説明

真空包装用の簡易脱気装置

【課題】 食品の真空包装のために使用する袋として、その内部の空気を抜くための特別の形状等を有する口部を必要とせず、簡単な操作で、収納対象の食品を出し入れするための開口部からその内部の空気の排気を行うこと。
【解決手段】 ヒンジ1で開閉自在に結合した箱状枠体2及び板状枠体3と、箱状枠体2の内側に配した弾性板4a及び板状枠体3の箱状枠体2に絞り出し操作の際に対面することとなる面に配した弾性板4bと、箱状枠体2の両側前部に配した係合片5、5及び板状枠体3の両側前部に配した、該係合片5、5に着脱自在に係合する装入片6、6とで構成する。また弾性板4a、4bの前面には縦横にかつ表面から途中までの深さに切り込み7、7…を形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の食品を新鮮な状態に安全に保管するために袋に入れて保管する際に簡易に袋内を脱気することができる真空包装用の簡易脱気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルム製の袋に対象の食品を装入した上で、その袋の内部の空気を吸引除去する食品の真空包装の技術及びこれに用いる真空包装用の簡易脱気装置を含む種々の装置は知られている。
【0003】
特許文献1は、真空包装方法及びこれに用いる装置に関するものであり、これは、真空チャンバー内において、袋の開口部近傍の両端部を把持している把持部材による把持間隔を拡張して袋の開口部を緊張させた後、把持部材の上方において袋の開口部近傍を、所定の間隔で部分的に挟持し、次いで、該真空チャンバーから空気を排出することにより袋内を減圧し、その後、上記の袋の開口部近傍の部分的挟持を解放した後、上記把持部材による把持間隔を更に拡張して開口部を緊張させた後に、袋の開口部を封着することで真空包装を完了させるものである。
【0004】
従ってこの特許文献1の真空包装方法によれば、袋に入っている食品が煮炊きされた高温の液体を含む食品であって、その袋の内部を減圧するために該真空チャンバー内を急速に減圧したとしても、該袋の内部の液体を含む食品が飛び出してしまうような問題を生じさせないことは確かであると思われる。しかしこの真空包装方法によれば、大がかりな真空チャンバー、真空ポンプ及びシール装置等が必要であり、一般家庭などで食品の真空包装を簡易に行うには全く適しないものであると思われる。
【0005】
特許文献2は真空包装体および真空包装方法に関するものであり、これは、被包装体を収容する袋体と、該袋体に二重構造状に被覆した袋状の空気層形成シートと、該袋体の開口部を開閉自在に閉じる袋体開閉機構と、該空気層形成シートと袋体の間の空間に空気を充填するための空気封入機構とで構成した真空包装体及びこれを利用して被包装体を真空包装する真空包装方法である。
【0006】
この特許文献2の真空包装体および真空包装方法によれば、袋体の開口部の開閉機構を開いてこの部位から該袋体内に被包装体を装入し、次いで該開口部に吸引管を挿入し、真空ポンプ等により該袋体の内部の空気を吸引排気した後に、該開口部の開閉機構を閉じ、更に前記空気封入機構を開いて該袋体と空気層形成シートとの間に空気を圧入し、その後に該空気封入機構を閉じることで、真空包装体を構成することができるものである。
【0007】
しかし、この特許文献2の真空包装体および真空包装方法によれば、袋体と空気層形成シートとの間に空気を充填するものであるため、被包装体に外部の何物かが衝突したような場合に、それ自体の損傷を回避することができる利点があることは確かであるが、袋体の開口部に特別な工夫がされているわけではないので、脱気手段として特別な手段を用意しないかぎり、該開口部に筒状の吸引管を挿入したところで、袋体内部の空気を吸引排気する際に、該吸引管の両側方から同時に該袋体内に空気が逆流するおそれがあり、良好に吸引排気することができないおそれがある。すなわち、該袋体によって被包装体の良好な真空包装が確保できないおそれがあると云わざるを得ない。
【0008】
特許文献3は、真空包装装置に関するものであり、これは、円筒状のハウジングと、該ハウジングの一端に構成された熱シール器と、該円筒状のハウジングの他端に構成された真空ポンプと、該ハウジングの該熱シール器及び該真空ポンプの間に配され、それらにスイッチを介して電力を供給するものである電力供給ユニットとからなるものである。
【0009】
従ってこの特許文献3の真空包装装置によれば、被包装物を入れた袋の排気口に前記真空ポンプのホースを挿入して該袋の空気を吸引排気し、その後その排気口を前記熱シール器で熱シールして真空包装を完了させることができる。もっともこの特許文献Cの真空包装装置では以上のようにして袋の内部の空気を吸引排気するものであるから、前記真空ポンプによる吸引排気の際に、該排気口と該ホースとの隙間から空気が逆流しないように、該排気口の内径が該ホースの外径とほぼ一致するものである必要があり、自由な開口部を有する袋で包装した被包装物の真空包装するには適さない。すなわち、特定の排気口を有する特定の袋でなければこの装置によってその内部の空気を良好に吸引排気することはできない。また排気後に排気口を熱シールして密封状態にするものであるから、袋が熱シール可能な材質で構成されている必要もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平08−318911号公報
【特許文献2】特開2006−76599号公報
【特許文献3】実開平06−78204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、食品の真空包装のために使用する袋として、その内部の空気を抜くための特別の形状等を有する口部を必要とせず、簡単な操作で、収納対象の食品を出し入れするための開口部からその内部の空気の排気を行うことが可能な真空包装用の簡易脱気装置を提供することを解決の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1は、閉塞可能な開口部を有する、食品を収納した柔軟性の袋体を、その両側から挟んで、該食品の形状をそのまま保持しつつ該食品以外の部分を潰して内部の空気を絞り出すべく構成した二つの可変形性の絞り出し部材と、該絞り出し部材を支持する支持部材とで構成した真空包装用の簡易脱気装置である。
【0013】
本発明の2は、本発明の1の真空包装用の簡易脱気装置において、
前記支持部材を、
ヒンジで結合した箱状枠体及びその蓋に相当する板状枠体と、
該箱状枠体及び板状枠体を、その間に食品を収納した袋体の開口部を除いて装入して挟んだ際に、一時的にその状態を保持する挟み状態保持手段と、
で構成し、
前記可変形性の絞り出し部材を、
該箱状枠体及び該板状枠体の相互に対面する部位にそれぞれ配した弾性部材で構成したものである。
【0014】
本発明の3は、本発明の1の真空包装用の簡易脱気装置において、
前記支持部材を、
二つの平行な回転軸と、
該二つの回転軸を回転自在に支持する枠体と、
該回転軸を回転駆動する回転駆動手段又は回転操作手段と、
で構成し、
前記可変形成の絞り出し部材を、
該二つの回転軸に外装した弾性部材であって、相互にその周面が密に接触する弾性部材で構成したものである。
【0015】
本発明の4は、本発明の1の真空包装用の簡易脱気装置において、
前記支持部材を、
箱状枠体及び該箱状枠体上に往復転動自在に配した回転軸と、
該回転軸を該箱状枠体上で往復転動動作させるべく回転駆動する回転駆動手段又は回転操作手段と、
で構成し、
前記可変形性の絞り出し部材を、
該箱状枠体に上面が該箱状枠体の上端と一致するように配した板状外観の弾性部材と、
該回転軸に外装した弾性部材であって、該箱状枠体に配した弾性部材の上面に周面が密に接触するように径を設定した弾性部材と
で構成したものである。
【0016】
本発明の5は、本発明の2、3又は4の真空包装用の簡易脱気装置において、
前記弾性部材を、スポンジ、ゴム又は合成ゴム、若しくは弾性の袋状部材に収納した液体又はジェル剤で構成したものである。
【0017】
本発明の6は、本発明の2の真空包装用の簡易脱気装置において、
前記弾性部材として、複数の小区画に区画すべくその表面から厚さ方向の途中までに切り込みを入れた板状のスポンジ、ゴム又は合成ゴムを採用したものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の1の真空包装用の簡易脱気装置によれば、柔軟性の袋体にその開口部から真空包装をしようとする食品を装入した上で、該袋体を、その両側から可変形性の絞り出し部材で挟んで該食品を除いて押し潰し、該袋体の内部に入っている空気を絞り出し、その後、その絞り出し状態を維持しながら該袋体の開口部をその袋体に備わっている又は適する閉塞手段で閉塞することにより、簡易にかつ確実に食品を包装した袋体の脱気を行い、良好に食品の真空包装を行うことができる。袋体がチャック付き袋又はスライダー付き袋のようなものである場合は、脱気後の袋体は、チャック等によって閉じ、脱気状態を維持するようにする。
【0019】
本発明の2の真空包装用の簡易脱気装置によれば、柔軟性の袋体にその開口部から真空包装をしようとする食品を装入した上で、該袋体を、絞り出し部材の間に配置して、その内部の空気の絞り出し操作を行うと、該絞り出し部材は、ヒンジで結合した箱状枠体と板状枠体の相互に対面する部位にそれぞれ配した弾性部材で構成したものであるため、前記絞り出し操作、すなわち、該箱状枠体及び板状枠体を閉じる操作にともなって、各々の内側の弾性部材で該袋体を挟む状態になり、該袋体内の一定の硬さを有する食品は、該弾性部材が変形することで、その形状が保持されつつ、それ以外の食品のない部分は押し潰されることになる。該袋体内の空気は該袋体の開口部を通じて排気され、脱気作用が行われることになる訳である。
【0020】
こうして必要な脱気が行われた段階で、以上のような箱状枠体及び板状部材と絞り出し部材とによって食品を入れた袋体を挟んだ状態を前記挟み状態保持手段で保持し、袋体の脱気状態を確実に保持しつつ、該袋体の開口部をその袋体の開口部に備わっている又は適する閉塞手段で閉塞する。例えば、開口部の縁の半分に縁に沿って係止凹溝が構成してあり、他の半分の縁にこれに係合する係止突条が構成してある場合(チャックの一種が構成してある場合)には、該係止凹溝に該係止突条を嵌合させることで該開口部を確実に閉じる。また該開口部に閉じるための何の構成もない場合で、材質的に可能な場合は熱シールすることができる。
【0021】
本発明の3の真空包装用の簡易脱気装置によれば、柔軟性の袋体にその開口部から真空包装をしようとする食品を装入した上で、該袋体を、前記二つの回転軸に外装した弾性部材に構成した絞り出し部材の間に底部側から装入し、前記回転駆動手段又は回転操作手段で、該二つの回転軸を、該袋体を引き込み、その底部側を反対側に移動させるべく回転動作させる。こうして該袋体を、これに収納している食品を除いて押し潰し、その内部の空気を該袋体の開口部側に絞り出し移動させる。絞り出し部材は、弾性部材で構成し、二つの回転軸に外装し、相互が密に接触するように配してあるため、その間に装入された袋体は、該弾性部材がその弾力で変形することにより、内部の食品を変形させず、他方、袋体の何も入っていない部分は押し潰すことができることになる。
【0022】
該袋体が該二つの絞り出し部材の間を通過した直後、または可能な場合は、殆ど該袋体の開口部のみが該二つの絞り出し部材の間を通過せずに残っている段階で、該袋体の開口部を閉塞する。該開口部の閉塞は、その袋体に適する方法で行う。それ自体に閉塞手段を構成してある場合はそれに従う。構成していない場合で、可能な場合は熱シールを行うこともできる。その他の適切な閉塞手段を自由に採用することもできる。こうして、本発明の3の真空包装用の簡易脱気装置によれば、容易かつ確実に、食品を収納した袋体から空気を排出させ、食品の真空包装を行うことができる。
【0023】
本発明の4の真空包装用の簡易脱気装置によれば、柔軟性の袋体にその開口部から真空包装をしようとする食品を装入した上で、該袋体を、箱状枠体の絞り出し部材である板状外観の弾性部材上に前記回転軸の位置する側が底部側になるように載せ、前記回転駆動手段又は回転操作手段を動作させ又は操作して回転軸を回転動作させ、弾性部材を外装させた該回転軸に該箱状枠体の弾性部材上を転動移動動作させると、これによって該袋体は、上方からは、該回転軸に外装した弾性部材によって圧力を受け、下方からは、これに対応して箱状枠体の弾性部材で弾力的に圧力を受けることになり、こうして、該回転軸の移動に伴って該袋体の内部の空気がその開口部側に移動させられ、内部の空気が絞り出されることになる。
【0024】
以上において、該袋体内の一定の硬さを有する食品は、それぞれ弾性部材が変形することで、その形状が保持されつつ、それ以外の食品のない部分が押し潰され、該袋体内の空気は、このとき、前記のように、該袋体の開口部を通じて排気され、脱気作用が行われることになる訳である。
【0025】
袋体の開口部はこの後の一定段階になったところで閉じる。すなわち、該回転軸が該袋体の直前まで移動し、必要な脱気が行われた段階で、該袋体の開口部をその袋体の開口部に適する閉塞手段で閉塞する。例えば、開口部の縁の半分に縁に沿って係止凹溝が構成してあり、他の半分の縁にこれに係合する係止突条が構成してある場合には、該係止凹溝に該係止突条を嵌合させることで該開口部を確実に閉じる。
【0026】
本発明の5の真空包装用の簡易脱気装置によれば、食品を収納した袋体を絞り出し部材の間に配して内部の空気を絞り出し排気させる際に、該絞り出し部材を構成する弾性部材を、スポンジ、ゴム又は合成ゴム、若しくは弾性の袋状部材に収納した液体又はジェル剤で構成したものであるため、例えば、前者のスポンジ、ゴム又は合成ゴムで構成したものである場合は、これら自体が適切に変形することにより、袋体内の食品に無用な圧力を加えて変形させるようなことなく、袋体の食品の充填されていない部分のみを圧縮してその内部の空気を開口部方向に効果的に絞り出すことができる。また弾性部材を後者の弾性の袋状部材に収納した液体又はジェル剤で構成したものである場合は、内部の液体又はジェル剤が弾性の袋状部材内を自由に移動することが可能であるため、この場合も、袋体内の食品に無用な圧力を加えて変形させるようなことなく、袋体の食品の充填されていない部分のみを圧縮してその内部の空気を開口部方向に効果的に絞り出すことができる。
【0027】
本発明の6の真空包装用の簡易脱気装置によれば、前記弾性部材として、採用した板状のスポンジ、ゴム又は合成ゴムに、それらの表面側の部位を複数の小区画に区画すべく該表面からその厚さ方向の途中までに切り込みを入れたため、食品を収納した袋体を二つの絞り出し部材の間に配して該袋体内の空気を絞り出し排気させる際に、該スポンジ等は、該袋体内の食品に当接する部位が、より一層適切に該食品の外面形状に沿って変形し、該袋体内の空気を残さず絞り出すことが可能になる。すなわち、スポンジ等の当接部位が袋体内の食品に沿って変形する場合に、小区画に区画されたそれぞれの部位の変形が独立したものとなり、変形した一定の部位(一定の小区画)が、その変形によって隣接する他の部位(他の小区画)を引っ張る等によって他の部位(他の小区画)の自由な変形を妨げるようなことがなくなるためである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(a)は実施例1の真空包装用の簡易脱気装置の側面図、(b)は平面図。
【図2】(a)は実施例1の真空包装用の簡易脱気装置の開いた状態の側面図、(b)は開いた状態の平面図。
【図3】(a)は実施例1の真空包装用の簡易脱気装置の閉じた状態の断面図、(b)は開いた状態の断面図。
【図4】(a)は図1(a)のA部の拡大図、(b)は図1(b)のB部の拡大図、(c)は図1(b)のC矢視拡大図、(d)は(a)のD−D線断面図。
【図5】(a)は実施例1の真空包装用の簡易脱気装置を開いて鮭の切り身を入れた袋体をその一方の弾性板上に載せた状態の平面図、(b)はその状態の側面図。
【図6】実施例1の真空包装用の簡易脱気装置を閉じて鮭の切り身を入れた袋体の空気を絞り出した状態の側面図。
【図7】実施例2の真空包装用の簡易脱気装置の正面図。
【図8】実施例2の真空包装用の簡易脱気装置の側面図。
【図9】実施例2の真空包装用の簡易脱気装置の上下の絞り出し部材の断面図。
【図10】(a)は鮭の切り身を入れた袋体を底部側から実施例2の真空包装用の簡易脱気装置の上下の絞り出し部材の間に挿入しようとしている状態を示す断面図、(b)は鮭の切り身を入れた袋体を実施例2の真空包装用の簡易脱気装置の上下の絞り出し部材の間に引き込んだ状態を示す断面図、(c)は鮭の切り身を入れた袋体の大部分を実施例2の真空包装用の簡易脱気装置の上下の絞り出し部材を通過させた状態を示す断面図。
【図11】(a)は実施例3の真空包装用の簡易脱気装置の側面図、(b)は平面図。
【図12】(a)は実施例3の真空包装用の簡易脱気装置の側面図断面図、(b)はその一部の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の真空包装用の簡易脱気装置について、発明を実施するための形態を図面を参照しながら実施例に基づいて説明する。
【0030】
<実施例1>
この実施例1の真空包装用の簡易脱気装置は、図1〜図4に示すように、ヒンジ1で開閉自在に結合した箱状枠体2及び板状枠体3と、該箱状枠体2の内側に配した弾性板4a及び該板状枠体3の該箱状枠体2に絞り出し操作の際に対面することとなる面に配した弾性板4bと、該箱状枠体2の両側前部に配した係合片5、5及び該板状枠体3の両側前部に配した該係合片5、5に着脱自在に係合する装入片6、6とで構成したものである。
【0031】
前記ヒンジ1は、図1(a)、(b)〜図3(a)、(b)に示すように、前記箱状枠体2及び前記板状枠体3の後部間に、それらの後辺に沿って配したヒンジピン1aと、該ヒンジピン1aに回動自在に外装するヒンジ管を備えた複数のヒンジ片1b、1b…とで構成した一般的なものであり、該ヒンジ片1b、1b…は交互に該箱状枠体2の後縁又は該板状枠体3の後縁に固設したものである。また該ヒンジピン1aの一部には、図示しないねじりコイルバネが巻いてあり、該ヒンジ片1b、1b…に、これらが開く方向に付勢されるようにその両端を結合してある。すなわち、前記係合片5、5と装入片6、6とが係合状態にあるか、何らかの外力が加わっていなければ、図2(a)、(b)及び図3(b)に示すように、該箱状枠体2と該板状枠体3とが開いた状態になるように、該ねじりコイルバネを配してあるものである。
【0032】
前記箱状枠体2及び前記板状枠体3は、図1(a)、(b)〜図3(a)、(b)に示すように、前者の箱状枠体2は、四辺形の底板とその四辺に立ち上がる側板とからなる、文字通り箱状の枠体であり、後者の板状枠体3は、該箱状枠体2の底板と同一サイズの四辺形の板材であり、該箱状枠体2の蓋状の部材である。なお、これらは、前記弾性板4a、4bを支持する支持部材であり、この実施例1では、以上のような、箱状枠体2と板状枠体3で構成したが、前記弾性板4a、4bを良好に支持できるものであれば、いずれもが箱状であっても、いずれもが板状であっても不都合ではない。その他の構成であっても採用可能である。
【0033】
前記弾性板4a、4bは、図2(a)、(b)及び図3(a)、(b)に示すように、四辺形の板状の弾性部材である。前者の弾性板4aは、前記箱状枠体2の内部に納まるサイズのそれであり、該箱状枠体2の内底部に接着接合して配し、その上面を、側板の上端面と一致させる。後者の弾性板4bは、前記板状枠体3の内面(該箱状枠体2の弾性板4aと対面する面)に接着接合する。該弾性板4bの厚さは、箱状枠体3に配した弾性板4aと同一とする。またこれらの弾性板4a、4bは、図2(a)、(b)及び図3(a)、(b)に示すように、いずれもその表面から裏面直上まで格子状の切り込み7を入れておくものとする。この切り込み7の深さは、それぞれ裏面側直前までとする。また該切り込み7の縦方向及び横方向に配した相互の間隔は1cm程度とする。この間隔はなるべく狭い方が好ましい。こうして弾性板4a、4bの前面は多数の正方形の区画が縦横に並んだ状態となる。
【0034】
該弾性板4a、4bは、その材質は、自由であるが、果物や魚の切り身のような食品に押し当てた場合に、変形することにより、それらの食品を押し潰すことがない程度の弾力を有するものとする。この実施例1では、弾性板4a、4bとして、内部に気泡を有する弾力性を有するスポンジ状のプラスチック板材を採用したものである。
【0035】
前記係合片5、5は、図2(a)、(b)に示すように、前記箱状枠体2の前部両側に配したものであり、特に図4(a)〜(d)に示すように、中央部に係合孔5a、5aを備えた帯状金属片の両端を該箱状枠体2の前部両側に固設して、上下にU字形の開口部があくように構成したものである。
【0036】
前記装入片6、6は、図2(a)、(b)に示すように、前記板状枠体3の前部両側部に固設した帯状の部材であり、より詳細には、特に図4(a)〜(d)に示すように、その上部を該板状枠体3の前部両側部に固設し、その固設部位の直下を斜め外方に折り曲げた上で、その外端に垂直下方に延長するに垂下部6a、6aを構成した部材である。また該垂下部6a、6aには、その高さ方向途中に外方に直角に突出する係合段差部6b、6bを形成し、更にその前端から斜め内方に傾く摺動部6c、6cを形成してあるものである。
【0037】
なお、該装入片6、6は、前記箱状枠体2と前記板状枠体3をヒンジ1を中心に起伏回動させて、図1(a)、(b)及び図3(a)に示すように、閉じた場合に、該箱状枠体2の両側前部に固設してある前記係合片5、5に上方の開口部から挿入状態となり、図4(a)〜(d)に示すように、前記係合段差部6b、6bが、該係合片5、5の係合孔5a、5aに係合状態となるように、位置関係を設定する。なおまた、該装入片6、6の該係合片5、5への装入途中では、前者の摺動部6c、6cがスライドしつつ進入することになり、進入し切ったところで、上記係合孔5a、5aと係合段差部6b、6bとの係合が完了するようになっている。云うまでもなく、この係合は、前記係合段差部6b、6bを外部から係合孔5a、5aの内側に押し込めば、容易に外れ、該箱状枠体2と該板状枠体3とはヒンジピン1aに配した図示しないねじりコイルバネの作用ですぐに開くことになる。
【0038】
前記係合片5、5及び前記装入片6、6の構成は以上のとおりであり、該装入片6、6は、その作用を実現する都合上、弾力性を有する部材で構成する必要がある。この実施例1では、バネ用の帯状金属で構成したものである。
なお、係合片5、5及び前記装入片6、6は、この実施例1では、以上のように構成したが、同様の作用を果たしうるものであれば、他の構成も自由に採用することができる。
【0039】
従ってこの実施例1の真空包装用の簡易脱気装置によれば、真空包装可能な適当な柔軟性の袋体、例えば、プラスチックフィルム製で、その一端の開口部縁の半分に凹溝を、残りの半分に該凹溝に嵌合する突条を備えた袋体eに真空包装をしようとする食品を装入した上で、該袋体e中の空気のみを絞り出し、その後、該空気を絞り出し除去した袋体eの開口部を、該凹溝に該突条を嵌合させることで閉じ、このような極めて簡単な手順で真空包装操作を完了させることができる。
【0040】
該袋体eに、例えば、鮭の切り身sを二つ入れ、図5(a)、(b)に示すように、開いた状態の真空包装用の簡易脱気装置の箱状枠体2側の弾性板4a上に該切り身s、sを入れた袋体eを載せる。該袋体eは、同図に示すように、その開口部側の一部を、該箱状枠体2の前端から外に出た状態に該弾性板4a上に載せる。次いで、該板状枠体3を前記ヒンジ1のヒンジピン1aを中心に伏回動させ、図6に示すように、該板状枠体3の弾性板4bと該箱状枠体2の弾性板4aとが、部分的に該袋体eをその間に介在させつつ、対面圧接状態になるようにする。
【0041】
このとき、図6に示すように、弾性板4a、4bの弾力により袋体e中に鮭の切り身s、sのある部分では、これらに無用の外力を加えないように変形し、他方、空気のみが入っている部位は適切に押し潰し、内部の空気を開口部側に絞り出し、該袋体e内の切り身s、sのある部位では、その内面と該切り身s、sの外面とが密接状態になり、該切り身s、sの内部では、袋体eの対面する内面相互が密着状態となる。この状態で、該袋体eの開口部の凹溝に突条を嵌合させると、開口部が閉じ、真空包装状態が維持確保されることになる。なお、このとき、板状枠体3の両側前端の装入片6、6と箱状枠体2の両側前端の係合片5、5とが係合して、該板状枠体3と該箱状枠体2との閉じたい状態を維持しているので、袋体eを以上の脱気状態を維持した状態で容易にその開口部を閉じることができる。
【0042】
また以上の袋体e内の空気の絞り出し作用は、箱状枠体2に配した弾性板4a及び板状枠体3に配した弾性板4bの前面側に縦横に切り込み7、7…を入れてあるため、袋体e内に切り身s、sのある部位に接した場合に、該弾性板4a、4bは良好に変形し、該切り身s、sに該袋体eを介して密に接触することができるため、が袋体e内に空間を殆ど残さないようにすることができる。すなわち、該弾性板4a、4bの一定部位が袋体e内の切り身s、sに沿って変形する場合に、切り込み7、7…によって小区画に区画されたそれぞれの部位の変形が相互に独立したものとなり、変形した一定の部位(一定の小区画)が、その変形によって隣接する他の部位(他の小区画)を引っ張る等によって他の部位(他の小区画)の自由な変形を妨げるようなことがなくなるためである。
【0043】
こうしてこの実施例1の真空包装用の簡易脱気装置によれば、袋体e内に殆ど空気を残さずに、該袋体eによる真空包装を簡単な操作でスピーディに作成することができる。またこのとき、袋体eから空気を抜くための開口部の構成が特殊なものである必要はない。すなわち、専用の袋を必要としないで真空包装を行うことができる。
【0044】
<実施例2>
この実施例2の真空包装用の簡易脱気装置は、図7及び図8に示すように、上下に平行に配した二つの回転軸11a、11bと、該回転軸11a、11bの両端をそれぞれ回転自在に支持する枠体12と、上方の回転軸11aの一方の外端に配した回転操作用のハンドル部材13と、前記回転軸11a、11bの該ハンドル部材13と反対側の端部近傍に配した相互にかみ合う歯車部材14a、14bと、該回転軸11a、11bにそれぞれ配した絞り出し部材15a、15bとで構成したものである。
【0045】
前記回転軸11a、11bは、図7及び図8に示すように、断面円形の単なる軸部材であり、後述するように、食品を入れた袋体eの脱気操作を行う際に、これに十分耐えられる強度を有するものである必要があるが、それで十分である。
【0046】
前記枠体12は、上下に平行に配した前記回転軸11a、11bをその両端で回転自在に支持できるものであれば、特定の構成に限定されない。この実施例2では、図7及び図8に示すように、該回転軸11a、11bの両端を支持する一対の主枠12a、12aと、該主枠12a、12aの下端間を連結する下部連結枠12b及び該主枠12a、12aの上端間を連結する上部連結枠12cとで構成したものである。なお、該主枠12a、12aは、特に図8に示すように、下部が拡大させてあり、テーブル上などの平坦な面に安定して配置可能になっている。
【0047】
該枠体12による前記回転軸11a、11bの回転自在な支持は、該枠体12の両側の主枠12a、12aの該当部位に、それぞれ軸受け16、16…を配して、これらにより該回転軸11a、11bの両端を回転自在に支持するようになっている。
【0048】
前記ハンドル部材13は、図7及び図8に示すように、上方の回転軸11aの一方の外端(前記歯車部材14aを配した側と反対側で、主枠12aの外側端)にこれと直交する向きに固設したハンドル片13aと、その外端にこれと直交する向きに回動自在に結合したグリップ部13bとで構成したものである。該グリップ部13bを掴んで回転操作することにより、該回転軸11aを回転操作することができるようになっている。
【0049】
前記歯車部材14a、14bは、図7に示すように、それぞれ前記回転軸11a、11bの前記所定の位置に固設したものであり、同図に示すように、相互にかみ合っており、一方が一定方向に回転すると、他方はそれと逆方向に回転するようになっている。すなわち、前記ハンドル部材13の操作によって、該回転軸11aが一定方向に回転すると、歯車部材14aも同方向に回転し、これとかみ合う他方の歯車部材14bは逆向きに回転し、これにともなって、これを固設した回転軸11bが同方向に回転することになる。
【0050】
前記絞り出し部材15a、15bは、図7〜図9に示すように、前記回転軸11a、11bの外端近傍に固設した円板部材15a1、15a1、15b1、15b1と、両端の円板部材15a1、15a1、15b1、15b1の周端に両端内周を固設した弾性フィルム製の円筒袋(袋状部材)15a2、15b2と、該円筒袋15a2、15b2、両端の前記円板部材15a1、15a1、15b1、15b1及び軸心の回転軸11a、11bに囲まれた空間内に充填した液体15a3、15b3とで構成したものである。
【0051】
前記円板部材15a1、15a1、15b1、15b1は、前記回転軸11a、11bに軸心を一致させて取り付ける。またそれらの外径は、図7〜図9に示すように、前記円筒袋15a2、15b2の端部をそれぞれ外装固定した状態で、該円板部材15a1、15a1と該円板部材15b1、15b1の周端とが該円筒袋15a2、15b2を介して当接するように設定する。
【0052】
該円筒袋(袋状部材)15a2、15b2は、前記したように、十分な弾力性を有するフィルム材で構成する。その材質は特定のそれに限定されない。
【0053】
前記液体15a3、15b3も十分な流動性を有し、毒性のない成分からなるものであれば、特定のそれに限定されない。この実施例2では、水を用いた。
【0054】
従ってこの実施例2の真空包装用の簡易脱気装置によれば、実施例1の場合と同様に二つの鮭の切り身s、sを収納した袋体eを真空包装処理する場合は、該袋体eを、前記上下の二つの回転軸11a、11bに外装した絞り出し部材15a、15bの間に底部側から装入し(図10(a))、前記ハンドル部材13を左回り操作して(図8中で)、上方の回転軸11a及び絞り出し部材15aを同方向に回転させ、これに伴って下方の回転軸11b及び絞り出し部材15bを右回り回転させ、該袋体eをその間に引き込み、更にその底部側を反対側に移動させる(図10(b))。
【0055】
このような上方の回転軸11a及び絞り出し部材15aの逆回転(図8中で)に伴う下方の回転軸11b及び絞り出し部材15bの正回転(図8中で)は、前記したように、相互にかみ合う前記歯車部材14a、14bによってそのようになるようになっている。
【0056】
こうして該袋体eを、これに収納している鮭の切り身s、sを除いて押し潰し、その内部の空気を該袋体eの開口部側に絞り出し移動させる(図10(c))。絞り出し部材15a、15bは、前記円板部材15a1、15a1、15b1、15b1と、弾性フィルム製の円筒袋15a2、15b2と、それらの内部空間に充填した液体15a3、15b3とで構成し、相互の円筒袋15a2、15b2が密に接触するように配してあるため、その間に装入された袋体eは、該円筒袋15a2、15b2がその弾力で変形し、内部の液体15a3、15b3を移動させることにより、該袋体e内部の食品を変形させず、他方、該袋体eの何も入っていない部分は良好に押し潰すことができることになる。
【0057】
該袋体eが該二つの絞り出し部材15a、15bの間を通過した直後(図10(c))、または可能な場合は、殆ど該袋体eの開口部のみが該二つの絞り出し部材15a、15bの間を通過せずに残っている段階で、該袋体eの開口部を閉塞する。この実施例2では、実施例1と同様に、該袋体eの開口部の凹溝に突条を嵌合させることで、該開口部を閉じることができる。
【0058】
こうしてこの実施例2の真空包装用の簡易脱気装置によれば、容易かつ確実に、鮭の切り身s、sを収納した袋体eから空気を排出させ、その真空包装を行うことができる。その他の食品の真空包装を行うことができるのは云うまでもない。また実施例1と同様に、袋体に空気を抜くための特定の構成を持った開口部を必要としない。すなわち、専用の袋を必要としないものである。
【0059】
<実施例3>
この実施例3の真空包装用の簡易脱気装置は、図11(a)、(b)に示すように、箱状枠体21と、該箱状枠体21の内側に配した弾性板22と、該箱状枠体21及びその弾性板22の上に往復転動自在に配した回転軸23と、該回転軸23に外装状態に配した絞り出し部材24と、前記箱状枠体21の両側及び該回転軸23の両側に配した該回転軸23のための往復転動機構25と、該回転軸23を回転操作するハンドル部材(回転操作手段)26とで構成したものである。
【0060】
前記箱状枠体21は、図11(a)、(b)及び図12(a)、(b)に示すように、四辺形の底板とその四辺に立ち上がる側板とからなる、文字通り箱状の枠体であり、その両側部には、前記したように、前記往復転動機構25の一部の要素が構成してある。なお、この箱状枠体21は、前記弾性板22を支持する支持部材である。
【0061】
前記弾性板22は、図11(b)及び図12(a)に示すように、四辺形の板状の弾性部材である。前記箱状枠体21の内部に納まるサイズのそれであり、該箱状枠体21の内底部に接着接合して配し、その上面を、側板の上端面と一致させる。またこの弾性板22は、図11(b)及び図12(a)、(b)に示すように、その表面から裏面直上まで格子状の切り込み27、27…を入れておくものとする。この切り込み27の深さは、それぞれ裏面側直前までとする。また該切り込み27の縦方向及び横方向に配した相互の間隔は1cm程度とする。この間隔はなるべく狭い方が好ましい。こうして弾性板22の上面は多数の正方形の区画が縦横に並んだ状態となる。
【0062】
該弾性板22は、その材質は、自由であるが、果物や魚の切り身のような食品に押し当てた場合に、変形することにより、それらの食品を押し潰すことがない程度の弾力を有するものとする。この実施例3では、実施例1のそれと同様に、内部に気泡を有する弾力性を有するスポンジ状のプラスチック板材を採用したものである。
【0063】
前記回転軸23は、図11(a)、(b)及び図12(a)、(b)に示すように、断面円形の単なる軸部材であり、後述するように、食品を入れた袋体の脱気操作を行う際に、これに十分耐えられる強度を有するものである必要があるが、それで十分である。また、この回転軸23の両側部にも、前記したように、前記往復転動機構25の一部の要素が構成してある。なお、この回転軸23は、前記絞り出し部材24を支持する支持部材である。
【0064】
前記絞り出し部材24は、図11(b)及び図12(a)、(b)に示すように、前記回転軸23の両端近傍(前記往復転動機構25の内側)に固設した円板部材23a1、23a1と、両端の円板部材23a1、23a1の周端に両端内周を固設した弾性フィルム製の円筒袋(袋状部材)23a2と、該円筒袋23a2、両端の前記円板部材23a1、23a1及び軸心の回転軸23に囲まれた空間内に充填した液体23a3とで構成したものである。
【0065】
前記円板部材23a1、23a1は、前記回転軸23に軸心を一致させて取り付ける。またその外径は、図11(a)、(b)に示すように、前記円筒袋23a2の端部をそれぞれ外装固定した状態で、該円板部材23a1、23a1の周端が該円筒袋23a2、23a2を介して前記箱状枠体21の弾性板22の上面に当接するように設定する。
【0066】
該円筒袋(袋状部材)23a2は、前記したように、十分な弾力性を有するフィルム材で構成する。その材質は特定のそれに限定されない。前記液体23a3も十分な流動性を有し、毒性のない成分からなるものであれば、特定のそれに限定されない。この実施例3では、実施例2のそれと同様に、水を用いた。
【0067】
前記往復転動機構25は、図11(a)、(b)及び図12(a)、(b)に示すように、前記箱状枠体21の両側の幅広の側板に立ち上げ状態に固設した規制棒25a、25aと、両側の幅広の側板の外部に固設したラック25b、25bと、前記回転軸23の両端に延長状態に構成した大径の被拘束部23b、23bと、該被拘束部23b、23bの更に外部に固設したピニオン23c、23cとで構成したものである。
【0068】
前記規制棒25a、25aは、図11(a)及び図12(a)、(b)に示すように、逆U字形に立ち上げた棒材であり、その水平部で、図11(a)、(b)及び図12(a)、(b)に示すように、前記回転軸23の被拘束部23b、23bの上側を抑え、該回転軸23を、その円筒袋23a2の外周が前記箱状枠体21の弾性板22の上面に密接した状態で、前端と後端との間を往復可能な状態に規制するものである。
【0069】
前記ラック25b、25bは、同図に示すように、前記回転軸23の両端のピニオン23c、23cとかみ合い、前記ハンドル部材26の操作によるピニオン23c、23cの回転により、該回転軸23に、該ラック25b、25bに沿って前記箱状枠体21の弾性板22上を往復移動動作させるべく作用するものである。
【0070】
前記ハンドル部材26は、図11(a)、(b)に示すように、前記回転軸23の一端のピニオン23cの外側にこれと直交する向きに固設したハンドル片26aと、その外端にこれと直交する向きに回動自在に結合したグリップ部26bとで構成したものである。該グリップ部26bを掴んで回転操作することにより、該ピニオン23cを介して回転操作することができるようになっている。
【0071】
前記のように、該ハンドル部材26の操作によって、ピニオン23c、23cが一定方向に回転すると、該ピニオン23c、23cは、ラック25b、25bに沿って、その方向に移動することになる。
【0072】
従ってこの実施例3の真空包装用の簡易脱気装置によれば、実施例1及び2で用いたのと同様の柔軟性の袋体にその開口部から真空包装をしようとする食品、例えば、魚の切り身や、肉類又は果物等を装入した上で、該袋体を、箱状枠体21の絞り出し部材である弾性板22上に載せ、前記ハンドル部材26で前記回転軸23を回転操作することで、該回転軸23を該袋体側に転動移動させ、該袋体の内部の食品の形状を保持しながらその周囲を押し潰し、内部の空気を開口部から排出させ、脱気動作を行うことができる。そして該回転軸23を該袋体の開口部の直前まで移動させたところで、該袋体の開口部を閉じた上で、該回転軸23を更に前進又は後退させ、該袋体の上から退避させれば、該該袋体に挿入し食品の真空包装は完了である。
【0073】
以上において、箱状枠体21の弾性板23上に載せる袋体は、その底部側を、退避位置にある回転軸23、すなわち、図11(a)、(b)中の右端の位置にある回転軸23側に向けて配置し、該退避位置から転動移動してくる回転軸23によって、その内部の空気の開口部を通じての絞り出し作用を行いうるようにする。
【0074】
また袋体内の空気の絞り出し作用は実施例1及び2の場合と基本的に同様に行われる。すなわち、食品を装入した袋体は、前記箱状枠体21の弾性板22上に配置されると、該弾性板22とその上を転動移動してくる回転軸23の絞り出し部材24とで挟持される状態となる。弾性板22及び絞り出し部材24の弾力性を適切に設定しておくことにより、これらで挟持されても、袋体内部の食品は押し潰されることなく、その周囲の空間のみが押し潰されることになり、これによってその空間に存在した空気が開口部を通じて外部に絞り出されることになる。弾性板22は、実施例1で述べた弾性板4a、4bと同様に作用し、絞り出し部材24は、実施例2の15a、15bと同様に作用する。
【0075】
こうしてこの実施例3の真空包装用の簡易脱気装置によれば、袋体内に殆ど空気を残さずに、該袋体による真空包装を簡単な操作でスピーディに作成することができる。またこのとき、袋体から空気を抜くための開口部の構成が特殊なものである必要はない。すなわち、専用の袋を必要としないで真空包装を行うことができる。
【符号の説明】
【0076】
1 ヒンジ
1a ヒンジピン
1b ヒンジ片
2 箱状枠体
3 板状枠体
4a 箱状枠体の弾性板
4b 板状枠体の弾性板
5 係合片
5a 係合孔
6 装入片
6a 垂下部
6b 係合段差部
6c 摺動部
7 切り込み
11a 上方の回転軸
11b 下方の回転軸
12 枠体
12a 主枠
12b 下部連結枠
12c 上部連結枠
13 ハンドル部材
13a ハンドル片
13b グリップ部
14a、14b 歯車部材
15a、15b 絞り出し部材
15a1、15b1 円板部材
15a2、15b2 円筒袋(袋状部材)
15a3、15b3 液体
16 軸受け
21 箱状枠体
22 弾性板
23 回転軸
23a1 円板部材
23a2 円筒袋(袋状部材)
23a3 液体
23b 被拘束部
23c ピニオン
24 絞り出し部材
25 往復転動機構
25a 規制棒
25b ラック
26 ハンドル部材(回転操作手段)
26a ハンドル片
26b グリップ部
27 切り込み
e 袋体
s 鮭の切り身

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉塞可能な開口部を有する、食品を収納した柔軟性の袋体を、その両側から挟んで、該食品の形状をそのまま保持しつつ該食品以外の部分を潰して内部の空気を絞り出すべく構成した二つの可変形性の絞り出し部材と、該絞り出し部材を支持する支持部材とで構成した真空包装用の簡易脱気装置。
【請求項2】
前記支持部材を、
ヒンジで結合した箱状枠体及びその蓋に相当する板状枠体と、
該箱状枠体及び板状枠体を、その間に食品を収納した袋体の開口部を除いて装入して挟んだ際に、一時的にその状態を保持する挟み状態保持手段と、
で構成し、
前記可変形性の絞り出し部材を、
該箱状枠体及び該板状枠体の相互に対面する部位にそれぞれ配した弾性部材で構成した請求項1の真空包装用の簡易脱気装置。
【請求項3】
前記支持部材を、
二つの平行な回転軸と、
該二つの回転軸を回転自在に支持する枠体と、
該回転軸を回転駆動する回転駆動手段又は回転操作手段と、
で構成し、
前記可変形成の絞り出し部材を、
該二つの回転軸に外装した弾性部材であって、相互にその周面が密に接触する弾性部材で構成した請求項1の真空包装用の簡易脱気装置。
【請求項4】
前記支持部材を、
箱状枠体及び該箱状枠体上に往復転動自在に配した回転軸と、
該回転軸を該箱状枠体上で往復転動動作させるべく回転駆動する回転駆動手段又は回転操作手段と、
で構成し、
前記可変形性の絞り出し部材を、
該箱状枠体に上面が該箱状枠体の上端と一致するように配した板状外観の弾性部材と、
該回転軸に外装した弾性部材であって、該箱状枠体に配した弾性部材の上面に周面が密に接触するように径を設定した弾性部材と
で構成した請求項1の真空包装用の簡易脱気装置。
【請求項5】
前記弾性部材を、スポンジ、ゴム又は合成ゴム、若しくは弾性の袋状部材に収納した液体又はジェル剤で構成した請求項2、3又は4の真空包装用の簡易脱気装置。
【請求項6】
前記弾性部材として、複数の小区画に区画すべくその表面から厚さ方向の途中までに切り込みを入れた板状のスポンジ、ゴム又は合成ゴムを採用した請求項2の真空包装用の簡易脱気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−254799(P2012−254799A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127254(P2011−127254)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(500302242)
【Fターム(参考)】