説明

直接定着式アンカーボルト固定用治具

【課題】アンカーボルト固定用治具の剛性を確保しつつ、アンカーボルトに必要とされる埋設量を確保できる直接定着式アンカーボルト固定用治具を提供すること。
【解決手段】
連結棒22は、長物状の中実鋼材で構成されるので、アンカーボルト固定用治具20にアンカーボルト10の軸心方向で橋脚及び橋桁の全荷重を受けるために必要とされる剛性を確保しつつ、従来の断面コ字状の溝形鋼より連結棒22の高さ方向の寸法を短尺化できる。よって、アンカーボルト固定用治具20と基礎鉄筋T1との隙間Sを拡大できるので、かかる隙間Sが拡大した分だけ、従来の断面コ字状の溝形鋼の場合に比べて、基礎鉄筋T1の組付誤差が生じて基礎鉄筋T1の高さが高くなっても、アンカーボルト固定用治具20を基礎鉄筋T1に干渉させることなく設置できる。よって、アンカーボルト10に必要とされる埋設量を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接定着式アンカーボルト固定用治具に関し、特に、アンカーボルト固定用治具の剛性を確保しつつ、アンカーボルトに必要とされる埋設量を確保できる直接定着式アンカーボルト固定用治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼製橋脚とコンクリート躯体との連結に、特許文献1に開示されるような直接定着式アンカーボルト固定用治具が採用されている。ここで、図6を参照して、従来の直接定着式アンカーボルト固定用治具301について説明する。
【0003】
図6(a)は従来の直接定着式アンカーボルト固定用治具301の一部拡大断面図であり、図6(b)及び図6(c)は、アンカーボルト固定用治具320の一部拡大断面図である。また、図6(b)は、基礎鉄筋T1に組み付け誤差が生じていない場合を示しており、図6(c)は、基礎鉄筋T1に組み付け誤差が生じた場合を示している。なお、図6において、アンカーボルト310及びアンカーボルト固定用治具320の図示が一部省略され、基礎鉄筋T1とスペーサ330とが図示されている。また、図6において、直接定着式アンカーボルト固定用治具301とアンカーボルト固定用治具320とは連結フレーム322の軸心と直交する断面で図示されている。
【0004】
図6(a)に示すように、直接定着式アンカーボルト固定用治具301は、コンクリート躯体(図示せず)に対して鉛直方向に埋設されるアンカーボルト310と、基礎鉄筋T1の上方に配置されアンカーボルト310の下端が締結されるアンカーボルト固定用治具320とで構成されている。
【0005】
アンカーボルトは、コンクリート躯体に埋設される埋設量が少ないと、所定の耐力に達する前に抜けてしまいアンカーボルト310本来の強度や粘りを発揮できないので、設計により必要とされる埋設量が規定されている。
【0006】
また、アンカーボルト固定用治具320は、アンカーボルト310が締結される複数の上板321(支持板)と、それらの複数の上板321の下面に連結されると共に、断面コ字状の溝形鋼で形成され所定間隔を隔てつつ配置される一対の連結フレーム322(連結棒)と、それら一対の連結フレーム322の下面を連結する複数の下板323(連結板)とで構成され、スペーサ330上に設置される。
【0007】
図6(b)に示すように、アンカーボルト固定用治具320がスペーサ330上に設置されると、コンクリート躯体に対してアンカーボルト固定用治具320が規定位置に配置される。アンカーボルト固定用治具320が規定位置に配置されると、コンクリート躯体の上面からアンカーボルト固定用治具320の上面までの距離がアンカーボルト310に必要な埋設深さの距離に設定される。よって、上板321にアンカーボルト310の下端が締結されることにより、アンカーボルト310に必要とされる埋設量が確保される。
【0008】
アンカーボルト固定用治具320が設置されるスペーサ330は、基礎鉄筋T1とアンカーボルト固定用治具320との干渉を防止するために、通常は基礎鉄筋T1より上方に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−3917(図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の直接定着式アンカーボルト固定用治具301では、基礎鉄筋T1の組み付けに誤差が生じると、基礎鉄筋T1の高さがスペーサ330より高くなる場合がある。基礎鉄筋T1の高さがスペーサ330より高くなると、図6(c)に示すように、アンカーボルト固定用治具320が基礎鉄筋T1に干渉するので、スペーサ330上にアンカーボルト固定用治具320を設置できない。
【0011】
これに対して、スペーサ330の取付高さを高くしてアンカーボルト固定用治具320を持ち上げれば、アンカーボルト310と基礎鉄筋T1との干渉を防止でき、アンカーボルト固定用治具320をスペーサ330に設置できる。かかる場合、アンカーボルト固定用治具320が持ち上げられた分だけ、コンクリート躯体の上面からアンカーボルト固定用治具320の上面までの距離が短くなる。よって、その距離が短くなった分だけ、アンカーボルト固定用治具320の上面に固定されるアンカーボルト310の埋設量が少なくなる。従って、基礎鉄筋T1の高さがスペーサ330より高くなった場合は、アンカーボルト310に必要とされる埋設量を確保できないという問題点があった。
【0012】
この場合、アンカーボルト固定用治具320が持ち上げられた分だけ、つまり、アンカーボルト310の埋設量が少なくなった分だけ、連結フレーム322の高さ方向の寸法を短くすることによって、アンカーボルト310に必要とされる埋設量を確保できるが、連結フレーム322の高さ方向の寸法を短くすると、連結フレーム322の断面積が減少する。よって、アンカーボルト固定用治具320の剛性が低下する。従って、連結フレーム322の高さ方向の寸法を短くすることにより、アンカーボルト310に必要とされる埋設量を確保できたとしても、アンカーボルト固定用治具320に必要とされる剛性を確保できないという問題点があった。
【0013】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、アンカーボルト固定用治具の剛性を確保しつつ、アンカーボルトに必要とされる埋設量を確保できる直接定着式アンカーボルト固定用治具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するために、請求項1記載の直接定着式アンカーボルト固定用治具は、基礎鉄筋が埋設されるコンクリート躯体に下端側が鉛直方向に埋設されると共に前記コンクリート躯体の上面に配置される鋼製橋脚に上端側が連結されることにより、前記コンクリート躯体および前記鋼製橋脚を連結する複数のアンカーボルトと、それら複数のアンカーボルトの下端が連結されると共に、前記基礎鉄筋より上方に配置されるアンカーボルト固定用治具とを備え、前記アンカーボルト固定用治具に前記アンカーボルトを連結するものであって、前記アンカーボルト固定用治具は、前記アンカーボルトの下端が連結される複数の支持板と、それら複数の支持板が連結される上面が平坦に形成されると共に軸心を有する長物状の中実鋼材で構成され、所定間隔を隔てつつ配置される一対の連結棒とを備えている。
【0015】
請求項2記載の直接定着式アンカーボルト固定用治具は、請求項1記載の直接定着式アンカーボルト固定用治具において、前記アンカーボルト固定用治具は、前記一対の連結棒を複数組備えると共に、それら複数組の連結棒の端部を突き合わせた状態で溶接することにより、前記アンカーボルトの軸心方向から視て額縁状に形成されるものであり、前記連結棒は、前記連結棒の軸心と直交する前記連結棒の断面形状が正方形に形成されている。
【0016】
請求項3記載の直接定着式アンカーボルト固定用治具は、請求項1記載の直接定着式アンカーボルト固定用治具において、前記アンカーボルト固定用治具は、前記一対の連結棒を複数組備えると共に、それら複数組の連結棒の端部を突き合わせた状態で溶接することにより、前記アンカーボルトの軸心方向から視て額縁状に形成されるものであり、前記連結棒は、前記連結棒の軸心と直交する前記連結棒の断面形状が、前記上面および下面の離間距離が対向する一対の側面の離間距離より短い横長の長方形に形成されている。
【0017】
請求項4記載の直接定着式アンカーボルト固定用治具は、請求項1から3のいずれかに記載の直接定着式アンカーボルト固定用治具において、前記アンカーボルト固定用治具は、前記一対の連結棒を挟んで前記支持板と対向し前記一対の連結棒の下面に両端が連結される連結板を備え、前記連結板は、前記連結棒の軸心方向における長さが前記支持板より短く形成されている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の直接定着式アンカーボルト固定用治具によれば、複数のアンカーボルトの下端側がコンクリート躯体に鉛直方向に埋設されると共に、複数のアンカーボルトの上端側が鋼製橋脚に連結されるので、複数のアンカーボルトによってコンクリート躯体とその上面に配置される鋼製橋脚とが連結され、アンカーボルト固定用治具には複数のアンカーボルトの下端が連結される。
【0019】
ここで、アンカーボルト固定用治具は、アンカーボルトの下端が連結される複数の支持板と、所定間隔を隔てつつ配置される一対の連結棒とを備えており、その一対の連結棒は軸心を有する長物状の中実鋼材で構成されるので、アンカーボルト固定用治具の剛性を確保しつつ、アンカーボルトに必要とされる埋設量を確保できるという効果がある。
【0020】
即ち、連結棒を長物状の中実鋼材で構成するので、アンカーボルト固定用治具に必要とされる剛性を確保しつつ、従来の断面コ字状の溝形鋼より連結棒の高さ方向の寸法を短尺化できる。これに伴い、アンカーボルト固定用治具の高さ方向の寸法も短尺化できるので、基礎鉄筋とアンカーボルト固定用治具との隙間を連結棒の高さ方向に拡大できる。
【0021】
かかる隙間が高さ方向に拡大した分だけ、基礎鉄筋の組み付けに誤差が生じて基礎鉄筋の高さが高くなった場合であっても、アンカーボルトと基礎鉄筋との干渉を防止できる。よって、アンカーボルト固定用治具の取付高さを変更しなくてよい。従って、コンクリート躯体の上面からアンカーボルト固定用治具の上面までの距離がアンカーボルトに必要な埋設深さの距離に設定されるので、アンカーボルトに必要とされる埋設量を確保できる。
【0022】
さらに、アンカーボルトの下端が連結される複数の支持板は、一対の連結棒の平坦に形成される上面に連結されるので、複数のアンカーボルトの下端が複数の支持板にそれぞれ直交される。よって、複数のアンカーボルトがコンクリート躯体に埋設される埋設量にばらつきが発生することを防止できるので、複数のアンカーボルトに必要とされる埋設量を確保できるという効果がある。
【0023】
請求項2記載の直接定着式アンカーボルト固定用治具によれば、請求項1記載の直接定着式アンカーボルト固定用治具の奏する効果に加え、複数組の連結棒の端部を一方の端部先端が他方の端部側面に突き当たるように突き合わせ、その突き合わせ部分を溶接することにより、アンカーボルト固定用治具はアンカーボルトの軸心方向から視て額縁状に形成される。かかる場合において、連結棒は、連結棒の軸心と直交する連結棒の断面形状が正方形に形成されるので、従来の断面コ字状の溝形鋼に比べて、連結棒の突き合わせ部分を溶接する溶接作業の作業性を向上できるという効果がある。
【0024】
即ち、従来の断面コ字状の溝形鋼の場合は、複数の溝形鋼の端部を一方の端部先端が他方の端部側面に突き当たるように突き合わせた状態で、一方の溝形鋼の内側面および外側面を溶接する必要がある。また、溝形鋼の内側面側を溶接する場合は、溶接トーチ等を溝形鋼のコ字状の内側面で囲まれる狭い空間に挿入し移動させながら溶接作業を行わなければならない。よって、溝形鋼の内側面と溶接トーチとが干渉すると共に溶接箇所を視認できないので、作業性が悪く、製品精度が低かった。
【0025】
これに対して、請求項2記載の直接定着式アンカーボルト固定用治具によれば、複数組の連結棒の端部を一方の端部先端が他方の端部側面に突き当たるように突き合わせた状態で、連結棒の外周面を溶接すればよい。よって、狭い空間に溶接トーチ等を挿入して溶接作業を行う必要がないので、溶接トーチと連結棒とが干渉することなく溶接箇所を視認しながら、連結棒の突き合わせ部分を溶接できる。よって、連結棒の突き合わせ部分を溶接する溶接作業の作業性を向上でき、製品精度を向上できる。
【0026】
また、連結棒の軸心と直交する連結棒の断面形状が正方形であるので、連結棒の外周面を形成する4つの面のうち、いずれの面にも複数の支持板を取り付けることができる。よって、複数組の連結棒を突き合わせる場合に、いずれの面を複数の支持板が取り付けられる上面にするかについて判断する必要がないので、複数組の連結棒の端部を突き合わせる作業を簡易に行えるという効果がある。
【0027】
請求項3記載の直接定着式アンカーボルト固定用治具によれば、請求項1記載の直接定着式アンカーボルト固定用治具の奏する効果に加え、複数組の連結棒の端部を一方の端部先端が他方の端部側面に突き当たるように突き合わせ、その突き合わせ部分を溶接することにより、アンカーボルト固定用治具はアンカーボルトの軸心方向から視て額縁状に形成される。かかる場合において、連結棒は、連結棒の軸心と直交する連結棒の断面形状が、上面および下面の離間距離が対向する一対の側面の離間距離より短い横長の長方形に形成されるので、従来の断面コ字状の溝形鋼に比べて、連結棒の突き合わせ部分を溶接する溶接作業の作業性を向上できるという効果がある。
【0028】
さらに、連結棒は、連結棒の軸心と直交する連結棒の断面形状が、上面および下面の離間距離が対向する一対の側面の離間距離より短い横長の長方形に形成されるので、長方形の場合と同じ剛性を確保した状態で断面形状を正方形に形成した場合に比べて、連結棒の高さ方向の寸法を短くできる。高さ寸法が短くなった分だけ、基礎鉄筋とアンカーボルト固定用治具との隙間を連結棒の高さ方向にさらに拡大できる。従って、隙間が拡大された分だけ、さらにアンカーボルトと基礎鉄筋との干渉を防止できるという効果がある。
【0029】
請求項4記載の直接定着式アンカーボルト固定用治具によれば、請求項1から3のいずれかに記載の直接定着式アンカーボルト固定用治具の奏する効果に加え、アンカーボルト固定用治具の連結板は、一対の連結棒を挟んで支持板と対向し一対の連結棒の下面に両端が連結されるので、支持板と連結板とがアンカーボルトの軸心方向で重なった状態で配置される。よって、アンカーボルト固定用治具の横変形(一対の連結棒に連結された支持板が鋼製橋脚の荷重によってアンカーボルトを中心に折れ曲がろうとする変形)を拘束する拘束力の高い位置で連結板を一対の連結棒の下面に連結できる。よって、アンカーボルト固定用治具の剛性を向上できるという効果がある。
【0030】
かかる場合、連結板の連結棒の軸心方向における長さが支持板より短く形成されるので、連結板の連結棒の軸心方向における長さが支持板より長く形成される場合に比べて、一対の連結棒と支持板と連結板とで形成される閉鎖空間と外部とを連通させる開口の面積を大きくできる。よって、閉鎖空間と外部との連通面積が大きくなり、閉鎖空間と外部との間でコンクリートの流動性を確保できる。一方、支持板の連結棒の軸心方向における長さが連結板より長く形成されるので、アンカーボルトが連結される支持板の剛性を確保でき、アンカーボルト固定用治具の剛性を向上できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)は、本発明の第1実施の形態における直接定着式アンカーボルト固定用治具よりフーチングと連結される橋梁の正面図であり、(b)は、図1(a)のIbで示す部分を拡大した直接定着式アンカーボルト固定用治具の正面図である。
【図2】(a)はアンカーボルト固定用治具の正面図であり、(b)はアンカーボルト固定用治具の上面図であり、(c)は、アンカーボルト固定用治具の下面図である。
【図3】図2(b)のIII―III線におけるアンカーボルト固定用治具の一部拡大断面図であり、直接定着式アンカーボルト固定用治具の設置工程が図示されている。(a)は、アンカーボルト固定用治具が設置される工程が図示され、(b)は、アンカーボルトが締結される工程が図示され、(c)は、直接定着式アンカーボルト固定用治具の設置が完了した状態が図示されている。
【図4】本発明の第2実施の形態における直接定着式アンカーボルト固定用治具の一部拡大断面図である。
【図5】本発明の第3実施の形態における直接定着式アンカーボルト固定用治具の一部拡大上面図である。
【図6】(a)は従来の直接定着式アンカーボルト固定用治具の一部拡大断面図であり、(b)及び(c)は、アンカーボルト固定用治具の一部拡大断面図である。また、(b)は、基礎鉄筋に組み付け誤差が生じていない場合を示しており、(c)は、基礎鉄筋に組み付け誤差が生じた場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1(a)は、本発明の第1実施の形態における直接定着式アンカーボルト固定用治具1によりフーチング5と連結される橋梁2の正面図であり、図1(b)は、図1(a)のIbで示す部分を拡大した直接定着式アンカーボルト固定用治具1の正面図である。また、図1(a)及び図1(b)において、コンクリートに埋設される直接定着式アンカーボルト固定用治具1を透視した状態で図示しており、スペーサ30及びアンカーボルト固定用治具20の外形が簡略図示されている。なお、図1(a)において、鉄筋Tの図示が省略され、図1(b)において、正面から視て直接定着式アンカーボルト固定用治具1と重なる側部鉄筋T2の図示が省略されている。
【0033】
図1(a)に示すように、橋梁2は、車両等が通行する道路が形成される橋桁3と、その橋桁3を支持する柱と梁とで構成された鋼製橋脚4と、鉄筋T(図1(b)参照)が埋設され鋼製橋脚4を支持するフーチング5と、鋼製橋脚4及びフーチング5を連結する直接定着式アンカーボルト固定用治具1とで構成されている。後述するアンカーボルト10の上端側が型枠(図示せず)で取り囲まれ、その型枠の内部にコンクリートが打設される。よって、後述する直接定着式アンカーボルト固定用治具1のアンカーボルト10とベースプレート4aとフランジプレート4bとが外部に露出しないので、それらに錆が発生することを防止できる。
【0034】
図1(a)及び図1(b)に示すように、鋼製橋脚4は、鋼製橋脚4の軸心と直交する方向(図1(b)左右方向)における断面が四角形をなしてフーチング5に対して垂直に延設されており、ナット4a1上に鋼製橋脚4と一体になったベースプレート4aが設置される。ベースプレート4aは、フーチング5の上面に設置される支持部材であって、ベースプレート4aの下面には、下側ナット4a1が配置される。この下側ナット4a1により、鋼製橋脚4の設置時にアンカーボルト10の鉛直性について最後の微調整を行う。
【0035】
図1(b)に示すように、鋼製橋脚4の側部には鋼製橋脚4の外周面を取り囲む枠状に形成されるフランジプレート4bが溶接されている。フランジプレート4bは、ベースプレート4aの上側(図1(b)上側)にベースプレート4aと所定間隔を空けて配置される。フランジプレート4bの上面には上側ナット4b1が配置される。この上側ナット4b1により、アンカーボルト10がフランジプレート4bに締結される。
【0036】
ベースプレート4a及びフランジプレート4bには、後述するアンカーボルト10が挿通される挿通穴(図示せず)がそれぞれ貫通形成されると共に、骨部材である縦リブ4cによって連結され剛性を向上させている。
【0037】
図1(a)及び図1(b)に示すように、フーチング5は、地中数十メートルに達する複数の基礎杭(図示せず)を束ねるコンクリート躯体であり、鉄筋Tで補強されている。かかる鉄筋Tは、後述するアンカーボルト固定用治具20より下側に位置し水平方向に延設される基礎鉄筋T1と、その基礎鉄筋T1の周縁を取り囲むように基礎鉄筋T1の上側で上下方向に延設される側部鉄筋T2と、側部鉄筋T2の上側で水平方向に延設される上部鉄筋T3とで箱状に形成される。箱状に形成された鉄筋T(図1(b)参照)が型枠(図示せず)で取り囲まれその型枠の内部にコンクリートが打設される。また、基礎鉄筋T1と干渉しない位置に開口部T1aが形成されている。
【0038】
図1(b)に示すように、スペーサ30は、基礎杭(図示せず)上に設置される支持部材であって、その上面に後述するアンカーボルト固定用治具20が設置される。スペーサ30の上端は基礎鉄筋T1から突設されている。よって、アンカーボルト固定用治具20をスペーサ30に設置する場合に、アンカーボルト固定用治具20と基礎鉄筋T1とが干渉しない。従って、後述するアンカーボルト10を規定位置に配置できるので、アンカーボルト10に必要とされる埋設量を確保できる。
【0039】
図1(b)に示すように、直接定着式アンカーボルト固定用治具1は、フーチング5(図1(a)参照)に下端側(図1(b)下側)が埋設されると共にベースプレート4a及びフランジプレート4bに上端側が連結されることにより、フーチング5及び鋼製橋脚4を連結する複数のアンカーボルト10と、それら複数のアンカーボルトの下端が締結されると共に、基礎鉄筋T1より上方に配置されるアンカーボルト固定用治具20とで構成される。
【0040】
アンカーボルト10は、フーチング5に埋設される埋設量が少ないと、軸引張力がアンカーボルト10に作用した場合に、所定の耐力に達する前に抜けてしまいアンカーボルト10本来の強度や粘りを発揮できない。よって、アンカーボルト10本来の強度や粘りを発揮させるために、設計により必要とされる埋設量が規定されている。
【0041】
アンカーボルト10のフーチング5に埋設される下端側には、アンカーボルト10の外周面から突出するスタッド11を有している。このスタッド11により、アンカーボルト10のフーチング5に対する定着力を向上できる。よって、アンカーフレームを用いることなく、アンカーボルト10に作用する軸圧縮力および軸引張力をフーチング5に伝達させられる。
【0042】
また、アンカーボルト10はX字状に交差する側部ブレース12により補強されている。この側部ブレース12を支持する支持棒(図示せず)は、後述するアンカーボルト固定用治具20に支持されている。
【0043】
図2を参照して、アンカーボルト固定用治具20について説明する。図2(a)はアンカーボルト固定用治具20の一部拡大正面図であり、図2(b)はアンカーボルト固定用治具20の上面図であり、図2(c)は、アンカーボルト固定用治具20の下面図である。図2(c)において、Yで示す部分が拡大図示されている。また、図2(a)において、形状を理解し易くするために、上板21と下板23とが高さ方向(図2(a)上下方向)に拡大された状態で図示される。なお、図2(a)では、アンカーボルト固定用治具20は、アンカーボルト10の下端が締結された状態で図示される。
【0044】
図2(a)から図2(c)に示すように、アンカーボルト固定用治具20は、アンカーボルト10の下端が締結される複数の上板21と、それら複数の上板21が連結される上面が平坦に形成されると共に軸心を有する長物状の中実鋼材で構成され、所定間隔を隔てつつ配置される一対の連結棒22と、それら一対の連結棒22を挟んで上板21と対向し一対の連結棒22の下面に両端が連結される下板23と、補強部材である下部ブレース24とで構成され、アンカーボルト10の軸心方向(図2(b)及び図2(c)紙面垂直方向)から視て額縁状に形成される。
【0045】
図2(a)及び図2(b)に示すように、上板21は、L字状の板材である第1上板21aと、略正方形の板材である第2上板21bと、略長方形の板材である第3上板21cとで構成される。第1上板21aには挿入穴21a1が、第2上板21bには挿入穴21b1が、第3上板21cには挿入穴21c1がそれぞれ穿設され、その挿入穴21a1,21b1,21c1にアンカーボルト10の下端が挿通され締結される。
【0046】
挿入穴21a1は、L字状の第1上板21aの角部と端部とにそれぞれ穿設され、隣り合う挿入穴21a1の間には、コンクリートの充填を促進するための挿通穴21a2が穿設される。また、上板21には、側部ブレース12(図1(b)参照)を支持する支持棒(図示せず)が連結される。よって、側部ブレース12はアンカーボルト固定用治具20によって支持される。
【0047】
第3上板21cは、後述する連結棒22の軸心方向(図2(b)左右方向又は上下方向)で連結棒22の中央に配置され、アンカーボルト固定用治具20の内側端部を他の第2上板より突出させている。この第3上板21cの突出部分には下部ブレース24が連結され、その下部ブレース24はアンカーボルト10の軸心方向から視て矩形状に形成される。よって、下部ブレース24によってアンカーボルト固定用治具20の剛性を向上できる。
【0048】
図2(b)及び図2(c)に示すように、四組の一対の連結棒22によって、アンカーボルト固定用治具20は、アンカーボルト10(図2(a)参照)の軸心方向から視て額縁状に形成される。この場合、複数組の連結棒22の端部を一方の端部先端(例えば、図2(c)のYで示す部分において、左右方向に延設する連結棒22の右先端)が他方の端部側面(例えば、図2(c)のYで示す部分において、上下方向に延設する連結棒22の左側面)に突き当たるように突き合わせた状態で、突き合わせ部分を溶接することにより、4組の一対の連結棒22が連結される。なお、アンカーボルト固定用治具20の角部分に配置される一方の連結棒22と他方の連結棒22との突き合わせ部分は、連結棒22の長さを短尺化して形成される補強棒22aが一対の連結棒22の間に架設されることにより、補強される。
【0049】
連結棒22は、上述したように、長物状の中実鋼材で構成される(図3参照)ので、アンカーボルト固定用治具20にアンカーボルト10の軸心方向でアンカーボルト10とアンカーボルト固定用治具20の自重を受けるために必要とされる剛性を確保しつつ、従来の断面コ字状の溝形鋼より連結棒22の高さ方向の寸法を短尺化できる。よって、アンカーボルト固定用治具20と基礎鉄筋T1との隙間S(いずれも図3参照)を拡大できるので、かかる隙間Sが拡大した分だけ、従来の断面コ字状の溝形鋼の場合に比べて、基礎鉄筋T1の組付誤差が生じて基礎鉄筋T1の高さが高くなっても、アンカーボルト固定用治具20を基礎鉄筋T1に干渉させることなく設置できる。
【0050】
また、複数組の一対の連結棒22の端部を突き合わせた状態で溶接する場合は、連結棒22は、連結棒22の軸心と直交する連結棒22の断面形状が正方形に形成されるので、従来の断面コ字状の溝形鋼に比べて、連結棒22の突き合わせ部分を溶接する溶接作業の作業性を向上できる。
【0051】
即ち、従来の断面コ字状の溝形鋼の場合は、複数の溝形鋼の端部を一方の端部先端が他方の端部側面に突き当たるように突き合わせた状態で、一方の溝形鋼の内側面および外側面を溶接する必要がある。また、溝形鋼の内側面側を溶接する場合は、溶接トーチ等(図示せず)を溝形鋼のコ字状の内側面で囲まれる狭い空間に挿入し移動させながら溶接作業を行わなければならない。よって、溝形鋼の内側面と溶接トーチとが干渉すると共に溶接箇所を視認できないので、作業性が悪く、製品精度が低かった。
【0052】
これに対して、連結棒22が中実鋼材で構成される場合は、複数組の連結棒22の端部を一方の端部先端が他方の端部側面に突き当たるように突き合わせた状態で、連結棒22の外周面を溶接すればよい。よって、狭い空間に溶接トーチ等を挿入して溶接作業を行う必要がないので、溶接トーチと連結棒22とが干渉することなく溶接箇所を視認しながら、連結棒22の突き合わせ部分を溶接できる。従って、連結棒22の突き合わせ部分を溶接する溶接作業の作業性を向上でき、製品精度を向上できる。
【0053】
さらに、上述したように、アンカーボルト10の下端が締結される複数の上板21は、一対の連結棒22の平坦に形成される上面に連結される。よって、複数のアンカーボルト10の下端が複数の上板21にそれぞれ直交される。従って、複数のアンカーボルト10がフーチング5(図1(a)参照)に埋設される埋設量にばらつきが発生することを防止できるので、複数のアンカーボルト10に必要とされる埋設量を確保できる。
【0054】
図2(a)から図2(c)に示すように、下板23は、アンカーボルト10の軸心方向から視て、連結棒22の軸心方向(図2(a)左右方向)における上板21の両端とそれぞれ重なるように配置され、連結棒22の軸心方向における長さが上板21より短く形成される。
【0055】
よって、上板21と下板23とがアンカーボルト10の軸心方向で重なった状態で配置されるので、アンカーボルト固定用治具20の横変形(一対の連結棒22に連結された上板21が鋼製橋脚4の荷重によってアンカーボルト10を中心に折れ曲がろうとする変形)を拘束する拘束力の高い位置で下板23を一対の連結棒22の下面に連結できる。従って、アンカーボルト固定用治具20の剛性を向上できる。
【0056】
また、連結棒22の軸心と直交する連結棒22の断面形状が正方形であるので、連結棒22の外周面を形成する4つの面のうち、いずれの面にも複数の上板21及び複数の下板23を取り付けることができる。よって、複数組の連結棒22を突き合わせる場合に、いずれの面を複数の上板21が取り付けられる上面にするか、又は、いずれの面を複数の下板23が取り付けられる上面にするかについて判断する必要がないので、複数組の連結棒22の端部を突き合わせる作業を簡易に行える。
【0057】
また、下板23は、連結棒22の軸心方向における長さが上板21より短く形成されるので、下板23の連結棒22の軸心方向における長さが上板21より長く形成される場合に比べて、一対の連結棒22と上板21と下板23とで形成される閉鎖空間と外部とを連通させる開口の面積を大きくできる。よって、閉鎖空間と外部との連通面積が大きくなり、閉鎖空間と外部との間でコンクリートの流動性を確保できる。一方、上板21の連結棒22の軸心方向における長さが下板23より長く形成されるので、アンカーボルト10が連結される上板21の剛性を確保でき、アンカーボルト固定用治具20の剛性を向上できる。
【0058】
図3を参照して、直接定着式アンカーボルト固定用治具1の設置工程について説明する。図3は、図2(b)のIII―III線におけるアンカーボルト固定用治具20の一部拡大断面図であり、直接定着式アンカーボルト固定用治具1の設置工程が図示される。図3(a)は、アンカーボルト固定用治具20が設置される工程が図示され、図3(b)は、アンカーボルト10が締結される工程が図示され、図3(c)は、直接定着式アンカーボルト固定用治具1の設置が完了した状態が図示される。図3(a)から図3(c)には、基礎鉄筋T1とスペーサ30とが図示されており、図3(b)と図3(c)とにはアンカーボルト10が図示される。
【0059】
まず、図3(a)に示すように、基礎杭(図示せず)上に基礎鉄筋T1が設置された後、基礎鉄筋TIと干渉しない位置にスペーサ30が設置される。
【0060】
次に、図3(b)に示すように、スペーサ30上にアンカーボルト固定用治具20が設置され、アンカーボルト固定用治具20がスペーサ30によって支持される。アンカーボルト固定用治具20を構成する一対の連結棒22は、複数の上板21が連結される上面が平坦に形成されると共に軸心を有する長物状の中実鋼材で構成されるので、連結棒22に必要とされる剛性を確保しつつ、従来の断面コ字状の溝形鋼より連結棒22の高さ方向の寸法が短尺化されている。よって、アンカーボルト固定用治具20の高さ方向の寸法も短尺化されるので、基礎鉄筋T1とアンカーボルト固定用治具20との隙間Sを連結棒22の高さ方向に拡大できる。
【0061】
これにより、かかる隙間Sが高さ方向に拡大した分だけ、基礎鉄筋T1の組み付けに誤差が生じて基礎鉄筋T1の高さが高くなった場合であっても、アンカーボルト固定用治具20と基礎鉄筋T1との干渉を防止できる。よって、アンカーボルト固定用治具20の取付高さを変更しなくてよい。従って、フーチング5(図1(a)参照)の上面からアンカーボルト固定用治具20の上面までの距離がアンカーボルト10に必要な埋設深さの距離に設定されるので、アンカーボルト10に必要とされる埋設量を確保できる。
【0062】
そして、図3(c)に示すように、アンカーボルト固定用治具20の上板21の穿設された挿入穴21a1,21b1,21c1(図2(b)参照)にアンカーボルト10の下端から突出させた挿入部13が挿通され締結される。これにより、アンカーボルト10の下端がアンカーボルト固定用治具20に連結され、直接定着式アンカーボルト固定用治具1の設置が完了する。
【0063】
その後、残りの鉄筋T(側部鉄筋T2及び上部鉄筋T3、図1(b)参照)を組み上げて鉄筋Tを箱状に形成した後、箱状の鉄筋Tの周囲に配置された型枠(図示せず)内にコンクリートを打設してフーチング5を形成する。
【0064】
次に、図4を参照して、本発明の第2実施の形態における直接定着式アンカーボルト固定用治具101について説明する。図4は、本発明の第2実施の形態における直接定着式アンカーボルト固定用治具101の一部拡大断面図であり、図3(c)の直接定着式アンカーボルト固定用治具1に相当する図である。また、上記した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。なお、図5においても同様である。
【0065】
第1実施の形態における直接定着式アンカーボルト固定用治具1の連結棒22は、連結棒22の軸心と直交する連結棒22の断面形状が正方形に形成されるのに対して、第2実施の形態における直接定着式アンカーボルト固定用治具101は、連結棒122の軸心と直交する連結棒122の断面形状が、上面および下面の離間距離が対向する一対の側面の離間距離より短い横長の長方形に形成される。
【0066】
このように、連結棒122の軸心と直交する連結棒122の断面形状を横長の長方形に形成することにより、連結棒122の断面形状が横長の長方形の場合と同じ剛性を確保した状態で断面形状を正方形に形成した場合に比べて、連結棒122の高さ方向の寸法を短くできる。高さ寸法が短くなった分だけ、基礎鉄筋T1(図3参照)とアンカーボルト固定用治具120との隙間S(図3(b)参照)を連結棒の高さ方向にさらに拡大できる。従って、隙間Sが拡大された分だけ、さらにアンカーボルト10と基礎鉄筋T1との干渉を防止できる。
【0067】
最後に、図5を参照して、本発明の第3実施の形態における直接定着式アンカーボルト固定用治具201について説明する。図5は、第3実施の形態における直接定着式アンカーボルト固定用治具201の一部拡大上面図である。
【0068】
第1実施の形態における直接定着式アンカーボルト固定用治具1の上板21と下板23とがアンカーボルト10の軸心方向で重なった状態で配置されるのに対して、第3実施の形態における直接定着式アンカーボルト固定用治具201の下板223を連結棒22の長手方向(図5左右方向)にずらして上板21と下板223とがアンカーボルト10の軸心方向(図5紙面垂直方向)で重ならない状態で配置される。
【0069】
上板21と下板223とがアンカーボルト10の軸心方向で重ならない状態で配置されるので、一対の連結棒22と上板21と下板223とで閉鎖空間が形成されない。よって、アンカーボルト固定用治具220の周囲に打設されたコンクリートが流動する流動路を確保でき、コンクリートの流動性を確保できる。
【0070】
以上、各実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した各実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0071】
例えば、各実施の形態では、上板21にアンカーボルト10の下端が締結される場合ついて説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、下板23,223を連結棒22,122の長手方向に拡大させてかかる拡大された下板23,223にアンカーボルト10の下端が締結されてもよい。
【0072】
かかる場合は、アンカーボルト10の取付面が上板21の高さから下板23,223の高さになり、上板21と下板23,223との高さの差だけ、アンカーボルト10の設置位置を下方に下げられる。よって、アンカーボルト10の設置位置を下方に下げた分だけ、基礎鉄筋T1とアンカーボルト固定用治具10,120,220との隙間S(図3(b)参照)を連結棒22,122の高さ方向にさらに拡大できる。従って、隙間Sが拡大された分だけ、さらにアンカーボルト10と基礎鉄筋T1との干渉を防止できる。
【0073】
また、この場合は、上板21の連結棒22,122の長手方向を下板23,223より短くすることにより、コンクリートの流動性を確保できる。さらに、この場合はスペーサ30にも、挿入部13を挿入する穴が穿設される。よって、挿入部13とスペーサ30とを干渉させることなく、アンカーボルト固定用治具1,101をスペーサ30に設置できる。
【0074】
さらに、第1実施の形態では、上板21が、L字状の板材である第1上板21aと、略正方形の板材である第2上板21bと、略長方形の板材である第3上板21cとで構成される場合ついて説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、L字状の板材である第1上板21aの代わりに略正方形の板材である第2上板21bを複数枚利用してもよい。この場合は、上板21を一部共通化できるので、コスト削減を図れる。
【符号の説明】
【0075】
1 直接定着式アンカーボルト固定用治具
4 鋼製橋脚
5 フーチング(コンクリート躯体)
10 アンカーボルト
20 アンカーボルト固定用治具
21 上板(支持板)
21a 第1上板(支持板の一部)
21b 第2上板(支持板の一部)
21c 第3上板(支持板の一部)
22 連結棒
23 下板(連結板)
T1 基礎鉄筋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎鉄筋が埋設されるコンクリート躯体に下端側が鉛直方向に埋設されると共に前記コンクリート躯体の上面に配置される鋼製橋脚に上端側が連結されることにより、前記コンクリート躯体および前記鋼製橋脚を連結する複数のアンカーボルトと、それら複数のアンカーボルトの下端が連結されると共に、前記基礎鉄筋より上方に配置されるアンカーボルト固定用治具とを備え、前記アンカーボルト固定用治具に前記アンカーボルトを連結する直接定着式アンカーボルト固定用治具において、
前記アンカーボルト固定用治具は、
前記アンカーボルトの下端が連結される複数の支持板と、
それら複数の支持板が連結される上面が平坦に形成されると共に軸心を有する長物状の中実鋼材で構成され、所定間隔を隔てつつ配置される一対の連結棒とを備えることを特徴とする直接定着式アンカーボルト固定用治具。
【請求項2】
前記アンカーボルト固定用治具は、前記一対の連結棒を複数組備えると共に、それら複数組の連結棒の端部を突き合わせた状態で溶接することにより、前記アンカーボルトの軸心方向から視て額縁状に形成されるものであり、
前記連結棒は、前記連結棒の軸心と直交する前記連結棒の断面形状が正方形に形成されることを特徴とする請求項1記載の直接定着式アンカーボルト固定用治具。
【請求項3】
前記アンカーボルト固定用治具は、前記一対の連結棒を複数組備えると共に、それら複数組の連結棒の端部を突き合わせた状態で溶接することにより、前記アンカーボルトの軸心方向から視て額縁状に形成されるものであり、
前記連結棒は、前記連結棒の軸心と直交する前記連結棒の断面形状が、前記上面および下面の離間距離が対向する一対の側面の離間距離より短い横長の長方形に形成されることを特徴とする請求項1記載直接定着式アンカーボルト固定用治具。
【請求項4】
前記アンカーボルト固定用治具は、前記一対の連結棒を挟んで前記支持板と対向し前記一対の連結棒の下面に両端が連結される連結板を備え、
前記連結板は、前記連結棒の軸心方向における長さが前記支持板より短く形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の直接定着式アンカーボルト固定用治具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−64021(P2011−64021A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216404(P2009−216404)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】