説明

真偽判定可能な記録媒体

【課題】 情報記録の感度が低い点、記録媒体の意匠性が低い点を改良した真偽判定可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】 透明基材2の一方の面に、少なくとも感熱増感層3、感熱破壊層4、ホログラム形成層5、蒸着層6を順に設けた構成の真偽判定可能な記録媒体1とすることにより、感熱破壊層4とホログラム形成層5、さらに感熱増感層3、蒸着層6の各々の層の機能を組み合わせて発揮させることができ、優れた偽造防止性を有するものである。また、感熱破壊された記録部10では、下に位置するホログラムが鮮明であり、意匠性の高いものである。また、サーマルヘッド等の加熱手段による情報記録の際、感熱増感層3を設けているので、感熱破壊層4の熱破壊が容易に生じて、加熱による情報記録の感度を高めることができ、鮮明な記録が行なえる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録の感度が低い点、記録媒体の意匠性が低い点を改良した真偽判定可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、経済的に価値の高い高額商品や、ID(Identification;照合一致)手段として用いると高い価値を生じるクレジットカードや、トラベラーズチェック、または金券類等には、それらの真偽性を判定するのに適したホログラム(ラベル)を付与させて、偽造を防止して、真正物として証明することが行われている。しかし、最近では、目視では本物と区別がつかないようなホログラムの製造が行われて、真正性を証明する新規なものが要求されている。
【0003】
偽造防止対策として、例えば、特許文献1にあるように、カードの一部に、感熱記録部、または感熱破壊記録部を設け、該記録部の上または下の少なくとも一部にホログラム形成層を設けたカードが提案されている。偽造防止の対策として、上記の方法で改善はされたものの、感熱破壊の記録部における熱破壊が生じにくく、加熱による情報記録の感度が低いという問題がある。
【0004】
また特許文献2には、基材上に、感熱破壊層、近赤外吸収性層、透明断熱層、可逆性感熱記録層が順に積層された感熱記録体が記載されている。この記録媒体では、感熱破壊層への記録と、可逆性感熱記録層への記録もしくは消去が可能で、偽造防止性は高まるが、感熱破壊層及び可逆性感熱記録層の記録部を有する記録体は、意匠性が低く、無味乾燥なもので、ユーザーが満足できるものとは言えないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−80680号公報
【特許文献2】特開2002−127600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は上記に挙げた課題である、情報記録の感度が低い点、記録媒体の意匠性が低い点を改良した真偽判定可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1として、透明基材の一方の面に、少なくとも感熱増感層、感熱破壊層、ホログラム形成層、蒸着層を順に設けたことを特徴とする真偽判定可能な記録媒体を構成とする。これにより、上記課題を解決することができた。
【0008】
また、請求項2として、透明基材の一方の面に、少なくともホログラム形成層、蒸着層を順に設け、該透明基材の他方の面に、感熱増感層、感熱破壊層を順に設けたことを特徴とする真偽判定可能な記録媒体を構成とする。これにより、上記課題を解決することができた。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、透明基材の一方の面に、少なくとも感熱増感層、感熱破壊層、ホログラム形成層、蒸着層を順に設けた構成の真偽判定可能な記録媒体とすることにより、感熱破壊層とホログラム形成層、さらに感熱増感層、蒸着層の各々の層の機能を組み合わせて発揮させることができ、優れた偽造防止性を有するものである。また、感熱破壊された記録部では、下に位置するホログラムが鮮明であり、意匠性の高いものである。また、サーマルヘッド等の加熱手段による情報記録の際、感熱増感層を設けているので、感熱破壊層の熱破壊が容易に生じて、加熱による情報記録の感度を高めることができ、鮮明な記録が行なえる。
【0010】
また、本発明は、透明基材の一方の面に、少なくともホログラム形成層、蒸着層を順に設け、該透明基材の他方の面に、感熱増感層、感熱破壊層を順に設けた構成の真偽判定可能な記録媒体とすることにより、感熱破壊層とホログラム形成層、さらに感熱増感層、蒸着層の各々の層の機能を組み合わせて発揮させることができ、優れた偽造防止性を有するものである。また、感熱破壊された記録部では、透明基材を介して、下に位置するホログラムが鮮明であり、意匠性の高いものである。また、サーマルヘッド等の加熱手段による情報記録の際、感熱増感層を設けているので、感熱破壊層の熱破壊が容易に生じて、加熱による情報記録の感度を高めることができ、鮮明な記録が行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の真偽判定可能な記録媒体の一つの実施形態を示す概略の断面図である。
【図2】本発明の真偽判定可能な記録媒体の他の実施形態を示す概略の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の真偽判定可能な記録媒体の一つの実施形態を示す概略の断面図である。図1(1)は、感熱破壊層の記録前の状態を示し、図1(2)は、図1(1)のものが、感熱破壊層の記録後の状態を示したものである。透明基材2の一方の面に、感熱増感層3、感熱破壊層4、ホログラム形成層5、蒸着層6、保護層7を順に積層した真偽判定可能な記録媒体1である。真偽判定可能な記録媒体1の感熱破壊層4が、情報に応じて、加熱され、破壊されて、記録部10が形成される。それに対し、感熱破壊層4の加熱されていない部分が、非記録部11として、破壊されないで、感熱破壊層4として残存している。したがって、記録後の真偽判定可能な記録媒体1では、記録部10は、透明基材2を通過して、感熱破壊層4の下に、蒸着層6で反射されたホログラム形成層5が観察できる。
【0013】
そして、非記録部11は、記録前の記録媒体の状態と変わらずに、透明基材2を介して、感熱破壊層4の金属色が観察されるのみで、ホログラム形成層は全く見えない状態である。しかし、感熱破壊された記録部では、下に位置するホログラム形成層と蒸着層による鮮明なホログラムが見え、意匠性の非常に高いものである。尚、図1で示した記録媒体は、蒸着層6の上に、最表面層として、保護層7を設けたが、取扱いに注意すれば、保護層を省いても構わない。また、図1では、感熱破壊層側に、透明基材を設けたが、基材上に、蒸着層、ホログラム形成層、感熱破壊層、感熱増感層を順に設けた構成にした記録媒体にすることも可能である。
【0014】
また、図2は、本発明の真偽判定可能な記録媒体の他の実施形態を示す概略の断面図であり、透明基材2の一方の面に、ホログラム形成層5、蒸着層6、保護層7を順に設け、また該透明基材2の他方の面に、感熱増感層3、感熱破壊層4、保護層8を順に設けた真偽判定可能な記録媒体1である。この場合も、図1の場合と同様に、図2(1)は、感熱破壊層の記録前の状態を示し、図2(2)は、図2(1)のものが、感熱破壊層の記録後の状態を示したものである。図2(2)に示すように、記録後の真偽判定可能な記録媒体1では、記録部10は、透明基材2を介して、蒸着層6で反射されたホログラム形成層5が観察できる。
【0015】
そして、非記録部11は、記録前の記録媒体の状態と変わらずに、保護層8を通過して、感熱破壊層4の金属色が観察されるのみで、ホログラム形成層は全く見えない状態である。しかし、感熱破壊された記録部では、透明基材2を介して、下に位置するホログラム形成層と蒸着層による鮮明なホログラムが見え、意匠性の非常に高いものである。尚、図2で示した記録媒体は、蒸着層6の上に、最表面層として、保護層7を設け、また感熱破壊層4の上に、最表面層として、保護層8を設けたが、取扱いに注意すれば、保護層7及び保護層8を省いても構わない。
【0016】
以下、本発明の真偽判定可能な記録媒体を構成する各層について、詳細に説明する。
(透明基材)
本発明における真偽判定可能な記録媒体で使用する透明基材2としては、シート状、フィルム状あるいは板状の材質からなり、材料としては透明性を有していれば、特に制限されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、セルロースジアセテート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネートなどのプラスチックを単独あるいは組み合わせて、積層したりして用いることができる。基材の厚さは0.005〜5mm程度が適当である。
【0017】
(感熱増感層)
本発明の真偽判定可能な記録媒体では、感熱破壊層と透明基材との間に、感熱増感層3を設けることにより、サーマルヘッドや、レーザー照射等の加熱手段により、感熱破壊層の熱破壊が容易に生じて、加熱による情報記録の感度を高めることができ、鮮明な記録が行なえる。但し、感熱増感層を設ける位置は、感熱破壊層と透明基材との間に限らず、感熱破壊層と隣接していればよく、透明基材と接していない条件で、感熱破壊層と感熱増感層を積層してもよい。
【0018】
感熱増感層は、具体的には、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂を主成分として構成する。また、記録媒体の耐久性向上のため、上記の樹脂に可塑剤を加えたり、イソシアネート硬化剤を加えたりすることができる。感熱増感層は、上記の必要な材料を、溶剤に溶解あるいは分散させた塗工液を用いて、形成できる。塗工方法はロールコーター法、リバースコーター法、ナイフコーター法、コンマコーター法、グラビアコーター法などの一般的な方法で塗工する。その塗工量として0.1〜10g/m2(乾燥状態)が好ましい。
【0019】
(感熱破壊層)
本発明の真偽判定可能な記録媒体で使用する感熱破壊層4は、サーマルヘッド等の加熱手段で破壊することによって印字されるものである。感熱破壊層は、具体的には、Fe,Co,Ni,Te,Sn,In,Al,Bi,Pb,Zn,Cu,Cr,Ti等の金属、合金または化合物あるいはこれらの混合物を、真空蒸着法、スパッタ法、メッキ法等によって、成膜して形成することができる。感熱破壊層の厚さは、100Å〜1μ、好ましくは500〜1000Å程度である。
【0020】
(ホログラム形成層)
本発明の真偽判定可能な記録媒体で使用するホログラム形成層5としては、公知のホログラム形成層を用いることができるが、ホログラムの色調変化を活かすために、可視光透過性を有するものが好ましい。例えば、ホログラム形成層は、透明な樹脂素材からなる層の片面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成することにより作製することができる。ホログラム形成層を構成するための透明な樹脂材料としては、各種の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、電離放射線硬化樹脂等の各種樹脂材料が選択可能である。例えば、熱硬化性樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独、または2種類以上の共重合体として使用することができる。また、これらの樹脂は単独、または2種類以上を各種イソシアネート樹脂や、ネフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛等の金属石鹸ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルスルフィド等の熱または紫外線硬化剤を配合してもよい。また、電離放射線硬化型樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等が挙げられる。このような電離放射線硬化型樹脂に架橋構造、粘度調整等を目的として、他の単官能または多官能モノマー、オリゴマー等を抱合させることができる。
【0021】
ホログラム形成層は、感光性樹脂材料にホログラムの干渉露光を行って現像することによって直接的に形成することもできるが、予め作製したレリーフホログラムもしくはその複製物、またはそれらのメッキ型等を複製用型として用い、その型面を上記の樹脂材料に押し付けることにより、賦型を行うこともできる。熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱または電離放射線照射により硬化を行い、硬化後に剥離することによって、硬化した透明な樹脂材料からなる層の片面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成することができる。なお、本発明では、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層もホログラム形成層に含めるものとする。また、ホログラム形成層および回折格子形成層を合わせたものも含める。
【0022】
前記電離放射線硬化性樹脂としては、好ましくは、(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂を用い、好ましくはポリエチレンワックスを含ませて、塗布し乾燥して電離放射線で硬化させて、電離放射線硬化樹脂とすればよい。
【0023】
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物、具体的には、特開2001−329031号公報で開示されている光硬化性樹脂などが例示できる。具体的には、MHX405ニス(ザ・インクテック(株)製、電離放射線硬化性樹脂商品名)が例示できる。
【0024】
ホログラム形成層5の形成は、上記の電離放射線硬化性樹脂を主成分とし、光重合開始剤、可塑剤、安定剤、界面活性剤等を加え、溶媒へ分散または溶解して、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、ダイコートなどの公知のコーティング方法で塗布し乾燥して、ホログラム(レリーフ)を賦型後に電離放射線で反応(硬化)させればよい。ホログラム形成層5の厚さは、通常、1〜10μm程度、好ましくは2〜5μmである。
【0025】
ホログラム形成層5の表面には、ホログラムなどの光回折効果の発現する所定の微細な凹凸(レリーフ構造)を賦型し、硬化させる。ホログラムは物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラム等のレーザー再生ホログラム、及びレインボーホログラム等の白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。
【0026】
ホログラム形成層5面へ、レリーフ形状を賦形(複製ともいう)する。ホログラムの賦型は、公知の方法によって形成でき、例えば、回折格子やホログラムの干渉縞を表面凹凸のレリーフとして記録する場合には、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記樹脂層上に前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。
【0027】
またホログラム形成層5に形成するホログラムパターンは単独でも、複数でもよい。ホログラム形成層5は、スタンパでエンボス中、又はエンボス後に、電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂を硬化させる。上記の電離放射線硬化性樹脂は、レリーフを形成後に、紫外線や電子線などの電離放射線を照射して硬化(反応)させると電離放射線硬化樹脂(微細な凹凸=レリーフ構造=ホログラム)となる。この方法は、比較的低温・低圧力下で賦形できる。
【0028】
(蒸着層)
本発明の真偽判定可能な記録媒体で使用する蒸着層6は、金属薄膜としては、例えば、Cr,Ti,Fe,Co,Ni,Cu,Ag,Au,Ge,A1,Mg,Sb,Pb,Pd,Cd,Bi,Sn,Se,In,Ga,Rb等の金属及びその酸化物、窒化物等を単独若しくは2種類以上組み合わせて、昇華、真空蒸着、スパッタリング、反応性スパッタリング、イオンプレーティング、電気メッキ等の公知の方法で形成される。この場合の蒸着層は、光反射層として機能するが、所定のレリーフ構造を設けたホログラム形成層のレリーフ面へ、蒸着層を設けることにより、レリーフの反射及び/又は回折効果を高めるので、ホログラム形成層の反射率より高く又は低ければ、特に限定されない。蒸着層としては、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がホログラム形成層のそれとは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できるから、透明なホログラムを作製することができる。
【0029】
例えば、ホログラム形成層よりも光屈折率の高い薄膜、および光屈折率の低い薄膜があり、前者の例としては、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITO等があり、後者の例としては、LiF、MgF2、AlF3がある。好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Au等の酸化物又は窒化物他はそれらを2種以上を混合したもの等が例示できる。またアルミニウム等の一般的な光反射性の金属薄膜も、厚みが200Å以下になると、透明性が生じて使用できる。透明金属化合物の形成は、金属の薄膜と同様、ホログラム形成層のレリーフ面に、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVDなどの真空薄膜法などにより設ければよい。
【0030】
(保護層)
本発明の真偽判定可能な記録媒体では、蒸着層の上や、感熱破壊層の上に、記録媒体の最表面の位置に、記録媒体の表面に傷が生じる、あるいは取扱い上で、問題が生じないように、保護層7、8を設けることができる。保護層は、一般的に保護層を形成するために知られたものが使用できる。インキもしくは塗料中のバインダー樹脂として使用される熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂のほか、紫外線硬化性樹脂もしくは電子線硬化性樹脂等の電離放射線硬化性樹脂を用いて構成することができる。保護層は、上記の樹脂を、溶剤に溶解あるいは分散させた塗工液を用いて、形成できる。塗工方法はロールコーター法、リバースコーター法、ナイフコーター法、コンマコーター法、グラビアコーター法などの一般的な方法で塗工する。その塗工量として0.1〜10g/m2(乾燥状態)が好ましい。
【0031】
(情報の記録)
本発明では、上記に説明した真偽判定可能な記録媒体において、サーマルヘッドによる加熱や、レーザー光を照射による加熱を行なって、感熱破壊層を破壊、除去して、情報が記録される。その記録される情報は、一定の固定情報や一つ一つの記録媒体で異なる情報である可変情報が挙げられる。本発明では、偽造防止性を高めるために、可変情報の記録を行なうことが好ましい。この可変情報としては、製造日、製品名称、氏名、住所等、その記録媒体が付与される対象品(高額商品や、身分証明カード、クレジットカード、預貯金用カード、プリペイドカード、定期券、トラベラーズチェック、金券類等)の種類、あるいは記録媒体そのものの種類を特定する個別のデータが挙げられる。
【0032】
以上で、説明してきた記録媒体において、サーマルヘッドによる加熱や、レーザー光を照射して、感熱破壊層を加熱し、溶融あるいは分解させたりして、感熱破壊層を破壊、除去して、情報が記録される。その部分が記録部であり、それ以外の部分が、非記録部であるが、記録部では、蒸着層6で反射されたホログラム形成層5が鮮明に見えるが、非記録部では、感熱破壊層が残存しており、ホログラム形成層は見えない。このように、感熱破壊された記録部に限って、ホログラムが鮮明に見え、非常に意匠性の高いものとなる。また感熱増感層を設けているので、感熱破壊層の熱破壊が容易に生じて、加熱による情報記録の感度が高いものである。
【0033】
以下、本発明の真偽判定可能な記録媒体について、実施例を挙げて、詳細に説明する。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
厚さ16μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを透明基材とし、該基材の一方の面に、下記組成の感熱増感層インキを用いて、グラビアコーティング法により、乾燥時で厚さ5g/m2の感熱増感層を形成し、さらに感熱増感層の上に、Snを真空蒸着法により、厚さ500Åで、感熱破壊層として形成した。
(感熱増感層インキ)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(ユニオンカーバイド社製、VAGH) 20部
アクリル樹脂(DIC(株)製、アクリディックA−136−55) 10部
メチルエチルケトン 20部
トルエン 30部
ブチルアルコール 20部
【0035】
上記感熱破壊層の上に、透明紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し、ホログラム(顔写真の上に設ける写真サイズと同サイズの偽造防止デザインを有する)の複製用型の型面を接触させたまま紫外線を照射して、透明紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、ホログラムレリーフを形成して、厚さ2μmのホログラム形成層を設けた。さらに、そのホログラム形成層のレリーフ面に、アルミニウムからなる蒸着層を、400Åの厚さで、真空蒸着法により設けた。
【0036】
上記の蒸着層の上に、グラビア印刷により、ウレタン樹脂系の保護層を乾燥時の厚さ2g/m2で形成して、図1に示すような構成の実施例1の真偽判定可能な記録媒体を作製した。
【0037】
(実施例2)
厚さ16μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを透明基材とし、該基材の一方の面に、実施例1で使用した感熱増感層インキを用いて、グラビアコーティング法により、乾燥時で厚さ5g/m2の感熱増感層を形成し、さらに感熱増感層の上に、Snを真空蒸着法により、厚さ500Åで、感熱破壊層として形成した。さらに感熱破壊層の上に、グラビア印刷により、ウレタン樹脂系の保護層を乾燥時の厚さ2g/m2で形成した。
【0038】
上記の透明基材の感熱破壊層などが形成された面と反対側に、透明紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し、ホログラム(顔写真の上に設ける写真サイズと同サイズの偽造防止デザインを有する)の複製用型の型面を接触させたまま紫外線を照射して、透明紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、ホログラムレリーフを形成して、厚さ2μmのホログラム形成層を設けた。
【0039】
さらに、そのホログラム形成層のレリーフ面に、アルミニウムからなる蒸着層を、400Åの厚さで、真空蒸着法により設けた。上記の蒸着層の上に、グラビア印刷により、ウレタン樹脂系の保護層を乾燥時の厚さ2g/m2で形成して、図2に示すような構成の実施例2の真偽判定可能な記録媒体を作製した。
【0040】
上記の得られた実施例1及び2の各真偽判定可能な記録媒体に対し、サーマルヘッドとプラテンロールを用いて、画像情報に応じた信号により、サーマルヘッドにより、蒸着層側と反対側から加熱を行なって、記録を行なった。実施例1及び2の記録媒体において、記録部は感熱破壊層が破壊、除去され、蒸着層で反射されたホログラム形成層が鮮明に見える。それに対し、非記録部では、感熱破壊層が残存しており、ホログラム形成層は見えない。したがって、感熱破壊された記録部に限って、ホログラムが鮮明に見え、非常に意匠性の高いものであった。
【0041】
また感熱破壊層とホログラム形成層、さらに感熱増感層、蒸着層の各々の層の機能を組み合わせた記録媒体であり、偽造防止性が非常に高いものであった。さらに、感熱増感層を設けているので、感熱破壊層の熱破壊が容易に生じて、加熱による情報記録の感度が高いものであった。実施例1及び2の記録媒体は、偽造防止に優れ、これらの記録媒体が付与された商品(製品)は、真正物として証明することができ、非常に有用なものであった。すなわち、本発明の記録媒体は、真偽を判定する際に、信頼性の高い証明となるものであった。
【符号の説明】
【0042】
1 真偽判定可能な記録媒体
2 透明基材
3 感熱増感層
4 感熱破壊層
5 ホログラム形成層
6 蒸着層
7、8 保護層
10 記録部
11 非記録部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材の一方の面に、少なくとも感熱増感層、感熱破壊層、ホログラム形成層、蒸着層を順に設けたことを特徴とする真偽判定可能な記録媒体。
【請求項2】
透明基材の一方の面に、少なくともホログラム形成層、蒸着層を順に設け、該透明基材の他方の面に、感熱増感層、感熱破壊層を順に設けたことを特徴とする真偽判定可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−214669(P2010−214669A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62074(P2009−62074)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】