省エネ走行補助装置および省エネ走行補助情報報知装置
【課題】日々、積荷の量や重量が変化する積荷運搬用車両の省エネ走行を実現する。
【解決手段】車両情報とロードセル4,5,6,7からの検出信号とが入力される演算処理装置11を備えるものとし、演算処理装置11は、車両2の車両情報に基づいて、載台3に進入する車両2の駆動軸を識別するとともに、車両情報と、積荷積載時におけるロードセル4,5,6,7からの検出信号とに基づいて、駆動軸への負荷荷重を決定する。駆動軸情報および駆動軸負荷荷重情報は、表示器13で表示され、またFMラジオ16で受信されて、その内容がドライバ等に報知されるものとする。
【解決手段】車両情報とロードセル4,5,6,7からの検出信号とが入力される演算処理装置11を備えるものとし、演算処理装置11は、車両2の車両情報に基づいて、載台3に進入する車両2の駆動軸を識別するとともに、車両情報と、積荷積載時におけるロードセル4,5,6,7からの検出信号とに基づいて、駆動軸への負荷荷重を決定する。駆動軸情報および駆動軸負荷荷重情報は、表示器13で表示され、またFMラジオ16で受信されて、その内容がドライバ等に報知されるものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の省エネ走行に供する省エネ走行補助装置およびそれに対応して用いられる省エネ走行補助情報報知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物流システムが高度に発達した現在、積み荷を搭載して各地を走行するトラックなどの積み荷運搬用車両が陸上輸送の中心的役割を担っている。しかし、未だガソリンをはじめとする化石燃料を燃料とするものが大半を占めており、鉄道などと比べて環境負荷が高い。そのため、石油資源枯渇の不安から代替燃料が模索され、かつ地球温暖化防止のため温暖効果ガスの削減活動が進められる昨今、ドライバには、燃料消費量や排気ガス排出量の出来る限り少ないドライビング、つまり省エネ走行が希求されている。
【0003】
特許文献1には、燃費の悪い運転をしている運転者に対してリアルタイムに通知して、運転技術を改善する省エネ運転支援システムが開示されている。これは、車両用ナビゲーション装置を利用して目的地までの地形情報を取得して算出した、燃費が最も良くなるギヤ操作位置やエンジン回転数をドライバに報知して、燃費改善を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−248185号公報
【0005】
ところで、エンジンなどの動力源からの駆動力を無駄なく駆動輪に伝達するには、その駆動輪に対して大きめの荷重を負荷することが望ましい。小さい荷重であれば駆動輪が空転するなどして、駆動力の一部が無駄に消費されるためである。一方、大きすぎる荷重を駆動輪に負荷することは、動力源に過大な負荷をかけ、逆に省エネ走行を阻害する要因になりかねず、また、車両故障の原因ともなりかねない。法的にも、道路を走行する車両の総重量はもちろん、輪重や軸重にも規制がかけられており、問題となる。これらは、省エネ走行を実現するために考慮すべき事柄である。運転技術・技能の優れたドライバであれば、道路状況に応じたアクセル操作などにより駆動輪へ負荷する荷重をある程度操作することは可能かもしれないが、例えば、日々、積み荷の量や重量が変化する積荷運搬用車両では限界があり、ドライバの技術・技能に頼らない解決策が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、日々、積荷の量や重量が変化する積荷運搬用車両の省エネ走行を実現することができる省エネ走行補助装置およびそれに対応して用いられる省エネ走行補助情報報知装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、第1発明による省エネ走行補助装置は、
載台と、前記載台上に進入する車両に関する重量に対応する検出信号を出力する重量検出手段とを備えた省エネ走行補助装置であって、
前記車両の車両情報に基づいて、前記載台に進入する車両の駆動軸を識別する駆動軸識別手段と、
前記車両情報と、積荷積載時における前記重量検出手段からの検出信号とに基づいて、前記駆動軸識別手段で識別した駆動軸への負荷荷重を決定する駆動軸負荷荷重決定手段と、
を備えることを特徴とするものである。
【0008】
第1発明において、
前記駆動軸負荷荷重決定手段が決定した駆動軸への負荷荷重に関する情報を報知する駆動軸負荷荷重情報第1報知手段が設けられるのが好ましい(第2発明)。
【0009】
第1発明または第2発明において、
前記駆動軸負荷荷重決定手段が決定した駆動軸への負荷荷重に関する情報を送信する駆動軸負荷荷重情報送信手段が設けられるのが好ましい(第3発明)。
【0010】
第1発明〜第3発明において、
前記車両情報と、前記車両の軸重と、前記車両に積載される積荷の重量と、前記駆動軸負荷荷重決定手段が決定した駆動軸への負荷荷重とに基づいて、積荷位置を決定する積荷位置決定手段が設けられるのが好ましい(第4発明)。
【0011】
第4発明において、
前記積荷位置決定手段が決定した積荷位置に関する情報を報知する積荷位置情報第1報知手段が設けられるのが好ましい(第5発明)。
【0012】
第4発明または第5発明において、
前記積荷位置決定手段が決定した積荷位置に関する情報を送信する積荷位置情報送信手段が設けられるのが好ましい(第6発明)。
【0013】
次に、第7発明による省エネ走行補助情報報知装置は、
第3発明に係る省エネ走行補助装置に対応して用いられる省エネ走行補助情報報知装置であって、
前記駆動軸負荷荷重情報送信手段が送信した駆動軸への負荷荷重に関する情報を受信する駆動軸負荷荷重情報受信手段と、
前記駆動軸負荷荷重情報受信手段が受信した駆動軸への負荷荷重に関する情報を報知する駆動軸負荷荷重情報第2報知手段と、
を備えることを特徴とするものである。
【0014】
また、第8発明による省エネ走行補助情報報知装置は、
第6発明に係る省エネ走行補助装置に対応して用いられる省エネ走行補助情報報知装置であって、
前記積荷位置情報送信手段が送信した積荷位置に関する情報を受信する積荷位置情報受信手段と、
前記積荷位置情報受信手段が受信した積荷位置に関する情報を報知する積荷位置情報第2報知手段と、
を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
第1発明においては、車両の固有の情報である車両情報に基づいて、載台に進入する車両の駆動軸が駆動軸識別手段によって識別される。そして、車両情報と、積荷積載時における重量検出手段からの検出信号とに基づいて、駆動軸識別手段で識別した駆動軸への負荷荷重が駆動軸負荷荷重決定手段によって決定される。
第1発明によれば、載台に車両を進入させれば、法令違反や車両故障の危険を防止しつつ、ドライバの技術・技能に頼ることなく、省エネ走行の実現に適した駆動軸への負荷荷重を決定することができるので、日々、積荷の量や重量が変化する積荷運搬用車両の省エネ走行を実現することができる。
第2発明の構成を採用することで、省エネ走行の実現に適した駆動軸への負荷荷重をドライバなどが容易に知得することができる。
第3発明の構成を採用することで、省エネ走行の実現に適した駆動軸への負荷荷重を外部装置に送信することができる。
【0016】
また、第4発明の構成を採用することで、省エネ走行を実現するのに適した積荷位置を決定することができる。
第5発明を採用することで、省エネ走行の実現に適した積荷位置をドライバなどが容易に知得することができる。
第6発明の構成を採用することで、省エネ走行の実現に適した積荷位置を外部装置に送信することができる。
【0017】
第7発明によれば、例えば、この発明をカーナビゲーション端末機やETC車載器などの車載器に採用することで、ドライバは降車することなく、省エネ走行を実現するのに適した駆動軸への負荷荷重を知得することができる。
第8発明によれば、同様に、ドライバは降車することなく、省エネ走行を実現するのに適した積荷位置を知得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る省エネ走行補助装置を構成するトラックスケールの平面図(a)および断面図(b)
【図2】第1の実施形態の省エネ走行補助装置の概略システム構成図
【図3】積み荷を積載した車両の側面図
【図4】省エネ走行補助情報処理プログラムの処理内容を説明するフローチャート
【図5】表示器の表示画面例(1)
【図6】表示器の表示画面例(2)
【図7】表示器の表示画面例(3)
【図8】表示器の表示画面例(4)
【図9】本発明の第2実施形態に係る省エネ走行補助装置とそれに対応して用いられる省エネ走行補助情報報知装置の概略システム構成図
【図10】トラックスケールにおける前輪側および後輪側のロードセルの加算値の変化のグラフ
【図11】図10(a)に示される各点a1,b1,a2における車両とトラックスケールとの位置関係を表す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明による省エネ走行補助装置および省エネ走行補助情報報知装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
〔第1の実施形態〕
図1には、本発明の第1の実施形態に係る省エネ走行補助装置を構成するトラックスケールの平面図(a)および断面図(b)がそれぞれ示されている。
【0021】
<トラックスケールの概略説明:図1参照>
図1(a)(b)に示されるように、トラックスケール1は、図の左側から右側に進行する車両2の備える全ての車輪2a,2b,2c,2dが同時に載ることができるサイズの載台3と、この載台3の下方の四隅に設けられ、載台3上に進入する車両2に関する重量に対応する検出信号を出力する合計4個のロードセル4,5,6,7を備えて構成されている。ロードセル4〜7は、本発明の「重量検出手段」に対応する。
【0022】
<トラックスケールの回路構成の説明:図2参照>
図2に示されるように、各ロードセル4〜7は、それぞれ増幅器8およびスイッチ9、更にはA/D変換器10、を介して演算処理装置(CPU)11に接続されている。各ロードセル4〜7で検出されたアナログ荷重信号は、対応する増幅器8で増幅された後、A/D変換器10によってデジタル荷重信号に変換されて、演算処理装置11に入力される。なお、本実施形態では、ロードセル4〜7は、アナログ荷重信号を出力するアナログロードセルでなるが、増幅機能およびA/D変換機能を搭載したデジタルロードセルであってもよい。ロードセル4〜7にデジタルロードセルを採用する場合、各ロードセル4〜7は演算処理装置11で処理可能なデジタル荷重信号を出力するので、増幅器8、スイッチ9およびA/D変換器10などは不要である。
【0023】
演算処理装置11は、所定プログラムおよび各種データを記憶するメモリ12に接続されるとともに、演算処理結果などを表示する表示器13および各種データの入力などを行う押しボタンスイッチ14に接続されている。本実施形態における演算処理装置11は、所定プログラムに規定されたアルゴリズムに従って動作することにより、他のハードウェア機器と協働して、本発明における各機能ブロックの少なくとも一部を構成する。なお、液晶タッチパネルなどを採用することで、表示器13と押しボタンスイッチ14とが一体に構成されていてもよい。また、本実施形態においては、表示器13は、載台3上に車両2が進入して前後輪が載った状態で停止したときに、ドライバがその表示を視認しやすい位置に設置されていることが好ましい。
【0024】
<演算処理装置の機能説明:図2参照>
演算処理装置11は、車両2が載台3に載って全ての車輪がその載台3上で停止する過程において、ロードセル4〜7の検出信号に基づいて、車両2の、車両重量(車両2が積み荷を積載する場合にはこれを「総重量」と記載する。)および軸重(車両2が積み荷を積載する場合にはこれを「総軸重」と記載する。)をそれぞれ演算する。
【0025】
演算処理装置11は、本発明の「駆動軸識別手段」を構成し、入力手段を構成する押しボタンスイッチ14が操作されて入力される車両情報(車両2の固有の情報)の1つである、どの車軸が駆動軸であるかを示す駆動軸情報から、車両2の駆動軸を識別する。つまり、車両2の諸元表などから駆動軸を知得して例えばドライバによる押しボタンスイッチ14の操作を介して、演算処理装置11は、車両2の駆動軸を識別する。なお、本実施形態において、車両2は車軸数を「2」とし、後軸を駆動軸とする。
【0026】
ところで、各車軸に負荷可能な最大負荷荷重は、本来、車両メーカが規定するものである。しかし、当該最大負荷荷重が、仮に法令で制限された軸重の最大荷重を超える場合には、演算処理装置11は、車両メーカ規定の最大負荷荷重に代えて、法令で制限された軸重の最大荷重を、各車軸に負荷可能な最大負荷荷重として取得する。なお、法令で制限された軸重の最大荷重のデータは、予めメモリ12に記憶されている。
【0027】
演算処理装置11は、本発明の「駆動軸負荷荷重決定手段」を構成し、駆動軸の総軸重を、最大負荷荷重以下で、かつ最大負荷荷重に近い値となるように決定する。ところで、発明者は、車両が一般的な条件の道路を走行する場合、駆動軸の総軸重が最大負荷荷重の90〜97%であるときに、省エネ走行の実現に最も寄与することを発見した。そこで、本実施形態においては、演算処理装置11は、駆動軸の総軸重が最大負荷荷重の90%またはこれに最も近い値となるように決定する。ただし、これは実施形態の一例であり、これに限定されるものではない。
【0028】
演算処理装置11は、本発明の「積荷位置決定手段」を構成し、積荷重量を増減させることなく、駆動軸への負荷荷重が、前記決定した総軸重となるように積荷位置の移動方向、移動量を決定する。以下に詳述する。
【0029】
<演算処理装置の計算内容の説明:図3参照>
図3には、荷台に積荷を積載した車両2の側面図が示されている。図3において用いられる記号の説明は以下の通りである。
wm:積荷重量
wf:前軸軸重(積荷未積載時)
wr:後軸軸重(積荷未積載時)
wg:車両重量(積荷未積載時)
WF:前軸総軸重
WR:後軸総軸重
WG:総重量
L:前軸と後軸との軸間距離
X:後軸と車両重心との距離(積荷積載時)
Y:前軸と車両重心との距離(積荷積載時)
Z:後軸と積荷重心との距離
上記のwm,wf,wr,wg,WF,WR,WG,L,X,Y,Zは、全て車両2に関する情報であり、前述の駆動軸情報と同じく車両情報である。
【0030】
wfは、諸元表(車両情報)、または積荷未積載時の車両2の前軸のみが載台3上にあるときのロードセル4〜7の出力値の合計から求めることができる。
wgは、諸元表(車両情報)、または積荷未積載時の車両2の前軸および後軸の両方が載台3上にあるときのロードセル4〜7の出力値の合計から求めることができる。
wrは、諸元表(車両情報)、またはwgとwfとの差から求めることができる。
【0031】
ロードセル4〜7の出力値に基づいて、wf,wr,wgを演算処理装置11が取得する場合、ロードセル4〜7が演算処理装置11に対する入力手段を構成する。
諸元表に基づいて例えばドライバが押しボタンスイッチ14を操作して入力した車両情報から演算処理装置11がwf,wr,wgを取得する場合、押しボタンスイッチ14が演算処理装置11に対する入力手段を構成する。
なお、本実施形態では、演算処理装置11は、諸元表を確認したドライバによる押しボタンスイッチ14の操作を介して入力される車両情報からwf,wr,wg,Lを取得する。
【0032】
WFは、積荷積載時における車両2の前軸のみが載台3上にあるときのロードセル4〜7の出力値の合計から求めることができる。
WGは、積荷積載時における車両2の前軸および後軸の両方が載台3上にあるときのロードセル4〜7の出力値の合計から求めることができる。
WRは、WGとWFとの差から求めることができる。
wmはWGとwgとの差から求めることができる。
Lは諸元表(車両情報)により知得することができる。
【0033】
X,Y,Lの関係については、以下の式(1)が成立する。
X+Y=L ・・・(1)
車両2の総重量の関係から、以下の式(2)が成立する。
WF+WR=wf+wr+wm=wg+wm=WG ・・・(2)
車両重心位置を基準にした総軸重に関するモーメントの釣り合い関係から、以下の式(3)が成立する。
WF・Y=WR・X ・・・(3)
車両重心位置を基準にした軸重および積荷重量に関するモーメントの釣り合い関係から、以下の式(4)が成立する。
wf・Y=wm・(X−Z)+wr・X ・・・(4)
式(1)〜(4)より、Zは、以下の式(5)のように導かれる。
Z=L・(WF−wf)/wm=L・{(WG−wg)−(WR−wr)}/wm
・・・(5)
【0034】
あるときの積荷の重心位置をZ1、そのときの、前軸総軸重をWF1、後軸総軸重をWR1とし、後軸から前軸の方向にZ1からaだけ積荷の重心位置を移動させたときの重心位置をZ2、そのときの、前軸総軸重をWF2、後軸総軸重をWR2とすると、前記式(5)に基づいて、積荷重心位置移動量aは以下の式(6)で表現される。
a=Z2−Z1
=[L・{(WG−wg)−(WR2−wr)}/wm]−[L・{(WG−wg)−(WR1−wr)}/wm]
=L・(WR1−WR2)/wm ・・・(6)
=L・(WF2−wf)/wm−L・(WF1−wf)/wm
=L・(WF2−WF1)/wm
【0035】
<駆動軸負荷荷重決定処理プログラムの説明:図4>
次に、演算処理装置11による省エネ走行補助情報処理プログラムの処理内容について、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、図4中記号「S」はステップを表す。
【0036】
<ステップS1〜S2の処理内容>
まず、メモリ12に記憶されている車両情報を読み込み(S1)、読み込んだ車両情報(駆動軸情報)に基づいて、車両2のどの車軸が駆動軸であるかを識別する(S2)。本例では、後軸が駆動軸であると識別される。
【0037】
<ステップS3の処理内容>
次いで、ロードセル4〜7のデジタル荷重信号から前述の計算方法によって求められる後軸総軸重WR1が、メモリ12から読み込んだ車両情報で知得される駆動軸(後軸)の負荷可能な最大負荷荷重WRmaxの90%の値(0.9WRmax)よりも小さいか否かを判断する。
【0038】
<ステップS4〜S5の処理内容>
ステップS3において、WR1<0.9WRmaxであると判断した場合(S3でYES)には、駆動軸への負荷荷重をWR1に決定し(S4)、積荷の重心位置が駆動軸である後軸上となるように積荷位置を決定する(S5)。
この条件下では、WRmaxの90%の荷重を駆動軸に負荷することができず、WRmaxの90%に最も近い値の荷重を駆動軸に負荷することが、省エネ走行の実現に最も寄与すると考えられるからである。
【0039】
<ステップS6の処理内容>
ステップS3において、WR1<0.9WRmaxでない場合、つまりWR1≧0.9WRmaxであると判断した場合(S3でNO)には、駆動軸への負荷荷重をWRmaxの90%に決定する。
【0040】
<ステップS7の処理内容>
ここで、WR1がWRmaxの90%の値よりも大きい場合であっても、積荷位置を調整することで駆動軸である後軸にWRmaxの90%の値の荷重を負荷することができる。
すなわち、ある状態で積荷を積載した車両2が載台3に進入した際の積荷位置をZ1とし、最大負荷荷重の90%の値の荷重が後軸に負荷されるときの積荷位置をZ2とし、車両情報から知得される前軸と後軸との軸間距離Lと、ロードセル4〜7のデジタル荷重信号から前述の計算方法によって求められる後軸総軸重WR1と、車両2に積載される積荷の重量wmと、駆動軸への負荷荷重0.9WRmaxとに基づいて、WR2=0.9WRmaxとして、前記式(6)から積荷重心位置移動量aを求め、後軸から前軸方向にaだけ移動させた位置に積荷位置を決定する。
ここで、積荷重量wmは、例えば、メモリ12から読み込んだ車両情報またはロードセル4〜7のデジタル荷重信号に基づいて求められる積荷未積載時の車両2の重量と、ロードセル4〜7のデジタル荷重信号に基づいて求められる積荷積載時の車両2の重量との差から算出される。なお、積荷重量wmが既知の値で車両情報として押しボタンスイッチ14の操作を介して予めメモリ12に記憶されている場合、メモリ12からwmの値を読み出して、前記式(6)に代入する態様もあり得る。
【0041】
<ステップS8の処理内容>
次いで、駆動軸情報(S2)や負荷荷重情報(S4,S6)、積荷位置情報(S5,S7)などを表示器13に表示させる表示信号を生成する。この表示信号は表示器13に与えられ、表示器13には、これら駆動軸情報、負荷荷重情報および積荷位置情報を含む種々の情報が画面表示される(図5参照)。
【0042】
<表示器の表示内容の説明:図5参照>
図5は、メモリ12や図示されないドライブ回路などを駆動して、演算処理装置11が表示器13に表示させる画面の一例を示したものである。図5に示される画面には、WF,WR,WGに加え、総重量に対応して決定した、駆動軸への負荷荷重と積荷位置(積荷移動量a)とが表示されている。また、演算処理装置11により算出された、車両2の総重量に対応して決定した駆動軸への負荷荷重の最大負荷荷重に対する割合が、負荷率として表示されている。つまり、演算処理装置11と表示器13と周辺装置は協働して本発明の「駆動軸負荷荷重情報第1報知手段」および「積荷位置情報第1報知手段」を構成する。なお、当該画面は、図5に例示された画面に限定するものでなく、例えば、図6に示されるように、車両情報に基づいて図示化した車両2の上に、これらの情報を表示するものであってもよい。
【0043】
<第1の実施形態の作用効果の説明>
第1の実施形態においては、車両2の固有の情報である車両情報に基づいて、載台3に進入する車両2の駆動軸が識別される。また、車両情報と、積荷積載時におけるロードセル4〜7の検出信号とに基づいて、駆動軸への負荷荷重が決定される。
【0044】
第1の実施形態によれば、以下の(1)〜(4)のような作用効果を得ることができる。
(1)載台3に車両2を進入させれば、法令違反や車両故障の危険を防止しつつ、ドライバの技術・技能に頼ることなく、省エネ走行の実現に適した駆動軸への負荷荷重を決定することができるので、日々、積荷の量や重量が変化する積荷運搬用の車両2の省エネ走行を実現することができる。
(2)省エネ走行の実現に適した駆動軸への負荷荷重を、ドライバなどが容易に知得することができるとともに、外部装置に送信することができる。
(3)省エネ走行を実現するのに適した積荷位置を決定することができる。
(4)省エネ走行の実現に適した積荷位置を、ドライバなどが容易に知得することができるとともに、外部装置に送信することができる。
【0045】
<第1の実施形態の変形例の説明>
以下に第1の実施形態の変形例を記載する。
第1の実施形態において、車両2は、車軸数を「2」とし、後軸を駆動軸としたが、車軸数が3軸以上であっても、前軸が駆動軸であっても本発明を適用することができる。また、駆動軸が複数である場合、例えば、各駆動軸間の中央に駆動軸があると擬制し(図8参照)、当該擬制した駆動軸への負荷荷重および積荷位置を決定すればよい。
なお、車軸数が3軸の場合、表示器13には、図7または図8に例示されるような画面が表示される。
【0046】
第1の実施形態において、演算処理装置11は、駆動軸への負荷荷重を、駆動軸の総軸重または最大負荷荷重の90%の値の荷重とし、かつ、それらに基づいて積荷位置を決定したが、最大負荷荷重の90〜97%の範囲に収まるように駆動軸への負荷荷重を決定し、かつ、それらに基づいて積荷位置を決定してもよい。車両2の荷台形状などによっては、積荷位置が制限される場合があるが、後者の構成を採用することで、積荷位置の決定が容易になる。
【0047】
また、カーナビゲーションシステムなどの利用によってルート検索して、駆動軸を後輪とする車両2が走行する予定の道程の高低割合を取得するなどし、または、これまでの経験などから、これから走行するルートでは、例えば、登り勾配の割合が多いと判断したとき、駆動軸への負荷荷重を最大負荷荷重の90%の値に決定するよりも、別の値に決定した方が、省エネ走行に寄与することができる場合がある。そこで、演算処理装置11が決定する駆動軸への負荷荷重の上限値を、最大負荷荷重の所望の値に変更することができるようにしてもよい。具体的には、図5に示される、表示器13に表示される画面に、駆動軸への負荷荷重の上限値を入力する枠を設け、押しボタンスイッチ14の操作により当該枠に所望の値を入力可能にし、当該入力された値が演算処理装置11に送信されるように構成すれば実現可能である。
【0048】
〔第2の実施形態〕
図9には、本発明の第2実施形態に係る省エネ走行補助装置とそれに対応して用いられる省エネ走行補助情報報知装置の概略システム構成図が示されている。
第2の実施形態の省エネ走行補助装置は、基本的に第1の実施形態のトラックスケールと同様の構成を有する。以下において、第1の実施形態と同一の構成部分については図に同一符号を付してその詳細な説明を省略することとし、以下においては第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとする。
【0049】
<送信装置の説明:図9参照>
図9に示されるように、第2の実施形態においては、演算処理装置11が決定した、車両2の駆動軸への負荷荷重および積荷位置に関する情報を送信する送信装置15が演算処理装置11と接続されている。
送信装置15は、本発明における「駆動軸負荷荷重情報送信手段」および「積荷位置情報送信手段」を構成し、本発明の「駆動軸負荷荷重情報受信手段」と「積荷位置情報受信手段」とを備えてなる省エネ走行補助情報報知装置と所定プロトコルに基づいて通信回路を形成する。
例えば、無線通信回路を形成する場合、アンテナを備えてなる無線インタフェースを有し、例えば無線インターネット技術、無線電話技術、FMラジオ技術、ETCやVICSなどのITS(Intelligennt Transport Systems:高速道路交通システム)技術に対応する所定のプロトコルに則り、演算処理装置11が決定した駆動軸への負荷荷重を送信する。
本実施形態において、送信装置15は、FM放送に準拠した変調信号でなる放送周波数帯の電波を送信する機器である所謂FMトランスミッターで構成され、駆動軸への負荷荷重を所定周波数のFM電波に重畳して送信する。
【0050】
<省エネ走行補助情報報知装置の説明:図9参照>
車両2には、本発明の「駆動軸負荷荷重情報受信手段」および「積荷位置情報受信手段」、並びに、「駆動軸負荷荷重情報第2報知手段」および「積荷位置情報第2報知手段」を備えてなる省エネ走行補助情報報知装置としてのFMラジオ16が設置されている。ドライバがFMラジオ16のチャンネルを前記所定周波数に対応させて選曲すると、送信装置15から所定周波数に重畳して送信された駆動軸への負荷荷重情報等がFMラジオ16のアンテナで受信され、例えば、「後軸に負荷すべき重量はxxkgです。積荷を荷台後方にaだけ移動させてください」とスピーカから報知される。
【0051】
<第2の実施形態の作用効果の説明>
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができるのは言うまでもない。さらに、第2の実施形態によれば、FMラジオ16を携帯または車両2に搭載することで、ドライバは降車することなく、省エネ走行を実現するのに適した駆動軸への負荷荷重や積荷位置を知得することができる。
【0052】
<第2の実施形態の変形例の説明>
以下に第2の実施形態の変形例を記載する。
第2の実施形態では、送信装置15が、本発明の「駆動軸負荷荷重情報送信手段」および「積荷位置情報送信手段」を構成するものとし、車両2に設置されたFMラジオ16が、本発明の「駆動軸負荷荷重情報受信手段」および「積荷位置情報受信手段」、並びに、「駆動軸負荷荷重情報第2報知手段」および「積荷位置情報第2報知手段」を構成するものとしたが、送信装置15は本発明の「駆動軸負荷荷重情報送信手段」または「積荷位置情報送信手段」のいずれかのみを構成し、FMラジオ16は、送信装置15に対応する、「駆動軸負荷荷重情報受信手段」および「駆動軸負荷荷重情報第2報知手段」、または「積荷位置情報受信手段」および「積荷位置情報第2報知手段」のいずれかのみを備えてなるものであっても良い。
また、FMラジオ16は車両2に設置されたものとしたが、ドライバが持ち運びするFMラジオであっても良い。
【0053】
また、例えば、送信装置15は、ETC車載器と通信を行うアンテナを備えたETCゲートでなる、本発明の「駆動軸負荷荷重情報送信手段」または「積荷位置情報送信手段」を構成する機器であり、車両2に備えられたETC車載器が、「駆動軸負荷荷重情報受信手段」および「駆動軸負荷荷重情報第2報知手段」、または、「積荷位置情報受信手段」および「積荷位置情報第2報知手段」を構成するものであっても良い。
【0054】
また、通信装置15は、VICS通信を行うアンテナを備えた機器でなる、本発明の「駆動軸負荷荷重情報送信手段」または「積荷位置情報送信手段」を構成する機器であり、車両2に設置可能なカーナビゲーション端末機が、本発明の「駆動軸負荷荷重情報受信手段」および「駆動軸負荷荷重情報第2報知手段」、または、「積荷位置情報受信手段」および「積荷位置情報第2報知手段」を構成するものであっても良い。カーナビゲーション端末機は、車両2に設定するものだけでなく、ドライバが持ち運び可能なものであってもよい。カーナビゲーション端末機は、図5〜図8に示されるような画面を表示することができるので、第1の実施形態および第2の実施形態の変形例に記載した構成を適宜変更して適用することができる。
【0055】
上記の各実施形態においては、前軸と後軸との軸間距離Lを諸元表(車両情報)により知得するようにしたが、車両2が載台3に進入したときのロードセル4〜7の出力値の変化に基づいて、以下に述べる手法により求めることができる。
【0056】
図10には、ロードセル4(No.1ロードセル4)とロードセル5(No.2ロードセル5)の合計荷重と時間との関係(a)およびロードセル6(No.3ロードセル6)とロードセル7(No.4ロードセル7)の合計荷重と時間との関係(b)がそれぞれ示されている。また、図11(a)(b)(c)には、図10(a)に示される各点a1,b1,a2における車両2とトラックスケール1との位置関係がそれぞれ示されている。
【0057】
図10(a)において、最小値b1の位置は図11(b)に示されるように、車両2の2軸目(後軸)が丁度載台3上に乗り込もうとしているときである。
したがって、図10(a)の点a1の時(図11(a)の時)のNo.1ロードセル4とNo.2ロードセル5との検出信号よる合計荷重をWa1、図10(a)の点b1の時(図11(b)の時)のNo.1ロードセル4とNo.2ロードセル5との検出信号による合計荷重をWb1とし、図11(b)に示されるように、No.1ロードセル4(No.2ロードセル5)とNo.3ロードセル6(No.4ロードセル7)との間の距離をLt、1軸目の車軸とNo.1ロードセル4との間の距離をL1とすると、以下の式(7)が成り立つ。
L1×Wb1=(Lt−L1)×(Wa1−Wb1) ・・・(7)
したがって、以下の式(8)によりL1を求めることができる。
L1=(Wa1−Wb1)×Lt/Wa1 ・・・(8)
【0058】
また、No.1ロードセル4と載台3の端縁までの距離をL2とすると、1軸目と2軸目の軸間距離Lは、L=L1+L2で表わすことができるので、軸間距離Lは以下の式(9)で与えられる。
L=(Wa1−Wb1)×Lt/Wa1+L2 ・・・(9)
ここで、距離Lt,L2は設置されたトラックスケール1において既知の値であるので、軸間距離LはWa1、Wb1の値から算出することができる。
【0059】
以上、本発明の省エネ走行補助装置および省エネ走行補助情報報知装置について、複数の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、各実施形態に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の省エネ走行補助装置および省エネ走行補助情報報知装置は、日々、積荷の量や重量が変化する積荷運搬用車両の省エネ走行の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 トラックスケール(省エネ走行補助装置)
2 車両
3 載台
4〜7 ロードセル(重量検出手段)
11 演算処理装置(駆動軸識別手段、駆動軸負荷荷重決定手段、積荷位置決定手段)
13 表示器(駆動軸負荷荷重情報第1報知手段、積荷位置情報第1報知手段)
14 押しボタンスイッチ
15 送信装置(積荷位置情報送信手段、駆動軸負荷荷重情報送信手段)
16 FMラジオ(省エネ走行補助情報報知装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の省エネ走行に供する省エネ走行補助装置およびそれに対応して用いられる省エネ走行補助情報報知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物流システムが高度に発達した現在、積み荷を搭載して各地を走行するトラックなどの積み荷運搬用車両が陸上輸送の中心的役割を担っている。しかし、未だガソリンをはじめとする化石燃料を燃料とするものが大半を占めており、鉄道などと比べて環境負荷が高い。そのため、石油資源枯渇の不安から代替燃料が模索され、かつ地球温暖化防止のため温暖効果ガスの削減活動が進められる昨今、ドライバには、燃料消費量や排気ガス排出量の出来る限り少ないドライビング、つまり省エネ走行が希求されている。
【0003】
特許文献1には、燃費の悪い運転をしている運転者に対してリアルタイムに通知して、運転技術を改善する省エネ運転支援システムが開示されている。これは、車両用ナビゲーション装置を利用して目的地までの地形情報を取得して算出した、燃費が最も良くなるギヤ操作位置やエンジン回転数をドライバに報知して、燃費改善を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−248185号公報
【0005】
ところで、エンジンなどの動力源からの駆動力を無駄なく駆動輪に伝達するには、その駆動輪に対して大きめの荷重を負荷することが望ましい。小さい荷重であれば駆動輪が空転するなどして、駆動力の一部が無駄に消費されるためである。一方、大きすぎる荷重を駆動輪に負荷することは、動力源に過大な負荷をかけ、逆に省エネ走行を阻害する要因になりかねず、また、車両故障の原因ともなりかねない。法的にも、道路を走行する車両の総重量はもちろん、輪重や軸重にも規制がかけられており、問題となる。これらは、省エネ走行を実現するために考慮すべき事柄である。運転技術・技能の優れたドライバであれば、道路状況に応じたアクセル操作などにより駆動輪へ負荷する荷重をある程度操作することは可能かもしれないが、例えば、日々、積み荷の量や重量が変化する積荷運搬用車両では限界があり、ドライバの技術・技能に頼らない解決策が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、日々、積荷の量や重量が変化する積荷運搬用車両の省エネ走行を実現することができる省エネ走行補助装置およびそれに対応して用いられる省エネ走行補助情報報知装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、第1発明による省エネ走行補助装置は、
載台と、前記載台上に進入する車両に関する重量に対応する検出信号を出力する重量検出手段とを備えた省エネ走行補助装置であって、
前記車両の車両情報に基づいて、前記載台に進入する車両の駆動軸を識別する駆動軸識別手段と、
前記車両情報と、積荷積載時における前記重量検出手段からの検出信号とに基づいて、前記駆動軸識別手段で識別した駆動軸への負荷荷重を決定する駆動軸負荷荷重決定手段と、
を備えることを特徴とするものである。
【0008】
第1発明において、
前記駆動軸負荷荷重決定手段が決定した駆動軸への負荷荷重に関する情報を報知する駆動軸負荷荷重情報第1報知手段が設けられるのが好ましい(第2発明)。
【0009】
第1発明または第2発明において、
前記駆動軸負荷荷重決定手段が決定した駆動軸への負荷荷重に関する情報を送信する駆動軸負荷荷重情報送信手段が設けられるのが好ましい(第3発明)。
【0010】
第1発明〜第3発明において、
前記車両情報と、前記車両の軸重と、前記車両に積載される積荷の重量と、前記駆動軸負荷荷重決定手段が決定した駆動軸への負荷荷重とに基づいて、積荷位置を決定する積荷位置決定手段が設けられるのが好ましい(第4発明)。
【0011】
第4発明において、
前記積荷位置決定手段が決定した積荷位置に関する情報を報知する積荷位置情報第1報知手段が設けられるのが好ましい(第5発明)。
【0012】
第4発明または第5発明において、
前記積荷位置決定手段が決定した積荷位置に関する情報を送信する積荷位置情報送信手段が設けられるのが好ましい(第6発明)。
【0013】
次に、第7発明による省エネ走行補助情報報知装置は、
第3発明に係る省エネ走行補助装置に対応して用いられる省エネ走行補助情報報知装置であって、
前記駆動軸負荷荷重情報送信手段が送信した駆動軸への負荷荷重に関する情報を受信する駆動軸負荷荷重情報受信手段と、
前記駆動軸負荷荷重情報受信手段が受信した駆動軸への負荷荷重に関する情報を報知する駆動軸負荷荷重情報第2報知手段と、
を備えることを特徴とするものである。
【0014】
また、第8発明による省エネ走行補助情報報知装置は、
第6発明に係る省エネ走行補助装置に対応して用いられる省エネ走行補助情報報知装置であって、
前記積荷位置情報送信手段が送信した積荷位置に関する情報を受信する積荷位置情報受信手段と、
前記積荷位置情報受信手段が受信した積荷位置に関する情報を報知する積荷位置情報第2報知手段と、
を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
第1発明においては、車両の固有の情報である車両情報に基づいて、載台に進入する車両の駆動軸が駆動軸識別手段によって識別される。そして、車両情報と、積荷積載時における重量検出手段からの検出信号とに基づいて、駆動軸識別手段で識別した駆動軸への負荷荷重が駆動軸負荷荷重決定手段によって決定される。
第1発明によれば、載台に車両を進入させれば、法令違反や車両故障の危険を防止しつつ、ドライバの技術・技能に頼ることなく、省エネ走行の実現に適した駆動軸への負荷荷重を決定することができるので、日々、積荷の量や重量が変化する積荷運搬用車両の省エネ走行を実現することができる。
第2発明の構成を採用することで、省エネ走行の実現に適した駆動軸への負荷荷重をドライバなどが容易に知得することができる。
第3発明の構成を採用することで、省エネ走行の実現に適した駆動軸への負荷荷重を外部装置に送信することができる。
【0016】
また、第4発明の構成を採用することで、省エネ走行を実現するのに適した積荷位置を決定することができる。
第5発明を採用することで、省エネ走行の実現に適した積荷位置をドライバなどが容易に知得することができる。
第6発明の構成を採用することで、省エネ走行の実現に適した積荷位置を外部装置に送信することができる。
【0017】
第7発明によれば、例えば、この発明をカーナビゲーション端末機やETC車載器などの車載器に採用することで、ドライバは降車することなく、省エネ走行を実現するのに適した駆動軸への負荷荷重を知得することができる。
第8発明によれば、同様に、ドライバは降車することなく、省エネ走行を実現するのに適した積荷位置を知得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る省エネ走行補助装置を構成するトラックスケールの平面図(a)および断面図(b)
【図2】第1の実施形態の省エネ走行補助装置の概略システム構成図
【図3】積み荷を積載した車両の側面図
【図4】省エネ走行補助情報処理プログラムの処理内容を説明するフローチャート
【図5】表示器の表示画面例(1)
【図6】表示器の表示画面例(2)
【図7】表示器の表示画面例(3)
【図8】表示器の表示画面例(4)
【図9】本発明の第2実施形態に係る省エネ走行補助装置とそれに対応して用いられる省エネ走行補助情報報知装置の概略システム構成図
【図10】トラックスケールにおける前輪側および後輪側のロードセルの加算値の変化のグラフ
【図11】図10(a)に示される各点a1,b1,a2における車両とトラックスケールとの位置関係を表す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明による省エネ走行補助装置および省エネ走行補助情報報知装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
〔第1の実施形態〕
図1には、本発明の第1の実施形態に係る省エネ走行補助装置を構成するトラックスケールの平面図(a)および断面図(b)がそれぞれ示されている。
【0021】
<トラックスケールの概略説明:図1参照>
図1(a)(b)に示されるように、トラックスケール1は、図の左側から右側に進行する車両2の備える全ての車輪2a,2b,2c,2dが同時に載ることができるサイズの載台3と、この載台3の下方の四隅に設けられ、載台3上に進入する車両2に関する重量に対応する検出信号を出力する合計4個のロードセル4,5,6,7を備えて構成されている。ロードセル4〜7は、本発明の「重量検出手段」に対応する。
【0022】
<トラックスケールの回路構成の説明:図2参照>
図2に示されるように、各ロードセル4〜7は、それぞれ増幅器8およびスイッチ9、更にはA/D変換器10、を介して演算処理装置(CPU)11に接続されている。各ロードセル4〜7で検出されたアナログ荷重信号は、対応する増幅器8で増幅された後、A/D変換器10によってデジタル荷重信号に変換されて、演算処理装置11に入力される。なお、本実施形態では、ロードセル4〜7は、アナログ荷重信号を出力するアナログロードセルでなるが、増幅機能およびA/D変換機能を搭載したデジタルロードセルであってもよい。ロードセル4〜7にデジタルロードセルを採用する場合、各ロードセル4〜7は演算処理装置11で処理可能なデジタル荷重信号を出力するので、増幅器8、スイッチ9およびA/D変換器10などは不要である。
【0023】
演算処理装置11は、所定プログラムおよび各種データを記憶するメモリ12に接続されるとともに、演算処理結果などを表示する表示器13および各種データの入力などを行う押しボタンスイッチ14に接続されている。本実施形態における演算処理装置11は、所定プログラムに規定されたアルゴリズムに従って動作することにより、他のハードウェア機器と協働して、本発明における各機能ブロックの少なくとも一部を構成する。なお、液晶タッチパネルなどを採用することで、表示器13と押しボタンスイッチ14とが一体に構成されていてもよい。また、本実施形態においては、表示器13は、載台3上に車両2が進入して前後輪が載った状態で停止したときに、ドライバがその表示を視認しやすい位置に設置されていることが好ましい。
【0024】
<演算処理装置の機能説明:図2参照>
演算処理装置11は、車両2が載台3に載って全ての車輪がその載台3上で停止する過程において、ロードセル4〜7の検出信号に基づいて、車両2の、車両重量(車両2が積み荷を積載する場合にはこれを「総重量」と記載する。)および軸重(車両2が積み荷を積載する場合にはこれを「総軸重」と記載する。)をそれぞれ演算する。
【0025】
演算処理装置11は、本発明の「駆動軸識別手段」を構成し、入力手段を構成する押しボタンスイッチ14が操作されて入力される車両情報(車両2の固有の情報)の1つである、どの車軸が駆動軸であるかを示す駆動軸情報から、車両2の駆動軸を識別する。つまり、車両2の諸元表などから駆動軸を知得して例えばドライバによる押しボタンスイッチ14の操作を介して、演算処理装置11は、車両2の駆動軸を識別する。なお、本実施形態において、車両2は車軸数を「2」とし、後軸を駆動軸とする。
【0026】
ところで、各車軸に負荷可能な最大負荷荷重は、本来、車両メーカが規定するものである。しかし、当該最大負荷荷重が、仮に法令で制限された軸重の最大荷重を超える場合には、演算処理装置11は、車両メーカ規定の最大負荷荷重に代えて、法令で制限された軸重の最大荷重を、各車軸に負荷可能な最大負荷荷重として取得する。なお、法令で制限された軸重の最大荷重のデータは、予めメモリ12に記憶されている。
【0027】
演算処理装置11は、本発明の「駆動軸負荷荷重決定手段」を構成し、駆動軸の総軸重を、最大負荷荷重以下で、かつ最大負荷荷重に近い値となるように決定する。ところで、発明者は、車両が一般的な条件の道路を走行する場合、駆動軸の総軸重が最大負荷荷重の90〜97%であるときに、省エネ走行の実現に最も寄与することを発見した。そこで、本実施形態においては、演算処理装置11は、駆動軸の総軸重が最大負荷荷重の90%またはこれに最も近い値となるように決定する。ただし、これは実施形態の一例であり、これに限定されるものではない。
【0028】
演算処理装置11は、本発明の「積荷位置決定手段」を構成し、積荷重量を増減させることなく、駆動軸への負荷荷重が、前記決定した総軸重となるように積荷位置の移動方向、移動量を決定する。以下に詳述する。
【0029】
<演算処理装置の計算内容の説明:図3参照>
図3には、荷台に積荷を積載した車両2の側面図が示されている。図3において用いられる記号の説明は以下の通りである。
wm:積荷重量
wf:前軸軸重(積荷未積載時)
wr:後軸軸重(積荷未積載時)
wg:車両重量(積荷未積載時)
WF:前軸総軸重
WR:後軸総軸重
WG:総重量
L:前軸と後軸との軸間距離
X:後軸と車両重心との距離(積荷積載時)
Y:前軸と車両重心との距離(積荷積載時)
Z:後軸と積荷重心との距離
上記のwm,wf,wr,wg,WF,WR,WG,L,X,Y,Zは、全て車両2に関する情報であり、前述の駆動軸情報と同じく車両情報である。
【0030】
wfは、諸元表(車両情報)、または積荷未積載時の車両2の前軸のみが載台3上にあるときのロードセル4〜7の出力値の合計から求めることができる。
wgは、諸元表(車両情報)、または積荷未積載時の車両2の前軸および後軸の両方が載台3上にあるときのロードセル4〜7の出力値の合計から求めることができる。
wrは、諸元表(車両情報)、またはwgとwfとの差から求めることができる。
【0031】
ロードセル4〜7の出力値に基づいて、wf,wr,wgを演算処理装置11が取得する場合、ロードセル4〜7が演算処理装置11に対する入力手段を構成する。
諸元表に基づいて例えばドライバが押しボタンスイッチ14を操作して入力した車両情報から演算処理装置11がwf,wr,wgを取得する場合、押しボタンスイッチ14が演算処理装置11に対する入力手段を構成する。
なお、本実施形態では、演算処理装置11は、諸元表を確認したドライバによる押しボタンスイッチ14の操作を介して入力される車両情報からwf,wr,wg,Lを取得する。
【0032】
WFは、積荷積載時における車両2の前軸のみが載台3上にあるときのロードセル4〜7の出力値の合計から求めることができる。
WGは、積荷積載時における車両2の前軸および後軸の両方が載台3上にあるときのロードセル4〜7の出力値の合計から求めることができる。
WRは、WGとWFとの差から求めることができる。
wmはWGとwgとの差から求めることができる。
Lは諸元表(車両情報)により知得することができる。
【0033】
X,Y,Lの関係については、以下の式(1)が成立する。
X+Y=L ・・・(1)
車両2の総重量の関係から、以下の式(2)が成立する。
WF+WR=wf+wr+wm=wg+wm=WG ・・・(2)
車両重心位置を基準にした総軸重に関するモーメントの釣り合い関係から、以下の式(3)が成立する。
WF・Y=WR・X ・・・(3)
車両重心位置を基準にした軸重および積荷重量に関するモーメントの釣り合い関係から、以下の式(4)が成立する。
wf・Y=wm・(X−Z)+wr・X ・・・(4)
式(1)〜(4)より、Zは、以下の式(5)のように導かれる。
Z=L・(WF−wf)/wm=L・{(WG−wg)−(WR−wr)}/wm
・・・(5)
【0034】
あるときの積荷の重心位置をZ1、そのときの、前軸総軸重をWF1、後軸総軸重をWR1とし、後軸から前軸の方向にZ1からaだけ積荷の重心位置を移動させたときの重心位置をZ2、そのときの、前軸総軸重をWF2、後軸総軸重をWR2とすると、前記式(5)に基づいて、積荷重心位置移動量aは以下の式(6)で表現される。
a=Z2−Z1
=[L・{(WG−wg)−(WR2−wr)}/wm]−[L・{(WG−wg)−(WR1−wr)}/wm]
=L・(WR1−WR2)/wm ・・・(6)
=L・(WF2−wf)/wm−L・(WF1−wf)/wm
=L・(WF2−WF1)/wm
【0035】
<駆動軸負荷荷重決定処理プログラムの説明:図4>
次に、演算処理装置11による省エネ走行補助情報処理プログラムの処理内容について、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、図4中記号「S」はステップを表す。
【0036】
<ステップS1〜S2の処理内容>
まず、メモリ12に記憶されている車両情報を読み込み(S1)、読み込んだ車両情報(駆動軸情報)に基づいて、車両2のどの車軸が駆動軸であるかを識別する(S2)。本例では、後軸が駆動軸であると識別される。
【0037】
<ステップS3の処理内容>
次いで、ロードセル4〜7のデジタル荷重信号から前述の計算方法によって求められる後軸総軸重WR1が、メモリ12から読み込んだ車両情報で知得される駆動軸(後軸)の負荷可能な最大負荷荷重WRmaxの90%の値(0.9WRmax)よりも小さいか否かを判断する。
【0038】
<ステップS4〜S5の処理内容>
ステップS3において、WR1<0.9WRmaxであると判断した場合(S3でYES)には、駆動軸への負荷荷重をWR1に決定し(S4)、積荷の重心位置が駆動軸である後軸上となるように積荷位置を決定する(S5)。
この条件下では、WRmaxの90%の荷重を駆動軸に負荷することができず、WRmaxの90%に最も近い値の荷重を駆動軸に負荷することが、省エネ走行の実現に最も寄与すると考えられるからである。
【0039】
<ステップS6の処理内容>
ステップS3において、WR1<0.9WRmaxでない場合、つまりWR1≧0.9WRmaxであると判断した場合(S3でNO)には、駆動軸への負荷荷重をWRmaxの90%に決定する。
【0040】
<ステップS7の処理内容>
ここで、WR1がWRmaxの90%の値よりも大きい場合であっても、積荷位置を調整することで駆動軸である後軸にWRmaxの90%の値の荷重を負荷することができる。
すなわち、ある状態で積荷を積載した車両2が載台3に進入した際の積荷位置をZ1とし、最大負荷荷重の90%の値の荷重が後軸に負荷されるときの積荷位置をZ2とし、車両情報から知得される前軸と後軸との軸間距離Lと、ロードセル4〜7のデジタル荷重信号から前述の計算方法によって求められる後軸総軸重WR1と、車両2に積載される積荷の重量wmと、駆動軸への負荷荷重0.9WRmaxとに基づいて、WR2=0.9WRmaxとして、前記式(6)から積荷重心位置移動量aを求め、後軸から前軸方向にaだけ移動させた位置に積荷位置を決定する。
ここで、積荷重量wmは、例えば、メモリ12から読み込んだ車両情報またはロードセル4〜7のデジタル荷重信号に基づいて求められる積荷未積載時の車両2の重量と、ロードセル4〜7のデジタル荷重信号に基づいて求められる積荷積載時の車両2の重量との差から算出される。なお、積荷重量wmが既知の値で車両情報として押しボタンスイッチ14の操作を介して予めメモリ12に記憶されている場合、メモリ12からwmの値を読み出して、前記式(6)に代入する態様もあり得る。
【0041】
<ステップS8の処理内容>
次いで、駆動軸情報(S2)や負荷荷重情報(S4,S6)、積荷位置情報(S5,S7)などを表示器13に表示させる表示信号を生成する。この表示信号は表示器13に与えられ、表示器13には、これら駆動軸情報、負荷荷重情報および積荷位置情報を含む種々の情報が画面表示される(図5参照)。
【0042】
<表示器の表示内容の説明:図5参照>
図5は、メモリ12や図示されないドライブ回路などを駆動して、演算処理装置11が表示器13に表示させる画面の一例を示したものである。図5に示される画面には、WF,WR,WGに加え、総重量に対応して決定した、駆動軸への負荷荷重と積荷位置(積荷移動量a)とが表示されている。また、演算処理装置11により算出された、車両2の総重量に対応して決定した駆動軸への負荷荷重の最大負荷荷重に対する割合が、負荷率として表示されている。つまり、演算処理装置11と表示器13と周辺装置は協働して本発明の「駆動軸負荷荷重情報第1報知手段」および「積荷位置情報第1報知手段」を構成する。なお、当該画面は、図5に例示された画面に限定するものでなく、例えば、図6に示されるように、車両情報に基づいて図示化した車両2の上に、これらの情報を表示するものであってもよい。
【0043】
<第1の実施形態の作用効果の説明>
第1の実施形態においては、車両2の固有の情報である車両情報に基づいて、載台3に進入する車両2の駆動軸が識別される。また、車両情報と、積荷積載時におけるロードセル4〜7の検出信号とに基づいて、駆動軸への負荷荷重が決定される。
【0044】
第1の実施形態によれば、以下の(1)〜(4)のような作用効果を得ることができる。
(1)載台3に車両2を進入させれば、法令違反や車両故障の危険を防止しつつ、ドライバの技術・技能に頼ることなく、省エネ走行の実現に適した駆動軸への負荷荷重を決定することができるので、日々、積荷の量や重量が変化する積荷運搬用の車両2の省エネ走行を実現することができる。
(2)省エネ走行の実現に適した駆動軸への負荷荷重を、ドライバなどが容易に知得することができるとともに、外部装置に送信することができる。
(3)省エネ走行を実現するのに適した積荷位置を決定することができる。
(4)省エネ走行の実現に適した積荷位置を、ドライバなどが容易に知得することができるとともに、外部装置に送信することができる。
【0045】
<第1の実施形態の変形例の説明>
以下に第1の実施形態の変形例を記載する。
第1の実施形態において、車両2は、車軸数を「2」とし、後軸を駆動軸としたが、車軸数が3軸以上であっても、前軸が駆動軸であっても本発明を適用することができる。また、駆動軸が複数である場合、例えば、各駆動軸間の中央に駆動軸があると擬制し(図8参照)、当該擬制した駆動軸への負荷荷重および積荷位置を決定すればよい。
なお、車軸数が3軸の場合、表示器13には、図7または図8に例示されるような画面が表示される。
【0046】
第1の実施形態において、演算処理装置11は、駆動軸への負荷荷重を、駆動軸の総軸重または最大負荷荷重の90%の値の荷重とし、かつ、それらに基づいて積荷位置を決定したが、最大負荷荷重の90〜97%の範囲に収まるように駆動軸への負荷荷重を決定し、かつ、それらに基づいて積荷位置を決定してもよい。車両2の荷台形状などによっては、積荷位置が制限される場合があるが、後者の構成を採用することで、積荷位置の決定が容易になる。
【0047】
また、カーナビゲーションシステムなどの利用によってルート検索して、駆動軸を後輪とする車両2が走行する予定の道程の高低割合を取得するなどし、または、これまでの経験などから、これから走行するルートでは、例えば、登り勾配の割合が多いと判断したとき、駆動軸への負荷荷重を最大負荷荷重の90%の値に決定するよりも、別の値に決定した方が、省エネ走行に寄与することができる場合がある。そこで、演算処理装置11が決定する駆動軸への負荷荷重の上限値を、最大負荷荷重の所望の値に変更することができるようにしてもよい。具体的には、図5に示される、表示器13に表示される画面に、駆動軸への負荷荷重の上限値を入力する枠を設け、押しボタンスイッチ14の操作により当該枠に所望の値を入力可能にし、当該入力された値が演算処理装置11に送信されるように構成すれば実現可能である。
【0048】
〔第2の実施形態〕
図9には、本発明の第2実施形態に係る省エネ走行補助装置とそれに対応して用いられる省エネ走行補助情報報知装置の概略システム構成図が示されている。
第2の実施形態の省エネ走行補助装置は、基本的に第1の実施形態のトラックスケールと同様の構成を有する。以下において、第1の実施形態と同一の構成部分については図に同一符号を付してその詳細な説明を省略することとし、以下においては第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとする。
【0049】
<送信装置の説明:図9参照>
図9に示されるように、第2の実施形態においては、演算処理装置11が決定した、車両2の駆動軸への負荷荷重および積荷位置に関する情報を送信する送信装置15が演算処理装置11と接続されている。
送信装置15は、本発明における「駆動軸負荷荷重情報送信手段」および「積荷位置情報送信手段」を構成し、本発明の「駆動軸負荷荷重情報受信手段」と「積荷位置情報受信手段」とを備えてなる省エネ走行補助情報報知装置と所定プロトコルに基づいて通信回路を形成する。
例えば、無線通信回路を形成する場合、アンテナを備えてなる無線インタフェースを有し、例えば無線インターネット技術、無線電話技術、FMラジオ技術、ETCやVICSなどのITS(Intelligennt Transport Systems:高速道路交通システム)技術に対応する所定のプロトコルに則り、演算処理装置11が決定した駆動軸への負荷荷重を送信する。
本実施形態において、送信装置15は、FM放送に準拠した変調信号でなる放送周波数帯の電波を送信する機器である所謂FMトランスミッターで構成され、駆動軸への負荷荷重を所定周波数のFM電波に重畳して送信する。
【0050】
<省エネ走行補助情報報知装置の説明:図9参照>
車両2には、本発明の「駆動軸負荷荷重情報受信手段」および「積荷位置情報受信手段」、並びに、「駆動軸負荷荷重情報第2報知手段」および「積荷位置情報第2報知手段」を備えてなる省エネ走行補助情報報知装置としてのFMラジオ16が設置されている。ドライバがFMラジオ16のチャンネルを前記所定周波数に対応させて選曲すると、送信装置15から所定周波数に重畳して送信された駆動軸への負荷荷重情報等がFMラジオ16のアンテナで受信され、例えば、「後軸に負荷すべき重量はxxkgです。積荷を荷台後方にaだけ移動させてください」とスピーカから報知される。
【0051】
<第2の実施形態の作用効果の説明>
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができるのは言うまでもない。さらに、第2の実施形態によれば、FMラジオ16を携帯または車両2に搭載することで、ドライバは降車することなく、省エネ走行を実現するのに適した駆動軸への負荷荷重や積荷位置を知得することができる。
【0052】
<第2の実施形態の変形例の説明>
以下に第2の実施形態の変形例を記載する。
第2の実施形態では、送信装置15が、本発明の「駆動軸負荷荷重情報送信手段」および「積荷位置情報送信手段」を構成するものとし、車両2に設置されたFMラジオ16が、本発明の「駆動軸負荷荷重情報受信手段」および「積荷位置情報受信手段」、並びに、「駆動軸負荷荷重情報第2報知手段」および「積荷位置情報第2報知手段」を構成するものとしたが、送信装置15は本発明の「駆動軸負荷荷重情報送信手段」または「積荷位置情報送信手段」のいずれかのみを構成し、FMラジオ16は、送信装置15に対応する、「駆動軸負荷荷重情報受信手段」および「駆動軸負荷荷重情報第2報知手段」、または「積荷位置情報受信手段」および「積荷位置情報第2報知手段」のいずれかのみを備えてなるものであっても良い。
また、FMラジオ16は車両2に設置されたものとしたが、ドライバが持ち運びするFMラジオであっても良い。
【0053】
また、例えば、送信装置15は、ETC車載器と通信を行うアンテナを備えたETCゲートでなる、本発明の「駆動軸負荷荷重情報送信手段」または「積荷位置情報送信手段」を構成する機器であり、車両2に備えられたETC車載器が、「駆動軸負荷荷重情報受信手段」および「駆動軸負荷荷重情報第2報知手段」、または、「積荷位置情報受信手段」および「積荷位置情報第2報知手段」を構成するものであっても良い。
【0054】
また、通信装置15は、VICS通信を行うアンテナを備えた機器でなる、本発明の「駆動軸負荷荷重情報送信手段」または「積荷位置情報送信手段」を構成する機器であり、車両2に設置可能なカーナビゲーション端末機が、本発明の「駆動軸負荷荷重情報受信手段」および「駆動軸負荷荷重情報第2報知手段」、または、「積荷位置情報受信手段」および「積荷位置情報第2報知手段」を構成するものであっても良い。カーナビゲーション端末機は、車両2に設定するものだけでなく、ドライバが持ち運び可能なものであってもよい。カーナビゲーション端末機は、図5〜図8に示されるような画面を表示することができるので、第1の実施形態および第2の実施形態の変形例に記載した構成を適宜変更して適用することができる。
【0055】
上記の各実施形態においては、前軸と後軸との軸間距離Lを諸元表(車両情報)により知得するようにしたが、車両2が載台3に進入したときのロードセル4〜7の出力値の変化に基づいて、以下に述べる手法により求めることができる。
【0056】
図10には、ロードセル4(No.1ロードセル4)とロードセル5(No.2ロードセル5)の合計荷重と時間との関係(a)およびロードセル6(No.3ロードセル6)とロードセル7(No.4ロードセル7)の合計荷重と時間との関係(b)がそれぞれ示されている。また、図11(a)(b)(c)には、図10(a)に示される各点a1,b1,a2における車両2とトラックスケール1との位置関係がそれぞれ示されている。
【0057】
図10(a)において、最小値b1の位置は図11(b)に示されるように、車両2の2軸目(後軸)が丁度載台3上に乗り込もうとしているときである。
したがって、図10(a)の点a1の時(図11(a)の時)のNo.1ロードセル4とNo.2ロードセル5との検出信号よる合計荷重をWa1、図10(a)の点b1の時(図11(b)の時)のNo.1ロードセル4とNo.2ロードセル5との検出信号による合計荷重をWb1とし、図11(b)に示されるように、No.1ロードセル4(No.2ロードセル5)とNo.3ロードセル6(No.4ロードセル7)との間の距離をLt、1軸目の車軸とNo.1ロードセル4との間の距離をL1とすると、以下の式(7)が成り立つ。
L1×Wb1=(Lt−L1)×(Wa1−Wb1) ・・・(7)
したがって、以下の式(8)によりL1を求めることができる。
L1=(Wa1−Wb1)×Lt/Wa1 ・・・(8)
【0058】
また、No.1ロードセル4と載台3の端縁までの距離をL2とすると、1軸目と2軸目の軸間距離Lは、L=L1+L2で表わすことができるので、軸間距離Lは以下の式(9)で与えられる。
L=(Wa1−Wb1)×Lt/Wa1+L2 ・・・(9)
ここで、距離Lt,L2は設置されたトラックスケール1において既知の値であるので、軸間距離LはWa1、Wb1の値から算出することができる。
【0059】
以上、本発明の省エネ走行補助装置および省エネ走行補助情報報知装置について、複数の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、各実施形態に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の省エネ走行補助装置および省エネ走行補助情報報知装置は、日々、積荷の量や重量が変化する積荷運搬用車両の省エネ走行の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 トラックスケール(省エネ走行補助装置)
2 車両
3 載台
4〜7 ロードセル(重量検出手段)
11 演算処理装置(駆動軸識別手段、駆動軸負荷荷重決定手段、積荷位置決定手段)
13 表示器(駆動軸負荷荷重情報第1報知手段、積荷位置情報第1報知手段)
14 押しボタンスイッチ
15 送信装置(積荷位置情報送信手段、駆動軸負荷荷重情報送信手段)
16 FMラジオ(省エネ走行補助情報報知装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載台と、前記載台上に進入する車両に関する重量に対応する検出信号を出力する重量検出手段とを備えた省エネ走行補助装置であって、
前記車両の車両情報に基づいて、前記載台に進入する車両の駆動軸を識別する駆動軸識別手段と、
前記車両情報と、積荷積載時における前記重量検出手段からの検出信号とに基づいて、前記駆動軸識別手段で識別した駆動軸への負荷荷重を決定する駆動軸負荷荷重決定手段と、
を備えることを特徴とする省エネ走行補助装置。
【請求項2】
前記駆動軸負荷荷重決定手段が決定した駆動軸への負荷荷重に関する情報を報知する駆動軸負荷荷重情報第1報知手段が設けられる請求項1に記載の省エネ走行補助装置。
【請求項3】
前記駆動軸負荷荷重決定手段が決定した駆動軸への負荷荷重に関する情報を送信する駆動軸負荷荷重情報送信手段が設けられる請求項1または2に記載の省エネ走行補助装置。
【請求項4】
前記車両情報と、前記車両の軸重と、前記車両に積載される積荷の重量と、前記駆動軸負荷荷重決定手段が決定した駆動軸への負荷荷重とに基づいて、積荷位置を決定する積荷位置決定手段が設けられる請求項1〜3のいずれかに記載の省エネ走行補助装置。
【請求項5】
前記積荷位置決定手段が決定した積荷位置に関する情報を報知する積荷位置情報第1報知手段が設けられる請求項4に記載の省エネ走行補助装置。
【請求項6】
前記積荷位置決定手段が決定した積荷位置に関する情報を送信する積荷位置情報送信手段が設けられる請求項4または5に記載の省エネ走行補助装置。
【請求項7】
請求項3に記載の省エネ走行補助装置に対応して用いられる省エネ走行補助情報報知装置であって、
前記駆動軸負荷荷重情報送信手段が送信した駆動軸への負荷荷重に関する情報を受信する駆動軸負荷荷重情報受信手段と、
前記駆動軸負荷荷重情報受信手段が受信した駆動軸への負荷荷重に関する情報を報知する駆動軸負荷荷重情報第2報知手段と、
を備えることを特徴とする省エネ走行補助情報報知装置。
【請求項8】
請求項6に記載の省エネ走行補助装置に対応して用いられる省エネ走行補助情報報知装置であって、
前記積荷位置情報送信手段が送信した積荷位置に関する情報を受信する積荷位置情報受信手段と、
前記積荷位置情報受信手段が受信した積荷位置に関する情報を報知する積荷位置情報第2報知手段と、
を備えることを特徴とする省エネ走行補助情報報知装置。
【請求項1】
載台と、前記載台上に進入する車両に関する重量に対応する検出信号を出力する重量検出手段とを備えた省エネ走行補助装置であって、
前記車両の車両情報に基づいて、前記載台に進入する車両の駆動軸を識別する駆動軸識別手段と、
前記車両情報と、積荷積載時における前記重量検出手段からの検出信号とに基づいて、前記駆動軸識別手段で識別した駆動軸への負荷荷重を決定する駆動軸負荷荷重決定手段と、
を備えることを特徴とする省エネ走行補助装置。
【請求項2】
前記駆動軸負荷荷重決定手段が決定した駆動軸への負荷荷重に関する情報を報知する駆動軸負荷荷重情報第1報知手段が設けられる請求項1に記載の省エネ走行補助装置。
【請求項3】
前記駆動軸負荷荷重決定手段が決定した駆動軸への負荷荷重に関する情報を送信する駆動軸負荷荷重情報送信手段が設けられる請求項1または2に記載の省エネ走行補助装置。
【請求項4】
前記車両情報と、前記車両の軸重と、前記車両に積載される積荷の重量と、前記駆動軸負荷荷重決定手段が決定した駆動軸への負荷荷重とに基づいて、積荷位置を決定する積荷位置決定手段が設けられる請求項1〜3のいずれかに記載の省エネ走行補助装置。
【請求項5】
前記積荷位置決定手段が決定した積荷位置に関する情報を報知する積荷位置情報第1報知手段が設けられる請求項4に記載の省エネ走行補助装置。
【請求項6】
前記積荷位置決定手段が決定した積荷位置に関する情報を送信する積荷位置情報送信手段が設けられる請求項4または5に記載の省エネ走行補助装置。
【請求項7】
請求項3に記載の省エネ走行補助装置に対応して用いられる省エネ走行補助情報報知装置であって、
前記駆動軸負荷荷重情報送信手段が送信した駆動軸への負荷荷重に関する情報を受信する駆動軸負荷荷重情報受信手段と、
前記駆動軸負荷荷重情報受信手段が受信した駆動軸への負荷荷重に関する情報を報知する駆動軸負荷荷重情報第2報知手段と、
を備えることを特徴とする省エネ走行補助情報報知装置。
【請求項8】
請求項6に記載の省エネ走行補助装置に対応して用いられる省エネ走行補助情報報知装置であって、
前記積荷位置情報送信手段が送信した積荷位置に関する情報を受信する積荷位置情報受信手段と、
前記積荷位置情報受信手段が受信した積荷位置に関する情報を報知する積荷位置情報第2報知手段と、
を備えることを特徴とする省エネ走行補助情報報知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−226467(P2012−226467A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91904(P2011−91904)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】
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