説明

盤状物体裏返し装置

【目的】 薬剤、機械部品、菓子などの盤状物体を裏返すための盤状物体の裏返し装置を提供する。
【構成】 前記盤状物体を載置する上側載置板であって少なくとも1つの方向に移動可能な上側載置板と、前記上側載置板の下面側にこれと対向するように配置された下側載置板であって、その上面の少なくとも一部が所定の凹凸を有するように又は所定以上の摩擦係数を有するように形成された下側載置板と、前記盤状物体が載置される部分から離れた位置に前記上側載置板の上面と対向するように配置された押出板と、前記上側載置板と前記押出板の移動を制御する裏返し制御手段と、を備えた盤状物体裏返し装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤、機械部品(座金、ナット等)、菓子(ビスケット、クッキー、円盤状チョコレート等)、遊戯用具(おはじき等)などの各種の盤状物体を裏返すための盤状物体の裏返し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、患者の一回服用分の複数の薬剤(錠剤やカプセルなどの形状の薬剤)がそれぞれ分包された各袋体毎に、その各袋体内の各薬剤の画像を撮像手段により取得し、その取得した画像に基づいて、その各袋体毎の分包が処方箋通りの正しい分包であるか否かを判定し、「処方箋通りの分包ではない」と判定された袋体については、患者に交付しないで、袋体の中身の薬剤を取り出して、それぞれの薬剤の銘柄毎に対応する容器などに分別することが行なわれている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−18230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の分包薬剤検査と、その検査過程の中において「処方箋通りの分包ではない」と判定された袋体の中身の薬剤を取り出してそれぞれの薬剤の銘柄毎に対応する容器などに分別することなどについては、次のような様々な問題点が存在していた。
(1)「分包が処方箋通りではない」と判定された袋体については、前記袋体から各薬剤を出していったん集めて収容した後、各薬剤を1個ずつ取り出してそれぞれ対応する銘柄の容器に自動的に収容することが望ましいが、そのためには、例えば前記各薬剤の刻印の画像に基づいて各銘柄を識別して各薬剤をそれぞれの銘柄に対応する容器に収容する必要がある。しかし、従来は、薬剤の刻印が形成されていない面が撮像手段に対向している場合、人手を介することなく刻印画像を取得することが難しく、そのため前記分包ミスのあった袋体から出した多数の薬剤を1個ずつ銘柄が対応する容器に自動的に分別収容することが難しいという問題があった。すなわち、薬剤の刻印が形成されていない面が撮像手段に対向している場合はその薬剤を裏返して刻印が形成されている面を撮像手段に対向させる必要があるが、従来はこのような薬剤の裏返し動作を自動的に行うことが難しいという問題があった。またさらに、従来は、前述のような薬剤に限らず、機械部品や菓子などをも含む盤状物体についても、その裏返し動作を自動的に行うことが難しいという問題があった。
【0005】
(2)前記各袋体毎の分包が処方箋通りかどうかを正確に判定するためには各薬剤の正確な画像を取得する必要があり、正確な画像を取得するためには、撮像する前に前記袋体内の各薬剤が互いに重なっていないように、互いに接触していないように、又は薬剤がシート平面に対して直立していないようにしておく必要があるが、従来は、このような対処を確実に且つ容易に行なうことが難しいという問題があった。またさらに、従来は、袋体内に封入又は収容された複数の薬剤以外の盤状物体についても、袋体内に封入又は収容された複数の盤状物体が互いに確実に重ならないように、互いに確実に接触しないように、又は確実にシート平面に対して直立しないように、自動的にすることが難しいという問題があった。
【0006】
(3)「分包が処方箋通りではない」と判定された袋体については、例えば前記袋体内の各薬剤を取り出して自動的に前記薬剤の刻印を撮像してその銘柄を特定するために、前記袋体から取り出された多数の薬剤を集めた容器から、薬剤を1個ずつ個別に取り出して前記撮像手段による撮像位置に移動させる必要がある。しかし、従来は、前記袋体から取り出された多数の薬剤を集めた容器から、1個ずつ個別に且つ正確に薬剤を取り出すことが難しいという問題があった。またさらに、従来は、薬剤以外の盤状物体についても、多数の盤状物体を集めた容器から1個ずつ個別に且つ正確に薬剤を取り出すことが難しいという問題があった。
【0007】
(4)前記透明素材から成る各袋体が互いに連続的に接続された連接体を移動させながら、前記連接体を構成する各袋体内の各薬剤を撮像するなどの場合においては、前記連接体をその位置を正確に制御しながら移動させる必要がある。しかし、従来は、前記連接体が透明で且つ柔らかいものであることなどから、前記連接体の先端部を、その移動動作の最初の段階で正確に認識し位置決めすることが難しいという問題があった。
【0008】
(5)「分包が処方箋通りではない」と判定された袋体については、例えば前記袋体内の各薬剤を取り出してその各薬剤の刻印から識別される銘柄に対応する容器に収容する必要がある。しかし、従来は、そのような場合において各薬剤毎に自動的にその銘柄に対応する容器に分別収容することが難しいという問題があった。またさらに、従来は、薬剤以外の盤状物体についても、盤状物体をその表面デザイン(形状、刻印、印刷内容など)に対応する容器に自動的に分別収容することが難しいという問題があった。
【0009】
(6)前記分包された透明の各袋体が互いに連続的に接続された連接体を搬送させながら、前記撮像手段により前記連接体を構成する各袋体内の各薬剤を撮像するなどの場合においては、前記連接体の位置を正確に制御しながら搬送させる必要がある。しかし、従来は、前記連接体の搬送途中に搬送ズレが生じてしまい、撮像位置などへの正確な位置決めが難しいという問題があった。
(7)前記分包された各袋体が互いに連続的に接続された連接体を移動させながら前記各袋体毎に処方箋通りの分包かどうかを判定する場合において、従来は、前記連接体の中で「処方箋通りの分包である袋」と「処方箋通りの分包ではない袋」との区別が作業者などに分かり難いという問題があった。また、従来は、薬剤以外の盤状物体についても、同様の問題があった。
【0010】
本発明は前述のような従来の各問題点に着目してなされたものであって、(1)例えば薬剤の刻印が形成されていない面が撮像手段に対向している場合、確実に、その刻印が形成された面を撮像手段に対向させることができるようにその薬剤を裏返すなど、盤状物体を自動的に裏返すことができる装置を提供する、(2)分包された各袋体内の各薬剤を撮像する前に、確実に、前記袋体内の各薬剤が互いに重なっていないように、互いに接触していないように、又は薬剤がシート面に対して直立していないようにするなど、袋体内の盤状物体の重なり、接触、直立などを除去・解消させる装置を提供する、(3)「分包が処方箋通りではない」と判定された袋体から出された多数の薬剤を収容した容器から、各薬剤を1個ずつ確実に取り出すなど、多数の盤状物体を収容した容器内から盤状物体を1つずつ取り出すことができる装置を提供する、(4)透明で柔らかい素材から成る各袋体が連続的に接続された連接体を所定方向に移動させるとき、前記連接体の先端部を正確に認識し、前記連接体をその移動の最初の段階で正確に位置決めすることができる装置を提供する、(5)各薬剤などの盤状物体を、自動的に且つ正確に、その銘柄又は種別に対応する容器にそれぞれ分別収容することができる装置を提供する、(6)各袋体が互いに連続的に接続された連接体を所定方向に搬送させる場合において、その搬送途中で搬送ズレが生じることなく正確に搬送することができる装置を提供する、(7)各袋体が互いに連続的に接続された連接体を移動させながら前記各袋体毎に内容物の収容状態が正しいかどうかを判定する場合において、前記連接体の中で「内容物の収容状態が正しい袋」とそうでない袋との区別を作業者などが容易に認識することができる装置を提供することの少なくともいずれか1つを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書において、「盤状物体」とは、所定の厚みを有する、例えば略円盤状、略平板状、略皿状、又は略ドーナツ状などの形状を有する物体であり、例えばナットや座金などの機械部品、ビスケットやクッキーや円盤状チョコレートなどの菓子、遊戯用のおはじきなど、様々な物体が含まれる。図13(a)は、略円盤状の盤状物体の一例を示す図(図示左側から順に、斜視図、中央側断面図、中央平断面図)である。また、図13(b)は、図13(a)に示す例以外の他の盤状物体の例を示す中央側断面図である。図13(b)に示すように、盤状物体は、その中央側断面を、例えば(図示左側から)、略楕円形状、略六角形状、略四角形状、略ドーナツ形状などの様々な形状とすることができる。また、図13(c)は、図13(a)に示す例以外の他の盤状物体の例を示す中央平断面図である。図13(c)に示すように、盤状物体は、その中央平断面図を、例えば(図示左側から)、略四角形状、略六角形状、略楕円形状、略ドーナツ形状などの様々な形状とすることができる。
【0012】
以上のような各課題をそれぞれ解決するために本明細書で提案する各発明は次のようなものである。
1.盤状物体を裏返すための盤状物体裏返し装置であって、前記盤状物体を載置する上側載置板であって少なくとも1つの方向に移動可能な上側載置板と、前記上側載置板の下面側にこれと対向するように配置された下側載置板であって、その上面の少なくとも一部が所定の凹凸を有するように又は所定以上の摩擦係数を有するように形成された下側載置板と、前記盤状物体が載置される部分から離れた位置に前記上側載置板の上面と対向するように配置された押出板と、前記盤状物体が前記上側載置板の上面に載置されているとき、少なくとも前記上側載置板を前記押出板の方向に移動させ前記盤状物体が前記押出板に相対的に押されるようにし、これにより、前記盤状物体を、前記押出板に相対的に押される形で前記上側載置板の端部から前記下側載置板の「所定の凹凸を有するように又は所定以上の摩擦係数を有するように形成された部分」の上に落下させる裏返し制御手段と、を備えたことを特徴とする盤状物体裏返し装置。
なお、前記裏返し制御手段は、前記盤状物体が前記上側載置板の上面に載置されているとき、少なくとも前記上側載置板を前記押出板の方向に移動させて前記盤状物体が前記押出板に相対的に押されるようにし、これにより前記盤状物体の一方の端部を、前記上側載置板の端部から前記下側載置板の「所定の凹凸を有するように又は所定以上の摩擦係数を有するように形成された部分」の上に落下させ、その後、前記押出板を前記盤状物体方向に移動させて前記押出板が前記盤状物体を押すようにし、これにより前記盤状物体が前記落下した端部を支点として前記押出板と反対の方向に倒れるようにするものであってもよい。
【0013】
2.袋体内の各盤状物体が互いに重ならないように、互いに接触しないように、又は前記袋体のシート平面に対して直立した状態にならないようにするための重なり等除去装置であって、前記袋体の端部又はその近傍部分を保持することにより、前記袋体を支持する支持手段と、前記袋体の上面シートの略中央部分を吸着する上側吸着手段と、前記袋体の下面シートの略中央部分を吸着する下側吸着手段と、前記上側吸着手段および前記下側吸着手段の少なくとも一方を、前記吸着された各部分が互いに上下方向に所定距離だけ離れるように、移動させる移動手段と、前記吸着された各部分が互いに上下方向に所定距離だけ離れた状態において、前記上面側を吸着したまま前記下面側の吸着を解除し、その後、前記上面側の吸着を解除するように、前記各吸着手段を制御する吸着制御手段と、を備えたことを特徴とする袋体内盤状物体の重なり除去装置。
【0014】
3.多数の盤状物体を収容する容器から盤状物体を1個ずつ取り出す個別取出装置であって、前記の多数の盤状物体を収容するホッパーなどの容器と、前記容器内の複数の盤状物体から1つの盤状物体を取り出す取り出し部であって、その上端部が前記容器の底部と前記容器の上方の位置との間を上下動可能に構成されており、前記上端部には前記各盤状物体が載置可能な略皿状の供給ヘッドが備えられており、前記供給ヘッドの上面から下方には棒状部材が外部から挿通可能なスリットが形成されている取り出し部と、前記スリット内に挿通されるように移動可能に構成された棒状部材と、前記容器の上方に配置され、前記取り出し部により取り出され前記供給ヘッドから落下した盤状物体を所定の位置に向けて送る、シューターなどの盤状物体受け部と、前記盤状物体受け部より上方に位置しているときの前記供給ヘッドに盤状物体が載置されていることを検知する盤状物体検知手段と、前記盤状物体検知手段からの信号に基づいて、前記取り出し部の前記スリットに前記棒状部材を挿通させ、その状態のまま、前記取り出し部を下降させるように、前記棒状部材及び前記取り出し部を制御する個別取出制御手段と、を備えたことを特徴とする盤状物体個別取出装置。
【0015】
4.透明で柔らかい素材から成る各袋体が連続的に接続された連接体を、所定の移動方向に移動させるための連接体移動装置と、前記連接体移動装置が前記連接体を移動させる最初の段階で前記連接体を位置決めするための連接体位置決め装置とを備え、前記連接体位置決め装置は、前記連接体の前記移動方向側の端部が当接したことを検知する当接検知手段を含む当接板と、前記当接板を前記連接体の移動を阻止する第1位置と阻止しない第2位置との間で移動させる当接板移動手段と、前記当接板が前記第1位置にあるとき、前記当接検知手段からの信号に基づいて、前記当接板を前記第1位置から前記第2位置に移動させる当接板移動制御手段と、を備えたことをことを特徴とする透明素材から成る連接体位置決め装置。
【0016】
5.各盤状物体について、その各盤状物体の一方の面に形成された表面デザイン(形状、刻印、印刷内容など)の画像に基づいて前記各盤状物体の銘柄又は種別を識別又は特定し、その識別又は特定した銘柄又は種別に基づいて前記各盤状物体それぞれの銘柄又は種別に対応する容器に分別収容するための分別収容装置を備えており、前記分別収容装置は、各盤状物体を載置する盤状物体載置部であってその下面を構成する下面部材が移動可能に構成されている盤状物体載置部と、前記盤状物体載置部に載置された盤状物体の表面デザインを撮像する撮像手段と、前記撮像されたデザインの画像に基づいて前記盤状物体の銘柄又は種別を識別又は特定する銘柄等識別手段と、複数の銘柄又は種別にそれぞれ対応する複数の容器を支持し、前記盤状物体載置部の下方に前記複数の容器のいずれかを移動可能な容器支持部と、前記銘柄等識別手段からの信号に基づいて、前記識別又は特定された銘柄又は種別に対応する容器を、前記盤状物体載置部の下方に移動させる容器移動制御手段と、前記識別又は特定された銘柄又は種別に対応する容器が前記盤状物体載置部の下方に配置されたとき、前記下面部材を移動させて前記盤状物体載置部の下側を開口させる開口制御手段と、を備えたことを特徴とする盤状物体の分別収容装置。
【0017】
6.透明の各袋体が連続的に接続された連接体を、所定の移動方向に間欠的に移動させるための連接体移動装置であって、前記連接体の端部を把持する把持手段と、前記把持手段を、前記各袋体間の前記移動方向の長さ(又は前記各袋体の前記移動方向の長さ)と同じ距離毎に間欠的に、前記移動方向に移動させる間欠移動手段と、を備えたことを特徴とする連接体移動装置。
【0018】
7.各袋体内の各盤状物体の画像を撮像手段により取得し、その取得した画像に基づいて、その各袋体毎の盤状物体の収容状態が正しいか否かを判定する判定装置からの信号に基づいて、正しくないと判定された袋体の表面に、前記判定を示す所定のマーク、文字、又は画像を印刷等の方法で付着させるためのマーク等付着手段、を備えたことを特徴とする袋体検査装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明においては、盤状物体の表面デザイン(形状、刻印、印刷内容など)が撮像手段と対向していないために前記表面デザインの画像を取得できないなどの場合において、前記盤状物体を載置している前記上側載置板を移動させる等の簡単な動作だけで前記盤状物体を確実に裏返すことができる。よって、本発明によれば、例えば、前記盤状物体の表面デザインの画像を確実に取得して前記盤状物体の銘柄又は種別を確実に識別又は特定することができるようになる。
【0020】
本発明においては、前記各袋体の上面シート及び下面シートの各略中央部分を互いに吸着して前記各中央部分の間を上下方向に所定距離だけ離すようにし(このとき、前記下面シートが変形してその略中央部分に複数の盤状物体が集まる)、その後、前記下面シートの吸着を解除して前記下面シートをその弾性力によりその略中央部分を中心に上昇させるようにし、その下面シートが上昇するときの力と振動などにより前記複数の盤状物体が前記下面シート上で互いに分散するようにしたので、前記袋体内の各盤状物体が互いに重なったり接触したり又は平面シートに対して直立したりしている状態を確実に解消できるようになる。よって、例えば、前記袋体内の各盤状物体の正確な画像を取得して、前記袋体内の盤状物体の収容状態が正しいものか否かを正確に検査できるようになる。
【0021】
また、本発明においては、前記ホッパーなどの容器に収容された多数の盤状物体から1個ずつ供給ヘッドで取り出して、それを載置したままシューターなどの盤状物体受け部の上方に移動させ、その後、前記供給ヘッド上の盤状物体の存在の検知に基づいて、前記棒状部材を前記供給ヘッドのスリットに挿通させると共に前記供給ヘッドを下降させることにより、前記供給ヘッド上の棒状部材が前記棒状部材の上でバランスを失って前記棒状部材受け部上に落下するようにしたので、極めて簡単な構成により、前記容器内の棒状部材を、1個ずつ、前記棒状部材受け部に移動させ更に棒状部材の刻印を撮像する位置まで送ることが、確実にできるようになる。
【0022】
また、本発明においては、前記連接体の先端部が前記連接体の搬送を阻止する第1位置にある当接板に当接したことを前記当接検知手段により検出し、この検出に基づいて前記当接板を前記搬送を阻止しない第2位置に移動させるようにしたので、透明で柔らかい素材から成る連接体の先端部を正確に認識し、前記連接体の搬送時の最初の位置決めを正確に且つ容易に行なえるようになる。
【0023】
また、本発明においては、ホッパーなどの容器に収容した多数の棒状部材の中から1個の棒状部材を取り出し、この取り出した棒状部材を前記棒状部材載置部上に載置し、その載置した棒状部材の表面デザインを画像認識して銘柄又は種別を識別又は特定し、その識別又は特定した銘柄又は種別に対応する容器を前記容器支持部により前記棒状部材載置部の下方に配置させ、その後に前記棒状部材載置部の下面部材を移動させて開口を形成することにより前記棒状部材を前記対応する銘柄又は種別の容器内に落下させるようにしている。よって、本発明によれば、容器内に集めた多数の棒状部材を、1個ずつ、人手によることなく自動的に、各棒状部材毎にその表面デザインに対応する容器に分別収容できるようになる。
【0024】
また、本発明においては、前記把持手段により前記連接体の一部を把持しつつ前記間欠移動手段により前記連接体を前記各袋体間の移動方向の長さ(又は前記各袋体の移動方向の長さ)と同じ距離だけ間欠的に移動させることにより搬送ズレが極力生じないようにした。よって、従来のように前記連接体の搬送の過程で搬送ズレが生じて前記袋体内の棒状部材の撮像などが正確にできなくなるなどの不都合を有効に防ぐことができる。
【0025】
さらに、本発明においては、「収容状態が正しくない」と判定された袋体について、その袋体の表面にそのことを示す所定のマークなどを付着(押印、印刷を含む)するようにしたので、作業者が前記連接体中の正しい袋体と分包ミスのある袋体とを正確に且つ容易に見分けられるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を適用した実施例1による分包薬剤検査システムの全体を示す平面図である。
【図2】本実施例1の全体を連接体の搬送用の支持板側から見た側面図である。
【図3】本実施例1の全体をカメラの旋回機構側から見た側面図である。
【図4】本実施例1における袋体内の薬剤を正確に撮像するための薬剤の重なり等除去装置を説明するための図である。
【図5】本実施例1における前記薬剤の重なり等除去装置の動作を説明するための図である。
【図6】本実施例1における薬剤の刻印を正確に撮像するための薬剤の裏返し装置を説明するための図である。
【図7】本実施例1における前記薬剤の裏返し装置の動作を説明するための図である。
【図8】本実施例1におけるホッパー中の多数の薬剤から1個の薬剤を個別に取り出すための薬剤の個別取出装置を説明するための図である。
【図9】本実施例1における前記薬剤の個別取出装置を説明するための図である。
【図10】本実施例1における前記薬剤の個別取出装置の動作を説明するための図である。
【図11】本実施例1における透明な素材から成る連接体の先端部を認識し位置決めするための装置を説明するための図である。
【図12】本実施例1におけるホッパー中の多数の薬剤から1個の薬剤を個別に取り出し、それをその銘柄に対応する容器内に自動的に分別収容するための薬剤の分別収容装置を説明するための図である。
【図13】本発明における「盤状物体」の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例1について述べるような形態である。
【実施例1】
【0028】
本実施例1は、「患者の一回服用分の複数の薬剤がそれぞれ分包された各袋体」を互いに連続的に接続して成る連接体を搬送しながら、前記連接体を構成する各袋体内の各薬剤がそれぞれ処方箋通りのものかどうかを判定するための判定装置と、前記判定装置により「処方箋通りの分包ではない」と判定された袋体内の各薬剤を袋体から出していったん集めた容器(ホッパーなど)から薬剤を1個ずつ取り出して各薬剤の銘柄を特定し対応する銘柄の容器にそれぞれ分別収容するための装置との2つの装置を備えた、分包薬剤検査システムである。そして、本実施例1では、1つのカメラを、互いに異なる位置に旋回可能に構成することにより前記2つの装置のために兼用できるようにしている。図1は本発明を適用した実施例1による分包薬剤検査システムの全体を示平面図、図2は本実施例1の全体を前記連接体の搬送用支持板の側から見た側面図、図3は本実施例1の全体を前記カメラの旋回機構側から見た側面図である。以下では、これらの2つの装置について図1〜3を参照しながら概略的に説明し、その後、本実施例1の中で本発明者が特に工夫したポイントを個別に説明する。
【0029】
まず、本実施例1における「患者の一回服用分の複数の薬剤がそれぞれ分包された各袋体」を互いに連続的に接続して成る連接体を支持板30上で搬送しながら、前記連接体を構成する各袋体内の各薬剤がそれぞれ処方箋通りのものかどうかを判定するための装置について、図1〜3を参照して説明する。図1〜3において、1は前記分包された各袋体であって透明(半透明を含む)の紙製又は樹脂製シートにより形成された各袋体を連続的に接続して成る連接体である。この連接体1は、例えばシリンダにより所定距離だけ離れた2点間を往復移動するように構成された送りチャック2(図2,3参照)により、例えばその両側部(前記連接体1の長手方向と平行に延びる端部)が把持された状態で、所定距離毎に(例えば各袋体の搬送方向の長さである75mm毎に)間欠的に、支持板30(図2参照)上を一定方向に搬送される。そして前記連接体1が前記距離だけ間欠的に搬送されたときは、後述の袋体内の複数の薬剤の重なり等除去作業などのため、例えば各袋体同士の境界部分(接続部分)がクランプユニット3(図2,3参照)によりクランプされる。
【0030】
また、前記連接体1の搬送途中の位置には、袋体吸着ユニット4が配置されている(図2など参照)。この袋体吸着ユニット4は、前記連接体1の各袋体内の複数の薬剤が互いに重なるか接触する状態になっていたり直立した状態になっていると薬剤の正確な画像を取得できないため、前記各袋体内の薬剤の重なり、接触、直立の状態を解消させるためのものである。前記袋体吸着ユニット4は、前記カメラ5により撮像される撮像位置に搬送される直前の袋体について、その袋体の上面シート及び下面シートをそれぞれ(真空ポンプなどにより)各吸着パッド4a,4b(図3参照)で吸着し、吸着した上面シートと下面シートをそれぞれ上方及び下方に移動させて上面シート及び下面シートの間を上下方向に所定距離だけ離れさせて、その後下面シートの吸着を解除し、その後、上面シートの吸着を解除するという動作を行なうものであるが、その詳細は後述する。
【0031】
また、前記搬送途中の連接体1の上方には、カメラ5が配置されている(図1,2など参照)。このカメラ5は、カメラ旋回部6により、前記連接体1の各「袋内の薬剤」を撮像する位置と後述の「分包ミスのあった袋体から出された個々の薬剤」の刻印を撮像する位置(図1の5’参照)との間を旋回移動可能とされている。なお、本実施例1では、前記カメラ5により取得された各袋体内の薬剤の画像は、直ちに制御装置に送信され、制御装置側において、前記画像から得られる各薬剤の形状、色、サイズなどの特徴点と予め記録された処方箋通りの分包薬剤の基準データ(特徴点)とが比較照合され、前記各袋体についてその分包内容が処方箋通りのものかどうかの判定結果が直ちに出力される。なお前記の判定動作に関しては、従来より様々な手法が提案されている(例えば特許第3779773号公報参照)ので、詳細な説明は省略する。
【0032】
また、前記連接体1の搬送途中の位置であって前記カメラ5による撮像位置に進む直前の位置には、位置決め部7が配置されている(図2など参照)。前記位置決め部7は、検査対象となる連接体1を前記搬送用の支持板30にセットするとき、前記連接体1の各袋体が正確に前記撮像位置に止められるように、搬送開始時における前記連接体1の先端部の認識と位置決めを行なうためのものである。前記位置決め部7は、前記連接体1が搬送されるのを阻止するように前記連接体1の先端部の搬送方向に配置された当接板(板状のストッパ)を備えている。この当接板には例えば圧電素子などの圧力センサが備えられている。前記連接体1の先端部が前記当接板に当接すると、そのことにより前記連接体1の先端部の位置決めが行なわれる。そして、このとき、前記圧力センサから前記連接体1の先端部が前記当接板に接触したことを示す信号が出力される。この信号に基づいて、前記当接板がシリンダーなどにより下降又は上昇されて前記連接体1の搬送が可能とされる。このように、前記位置決め部7により前記連接体1の先端部の正確な認識と位置決めが可能となり、同時に前記連接体1の搬送開始が可能になるが、その構成などの詳細は後述する。
【0033】
また、前記連接体1の搬送途中の位置には、NG印刷部8が配置されている。このNG印刷部8は、所定のNGマーク(文字などでもよい)を前記各袋体の表面に押印するものである。すなわち、前記NG印刷部8は、図示していない駆動装置により、前記各袋体に対して近接離反するように移動可能に構成されている。制御装置(図1〜3では図示せず)が、前記カメラ5による画像に基づいて或る袋体の分包が処方箋通りではないと判定した場合、前記制御装置は、前記駆動装置を制御して前記NG印刷部を前記袋体の外面に近接させ押印又は印刷させる。これにより、NGであることを示す所定のマークが前記袋体の表面に押印又は印刷される。これにより、分包不良の袋体を前記連接体1から確実に除去することなどが可能になる。
【0034】
次に、本実施例1における、前記判定装置により「処方箋通りの分包ではない」と判定された袋体から出された多数の薬剤を収容した容器(ホッパーなど)から薬剤を1個ずつ取り出して各薬剤の銘柄を特定し対応する銘柄の容器にそれぞれ収容するための装置について、図1〜3を参照して説明する。図1〜3において、11は前記分包内容がNGとされた袋から出された多数の薬剤が収容されたホッパー、12は前記ホッパー11の底部とその上方との間で上下動可能に配置された供給ヘッド(図2参照。なお図2,3において、12’は前記ホッパー11の上方に移動したときの供給ヘッドを示す)、13は前記供給ヘッド12を上下動させるためのヘッド昇降ユニット(図3に示すヘッド昇降用タイミングプーリ&ベルト13a、ヘッド昇降用LMガイド13b、ヘッド昇降制御センサー13c、図2に示す錠剤取り出し駆動リバーシブルモータなどを含む)である。
【0035】
また、14は前記ホッパー11の上に配置されたシューターであって前記供給ヘッド12から落下した薬剤を斜め下の「刻印撮像用のカメラによる撮像位置」である薬剤載置部17(図2参照)上に移動させるシューター、15は前記シューター14の上方に位置する供給ヘッド12の上に薬剤が載置されているかどうかを検出するためのレーザーセンサなどで構成される薬剤センサ、16は前記薬剤センサ15からの信号に基づいて棒状部材31を前記供給ヘッド12の上面から下方に形成されたスリット(後述)に挿入するための薬剤送り用ソレノイドである。本実施例1では、前記棒状部材31が前記スリットに挿入され、その後に前記供給ヘッド12が下降されることにより、前記薬剤が前記供給ヘッド12から前記シューター14上に落下する。
【0036】
また、本実施例1では、前記判定装置により「処方箋通りの分包ではない」と判定された袋体から出された多数の薬剤を集めた容器から薬剤を1個ずつ取り出して各薬剤の銘柄を特定し対応する銘柄の容器にそれぞれ分別収容するための動作を行なうときは、前記カメラ旋回部6が、前記カメラ5を、前記シューター14からの薬剤が載置される薬剤載置部17(図2参照)の上方の位置(図1の符号5’参照)に移動させる。前記薬剤載置部17の下方には、各薬剤の銘柄(ここでは例えば6種類の銘柄)にそれぞれ対応する6個の容器18を円周状に配置した回転テーブル19が備えられている(図1参照)。前記回転テーブル19は、制御装置(図1〜3では図示せず)からの制御により、前記薬剤載置部17上の薬剤の銘柄に対応する容器18が前記薬剤載置部17の下方に位置するように、回動する。
【0037】
前記カメラ5は、前記薬剤載置部17に載置された薬剤の表面の刻印の画像を取得し、それを前記制御装置に送信する。前記制御装置では、前記取得された刻印画像の特徴点と予めデータベースに記憶されている複数の薬剤の刻印画像の特徴点とを比較照合し、前記薬剤載置部17上の薬剤の銘柄を特定する(このような画像認識とデータベース内の基準データとに基づいて薬剤の銘柄を特定する手法そのものは既に公知である)。前記制御装置は、前記特定した銘柄の情報に基づいて、前記回転テーブル19を回動させて、その銘柄に対応する容器18を前記薬剤載置部17の下方に配置させる。
【0038】
他方、前記取得された画像に刻印が含まれていなかったとき、すなわち、前記薬剤載置部17上の薬剤のカメラ5に対向する面が刻印が形成されていない面であったときは、前記薬剤の刻印が形成されている面をカメラ5に対向させるように前記薬剤を裏返す必要がある。本実施例1では、そのために、薬剤裏返し装置(薬剤反転ユニット)を前記薬剤載置部17に備えるようにしている(後述)。
【0039】
以上は図1〜3を参照しての本実施例1の全体構成の説明であるが、以下に、本実施例1が含む主要な工夫のポイントを複数、個別に説明する。
<分包袋体内の薬剤の重なり等除去装置>
本実施例1では、各袋体の分包が処方箋通りの分包であるか否かの判定を、前記各袋体内の各薬剤の画像に基づいて行なうようにしているが、前記各袋体内の複数の薬剤が互いに重なっていたり互いに接触していたり袋体の平面シートに対して直立していたりすると、前記各薬剤の正確な画像を得ることができない。そこで、本実施例1では、前記袋体内の各薬剤を前記カメラ5で撮像する前に、前記各袋体内の各薬剤が互いに重なっていたり互いに接触していたり袋体の平面シートに対して直立していたりすることがないようにするための重なり等除去装置を備えるようにした。
【0040】
図4はこのような重なり等除去装置の構成及び動作を説明するための図である。図4において、10は前記連接体1を構成する各袋体(それぞれ1回服用分の複数の薬剤が封入されている)、10aは前記各袋体10同士の境界部分(接続部分)、30は前記連接体1が送りチャック2(図2、図3参照)などにより間欠的に搬送されるときの前記連接体1を下方から支持する支持板である。前記連接体1がその上で搬送される前記支持板30の途中部分には、前記袋体吸着ユニット4(図2,3参照)が配置されている。前記支持板30の前記袋体吸着ユニット4が配置された位置には、前記袋体10の平面(上面と下面)を構成するシートより少しだけ小さいサイズの略四角形状の穴(図5の符号30a参照)が形成されている。前記袋体吸着ユニット4が配置された位置まで搬送された袋体10は、その図示左右の各境界部分10aがクランプユニット3(図2参照。図4では図示省略)により前記支持板30に固定される。前記袋体吸着ユニット4が配置された位置の図示右側(前記連接体1の搬送方向の下流側)には、その上方に袋体10内の各薬剤を撮像するためのカメラ5(図4では図示省略)が配置されている。
【0041】
なお、図4において、4a,4bは前記袋体10の上面シートと下面シートとをそれぞれ吸着する吸着パッド、4c,4dは前記各吸着パッド4a,4bをそれぞれ昇降させる吸着シリンダである。前記吸着パッド4a,4b、及び前記吸着シリンダ4c,4dは前記袋体吸着ユニット4(図2参照)を構成するものである。
【0042】
次に、図4及び図5を参照して本実施例1における重なり等除去装置の動作を説明する。まず、前記連接体1が支持板30に支持されながら順次間欠的に搬送される過程で、或る袋体10が、前記支持板30の前記袋体吸着ユニット4が配置された位置(前記支持板30の前記袋体吸着ユニット4が配置された位置に対応する部分には前記袋体10の平面より少し小さい四角形状の穴30aが形成されている)まで移動して、その位置で前記袋体10の図示左右両側の境界部分10aが前記クランプユニット3で固定された場合(図4(a),図5(a)に示す場合)を想定して説明する(なお、図5(a)において、符号20’は袋体10内で下面シート10cに対して直立した状態にある薬剤を示す)。この場合、まず、前記各吸着シリンダ4c,4dにより前記各吸着パッド4a,4bをそれぞれ下降及び上昇させ、前記袋体10の上面シート10b及び下面シート10cの各略中央部分にそれぞれ接触させた後、吸着させる(図4(b)参照。なお、この場合、前記下側の吸着パッド4bは、前記四角形状の穴30aを介して前記下面シート10cに接触する)。その後、前記上面シート10b及び下面シート10cの吸着を維持したまま、前記各吸着シリンダ4c,4dにより、前記上面シート10bを吸着している吸着パッド4aを上昇させると共に前記下面シート10cを吸着している吸着パッド4bを下降させることにより、前記上面シート10b及び下面シート10cの各略中央部分が互いに図示上下方向に所定距離だけ離れるようにする(図4(c),図5(b)参照)。このとき、前記袋体10の下面シート10cは前記吸着により略中央部分が最も低い略擂り鉢状に変形されるので、前記袋体10内の複数の薬剤20は、前記略擂り鉢状の下面シート10cの略中央部分に集まった状態になる(図5(b)参照)。
【0043】
その後、前記袋体10の下面シート10c側の吸着パッド4bによる吸着を解除する(図4(d)参照)。すると、前記下面シート10cはその弾性力(図5(c)及び図5(d)の矢印α参照)により元の平面の状態に戻ろうとしてその略中央部分を中心に上昇する。その結果、前記の「図4(c)及び図5(b)の段階では略擂り鉢状になっていた前記下面シート10c」の略中央部分に集まっていた複数の薬剤20(図5(b)参照)は、前記下面シート10c(略擂り鉢状)の略中央部分が上昇して平面の状態に戻る過程(この過程では前記下面シート10cは小刻みに振動する)で、前記下面シート10cの上で略中央部分から周辺に押しやられて互いに分散(離散)する。これにより、前記袋体10内で各薬剤20が互いに重なったり接触したりする状態が解消される。図5(d)参照。また、前記過程での前記下面シートの振動などにより、前記袋体10内で薬剤が下面シート10cに対して直立する状態(図5(a)の符号20’参照)も解消される。
【0044】
その後、前記袋体10の上面シート10b側の吸着パッド4aを前記吸着シリンダ4cにより下降させ、吸着パッド4aの吸着を解除する(図4(e)参照)。その後、前記袋体10の上面シート10b側の吸着パッド4aを前記吸着シリンダ4cにより上昇させる(図4(f),図5(e)参照)。以上により、前記分包された袋体10内の薬剤の重なり等除去の動作が終了する。
【0045】
以上のように、本実施例1では、前記各袋体10内の各薬剤20が前記カメラ5により撮像される前に、前記各袋体10の上面シート10b及び下面シート10cの各略中央部分を互いに吸着して前記各略中央部分が上下方向に所定距離だけ離れるように移動させ、前記下面シート10cを略擂り鉢状に変形させてその最も低い略中央部分に複数の薬剤20を集めておき、その後、前記下面シート10cの吸着を解除して前記下面シート10cをその弾性力によりその略中央部分を中心に上昇させるようにし、その下面シート10cが上昇するときの力と振動により前記複数の薬剤20が前記下面シート10c上で互いに分散・離散したり直立状態が解消するようにしている。よって、本実施例1においては、前記袋体吸着ユニット4を備えることにより、前記袋体10内の各薬剤20が互いに重なったり接触したり又は前記各シート10b,10cに対して直立したりしている状態を確実に解消できるようになったので、前記カメラ5により前記袋体10内の各薬剤20の正確な画像を取得して、前記袋体10内の各薬剤20が処方箋通りものか否かを正確に検査できるようになった。
【0046】
<分包誤りのあった袋体から出された各薬剤を裏返す薬剤裏返し装置>
本実施例1では、「処方箋通りの分包ではない」と判定された袋体から出された多数の薬剤をいったん容器に集めた後、容器から1個ずつ取り出して、その各薬剤の銘柄を、各薬剤の表面に形成された刻印の画像に基づいて特定するようにしているが、そのためには、各薬剤毎にその表面の刻印の画像が有効に取得される必要がある。しかしながら、或る薬剤について、その刻印が形成されていない面が前記カメラ5に対向しているときは、前記薬剤の刻印の画像を取得することができない。そこで、本実施例1では、そのような場合には、その薬剤を確実に裏返して、その刻印が形成された面が前記カメラ5に対向するようにするための薬剤裏返し装置を備えるようにした。
【0047】
ところで、本実施例1においては、前記薬剤裏返し装置は、前記ホッパー11から1個ずつ取り出されてシューター14を滑り降りてきた薬剤を載置する薬剤載置部17(図2参照。カメラ5の下方に配置)の一部として備えるようにした。そこで、ここでは、まず、前提として、本実施例1における前記薬剤載置部17の全体の構成及び動作を図6に基づいて説明する。図6(a)において、20は前記ホッパー11から1個ずつ取り出されシューター14を滑り降りてきた薬剤、21は前記シューター14からの薬剤20が載置される上側載置板、22は前記上側載置板21の下方にこれと対向するように配置された下側載置板、23は前記上側載置板21の上方にこれと対向するように配置された押出板である。本実施例1では、前記上側載置板21、前記下側載置板22、及び押出板23により前記薬剤載置部17(図2参照)が構成されている。なお、前記押出板23は、薬剤20と当接する図示右側端部が薬剤20と当接しやすいように斜面状に形成されている。
【0048】
また、図6(a)に示すように、前記上側載置板21、前記下側載置板22、及び押出板23には、それぞれソレノイドなどで構成される駆動装置21a,22a,23aが備えられている。前記各駆動装置21a,22a,23aは、それぞれ制御装置24からの信号に基づいて、前記上側載置板21、前記下側載置板22、及び押出板23を互いに独立に略水平方向に移動させる。また、前記制御装置24は、前記上側載置板21に載置された薬剤20を撮像するカメラ5からの画像を認識処理することにより前記薬剤20の刻印情報を取得し、この所得した刻印情報に基づいて、多数の刻印と銘柄との関係を記録した刻印銘柄データベース25を参照して前記薬剤20の銘柄を特定する。その後、前記制御装置24は、前記回転テーブル19(図1参照)の駆動装置26を制御して、前記の特定した前記薬剤20の銘柄に対応する容器18を、前記薬剤載置部17の下方に配置させる。
【0049】
また本実施例1では、前記下側載置板22の上面の前記薬剤20と対向する領域(より正確には、前記薬剤20と対向する部分よりも少しだけ前記上側載置板21の移動方向である図示左方向にずれた領域)には、断面が凹凸状に形成された凹凸形成部22bが形成されている(なお、前記領域には、前記凹凸形成部22bに代えて、摩擦係数を所定以上に大きくする加工を施すようにしてもよい)。この凹凸形成部22bは、前記上側載置板21から薬剤20が前記下側載置板22の上に落下してきたとき、その薬剤20の落下方向の先端部が滑らないようにする(前記落下してきた薬剤20が確実に裏返るようにする)ためのものであるが、詳しくは後述する。なお、図6(a)において、27は前記薬剤載置部17上に載置された薬剤20が前記薬剤載置部17から周辺に脱落しないようにするための囲いである。
【0050】
次に、図6(a)に示す薬剤載置部17に載置された薬剤20の刻印の画像が有効に取得され、前記薬剤20の銘柄が特定された場合における前記薬剤載置部17の動作を、図6(b)及び(c)に基づいて説明する。なお、図6(b)及び(c)では、図6(a)のカメラ5、シューター14,制御装置24、駆動装置21a,22a,23a,26などの図示を省略している。図6(a)に示す薬剤載置部17に載置された薬剤20の刻印の画像が有効に取得され、前記薬剤20の銘柄が特定された場合は、まず、図6(a)に示すように、前記制御装置24からの制御信号により、前記駆動装置26が、前記回転テーブル19を回動させて、前記特定された銘柄に対応する容器18を前記薬剤載置部17(前記薬剤20が載置された場所)の下方に配置する。次に、図6(b)に示すように、前記制御装置24からの制御信号により、前記駆動装置21a,22aが、前記上側載置板21と下側載置板22を図示左方向に所定距離だけ移動させる(矢印A,B参照)。次に、図6(c)に示すように、前記制御装置24からの制御信号により、前記駆動装置23aが、前記押出板23を図示右方向に所定距離だけ移動させる(矢印C参照)。これにより、前記薬剤20は前記押出板23に押される形で自らの銘柄に対応する容器18の中に落下する(図6(c)参照)。なお、以上の説明では、図6(b)に示すように前記上側載置板21と下側載置板22を図示左方向に移動させ、その後、図6(c)に示すように前記押出板23を図示右方向に移動させるようにしたが、本実施例1ではこれに限られることなく、例えば、予め前記押出板23を図6(c)で示す位置に配置しておき、前記上側載置板21と下側載置板22を図示左方向に移動させるようにしてもよい(そのようにしたときは、図6(c)の矢印Cで示すような前記押出板23の図示右方向への移動は不要となる)。
【0051】
次に、図6(a)に示す薬剤載置部17に載置された薬剤20を撮像したカメラ5からの画像の中に刻印の画像が含まれていないと前記制御装置24が認識した場合の動作を図7に基づいて説明する。なお、図7においても、図6(a)で図示したカメラ5、シューター14,制御装置24、駆動装置21a,22a,23a,26などは図示を省略している。図7(a)は前記薬剤載置部17上の薬剤20を前記カメラ5により撮像するときの状態を示すもの(図6(a)に対応するもの)である。この図7(a)の状態において撮像した薬剤20の表面に刻印が形成されていない場合は、前記カメラ5が前記薬剤20の刻印を撮像できるように、前記薬剤20を裏返して、前記薬剤20の刻印が形成された面を上側(前記カメラ5に対向する側)にする必要がある。
【0052】
そこで、本実施例1では、次のような動作を行なって、前記薬剤20を裏返すようにしている。すなわち、まず図7(b)に示すように、前記カメラ5からの薬剤画像中に刻印が含まれていないと判断した前記制御装置24からの制御信号により、前記駆動装置21a(図6(a)参照)が、(前記下側載置板22は静止させたまま)前記上側載置板21だけを図示左方向に所定距離だけ移動させる(図7(b)の矢印A参照)。その後、図7(c)及び(d)に示すように、前記制御装置24からの制御信号により、前記駆動装置23aが、前記押出板23を図示右方向に所定距離だけ徐々に移動させる(図7(c)及び(d)の矢印B参照)。この過程で、前記薬剤20の図示下端部が、前記上側載置板21上から下側載置板22の前記凹凸形成部22b上に落下して、図7(d)に示すような状態となる。
【0053】
この図7(d)に示す場合は、前記薬剤20の図示下端部(落下する先端部)は前記下側載置板22の前記凹凸形成部22bの上に落下するので、前記薬剤20の図示下端部が前記下側載置板22の上を図示右方向に滑ってしまうこと(後述)が防止される。その後、前記の図7(d)に示す状態の前記薬剤20は、図7(e)に示すように、さらに所定距離だけ矢印B方向に徐々に移動する前記押出板23に押されて、前記下側載置板22上に倒され(図7(e)の矢印参照)、図7(a)の状態に対して裏返しの状態で前記下側載置板22上に載置される(図7(f)参照)。
なお、以上の動作に対して、もし前記下側載置板22に前記凹凸形成部22bが形成されていない場合は、図7(d)に示す場合、すなわち前記薬剤20の図示下端部が前記上側載置板21から前記下側載置板22上に落下した場合に、前記薬剤20の図示下端部が前記下側載置板22上を図示右方向に滑ってしまい、図7(a)の状態に対して裏返しにならない状態のまま前記下側載置板22上に載置されてしまう場合もあり得る。
また、以上においては、図7(d)の段階では、前記薬剤20の図示下端部が前記下側載置板22の前記凹凸形成部22bの上に落下すると共に前記薬剤20の図示左側の面が前記上側載置板21又は前記押出板23の端部に当接する状態となる(その後、前記薬剤20は、図7(e)に示すように前記押出板23に押されて前記下側載置板22上に倒される)と説明したが、前記薬剤20の落下状況によっては、図7(d)の段階で前記薬剤20の図示下端部が前記下側載置板22の前記凹凸形成部22bの上に落下しさらにその落下の勢いなどから自動的に(図7(e)に示すように前記押出板23に押されるまでも無く)前記薬剤20が前記下側載置板22上に倒れて図7(a)とは裏返しの状態で載置される場合もあり得る。
【0054】
このようにして前記薬剤20を裏返した後の動作は、前記図6に関して説明した動作と基本的に同様である。すなわち、前記下側載置板22上で裏返された薬剤20の画像が前記カメラ5から前記制御装置24に送信されると、前記制御装置24は前記薬剤20の刻印画像からその銘柄を特定し、その銘柄に対応する容器18が前記薬剤載置部17の下方に来るように、前記駆動装置26を制御して前記回転テーブル19を回動させる。その後、前記制御装置24からの制御信号により、前記駆動装置22aが前記下側載置板22を所定距離だけ図示左方向に移動させる(図7(g)の矢印C参照)。これにより、前記薬剤20は前記上側載置板21の端部に押される形で前記容器18内に落下する(図7(g)参照)。なお、以上の説明では、まず図7(b)に示すように前記上側載置板21を図示左方向に移動させ、その後、図7(c)及び(d)に示すように前記押出板23を図示右方向に移動させるようにしたが、本実施例1ではこれに限られることなく、例えば、予め前記押出板23を図7(d)に示す位置に配置しておき、前記上側載置板21を図示左方向に徐々に移動させるようにしてもよい(そのようにしたときは、図7(c)、(d)及び(e)の矢印Bで示すような前記押出板23の図示右方向への移動は不要となる)。
【0055】
以上のように、本実施例1においては、「処方箋通りではない分包」とされた袋体内から出された各薬剤の刻印を撮像するために前記薬剤載置部17上に配置された薬剤について、刻印が形成された面が上面(カメラで撮像される面)になっていないとき、前記簡単な動作だけで前記薬剤を確実に裏返すようにしたので、前記薬剤の刻印を確実にカメラで撮像してその銘柄を確実に特定できるようになった。
【0056】
<分包誤りのあった袋体から出された薬剤のホッパー個別取出装置>
本実施例1では、前記「処方箋通りの分包ではない」と判定された袋体から出された各薬剤について、その刻印を撮像し、その刻印の銘柄に対応する容器に分別するようにしているが、そのためには、まず前記「処方箋通りの分包ではない」と判定された袋体から出された多数の薬剤を集めた容器(ホッパーなど)から薬剤を1個ずつ個別に取り出して、その刻印を撮像するカメラの位置まで移動させる必要がある。そこで、本実施例1では、前記「処方箋通りの分包ではない」と判定された袋体から出された各薬剤を蓄積した容器から薬剤を1個ずつ個別に取り出すための個別取出装置を備えるようにした。以下、このような薬剤の個別取出装置の構成を図8及び図9を参照して説明する。
【0057】
図8において、11は前記「処方箋通りの分包ではない」と判定された袋体から出された多数の薬剤をいったん集めて収容しておくホッパー(図1〜3参照)、12は前記ホッパー11内の各薬剤を一個ずつ載置するための上端部が略皿状に形成された供給ヘッド、12aは前記供給ヘッド12の上端面から図示下方に向けて形成されたスリット(溝)、12bは前記供給ヘッド12を支持する略棒状のヘッド支持部、12cは前記ヘッド支持部12bを昇降または下降させるためのモーターなどで構成される駆動装置である。
【0058】
また、図9において、14は前記供給ヘッド12から落下した薬剤を、刻印を撮像するカメラの撮像位置(前記薬剤載置部17。図2参照)に移動させるためのシューター(図1〜3参照)、14aは前記シューター14の上端近傍に形成され前記供給ヘッド12及びヘッド支持部12bが下方から挿通可能な穴、31は前記供給ヘッド12のスリット12aに例えば図示左方向から挿通される棒状部材(符号31’は棒状部材31がスリット12aに挿通された状態を示す)、31aは前記棒状部材31を前記スリット12a方向(矢印B参照)又はその逆方向に移動させるためのシリンダーなどから構成される駆動装置、32は前記供給ヘッド12上に薬剤が存在するかどうかを検出するための例えばファイバーセンサーやレーザーセンサなどで構成される薬剤センサ、33は前記薬剤センサ32からの信号に基づいて前記駆動装置12c,31aなどを制御する制御装置である。なお、図9において、20aは前記薬剤20の少なくとも一方の表面に形成された、薬剤の銘柄などを示す刻印である。
【0059】
次に、このような薬剤の個別取出装置の動作を図8〜10を参照して説明する。本実施例1では、前記「処方箋通りの分包ではない」と判定された袋体から出された多数の薬剤は、いったん前記ホッパー11内に集められて収容されている。そこで、前記制御装置33は、前記駆動装置12cを制御して、前記ヘッド支持部12bを、図8(a)に示す状態すなわち前記供給ヘッド12が前記ホッパー11内の底部の下方に位置する状態から、ゆっくり上昇させる。すると、この上昇の過程で、1つの薬剤が、前記供給ヘッド12(上面が略皿状)に掬い取られ、その上に載置される。そして、この前記供給ヘッド12に1個の薬剤が載置された後も、そのまま、前記ヘッド支持部12bはさらに上昇し(図9の矢印A参照)、前記供給ヘッド12が前記シューター14の穴14aを介して前記シューター14の上方に移動する状態となるまで、上昇を続ける(図8(b)及び図9参照)。
【0060】
図10の(a1)及び(a2)は、この前記供給ヘッド12が前記シューター14の穴14aを介して前記シューター14の上方まで移動したときの、供給ヘッド12、スリット12a、棒状部材31、及び薬剤20の各状態及び互いの関係を示す図(前記供給ヘッド12及びヘッド支持部12bについては中央断面図)である。なお、図10(a1)は前記供給ヘッド12を前記スリット12aが露出している側面の側から見た図、図10(a2)は前記供給ヘッド12を前記スリット12aと平行な側面の側から見た図である(図10の他の図面も同様である。)。
【0061】
この図10(a1)及び(a2)の状態のときは、前記薬剤センサ32(図9参照)が前記供給ヘッド12上に薬剤が存在していることを検出し、その検出信号を前記制御装置33に出力する。すると、前記制御装置33は、前記駆動装置31aを制御して、前記棒状部材31を前記スリット12a方向(図9及び図10(a1)の矢印B参照)に移動させる。図10(b1)及び(b2)は、このようにして、前記棒状部材31が前記スリット12a内に挿通されたときの状態を示している。次に、前記制御装置33は、前記駆動装置12c(図9参照)を制御して、前記ヘッド支持部12bを、図8(a)の状態になるまでゆっくり下降させる。この下降の最初の段階において、図10(b1)及び(b2)の段階では前記供給ヘッド12上に載置されていた薬剤20は、図10(c1)及び(c2)に示すように、前記棒状部材31により前記供給ヘッド12より上方に相対的に移動することになり、その結果、図10(d1)及び(d2)に示すように、前記薬剤20は、前記棒状部材31の上でバランスを失って転がるような形になって、前記シューター14(図9参照)上に落下する。前記シューター14に落下した薬剤20は、前記シューター14上を滑り降りて、前記薬剤載置部17(図2参照。カメラ5により薬剤の刻印が撮像される位置)上に移動する。
【0062】
以上のように、本実施例1では、前記ホッパー11に集められ収容された多数の薬剤の中から、1個ずつ薬剤を供給ヘッド12により掬い取って、それを載置したままシューター14の上方に持って行き、そこで前記棒状部材31を前記供給ヘッド12のスリット12aに挿通させ、その後、前記供給ヘッド12を下降させることにより、前記供給ヘッド12上の薬剤が前記棒状部材31の上でバランスを失って前記シューター14の上に落下するようにしたので、極めて簡単な構成と動作により、前記ホッパー11内の薬剤を1個ずつ、前記シューター14を介して前記カメラ5により薬剤の刻印が撮像される位置まで確実に送ることができるようになった。
【0063】
<連接体先端部の位置決め装置>
本実施例1では、前記各袋体10内の薬剤(分包内容)を検査する場合において、まず最初に前記各袋体10が連接された連接体1の先端部を認識して位置決めし、その上で前記連接体1を間欠的に搬送しながら、前記各袋体10内の薬剤を撮像するようにしている。しかしながら、前記連接体1すなわちこれを構成する各袋体10はその内部の薬剤が見えるように透明な素材により形成されているため、周囲の照明状況などによっては光センサなどで前記連接体1の先端部を正確に検出できない、すなわち、システムが連接体1の先端部の位置を正確に認識できない(正確に位置決めできない)場合があった。そこで、本実施例1では、次のような位置決め装置を採用することにより、周囲の照明状況などで左右されることなく、前記連接体1の先端部の位置を正確に認識し位置決めできるようにした。すなわち、図11はこのような本実施例1における連接体1の先端部の位置決め装置を説明するための図で、前記連接体1が前記支持板30上で矢印A方向に搬送されるように準備された状態を示している。この場合の搬送の目的は、例えば前記連接体1を構成する個々の袋体10内の薬剤をそれぞれ間欠的にカメラ5の撮像位置5aに移動させることである。
【0064】
図11において、1aは前記連接体1の搬送方向側の先端部、35は前記連接体1の先端部1aが当接させられる当接板(ストッパ)であって、当初は前記連接体1の搬送を阻止する阻止位置に配置される当接板、35aは前記当接板35を前記阻止位置(図11(a)参照)から前記連接体1の搬送を許容する阻止解除位置(図11(b)参照)に又はその逆方向に移動させるシリンダーなどで構成される駆動装置、36は前記当接板35の前記連接体1の先端部1a側に備えられた圧電素子などにより構成される圧力センサ、37は前記圧力センサ33からの信号に基づいて前記駆動装置32aなどを制御する制御装置である。
【0065】
次にこの連接体1の先端部1aの位置決め装置の動作を説明する。前記連接体1を前記支持板30上にセットする前に、まず、予め前記当接板35を所定位置(前記連接体1の搬送を阻止する阻止位置)に配置しておく。その後、前記連接体1を前記支持板30上にセットして、その先端部1aを前記当接板35に当接させる(図11(a)参照)。すると、この当接を検出した前記圧力センサ36からの信号が前記制御装置37に出力される。前記制御装置37は、この信号に基づいて、前記駆動装置35aを制御して、前記当接板35を前記阻止位置から前記連接体1の搬送を許容する位置に移動させる(図11(b)参照)。これにより、前記連接体1の搬送が可能になるので、以後は、前記送りチャック2(図2,図3参照)などにより、前記連接体1が所定距離毎に間欠的に搬送されるようになり、前記各袋体10が例えば前記カメラ5による撮像位置に順次配置される。
【0066】
以上のように、本実施例1においては、前記連接体1の先端部1aが前記連接体1の搬送を阻止する位置にある当接板35に当接したことを前記圧力センサ36で検出し、この検出に基づいて前記当接板35を前記搬送を阻止しない位置に移動させるようにしたので、前述のように透明で柔らかい連接体1の先端部1aでも正確に認識し、前記連接体1の搬送の最初の位置決めを正確に且つ容易に行なえるようになった。
【0067】
なお、図11では、前記当接板35を上昇させることにより前記当接板35を前記連接体1の搬送を阻止する阻止位置から前記連接体1の搬送を許容する位置に移動させるようにしたが、本実施例1では、前記当接板35を下降させることにより(又は水平方向に移動させることにより)前記阻止位置から移動させるようにしてもよい。また、図11では、前記当接板35を移動させて前記連接体1を搬送させた後、前記連接体1の先端の袋体10を前記カメラ5による撮像位置に移動させる例を図示しているが、本実施例1では、前記当接板32を移動させて前記連接体1を搬送させた後、前記連接体1の先端の袋体10を図4,図5に関して説明した袋体内薬剤の裏返し装置に送るようにしてもよい。
【0068】
<分包ミスのあった袋体からの各薬剤を対応する容器に分別する装置>
前記「処方箋通りの分包ではない」と判定された袋体10から出された各薬剤20は、最終的にはその各薬剤20の銘柄毎に対応する容器に分別する必要がある。そこで、本実施例1においては、以下に述べるような薬剤分別装置を採用した。すなわち、図12において、11は前記「処方箋通りの分包ではない」と判定された袋体から出された多数の薬剤を収容するホッパー、12は前記ホッパー11内の多数の薬剤の中から一個の薬剤を掬い出し上面に載置してシューター14の上方に移動させる供給ヘッド、12cは前記供給ヘッドを昇降させる駆動装置、17は前記シューター14から滑り降りてきた薬剤を載置する薬剤載置部、17aは前記薬剤載置部17の下面を構成する下面部材(図6の上側載置板21及び下側載置板22に対応するもの)、17bは前記下面部材17aを略水平方向に移動させるための駆動装置、27は前記薬剤載置部17上から薬剤20が周囲に脱落しないように前記薬剤載置部17の周囲を仕切る囲い、18は前記薬剤20の各銘柄(ここでは計6個)にそれぞれ対応するように配置された計6個の容器、19は前記各容器18を円周状に配置し駆動装置26により回動する回転テーブル、5はカメラ、24は制御装置、25は多数の薬剤の刻印と銘柄との対応関係を記録した刻印銘柄データベースである。
【0069】
次にこの薬剤分別装置の動作を説明する。前記制御装置24から前記駆動装置12cに制御信号が送信されることにより、前記供給ヘッド12が前記ホッパー11の底部から上昇し、この過程で、前記ホッパー11内の多数の薬剤の中から1個の薬剤が掬い出され供給ヘッド12上に載置される。この供給ヘッド12上に載置された薬剤20は、所定の動作により前記シューター14上に落下される(図12(a)の矢印A参照。なお、以上の動作は図8〜10に関して前述したので詳細は省略する)。前記供給ヘッド12から前記シューター14に落下した薬剤は、シューター14上を滑り降りた後、前記薬剤載置部17上に載置される(図12(a)の矢印B参照)。その後、前記カメラ5が前記薬剤載置部17上の薬剤20を撮像し、その画像情報を制御装置24に送信する。前記制御装置24は、前記カメラ5からの画像情報から前記薬剤20の刻印を認識し、その認識した刻印と前記刻印銘柄データベースからの基準データとに基づいて前記薬剤20の銘柄を特定する。前記制御装置24は、前記特定した銘柄に基づいて、前記駆動装置26を制御して、前記回転テーブル19を回動させ、前記薬剤20の銘柄に対応する容器18を前記薬剤載置部17の下方に移動させる。その後、前記制御装置24は、図12(b)に示すように、前記駆動装置17bを制御して、前記薬剤載置部17の下面部材17aを例えば図示右方向(図12(b)の矢印C参照)に移動させる。この結果、前記薬剤載置部17上の薬剤20は、自らの銘柄に対応する前記容器18内に落下する(図12(b)の矢印D参照)。なお、前記の図12(b)において前記下面部材17aを図示右方向に移動させても、前記囲い27により、前記薬剤20が前記薬剤載置部17の下面部材17aと一緒に移動することが阻止されるので、前記薬剤20は確実に前記容器18内に落下する。
【0070】
その後、前記制御装置24は、再び、前記駆動装置12cを制御して、前記供給ヘッド12を前記ホッパー11の底部からゆっくり上昇させて、前記供給ヘッド12上に前記ホッパー11内の多数の薬剤の中の一個を載置させ、その薬剤を前記シューター14の上に落下させる。以後、前記制御装置24は上記と同様の動作を、前記ホッパー11内の薬剤が無くなるまで、繰り返す。
【0071】
以上のように、本実施例1では、前記ホッパー11に収容した多数の薬剤の中から前記供給ヘッド12を上昇させて1個の薬剤を取り出し、この取り出した薬剤を前記シューター14を介して前記薬剤載置部17上に載置し、その載置した薬剤20の刻印を画像認識して銘柄を特定し、その特定した銘柄に対応する容器18を前記回転テーブル19を回動させることにより前記薬剤載置部17の下方に移動させ、その後に前記薬剤載置部17の下面部材17aを移動させることにより前記薬剤20を前記対応の容器18内に落下、収容させるようにしている。そして、前記制御装置24は、以上の動作を前記ホッパー11内の薬剤が無くなるまで繰り返すようにしている。よって、本実施例1によれば、分包ミスが見つかった袋体10から出して集めた多数の薬剤を、人手によることなく自動的に、その全てを、それぞれの銘柄に対応する容器に分別できるようになる。
【0072】
なお、以上の実施例1においては、袋体内に封入または収容された薬剤の封入又は収容の状態が正しいかどうかを検査するための分包薬剤検査システムに本願発明を適用した場合について説明したが、本願発明はこのような薬剤の検査システムにだけ適用されるものではなく、例えば、機械部品(座金、ナット等)、菓子(ビスケット、クッキー、円盤状チョコレート等)、遊戯用具(おはじき等)などの各種の盤状物体を裏返すために使用できる(実施例1のような検査システムのための使用に限られない)ことは勿論である。
【符号の説明】
【0073】
1 連接体
2 送りチャック
3 クランプユニット
4 袋体吸着ユニット
4a,4b 吸着パッド
4c,4d 吸着シリンダ
5 カメラ
6 カメラ旋回部
8 NG印刷部
10 袋体
10b 上面シート
10c 下面シート
11 ホッパー
12 供給ヘッド
12a スリット
12b ヘッド支持部
12c,17b,21a,22a,23a,26,31a,35a 駆動装置
14 シューター
14a,30a 穴
15 薬剤センサ
17 薬剤載置部
17a 下面部材
18 容器
19 回転テーブル
20 薬剤
21 上側載置板
22 下側載置板
22b 凹凸形成部
23 押出板
24,33,37 制御装置
25 刻印銘柄データベース
30 支持板
31 棒状部材
32 薬剤センサ
35 当接板
36 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
盤状物体を裏返すための盤状物体裏返し装置であって、
前記盤状物体を載置する上側載置板であって少なくとも1つの方向に移動可能な上側載置板と、
前記上側載置板の下面側にこれと対向するように配置された下側載置板であって、その上面の少なくとも一部が所定の凹凸を有するように又は所定以上の摩擦係数を有するように形成された下側載置板と、
前記盤状物体が載置される部分から離れた位置に前記上側載置板の上面と対向するように配置された押出板と、
前記盤状物体が前記上側載置板の上面に載置されているとき、少なくとも前記上側載置板を前記押出板の方向に移動させ前記盤状物体が前記押出板に相対的に押されるようにし、これにより、前記盤状物体を、前記押出板に相対的に押される形で前記上側載置板の端部から前記下側載置板の「所定の凹凸を有するように又は所定以上の摩擦係数を有するように形成された部分」の上に落下させる裏返し制御手段と、
を備えたことを特徴とする盤状物体裏返し装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記裏返し制御手段は、前記盤状物体が前記上側載置板の上面に載置されているとき、少なくとも前記上側載置板を前記押出板の方向に移動させて前記盤状物体が前記押出板に相対的に押されるようにし、これにより前記盤状物体の一方の端部を、前記上側載置板の端部から前記下側載置板の「所定の凹凸を有するように又は所定以上の摩擦係数を有するように形成された部分」の上に落下させ、その後、前記押出板を前記盤状物体方向に移動させて前記押出板が前記盤状物体を押すようにし、これにより前記盤状物体が前記落下した端部を支点として前記押出板と反対の方向に倒れるようにするものである、ことを特徴とする盤状物体裏返し装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−78420(P2013−78420A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219160(P2011−219160)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【特許番号】特許第5000003号(P5000003)
【特許公報発行日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【出願人】(510210645)有限会社秋栄電機 (5)
【Fターム(参考)】