説明

真空式排水システム

【課題】負圧源にのみ電気設備を設ければ、各集水凹部毎に電気設備を設ける必要がなく、排水パイプ(管路)の勾配管理の必要もなく、施工が容易な真空式排水システムを提供すること。
【解決手段】地下構造物(共同溝10)の空間10d内に排水パイプ18が配設され、前記排水パイプ18内の水が大気圧と負圧との圧力差により収集されるようにしている。しかも、前記空間10dの底部10eに集水凹部17が形成され、前記排水パイプ18が前記底部10eに沿って配設されていると共に、前記排水パイプ18に所定間隔毎に水平部19aから上り傾斜部19b,水平部19c,下がり傾斜部19c,水平部19dと続く流体滞留部19が設けられ、下端を前記集水凹部17内に配設した吸水パイプ33が真空弁ユニット32を介して前記排水パイプ18に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、共同構等の地下構造物内に浸入する水を大気圧と負圧源との圧力差を利用して収集するようにした真空式排水システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電力管・水道管・ガス管を布設する共同溝や、地下鉄、トンネル等、地下構造物は地下に設けられるため、降雨時のマンホール蓋からの浸入水、地下水からの浸入水に対し、排水設備(排水システム)を設ける必要がある。しかも、従来の排水方法としては、圧送ポンプ設置による圧力式搬送方式を用いることが一般的である。
【0003】
図6は、地下構造物として地中1に設けられた共同溝2と、共同溝2内に浸入する浸入水の排水設備の一例を示したものである。この図6において、地中1には、配線・配管作業やメンテナンス等のために、共同溝2の天井面2aと地面1aとに開口する縦孔3を設けている。尚、この縦孔3は、共同溝2の長手方向に所定間隔で地中1に設けられている。
【0004】
この共同溝2における排水設備としては、縦孔3の真下に位置させて共同溝2の底部2bに集水凹部(排水収集部)4を設け、底部2bに沿って排水パイプ5を配設すると共に、圧送ポンプ6の吸込口を集水凹部4の底部内に配設し且つ圧送ポンプ6の吐出口を排水パイプ5に接続した構成が採用されている。
【0005】
しかも、この排水設備では、集水凹部4内に集水される浸入水の水位を水位センサ(図示せず)で検出して圧送ポンプ6を作動させるようになっている。これにより、圧送ポンプ6は、集水凹部4内への浸入水が水位センサで検出されると作動して、集水凹部4内の浸入水を汲み上げて排水パイプ5に吐出させ、排水パイプ5を介して排水場所まで圧送するようになっている。
【0006】
このような圧力式搬送方式では、集水凹部4毎に圧送ポンプ6を設置するため、共同溝2内の多数の圧送ポンプ6毎(集水凹部4毎)に電気設備、即ち制御盤の設置が必要であるという問題があった。
【0007】
この問題を解決するものとしては、真空式搬送方式を用いることも考えられる。例えば、図7に示したように、集水凹部4内に真空弁ユニット7の吸込口(図示せず)を配設し、この真空弁ユニット7の流出側(吐出側)を排水パイプ5に接続すると共に、排水パイプ5に吸引負圧を作用させる真空ステーション(図示せず)を設けた構成とすることもできる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−144868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような真空式搬送方式では、排水パイプ(配管)5にリフト部5aを設けて、一定の下り勾配部5bを設ける必要があり、勾配管理(管台等の設置)に時間を要するものであった。また、共同溝2の高さに制限があるため、必要な高さのリフト部5aを確保できない場合もあった。
【0009】
そこで、この発明は、負圧源にのみ電気設備を設ければ、各集水凹部毎に電気設備を設ける必要がなく、排水パイプ(管路)の勾配管理の必要もなく、施工が容易な真空式排水システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため、この発明は、地下構造物の空間内に排水パイプが配設され、前記排水パイプ内の水が大気圧と負圧との圧力差により収集されるようにした真空式排水システムであって、前記空間の底部に集水凹部が形成され、前記排水パイプが前記底部に沿って配設されていると共に、前記排水パイプに所定間隔毎に水平部から上り傾斜部,水平部,下がり傾斜部,水平部と続く流体滞留部が設けられ、下端を前記集水凹部内に配設した吸水パイプが真空弁ユニットを介して前記排水パイプに接続されている真空式排水システムとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この構成によれば、負圧源にのみ電気設備を設ければ良いので、各集水凹部毎に電気設備を設ける必要がない。しかも、排水パイプ(管路)を地下構造物の空間底部に沿って配設するのみで、排水パイプ(管路)に一定の勾配を設ける必要がないので、勾配管理の必要がない。この結果、施工が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。
[構成]
図1は、共同溝10を地下構造物の一例として示したものである。この共同溝10は、地中11の所定深さの部分に設けられている。
【0013】
しかも、図2に示したように、共同溝10の側壁10a,10bには、配線や配管のための複数の棚12が多段に固定されている。尚、図示の便宜上、図1では棚12の図示は省略している。
【0014】
そして、各棚12には、一例として複数の電気ケーブル13aを挿通した電力管13や、複数の通信ケーブル14aを挿通した信号管14が配管支持されている。尚、図示は省略したが棚12には電力管13や信号管14以外に、水道管やガス管等も配管支持される。
【0015】
しかも、地中11には、配線・配管作業やメンテナンス等のために、共同溝10の天井面10cと地面11aとに開口する縦孔15が設けられている。尚、この縦孔15は、共同溝10の長手方向に所定間隔で地中11に設けられている。しかも、図示は省略したが縦孔15の上部開口端はマンホール蓋等の蓋体で開閉可能に設けられる。
【0016】
また、共同溝(地下構造物)10は空間(地下空間)10dを有し、空間10dの底部10eには図2に示したように左右方向中央に向けて傾斜させられた傾斜ガイド面10e1,10e1が設けられている。そして、傾斜ガイド面10e1,10e1を有する底部10eは例えば多孔金属板製のカバー板(底板)Mpでカバーされている。このカバー板Mpは図2においては略水平に設けられている。
【0017】
更に、空間(地下空間)10d内には、降雨時のマンホール蓋(図示せず)からの浸入水、地下水の浸入水に対し、排水設備(排水システム)16が設けられている。この排水設備16は、縦孔15の真下に位置させて共同溝10の底部10eに設けた集水凹部(排水収集部)17と、底部10eに沿って多孔金属板Mp上に配設された排水パイプ18を有する。
<負圧源>
また、図1中、排水パイプ18の右端には、図示しない負圧ポンプ等の負圧源からの吸込負圧が集水タンク等の集水部(図示せず)を介して作用するようになっている。この吸込負圧は、排水パイプ18内に吸い込まれる浸入水や空気等の流体がある場合に、排水パイプ18の左側から右側への流体の流れを生じさせるようになっている。従って、排水パイプ18の左端側が流体の流れの上流端となる。尚、負圧ポンプ等の負圧源は、排水パイプ18内が所定以上の吸込負圧になると、作動を停止するようになっている。この構成にするには、負圧ポンプ等の負圧源の吸込側の圧力を図示しない圧力センサで検出して、この吸込側の吸込負圧が所定値以上になったときに、負圧源の作動を停止するような制御回路を設けておけばよい。
<流体滞留部19>
この排水パイプ18には、図1,図3に示したように、長手方向に所定間隔毎に上方に立ち上がって同じ高さまで立ち下がる流体滞留部19が設けられている。この流体滞留部19は、上流側の水平部19aから上り傾斜部19b、水平部19c、下り傾斜部19d、及び下流側の水平部19e(水平部19aと同じ高さ)へと続く配管路を有している。このうち、前記水平部19cの底部19fは、排水パイプ18の上壁部18aよりも、一定高さh1高い位置となるように構成されており、h1をゼロに設計することが静的なリフト損失が最小となり好ましい(これを「ゼロリフト」という)。図1は流体滞留部19が「ゼロリフト」の場合を示している。
【0018】
そして、図1に示したように、複数の流体滞留部19の内、矢印A1で示した流体滞留部19が排水パイプ18の上流端部に最も近い位置に配置されている。この矢印A1で示した流体滞留部19の上流側にはJ字状パイプ部材20が配設されている。
【0019】
このJ字状パイプ部材20は、図3に示したように上下に延びる主パイプ部20aと、主パイプ部20aの下端部に上方に向けて連設した下パイプ部20bを有する。この下パイプ部20bの上端が図1の矢印A1で示した流体滞留部19の上流側の水平部19aの底部に接続されている。
<自動吸気弁21>
また、主パイプ部20aの上端部上には吸気装置としての自動吸気弁21が配設されている。この自動吸気弁21は、排水パイプ18内の真空度が、所定値以下に低下した際に、大気を排水パイプ18内へ導入するのに用いられる。以下、この自動吸気弁21の構造を詳説する。
【0020】
図4に示すように、この自動吸気弁21は、弁箱24と、この弁箱24内に摺動自在に収納される弁体25と、弁箱24に取り付けられたキャップ体26と、この弁箱24とキャップ体26との間に周縁部が水密に挟持されたダイヤフラム27を有している。尚、弁体25は、図4中、ダイヤフラム27の上方に配設した有底筒状の上側弁体25aと、ダイヤフラム27の下方に配設した下側弁体25bを有する。
【0021】
この弁箱24には、接続口部24a,24bが設けられている。そして、上流側の接続口部24aには、空気導入管23の端部が固定リング部材(固定ナット)23aを介して接続固定され、下流側の接続口部24bには上述したJ字状パイプ部材20の主パイプ部20aが固定リング部材(固定ナット)20cを介して接続固定されている。しかも、接続口部24aの端面と空気導入管23の端部との間には止水リング部材23dが介在され、主パイプ部20aの端面と接続口部24bの端面との間には止水リング部材20dが介装されている。
【0022】
また、弁箱24内には略円形状の弁体収納凹部(弁体収納空間)24cが設けられていて、この弁体収納凹部24c内には弁体25の下側弁体25bが同心に配設されている。しかも、弁箱24には、接続口部24aを有する上流側隔室24dと、接続口部24bを有する下流側隔室24gが設けられている。
【0023】
この上流側隔室24dと下流側隔室24gは、弁体収納凹部24cの中心線(弁体25の軸線)と直交している。しかも、上流側隔室24dと下流側隔室24gは互いに区画されている。
【0024】
また、弁体収納凹部24cと上流側隔室24dとを区画する壁部には円形の流入孔部24eが形成されていて、弁体収納凹部24cと上流側隔室24dとは円形の流入孔部24eを介して連通可能に設けられている。また、下流側隔室24gは弁体収納凹部24cに上流端が連通している。
【0025】
更に、キャップ体26の頭頂部には、内面に雌ネジが設けられた筒状の螺合部材(雌ネジ部材)26aが弁体25の軸線と同心に固定されている。この螺合部材26aに形成された雌ネジ部には、弁体25の開閉のタイミングを調整する調整ボルト部材28の上部側のネジ部28aが螺合されている。これにより、調整ボルト部材28の軸線と弁体25の軸線が同心に設けられている。尚、28bは、調整ボルト部材28の下部側の軸部である。
【0026】
また、キャップ体26内には有底筒状の上側弁体25aが同心に配設されている。そして、この調整ボルト部材28は下部側の軸部28bが上側弁体25a内に上方から同心に挿入配設されている。しかも、この調整ボルト部材28の下端には支持鍔部材25cが固着されている。この支持鍔部材25cは、調整ボルト部材28の螺合量の変更により、軸方向に移動調整可能になっている。
【0027】
更に、上側弁体25aの上端部内には鍔状部材25dが配設されていると共に、鍔状部材25dは上側弁体25aの上端部内に設けられる図示しないクリップ等で上方に抜け外れ不能になっている。しかも、調整ボルト部材28の軸部28bは鍔状部材25dを摺動自在に貫通している。そして、支持鍔部材25cと鍔状部材25dとの間にスプリング部材29が介装されている。これにより、上側弁体25aがスプリング部材29のバネ力(付勢力)により上方へ向けて付勢されている。
【0028】
この上側弁体25a内には、固定用弁棒部材(固定ボルト)31の頭部31aが配設されている。この固定用弁棒部材31は、上側弁体25aの底壁25a1及びダイヤフラム27の中央を貫通していると共に、下側弁体25bを貫通するように下側弁体25bに螺着されている。そして、この上側弁体25aの底壁25a1及びダイヤフラム27の中央部が頭部31aと下側弁体25bとの間に挟持されている。
【0029】
また、この下側弁体25bの下方には、テーパ状シール面部30aを有するガイド体30が配設されている。このガイド体30は、固定用弁棒部材31の下端部に螺着されていると共に、下側弁体25bに対して締め付けられている。
【0030】
このようにして、ガイド体30は、上側弁体25a,ダイヤフラム27,下側弁体25bと共に、固定用弁棒部材31によって共締めされて固定されている。
【0031】
このうち、ダイヤフラム27は、弾性変形可能な熱可塑性エラストマー等によって構成されている。
【0032】
このような自動吸気弁21は、図3に示したように上流側の接続口部24aを上側にし、下流側の接続口部24bを下方にして配置されている。しかも、下流側隔室24gが、J字状パイプ部材20を介して図1の矢印A1で示した流体滞留部19の水平部19aに図3のように接続されている。
<真空弁ユニット32>
また、上述した各集水凹部17内には、図1に示したような真空弁ユニット32がそれぞれ配設されている。この真空弁ユニット32は、図2に示したように、集水凹部17内に配設した支持枠21上に保持されている。
【0033】
この真空弁ユニット32は、吸込側に設けられ且つ下端吸込口33aを集水凹部17の底部近傍まで配設した吸込パイプ33と、真空弁本体32aの吐出側に設けられ且つ排水パイプ18に接続した吐出パイプ34を備えている。
【0034】
また、真空弁ユニット32は水位検知パイプ35を有する。この水位検知パイプ35は、集水凹部17内に集水される浸入水36の水面36aの高さによる圧力を検出して、水面36aの高さが所定水位になったときに、真空弁本体32aの上部のコントローラの制御によって真空弁ユニット32は、開弁して、吸込パイプ33と吐出パイプ34を連通させるようになっている。
【0035】
このような真空弁ユニット32には周知の構造を採用できるので、その詳細な構造の説明は省略する。
[作用]
次に、このような構成の共同溝10及び排水設備16の作用を説明する。
【0036】
このような構成においては、図1の排水パイプ18の右端に図示しない負圧ポンプ等の負圧源からの所定の吸込負圧が作用させられている。この状態で、排水パイプ18内に浸入水36が殆どない場合、図3の複数の流体滞留部19及び排水パイプ18側からの吸込負圧が弁体収納凹部24cに作用する。
【0037】
これにより、この吸込負圧は、ダイヤフラム27をスプリング部材29の付勢力に抗して図4中下方に向けて(図3では左方に向けて)移動させる。これにより、弁体25もダイヤフラム27と一体に同方向に移動させられて、弁体25のテーパ状シール面部30aが流入孔部24eの周縁部24fを閉塞する。そして、負圧ポンプ等の負圧源は、排水パイプ18内が所定の吸込負圧になると、作動を停止する。
【0038】
一方、降雨時には、縦孔15のマンホール蓋(図示せず)から雨水が浸入水として共同溝10の空間(地下空間)10d内に流入する。また、地下水から空間10d内に浸入する浸入水等も考えられる。このような浸入水は、多孔金属板製のカバー板Mpを透過して空間10dの底部10eに流れた後、この底部10eに設けた傾斜ガイド面10e1,10e1に沿って底部10e幅方向中央部に流れ、最終的には縦孔15の真下の集水凹部17に流れて集水される。
【0039】
そして、集水凹部17内に集水された浸入水36の水面36aが所定水位になると、真空弁ユニット32の水位検知パイプ35が浸入水36の水面36aを検出し、チューブ37を介して真空弁ユニット32に送信する。これにより真空弁ユニット32は、開弁して吸込パイプ33と吐出パイプ34を連通させる。
【0040】
この吸込パイプ33及び吐出パイプ34には排水パイプ18からの吸込負圧が作用している一方、水面36aには大気圧が作用しているので、真空弁本体32aが開弁して吸込パイプ33と吐出パイプ34が連通すると、吸込負圧と大気圧との差圧により集水凹部17内の浸入水36が吸込パイプ33及び吐出パイプ34を介して排水パイプ18に吸い込まれる。この吸い込まれた浸入水36は、排水パイプ18内を図示しない負圧源側に流れて、排水タンク(図示せず)等の集水部に集水された後、排水される。
【0041】
このような動作に伴い、図3に示すように、排水パイプ18の流体滞留部19の水頭h1が上昇して、流体滞留部19の水平部19a内が浸入水(流体)36で満たされると、排水パイプ18側からの負圧が、この弁体収納凹部24cに到達せずに、スプリング部材29の付勢力によって、ダイヤフラム27が、図4中上方に向けて(図3では右方に向けて)移動する。
【0042】
このため、テーパ状シール面部30aと、流入孔部24eの周縁部24fとの間に、大気を通過させる隙間が形成されて、上流側隔室24dから弁体収納凹部24c方向へ向けて、気液混相流を形成する空気が導かれる。
【0043】
このため、図1の矢印A1で示した自動吸気弁21に最も近い流体滞留部19において、流体滞留部19の上流側の水平部19aの上り傾斜部19bの上流側に位置する浸入水36が滞留すると、この部分の真空度は低下するので、自動吸気弁21が確実に開放される。
【0044】
これにより、真空ポンプ(図示せず)等の負圧源の吸込側の負圧が低下するので、真空ポンプ(図示せず)等の負圧源が作動して、負圧源からの吸込負圧を集水タンク(図示せず)等の集水部を介して排水パイプ18に作用させることになる。このような負圧源、自動吸気弁21,真空弁ユニット32の動作の繰り返しにより、集水凹部17内に流れ込む浸入水36を排水することができる。
【0045】
以上説明したように、この発明の実施の形態の真空式排水システムでは、地下構造物(共同溝10)の空間10d内に排水パイプ18が配設され、前記排水パイプ18内の水が大気圧と負圧との圧力差により収集されるようにしている。しかも、前記空間10dの底部10eに集水凹部17が形成され、前記排水パイプ18が前記底部10eに沿って配設されていると共に、前記排水パイプ18に所定間隔毎に水平部19aから上り傾斜部19b,水平部19c,下がり傾斜部19d,水平部19eと続く流体滞留部19が設けられ、下端を前記集水凹部17内に配設した吸水パイプ33が真空弁ユニット32を介して前記排水パイプ18に接続されている。
【0046】
この構成によれば、負圧源にのみ電気設備を設ければ良いので、各集水凹部17毎に電気設備を設ける必要がない。しかも、排水パイプ(管路)18を地下構造物の空間底部に沿って配設するのみで、排水パイプ(管路)18に一定の勾配を設ける必要がないので、勾配管理の必要がない。この結果、施工が容易となる。
【0047】
また、この発明の実施の形態の真空式排水システムにおいては、前記排水パイプ部の真空度が所定以下に低下した際に、大気を排水パイプ内へ導入する自動吸気弁が設けられている。
【0048】
この構成によれば、流体滞留部19の上流側の水平部19aの上り傾斜部19bの上流側に位置する浸入水36が滞留すると、この部分の真空度は低下するので、自動吸気弁21が確実に開放されて、真空ポンプ(図示せず)等の負圧源の吸込側の負圧が低下するので、真空ポンプ(図示せず)等の負圧源が作動して、負圧源からの吸込負圧を排水パイプ18に作用させることになる。このような負圧源、自動吸気弁21,真空弁ユニット32の動作の繰り返しにより、集水凹部17内に流れ込む浸入水36を排水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1はこの発明に係る真空式排水システムを共同溝に適用した例を示す概略断面図である。
【図2】図1のB−B線に沿う詳細断面図である。
【図3】図1の自動吸気弁と排水パイプとの関係を示す縦断面図である。
【図4】図1の自動吸気弁の断面図である。
【図5】図4の自動吸気弁の作用説明図である。
【図6】従来の圧送式排水システムを共同溝に適用した例を示す概略断面図である。
【図7】従来の真空式排水システムを共同溝に適用した例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0050】
10・・・共同溝(地下構造物)
10d・・・空間(地下空間)
10e・・・底部
17・・・集水凹部
18・・・排水パイプ
19・・・流体滞留部
19a・・・水平部
19b・・・上り傾斜部
19c・・・水平部
19d・・・下がり傾斜部
19e・・・水平部
32・・・真空弁ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下構造物の空間内に排水パイプが配設され、前記排水パイプ内の水が大気圧と負圧との圧力差により収集されるようにした真空式排水システムであって、
前記空間の底部に集水凹部が形成され、前記排水パイプが前記底部に沿って配設されていると共に、前記排水パイプに所定間隔毎に水平部から上り傾斜部,水平部,下がり傾斜部,水平部と続く流体滞留部が設けられ、下端を前記集水凹部内に配設した吸水パイプが真空弁ユニットを介して前記排水パイプに接続されていることを特徴とする真空式排水システム。
【請求項2】
請求項1の真空式排水システムにおいて、前記排水パイプ部の真空度が所定以下に低下した際に、大気を排水パイプ内へ導入する自動吸気弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の真空式排水システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−121253(P2008−121253A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305146(P2006−305146)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】