説明

相互に相対的に位置変更可能な少なくとも2つのフレーム部を備えた印刷機の印刷ユニット

フレーム部は、第1の動作位置では共通の接合面において相互に接して配置されており、第2の動作位置では相互に距離を置いて配置されており、またフレーム部間には隙間が形成されており、フレーム部は移動経路に沿って移動可能であるように配置されており、接合面に沿って有効な方向特性または検出領域を備えた、隙間を監視する少なくとも1つのセンサが設けられており、可動フレーム部の移動経路に平行に配向されている、方向特性または検出領域の第1の開口角の開口幅は、方向特性または検出領域の第2または第3の開口角の開口幅よりも小さく、方向特性または検出領域の第2の開口角の開口幅は、可動フレーム部内に支承されている少なくとも1つの印刷部胴の軸方向に配向されており、かつ、方向特性または検出領域の第3の開口角の開口幅は、可動フレーム部の高さの方向に配向されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載されている、相互に相対的に位置変更可能な少なくとも2つのフレーム部を備えた印刷機の印刷ユニットに関する。
【0002】
WO 95/24314 A1およびWO 2005/037 553 A1からはそれぞれ、相互に相対的に位置変更可能な少なくとも2つのフレーム部を備えた印刷機の印刷ユニットが公知である。この印刷ユニットにおいては、共働するそれらのフレーム部が第1の動作位置では相互に接して配置されており、第2の動作位置では相互に距離を置いて配置されており、また印刷ユニットにおいて相互に距離を置いて配置されているフレーム部間には、それらのフレーム部によって部分的に境界付けられた隙間が形成されている。さらには、共働する各フレーム部内にはそれぞれ少なくとも1つの印刷部胴が支承されている。
【0003】
EP 1 790 474 A1からは、固定されたフレーム部と、線形の移動経路に沿って移動可能な少なくとも1つのフレーム部とを備えた印刷ユニットを有する印刷機が公知である。この印刷機においては、固定フレーム部が少なくとも1つの印刷部を有し、可動フレーム部内には少なくとも1つのインキ装置が配置されており、また共働するそれらのフレーム部が第1の動作位置では相互に接して配置されており、第2の動作位置では相互に距離を置いて配置されており、相互に距離を置いて配置されているフレーム部間には、それらのフレーム部によって部分的に境界付けられた隙間が形成されている。さらに、この印刷機には安全装置が設けられており、この安全装置は可動フレーム部に取り付けられた検出装置を用いることにより、この可動フレーム部の移動経路内の障害物の存在を検出する。
【0004】
EP 0 444 227 A1からは、相互に相対的に位置変更可能な少なくとも2つのフレーム部を備えた印刷ユニットを有する印刷機が公知である。この印刷機においては、固定フレーム部内に印刷部胴が配置されており、少なくとも1つの可動フレーム部内に少なくとも1つのインキ装置が配置されており、また共働するそれらのフレーム部が第1の動作位置では相互に接して配置されており、第2の動作位置では相互に距離を置いて配置されており、相互に距離を置いて配置されているフレーム部間には、それらのフレーム部によって部分的に境界付けられた隙間が形成されている。さらに、この印刷機には複数の感圧マットが設けられており、フレーム部が相互に距離を置いて配置されている動作位置において人間がそれらの感圧マットのうちの1つに接触した場合には、例えば印刷部胴の回転が停止される。
【0005】
DE 102 24 031 B3からは、作業手段における検出領域を監視するための装置が公知である。この装置は、2つのカメラと、それらのカメラの手前に配置されているビームスプリッタとから成る少なくとも1つの冗長カメラシステムを有しており、ビームスプリッタを介して検出領域の画像が2つのカメラに結像され、少なくとも1つの保護ゾーン内の危険に曝された対象を検出することができる。さらに装置は2つの計算ユニットを有し、それぞれの計算ユニットは検出された画像情報を評価するために2つのカメラのうちの一方に接続されており、また2つの計算ユニットは相互的な検査を行うために相互に接続されている。また装置は計算ユニットによって制御される少なくとも1つの回路出力側をさらに有しており、保護ゾーン内に危険に曝された対象が存在しない場合にのみ、この回路出力側を介して作業手段が始動される。
【0006】
DE 10 2004 037 888 A1からは、輪転印刷機の印刷ユニットが公知である。この印刷ユニットは、相互に相対的に移動可能に支承されている2つのフレーム部を有しており、これらのフレーム部は共働する少なくとも2つの印刷部胴を備えた少なくとも1つの印刷部をそれぞれ有している。また印刷部胴の両側にはそれぞれ支承ユニットが支承されており、各支承ユニットは少なくとも1つのアクチュエータを有している。それぞれのアクチュエータを用いることにより、印刷部胴をそれぞれの支承ユニットにおいて半径方向に位置調整することができる。アクチュエータは圧力媒体、例えばオイルによって作動可能な調整手段として構成されている。
【0007】
DE 200 11 699 U1によって、1つの対向印刷部胴と、この対向印刷部胴に対応付けられている少なくとも1つの印刷部とを備えた印刷機が公知であり、印刷部はエンベロープ状の印刷装備部の交換可能な収容部のためのエンベロープキャリアを備えた少なくとも2つの支承部とインキ装置とを有し、支承部およびインキ装置は少なくとも1つのガイドレールに沿って対向印刷部胴との間隔において調整可能に支持されており、また支承部のエンベロープキャリアは必要に応じて、印刷技術および/または印刷フォーマットに起因する装備部の交換部を実装することができ、支承部およびインキ装置は動作位置と交換位置と停止位置との間で調整可能であり、また支承部およびインキ装置はラックとして構成されているガイドレール上の動作位置、交換位置および停止位置に支承させるためにそれぞれ調整モータを用いて移動させることができる。
【0008】
US 5,025,726 Aからは、一方を他方に対して相対的に移動させることができる2つのフレーム部を備えた輪転印刷機の印刷ユニットが公知である。この印刷ユニットにおいては、インターロックシステムが設けられている。
【0009】
FR 2 648 506 A1からは、危険領域を封鎖するための、幅が可変の安全フェンスが公知である。
【0010】
ドイツ連邦共和国D-79183ヴァルトキルヒ(Waldkirch)のSICK AG社は、自社の刊行物において、製造番号8010739のセーフティレーザスキャナ、またその用途について記述している。この刊行物は2006年4月1日に発行されたものである。
【0011】
本発明の課題は、印刷ユニットの少なくとも1つの可動フレーム部に起因する、この印刷ユニットの危険領域内に居る作業員の危険が回避される、相互に相対的に位置変更可能な少なくとも2つのフレームを備えた印刷機の印刷ユニットを提供することである。
【0012】
本発明によればこの課題は、請求項1の特徴部分に記載されている構成を有する印刷ユニットによって解決される。
【0013】
殊に本発明により達成される利点は、印刷ユニットが高い動作安全性を有することである。印刷ユニットは殊に安全装置を有し、この安全装置は、印刷ユニットの少なくとも1つの可動フレーム部に起因する、印刷ユニットの危険領域内に居る作業員が危険に曝されることの阻止に役立つ。
【0014】
本発明の実施例は図面に示されており、以下ではそれらの実施例を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の動作位置にある位置変更可能な2つのフレーム部を備えた印刷ユニットを示す。
【図2】第2の動作位置にあるフレーム部が付加的に示されている、図1の印刷ユニットを示す。
【図3】ブロック図を示す。
【図4】印刷ユニットのフレーム部間に形成されている隙間の監視ならびに物理的アクセス監視装置に関する実施形態のヴァリエーションを示す。
【図5】物理的アクセス監視装置の実施形態の別のヴァリエーションを示す。
【0016】
図1および図2は、タワー、殊に8タワーとして構成されており、例えば枠状に構成されているフレーム12で包囲されている印刷ユニット01、有利には、カラー新聞印刷に使用できる輪転印刷機のための印刷ユニット01をそれぞれ示している。印刷ユニット01は非常に小型に構成されている。すなわち、印刷ユニット01の高さは低く構成されている。16タワーとして構成されている印刷ユニット01を実現するために、この種の8タワーを2つ相互に接するように配置することもできる。印刷ユニット01において印刷される、有利にはウェブ状の被印刷物02、例えば紙ウェブ02は、有利には実質的に垂直方向に印刷ユニット01を通って運ばれている。有利には紙ウェブ02の両側に、有利にはそれぞれ複数の印刷部03が配置されており、各印刷部03は少なくとも1つの印刷部胴04、殊にブランケット胴04を有し、また有利には、このブランケット胴04と共働する版胴06も有する。各印刷部03は、複数のローラを有し、有利には、幅方向の領域毎のインキ量を調節するねじを有していない、つまりキーレスのインキ装置07、例えばアンロックローラを有する、経路の短いインキ装置07も備えている。インキ装置07のローラはインキ壷09から供給された印刷インキを薄いインキ膜にし、このインキ膜の膜厚を均一にし、また、版胴06に配置されている少なくとも1つの版の塗着のためにそれぞれの版胴06へと運ぶ。各印刷部03のそれぞれの版胴06は、例えば1,000mm〜4,000mm、有利には1,200〜2,600mm、殊に1,600〜2,100mmの範囲の軸方向の長さを有し、また軸方向において並んで配置されており、有利にはそれぞれ複数の版、例えば4つまたは6つの版を持つ。それぞれの対象は、輪転印刷機を用いて作成できる印刷物、例えば新聞のそれぞれの特定の面の各版に対応付けられている。ブランケット胴04の軸方向の長さは、そのブランケット胴04と共働するそれぞれの版06に適合されている。ブランケット胴04およびそれぞれの版胴06の周囲長はそれぞれ同じでよいか(図1および図2)、もしくは、版胴06の周囲長は所属のブランケット胴04の周囲長のほぼ半分の長さである。図1および図2に例示的に示されている輪転印刷機は、オフセット印刷法、有利には乾式オフセット印刷法、すなわち、湿し水を使用しないオフセット印刷法を用いて印刷を行うので、図1および図2に示されている印刷部03はそれぞれ湿し手段を有していない。
【0017】
有利な実施形態においては、印刷ユニット01の複数の印刷部03のうちの少なくとも1つの印刷部、殊に各印刷部はそれぞれ1つの版マガジン08を有し、各版マガジン08は各印刷部03の版胴06にそれぞれ対応付けられている。各版マガジン08は、少なくとも1つの版を蓄積するための少なくとも1つの蓄積位置を有し、各蓄積位置は有利には1つのシャフト内に実現されているか、1つのシャフトによって実現されている。シャフトは有利には、少なくとも1つの新たな版を版胴06に供給するための例えば遠隔操作可能な搬送装置を有する。有利には、各版マガジン08は、使用された少なくとも1つの版を版胴06から回収するための、有利には同様に遠隔操作可能な搬送装置を備えたシャフトも有する。
【0018】
それぞれの版は、各版胴06に配置されており、有利には遠隔操作可能な保持装置、例えばクランプ装置を用いることにより、それぞれの版胴06に固定されている。保持装置は、例えば空気式に操作可能に構成されており、また各版胴06の溝11内に配置されている。この溝11は該当する版胴06の軸方向に延在している。
【0019】
印刷ユニット01のフレーム12は、例えばそれぞれ水平に配置されている下部支持体および上部支持体と、それら2つの支持体の間において有利には垂直に配置されている、例えば2つのサイドフレームとから構成されており、支持体およびサイドフレームは、例えば印刷ユニット01を囲む1つの枠、有利には閉じられた枠を相互に補うものである。下部支持体を、印刷ユニット01のための有利には実質的に矩形の底板として構成することができ、これに対して上部支持体は印刷ユニット01のための例えば天板を形成する。このフレーム12によって囲まれている印刷ユニット01は、相互に相対的に位置変更可能な少なくとも2つのフレーム部13;14を有する。これらフレーム部のうちの一方のフレーム部13は共通のフレーム12において有利には位置固定されて構成されている(例えば、図1および図2におけるそれぞれ左側のフレーム部13を参照されたい)。これに対して、位置固定されたフレーム部13と共働する少なくとも1つの他方のフレーム部14(例えば、図1および図2におけるそれぞれ右側のフレーム部14を参照されたい)は、共通のフレーム12において、例えば下部支持体および上部支持体に平行に、有利には線形の移動経路Sに沿って、この移動経路Sの境界をなす2つの終端点間において双方向に移動可能に、殊に位置変更可能に配置されている。実質的に矩形の底面を有する、共働するフレーム部13;14のうちの少なくとも一方のフレーム部の可動性に基づき、それらのフレーム部13;14に関して2つの異なる動作位置が生じる。これらのフレーム部13;14は第1の動作位置では、印刷ユニット01の高さHおよび幅Bにわたり延びる共通の接合面16において相互に接して配置されており(図1、図2および図4を参照されたい)、また第2の動作位置では、相互に距離を置いて配置されている。可動フレーム部14の第2の動作位置は図2において破線で示唆されている。共働するフレーム部13;14間に存在する共通の接合面16は、図1において例示的に2つの吹き出しで示されている。相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14は、第1の動作位置において、隙間17が残ることなく完全に相互に接して配置されている。この第1の動作位置においては、少なくとも1つの可動フレーム部14の意図しない移動に対する保護のために、移動経路Sの該当する終端点においてこの可動フレーム部14を有利には遠隔操作によってロックすることができる。第1の動作位置において相互に接して配置されているフレーム部13;14によって形成される接合面16は、例えば、印刷ユニット01を有利には垂直に通って運ばれる紙ウェブ02の搬送面と一致する。相互に相対的に位置変更可能であり、共働するフレーム部13;14は、第2の動作位置において、印刷ユニット01を通って運ばれる紙ウェブ02に対向するそれぞれの面に平行に向かい合うよう相互に距離を置いて配置されている。第1の動作位置から第2の動作位置へと切り替わる間に、共働するフレーム部13;14の間に存在し、有利には平行六面体に構成されている隙間17の幅は、有利には値0を有する最小値から、例えば1m〜2mの範囲の最大値の範囲で変化する。
【0020】
共働するフレーム部13;14内には、殊にブランケット胴04として構成されている、少なくとも1つの印刷部胴04がそれぞれ支承されている。フレーム12、例えば位置固定されて配置されている一方のフレーム部13内に支承されている少なくとも1つの印刷部胴04を、共働するそれらのフレーム部13;14の第1の動作位置においては、紙ウェブ02を殊に両側において印刷する共通の印刷位置を形成するために、フレーム12、例えば例えば位置変更可能に配置されている他方のフレーム部14内に支承されている少なくとも1つの印刷部胴04に接して配置することができる。相互に相対的に位置変更可能な2つのフレーム部13;14が相互に距離を置いて配置されている第2の動作位置においては、印刷ユニット01内、殊に印刷ユニット01の枠の内側において2つのフレーム部13;14間に、それらのフレーム部13;14によって部分的に境界付けられた隙間17が形成されている。フレーム12内に位置変更可能に配置されているフレーム部14が、位置固定されて配置されているフレーム部13と共に形成する接合面16から最も離れた終端点に達すると(図2を参照されたい)、印刷ユニット01の作業員はこの隙間17に自由に立ち入ることができ、すなわち物理的にアクセスすることができ、またそこにおいて点検を行うことができる。第2の動作位置、殊に移動経路Sの該当する端点においても、少なくとも1つの可動フレーム部14をその意図しない移動に対する保護のためにロックすることができる。有利な実施形態においては、共働する各フレーム部13;14内に、それぞれ複数の印刷部03、殊に4つの印刷部03が配置されている。共働する各フレーム部13;14、殊に可動のフレーム部14も30トン以上の重量を有する。
【0021】
フレーム部13;14のうちの少なくとも1つのフレーム部の作業側21には、印刷ユニット01の作業員が印刷ユニット01の上側の印刷部03への物理的なアクセスが容易になるように高さ調整可能な足場22が配置されている。各フレーム部13;14の作業側21は、フレーム部13;14において、印刷ユニット01を通って運ばれる紙ウェブ02の搬送面とは反対側に位置する側である。付加的または択一的に、高さ調整可能であり、かつ、底板内に収納可能な足場22は、例えば、共働するフレーム部13;14によって部分的に境界付けられた隙間17内にも配置されている。
【0022】
可動フレーム部14を移動させるために、この可動フレーム部14は例えばリニア軸受けに支承されている、および/または、移動中にリニア軸受けにおいて案内される。相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14を移動させるために、少なくとも1つの第1の駆動部23が設けられている。この第1の駆動部23は、共働するフレーム部13;14のうちの少なくとも1つを一方の動作位置から他方の動作位置に切り替えるために、その少なくとも1つのフレーム部に対応付けられている。上述のように、共働する各フレーム部13;14内にはそれぞれ少なくとも1つの印刷部胴04が支承されており、各印刷部胴04を半径方向に移動させるために少なくとも1つの第2の駆動部24が設けられている。各印刷部胴04の半径方向の移動は、殊に、フレーム部13;14の接合面16に対する直交成分を有する。同一のフレーム部13;14内に配置されている印刷部胴04をそれぞれの第2の駆動部24によって、それぞれ共通して半径方向に移動させることができるか、または、選択に応じて個別的に半径方向に移動させることができる。
【0023】
2つの駆動部23;24は、圧力媒体によって圧力を加えることができる少なくとも1つの作動シリンダを有する。出力供給に必要とされる手間を低減するために、有利には2つの駆動部23;24、また有利には付加的に、該当する可動フレーム部13;14をそれぞれの動作位置において、殊に該当する移動経路Sのそれぞれの終端点において静止ないしロックするためのロックシステム26には、同一のエネルギ蓄積部27、殊に同一の液圧装置27からエネルギ、例えば圧力が加えられた液圧オイルが供給されているので、2つの駆動部23;24、また必要に応じてロックシステム26には、印刷ユニット01におけるそれぞれの出力供給のために単一の管路系19しか必要とされない(図3を参照されたい)。液圧装置27は、例えば圧縮機ないしコンプレッサまたはポンプを有する。2つの駆動部23;24のうちの少なくとも一方の出力供給ならびにロックシステム26の出力供給を有利には遠隔操作することができる。例えばこの遠隔操作は、有利には電子的な制御ユニット28、殊に印刷ユニット01に属する制御局28から行うことができる。2つの駆動部23;24ならびにロックシステム26を相互に依存せずにそれぞれ個別に操作することができる。液圧装置27は駆動部23,24の作動シリンダに例えば100bar〜500barの圧力を加える。同一の液圧装置27に接続されている機能ユニット、例えば2つの駆動部23;24ならびにロックシステム26は、例えば自己制御可能な制御素子34、殊に制御ユニット28によって制御される制御素子34、例えば弁34を介して減圧されるか、圧力が加えられる。この弁34は液圧装置27の出力側の直ぐ近傍に配属されており、また、接続されている機能ユニットに圧力を分配する、管路系19の分岐路の手前に配置されているので、制御素子34は自身のそれぞれの機能位置において、液圧装置27から圧力が加えられる全ての機能ユニットに作用を及ぼす(図3を参照されたい)。
【0024】
相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14の2つの動作位置においてそれら2つのフレーム部13;14の間に形成される隙間17に印刷ユニット01の作業員は物理的にアクセスすることができ、すなわち進入することができ、有利には身体全体を進入させることすらできるので、隙間17に足を踏み入れるか、または身体の一部をこの隙間17内に延ばす可能性がある作業員を保護するために、印刷ユニット01内または印刷ユニット01上に安全装置18が設けられる(図3を参照されたい)。この安全装置18によって、例えば制御ユニット28によって起動された第1の駆動部23によって可動フレーム部14が殊に自動的に移動状態にされた際、すなわちプログラム制御されて移動状態にされた際の身体の負傷、殊に挟まれることによる負傷が防止される。つまり安全装置18は、例えば、第1の駆動部23の操作の他に、出力供給部内に配置されている、例えば制御ユニット28によって別個に制御される少なくとも1つの制御素子29、例えば弁29を有する。制御素子29は、制御ユニット28によって選択可能な機能位置を有し、この機能位置によって、例えば出力供給部の管路系19において起こり得る障害時、例えば切換部の故障時に、フレーム部13;14間において相対移動が行われることが阻止される。つまり、例えば、可動フレーム部14が位置固定されて配置されているフレーム部13に向かって移動し、それによって、相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14間の隙間17に居る作業員が危険に曝されることが阻止される。殊に制御ユニット28によって別個に制御され、また第1の駆動部23の制御に依存せずに制御されるこの制御素子29は、選択された機能位置に応じて、第1の駆動部23の作業能力にのみ影響を及ぼす。第1の駆動部23を機能させるためには、この第1の駆動部23への圧力供給が、有利には直接的に制御ユニット28によって制御される制御素子29によって起動されなければならない。制御素子29による起動が行われない場合、または起動の応答が無い場合には、第1の駆動部23の駆動制御を意図した命令であるにもかかわらず、第1の駆動部23は機能しない。
【0025】
さらに安全装置は、有利には付加的に、例えば可動フレーム部14に取り付けられている少なくとも1つの検出装置31、殊にセンサ31を有する。検出装置ないしセンサは、相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14間において、幅が変化する、有利には平行六面体に形成されている隙間17内に、印刷ユニット01に属さない物体の存在および/または移動、すなわち、殊に人間の存在および/または移動を非接触式に検出し、また監視する。センサ31は有利には電磁波、例えば光またはマイクロ波(レーダシステム)、もしくは超音波を用いて動作し、また例えば、空間監視に適したビデオ光学カメラとして構成されているか、またはモーションセンサとして構成されている。モーションセンサは例えば受動型赤外線検知器(Passiv Infrared Detector)として構成されている。カメラまたはモーションセンサとして構成されているセンサ31を、例えば天板として構成されている、フレーム12の上部支持体内または上部支持体上に取り付けることができる。別のヴァリエーションでは、殊に、カメラまたはモーションセンサとして構成されているセンサ31が有利には可動フレーム部14に固定的に接続されている。この接続は例えば、可動フレーム部14に取り付けられた、センサ31を支持する支持アーム36を用いて行われる。センサ31は隙間17に向けられている検出領域37を有する(図2を参照されたい)。センサ31は少なくともデータ技術的に制御ユニット28と接続されており、殊に印刷ユニット01に属する制御局28と接続されている。可動フレーム部14を駆動させる第1の駆動部23が動作している間に、センサ31が隙間17における人間の存在および/または移動を検出するやいなや、第1の駆動部23はこの第1の駆動部23に作用する制御素子29を介して即座にその移動が停止され、必要に応じて、逆方向へと移動される。例えば危険領域内に居る人間が検出された後に、制御素子29;34のうちの少なくとも1つの作動によって第1の駆動部23を停止することにより、すなわち第1の駆動部23を減圧することにより、および/または、制御ユニット28による制動装置の起動により、可動フレーム部14をほぼ急激に、例えば移動経路Sを5mmも移動せずに停止させることができる。
【0026】
図3は、少なくとも1つのセンサ31、制御ユニット28、制御素子29;34、エネルギ蓄積部27、駆動部23;24およびロックシステム26の相互作用をブロック図で例示的に示したものであり、各作用方向はそれぞれ矢印によって示唆されている。殊に、センサ31と、第1の駆動部23への管路系19内に配置されている制御素子29は安全装置18に対応付けられている。制御ユニット28はセンサ31の待機状態および/または適切な動作を有利には継続的に検査する。センサ31の待機状態に問題がある場合、および/または、センサ31が適切に動作しない場合には、制御ユニット28が相応の制御命令を用いて、例えばエネルギ蓄積部27に対応付けられている弁34および/またはエネルギ蓄積部27自体に作用を及ぼすことによって、制御ユニット28は可動フレーム部14の移動の開始が阻止されるか、または、可動フレーム部14を駆動させる第1の駆動部23が停止される。エネルギ蓄積部27自体に作用が及ぼされるケースについては、図3において破線の矢印によって示唆されている。センサ31の待機状態に問題がある場合、および/または、センサ31が適切に動作しない場合、制御ユニット28は、第1の駆動部23および/または制御素子29のうちの少なくとも1つを制御する代わりに、またはそのような制御に加えて、可動フレーム部14をロックするロックシステム26も操作する。
【0027】
図4および図5においては、フレーム12内で相互に相対的に移動可能なフレーム部13;14を備えている、図1および図2に示した印刷ユニット01が平面図で示されている。
【0028】
有利な実施形態においては、相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14間の隙間17を監視する少なくとも1つのセンサ31は、例えばそれらのフレーム部13;14の接合面16に沿って有効な方向特性32を有する。方向特性32は隙間17の内側において、殊に可動フレーム部14の手前から有利には非常に短い距離aを置いて、例えば数mmから最大で数cmの範囲の距離aを置いて幕のように延在している。可動フレーム部14の移動経路Sに平行に配向されている、センサ31の方向特性32または検出領域37の第1の開口角の開口幅wは、この第1の開口角wにそれぞれ直交する、方向特性32または検出領域37の第2の開口角の開口幅uおよび/または第3の開口角の開口幅vよりも有利には遙かに狭く構成されている。方向特性32の第2の開口角の開口幅uは、可動フレーム部14内に支承されている少なくとも1つの印刷部胴04の軸方向に配向されており(図4を参照されたい)、また方向特性32または検出領域37の第3の開口角の開口幅vは可動フレーム部14の高さHの方向に配向されている(図2を参照されたい)。すなわち方向特性32または検出領域37は少なくとも1つの空間方向においては、直交する他の2つの空間方向のうちの少なくとも1つに比べて大きく束ねられているので、方向特性32または検出領域37は、有利には可動フレーム部14において、その接合面16に沿って平坦に延在している。例えば、光学システム、殊にレンズシステムを使用して、少なくとも1つの印刷部胴04の軸方向に配向されている、方向特性32または検出領域37の第2の開口角の開口幅u、および/または、可動フレーム部14の高さH方向に配向されている、方向特性32または検出領域37の第3の開口角の開口幅vをそれぞれ張ることができる。可動フレーム部14内に支承されている少なくとも1つの印刷部胴04の軸方向にそれぞれ配向されている、方向特性32または検出領域37の第2の開口角をこのフレーム部14の高さHまで開くことができ、同様に、可動フレーム部14の高さHの方向に配向されている、方向特性32または検出領域37の第3の開口角を、可動フレーム部14内に支承されている印刷部胴04の軸方向に延びている、可動フレーム部14の幅Bにわたり開くことができる(図4を参照されたい)。印刷ユニット01を平面図で示した図4においては、見易くするために、一方のフレーム部13、すなわち位置固定されたフレーム部13内にのみ、そのフレーム部13の内部に配置されている少なくとも1つの印刷部胴04がその回転軸と共に示唆されているが、実際には可動フレーム部14においても同様に少なくとも1つの印刷部胴04が支承されている(図2を参照されたい)。
【0029】
実施形態の別のヴァリエーションにおいては、隙間17を監視する少なくとも1つのセンサ31が旋回可能に配置されているので、この実施形態のヴァリエーションにおいては、センサ31の有利にはビーム状、したがって幅細に構成されている検出領域37が、このセンサ31の有利には周期的な旋回運動によって、相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14の間に形成される接合面16に沿って延在している。この実施形態のヴァリエーションにおいては、センサ31が有利には少なくとも1つのレーザとして構成されている。レーザは例えば2mmよりも小さい直径のビームを送出し、またセンサ31の旋回運動によって規定されるスキャン領域をスキャニングする。したがって、センサ31の具体的な構成を無視して、このセンサ31の検出領域37は旋回運動することができる。検出領域37は相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14の間に形成される接合面16に沿って延在している。
【0030】
また有利には、センサ31と接続されている制御ユニット28が、共働するフレーム部13;14の動作位置に依存して、有利には平行六面体であり、殊に幅が可変に形成されている隙間17を監視する少なくとも1つのセンサ31を起動させる、および/または、センサからの信号を評価する。殊に、制御ユニット28は、相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14が相互に接近する方向に移動する際に、それらのフレーム部13;14間の事前に設定された距離xに達するとセンサ31をミューティング、ないしデアクティブにする。すなわち、制御ユニット28はフレーム部13;14の検出によって形成されるセンサの信号を障害として評価せず、したがって相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14の移動の停止も指示しない。制御ユニット28がセンサ31をデアクティブする距離xは、センサ31の方向特性32または検出領域37の開口幅wよりも大きく選定されている。この開口幅wは相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14の移動経路Sに平行に配向されている。択一的または付加的に、センサ31のデアクティブを時間にも依存させて、殊に相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14のうちの少なくとも一方の移動時間に依存して行うことができる。スイッチオンされてアクティブな状態にある時間においては、センサ31はその方向特性32または検出領域37を用いて隙間17を有利には持続的に監視する。
【0031】
センサ31のデアクティブ後には、相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14間に残された隙間17において、それらのフレーム部13;14が相互に接近する方向に移動する際に、作業員が隙間17に進入すると、その作業員が例えば手足を負傷する危険があるので、安全装置18を有利には別のコンポーネントについて拡張することができる。制御ユニット28は、最も早ければ相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14の移動が開始された際に既に、および/または、最も遅くともセンサ31のデアクティブと同時に、この別のコンポーネントを起動させる。制御ユニット28と接続されているこの別のコンポーネントは、有利には物理的アクセス監視装置33(図3を参照されたい)内に構成されており、この物理的アクセス監視装置33は、例えば印刷ユニット01の長手方向側に設けられている、センサ31のデアクティブ後に残された隙間17への少なくとも1つの物理的なアクセス部を監視する。
【0032】
物理的アクセス監視装置33は、例えば1つまたは複数の光バリアもしくは1つまたは複数の光格子を有することができ、光バリアまたは光格子のそれぞれのビーム路は例えば水平または垂直に配向されている。物理的アクセス監視装置33は、例えば少なくとも可動フレーム部14の総高Hまたはこの高さHにおける1つまたは複数の部分領域に関する監視機能を実行することができる。
【0033】
物理的アクセス監視装置33は、例えば、底板の近傍、例えば200mmまでの高さh、有利には約100mmまでの高さhに配置されている、すなわち隙間17の足下の領域において機能するスキャナ38を有することができる。このスキャナ38の検出領域37は、印刷ユニット01の長手方向側に対して実質的に平行に配向されている。印刷ユニット01の長手方向側に対して平行に配向されている、検出領域37の少なくとも1つの長さIを、例えば制御ユニット28において、有利には可変に調整することができる。この可変の長さIは殊に、相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14の間に形成されている距離xに依存して調整可能であるか、調整されている(図2を参照されたい)。距離xは2,000mmまでの範囲にある。相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14の間に形成された隙間17の底板をコンタクトマット(図示せず)でもって覆うこともできる。コンタクトマットは、隙間17内に居る人間がその底部に接触することによって検出されると信号を制御ユニット28に送出する。
【0034】
例えば、付加的または代替的な実施形態によるアクセス監視装置33を、殊にフレーム12の上部支持体にそれぞれ取り付けられており、かつ、並んで配置されている複数のセンサ41から構成されている少なくとも1つのセンサバー39内に構成することができる。それぞれのセンサバー39は、印刷ユニット01の長手方向側に形成されている、相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14の間に形成された隙間17への物理的なアクセス部をそれぞれセンサによって、例えば、それぞれのセンサバー39の複数のセンサ41によって形成される、有利には編み目の狭い格子、例えば光格子によって監視する。それぞれのセンサフレーム39の個々のセンサ41を、有利には、相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14の間に形成された距離xに依存して起動ないし停止することができるので、センサバー39の複数のセンサ41のうち、隙間17への幅が可変の物理的なアクセス部について目下機能しているセンサ41からの各信号しか制御ユニット28によって評価されない。それぞれのセンサバー39の全てのセンサ41は、例えば印刷ユニット01の印刷工程の間のみ遮断されている。上述のように、これらのセンサ41をそれぞれ、カメラまたはモーションセンサまたはレーザまたはレーダシステムとして構成することができる。
【0035】
図5に示されているように、物理的アクセス監視装置33は、前述の実施形態のヴァリエーションに付加的または代替的に、印刷ユニット01の長手方向側の少なくとも1つの側において機械的な安全フェンス42も有することができる。この安全フェンス42は例えば引き戸の形態で構成されている。フレーム部13;14のうちの一方に取り付けられており、また例えばレール内に支承されている引き戸は、印刷ユニット01の長手方向側に沿って、相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14の移動に依存してスライドさせることができる。引き戸の移動方向は図5において両矢印によって表されている。安全フェンス42は、隙間17への物理的なアクセスが封鎖された動作状態においては、相互に相対的に位置変更可能なフレーム部13;14の間において幅が可変であるように構成されている。相互に相対的に位置変更可能であり、相互に距離を置いて配置されているフレーム部13;14間の隙間17への物理的なアクセスが封鎖されるべき場合には、フレーム部13;14のうちの一方に取り付けられている引き戸は他方のフレーム部13;14においてそれぞれ錠43に掛けられることによって、その他方のフレーム部13;14に接続されている。錠43は例えば電気的な接触スイッチを有し、この接触スイッチは信号を制御ユニット28に送信し、これによって、相互に相対的に位置変更可能であり、相互に距離を置いて配置されているフレーム部13;14の間の隙間17への該当する物理的なアクセスについて実施された封鎖を通知する。その後に、印刷ユニット01の底板内に収納可能であり、この底板から上昇可能な検査装置44、例えばスライダ44は隙間17の足下の領域に設置することができ、続いて、印刷ユニット01の幅Bに沿って、この隙間17を通過するように移動することができる。これは図5において、矢印によって示唆されている。この移動によって、人間または残された工具などの他の対象物が安全フェンス42が機能した後に隙間17内に依然として存在するか否かが検査される。スライダ44は、隙間17に配向された側において、例えば少なくとも1つのコンタクトスイッチ46を有し、このコンタクトスイッチ46を用いることにより、依然として隙間17内に居る人間または対象物との接触を検出することができる。択一的に、例えば光学的な手段、例えばカメラとして構成されているセンサ31を用いることにより、この検査を非接触式に実施することもできる。人間も対象物も隙間17内に居ないことが確認された後は、イネーブル信号が制御ユニット28に送出され、このイネーブル信号に基づき制御ユニット28は第1の駆動部の運転を開始し、これによって、相対的に位置変更可能であり、相互に距離を置いて配置されているフレーム部13;14が移動経路Sに沿って相互に接近するよう移動し、隙間17の幅は最小値、有利には0に低減される。第1の駆動部23の出力供給のために管路系19内に配置されている制御素子29を、制御ユニット28によって、隙間17を監視する検査装置44および/または安全フェンス42の信号に依存して制御することもできる。
【0036】
物理的アクセス監視装置33は隙間17へのそれぞれの物理的アクセス部に継続的に存在することができるか、断続的に存在させることができる。物理的アクセス監視装置33の少なくとも一部は静止位置および動作位置を有することができる。静止位置においては物理的アクセス監視装置33の相応の部分は、負傷または損傷からの保護のために機械的に覆うことができるか、保護された位置に移動されている。隙間17を監視する少なくとも1つのセンサ31および物理的アクセス監視装置33は、制御ユニット28によって、例えば少なくとも可動フレーム部14のそれぞれの動作位置に依存して交互に起動される。前述したように、センサ31および/または物理的アクセス監視装置33が、可動フレーム部14の移動により生じる印刷ユニット01の危険領域内に居る、印刷ユニット01に属さない物体、殊に作業員を検出した場合には、制御ユニット28は遅延無く可動フレーム部14の移動を停止させる。
【0037】
少なくとも1つのセンサ31を用いて監視すべき、相対的に位置変更可能なフレーム部13;14の間に形成された隙間17の周辺に警告領域47が設けられることにより安全装置18はさらに改善される。殊に、印刷ユニット01の長手方向側に延在する警告領域47が、この領域を監視するために設けられているセンサ48(図4を参照されたい)および/または隙間17を監視するセンサ31によって検出される。この場合、隙間17を監視するセンサ31は隙間17に突き出た検出領域37を有する。センサ31;48のうちの少なくとも1つと接続されている制御ユニット28は、フレーム部13;14が共働した際の警告領域47内での印刷ユニット01に属さない物体の存在および/または移動に依存して、フレーム部を一方の動作位置から他方の動作位置へと切り替えるか、危険が存在する場合には既に開始されている移動を停止させる。警告領域47を監視することによって、人間が印刷ユニット01または可動フレーム部13;14のうちの少なくとも1つに接近し危険に曝されるときには常に、制御ユニット28は安全装置18および/または駆動部23;24および/またはロックシステム26に早期に反応するよう指示することができる。警告領域47のみを監視する固有のセンサ48は、例えば隙間17を監視するセンサ31と同様に、カメラまたはモーションセンサまたはレーザまたはレーダシステムとして構成されており、また、電磁波、例えば光またはレーダまたは超音波を用いて動作する。警告領域47を監視するセンサ48は、相対的に位置変更可能なフレーム部13;14の間に形成される隙間17の周辺に設けられている、実質的に卵形または楕円状の断面を有する警告領域47を監視することができる光特性32または検出領域37を有することができる。警告領域47を監視するセンサ48の別の実施形態では、それらのセンサ48のうちの少なくとも1つのセンサを警告領域47に突出させて配置することができる。有利には、それらの複数のセンサ48が殊に相互に並んで間隔の狭い編み目状に配置されている。センサ48は有利には可動フレーム部14に配置されており、例えばこの可動フレーム部14に属する天板の領域内に配置されている。このセンサ48の光特性32または検出領域37は殊に垂直方向に下方に向かって配向されているので、このセンサ48は、可動フレーム部14において隙間17と対向する側において、印刷ユニット01に沿って延びる隙間17への物理的アクセス部を通過して進入する人間または対象物を検出する(図4を参照されたい)。それぞれの光特性32間またはそれぞれの検出領域37間において同一の警告領域47を監視する複数のセンサ48の編み目の幅mは例えば僅か数mm、殊に20mm未満、有利には8mm〜15mmの間にある。警告領域47を監視するセンサ48は、接合面16に構成されており、また例えば可動フレーム部14の垂直に延びる縁49から、20mm未満、有利には8mm〜15mmの距離yを置いて配置されている。警告領域47は印刷ユニット01の長手方向側に関して、幅Bの方向に延びる奥行きtを有し、この奥行きtは例えば500mm〜1,000mmの範囲にある。
【0038】
隙間17および/または警告領域47を監視するための前述の実施形態をそれぞれ相互に組み合わせて実施することができる。例えば、共働するフレーム部13;14の幅Bの方向に延びる、継続的または断続的な柵51(図4において破線で示されている)をそのフレーム部13;14のうちの1つの少なくとも1つの側に取り付けることができ、そこでは印刷ユニット01の該当する長手方向側から距離zを置いて、前述の実施例に応じた、機械的または非接触的に機能する安全フェンス42が配置されている。距離zは例えば警告領域47の奥行きtに対応する。
【符号の説明】
【0039】
01 印刷ユニット、 02 被印刷物、紙ウェブ、 03 印刷部、 04 印刷部胴、ブランケット胴、 06 版胴、 07 インキ装置、アンロックローラを有する経路の短いインキ装置、 08 版マガジン、 09 インキ壷、 11 溝、 12 フレーム、 13,14 フレーム部、 16 接合面、 17 隙間、 18 安全装置、 19 管路系、 21 作業側、 22 足場、 23 第1の駆動部、 24 第2の駆動部、 26 ロックシステム、 27 エネルギ蓄積部、液圧装置、 28 制御ユニット、制御局、 29,34 制御素子、弁、 31 検出装置、センサ、 32 方向特性、 33 物理的アクセス監視装置、 36 支持アーム、 37 検出領域、 38 スキャナ、 39 センサバー、 41 センサ、 42 安全フェンス、 43 錠、 44 検査装置、スライダ、 46 コンタクトスイッチ、 47 警告領域、 48 センサ、 49 縁、 51 柵、 B 幅、 H,h 高さ、 S 移動経路、 a,x,y,z 距離、 m 編み目の幅、 t 奥行き、 u,v,w 開口幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に相対的に位置変更可能な少なくとも2つのフレーム部を備えた印刷機の印刷ユニットであって、
共働するフレーム部(13;14)は、第1の動作位置では共通の接合面(16)において相互に接して配置されており、第2の動作位置では相互に距離を置いて配置されており、
前記印刷ユニット(01)において、相互に距離を置いて配置されているフレーム部(13;14)間には、該フレーム部(13;14)によって部分的に境界付けられた隙間(17)が形成されており、
それぞれ共働する前記フレーム部(13;14)のうち、少なくとも1つのフレーム部(14)は移動経路(S)に沿って移動可能であるように配置されている、印刷ユニットにおいて、
前記接合面(16)に沿って有効な方向特性(32)または前記接合面(16)に沿って有効な検出領域(37)を備えた、前記隙間(17)を監視する少なくとも1つのセンサ(31)が設けられており、
可動フレーム部(14)の前記移動経路(S)に平行に配向されている、前記方向特性(32)または前記検出領域(37)の第1の開口角の開口幅(w)は、該方向特性(32)または該検出領域(37)の第2の開口角の開口幅(u)または第3の開口角の開口幅(v)よりも小さく、
前記方向特性(32)または前記検出領域(37)の前記第2の開口角の開口幅(u)は、前記可動フレーム部(14)内に支承されている少なくとも1つの印刷部胴(04)の軸方向に配向されており、かつ、前記方向特性(32)または前記検出領域(37)の前記第3の開口角の開口幅(v)は、前記可動フレーム部(14)の高さ(H)の方向に配向されていることを特徴とする、印刷ユニット。
【請求項2】
前記移動経路(S)は線形に構成されている、請求項1記載の印刷ユニット。
【請求項3】
前記センサ(31)は電磁波または超音波を検出する、請求項1記載の印刷ユニット。
【請求項4】
前記センサ(31)は、前記隙間(17)において、前記印刷ユニット(01)に属さない物体の存在および/または移動を監視する、請求項1記載の印刷ユニット。
【請求項5】
前記センサ(31)は、カメラまたはモーションセンサまたはレーザまたはスキャナまたはレーダシステムとして構成されている、請求項1記載の印刷ユニット。
【請求項6】
前記センサ(31)の前記検出領域(37)は旋回運動し、
前記検出領域(37)は相互に相対的に位置変更可能なフレーム部(13;14)の間に形成される前記接合面(16)に沿って延在している、請求項1記載の印刷ユニット。
【請求項7】
前記センサ(31)と接続されている制御ユニット(28)が設けられている、請求項1記載の印刷ユニット。
【請求項8】
前記センサ(31)と接続されている前記制御ユニット(28)は、共働するフレーム部(13;14)の動作位置に依存して前記センサ(31)をアクティブにする、請求項7記載の印刷ユニット。
【請求項9】
前記制御ユニット(28)は、相互に相対的に位置変更可能なフレーム部(13;14)が相互に接近する方向に移動する際に、該相互に相対的に位置変更可能なフレーム部(13;14)のうちの少なくとも1つのフレーム部の移動時間に依存して、前記センサ(31)をデアクティブにする、請求項7記載の印刷ユニット。
【請求項10】
前記制御ユニット(28)は、相互に相対的に位置変更可能なフレーム部(13;14)が相互に接近する方向に移動する際に、該フレーム部(13;14)間の事前に規定された距離(x)に達すると、前記センサ(31)をデアクティブにする、請求項7記載の印刷ユニット。
【請求項11】
前記制御ユニット(28)が前記センサ(31)をデアクティブする前記距離(x)は、相互に相対的に位置変更可能なフレーム部(13;14)の前記移動経路(S)に平行に配向されている、前記センサ(31)の前記方向特性(32)または前記検出領域(37)の第1の開口幅(w)よりも大きい、請求項10記載の印刷ユニット。
【請求項12】
前記センサ(31)と接続されている前記制御ユニット(28)は前記センサ(31)の信号を評価する、請求項7記載の印刷ユニット。
【請求項13】
前記制御ユニット(28)と接続されている物理的アクセス監視装置(33)が設けられており、
該物理的アクセス監視装置(33)は、前記センサ(31)のデアクティブ後に残存する隙間(17)への少なくとも1つの物理的なアクセス部を1つまたは複数の側において監視する、請求項7記載の印刷ユニット。
【請求項14】
前記制御ユニット(28)は、最も早ければ相互に相対的に位置変更可能なフレーム部(13;14)の移動が開始された際に、および/または、最も遅くとも前記センサ(31)のデアクティブと同時に、前記物理的アクセス監視装置(33)をアクティブにする、請求項13記載の印刷ユニット。
【請求項15】
前記物理的アクセス監視装置(33)は、1つまたは複数の光バリアもしくは1つまたは複数の光格子を有し、前記光バリアまたは前記光格子のそれぞれのビーム路は水平または垂直に配向されている、請求項13記載の印刷ユニット。
【請求項16】
前記物理的アクセス監視装置(33)は、少なくとも前記可動フレーム部(14)の総高(H)または該高さ(H)における1つまたは複数の部分領域に関する監視機能を実行する、請求項13記載の印刷ユニット。
【請求項17】
前記物理的アクセス監視装置(33)は前記隙間(17)へのそれぞれの物理的アクセス部に継続的または断続的に存在する、請求項13記載の印刷ユニット。
【請求項18】
前記物理的アクセス監視装置(33)の少なくとも一部は静止位置および動作位置を有し、前記静止位置においては前記物理的アクセス監視装置(33)の相応の部分は機械的に覆われているか、保護された位置に移動されている、請求項13記載の印刷ユニット。
【請求項19】
前記制御ユニット(28)は、前記隙間(17)を監視する少なくとも1つのセンサ(31)および前記物理的アクセス監視装置(33)を交互にアクティブにする、請求項13記載の印刷ユニット。
【請求項20】
遠隔操作可能なロックシステム(26)は、前記可動フレーム部(14)を少なくとも、前記移動経路(S)を境界付ける少なくとも1つの終端点においてロックする、請求項1記載の印刷ユニット。
【請求項21】
前記制御ユニット(28)は、前記センサ(31)および/または前記物理的アクセス監視装置(33)が前記印刷ユニット(01)に属さない物体の存在および/または移動を検出すると、前記可動フレーム部(14)の移動を停止する、請求項1から20までのいずれか1項記載の印刷ユニット。
【請求項22】
少なくとも1つの第1の駆動部(23)が設けられており、
該第1の駆動部(23)は、一方の動作位置から他方の動作位置に切り替えるために、共働するフレーム部(13;14)のうちの少なくとも1つのフレーム部に対応付けられている、請求項1記載の印刷ユニット。
【請求項23】
前記制御ユニット(28)は、前記センサ(31)が前記隙間(17)において人間の存在および/または移動を検出すると、前記第1の駆動部(23)の移動を即座に停止する、請求項22記載の印刷ユニット。
【請求項24】
少なくとも1つの第2の駆動部(24)が設けられており、
該第2の駆動部(24)は、フレーム部(13;14)のうちの一方のフレーム部内に支承されている少なくとも1つの印刷部胴(04)を半径方向に移動させるために設けられている、請求項1記載の印刷ユニット。
【請求項25】
少なくとも、前記第1の駆動部(23)および前記第2の駆動部(24)には同一のエネルギ蓄積部(27)からエネルギが供給されている、請求項24記載の印刷ユニット。
【請求項26】
前記第1の駆動部(23)および前記第2の駆動部(24)はそれぞれ個別に、かつ相互に独立して操作可能である、請求項24記載の印刷ユニット。
【請求項27】
前記エネルギ蓄積部(27)は液圧装置(27)として構成されている、請求項1記載の印刷ユニット。
【請求項28】
前記ロックシステム(26)には、前記第1の駆動部(23)および前記第2の駆動部(24)にエネルギを供給するエネルギ蓄積部と同一のエネルギ蓄積部(27)からエネルギが供給されている、請求項1から27までのいずれか1項記載の印刷ユニット。
【請求項29】
前記第1の駆動部(23)および前記第2の駆動部(24)には、それぞれの出力供給のために、前記エネルギ蓄積部(27)からエネルギを供給する同一の管路系(19)が接続されている、請求項24記載の印刷ユニット。
【請求項30】
前記第1の駆動部(23)の出力供給のために前記管路系(19)内に配置されている制御素子(29)は、前記隙間(17)を監視する前記センサ(31)の信号に依存して、前記制御ユニット(28)によって制御されている、請求項22記載の印刷ユニット。
【請求項31】
前記制御素子(29)は、前記第1の駆動部(23)の操作に付加的に配置されており、前記第1の駆動部(23)の操作とは別個に制御されている、請求項30記載の印刷ユニット。
【請求項32】
前記制御ユニット(28)によって選択可能である前記制御素子(29)の機能位置は、一方のフレーム部(14)が他方のフレーム部(13)に向かって移動することを阻止する、請求項30記載の印刷ユニット。
【請求項33】
前記エネルギ蓄積部(27)の出力側に対応付けられている制御素子(34)が設けられており、
該制御素子(34)を用いることにより、前記エネルギ蓄積部(27)からエネルギを供給する前記管路系(19)は、前記制御ユニット(28)によって減圧されるか、圧力が加えられる、請求項25記載の印刷ユニット。
【請求項34】
前記制御ユニット(28)は前記センサ(31)の待機状態および/または適切な動作を検査する、請求項7記載の印刷ユニット。
【請求項35】
前記制御ユニット(28)は、前記センサ(31)の待機状態に問題がある場合、および/または、前記センサ(31)が適切に動作しない場合、前記可動フレーム部(14)をロックする前記ロックシステム(26)を操作する、請求項7記載の印刷ユニット。
【請求項36】
前記制御ユニット(28)は、前記センサ(31)の待機状態に問題がある場合、および/または、前記センサ(31)が適切に動作しない場合、前記可動フレーム部(14)の移動の開始を阻止する、および/または、前記可動フレーム部(14)を駆動する前記第1の駆動部(23)を停止する、請求項7記載の印刷ユニット。
【請求項37】
前記制御ユニット(28)は、前記センサ(31)の待機状態に問題がある場合、および/または、前記センサ(31)が適切に動作しない場合、前記第1の駆動部(23)の出力供給のために前記管路系(19)内に配置されている前記制御素子(29)を操作し、前記可動フレーム部(14)の移動を阻止または停止する、請求項7記載の印刷ユニット。
【請求項38】
共働するそれぞれのフレーム部(13;14)のうち一方のフレーム部は位置固定されて配置されており、他方のフレーム部は可動に配置されている、請求項1記載の印刷ユニット。
【請求項39】
前記センサ(31)は前記可動フレーム部(14)に取り付けられている、請求項38記載の印刷ユニット。
【請求項40】
前記制御ユニット(28)は前記印刷ユニット(01)に属する制御局(28)として構成されている、請求項1記載の印刷ユニット。
【請求項41】
前記印刷ユニット(01)は、該印刷ユニット(01)を通って運ばれる被印刷物(02)をオフセット印刷法により印刷する、請求項1記載の印刷ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−501872(P2012−501872A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525498(P2011−525498)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060651
【国際公開番号】WO2010/026041
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(390014188)ケーニツヒ ウント バウエル アクチエンゲゼルシヤフト (50)
【氏名又は名称原語表記】Koenig & Bauer Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Friedrich−Koenig−Strasse 4, Wuerzburg, Germany
【Fターム(参考)】