説明

真空蒸着方法及び真空蒸着装置

【課題】高真空環境下で被成膜物の複数面に、また任意面のみ厚い膜を成膜する場合の大気開放あるいは真空引きといった真空装置特有の非常に時間がかかるを必要しない装置を提供する。
【解決手段】本真空蒸着装置は、第一自転機構9と第二自転機構13の2台の自転機構を有し、前記第一自転機構9は公転機構による公転中に第一自転ギヤ6の歯間角度に応じた一定の角度ステップで自転を行う機構であり、第二自転機構13は第一自転ギヤ6に対して一歯を欠いた第二自転ギヤ10を用い、歯間角度に応じた角度ステップで自転を行い、第二自転ギヤ10一歯欠けた位置において被成膜物を蒸発源2に対して対向させる機構を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被成膜物が立体物であり、その主面及び側面に密着性の良い蒸着膜を成膜し、なおかつ任意面の膜厚を他の面に比べて厚くすることを真空槽の大気開放を行うことなく実施することが可能な真空蒸着方法および真空蒸着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
真空蒸着法は、真空中で薄膜を成す物質を加熱・蒸発させ、その蒸気を任意の基板上に付着・堆積させて薄膜を作り出す方法であり、比較的簡便に薄膜を成膜する事ができる方法であることから、広く使われている成膜方法である。この真空蒸着法ではプラネタリ型と呼ばれる図9に示すような構造が多く用いられている。図9は、従来の真空蒸着装置の略構成図である。
【0003】
プラネタリ型の真空蒸着装置は真空槽101内下部に蒸発源102が配置され、真空槽101内上部にドーム型の公転機構103を有し、この公転機構103により公転する蒸着治具104に被成膜物を取り付けて成膜を行う構造となっている。被成膜物は公転機構103により任意の速度で公転し、蒸発源102からの蒸発物を蒸発源102に対向した面に堆積させ、薄膜を形成する。さらに、被成膜物の複数面に成膜を行いたい場合には公転機構103に自転機構109を取り付けることにより、公転及び自転を行いながら、複数の面を蒸発源102に曝すことにより立体物である被成膜物各面に対して成膜を行うことができる。自転機構109は、所定の位置で自転カム107を自転シリンダ108で挿抜し、自転カム107で自転軸105に取り付けられた自転ギヤ106を作動させる。真空中での成膜装置としては他にスパッタリング法もあるが、スパッタリング装置は真空蒸着装置に比べ膜の密着性、膜厚分布等が良好である反面、装置価格が非常に高額であるという欠点がある。
【0004】
被成膜物として音叉型水晶振動子を例に挙げる。図2は、音叉型水晶振動子の模式図である。音叉型水晶振動子17の発振周波数は音叉枝の長さと音叉枝の幅によって定められているが、音叉枝先端の薄膜部は通常2種類の領域から構成されており、周波数調整時に粗い調整を行う粗調膜部14と、また、周波数の最終調整を行う前記粗調膜部14より薄い膜厚の微調膜部15である。音叉枝先端部に形成された粗調膜はレーザー等を用いて除去する方法が広く用いられている。粗調膜部14は概して大きな周波数変化量を得る領域であることより、密度の高い金属膜、例えば金が用いられ、更に1〜4μm程度の膜厚で成膜される。微調膜部15は水晶振動子の電極膜16の一部として形成されることが多く、その膜厚は最大でも3000Å程度であり、金や銀あるいはパラジウムといった貴金属類が用いられることが多い。
【0005】
真空蒸着装置については以下のような文献が開示されている。
【特許文献1】特開平4−329869号公報
【特許文献2】特開2007−100123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
音叉型水晶振動子の音叉枝先端部の様な略四辺形断面を持つ被成膜物において略四辺形の全面あるいは複数面に成膜を行う場合、1台の公転機構と複数の自転機構を有する従来の真空蒸着装置では1公転ごとに任意の回転角度で自転を行うことにより複数面にほぼ均一な厚さの膜を形成することができる。
【0007】
一方複数面への成膜を行うが、任意面の膜厚を厚く成膜したい場合、通常の成膜動作では公転及び自転を行い、複数面に所望の膜厚で成膜したのち、一度真空槽を大気開放し、作業者が被成膜物の厚い膜を付ける面を蒸発源に対向させ、自転は行わず公転のみの動作により成膜を行うという作業手順で成膜を行っていた。しかし真空蒸着装置の様な高真空環境下(例えば1E−3Pa以下)での成膜を行う場合、大気開放あるいは真空引きといった真空装置特有の動作において非常に時間がかかるという問題があった。例えば、真空槽内が高真空に到達するまでの真空引き時間として約20分、蒸着直後の蒸発源冷却の為の時間が約10分、更に成膜後真空槽内を大気開放させるために要する時間が約10分の合計40分程度が必要であった。そのため著しく生産性を悪化させる状況にあった。
【0008】
被成膜物が音叉型水晶振動子である場合を例に挙げる。図4は、従来の真空蒸着装置を用いて成膜した音叉型水晶振動子の要部で、図2のAA’断面図である。図5は、従来の蒸着マスクにより水晶振動子を挟み込んだ状態を説明する図である。図6は、従来の粗調膜部のみ開口した蒸着マスクにより水晶振動子を挟み込んだ状態を説明する図である。
【0009】
図4に示すように粗調膜部14主面の一部にのみ粗調膜を厚く成膜する場合、通常は図5に示すように、粗調膜部14のみを開口させたステンレス等からなる蒸着マスク18を用意し、蒸着マスク18で被成膜物である音叉型水晶振動子17を挟み込み、成膜を行う方法が一般的である。
【0010】
一方、音叉型水晶振動子17の小型化に伴い、粗調膜部14は約400×100μm程度のわずかな面積となってきており、この寸法にて蒸着マスク18を設計した場合、蒸着マスク開口部19は図6に示すように、加工上の制限から必ずしも四角い形状と成らず楕円形状となってしまう。そのため、音叉型水晶子17の粗調膜部14を広く取り、周波数調整量を多くとりたい設計意図が満たせないことがある。さらに音叉型水晶振動子17の音叉枝寸法に対して粗調膜部14をできうる限り広く取ろうとした場合、前記蒸着マスク18により音叉型水晶振動子17を挟み込むと、蒸着マスク18重ね合わせの組立バラツキ、蒸着マスク18自体の加工寸法バラツキ等により、音叉型水晶振動子17の粗調膜部14の所定部位へ成膜することが困難となる。
【0011】
従って、蒸着マスク開口部19をスリット状とし、複数個の音叉型水晶振動子17が配置されたウエハーである場合に、複数個の音叉型水晶振動子17の粗調膜部14を蒸着マスク18のスリット部に位置決めをし、音叉型水晶振動子17の音叉枝先端部の略四辺形断面に対して成膜することとなる。しかし、このような成膜方法では音叉型水晶振動子17の音叉枝側面にも成膜することとなり、この側面に置ける膜密着性の弱さが後の工程で行うレーザー等による粗調膜除去の際に側面膜ハガレといった問題を引きおこすこととなる。
【0012】
本発明では、被成膜物の任意面の膜厚を他面に比べて厚い膜厚の蒸着膜を形成することができるより生産性の高い真空蒸着方法および真空蒸着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の真空蒸着方法は、真空槽内にて公転機構と該公転機構に組み込まれた複数の自転軸に取り付けられた被成膜物を自転させる自転機構とを用いた真空蒸着方法であって、前記自転軸は第一自転ギヤと第二自転ギヤの2組の自転ギヤを直列に取り付けた構造であり、公転軌道上の任意の点において前記第一自転ギヤの歯間角度に応じた角度で自転させうる第一自転機構により被成膜物の複数面に成膜し、さらに前記第一自転ギヤの一歯を除いた歯車形状の前記第二自転ギヤを公転中に第二自転ギヤの歯間角度に応じた角度で自転させうる第二自転機構により前記被成膜物に成膜し、さらに前記第二自転機構による前記自転軸の自転により前記第二自転ギヤの一歯を除いた位置において、前記自転軸に取り付けられた前記被成膜物の任意の面が蒸発源に対して所定の角度に保持することにより、前記被成膜物の任意面のみに厚く成膜することを特徴とする。
【0014】
さらに本発明の真空蒸着方法は、前記第二自転ギヤの歯数をn2としたとき、前記自転軸を(n2)回公転することにより前記第二自転機構と前記第二自転ギヤとの組み合わせによる前記被成膜物の自転動作を(n2)回行った後、前記第一自転ギヤの歯数をn1としたとき、前記自転軸を(n1−1)回公転することにより前記第一自転機構と前記第一自転ギヤとの組み合わせによる前記被成膜物の自転動作を(n1−1)回行った後、さらに前記第二自転機構と前記第二自転ギヤとの組み合わせによる前記被成膜物の自転動作を(n2)回行い、前記自転軸に取り付けられた前記被成膜物の蒸発源に対する角度を所定の角度に整列することができる。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の真空蒸着装置は、真空槽内に公転機構と該公転機構に組み込まれた複数の自転軸に取り付けられた被成膜物を自転させる自転機構とを有する真空蒸着装置において、前記自転軸は第一自転ギヤと第二自転ギヤの2組の自転ギヤを直列に取り付けた構造であり、公転軌道上の任意の点において前記第一自転ギヤの歯間角度に応じた角度で自転させ被成膜物の複数面に成膜する第一自転機構と、前記第一自転ギヤの一歯を除いた歯車形状の前記第二自転ギヤを公転中に前記第二自転ギヤの歯間角度に応じた角度で自転させ前記被成膜物に成膜する第二自転機構とを備え、前記第二自転機構による前記自転軸の自転により前記第二自転ギヤの一歯を除いた位置において、前記自転軸に取り付けられた前記被成膜物の任意の面が蒸発源に対して所定の角度に保持することにより、前記被成膜物の任意面のみに厚く成膜することを特徴とする。
【0016】
さらに本発明の真空蒸着装置は、前記第二自転ギヤの歯数をn2としたとき、前記自転軸を(n2)回公転することにより前記第二自転機構と前記第二自転ギヤとの組み合わせによる前記被成膜物の自転動作を(n2)回行った後、前記第一自転ギヤの歯数をn1としたとき、前記自転軸を(n1−1)回公転することにより前記第一自転機構と前記第一自転ギヤとの組み合わせによる前記被成膜物の自転動作を(n1−1)回行った後、さらに前記第二自転機構と前記第二自転ギヤとの組み合わせによる前記被成膜物の自転動作を(n2)回行い、前記自転軸に取り付けられた前記被成膜物の蒸発源に対する角度を所定の角度に整列する整列機構を有することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、真空蒸着における略四辺形断面を有する被成膜物の複数面への成膜において、任意面の膜厚を他面に対して厚くしたい場合、真空槽の大気開放、作業者による真空槽内の自転機構に取り付けられた被成膜物の角度整列及び再度の真空引きといった煩雑な動作を行うことなく、真空環境下において被成膜物をあらかじめ設定した角度に整列させることができる真空蒸着方法および真空蒸着装置を提供し、生産性を向上させることができる。
【0018】
さらに、第二自転機構13により生じる自転エラーを解消するために第一自転機構12と第二自転機構13との公転数あるいは被成膜物の自転数を設定することにより確実に、被成膜物をあらかじめ設定した角度に整列させることができる真空蒸着方法および真空蒸着装置を提供し、生産性を向上させることができる。
【0019】
回転数の設定は次のようになる。前記第一自転機構9の第一自転ギヤの歯数をn1、前記第二自転機構13の第二自転ギヤ10の歯数をn2とした場合、公転機構13による公転をn2回転し、第二自転機構13による自転動作をn2回行った後、第二自転機構が退避し、第一自転機構が挿入されると、公転機構13による公転を(n1−1)回転行い、第一自転機構による自転動作を(n1−1)回転行う。その後、第一自転機構が退避し、再度第二自転機構が挿入され、第二自転機構による公転をn2回、つまり第二自転機構による自転動作をn2回行うことにより、蒸着治具4は全て所定の位置に揃うことができる。
【0020】
本発明により、被成膜物の任意面の膜厚を他面に比べて厚い膜厚の蒸着膜を形成できる生産性の高い真空蒸着方法および真空蒸着装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明における具体的な実施例を、音叉型水晶振動子が他数個配置されたウエハーへの成膜を例に図を参照しながら説明する。図1は、本実施例における真空蒸着装置の略構成図である。図3は、本実施例における真空蒸着装置を用いて成膜した音叉型水晶振動子の要部で、図2のAA’断面図である。図7は、本実施例における蒸着治具と自転ギヤの組立図である。図8は、本実施例における蒸着治具の自転模式図である。尚、各図においては説明を明瞭にするため構造体の一部は図示せず、更には寸法も一部は誇張してある。
【0022】
図7に示すように、被成膜物である音叉型水晶振動子が多数個配置されたウエハーを取り付けた蒸着治具4を取り付ける自転軸5は、略四辺形断面を持つ音叉型水晶振動子の枝断面の4辺を成膜するために90°ステップの自転を行うn1=4歯からなる第1自転ギヤ6と、n2=3歯の第2自転ギヤ10を直列に取り付けた構造となる。
【0023】
本実施例における真空蒸着装置は従来の真空蒸着装置(図9参照)に対して、被成膜物を取り付ける蒸着治具4を自転させる第一自転ギヤとこれを動作させる第一自転機構9と、第二自転ギヤ10とこれを動作させる第二自転機構13とを有することが特徴である。自転軸5には、第一自転ギヤ6と第二自転ギヤ10とが取り付けられており、第一自転機構9は、第一自転カム7とこれを挿入/退避させる第一自転シリンダ8とを有し、第一自転ギヤ6のみを動作させる位置に取り付けられ、第二自転機構13は、第二自転カム11とこれを挿入/退避させる第二自転シリンダ12とを有し、第二自転ギヤ10のみを動作させる位置に取り付けられている。
【0024】
蒸着治具4は、図7に示すように自転軸5に取り付けられており、この自転軸5には前記第一自転ギヤ6と前記第二自転ギヤ10が取り付けられている。真空蒸着装置に取り付けられた蒸着治具4は、図8に示す自転動作を行う。
【0025】
第一自転機構9と第一自転ギヤ6との組み合わせにおいて、図8(a)の状態にて蒸発源2に蒸着治具4のB面とC面が曝されており、A面とD面は蒸発源2に対して影となっている部分である。従って、この状態ではA面とD面への成膜は行われない。この状態において蒸着治具4は1公転を行う。一公転終了後、第一自転カム7において第一自転ギヤ6が作動し、蒸着治具4は図8(b)の状態に移行する。この状態においては蒸発源2にA面とB面が曝され、C面とD面は影となるためA面とB面にのみ成膜が行われる。この様に一公転毎に蒸着治具4は図8の(a)から(d)の状態を繰り返すこととなり、蒸着治具4のあらゆる面に成膜を行うことができる。
【0026】
蒸着治具4の4面に任意膜厚の成膜が終了した時点で第二自転機構13が動作する。第一自転カム7が第一自転シリンダ8によって退避し、第二自転カム11が第二自転シリンダ12によって挿入される。自転軸5の軸長方向から見て第二自転ギヤ10は第一自転ギヤ6から45°回転させた位置に配置(図7参照)されている。例えば、図8(b)は図8(e)と同一の状態であり、蒸着治具4が一公転すると、第二自転カム11によって第二自転ギヤ10が作動し、蒸着治具4は図8(f)の状態に移行し、蒸発源2に対向する蒸着治具4の面を、第二自転機構13と第二自転ギヤ10との組み合わせにおける面に揃えることができる。以降第二自転カム11と第二自転ギヤ10により図8(h)まで蒸着治具4はn2=3回の自転を行い、図8(h)以降では第二自転ギヤ10が一歯無い為、第二自転カム11が空回りをし、蒸着治具4のC面が蒸発源2に対向する。以降蒸発源2に対向したC面にのみ成膜を行うことができる。
【0027】
但し、本機構において図8(a)〜(d)にて自転エラーが生じた場合、図8(e)〜(h)の整列動作に当てはまらない図8(i)の状態が生じることがある。このような自転エラーが生じた場合、第二自転カム11では第二自転ギヤ10を作動させることが当然ながらできない。そのため第二自転カム11を一度退避させ、第一自転カム7を再度挿入することにより蒸着治具4は第一自転カム7と第一自転ギヤ6による自転を再び開始することとなる。本動作により蒸着治具4は再び図8(a)〜(e)の反転動作に入る。ここで第一自転機構9による動作を図8(c)まで、つまり(n1−1)=3公転を行い、第二自転ギヤ10と第二自転カム11が動作する位置に蒸着治具4を再度整列させる。その後第一自転カム7を退避させ、第二自転カム11を挿入し図8(e)からの動作を行うことで図8(i)の様な自転不良を発生させることなく蒸着治具4のC面を蒸発源2に対向させることが可能となる。
【0028】
以上のような動作をまとめると回転数の設定は次のようになる。前記第一自転機構9の第一自転ギヤの歯数をn1、前記第二自転機構13の第二自転ギヤ10の歯数をn2とした場合、公転機構13による公転をn2回転し、第二自転機構13による自転動作をn2回行った後、第二自転機構が退避し、第一自転機構が挿入されると、公転機構13による公転を(n1−1)回転行い、第一自転機構による自転動作を(n1−1)回転行う。その後、第一自転機構が退避し、再度第二自転機構が挿入され、第二自転機構による公転をn2回、つまり第二自転機構による自転動作をn2回行うことにより、蒸着治具4は全て所定の位置に揃うことができる。
【0029】
以上の機構により本実施例の真空蒸着装置は真空槽1の大気開放を行うことなく、蒸着治具4をあらかじめ設計により求められた方向に確実に整列させることが可能となる。
【0030】
本実施例の真空蒸着装置を用いて音叉型水晶振動子に成膜することで、生産性を向上しつつ、図3に示すように粗調膜成膜部主面の一部にのみ厚く成膜することが可能となる。
【0031】
尚、本発明による真空蒸着装置を水晶振動子の粗調膜部成膜を例に挙げ説明をしたが、対象用途は水晶振動子に限定されるものではなく、更に本発明の要旨に則った範囲において種々の変更、改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施例における真空蒸着装置の略構成図
【図2】水晶振動子の模式図
【図3】本実施例における真空蒸着装置を用いて成膜した音叉型水晶振動子の要部で、図2のAA’断面図
【図4】従来の真空蒸着装置を用いて成膜した音叉型水晶振動子の要部で、図2のAA’断面図
【図5】従来の蒸着マスクにより水晶振動子を挟み込んだ状態図
【図6】従来の粗調膜部のみ開口蒸着マスクにより水晶振動子を挟み込んだ状態図
【図7】本実施例における蒸着治具と自転ギヤの組立図
【図8】本実施例における蒸着治具の自転模式図
【図9】従来の真空蒸着装置
【符号の説明】
【0033】
1 真空槽
2 蒸発源
3 公転機構
4 蒸着治具
5 自転軸
6 第一自転ギヤ
7 第一自転カム
8 第一自転シリンダ
9 第一自転機構
10 第二自転ギヤ
11 第二自転カム
12 第二自転シリンダ
13 第二自転機構
14 粗調膜部
15 微調膜部
16 電極膜
17 音叉型水晶振動子
18 蒸着マスク
19 蒸着マスク開口部
101 真空槽
102 蒸発源
103 公転機構
104 蒸着治具
105 自転軸
106 自転ギヤ
107 自転カム
108 自転シリンダ
109 自転機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空槽内にて公転機構と該公転機構に組み込まれた複数の自転軸に取り付けられた被成膜物を自転させる自転機構とを用いた真空蒸着方法において、
前記自転軸は、第一自転ギヤと第二自転ギヤの2組の自転ギヤを直列に取り付けた構造であり、
公転軌道上の任意の点において第一自転ギヤの歯間角度に応じた角度で自転させうる第一自転機構により前記被成膜物の複数面に成膜し、
さらに前記第一自転ギヤの一歯を除いた歯車形状の前記第二自転ギヤを公転中に前記第二自転ギヤの歯間角度に応じた角度で自転させうる第二自転機構により前記被成膜物に成膜し、
さらに前記第二自転機構による前記自転軸の自転により前記第二自転ギヤの一歯を除いた位置において、前記自転軸に取り付けられた前記被成膜物の任意の面が蒸発源に対して所定の角度を保持することにより、前記被成膜物の任意面のみに厚く成膜することを特徴とする真空蒸着方法。
【請求項2】
前記第二自転ギヤの歯数をn2としたとき、前記自転軸を(n2)回公転することにより前記第二自転機構と前記第二自転ギヤとの組み合わせによる被成膜物の自転動作を(n2)回行った後、
前記第一自転ギヤの歯数をn1としたとき、前記自転軸を(n1−1)回公転することにより前記第一自転機構と前記第一自転ギヤとの組み合わせによる前記被成膜物の自転動作を(n1−1)回行った後、
さらに前記第二自転機構と前記第二自転ギヤとの組み合わせによる前記被成膜物の自転動作を(n2)回行い、前記自転軸に取り付けられた前記被成膜物の蒸発源に対する角度を所定の角度に整列することを特徴とする請求項1記載の真空蒸着方法。
【請求項3】
真空槽内に公転機構と該公転機構に組み込まれた複数の自転軸に取り付けられた被成膜物を自転させる自転機構とを有する真空蒸着装置において、
前記自転軸は、第一自転ギヤと第二自転ギヤの2組の自転ギヤを直列に取り付けた構造であり、
公転軌道上の任意の点において前記第一自転ギヤの歯間角度に応じた角度で自転させ前記被成膜物の複数面に成膜する第一自転機構と、
前記第一自転ギヤの一歯を除いた歯車形状の前記第二自転ギヤを公転中に前記第二自転ギヤの歯間角度に応じた角度で自転させ前記被成膜物に成膜する第二自転機構とを備え、
前記第二自転機構による前記自転軸の自転により前記第二自転ギヤの一歯を除いた位置において、前記自転軸に取り付けられた前記被成膜物の任意の面が蒸発源に対して所定の角度を保持することにより、前記被成膜物の任意面のみに厚く成膜することを特徴とする真空蒸着装置。
【請求項4】
前記第二自転ギヤの歯数をn2としたとき、前記自転軸を(n2)回公転することにより前記第二自転機構と前記第二自転ギヤとの組み合わせによる前記被成膜物の自転動作を(n2)回行った後、
前記第一自転ギヤの歯数をn1としたとき、前記自転軸を(n1−1)回公転することにより前記第一自転機構と前記第一自転ギヤとの組み合わせによる前記被成膜物の自転動作を(n1−1)回行った後、
さらに前記第二自転機構と前記第二自転ギヤとの組み合わせによる前記被成膜物の自転動作を(n2)回行い、前記自転軸に取り付けられた前記被成膜物の蒸発源に対する角度を所定の角度に整列する整列機構を有することを特徴とする請求項3記載の真空蒸着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−263762(P2009−263762A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234043(P2008−234043)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000166948)シチズンファインテックミヨタ株式会社 (438)
【Fターム(参考)】