説明

着脱可能なフック装置

【課題】フック装置の全体のサイズを小型に維持しながら、マグネットの埋設スペース、フック部の強固な支持および収納のためのスペース、並びに、収納位置の保持機構の配置スペースを、台座に効率的に確保することができる着脱可能なフック装置を提供する。
【解決手段】台座3が、上下に延びる壁面WLと対向する後面と、その後面と反対側の前面とを含む。支持孔が、台座の下端近傍に設けられ、物品類を引っ掛けるためのフック部2の下端部を回動可能に支持する。係止突部44が、台座の上端近傍に設けられ、フック部の上端部を係止する。フック部の上端部が係止部により係止されるときにフック部を収納するための収納凹部36が、台座の前面に形成される。設置凹部33が、台座の後面に形成され、マグネットが支持孔の配置位置と係止突部の配置位置との間において設置凹部内に位置する一対の小径内周面33A、33Aに取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向に垂直な壁面に着脱可能なフック装置に関し、詳細には、その垂直な壁面に対向する後面にマグネットを設け、その後面と反対側の前面に収納可能なフック部を備える着脱可能なフック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マグネットの磁力により壁面に着脱可能なフック装置が知られている。この種のフック装置として、マグネットフックが特許文献1に記載されている。このマグネットフックは、台座と、台座に回動可能に支持されるフック部とを備える。マグネットが、台座の後面に埋設される。フック部は、台座の前面において、直交する2軸の周りに回動可能に回転部材により支持され、台座から常に突出する。台座が上下に垂直な壁面に装着される場合と水平な壁面に装着される場合とのいずれにおいても、使用者は、フック部の回動位置を変えることにより、物品類をフック部に引っ掛けることができる。
【0003】
特許文献1に記載されたマグネットフックは、壁面に装着することが容易である点で有効である。このようなマグネットフックは、事務机の側壁の内面に装着され、カバンなどの物品類を外部から目立たないように吊り下げるときに使用される場合がある。マグネットフックのフック部は、物品類を吊り下げていないときでも、事務机の側壁の内面に装着された台座から常に突出しているため、女性がストッキングをフック部の先端に引っ掛けることがある。
【0004】
一方、フック部が収納位置と突出位置とのいずれかに回動可能に支持されるフック装置が知られている。この種のフック装置として、収納可能なフックが特許文献2に記載されている。この収納可能なフックは、取付座と、取付座に回動可能に支持されるフック部とを備える。取付座は、後面で側壁に装着され、枠体が取付座の前面に取り付けられる。フック部が枠体に形成された挿通部に挿通される。フック部は、枠体の挿通部に収納される収納位置と、枠体から突出して物品類を吊り下げることができる突出位置とのいずれかに回動して位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−85450号公報
【特許文献2】特開2004−113302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載された収納可能なフックの取付座が、特許文献1に記載されたマグネットフックの台座のように、マグネットの磁力により側壁に装着されるように構成することが考えられる。この構成において、収納可能なフックの全体のサイズを小型に維持しながら、側壁への装着力を大きくするために比較的大きなマグネットを埋設することができるスペースを取付座の後面側に確保する必要がある。また、物品類を確実に吊り下げることができるように比較的長いフック部を強固な構造で回動可能に支持するとともに、その比較的長いフック部を収納することができるスペースを取付座の前面側に確保する必要もある。しかも、ストッキングが引っ掛かるのを防止するために比較的長いフック部を確実に収納位置に保持するための保持機構も取付座に設ける必要がある。これらの必要性を同時に満足する構成は、特許文献1および特許文献2には開示も示唆もされていない。このため、取付座を前後方向に厚くすることなく、マクネットの埋設スペース、フック部の支持および収納のためのスペース、並びに、収納位置の保持機構の配置スペースを、取付座の限られた領域に効率的に設けることが要求される。
【0007】
そこで、本発明は、フック装置の全体のサイズを小型に維持しながら、マクネットの埋設スペース、フック部の強固な支持および収納のためのスペース、並びに、収納位置の保持機構の配置スペースを、台座に効率的に確保することができる着脱可能なフック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明態様は、上下に延びる壁面と対向する後面と、その後面と反対側の前面とを含む台座と、物品類を引っ掛けるためのフック部と、前記台座の下端近傍に設けられ、前記フック部の下端部を回動可能に支持する支持部と、前記台座の上端近傍に設けられ、前記フック部の上端部を係止する係止部と、マグネットと、を備え、前記フック部の上端部が前記係止部により係止されるときに前記フック部を収納するための収納凹部が、前記台座の前面に形成され、前記マグネットを前記台座に設置するための設置凹部が、前記台座の後面に形成され、前記マグネットまたは前記マグネットに取り付けられる部材が、前記支持部の配置位置と前記係止部の配置位置との間において前記設置凹部内に位置する前記台座の後方部分に取り付けられる構成である。
【0009】
本発明態様では、支持部は、フック部の下端部を回動可能に支持する構成であれば、フック部の下端部に形成される軸部であっても、または、台座の下端近傍に形成される軸部を受ける軸受け部であっても良い。
【0010】
本発明態様では、係止部は、フック部の上端部と係合する係合突起であっても、または、係合溝であっても良い。
【0011】
本発明態様では、設置凹部は、マグネットが収容されて設置される凹部であれば良く、マグネットが設置凹部の周面に直接に係合して取り付けられる構成であっても、または、マグネット或いはマグネットに取り付けられる部材が、設置凹部内に位置する台座の後方部分に着脱可能に取り付けられる構成であっても良い。マグネットが設置凹部の周面に直接に係合して取り付けられる構成である場合、設置凹部の周面が、マグネットを取り付ける台座の後方部材に相当する。
【0012】
本発明態様では、設置凹部は、支持部の配置位置と係止部の配置位置との間の領域の全てに形成される必要はなく、その一部の領域に形成されても良い。すなわち、設置凹部は、フック装置が側壁に装着される装着力の強さに応じた大きさのマグネットを設置することができる領域であれば良い。
【0013】
請求項2に記載の具体的態様は、前記フック部が、その下端部に形成される一対の軸部と、その両軸部の形成位置から上方に延びる延出部と、その延出部の先端に屈曲して形成される屈曲部とを含み、前記係止部が、前記屈曲部を係止する構成である。
【0014】
請求項3に記載の具体的態様は、前記フック部が、前記延出部と前記屈曲部との連結部分の外面に形成され、使用者の指が接触可能な突出部を含む構成である。
【0015】
請求項4に記載の具体的態様は、前記台座が、前記屈曲部に近接した前記延出部の内面に当接する突起部を含み、前記フック部が前記収納凹部に収納される姿勢が、前記フック部の上端部が前記係止部により係止されるときに、前記突起部と前記延出部の内面との当接により定まる構成である。
【0016】
請求項5に記載の具体的態様は、前記台座が、前記支持部の配置位置に近接して形成される当接面を含み、前記当接面が、前記フック部が前記台座の前面から突出する位置まで回動されるときに、前記フック部の最下端部と当接する構成である。
【0017】
請求項6に記載の具体的態様は、前記台座が、前記収納凹部を形成する側面部をその収納凹部を横切る方向に切り欠いて形成される切欠部を含み、前記切欠部が、前記支持部の配置位置より上方に位置し、前記係止部により前記フック部の上端部が係止されるときに、紐などの長尺物を挿通するための空間が、前記フック部と前記切欠部との間に形成される構成である。
【0018】
請求項7に記載の具体的態様は、前記台座の後面に対して着脱可能な保持部材を備え、
前記マグネットが、前記保持部材に取り付けられる構成である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明態様では、設置凹部内の台座の後方部分が、台座の後面において支持部の配置位置と係止部の配置位置との間に位置する。台座の後方部分は、マグネットまたはマグネットに取り付けられる部材を台座に取り付ける。この構成により、設置凹部内の台座の後方部分が、台座の前後方向において支持部および係止部の配置位置と重なって位置しないことから、台座の前後方向の厚さを大きくすることなく、支持部および係止部を比較的強固な構造で台座に形成することができ、しかも、フック部を収納凹部に収納したとき、台座が壁面から突出する量を可能な限り小さくすることができる。また、フック部が、支持部により台座の下端近傍に回動可能に支持され、係止部により台座の上端近傍に係止される。この構成により、台座の上下方向の長さを大きくすることなく、フック部の上下方向の長さを長く形成することができ、使用者は物品類を確実にフック部に引っ掛けることができる。
【0020】
請求項2に記載の具体的態様では、屈曲部が、延出部の先端に屈曲して形成され、係止部により台座の上端近傍に係止される。この構成により、屈曲部は、物品類がフック部に引っ掛けられた状態を確実に保持することができ、しかも、台座の上下方向の長さを大きくすることなく、フック部が収納凹部に収納された状態を確実に保持することができる。
【0021】
請求項3に記載の具体的態様では、使用者の指が接触可能な突出部が、延出部と屈曲部との連結部分の外面に形成される。この構成により、使用者は、突出部を指で操作することにより、係止部および屈曲部の係合により収納凹部内に保持されたフック部を、収納凹部から簡単に突出させることができ、物品類をフック部に容易に引っ掛けることができる。
【0022】
請求項4に記載の具体的態様では、フック部が収納凹部に収納される姿勢が、フック部の上端部が係止部により係止されるときに、突起部と延出部の内面との当接により定まる。この構成により、突起部および延出部の内面の当接位置と、支持部の配置位置とにより、フック部の収納姿勢を常に一定の姿勢に定めることができる。すなわち、延出部の側面または内面が収納凹部の内面と当接する構成では、当接する面の成形精度によりフック部の収納姿勢が変動して、係止部による屈曲部の係止を確実に行うことができないおそれがある。これに対し、本具体的態様では、フック部の収納姿勢が一定の姿勢に定められることから、係止部による屈曲部の係止を確実に行うことができる。
【0023】
請求項5に記載の具体的態様では、当接面が、支持部の配置位置に近接して台座に形成され、その当接面が、台座の前面から突出する位置まで回動されたフック部の最下端部と当接する。この構成により、フック部および台座を上下方向に長くすることなく、フック部が突出する位置を一定の位置に確実に設定することができる。
【0024】
請求項6に記載の具体的態様では、係止部によりフック部の上端部が係止されるときに、紐などの長尺物を挿通するための空間が、フック部と切欠部との間に形成される。この構成により、使用者は、フック部が収納凹部に収納された状態で、フック部と切欠部との間に物品類に連結された長尺物を挿通して吊り下げることができ、しかも、女性の使用者がストッキングをフック部に引っ掛けるおそれが全くなくなる。また、切欠部が、支持部の配置位置より上方に位置して形成される。この構成により、台座を上下方向に長くすることなく、物品類の吊り下げを行うことができる。
【0025】
請求項7に記載の具体的態様では、保持部材が台座の後面に対して着脱可能に形成され、マグネットが保持部材に取り付けられる。この構成により、マグネットの大きさまたは形状を変更する場合でも、台座の構成を変更することなく保持部材の構成を変えるのみで、異なるマグネットを台座に設置することが容易になる。すなわち、マグネットが台座に直接に設置される構成である場合、マグネットの形状などの変更は、台座の大幅な変更を必要とし、新たな金型などを含む製造コストが大幅に増加するが、本具体的態様では、保持部材のみの変更で、異なるマグネットの設置が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るフック装置1の全体を後方から見た分解斜視図である。
【図2】上記フック装置1の一部を前方から見た分解斜視図である。
【図3】上記フック装置1のフック部2を下方から見た底面図である。
【図4】上記フック装置1の台座3のみを前方から見た正面図である。
【図5】図4に示すA−A線に従って切断した台座3の側断面図である。
【図6】図4に示すB−B線に従って切断した台座3の側断面図である。
【図7】図4に示すC−C線に従って切断した台座3の側断面図である。
【図8】上記フック装置1のフック部2が突出した状態を示す側断面図である。
【図9】上記フック装置1のフック部2が収納された状態を示す側断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るフック装置を前方から見た分解斜視図である。
【図11】第2の実施形態に係るフック装置を後方から見た分解斜視図である。
【図12】第2の実施形態の保持部材およびマグネットを示す斜視図である。
【図13】第2の実施形態の台座のみを前方から見た正面図である。
【図14】図13に示すA−A線に従って切断した台座の側断面図である。
【図15】図13に示すB−B線に従って切断した台座の側断面図である。
【図16】図13に示すC−C線に従って切断した台座の側断面図である。
【図17】第2の実施形態に係るフック装置のフック部が突出した状態を示す側断面図である。
【図18】第2の実施形態に係るフック装置のフック部が収納された状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1の実施形態>
以下に、本発明の第1の実施形態に係るフック装置1について、図面を参照して説明する。図1に矢印で示す3つの方向を、上下方向、前後方向、および左右方向とし、その他の図面でも同様に、各方向を示す。
【0028】
[フック装置1の概略構成]
図1において、フック装置1は、フック部2と、台座3と、マグネット4と、摩擦シート5とを備える。
【0029】
フック部2は、基端部分20と、延出部分21と、屈曲部分22とを備え、これらの部分は合成樹脂材料により一体に成形される。基端部分20は、延出部分21に比べ、前後方向における厚さが大きくなるように形成される。一対の軸部23、24が、基端部分20の左右両側面から突出して形成される。図3に示すように、両軸部23、24は、後方部分の突出量が徐々に小さくなるように傾斜して形成される。保持端面25が、基端部分20の後面の最下端部、すなわちフック部2の最下端部に形成される。
【0030】
延出部分21は、基端部分20から上方に延出し、板状に形成される。屈曲部分22は、延出部分21の上方部分から略直角に後方に屈曲して形成される。係止溝26が、左右方向に延びて屈曲部分22に形成される。
【0031】
マグネット4は、円柱形状を有し、公知の永久磁石から構成される。マグネット4は、台座3に埋設される。摩擦シート5は、円形状を有し、摩擦係数の大きな材料から形成される。たとえば、摩擦シート5は、ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性エラストマーなどの摩擦係数の大きな材料から形成される。摩擦シート5は、マグネット4に対向する面に粘着層を有し、台座3に埋設されたマグネット4に接着される。
【0032】
本実施形態のフック部2、台座3、およびマグネット4が、本発明のフック部、台座、およびマグネットの一例である。本実施形態の一対の軸部23、24、延出部分21、および屈曲部分22が、本発明の一対の軸部、延出部、および屈曲部の一例である。
【0033】
[台座3の詳細な構成]
台座3の詳細な構成について、図2乃至図7を参照して説明する。台座3は、本体部分30と、一対の側壁部分31、32とを備え、これらの部分は合成樹脂材料により一体に成形される。図1に示すように、本体部分30は、後面に設置凹部33を有する。設置凹部33の内周面は、互いに対向する一対の小径内周面33A、33Aと、互いに対向する一対の大径内周面33B、33Bとを含む。マグネット4は、設置凹部33の一対の小径内周面33A、33Aに圧入されて埋設される。図2に示すように、両側壁部分31、32は、本体部分30の前方部分から前方に起立し、上下方向に延びて形成される。両側壁部分31、32の各々は、左右方向の厚さが前方に向かって徐々小さくなるように傾斜して形成される。両側壁部分31、32は、前方に向かって傾斜した形状により、互いに離れる方向に弾性変形し易くなる。
【0034】
一対の切欠部34、35が、両側壁部分31、32を切り欠いて形成される。両切欠部34、35は、上下方向において同じ高さの位置に形成される。図4および図5に示すように、フック部2のための収納凹部36が、両側壁部分31、32の間の領域に形成される。収納凹部36は、3つの収納空間36A〜36Cを有する。収納空間36Aは、フック部2の基端部分20を収納する空間である。収納空間36Bは、フック部2の延出部分21を収納する空間である。収納空間36Cは、フック部2の屈曲部分22を収納する空間である。本実施形態の設置凹部33、および収納凹部36が、本発明の設置凹部、および収納凹部の一例である。本実施形態の一対の小径内周面33A、33Aが、本発明の設置凹部内に位置する台座の後方部分の一例である。本実施形態の一対の切欠部34、35が、本発明の切欠部の一例である。
【0035】
図1に示すように、2つの凹所37、38が、台座3の後面に形成される。これらの凹所は、台座3の肉厚部分が成形時に収縮するのを防止するために設けられる。図4および図5に示すように、一対の支持孔39、40が、凹所37に連通して台座3の両側壁部分31、32の下端近傍に形成される。一対の嵌入溝41、42が、両支持孔39、40の前方部分に連設して、両側壁部分31、32の互いに対向する内面に形成される。フック部2の両軸部23、24は、両嵌入溝41、42に嵌入して両支持孔39、40に嵌合する。この嵌合により、フック部2は、回動可能に台座3に支持される。両軸部23、24が両支持孔39、40に嵌合するときに、両軸部23、24が形成された基端部分20の側方部分は内方に縮んで弾性変形し、両支持孔39、40が形成された両側壁部分31、32は外方に広げられて弾性変形する。本実施形態の一対の支持孔39、40が、本発明の支持部の一例である。
【0036】
図5に示すように、本体部分30の前方部分は、下方平面43Aと、当接面43Bと、延出平面43Cと、突起部43Dと、上方端面43Eとを備える。下方平面43Aは、台座3の下方端から上下方向に延びて形成される。当接面43Bは、下方平面43Aから前方に傾斜して形成され、フック部2が台座3から前方に突出したときに保持端面25と当接する。延出平面43Cは、当接面43Bから上下方向に延びて形成される。延出平面43Cは、図5に示すように、切欠部34、35の最後方部分より後方に位置する。突起部43Dは、延出平面43Cの上方端部分から前方に突出して形成される。突起部43Dは、フック部2が収納凹部36に収納されたときに、屈曲部分22に近接した延出部分21の内面に当接する。上方端面43Eは、台座3の上方端において前後方向に延びて形成される。係止突部44が、上方端面43Eから上方に突出して形成される。係止突部44は、フック部2が収納凹部36に収納されたときに屈曲部分22の係止溝26に嵌合する。収納空間36Cの前後方向の大きさは、屈曲部分22が延出部分21から前後方向に突出する長さより大きく形成される。すなわち、フック部2が収納凹部36に収納されて屈曲部分22が収納空間36C内に位置する状態において、使用者は、収納空間36Cに指先を差し入れて屈曲部分22の先端部を引き上げることができるように、収納空間36Cの大きさが設定される。
【0037】
本実施形態の係止突部44が、本発明の係止部の一例である。本実施形態の突起部43Dは、本発明の突起部の一例である。本実施形態の当接面43B、およびフック部2の保持端面25が、本発明の当接面、およびフック部の最下端部の一例である。
【0038】
[フック装置1の使用方法]
フック装置1の使用方法について、図8および図9を参照して説明する。1つの使用方法は、フック部2が突出した状態で、ランドセルなどの比較的大きな物品を引っ掛けるためにフック装置1を使用する場合である。他の使用方法は、フック部2が収納された状態で、スリッパ入れなどの比較的小さな物品に付けられた紐などの細い長尺物を切欠部34、35に挿通して吊り下げて使用する場合である。これらの2つの使用方法について以下に説明する。
【0039】
(比較的大きな物品を引っ掛ける使用方法)
使用者は、スチールなどの磁性材料から構成された机の側壁などの上下方向に延びる壁面WLに、マグネット4の磁力によりフック装置1を装着する。フック部2が収納凹部36に収納された状態にある場合には、使用者は、図9に示すように、屈曲部分22の先端部分から後方側に存在する収納空間36Cに指先を差し入れ、フック部2を前方に押し出す。使用者の押し出し操作により、屈曲部分22の係止溝26は台座3の係止突部44との嵌合から解除され、フック部2は一対の軸部23、24を中心に反時計回り方向に回動される。フック部2の保持端面25が台座3の当接面43Bに当接すると、フック部2の回動が停止される。これにより、フック部2は、図8に示す突出した状態に保持される。この突出した状態のフック部2は、カバンなどの比較的大きな物品を吊り下げることができる。また、マグネット4は、摩擦シート5を介して壁面WLに接触することから、フック装置1の後面と壁面WLとの間の摩擦抵抗が大きくなり、フック装置1は、比較的大きな物品を吊り下げた状態で、マグネット4の磁力により壁面WL上に確実に装着される。
【0040】
(比較的小さな物品を吊り下げる使用方法)
使用者は、比較的小さい物品を外部から目立たないように吊り下げたい場合がある。たとえば、机の側壁の内面に物品を吊り下げる場合がある。この場合、フック部2が図8に示すように突出した状態では、フック部2の先端が使用者の足などに引っ掛かることがある。このため、本実施形態に係るフック装置1は、フック部2が収納凹部36に収納された状態で、物品に付けられた紐などの細い長尺物STを吊り下げることができる。
【0041】
使用者は、フック部2が図8に示すように突出した状態で、細い長尺物STをフック部2の基端部分20の近くに吊り下げる。その後に、使用者は、フック部2を時計回り方向に回動させ、屈曲部分22の係止溝26を台座3の係止突部44に嵌合させる。この嵌合により、フック部2は図9に示すように収納された状態に保持される。フック部2が収納されたときに、細い長尺物STは、フック部2の延出部分21の後方に存在する切欠部34、35に挿通された状態になる。これにより、使用者は、フック部2を収納した状態で、物品の細い長尺物を吊り下げることができる。
【0042】
[フック装置1の効果]
設置凹部33は、図5に示すように、台座3の前後方向の厚さの略1/2の奥行きを有し、台座3の上下方向の略中央部分に形成される。設置凹部33内の一対の小径内周面33A、33Aは、支持孔39、40の配置位置と係止突部44の配置位置との間に位置する。これにより、一対の小径内周面33A、33Aの配置領域は、前後方向において支持孔39、40および係止突部44の配置位置と重なり合うことがなく、台座3の前後方向の厚さおよび左右方向の幅を大きくせずに、支持孔39、40および係止突部44の周辺部分を強固に形成することができる。また、本実施形態では、一対の小径内周面33A、33Aの配置領域が、前後方向において支持孔39、40および係止突部44の配置位置と重なり合う構成に比べ、支持孔39、40および係止突部44を成形する金型の構造が簡単になり台座3全体の成形金型を簡易な形状で製作することができる。さらに、本実施形態では、マグネット4は、一対の小径内周面33A、33Aの間への圧入により、台座3に取り付けられることから、マグネットを接着剤で台座に直接に接着する構成に比べ、接着力の劣化などの経年変化による影響を受けることなく長期間確実にマグネットが台座に保持される。
【0043】
基端部分20の最下端部である保持端面25と、軸部23、24が嵌合する支持孔39、40の形成位置に近接して形成された当接面43Bとの当接により、フック部2は突出した状態に保持される。これにより、フック部2および台座3を上下方向に長くすることなく、フック部2の突出した状態を確実に保持することができる。
【0044】
屈曲部分22の内面に形成された係止溝26と、台座3の上方端面43Eに形成された係止突部44との嵌合により、フック部2は収納された状態に保持される。これにより、フック部2および台座3を上下方向に長くすることなく、フック部2の収納された状態を確実に保持することができる。
【0045】
屈曲部分22に近接した延出部分21の内面と、台座3の突起部43Dとの当接により、フック部2の収納された姿勢が常に一定の姿勢に定められる。これにより、屈曲部分22の係止溝26が、台座3の係止突部44に確実に嵌合することができる。
【0046】
切欠部34、35は、台座3の上端部分より下端部分に近い位置、特に、フック部2の基端部分20が支持される支持孔39、40に近接して形成される。これにより、細い長尺物STは、フック部2が収納されたときに切欠部34、35に確実に挿通される。
【0047】
<第2の実施形態>
以下に、本発明の第2の実施形態に係るフック装置100について、図面を参照して説明する。フック装置100は、第1の実施形態に係るフック装置1とは、マグネットの取り付け構成と、切欠部34、35に相当する部分を有しない構成とにおいて、大きく相違する。
【0048】
[フック装置100の概略構成]
図10乃至図12において、フック装置100は、フック部102と、台座103と、マグネット104と、保持枠105とを備える。
【0049】
フック部102は、基端部分120と、延出部分121と、屈曲部分122とを備え、これらの部分は合成樹脂材料により一体に成形される。基端部分120は、延出部分121に比べ、前後方向における厚さが大きくなるように形成される。一対の軸部123、124が、基端部分120の左右両側面から突出して形成される。両軸部123、124は、図3に示す両軸部23、24と同様に、後方部分の突出量が徐々に小さくなるように傾斜して形成される。保持下端面125が、基端部分120の最下端部に形成され、保持後端面126が、基端部分120の最下端部に近接した後面に形成される。すなわち、保持下端面125および保持後端面126は、フック部2の最下端部に形成される。
【0050】
延出部分121は、基端部分120から上方に延出し、緩やかに湾曲して形成される。屈曲部分122は、延出部分121の上方部分から略直角に後方に屈曲して形成される。係止突部127が、左右方向に延びて屈曲部分122の内面に形成される。突出部128が、延出部分121と屈曲部分122との連結部分の外面に形成される。使用者は、指先で突出部128に接触してフック部102を回動させることができる。
【0051】
図11および図12において、マグネット104は、板状の矩形形状を有し、公知の永久磁石から構成される。一対の突起片がマグネット104の左右側端面にそれぞれ固定される。図12には、マグネット104の右側端面に固定された一対の突起片106A、106Aのみが示される。
【0052】
保持枠105は、一対の側壁部分107、108と、一対の梁部分109、110とを備え、これらの部分が合成樹脂材料により一体に成形される。一対の嵌合凹所が、一対の側壁部分107、108の各々の内面に形成され、一対の突起片と嵌合する。図12には、右側壁部分107の内面に形成された一対の嵌合凹所111A、111Aのみが示される。取付突起112が上部梁部分109の上方端に形成される。また、取付突起113が下部梁部分110の下方端に形成される。
【0053】
本実施形態のフック部102、台座103、およびマグネット104が、本発明のフック部、台座、およびマグネットの一例である。本実施形態の一対の軸部123、124、延出部分121、および屈曲部分122が、本発明の一対の軸部、延出部、および屈曲部の一例である。本実施形態の突出部128は、本発明の突出部の一例である。本実施形態の保持枠105が、本発明のマグネットに取り付けられる部材および保持部材の一例である。
【0054】
[台座103の詳細な構成]
台座103の詳細な構成について、図10、図11、図13乃至図16を参照して説明する。台座103は、前方から見た場合に略円形形状であり、球面形状の前面を有する。台座103は、支持部分130と、一対の側方部分131、132とを備え、これらの部分は合成樹脂材料により一体に成形される。図11に示すように、台座103は、後面に設置凹部133を有する。図14に示すように、支持部分130は、設置凹部133の内部で上下方向に延びて形成される。取付凹所134が、支持部分130の上方部分に形成され、その取付凹所134の開口部分が下方に突出する。取付凹所135が、支持部分130の下方部分に形成され、その取付凹所135の開口部分が上方に突出する。取付凹所134は、保持枠105の取付突起112と嵌合し、取付凹所135は、保持枠105の取付突起113と嵌合する。取付突起が取付凹所に嵌合するときに、その取付突起が形成された梁部分が上下方向に変形する。たとえば、取付突起112が取付凹所134に嵌合するときに、その取付突起112が形成された梁部分109が下方に曲がって弾性変形する。取付凹所および取付突起の嵌合により、保持枠105は台座103の支持部分130に着脱可能に取り付けられる。
【0055】
図13および図14に示すように、フック部102のための収納凹部136が、両側方部分131、132の間の領域に形成される。収納凹部136は、3つの収納空間136A〜136Cを有する。収納空間136Aは、フック部102の基端部分120を収納する空間である。収納空間136Bは、フック部102の延出部分121を収納する空間である。収納空間136Cは、フック部102の屈曲部分122を収納する空間である。本実施形態の設置凹部133、および収納凹部136が、本発明の設置凹部、および収納凹部の一例である。本実施形態の取付凹所134、135が、本発明の設置凹部内に位置する台座の後方部分の一例である。
【0056】
図13および図14に示すように、一対の支持孔139、140が、設置凹部133に連通して台座103の両側方部分31、32の下端近傍に形成される。一対の嵌入溝141、142が、両支持孔139、140の前方部分に連設して、両側方部分131、132の互いに対向する内面に形成される。フック部102の両軸部123、124は、両嵌入溝141、142に嵌入して両支持孔139、140に嵌合する。この嵌合により、フック部102は、回動可能に台座103に支持される。両軸部123、124が両支持孔139、140に嵌合するときに、両軸部23、24が形成された基端部分120の側方部分は内方に縮んで弾性変形する。本実施形態の一対の支持孔139、140が、本発明の支持部の一例である。
【0057】
図14に示すように、支持部分130の前方部分は、下方当接面143Aと、傾斜当接面43Bと、延出平面143Cと、突起部143Dと、上方端面143Eとを備える。下方当接面143Aは、台座1033の下方部分から上下方向に延びて形成される。傾斜当接面143Bは、下方当接面143Aから前方に傾斜して形成される。フック部102が台座103から前方に突出したときに、下方当接面143Aは保持下端面125と当接し、傾斜当接面143Aは保持後端面126と当接する。延出平面143Cは、傾斜当接面143Bから上下方向に延びて形成される。突起部143Dは、延出平面143Cの上方端部分から前方に突出して形成される。突起部143Dは、フック部102が収納凹部136に収納されたときに、屈曲部分122に近接した延出部分121の内面に当接する。上方端面143Eは、台座103の上方端において前後方向に延びて形成される。係止凹所144が、上方端面143Eにおいて開口するように、設置凹部133に連通して前後方向に形成される。フック部102が収納凹部136に収納されたときに、屈曲部分122の係止突部127が係止凹所144に嵌合する。
【0058】
本実施形態の係止凹所144が、本発明の係止部の一例である。本実施形態の突起部143Dは、本発明の突起部の一例である。本実施形態の下方当接面143A、および傾斜当接面143Bが、本発明の当接面の一例である。本実施形態のフック部2の保持下端面25、および保持後端面126が、本発明のフック部の最下端部の一例である。
【0059】
[フック装置100の使用方法]
フック装置100の使用方法について、図17および図18を参照して説明する。
【0060】
(物品を引っ掛ける場合)
使用者は、スチールなどの磁性材料から構成された机の側壁などの上下方向に延びる壁面WLに、マグネット104の磁力によりフック装置100を装着する。フック部102が、図18に示すように収納凹部136に収納された状態にある場合には、使用者は、フック部102の突出部128に指先を接触させ、フック部102を前方に押し出す。使用者の押し出し操作により、屈曲部分122の係止突部127は台座103の係止凹所144との嵌合から解除され、フック部102は一対の軸部123、124を中心に反時計回り方向に回動される。フック部102の保持下端面125および保持後端面126が台座3の下方当接面143Aおよび傾斜当接面143Bにそれぞれ当接すると、フック部102の回動が停止される。これにより、フック部102は、図17に示す突出した状態に保持される。この突出した状態のフック部102は、カバンなどの物品を吊り下げることができる。
【0061】
(フック部102を収納する場合)
使用者は、カバンなどの物品を吊り下げない場合には、フック部102の屈曲部分122などの先端部分に衣服などを引っ掛けないようにフック部102を収納凹部136に収納する。この収納のために、使用者は、フック部102を時計回り方向に回動させ、屈曲部分22の係止突部127を台座103の係止凹所144に嵌合させる。この嵌合により、フック部102は図18に示すように収納された状態に保持される。
【0062】
(マグネット104を交換する場合)
マグネット104を交換する場合、使用者は、取付突起112、113を取付凹所134、135との嵌合から解除して保持枠105を台座103から取り外す。その後に、使用者は、マグネット104の突起片を保持枠105の嵌合凹所との嵌合から解除する。たとえば、使用者は、マグネット104の右側端面に固定された一対の突起片106A、106Aを、保持枠105の右側壁部分107の内面に形成された一対の嵌合凹所111A、111Aとの嵌合から解除する。これにより、使用者は、マグネット104を保持枠105から取り外すことができる。
【0063】
新たなマグネットが、左右方向の幅についてマグネット104と同じであり、設置凹部133に収容することができる上下方向の長さである限り、使用者は、マグネット104より上下方向の長さが長い新たなマグネットを保持枠105に取り付けることができる。一方、新たなマグネットが、左右方向の幅についてマグネット104より小さい場合、使用者は、保持枠105とは異なる保持枠を使用する必要がある。異なる保持枠は、一対の梁部分の間隔が一対の梁部分109、110の間隔と同じであるが、一対の側壁部分の間隔が新たなマグネットの幅に合わせて一対の側壁部分107、108の間隔より小さい保持枠、すなわち小さな幅の保持枠となる。異なる保持枠の一対の梁部分の間隔は一対の梁部分109、110の間隔と同じであることから、台座103の形状を変えることなく、幅の小さな保持枠を台座103に取り付けることができる。したがって、マグネットの幅に応じた幅の保持枠を用意することにより、台座103の形状を変えることなく、異なるサイズのマグネットを台座103に取り付けることができる。
【0064】
[フック装置100の効果]
設置凹部133は、台座103の前後方向の厚さの略1/3の奥行きを有し、台座103の上下方向の領域の大部分に形成される。一方、保持枠105の取付突起112、113が嵌合する取付凹所134、135は、設置凹部133内ではあるが、支持孔139、140の配置位置と係止凹所144の配置位置との間に位置する。これにより、取付凹所134、135の配置領域は、前後方向において支持孔139、140および係止凹所144の配置位置と重なり合うことがなく、台座103の前後方向の厚さおよび左右方向の幅を大きくせずに、支持孔139、140および係止凹所144の周辺部分を強固に形成することができる。また、本実施形態では、取付凹所134、135の配置領域が、前後方向において支持孔139、140および係止凹所144の配置位置と重なり合う構成に比べ、支持孔139、140および係止凹所144を成形する金型の構造が簡単になり台座103全体の成形金型を簡易な形状で製作することができる。さらに、本実施形態では、マグネット104は、取付突起112、113と取付凹所134、135との嵌合により、台座103に取り付けられることから、マグネットを接着剤で台座に直接に接着する構成に比べ、接着力の劣化などの経年変化による影響を受けることなく長期間確実にマグネットが台座に保持される。
【0065】
基端部分120の最下端部である保持下端面125および保持後端面126と、軸部123、124が嵌合する支持孔139、140の形成位置に近接して形成された下方当接面143Aおよび傾斜当接面143Bとの当接により、フック部102は突出した状態に保持される。これにより、フック部102および台座103を上下方向に長くすることなく、フック部102の突出した状態を確実に保持することができる。
【0066】
屈曲部分122の内面に形成された係止突部127と、台座103の上方端面143Eに形成された係止凹所144との嵌合により、フック部102は収納された状態に保持される。これにより、フック部102および台座103を上下方向に長くすることなく、フック部102の収納された状態を確実に保持することができる。
【0067】
屈曲部分122に近接した延出部分121の内面と、台座103の突起部143Dとの当接により、フック部102の収納された姿勢が常に一定の姿勢に定められる。これにより、屈曲部分122の係止突部127が、台座103の係止凹所144に確実に嵌合することができる。
【0068】
マグネットの上下方向の長さが変更されても左右方向の幅が同じであれば、使用者は、同じ保持枠105を使用して異なる長さのマグネットを台座103に取り付けることができる。また、マグネットの左右方向の幅が変更される場合には、マグネットの幅に応じた幅の保持枠を用意することにより、使用者は、台座103の形状を変更することなく、異なる幅のマグネットを台座103に取り付けることができる。
【0069】
<変形例>
本発明は、本実施形態に限定されることはなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。以下にその変形の一例を述べる。
【0070】
(1)第1の実施形態では、マグネット4は設置凹部33の一対の小径内周面33A、33Aに圧入されて取り付けられる。この構成に代えて、第2の実施形態の保持枠105と同様な保持枠を使用して、マグネットを台座に取り付ける構成であっても良い。
【0071】
(2)第2の実施形態では、第1の実施形態の一対の切欠部34、35が設けられていないが、一対の切欠部が一対の側方部分131、132に形成される構成であっても良い。この構成により、フック部102が収納された状態で、使用者は細い長尺物を一対の切欠部に吊り下げることができる。
【0072】
(3)第1の実施形態の摩擦シート5と同様なシートが、第2の実施形態のマグネット104の壁面WLと対向する面に、接着される構成であっても良い。また、摩擦シート5をマグネット4に接着する構成に代えて、摩擦抵抗を増加させる溶剤をマグネットの表面に塗布しても良い。
【0073】
(4)第2の実施形態の突出部128と同様な突出部が、第1の実施形態の延出部分21と屈曲部分22との連結部分の外面に形成される構成であっても良い。
【0074】
(5)第2の実施形態では、保持下端面125および保持後端面126と、下方当接面143Aおよび傾斜当接面143Bとの当接により、フック部102は突出した状態に保持される構成である。この構成に代えて、保持下端面125と下方当接面143Aとの当接のみにより、フック部102が突出した状態に保持される構成であっても良い。
【0075】
(6)第1の実施形態では、マグネット4は、一対の小径内周面33A、33Aの間への圧入により、台座3に取り付けられるが、この構成に代えて、または、この構成に加えて、マグネット4を接着剤で接着する取り付け方法を採用することができる。第2の実施形態では、マグネット104は、取付突起112、113と取付凹所134、135との嵌合により、台座103に取り付けられるが、この構成に加えて、マグネット104を接着剤で接着する取り付け方法を採用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1、100 フック装置
2、102 フック部
3、103 台座
4、104 マグネット
20、120 基端部分
21、121 延出部分
22、122 屈曲部分
23、24、123、124 軸部
25 保持端面
26 係止溝
33、133 設置凹部
33A 小径内周面
34、35 切欠部
36、136 収納凹部
39、40、139、140 支持孔
43A 当接面
43D、143D 突起部
44 係止突部
105 保持枠
125 保持下端面
126 保持後端面
127 係止突部
128 突出部
134、135 取付凹所
143A 下方当接面
143B 傾斜当接面
WL 壁面
ST 細い長尺物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に延びる壁面と対向する後面と、その後面と反対側の前面とを含む台座と、
物品類を引っ掛けるためのフック部と、
前記台座の下端近傍に設けられ、前記フック部の下端部を回動可能に支持する支持部と、
前記台座の上端近傍に設けられ、前記フック部の上端部を係止する係止部と、
マグネットと、を備え、
前記フック部の上端部が前記係止部により係止されるときに前記フック部を収納するための収納凹部が、前記台座の前面に形成され、
前記マグネットを前記台座に設置するための設置凹部が、前記台座の後面に形成され、
前記マグネットまたは前記マグネットに取り付けられる部材が、前記支持部の配置位置と前記係止部の配置位置との間において前記設置凹部内に位置する前記台座の後方部分に取り付けられることを特徴とする着脱可能なフック装置。
【請求項2】
前記フック部は、その下端部に形成される一対の軸部と、その両軸部の形成位置から上方に延びる延出部と、その延出部の先端に屈曲して形成される屈曲部とを含み、
前記係止部は、前記屈曲部を係止することを特徴とする請求項1に記載の着脱可能なフック装置。
【請求項3】
前記フック部は、前記延出部と前記屈曲部との連結部分の外面に形成され、使用者の指が接触可能な突出部を含むことを特徴とする請求項2に記載の着脱可能なフック装置。
【請求項4】
前記台座は、前記屈曲部に近接した前記延出部の内面に当接する突起部を含み、
前記フック部が前記収納凹部に収納される姿勢は、前記フック部の上端部が前記係止部により係止されるときに、前記突起部と前記延出部の内面との当接により定まることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の着脱可能なフック装置。
【請求項5】
前記台座は、前記支持部の配置位置に近接して形成される当接面を含み、
前記当接面は、前記フック部が前記台座の前面から突出する位置まで回動されるときに、前記フック部の最下端部と当接することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の着脱可能なフック装置。
【請求項6】
前記台座は、前記収納凹部を形成する側面部をその収納凹部を横切る方向に切り欠いて形成される切欠部を含み、
前記切欠部は、前記支持部の配置位置より上方に位置し、
前記係止部により前記フック部の上端部が係止されるときに、紐などの長尺物を挿通するための空間が、前記フック部と前記切欠部との間に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の着脱可能なフック装置。
【請求項7】
前記台座の後面に対して着脱可能な保持部材を備え、
前記マグネットは、前記保持部材に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の着脱可能なフック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−17755(P2012−17755A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153650(P2010−153650)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(591070831)株式会社マーゼンプロダクツ (24)
【出願人】(591182396)オート株式会社 (6)
【Fターム(参考)】