説明

真空バルブ及びタンク形真空遮断器

【課題】タンク形真空遮断器の真空度が低下している状態で遮断器の開放操作があったとしても、真空容器であるセラミック筐体の爆発的な破壊を防止すること。
【解決手段】本発明は、外部タンク12に包囲されて内部を真空状態にした真空容器26と、真空容器26の内部に接離可能に配置された一対の電極22,23と、真空容器26の底壁部26aに形成された穴26bと、真空容器26の真空状態を維持するように真空容器26の外側から穴26bを封止すると共に真空容器26の内部圧力の上昇に伴って機械的に状態変化する内圧上昇検出機構部29と、内圧上昇検出機構部29が機械的に状態変化したことにより異常を検知する部分破壊検出部30と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空バルブ(真空インタラプタ)及びタンク形真空遮断器に係り、特に、真空バルブの真空度が低下した状態で遮断器が開放操作されたときに、真空バルブのセラミック筐体が爆発的に破壊されることを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力系統に用いられている72kVクラス以上のタンク形真空遮断器(VCB)は、絶縁性能に優れた低圧のSF6(六フッ化硫黄)ガスや高圧の乾燥空気を絶縁気体として充填した外部タンク内に、遮断器としてセラミックス製の真空インタラプタ(VI)を収納したものが使用されている。
【0003】
また、真空インタラプタの内部には、電界傾度の緩和やセラミック絶縁物の保護のために金属製のシールドが設けられている。
【0004】
図3は、真空インタラプタの一例を示す断面図である。図3において、真空インタラプタ1は、真空容器としての絶縁性のセラミック筐体2と、セラミック筐体2の一方から一端が内部に臨む可動電極3と、セラミック筐体2の他方から一端が内部に臨む固定電極4と、セラミック筐体2の機密状態を維持するために可動電極3の軸線方向に沿う変位を許容するようにセラミック筐体2の内部側に設けられた蛇腹状のベローズ支持体5と、両電極3,4の可動範囲を含むように離間状態でセラミック筐体2の内部に配置された内部シールド6とを備えている。
【0005】
真空インタラプタに真空破壊が発生すると真空インタラプタの周囲のSF6ガスや乾燥空気が真空インタラプタの内部に進入してしまう。運転開始後の真空破壊原因の主要なものは、金属製ベローズ等の金属疲労による小穴や設計以上の雷サージ侵入による小穴などが殆どで真空破壊箇所は極めて小さな穴状となっている。
【0006】
また、タンク形真空遮断器の遮断性能は、真空インタラプタに真空破壊が発生すると遮断性能は無くなり、通常の負荷電流の遮断さえ不可能となってしまう。
【0007】
これは、真空インタラプタに穴が開くと一気にタンク内圧力と同じになることが殆どのためである。このため、真空インタラプタの真空度低下を監視する装置がオプションで設定されているが、このような監視装置は高額なうえ、監視装置が電子機器であるため10〜15年間隔で監視装置を更新する必要があることから、広く一般的に普及していないのが実情である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平06−060780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、現在一般に用いられている真空バルブにあっては、以下に示すような問題を有している。
(1)真空インタラプタ1が真空破壊しても一般的に真空監視装置が無いことが多く、真空破壊に気づかない。この状態でタンク形真空遮断器の開放操作を行うと、タンク形真空遮断器をループ系統で使用している場合には、タンク形真空遮断器開放操作後も真空インタラプタ1の内部シールド6を通して負荷電流が流れることで内部シールド6が溶損して急激な真空インタラプタ1の内部圧力の上昇を招き、真空容器であるセラミック筐体2が破壊され、アークがタンク上部へ伸び、最終的に地絡事故に進展して大規模停電に移行する虞がある。
(2)負荷電流(ループ電流)が少ない場合やSF6ガス式のタンク形真空遮断器では電流を遮断できる可能性も残ることから、真空インタラプタ1の筐体破壊(破壊するまで内圧が上昇しないケース)まで進展しなければタンク形真空遮断器故障(真空破壊)に気が付かないケースもある。
(3)真空インタラプタ1が物理的に破壊される場合は、真空インタラプタ1が爆発状態となることから破片が周囲に散乱して二次的な故障が発生する可能性がある。
(4)真空インタラプタ1が破壊してもタンク形真空遮断器を停電して導通試験や絶縁抵抗測定を行うか開閉特性測定を行わないと真空インタラプタ1の破壊判断ができない。即ち、真空インタラプタ1に開いた穴は極めて小さいことから判断が困難である一方、小穴から抜ける気体の流れに伴う内圧上昇は抑制し難く、急激な内圧上昇から筐体破壊に進展する虞がある。
【0010】
本発明は上述のかかる事情に鑑みてなされたものであり、タンク形真空遮断器の真空度が低下している状態で遮断器の開放操作があったとしても、真空容器であるセラミック筐体の爆発的な破壊を防止することのできる真空バルブ及びタンク形真空遮断器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る真空バルブは、外部タンクに包囲されて内部を真空状態にした真空容器と、該真空容器内に接離可能に配置された一対の電極と、を備えた真空バルブであって、前記真空容器の壁面には穴が形成されており、前記真空容器の真空状態を維持するように前記真空容器の外側から前記穴を封止する一方、前記真空容器内の圧力が一定値以上になると前記封止を解除すると共に機械的に状態変化する内圧上昇検出機構部と、内圧上昇検出機構部が機械的に状態変化したことを検出する部分破壊検出部と、を備えたことを特徴とする。
なお、封止を解除するときの圧力は、真空容器が内部圧力に耐えられる強度よりも低く設定しておくものとする。ここで、機械的な状態変化とは、機械的な変位・変形を意味する。
【0012】
本発明の真空バルブでは、真空容器の外側から栓等によって封止し、真空容器の内部圧力が一定値以上になると封止が外れるようにしているので、真空容器の破壊を防止すると共に異常が発生したことを検知することができる。
【0013】
本発明に係る真空バルブは、前記内圧上昇検出機構部は前記一対の電極のうち固定側電極付近の下方に配置され、前記部分破壊検出部は前記内圧上昇検出機構部の直下から前記外部タンクの軸線方向に沿ってズレた位置に配置されていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、内圧上昇検出機構部の状態変化が部分破壊検出部を直撃することを避けることができる。
【0015】
また、本発明に係る真空バルブは、前記内圧上昇検出機構部は、前記真空容器の内部を密閉するように前記穴を封止する栓と、該栓と前記部分破壊検出部との間に架設された検出体と、該検出体の中途部に設けられて他の部分よりも破断し易い破断部と、を備え、前記真空容器の内部圧力が上昇して前記栓が抜ける際に加わる荷重によって前記破断部が破断したときに前記部分破壊検出部がON又はOFFすることを特徴とする。
【0016】
これにより、簡素な機械的構成のみで真空容器の内部圧力の上昇を検出することが可能となり、安価且つ安全な真空遮断器を構成することが可能となる。
【0017】
また、本発明に係る真空バルブは、前記検出体は前記栓の抜け方向に対して軸線がズレるように傾斜状態で配置されていることを特徴とする。これにより、栓が抜ける際の荷重を検出体の破断部に集中させることができる。
【0018】
好ましくは、前記部分破壊検出部は前記外部タンクの外側に配置すると良い。これにより、外部タンクや真空容器の影響を受け難い位置に部分破壊検出部を配置することができ、安価で簡素な構成の機械的なスイッチの他、電気的な高精度のセンサ等の設置も可能となる。
【0019】
さらに、本発明に係る真空バルブは、前記部分破壊検出部は前記検出体の状態変化に連動してON又はOFFする可動接点方式のリミットスイッチであり、該リミットスイッチが前記真空容器の真空度低下に伴ってON又はOFFした際には外部報知器を作動させることを特徴とする。
【0020】
これにより、スイッチのON・OFFに応じて真空度低下の報知手段を容易に設置することができる。
【0021】
また、本発明に係るタンク形真空遮断器は、上記の何れかに発明に係る真空バルブを備えたことを特徴とする。本発明に係る真空バルブを用いて真空遮断器を構成することにより、安価且つ安全な真空遮断器を実現することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、タンク形真空遮断器の真空度が低下している状態で遮断器の開放操作があったとしても、真空容器であるセラミック筐体の破壊を防止することができ、地絡事故等に波及する事態を回避することができる。また、異常の発生を検知することができるので、タンク形真空遮断器を適切に交換をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る真空バルブを搭載したタンク形真空遮断器の説明図である。
【図2】本発明の一実施形態の真空バルブを示し、(A)は真空バルブの断面図、(B)は要部の断面図である。
【図3】従来の真空バルブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の一実施形態に係る真空バルブについて、図面を参照して説明する。尚、以下に示す実施例は本発明の真空バルブにおける好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。また、以下に示す実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下に示す実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0025】
図1は本発明の一実施形態に係る真空バルブを搭載したタンク形真空遮断器の説明図、図2は本発明の一実施形態の真空バルブを示し、図2(A)は真空バルブの断面図、図2(B)は要部の断面図である。
【0026】
(タンク形真空遮断器の全体構成)
図1に示すように、タンク形真空遮断器10は、架台11に設置されて電気的に接地された外部タンク12と、外部タンク12の両端に固定された支持板13と、外部タンク12の上面に支持された一対のブッシング変流器14と、ブッシング変流器14の上端に支持されたブッシング15と、ブッシング変流器14とブッシング15とを貫通して下端が外部タンク12の内部に臨む高電圧導体16,17と、高電圧導体16,17の上端に設けられたブッシング端子18と、外部タンク12の内部に設けられた真空バルブ(以下、「真空インタラプタ」という。)19と、を備えている。尚、ブッシング変流器14、ブッシング15、高電圧導体16,17、ブッシング端子18は、公知のものが用いられているため、ここではその詳細な説明は省略する。
【0027】
外部タンク12の内部には、高電圧導体16,17や真空インタラプタ19といった主回路部とアース電位の外部タンク12との絶縁のために、絶縁性能に優れた低圧力のSF6ガス等が封入されている。また、外部タンク12の内部には、内部支持板20に固定された駆動機構部21に一端が支持された可動電極22と、支持板13に一端が固定された固定電極23と、が設けられている。
【0028】
可動電極22及び固定電極23は、高電圧導体16,17の下端と電気的に接続された可動側シールド24と固定側シールド25とに覆われている。この真空インタラプタ19の両端を覆うように配置された可動側シールド24と固定側シールド25とは、例えば、アルミニウム合金や銅合金等の導体材料で形成されており、真空インタラプタ19の両端部付近での電界集中を緩和する。また、可動電極22は、駆動機構部21の駆動によって軸線方向に沿って変位する。
【0029】
(真空インタラプタ19の構成)
真空インタラプタ19は、図2(A)に示すように、外部タンク12に包囲されて内部を真空状態にした真空容器(筐体)26と、真空容器26の内部で接離可能に配置された可動電極22と固定電極23との各他端に設けられた可動接点22a及び固定接点23aと、各接点22a,23aの可動範囲を含むように離間状態で真空容器26の内部に配置された内部シールド27と、可動電極22の軸線方向に沿う変位を真空容器26の内部真空状態を維持するように許容する蛇腹状のベローズ支持体28と、を備えている。さらに、真空インタラプタ19は、図2に示すように、真空容器26の真空状態を維持するように連通して真空容器26の外側に配置されると共に真空容器26の内部圧力の上昇に伴って機械的に状態変化する内圧上昇検出機構部29と、真空容器26の内部圧力の上昇に伴って内圧上昇検出機構部29が機械的に状態変化したことを電気的に検出して真空容器26に異常が発生したことを検出する部分破壊検出部30と、を備えている。
【0030】
(内圧上昇検出機構部29の構成)
内圧上昇検出機構部29は、真空容器26の固定電極23の下方寄りの底壁部26aに設けられており、底壁部26aにおいてシールド27直下から外れた位置に形成された穴26bと、穴26bを密閉するように接着剤31を介して底壁部26aの外面で固定された栓32と、栓32に一端が接続された棒状の検出体33と、を備えている。
【0031】
栓32は、硬質ゴム等によって穴26bと係合する部分を小径とした多段(二段)の円柱体から構成されている。また、栓32は、真空容器26の内部を密閉しており、真空容器26の真空度を確保している。なお、栓32は、真空容器26の内部圧力が上昇して一定値以上になると穴26bから抜けるようになっているので安全弁として機能する。
【0032】
検出体33は、絶縁性を有する材質から棒状に形成されており、その中途部には他の部分よりも小径(又は低強度)とされて破断し易い破断部34が設けられている。また、検出体33は、栓32が抜ける方向(垂直方向)に対して破断部34での荷重負荷が集中し易くなるように傾斜状態で配置されている。特に、検出体33の破断部34より下の部分が栓32の直下になるのを避けて配置されるのが好ましい。
【0033】
(部分破壊検出部30の構成)
部分破壊検出部30は、外部ケース12の外側に設けられた金属製のケース35と、ケース35の内部に設けられた機械的可動接点方式のリミットスイッチ36と、リミットスイッチ36の接点をON(メーク)方向に付勢するコイルスプリング37と、ケース35に固定された絶縁性のブッシング38と、を備えている。尚、ブッシング38は、リミットスイッチ36が電気的に接続される接点(図示せず)を保持しており、この接点を介して警報ランプや警報ブザー等の報知手段あるいは遠方監視制御装置の信号入力端子と電気的に接続される。
【0034】
リミットスイッチ36には、検出体33の他端が接続されており、栓32によって穴26aを密閉状態で閉成しているときにはOFF(ブレーク)状態となるようにコイルスプリング37の付勢に抗して引っ張り設定されている。また、リミットスイッチ36は、基本的には、単なる可動接点方式の簡素な機械的スイッチを用いることにより、安価且つ耐久性に優れた検出手段とすることができるが、外部タンク12の外側に配置することができるため、例えば、検出体33の変位によって遮断される赤外センサ等の電気的スイッチ等を適用することも可能である。
【0035】
(作用)
上記の構成によれば、真空容器26の内部圧力(気圧)が一定値以上(真空容器26の破壊圧力より低い値)となった場合、真空インタラプタ19が部分的に破壊される部位を設けて真空容器26そのものの大規模破壊を抑制している。なお、本実施の形態では、部分的に破壊される部位として、真空インタラプタ19の内部の各接点22a,23aの間から外れた位置に設置すると共に、内圧噴出方向も真空インタラプタ19の下側としている。また、真空インタラプタ19の部分的に破壊される部位から検出体33を通じてリミットスイッチ36を動作させる構造とすることで外部から真空インタラプタ19の内圧上昇による部分破壊の発生を容易に判断することが可能となっている。
【0036】
具体的には、真空インタラプタ19には、真空低下時に真空インタラプタ19を開放した際に電流が流通しない経路(電流は各電極22,23の間で直接放電するか各電極22,23から内部シールド27部を介して流通)として、真空容器26の底壁部26aに真円状の穴26bを開設し、その穴26bを段付きの栓32で封止する。この栓32は、長期間の安定性と真空インタラプタ19が動作している時に振動等の影響によって不測に外れないよう、例えば、接着剤31によって真空容器26の底壁部26aに接着固定する。なお、真空インタラプタ19の内部は真空状態となっており、栓32が段付構造であることから接着面には接着力が常時働いている。
【0037】
栓32の外部は、検出体33の一端と接続され、この検出体33を介して外部タンク12の外部(内部でも良い)に設置したリミットスイッチ36と機械的に接続されている。リミットスイッチ36は、外部タンク12の外壁に固定したケース35の内部に設けられており、コイルスプリング37によってON方向に付勢されている。常時は検出体33の他端とリミットスイッチ36とを接続することにより、コイルスプリング37の付勢に抗してリミットスイッチ36はOFFとなっている。
【0038】
これにより、真空容器26の内部圧力が変化し、栓32が接着剤31の接着力に勝って外れるように動作した際には、検出体33の中途部に設けた破断部34が破断し、検出体33によるリミットスイッチ36の引っ張りが解除されると同時に、コイルスプリング37の付勢によってリミットスイッチ36がONする。
【0039】
即ち、真空インタラプタ19の真空低下時にタンク形真空遮断器10を開放(ループ電流開放)すると、真空低下が発生している真空インタラプタ19では、固定電極23、内部シールド27、可動電極22の経路で負荷電流が流通し、金属製の内部シールド27が溶損して金属蒸気が発生し、真空インタラプタ19の内部圧力が急激に上昇する。
【0040】
そして栓32が接着剤31の接着力に勝って抜ける圧力まで内圧上昇すると、栓32が抜けるように動作して真空インタラプタ19の内部の圧力が低下するとともに、栓32に接続した検出体33が破断部34で破断し、リミットスイッチ36のONにより外部警報装置等で警報を出力させることが可能となる。この際、検出体33は栓32が抜ける方向(垂直下方)に対して軸線がズレるように傾斜して設けられているため、破断部34に加わる負荷が大きく、破断しやすいように設定されている。
【0041】
また、真空インタラプタ19の栓32が動作したことで真空容器26のそのものの破壊が起こらず、絶縁筒状の内部での放電が継続することで地絡事故への進展まで時間を大きく時間を稼ぐことができ、他の継電器による事故除去または、真空インタラプタ19の破壊警報によって報知されることから人手により事故回避が可能となる。
【0042】
このように、本実施の形態による真空インタラプタ19にあっては、以下に示す効果を奏することができる。
(1)真空インタラプタ19の破壊時の地絡事故進展に至るまでの時間延伸
真空容器26の破壊を抑制することができ、地絡事故へと進展するまでの時間を延ばすことが可能となり、地絡事故の抑制効果を向上することができる。なお、地絡事故までの延伸時間や電流遮断可否は、流通電流の大きさや真空インタラプタ19の内部に充填された気体(例えば、乾燥空気やSF6ガス)によって異なる。
(2)真空インタラプタ19の爆発的な破壊を抑制
真空インタラプタ19が爆発的に破壊し難く、栓32の抜けのみですむため、栓32や検出体33を除く真空インタラプタ19の構成部材が飛散するといった二次被害を抑制することができる。尚、栓32が抜ける動作圧力を低く設定(例えば、接着面積や接着剤31の種類等で調整可能)すれば、二次被害の抑制効果を一層向上することができる)。
(3)真空インタラプタ19の破壊を把握
真空インタラプタ19の破壊を容易に把握することができ、警報を出力することから事故対応(事故発生したタンク形真空遮断器10を系統から切り離す)を容易に行うことができ、事故箇所の誤判断による波及事故も抑制することができる。
(4)真空インタラプタ19の破壊検出機能を長寿命化
真空インタラプタ19の破壊検出機能に、赤外センサや振動センサといったように電気的に状態変化を検出するセンサを採用せず、検出体33や機械的接点(リミットスイッチ36)といった簡素な物品で構成したことにより、タンク形真空遮断器10と同程度の寿命を期待することができ、タンク形真空遮断器10を更新(交換)するまで、保守管理を不要とすることができる(乾燥空気やSF6ガス部にリミットスイッチ36(接点等)等の主要部品を設置する場合)。
【符号の説明】
【0043】
10…タンク形真空遮断器
19…真空バルブ(真空インタラプタ)
22…可動電極
23…固定電極
26…真空容器
26a…底壁部
26b…穴
29…内圧上昇検出機構部
30…部分破壊検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部タンクに包囲されて内部を真空状態にした真空容器と、該真空容器内に接離可能に配置された一対の電極と、を備えた真空バルブであって、
前記真空容器の壁面には穴が形成されており、前記真空容器の真空状態を維持するように前記真空容器の外側から前記穴を封止する一方、前記真空容器内の圧力が一定値以上になると前記封止を解除すると共に機械的に状態変化する内圧上昇検出機構部と、
前記内圧上昇検出機構部が機械的に状態変化したことを検知して、外部に警報を出力する部分破壊検出部と、
を備えたことを特徴とする真空バルブ。
【請求項2】
前記内圧上昇検出機構部は前記一対の電極のうち固定側電極付近の下方に配置され、前記部分破壊検出部は前記内圧上昇検出機構部の直下から前記外部タンクの軸線方向に沿ってズレた位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の真空バルブ。
【請求項3】
前記内圧上昇検出機構部は、前記真空容器の内部を密閉するように前記穴を封止する栓と、該栓と前記部分破壊検出部との間に架設された検出体と、該検出体の中途部に設けられて該検出体の他の部分に比べて破断し易い破断部と、を備え、
前記真空容器の内部圧力が上昇して前記栓が抜ける際に加わる荷重によって前記破断部が破断したときに前記部分破壊検出部がON又はOFFすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の真空バルブ。
【請求項4】
前記検出体は前記栓の抜け方向に対して軸線がズレるように傾斜状態で配置されていることを特徴とする請求項3に記載の真空バルブ。
【請求項5】
前記部分破壊検出部は前記外部タンクの外側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の真空バルブ。
【請求項6】
前記部分破壊検出部は前記検出体の状態変化に連動してON又はOFFする可動接点方式のリミットスイッチであり、該リミットスイッチが前記真空容器の真空度低下に伴ってON又はOFFした際には外部報知器を作動させることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の真空バルブ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の真空バルブを備えていることを特徴とするタンク形真空遮断器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−150969(P2012−150969A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8334(P2011−8334)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】