説明

目に見える有効成分を有する非アルコール性組成物を含む容器

本発明は、全般的には、ヒト又は動物による消費を目的とする少なくとも部分的に透明な組成物に関し、またそのような組成物のパッケージに関する。本発明の一実施形態は、少なくとも部分的に透明な水性非アルコール性組成物を含有する少なくとも部分的に透明な容器に関する。この容器は、組成物中に存在する液晶を可視化する少なくとも1つの偏光子を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、全般的には、ヒト又は動物による消費を目的とする少なくとも部分的に透明な組成物に関し、またそのような組成物のパッケージに関する。本発明の一実施形態は、少なくとも部分的に透明な水性非アルコール性組成物を含有する少なくとも部分的に透明な容器に関する。この容器は、組成物中に存在する液晶を可視化する少なくとも1つの偏光子を含む。
【0002】
非アルコール性飲料は飲料産業において確立されている製品である。それらは常温飲料及び冷飲料に分類することができる。この部門の新機軸は、ライト飲料、栄養飲料、又は機能性飲料などの新しい飲料の中に主にある。
【0003】
今日市場に出ている典型的な機能性飲料は高タンパク質飲料である。しかし、タンパク質は通常、飲料を不透明にして、消費者にとって視覚的に魅力のないものにする。したがって、高タンパク質飲料は、不透明なパッケージで通常販売される。
【0004】
透明なタンパク質を含有する飲料が望ましい。この点で、溶液中で透明で、それ故透明な瓶に適している加水分解された乳漿タンパク質が利用可能である。
【0005】
しかしながら、そのようなタンパク質を含有する組成物の透明性は、摂取している透明なタンパク質の量について消費者に疑いを抱かせる。
【0006】
したがって、透明な容器中の透明な有効成分の存在及び存在量を消費者が視覚的に調べることを可能にするシステムが利用可能になれば望ましいであろう。
【0007】
本発明者らはこの要求に対して取り組んだ。
【0008】
それ故、本発明の目的は、少なくとも1つの透明な有効成分を含有する透明な組成物と、その組成物が、さもないと肉眼で見えない有効成分を視覚化することを可能にするパッケージとを当技術分野に提供することである。
【0009】
本発明者らは広範囲に研究を行い、驚くべきことに、独立請求項の内容により本発明の目的が達成できることを見出した。従属請求項は本発明の考えをさらに発展させるものである。
【0010】
本発明者らは、透明な液体組成物に添加するとこの組成物を通常多少乳白色にする有効成分が、液晶として供給されると、この望ましくない作用を示さないことを見出した。液晶は、通常肉眼に透明である。
【0011】
本発明者らはさらに、液晶を含む透明な食品用組成物を偏光子を介して見ると、消費者がこの液晶を見ることができるようになり、有効成分の存在及び存在量を検査できることを見出した。
【0012】
さらに、偏光子を介して見る場合、液晶は、移動又は撹拌により増強される虹様の色彩及び/又は白黒の起伏をもたらす新しい視覚効果を透明な飲料に生み出す。この動的な視覚効果は、消費者が楽しいと思うものである。
【0013】
したがって、本発明の一実施形態は、少なくとも部分的に透明な水性非アルコール性組成物を含有する少なくとも部分的に透明な容器において、容器の表面の少なくとも一部が少なくとも1つの偏光子により覆われており、この組成物が食品用液晶を含むことを特徴とする容器である。
【0014】
化合物がヒト又は動物による消費に対して全般的に認可されている場合、その化合物は食品用と見なされる。
【0015】
例えば、容器はガラス製又はプラスチック製であってもよい。ガラス又はプラスチックは有色であっても無色であってもよいが、少なくとも部分的に透明でなければならない。容器の製造に用いることができる典型的なプラスチックとしては、例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)又はポリプロピレン(PP)が挙げられる。
【0016】
少なくとも部分的に透明な容器は、部分的に透明な材料からなっていてもよい。あるいは、容器は、透明な材料から作られた窓だけを備えていてもよく、容器の残りの部分は不透明な材料から作られているか、又は不透明なラベルにより覆われている。
【0017】
重要なことは、可視光が、少なくとも部分的に透明な部分を介して容器に出入りすることができることである。
【0018】
少なくとも部分的に透明な容器の少なくとも部分的に透明な部分は、少なくとも可視光の一部分に対して少なくとも75%の透明度を示す。
【0019】
他に指示がない限り、透明度は、常に材料の厚さ1cmに関するものである。
【0020】
少なくとも部分的に透明な部分は、少なくとも1つの偏光子により少なくとも部分的に覆われている。
【0021】
例えば、少なくとも1つの偏光子を容器の外面に付着させることができる。容器の外面に偏光子を付着させることの利点は、例えば再利用のために偏光子を容易に付着させたり容易に取り除いたりできることである。例えば、透明な容器を偏光性のラベルと組み合わせてもよい。これにより、液晶の目視検査が可能になり、同時に、魅力的な視覚効果が生み出されることになる。
【0022】
偏光子はまた、偏光子と消費製品との直接的な接触に関連した危険がない場合、容器の内部に付着させることもできる。
【0023】
さらに、少なくとも1つの偏光子が、容器壁の一部をなす構成要素であってもよい。この利点は、そのようにすれば偏光子に擦り傷がより一層付きにくくなることである。
【0024】
原則として、任意の型の偏光子を本発明の目的に用いることができる。例えば、偏光子は吸収型偏光子及び/又は直線型偏光子とすることができる。
【0025】
1つの偏光子のみを用いる場合、この偏光子を容器の周り全体に配置することができる。
【0026】
偏光子の方向が容器の軸と平行又は直角の場合に、最大の光量が偏光子を通過することになる。その結果、液晶は極めて明るい背景の前に見ることができる。
【0027】
偏光子の方向は、光が通過し、電磁波の振動を特定の平面に限定する、その特定の透過軸によって定義される。
【0028】
偏光子の方向が容器の軸と45°だけ異なる場合、容器を通過した光は、90°方向が相違する2つの偏光子平面を通過することになる。その結果、液晶により回折された光のみが目に見えることになる。液晶は、暗い背景の前にはっきりと見ることができる。
【0029】
偏光子の方向と容器の軸との間の相違を任意に選んで、像の明るさ及び得られる像の結晶コントラストを微細に調整することができる。所望の像を決定するのは、極めて単純な実際的実験作業の問題である。
【0030】
容器はまた、2つ以上の偏光子を備えることができる。2つ以上の偏光子を用いる場合、偏光子を互いに異なる方向にすることができる。
【0031】
異なる方向を有するそのような偏光子を容器に付着させる場合、それによって、容器を見る角度及び/又は側面に応じて異なる像が容器の内容物から生み出されるという有利な効果が得られ得る。
【0032】
例えば、互いに反対に位置した偏光子の方向間の角度は、すべての偏光子ペアについて同一であるが、隣接する偏光子では方向が異なる偶数の偏光子を容器は含むことができる。
【0033】
容器は、食品又は飲料をパッケージ化するために通常用いられる少なくとも部分的に透明な任意の種類の容器とすることができる。例えば、容器は瓶であってもサッシェであってもよい。
【0034】
液晶は任意の食品用液晶とすることができる。特に、液晶は機能性成分から作ることができる。例えば、液晶をタンパク質又はリン脂質からなるものとすることができる。
【0035】
液晶が酸性の広いpH範囲でも安定であり、それ故、今日市場に出ているほとんどの飲料に適していることは有利である。液晶相は生物系に豊富にある。特に、生体膜及び細胞膜は液晶の形態である。
【0036】
例えば、液晶はタンパク質からなっていることがある。それらの液晶がβ−ラクトグロブリン結晶などのタンパク質原繊維集合体であることがある。
【0037】
食品用液晶は、この液晶が偏光子を介して見ることができるほど十分な大きさである限り、任意のサイズとすることができる。それらの液晶の平均寸法は、最長の寸法において少なくとも400nm、好ましくは少なくとも800nmとすることができる。
【0038】
食品用液晶は、偏光子を介して認識するのに十分な任意の量で存在させることができる。それらの液晶の量は、組成物の少なくとも0.04mg/ml、組成物の好ましくは少なくとも0.1mg/mlとすることができる。
【0039】
例えば、液晶は、約0.4重量%〜4.5重量%の濃度範囲で組成物の中に存在させることができる。
【0040】
任意の種類の液晶を本発明の枠内で用いることができる。
【0041】
食品用液晶は、サーモトロピック液晶、リオトロピック液晶、又はその組合せからなる群から選択することができる。
【0042】
食品用液晶は、不連続立方相、六方相、ラメラ相、共連続立方相、逆六方円柱相、逆立方相、ネマチック相、スメクチック相、キラル相、青色相、ディスコチック相、又はその組合せからなる群から選択される結晶相の中に存在させることができる。
【0043】
偏光子を介して見る場合、異なる結晶相の中の結晶は異なる像を生成する。したがって、結晶相を適切に選択することにより、所望の像を生成させることができる。
【0044】
結晶化する有効成分に応じて、その結晶を特定の条件の組成物の中で生成させることが容易及び/又は安定であるように結晶相を選択することもできる。
【0045】
例えば、ネマチック又はスメクチックβ−ラクトグロブリン結晶を本発明の目的に用いることができる。
【0046】
少なくとも部分的に透明である限り、任意の種類の非アルコール性組成物を本発明の枠内で用いることができる。そのような少なくとも部分的に透明な組成物の透明度は、少なくとも可視光の一部分に対して、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、さらにより好ましくは少なくとも85%とすることができる。
【0047】
組成物は有色であっても無色であってもよい。例えば、組成物は液体の形態であってもゲルの形態であってもよい。
【0048】
組成物は水をベースとした飲料であってもよい。例えば、飲料は機能性飲料であってもよい。例えば、飲料は、液晶相中に機能性成分としてタンパク質を含んでもよい。
【0049】
組成物は、例えば今日市場に出ている飲料に典型的である酸性の組成物であってもよい。
【0050】
したがって、組成物のpHは、1〜6.5の範囲、例えば2.5〜5の範囲とすることができる。
【0051】
組成物はさらに栄養飲料であってもよい。特に高栄養製品については、栄養飲料はタンパク質及び(同時に)高い炭水化物含量を含有することが多い。
【0052】
それ故、組成物は高カロリー密度を有する飲料又はゲルであってもよい。カロリー密度は0〜1kcal/mlの範囲とすることができる。例えば高タンパク質飲料では、カロリーの少なくとも50%が炭水化物に由来してもよく、低カロリー飲料では、カロリーの0〜5%が炭水化物に由来してもよい。
【0053】
組成物はまた、界面活性剤成分、例えばシャワーゲルであってもよい。界面活性剤成分は、機能性成分として、タンパク質(例えば酵素)を含有することが多いが、このタンパク質は液晶形態で供給することができる。
【0054】
シャワーゲル、ローション剤、又は他のボディーケア製品には、追加的又は代替的にリン脂質を含有させることができ、このリン脂質が液晶形態で存在するならば、偏光子を介して見る場合に所望の像が生成されることになる。
【0055】
液晶を含む組成物で満たされ且つ少なくとも1つの偏光子を含む、本発明の完全な容器の透明度は、可視光の少なくとも一部分に対して、少なくとも35%、好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは75%とすることができる。
【0056】
可視光の部分は、例えば、波長380〜450nmの青紫色光、波長450〜495nmの青色光、波長495〜570nmの緑色光、波長570〜590nmの黄色光、波長590〜620nmの橙色光、及び/又は波長620〜750nmの赤色光である。
【0057】
本明細書に記載の容器の特徴はすべて、開示された本発明の範囲から逸脱することなく、自由に組み合わせることができることは、当業者には明らかである。
【0058】
本発明のさらなる特徴及び利点は以下の実施例及び図から明白である。例に提示の割合はすべて重量%である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】90°交差した複数の偏光子を有するパッケージの中の液晶の例を示す図である。組成物はpH2の水中で2重量%の液晶を含有していた。3つの型のパッケージ、すなわち正方形PETG瓶、ガラス製長方形ジャー、及び円形ガラス瓶を示す。
【図2】暗い背景を与える、90°交差した複数の偏光子の原理、及び最初が空で、次が液晶で半分満たされたPETG正方形瓶へのその適用を示す図である。
【図3】明るい背景を与える、平行の偏光方向を有する複数の偏光子の原理、及び最初が空で、次が液晶で半分満たされたPETG正方形瓶へのその適用を示す図である。
【図4】暗い背景を与える、偏向方向に対して45°で切断された1本の単一偏光バンドの使用の原理を示す図である。ガラス丸瓶への適用を例として示す。
【図5】明るい背景を与える、偏光方向に対して0°又は90°で切断された1本の単一偏光バンドの使用の原理を示す図である。ガラス丸瓶への適用を例として示す。
【図6】交差偏光子間で視覚化された、有色水溶液中の液晶(液晶1%、pH2)を示す図である。
【図7】交差偏光子間で視覚化された、10%糖水溶中の液晶を示す図であり、液晶の最終濃度はそれぞれ1%(左)及び2%(右)である。
【図8】交差偏光子間で視覚化された、商用飲料に組み込まれた液晶の例を示す図である。ここに示す例は、透明な炭酸ソーダ及び有色非発泡性飲料(左:透明なソーダ(7−up);右:有色飲料(アイスティー))である。
【0060】
実施例1では、液晶を作るためのb−lg(β−ラクトグロブリン)粉末の調製について説明する。
【0061】
95.9%のβ−ラクトグロブリン(変異体A、55.6%;変異体B、44.4%)からなるBioPURE−β−ラクトグロブリン(Davisco Foods International Inc.、Le Sueur、MN)を10重量%濃度でミリQ(Milli−Q)水に溶解し、1M HCl溶液を用いてpH4.6に調整し、Sorvall Evolution RC高速遠心機(ローターSLA−1000)を用いて20℃で15分間、15000rpmで遠心分離して、非「天然」タンパク質を除去した。この上清を回収して1M HC1溶液を用いてpH2に調整し、0.22μmミリポアフィルターを介して濾過して、残存する可能性のある微量の不溶性タンパク質をさらに除去した。透析を行い、β−ラクトグロブリン凝集に影響を与える微量のイオンを除去した。このタンパク質溶液を、1回目はpH2のミリQ水に対して、2回目はミリQ水に対して、6000〜8000DaのMWCOを有するSpectra−Por Dialysis Membrane 1(Spectrum Laboratories,Inc.、Los Angeles、CA)を用いて透析した。透析チューブは、あらかじめ1mM EDTAを含む脱ミネラル水中で10分間煮沸し、脱ミネラル水で広範囲にすすいだ。溶媒とタンパク質溶液との間の容量比は、透析の間常に約40に維持した。透析は、少なくとも4時間の間隔で透析緩衝液を交換しながら4℃で行った。透析の後、溶液をpH2に戻すよう調整した。保存のために、溶液を凍結乾燥し、室温のデシケーターに入れた。
【0062】
実施例2では、タンパク質繊維をベースとした液晶の合成を記載する。
【0063】
透析し凍結乾燥したβ−ラクトグロブリン粉末を2重量%の濃度でミリQ水に室温で溶解し、Sorvall RC3C Plus遠心機(DuPont、Newtown、CT)を用いて、20℃で1時間、10800gで遠心分離し、pH2に調整して、0.45μmミリポアフィルターを介して濾過した。次いで、2%β−ラクトグロブリン溶液を100mLフラスコに分配した後、これらのフラスコを密封し、ウォーターバスに入れて90℃で5時間加熱した。各フラスコに入っているマグネチックバーで、加熱工程の間、溶液を撹拌した。加熱の後、フラスコを氷水混合物中に浸して直ちに冷却し、凝集過程を阻止した。溶液は、透明性について視覚的に検査した。
【0064】
タンパク質溶液を温和な濃縮法により室温で濃縮して、最終濃度4重量%にした。これは濃縮すべき溶液の上に窒素流を循環させ、その表面に形成される水蒸気を乾燥させることにより達成した。溶液を大きなビーカー(溶液の少なくとも2倍の容量)に注ぎ、このビーカーを、窒素流入口と空気排出口の2穴を有する蓋で密閉した。ビーカーをプレート撹拌機(Vibramax 110、Heidolph Instruments、Germany)に置き、乾燥工程中に表面にゲルクラウン(gel crown)が形成されるのを回避するために撹拌を維持した。濃縮溶液は依然として液状で且つ透明であった。この手順により、低含量の水を有する飲料混合物の製造が可能になり、より高い最終繊維濃度を得ることが可能になった。
【0065】
実施例3では、我々の実験及び試験パッケージのために用いた偏光子についての情報を提供する。
【0066】
我々は、ITOS GmbH(Germany)製の直線型偏光子、ref.XP38−18Sを用いた。これらの直線型偏光子は、1.8mmの厚さの自己接着性偏光子であり、パッケージ表面に直接貼り付けることができる。我々は3つの型のパッケージ、すなわち、2つの偏光子が対向面に貼り付けられた小型正方形PETG瓶、2つの偏光子が対向面に貼り付けられたガラス製長方形瓶(ネスカフェ(Nescafe)ジャー)、及び偏光子の1本のバンドで包まれた丸形ガラス瓶を試験した(図1)。
【0067】
実施例4では、偏光子間の角度が視覚効果に及ぼす影響を示す。
【0068】
我々は、偏光子間の偏光角の2つの配置を試験した。
正方形瓶については、2つの偏光子を用いた。交差又は平行の偏光方向で瓶に偏光子を貼り付けることにより、90°及び0°の相対角度の適用とした(図2及び図3)。
【0069】
偏光子を90°で交差させる場合(図2)、光の透過はほとんど0であり、暗い背景が得られる。偏光子を平行にする場合(角度0°)(図3)、光は依然として部分的に透過することができ、背景はそれほど暗くならない。両方の場合とも液晶は目に見えるが、強度は交差偏光子の方が高い。角度は、液晶を組み込むことになる飲料の透明性に主として依存して選択すべきである。
【0070】
丸瓶については、偏光子の1本のバンドを用いる場合、我々はさらに、偏光角に対して特定の角度で偏光子バンドを切断することにより、90°及び0°の角度を試験した。
【0071】
バンドを偏光角に対して45°で切断して、瓶の周りを包む場合、その効果は、正方形瓶の2つの交差偏光子と等価になり(図2)、背景が暗くなることを意味する(図4)。すべての観察角度から、正面及び背面の偏光子は90°で交差することになる。
【0072】
バンドを偏光角に対して90°又は0°で切断して、瓶の周りを包む場合、その効果は、正方形瓶の0°の角度を有する2つの偏光子と等価になり(図3)、背景がそれほど暗くならないことを意味する(図5)。すべての観察角度から、正面及び背面の偏光子は常に平行になる。
【0073】
これらの瓶の中の液晶は正方形瓶の中と同じ視覚効果を生み出す。
【0074】
結論として、すべての角度から、液晶の視覚化が可能になる。しかしながら、最良の結果は、それらが90°で交差する場合に得られる。有色飲料については、より明るい背景を得るために、平行な方向を有する偏光子を用いるのがより適切である場合がある。
【0075】
実施例5では、液晶が有色の水溶液中で目に見えることを示す。
【0076】
有色の水溶液は、pH2に調整した200mLの水にインク(汎用テキストマーカーEdding 23、Edding、Germany)を1滴分散させることにより生成した。次いで、2%液晶溶液を、有色の水溶液に1:1の比で組み込み(図6)、1%の最終液晶濃度にした。
【0077】
実施例6では、高い糖含量の水溶液中で、液晶が安定で且つ目に見えることを示す。
【0078】
2つの選択肢を試験した(図7):
糖を、pH2にて2%液晶溶液中に10%濃度(甘い飲料中の平均濃度である)で直接溶解した。
pH2に調整した20%糖水溶液を調製した後、pH2で2%液晶溶液と混合した。したがって、糖の最終濃度は10%になり、液晶の最終濃度は1%になった。
【0079】
液晶は2つの10%糖溶液において相変わらず見ることができた。視覚効果の強度は1%より2%の液晶の方が高かった。この実験によりさらに、糖は液晶含有溶液に直接溶解してもよいことが実証された(経路1)。
【0080】
実施例7では、商用飲料に液晶をうまく組み込むことができることを示す。
【0081】
液晶を商用飲料、すなわち透明なソーダ(7−up)及び甘い有色飲料(アイスティー)に組み込んだ。飲料のpHは両方とも約3であった。
【0082】
pH2の2%液晶水溶液を1:1の重量比で商用飲料と混合した(図8)。
【0083】
最終液晶濃度は1%になった。両方の場合で、液晶は目に見えており、最大強度の視覚効果が透明なソーダについて得られた。
【0084】
これらの実験により以下のことが判明した。
液晶は酸性飲料(pH3〜3.5)であっても、組み込んで視覚化することができる。
液晶は透明又は有色の飲料に組み込んで視覚化することができる。
液晶は炭酸飲料に組み込んで視覚化することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に透明な水性非アルコール性組成物を含有する、少なくとも部分的に透明な容器において、
前記容器の表面の少なくとも一部が少なくとも1つの偏光子により覆われており、
前記組成物が食品用液晶を含む
ことを特徴とする容器。
【請求項2】
ガラス及びPET若しくはPPなどのプラスチックからなる群から選択される材料から作られる、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記少なくとも1つの偏光子が、容器の外面に付着している、請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記少なくとも1つの偏光子が、容器壁の一部をなす構成要素である、請求項1又は2に記載の容器。
【請求項5】
前記少なくとも1つの偏光子が、吸収型偏光子、直線型偏光子、又はその組合せからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器。
【請求項6】
偏光子の方向が互いに異なる、2つ以上の偏光子を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の容器。
【請求項7】
互いに反対に位置した偏光子の方向間の角度が、すべての偏光子ペアについて同一であるが、隣接する偏光子では方向が異なる偶数の偏光子を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の容器。
【請求項8】
前記食品用液晶が、β−ラクトグロブリン結晶などのタンパク質原繊維集合体である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の容器。
【請求項9】
前記食品用液晶が、組成物の少なくとも0.04mg/mlの量で存在し、最長の寸法において少なくとも400nmの平均寸法を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の容器。
【請求項10】
前記食品用液晶が、サーモトロピック液晶、リオトロピック液晶、又はその組合せからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の容器。
【請求項11】
前記食品用液晶が、不連続立方相、六方相、ラメラ相、共連続立方相、逆六方円柱相、逆立方相、若しくはそれらの組合せからなる群から選択されるリオトロピック液晶相の中;及び/又はネマチック相、スメクチック相、キラル相、青色相、ディスコチック相、若しくはそれらの組合せからなる群から選択されるサーモトロピック液晶相の中に存在する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の容器。
【請求項12】
前記容器及び前記組成物が共に、波長380〜450nmの青紫色光、波長450〜495nmの青色光、波長495〜570nmの緑色光、波長570〜590nmの黄色光、波長590〜620nmの橙色光、及び波長620〜750nmの赤色光など可視光の少なくとも一部分に対して、少なくとも75%の透明度を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の容器。
【請求項13】
前記少なくとも部分的に透明な組成物が、液体若しくはゲルの形態で存在し、及び/又は水をベースとした飲料、栄養飲料、シャワーゲル、界面活性剤成分からなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の容器。
【請求項14】
前記組成物が、0.01〜1kcal/mlの範囲のカロリー密度を有し、高タンパク質飲料ではカロリーの少なくとも50%が炭水化物に由来する飲料である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−509335(P2013−509335A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535844(P2012−535844)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066453
【国際公開番号】WO2011/051436
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】