着せ替え人形用着物
【課題】着せ替え対象の着物を比較的シンプルで扱いやすいものとし、以て着せ替えが容易となり、しかも、着付け時に実際に人が着たときの様相を呈し得る着せ替え人形用着物を提供することを課題とする。
【解決手段】前身頃4、後ろ身頃5、袖6及び襟7を備えた着物本体1と、帯2と、帯結び3とから成り、帯2は、その一側端に係止手段15が取り付けられると共に、その表側中間部に、係止手段15に対応する係止手段16が取り付けられて成り、帯結び3は、帯2の結び目を表わす形状に形作られ、その裏面側に、左右に延びるように帯上げ17と帯締18とが固定されて形成されたものであることを特徴とする。
【解決手段】前身頃4、後ろ身頃5、袖6及び襟7を備えた着物本体1と、帯2と、帯結び3とから成り、帯2は、その一側端に係止手段15が取り付けられると共に、その表側中間部に、係止手段15に対応する係止手段16が取り付けられて成り、帯結び3は、帯2の結び目を表わす形状に形作られ、その裏面側に、左右に延びるように帯上げ17と帯締18とが固定されて形成されたものであることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着せ替え人形用着物に関するものであり、より詳細には、着せ替えを可能にした人形用の着物であって、着せ替えが容易で、人形に着付けた時に、実際に人が着たときの様相を呈し得る人形用着物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被服を着せ替え可能にした着せ替え人形は、古くより種々存し、主に女児あるいは成人女性の趣味の対象となっている。従来の着せ替え人形の着せ替え対象となる被服は、シンプルな構成で着せ替えが容易な洋服であり、比較的複雑で着せ替え(着付け)に手間のかかる着物は、着せ替え人形用被服として流通していない。
【0003】
なお、着せ替え対象を着物とする着せ替え人形に関する特許文献として特公平6-38868号公報(特許文献1)があるが、そこに記載されているのは、前面側を和服とし、後面側を洋服とした変則的な被服であり、それは、着用時において実際の着物着用態様を呈するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平6-38868号公報
【特許文献2】特開平9-276557号公報
【特許文献3】特開平8-299602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の着せ替え人形における着せ替え対象となる被服は、シンプルな構成で着せ替えが容易な洋服であり、比較的複雑で着せ替え(着付け)に手間のかかる着物は、着せ替え人形用被服として流通していなかった。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、着せ替え対象の着物を比較的シンプルで扱いやすいものとし、以て着せ替えが容易となり、しかも、着付け時に実際に人が着たときの様相を呈し得る着せ替え人形用着物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、前身頃、後ろ身頃、袖及び襟を備えた着物本体と、帯と、帯結びとから成り、前記帯は、その一側端に係止手段が取り付けられると共に、その表側中間部に前記一側端の係止手段に対応する係止手段が取り付けられて成り、前記帯結びは、前記帯の結び目を表わす形状に形作られ、その裏面側に、左右に延びるように帯上げと帯締とが固定されて形成されたものであることを特徴とする着せ替え人形用着物である。
【0008】
上記課題を解決するための請求項2に係る発明は、前身頃、後ろ身頃、袖及び襟を備えた着物本体と、帯と、帯結びとから成り、前記帯の一側端内側に係止手段が取り付けられると共に、前記帯表面の胴巻回時において前記係止手段が当接する部分に前記一側端内側の係止手段に対応する係止手段が取り付けられ、前記帯は、その他側端が左前身頃の襟部分に縫着されることにより前記左前身頃に固定され、前記帯結びは、前記帯の結び目を表わす形状に形作られて前記帯の一側端外側に固定され、更に前記帯に、その表面を取り巻くように、帯締が取り付けられて成ることを特徴とする着せ替え人形用着物である。
【0009】
一実施形態においては、前記着物本体の前面側に、左右一対の腰紐が縫い付けられ、内側となる右身頃側の腰紐が身八つ口から引き出せるようにされ、また、前記着物本体に、半襟、裾回し、肩上げ、腰上げ、衽のうちの1つ又は複数の要素が組み込まれる。
【0010】
一実施形態においては、前記右前身頃の襟の表側下端部に第2の係止手段が取り付けられ、着用時にこの係止手段部分が当接する左前身頃の内面に、当該係止手段に対応する係止手段が設けられる。また、前記帯に取り付けられる係止手段は、カギフックとループ、面ファスナー、ホックのいずれかとされる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る着せ替え人形用着物は上記のとおりであって、着物本体を着用させた後、腰紐がある場合は腰紐によって着物本体の着付け状態を安定させ、更に、その上に帯を巻き付けて係止手段を介して締めることで、その安定状態が確実に維持されるため、その後の操作が簡便なものとなり、また、その後帯上げと帯締とを一体化した帯結びを配置し、その帯上げと帯締とを結ぶだけで着付け完了となるので、女児であっても簡単に着せ替えを行うことができ、以て、従来にない変化に富んだ着せ替えを楽しむことができる効果がある。
【0012】
特に請求項2に記載の発明にあっては、着物本体と帯と帯結びとが一体に構成されているので、一層取り扱いやすくなり、着付けも容易となるという顕著な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態における着物の着付け完了状態を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態における着物の着付け工程(第1工程)を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施形態における着物の着付け工程(第2工程)を示す正面図である。
【図4】本発明の一実施形態における着物の着付け工程(第3工程)を示す正面図である。
【図5】本発明の一実施形態における着物の着付け工程(第4工程)を示す正面図である。
【図6】本発明の一実施形態における着物の着付け工程(第5工程)を示す正面図である。
【図7】本発明の一実施形態における着物の帯の構成を示す正面図及び斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態における着物の着付け完了状態を示す正面図である。
【図9】本発明の他の実施形態における着物の着付け完了状態を示す背面図である。
【図10】本発明の他の実施形態における着物の構成及び着付け方法を示す正面図である。
【図11】本発明の他の実施形態における着物の構成及び着付け方法を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態について、添付図面に依拠して説明する。先ず、図1乃至図7に示される第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る着せ替え人形用着物の着付け状態を示すもので、当該着物は、着物本体1と帯2と帯結び3とから構成される。着物本体1は、基本的には全体的に実際の着物を縮小して着物の体をなすように、前身頃4及び後ろ身頃5に袖6、襟7を設け、また必要に応じ、半襟8、裾回し9、肩上げ10、腰上げ11、衽(おくみ)12等を設ける。着物本体1の生地は、実際の着物に用いられている生地、あるいは、それに近い生地を用いることが好ましい。
【0015】
着物本体1の前面側に、左右一対の腰紐13、13aを縫い付ける(図2参照)。各腰紐13、13aは、それぞれ一端部を裏襟に縫い付け、左前の着付けになるように、内側となる右身頃側の腰紐13が、身八つ口14から出るようにする。そして、身八つ口14から出した腰紐13と他方の腰紐13aを、それぞれ背側に回して前側に引き出して結ぶ(図3参照)。
【0016】
帯2は、胴回りの約二周半程の長さとし、その一側端に係止手段を取り付け、その表側中間部に、一側端の係止手段に対応する係止手段を取り付ける。帯2は、結び目を作ることなく、この係止手段を介して胴部に巻き付け固定されることになる。図示した例では、一側端に取り付けられる係止手段はカギフック15とされ、これに対応する係止手段は、カギフック15が引っ掛かるループ16とされている(図5、7参照)。このカギフック15及びループ16に代えて、面ファスナー、ホックその他の係止手段を用いることもできる。
【0017】
帯結び3は、帯2の結び目を表わす形状に形作り、その裏面側(内側)に、左右に延びるように帯上げ17と帯締18とを固定して形成する(図6参照)。このように帯結び3に帯上げ17と帯締18とを一体化しておくことにより、着せ替え動作が簡便になると共に、各部の紛失が防止される。なお、帯上げ17は、実際のものに合わせ、絞り生地を用いて形成することが好ましい。
【0018】
上記構成の着物を人形に着せるに当たっては、先ず、前身頃4を開いて人形を配置し、各腕をそれぞれ袖6に通し、左前にして整える。そして、着物の左側に延びる腰紐13を身八つ口11から外に引き出し(図2参照)、左右の腰紐13、13aを引いてそれぞれ背に回し、前方に引き出して結ぶ(図3参照)。
【0019】
次いで、腰紐13、13aをくるむように帯2を回して締め付け、カギフック15をループ16に掛けることにより、その締め付け状態を保持する(図4、5参照)。そして、背面側の帯2の上に、帯上げ17を上側にして帯結び3を配し(図6参照)、先ず、左右の帯上げ17を前に回して軽く結び、その端部を帯2の上側の隙間に押し込み(図1参照)、次いで、左右の帯締18を前に回して結ぶ(図1参照)。かくして、着物の着付けが完了となる。別の着物に着替えさせるときは、上記と逆にして着物を脱がせ、再び上記操作により着付ける。
【0020】
このように、本発明に係る着物の場合は、着物本体1を着せた後、腰紐13、13aによって着物本体1の着付け状態を安定させ、その上に帯2を巻き付けて締め上げ、係止手段(カギフック15、ループ16)を介してその締付状態を維持させることで、安定した着付け状態を保つことができる。そのため、その後の着付け操作は簡便なものとなる。このように安定した着付け状態を保った状態で、帯上げ17と帯締18とを一体化した帯結び3を配置し、その帯上げ17と帯締18とを結ぶだけで着付け完了となるので、女児であっても簡単に着せ替えを行うことが可能となり、以て、従来にない着せ替えを楽しむことができるものとなる。
【0021】
次いで、図8乃至図11に示される第2の実施形態について説明する。図8、図9は、第2の実施形態における着物の着付け状態の正面及び背面を示すもので、この実施形態における着物も、上記第1の実施形態の場合と同様に、着物本体1と帯2と帯結び3とで構成される。そして、着物本体1は、やはり基本的には、全体的に実際の着物を縮小して着物の体をなすように、前身頃4及び後ろ身頃5に袖6、襟7を設け、また必要に応じ、半襟8、裾回し9、肩上げ10、腰上げ11、衽(おくみ)12等を設けて構成される。なお、図中の符号21は、商品販売時に保形の目的で差し込まれる保形台紙を示している。
【0022】
この第2の実施形態は上記第1の実施形態をよりシンプルにしたもので、図示した例では、第1の実施形態における腰紐13、13aを設けていない。帯2の一側端内側には係止手段15aが取り付けられ、また、帯2の表面の胴巻回時において係止手段15aが当接する部分に、係止手段15aに対応する係止手段16aが取り付けられる(図10、11に示される係止手段15a、16aは面ファスナーである。)。また、好ましい実施形態においては、右前身頃4の襟7の表側下端部に第2の係止手段19を取り付け、着用時にこの係止手段19部分が当接する左前身頃4の内面に、係止手段19に対応する係止手段20を設けることとする(図11に示される係止手段19、20はホックである。)。
【0023】
帯2は、その他側端が左前身頃4の襟7の裏側部分に縫着されることにより左前身頃4に固定され(図11参照)、帯結び3は、帯の結び目を表わす形状に形作られて、帯2の一側端の外側に固定される(図10参照)。また、帯2には、予めその表面中間部を取り巻くように帯締18が配置されて、固定される。図示してないが、更に必要に応じ、帯結び3に帯上げ17が取り付けられる。
【0024】
この実施形態の構成の着物を人形に着せるに当たっては、帯2を外して前身頃4を開き、第2の係止手段であるホック19、20を外した後、台紙21を取り除く(図10、11参照)。そして、第1の実施形態の場合と同様に、更に前身頃4を開いて人形を配置し、各腕をそれぞれ袖6に通し、左前にして整える。その際、ホック19、20を嵌めると、着付け状態が安定し、その後の着付け操作が容易となる。また、着付け後における着崩れが抑止される。
【0025】
次いで、胴をくるむように帯2を回して締め付け、面ファスナー15a、16a同士を係着させて、その締め付け状態を保持する。この実施形態の場合は、帯結び3及び帯締18が帯2に一体化されているので、帯2の締め付けに伴って着付け完了となる。なお、第1の実施形態の場合と同様に帯結び3に帯上げ17を取り付けるときには、同様に帯上げ17を前に回して軽く結び、その端部を帯2の上側の隙間に押し込む。別の着物に着替えさせるときは、上記と逆にして着物を脱がせ、再び上記操作により着付ける。
【符号の説明】
【0026】
1 着物本体
2 帯
3 帯結び
4 前身頃
5 後ろ身頃
6 袖
7 襟
8 半襟
9 裾回し
10 肩上げ
11 腰上げ
12 衽
13 腰紐
13a 腰紐
14 身八つ口
15 係止手段(カギフック)
15a 係止手段(面ファスナー)
16 係止手段(ループ)
16a 係止手段(面ファスナー)
17 帯上げ
18 帯締
19 係止手段(ホック)
20 係止手段(ホック)
21 保形台紙
【技術分野】
【0001】
本発明は、着せ替え人形用着物に関するものであり、より詳細には、着せ替えを可能にした人形用の着物であって、着せ替えが容易で、人形に着付けた時に、実際に人が着たときの様相を呈し得る人形用着物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被服を着せ替え可能にした着せ替え人形は、古くより種々存し、主に女児あるいは成人女性の趣味の対象となっている。従来の着せ替え人形の着せ替え対象となる被服は、シンプルな構成で着せ替えが容易な洋服であり、比較的複雑で着せ替え(着付け)に手間のかかる着物は、着せ替え人形用被服として流通していない。
【0003】
なお、着せ替え対象を着物とする着せ替え人形に関する特許文献として特公平6-38868号公報(特許文献1)があるが、そこに記載されているのは、前面側を和服とし、後面側を洋服とした変則的な被服であり、それは、着用時において実際の着物着用態様を呈するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平6-38868号公報
【特許文献2】特開平9-276557号公報
【特許文献3】特開平8-299602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の着せ替え人形における着せ替え対象となる被服は、シンプルな構成で着せ替えが容易な洋服であり、比較的複雑で着せ替え(着付け)に手間のかかる着物は、着せ替え人形用被服として流通していなかった。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、着せ替え対象の着物を比較的シンプルで扱いやすいものとし、以て着せ替えが容易となり、しかも、着付け時に実際に人が着たときの様相を呈し得る着せ替え人形用着物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、前身頃、後ろ身頃、袖及び襟を備えた着物本体と、帯と、帯結びとから成り、前記帯は、その一側端に係止手段が取り付けられると共に、その表側中間部に前記一側端の係止手段に対応する係止手段が取り付けられて成り、前記帯結びは、前記帯の結び目を表わす形状に形作られ、その裏面側に、左右に延びるように帯上げと帯締とが固定されて形成されたものであることを特徴とする着せ替え人形用着物である。
【0008】
上記課題を解決するための請求項2に係る発明は、前身頃、後ろ身頃、袖及び襟を備えた着物本体と、帯と、帯結びとから成り、前記帯の一側端内側に係止手段が取り付けられると共に、前記帯表面の胴巻回時において前記係止手段が当接する部分に前記一側端内側の係止手段に対応する係止手段が取り付けられ、前記帯は、その他側端が左前身頃の襟部分に縫着されることにより前記左前身頃に固定され、前記帯結びは、前記帯の結び目を表わす形状に形作られて前記帯の一側端外側に固定され、更に前記帯に、その表面を取り巻くように、帯締が取り付けられて成ることを特徴とする着せ替え人形用着物である。
【0009】
一実施形態においては、前記着物本体の前面側に、左右一対の腰紐が縫い付けられ、内側となる右身頃側の腰紐が身八つ口から引き出せるようにされ、また、前記着物本体に、半襟、裾回し、肩上げ、腰上げ、衽のうちの1つ又は複数の要素が組み込まれる。
【0010】
一実施形態においては、前記右前身頃の襟の表側下端部に第2の係止手段が取り付けられ、着用時にこの係止手段部分が当接する左前身頃の内面に、当該係止手段に対応する係止手段が設けられる。また、前記帯に取り付けられる係止手段は、カギフックとループ、面ファスナー、ホックのいずれかとされる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る着せ替え人形用着物は上記のとおりであって、着物本体を着用させた後、腰紐がある場合は腰紐によって着物本体の着付け状態を安定させ、更に、その上に帯を巻き付けて係止手段を介して締めることで、その安定状態が確実に維持されるため、その後の操作が簡便なものとなり、また、その後帯上げと帯締とを一体化した帯結びを配置し、その帯上げと帯締とを結ぶだけで着付け完了となるので、女児であっても簡単に着せ替えを行うことができ、以て、従来にない変化に富んだ着せ替えを楽しむことができる効果がある。
【0012】
特に請求項2に記載の発明にあっては、着物本体と帯と帯結びとが一体に構成されているので、一層取り扱いやすくなり、着付けも容易となるという顕著な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態における着物の着付け完了状態を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態における着物の着付け工程(第1工程)を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施形態における着物の着付け工程(第2工程)を示す正面図である。
【図4】本発明の一実施形態における着物の着付け工程(第3工程)を示す正面図である。
【図5】本発明の一実施形態における着物の着付け工程(第4工程)を示す正面図である。
【図6】本発明の一実施形態における着物の着付け工程(第5工程)を示す正面図である。
【図7】本発明の一実施形態における着物の帯の構成を示す正面図及び斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態における着物の着付け完了状態を示す正面図である。
【図9】本発明の他の実施形態における着物の着付け完了状態を示す背面図である。
【図10】本発明の他の実施形態における着物の構成及び着付け方法を示す正面図である。
【図11】本発明の他の実施形態における着物の構成及び着付け方法を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態について、添付図面に依拠して説明する。先ず、図1乃至図7に示される第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る着せ替え人形用着物の着付け状態を示すもので、当該着物は、着物本体1と帯2と帯結び3とから構成される。着物本体1は、基本的には全体的に実際の着物を縮小して着物の体をなすように、前身頃4及び後ろ身頃5に袖6、襟7を設け、また必要に応じ、半襟8、裾回し9、肩上げ10、腰上げ11、衽(おくみ)12等を設ける。着物本体1の生地は、実際の着物に用いられている生地、あるいは、それに近い生地を用いることが好ましい。
【0015】
着物本体1の前面側に、左右一対の腰紐13、13aを縫い付ける(図2参照)。各腰紐13、13aは、それぞれ一端部を裏襟に縫い付け、左前の着付けになるように、内側となる右身頃側の腰紐13が、身八つ口14から出るようにする。そして、身八つ口14から出した腰紐13と他方の腰紐13aを、それぞれ背側に回して前側に引き出して結ぶ(図3参照)。
【0016】
帯2は、胴回りの約二周半程の長さとし、その一側端に係止手段を取り付け、その表側中間部に、一側端の係止手段に対応する係止手段を取り付ける。帯2は、結び目を作ることなく、この係止手段を介して胴部に巻き付け固定されることになる。図示した例では、一側端に取り付けられる係止手段はカギフック15とされ、これに対応する係止手段は、カギフック15が引っ掛かるループ16とされている(図5、7参照)。このカギフック15及びループ16に代えて、面ファスナー、ホックその他の係止手段を用いることもできる。
【0017】
帯結び3は、帯2の結び目を表わす形状に形作り、その裏面側(内側)に、左右に延びるように帯上げ17と帯締18とを固定して形成する(図6参照)。このように帯結び3に帯上げ17と帯締18とを一体化しておくことにより、着せ替え動作が簡便になると共に、各部の紛失が防止される。なお、帯上げ17は、実際のものに合わせ、絞り生地を用いて形成することが好ましい。
【0018】
上記構成の着物を人形に着せるに当たっては、先ず、前身頃4を開いて人形を配置し、各腕をそれぞれ袖6に通し、左前にして整える。そして、着物の左側に延びる腰紐13を身八つ口11から外に引き出し(図2参照)、左右の腰紐13、13aを引いてそれぞれ背に回し、前方に引き出して結ぶ(図3参照)。
【0019】
次いで、腰紐13、13aをくるむように帯2を回して締め付け、カギフック15をループ16に掛けることにより、その締め付け状態を保持する(図4、5参照)。そして、背面側の帯2の上に、帯上げ17を上側にして帯結び3を配し(図6参照)、先ず、左右の帯上げ17を前に回して軽く結び、その端部を帯2の上側の隙間に押し込み(図1参照)、次いで、左右の帯締18を前に回して結ぶ(図1参照)。かくして、着物の着付けが完了となる。別の着物に着替えさせるときは、上記と逆にして着物を脱がせ、再び上記操作により着付ける。
【0020】
このように、本発明に係る着物の場合は、着物本体1を着せた後、腰紐13、13aによって着物本体1の着付け状態を安定させ、その上に帯2を巻き付けて締め上げ、係止手段(カギフック15、ループ16)を介してその締付状態を維持させることで、安定した着付け状態を保つことができる。そのため、その後の着付け操作は簡便なものとなる。このように安定した着付け状態を保った状態で、帯上げ17と帯締18とを一体化した帯結び3を配置し、その帯上げ17と帯締18とを結ぶだけで着付け完了となるので、女児であっても簡単に着せ替えを行うことが可能となり、以て、従来にない着せ替えを楽しむことができるものとなる。
【0021】
次いで、図8乃至図11に示される第2の実施形態について説明する。図8、図9は、第2の実施形態における着物の着付け状態の正面及び背面を示すもので、この実施形態における着物も、上記第1の実施形態の場合と同様に、着物本体1と帯2と帯結び3とで構成される。そして、着物本体1は、やはり基本的には、全体的に実際の着物を縮小して着物の体をなすように、前身頃4及び後ろ身頃5に袖6、襟7を設け、また必要に応じ、半襟8、裾回し9、肩上げ10、腰上げ11、衽(おくみ)12等を設けて構成される。なお、図中の符号21は、商品販売時に保形の目的で差し込まれる保形台紙を示している。
【0022】
この第2の実施形態は上記第1の実施形態をよりシンプルにしたもので、図示した例では、第1の実施形態における腰紐13、13aを設けていない。帯2の一側端内側には係止手段15aが取り付けられ、また、帯2の表面の胴巻回時において係止手段15aが当接する部分に、係止手段15aに対応する係止手段16aが取り付けられる(図10、11に示される係止手段15a、16aは面ファスナーである。)。また、好ましい実施形態においては、右前身頃4の襟7の表側下端部に第2の係止手段19を取り付け、着用時にこの係止手段19部分が当接する左前身頃4の内面に、係止手段19に対応する係止手段20を設けることとする(図11に示される係止手段19、20はホックである。)。
【0023】
帯2は、その他側端が左前身頃4の襟7の裏側部分に縫着されることにより左前身頃4に固定され(図11参照)、帯結び3は、帯の結び目を表わす形状に形作られて、帯2の一側端の外側に固定される(図10参照)。また、帯2には、予めその表面中間部を取り巻くように帯締18が配置されて、固定される。図示してないが、更に必要に応じ、帯結び3に帯上げ17が取り付けられる。
【0024】
この実施形態の構成の着物を人形に着せるに当たっては、帯2を外して前身頃4を開き、第2の係止手段であるホック19、20を外した後、台紙21を取り除く(図10、11参照)。そして、第1の実施形態の場合と同様に、更に前身頃4を開いて人形を配置し、各腕をそれぞれ袖6に通し、左前にして整える。その際、ホック19、20を嵌めると、着付け状態が安定し、その後の着付け操作が容易となる。また、着付け後における着崩れが抑止される。
【0025】
次いで、胴をくるむように帯2を回して締め付け、面ファスナー15a、16a同士を係着させて、その締め付け状態を保持する。この実施形態の場合は、帯結び3及び帯締18が帯2に一体化されているので、帯2の締め付けに伴って着付け完了となる。なお、第1の実施形態の場合と同様に帯結び3に帯上げ17を取り付けるときには、同様に帯上げ17を前に回して軽く結び、その端部を帯2の上側の隙間に押し込む。別の着物に着替えさせるときは、上記と逆にして着物を脱がせ、再び上記操作により着付ける。
【符号の説明】
【0026】
1 着物本体
2 帯
3 帯結び
4 前身頃
5 後ろ身頃
6 袖
7 襟
8 半襟
9 裾回し
10 肩上げ
11 腰上げ
12 衽
13 腰紐
13a 腰紐
14 身八つ口
15 係止手段(カギフック)
15a 係止手段(面ファスナー)
16 係止手段(ループ)
16a 係止手段(面ファスナー)
17 帯上げ
18 帯締
19 係止手段(ホック)
20 係止手段(ホック)
21 保形台紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃、後ろ身頃、袖及び襟を備えた着物本体と、帯と、帯結びとから成り、前記帯は、その一側端に係止手段が取り付けられると共に、その表側中間部に前記一側端の係止手段に対応する係止手段が取り付けられて成り、前記帯結びは、前記帯の結び目を表わす形状に形作られ、その裏面側に、左右に延びるように帯上げと帯締とが固定されて形成されたものであることを特徴とする、着せ替え人形用着物。
【請求項2】
前身頃、後ろ身頃、袖及び襟を備えた着物本体と、帯と、帯結びとから成り、前記帯の一側端内側に係止手段が取り付けられると共に、前記帯表面の胴巻回時において前記係止手段が当接する部分に前記一側端内側の係止手段に対応する係止手段が取り付けられ、前記帯は、その他側端が左前身頃の襟部分に縫着されることにより前記左前身頃に固定され、前記帯結びは、前記帯の結び目を表わす形状に形作られて前記帯の一側端外側に固定され、更に前記帯に、その表面を取り巻くように、帯締が取り付けられて成ることを特徴とする着せ替え人形用着物。
【請求項3】
前記着物本体の前面側に、左右一対の腰紐が縫い付けられ、内側となる右身頃側の腰紐が身八つ口から引き出せるようにされた、請求項1又は2に記載の着せ替え人形用着物。
【請求項4】
前記着物本体には、半襟、裾回し、肩上げ、腰上げ、衽のうちの1つ又は複数の要素が組み込まれる、請求項1乃至3のいずれかに記載の着せ替え人形用着物。
【請求項5】
前記右前身頃の襟の表側下端部に第2の係止手段が取り付けられ、着用時にこの係止手段部分が当接する左前身頃の内面に、当該係止手段に対応する係止手段が設けられる、請求項1乃至4のいずれかに記載の着せ替え人形用着物。
【請求項6】
前記帯に取り付けられる係止手段は、カギフックとループ、面ファスナー、ホックのいずれかである、請求項1乃至5のいずれかに記載の着せ替え人形用着物。
【請求項1】
前身頃、後ろ身頃、袖及び襟を備えた着物本体と、帯と、帯結びとから成り、前記帯は、その一側端に係止手段が取り付けられると共に、その表側中間部に前記一側端の係止手段に対応する係止手段が取り付けられて成り、前記帯結びは、前記帯の結び目を表わす形状に形作られ、その裏面側に、左右に延びるように帯上げと帯締とが固定されて形成されたものであることを特徴とする、着せ替え人形用着物。
【請求項2】
前身頃、後ろ身頃、袖及び襟を備えた着物本体と、帯と、帯結びとから成り、前記帯の一側端内側に係止手段が取り付けられると共に、前記帯表面の胴巻回時において前記係止手段が当接する部分に前記一側端内側の係止手段に対応する係止手段が取り付けられ、前記帯は、その他側端が左前身頃の襟部分に縫着されることにより前記左前身頃に固定され、前記帯結びは、前記帯の結び目を表わす形状に形作られて前記帯の一側端外側に固定され、更に前記帯に、その表面を取り巻くように、帯締が取り付けられて成ることを特徴とする着せ替え人形用着物。
【請求項3】
前記着物本体の前面側に、左右一対の腰紐が縫い付けられ、内側となる右身頃側の腰紐が身八つ口から引き出せるようにされた、請求項1又は2に記載の着せ替え人形用着物。
【請求項4】
前記着物本体には、半襟、裾回し、肩上げ、腰上げ、衽のうちの1つ又は複数の要素が組み込まれる、請求項1乃至3のいずれかに記載の着せ替え人形用着物。
【請求項5】
前記右前身頃の襟の表側下端部に第2の係止手段が取り付けられ、着用時にこの係止手段部分が当接する左前身頃の内面に、当該係止手段に対応する係止手段が設けられる、請求項1乃至4のいずれかに記載の着せ替え人形用着物。
【請求項6】
前記帯に取り付けられる係止手段は、カギフックとループ、面ファスナー、ホックのいずれかである、請求項1乃至5のいずれかに記載の着せ替え人形用着物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−217613(P2012−217613A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86230(P2011−86230)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(511090372)株式会社コウゲン (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(511090372)株式会社コウゲン (1)
【Fターム(参考)】
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