説明

目隠しを有するキッチン

【課題】調理中や片づけが済んでいないキッチンを簡単に人の目から隠すことができるようにする。
【解決手段】流し台2の前面に2枚の上下動する目隠しパネル5a、5bを配設し、力を必要とせずに上下動させ、流し2を簡単に視線から遮ることができるようにしたものであり、目隠しパネル5a、5bは、滑車51を介してロープ52で連結してバランスさせてある。上側の目隠しパネル5bを引き下げると下側の目隠しパネル5aが上昇して両パネルが合体してキッチン1が目隠しされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片づけがされていない乱雑な状態のキッチンを来客などの視線から素早く遮ることができる目隠しを設けたキッチンに関する。
【背景技術】
【0002】
キッチンは食事を準備する家庭のプライベートな空間であり、他人に見られるのは好まれず、特にキッチンが使用状態の場合は、調理器具や食器、食材が片付けられておらず露出しているので見られたくないものである。とはいえ、キッチンは、食事を作る場所であって家事の中心的な場所であり、目隠しの設置及び撤去が簡単迅速におこなえるものでないとキッチンの使用の障害となってストレスとなる。
キッチンを隠す目的で、食器棚をキッチンと隣室の間で移動可能としたものが特許文献1(特開2000−45426号公報)に開示されている。また、目隠しスライドや目隠しスクリーンが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−45426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の食器棚は、食器の入ったものを移動させなくてはならず、力を必要とし、キッチンの主要使用者である女性にとって、急な場面で重量のある物体を移動させることによってキッチンを隠すには適していない。また、キッチンを使えるように目隠しを元に戻すことが面倒であり、食器が必要になった場合には食器を取り出すことが不便であった。また、目隠しスクリーンは、目隠し材として中途半端であり、意匠として満足できるものではなかった。
【0005】
本発明は、目隠し部材の移動を力を必要とせずに簡単におこなえるようにすると共に、意匠的にもインテリア装飾として違和感を与えないようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
レンジや流し台などの厨房設備、レンジフードや吊戸棚などの壁面厨房設備を視線から遮る個所に、上下方向に開閉する目隠しパネルを設置することによって簡単に厨房を人の目から遮ることができるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
視線を遮る上下に開閉する目隠しパネルは、通常はキッチン使用の邪魔にならない天井と床の近くに配設されており、キッチンを隠す必要があるときは、目隠しパネルを上下方向に移動させることにより上下のパネルを合体させてキッチンを隠すものであり、操作が容易であると共に瞬時にキッチンを隠すことができる。
また、目隠し状態からキッチンを通常の使用モードに戻すことも目隠しパネルを開くことによって瞬時におこなうことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の目隠しパネルを有するキッチンの開閉状態を示す正面図。
【図2】滑車を利用して目隠しパネルを上下させることを示す概念図。
【図3】滑車の設置状態の詳細を示す正面図及び側面図。
【図4】異なる直径の滑車を同軸として目隠しパネルを上下させることを示す概念図。
【図5】目隠しパネルを定荷重ばねを利用して上下させることを示す概念図。
【図6】目隠しパネルを定トルクダンパーを利用して上下させることを示す概念図。
【図7】目隠しパネルの下縁を上方に上げることを示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示すように、キッチン1の壁面側に流し台2とガステーブルやIHコンロなどの熱機器31、食器洗い乾燥機32、上下に飾り棚41、42が設けてある。壁面には電気機器用のコンセント33が適宜の位置に設けられており、飾り棚41、42には照明具Lが設けてある。
【0010】
流し台2の前面には上下動する2枚の目隠しパネル5a、5bが設けてあり、両側に設けたガイドレール7に沿って上下動できるようにしてある。
図1(1)は目隠しパネル5a、5bが閉じた状態であり、流し台2、熱機器31、食器洗い乾燥機32、コンセント33及び排気フード6は目隠しパネル5によって視線から遮ることができ、流し台2や熱機器31に置いてある鍋やフライパンなどは見られることがない。
【0011】
図1(2)は、目隠しパネル5が上下に開いた状態であり、目隠しパネル5aは下方に、目隠しパネル5bは上方に移動して流し台2、及び熱機器31などが使用可能な状態となっている。
【0012】
目隠しパネル5の上下のパネル5a、5bは、図2に示すように、滑車51を介してロープ52で連結されて吊り下げられており、目隠しパネル5a、5bを同一重量とすることによって任意の位置で釣り合いを取ることができる。
ロープ52は、方向を変換するプーリ51aによって往復のロープを相互に近接させ、狭い空間にロープ52を配設できるようにしてある。
ロープ52の端部は、目隠しパネル5a、5bの両側面に設けた固定具53に連結固定されている。ロープ52は、ワイヤロープや合成繊維製のロープなどが使用でき、特に材質は問わない。また、ロープの他、チェーン及び類似のものを使用することができる
【0013】
滑車51は、図3に示すように、目隠しパネル5の両側の天井裏に設けた台座59に滑車ユニットとして設置固定されており、両側の滑車51はシャフト58で連結されており、同期して回転するようにしてある。台座59は、天井スラブにアンカー55を設けて吊ボルトによって固定されている。滑車51の回転によって振動が起きるので、ボルトには防振ゴム57を介して台座59が固定されている。
【0014】
キッチンを隠す必要が生じたときは、上側の目隠しパネル5bを引き下げるか下側の目隠しパネル5aを引き上げることによって滑車51で連結された二つの目隠しパネル5a、5bが相互に近接して閉じた状態で停止し、流し台2や熱機器31、電気機器、及び鍋等の料理用器具や食材が目隠しパネル5によって視線から遮られて見えなくなる。
キッチンを隠す必要がなくなったら目隠しパネル5bを押し上げるか、目隠しパネル5aを押し下げて目隠しパネル5を上下に移動させて開いた状態とし、キッチンを使用可能状態とする。
【0015】
目隠しパネル5をガイドするレール7の近傍の壁面にはセンサー型スイッチ71が設けてあり、目隠しパネル5a、5bの側面に設けたスイッチ駆動部72の近接、または、接触によってコンセントを含む厨房設備の電源を断・接するようにしてある。電源がはいったままの状態で放置されると過熱状態を招くような機器への電源の供給が停止されるようにしてある。
また、目隠しパネルが閉じた状態のとき、流し台2の上下に設けた飾り棚4の照明Lの電源が入るようにし、目隠しパネルを単なるキッチンの隠蔽装置としてでなく、パネル上下の飾り棚を照明することによって室内装飾とすることもできる。
【0016】
図2に示した滑車を使用した実施例は、上下の目隠しパネル5a、5bが同じ距離だけ上下に移動するものであるが、図4に示すように、直径の異なる滑車Aと滑車Bを同軸とした滑車を使用すると、滑車A、Bの直径比に応じて上下の目隠しパネル5a、5bの移動距離を異なるものとすることができ、目隠しパネルの移動距離の比は、滑車の直径の比と等しくなる。
目隠しパネル5a、5bを吊り下げる滑車の直径が異なり、移動距離に差があり、両パネルをロープで連結して吊り下げることができないので、各目隠しパネルを吊り下げるロープは、滑車に巻き取られるようにする。かつ、各目隠しパネルの荷重をバランスさせるための錘をロープ52の端部、または、目隠しパネル内部に設ける。
【0017】
また、図5に示すように、目隠しパネル5a、5bをドラム81に定荷重ばね82を巻きとり可能とした開閉装置80で吊り下げたり、または、図6に示すように、目隠しパネル5a、5bの側面にラック85を取り付け、このラック85にかみ合う歯86を有する定トルクロータリーダンパー87を使用することによって目隠しパネルを任意の位置に停止させることができるようにする。
【0018】
目隠しパネル5の開閉は、電動モータ(図示しない)によって目隠しパネル5a、5bを上下に開閉するようにしてもよい。電動モータで駆動されるドラムに巻きかけられたロープで目隠しパネルを吊り下げたり、目隠しパネルの側面にラックを設けて電動モータで目隠しパネルを独立して移動させることができるので、滑車の場合と異なり、閉じた状態の位置を任意に変更することができる。
【0019】
目隠しパネルの隠蔽範囲を大きくとろうとすると、目隠しパネルが大きくなり、キッチンで作業する人の頭部が上部の目隠しパネル5bの下縁にぶつかる恐れが生ずるので、図7(1)に示すように、上部の目隠しパネル5bの下縁部にヒンジ等を設けて折り曲げ可能とするのが好ましい。または、図7(2)、(3)に示すように、上部の目隠しパネル5bの下縁を伸縮可能として背の高い人にも対応できるようにする。
以上、本発明を壁に流し台を沿わせて設けたキッチンを例にして説明したが、本発明は、対面式のキッチンにおいても適用可能であり、キッチンを隠蔽する適宜の場所に目隠しパネルを設置することによって目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 キッチン
2 流し台
31 熱機器
4 飾り棚
5 目隠しパネル
51 滑車
51a変換プーリ
52 ロープ
7 ガイドレール
81 ドラム
82 定荷重ばね
85 ラック
87 定トルクロータリーダンパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンジや流し台などのキッチンの乱雑状態を隠蔽する目的で上下方向に開閉する目隠しパネルが設置してある目隠しを有するキッチン。
【請求項2】
請求項1において、2枚の目隠しパネルが滑車を介して連結されて吊り下げられたものであり、一方の目隠しパネル上下動させることにより他方を反対方向に移動させて目隠しパネルを開閉する目隠しを有するキッチン。
【請求項3】
請求項1において、2枚の目隠しパネルが径の異なる滑車を同軸とした滑車を介して連結されて吊り下げられており、一方の目隠しパネルを上下動させることにより他方を反対方向に異なる距離移動させて目隠しパネルを開閉する目隠しを有するキッチン。
【請求項4】
請求項1において、目隠しパネルが定荷重ばねによって吊り下げられており、任意の位置に移動させて停止させることができる目隠しを有するキッチン。
【請求項5】
請求項1において、目隠しパネルが定トルクロータリーダンパーによって任意の位置に移動させて停止させることができる目隠しを有するキッチン。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、目隠しパネルの位置を検知して厨房機器用の電源を接・断するものである目隠しを有するキッチン。
【請求項7】
請求項6において、目隠しパネルが全開のときのみ電源が供給されるものである目隠しを有するキッチン。
【請求項8】
請求項6において、目隠しパネルが閉じた状態のとき、厨房設備に設けた飾り棚の照明が点灯されるものである目隠しを有するキッチン。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−144916(P2012−144916A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4577(P2011−4577)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(592040826)住友不動産株式会社 (94)
【Fターム(参考)】