説明

真珠母貝及び真珠生産方法

【課題】
真珠母貝は海で養殖されるため、地域によって用いることが可能な真珠母貝は限定される。したがって、地域によって生産が可能な真珠の種類は限られていた。また、人工的に生産が可能な真珠の種類は限られており。一部の二枚貝や巻貝等、挿核ができにくい形状の貝を利用して人工的に真珠を生産する方法は存在しなかった。
【解決手段】
本発明は、異種の貝から得られたピースを挿入することが可能な真珠母貝、及び該真珠母貝を用いた真珠生産方法を提供する。本発明の真珠母貝は、免疫寛容化処理を施した真珠母貝である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫寛容化処理を施した真珠母貝、及び該真珠母貝を用いた真珠生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真珠とは、貝の体内で生産される鉱物であり、古くから宝石として重宝されている。人工的に真珠を生産する方法は既に確立されている。従来の真珠生産方法は、真珠核及び真珠母貝と同種の貝の外套膜から得られたピースを、真珠母貝の生殖腺に挿入し、該真珠母貝を1年〜2年間養殖することで、真珠母貝の体内で真珠が生産されるというものである(非特許文献1参照)。
【0003】
また、効率的な真珠生産方法や、独自の性質を有する真珠を生産する方法が数多く開発されている。例えば、真珠母貝の感染症を防止するため、サイトカインの存在下で挿核を行う方法(特許文献1参照)、β―1,3―グルコシド結合からなる主鎖を持つグルカン類を用いて真珠核を挿入することで真珠核挿入後の真珠母貝の生存率を向上させる方法(特許文献2参照)、略ハート型に形成した真珠核を用いてハート型の真珠を生産する方法(特許文献3参照)、siRNAを用いてアコヤガイの生殖細胞の発達を抑制する方法(特許文献4参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−000047号公報
【特許文献2】特開平07−031321号公報
【特許文献3】特開2009−055873号公報
【特許文献4】特開2009−219487号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】文部科学省著、「水産006 栽培漁業」、実教出版株式会社発行、2003年2月25日発行、p.277〜285
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
真珠母貝は海で養殖されるため、地域によって用いることが可能な真珠母貝は限定される。例えば、海水温が高い地域ではシロチョウガイ、クロチョウガイやマベガイ等を真珠母貝として真珠が生産される。一方、海水温が低い地域ではアコヤガイを真珠母貝として真珠が生産される。したがって、地域によって生産が可能な真珠の種類は限られていた。
【0007】
また、生産される真珠の性質は、真珠母貝及びピースによって決定される。従来技術では真珠母貝とピースの由来となる貝とは同種であったため、人工的に生産が可能な真珠の種類は限られていた。また、人工的な真珠生産ではアコヤガイ等の二枚貝が用いられており、一部の二枚貝や巻貝等、真珠核の挿入ができにくい形状の貝で得られる天然真珠を人工的に生産する方法は存在しなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するため、異種の貝から得られたピースを用いて真珠を生産することが可能な真珠母貝、及び該真珠母貝を用いた真珠生産方法を提供する。
【0009】
本発明の真珠母貝は、真珠母貝に対し異種の貝のピースを用いて真珠を生産するために免疫寛容化処理を施した真珠母貝である。ここで、免疫寛容化処理は、真珠母貝の生体内で抗原性を有する物質を、該真珠母貝に投与する処理であり得る。本発明の真珠母貝は免疫寛容化されているため、異種の貝から得られたピースを異物として認識せず、該ピースを用いた真珠を得ることができる。
【0010】
また、免疫寛容化処理は真珠母貝に対し異種の貝の一部又は全部を該真珠母貝に投与する処理であり得る。さらに、異種の貝の一部は外套膜であり得る。このような免疫寛容化処理を施すことで、本発明の真珠母貝の免疫のうち、異種の貝のピースに対する免疫を寛容化させることができる。
【0011】
本発明の別の真珠母貝では、真珠母貝が二枚貝網に属する生物であり、異種の貝が、二枚貝網、腹足網、又は頭足網に属する生物である。さらに、異種の貝が、アコヤガイ、シロチョウガイ、クロチョウガイ、ベニコチョウガイ、マベガイ、マゼランツキヒガイ、ヨーロッパヒラガキ、イガイ、ヨーロッパイガイ、シシリアタイラギ、ダイオウショウジョウガイ、マルスダレガイ、ホンビノスガイ、ネッタイザルガイ、シラナミガイ、アイスランドガイ、イシガイ、イケチョウガイ、カワシンジュガイ、ボタンガイ、オオウネカワボタンガイ、ヒラツバサカワボタンガイ、アワビ、アカネアワビ、サラサバテイ、ヤコウガイ、カサガイ、ギンイロカサガイ、タマキビ、ヨーロッパタマキビ、オオビワガイ、ピンクガイ、タカラガイ、ホシダカラ、ダイオウイトマキボラ、ハルカゼヤシガイ、ブローデリップヤシガイ、トゲコブシボラ、マイマイ、サヤガタドイツマイマイ、オウムガイ、及びオオベソオウムガイからなる群から選択される一又は複数である。
【0012】
さらに、本発明の別の真珠母貝では、真珠母貝がアコヤガイであり、異種の貝が、シロチョウガイ、クロチョウガイ、ベニコチョウガイ、マベガイ、マゼランツキヒガイ、ヨーロッパヒラガキ、イガイ、ヨーロッパイガイ、シシリアタイラギ、ダイオウショウジョウガイ、マルスダレガイ、ホンビノスガイ、ネッタイザルガイ、シラナミガイ、アイスランドガイ、イシガイ、イケチョウガイ、カワシンジュガイ、ボタンガイ、オオウネカワボタンガイ、ヒラツバサカワボタンガイ、アワビ、アカネアワビ、サラサバテイ、ヤコウガイ、カサガイ、ギンイロカサガイ、タマキビ、ヨーロッパタマキビ、オオビワガイ、ピンクガイ、タカラガイ、ホシダカラ、ダイオウイトマキボラ、ハルカゼヤシガイ、ブローデリップヤシガイ、トゲコブシボラ、マイマイ、サヤガタドイツマイマイ、オウムガイ、及びオオベソオウムガイからなる群から選択される一又は複数である。
【0013】
また、本発明の真珠生産方法は、(a)真珠母貝に免疫寛容化処理を施す免疫寛容化工程、(b)免疫寛容化工程で免疫寛容化処理が施された真珠母貝を養殖する第1養殖工程、(c)真珠母貝の体内に少なくともピースを挿入する挿入工程であって、ピースが真珠母貝に対し異種の貝(以下、「第1異種の貝」という。)の外套膜から得られたものである挿入工程、(d)挿入工程でピースが挿入された真珠母貝を養殖する第2養殖工程、を含む。本発明の真珠養殖方法では、真珠母貝に対し異種の貝から得られたピースを用いて真珠を生産することができるため、さまざまな性質を有する真珠を得ることができる。
【0014】
ここで、免疫寛容化処理は、真珠母貝に対し異種の貝(以下、「第2異種の貝」という。)の一部又は全部を該真珠母貝に投与する処理であり得る。また、第2異種の貝の一部が外套膜であり得る。また、第1異種の貝と第2異種の貝とが同種であり得る。このような免疫寛容化処理を施すことで、真珠母貝の免疫のうち、挿入工程(d)で挿入されるピースに対する免疫を寛容化することができる。
【0015】
また、本発明の別の真珠生産方法は、真珠母貝が二枚貝網に属する生物であり、第1異種の貝が二枚貝網、腹足網、又は頭足網に属する生物であり、第2異種の貝が二枚貝網、腹足網、又は頭足網に属する生物である。
【0016】
また、本発明の別の真珠生産方法は、第1異種の貝が、アコヤガイ、シロチョウガイ、クロチョウガイ、ベニコチョウガイ、マベガイ、マゼランツキヒガイ、ヨーロッパヒラガキ、イガイ、ヨーロッパイガイ、シシリアタイラギ、ダイオウショウジョウガイ、マルスダレガイ、ホンビノスガイ、ネッタイザルガイ、シラナミガイ、アイスランドガイ、イシガイ、イケチョウガイ、カワシンジュガイ、ボタンガイ、オオウネカワボタンガイ、ヒラツバサカワボタンガイ、アワビ、アカネアワビ、サラサバテイ、ヤコウガイ、カサガイ、ギンイロカサガイ、タマキビ、ヨーロッパタマキビ、オオビワガイ、ピンクガイ、タカラガイ、ホシダカラ、ダイオウイトマキボラ、ハルカゼヤシガイ、ブローデリップヤシガイ、トゲコブシボラ、マイマイ、サヤガタドイツマイマイ、オウムガイ、及びオオベソオウムガイからなる群から選択される一又は複数であり、第2異種の貝が、アコヤガイ、シロチョウガイ、クロチョウガイ、ベニコチョウガイ、マベガイ、マゼランツキヒガイ、ヨーロッパヒラガキ、イガイ、ヨーロッパイガイ、シシリアタイラギ、ダイオウショウジョウガイ、マルスダレガイ、ホンビノスガイ、ネッタイザルガイ、シラナミガイ、アイスランドガイ、イシガイ、イケチョウガイ、カワシンジュガイ、ボタンガイ、オオウネカワボタンガイ、ヒラツバサカワボタンガイ、アワビ、アカネアワビ、サラサバテイ、ヤコウガイ、カサガイ、ギンイロカサガイ、タマキビ、ヨーロッパタマキビ、オオビワガイ、ピンクガイ、タカラガイ、ホシダカラ、ダイオウイトマキボラ、ハルカゼヤシガイ、ブローデリップヤシガイ、トゲコブシボラ、マイマイ、サヤガタドイツマイマイ、オウムガイ、及びオオベソオウムガイからなる群から選択される一又は複数である。
【0017】
さらに、本発明の別の真珠生産方法は、真珠母貝がアコヤガイであり、第1異種の貝が、シロチョウガイ、クロチョウガイ、ベニコチョウガイ、マベガイ、マゼランツキヒガイ、ヨーロッパヒラガキ、イガイ、ヨーロッパイガイ、シシリアタイラギ、ダイオウショウジョウガイ、マルスダレガイ、ホンビノスガイ、ネッタイザルガイ、シラナミガイ、アイスランドガイ、イシガイ、イケチョウガイ、カワシンジュガイ、ボタンガイ、オオウネカワボタンガイ、ヒラツバサカワボタンガイ、アワビ、アカネアワビ、サラサバテイ、ヤコウガイ、カサガイ、ギンイロカサガイ、タマキビ、ヨーロッパタマキビ、オオビワガイ、ピンクガイ、タカラガイ、ホシダカラ、ダイオウイトマキボラ、ハルカゼヤシガイ、ブローデリップヤシガイ、トゲコブシボラ、マイマイ、サヤガタドイツマイマイ、オウムガイ、及びオオベソオウムガイからなる群から選択される一又は複数であり、第2異種の貝が、シロチョウガイ、クロチョウガイ、ベニコチョウガイ、マベガイ、マゼランツキヒガイ、ヨーロッパヒラガキ、イガイ、ヨーロッパイガイ、シシリアタイラギ、ダイオウショウジョウガイ、マルスダレガイ、ホンビノスガイ、ネッタイザルガイ、シラナミガイ、アイスランドガイ、イシガイ、イケチョウガイ、カワシンジュガイ、ボタンガイ、オオウネカワボタンガイ、ヒラツバサカワボタンガイ、アワビ、アカネアワビ、サラサバテイ、ヤコウガイ、カサガイ、ギンイロカサガイ、タマキビ、ヨーロッパタマキビ、オオビワガイ、ピンクガイ、タカラガイ、ホシダカラ、ダイオウイトマキボラ、ハルカゼヤシガイ、ブローデリップヤシガイ、トゲコブシボラ、マイマイ、サヤガタドイツマイマイ、オウムガイ、及びオオベソオウムガイからなる群から選択される一又は複数である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の真珠母貝は、異種の貝から得られたピースを挿入しても、脱核率や死亡率が低く抑えられ、該ピースから真珠が形成されるため、ピースの由来となる貝の性質を有する真珠を生産することができる。真珠母貝とピースを得る貝との組み合わせにより、さまざまな性質を持った真珠を人工的に生産することが可能である。
【0019】
例えば、アコヤガイを真珠母貝として用いて、クロチョウガイから得られたピースを用いて真珠を生産すれば、海水温が低い地域であってもクロチョウガイから得られた真珠と同質の層を有する真珠を得ることができる。
【0020】
また、アコヤガイを真珠母貝として、マベガイから得られたピースを用いて真珠を生産すれば、マベガイから得られた真珠と同質の層を有する球体の真珠を得ることができる。マベガイは生殖腺に真珠核を挿入することが困難な構造をしている。したがって、マベガイを真珠母貝とした場合は、半球形の真珠核を貝殻の内側に接着させ、半球体の真珠(ブリスタ真珠)が生産される。しかし、本発明を用いればアコヤガイを真珠母貝としてマベガイから得られたピースを用いて真珠を生産することが可能となり、球体の真珠を得ることができる。
【0021】
さらに、アコヤガイを真珠母貝として、ピンクガイやダイオウイトマキボラ、ハルカゼヤシガイ等の巻貝の外套膜から得られたピースを用いて真珠を生産すれば、巻貝から得られる真珠と同質の層を有する真珠を生産することができる。巻貝は、ピースの挿入が非常に困難な構造をしており、真珠養殖はなされておらず、天然真珠として取得されるのみであった。本発明によれば、これまで真珠養殖が困難であった貝であっても、該貝から得られる天然真珠と同質の層を有する真珠を人工的に生産することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の真珠母貝の血球濃度の測定結果を示す図である。
【図2】本発明における実施例2の真珠母貝の血球濃度の変化を示す図である。
【図3】本発明における実施例3の真珠母貝の血球濃度の変化を示す図である。
【図4】本発明の真珠生産方法で生産された真珠表面の実体顕微鏡写真である。
【図5】本発明の真珠生産方法で生産された真珠表面の走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の真珠生産方法で生産された真珠の全体像の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0024】
本発明は、免疫寛容化処理を施した真珠母貝を提供する。真珠母貝に対する免疫寛容化処理とは、減感作処理とも呼ばれ、真珠母貝の免疫寛容性を高めるための処理をいう。従来、真珠母貝に対して異種の貝のピースを挿入した場合、異種の貝のピースは真珠母貝の免疫により異物として認識されるため、真珠母貝体内から排出されたり、真珠母貝が死亡したり、また真珠層が形成されなかったりする場合がほとんどであった。
【0025】
しかしながら、本発明の真珠母貝は、免疫寛容化処理により免疫寛容性が高まっているため、異種の貝のピースを挿入された場合であっても、該ピースは真珠母貝の体内に定着する。さらに、該ピースに含まれる外套膜表面上皮細胞が増殖して貝殻成分を分泌し真珠が形成される。生産される真珠の性質は、貝殻成分を分泌する外套膜表面上皮細胞によって決定される。したがって、本発明を用いれば、真珠母貝に対して異種の貝のピースを用いることで、さまざまな性質を持った真珠を生産することが可能となる。
【0026】
真珠母貝とは、真珠の生産のために養殖される貝である。真珠母貝の生殖腺に少なくともピースを挿入し、該真珠母貝を養殖することで真珠を生産することができる。また、真珠母貝の生殖腺にピース及び真珠核を挿入した場合には、該真珠母貝を養殖することで、真珠核の表面に貝殻の層が形成された真珠を生産することができる。
【0027】
真珠母貝としては、アコヤガイ、シロチョウガイ、クロチョウガイ、ベニコチョウガイ、マベガイ、イケチョウガイ等、二枚貝網に属する生物を用いることが好ましい。二枚貝の形状は、真珠母貝にピースを挿入することが容易なためである。
【0028】
また、本発明によって得られる真珠母貝の体内には、真珠母貝に対して異種の貝から得られるピースを挿入することができる。本工程を挿入工程という。ピースとは、貝の外套膜から得られ、外套膜外面上皮細胞を含む小片である。また、真珠の生産に真珠核を用いる場合には、ピースは真珠核と同時に又は連続して真珠母貝に挿入される。ピースや真珠核は、真珠母貝の生殖腺に挿入することが好ましい。
【0029】
ここで、真珠核とは、表面に真珠層等の貝殻構造が形成されることで真珠となるものであり、ピースと同時に又は連続して真珠母貝に挿入される。真珠核として、貝(特に二枚貝)の真珠層を略球形又は略半球形に削ったものが用いられるが、合成樹脂やセラミクスを用いることも可能である。真珠核は、直径が約0.5mmから約20mmまでのものが広く用いられる。
【0030】
本発明の真珠母貝は、該真珠母貝に対して異種の貝から得られたピースを用いて真珠を生産することができる。ピースに含まれる外套膜外面上皮細胞から貝殻成分が分泌され、真珠層構造、稜柱層構造、交差板構造、葉状構造、針状構造等の貝殻の構造が形成される。これらの構造は、ピースの由来となる貝の種類によって決定される。したがって、真珠母貝とピースを得る貝との組み合わせにより、さまざまな性質を持った真珠を生産することが可能である。
【0031】
本発明における免疫寛容化処理は、真珠母貝の免疫寛容性を高めることができる処理であれば限定されないが、例えば、真珠母貝の生体内で抗原性を有する物質を真珠母貝に投与する処理が挙げられる。免疫寛容とは、特定の抗原に対する免疫反応の抑制状態をいう。本発明の真珠母貝は、免疫寛容化処理を施されることにより、挿入工程で挿入される異種の貝のピースに対する免疫反応が抑制された状態にある。
【0032】
また、免疫寛容化処理は、真珠母貝の生殖腺に対して行うことが好ましい。ピースや真珠核は真珠母貝の生殖腺に挿入されるため、真珠母貝の生殖腺が免疫寛容化されている必要があるためである。真珠母貝の生殖腺を免疫寛容化するためには、例えば、真珠母貝の生体内で抗原性を有する物質を真珠母貝の生殖腺に投与すればよい。投与方法は限定されないが、例えば、真珠母貝の体内で抗原性を有する物質を海水と共にホモジェナイズ(均質化)し免疫寛容化液を得て、該免疫寛容化液を注射等の公知の方法により投与すればよい。
【0033】
また、免疫寛容化処理は、真珠母貝に対して異種の貝の一部又は全部を、真珠母貝に対して投与する処理であることが好ましい。さらに、真珠母貝に対し異種の貝の一部は、外套膜であることが好ましい。さらに、外套膜を得る異種の貝は、挿入工程で挿入されるピースを得る貝と同種の貝であることが好ましい。このような免疫寛容化処理を施すことで、真珠母貝の免疫を、異種の貝から得られるピースに対して寛容化することができるためである。
【0034】
ここで、外套膜とは、内臓を覆い真珠層等の貝殻成分を分泌する細胞を含む器官である。免疫寛容化処理では、貝から摘出された外套膜を、ホモジェナイザを用いてホモジェナイズ(均質化)したものを用いることが好ましい。例えば、外套膜を海水と共にホモジェナイズし、約0.1μg/mL〜約100μg/mLの外套膜を含む減感作液を得て、約100μL〜約1mLの該減感作液を真珠母貝の生殖腺に投与すればよい。
【0035】
免疫寛容化処理は1回でもよいが、複数回行うことがより好ましい。異種の貝から得られたピースを真珠母貝に定着させるためには十分に免疫寛容となっている必要があるためである。免疫寛容化処理の回数は2回〜10回が好ましい。1回の免疫寛容化処理に続いて約3日〜約14日が経過した後、次の免疫寛容化処理を施すことができる。
【0036】
さらに、本発明は、真珠母貝に対し異種の貝から得られたピースを用いた真珠生産方法を提供する。本発明の真珠生産方法は、(a)真珠母貝に免疫寛容化処理を施す免疫寛容化工程、(b)免疫寛容化処理が施された真珠母貝を養殖する第1養殖工程、(c)真珠母貝の体内に少なくともピースを挿入する挿入工程であって、ピースが真珠母貝に対し異種の貝(以下、「第1異種の貝」という。)の外套膜から得られたものである挿入工程、及び(d)挿入工程でピースが挿入された真珠母貝を養殖する第2養殖工程、を含む。以下、それぞれの工程について詳細に説明する。
【0037】
(a)免疫寛容化工程
免疫寛容化工程とは、真珠母貝に免疫寛容化処理を施すことで、免疫寛容化した真珠母貝を得る工程である。免疫寛容化処理については上記の説明の通りである。
【0038】
また、免疫寛容化処理は、真珠母貝に対し異種の貝(以下、「第2異種の貝」という。)の一部又は全部を、該真珠母貝に投与する処理であり得る。さらに、免疫寛容化処理は、第2異種の貝の外套膜を、該真珠母貝に投与する処理であり得る。ここで、第1異種の貝と第2異種の貝とは同種であることが好ましい。このような免疫寛容化処理を施すことにより、真珠母貝の免疫は第1異種の貝から得られるピースに対して寛容化されるため、挿入工程(c)で挿入されるピースが真珠母貝の体内に定着し易くなるためである。
【0039】
(b)第1養殖工程
本工程は、免疫寛容化工程で免疫寛容化処理を施された真珠母貝を養殖する工程である。免疫寛容化工程の後、免疫寛容化の効果が現れるまでは時間を要するため、免疫寛容性が高まるまで真珠母貝を養殖する。
【0040】
第1養殖工程(b)における真珠母貝の養殖の期間は限定されないが、例えば3日〜30日である。また、免疫寛容化工程(a)及び第1養殖工程(b)は1回ずつ行ってもよく、交互に複数回行ってもよい。免疫寛容化工程(a)及び第1養殖工程(b)を繰り返して複数回行うことで、真珠母貝の免疫寛容性をさらに高めることができる。例えば、免疫寛容化工程(a)及び第1養殖工程(b)を2回〜10回繰り返して行うことができる。
【0041】
(c)挿入工程
本工程は、免疫寛容化工程で得られた真珠母貝の体内に少なくともピースを挿入する工程であり、挿入されるピースは真珠母貝に対し異種の貝(第1異種の貝)から得られたものである。免疫寛容化工程(a)及び第1養殖工程(b)によって高い免疫寛容性を示す真珠母貝が得られる。したがって、本工程において真珠母貝の体内に挿入されたピースに含まれる外套膜表面上皮細胞は真珠母貝体内で増殖して真珠袋を形成し、貝殻成分が分泌される。ピースは、真珠母貝の生殖腺の中に挿入することが好ましい。
【0042】
また、ピースと同時に又は連続して真珠核を挿入してもよい。真珠核をピースと同時に挿入し、真珠核の周囲に貝殻の構造を形成させることで、径の大きな真珠を得ることができる。真珠核及びピースは真珠母貝の体内で接着した状態になるように挿入することが好ましい。
【0043】
(d)第2養殖工程
本工程は、挿入工程(c)により真珠核及びピースを挿入された真珠母貝を養殖する工程である。本発明の方法によれば、真珠母貝に対して異種の貝の細胞から分泌された貝殻成分を有する真珠を得ることができる。
【0044】
本工程において、挿入工程(c)で挿入されたピースに含まれる細胞が増殖し、真珠袋を形成して、貝殻成分が分泌される。また、挿入工程(c)で真珠核も挿入した場合には、真珠袋が真珠核を包み込んで貝殻成分を分泌するため、真珠核を中心に有する真珠を得ることができる。したがって、真珠母貝に対して異種の貝の細胞から分泌される貝殻成分を有する真珠を生産することができる。
【0045】
第2養殖工程での真珠母貝の養殖の期間は、貝殻成分が形成されるのに十分な期間であれば限定されないが、例えば、6月から2年である。
【0046】
本発明の真珠母貝及び真珠生産方法において用いられる貝とは、軟体動物門に属する生物である。真珠母貝は二枚貝網に属する生物を用いることが好ましい。具体的には、アコヤガイ、シロチョウガイ、クロチョウガイ、ベニコチョウガイ、マベガイ、イケチョウガイ等、真珠母貝として既に広く用いられている生物を挙げることができる。
【0047】
また、異種の貝(真珠生産方法における第1異種の貝及び第2異種の貝を含む)は、二枚貝網、腹足網、又は頭足網に属する生物を用いることができる。二枚貝網に属する生物とは、一般に二枚貝と呼称され、原鰓類、翼形類、マルスダレガイ類、サンカクガイ類、イシガイ類、オオノガイ類、ウミタケガイモドキ類、隔鰓類等に分類される。さらに具体的には、アコヤガイ、シロチョウガイ、クロチョウガイ、ベニコチョウガイ、マベガイ、マゼランツキヒガイ、ヨーロッパヒラガキ、イガイ、ヨーロッパイガイ、シシリアタイラギ、ダイオウショウジョウガイ、マルスダレガイ、ホンビノスガイ、ネッタイザルガイ、シラナミガイ、アイスランドガイ、イシガイ、イケチョウガイ、カワシンジュガイ、ボタンガイ、オオウネカワボタンガイ、ヒラツバサカワボタンガイ等を用いることができる。
【0048】
また、腹足網に属する生物とは、一般に巻貝と呼称され、カサガイ類、古腹足類、新腹足類、タマキビ類、新紐舌類、イモガイ類等に分類される。さらに具体的には、アワビ、アカネアワビサラサバテイ、ヤコウガイ、カサガイ、ギンイロカサガイ、タマキビ、ヨーロッパタマキビ、オオビワガイ、ピンクガイ、タカラガイ、ホシダカラ、ダイオウイトマキボラ、ハルカゼヤシガイ、ブローデリップヤシガイ、トゲコブシボラ、マイマイ、サヤガタドイツマイマイ等を用いることができる。
【0049】
また、頭足網に属する生物では、オウムガイ類に属するオウムガイ、オオベソオオムガイ等を用いることができる。
【0050】
さらに、本発明における異種の貝とは、種が異なる貝だけでなく、種は同一であるが品種又は系統が異なる貝をも含む。真珠母貝は、同一の種であっても産地等によりさまざまな品種又は系統に区別される。真珠母貝に対して異なる品種又は異なる系統の貝のピースを真珠母貝に挿入した場合、ピースは真珠母貝の免疫により異物として認識される場合があり、真珠の生産効率が低いという問題があった。本発明によれば、真珠母貝に対して異なる品種又は異なる系統から得られたピースを用いた真珠生産を容易に行うことができる。
【0051】
真珠母貝の品種又は系統は、アコヤガイの場合、日本産、中国産、イラン産等の産地で区別されることが多い。また、各品種又は各系統の交雑貝も品種又は系統として用いられ、例えば、中国産アコヤガイと日本産アコヤガイの交雑貝等がある。本発明によれば、例えば、イラン産のアコヤガイを真珠母貝とし、日本産のアコヤガイから得られたピースを用いて、高確率で真珠を生産することができる。
【0052】
すなわち、本発明の真珠母貝は、真珠母貝に対し異品種又は異系統の貝のピースを用いて真珠を生産するために、真珠母貝に対し異品種又は異系統の貝の一部又は全部を、該真珠母貝に投与する処理を施した真珠母貝や、真珠母貝に投与される異品種又は異系統の貝の一部が外套膜である真珠母貝、を含む。
【0053】
また、本発明の真珠生産方法は、(a)真珠母貝に免疫寛容化処理を施す免疫寛容化工程、(b)免疫寛容化工程で免疫寛容化処理が施された真珠母貝を養殖する第1養殖工程、(c)真珠母貝の体内に少なくともピースを挿入する挿入工程であって、ピースが真珠母貝に対し異品種の貝又は異系統(第1異品種又は第1異系統の貝)の外套膜から得られたものである挿入工程、(d)挿入工程でピースが挿入された真珠母貝を養殖する第2養殖工程、を含む真珠生産方法や、免疫寛容化処理が真珠母貝に対し異品種又は異系統の貝(第2異品種又は第2異系統の貝)の一部又は全部を該真珠母貝に投与する処理である真珠生産方法、真珠母貝に投与される第2異品種又は第2異系統の貝の一部が外套膜である真珠生産方法、を含む。また、かかる場合において、第1異品種又は異系統の貝と第2異品種又は異系統の貝とは同品種又は同系統であることが好ましい。
【実施例】
【0054】
続いて、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0055】
1.免疫寛容化処理を施した真珠母貝の作製(1)
アコヤガイを真珠母貝として用いて、免疫寛容化処理を施した真珠母貝の作製を行った(実施例1)。アコヤガイに対して異種の貝であるマベガイを用いて免疫寛容化液を作製した。マベガイから外套膜を摘出し、凍結再融解を行った後、濾過海水と共にホモジェナイザを用いてホモジェナイズし、0.1μg/mL、1μg/mL、10μg/mL、及び100μg/mLのマベガイ外套膜を含む免疫寛容化液を得た。それぞれ200μLの免疫寛容化液をアコヤガイの生殖腺に注射で投与することで免疫寛容化処理を施した。比較例のアコヤガイには濾過海水を投与した(比較例1)。免疫寛容化処理後、実験水槽内で水温23℃の条件でアコヤガイを養殖した。
【0056】
免疫が寛容化されたか否かの指標として血球濃度を測定した。血球濃度が高まった場合は免疫応答がなされていることを示す。免疫寛容化処理前と、免疫寛容化処理から6日後とにアコヤガイの閉殻筋から血液を200μL採取し、フローサイトメトリを用いて血球濃度を測定した。血液は、2.6mM EDTA Mg2+Ca2+free海水を用いて10倍に希釈した上で測定を行った。
【0057】
フローサイトメトリを用いた血球濃度の測定結果を図1に示す。免疫寛容化処理を行ったアコヤガイのいずれも、免疫寛容化処理前のアコヤガイや比較例のアコヤガイよりも血球濃度が高かった。本免疫寛容化処理により、アコヤガイの免疫が寛容化されていることが明らかとなった。特に10μg/mLの外套膜を含む免疫寛容化液を投与したアコヤガイの血球濃度が最も高かったことから、この濃度条件が免疫寛容化に適していると考えられた。
【0058】
2.免疫寛容化処理を施した真珠母貝の作製(2)
さらに、免疫寛容化処理を複数回行って本発明の真珠母貝を作製した。真珠母貝として日本産のアコヤガイを用い、異種の貝としてクロチョウガイを用いたものを実施例2とし、真珠母貝として日本産のアコヤガイを用い、異種の貝としてマベガイを用いたものを実施例3とした。10μg/mLのクロチョウガイ又はマベガイの外套膜を含む免疫寛容化液を上記の同様の方法で作製し、アコヤガイの生殖腺に注射を用いて投与し、実験水槽内で該アコヤガイを養殖した。さらに、最初に投与した日から14日後、28日後にも同様の免疫寛容化処理を行った。
【0059】
免疫が寛容化しているか否かの指標として、実施例2の真珠母貝の血球濃度を測定した。血球濃度が高い場合は免疫応答がなされていることを示し、血球濃度が低い場合は免疫応答がなされていないことを示す。各免疫寛容化処理の直前(0日目、14日目、28日目)、及び処理から7日後(7日目、21日目)に血液を採取し、血球濃度を測定した。比較例として免疫寛容化処理と同じ間隔で濾過海水を投与したアコヤガイ(比較例2−1)、及び、真珠母貝に対して同品種且つ同系統のアコヤガイの外套膜を投与したアコヤガイ(比較例2−2)の血球濃度を測定した。測定結果を図2に示す。最初の免疫寛容化処理後7日目は血球濃度が上昇したが、14日目の処理後、及び28日目の処理後の血球濃度は低いままであった。異物であるクロチョウガイの外套膜を投与しても血球濃度が上がらないことから、本実施例の真珠母貝はクロチョウガイに対する免疫が寛容となっていることがわかった。一方で、比較例2−1、及び比較例2−2のアコヤガイは血球濃度が一度も大きく上昇しなかったことから、免疫応答が確認されなかった。
【0060】
また、上記と同様の方法で実施例3の真珠母貝の血球濃度を測定した。測定は56日目まで7日毎に行った。実施例3の測定結果、及び対照として比較例2−1の測定結果を図3に示す。免疫寛容化処理後に異物であるクロチョウガイの外套膜を投与しても血球濃度が上がらないことから、本実施例の真珠母貝はマベガイに対する免疫が寛容となっていることがわかった。
【0061】
3.免疫寛容化処理を施した真珠母貝を用いた真珠の生産
アコヤガイを真珠母貝として用いて、クロチョウガイ又はマベガイから得られたピースを用いた真珠の生産を行った。クロチョウガイから得られたピースを用いた真珠の生産を実施例4、マベガイから得られたピースを用いた真珠の生産を実施例5とした。
【0062】
(a)免疫寛容化工程
真珠母貝としてアコヤガイの3年貝を用いて免疫寛容化処理を施した。クロチョウガイ及びマベガイから外套膜を摘出し、凍結再融解を行った後、濾過海水と共にホモジェナイザを用いてホモジェナイズし、10μg/mLのクロチョウガイの外套膜を含む免疫寛容化液、及び10μg/mLのマベガイの外套膜を含む免疫寛容化液を得た。それぞれ200μLの免疫寛容化液をアコヤガイの生殖腺に注射で投与することで免疫寛容化処理を施した。アコヤガイに何も投与しないものを比較例として用いた。
【0063】
(b)第1養殖工程
減感作工程(a)の後、7日間、海中にて免疫寛容化処理を施した真珠母貝を養殖した。さらに2回の上記と同様の免疫寛容化処理と7日の養殖を行って、合計3回の減感作工程(a)及び第1養殖工程(b)を行った。
【0064】
(c)挿入工程
クロチョウガイの外套膜を投与した真珠母貝(実施例4)及び何も投与しなかった真珠母貝(比較例4)の真珠母貝の生殖腺に、真珠核とクロチョウガイ外套膜から得られたピースとを挿入した。また、マベガイの外套膜を投与した真珠母貝(実施例5)及び何も投与しなかった真珠母貝(比較例5)の生殖腺に、真珠核とマベガイ外套膜から得られたピースとを挿入した。また、何も投与しなかった真珠母貝の生殖腺に、真珠核とアコヤガイ外套膜から得られたピースとを挿入した(比較例6)。
【0065】
(d)第2養殖工程
真珠筏を用いて、挿入工程により得られた真珠母貝を海面から深さ2m付近で垂下養殖した。
【0066】
1月間の第2養殖工程後、真珠母貝の生存数と生存した真珠母貝のうち脱核したものの数とをカウントし、生存率と生存した真珠母貝のうちの挿核成功率とを算出した。脱核したか否かはレントゲンを用いて確認した。クロチョウガイを用いた実施例4及び比較例4の結果を表1、マベガイを用いた実施例5及び比較例5の結果を表2に示す。実施例の真珠生産方法では、比較例に比べて真珠母貝の生存率及び挿核成功率が高かった。特に、実施例の挿核成功率は、比較例を大きく上回った。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
さらに、挿核が成功した真珠母貝から真珠核を取り出して真珠が形成されていることを実体顕微鏡及び電子顕微鏡を用いて確認した。図4及び図5は、挿入前の真珠核表面、実施例4で生産された真珠表面、及び実施例5で生産された真珠表面の写真である。図4は実体顕微鏡、図5は走査型電子顕微鏡を用いて撮影した。真珠核の表面に真珠層が形成されていることが確認された。また、実施例4で形成された真珠層と実施例5で形成された真珠層とは構造が異なっていることから、ピースの種類によって異なる性質を有する真珠が生産されたことが明らかとなった。
【0070】
その後、真珠筏を用いて挿核が成功した真珠母貝について第2養殖工程を4月間継続した。真珠筏を用いて垂下養殖し、適温になるように養殖位置を水深2m〜5mで変化させて調整した。
【0071】
上記の方法により生産された真珠の全体像の写真を図6に示す。クロチョウガイから得られたピースを用いた実施例4、マベガイから得られたピースを用いた実施例5において、真珠が生産されたことが確認された。アコヤガイの真珠母貝にアコヤガイのピースを用いた比較例6と比較すると、実施例4ではクロチョウガイの、実施例5ではマベガイの特徴を有する真珠が生産された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真珠母貝に対し異種の貝のピースを用いて真珠を生産するために免疫寛容化処理を施した真珠母貝
【請求項2】
前記免疫寛容化処理が、前記真珠母貝に対し異種の貝の一部又は全部を、該真珠母貝に投与する処理である、請求項1に記載の真珠母貝
【請求項3】
前記真珠母貝が、二枚貝網に属する生物であり、
前記異種の貝が、二枚貝網、腹足網、又は頭足網に属する生物である、
請求項2に記載の真珠母貝
【請求項4】
前記異種の貝の一部が外套膜である、請求項2又は3に記載の真珠母貝
【請求項5】
前記異種の貝が、アコヤガイ、シロチョウガイ、クロチョウガイ、ベニコチョウガイ、マベガイ、マゼランツキヒガイ、ヨーロッパヒラガキ、イガイ、ヨーロッパイガイ、シシリアタイラギ、ダイオウショウジョウガイ、マルスダレガイ、ホンビノスガイ、ネッタイザルガイ、シラナミガイ、アイスランドガイ、イシガイ、イケチョウガイ、カワシンジュガイ、ボタンガイ、オオウネカワボタンガイ、ヒラツバサカワボタンガイ、アワビ、アカネアワビ、サラサバテイ、ヤコウガイ、カサガイ、ギンイロカサガイ、タマキビ、ヨーロッパタマキビ、オオビワガイ、ピンクガイ、タカラガイ、ホシダカラ、ダイオウイトマキボラ、ハルカゼヤシガイ、ブローデリップヤシガイ、トゲコブシボラ、マイマイ、サヤガタドイツマイマイ、オウムガイ、及びオオベソオウムガイからなる群から選択される一又は複数である、請求項2〜4いずれか一項に記載の真珠母貝
【請求項6】
前記真珠母貝がアコヤガイであり、
前記異種の貝が、シロチョウガイ、クロチョウガイ、ベニコチョウガイ、マベガイ、マゼランツキヒガイ、ヨーロッパヒラガキ、イガイ、ヨーロッパイガイ、シシリアタイラギ、ダイオウショウジョウガイ、マルスダレガイ、ホンビノスガイ、ネッタイザルガイ、シラナミガイ、アイスランドガイ、イシガイ、イケチョウガイ、カワシンジュガイ、ボタンガイ、オオウネカワボタンガイ、ヒラツバサカワボタンガイ、アワビ、アカネアワビ、サラサバテイ、ヤコウガイ、カサガイ、ギンイロカサガイ、タマキビ、ヨーロッパタマキビ、オオビワガイ、ピンクガイ、タカラガイ、ホシダカラ、ダイオウイトマキボラ、ハルカゼヤシガイ、ブローデリップヤシガイ、トゲコブシボラ、マイマイ、サヤガタドイツマイマイ、オウムガイ、及びオオベソオウムガイからなる群から選択される一又は複数である、
請求項2〜4いずれか一項に記載の真珠母貝
【請求項7】
前記免疫寛容化処理が、前記真珠母貝の生体内で抗原性を有する物質を該真珠母貝に投与する処理である、
請求項1に記載の真珠母貝
【請求項8】
(a)真珠母貝に免疫寛容化処理を施す免疫寛容化工程、
(b)前記免疫寛容化工程で免疫寛容化処理が施された前記真珠母貝を養殖する第1養殖工程、
(c)前記真珠母貝の体内に少なくともピースを挿入する挿入工程であって、前記ピースが前記真珠母貝に対し異種の貝(以下、「第1異種の貝」という。)の外套膜から得られたものである挿入工程、
(d)前記挿入工程で前記ピースが挿入された前記真珠母貝を養殖する第2養殖工程、
を含む、真珠生産方法
【請求項9】
前記免疫寛容化処理が、前記真珠母貝に対し異種の貝(以下、「第2異種の貝」という。)の一部又は全部を、該真珠母貝に投与する処理である、
請求項8に記載の真珠生産方法
【請求項10】
前記第1異種の貝と前記第2異種の貝とが同種である、
請求項9に記載の真珠生産方法
【請求項11】
前記真珠母貝が二枚貝網に属する生物であり、
前記第1異種の貝が二枚貝網、腹足網、又は頭足網に属する生物であり、
前記第2異種の貝が二枚貝網、腹足網、又は頭足網に属する生物である、
請求項9又は10に記載の真珠生産方法
【請求項12】
前記第2異種の貝の一部が外套膜である、請求項9〜11いずれか一項に記載の真珠生産方法
【請求項13】
前記第1異種の貝が、アコヤガイ、シロチョウガイ、クロチョウガイ、ベニコチョウガイ、マベガイ、マゼランツキヒガイ、ヨーロッパヒラガキ、イガイ、ヨーロッパイガイ、シシリアタイラギ、ダイオウショウジョウガイ、マルスダレガイ、ホンビノスガイ、ネッタイザルガイ、シラナミガイ、アイスランドガイ、イシガイ、イケチョウガイ、カワシンジュガイ、ボタンガイ、オオウネカワボタンガイ、ヒラツバサカワボタンガイ、アワビ、アカネアワビ、サラサバテイ、ヤコウガイ、カサガイ、ギンイロカサガイ、タマキビ、ヨーロッパタマキビ、オオビワガイ、ピンクガイ、タカラガイ、ホシダカラ、ダイオウイトマキボラ、ハルカゼヤシガイ、ブローデリップヤシガイ、トゲコブシボラ、マイマイ、サヤガタドイツマイマイ、オウムガイ、及びオオベソオウムガイからなる群から選択される一又は複数であり、
前記第2異種の貝が、アコヤガイ、シロチョウガイ、クロチョウガイ、ベニコチョウガイ、マベガイ、マゼランツキヒガイ、ヨーロッパヒラガキ、イガイ、ヨーロッパイガイ、シシリアタイラギ、ダイオウショウジョウガイ、マルスダレガイ、ホンビノスガイ、ネッタイザルガイ、シラナミガイ、アイスランドガイ、イシガイ、イケチョウガイ、カワシンジュガイ、ボタンガイ、オオウネカワボタンガイ、ヒラツバサカワボタンガイ、アワビ、アカネアワビ、サラサバテイ、ヤコウガイ、カサガイ、ギンイロカサガイ、タマキビ、ヨーロッパタマキビ、オオビワガイ、ピンクガイ、タカラガイ、ホシダカラ、ダイオウイトマキボラ、ハルカゼヤシガイ、ブローデリップヤシガイ、トゲコブシボラ、マイマイ、サヤガタドイツマイマイ、オウムガイ、及びオオベソオウムガイからなる群から選択される一又は複数である、
請求項9〜12いずれか一項に記載の真珠生産方法
【請求項14】
前記真珠母貝がアコヤガイであり、
前記第1異種の貝が、シロチョウガイ、クロチョウガイ、ベニコチョウガイ、マベガイ、マゼランツキヒガイ、ヨーロッパヒラガキ、イガイ、ヨーロッパイガイ、シシリアタイラギ、ダイオウショウジョウガイ、マルスダレガイ、ホンビノスガイ、ネッタイザルガイ、シラナミガイ、アイスランドガイ、イシガイ、イケチョウガイ、カワシンジュガイ、ボタンガイ、オオウネカワボタンガイ、ヒラツバサカワボタンガイ、アワビ、アカネアワビ、サラサバテイ、ヤコウガイ、カサガイ、ギンイロカサガイ、タマキビ、ヨーロッパタマキビ、オオビワガイ、ピンクガイ、タカラガイ、ホシダカラ、ダイオウイトマキボラ、ハルカゼヤシガイ、ブローデリップヤシガイ、トゲコブシボラ、マイマイ、サヤガタドイツマイマイ、オウムガイ、及びオオベソオウムガイからなる群から選択される一又は複数であり、
前記第2異種の貝が、シロチョウガイ、クロチョウガイ、ベニコチョウガイ、マベガイ、マゼランツキヒガイ、ヨーロッパヒラガキ、イガイ、ヨーロッパイガイ、シシリアタイラギ、ダイオウショウジョウガイ、マルスダレガイ、ホンビノスガイ、ネッタイザルガイ、シラナミガイ、アイスランドガイ、イシガイ、イケチョウガイ、カワシンジュガイ、ボタンガイ、オオウネカワボタンガイ、ヒラツバサカワボタンガイ、アワビ、アカネアワビ、サラサバテイ、ヤコウガイ、カサガイ、ギンイロカサガイ、タマキビ、ヨーロッパタマキビ、オオビワガイ、ピンクガイ、タカラガイ、ホシダカラ、ダイオウイトマキボラ、ハルカゼヤシガイ、ブローデリップヤシガイ、トゲコブシボラ、マイマイ、サヤガタドイツマイマイ、オウムガイ、及びオオベソオウムガイからなる群から選択される一又は複数である、
請求項9〜12いずれか一項に記載の真珠生産方法


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−130331(P2012−130331A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−456(P2011−456)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(504147254)国立大学法人愛媛大学 (214)
【Fターム(参考)】