説明

相異なる種々のフォーマットで符号化されたビデオ信号を処理する装置

【課題】ディジタル信号処理分野において、相異なる種々の標準形式に符号化されたビデオ信号の復調および復号が可能な装置を提供する。
【解決手段】適応的受信機は、衛星、地上波またはケーブル伝送用の符号化ビデオ信号から復号出力データを生成する適応的復号器12を具える。複数のコード・レートの中から選択されたコード・レートの関数として第1の復号出力を生成する適応的復号器50、60を具え、コード・レート制御信号に応答して複数のコード・レートの中から1つを選択する。また、複数のデインタリーブ機能の中から選択されたデインタリーブ機能に従って第1の復号出力をデインタリーブする適応的デインタリーバ80、85、90を具える。また、デインタリーブ出力データを処理して復号出力データを生成する出力信号プロセッサ125を具える。復調器は、デインタリーブ出力におけるエラーを検出して訂正する適応的エラー復号器110を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタル信号処理分野に関し、特に、例えば衛星伝送または地上波伝送用の相異なる種々の標準形式に符号化されたビデオ信号の復調および復号に関する。
【背景技術】
【0002】
地上波または衛星放送(または同報通信)用のディジタル・テレビジョン・システムでは、送信するためにテレビジョン信号を相異なる種々の方法および相異なる種々のフォーマットで変調および符号化する。使用される特定の方法およびフォーマットは国際的に認知された仕様によって規定されている。その中には、ヨーロッパ衛星通信システム用に作成された仕様書として、ヨーロッパ放送連合(European Broadcasting Union) による“衛星によるディジタル型複数番組テレビジョン用のベースライン変調/チャンネル符号化システムの仕様書(Specification of the Baseline Modulation/Channel Coding System for Digital Multi-Programme Television by Satellite)”、19th、Nov. 1993というものがある。
【0003】
このシステムは、直接ビデオ放送(DVB、Direct Video Broadcast)システムとしても知られており、衛星およびケーブルのテレビジョン信号分配(配信)方式を規定(カバー)している。また、既に米国で使用されかつ民間の(私的)商用仕様書で規定されている別の伝送システムとして、ディジタル衛星システム(DSS、Digital Satellite System)というものがある。しかし、送信信号フォーマットが、認知された標準または民間の商用仕様書のいずれによって規定されていても、ビデオ信号受信機(受像機)はその送信信号フォーマットを受信する能力を備えていなければならない。衛星、地上波およびケーブル伝送のような相異なるタイプの伝送方式が存在する状況(文脈)において相異なる送信信号フォーマットを受信するシステムが、J.S.スチュワート(Stewart) 氏、他の米国特許第5,497,401号(特許文献1)“衛星、地上波およびケーブル送信された前方誤り訂正圧縮型ディジタル・テレビジョン・データの複数チャンネル受信機に使用するのに適したパンクチャード(一部消去形)および実用的トレリス(格子形)符号畳込み復号器のビタビ復号器用のブランチ・メトリック(距離)・コンピュータ(A Branch Metric Computer for Viterbi Decoder of a Punctured and Pragmatic Trellis Code Convolutional Decoder Suitable For Use in a Multi-Channel Receiver of Satellite, Terrestrial and Cable Transmitted FEC Compressed-Digital Television Data)”に記載されている。
【0004】
ビデオ信号受信機は、受信される信号フォーマットに特に関係する復調および復号機能を具えている。その復調機能は、送信システムで使用される変調のタイプ、信号波形およびデータ・レート(速度、率)、および単一出力または差分(differential、残差、差動)出力の要求に応じて決定される。また、その復号機能は、送信システム符号化器において用いられる符号化、スクランブル(暗号化)、インタリーブ(間挿)およびコード・レート(符号化率)のタイプに応じて決定される。
【0005】
本発明に従えば、単一の処理回路網によって、例えばディジタル・テレビジョン信号処理システムの構成(文脈)において複数の復号機能に有利に対応する(accommodate) ことができる。本発明の原理に従えば、ここに記載したディジタル信号処理回路網によって、例示したコード・レート、デインタリーブ(逆インタリーブ、deinterleave)およびエラー(誤り)処理の各機能等に関連する相異なる種々のタイプの復号機能を組込んだ適応的(適応型)復号回路網が実現できる。
【0006】
本発明の原理に従う装置は、衛星、地上波またはケーブル伝送に適した相異なる複数のフォーマットの中の1つで符号化されたビデオ信号を受信して適応的に処理するシステムにおいて、復号出力データを供給する。例示した実施形態において、その装置は、複数のコード・レートの中から選択された1つのコード・レートの関数として第1の復号出力を供給する適応的復号器を含んでいる。また、その装置は、複数のデインタリーブ機能の中から選択された1つのデインタリーブ機能に従ってその第1の復号出力をデインタリーブする適応的デインタリーバ(デインタリーブ器)を含んでいる。さらに、その装置は、そのデインタリーブした出力データを処理して復号出力データを供給する出力信号プロセッサを含んでいる。
【0007】
本発明の特徴によれば、適応的エラー復号器が適応的復号器の出力におけるエラーを検出して訂正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,497,401号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明者は、プログラム・ガイド情報中で受信した関連するプログラム(番組)記述に基づいて各形式のプログラム(番組)を別々に処理できることが望ましいことを認識した。特に、本発明者は、スクリーン上に動画化(アニメーション化)された予めプログラムされたオン−スクリーン表示メッセージを提供することが望ましく、それによってオーディオのみのプログラムが再生されているときも、ユーザは視覚的により楽しむことができるということを認識した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の別の特徴によれば、適応的デインタリーバが符号化ビデオ信号をデインタリーブし、適応的エラー復号器がそのデインタリーブされた出力のエラーを検出して訂正する。
【0011】
本発明のさらに別の特徴によれば、信号品質検出器が復号出力データのエラーの推定(estimate、評価)を与える。また、上記装置は、そのエラー推定に応答して符号化ビデオ信号フォーマットとコンパチブルな(適合性のある、両立性のある)形態に自動的にその機能構成(または装置構成)が設定(configure) される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の原理に従う、DSSおよびDVBフォーマットで符号化された信号を適応的に復調および復号する装置のブロック図である。
【図2】DSS衛星信号フォーマットを復調および復号するように構成された図1の構成要素のブロック図である。
【図3】DVB衛星信号フォーマットを復調および復号するように構成された図1の構成要素のブロック図である。
【図4】DVBケーブル信号フォーマットを復調および復号するように構成された図1の機能構成要素のブロック図である。
【図5】図1の復調装置のより詳細なブロック図である。
【図6】図5の復調装置のAGCエラー計算機能を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には、本発明に従って構成された、衛星およびケーブル・テレビジョン信号のような相異なる信号フォーマットの信号を復調して復号するシステムが示されている。特に、このシステムは、DSS衛星、DVB衛星またはDVBケーブルの各信号フォーマットの信号を復調して復号するように機能構成(装置構成)することが可能(configurable)である。この機能構成能力は、これら3種類の信号フォーマットの復調および復号処理に共通の機能を最大限に利用することによって実現した。また、その機能構成能力は、復調および復号機能を適当に選択し、具体的に構成化し、インタフェースを形成して実現した。
【0014】
図1において、ビデオデータで変調された搬送波(キャリア)が、アンテナ15によって受信され、回路網20によって処理されディジタル化される。その結果得られたディジタル出力信号は、復調器10によって復調され、復号器12によって復号される。復号器12の出力はさらに処理されて、表示装置によって表示するのに適した伸張(復元)出力ビデオデータが生成される。復調器10および復号器12は、共に、インタフェース100を介してマイクロコントローラ105によって選択される相異なるタイプの復調および復号機能が組込まれた適応的復調および復号回路網である。また、復調器10および復号器12は、共に、マイクロコントローラ・インタフェース100からの制御信号(control) によって機能構成が設定される。インタフェース100から供給される制御信号の状態(status)は、マイクロコントローラ105からインタフェース100に供給される信号によって決定される。図2においては、図1の復調器10および復号器12が、DSS衛星信号フォーマットを受信するように機能構成されている。図3および4においては、図1の復調器10および復号器12が、それぞれDVB衛星信号フォーマットとDVBケーブル信号フォーマットを受信するように機能構成されている。機能構成設定可能な復調器10および機能構成設定可能な復号器12は、例えば集積回路のような単一の信号処理デバイス(素子)に有利な形態で収容することができる。
【0015】
機能構成設定可能な復調器10は、DSSおよびDVB信号フォーマットの各々を復調するのに必要な機能を実行する。復調器10の主要な機能は、搬送波周波数の復元およびトラッキング(追従)、送信データ・クロック周波数の復元、およびビデオデータそのものの復元である。また、その復調器は、ユニット20においてアナログ−ディジタル変換する前にアナログ入力データを適正にスケール処理(scale、拡大縮小)するためのAGC回路網(図5)を含んでいる。さらに、その復調器の機能は、ユニット25、30、35、40および45によって具体的に構成されている。タイミング復元、搬送波復元、スライサおよび差分復号器の各動作は、それぞれ既知のものであり、その概要は、例えば参考文献“ディジタル通信(Digital Communication)”、リー氏およびメサーシュミット氏(Lee, Messerschmidt)、(米国、マサチュセッツ州、ボストンのクルワー・アカデミック・プレス社(Kluwer Academic Press)、1988年)に記載されている。
【0016】
テーブルIには、3つの信号フォーマット・モードにおける復調器10の相異なる機能特性が示されている。
【0017】
【表1】

【0018】
復調器10は、テーブルIに示された3種類の入力信号フォーマットに対する、データ・クロック・レート、フィード・フォワード等化、デシジョン(判断)フィードバック等化、過剰(余裕)帯域幅ファクタ(係数)(EBF、Excess Bandwidth Factor )、変調タイプ(形式)、シンボル座標分布(コンステレーション、座標配置、座標配列)および復号法の各相違に対応することができる。そのシステムが確実に3種類の入力信号フォーマットの最高および最低のデータ・クロック周波数で動作できるようにすることによって、そのクロック・レートの相違に対応できるようになる。その他の相違には、関係する復調機能の構成を以下説明するように設定することによって対応できる。
【0019】
図5には、図1の復調器10がより詳細に示されている。図5において、アンテナ15で受信された入力信号は、ディジタル形式に変換されて入力回路網20によって処理される。回路網20は、無線周波数(RF)同調器(チューナ)、および入力ビデオ信号をさらに処理するのに適した低周波数帯域にダウンコンバート(逓降変換)する中間周波数(IF)ミキサ(混合器)および増幅段200を含んでいる。また、回路網20は、利得(ゲイン)制御形増幅器(AMP)205および位相分割回路網207を含んでいる。位相分割回路網は、受信ビデオ信号を互いに直交関係にあるIおよびQ成分(コンポーネント)に分割(split、分離)する。増幅器205は、回路網20内のアナログ−ディジタル変換器(A/D)210によってディジタル化するために、IおよびQ成分を適正にスケール処理する。増幅器205用の自動利得制御(AGC)信号は、後で説明するAGCエラー検出器回路網270から供給される。ユニット210から供給されたディジタル信号は、復調器10のマルチプレクサ(多重化器)215に供給される。
【0020】
衛星モード(DSSまたはDVB)において、マルチプレクサ215は、制御信号による決定に従って、回路網20から供給されたディジタル化ビデオ信号をローテータ(rotator 、回転器)225に向けて転送し(steer) 、ユニット220内のフィード・フォワード等化器(FFE)をバイパス(側路)する。また、ケーブル・モードにおいては、マルチプレクサ215は、制御信号による決定に従って、そのディジタル信号を、ユニット220のフィード・フォワード等化器を介してローテータ225(例えば、複素(complex )マルチプライア(乗算器))に向けて転送する。フィード・フォワード等化器は、適応的FIRタイプ(有限インパルス応答型)のディジタル・フィルタであり、周波数/位相の乱れまたはばらつき(不規則性)のような伝送チャンネルの乱れ(摂動)を補償する

【0021】
マルチプレクサ215から供給された出力データは、ベースバンド・ビデオ情報を復元するためのユニット225、220、230、30、35、40、265、260および255からなる搬送波復元ループによって処理される。ユニット215から供給されるデータは、搬送波復元ループ・ローテータ225への入力において、複素IおよびQ直交成分の形式のシンボル・シーケンス(順次形式)のデータである。このシンボル・シーケンスは、2進(2値)データ・シーケンスであり、その各シンボルは割当てられたディジタル値で表される。1組(群)のシンボルは、複素平面において、いわゆる信号座標分布(信号コンステレーション)として知られている1組の複数の点として表される。DSSおよびDVB衛星信号フォーマットは、4点からなる直交位相シフト・キーイングまたは4相位相偏移変調(QPSK)のシンボル座標分布を使用する。また、DVBケーブル信号フォーマットは、64点または256点のいずれかからなる直交振幅変調(QAM)のシンボル座標分布を使用する。搬送波復元ループは、伝送チャンネルによって加わった搬送波周波数における位相および周波数ジッタによって生じるシンボル点のオフセット(ずれ)およびシンボル点の回転を補償する。この機能は、復元されたデータからエラー(誤差)信号を取出し、それに続いてそのエラー信号をループ入力データに対して適用して、複素マルチプライア(ローテータ225)を用いて位相および周波数のジッタを補償することによって達成される。搬送波復元ループの各構成要素の機能は、既知の信号処理技術を用いて、それぞれIおよびQの両複素信号成分に対して実行される。
【0022】
ローテータ225の複素マルチプライア機能は、電圧制御発振器(VCO)255から供給された補償成分をユニット215の出力データに乗じて、その補償済みデータを出力として生成する。ローテータ225から供給されたその補償済みデータは、マルチプレクサ230を介してスライサ30および35に転送される。衛星モードにおいては、マルチプレクサ230は、制御信号に従って、ユニット220のデシジョン・フィードバック等化器(DFE)をバイパスする。一方、ケーブル・モードにおいては、マルチプレクサ230は、制御信号に従って、ローテータ225からの補償済みデータをユニット220内のデシジョン・フィードバック等化器に向けて転送する。デシジョン・フィードバック等化器は、ローテータ225からのその補償済みデータと、マルチプレクサ40からの選択されたスライサ出力の遅延しスケール処理されたデータ(バージョン)とを加算する。この加算動作は、既知のデシジョン・フィードバック等化処理であり、ローテータ225の補償済みデータ出力におけるシンボル間の干渉を減少させるものである。そのような干渉が顕著でないアプリケーション(適用例)においては、デシジョン・フィードバック等化器は省略してもよい。ユニット220からのフィードバック等化されたデータはマルチプレクサ230に返送されて、スライサ30、35、および復号器12のビタビ・ユニット50に転送される。
【0023】
マルチプレクサ230および215は、共に等化器220の一部として構成されていてもよく、また、衛星系、地上系またはケーブル系の復調構成を固定することが望ましい場合には除去してもよい。さらに、ユニット220のフィード・フォワード等化器およびデシジョン・フィードバック等化器は、共に復調器10の外部構成として示されているが、復調器10と共に単一の集積回路網に含まれるように構成してもよい。その場合、適応的フィード・フォワード等化器およびデシジョン・フィードバック等化器は、制御信号を使用して適当なフィルタ係数をプログラム設定することによって、特定のモードに対して機能構成が設定されるようにしてもよい。
【0024】
テーブルIに示されているように、衛星入力信号フォーマットはQPSK変調形であり、またケーブル入力信号フォーマットはQAMタイプである。システムにおいて使用される特定のスライサは、入力信号フォーマットが衛星QPSKタイプであるかまたはケーブルQAMタイプであるかに応じて、機能構成制御信号によってマルチプレクサ40を介して選択される。さらに、ケーブル・モードにおいては、QAMスライサ35も、テーブルIに示されているような、対応する特定のQAMシンボル座標分布用に機能構成が設定される。そして、スライサ35は、機能構成制御信号に応答して、64点または256点のいずれかの座標分布用のスライサ機能を設定する。
【0025】
マルチプレクサ230からの補正(修正)済み出力は、衛星モードにおいては等化されておらず、ケーブル・モードにおいてはフィードバック等化されたものであり、スライサ30および35に転送される。スライサ30は、マルチプレクサ230から供給された補正済み出力を処理して、直交位相シフト・キーイング(QPSK)変調された信号からデータを復元する。同様に、スライサ35はQAM信号からデータを復元する。スライサ30、35は、元の復調器10の入力データのシンボル・シーケンスを復元するために、マルチプレクサ230からの補正済み出力に対して一連のデシジョン閾値(decision threshold)を適用する。その際、衛星モードにおいては、受信機によって使用されるデータは、復号器12のビタビ検出ユニット50および60(図1)によってマルチプレクサ230の補正済み出力から復元される。一方、ケーブル・モードにおいては、受信機によって使用される復元データは、選択されたスライサ(30または35)によって供給され、マルチプレクサ40によって出力される。マルチプレクサ40の出力は、ユニット45によって差分復号され、復号器12のマルチプレクサ65(図1)に転送される。ケーブル・モードにおいては、マルチプレクサ65(図1)は、制御信号に応答して、さらに別の処理を施すためにユニット45からの差分復号出力を選択し、図1におけるビタビ(Viterbi )復号器ユニット50および60をバイパスする。差分符号化法/復号法は既知の技術であり、これを使用することによって(ケーブル・モードにおいて)、取出した搬送波および復元したシンボル座標分布における潜在的な(potential) 位相の不明瞭度(曖昧さ)に関係する問題を解消することができる。マルチプレクサ40からの復元データ出力は、衛星モードとケーブル・モードの双方において、復調器10における搬送波復元ループ、タイミング復元回路網、信号品質検出器およびAGCの各機能によって使用される。
【0026】
図5を用いて説明を続けると、スライサ30、35への入力とマルチプレクサ40からの復元データ出力とは、搬送波復元ループの位相エラー検出器265、低域通過フィルタ260およびVCO255によって処理されて、ローテータ225によって使用されるIおよびQフィードバック補償信号成分が供給される。位相検出器265は、スライサ30および35への入力とマルチプレクサ40からのスライサ出力の間の位相および周波数の差(誤差)を表すエラー信号を決定する。このエラー信号は、ユニット260によって低域通過濾波(フィルタ処理)され、VCO255(既知のもの)によって使用されて、IおよびQ直交補償成分が生成される。そのIおよびQ直交補償成分はローテータ225によって利用されて、そのエラー補償された信号がマルチプレクサ230に供給される。これによって、マルチプレクサ230に供給された信号は、伝送中に受けたシンボル点のオフセットおよびシンボル点の回転に関係する位相および周波数のエラーが補償されたものとなる。
【0027】
また、スライサ30および35への入力とマルチプレクサ40からの復元データ出力信号とがAGCエラー検出器270によって使用されて、利得制御信号が形成される。この利得制御信号は、プロセッサ20における増幅器205の利得を制御して、プロセッサ20のアナログ−ディジタル変換器に供給されるIおよびQ入力信号が、確実に適正なアナログ−ディジタル変換を行うのに必要な形に適正にスケール処理されるようにする。検出器270は、スライサ30、35への信号入力の各直交成分(Im、Qm)の2乗の和(総和)とマルチプレクサ40からの出力の各直交成分(Is、Qs)の2乗の和との間の差に基づいてエラーを計算する。
【0028】
図6は、検出器270内のAGCエラー計算機能の具体的構成を示している。マルチプレクサ230から供給されたスライサ30、35の直交入力成分Im、Qmは、それぞれマルチプライア300、305によって2乗され、加算器315によってその和が計算される。さらに、マルチプレクサ40からの復元データ出力の直交成分Is、Qsを用いて、メモリ310内のルックアップ・テーブル中に記憶された値がアクセスされる。この記憶値は、IsおよびQsの2乗値の和を表す。次いで、減算器320によって、メモリ310から供給された記憶値を加算器315の出力から減算して、その結果、AGCエラーが得られる。図6の構成の検出器270によって使用される算出AGCエラーは、次の式で与えられる。
【0029】
【数1】

【0030】
【数2】

の項はユニット315から得られ、
【数3】

の項は、IsおよびQsを入力ポインタとして用いてルックアップ・テーブル310から
【数4】

の近似として得られる。このAGCエラーは、原点(0,0)に対する(Im,Qm)点のベクトル距離と(Is,Qs)点のベクトル距離の間のベクトル距離の間の差の関数であるという点で有利である。また、AGCエラーは、Im,QmおよびIs ,Qsの各直交成分によって表される両ベクトル間の角度差とは無関係(独立)であるという点で有利である。AGCエラー信号は、これらの特徴を有するので、低域通過濾波して、AGC増幅器205の利得を制御するのに使用することができる。
【0031】
このAGCエラー計算法は、計算の複雑さを減少させるために本当のエラーよりも好んで使用される。本当のエラーは次の式で与えられる。
【0032】
【数5】

【0033】
このような図6のAGCエラー信号を得る構成に代えて、本当のエラー関数または本当のエラー関数を別の形に変形したものを用いてもよい。
【0034】
算出されたAGCエラー信号は図5の検出器270内で低域通過濾波されて、増幅器205の利得を制御するための出力信号が生成される。また、AGCエラー信号は信号品質検出器ユニット275にも供給される。
【0035】
信号品質検出器275は、復調器10への入力信号の信号対雑音(ノイズ)比(S/N比、SNR)を、ユニット270によって供給されたAGCエラー信号を用いて推定する。ユニット270は、まず、AGCエラー信号の絶対値を生成する。次いで、ユニット270は、デシジョン閾値をその結果に適用して、AGCエラーがプログラム(設定)された値の範囲内に位置するかどうかを判断する。これによって、SNR推定に対応するAGCエラー値の大きさが判断(決定)される。このSNR推定は、図1におけるインタフェース100を介してマイクロコントローラ105に供給される。マイクロコントローラ105は、SNR値が所定の範囲の外側にあるかどうかを判断するようにプログラムされている。SNR値が所定の範囲の外側にある場合には、マイクロコントローラ105は、異なる別の入力信号フォーマット用の、復調器10、等化器220および復号器12からなる機能構成設定可能な構成要素を全て含んだそのシステムの機能を再構成する。このようにして、マイクロコントローラ105は、供給される入力信号フォーマットを適正に復調および復号するために、インタフェース100を介した制御信号を用いて復調器10および復号器12の各機能を繰り返し再構成(構成を再設定)する。この機能構成設定の機能は、例えば、初期化手順の一部として実行されるようにプログラムするか、またはオペレータ(操作者)がアクセス可能なスイッチからマイクロコントローラへの入力信号に応答して実行されるようにプログラムすることができる。さらに、信号品質検出器275は、復調データにおけるエラーまたはSNRの推定を行うための他の方法を用いてもよい。これらの方法は、例えば、搬送波復元ループにおけるスライサの前と後の両データ間の平均2乗誤差(エラー)の計算を含むものであってもよい。平均2乗誤差の計算およびその他のエラー推定の方法は、“ディジタル通信(Digital Communication) ”、リー氏およびメサーシュミット氏、(米国、マサチュセッツ州、ボストンのクルワー・アカデミック・プレス社(Kluwer Academic Press) 、1988年)およびその他の文献に記載されている。
【0036】
図5における復調器10が使用するサンプリングおよび同期クロックは、フィルタ235、シンボル・タイミング復元ユニット240および出力プロセッサ250からなる構成要素によって生成される。プロセッサ20のアナログ−ディジタル変換器210からの出力は、機能構成設定可能なフィルタ235によって帯域通過濾波されて、過剰帯域幅ファクタ(EBF)によって表される過剰帯域幅(EB)の変動を補償する。好ましい実施形態では帯域通過フィルタを使用するが、低域通過フィルタのような他の濾波特性のものをEBF補償に使用してもよい。その結果の得られた出力、スライサ30および35への入力信号、およびマルチプレクサ40の選択スライサ出力が、タイミング復元ユニット240によって使用されて、サンプリングおよび同期クロックが生成される。これらの復元されたクロックは、送信機クロックに対応し、復調器10、プロセッサ20(特にアナログ−ディジタル変換)および等化器220の動作のタイミングを調整するために使用される。
【0037】
図5におけるタイミング構成要素は、必要なタイミング情報を導出するときにアナログ−ディジタル変換器210から供給されるディジタル信号を使用する。変換器210によってディジタル化を行う前の信号は全3種類の信号フォーマットについて同じ二乗余弦波形(raised cosine shape) を呈しているが、テーブルIに詳細に示されている過剰帯域幅ファクタ(EBF)の変動がこの波形(形状)を変化させることがある。EBFは、正確な信号復元を確実に行うのに必要な最小帯域幅を実際のシステム帯域幅がどの程度越えるか、その度合いまたは大きさを示すパラメータである。EBFと二乗余弦波形は、共に前に挙げた参考文献“ディジタル通信”に記載されている。各入力信号フォーマット間でEBFおよび入力信号波形が変化すると、復元されたタイミング・クロックにエラー(誤差)が生じることがある。このタイミング・エラーを補償するために、アナログ−ディジタル変換器210から供給されるIおよびQ出力は、ユニット240においてタイミングおよびクロック生成が行われる前に、ユニット235によって濾波される。フィルタ235は、テーブルIに示された3種類の入力信号フォーマットのEBF値の各々に対して適正なクロックおよびタイミングの復元が行われるように、変換器210から供給されたディジタル・ビデオ信号を濾波するように、マイクロコントローラ105によってインタフェース100を介してプログラム(設定)される。フィルタ235は、テーブルIに記載された3種類の入力信号フォーマットの信号波形およびEBF値に加えて、それ以外の種々の信号波形およびEBF値を補償するようにプログラムすることができる。また、フィルタ235は、例えばテスト目的のために、濾波を行わずに信号を通過させるようにプログラムすることもできる。
【0038】
ユニット240内において、フィルタ235から供給されたエラー補償済みデータが、スライサ30、35へのデータ入力およびマルチプレクサ40からの復元データ出力と比較される。ユニット240は、この比較結果に基づいて、シンボル・タイミング出力プロセッサ250に供給される位相およびタイミング・エラー信号を導出する。その信号比較およびタイミング・エラー信号導出の処理は、例えば“サンプルされた受信機用のBPSK/QPSKタイミング・エラー検出器(BPSK/QPSK Timing-Error Detector for Sampled Receivers)”、F.M.ガードナー(Gardner)氏、IEEE Transactions on Communications(IEEEトランザクションズ・オン・コミュニケーション)、May 1986に詳細に記載された既知の原理に従って実行される。ユニット240から供給された位相およびタイミング・エラー信号は、濾波され、出力プロセッサ250によって緩衝(バッファ)されて、制御信号がユニット250内の電圧制御水晶発振器(VCXO)デバイスに供給される。好ましい実施形態においてVCXOは別個のデバイスであるが、一体的構成のVCXOを用いてもよい。VCXOへの制御信号入力は、VCXOによって出力されるサンプリングおよび同期クロック信号出力の周波数と位相の双方を制御する。このサンプリングおよび同期クロック出力は、アナログ−ディジタル変換器210およびその他の復調構成素子によって用いられる。
【0039】
図1において、機能構成設定可能な復号器12は、DSSおよびDVB信号フォーマットを復号するのに必要な機能を実行する。復号器12の主要な機能は、パンクチャード畳込みビタビ復号器50、60、シンボル−バイト・マッパ(シンボルからバイトへのマッピング器)70、デインタリーバ回路網75、80、85、90、95、リード−ソロモン復号器110、およびデスクランブラ(デスクランブル器、暗号解読器)115を含んでいる。これらの個々の機能は、既知のものであり、また、例えば、前に挙げた参考文献“ディジタル通信”に記載されている。復号器12の各構成素子のDSSおよびDVBモードに対する動作特性がテーブルIIに示されている。
【0040】
【表2】

【0041】
復号器12は、テーブルIIに挙げられた、3種類の入力信号フォーマットに対する、コード・レート(符号化率)、デインタリーバのタイプ、シンボル−バイト・マッピング、およびデスクランブラの各要求の相違に対応することができる。復号器12の機能の構成を以下説明するように設定することによって、その相違に対応できる。
【0042】
復号器段50、60は、テーブルIIに示された種々のコード・レートを復号することができるパンクチャード畳込みビタビ復号器を構成する。ユニット50、60は、ユニット25から出力されてユニット50の入力に供給された濾波されたディジタル・ビデオ信号出力を処理し、復号し、エラー(誤り)訂正する。これらのユニットは、ランダムな伝送エラーに対して第1のレベルの訂正を施す。DSS衛星信号用の機能構成においては、選択可能な2つのコード・レート(2/3または6/7)のうちの1つが選択される。一方、DVB衛星信号用の機能構成においては、選択可能な5つのコード・レート(1/2、2/3、3/4、5/6または7/8)の中の1つが選択される。この文脈における用語“コード・レート”は、符号化データによって担持(伝達)されるエラー訂正オーバヘッドとして定義される。また、例えば、コード・レート1/2は、入力データの各1ビットに対して2つのデータ・ビットが符号化されることを意味する。同様に、コード・レート7/8は、入力データの各7ビットに対して8つのデータ・ビットが符号化されることを意味する。伝送データストリームの可変コード・レートは、基本コード・レート1/2を用いて符号化された符号化データストリームからビットを削除することによって実現される。例えば、コード・レート2/3を実現するには、1/2コード・レートで2つの入力データ・ビットを符号化することによって生成される4ビットの中の1ビットが削除されて、残りの3ビットが伝送される。その他のコード・レートもこれと同じ原理を用いて実現できる。
【0043】
ユニット50は、“プレース・ホルダ(place holder、位置保持、桁保持)”ダミー・ビットの挿入とビタビ復号とを行うために、ビデオ信号入力データストリームを同期化する機能を含んでいる。これは、受入れ中の特定コードに対して、インタフェース100を介した制御信号によって機能構成が設定される同期化ステート・マシン(state machine) を用いて実現することができる。同期化は、入力データストリームにおけるビット位置と位相の双方の不明瞭度を識別し解決することによって実現することができる。ビット位置および位相の不明瞭度は、受入れ(入力)、復号、再符号化、およびその再符号化データと入力データの比較からなる一連の処理によって識別することができる。同期化が成功すると、それは再符号化データと元の入力データの間の許容可能なエラー・レート(誤り率)によって示される。この処理を行うために、入力信号における位相およびビット位置の不明瞭度から生じ得る全ての状態が同期化ステート・マシンによってテストされる。同期化が達成されなかった場合には、ユニット50によってオウト・オブ・ロック(同期外れ、非ロック状態)表示が発生する。この表示が発生すると、復号器10のVCO255(図5)はコード・タイプおよび機能構成に応じた移相(位相シフト)を入力データストリームに挿入する。この同期化処理は、ロック状態が得られるまで繰返される。この処理は好ましい同期化方法であるが、異なる別の動作シーケンスを用いた他の方法でも同期化は可能である。
【0044】
上述のようにしてデータストリームが同期化された後、送信機において削除されたビット数と等しい数の置換用“プレース・ホルダ”ダミー・ビットがデータストリーム中に挿入される。ユニット50中の機能構成設定可能なステート・マシンを用いて、受信データストリームの特定のコード・タイプおよびコード・レートに対して適正な“プレース・ホルダ”ダミー・ビットが挿入される。ユニット50は、マイクロコントローラ105からインタフェース100を介して伝達された制御信号に応答して、ユニット50内のレジスタにロードすることによって、選択されたコード・レートに対する機能構成設定を行う。“プレース・ホルダ”ビット挿入ステート・マシンは、ロードされたレジスタ情報に応答して、適正に選択されたコード・レートに対して正確な数のプレース・ホルダ・ビットを挿入するように機能構成が設定される。同様に、ユニット50のビタビ同期化回路網も、この情報を用いて適正に機能構成が設定される。“プレース・ホルダ”ビット挿入の後で、固定基本コード・レート1/2がユニット50から出力される。これは、テーブルIIに示された種々の伝送コード・レートの全てが、固定基本コード・レート(1/2)で動作する単一のビタビ復号器60を用いて復号されることを意味する。ユニット50において挿入された“プレース・ホルダ”ビットは、ビタビ復号器60内で識別される。このプレース・ホルダ・ビットの識別から得られた情報によって、ビタビ復号器のアルゴリズムはデータを正しく復号できるようになる。その結果得られたビタビ復号器60の出力はマルチプレクサ65に供給される。
【0045】
衛星入力信号用の機能構成において、マルチプレクサ65は、インタフェース100からの制御信号に応答して、そのビタビ復号器60の出力をシンボル−バイト・マッパ70に供給する。マッパ70は、ビタビ復号器60の単一ビット出力を、マップされた8ビット構成の1つのデータ・バイトに変換する。一方、ケーブル信号入力用の機能構成においては、マルチプレクサ65は、制御信号の状態(status)に応答して、ユニット45の差分復号出力をマッパ70に供給する。さらに、ケーブル入力信号用の機能構成においては、マッパ70の機能は、64点または256点のシンボル座標分布のいずれが選択されるかに応じて決まる。64点QAM座標分布が選択された場合には、マッパ70は、その座標分布の64点の各点に対する6ビット構成の1つのシンボル・コードを、マップされた8ビット構成の1つのデータ・バイトに変換する。一方、256点QAM座標分布用の機能構成においては、マッパ70は、その座標分布の256点の各点に対する8ビット構成の1つのシンボル・コードを、マップされた8ビット構成の1つのデータ・バイトに変換する。シンボル−バイト・マッピング変換は、選択されたシンボル座標分布とシステムの出力バイト要求とに応じて機能が変化する。
【0046】
マッパ70のマップ済みデータ出力は、さらに別の処理を行うために同期化ユニット75およびメモリ95に供給される。このマップ済みデータ出力は、インタリーブ(間挿)されたデータであり、即ち送信前に所定のシーケンスで配列されたデータである。そのインタリーブ処理を行う目的は、伝送中にデータが失われてもその結果として連続(隣接)するデータが失われないように、データを所定のシーケンスで時間的に拡がらせ分散させることである。その代わりに、どのようなデータの消失または欠落も、分散され、従ってより容易に隠蔽されまたは訂正される。同期化ユニット75およびメモリ95は、デインタリーバ・アドレス発生器80、85およびマルチプレクサ90とともに、データを元のシーケンスに復元するまたは回復させるための機能構成設定可能なデインタリーバ機能を構成する。DSSモードでは、ラムジ(Ramsey)氏によって提案され、“最適インタリーバの実現(Realization of Optimum Interleaver)”IEEE Transactions on Information Theory(IEEEトランザクションズ・オン・インフォメーション・セオリ)、vol. IT-15、May 1970に記載されたデインタリーブ・アルゴリズムが使用される。一方、DVBモードでは、フォーニ(Forney)氏によって提案され、“古典的バースト性チャンネルに対するコードのバースト・エラー訂正(Burst-Correcting Codes for the Classic Bursty Channel)”、IEEE Transactions on Information Theory(IEEEトランザクションズ・オン・コミュニケーション・テクノロジー)、vol. COM-19、Oct. 1971 に記載されたアルゴリズムが使用される。
【0047】
同期化回路網75は、インタリーブされたデータ信号における同期ワード(sync)を検出し、データの開始点に同期した出力信号を供給する。同期ワードそのものはインタリーブされないが、時間的に周期的間隔で発生する。同期ワード検出を行う(可動化する)ために、同期ワードおよび予期されるデータ・パケット長を識別する情報がユニット75内のレジスタにロードされる。この情報は、マイクロコントローラ105からインタフェース100を介して制御信号によって供給される。ユニット80、85からのアドレス信号をマッパ70からのインタリーブされたデータに同期させるために、ユニット75からの出力同期信号がアドレス発生器80、85に供給される。次いで、その発生されたアドレス信号は、マルチプレクサ90を介してメモリ95に供給される。
【0048】
DSSモードにおいては、マルチプレクサ90は、制御信号の状態に応答して発生器80からのアドレス信号をメモリ95に供給する。DVBモードにおいては、マルチプレクサ90は、別の制御信号の状態に応答して発生器85からのアドレス信号をメモリ95に供給する。発生器80はDSSモードにおいて使用されてラムジ形デインタリーブ機能を実行する。また、発生器85はDVBモードにおいて使用されてフォーニ形デインタリーブ機能を実行する。これらのデインタリーブ機能は、論理ステート・マシンを用いて実行される。発生器80、85は、読出しおよび書込みアドレスのシーケンスとそれに関連するメモリ制御信号(例えば、読出し、書込みおよび出力のイネーブル(可動化))とを生成し、これらのシーケンスおよび信号はマルチプレクサ90を介してメモリ95に転送される。発生器80、85が発生した書込みアドレスのシーケンスは、確実に、マッパ70からのインタリーブされたデータが、インタリーブされた入力データを受入れた順序でメモリ95のメモリ位置に書込まれるようにする。また、発生器80、85が発生した読出しアドレスのシーケンスは、確実に、所要のデインタリーブされた順序でデータがメモリ95から読出されるようにする。その結果、メモリ95からのデインタリーブされた出力データは、リード−ソロモン復号器110に供給される。機能構成設定可能なデインタリーバ機能の動作に関する別の背景の情報が、J.S.スチュワート氏の同時係属中の米国特許出願第08/346,950号に記載されている。
【0049】
リード−ソロモン復号器110は、復号器12の全てのモードで動作し、メモリ95からのデインタリーブされた出力データを復号しエラー訂正する。リード−ソロモン復号器110は、インタフェース100からの制御に応答してロードされる内部レジスタによって機能構成設定される。このレジスタにロードされた情報によって、ユニット110は、メモリ95からのデインタリーブされた出力データにおいて予期される特定パケット長のデータを復号するように機能構成設定される。また、その情報はその他の機能構成設定パラメータ、例えば、データにおいて予期されるパリティ・バイトの数およびタイプ、1パケット当たりのエラー訂正バイト数、使用されるリード−ソロモン復号器機能のタイプを選択するパラメータ、等を含んでいる。
【0050】
ユニット110から出力されたリード−ソロモン復号データ出力は、デスクランブラ115とマルチプレクサ120とに供給される。DSSモードにおいては、マルチプレクサ120は、制御信号の状態に応答してユニット110からの復号データを出力プロセッサ125に供給する。一方、テーブルIIに示したケーブルDVBモードおよび衛星DVBモードにおいては、ユニット110からの復号データは、まずデスクランブラ115によってデスクランブル(暗号解読)される。これらのモードにおいては、マルチプレクサ120は、別の異なる制御信号の状態に応動して、ユニット115からのデスクランブルされた出力を出力プロセッサ125に供給する。出力プロセッサ125は、マルチプレクサ120からの出力データを処理して、図1のシステムの出力データを生成する。プロセッサ125は、出力データを他のビデオ受信機処理回路網にインタフェースするのに必要な各機能を実行する。この各機能は、出力データを適正な各論理レベルに適合させる機能と、その出力データ信号に関係するクロック信号を供給する機能とを含んでいて、他のビデオ受信機回路網とのインタフェースの形成を容易にする。最後に、ユニット125からの出力データがMPEGコンパチブル(適合性)トランスポート・プロセッサ130によって処理されて、ビデオデータ伸張において使用される同期化およびエラー表示情報が供給される。但し、本発明を用いるシステムにおいてそのMPEGコンパチビリティ(適合性)は必須のものではない。また、トランスポート・プロセッサ130は、ヘッダ情報の解析結果に基づいたタイプに従ってデータを分離する。プロセッサ130から出力されたデータ出力はMPEG伸張器135によって伸張(復元、decompress)されて、NTSC符号化器140によってNTSCフォーマットの信号として符号化するのに適した形のビデオデータが生成される。ユニット140から出力されたその伸張され符号化された出力データは、表示装置(図示せず)を含んだ表示処理回路に供給される。
【0051】
図2の実施形態において、図1の復調器10および復号器12は、制御信号によって、DSS衛星信号フォーマットを処理するように機能構成設定される。図2に示された回路網は、図1に関連して前に説明した機能と同じ機能を実行する。このDSSモードにおいて、復調器10のAGCループ(図5および6に関連して説明したもの)は、マルチプレクサ40を介してQPSKスライサ出力を使用する。次いで、その結果、ユニット25から出力された利得制御され濾波されたディジタル・ビデオ信号が、復号器12のユニット50および60によって、処理され、ビタビ復号され、エラー訂正される。このDSSモードにおいて、ユニット50は、先に規定したように2/3または6/7のコード・レートのいずれかに対して機能構成設定される。その結果、ユニット60からのビタビ復号出力は、マルチプレクサ65を介してシンボル−バイト・マッパ70に転送される。マッパ70の出力は、例えばラムジ・デインタリーバ機能用に機能構成設定されたユニット75、85、90および95によってデインタリーブされる。メモリ95からのデインタリーブ出力は、リード−ソロモン復号器110によって復号され、マルチプレクサ120を介して出力プロセッサ125に転送される。プロセッサ125からの復号された復調出力は、図1に関連して説明したように、回路網130、135および140によって処理される。
【0052】
図3の実施形態において、図1の復調器10および復号器12は、制御信号によって、DVB衛星信号フォーマットを処理するように機能構成設定される。図3に示された回路網は、図1に関連して前に説明した機能と同じ機能を実行する。このDVB衛星モードにおいて、復調器10のAGCループは、DSSモードの場合のように、マルチプレクサ40を介してQPSKスライサ出力を使用する。その結果、次いで、ユニット25から出力された利得制御され濾波されディジタル化されたビデオ信号出力が、復号器12のユニット50および60によって、処理され、ビタビ復号され、エラー訂正される。このDVBモードにおいては、DSSモードの場合とは対照的に、ユニット50は、相異なる5種類のコード・レート(1/2、2/3、3/4、5/6および7/8の各レート)に対して機能構成設定される。その結果、ユニット60から出力されたビタビ復号出力はマルチプレクサ65を介してシンボル−バイト・マッパ70に転送される。マッパ70の出力は、フォーニ・デインタリーバ機能として機能構成設定されたユニット75、80、90および95によってデインタリーブされる。メモリ95からのデインタリーブ出力は、リード−ソロモン復号器110によって復号され、ユニット115によってデスクランブルされて、マルチプレクサ120を介して出力プロセッサ125に転送される。プロセッサ125からのその復号された復調出力は、図1に関連して説明したように、回路網130、135および140によって処理される。
【0053】
図4の実施形態において、図1の復調器10および復号器12は、制御信号によって、DVBケーブル信号フォーマットを受入れるように機能構成設定される。図4に示された回路網は、図1に関連して前に説明した機能と同じ機能を実行する。このDVBケーブル・モードにおいて、復調器10のAGCループは、マルチプレクサ40を介してQAMスライサ出力を使用する。QAMスライサは、復調機10への入力信号に応じて、64点または256点のシンボル座標分布のいずれかに対して機能構成設定される。その結果、マルチプレクサ40の出力における、選択されたスライサ機能構成によって復元されたデータが、ユニット45によって差分復号されて、復号器12のマルチプレクサ65に供給される。ユニット45の復号出力は、マルチプレクサ65を介してシンボル−バイト・マッパ70に転送される。マッパ70の出力は、例えばフォーニ・デインタリーバ機能用に機能構成設定されたユニット75、80、90および95によってデインタリーブされる。メモリ95からのそのデインタリーブ出力は、リード−ソロモン復号器110によって復号され、ユニット115によってデスクランブルされて、マルチプレクサ120を介して出力プロセッサ125に転送される。プロセッサ125からの復号された復調出力は、図1に関連して説明したように、回路網130、135および140によって処理される。
【0054】
復調器10と復号器12の双方の機能を構成設定し選択するための機能および手段は、種々の方法で具体的に構成することができる。例えば、機能を選択するためのマルチプレクサを使用する代わりに、機能構成設定可能な論理回路網を用いてこれらの機能を実行することができる。また、選択用のマルチプレクサを使用する代わりに、トライ・ステート(3状態)論理バッファ構成(scheme)を用いて別々の機能出力間での選択を行うことができる。さらに、本発明の原理を適用することによって、他の入力信号フォーマットの復号および復調を行うように機能そのものを変えてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 復調器
12 復号器
20 入力プロセッサ
45 差分復号器
50 復号器
60 ビダビ復号器
70 マッパ
80 デインタリーバ
85 デインタリーバ
90 MUX
110 リード−ソロモン復号器
115 デスクランブラ
125 出力プロセッサ
130 トランスポート・プロセッサ
135 MPEG伸張器
140 NTSC復号器
275 検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送チャンネルを介して相異なるフォーマットのうちの1つのフォーマットで符号化されたビデオ信号を受信して適応的に処理する装置であって、
前記相異なるフォーマットのうちの1つのフォーマットで符号化された前記ビデオ信号を受信する手段と、
コード・レート制御信号に応答して複数のコード・レートの中から1つのコード・レートを選択する手段と、
デインタリーブ制御信号に応答して複数のデインタリーブ・モードの中から1つのデインタリーブ・モードを選択する手段であって、この選択されたデインタリーブ・モードが、前記ビデオ信号のデータがどのように時間的に分散させられているかを特定している、該手段と、
前記受信ビデオ信号を適応的にデパンクチャ及びデインタリーブしてデパンクチャ及びデインタリーバの双方のなされた出力を生成する手段と、
前記デインタリーブ済み出力をリード−ソロモン復号化してリード−ソロモン復号化済み出力を供給する手段と、
前記リード−ソロモン復号化済み出力を復元して表示のために復元済み出力を供給する手段と、
を備える、前記装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−130012(P2012−130012A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−280982(P2011−280982)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【分割の表示】特願2010−157686(P2010−157686)の分割
【原出願日】平成8年6月28日(1996.6.28)
【出願人】(391000818)トムソン コンシユーマ エレクトロニクス インコーポレイテツド (166)
【氏名又は名称原語表記】THOMSON CONSUMER ELECTRONICS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】