説明

眼内インプラント及び眼内インプラントを眼球内に送出するための方法

【課題】眼内インプラント、及び眼内インプラントを強膜静脈洞に送出するための方法を提供する。
【解決手段】幾つかの実施例では、眼内インプラントは、長さ方向中央軸線を中心として湾曲した本体と、チャンネル開口部を持つ長さ方向チャンネルを形成する遠位本体部分とを含む。インプラントは、眼内インプラントを強膜静脈洞に配置したとき、チャンネル開口部が強膜静脈洞の主側部と隣接する配向を眼内インプラントがとるように大きさ及び形状が定められている。幾つかの方法は、眼内インプラントの開口部を覆う工程と、開口部の少なくとも幾つかが覆われた状態でインプラントを強膜静脈洞内に前進する工程と、インプラントの遠位部分が強膜静脈洞に配置されたとき、開口部を覆われた状態から解放する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2009年7月9日に出願された「シースに入った眼内インプラント及び送出システム」という表題の米国仮特許出願第61/224,158号について、米国特許法第119条の恩恵を主張するものである。出典を明示することにより、これらの出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0002】
本明細書中で言及した全ての刊行物及び特許出願に開示された全ての内容は、出典を明示することにより、個々の刊行物又は特許出願の各々が特定的に及び個々に示されているのと同様に本明細書の開示の一部とされる。
【0003】
本発明は、全体として、眼球に埋め込まれるデバイスに関する。更に詳細には、本発明は、眼内インプラントを眼球内に送出するためのシステム、デバイス、及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
米国国立衛生研究所(NIH)の国立眼病研究所(NEI)の答申案によれば、緑内障は、現在、世界中の不可逆的失明の主因であり、白内障がこれに続く失明の第2の原因である。かくして、NEIは、答申案を「この疾患の病態生理学を突き止め、管理するため、大きな声を上げこれに資源を集中し続けることが重要である」と結んでいる。緑内障の研究者は、高い眼圧と緑内障との間に強い相関を発見した。この理由により、眼科治療の専門家は、眼圧計として周知のデバイスを使用して眼圧を計測することによって患者を緑内障についてスクリーニングすることを常としている。最新の眼圧計の多くは、眼科の外面に空気をプッと吹き付けることによってこの計測を行う。
【0005】
眼球は、流体で充填されたボールであると考えることができる。眼球の内部には二種類の流体がある。水晶体の後方の後眼房は、硝子体液として周知の粘性流体で充填されている。水晶体の前方の前眼房は、眼房水として周知の流体で充填されている。人が物を見るとき、人は、硝子体液及び眼房水の両方を通して物を見る。
【0006】
人が物を見るとき、人は、更に、眼球の角膜及び水晶体を通して物を見る。透明であるようにするため、角膜及び水晶体には血管がない。従って、角膜及び水晶体には、これらの組織に栄養を与え、これらの組織から老廃物を除去するための血流がないのである。その代わり、これらの機能は眼房水によって果たされる。眼球を通る眼房水の連続的な流れが、血管を持たない眼球の部分(例えば角膜及び水晶体)に栄養を提供するのである。眼房水のこの流れは、これらの組織からの老廃物の除去も行う。
【0007】
眼房水は、毛様体として周知の器官によって作り出される。毛様体は、眼房水を連続的に分泌する上皮細胞を有する。健康な眼では、毛様体の上皮細胞によって新たな眼房水が分泌されるため、眼房水が眼球の前眼房から線維柱体網を通って強膜静脈洞に流入する。余分の眼房水は、強膜静脈洞から静脈血流に入り、眼球を離れる静脈血と一緒に運び去られる。
【0008】
眼球の自然のドレン機構が適正な機能を停止すると、眼球内部の圧力が上昇し始める。研究者は、高い眼圧に長期間曝されることにより、情報をセンサのように眼球から脳に伝える視神経が損傷すると理論付けている。視神経に対するこの損傷により周辺視野が失われることとなる。緑内障が進むにつれて、視野が益々失われていき、患者は全盲になるのである。
【0009】
薬剤治療に加え、緑内障の様々な外科的治療が行われてきた。例えば、眼房水を前眼房から眼球の外の静脈に差し向けるため、シャントが埋め込まれた(インベスティゲーティブオプサルモロジー(Investigative Ophthalmology) 誌の1966年2月号に載った、リー及びシェッペンの「眼房水−静脈シャント及び眼圧」を参照されたい)。他の早期の緑内障治療インプラントは、前眼房から結膜ブレブに通された(例えば、米国特許第4,968,296号及び米国特許第5,180,362号を参照されたい)。更に他の治療は、前眼房から強膜静脈洞の僅かに内側の位置までシャントする治療である(オプサルミックサージェリー及びレーザー(Ophthalmic Surgery and Lasers) 誌の1969年6月号に載った、スピーゲル等の「強膜静脈洞インプラント:患者の眼圧をPOAGで下げるための新たな方法?」(米国特許第6,450,984号)を参照されたい)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/224,158号
【特許文献2】米国特許第4,968,296号
【特許文献3】米国特許第5,180,362号
【特許文献4】米国特許第6,450,984号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】インベスティゲーティブオプサルモロジー誌の1966年2月号に載った、リー及びシェッペンの「眼房水−静脈シャント及び眼圧」
【非特許文献2】オプサルミックサージェリー及びレーザー誌の1969年6月号に載った、スピーゲル等の「強膜静脈洞インプラント:患者の眼圧をPOAGで下げるための新たな方法?」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、眼内インプラント及び眼内インプラントを眼球内に送出するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、眼内インプラント、眼内インプラント送出システム、及び眼内インプラントを送出するための方法に関する。本発明の一態様では、眼内インプラントは、眼球の強膜静脈洞の一部に少なくとも部分的に入れられるようになっている。幾つかの実施例では、眼内インプラントは、第1主表面及び第2主表面を持つ本体を含み、この本体は、第1主表面が凹状表面を含み、第2主表面が凸状表面を含むように長さ方向中央軸線を中心として湾曲しており、本体の遠位部分が、チャンネル開口部を持つ長さ方向チャンネルを形成し、チャンネル開口部は、凹状表面の中央部分と直径方向反対側に配置されており、本体は、眼内インプラントを強膜静脈洞に配置したとき、チャンネル開口部が強膜静脈洞の主側部と隣接する配向を眼内インプラントがとるようになっており、そのように形成されている。チャンネルは、チャンネル開口部が強膜静脈洞の外主側部と隣接したとき、瞳孔から遠ざかる方向に開放していてもよい。
【0014】
幾つかの実施例では、チャンネルは所定の幅及び深さを有し、幅の深さに対するアスペクト比は、眼内インプラントが強膜静脈洞に配置されたとき、チャンネル開口部が強膜静脈洞の主側部と隣接する配向を眼内インプラントがとるようなアスペクト比である。幾つかの実施例では、チャンネル幅WDのチャンネル深さDPに対するアスペクト比は、約1よりも大きい。特に有用な実施例では、チャンネル幅WDのチャンネル深さDPに対するアスペクト比は、約2である。幾つかの有用な実施例では、チャンネル幅WDのチャンネル深さDPに対するアスペクト比は、約2よりも大きい。
【0015】
幾つかの実施例では、本体は、第1横方向範囲、第2横方向範囲、及び長さ方向軸線長さを有し、第1横方向範囲の第2横方向範囲に対するアスペクト比は、眼内インプラントを強膜静脈洞に配置したとき、チャンネル開口部が強膜静脈洞の主側部と隣接する配向を眼内インプラントをとるようなアスペクト比である。幾つかの特に有用な実施例では、第1横方向範囲EFの第2横方向範囲ESに対するアスペクト比は、約1よりも大きい。幾つかの特に有用な実施例では、第1横方向範囲EFの第2横方向範囲ESに対するアスペクト比は、約2である。幾つかの有用な実施例では、第1横方向範囲EFの第2横方向範囲ESに対するアスペクト比は、約2よりも大きい。
【0016】
幾つかの実施例では、本体は、長さ方向中央軸線を中心として湾曲しているため、眼内インプラントの本体の遠位部分は、180°よりも小さい角度に亘って延びている。幾つかの実施例では、本体には、チャンネルと流体連通した追加の開口部が形成されており、インプラントの本体は、本体に形成された開口部により、50%よりも大きく開放している。幾つかの実施例では、眼内インプラントの本体の直径は、約0.127mm乃至約1.016mm(約0.005インチ乃至約0.04インチ)である。
【0017】
幾つかの実施例では、眼内インプラントは、本体に付着した治療剤を含む。これらの実施例のうちの幾つかにおいて、治療剤は、抗緑内障薬を含む。抗緑内障薬は、幾つかの実施例では、プロスタグランジン類似体を含む。プロスタグランジン類似体は、幾つかの実施例では、ラタノプロストを含む。
【0018】
幾つかの実施例では、眼内インプラントの本体は、凹状表面と凸状表面との間を延びる厚さを有する。本体の厚さは、幾つかの実施例では、本体の長さに沿って実質的に均等である。幾つかの実施例では、本体の厚さは、本体の周囲に沿って実質的に均等である。
【0019】
幾つかの実施例では、本体は横方向中央軸線を中心として湾曲しており、本体の長さ方向軸線が平面を形成する。この場合、本体は、横方向中央軸線と本体の外幅との間を延びる横方向曲率半径を有する。眼内インプラント。横方向曲率半径は、幾つかの実施例では、実質的に一定である。他の実施例では、横方向曲率半径は本体の長さに沿って変化する。
【0020】
本発明の別の態様では、眼球を治療するための眼内インプラントシステムが提供される。眼内インプラントシステムは、遠位開口部、近位開口部、及び近位開口部と遠位開口部との間を延びる通路を形成するチューブ状部材を含む送出カニューレを含む。幾つかの実施例では、送出カニューレは、遠位開口部と近位開口部との間に配置された湾曲部分を含み、送出カニューレは、カニューレが眼球の角膜を通って延び、カニューレの湾曲部分の少なくとも一部が眼球の前眼房内に配置されたとき、遠位開口部を強膜静脈洞と流体連通状態に置くことができるようになっており、そのように形成されている。幾つかの実施例では、インプラントシステムは、送出カニューレが形成する通路内に配置された眼内インプラントを含み、眼内インプラントは、第1主表面及び第2主表面を持つ本体を含み、本体は、第1主表面が凹状表面を含み、第2主表面が凸状表面を含むように長さ方向中央軸線を中心として湾曲しており、本体の遠位部分は、チャンネル開口部を含む長さ方向チャンネルを形成する。幾つかの有用な実施例では、眼内インプラントは、送出カニューレに対し、眼内インプラントが送出カニューレの湾曲部分を通過するとき、眼内インプラントのチャンネルが半径方向外方に開放するように配向されている。
【0021】
本発明の追加の態様では、眼球を治療するための別の眼内インプラントシステムが提供される。幾つかの実施例では、眼内インプラントシステムは、複数の開口部を形成する眼内インプラントと、眼内インプラントの本体の周囲に配置されたシースを含む。幾つかの実施例では、シースは少なくとも幾つかの開口部を覆っており、シースは、これらの開口部を覆われた状態から解放するため、本体から選択的に除去される。
【0022】
幾つかの実施例では、シースは、内腔を形成する近位部分及び遠位穴を形成する遠位部分を含み、内腔は内腔幅を有し、遠位穴は穴幅を有する。穴幅は、幾つかの実施例では、内腔幅よりも小さい。遠位部分は、幾つかの実施例では、内腔幅から穴幅までの移行部を提供する。幾つかの実施例では、内腔幅はインプラントの幅と等しいか或いはこれよりも大きく、穴幅はインプラントの幅よりも小さい。
【0023】
幾つかの実施例では、シースの遠位部分は、第1領域、第2領域、及び第1領域と第2領域との間に配置されたスリットを含む。シースは、幾つかの実施例では、第1領域と第2領域との間に壊れやすい連結部を含む。幾つかの実施例では、壊れやすい連結部は、スリットを横切って延びるブリッジを含む。遠位穴の穴幅は、壊れやすい連結部が壊れたとき、大きくなってもよい。
【0024】
幾つかの実施例では、シースの遠位部分は第1たが強度を有し、シースの近位部分は第2たが強度を有し、第2たが強度は第1たが強度よりも大きい。遠位部分のたが強度は、幾つかの実施例では、壊れやすい連結部によって制限される。
【0025】
幾つかの実施例では、シースの遠位部分は、インプラントの遠位端を越えて延びている。壊れやすい連結部は、幾つかの実施例では、シースをインプラントに対して近位方向に移動したときに壊れる。シースの遠位部分は、幾つかの実施例では、テーパ形状を有する。他の実施例では、シースの遠位部分は丸みを帯びた形状を有する。
【0026】
幾つかの実施例では、インプラントの長さ方向チャンネルに置かれたコアを含み、プッシュチューブは、インプラントの近位端と接触する。コア、プッシュチューブ、及びシースは、幾つかの実施例では、カニューレが形成する内腔内に延びている。インプラントは、カニューレが形成する内腔内に配置されていてもよい。
【0027】
本発明の更に別の態様では、眼内インプラントを人間の眼球の強膜静脈洞内に展開するための方法が提供される。この方法は、第1主表面及び第2主表面を持つ本体を含む眼内インプラントを提供する工程を含む。本体は、第1主表面が凹状表面を含み、第2主表面が凸状表面を含むように長さ方向中央軸線を中心として湾曲しており、本体の遠位部分は、チャンネル開口部を持つ長さ方向チャンネルを形成し、本体には、チャンネルと流体連通した追加の開口部が形成されている。この方法は、以下の工程を含んでいてもよい。即ち、開口部の少なくとも幾つかを覆う工程と、開口部の少なくとも幾つかが覆われた状態でインプラントの少なくとも遠位部分を強膜静脈洞内に前進する工程と、インプラントの遠位部分が強膜静脈洞に配置されたとき、開口部の少なくとも幾つかを覆われた状態から解放する工程とを含んでいてもよい。幾つかの実施例では、方法は、チャンネル開口部が強膜静脈洞の外主側部と隣接するように眼内インプラントを配向する工程を含む。
【0028】
幾つかの実施例では、穴の少なくとも幾つかを覆う工程は、インプラントの少なくとも一部にシースを被せる工程を含み、穴の少なくとも幾つかを覆われた状態から解放する工程は、シースをインプラントに対して近位方向に移動する工程を含む。穴の少なくとも幾つかを覆われた状態から解放する工程は、幾つかの実施例では、シースの壊れやすい連結部を壊す工程を含む。シースの壊れやすい連結部は、例えば、シースをインプラントに対して近位方向に移動したときに壊れてもよい。例えば、インプラントに遠位方向に差し向けられた反作用力を加えながらシースに近位方向に差し向けられた力を加えることによって、シースをインプラントに対して近位方向に移動してもよい。インプラントに遠位方向に差し向けられた反作用力を加える工程は、例えば、インプラントの近位端をプッシュチューブで押すことによって行われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、この詳細な説明による医学的手順の定型化した図である。
【図2】図2Aは、図1に示す医学的手順で使用される送出システム100を示す斜視図であり、図2Bは、図2Aに示す送出システムのカニューレを示す拡大詳細図である。
【図3】図3は、眼球の解剖学的構造を示す定型化した斜視図である。
【図4】図4は、図3に示す眼球の強膜静脈洞及び虹彩を示す定型化した斜視図である。
【図5】図5は、図4に示す強膜静脈洞SCを示す拡大断面図である。
【図6】図6は、この詳細な説明による眼内インプラントを示す斜視図である。
【図7】図7A及び図7Bは、眼球の強膜静脈洞に配置した眼内インプラントを示す断面図である。
【図8】図8A、図8B、及び図8Cは、この詳細な説明によるインプラントを示す多くの平面図である。
【図9】図9は、図8BのA−A線に沿った眼内インプラントの横方向断面図である。
【図10】図10Aは、眼内インプラントの斜視図であり、図10Bは、虹彩を取り囲む強膜静脈洞SCを示す定型化した斜視図である。
【図11】図11Aは、眼内インプラントを眼球の強膜静脈洞内に前進するのに使用される送出システム100を示す斜視図であり、図11Bは、送出システムのカニューレ部分を示す拡大詳細図である。
【図12】図12は、カニューレ、眼内インプラント、及びシースを含むアッセンブリの拡大斜視図である。
【図13】図13は、図12に示すアッセンブリの追加の斜視図である。
【0030】
【図14】図14は、カニューレ、眼内インプラント、及びシースを含むアッセンブリの別の斜視図である。
【図15】図15は、図14に示すアッセンブリの追加の斜視図である。
【図16】図16A及び図16Bは、この詳細な説明によるシースを示す斜視図である。
【図17】図17は、図16に示すシースを含むアッセンブリの斜視図である。
【図18】図18A及び図18Bは、この詳細な説明によるシースを示す概略平面図である。
【図19】図19A、図19B、及び図19Cは、この詳細な説明によるインプラントを示す平面図である。
【図20】図20は、図19BのB−B線に沿った眼内インプラントの横方向断面図である。
【図21】図21は、この詳細な説明によるインプラントを示す平面図である。
【図22】図22A、図22B、及び図22Cは、この詳細な説明による追加のインプラントを示す平面図である。
【図23】図23は、図22BのC−C線に沿った眼内インプラントの横方向断面図である。
【図24】図24は、この詳細な説明によるインプラントを示す平面図である。
【図25】図25A乃至図25Dは、この詳細な説明による方法を示す一連の平面図である。
【図26】図26A乃至図26Dは、この詳細な説明による方法を示す一連の断面図である。
【図27】図27A及び図27Bは、この詳細な説明によるシースを示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の詳細な説明は、様々な図面の同様のエレメントに同じ参照番号を付した添付図面を参照して読まれるべきである。これらの図面は、必ずしも等縮尺ではなく、例示の実施例を示すものであって、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0032】
図1は、この詳細な説明による医学的手順の定型化された図である。図1の手順では、医師が患者Pの眼球20を治療を行っている。図1の手順では、医師は右手RHで送出システム100を保持している。医師は左手(図示せず)で隅角レンズ23のハンドルHを保持している。送出システムのハンドルを左手で保持し、隅角レンズのハンドルHを右手で保持するのを好む医師もいるということは理解されよう。
【0033】
図1に示す手順中、医師は、隅角レンズ23及び顕微鏡25を使用して前眼房の内部を見る。図1の細部Aは、医師が見ている画像の定型化したシミュレーションである。カニューレ102の遠位部分が細部Aに見える。影のような線が強膜静脈洞SCの位置を示す。強膜静脈洞SCは、前眼房を取り囲む様々な組織(例えば、線維柱体網)の下にある。カニューレ102の遠位開口部104は、眼球20の強膜静脈洞SCの近くに位置決めされる。この詳細な説明による幾つかの方法では、カニューレ102の遠位開口部104は強膜静脈洞SCと流体連通状態に配置される。その場合、眼内インプラントを遠位開口部104を通して強膜静脈洞SC内に前進してもよい。
【0034】
図2Aは、図1に示す送出システム100及び眼球20を更に詳細に示す斜視図である。図2Aでは、送出システム100のカニューレ102は、眼球20の角膜40を貫通した状態で示してある。カニューレ102の遠位部分は、眼球20の角膜40が形成する前眼房の内側に配置されている。図2Aの実施例では、カニューレ102は、カニューレ102の遠位開口部104を強膜静脈洞と流体連通状態に配置できる。
【0035】
図2Aの実施例では、眼内インプラントは、カニューレ102が形成する内腔内に配置されている。送出システム100は、眼内インプラントをカニューレ102の長さに沿って前進したり後退したりできる機構を含む。眼内インプラントは、遠位開口部104が強膜静脈洞と流体連通した状態で、眼内インプラントをカニューレ102の遠位開口部104を通して前進することによって、眼球20の強膜静脈洞内に配置される。
【0036】
図2Bは、送出システム100のカニューレ102を示す拡大詳細図である。図2Bの例示の実施例では、眼内インプラント126は、カニューレ102の遠位開口部104を通して前進してある。図2Bのカニューレ102は、遠位開口部104と流体連通した通路124を形成する。眼内インプラント126は、送出システム100によって、通路124に沿って、遠位開口部を通して移動される。送出システム100は、この機能を行うことができる機構を含む。
【0037】
図3は、上文中に論じた眼球20の一部を示す定型化した斜視図である。眼球20は、瞳孔32を形成する虹彩30を含む。図3では、眼球20は、切断平面が瞳孔32の中心を通る断面図で示してある。眼球20は、二つの房室を持つ、流体で充填されたボールであると考えることができる。眼球20の強膜34は、硝子体液として周知の粘性流体で充填された後眼房PCを取り囲んでいる。眼球20の角膜36が、眼房水として周知の流体で充填された前眼房ACを取り囲んでいる。角膜36は、眼球20の角膜縁38のところで強膜34と出会う。眼球20の水晶体は、前眼房ACと後眼房PCとの間に配置されている。水晶体40は、多くの毛様体小帯42によって所定の場所に保持されている。
【0038】
人が物を見るとき、人は、更に、眼球の角膜及び水晶体を通して物を見る。透明であるようにするため、角膜及び水晶体には血管がない。従って、角膜及び水晶体には、これらの組織に栄養を与え、これらの組織から老廃物を除去するための血流がないのである。その代わり、これらの機能は眼房水によって果たされる。眼球を通る眼房水の連続的な流れが、血管を持たない眼球の部分(例えば角膜及び水晶体)に栄養を提供するのである。眼房水のこの流れは、これらの組織からの老廃物の除去も行う。
【0039】
眼房水は、毛様体として周知の器官によって作り出される。毛様体は、眼房水を連続的に分泌する上皮細胞を有する。健康な眼では、毛様体の上皮細胞によって新たな眼房水が分泌されるため、眼房水が眼球の前眼房から線維柱体網を通って強膜静脈洞に流入する。余分の眼房水は、強膜静脈洞から静脈血流に入り、眼球を離れる静脈血と一緒に運び去られる。
【0040】
強膜静脈洞SCは、虹彩を取り囲むチューブ状構造である。図3の断面図には、横方向に切った強膜静脈洞SCの二つの端部が示してある。健康な眼球では、眼房水は、前眼房ACから流出して強膜静脈洞SCに流入する。眼房水は強膜静脈洞SCを出て多くのコレクタチャンネルに流入する。強膜静脈洞SCを離れた後、眼房水は静脈血流中に吸収され、眼球から運び去られる。
【0041】
図4は、図3に示す眼球20の強膜静脈洞SC及び虹彩30を示す、定型化した斜視図である。図4は、虹彩30を取り囲む強膜静脈洞SCを示す。図4を参照すると、強膜静脈洞SCが虹彩に僅かに被さっているということは理解されよう。虹彩30は瞳孔32を形成する。図4の実施例では、強膜静脈洞SC及び虹彩30は断面で示してあり、切断平面は瞳孔32の中心を通る。
【0042】
強膜静脈洞SCの形状は幾分不規則であり、患者によって異なる。強膜静脈洞SCの形状は、幾分平らになった円筒形チューブと考えられる。図4を参照すると、強膜静脈洞SCは、第1主側部50、第2主側部52、第1副側部54、及び第2副側部56を有するということは理解されよう。
【0043】
強膜静脈洞SCは、虹彩30を取り囲むリングを形成し、瞳孔32はこのリングの中央に配置されている。図4を参照すると、第1主側部50が強膜静脈洞SCが形成するリングの外側にあり、第2主側部52が強膜静脈洞SCが形成するリングの内側にあるということは理解されよう。従って、第1主側部50を強膜静脈洞SCの外主側部と呼び、第2主側部52を強膜静脈洞SCの内主側部と呼んでもよい。図4を参照すると、第1主側部50は第2主側部52よりも瞳孔32から遠いということは理解されよう。
【0044】
図5は、図4に示す強膜静脈洞SCを更に詳細に示す拡大断面図である。図5を参照すると、強膜静脈洞SCは内腔58を形成する壁Wを含むということは理解されよう。強膜静脈洞SCの形状は幾分不規則であり、患者によって異なる。強膜静脈洞SCの形状は、部分的に平らになった円筒形チューブと考えられる。内腔58の断面形状は、楕円形形状と比較できる。内腔58の長軸60及び短軸62が図5に破線で示してある。
長軸60及び短軸62の長さは、患者によって異なる。短軸62の長さは、多くの患者で、1μm乃至30μmである。長軸60の長さは、多くの患者で、250μm乃至350μmである。
【0045】
図5を参照すると、強膜静脈洞SCは、第1主側部50、第2主側部52、第1副側部54、及び第2副側部56を有するということは理解されよう。図5の実施例では、第1主側部50は第1副側部54、及び第2副側部56のいずれよりも長い。更に、図5の実施例では、第2主側部52は第1副側部54、及び第2副側部56のいずれよりも長い。
図6は、この詳細な説明による眼内インプラントを示す斜視図である。図6の眼内インプラント126は、全体に湾曲した長さ方向中央軸線148に沿って延びる本体128を含む。図6の実施例では、本体128の曲率半径Rを、横方向中央軸線176と本体128との間を延びる矢印で示す。
【0046】
眼内インプラント126の本体128は、第1主表面130及び第2主表面132を有する。図6を参照すると、本体128は、第1主表面130が凹状表面136を有し、第2主表面132が凸状表面134を有するように長さ方向中央軸線148を中心として湾曲しているということは理解されよう。本体128の湾曲は、患者の眼球の強膜静脈洞の湾曲と整合するように大きさ及び形状が予め定められている。
【0047】
本体128の遠位部分は、チャンネル開口部139を含む長さ方向チャンネル138を形成する。チャンネル開口部139は、凹状表面136の中央部分135の直径方向反対側に配置されている。本体128の湾曲のため、チャンネル開口部139が形成するインプラントの外径は、表面132が形成するインプラントの内径よりも大きくなる。幾つかの実施例では、本体には、チャンネル開口部139が本体の外径に沿って配置され、チャンネル開口部を強膜静脈洞の第1主側部50と隣接して位置決めできるようにプリバイアスが加えられている。
【0048】
図6の実施例では、凹状表面136の中央部分135は、複数の穴137を形成する。各穴137は、チャンネル138と流体連通している。幾つかの有用な実施例では、本体128は、眼内インプラント126が強膜静脈洞に配置されたとき、チャンネル開口部139が強膜静脈洞の主側部と隣接する配向を眼内インプラント126が取るようになっており、そのように形成されている。眼内インプラント126は、例えば、所定長さの金属又は形状記憶材料(例えばニチノール又はステンレス鋼)製のチューブからレーザーによって本体128を切り出すことによって形成されてもよい。
【0049】
図7A及び図7Bは、眼球の強膜静脈洞SCに配置した眼内インプラント126を示す断面図である。図7A及び図7Bを、集合的に、図7と呼んでもよい。図7の眼球は虹彩30を含む。虹彩30の中央部分が瞳孔32を形成する。強膜静脈洞SCは、虹彩30の外縁部の近くに配置されている。線維柱体網TMが虹彩から延びており強膜静脈洞SCと重なっている。図7の平面は、強膜静脈洞SC及び線維柱体網TMを通って横方向に伸びる。
【0050】
強膜静脈洞SCは、虹彩30の周囲でリングを形成し、瞳孔32がリングの中央に配置されている。強膜静脈洞SCは第1主側部50、第2主側部52、第1副側部54、及び第2副側部56を有する。図7を参照すると、第1主側部50が強膜静脈洞SCの外主側部であり、第2主側部52が強膜静脈洞SCの内主側部であるということは理解されよう。
図7Aの実施例では、眼内インプラント126の遠位部分は、強膜静脈洞SCに入った状態で示してある。眼内インプラント126の近位部分は、強膜静脈洞SCの外に線維柱体網TMを通って前眼房AC内に延びる状態で示してある。図7の眼内インプラント126は、第1主表面130及び第2主表面132を持つ本体を含む。図6を参照すると、眼内インプラント126の本体は、長さ方向中央軸線を中心として湾曲しており、第1主表面130は凹状表面を有し、第2主表面132は凸状表面を有するということは理解されよう。
【0051】
眼内インプラント126の遠位部分は、チャンネル開口部139を含む長さ方向チャンネル138を形成する。チャンネル開口部139は、第1主表面130の中央部分135の直径方向反対側に配置されている。図7Aの実施例では、眼内インプラント126は、チャンネル開口部139が強膜静脈洞の第1主側部50と隣接し且つこれに対して開放する配向をとっている。図7Bの実施例では、眼内インプラント126は、チャンネル開口部139が強膜静脈洞の第2主側部52と隣接し且つこれに対して開放する配向をとっている。
【0052】
図8A、図8B、及び図8Cは、本発明の詳細な説明によるインプラント126の多数の平面図を示す。図8A、図8B、及び図8Cを集合的に図8と呼んでもよい。通常は、正面図、平面図、及び側面図といった用語を使用して多数の投影図に言及する。これによれば、図8Aをインプラント126の平面図と呼んでもよく、図8Bをインプラント126の側面図と呼んでもよく、及び図8Cをインプラント126の底面図と呼んでもよい。本明細書中、図8に示す図の間を区別するための簡便な方法として平面図、側面図、及び底面図という用語を使用する。図8に示すインプラントは、この詳細な説明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な配向をとることができるということは理解されよう。従って、平面図、側面図、及び底面図という用語は、添付の特許請求の範囲に記載された本明細書の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【0053】
図8の眼内インプラント126は、長さ方向中央軸線148に沿って延びる本体128を含む。眼内インプラント126の本体128は、第1主表面130及び第2主表面132を有する。図8の実施例では、本体128は長さ方向中央軸線148を中心として湾曲しており、そのため第1主表面130が凹状表面136を有し、第2主表面132が凸状表面134を有する。
【0054】
本体128の遠位部分は、チャンネル開口部139を含む長さ方向チャンネル138を形成する。チャンネル開口部139は凹状表面136の中央部分135とは直径方向反対側に配置されている。図8の実施例では、凹状表面136の中央部分135は複数の穴137を形成する。各穴137はチャンネル138と流体連通している。幾つかの有用な実施例では、本体128は眼内インプラント126を強膜静脈洞に配置したとき、チャンネル開口部139が強膜静脈洞の主側部と隣接する配向を眼内インプラント126がとるようになっており、そのように形成されている。
【0055】
図9は、図8BのA−A線に沿った眼内インプラント126の横方向断面図である。眼内インプラント126は、第1主表面130及び第2主表面132を持つ主本体128を有する。図9を参照すると、本体128は長さ方向中央軸線148を中心として湾曲しており、そのため第1主表面130が凹状表面136を有し、第2主表面132が凸状表面134を有するということは理解されよう。本体128の凹状表面136は、チャンネル開口部139を持つ長さ方向チャンネル138を形成する。
【0056】
図9を参照すると、チャンネル138は、幅WD及び深さDPを有する。眼内インプラント126の本体128は、第1横方向範囲EF及び第2横方向範囲ESを有する。場合によっては、本体128は、眼内インプラント126が強膜静脈洞に配置されたとき、チャンネル開口部139が強膜静脈洞の主側部と隣接する配向を眼内インプラント126が自動的にとるようになっており、そのように形成されている。幾つかの有用な実施例では、第1横方向範囲EFの第2横方向範囲ESに対するアスペクト比は約1よりも大きい。幾つかの特に有用な実施例では、第1横方向範囲EFの第2横方向範囲ESに対するアスペクト比は約2である。幾つかの有用な実施例では、第1横方向範囲EFの第2横方向範囲ESに対するアスペクト比は約2よりも大きい。幾つかの有用な実施例では、幅WDの深さDPに対するアスペクト比は約1よりも大きい。幾つかの特に有用な実施例では、幅WDの深さDPに対するアスペクト比は約2である。幾つかの有用な実施例では、幅WDの深さDPに対するアスペクト比は約2よりも大きい。
【0057】
図10Aは、眼内インプラント126の斜視図であり、図10Bは、虹彩30を取り囲む強膜静脈洞SCを示す定型化した斜視図である。図10A及び図10Bを集合的に図10と呼んでもよい。図10Bを参照すると、強膜静脈洞SCが虹彩30に僅かに被さっているということは理解されよう。虹彩30は瞳孔32を形成する。強膜静脈洞SCは、虹彩30の周囲でリングを形成し、瞳孔32がリングの中央に配置されている。図10Bを参照すると、強膜静脈洞SCは第1主側部50、第2主側部52、第1副側部54、及び第2副側部56を有するということは理解されよう。図10Bの実施例では、第1主側部部50が強膜静脈洞SCの外主側部であり、第2主側部52が強膜静脈洞SCの内主側部である。
【0058】
例示の目的で、図10Bでは、強膜静脈洞SCの第1主側部50を通してウィンドウ70が切ってある。ウィンドウ70を通して、強膜静脈洞が形成する内腔内に眼内インプラント126が入っているのがわかる。図10の眼内インプラント126は、第1主表面130を持つ本体128を含む。本体128の第1主表面130は凹状表面136を含む。本体128は、チャンネル開口部139を含む長さ方向チャンネル138を形成する。チャンネル開口部139は、凹状表面136の中央部分135の直径方向反対側に配置されている。図10Bの実施例では、眼内インプラント126は、チャンネル開口部139が強膜静脈洞の第1主側部50と隣接した配向をとる。
【0059】
図11Aは、眼内インプラント126を眼球の強膜静脈洞内に前進するのに使用される送出システム100を示す斜視図である。送出システム100は、ハンドルHに連結されたカニューレ102を含む。カニューレ102は遠位開口部104を形成する。送出システム100のカニューレ102の遠位部分は、遠位開口部104が眼球の強膜静脈洞の近くに位置決めされるように、人間の被術者の眼球の前眼房に挿入されるようになっており且つ形成されている。カニューレ102は、カニューレ102の遠位端を眼球の線維柱体網を通して強膜静脈洞内に前進できるような大きさ及び形状を備えている。カニューレ102をこのように位置決めすることにより、遠位開口部104を強膜静脈洞と流体連通する。
【0060】
図11Aの実施例では、眼内インプラントは、カニューレ102が形成する通路に配置されている。送出システム100は、眼内インプラントをカニューレ102の長さに沿って前進したり後退したりできる機構を含む。眼内インプラントは、カニューレ102の遠位開口部104が強膜静脈洞と流体連通した状態で、眼内インプラントを遠位開口部104を通して前進することによって、眼球20の強膜静脈洞に配置されてもよい。
【0061】
図11Bは、送出システム100のカニューレ102を示す拡大詳細図である。図11Bを参照すると、カニューレ102は、遠位開口部104、近位開口部105、及び近位開口部105と遠位開口部104との間を延びる通路124を形成するチューブ状部材を含むということは理解されよう。図11Bを参照すると、カニューレ102は、遠位開口部104と近位開口部105との間に配置された湾曲部分107を含むということは理解されよう。
【0062】
図11Bの実施例では、眼内インプラント126は、カニューレ102が形成する通路124に配置されている。図11Bの眼内インプラント126は、全体に湾曲した長さ方向中央軸線148に沿って延びる本体128を含む。眼内インプラント126の本体128は、第1主表面130及び第2主表面132を有する。図11Bを参照すると、本体128は、第1主表面130が長さ方向チャンネル138を形成し、第2主表面132が凸状表面134を有するように、長さ方向中央軸線148を中心として湾曲しているということは理解されよう。長さ方向チャンネル138はチャンネル開口部139を含む。眼内インプラント126は、送出カニューレ102に対し、眼内インプラント126が湾曲部分107に配置されたとき、眼内インプラント126の長さ方向チャンネル138が半径方向外方方向RDに開放するように配向されている。半径方向外方方向RDを図11Bに矢印で示す。カニューレ102の遠位開口部104は、眼球の強膜静脈洞と流体連通状態に配置される。図11Bに示す配向で、インプラント126を遠位開口部104を通して強膜静脈洞内に前進できる。この場合、眼内インプラント126は、強膜静脈洞に配置されたとき、チャンネル開口部139が強膜静脈洞の外主側部と隣接するように配向されていてもよい。
【0063】
図12は、眼内インプラント126、シース120、及びカニューレ102を含むアッセンブリ106の拡大斜視図である。例示の目的で、図12には、カニューレ102は断面で示してある。図12の実施例では、シース120は、カニューレ102が形成する通路124内に延びている。図12では、シース120は、シース120の存在を示すドットパターンで透明であるように示してある。
【0064】
図12を参照すると、インプラント126は、シース120が形成する内腔122内に配置されているということは理解されよう。インプラント126は、第1主表面130及び第2主表面132を持つ本体128を含む。図12の実施例では、本体128は、第1主表面130が凹状表面136を有し、第2主表面132が凸状表面134を有するように、長さ方向中央軸線を中心として湾曲している。本体128の凹状表面は長さ方向チャンネル138を形成する。図12には、長さ方向チャンネル138を通って延びるコア166が示してある。
【0065】
眼内インプラント126の本体128は、複数の開口部140を形成する。図12の実施例では、シース120が開口部140を覆っている。図12を参照すると、シース120は、内腔122を形成する近位部分150及び遠位穴154を形成する遠位部分152を含むということは理解されよう。図12には、遠位穴154を通って延びるコア166が示してある。図12の実施例では、シース120の遠位部分152は全体にテーパした形状を有する。
【0066】
図13は、図12に示すアッセンブリ106の追加の斜視図である。図13では、コア166、シース120、及びインプラント126は、カニューレ102の遠位開口部104を通って延びる状態で示してある。コア166、シース120、及びインプラント126は、図12に示すこれらのエレメントの位置に対して遠位方向に移動されている。
図13にはプッシュチューブ180が示してある。図13では、プッシュチューブ180の遠位端がインプラント126の近位端と接触した状態で示してある。図13の実施例では、プッシュチューブ180は、シース120が形成する内腔122に配置されている。シース120は、近位部分150が通路124を形成し、遠位部分152が遠位穴154を形成する。インプラント126は、シース120が形成する内腔122内に配置されている。図13では、コア166は、インプラント126が形成するチャンネル138及びシース120の遠位部分152が形成する遠位穴154を通って延びる状態で示してある。
【0067】
図14は、図13に示すアッセンブリ106を示す、追加の斜視図である。図14を参照すると、インプラント126がカニューレ102の外側に配置されていることが理解されよう。図14の実施例では、コア166、シース120、及びプッシュチューブ180が更に前進してあり、インプラントはカニューレ102の外側の位置にある。
【0068】
本発明による方法を使用し、インプラントを眼球の強膜静脈洞内に送出してもよい。これらの方法では、コア166の遠位部分及びシース120をカニューレ102の遠位ポートの外に、強膜静脈洞内に前進する。眼内インプラント126は、シース120の遠位部分を強膜静脈洞内に前進するとき、シース120内に配置されていてもよい。次いで、プッシュチューブ180によりインプラント126が近位方向に引っ込められないようにしながら、シース120及びコア166を後退する。
【0069】
図15は、図14に示すアッセンブリ106を示す追加の斜視図である。図15の実施例では、コア166及びシース120がインプラント126に対して近位方向に移動されている。図15を参照すると、インプラント126が、この状態で、シース120の外側に配置されていることがわかるであろう。この詳細な説明による幾つかの方法は、インプラント126が近位方向に移動しないように遠位方向に差し向けられた反作用力をインプラント126に加えながらシース120及びコア166に近位方向に差し向けられた力を加える工程を含む。この場合、インプラント126は、シース120をインプラント126から引っ込めるとき、シース120の遠位穴154を通過する。
【0070】
図15の実施例では、シース120の遠位部分152は、第1領域156及び第2領域158を含む。図15の実施例では、第1領域156と第2領域158との間の壊れやすい連結部が壊れている。壊れやすい連結部は、例えば、シース120をインプラント126に対して近位方向に移動したときに選択的に壊れる。これは、インプラント126の直径が、シース120の遠位部分152及び開口部154の直径に関して大きいためである。図15を参照すると、壊れやすい連結部が壊れたとき、遠位穴154の幅が大きくなる。
【0071】
上文中で説明した図面を参照すると、この詳細な説明による方法は、インプラントの遠位部分を眼球の強膜静脈洞に配置するのに使用されてもよいということは理解されよう。この詳細な説明による方法は、カニューレの遠位端を眼球の角膜を通して前進し、カニューレの遠位部分を眼球の前眼房に配置する工程を含む。カニューレは、例えば強膜静脈洞の壁をカニューレの遠位部分で穿刺することによって強膜静脈洞にアクセスするのに使用されてもよい。シースの遠位部分をカニューレの遠位ポートの外に、強膜静脈洞内に前進してもよい。シースの遠位部分を強膜静脈洞内に前進するとき、眼内インプラントがシースの内側に配置されていてもよい。
【0072】
幾つかの有用な方法では、眼内インプラントは、複数の穴が形成された本体を含み、方法は、これらの穴をシースで覆う工程を含む。この場合、穴がシースによって覆われた状態でインプラントの遠位部分を強膜静脈洞内に前進してもよい。インプラントを強膜静脈洞内に前進するときに穴を覆うことにより、本手順によって強膜静脈洞に加わる外傷を減少できる。これらの穴は、インプラントが所望の位置(例えば強膜静脈洞の内部)に達した後に露出されてもよい。
【0073】
インプラントの穴は、例えばシースをインプラントに対して近位方向に移動することによって露出してもよい。幾つかの用途では、インプラントを定置に保持しながら、近位方向に差し向けられた力をシースに加えることによってこれを行ってもよい。インプラントは、例えば、遠位方向に差し向けられた力をインプラントに加えることによって定置に保持されてもよい。一実施例では、インプラントの近位端をプッシュチューブで押すことによって、遠位方向に差し向けられた反作用力が加えられる。
【0074】
幾つかの方法は、インプラントの近位部分が眼球の前眼房内にあり、インプラントの遠位部分が強膜静脈洞内にある状態で強膜静脈洞内へのシースの前進を停止する工程を含む。この場合、インプラントの遠位部分だけを強膜静脈洞内に前進する。強膜静脈洞の外に前眼房内に延びるインプラントの部分は、前眼房と強膜静脈洞との間の流体流れ通路を提供する。
【0075】
眼内インプラントが形成するチャンネル内にコアを配置することによってアッセンブリを形成してもよい。シースは、インプラント及びコアの周囲に配置されていてもよい。例えば、コア及びインプラントを、次いで、シースの内腔に挿入してもよい。別の例では、シースをインプラント及びコアに被せてもよい。コアは、例えばインプラントが所望の位置に送出された後、眼内インプラントが形成するチャンネルから引っ込めてもよい。
【0076】
コアは、例えばコアをインプラントに対して近位方向に移動することによってチャンネルから引っ込められてもよい。幾つかの用途では、これは、インプラントを定置に保持しながら近位方向に差し向けられた力をコアに加えることによって行われてもよい。インプラントは、例えば遠位方向に差し向けられた反作用力をインプラントに加えることによって定置状態に保持される。一実施例では、遠位方向に差し向けられた反作用力は、インプラントの近位端をプッシュチューブで押すことによって提供される。
【0077】
コア、インプラント、及びシースを強膜静脈洞内に一緒に前進してもよい。インプラントが所望の位置に置かれた後、コア及びシースを強膜静脈洞から引っ込め、インプラントを所望の位置に残す。幾つかの方法では、コア及びシースは強膜静脈洞から同時に引っ込められる。
【0078】
図16A及び図16Bは、夫々、この詳細な説明によるシース120を示す斜視図である。図16A及び図16Bを集合的に図16と呼んでもよい。図16のシース120は、内腔122を形成する近位部分150及び遠位穴154を形成する遠位部分152を含む。図16を参照すると、内腔122が全体に、遠位穴154よりも大きいということがわかるであろう。
【0079】
図16Aの実施例では、シース120の遠位部分152は、第1領域156、第2領域158、及び第1領域156と第2領域158との間の壊れやすい連結部160を含む。図16Aでは、遠位部分152の第1領域156と第2領域158との間に形成されたスリット164を示す。図16Aの実施例では、壊れやすい連結部160は、スリット164を横切って延びるブリッジ162を含む。
【0080】
図16Bの実施例では、壊れやすい連結部160は壊れている。壊れやすい連結部160は、例えば、シース120の遠位開口部154及び遠位部分152よりも大径の内腔122内に配置されたインプラントに対してシース120を近位方向に移動することによって、選択的に壊される。図16を参照すると、壊れやすい連結部160が壊れたとき、遠位穴154が大きくなるということは理解されよう。
【0081】
図16の実施例では、スリット164の存在により、シース120の遠位部分152に局所的弱め線が形成される。この局所的弱め線により、遠位部分152は図16に示すように選択的に裂けるのである。遠位部分152は、この詳細な説明の精神及び範囲から逸脱することなく局所的弱め線を形成する様々なエレメントを含んでいてもよいということは理解されよう。可能なエレメントの例には、遠位部分120の壁を通って部分的に延びる薄い削り線即ちスカイブカット(skive cut) 、遠位部分120の壁を通って延びる一連の穴、ミシン目線(perf cut)、折り目線、及び刻み線(score cut)が含まれる。
【0082】
図17は、図16に示すシース120を含むアッセンブリの斜視図である。図17の実施例では、シース120の遠位部分152が形成する遠位穴154を通って延びるインプラント126が示してある。インプラント126は、チャンネル138を形成する。図17では、コア166がチャンネル138内にあるのが見える。インプラント126及びコア166は、シース120が形成する内腔122内に近位方向に延びる。シース120の遠位部分152は、第1領域156及び第2領域158を含む。
【0083】
図18A及び図18Bは、この詳細な説明によるシース120を示す概略平面図である。シース120の遠位部分152は、第1領域156、第2領域158、及び第1領域156と第2領域158との間を延びる壊れやすい連結部160を含む。図18Aの実施例では、壊れやすい連結部160は無傷である。図18Bの実施例では、壊れやすい連結部160は壊れている。図18A及び図18Bを集合的に図18と呼んでもよい。
【0084】
図18のシース120は、内腔122を形成する近位部分150を含む。図18の実施例では、インプラント126が内腔122に配置されている。内腔122は、シース120の遠位部分152が形成する遠位穴154と流体連通している。遠位部分152は、第1領域156と第2領域158との間に配置されたスリット164を含む。図18Aでは、ブリッジ162がスリット164に横切って延びているのがわかる。幾つかの有用な実施例では、シース120の遠位部分152は第1たが強度を有し、シース120の近位部分は第2たが強度を有する。第1たが強度は、図18Aの実施例では、壊れやすい連結部160によって制限されている。この場合、第2たが強度は第1たが強度よりも大きい。
【0085】
図18のシース120は、内腔122を形成する近位部分150及び遠位穴154を形成する遠位部分152を含む。内腔122は内腔幅LWを有する。遠位穴154の穴幅は壊れやすい連結部160が無傷である場合にはAWである。図18Bを参照すると、遠位穴154は、壊れやすい連結部160が壊れたとき、更に大きく自由に開放するということは理解されよう。
【0086】
幾つかの有用な実施例では、内腔122の内腔幅LWは、内腔122に配置されたインプラント126の幅と等しいか或いはこれよりも大きい。これらの幾つかの有用な実施例では、穴幅AWは、インプラント126の幅よりも小さい。この場合、壊れやすい連結部160は、シース120をインプラント126に対して近位方向に移動することによって選択的に壊すことができる。
【0087】
図19A、図19B、及び図19Cは、本発明の詳細な説明によるインプラント326の多数の平面図を示す。図19A、図19B、及び図19Cを集合的に図19と呼んでもよい。図19Aをインプラント326の平面図と呼んでもよく、図19Bをインプラント326の側面図と呼んでもよく、及び図19Cをインプラント326の底面図と呼んでもよい。本明細書中、図19に示す図間を区別するための簡便な方法として平面図、側面図、及び底面図という用語を使用する。図19に示すインプラントは、この詳細な説明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な配向をとることができるということは理解されよう。従って、平面図、側面図、及び底面図という用語は、添付の特許請求の範囲に記載された本明細書の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【0088】
図19の眼内インプラント326は、長さ方向中央軸線348に沿って延びる本体328を含む。眼内インプラント326の本体328は、第1主表面330及び第2主表面332を有する。図19の実施例では、本体328は長さ方向中央軸線348を中心として湾曲しており、そのため第1主表面330が凹状表面336を有し、第2主表面332が凸状表面334を有する。
【0089】
本体328の遠位部分は、チャンネル開口部339を含む長さ方向チャンネル338を形成する。チャンネル開口部339は凹状表面336の中央部分335とは直径方向反対側に配置されている。図19の実施例では、凹状表面336の中央部分335は複数の穴337を形成する。各穴337はチャンネル338と流体連通している。
【0090】
図20は、図19BのB−B線に沿った眼内インプラント326の横方向断面図である。眼内インプラント326は、第1主表面330及び第2主表面332持つ本体328を有する。図20を参照すると、本体328は長さ方向中央軸線348を中心として湾曲しており、そのため第1主表面330が凹状表面336を有し、第2主表面332が凸状表面334を有するということは理解されよう。本体328の凹状表面336は、チャンネル開口部339を持つ長さ方向チャンネル338を形成する。図20の実施例では、角度Wの大きさは、180°よりも大きい。
【0091】
図21は、この詳細な説明によるインプラント326を示す断面図である。図21の眼内インプラント326は、全体に湾曲した長さ方向中央軸線に沿って延びている。図21の実施例では、本体328は、遠位曲率半径RD及び近位曲率半径RPを有する。図21において、各曲率半径を矢印で示す。遠位曲率半径RDは、第1横方向中央軸線376と長さ方向中央軸線348の遠位部分との間を延びる矢印によって示される。近位曲率半径RPは、第2横方向中央軸線378と長さ方向中央軸線348の近位部分との間を延びる矢印によって示される。図21の実施例では、眼内インプラント326の本体328の休止時の形状は全体に湾曲した形状である。この休止時形状は、例えばヒートセットプロセスを使用して形成できる。インプラントの休止時の形状は、人間の眼球の強膜静脈洞の曲率半径とほぼ整合する。
【0092】
図22A、図22B、及び図22Cは、本発明の詳細な説明によるインプラント526の多数の平面図を示す。図22A、図22B、及び図22Cを集合的に図22と呼んでもよい。図22Aをインプラント526の平面図と呼んでもよく、図22Bをインプラント526の側面図と呼んでもよく、及び図22Cをインプラント526の底面図と呼んでもよい。本明細書中、図22に示す図間を区別するための簡便な方法として平面図、側面図、及び底面図という用語を使用する。図22に示すインプラントは、この詳細な説明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な配向をとることができるということは理解されよう。
従って、平面図、側面図、及び底面図という用語は、添付の特許請求の範囲に記載された本明細書の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【0093】
図22の眼内インプラント526は、長さ方向中央軸線548に沿って延びる本体528を含む。眼内インプラント526の本体528は、第1主表面530及び第2主表面532を有する。図22の実施例では、本体528は長さ方向中央軸線548を中心として湾曲しており、そのため第1主表面530が凹状表面536を有し、第2主表面532が凸状表面534を有する。
【0094】
本体528の遠位部分は、チャンネル開口部539を含む長さ方向チャンネル538を形成する。チャンネル開口部539は凹状表面536の中央部分535とは直径方向反対側に配置されている。図22の実施例では、凹状表面536の中央部分535は複数の穴537を形成する。各穴537はチャンネル538と流体連通している。
【0095】
図23は、図22BのC−C線に沿った眼内インプラント526の横方向断面図である。眼内インプラント526は、第1主表面530及び第2主表面532持つ主本体528を有する。図23を参照すると、本体528は長さ方向中央軸線548を中心として湾曲しており、そのため第1主表面530が凹状表面536を有し、第2主表面532が凸状表面534を有するということは理解されよう。本体528の凹状表面536は、チャンネル開口部539を持つ長さ方向チャンネル538を形成する。図23の実施例では、角度Cの大きさは、ほぼ180°である。この詳細な説明による幾つかの有用なインプラントは、約180°の角度に亘って延びる周囲を有する。この詳細な説明による幾つかの特に有用なインプラントは、180°と等しいか或いはそれよりも小さい角度に亘って延びる周囲を有する。
【0096】
図24は、この詳細な説明によるインプラント526を示す平面図である。図24の眼内インプラント526は、全体に湾曲した長さ方向中央軸線に沿って延びている。図24の実施例では、本体528は、遠位曲率半径RD及び近位曲率半径RPを有する。図24において、各曲率半径を矢印で示す。遠位曲率半径RDは、第1横方向中央軸線576と長さ方向中央軸線548の遠位部分との間を延びる矢印によって示される。近位曲率半径RPは、第2横方向中央軸線578と長さ方向中央軸線548の近位部分との間を延びる矢印によって示される。図24の実施例では、眼内インプラント526の本体528の休止時の形状は全体に湾曲した形状である。この休止時形状は、例えばヒートセットプロセスを使用して形成できる。
【0097】
図25A乃至図25Dは、この詳細な説明による方法を示す、一連の平面図である。図25Aは、インプラント426を示す平面図である。インプラント426は、複数の開口部440が形成された本体428を含む。これらの開口部440は、第1開口部442及び第2開口部444を含む。
【0098】
図25Bは、インプラント426を含むアッセンブリ408を示す平面図である。図25Bのアッセンブリ408は、インプラント426によって形成されたチャンネル438内にコア406を配置することによって形成されてもよい。シース420がインプラント426及びコア406の周囲に配置されていてもよい。例えば、コア406及びインプラント426をシース420が形成する内腔に挿入してもよい。別の例として、シース420をインプラント426及びコア406に被せてもよい。
【0099】
図25Cは、強膜静脈洞SCに配置したアッセンブリ408を示す平面図である。強膜静脈洞SCの壁Wは、複数のセル90を含む。図25Cを参照すると、シース420がインプラント426とセル90との間に配置されているということは理解されよう。この詳細な説明による方法には、カニューレの遠位端を眼球の角膜を通して前進し、カニューレの遠位部分を眼球の前眼房に配置する工程が含まれる。カニューレは、例えば強膜静脈洞の壁をカニューレの遠位部分で穿刺することによって強膜静脈洞にアクセスするのに使用されてもよい。シース420の遠位部分をカニューレの遠位ポートの外に、強膜静脈洞内SC内に前進してもよい。シース420の遠位部分が強膜静脈洞SC内に前進されたとき、眼内インプラント426をシース420の内側に配置してもよい。
【0100】
図25Cの実施例では、眼内インプラント426は、複数の開口部440が形成された本体を含む。図25Cを参照すると、開口部440がシース420によって覆われており、開口部440がシース420によって覆われた状態でインプラント426の遠位部分が強膜静脈洞内に前進されるということは理解されよう。インプラント426を強膜静脈洞SC内に前進する際に開口部440が覆われているため、本手順によってセル90に加わる傷を減少できる。
【0101】
幾つかの有用な実施例では、シース420の外面にコーティングが配置されていてもよい。コーティングの性質は、本手順によってセル90に加わる傷を更に減少するように選択される。コーティングは、例えば、親水性材料を含んでいてもよい。コーティングは、更に、例えば潤滑性ポリマーを含んでいてもよい。幾つかの用途に適した親水性材料の例には、ポリアルキレングリコール、アルコキシポリアルキレングリコール、メチルビニルエーテル及びマレイン酸のコポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(N−アルキルアクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンイミン)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルスルホン酸、ヘパリン、デキストラン、改質デキストラン、及びコンドロイチンスルフェートが含まれる。
【0102】
図25Cには、比較的小さい遠位直径と比較的大きい近位直径との間を延びるシース420の遠位部分が示してある。図25Cの実施例では、シース420の遠位部分は全体にテーパした形状を有する。シース420の遠位部分のテーパ移行部は、シース420が強膜静脈洞SC内に前進するときに強膜静脈洞SCを拡張する非外傷移行部を形成する。この構成により、シース420を強膜静脈洞SC内に前進する際に壁Wを削る可能性を小さくする。
【0103】
図25Dは、強膜静脈洞SC内に配置されたインプラント426を示す平面図である。図25Dの実施例では、本体428が形成する開口部440は覆われていない。開口部440は、シース420をインプラント426に対して近位方向に移動することによって開放されてもよい。幾つかの用途では、これは、インプラント426を定置に維持しながらシース420に近位方向に差し向けられた力を加えることによって行ってもよい。インプラント426は、例えば、遠位方向に差し向けられた反作用力をインプラント426に加えることによって定置に保持されてもよい。図25の実施例では、遠位方向に差し向けられた反作用力は、インプラント426の近位端をプッシュチューブで押すことによって加えられてもよい。
【0104】
図25Dの実施例では、インプラント426が形成するチャンネル438からコア406が取り除いてある。コア406は、例えば、コア406をインプラント426に対して近位方向に移動することによってチャンネル438から引っ込められる。幾つかの用途では、これは、インプラント426を定置に維持しながらコア406に近位方向に差し向けられた力を加えることによって行ってもよい。インプラント426は、例えば、遠位方向に差し向けられた反作用力をインプラント426に加えることによって定置に保持されてもよい。
【0105】
図26A乃至図26Dは、この詳細な説明による方法を示す、一連の断面図である。図26Aに示す図の平面は、強膜静脈洞SC及び強膜静脈洞SCに被さった線維柱体網596を横切って横方向に延びる平面である。図26Aの実施例では、カニューレ502の遠位端が強膜静脈洞SCの手前に配置されている。この詳細な説明による方法は、眼球の角膜を通してカニューレ502の遠位端を前進し、カニューレ502の遠位部分を眼球の前眼房594に配置する工程を含む。
【0106】
図26Bは、図26Aに示す強膜静脈洞SCを示す、追加の断面図である。図26Bでは、カニューレ502の遠位部分は、強膜静脈洞SCの壁W及び線維柱体網596を貫通した状態で示してある。図26Bの実施例では、カニューレ502の遠位ポート504が強膜静脈洞と流体連通している。
【0107】
図26Cは、図26Bに示す強膜静脈洞SCを示す、追加の断面図である。図26Cでは、シース520の遠位部分は、カニューレ502の遠位ポート504を通って強膜静脈洞SC内に延びる状態で示してある。本発明による方法は、インプラント526を強膜静脈洞SC内に送出するのに使用できる。これらの方法において、シース520及びコア506の遠位部分を、カニューレ502の遠位ポート504の外に強膜静脈洞SC内に前進してもよい。眼内インプラント526は、シース520を強膜静脈洞SC内に前進するとき、シース520内に配置されていてもよい。
【0108】
図26Dは、図26Cに示すインプラント526を示す追加の断面図である。図26Dの実施例では、シース520、コア506、及びカニューレ502は、全て、眼球から引っ込められている。インプラント526は、図26Cにおいて、強膜静脈洞SC内で休止状態にある。
【0109】
図26は、この詳細な説明による追加の実施例を示す断面図である。図26に示す図の平面は、強膜静脈洞SC及び強膜静脈洞SCに被さった線維柱体網596を横切って横方向に延びる平面である。図26の実施例では、インプラント526が強膜静脈洞に配置される。
【0110】
図27A及び図27Bは、この詳細な説明によるシース720を示す平面図である。図27A及び図27Bを集合的に図27と呼んでもよい。図27のシース720は、内腔722を形成する近位部分750及び遠位穴754を形成する遠位部分752を含む。図27を参照すると、内腔722が、全体として、遠位穴754よりも大きいということは理解されよう。
【0111】
図27Aの実施例では、シース720の遠位部分752は、第1領域756、第2領域758、及び第1領域756と第2領域758との間の壊れやすい連結部760を含む。図27Aでは、遠位部分752に形成された第1スリット764が、第1領域756と第2領域758との間に配置されている。図27Aの実施例では、壊れやすい連結部760は、第1スリット764を横切って延びるブリッジ762を含む。図27Aを参照すると、遠位部分752には、第1スリット764の他に多くのスリットが設けられているということは理解されよう。
【0112】
図27Bの実施例では、壊れやすい連結部760は壊されている。壊れやすい連結部760は、例えば、遠位開口部754の直径及びシース720の遠位部分752の直径よりも大径の内腔722に配置されたインプラントに対してシース720を近位方向に移動することによって選択的に壊してもよい。図27を参照すると、壊れやすい連結部760が壊されたとき、遠位穴754が大きくなるということは理解されよう。
【0113】
図27の実施例では、スリット764が設けられているため、シース720の遠位部分752に局所的弱め線が形成される。この局所的弱め線により、遠位部分752は図27に示すように選択的に引き裂かれるのである。遠位部分752は、この詳細な説明の精神及び範囲から逸脱することなく、局所的弱め線を形成する様々なエレメントを含んでいてもよいということは理解されるべきである。可能なエレメントの例には、遠位部分720の壁を通って部分的に延びる薄い削り線即ちスカイブカット、遠位部分720の壁を通って延びる一連の穴、ミシン目線、折り目線、及び刻み線が含まれる。
【0114】
図27では、シース720の遠位部分752は、遠位開口部754と内腔722との間を延びる。図27の実施例では、シース720の遠位部分752は丸みを帯びた形状を有する。シース720の遠位部分752が丸みを帯びた形状を有するため、シース720を強膜静脈洞内に前進したときに強膜静脈洞を拡張する非外傷性移行部が形成される。この構成により、シース720を強膜静脈洞内に前進したとき、強膜静脈洞の壁が削り取られることがない。
【0115】
本発明の実施例を図示し且つ説明したが、これに対して変更を行ってもよく、従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神及び範囲内の全てのこのような変形及び変更を含もうとするものである。
【符号の説明】
【0116】
20 眼球
23 隅角レンズ
25 顕微鏡
30 虹彩
32 瞳孔
34 強膜
36 角膜
38 角膜縁
40 水晶体
42 毛様体小帯
100 送出システム
102 カニューレ
104 遠位開口部
124 通路
126 眼内インプラント
AC 前眼房
H ハンドル
P 患者
PC 後眼房
RH 右手
SC 強膜静脈洞

【特許請求の範囲】
【請求項1】
瞳孔を形成する虹彩を持つ眼球の強膜静脈洞の一部に少なくとも一部が置かれるようになった眼内インプラントにおいて、
第1主表面及び第2主表面を持つ本体を含み、
前記本体は、前記第1主表面が凹状表面を含み、前記第2主表面が凸状表面を含むように長さ方向中央軸線を中心として湾曲しており、
前記本体の遠位部分が、チャンネル開口部を持つ長さ方向チャンネルを形成し、前記チャンネル開口部は、前記凹状表面の中央部分と直径方向反対側に配置されており、
前記本体は、前記眼内インプラントを強膜静脈洞に配置したとき、前記チャンネル開口部が強膜静脈洞の主側部と隣接する配向を前記眼内インプラントがとるようになっており、そのように形成されている、眼内インプラント。
【請求項2】
請求項1に記載の眼内インプラントにおいて、
前記チャンネルは、前記チャンネル開口部が強膜静脈洞の外主側部と隣接したとき、瞳孔から遠ざかる方向に開放しており、前記外主側部は、前記強膜静脈洞の内主側部よりも前記瞳孔から遠い、眼内インプラント。
【請求項3】
請求項1に記載の眼内インプラントにおいて、
前記チャンネルは所定の幅及び深さを有し、
前記幅の前記深さに対するアスペクト比は、前記眼内インプラントが強膜静脈洞に配置されたとき、前記チャンネル開口部が強膜静脈洞の主側部と隣接する配向を前記眼内インプラントがとるようなアスペクト比である、眼内インプラント。
【請求項4】
請求項3に記載の眼内インプラントにおいて、
前記幅の前記深さに対するアスペクト比は、1よりも大きい、眼内インプラント。
【請求項5】
請求項4に記載の眼内インプラントにおいて、
前記幅の前記深さに対するアスペクト比は、約2である、眼内インプラント。
【請求項6】
請求項1に記載の眼内インプラントにおいて、
前記本体は、第1横方向範囲、第2横方向範囲、及び長さ方向軸線長さを有し、
前記第1横方向範囲の前記第2横方向範囲に対するアスペクト比は、前記眼内インプラントを強膜静脈洞に配置したとき、前記チャンネル開口部が強膜静脈洞の主側部と隣接する配向を前記眼内インプラントをとるようなアスペクト比である、眼内インプラント。
【請求項7】
請求項6に記載の眼内インプラントにおいて、
前記第1横方向範囲の前記第2横方向範囲に対するアスペクト比は、1よりも大きい、眼内インプラント。
【請求項8】
請求項7に記載の眼内インプラントにおいて、
前記第1横方向範囲の前記第2横方向範囲に対するアスペクト比は、約2である、眼内インプラント。
【請求項9】
請求項1に記載の眼内インプラントにおいて、
前記本体は、前記長さ方向中央軸線を中心として湾曲しているため、前記本体の前記遠位部分は、180°よりも小さい角度に亘って延びている、眼内インプラント。
【請求項10】
請求項1に記載の眼内インプラントにおいて、
前記本体には、前記チャンネルと流体連通した追加の開口部が形成されており、前記インプラントの前記本体は、前記本体に形成された開口部により、50%よりも大きく開放している、眼内インプラント。
【請求項11】
請求項1に記載の眼内インプラントにおいて、
前記本体の直径は、約0.127mm乃至約1.016mm(約0.005インチ乃至約0.04インチ)である、眼内インプラント。
【請求項12】
請求項1に記載の眼内インプラントにおいて、更に、
前記本体に付着した治療剤を含む、眼内インプラント。
【請求項13】
請求項12に記載の眼内インプラントにおいて、
前記治療剤は、抗緑内障薬を含む、眼内インプラント。
【請求項14】
請求項13に記載の眼内インプラントにおいて、
前記抗緑内障薬は、プロスタグランジン類似体を含む、眼内インプラント。
【請求項15】
請求項14に記載の眼内インプラントにおいて、
前記プロスタグランジン類似体は、ラタノプロストを含む、眼内インプラント。
【請求項16】
請求項1に記載の眼内インプラントにおいて、
前記本体は、前記凹状表面と前記凸状表面との間を延びる厚さを有する、眼内インプラント。
【請求項17】
請求項16に記載の眼内インプラントにおいて、
前記本体の前記厚さは、前記本体の長さに沿って実質的に均等である、眼内インプラント。
【請求項18】
請求項16に記載の眼内インプラントにおいて、
前記本体の前記厚さは、前記本体の周囲に沿って実質的に均等である、眼内インプラント。
【請求項19】
請求項1に記載の眼内インプラントにおいて、
前記本体は横方向中央軸線を中心として湾曲しており、前記本体の長さ方向軸線が平面を形成する、眼内インプラント。
【請求項20】
請求項19に記載の眼内インプラントにおいて、
前記本体は、前記横方向中央軸線と前記本体の外範囲との間を延びる横方向曲率半径を有する、眼内インプラント。
【請求項21】
請求項20に記載の眼内インプラントにおいて、
前記横方向曲率半径は実質的に一定である、眼内インプラント。
【請求項22】
請求項21に記載の眼内インプラントにおいて、
前記横方向曲率半径は前記本体の長さに沿って変化する、眼内インプラント。
【請求項23】
前眼房を形成する角膜、前眼房内に配置された虹彩、及び虹彩を全体に取り囲む強膜静脈洞を持つ眼球を治療するための眼内インプラントシステムにおいて、
遠位開口部、近位開口部、及び前記近位開口部と前記遠位開口部との間を延びる通路を形成するチューブ状部材を含む送出カニューレを含み、
前記送出カニューレは、前記遠位開口部と前記近位開口部との間に配置された湾曲部分を含み、前記送出カニューレは、前記カニューレが眼球の角膜を通って延び、前記カニューレの前記湾曲部分の少なくとも一部が前記眼球の前記前眼房内に配置されたとき、前記遠位開口部を強膜静脈洞と流体連通状態に置くことができるようになっており、そのように形成されており、
前記インプラントシステムは、前記送出カニューレが形成する前記通路内に配置された眼内インプラントを含み、前記眼内インプラントは、第1主表面及び第2主表面を持つ本体を含み、前記本体は、前記第1主表面が凹状表面を含み、前記第2主表面が凸状表面を含むように長さ方向中央軸線を中心として湾曲しており、前記本体の遠位部分は、チャンネル開口部を含む長さ方向チャンネルを形成し、
前記眼内インプラントは、前記送出カニューレに対し、前記眼内インプラントが前記送出カニューレの前記湾曲部分を通過するとき、前記眼内インプラントの前記チャンネルが半径方向外方に開放するように配向されている、システム。
【請求項24】
前眼房を形成する角膜、前眼房内に配置された虹彩、及び虹彩を全体に取り囲む強膜静脈洞を持つ眼球を治療するための眼内インプラントシステムにおいて、
第1主表面及び第2主表面を持つ本体を含む眼内インプラントを含み、前記本体は、前記本体は、前記第1主表面が凹状表面を含み、前記第2主表面が凸状表面を含むように長さ方向中央軸線を中心として湾曲しており、前記本体の遠位部分は、チャンネル開口部を含む長さ方向チャンネルを形成し、前記本体は、前記チャンネルと流体連通した追加の開口部を形成し、更に、
前記眼内インプラントの前記本体の周囲に配置されたシースを含み、前記シースは、 前記開口部の少なくとも幾つかを覆い、前記シースは、前記開口部を露出するため、前記本体から選択的に除去できるようになっており、そのように形成されている、システム。
【請求項25】
請求項24に記載のシステムにおいて、更に、
遠位開口部、近位開口部、前記近位開口部と前記遠位開口部との間を延びる通路を形成するチューブ状部材を含む送出カニューレを含み、
前記送出カニューレは、前記遠位開口部と前記近位開口部との間に配置された湾曲部分を含み、前記送出カニューレは、前記カニューレが眼球の角膜を通って延び、前記カニューレの前記湾曲部分の少なくとも一部が前記眼球の前記前眼房内に配置されたとき、前記遠位開口部を強膜静脈洞と流体連通状態に置くことができるようになっており、そのように形成されており、
前記眼内インプラントは、前記カニューレが形成する前記通路に配置されており、前記眼内インプラントは、前記送出カニューレに対し、前記眼内インプラントが前記送出カニューレの前記湾曲部分を通過するとき、前記眼内インプラントの前記チャンネルが半径方向外方に開放するように配向されている、システム。
【請求項26】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記眼内インプラントの前記本体は、前記長さ方向中央軸線を中心として湾曲しているため、180°よりも小さい角度に亘って延びている、システム。
【請求項27】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記インプラントの前記本体は、前記本体に形成された開口部により、50%よりも大きく開放している、システム。
【請求項28】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記本体の直径は、約0.127mm乃至約1.016mm(約0.005インチ乃至約0.04インチ)である、システム。
【請求項29】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記シースは、内腔を形成する近位部分及び遠位穴を形成する遠位部分を含み、
前記内腔は内腔幅を有し、
前記遠位穴は穴幅を有する、システム。
【請求項30】
請求項29に記載のシステムにおいて、
前記穴幅は前記内腔幅よりも小さい、システム。
【請求項31】
請求項29に記載のシステムにおいて、
前記遠位部分は、前記内腔幅から前記穴幅までの移行部を提供する、システム。
【請求項32】
請求項29に記載のシステムにおいて、
前記内腔幅は前記インプラントの幅と等しいか或いはこれよりも大きく、
前記穴幅は前記インプラントの幅よりも小さい、システム。
【請求項33】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記遠位部分は、第1領域、第2領域、及び前記第1領域と前記第2領域との間に配置されたスリットを含む、システム。
【請求項34】
請求項24に記載のシステムにおいて、更に、
前記第1領域と前記第2領域との間に壊れやすい連結部を含む、システム。
【請求項35】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記壊れやすい連結部は、前記スリットを横切って延びるブリッジを含む、システム。
【請求項36】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記遠位部分は、第1領域、第2領域、及び前記第1領域と前記第2領域との間の壊れやすい連結部を含む、システム。
【請求項37】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記遠位穴の前記穴幅は、前記壊れやすい連結部が壊れたとき、大きくなる、システム。
【請求項38】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記シースの前記遠位部分は第1たが強度を有し、
前記シースの前記近位部分は第2たが強度を有し、
前記第2たが強度は前記第1たが強度よりも大きい、システム。
【請求項39】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記遠位部分のたが強度は、前記壊れやすい連結部によって制限される、システム。
【請求項40】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記シースの前記遠位部分は、前記インプラントの遠位端を越えて延びている、システム。
【請求項41】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記壊れやすい連結部は、前記シースを前記インプラントに対して近位方向に移動したときに壊れる、システム。
【請求項42】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記シースの前記遠位部分はテーパ形状を有する、システム。
【請求項43】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記シースの前記遠位部分は丸みを帯びた形状を有する、システム。
【請求項44】
請求項24に記載のシステムにおいて、更に、
前記インプラントの前記長さ方向チャンネルに置かれたコアを含む、システム。
【請求項45】
請求項24に記載のシステムにおいて、更に、
前記インプラントの近位端と接触するプッシュチューブを含む、システム。
【請求項46】
請求項24に記載のシステムにおいて、更に、
カニューレを含む、システム。
【請求項47】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記コア、前記プッシュチューブ、及び前記シースは、前記カニューレが形成する内腔内に延びている、システム。
【請求項48】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記インプラントは、前記カニューレが形成する内腔内に配意されている、システム。
【請求項49】
眼内インプラントを患者の眼球の強膜静脈洞に挿入するための方法において、
第1主表面及び第2主表面を持つ本体を含む眼内インプラントを提供する工程であって、前記本体は、前記第1主表面が凹状表面を含み、前記第2主表面が凸状表面を含むように長さ方向中央軸線を中心として湾曲しており、前記本体の遠位部分は、チャンネル開口部を持つ長さ方向チャンネルを形成し、前記本体には、前記チャンネルと流体連通した追加の開口部が形成されている、工程と、
前記開口部の少なくとも幾つかを覆う工程と、
前記開口部の少なくとも幾つかが覆われた状態で前記インプラントの少なくとも遠位部分を強膜静脈洞内に前進する工程と、
前記インプラントの前記遠位部分が前記強膜静脈洞に配置されたとき、前記開口部の少なくとも幾つかを覆われた状態から解放する工程とを含む、方法。
【請求項50】
請求項49に記載の方法において、更に、
前記チャンネル開口部が強膜静脈洞の外主側部と隣接するように前記眼内インプラントを配向する工程を含む、方法。
【請求項51】
請求項49に記載の方法において、更に、
カニューレの遠位端を眼球の角膜を通して前進する工程と、
前記カニューレの遠位部分を眼球の前眼房に挿入する工程とを含む、方法。
【請求項52】
請求項49に記載の方法において、
前記穴の少なくとも幾つかを覆う工程は、前記インプラントの少なくとも一部にシースを被せる工程を含む、方法。
【請求項53】
請求項49に記載の方法において、
前記穴の少なくとも幾つかを覆われた状態から解放する工程は、前記シースを前記インプラントに対して近位方向に移動する工程を含む、方法。
【請求項54】
請求項53に記載の方法において、
前記穴の少なくとも幾つかを覆われた状態から解放する工程は、前記シースの壊れやすい連結部を壊す工程を含む、方法。
【請求項55】
請求項54に記載の方法において、
前記シースの前記壊れやすい連結部は、前記シースを前記インプラントに対して近位方向に移動したときに壊れる、方法。
【請求項56】
請求項55に記載の方法において、
前記シースを前記インプラントに対して近位方向に移動することにより、前記シースの前記壊れやすい連結部を壊す、方法。
【請求項57】
請求項56に記載の方法において、
前記シースを前記インプラントに対して近位方向に移動する工程は、遠位方向に差し向けられた反作用力を前記インプラントに加えながら近位方向に差し向けられた力を前記シースに加える工程を含む、方法。
【請求項58】
請求項57に記載の方法において、
遠位方向に差し向けられた反作用力を前記インプラントに加える工程は、前記インプラントの近位端をプッシュチューブで押す工程を含む、方法。
【請求項59】
請求項58に記載の方法において、
前記シースを前記インプラントに対して近位方向に移動する工程は、前記インプラントを定置に保持しながら前記シースに近位方向に差し向けられた力を加える工程を含む、方法。
【請求項60】
請求項59に記載の方法において、
前記インプラントを定置に保持する工程は、前記インプラントの近位端をプッシュチューブの遠位端と接触する工程及び前記プッシュチューブを定置に保持する工程を含む、方法。
【請求項61】
請求項49に記載の方法において、
前記インプラントの少なくとも遠位部分を強膜静脈洞内に前進する工程は、前記インプラントの遠位部分だけを強膜静脈洞内に前進する工程を含む、方法。
【請求項62】
請求項49に記載の方法において、更に、
コアの遠位部分を強膜静脈洞内に前進する工程を含む、方法。
【請求項63】
請求項62に記載の方法において、更に、
シースの遠位部分を強膜静脈洞内に前進する工程を含む、方法。
【請求項64】
請求項63に記載の方法において、更に、
強膜静脈洞から前記コアを引っ込める工程を含む、方法。
【請求項65】
請求項64に記載の方法において、更に、
強膜静脈洞から前記シースを引っ込める工程を含む、方法。
【請求項66】
請求項65に記載の方法において、
前記コア及び前記シースは強膜静脈洞から同時に引っ込められる、方法。
【請求項67】
請求項49に記載の方法において、更に、
前記眼内インプラントが形成するチャンネルにコアを配置する工程を含む、方法。
【請求項68】
請求項67に記載の方法において、更に、
前記コアを前記眼内インプラントが形成する前記チャンネルから引っ込める工程を含む、方法。
【請求項69】
請求項68に記載の方法において、
前記コアを前記眼内インプラントから引っ込める工程は、前記インプラントに遠位方向に差し向けられた反作用力を加えながら前記コアに近位方向に差し向けられた力を加える工程を含む、方法。
【請求項70】
請求項69に記載の方法において、
前記インプラントに遠位方向に差し向けられた反作用力を加える工程は、前記インプラントの近位端をプッシュチューブで押す工程を含む、方法。
【請求項71】
請求項70に記載の方法において、
前記コアを前記眼内インプラントが形成する前記チャンネルから引っ込める工程は、前記インプラントを定置に保持しながら前記コアに近位方向に差し向けられた力を加える工程を含む、方法。
【請求項72】
請求項71に記載の方法において、
前記インプラントを定置に保持する工程は、前記インプラントの近位端をプッシュチューブの遠位端と接触する工程、及び前記プッシュチューブを定置に保持する工程を含む、方法。
【請求項73】
請求項49に記載の方法において、更に、
前記インプラントの近位部分が眼球の前眼房内にあり、前記インプラントの遠位部分が強膜静脈洞にある状態で前記強膜静脈洞内への前記シースの前進を停止する工程を含む、方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図20】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図25D】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図26D】
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【図27A】
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【図27B】
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【公表番号】特表2012−532700(P2012−532700A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519782(P2012−519782)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/041589
【国際公開番号】WO2011/006113
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(510081414)イバンティス インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】