説明

直線運動を増倍する医療機器制御ハンドル

【課題】患者の心臓における使用、特に心臓の管状領域のマッピングのためのカテーテルを提供する。
【解決手段】このカテーテルは、カテーテル本体と、偏向可能な中間部分と、心臓の管状領域上又は内に位置するように適合された概ね円形の部分を有する遠位にあるマッピングアセンブリとを有する。このカテーテルの制御ハンドルは、偏向アセンブリに対応する第1及び第2牽引ワイヤを介してカテーテルの偏向を可能にし、直線運動アクチュエータアセンブリに対応する第3牽引ワイヤを介した遠位アセンブリの操作を可能にする。直線運動アクチュエータアセンブリには、一対のユーザーインタフェースノブと、第3牽引ワイヤの近位端が係留された物体と、その物体を可動的に宙づりにし、ノブの動程に対してその物体の動程を増倍するような方法で、ノブの長手方向の動程を物体に伝達する一対のアームとが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の制御ハンドルに関し、特に、医療機器を操作する引張り部材の直線運動を増倍するためのメカニズムを有する制御ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
電極カテーテルは、長年にわたり医療行為で一般的に用いられている。電極カテーテルは心臓内の電気的活動を刺激及びマッピングし、異常な電気的活動が見られる部位を除去するために用いられる。心房細動は、一般的な持続性心不整脈であり、脳卒中の主な原因である。この病状は、異常な心房組織基質内で伝播する再流入ウェーブレットによって持続される。ウェーブレットを分断するために、様々な方法が開発されており、外科的又はカテーテル媒介心房切開が含まれる。病状を治療する前に、まず、ウェーブレットの位置を判定しなければならない。そのような判定を行うために、様々な技術が提案されており、構造の内周周囲の肺静脈、環状静脈洞、又は他の管状構造内の活性を測定するように適合された、マッピングアセンブリを備えるカテーテルの使用が含まれる。そのようなマッピングアセンブリの1つは、カテーテル本体を概ね横断し、その遠位にある、概ね円形の主要領域を備え、外周及び主要領域の遠位にある概ね直線の遠位領域を有する、管状構造を有する。管状構造は、少なくともマッピングアセンブリの主要領域上に非導電性カバーを備える。形状記憶を有する支持部材は、少なくともマッピングアセンブリの主要領域内に配置される。複数の電極対(それぞれ2つの環電極を含む)は、マッピングアセンブリの概ね円形の主要領域によって担持される。
【0003】
使用中、電極カテーテルは、主要静脈又は動脈、例えば、大腿動脈に位置付けられている誘導シース内に挿入され、かつ心室内に誘導される。心室内で、カテーテルは、誘導シースの遠位端を通過して伸展し、マッピングアセンブリを曝露させる。カテーテルは、マッピングアセンブリが心室の管状領域に位置付けられるように、カテーテルの遠位部分の偏向を含む動作を介して操作される。カテーテルの正確な位置及び向き、並びにマッピングアセンブリの構成を制御する能力は、非常に重要であり、カテーテルがどれほど有用であるかを大きく決定する。
【0004】
可動型カテーテルは、一般的に周知である。例えば、米国特許第Re 34,502号は、その遠位端にピストンチャンバを有するハウジングを備える、制御ハンドルを有するカテーテルを説明する。ピストンは、ピストンチャンバ内に載置され、縦方向移動が与えられる。細長いカテーテル本体の近位端は、ピストンに付着される。牽引ワイヤは、ハウジングに付着され、ピストンを通り、カテーテル本体を通り、かつカテーテル本体の遠位端の先端部分内に延在する。牽引ワイヤの遠位端は、カテーテルの先端部分内に係留される。この配置では、ハウジングに対するピストンの縦方向動作は、カテーテルの先端部分の偏向をもたらす。
【0005】
米国特許第RE 34,502号に説明される設計は、一般的に、単一の牽引ワイヤを有するカテーテルに制限される。2方向の偏向が望ましい場合、1本以上の牽引ワイヤが必要になる。更に、更なる制御が望ましい場合、マッピングアセンブリの収縮等、追加の牽引ワイヤが必要である。更に、追加の牽引ワイヤを操作するためのメカニズムは、より大きな「射程」をもたらすこと、すなわち、操作するメカニズム自体の動程に対して、牽引ワイヤの動程の度合が大きいことが望ましい。より大きな射程をもたらす制御ハンドルが知られており、これには、米国特許出願第12/550,307号(2009年8月28日出願)、名称「CATHETER WITH MULTI−FUNCTIONAL CONTROL HANDLE HAVING ROTATIONAL MECHANISM」、及び同第12/550,204号(2009年8月28日出願)、名称「CATHETER WITH MULTI−FUNCTIONAL HANDLE HAVING LINEAR MECHANISM」に記述されているものが挙げられ、これら開示の全体が参照により本明細書に援用される。これらの制御ハンドルは、直線運動を回転運動に変換する。したがって、増倍された直線運動で牽引ワイヤを動かすことができる制御ハンドルのニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、制御ハンドル内の直線運動アクチュエータアセンブリのアクチュエータに対応した牽引部材によって調節可能な、遠位コンポーネントを備えた医療機器制御ハンドルを目的とし、この制御ハンドルは、アクチュエータの直線動程に対して牽引部材の直線動程を増加させる増倍メカニズムを提供する。これにより得られる制御部材の「射程(throw)」の増大は、特に、制御ハンドル内のスペースが限られている場合に、遠位コンポーネントの調節性の度合を大きくすることが可能になるため、望ましい。医療機器(特に電気生理カテーテル)が、作動させるコンポーネントの数が増えて複雑化する際に、制御ハンドルは、制御ハンドルのサイズを顕著に拡大することなく、複数の牽引部材の制御を提供すべきである。
【0007】
一実施形態において、制御ハンドルは、アクチュエータアセンブリと、そのアクチュエータアセンブリに作用する第1及び第2傾斜カム部分を備えて構成されたハウジングとを有する。このアクチュエータアセンブリには、牽引部材の近位端が固定されている物体と、第1及び第2ノブと、第1及び第2アームとが含まれ、ここにおいてアームは、制御ハンドル内でその物体を宙づりにし、第1及び第2ノブの長手方向運動を、ノブの動程距離に対してその物体、ひいては牽引部材の動程距離が倍増するような方法で、伝達するよう適合される。
【0008】
より詳しい一実施形態において、対向する端にあるアームは、一方がノブに、もう一方がその物体に、それぞれ可動的に連結され、これによりハウジングの傾斜カムがアームに作用して、ノブ及びその物体に対するアームの取付け角度を変化させ、これによりその物体の動程距離がノブの動程距離よりも大きくなるようにすることができる。
【0009】
より詳しい一実施形態において、アームの外側端はフィンガーに連結され、このフィンガーは各ノブから半径方向に伸びて制御ハンドルハウジング内に延在し、制御ハンドルハウジングに対して、ノブから伸びるフィンガーの角度を変えることによって、その物体の動程距離を変化させることができる。別の一実施形態において、その物体の動程距離は、その物体に滑車を使用することによって倍増することができ、このとき牽引部材は、近位端がその物体の遠位側に固定された滑車の周囲に約180度巻き付けられる。
【0010】
本発明の別の一実施形態において、カテーテルは、細長い本体と、調節可能な構成を有する遠位アセンブリと、その細長い本体及び遠位アセンブリ内を通って延在する牽引部材に作用するアクチュエータアセンブリを有する制御ハンドルとを含む。制御ハンドルのハウジングは、対向する第1及び第2傾斜カム部分を備えて構成され、これらが共同して、制御ハンドルに取り付けられたアクチュエータアセンブリの対向するユーザーインタフェースノブに作用する。このアクチュエータアセンブリには、牽引部材の近位端が固定されている物体と、第1及び第2アームとが含まれ、ここにおいてアームは、制御ハンドル内でその物体を宙づりにし、第1及び第2ノブの長手方向運動を、ノブの動程距離に対してその物体、ひいては牽引部材の動程距離が倍増するような方法で、伝達するよう適合される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明のこれらの及び他の特徴及び利点は、添付図面と合わせて考慮するとき、以下の詳細な説明を参照することにより、より十分に理解されるであろう。選択した構造及び特徴は、残りの構造及び特徴を見やすくするために、特定の図面には示されていない点を理解されたい。
【図1】本発明のカテーテルの一実施形態の平面図。
【図2A】第1直径に沿った、カテーテル本体と中間部分との連結部の一実施形態の側断面図。
【図2B】第1直径に概ね垂直な第2直径に沿った、図2Aの連結部の側断面図。
【図2C】線C−Cに沿った、図2A及び2Bの中間部分の端面断面図。
【図3】制御ハンドルハウジングの半分体の一実施形態の平面図。
【図4】制御ハンドルに提供される直線運動アクチュエータアセンブリの一実施形態の側断面図。
【図4A】線A−Aに沿った、図4の直線運動アクチュエータアセンブリの端面断面図。
【図4B】線B−Bに沿った、図4の直線運動アクチュエータアセンブリの端面断面図。
【図5】図4の直線運動アクチュエータアセンブリの略図。
【図6】直線運動アクチュエータアセンブリの別の第1実施形態の側断面図。
【図7】直線運動アクチュエータアセンブリの別の第2実施形態の側断面図。
【図8】直線運動アクチュエータアセンブリの別の第3実施形態の側断面図。
【図8A】線A−Aに沿った、図8の直線運動アクチュエータアセンブリの端面断面図。
【図8B】線B−Bに沿った、図8の直線運動アクチュエータアセンブリの端面断面図。
【図9】直線運動アクチュエータアセンブリの別の第4実施形態の側断面図。
【図9A】線A−Aに沿った、図9の直線運動アクチュエータアセンブリの端面断面図。
【図9B】線B−Bに沿った、図9の直線運動アクチュエータアセンブリの端面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、制御ハンドルのコンポーネント遠位部の操作又は調整において、牽引ワイヤの「射程」又は動程の度合がより大きくなるように、牽引ワイヤを操作するための増倍直線運動アクチュエータアセンブリを備えた、制御ハンドル10を目的とする。この制御ハンドルは、例えば、心臓を初めとする組織のマッピング及び/又はアブレーションのために構成された電気生理(EP)カテーテルなど、様々な任意の医療機器と共に使用することができる。この一実施形態を図1に示す。
【0013】
図1のカテーテルは、細長いカテーテル本体12、その細長いカテーテル本体12の遠位端にある偏向可能な中間部分14、及び先端部分15を含み、その先端部分は、例えば中間部分14の遠位端にある螺旋形状を有する遠位アセンブリ17を有する。カテーテルと共に使用するための制御ハンドル16は、偏向ダイヤル50を有し、これは制御ハンドル16から伸びてカテーテル本体12及び中間部分14を通る一組の牽引ワイヤを作動させ、この中間部分の2方向偏向を行う。本発明の特徴に従い、この制御ハンドルには更に、遠位アセンブリ17の操作又は調整(例えば、遠位アセンブリの螺旋形状を収縮させる)において第3牽引ワイヤを作動させるための、対向する一対の直線ノブを有する直線運動増倍アセンブリが含まれる。
【0014】
図2A及び2Bを参照すると、カテーテル本体12は、単一、中央又は軸的管腔18を備える。カテーテル本体12は、可撓性、すなわち曲げることができるが、その長さに沿って実質的に非圧縮性である。カテーテル本体12は、任意の好適な構造のものとすることができ、かつ任意の好適な材料で作製することができる。一実施形態では、カテーテル本体12は、ポリウレタン又はナイロン製の外壁22を含む。外壁22は、制御ハンドル16が回転されるとき、カテーテル10の先端部分が対応する方向に回転されるように、ステンレス鋼等の埋め込まれた編みメッシュを含んでおり、これによりカテーテル本体12のねじり剛性を増大させる。
【0015】
カテーテル本体12の外径は重要ではないが、好ましくは約8フレンチ(0.27cm)以下である。同様に、外壁22の厚さは重要ではない。外壁22の内面は、任意の好適な材料、好ましくはポリイミドで作製することが可能な補強管20でライニングされる。硬化チューブ材20は、カテーテル本体12の近位端の外壁22に対する場所に保持される。第1糊接合部23は、速乾性糊、例えば、Super Glue(登録商標)によって、補強管20の遠位端と外壁22の遠位端との間に作製される。その後、第2糊接合部25が、より遅乾性ではあるが、より強力な糊、例えばポリウレタンを使用して、補強管20の近位端と外壁22の近位端との間に形成される。
【0016】
編組みされた外壁22と共に、補強管20は、改善されたねじれ安定性を提供し、一方で、それと同時にカテーテルの壁厚を最小化し、それにより、単一管腔の直径を最大化する。硬化チューブ材20の外径は、外壁22の内径とほぼ同一、又はそれよりもわずかに小さい。ポリイミドチューブ材は、非常に薄い壁である得るが、非常に優れた剛性を提供するため、好適である。これは、強度及び剛性を犠牲にせずに、中央管腔18の直径を最大にする。ポリイミド材料は、屈曲したときにねじれる傾向があるため、通常は硬化チューブ材に使用されない。しかしながら、ポリウレタン、ナイロン、又は他の同様の材料、特にステンレス鋼編みメッシュを有する材料の外壁22と組み合わせて、ポリイミド硬化チューブ材20の屈曲したときのねじれる傾向は、カテーテルが使用される用途に対して、本質的に解消されることが分かっている。
【0017】
一実施形態では、外壁22は、約0.234cm(0.092インチ)の外径及び約0.160cm(0.063インチ)の内径を有し、ポリイミド硬化チューブ材20は、約0.156cm(0.0615インチ)の外径及び約0.132cm(0.052インチ)の内径を有する。
【0018】
図2A、2B、及び2Cに示されるように、中間部分14は、複数の管腔、例えば、第1管腔30、第2管腔31、第3管腔32、及び第4管腔33を有する管19のより短い部分を含む。チューブ材19は、好ましくは、カテーテル本体12より柔軟である好適な非毒性材料で作製される。チューブ材19に好適な材料は、編みポリウレタン、すなわち編みステンレス鋼などの埋込みメッシュを有するポリウレタンである。カテーテル本体12の外径と同様に、中間部分14の外径は、好ましくは、約8フレンチ(0.27cm)以下である。管腔の大きさは、重要ではない。一実施形態では、この中間部分は、約7フレンチ(0.23cm、(0.092インチ))の外径を有し、管腔は一般的に、約0.056cm(0.022インチ)の直径を有し、ほぼ同一の大きさであるか、又は、選択した管腔は、約0.091cm(0.036インチ)のわずかに大きな直径を有することが可能である。
【0019】
カテーテル本体12を中間部分14に取り付ける手段が、図2A及び2Bに示されている。中間部分14の近位端は、ポリイミド硬化材20の外側表面を受け止める内部カウンターボア24を備える。中間部分14及びカテーテル本体12は、糊29等で付着させる。
【0020】
図2A及び2Bに示すとおり、様々な構成要素、例えば、リードワイヤ及び複数の牽引ワイヤ、並びに任意の他のワイヤ又はケーブルは、カテーテル本体12の単一管腔18を通って延在する。カテーテル本体12に対する牽引ワイヤの長手方向動作によって、ユーザーが制御ハンドルを介してカテーテルの様々な部品を制御することが可能になる。一実施形態では、中間部分14を偏向させるための一対の偏向牽引ワイヤ42、及び先端部分15の遠位アセンブリ17を調節するための収縮牽引ワイヤ35がある。
【0021】
単一管腔カテーテル本体12は、単一管腔18本体が、カテーテル10を回転させるときにより良好な先端制御を可能にすることができるので、複数管腔本体よりも好ましいものであり得る。単一管腔18は、そこを通って通過する構成要素が、カテーテル本体内を自由に浮遊することを可能にする。そのような構成要素が複数の管腔内で制限される場合、それらは、ハンドル16が回転されるときにエネルギーを蓄積することができ、それによって、例えば、ハンドルが解放された場合、又は曲線周辺で湾曲した場合に、逆回転される傾向を有するカテーテル本体12の裏返りが生じ、いずれも望ましくない性能特性である。
【0022】
1本の偏向牽引ワイヤ42は、カテーテル本体12の中央管腔18を通って、中間部分14の第2管腔31内に延在する。もう1本の偏向牽引ワイヤ42が、中央管腔18を通って、中間部分14の第4管腔33内に延在する。この点において、管腔31、33は偏心しており、平面上で2方向偏向を行うために、互いに正反対の位置にある。偏向牽引ワイヤ42の遠位端は、当業者には理解されるように、T字アンカー(図示なし)を用いることによって、中間部分14の遠位端近くのチューブ材19の壁に係留される。中間部分14では、それぞれの偏向牽引ワイヤ42は、プラスチック(例えば、Teflon(登録商標))のシース81を通って延在し、これは、中間部分14が偏向させられるとき、偏向牽引ワイヤ42が中間部分14のチューブ材19の壁に切り込むことを防止する。
【0023】
図2Bに示すように、偏向牽引ワイヤ42を包囲する関係にある圧縮コイル44は、カテーテル本体12の近位端から中間部分14の近位端へと延在する。圧縮コイル44は、任意の好適な金属、例えば、ステンレス鋼で作製される。圧縮コイル44は、それ自体にきつく巻きつけられ、圧縮に抵抗するのではなく、可撓性、すなわち屈曲を提供する。圧縮コイル44の内径は、好ましくは、牽引ワイヤ42の直径よりもわずかに大きい。例えば、牽引ワイヤ42が約0.018cm(0.007インチ)の直径を有するとき、圧縮コイル44は、好ましくは、約0.020cm(0.008インチ)の内径を有する。牽引ワイヤ42を被覆するTeflon(登録商標)によって、それらが圧縮コイル44内を自由に摺動することが可能になる。圧縮コイル44の外側表面は柔軟な非導電性シース27によって覆われており、これにより圧縮コイル44と他のコンポーネント(例えば、リードワイヤ及びケーブル等)との間の接触を防ぐ。一実施形態において、非導電性シースはポリイミドチューブ材で作製される。
【0024】
圧縮コイル44は、糊接合部50によって、カテーテル本体12内の硬化チューブ材20の近位端に、圧縮コイルの近位端が係留され(図2B)、糊接合部49によって、第2管腔31及び第4管腔33内の中間部分14の近位端付近に、圧縮コイルの遠位端が係留される(図2B)。
【0025】
図1を参照し、中間部分14の遠位端はマッピングアセンブリ17である。マッピングアセンブリ17は、概ね直線の近位領域38、及び、概ね円形の主要領域39を備える。近位領域38は中間部分14に取り付けられ、概ね円形の主要領域は、マッピング及び/又はアブレーションのために複数の電極を担持する。
【0026】
開示されている実施形態において、収縮牽引ワイヤ35は、例えば、心臓の円形領域又は管状領域をマッピング又はアブレーションする際に、概ね円形の主要領域39を収縮させることによって、その直径を変化又は低減させるために提供される。収縮ワイヤ35は、以下に詳しく記載されるように、制御ハンドル16内に係留された近位端を有する。図2Aに示すように、収縮ワイヤ35は、カテーテル本体12の中央管腔18を通り、中間部分14の第3管腔32を通り、遠位アセンブリ17内へと延在する。
【0027】
第3圧縮コイル46は、カテーテル本体12、及び収縮ワイヤ35を包囲する関係にある中間部分シャフト14内に位置する(図2A)。第3圧縮コイル46は、カテーテル本体12の近位端から中間部分14の第3管腔32の遠位端の近くまで伸びる。第3圧縮コイル46は、ステンレス鋼などの任意の好適な金属で作製され、可撓性を提供するため、すなわち、曲がるが圧縮に耐えるように、それ自体にきつく巻かれる。第3圧縮コイル46の内径は、好ましくは、収縮ワイヤ35の直径よりもわずかに大きい。圧縮コイル46の外側表面は、例えば、ポリイミドチューブ材製等の可撓性の非導電性シース68によって被覆される。第3圧縮コイル46は、好ましくは、正方形又は矩形の断面積を有するワイヤから形成され、これにより、円形の断面積を有するワイヤから形成される圧縮コイルよりも圧縮性が小さくなる。その結果、第3圧縮コイル46は、より多くの圧縮を吸収するため、収縮ワイヤ35が遠位アセンブリ17を収縮させるように操作されたときに、カテーテル本体12、特に、中間部分14を偏向させないようにする。
【0028】
第3圧縮コイル46は、その近位端が、近位の糊接合部50によって、カテーテル本体12の硬化チューブ材20に係留され、遠位の糊接合部73によって、中間区域14に係留される。
【0029】
カテーテル10の糊接合部は、ポリウレタンの糊等を含んでよい。糊は、チューブ壁内に作製された孔を通して、シリンジ等を使用して塗布されてよい。そのような孔は、針が永久的な孔を形成するために十分に加熱されるチューブ壁を穿孔する、例えば、針等によって形成されてよい。次いで、糊は、チューブ材内の部品周辺でウィッキングして、構成要素の全周囲の周りに糊接合部を形成するように、孔を通して導入される。
【0030】
遠位アセンブリ17の環電極に付着したリードワイヤ40は、中間部分14の第1管腔30(図2A)を通り、カテーテル本体12の中央管腔18を通り、制御ハンドル16を通って延在し、環電極から受信した情報を受信及び表示するための適切なモニター又は他のデバイスに連結される連結装置(図示なし)内の近位端で終端する。カテーテル本体12の中央管腔18、制御ハンドル16及び中間部分14の近位端を通って延在するリードワイヤ40の部分は、任意の好適な材料、好ましくはポリイミドで作製することが可能な、保護シース62内に封入される。
【0031】
電磁位置センサ(図示なし)は、遠位アセンブリ17の内部又は近くに取り付けられる。センサケーブル36は、センサから中間部分の管腔30内(電極リードワイヤ40に沿って)、カテーテル本体12の中央管腔18内、そして制御ハンドル内へと延在し、ここで好適なコネクタ(図示なし)で終端する。
【0032】
図1を参照し、制御ハンドル16は、好適な成形プロセスによって構成されたプラスチックなどの、任意の好適な剛性材料で作製することが可能な、概ね細長いハンドルハウジング27を含む。図示された実施形態では、ハウジングは、2つの対向する半分体16a及び16bを含み、これらは、概ね互いに鏡像関係にあり、糊、超音波接合又は他の適切な手段により、ハウジングの周囲の長手方向の継ぎ目28に沿って接合される。
【0033】
図1に図示された実施形態において、制御ハンドル16は、偏向制御アセンブリ13のコンポーネントを収納し、これには、第1及び第2牽引ワイヤ42を介して中間部分14の2方向偏向を行うための偏向ダイヤル50が含まれる。図3に示すように、偏向ダイヤル50を一方向に動かすことによって、その方向の牽引ワイヤが近位側に引っ張られ、中間部分をその方向に偏向させる。
【0034】
それぞれの牽引ワイヤ42は、ステンレス鋼又はニチノール等の任意の好適な金属で作製される。好ましくは、それぞれの牽引ワイヤは、Teflon(登録商標)コーティングなどの低摩擦コーティングを有する。それぞれの牽引ワイヤは、好ましくは約0.015cm(0.006インチ)〜約0.030cm(0.012インチ)の範囲の直径を有する。好ましくは、両方の牽引ワイヤは同一の直径を有する。平坦な牽引ワイヤを丸い牽引ワイヤの代わりに用いてもよい。それらの断面の寸法は、丸い牽引ワイヤに相当する引張強度を与えることができるものであるべきである。あるいは、張力繊維を全体又は一部に使用することができる。張力繊維は、好ましくは、実質的に2480〜3200Mpa(412〜463ksi)の範囲の最大引張強度を有する、高分子密度ポリエチレン(例えば、Spectra(商標)又はDyneema(商標))、又は紡糸パラアラミド繊維ポリマー(例えば、Kevlar(商標))、又は溶融紡糸液晶ポリマー繊維ロープ(例えば、Vectran(商標))、又は高強度セラミック繊維(例えば、Nextel(商標))などの、高弾性率の繊維材料のものとすることができる。「繊維(fiber)」という用語は、張力繊維(tensile fiber)が織られた又は編まれた構造体であり得るという点で、本明細書では複数形の繊維(fibers)と互換性を持って使用される。いかなる場合においても、これらの材料は可撓性である傾向を有し、カテーテル先端部を偏向させる際のより大きな射程のために滑車などとの巻き付き係合に使用されるときに、適切な耐久性を提供する。更に、それらの材料は実質的に非伸縮性であり、非伸縮性であることが制御ハンドルの操作に対する反応性を増大させ、またMRIで概ね透明に見えるように非磁性である。材料が低密度であることは、その材料をX線機器に対してほぼ透明にする。材料は、短絡を防止するために非電導性にすることもできる。例えば、Vectran(商標)は、高い強度、高い耐摩耗性を有し、電気絶縁体、非磁性のポリマーであり、持続的な負荷状態の下での伸長性が低い。
【0035】
偏向ダイヤルを有する好適な偏向アセンブリの1つが、同時係属中の米国特許出願第12/211,728号(2008年9月16日出願)、名称「CATHETER WITH ADJUSTABLE DELFECTION SENSITIVITY」に記載されており、この開示全体が、参照により本明細書に援用される。好適な偏向制御ハンドル及びその部品は、米国特許出願第08/924,611号(1997年9月5日出願)、名称「Omni−Directional Steerable Catheter」、同第09/130,359号(1998年8月7日出願)、名称「Bi−Directional Control Handle for Steerable Catheter」、及び同第09/143,426号(1998年8月28日)、名称「Bidirectional Steerable Catheter with Bidirectional Control Handle」に記述されており、これらの開示全体が、参照により本明細書に援用される。
【0036】
第3牽引ワイヤ(例えば、収縮ワイヤ35)によって遠位アセンブリ17を調整するためには、制御ハンドル16内に収納されている直線運動増倍アセンブリ60によって作動させるために、その収縮ワイヤの近位端が、制御ハンドル16に係留されている。開示されている実施形態において、直線運動アセンブリ60は、制御ハンドル内の偏向アセンブリの近位にある。
【0037】
図4の実施形態に示されているように、直線運動アセンブリ60には、第1及び第2直線アクチュエータ又は制御ノブ62、牽引ワイヤアンカー64、並びに、ノブの動きをアンカーにリンクするため、それらの間に延在する第1及び第2剛性アーム66が含まれる。アンカー64は剛性アーム66を介して制御ノブ62に接続されているため、ノブの長手方向の並進運動は、第3牽引ワイヤ35を作動させるアンカーの長手方向並進運動をもたらす。本発明の特徴に従い、アームはノブ及びアンカーに可動的に接続されており、これにより少なくともアームの取り付けの角度(取り付けの位置も共にではなく)が、制御ノブの動程に対してアンカーの動程を増大させる(又は「増倍する」)よう変化し得る。
【0038】
第1及び第2制御ノブ66は、制御ハンドル16の直径方向軸DAに沿って、ハウジング27の正反対の位置にある。各ノブは、ユーザーの手に接触するための表面積72を備えた外側インタフェース部分70を有する。各ノブは更に、細長い内側部分又はフィンガー74を有し、これは対応する軸スロット76を通って制御ハンドルハウジングの内部に伸びる。このスロットは、ハウジングの対向する位置に形成された所定の長さを有する。よってノブ62は、各軸スロット76の一方の端80(例えば、図4及び図5の遠位端)ともう一方の端82(例えば、図4及び図5の近位端)との間の距離Lを、制御ハンドルの外側表面78に沿って、ユーザーが長手方向に摺動させることができる。以下に更に詳しく説明される特徴として、スロット76でのハウジング半分体の厚さTは変動し、最大厚さから最小厚さへと先細になっている。
【0039】
フィンガー74はハウジング16に対して角度βで延在し、この角度は約0〜90度の範囲であり、好ましくは約40〜60度である。図4の実施形態において、角度βは約90度である。ノブは2つの別々の部材として図示されているが、これらは隣接する端で連結させることができ、あるいは単一の連続構造を有していてもよく、この場合フィンガー74は、ハウジングの内部を横切って連結され延在する。そのような連結は、ノブをハウジングにしっかり固定し、ノブの同期的な動きを確実にする。
【0040】
牽引ワイヤアンカー64は、制御ハンドルハウジングの内部に、長手方向の動きのための大きさである構造を有する。図示されている実施形態において、これは、第3牽引ワイヤ35が通って延在する長手方向のトンネル又はチャンネル86を備えた本体を有する。第3牽引ワイヤは、例えばワイヤの近位端にけん縮されたフェルール90によって係留される。第3牽引ワイヤの張力は任意の好適な方法によって調整可能であり、例えば、張力調整インサート92が様々な長手方向位置でアンカー64と連結し、これにより第3牽引ワイヤに適切な張力を供給することができる。
【0041】
第1及び第2アーム66はそれぞれ、一般的に剛性の構造であり、外側端94と内側端96との間に長さRを有する。外側端94は、それぞれのノブ62に取り付けられている。内側端96は、一般的にジョイント位置でアンカー64に取り付けられている。更に、長さRは、制御ハンドルハウジングの内径Dintの半分よりも長いため、アーム66は、制御ハンドル16の中央長手方向軸に沿って、直径方向軸DAから長手方向にずれた位置でアンカー64を有利なように宙づりにする。図4に図示されている実施形態において、牽引ワイヤアンカー64はノブ62の右側(つまり近位側)に、宙づりにされている。
【0042】
図4、4A及び4Bの実施形態において、ノブ62に対して牽引ワイヤアンカー64の動程を増加又は増倍することができるように、ノブ62とそれに対応するアーム66とを可動的に接続するためには、少なくとも1つのローラー100(又は一対のローラー)が各アーム66の各外側端94に提供される。各ローラーはアームから横断方向に(例えば、約90度の角度で)延在し、ノブ62のフィンガー74に形成された102に受容される。各ローラーは、それぞれのピン104を中心に回転可能である。各スロット102は、フィンガー74と一直線に整列している。角θは、アーム66と制御ハンドルハウジング27との間の角を画定する。
【0043】
ローラー100は、アーム66の外側端94とそのそれぞれのノブ62との間に、少なくとも、並進運動接続と枢動接続の両方を提供する。特に、各ローラー100は、ピン104を中心に回転(又は枢動(本明細書ではこれらの語を互換的に使用))すると同時にそのスロット102内で並進運動を行い、これによりアーム66の角度θが可変となる。
【0044】
アームの外側端94がハウジング27に対して並進運動かつ回転する際、内側端96も、アンカー64に対してピン106を中心に回転する。図5に示すように、アーム66の外側端94と内側端96それぞれのこの可変取り付けにより、ノブ62が短い距離kを動くときに、アンカー64がより長い距離k’を「振れさせる」ことが可能になる。
【0045】
制御ハンドルハウジング27に対して並進運動と枢動運動との組み合わせでアーム66を作動させるために、各軸スロット76を包囲し画定するハンドルハウジングの一部は、対応するローラー100が接触するカム部分(例えば、傾斜110)を備えて形成される。この傾斜は制御ハンドルハウジング27に沿って長手方向の向きになっており、これによりローラーが軸スロット76で誘導され、傾斜110の上に乗って動く。
【0046】
スロット76を包囲する制御ハンドルハウジングの厚さは、一方の端での最小値と、もう一方の端での最大値との間で変化する。図4に開示されている実施形態において、最小厚さはアンカー64から離れており(例えば、ハウジング27の遠位端側)、最大厚さはアンカーに近い側である(例えば、ハウジング27の近位端側)。よって、図4の実施形態において、ノブ62が左から右へと操作されたとき、すなわち、傾斜110の最小厚さ(ハウジングの半分体27の対向する内側壁間の分離距離が最大)から最大厚さ(ハウジングの半分体27の対向する内側壁間の分離距離が最小)へと操作されたとき、ローラー100が傾斜110に沿って移動するにつれて、アーム66の位置と角度は、ハウジング27に対して変化する。更に、ローラーが互いに近づくと(ローラー100間の分離距離が減少)、剛性アーム66の外側端94は、互いに近づきアンカー64を遠くへ振れさせ、これによりアンカー64と直径方向軸DAとの間のオフセット距離k’がより大きくなる。オフセット距離k’が大きくなると、これに対応して第3牽引ワイヤ35がより大きなオフセット距離を移動し、遠位アセンブリ17の制御ハンドル作動の射程がより大きくなる。
【0047】
よって、最小厚さから最大厚さへの傾斜110に沿ってノブ62をスライドさせることにより、アーム66は制御ハンドルに沿って長手方向の直線運動を強いられる。ローラー100(アーム66とフィンガー74との間の可変取付点を実現する)がこの傾斜に沿って動くと、ローラー間の分離距離が変化する。本発明の特徴に従い、ローラー100間の分離距離が距離A(図4A)から距離A’(図4B)へと減少することで、直線ノブ62にかけられた偏向の増倍が生じる。第3牽引ワイヤ35の偏向(又は動程(本明細書ではこれらの語を互換的に使用))は、図5を参照して、次の式を用いて決定することができる:
k=sqrt(R−h) 式(1)
k’=sqrt(R’−h’) 式(2)
T=L+k’−k 式(3)
T=L+sqrt(R+Ltanφ−h)−sqrt(R−h) 式(4)
式中、
h=制御ハンドルハウジングの内壁と中央長手方向軸Xとの間の最大分離距離
h’=制御ハンドルハウジングの内壁と中央長手方向軸Xとの間の最小分離距離
k=最大分離距離でのフィンガーとアンカーとの間のオフセット距離(例えば、牽引ワイヤの移動なし)
k’=最小分離距離でのフィンガーとアンカーとの間のオフセット距離(例えば、牽引ワイヤの移動が最大)
L=直線ノブの最大動程
R=アームの長さ
φ=傾斜の角度
T=牽引ワイヤの最終的な動程
【0048】
図6に示すように、偏向の増倍率は、ハウジング27に対するスロット102の角度βを減少させることによって増加させることができる。図4の実施形態と比べると、アーム66の外側端94が最大分離距離の時のアンカー64のオフセット距離kは同じであるが、図5のアンカーのオフセット距離k”は、図4のオフセット距離k’よりも大きい。
【0049】
偏向の増倍率は、アンカー64に滑車114を使用することによって、更に2倍に増加させることができる。図7を参照し、滑車114の周りに第3牽引ワイヤ35を巻き付け、滑車のフェルール90遠位の固定により近位端を係留することによって、牽引ワイヤ35の動程距離を2倍にすることができる。上の式(1)〜(4)を適用し、増倍率Xは、次の式によって解くことができる:
X=1+sqrt((R−h)/L+tanφ)−sqrt((R−h)/L) 式(5)
【0050】
図7に示すように、滑車114をアーム66の内側端96の連結部に使用すると、合計動程Tpulleyと増倍率Xpulleyは、次のように表わすことができる:
pulley=2L+2sqrt(R+Ltanφ−h)−2sqrt(R−h) 式(6)
pulley=2+2sqrt((R−h)/L+tanφ)−2sqrt((R−h)/L) 式(7)
【0051】
図8、8A及び8Bに図示されている別の実施形態において、各外側端94は延長部118を有し、これはノブ62’のフィンガー74’の長さに沿って形成された細長いチャンネル120内に受容される。チャンネル120は、フィンガーの長さ方向に形成され、ノブ62’の外側部分72内に入り込んでおり、これによって、外側端94がフィンガーに対して移動し、ローラー100が傾斜110の上に乗って動く際に、延長部118がチャンネル120に沿ってスライドする。延長部118とフィンガー74’との間の可変性接続は可変であるため、アーム66の角βは、第3牽引ワイヤ35の動程を増倍するために変えることが可能になる。この可変性接続は、フィンガー及び延長部の構成に、柔軟性材料、変形可能材料、及び/又は弾性材料を、又はフィンガーと延長部との間のヒンジを使用することによって達成できる。この接続は、延長部118とアーム66との間がより小さな角度(より大きな角度とは違って)になるように、例えば板ばねによって偏っていてもよい。いかなる場合でも、ローラー100は、上述の偏向を増倍させるため、傾斜110に従うよう提供される。
【0052】
図9A、9Bに示されている別の代表的な実施形態において、延長部118は、アームの外側端94から横断して延在し(例えば、図9のページへと伸びる)、これにより延長部は、傾斜110の上で支えられている。
【0053】
使用中、望ましいマッピング位置に位置付けられた遠位端を有する、好適な誘導シースは、患者に挿入される。本発明に関連して使用するための好適な誘導シースの例としては、Biosense Webster,Inc.(Diamond Bar、Calif.)から市販されているPreface(商標)Braiding Guiding Sheathが挙げられる。シースの遠位端は、心室のうちの1つ、例えば、心房内に誘導される。本発明に従うカテーテルは、その遠位端が誘導シースの遠位端から延在するまで、誘導シースから供給される。カテーテルが誘導シースを通して供給される際、遠位アセンブリ17は、伸張され、シースを通り抜ける。カテーテルの遠位端が望ましい位置に位置付けられると、誘導シースは近位に引っ張られ、偏向可能な中間部分14及び遠位アセンブリ17が、シースの外側に延びることが可能になり、遠位アセンブリ17は、形状記憶により、その本来の形状に戻る。
【0054】
次に、中間部分14を偏向させるために偏向ダイヤル50を操作及び回転させることにより、遠位アセンブリ17は、アセンブリ17の概ね円形の主要領域39の外周が管状領域の内側の円周に接触するように、肺静脈又は他の管状領域(上大静脈又は下大静脈など)の中に挿入される。偏向ダイヤル50を一方向に回すことにより、中間部分14がその方向に偏向する。偏向50を反対方向に回すことにより、中間部分14がその反対方向に偏向する。偏向ダイヤル50の張力は、張力ダイヤル51を操作及び回転させることによって調節される。ダイヤル51の一方向への回転は、張力を増加させる。ダイヤル51の反対方向への回転は、張力を減少させる。
【0055】
概ね円形の部分39にある電極の円形配列は、電極間の異所性拍動を特定することが可能なように、管状構造の周縁での電気活性の測定を可能にする。概ね円形の主要領域39の寸法は、肺静脈又は心臓若しくは心臓近傍の他の管状構造の直径に沿った電気活性の測定を可能にするが、それは円形の主要領域が、肺静脈又は他の管状構造のものに概ね相当する直径を有するからである。直線ノブ62を操作することにより、アセンブリ17、特に概ね円形の主要領域39は、肺静脈又は他の管状構造に嵌合するように調整される。開示されている実施形態において、ノブ62を近位側に引っ張ることにより、収縮ワイヤ35が近位側に引っ張られ、概ね円形の領域39を引き締め、直径を減少させる。ノブ62を前方に押し出すことにより、収縮ワイヤ35は遠位に押し出され、これによって概ね円形の領域39が緩み、その直径が拡大する。概ね円形の主要領域の円周の、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約70%、更により好ましくは少なくとも約80%が、管状領域の内側の円周に接触する。
【0056】
上記の説明文は、現時点における本発明の好ましい実施形態に基づいて示したものである。当業者であれば、本発明の原理、趣旨及び範囲を大きく逸脱することなく、本願に述べた構造の改変及び変更を実施することが可能であることは認識されるところであろう。例えば、カテーテルは、第3牽引ワイヤがガイドワイヤ又は針などの別の構成要素を前進及び後退させるように、適合化することができる。当業者によれば理解されるとおり、図面は必ずしも一定の縮尺ではない。したがって、上記の説明文は、本願に述べられ、添付図面に示される厳密な構造のみに関係したものとして読み取るべきではなく、むしろ、以下の最も完全で公正な範囲を有するとされる「特許請求の範囲」と一致し、かつそれらを補助するものとして読み取るべきである。
【0057】
〔実施の態様〕
(1) 細長い本体、前記細長い本体の遠位の遠位アセンブリを有する医療機器のための制御ハンドルであって、前記遠位アセンブリは調整可能な構成を有し、前記医療機器は、前記細長い本体及び前記遠位アセンブリを通って延在する牽引部材を更に含み、前記制御ハンドルが、
第1傾斜及び第2傾斜を備えて構成されたハウジングと、
アクチュエータアセンブリであって、
前記ハウジングに対して所定の距離、共同して可動である第1及び第2ノブと、
前記牽引部材の近位端が固定されている物体と、
前記第1ノブと前記物体との間に延在し、外側端が前記第1ノブに連結され、内側端が前記物体に連結された、第1アームと、
前記第1ノブと前記物体との間に延在し、外側端が前記第1ノブに連結され、内側端が前記物体に連結された、第2アームと、を含む、アクチュエータアセンブリと、を含み、
前記物体は、前記第1及び第2アームによって可動的に宙づりになっており、前記第1及び第2ノブが、前記第1及び第2アームの前記外側端を作動させて前記傾斜に沿って動き、前記外側端の間の分離距離を変化させ、これによって前記牽引ワイヤは、前記遠位アセンブリの前記構成を調整するための前記所定の距離よりも長い距離を移動する、制御ハンドル。
(2) 各傾斜が前記ハウジングの一部分から形成され、前記一部分の一方の端が最大厚さを、前記一部分のもう一方の端が最小厚さを備える、実施態様1に記載の制御ハンドル。
(3) 前記ノブが前記第1及び第2アームの前記外側端を作動させ、前記最小厚さから前記最大厚さへと前記傾斜に沿って動かすにつれて、前記分離距離が減少する、実施態様2に記載の制御ハンドル。
(4) 前記ノブが、前記ハウジング上で互いに概ね正反対の位置にある、実施態様1に記載の制御ハンドル。
(5) 各ノブが外側部分及び内側部分を有し、前記第1及び第2アームの前記外側端が、前記内側部分に可動的に連結されている、実施態様1に記載の制御ハンドル。
(6) 前記第1及び第2アームが、概ね剛性である、実施態様1に記載の制御ハンドル。
(7) 前記物体が、前記ハウジングの長手方向軸に沿って可動である、実施態様1に記載の制御ハンドル。
(8) 各内側部分が、前記ハウジング内に形成されたそれぞれの軸方向スロットを通って延在する、実施態様5に記載の制御ハンドル。
(9) 各外側端が、それぞれの内側部分内に形成されたスロットに可動的に連結されている、実施態様5に記載の制御ハンドル。
(10) 各外側端が、前記スロットに対して少なくともその位置を変えるよう適合されている、実施態様9に記載の制御ハンドル。
【0058】
(11) 各外側端が、前記スロットに対して少なくともその角度を変えるよう適合されている、実施態様9に記載の制御ハンドル。
(12) 細長い本体と、
調整可能な構成を有する遠位アセンブリと、
前記細長い本体及び前記遠位アセンブリを通って延在する牽引ワイヤと、
制御ハンドルと、を含むカテーテルであって、前記制御ハンドルは、
第1傾斜及び第2傾斜を備えて構成されたハウジングと、
直線運動アクチュエータアセンブリであって、
前記ハウジングに対して所定の距離をそれぞれ可動である第1ノブ及び第2ノブと、
前記牽引ワイヤの近位端が固定されている物体と、
前記第1ノブと前記物体との間に延在し、外側端が前記第1ノブに可動的に連結され、内側端が前記物体に可動的に連結された、第1アームと、
前記第1ノブと前記物体との間に延在し、外側端が前記第1ノブに可動的に連結され、内側端が前記物体に可動的に連結された、第2アームと、を含む、直線運動アクチュエータアセンブリと、を含み、
前記物体は、前記第1及び第2アームによって可動的に宙づりになっており、前記第1及び第2ノブが、前記第1及び第2アームの前記外側端を作動させて前記傾斜に沿って動き、前記外側端の間の分離距離を変化させ、これによって前記牽引ワイヤが、前記遠位アセンブリの前記構成を調整するための前記所定の距離よりも長い距離を動く、カテーテル。
(13) 前記制御ハンドルから前記細長い本体の遠位端まで又はその近くまで延在する一対の牽引部材を更に含み、前記制御ハンドルは、前記一対の牽引部材に作用するよう適合された偏向アセンブリを更に含む、実施態様12に記載のカテーテル。
(14) 前記遠位アセンブリが、概ね円形の遠位部分及び概ね直線の近位部分を有し、前記牽引部材の調整によって、前記概ね円形の遠位部分を変化させる、実施態様12に記載のカテーテル。
(15) 前記第1及び第2ノブが、前記制御ハンドルに対して長手方向に直線運動するよう適合された、実施態様12に記載のカテーテル。
(16) 前記第1及び第2アームが、前記物体に枢動可能に連結された内側端と、それぞれ前記第1及び第2ノブに枢動可能に連結された外側端とを有する、実施態様12に記載のカテーテル。
(17) 前記物体が、前記牽引部材に係合する滑車を含む、実施態様12に記載のカテーテル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い本体、前記細長い本体の遠位の遠位アセンブリを有する医療機器のための制御ハンドルであって、前記遠位アセンブリは調整可能な構成を有し、前記医療機器は、前記細長い本体及び前記遠位アセンブリを通って延在する牽引部材を更に含み、前記制御ハンドルが、
第1傾斜及び第2傾斜を備えて構成されたハウジングと、
アクチュエータアセンブリであって、
前記ハウジングに対して所定の距離、共同して可動である第1及び第2ノブと、
前記牽引部材の近位端が固定されている物体と、
前記第1ノブと前記物体との間に延在し、外側端が前記第1ノブに連結され、内側端が前記物体に連結された、第1アームと、
前記第1ノブと前記物体との間に延在し、外側端が前記第1ノブに連結され、内側端が前記物体に連結された、第2アームと、を含む、アクチュエータアセンブリと、を含み、
前記物体は、前記第1及び第2アームによって可動的に宙づりになっており、前記第1及び第2ノブが、前記第1及び第2アームの前記外側端を作動させて前記傾斜に沿って動き、前記外側端の間の分離距離を変化させ、これによって前記牽引ワイヤは、前記遠位アセンブリの前記構成を調整するための前記所定の距離よりも長い距離を移動する、制御ハンドル。
【請求項2】
各傾斜が前記ハウジングの一部分から形成され、前記一部分の一方の端が最大厚さを、前記一部分のもう一方の端が最小厚さを備える、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項3】
前記ノブが前記第1及び第2アームの前記外側端を作動させ、前記最小厚さから前記最大厚さへと前記傾斜に沿って動かすにつれて、前記分離距離が減少する、請求項2に記載の制御ハンドル。
【請求項4】
前記ノブが、前記ハウジング上で互いに概ね正反対の位置にある、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項5】
各ノブが外側部分及び内側部分を有し、前記第1及び第2アームの前記外側端が、前記内側部分に可動的に連結されている、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項6】
前記第1及び第2アームが、概ね剛性である、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項7】
前記物体が、前記ハウジングの長手方向軸に沿って可動である、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項8】
各内側部分が、前記ハウジング内に形成されたそれぞれの軸方向スロットを通って延在する、請求項5に記載の制御ハンドル。
【請求項9】
各外側端が、それぞれの内側部分内に形成されたスロットに可動的に連結されている、請求項5に記載の制御ハンドル。
【請求項10】
各外側端が、前記スロットに対して少なくともその位置を変えるよう適合されている、請求項9に記載の制御ハンドル。
【請求項11】
各外側端が、前記スロットに対して少なくともその角度を変えるよう適合されている、請求項9に記載の制御ハンドル。
【請求項12】
細長い本体と、
調整可能な構成を有する遠位アセンブリと、
前記細長い本体及び前記遠位アセンブリを通って延在する牽引ワイヤと、
制御ハンドルと、を含むカテーテルであって、前記制御ハンドルは、
第1傾斜及び第2傾斜を備えて構成されたハウジングと、
直線運動アクチュエータアセンブリであって、
前記ハウジングに対して所定の距離をそれぞれ可動である第1ノブ及び第2ノブと、
前記牽引ワイヤの近位端が固定されている物体と、
前記第1ノブと前記物体との間に延在し、外側端が前記第1ノブに可動的に連結され、内側端が前記物体に可動的に連結された、第1アームと、
前記第1ノブと前記物体との間に延在し、外側端が前記第1ノブに可動的に連結され、内側端が前記物体に可動的に連結された、第2アームと、を含む、直線運動アクチュエータアセンブリと、を含み、
前記物体は、前記第1及び第2アームによって可動的に宙づりになっており、前記第1及び第2ノブが、前記第1及び第2アームの前記外側端を作動させて前記傾斜に沿って動き、前記外側端の間の分離距離を変化させ、これによって前記牽引ワイヤが、前記遠位アセンブリの前記構成を調整するための前記所定の距離よりも長い距離を動く、カテーテル。
【請求項13】
前記制御ハンドルから前記細長い本体の遠位端まで又はその近くまで延在する一対の牽引部材を更に含み、前記制御ハンドルは、前記一対の牽引部材に作用するよう適合された偏向アセンブリを更に含む、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記遠位アセンブリが、概ね円形の遠位部分及び概ね直線の近位部分を有し、前記牽引部材の調整によって、前記概ね円形の遠位部分を変化させる、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記第1及び第2ノブが、前記制御ハンドルに対して長手方向に直線運動するよう適合された、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記第1及び第2アームが、前記物体に枢動可能に連結された内側端と、それぞれ前記第1及び第2ノブに枢動可能に連結された外側端とを有する、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記物体が、前記牽引部材に係合する滑車を含む、請求項12に記載のカテーテル。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図9A】
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【図9B】
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【公開番号】特開2013−103131(P2013−103131A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−247257(P2012−247257)
【出願日】平成24年11月9日(2012.11.9)
【出願人】(511099630)バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド (50)
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
【住所又は居所原語表記】4 Hatnufa Street, Yokneam 20692, Israel
【Fターム(参考)】