域を設定し、前記第5領域を分割することで前記複数の第2領域を設定することを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項8】
対象が載置される空間を撮像したフレーム画像を取得する画像取得部と、
基準画像と前記画像取得部によって取得されたフレーム画像とを比較する画像処理部と、を備え、
前記画像処理部は、
所定の第1領域に存在する人の位置を基点とする複数の第2領域を設定する複数領域設定部と、
前記複数の第2領域のうちの少なくともひとつと前記対象に関連する第3領域とが少なくとも部分的に重畳する場合に、前記第3領域と少なくとも部分的に重畳する第2領域におけるフレーム画像の画素値から前記対象に対して人が動作を行っているか否かを判定する動作検知部と、
前記動作検知部において前記対象に対して人が動作を行っていると判定された場合、所定の処理を行う監視部と、を含むことを特徴とする監視装置。
【請求項9】
キャッシュレジスタが載置される空間を撮像したフレーム画像を取得する機能と、
フレーム画像において前記キャッシュレジスタを操作する側の第1領域に存在する人の位置を基点とする複数の第2領域を設定する機能と、
前記複数の第2領域のうちの少なくともひとつと開いている前記キャッシュレジスタのドロアが占める第3領域とが少なくとも部分的に重畳する場合に、前記第3領域と少なくとも部分的に重畳する第2領域におけるフレーム画像と基準画像の画素値から前記キャッシュレジスタのドロアに対して人が動作を行っているか否かを判定する機能と、
前記第1領域とは異なる第4領域におけるフレーム画像と基準画像の画素値から前記第4領域における人の存否を判定する機能と、
前記キャッシュレジスタのドロアに対して人が動作を行っていると判定され、かつ、前記第4領域に人がいないと判定された場合、所定の処理を行う機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
人を撮像したフレーム画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部によって取得されたフレーム画像に対して、人の位置を基点とする監視領域を設定する監視領域設定部と、
前記監視領域を複数の分割監視領域に分割する監視領域分割部と、
前記複数の分割監視領域のうちの少なくともひとつにおけるフレーム画像の特性の変化に基づいて人が動作を行っているか否かを判定する判定部と、を備えることを特徴とする監視装置。
【請求項11】
前記複数領域設定部によって設定された複数の第2領域におけるフレーム画像の画素値の時間的な変遷のパターンを取得し、取得されたパターンが前記第1領域に存在する人の所定の動作によるパターンと対応するか否かを判定する別の動作検知部をさらに備え、
前記監視部は、前記動作検知部において前記キャッシュレジスタのドロアに対して人が動作を行っていると判定され、かつ、前記存否判定部において前記第4領域に人がいないと判定され、かつ、前記別の動作検知部において対応すると判定された場合、所定の処理を行うことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の監視装置。
【請求項12】
キャッシュレジスタが載置される空間を撮像したフレーム画像を取得する画像取得部と、
基準画像と前記画像取得部によって取得されたフレーム画像とを比較する画像処理部と、を備え、
前記画像処理部は、
前記キャッシュレジスタのドロアが開いているか否かを判定する開閉判定部と、
前記キャッシュレジスタを操作する側の第1領域に存在する人の位置を基点とする複数の第2領域を設定する複数領域設定部と、
前記複数領域設定部によって設定された複数の第2領域におけるフレーム画像の画素値の時間的な変遷のパターンを取得し、取得されたパターンが前記第1領域に存在する人の所定の動作によるパターンと対応するか否かを判定する動作検知部と、
前記第1領域とは異なる第3領域におけるフレーム画像の画素値から前記第3領域における人の存否を判定する存否判定部と、
前記動作検知部において対応すると判定され、かつ、前記開閉判定部において前記キャッシュレジスタのドロアが開いていると判定され、かつ、前記存否判定部において前記第3領域に人がいないと判定された場合、所定の処理を行う監視部と、を含むことを特徴とする監視装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2011−181067(P2011−181067A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19941(P2011−19941)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(505060727)株式会社リテールサポート (1)
【出願人】(398038720)システム・プロダクト株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(505060727)株式会社リテールサポート (1)
【出願人】(398038720)システム・プロダクト株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
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