説明

直立位置にある重なった平坦な郵便物のための個別化区間

搬送パスに沿って配設された、単独で駆動される複数の個別化段(12,13a,13b,13c)と端部に1つの中継箇所(10)とを有する個別化区間において、個別化段(13a,13b,13c)のための駆動制御装置は、郵便物の前縁部が中継箇所(10)で検出されたら直ちに、それぞれ最前の郵便物(8,9)が存在する個別化段(13a,13b,13c)の駆動モータ(4.2,4.3,4.4)が停止されるように形成されている。それぞれ追従郵便物(8,9)は、既に下流方向に第1の停止した個別化段(13a,13b,13c)内に存在しない。停止した各個別化段(13a,13b,13c)の駆動モータ(4.2,4.3,4.4)は、それぞれ前を走る郵便物(8,9)の後縁部が、この個別化段(13a,13b,13c)を出たら、又はそれぞれ追従する郵便物(8,9)が、空の個別化段(13a,13b,13c)の直前に存在したら直ちに、再び始動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の直立位置にある重なった平坦な郵便物のための個別化区間に関する。
【背景技術】
【0002】
1段の個別化装置(特許文献1,特許文献2)と多段の個別化装置(特許文献3)が公知である。多段の個別化装置の場合、個別化装置の個々の段は、互いに空間的に分離されている。これは、分離されて相前後して配設されたベルト駆動機構群である(特許文献3)。
【0003】
特許文献2から公知の装置は、郵便物が加速される個別化部分と、郵便物が更に加速され、2重搬送の場合、付加的に2つの郵便物の一方が排出される加速部分とを有する。
【0004】
特許文献4からは、2つの搬送部分間を異なった搬送速度で郵便物が引渡し隙間を越えて引き渡されることが公知である。
【0005】
特許文献1、特許文献2及び特許文献5からは、それぞれ、どのようにして、搬送部分間を異なった搬送速度で引渡し隙間なく郵便物を引き渡すことができるのかが公知である。このため、特許文献1及び特許文献5から、隣接する2つの搬送部分の搬送ベルトの個々に支承された転向ローラを、高さを交互にして共通の軸に配設することが公知である。
【0006】
郵便物の位置の監視は、これら公知の装置の場合、光バリヤにより実施される。
【0007】
これらの解決策では、長さ種類の多い郵便物を大きな装入量で負荷を少なく個別化することが困難である。
【0008】
特許文献6に記載された個別化区間は、独立して駆動される2つの個別化段を備え、しかしながら、これら個別化段は、大きな郵便物が、搬送中に両個別化段に同時に存在することができない程度に互いに離間されている。ここでは、各個別化段の後に中継箇所も配設されている。即ち、個別化段は、共に郵便物又は2重郵便物に作用しない。
【0009】
更に、特許文献7からは、直接連続する2つの個別化段を有する個別化段が公知であるが、これら個別化段は、独立して制御可能でない。
【特許文献1】米国特許3 372 925
【特許文献2】米国特許2 941 653
【特許文献3】米国特許6 135 441(A)
【特許文献4】仏国特許2 657 857(A1)
【特許文献5】米国特許1 858 320
【特許文献6】米国特許6 550 764(B2)
【特許文献7】独国特許102 12 024(A1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、長さ種類の多い郵便物を大きな装入量で負荷を少なく個別化することができる、直立位置にある重なった平坦な郵便物のための個別化区間を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、この課題は、請求項1の特徴によって解決される。
【0012】
この場合、個別化段のための駆動制御装置は、郵便物の前縁部が中継箇所で検出されたら直ちに、下流方向にそれぞれ最前の郵便物が存在する個別化段の駆動機構が停止され、十分滑りのない更なる搬送が確実に保証されるように形成されている。個別化段の数と長さは、それぞれ最小隙間の間隔を置いて追従する郵便物が、下流方向に最後の停止した個別化段に既に存在しないように、郵便物の長さ種類と定格搬送速度に応じて選択されている。
【0013】
停止した各個別化段の駆動機構は、それぞれ前を走る郵便物の後縁部が、この個別化段を出たら、又はそれぞれ追従する郵便物が、空の個別化段の直前に存在したら直ちに、再び始動される。
【0014】
即ち、前を走る郵便物を搬送するための個別化段の停止/始動工程は、個別化区間での追従する郵便物の搬送に影響を与え、この郵便物は、その場合、中断及び負荷なく前を走る郵便物に対して若干の間隔を置いて中継箇所まで走る。
【0015】
本発明の有利な形成は、下位の請求項に記載されている。
【0016】
最小の、即ち最適な郵便物間の隙間を維持するため、短い郵便物にとって、中継箇所の個別化段の上流の個別化段の搬送ベルトの下流方向で後の転向ローラの中心点の中継箇所からの間隔が、郵便物間の最小隙間を加え、郵便物がそれぞれの定格速度から値0に減速された際又は静止状態からそれぞれの定格速度に加速された際に進む区間を引いた最小の郵便物長さに相当する場合が有利である。
【0017】
追従する郵便物が最小の間隔で前の郵便物に続くことができるように、中継箇所の個別化段の上流に、少なくとも1つの個別化段が配設されており、この個別化段では、搬送パスの搬送ベルトの転向ローラの中心点の間隔が、郵便物がそれぞれの定格速度から値0に減速された際又は静止状態からそれぞれの定格速度に加速された際に進む区間を引いた郵便物間の最小隙間に相当する場合が有利である。この場合、隣接する個別化段の隣接する転向ローラからの、この個別化段の搬送ベルトの転向ローラの中心点の間隔は、少なくとも、郵便物がそれぞれの定格速度から値0に減速された際又は静止状態からそれぞれの定格速度に加速された際に進む区間に相当するが、最大でも最小の郵便物長さよりも大きくない。
【0018】
長い郵便物の場合でも郵便物間の最小の、即ち最適な隙間を維持するため、その転向ローラが、搬送パスにおいて、郵便物がそれぞれの定格速度から値0に減速された際又は静止状態からそれぞれの定格速度に加速された際に進む区間を引いた郵便物間の最小隙間の値だけ互いに離間されている、個別化段に上流で隣接する個別化段の、下流に配設された転向ローラの中心点の中継箇所からの間隔が、少なくとも、減速又は加速区間だけ縮小された郵便物間の最小隙間を引いた最長の郵便物の長さに相当する場合が有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
引き続き、図面を基にした実施例で本発明を説明する。
【0020】
多段の個別化装置は、図示されてない入力領域から成り、この入力領域で、直立している郵便物の堆積体が、それぞれ最前の郵便物を引き出す例えば負圧に支援された引出しベルトによって、自動的に第1の個別化機構に供給され、次に個別化区間の別の個別化段12〜13cに供給される。これは、郵便物が、しばしば部分的に集中的に個別化区間の開始部で重なった形でうろこ状の郵便物流として存在し、この郵便物流が、次に個々の互いに隙間を置いて移動される郵便物に解離されるので、必要である。
【0021】
引出し又は搬送ベルト3の向かい側には、固定の拘束要素を配設することができる。しかしながら、これら拘束要素は、しばしば、うろこ流を完全に解離させる状況にない。図1には、個別化区間の後の部分が平面図で図示されており、この場合、全体を見通すために、搬送パスにおいて個別化要素の向かい側にある拘束要素は図示されてない。
【0022】
個別化段12,13a内でそれぞれ駆動モータ4.1,4.2によって駆動される搬送ベルト3の個々に支承された転向ローラ2は、両個別化段12,13a間の移行部で、共通の軸1上に組み付けられている。これにより、搬送パス内で図示されてない搬送を支援するアンダフロアベルト上に存在する直立している郵便物の郵便物流内の引渡し隙間は、0mmに縮小されている。この配設は、後続の個別化段13aへの絶対的に衝撃のない郵便物の引渡しを可能にする。
【0023】
個別化段12,13a内で搬送ベルト3の高さを異なるように、好ましくは交互にして配設することにより、搬送ベルト3間で作用する拘束要素も、その高さ位置も変えなければならない。パンチ又はクリップで重ねて留められている郵便物8,9、即ち多重郵便物は、郵便物8,9に対する拘束要素の異なった作用点を前提として、容易に互いに解離させることができる。
【0024】
ベルト搬送が、付加的に負圧によって支援されるべきである場合、それぞれ中継をする個別化段12〜13cの固定して配設された負圧室7が、有利なことにそれぞれその前の個別化段への移行部の近傍に配設される。加速させるべき郵便物8,9は、下流に続く個別化段で、その搬送ベルト3のその負圧室7によって早い段階で引っ張られるので、連行力が高められる。
【0025】
下流に続く各個別化段は、それぞれ前に配置された個別化段に比べて高い搬送速度を備え、これにより、個別化工程が付加的に支援される。
【0026】
搬送パスに沿って、個々の光バリア11a〜11dを有するセンサ列11が存在し、これら光バリアにより、駆動モータのための切替え信号を発するための郵便物8,9の前縁部及び/又は後縁部の位置が特定される。
【0027】
郵便物8,9が、障害なく中継箇所10で中継ローラ6−その内の相手ローラは図示されていない−間に挟み込まれて中継されるように、中継ローラ6は、最後の個別化段13cの後の転向ローラ2と共に1つの軸上に回転可能に配設されている。隙間が小さい場合に個別化区間内での郵便物の搬送ができるだけ大切に行なわれるように、運転は、追従する各郵便物8,9が、少なくとも搬送区間の上流に存在する部分を経て中継箇所に至るまで中断なく搬送されるように装置されている。しかしながらまた、この場合、未だ存在する各郵便物の重なりは、できるだけ解離されるべきである。この理由から、第1の郵便物は、抑留されることなく個別化段13a〜13cを経て郵便物の引渡し部10に搬送される。直接郵便物の中継部10の接続点上に位置決めされた光バリア11dが郵便物の前縁部により遮光されたら直ちに、郵便物8,9が、中継箇所10のローラによって捕らえられ、第1の郵便物が存在する全ての個別化段13a〜13cが停止される(これは、短い郵便物9の場合は個別化段13cであり、長い郵便物の場合は、付加的に個別化段13bもであり、非常に長い郵便物8の場合は、更にまた個別化段13aもである)。第1の郵便物は、中継箇所10の中継ローラ6によって、停止している搬送ベルト3に抗して引き出される。これら搬送ベルトは、郵便物の搬送側で、付加的に拘束ベルトとして同様に付着している2重郵便物に作用する。
【0028】
個別化段13a〜13cの数、間隔及び長さは、それぞれ間隔「最小隙間」を置いて追従する郵便物が、停止した個別化段13には既に存在しないように選択されている。最短及び最長の郵便物8,9に関して、これは、この例では以下のことを意味する。即ち、中継箇所10の個別化段13cの搬送パスに存在する転向ローラ2の中心点間の間隔は、郵便物間の最小隙間を加え、郵便物8,9を、静止状態からそれぞれの定格速度に、又は定格速度から静止状態に移行させるために必要である加速区間もしくは減速区間を引いた最短の郵便物9の長さに相当する。その前には、個別化段13bが存在し、この個別化段の搬送パスにおける転向ローラ2の中心点は、加速/減速区間を引いた最小の郵便物隙間の値だけ互いに離間されている。
【0029】
これら転向ローラ2の中心点は、隣接する個別化段13a,13cの隣接する転向ローラ2の中心点から、少なくとも加速/減速区間の値だけ離間されている。しかしながらまた、これら転向ローラ2の中心点の間隔は、その確実な搬送が保証されるように、最短の郵便物9よりも小さくなければならない。
【0030】
最長の郵便物8の前縁部が中継箇所10に達した場合、個別化段13aの搬送パスにおける後の転向ローラ2の中心点からの後縁部の間隔は、加速/減速区間を引いた最小の郵便物隙間の値を備える。
【0031】
最短と最長の郵便物9,8間の差が大きい場合、搬送パスにおける転向ローラ2の中心点1が加速/減速区間を引いた最小の郵便物隙間の値だけ互いに離間されている複数の個別化段が相前後して配設される。
【0032】
前を走る郵便物の後縁部がそれぞれの個別化段13a〜13cを出たら−これは光バリアにより検出されるが−直ちに、追従する郵便物を搬送するためにそれぞれの個別化段の駆動モータ4.2〜4.5のスタートが再び行なわれる。即ち、追従する郵便物は、作動中の個別化段に走入する。それぞれ追従する郵便物8,9が、空の個別化段13a,13b,13cの直前に存在しても直ちに、駆動モータ4.2〜4.5のスタートが行なわれる。
【0033】
前を走る郵便物の後縁部が中継箇所10の中継ローラ6よりもゆっくりと移動することにより、始まる重なりの解離が認められた場合で、郵便物の中継の前のこの解離が効果的である場合、重なりの後の郵便物の前縁部と重なりの前の郵便物の後縁部間の隙間は、(中継ローラ6の駆動モータ4.5内の)計時ユニットとセンサ列11により監視される。基準隙間に達した場合、個別化段13a,13b,13cは再びスタートされる。
【0034】
重なりが中継箇所10内での郵便物の中継の前に分離しない場合、2重引しがが存在する。
【0035】
その場合、重なりの後縁部が中継箇所10に達したら直ちに、個別化段13a,13b及び13は再びスタートされる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】個別化区間の後の部分の概略平面図を示す。
【符号の説明】
【0037】
1 軸
2 転向ローラ
3 搬送ベルト
4.1〜4.5 駆動モータ
6 中継ローラ
7 負圧室
8,9 郵便物
10 中継箇所
11 センサ列
11a〜11d 光バリア
12 個別化段
13a〜13c 個別化段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直立位置にある重なった平坦な郵便物のための個別化区間において、個別化区間が、搬送パスに沿って直接相前後して配設された単独で駆動される複数の個別化段(12,13a,13b,13c)を有し、この場合、
−各個別化段(12,13a,13b,13c)は、郵便物(8,9)を連行する搬送ベルト(3)と、対抗側で搬送ベルト(3)間の高さで郵便物(8,9)に摩擦力を作用する拘束要素とを備え、個別化区間が、搬送パスに沿って配設された郵便物の前縁部及び/又は後縁部を検出するセンサ列(11)を有し、この場合、個別化区間の下流側の端部に中継箇所(10)が配設されており、この中継箇所で、個別化された郵便物(8,9)が、搬送手段に狭持されて中継され、個別化区間から引き出され、
−個別化段(13a,13b,13c)のための駆動制御装置は、郵便物の前縁部が中継箇所(10)で検出されたら直ちに、下流方向にそれぞれ最前の郵便物(8,9)が存在する個別化段(13a,13b,13c)の駆動モータ(4.2,4.3,4.4)が停止されるように形成されており、
−個別化段(13a,13b,13c)の数と長さは、それぞれ最小隙間の間隔を置いて追従する郵便物(8,9)が、下流方向に最後の停止した個別化段(13a,13b,13c)に既に存在しないように、郵便物(8,9)の長さ種類と定格搬送速度に応じて選択されており、
−停止した各個別化段(13a,13b,13c)の駆動モータ(4.2,4.3,4.4)は、それぞれ前を走る郵便物(8,9)の後縁部が、この個別化段(13a,13b,13c)を出たら、又はそれぞれ追従する郵便物(8,9)が、空の個別化段(13a,13b,13c)の直前に存在したら直ちに、再び始動される
ことを特徴とする個別化区間。
【請求項2】
中継箇所(10)の個別化段(13c)の上流の個別化段の搬送ベルト(3)の下流方向で後の転向ローラ(2)の中心点(1)の中継箇所(10)からの間隔が、郵便物(8,9)間の最小隙間を加え、郵便物(8,9)がそれぞれの定格速度から静止状態に減速された際又は静止状態からそれぞれの定格速度に加速された際に進む区間を引いた最小の郵便物長さに相当することを特徴とする請求項1に記載の個別化区間。
【請求項3】
中継箇所(10)の個別化段(13c)の上流に、少なくとも1つの個別化段(13b)が配設されており、この個別化段では、搬送パスの搬送ベルト(3)の転向ローラ(2)の中心点(1)の間隔が、郵便物(8,9)がそれぞれの定格速度から静止状態に減速された際又は静止状態からそれぞれの定格速度に加速された際に進む区間を引いた郵便物(8,9)間の最小隙間に相当し、隣接する個別化段(13a,13c)の隣接する転向ローラ(2)からの、この個別化段(13b)の搬送ベルト(3)の転向ローラ(2)の中心点(1)の間隔が、少なくとも、郵便物(8,9)がそれぞれの定格速度から静止状態に減速された際又は静止状態からそれぞれの定格速度に加速された際に進む区間に相当するが、最大でも最小の郵便物長さよりも大きくないことを特徴とする請求項1に記載の個別化区間。
【請求項4】
その転向ローラ(2)が、搬送パスにおいて、郵便物(8,9)がそれぞれの定格速度から静止状態に減速された際又は静止状態からそれぞれの定格速度に加速された際に進む区間を引いた郵便物(8,9)間の最小隙間の値だけ互いに離間されている、個別化段(13b)に上流で隣接する個別化段(12,13a)の、下流に配設された転向ローラ(2)の中心点(1)の中継箇所(10)からの間隔が、少なくとも、減速又は加速区間だけ縮小された郵便物(8,9)間の最小隙間を引いた最長の郵便物(8)の長さに相当することを特徴とする請求項1に記載の個別化区間。

【図1】
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【公表番号】特表2007−532443(P2007−532443A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507785(P2007−507785)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005712
【国際公開番号】WO2006/012937
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(591209109)シーメンス アクチェンゲゼルシャフト (29)
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】