説明

眼内レンズ支持体

【課題】眼内レンズの形状変形を誘導し、眼内レンズが天然水晶体の動作と類似な動きを持つように作用する眼内レンズ支持体を提供する。
【解決手段】水晶体嚢の内部に挿入される眼内レンズ支持体において、前記水晶体嚢の赤道部に沿って延長される構造体であって、前記水晶体嚢の内面と少なくとも1点で接触する第1面と、前記第1面の反対面である第2面とを含み、前記構造体を水晶体視軸方向の仮想平面に沿って切断した断面において、前記第1面は、前記水晶体嚢の外面に毛様小帯が連結された領域の長さの3/4倍〜3倍の長さで設けられることを特徴とする、眼内レンズ支持体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼内レンズ支持体に係り、より詳しくは、水晶体嚢(capsular sac)内に備えられ、眼内レンズの形状変形を誘導する眼内レンズ支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶体に異常がある眼科的疾病、例えば白内障などの治療方法として、水晶体嚢の内部にある水晶体の内容物を除去し、その空間に人工の眼内レンズを挿入する手術が現在全世界的に多く施行されている。
【0003】
眼内レンズを挿入する場合、眼内レンズは、天然水晶体の代わりに患者に混濁のない視野を提供することができる。ところが、眼内レンズは、いろいろの利点にも拘らず、眼内レンズが挿入された後、眼内レンズ入りの水晶体嚢が手術の後に収縮するという問題点を持つ。
【0004】
したがって、最近では、眼内レンズの挿入前に水晶体嚢の赤道領域に水晶体嚢テンションリング(capsular tension ring)を挿入し、水晶体嚢テンションリングに眼内レンズを固定させる方法が多く用いられている。
【0005】
水晶体嚢テンションリングは、開放または閉鎖された環状体であって、水晶体嚢の収縮を一部緩和し、水晶体レンズの除去された水晶体嚢の形状を一部分維持するうえ、挿入された眼内レンズを容易に支持するという効果がある。
【0006】
現在、水晶体嚢テンションリングをさらに効率よく利用するために、水晶体嚢テンションリングの挿入を容易にする構造や、後嚢の混濁を防止するための構造などに関する研究が行われている。
【0007】
ところが、従来の眼内レンズ挿入施術におけるより大きい問題点は、手術の後、水晶体嚢の前嚢と後嚢とがお互いに付着し合って、毛様小帯(Zonule of Zinn)の弛緩と収縮を伝達して水晶体の厚さを調節する本来の機能を失ってしまうことである。
【0008】
すなわち、手術の後、患者の目は、見ようとする物体に応じて能動的な3次元運動をして視野を確保するのではなく、眼内レンズで定められる度数による手動的な視野を確保するという問題点を持つ。
【0009】
以下、添付図面を参照して、従来の技術に係る眼内レンズ挿入施術の問題点について説明する。
【0010】
図1は人間の眼球を示す断面図、図2は天然水晶体の構造を説明するための断面図である。図1および図2を参照すると、角膜(Cornea)10は、目の最も外側にある透明な無血管組織であって、眼球を保護し、水晶体と共に光の屈折率を担当する。虹彩(Iris)20は、目に入射する光の量を調節してカメラの絞りと同様の役割を担当する。また、瞳孔(Pupil)30は、虹彩20の中央に開いている孔であって、明るい光の下では大きさが縮小し、暗い所では大きさが拡大することにより、網膜40に入り込む光の量を調節する。
【0011】
水晶体(lens)50は、凸レンズ状の両面を有し、無血管で無色透明な構造物であって、虹彩20の後ろに位置する。水晶体50は、角膜10と共に、目に入射する光の屈折を担当する器官である。水晶体50の形状は、毛様体筋60およびこれに連結された毛様小帯70の収縮および弛緩によって変化する。
【0012】
老眼は、年をとるにつれて水晶体50の硬さが毎年増加し、毛様体筋60が収縮しても水晶体50の形状が変わらなくなった状態である。白内障は、年をとるにつれて水晶体50が混濁になる病気である。
【0013】
水晶体50は水晶体嚢80内に挿入されている。水晶体嚢80は、前嚢80aと後嚢80bからなり、それぞれ水晶体50の前方面51と後方面55に接する。この際、水晶体50の前方面51と後方面55とは赤道Eでお互いに連結される。各前方面51と後方面55は赤道Eからの距離によって中央部aと赤道部bに区分される。前方面51の中央部aは後方面55の中央部aより曲率が小さく、前方面51の赤道部bは後方面55の赤道部bより曲率が大きいという特徴がある。
【0014】
水晶体嚢80の縁部に沿って毛様小帯70が連結される。毛様小帯70は、毛様体筋60と水晶体嚢80とをお互いに連結する一種の繊維組織であって、水晶体嚢80の前嚢80aと後嚢80bとが出会う赤道部の中央に連結される第1小帯と、赤道部の周辺に連結される第2小帯とから構成される。
【0015】
図3および図4はそれぞれ遠距離と近距離を注視するときの毛様小帯、水晶体および水晶体嚢の作用を説明するための説明図である。本明細書において、Y方向は水晶体の視軸方向、X方向は水晶体の赤道方向をそれぞれ意味する。水晶体の視軸方向は瞳孔を介して水晶体50に光が入射する方向であり、水晶体の赤道方向は視軸方向に対して垂直な方向であって、前嚢と後嚢とが出会う地点を連結する方向である。
【0016】
遠距離を注視するときには、毛様小帯70のうち水晶体嚢80の赤道部の中央に連結される第1小帯73はぴんと張っており、水晶体嚢80の赤道部の周辺に連結される第2小帯71は緩んでいる。これにより、水晶体嚢80が水晶体50のX方向に伸び、内部に位置した水晶体50も同じ方向に伸びる。
【0017】
近距離を注視するときには、毛様小帯70のうち水晶体嚢80の赤道部の中央に連結される第1小帯73は緩んでおり、水晶体嚢80の赤道部の周辺に連結される第2小帯71はぴんと張っている。これにより、水晶体嚢80が水晶体50のY方向に膨らみ、内部に位置した水晶体50も同じ方向に伸びる。上述したように、天然水晶体を内部に持つ水晶体嚢80は、毛様小帯70に連結され、能動的に天然水晶体の形状を変形させることに関与するが、従来の技術に係る眼内レンズおよび水晶体嚢テンションリングを使用する場合、水晶体嚢は収縮してその機能を実質的に失ってしまう。
【0018】
特に、毛様小帯に連結されて水晶体の形状変形に関与する毛様体筋は、死亡時まで疲れずに機能を維持する内眼筋であって、水晶体の損傷があっても毛様体筋の能力は損傷しないという点に鑑みて、健康な毛様体筋の能力を人為的に消滅させる従来の方式の改善が切実に求められる。
【0019】
一方、従来の眼内レンズおよび水晶体嚢テンションリングは、特許文献1、特許文献2および特許文献3などの多数の文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許公開第2006−0244904号明細書
【特許文献2】米国特許公開第2006−0001186号明細書
【特許文献3】米国特許公開第2003−0149479号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためのもので、その目的とするところは、眼内レンズの形状変形を誘導し、眼内レンズが天然水晶体の動作と類似な動きを持つように作用する眼内レンズ支持体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために、本発明によれば、水晶体嚢の内部に挿入される眼内レンズ支持体において、前記水晶体嚢の赤道部に沿って延長される構造体であって、前記水晶体嚢の内面と少なくとも1点で接触する第1面と、前記第1面の反対面である第2面とを含み、前記構造体を水晶体視軸方向の仮想平面に沿って切断した断面において、前記第1面は、前記水晶体嚢の外面に毛様小帯が連結された領域の長さの3/4倍〜3倍の長さで設けられることを特徴とする、眼内レンズ支持体を提供する。
【0023】
この際、前記第1面は、前記構造体を水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断した断面において長さが2mm〜8mmであってもよい。
【0024】
また、前記眼内レンズ支持体は、両端部がお互いに連結されている環状構造体であってもよい。
【0025】
また、前記眼内レンズ支持体は、両端部がお互いに連結されていない環状構造体であってもよい。
【0026】
また、前記環状構造体の少なくとも一区間には、他の区間よりさらに柔軟な柔軟性材料が使用された柔軟性連結部を含んでもよい。
【0027】
また、前記第1面と前記第2面は、前記第2面から前記第1面に向かう方向に膨らんでいることが好ましい。
【0028】
また、前記第1面は、水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断された断面において一端部から他端部までの第1延長長さを有し、前記第2面は、水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断された断面において一端部から他端部までの第2延長長さを有し、前記第2面の延長長さは、前記第1面の延長長さと同じまたはより短いことが好ましい。
【0029】
また、前記第2面の延長長さは、前記第1面の延長長さの0.4倍〜1倍であることが好ましい。
【0030】
また、前記第1面と前記第2面との間には空間が設けられ、前記空間には液体、気体および固体よりなる群から選ばれるいずれか一つが含まれることが好ましい。
【0031】
また、前記第1面は、前記第2面よりさらに柔軟性のある材質で構成されてもよい。
【0032】
また、前記第1面を成す膜の材質と前記第2面を成す膜の材質とが同一であり、前記第1面を成す膜が前記第2面を成す膜よりさらに薄く構成されることが好ましい。
【0033】
また、前記第1面を成す膜と、前記第2面を成す膜とは同一の材質および同一の厚さで構成されることが好ましい。
【0034】
また、前記液体は、水、シリコーン、ヒアルロン酸ナトリウム(Sodium hyaluronate)、コンドロイチン硫酸(Chondroitin sulfate)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropyl methylcellulose)およびポリアクリルアミド(Polyacrylamide)よりなる群から選ばれるいずれか一つであることが好ましい。
【0035】
また、前記気体は、空気、窒素、ヘリウム、ネオンおよびアルゴンよりなる群から選ばれるいずれか一つであることが好ましい。
【0036】
また、前記固体は、流動性固体であることが好ましい。
【0037】
また、前記第1面は、前記水晶体嚢の赤道によって区分される前嚢と後嚢にそれぞれ対応する前面部と後面部を含み、前記第1面を水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断した断面において、前記前面部の曲率は前記後面部の曲率よりさらに大きいことが好ましい。
【0038】
また、前記第1面の水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断された断面形状は、人間の天然水晶体の赤道部の断面形状と一致することが好ましい。
【0039】
また、前記第1面の水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断された断面形状において、赤道から前記前面部の終点までの延長長さおよび赤道から前記後面部の終点までの延長長さは1mm〜4.2mmであることが好ましい。
【0040】
また、前記赤道から前記前面部の終点までの延長長さは、前記赤道から後面部の終点までの延長長さより短いことが好ましい。
【0041】
また、前記眼内レンズ支持体の材料は、シリコーン(Silicone)、シリコーンエラストマー(Silicone elastomer)、シリコーンポリマー(Silicone polymer)、ポリジメチルシロキサン(Polydimethyl siloxane)、ポリプロピレン(Polypropylene)、ポリイミド(Polyimide)、ポリブテステル(Polybutester)、PMMA(polymethyl methacrylate)、マイクロプレクスPMMA(Microplex PMMA)、CQ−UV PMMA、アクリル樹脂(Acrylic)、硬性アクリル(Rigid acrylic)、柔軟性アクリル(Flexible acrylic)、アクリルプラスチック(Acrylate plastic)、疎水性アクリル(Hydrophobic acrylic)、親水性アクリル(Hydrophilic acrylic)、親水性アクリル高分子(Hydrophilic acrylic polymer)、紫外線吸収アクリレート(UV absorbing acrylate)、メタクリレートコポリマー(Methacrylate copolymer)、ブチルアクリレート(Butyl acrylate)、ポリシロキサンエラストマー(Polysiloxane elastomer)、紫外線吸収ポリシロキサン(UV absorbing polysiloxane)、コラーゲンコポリマー(Collagen copolymer)、金(Gold)、ヒドロゲル(Hydrogel)、HEMA(2-hydroxyethyl methacrylate)、MMA(methyl methacrylate)、CAB(cellulose acetate butylate)、2−HAMA(2-hydroxy ethyl methacrylate)、NVP(n-vinyl pyrrolidone)、PVP(polyvinyl pyrrolidone)、MA(methacrylic acid)、GMA(glycerol methacrylate)、DMS(dimethyl siloxane)、PHEMA(polyhydroxyethyl methacrylate)、PEGMMA(polyethylenehlycol methacrylate) 、ポリHEMAヒドロゲロ(Poly HEMA hydrogel)、紫外線吸収ポリHEMAヒドロゲル(poly HEMA hydrogel with UV absorption)、シリコーンヒドロゲル(Silicone hydrogels)、GMA/HEMA、HEMA/PVP/MA、PVA、HEMA/PVA/MA、HEMA/PVA/MMA、HEMA/MMA、HEMA/NVP、HEMA/NVP/MA、HEMA/NVP/MMA、HEMA/アクリル、およびHEMA/PCよりなる群から選ばれるいずれか一つであることが好ましい。
【0042】
また、前記第1面の表面は、他の部分の表面より粗さが大きいことが好ましい。
【0043】
また、前記第1面の表面には、前記水晶体嚢への装着を容易にする装着材がさらに含まれたことが好ましい。
【0044】
また、前記装着材は、組織グルー(Tissue Glue)またはグルー(Glue)であることが好ましい。
【0045】
また、前記眼内レンズ支持体は環状構造体であり、前記眼内レンズ支持体の前記第1面の赤道直径は前記水晶体嚢の内面の赤道直径と同一であることが好ましい。
【発明の効果】
【0046】
本発明に係る眼内レンズ支持体は、毛様体筋から発生して毛様小帯および水晶体嚢を介して伝達される力を、水晶体嚢の内部に挿入される眼内レンズに伝達することにより、眼内レンズが天然水晶体レンズと同様に動作することを可能にするという効果がある。
【0047】
したがって、本発明に係る眼内レンズ支持体は、白内障、老眼、高度近視などを治療するための眼内レンズ挿入手術に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】人間の眼球を示す断面図である。
【図2】天然水晶体の構造を説明する断面図である。
【図3】遠距離を注視するときの毛様小帯、水晶体および水晶体嚢の相互作用を説明するための説明図である。
【図4】近距離を注視するときの毛様小帯、水晶体および水晶体嚢の相互作用を説明するための説明図である。
【図5】本発明の第1実施例に係る眼内レンズ支持体の斜視図である。
【図6】図3のI−I’線に沿った断面図である。
【図7】本発明の第1実施例に係る眼内レンズ支持体に第1形態の眼内レンズを結合した場合を示す斜視図である。
【図8】図5のI−I’線に沿った断面図である。
【図9】本発明の第1実施例に係る眼内レンズ支持体に第2形態の眼内レンズを結合した場合を示す斜視図である。
【図10】本発明の第1実施例によって遠距離を注視するときの毛様小帯、眼内レンズ、眼内レンズ支持体および水晶体嚢の相互作用を説明するための説明図である。
【図11】本発明の第1実施例によって近距離を注視するときの毛様小帯、眼内レンズ、眼内レンズ支持体および水晶体嚢の相互作用を説明するための説明図である。
【図12】本発明の第2実施例に係る眼内レンズ支持体の斜視図である。
【図13】図8のI−I’線に沿った断面図である。
【図14】本発明の第2実施例によって遠距離を注視するときの毛様小帯、眼内レンズ、眼内レンズ支持体および水晶体嚢の相互作用を説明するための説明図である。
【図15】本発明の第2実施例によって近距離を注視するときの毛様小帯、眼内レンズ、眼内レンズ支持体および水晶体嚢の相互作用を説明するための説明図である。
【図16】本発明の第3実施例に係る眼内レンズ支持体の斜視図である。
【図17】本発明の第4実施例に係る眼内レンズ支持体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
【0050】
図5は本発明の第1実施例に係る眼内レンズ支持体の斜視図である。図5によれば、眼内レンズ支持体110は、第1面111と第2面113を含み、第1面111と第2面113は閉鎖された環状の構造体を成し、第1面111を成す面と第2面113を成す膜との間には空間(図示せず)が設けられる。第1面111を成す膜と第2面113の材料及び厚さに制限はないが、一般に柔軟性のある材料を使用しあるいはさらに薄い材料を使用する場合、そうでない場合より眼内レンズ支持体110の毛様小帯の動きによる形状変形能力がさらに大きくなるであろう。
【0051】
一方、第1面111および第2面113は、お互いに同一の材料および/または厚さで形成されてもよく、お互いに異なる材料および/または厚さで形成されてもよい。
【0052】
毛様小帯の動きによる形状変形能力をより向上させるために、第1面111は前記第2面113よりさらに柔軟性のある材質で構成されてもよい。また、第1面111の材質と第2面113の材質とが同一の場合、前記第1面111が前記第2面113よりさらに薄く構成されてもよい。
【0053】
一方、空の空間に、第1面111および第2面113を成す材料と同一材料の固体を形成する場合には、第1面111と第2面113との間に隙間なく眼内レンズ支持体110の全体が一体に形成されるであろう。
【0054】
眼内レンズ支持体110は、環状構造体をなし、第1面111は環状構造体の外面を、第2面113は環状構造体の内面をなすので、赤道方向(X方向)への全体延長長さにおける第1面111の長さは第2面113の長さより長い。
【0055】
また、眼内レンズ支持体110の直径は、水晶体嚢の内面直径とほぼ同一であり、その直径はヒトによって多少流動的であるが、およそ9mm〜13mmであり、眼内レンズ支持体110の赤道部の直径は患者の水晶体の赤道部の内面直径と同一であることが好ましい。
【0056】
眼内レンズ支持体110の材料は、シリコーン(Silicone)、シリコーンエラストマー(Silicone elastomer)、シリコーンポリマー(Silicone polymer)、ポリジメチルシロキサン(Polydimethyl siloxane)、ポリプロピレン(Polypropylene)、ポリイミド(Polyimide)、ポリブテステル(Polybutester)、PMMA(polymethyl methacrylate)、マイクロプレクスPMMA(Microplex PMMA)、CQ−UV PMMA、アクリル樹脂(Acrylic)、硬性アクリル(Rigid acrylic)、柔軟性アクリル(Flexible acrylic)、アクリルプラスチック(Acrylate plastic)、疎水性アクリル(Hydrophobic acrylic)、親水性アクリル(Hydrophilic acrylic)、親水性アクリル高分子(Hydrophilic acrylic polymer)、紫外線吸収アクリレート(UV absorbing acrylate)、メタクリレートコポリマー(Methacrylate copolymer)、ブチルアクリレート(Butyl acrylate)、ポリシロキサンエラストマー(Polysiloxane elastomer)、紫外線吸収ポリシロキサン(UV absorbing polysiloxane)、コラーゲンコポリマー(Collagen copolymer)、金(Gold)、ヒドロゲル(Hydrogel)、HEMA(2-hydroxyethyl methacrylate)、MMA(methyl methacrylate)、CAB(cellulose acetate butylate)、2−HAMA(2-hydroxy ethyl methacrylate)、NVP(n-vinyl pyrrolidone)、PVP(polyvinyl pyrrolidone)、MA(methacrylic acid)、GMA(glycerol methacrylate)、DMS(dimethyl siloxane)、PHEMA(polyhydroxyethyl methacrylate)、PEGMMA(polyethylenehlycol methacrylate) 、ポリHEMAヒドロゲロ(Poly HEMA hydrogel)、紫外線吸収ポリHEMAヒドロゲル(poly HEMA hydrogel with UV absorption)、シリコーンヒドロゲル(Silicone hydrogels)、GMA/HEMA、HEMA/PVP/MA、PVA、HEMA/PVA/MA、HEMA/PVA/MMA、HEMA/MMA、HEMA/NVP、HEMA/NVP/MA、HEMA/NVP/MMA、HEMA/アクリル、およびHEMA/PCなどが使用できる。
【0057】
図6は図5のI−I’線に沿った断面図である。図6に示すように、第1面111は水晶体嚢の内面に少なくとも1点で接する面であって、第1面111は水晶体嚢の前嚢と後嚢にそれぞれ対応する区間であり、赤道Eによって区分される前面部111aと後面部111bを有する。
【0058】
水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断された断面において、第1面111の前面部111aは後面部111bより大きい曲率を有する。これは、第1面111の水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断された断面が天然水晶体レンズの赤道部の断面と同一の形状を持つようにするためであり、前述したように、水晶体中央部の前方面は、後方面より小さい曲率を持っているが、赤道部に接近しながら曲率が変わる形状だからである。
【0059】
より好ましくは、第1面111は施術患者固有の水晶体の断面形状と同様に形成される。手術前患者の水晶体の断面形状は超音波映像、CTおよびMRIなどで撮影することができ、第1面111の断面形状は散瞳時と縮瞳時の中間程度の断面形状、または3〜4mmの瞳孔サイズ時の水晶体の断面形状と一致する形状を持つことができる。
【0060】
したがって、第1面111は水晶体嚢の赤道部の内面と形状がお互いに一致する。
【0061】
水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断された断面において、第1面111は、水晶体嚢の外面に毛様小帯が連結された領域の長さ(d5、図10を参照)の3/4倍〜3倍の長さで設けられることが好ましい。3/4倍より小さい場合には、毛様小帯の動きに従って伝達される力を眼内レンズに効率よく伝達することができず、3倍より大きい場合には、眼内レンズのオプテック部を遮るおそれがある。この際、例えば、第1面111は前記構造体を水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断した断面において長さが2mm〜8mmである。
【0062】
より好ましくは、水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断された断面において、赤道Eから前面部111aの終点までの延長長さd1および赤道から後面部111bの終点までの延長長さd2は通常1mm〜4.2mmである。4.2mm超過の場合には、手術の際に挿入し難くなり、オプテック部があまり小さくなるという問題点があり、1mm未満の場合には、眼内レンズ支持体が、後述する毛様小帯の第2小帯が水晶体嚢に連結される地点より内側に設けられ、毛様体筋から発生して毛様小帯の動きに従って伝達される力を眼内レンズに碌に伝達することができないため、眼内レンズ支持体の体積変化が十分に行われないという問題点がある。
【0063】
この際、赤道Eから前面部111aの終点までの延長長さd1と、赤道Eから後面部111bの終点までの延長長さd2とは同一または異なるが、通常d2の長さがd1の長さより短い。
【0064】
一方、第1面111には、眼内レンズ支持体110が水晶体嚢によく装着されるように表面粗さを高くし、あるいは別途の装着材を使用することができる。これにより、眼内レンズ支持体110が安定な位置で固定できる。装着材としては例えば組織グルーまたはグルーが使用できる。
【0065】
第2面113は眼内レンズが結合する面である。第2面113の水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断された断面における全体延長長さd4は、第1面111の水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断した断面における全体延長長さ(d3=d1+d2)と同一またはより短くする。第2面113の水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断した断面における全体延長長さd3を第1面111の全体延長長さ(d4=d1+d2)と同一またはより短くすることは、毛様小帯から第1面111に伝達される力を第2面113に伝達するときに増幅または維持させるためである。
【0066】
すなわち、第2面113より第1面111の延長長さが短いため、第1面111の動きに従ってより多くの動きと体積変化が誘導される。これは、第1面111に毛様小帯からF1の力が伝達される場合、第2面113に伝達される力はF2(=kF1、k≧1)となるためである。この際、kはd3とd4の長さ比によって定められる定数である。d3とd4の長さ比は患者の毛様小帯の能力によって異なり、長さd4は長さd3の0.4〜1倍であることが好ましい。
【0067】
第1面111と第2面113との間の空間内には気体、液体または固体が充填される。気体としては空気、および例えば窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウムなどの不活性気体が挙げられ、液体としては水、シリコーン、ヒアルロン酸ナトリウム(Sodium hyaluronate)、コンドロイチン硫酸(Chondroitin sulfate)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropyl methylcellulose)およびポリアクリルアミド(Polyacrylamide)などが挙げられる。
【0068】
第1面111と第2面113との間の空間115に充填される材料として、流動性の高い物質を使用する場合、そうでない物質を使用する場合より眼内レンズ支持体110の毛様小帯の動きによる形状変形能力がさらに大きくなる。
【0069】
図7は本発明の第1実施例に係る眼内レンズ支持体に眼内レンズを結合させた場合を示す斜視図、図8は図7のI−I’線に沿った断面図である。
【0070】
図7および図8によれば、眼内レンズ120は、眼内レンズ支持体110によって支持されるが、眼内レンズ支持体110の第2面113と水晶体嚢の内部に挿入された眼内レンズ120のヘプテック部123とがお互いに接しながら、眼内レンズが眼内レンズ支持体110の環状の内部に位置する。
【0071】
眼内レンズ120は、瞳孔の後方に位置するオプテック部121と、オプテック部121に連結されて水晶体嚢の内部にオプテック部121を固定させるヘプテック部123とを備える。
【0072】
眼内レンズ120は、多様な形態で製作でき、特定の形態に限定されない。すなわち、ヘプテック部123はオプテック部121の縁部から連結されるが、この際、ヘプテック部123は少なくとも2つ構成されなければならず、好ましくは4つ以上構成される。
【0073】
一方、眼内レンズ120は、図9に示すように、ヘプテック部123が複数の支柱125と前記支柱同士の端部を連結する環状支持部127とからなる構造であってもよい。環状支持部127が形成される眼内レンズでは、毛様小帯の動きに従って伝達される力をさらによくオプテック部に伝達することができるという利点がある。
【0074】
以下、添付図面を参照して、本発明の第1実施例に係る眼内レンズの作用について説明する。
【0075】
図10および図11は本発明の第1実施例によってそれぞれ遠距離と近距離を注視するときの毛様小帯、眼内レンズ、眼内レンズ支持体および水晶体嚢の作用を説明するための説明図である。
【0076】
毛様小帯は水晶体嚢の外面に連結される。具体的に、毛様小帯は水晶体嚢の赤道周囲の領域で連結されるが、本明細書では、毛様小帯が連結される領域を毛様小帯連結領域Zという。
【0077】
遠距離を注視するときには、毛様小帯170のうち水晶体嚢180の毛様小帯連結領域Zの中央に連結される第1小帯173はぴんと張っており、水晶体嚢180の毛様小帯連結領域Zの赤道部の周辺に連結される第2小帯171は緩んでいる。これにより、水晶体嚢180の赤道部がX方向に伸びる力を受け、水晶体嚢180の内部に位置した弾性を持つ眼内レンズ120も同じ方向に伸びてより少し膨らむことになる。
【0078】
近距離を注視するときには、毛様小帯170のうち水晶体嚢180の毛様小帯連結領域Zの中央に連結される第1小帯173は緩んでおり、水晶体嚢180の毛様小帯連結領域Zの周辺に連結される第2小帯171はぴんと張っている。これにより、水晶体嚢180の赤道部がY方向に膨らみ、内部に位置した弾性を持つ眼内レンズ120も同じ方向に伸びる。
【0079】
この際、第1面111と第2面113との間に充填される流体115によって、支持体の毛様小帯の動きによる形状変形能力がさらに大きくなる。
【0080】
ここで、Y方向は瞳孔を介して眼内レンズ120に光が入射する方向であり、X方向は前記Y方向に対して垂直な方向である。
【0081】
このように本実施例に係る眼内レンズ支持体110を使用する場合、この眼内レンズ支持体110は、眼内レンズ120の厚さが天然水晶体と同様に調節できるようにする。すなわち、天然的な水晶体の厚さが、毛様小帯に連結された水晶体嚢180の作用によって調節されるのと同様に、本実施例に係る眼内レンズ支持体を使用する場合に眼内レンズの厚さが調節できる。
【0082】
図12は本発明の第2実施例に係る眼内レンズ支持体の斜視図である。第2実施例では、第1実施例とは異なり、第1面211と第2面213との間に空の空間が設けられていない。この主な差異点以外には、第2実施例について簡略に説明する。図12に示すように、眼内レンズ支持体210は、第1面211と第2面213を含み、第1面211と第2面213は閉鎖された一体の環状構造体を成し、第1面211と第2面213の材料および厚さに制限はないが、一般に柔軟性のある材料を使用し或いはさらに薄い材料を使用する場合、そうでない場合より眼内レンズ支持体210の毛様小帯の動きによる形状変形能力がさらに大きくなる。
【0083】
眼内レンズ支持体210は、環状構造体を成し、眼内レンズ支持体210の第1面211の直径は水晶体嚢の内面直径とほぼ同一であり、その直径はヒトによって多少流動的であるが、およそ9mm〜13mmであり、眼内レンズ支持体210の赤道部の直径は患者の水晶体の赤道部の内面直径と同一であることが好ましい。
【0084】
眼内レンズ支持体210の材料は、第1実施例と同一の材料が使用できる。
【0085】
図13は図12のI−I’線に沿った断面図である。図13に示すように、第1面211は水晶体嚢の内面に少なくとも1点で接する面であり、第1面211は水晶体嚢の前嚢と後嚢にそれぞれ対応して赤道Eによって区分される前面部211aと後面部211bを持つ。
【0086】
水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断された断面において、第1面211の前面部211aは後面部211bより大きい曲率を有する。これは、第1面211の半径方向Yに沿って切断された断面が天然水晶体レンズの赤道部の断面形状と同様に形成されるようにするためであり、前述したように、水晶体中央部の前方面は、後方面より小さい曲率を持っているが、赤道部に接近しながら曲率が変わる形状だからである。
【0087】
より好ましくは、第1面211は施術患者固有の水晶体の断面形状と同様に形成される。手術前患者の水晶体の断面形状は超音波映像、CTおよびMRIなどで撮影することができ、第1面211の断面形状は散瞳時と縮瞳時の中間程度の断面形状、または3〜4mmの瞳孔サイズ時の水晶体の断面形状と一致する形状を持つことができる。
【0088】
したがって、第1面211は水晶体嚢の赤道部の内面と形状がお互いに一致する。
【0089】
水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断された断面において、第1面211は、水晶体嚢の外面に毛様小帯が連結された領域の長さd10(図14を参照)の少なくとも3/4倍〜3倍の長さで設けられることが好ましい。3/4倍より小さい場合には、毛様小帯の動きに従って伝達される力を眼内レンズに効率よく伝達することができず、3倍より大きい場合には、眼内レンズのオプテック部を遮るおそれがある。例えば、第1面211は、前記構造体を水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断した断面において長さが2mm〜8mmである。
【0090】
より好ましくは、水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断された断面において、赤道Eから前面部211aの終点までの延長長さd6および赤道Eから後面部211bの終点までの延長長さd7は通常1mm〜4.2mmである。4.2mm超過の場合には、手術の際に挿入が難しくなり、オプテック部があまり小さくなるという問題点があり、1mm未満の場合には、眼内レンズ支持体が、毛様小帯の第2小帯が水晶体嚢に連結される地点より内側に設けられ、毛様体筋から発生して毛様小帯の動きに従って伝達される力を眼内レンズに碌に伝達することができないため、眼内レンズ支持体の体積変化が十分になされないという問題点がある。
【0091】
この際、赤道Eから前面部211aの終点までの延長長さd6と、赤道Eから後面部211bの終点までの延長長さd7は同一または異なり、通常、長さd6が長さd7より小さい。
【0092】
一方、第1面211は、眼内レンズ支持体が水晶体嚢によく装着されるように粗さを高くし、あるいは別途の装着材を使用することができる。これにより、眼内レンズ支持体が安定的な位置に固定できる。装着材としては、例えば組織グルーまたはグルーが使用できる。
【0093】
第2面213は、眼内レンズが結合する面である。第2面213の水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断した断面における全体延長長さd9は、第1面211の水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断した断面における全体延長長さ(d8=d6+d7)と同一またはより小さくする。第2面213の半径方向Yに全体延長長さd9を第1面211の全体延長長さ(d8=d6+d7)と同一またはより小さくするのは、毛様小帯から第1面211に伝達される力を第2面213に伝達するときに増幅または維持させるためである。
【0094】
すなわち、第1面211より第2面213の延長長さが短いため、第1面211の動きに従ってさらに多くの動きと体積変化が誘導される。第1面211に毛様小帯からF1の力が伝達される場合、第2面213に伝達される力はF2(=kF1、k≧1)となる。この際、kはd8とd9の長さ比によって決定される定数である。d8とd9の長さ比は患者の毛様小帯の能力によって異なり、通常、長さd9は長さd8の0.4倍〜1倍であることが好ましい。
【0095】
図14および図15は、本発明の第2実施例によってそれぞれ遠距離と近距離を注視するときの毛様小帯、眼内レンズ、眼内レンズ支持体および水晶体嚢の作用を説明するための説明図である。第1実施例と同様の作用、または第1面211と第2面213間の流体がない以外は第1実施例と同一の作用が記載される。遠距離を注視するときには、毛様小帯270のうち、水晶体嚢280の毛様小帯連結領域Zの中央に連結される第1小帯273はぴんと張っており、水晶体嚢280の毛様小帯連結領域Zの赤道部の周辺に連結される第2小帯271は緩んでいる。これにより、水晶体嚢280の赤道部がX方向に伸び、内部に位置した弾性を持つ眼内レンズ220も同じ方向に伸びてより少し膨らむことになる。
【0096】
近距離を注視するときには、毛様小帯270のうち、水晶体嚢280の毛様小帯連結領域Zの中央に連結される第1小帯273は緩んでおり、水晶体嚢280の毛様小帯連結領域Zの周辺に連結される第2小帯271はぴんと張っている。これにより、水晶体嚢280の赤道部がY方向に膨らみ、内部に位置した弾性を持つ眼内レンズ220も同じ方向に伸びる。
【0097】
ここで、Y方向は瞳孔を介して眼内レンズ220に光が入射する方向であり、X方向は前記Y方向に対して垂直な方向である。
【0098】
このように本実施例に係る眼内レンズ支持体210を使用する場合、この眼内レンズ支持体210は、眼内レンズ220の厚さが天然水晶体と同様に調節できるようにする。すなわち、天然水晶体の厚さが毛様小帯に連結された水晶体嚢280の作用によって調節されるのと同様に、本実施例に係る眼内レンズ支持体を使用する場合、眼内レンズも厚さが調節できる。特に、本実施例に係る眼内レンズ支持体210は、第1実施例に比べて毛様小帯の動きの伝達能力が弱いので、毛様小帯の動きがより円滑な患者に適する。
【0099】
図16は本発明の第3実施例に係る眼内レンズ支持体の斜視図である。第3実施例においても、第1実施例と重複される説明を避け、その差異点のみを説明する。第3実施例の眼内レンズ支持体310は、閉鎖された環状の構造体であって、少なくとも一つの区間に、他の区間より高い柔軟性を示す柔軟性連結部350を持つ。
【0100】
柔軟性連結部350は、水晶体嚢のより小さい切開であって、眼内レンズ支持体310の水晶体嚢への挿入を可能にする。すなわち、眼内レンズ支持体310を水晶体嚢に挿入する場合、柔軟性連結部350が曲げられることにより、小さい切開部分を介しても眼内レンズ支持体310を水晶体嚢に挿入することができる。
【0101】
図17は本発明の第4実施例に係る眼内レンズ支持体の斜視図である。第4実施例の眼内レンズ支持体410は、閉鎖された環状構造ではなく、開放された環状構造を取り、第4実施例と同様に少なくとも一つの柔軟性連結部450を有する。これにより、より切開部分を小さくしながらも、眼内レンズを水晶体嚢の内部に挿入することができる。
【0102】
本発明について好適な実施例を参照して記述および説明したが、種々の変更または修正が本発明の要旨と範囲から逸脱することなく可能である。
【0103】
前述した本発明の権利範囲は請求の範囲で定められるべきであり、明細書の本文の記載に拘束されず、請求の範囲の均等範囲に属する変形および変更はいずれも本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0104】
10 角膜
20 虹彩
30 瞳孔
40 網膜
50 水晶体
60 毛様体筋
70 毛様小帯
71 第2小帯
73 第1小帯
80 水晶体嚢(Capsular sac)
110、210、310 眼内レンズ支持体
111 第1面
111a 前面部
111b 後面部
113 第2面
120 眼内レンズ
121 オプテック(optic)部
123 ヘプテック(haptic)部
125 支柱
127 環状支持部
250、350 柔軟性連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶体嚢の内部に挿入される眼内レンズ支持体において、
前記水晶体嚢の赤道部に沿って延長される両端部がお互いに連結されている環状構造体であって、前記水晶体嚢の赤道部の内面と接触する第1面と、前記第1面の反対面である第2面とを含み、
前記水晶体嚢に挿入される前の前記眼内レンズ支持体を水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断した断面において、
前記第1面は、前記水晶体嚢の外面に毛様小帯が連結された領域(d5、d10)の長さの3/4倍〜3倍の長さで設けられ、長さが2mm〜8mmであり、
前記第1面および前記第2面は、前記第2面から前記第1面に向かう方向に膨らんでおり、
前記第1面は、一端部から他端部までの第1延長長さ(d3、d8)を有し、前記第2面は、一端部から他端部までの第2延長長さ(d4、d9)を有し、前記第2面の延長長さ(d4、d9)は、第1面の延長長さの0.4倍〜1倍であり、
前記第1面は、前記水晶体嚢の赤道によって区分される前嚢と後嚢にそれぞれ対応する前面部と後面部を含み、
前記前面部と前記後面部が合う前記赤道部には、前記前面部の曲率は後面部の曲率よりさらに大きい区間が含まれる眼内レンズ支持体。
【請求項2】
前記第1面の水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断された断面形状において、前記赤道から前記前面部の終点までの延長長さおよび前記赤道から前記後面部の終点までの延長長さは1mm〜4.2mmであることを特徴とする、請求項1に記載の眼内レンズ支持体。
【請求項3】
前記赤道から前記前面部の終点までの延長長さは、前記赤道から前記後面部の終点までの延長長さより短いことを特徴とする、請求項2に記載の眼内レンズ支持体。
【請求項4】
前記第1面の水晶体視軸方向(Y方向)の仮想平面に沿って切断された断面形状は、人間の天然水晶体の赤道部の断面形状と一致することを特徴とする、請求項3に記載の眼内レンズ支持体。
【請求項5】
前記眼内レンズ支持体は環状構造体であり、前記眼内レンズ支持体の前記第1面の赤道直径は前記水晶体嚢の内面赤道直径と同一であることを特徴とする、請求項2に記載の眼内レンズ支持体。
【請求項6】
前記第1面の表面は、他の部分の表面より粗さが大きいことを特徴とする、請求項2に記載の眼内レンズ支持体。
【請求項7】
前記第1面の表面には、前記水晶体嚢への装着を容易にする装着材がさらに含まれたことを特徴とする、請求項2に記載の眼内レンズ支持体。
【請求項8】
前記装着材は、組織グルーまたはグルーであることを特徴とする、請求項7に記載の眼内レンズ支持体。
【請求項9】
前記眼内レンズ支持体の材料は、シリコーン(Silicone)、シリコーンエラストマー(Silicone elastomer)、シリコーンポリマー(Silicone polymer)、ポリジメチルシロキサン(Polydimethyl siloxane)、ポリプロピレン(Polypropylene)、ポリイミド(Polyimide)、ポリブテステル(Polybutester)、PMMA(polymethyl methacrylate)、マイクロプレクスPMMA(Microplex PMMA)、CQ−UV PMMA、アクリル樹脂(Acrylic)、硬性アクリル(Rigid acrylic)、柔軟性アクリル(Flexible acrylic)、アクリルプラスチック(Acrylate plastic)、疎水性アクリル(Hydrophobic acrylic)、親水性アクリル(Hydrophilic acrylic)、親水性アクリル高分子(Hydrophilic acrylic polymer)、紫外線吸収アクリレート(UV absorbing acrylate)、メタクリレートコポリマー(Methacrylate copolymer)、ブチルアクリレート(Butyl acrylate)、ポリシロキサンエラストマー(Polysiloxane elastomer)、紫外線吸収ポリシロキサン(UV absorbing polysiloxane)、コラーゲンコポリマー(Collagen copolymer)、金(Gold)、ヒドロゲル(Hydrogel)、HEMA(2-hydroxyethyl methacrylate)、MMA(methyl methacrylate)、CAB(cellulose acetate butylate)、2−HAMA(2-hydroxy ethyl methacrylate)、NVP(n-vinyl pyrrolidone)、PVP(polyvinyl pyrrolidone)、MA(methacrylic acid)、GMA(glycerol methacrylate)、DMS(dimethyl siloxane)、PHEMA(polyhydroxyethyl methacrylate)、PEGMMA(polyethylenehlycol methacrylate) 、ポリHEMAヒドロゲロ(Poly HEMA hydrogel)、紫外線吸収ポリHEMAヒドロゲル(poly HEMA hydrogel with UV absorption)、シリコーンヒドロゲル(Silicone hydrogels)、GMA/HEMA、HEMA/PVP/MA、PVA、HEMA/PVA/MA、HEMA/PVA/MMA、HEMA/MMA、HEMA/NVP、HEMA/NVP/MA、HEMA/NVP/MMA、HEMA/アクリル、およびHEMA/PCよりなる群から選ばれるいずれか一つで構成されることを特徴とする、請求項2に記載の眼内レンズ支持体。
【請求項10】
前記環状構造体の少なくとも一区間には、他の区間よりさらに柔軟な柔軟性材料が使用された柔軟性連結部を含むことを特徴とする、請求項2に記載の眼内レンズ支持体。
【請求項11】
前記第1面と前記第2面との間には空間が設けられ、前記空間には液体、気体および固体よりなる群から選ばれるいずれか一つが含まれることを特徴とする、請求項2に記載の眼内レンズ支持体。
【請求項12】
前記第1面は、前記第2面よりさらに柔軟性のある材質で構成されることを特徴とする、請求項11に記載の眼内レンズ支持体。
【請求項13】
前記第1面を成す膜の材質と前記第2面を成す膜の材質とが同一であり、前記第1面を成す膜が前記第2面を成す膜よりさらに薄く構成されることを特徴とする、請求項11に記載の眼内レンズ支持体。
【請求項14】
前記第1面を成す膜と、前記第2面を成す膜とは同一の材質および同一の厚さで構成されることを特徴とする、請求項11に記載の眼内レンズ支持体。
【請求項15】
前記液体は、水、シリコーン、ヒアルロン酸ナトリウム(Sodium hyaluronate)、コンドロイチン硫酸(Chondroitin sulfate)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropyl methylcellulose)およびポリアクリルアミド(Polyacrylamide)よりなる群から選ばれるいずれか一つであることを特徴とする、請求項11に記載の眼内レンズ支持体。
【請求項16】
前記気体は、空気、窒素、ヘリウム、ネオンおよびアルゴンよりなる群から選ばれるいずれか一つであることを特徴とする、請求項11に記載の眼内レンズ支持体。
【請求項17】
前記固体は、流動性固体であることを特徴とする、請求項11に記載の眼内レンズ支持体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−130794(P2012−130794A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88950(P2012−88950)
【出願日】平成24年4月10日(2012.4.10)
【分割の表示】特願2009−527308(P2009−527308)の分割
【原出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(509066721)
【Fターム(参考)】