着脱式チャイルドシート
【課題】 座席本体とベース部材とを確実にかつ強固に連結固定し得る着脱式チャイルドシートを提供する。
【解決手段】 着脱式チャイルドシートは、ベース部材30と、このベース部材30上に着脱可能に取付けられる座席本体と、ベース部材30の立壁部と座席本体の背もたれ部とを係脱可能にロックする上部ロック機構60と、ベース部材30の底壁部と座席本体の座部とを係脱可能にロックする下部ロック機構70と、上部ロック機構60および下部ロック機構70を連結し、両ロック機構のロック状態およびロック解除状態を同期させる同期機構とを備える。
【解決手段】 着脱式チャイルドシートは、ベース部材30と、このベース部材30上に着脱可能に取付けられる座席本体と、ベース部材30の立壁部と座席本体の背もたれ部とを係脱可能にロックする上部ロック機構60と、ベース部材30の底壁部と座席本体の座部とを係脱可能にロックする下部ロック機構70と、上部ロック機構60および下部ロック機構70を連結し、両ロック機構のロック状態およびロック解除状態を同期させる同期機構とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、座席本体とベース部材とが着脱可能なチャイルドシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願と同一の出願人は、特開平10−250426号公報(特許文献1)に、チャイルドシートを開示した。この公報に開示されたチャイルドシートは、ベース部材と、このベース部材上に旋回可能に支持された座席本体とを備える。旋回可能な座席本体は、車の座席上で、必要に応じて前向き、後ろ向きおよび横向きに位置決めされる。
【0003】
上記のような旋回式のチャイルドシートの場合、車の座席上に固定されたベース部材の上で座席本体が旋回するものであるので、ベース部材は座席本体の旋回を許容し得るだけの大きさを有していなければならない。そのため、チャイルドシートの大型化を余儀なくされる。
【0004】
チャイルドシートの小型化を図るには、座席本体をベース部材に対して着脱可能にするのが好ましい。このようなチャイルドシートの一例が、特開2000−301969号公報(特許文献2)に開示されている。この公報に開示されたチャイルドシートにおいても、座席本体は、必要に応じて、ベース部材上で前向き、後ろ向きおよび横向きに位置決めされる。
【特許文献1】特開平10−250426号公報
【特許文献2】特開2000−301969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2000−301969号公報に開示されたチャイルドシートの場合、ベース部材には座席本体を装着するための取付係合部が4箇所に形成され、座席本体には座部の下面側に上記の取付係合部に係合可能なピン部が取付けられている。
【0006】
上記の特開2000−301969号公報に開示された座席本体とベース部材との連結固定構造は、非常に複雑であり、よりシンプルな構造が望まれる。
【0007】
また、着脱式チャイルドシートの場合、座席本体とベース部材とを確実にかつ強固に連結固定することが必要である。さらに、不測の事態が起こっても、座席本体がベース部材から容易に離脱しないようにすることが望まれる。
【0008】
この発明の目的は、座席本体とベース部材とを確実にかつ強固に連結固定し得る着脱式チャイルドシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に従った着脱式チャイルドシートは、ベース部材と、座席本体と、上部ロック機構と、下部ロック機構と、同期機構とを備える。ベース部材は、底壁部およびこの底壁部の後端から上方に立ち上がって延びる立壁部を有する。座席本体は、座部および背もたれ部を有し、ベース部材上に着脱可能に取付けられる。上部ロック機構は、ベース部材の立壁部と座席本体の背もたれ部とを係脱可能にロックする。下部ロック機構は、ベース部材の底壁部と座席本体の座部とを係脱可能にロックする。同期機構は、上部ロック機構および下部ロック機構を連結し、両ロック機構のロック状態およびロック解除状態を同期させる。
【0010】
上記構成によれば、座席本体とベース部材とを上下のロック機構によって強固に連結固定することができる。また、上下のロック機構の動作は、同期機構によって同期するようになっているので、連結固定操作を容易に行なうことができる。
【0011】
好ましい実施形態では、上部ロック機構は、上下方向に変位可能となるようにベース部材の立壁部に支持された昇降部材と、上方位置にもたらされた昇降部材に係合し得るように座席本体の背もたれ部背面に設けられた被係合部材とを含む。この実施形態では、同期機構は、昇降部材と下部ロック機構とを連結する連結部材を含む。
【0012】
好ましくは、上部ロック機構は、昇降部材を上方位置にもたらすように付勢する付勢手段を含む。
【0013】
好ましい実施形態では、下部ロック機構は、ベース部材の底壁部に設けられた受け金具と、受け金具に受け入れられて係合するように座席本体の座部の底面に設けられた係合ロッドと、受け金具と係合ロッドとの係合状態を選択的にロックするようにベース部材に変位可能に支持されたロック部材とを含む。この実施形態では、同期機構は、ロック部材と上部ロック機構とを連結する連結部材を含む。
【0014】
好ましくは、下部ロック機構は、ロック部材を係合方向に付勢する付勢手段を含む。
【0015】
一つの実施形態では、同期機構は、ロック部材に当接してロック部材の係合方向への移動を禁止する上方位置と、受け金具内に受け入れられた係合ロッドによって下方に押し下げられてロック部材の係合方向への移動を許容する下方位置との間を変位し得るようにベース部材に支持されたストッパ部材と、このストッパ部材を上方に向かって付勢する弾性部材とを含む。
【0016】
好ましくは、同期機構は、ロック部材をロック解除位置にもたらすように操作する操作部材を含む。
【0017】
好ましい実施形態では、上部ロック機構は、上下方向に変位可能となるようにベース部材の立壁部に支持された昇降部材と、上方位置にもたらされた昇降部材に係合し得るように座席本体の背もたれ部背面に設けられた被係合部材とを含む。下部ロック機構は、ベース部材の底壁部に設けられた受け金具と、受け金具に受け入れられて係合するように座席本体の座部の底面に設けられた係合ロッドと、受け金具と係合ロッドとの係合状態を選択的にロックするようにベース部材に変位可能に支持されたロック部材とを含む。この実施形態では、同期機構は、昇降部材とロック部材とを連結するワイヤを含む。
【0018】
好ましい実施形態では、ベース部材には、前方位置で幅方向に延在するベース側前方係合部材と、後方位置で幅方向に延在するベース側後方係合部材とが設けられる。座席本体の底面には、実質的に正方形の辺に沿って延び、ベース側前方係合部材およびベース側後方係合部材に係合する座席本体側係合部材が設けられている。
【0019】
上記の実施形態によれば、座席本体側係合部材が実質的に正方形の辺に沿って位置するように設けられているので、座席本体を前向き、後ろ向き、横向きのいずれの状態にしても、座席本体側係合部材とベース側係合部材とを実質的に同じ構造で係合させることができる。従って、両者の連結固定構造をよりシンプルにすることができる。
【0020】
好ましくは、ベース側前方係合部材は、幅方向に離れて位置する2個の前方受け金具を含む。また、ベース側後方係合部材は、幅方向に離れて位置する2個の後方受け金具を含む。座席本体側係合部材は、前方に位置して幅方向に延びる前方係合ロッドと、後方に位置して幅方向に延びる後方係合ロッドと、両側方に位置して前後方向に延びる1対の側方係合ロッドとを含む。
【0021】
好ましくは、座席本体をベース部材上に前向きに置く場合には、前方係合ロッドおよび後方係合ロッドが、それぞれ、前方受け金具および後方受け金具に係合する。座席本体をベース部材上で後ろ向きに置く場合には、後方係合ロッドおよび前方係合ロッドが、それぞれ、前方受け金具および後方受け金具に係合する。座席本体をベース部材上で横向きに置く場合には、1対の側方係合ロッドが、それぞれ、前方受け金具および後方受け金具に係合する。一つの実施形態では、下部ロック機構は、ベース側前方係合部材およびベース側後方係合部材の少なくともいずれか一方と、座席本体側係合部材とを係脱可能にロックする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、この発明の一実施形態である着脱式チャイルドシートを示している。チャイルドシート1は、座席本体10と、ベース部材30とを備える。座席本体10は、ベース部材30に着脱可能に支持される。図1および図5は、座席本体10をベース部材30上に前向きに取付けている状態を示している。
【0023】
図6は、座席本体10をベース部材30上に後ろ向きに取付けている状態を示し、図7は、座席本体10を寝かせた状態にして、ベース部材30上に横向きに取付けている状態を示している。座席本体10は、座部11と、この座部11に対して後傾可能に設けられている背もたれ部12とを有する。図1および図5に示す前向き取付け状態では、背もたれ部12を最小後傾角度にする。図7に示す横向き取付け状態では、背もたれ部12を最大後傾角度にして、ベッド状の形態にする。図6に示す後ろ向き取付け状態では、背もたれ部12を中間後傾角度にする。
【0024】
図2は、ベース部材30を示している。図示するように、ベース部材30は、座席本体10の座部11を下から支える底壁部31と、底壁部31の後端から上方に立ち上がって延びる立壁部32とを有する。
【0025】
底壁部31上には、座席本体10を取り付けるための2個の前方受け金具38および2個の後方受け金具39が設けられている。2個の前方受け金具38は、底壁部31の前方位置で幅方向に延在するように配置されている。2個の後方受け金具39は、底壁部31の後方位置で幅方向に延在するように配置されている。前方受け金具38は、その後端から前方に向かって抉れた係合凹部を有している。後方受け金具39は、下方に向かって抉れた係合凹部を有している。図示した実施形態では、2個の前方受け金具38および2個の後方受け金具39は、それぞれ、幅方向に離れて位置しているが、他の実施形態として、前方および後方の受け金具をそれぞれ1個にし、それらを幅方向に長く延ばすようにしてもよい。
【0026】
ベース部材30の底壁部31の前方端には、座席本体10とベース部材30との連結固定状態を解除するための操作部材40の一部が露出している。この操作部材40を手で手前に引くように操作すれば、座席本体10とベース部材30とのロック状態を解除できる。この操作部材40に関連した構造については、後に詳しく説明する。
【0027】
図2に示すように、ベース部材30の立壁部32の上方部には、2個のベルトクリップ33が取付けられている。ベース部材30は、底壁部31の両側部から上方に延びた側壁部36を有しており、この両側壁部36上にそれぞれ第1ベルト案内部材34が固定して取付けられている。また、底壁部31の後方領域の両側部に、U字形状の金属製フックの形態となっている第2ベルト案内部材35が露出している。
【0028】
図8は、ベース部材30を如何にして車に備え付けのシートベルトを利用して車の座席上に固定するかを説明するための図である。図示するように、車に備え付けのシートベルトは、通常、肩ベルト部2と腰ベルト部3とを備える。肩ベルト部2は、上方のベルトクリップ33に挟まれて案内される。腰ベルト部3は、1対の第1ベルト案内部材34および1対の第2ベルト案内部材35と通過する。この腰ベルト部3の案内経路は、良好な衝撃吸収を図るためのものであるが、これについては後に詳しく説明する。
【0029】
図2および図8に示すように、ベース部材30の立壁部32の上方領域に2個の開口37が形成されている。この2個の開口37から、座席本体10の背もたれ部12に係合する引掛けロッドが飛び出てくるが、これについても後に詳しく説明する。
【0030】
図3は座席本体10を示す斜視図であり、図4はその底面図である。図4に示すように、座席本体10の座部11の底面はほぼ正方形の形状をしており、その4個のコーナー部近傍領域にL字形状の溝13が形成されている。前述したベース側係合部材である前方受け金具38および後方受け金具39に係合する座席本体側係合部材が、4個のL字形状溝13の部分に設けられている。
【0031】
具体的には、座席本体側係合部材は、前方に位置して幅方向に延びる前方係合ロッド14と、後方に位置して幅方向に延びる後方係合ロッド16と、両側方に位置して前後方向に延びる1対の側方係合ロッド15とを含む。
【0032】
各係合ロッド14,15,16は、それぞれ、2個のコーナー部の溝13に連続して現れるように1本の長い直線状のロッドで構成しても良いし、あるいは2個の溝13のそれぞれに別個に短い長さの直線状ロッドを設けるようにしてもよい。また、前方係合ロッド14、側方係合ロッド15および後方係合ロッド16を互いに連結したような長いL字形状、U字形状、四角形状のロッドを用いるようにしてもよい。いずれの場合でも、溝13上に現れるロッド部分が、前述したベース側係合部材に係合する座席本体側係合部材を構成する。
【0033】
座席本体側係合部材を構成する前方係合ロッド14、1対の側方係合ロッド15および後方係合ロッド16は、実質的に正方形の辺に沿って延びるようにされている。
【0034】
次に図11を参照して、座席本体10とベース部材30との連結固定の3形態を説明する。図11は、ベース部材30(図11(a))および座席本体10の底面(図11(b))を示している。図示するように、ベース部材30には、2個の前方受け金具38および2個の後方受け金具39が設けられている。一方、座席本体10の底面には、前方係合ロッド14、1対の側方係合ロッド15および後方係合ロッド16が設けられている。
【0035】
座席本体10をベース部材30上で前向きに置く場合には、前方係合ロッド14が前方受け金具38に係合し、後方係合ロッド16が後方受け金具39に係合する。座席本体10をベース部材30上で後ろ向きに置く場合には、後方係合ロッド16が前方受け金具38に係合し、前方係合ロッド14が後方受け金具39に係合する。座席本体10をベース部材30上で横向きに置く場合には、1対の側方係合ロッド15がそれぞれ前方受け金具38および後方受け金具39に係合する。
【0036】
次に図10〜図20を参照して、座席本体10とベース部材30との連結固定状態をロックする機構について説明する。
【0037】
図12および図13は、ほぼ全体が樹脂材料で覆われたベース部材30のフレーム構造体50を示している。フレーム構造体50は剛性を有しており、基本的な構成要素として、両側部に位置する1対のL字状の金属製棒状部材51と、各棒状部材51に固定された1対の金属製側板52と、1対の棒状部材51間を連結する幅方向連結部材53,54,55とを備える。前述した前方受け金具38は、最も前方に位置する幅方向連結部材55上に固定され、後方受け金具39は、中間に位置する幅方向連結部材54上に固定されている。
【0038】
着脱式チャイルドシートは、上部ロック機構60と、下部ロック機構70と、同期機構80とを備える。上部ロック機構60は、ベース部材30の立壁部32と座席本体10の背もたれ部12とを係脱可能にロックするものである。下部ロック機構70は、ベース部材30の底壁部31と座席本体10の座部11とを係脱可能にロックするものである。同期機構80は、上部ロック機構60と下部ロック機構70とを連結し、両ロック機構のロック状態およびロック解除状態を同期させるものであり、一構成要素としてワイヤ81を含む。
【0039】
上部ロック機構60は、ベース部材30側に取付けられる要素として、上下方向に変位可能となるようにベース部材30の立壁部32に支持されたロッドホルダー61と、ロッドホルダー61に固定保持された1対の引掛けロッド62と、ロッドホルダー61に固定保持された1対の表示片63と、ロッドホルダー61を上方に向かって移動させるように付勢する付勢手段としてのばね64とを備える。ここで引掛けロッド62は、後述する座席本体の被係合部材に係合する昇降部材として機能する。
【0040】
1対の引掛けロッド62は、幅方向連結部材53に設けられた貫通穴を通過して上方に突出できるようにされている。図12および図13に示す状態では、引掛けロッド62は下方の位置にあり、幅方向連結部材53よりも上には突出していない。
【0041】
1対の表示片63は目立つ色のプレートであり、引掛けロッド62とともに上下に移動する。この表示片63は、確実にロックされているか否かを目視できるようにするためのものである。
【0042】
上部ロック機構60は、座席本体10側に取付けられる要素として、図10に示す1対の引掛け環65を備える。この引掛け環65は、座席本体10の背もたれ部12の背面に設けられる。引掛け環65は、ベース部材の昇降部材(引掛けロッド62)を受入れて係合する被係合部材として機能する。
【0043】
図2に示すように、ベース部材30の背もたれ部32の上方端部分には、1対の開口37が形成されている。座席本体10を前向きの状態にしてベース部材30上に取付けると、座席本体10の引掛け環65がベース部材30の開口37内に入り込む。その状態で、引掛けロッド62が上方の位置にもたらされると、引掛けロッド62が引掛け環65内に嵌り、ベース部材30の立壁部32と座席本体10の背もたれ部12とがロックされた状態になる。
【0044】
座席本体10を後ろ向きまたは横向きの状態にしてベース部材30上に取付ける場合には、引掛けロッド62および引掛け環65は使用しない。この場合、引掛けロッド62とともに上下動する表示片63が、上方位置にもたらされると、開口37から表示片63を目視できる。表示片63が開口37から目視されるということは、下部ロック機構70によるロックが確実になされていることを意味する。下部ロック機構70のロックが不完全な場合には、表示片63が開口37から明瞭に表れない。
【0045】
次に、主に図12〜図14を参照して下部ロック機構70の具体的な構造を説明する。
【0046】
下部ロック機構70は、ベース部材30側に取付けられる要素として、幅方向連結部材54上に固定された後方受け金具39と、後方受け金具39の係合穴を横切るように前後方向に変位可能なロック部材71とを備える。また、下部ロック機構70は、座席本体10側に取付けられる要素として、係合ロッド14,15,16を備える。以下の説明では、後方係合ロッド16を代表例として取り上げてロック機構の動作を説明する。
【0047】
ロック部材71は、後方に向かって張出している1対の係合プレート73を有しており、これらの係合プレート73が、後方位置にもたらされたときに、後方受け金具39の係合穴内に受け入れられた後方係合ロッド16の上に位置し、それにより後方受け金具39と後方係合ロッド16との係合状態をロックする。
【0048】
同期機構80の一構成要素であるワイヤ81は、ロッドホルダー61とロック部材71とを連結している。従って、ロック部材71は、ばね64の付勢力により、常に係合方向に付勢されることになる。
【0049】
図12、図13、図14および図20に示すように、同期機構80は、上方位置と下方位置との間を変位し得るようにベース部材30に支持されたストッパ部材82と、このストッパ部材82を上方に向かって付勢する弾性部材としてのばね83とを備える。図12〜図14においては、ばね83の図示を省略している。ストッパ部材82の上方部分は、幅方向連結部材54を通過して後方受け金具39内に入り込んでいる。また、ばね83は、ストッパ部材82の両側部と幅方向連結部材54とを連結している。ストッパ部材82がばね83の付勢力によって上方位置にもたらされているときには、ストッパ部材82の上方端が後方受け金具39の上壁裏面に当接している。
【0050】
図14に示すように、前後方向に変位可能なロック部材71は、下方に突出している断面矩形の下方突出部74を有する。ストッパ部材82が上方位置にもたらされているときには、ロック部材71の下方突出部74の後壁面がストッパ部材82に当接することによってロック部材71の後方への移動が禁止され、同時にワイヤ81を介して連結されているロッドホルダー61の上方への移動も禁止されている。
【0051】
ベース部材30の前方端部分に一部が露出している操作部材40も、同期機構81の一構成要素である。図14に示すように、操作部材40は引張ばね42によって後方に向かって付勢されており、その後方端部分に係合軸41が設けられている。ロック部材71は、その前方端部分に係合つめ72を有する。ロック部材71が後方へ移動したとき、係合つめ72と係合軸41とが係合するようになる。操作部材40は、ロック部材71をロック解除位置にもたらすように操作するものである。
【0052】
次に図14〜図18を参照しながら、上部ロック機構60、下部ロック機構70および同期機構80の動作を説明する。
【0053】
図14は、座席本体10がベース部材30上に取付けられていない状態を示している。この状態では、ストッパ部材82の上方端部が後方受け金具39の上壁裏面に当接し、ロック部材71は、ストッパ部材82に当接することによって後方への移動が禁止されている。また、ロッドホルダー61、引掛けロッド62および表示片63が下方位置にある。
【0054】
図15は、座席本体10の前方係合ロッド14を前方受け金具38の係合凹部内に位置させ、さらに後方係合ロッド16を後方受け金具39の係合凹部に位置させて下方に押し下げた状態を示している。ストッパ部材82は、後方係合ロッド16によって下方に押し下げられて、ロック部材71の後方への移動を許容し得る下方位置にもたらされている。
【0055】
すると、図16に示すように、ばね64(図12参照)の引張力により、ロッドホルダ61が上方位置にもたらされるとともに、ワイヤ81を介してロッドホルダ61に連結されたロック部材71が後方の位置にもたらされて係合プレート73を後方係合ロッド16の上に位置させるようになる。ロック部材71の係合プレート73と後方係合ロッド16との係合状態をロックすることにより、ベース部材30の底壁部31と、座席本体10の座部11との連結状態がロックされる。この状態では、ストッパ部材82はロック部材71の下方突出部74の底面に当接して下方の位置に保持されている。
【0056】
上述のような下部ロック機構70のロック動作に連動して、引掛けロッド62も上方に移動して座席本体10の引掛け環65内にはまり込み、それによりベース部材30の立壁部32と座席本体10の背もたれ部12との連結状態もロックされる。上部ロック機構60および下部ロック機構70のロック状態は、ばね64の付勢力によって強固に維持される。
【0057】
座席本体10をベース部材30から取外す場合には、図17に示すように、操作部材40を前方に引き出す。すると、操作部材40の係合軸41がロック部材71の係合つめ72に係合してロック部材71を前方に移動させる。
【0058】
図17に示す状態では、ロック部材71の係合プレート73が前方に移動し、後方係合ロッド16の上部を解放している。また、ロック部材71の前方への移動に伴って、ロック部材71の下方突出部74の底面とストッパ部材82との当接状態が解除され、ストッパ部材82の上方への移動が許容される。従って、図18に示すように、ばね83(図20参照)の引張力によってストッパ部材82が上方に移動し、後方係合ロッド16を後方受け金具39の外に押し上げる。これにより、ベース部材30の底壁部31と座席本体10の座部11との連結固定状態が解除される。なお、操作部材40は、引張ばね42の引張力により、元の位置にまで引き戻される。
【0059】
操作部材40を操作してロック部材71を前方に移動させることに伴って、ワイヤ81を介してロック部材71に連結された引掛けロッド62が下方に引き下げられて、幅方向連結部材53内に後退する。その結果、引掛けロッド62と引掛け環65との係合が解かれ、ベース部材30の立壁部32と座席本体10の背もたれ部12との連結固定状態が解除される。
【0060】
図14〜図18は、座席本体10を前向きの状態でベース部材30上に取付ける例を示すものである。座席本体10を横向きまたは後ろ向きの状態でベース部材30上に取り付ける場合には、引掛けロッド62が引掛け環65内にはまり込むことは無い。この場合には、図19に示すように、下部ロック機構70が確実にロック状態になっていれば、ベース部材30の立壁部32の上方端部分に設けられた開口37から表示片63を目視することができる。表示片63が明瞭に観察できないようであれば、下部ロック機構70のロック状態が不完全ということを認識できるので安全上好ましい。
【0061】
次に図21〜図24を参照して、衝撃吸収構造の詳細を説明する。図21に示すように、ベース部材30は、剛性のあるフレーム構造体50を備える。車に備え付けの腰ベルトを通過させるための1対の第1ベルト案内部材34は、フレーム構造体50の両側部に位置する金属製側板52上に固定される。金属製帯材90は、その両端が金属製側板52に固定されている。U字形状の金属製フックの形態となっている第2ベルト案内部材35は、固定軸91を介して金属製帯材90の両側部領域に固定される。従って、1対の第2ベルト案内部材35は、1対の第1ベルト案内部材34の内側に位置する。
【0062】
図8を参照して既述したように、車に備え付けのシートベルトの腰ベルト部分3は、1対の第1ベルト案内部材34および1対の第2ベルト案内部材35の両者を通過するようにして、ベース部材30を車の座席上に固定する。例えば、車の衝突事故があった場合には、ベース部材30は前方に移動しようとし、その衝撃荷重が腰ベルト部分3から第2ベルト案内部材35に加わる。第2ベルト案内部材35は金属製帯材90上に固定されているので、第2ベルト案内部材35に衝撃荷重が加わると、金属製帯材90が曲がって塑性変形する。このように金属製帯材90が塑性変形することにより、ベース部材30に加わる衝撃荷重をある程度吸収するので、チャイルドシートに着座した子供に作用する衝撃力を緩和することができる。
【0063】
図9は、ベース部材30の輪郭を示す側面図である。図示するように、好ましくは、ベース部材30は、その底面から下方に突出する位置と、底面内に後退する位置との間を移動可能な傾斜調整部材92を備える。図示した傾斜調整部材92は、ベース部材30に回動可能に保持されている。例えば、車の座席の後部の下方への落ち込みが大きいときには、傾斜調整部材92を突出した状態にして、ベース部材30を車の座席上に固定する。
【0064】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態に限定されるものではない。この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、図示した実施形態に対して種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明は、座席本体とベース部材とが着脱可能な着脱式チャイルドシートに有利に利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明の一実施形態である着脱式チャイルドシートを示す斜視図である。
【図2】ベース部材の正面図である。
【図3】座席本体の斜視図である。
【図4】座席本体の底面図である。
【図5】座席本体を前向きの状態でベース部材上に取付けている状態を示す図解図である。
【図6】座席本体を後ろ向きの状態でベース部材上に取付けている状態を示す図解図である。
【図7】座席本体を横向きの状態でベース部材上に取付けている状態を示す図解図である。
【図8】車に備え付けのシートベルトの取付け方を説明するための図である。
【図9】ベース部材の輪郭を示す図である。
【図10】座席本体の背もたれ部の背面上方部を示す図である。
【図11】ベース部材の上面および座席本体の底面を並べて示す図である。
【図12】ベース部材のフレーム構造体を斜め上から見た斜視図である。
【図13】ベース部材のフレーム構造体を斜め下方から見た斜視図である。
【図14】フレーム構造体を側面から見た図であり、座席本体を取付ける前の状態を示している。
【図15】フレーム構造体を側面から見た図であり、座席本体の後方係合ロッドを下方に押し下げた状態を示している。
【図16】フレーム構造体を側面から見た図であり、座席本体を固定している状態を示している。
【図17】フレーム構造体を側面から見た図であり、座席本体に対するロックを解除操作している状態を示している。
【図18】フレーム構造体を側面からみた図であり、後方係合ロッドが上方に押し上げられた状態を示している。
【図19】ベース部材の立壁部の上方端部分を示す正面図である。
【図20】ストッパ部材の上方端部分が後方受け金具内に入っている状態を示す図解的断面図である。
【図21】衝撃吸収構造を持つフレーム構造体の斜視図である。
【図22】衝撃吸収構造を持つフレーム構造体の側面図である。
【図23】衝撃吸収構造を持つフレーム構造体の背面図である。
【図24】第2ベルト案内部材を取付けた金属製帯材の平面図である。
【符号の説明】
【0067】
チャイルドシート、2 肩ベルト部、3 腰ベルト部、10 座席本体、11 座部、12 背もたれ部、13 溝、14 前方係合ロッド、15 側方係合ロッド、16 後方係合ロッド、30 ベース部材、31 底壁部、32 立壁部、33 ベルトクリップ、34 第1ベルト案内部材、35 第2ベルト案内部材、36 側壁部、37 開口、38 前方受け金具、39 後方受け金具、40 操作部材、41 係合軸、42 引張ばね、50 フレーム構造体、51 L字状金属製棒状部材、52 金属製側板、53,54,55 幅方向連結部材、60 上部ロック機構、61 ロッドホルダー、62 引掛けロッド、63 表示片、64 ばね、65 引掛け環、70 下部ロック機構、71 ロック部材、72 係合つめ、73 係合プレート、74 下方突出部、80 同期機構、81 ワイヤ、82 ストッパ部材、83 ばね、90 金属製帯材、91 固定軸、92 傾斜調整部材。
【技術分野】
【0001】
この発明は、座席本体とベース部材とが着脱可能なチャイルドシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願と同一の出願人は、特開平10−250426号公報(特許文献1)に、チャイルドシートを開示した。この公報に開示されたチャイルドシートは、ベース部材と、このベース部材上に旋回可能に支持された座席本体とを備える。旋回可能な座席本体は、車の座席上で、必要に応じて前向き、後ろ向きおよび横向きに位置決めされる。
【0003】
上記のような旋回式のチャイルドシートの場合、車の座席上に固定されたベース部材の上で座席本体が旋回するものであるので、ベース部材は座席本体の旋回を許容し得るだけの大きさを有していなければならない。そのため、チャイルドシートの大型化を余儀なくされる。
【0004】
チャイルドシートの小型化を図るには、座席本体をベース部材に対して着脱可能にするのが好ましい。このようなチャイルドシートの一例が、特開2000−301969号公報(特許文献2)に開示されている。この公報に開示されたチャイルドシートにおいても、座席本体は、必要に応じて、ベース部材上で前向き、後ろ向きおよび横向きに位置決めされる。
【特許文献1】特開平10−250426号公報
【特許文献2】特開2000−301969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2000−301969号公報に開示されたチャイルドシートの場合、ベース部材には座席本体を装着するための取付係合部が4箇所に形成され、座席本体には座部の下面側に上記の取付係合部に係合可能なピン部が取付けられている。
【0006】
上記の特開2000−301969号公報に開示された座席本体とベース部材との連結固定構造は、非常に複雑であり、よりシンプルな構造が望まれる。
【0007】
また、着脱式チャイルドシートの場合、座席本体とベース部材とを確実にかつ強固に連結固定することが必要である。さらに、不測の事態が起こっても、座席本体がベース部材から容易に離脱しないようにすることが望まれる。
【0008】
この発明の目的は、座席本体とベース部材とを確実にかつ強固に連結固定し得る着脱式チャイルドシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に従った着脱式チャイルドシートは、ベース部材と、座席本体と、上部ロック機構と、下部ロック機構と、同期機構とを備える。ベース部材は、底壁部およびこの底壁部の後端から上方に立ち上がって延びる立壁部を有する。座席本体は、座部および背もたれ部を有し、ベース部材上に着脱可能に取付けられる。上部ロック機構は、ベース部材の立壁部と座席本体の背もたれ部とを係脱可能にロックする。下部ロック機構は、ベース部材の底壁部と座席本体の座部とを係脱可能にロックする。同期機構は、上部ロック機構および下部ロック機構を連結し、両ロック機構のロック状態およびロック解除状態を同期させる。
【0010】
上記構成によれば、座席本体とベース部材とを上下のロック機構によって強固に連結固定することができる。また、上下のロック機構の動作は、同期機構によって同期するようになっているので、連結固定操作を容易に行なうことができる。
【0011】
好ましい実施形態では、上部ロック機構は、上下方向に変位可能となるようにベース部材の立壁部に支持された昇降部材と、上方位置にもたらされた昇降部材に係合し得るように座席本体の背もたれ部背面に設けられた被係合部材とを含む。この実施形態では、同期機構は、昇降部材と下部ロック機構とを連結する連結部材を含む。
【0012】
好ましくは、上部ロック機構は、昇降部材を上方位置にもたらすように付勢する付勢手段を含む。
【0013】
好ましい実施形態では、下部ロック機構は、ベース部材の底壁部に設けられた受け金具と、受け金具に受け入れられて係合するように座席本体の座部の底面に設けられた係合ロッドと、受け金具と係合ロッドとの係合状態を選択的にロックするようにベース部材に変位可能に支持されたロック部材とを含む。この実施形態では、同期機構は、ロック部材と上部ロック機構とを連結する連結部材を含む。
【0014】
好ましくは、下部ロック機構は、ロック部材を係合方向に付勢する付勢手段を含む。
【0015】
一つの実施形態では、同期機構は、ロック部材に当接してロック部材の係合方向への移動を禁止する上方位置と、受け金具内に受け入れられた係合ロッドによって下方に押し下げられてロック部材の係合方向への移動を許容する下方位置との間を変位し得るようにベース部材に支持されたストッパ部材と、このストッパ部材を上方に向かって付勢する弾性部材とを含む。
【0016】
好ましくは、同期機構は、ロック部材をロック解除位置にもたらすように操作する操作部材を含む。
【0017】
好ましい実施形態では、上部ロック機構は、上下方向に変位可能となるようにベース部材の立壁部に支持された昇降部材と、上方位置にもたらされた昇降部材に係合し得るように座席本体の背もたれ部背面に設けられた被係合部材とを含む。下部ロック機構は、ベース部材の底壁部に設けられた受け金具と、受け金具に受け入れられて係合するように座席本体の座部の底面に設けられた係合ロッドと、受け金具と係合ロッドとの係合状態を選択的にロックするようにベース部材に変位可能に支持されたロック部材とを含む。この実施形態では、同期機構は、昇降部材とロック部材とを連結するワイヤを含む。
【0018】
好ましい実施形態では、ベース部材には、前方位置で幅方向に延在するベース側前方係合部材と、後方位置で幅方向に延在するベース側後方係合部材とが設けられる。座席本体の底面には、実質的に正方形の辺に沿って延び、ベース側前方係合部材およびベース側後方係合部材に係合する座席本体側係合部材が設けられている。
【0019】
上記の実施形態によれば、座席本体側係合部材が実質的に正方形の辺に沿って位置するように設けられているので、座席本体を前向き、後ろ向き、横向きのいずれの状態にしても、座席本体側係合部材とベース側係合部材とを実質的に同じ構造で係合させることができる。従って、両者の連結固定構造をよりシンプルにすることができる。
【0020】
好ましくは、ベース側前方係合部材は、幅方向に離れて位置する2個の前方受け金具を含む。また、ベース側後方係合部材は、幅方向に離れて位置する2個の後方受け金具を含む。座席本体側係合部材は、前方に位置して幅方向に延びる前方係合ロッドと、後方に位置して幅方向に延びる後方係合ロッドと、両側方に位置して前後方向に延びる1対の側方係合ロッドとを含む。
【0021】
好ましくは、座席本体をベース部材上に前向きに置く場合には、前方係合ロッドおよび後方係合ロッドが、それぞれ、前方受け金具および後方受け金具に係合する。座席本体をベース部材上で後ろ向きに置く場合には、後方係合ロッドおよび前方係合ロッドが、それぞれ、前方受け金具および後方受け金具に係合する。座席本体をベース部材上で横向きに置く場合には、1対の側方係合ロッドが、それぞれ、前方受け金具および後方受け金具に係合する。一つの実施形態では、下部ロック機構は、ベース側前方係合部材およびベース側後方係合部材の少なくともいずれか一方と、座席本体側係合部材とを係脱可能にロックする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、この発明の一実施形態である着脱式チャイルドシートを示している。チャイルドシート1は、座席本体10と、ベース部材30とを備える。座席本体10は、ベース部材30に着脱可能に支持される。図1および図5は、座席本体10をベース部材30上に前向きに取付けている状態を示している。
【0023】
図6は、座席本体10をベース部材30上に後ろ向きに取付けている状態を示し、図7は、座席本体10を寝かせた状態にして、ベース部材30上に横向きに取付けている状態を示している。座席本体10は、座部11と、この座部11に対して後傾可能に設けられている背もたれ部12とを有する。図1および図5に示す前向き取付け状態では、背もたれ部12を最小後傾角度にする。図7に示す横向き取付け状態では、背もたれ部12を最大後傾角度にして、ベッド状の形態にする。図6に示す後ろ向き取付け状態では、背もたれ部12を中間後傾角度にする。
【0024】
図2は、ベース部材30を示している。図示するように、ベース部材30は、座席本体10の座部11を下から支える底壁部31と、底壁部31の後端から上方に立ち上がって延びる立壁部32とを有する。
【0025】
底壁部31上には、座席本体10を取り付けるための2個の前方受け金具38および2個の後方受け金具39が設けられている。2個の前方受け金具38は、底壁部31の前方位置で幅方向に延在するように配置されている。2個の後方受け金具39は、底壁部31の後方位置で幅方向に延在するように配置されている。前方受け金具38は、その後端から前方に向かって抉れた係合凹部を有している。後方受け金具39は、下方に向かって抉れた係合凹部を有している。図示した実施形態では、2個の前方受け金具38および2個の後方受け金具39は、それぞれ、幅方向に離れて位置しているが、他の実施形態として、前方および後方の受け金具をそれぞれ1個にし、それらを幅方向に長く延ばすようにしてもよい。
【0026】
ベース部材30の底壁部31の前方端には、座席本体10とベース部材30との連結固定状態を解除するための操作部材40の一部が露出している。この操作部材40を手で手前に引くように操作すれば、座席本体10とベース部材30とのロック状態を解除できる。この操作部材40に関連した構造については、後に詳しく説明する。
【0027】
図2に示すように、ベース部材30の立壁部32の上方部には、2個のベルトクリップ33が取付けられている。ベース部材30は、底壁部31の両側部から上方に延びた側壁部36を有しており、この両側壁部36上にそれぞれ第1ベルト案内部材34が固定して取付けられている。また、底壁部31の後方領域の両側部に、U字形状の金属製フックの形態となっている第2ベルト案内部材35が露出している。
【0028】
図8は、ベース部材30を如何にして車に備え付けのシートベルトを利用して車の座席上に固定するかを説明するための図である。図示するように、車に備え付けのシートベルトは、通常、肩ベルト部2と腰ベルト部3とを備える。肩ベルト部2は、上方のベルトクリップ33に挟まれて案内される。腰ベルト部3は、1対の第1ベルト案内部材34および1対の第2ベルト案内部材35と通過する。この腰ベルト部3の案内経路は、良好な衝撃吸収を図るためのものであるが、これについては後に詳しく説明する。
【0029】
図2および図8に示すように、ベース部材30の立壁部32の上方領域に2個の開口37が形成されている。この2個の開口37から、座席本体10の背もたれ部12に係合する引掛けロッドが飛び出てくるが、これについても後に詳しく説明する。
【0030】
図3は座席本体10を示す斜視図であり、図4はその底面図である。図4に示すように、座席本体10の座部11の底面はほぼ正方形の形状をしており、その4個のコーナー部近傍領域にL字形状の溝13が形成されている。前述したベース側係合部材である前方受け金具38および後方受け金具39に係合する座席本体側係合部材が、4個のL字形状溝13の部分に設けられている。
【0031】
具体的には、座席本体側係合部材は、前方に位置して幅方向に延びる前方係合ロッド14と、後方に位置して幅方向に延びる後方係合ロッド16と、両側方に位置して前後方向に延びる1対の側方係合ロッド15とを含む。
【0032】
各係合ロッド14,15,16は、それぞれ、2個のコーナー部の溝13に連続して現れるように1本の長い直線状のロッドで構成しても良いし、あるいは2個の溝13のそれぞれに別個に短い長さの直線状ロッドを設けるようにしてもよい。また、前方係合ロッド14、側方係合ロッド15および後方係合ロッド16を互いに連結したような長いL字形状、U字形状、四角形状のロッドを用いるようにしてもよい。いずれの場合でも、溝13上に現れるロッド部分が、前述したベース側係合部材に係合する座席本体側係合部材を構成する。
【0033】
座席本体側係合部材を構成する前方係合ロッド14、1対の側方係合ロッド15および後方係合ロッド16は、実質的に正方形の辺に沿って延びるようにされている。
【0034】
次に図11を参照して、座席本体10とベース部材30との連結固定の3形態を説明する。図11は、ベース部材30(図11(a))および座席本体10の底面(図11(b))を示している。図示するように、ベース部材30には、2個の前方受け金具38および2個の後方受け金具39が設けられている。一方、座席本体10の底面には、前方係合ロッド14、1対の側方係合ロッド15および後方係合ロッド16が設けられている。
【0035】
座席本体10をベース部材30上で前向きに置く場合には、前方係合ロッド14が前方受け金具38に係合し、後方係合ロッド16が後方受け金具39に係合する。座席本体10をベース部材30上で後ろ向きに置く場合には、後方係合ロッド16が前方受け金具38に係合し、前方係合ロッド14が後方受け金具39に係合する。座席本体10をベース部材30上で横向きに置く場合には、1対の側方係合ロッド15がそれぞれ前方受け金具38および後方受け金具39に係合する。
【0036】
次に図10〜図20を参照して、座席本体10とベース部材30との連結固定状態をロックする機構について説明する。
【0037】
図12および図13は、ほぼ全体が樹脂材料で覆われたベース部材30のフレーム構造体50を示している。フレーム構造体50は剛性を有しており、基本的な構成要素として、両側部に位置する1対のL字状の金属製棒状部材51と、各棒状部材51に固定された1対の金属製側板52と、1対の棒状部材51間を連結する幅方向連結部材53,54,55とを備える。前述した前方受け金具38は、最も前方に位置する幅方向連結部材55上に固定され、後方受け金具39は、中間に位置する幅方向連結部材54上に固定されている。
【0038】
着脱式チャイルドシートは、上部ロック機構60と、下部ロック機構70と、同期機構80とを備える。上部ロック機構60は、ベース部材30の立壁部32と座席本体10の背もたれ部12とを係脱可能にロックするものである。下部ロック機構70は、ベース部材30の底壁部31と座席本体10の座部11とを係脱可能にロックするものである。同期機構80は、上部ロック機構60と下部ロック機構70とを連結し、両ロック機構のロック状態およびロック解除状態を同期させるものであり、一構成要素としてワイヤ81を含む。
【0039】
上部ロック機構60は、ベース部材30側に取付けられる要素として、上下方向に変位可能となるようにベース部材30の立壁部32に支持されたロッドホルダー61と、ロッドホルダー61に固定保持された1対の引掛けロッド62と、ロッドホルダー61に固定保持された1対の表示片63と、ロッドホルダー61を上方に向かって移動させるように付勢する付勢手段としてのばね64とを備える。ここで引掛けロッド62は、後述する座席本体の被係合部材に係合する昇降部材として機能する。
【0040】
1対の引掛けロッド62は、幅方向連結部材53に設けられた貫通穴を通過して上方に突出できるようにされている。図12および図13に示す状態では、引掛けロッド62は下方の位置にあり、幅方向連結部材53よりも上には突出していない。
【0041】
1対の表示片63は目立つ色のプレートであり、引掛けロッド62とともに上下に移動する。この表示片63は、確実にロックされているか否かを目視できるようにするためのものである。
【0042】
上部ロック機構60は、座席本体10側に取付けられる要素として、図10に示す1対の引掛け環65を備える。この引掛け環65は、座席本体10の背もたれ部12の背面に設けられる。引掛け環65は、ベース部材の昇降部材(引掛けロッド62)を受入れて係合する被係合部材として機能する。
【0043】
図2に示すように、ベース部材30の背もたれ部32の上方端部分には、1対の開口37が形成されている。座席本体10を前向きの状態にしてベース部材30上に取付けると、座席本体10の引掛け環65がベース部材30の開口37内に入り込む。その状態で、引掛けロッド62が上方の位置にもたらされると、引掛けロッド62が引掛け環65内に嵌り、ベース部材30の立壁部32と座席本体10の背もたれ部12とがロックされた状態になる。
【0044】
座席本体10を後ろ向きまたは横向きの状態にしてベース部材30上に取付ける場合には、引掛けロッド62および引掛け環65は使用しない。この場合、引掛けロッド62とともに上下動する表示片63が、上方位置にもたらされると、開口37から表示片63を目視できる。表示片63が開口37から目視されるということは、下部ロック機構70によるロックが確実になされていることを意味する。下部ロック機構70のロックが不完全な場合には、表示片63が開口37から明瞭に表れない。
【0045】
次に、主に図12〜図14を参照して下部ロック機構70の具体的な構造を説明する。
【0046】
下部ロック機構70は、ベース部材30側に取付けられる要素として、幅方向連結部材54上に固定された後方受け金具39と、後方受け金具39の係合穴を横切るように前後方向に変位可能なロック部材71とを備える。また、下部ロック機構70は、座席本体10側に取付けられる要素として、係合ロッド14,15,16を備える。以下の説明では、後方係合ロッド16を代表例として取り上げてロック機構の動作を説明する。
【0047】
ロック部材71は、後方に向かって張出している1対の係合プレート73を有しており、これらの係合プレート73が、後方位置にもたらされたときに、後方受け金具39の係合穴内に受け入れられた後方係合ロッド16の上に位置し、それにより後方受け金具39と後方係合ロッド16との係合状態をロックする。
【0048】
同期機構80の一構成要素であるワイヤ81は、ロッドホルダー61とロック部材71とを連結している。従って、ロック部材71は、ばね64の付勢力により、常に係合方向に付勢されることになる。
【0049】
図12、図13、図14および図20に示すように、同期機構80は、上方位置と下方位置との間を変位し得るようにベース部材30に支持されたストッパ部材82と、このストッパ部材82を上方に向かって付勢する弾性部材としてのばね83とを備える。図12〜図14においては、ばね83の図示を省略している。ストッパ部材82の上方部分は、幅方向連結部材54を通過して後方受け金具39内に入り込んでいる。また、ばね83は、ストッパ部材82の両側部と幅方向連結部材54とを連結している。ストッパ部材82がばね83の付勢力によって上方位置にもたらされているときには、ストッパ部材82の上方端が後方受け金具39の上壁裏面に当接している。
【0050】
図14に示すように、前後方向に変位可能なロック部材71は、下方に突出している断面矩形の下方突出部74を有する。ストッパ部材82が上方位置にもたらされているときには、ロック部材71の下方突出部74の後壁面がストッパ部材82に当接することによってロック部材71の後方への移動が禁止され、同時にワイヤ81を介して連結されているロッドホルダー61の上方への移動も禁止されている。
【0051】
ベース部材30の前方端部分に一部が露出している操作部材40も、同期機構81の一構成要素である。図14に示すように、操作部材40は引張ばね42によって後方に向かって付勢されており、その後方端部分に係合軸41が設けられている。ロック部材71は、その前方端部分に係合つめ72を有する。ロック部材71が後方へ移動したとき、係合つめ72と係合軸41とが係合するようになる。操作部材40は、ロック部材71をロック解除位置にもたらすように操作するものである。
【0052】
次に図14〜図18を参照しながら、上部ロック機構60、下部ロック機構70および同期機構80の動作を説明する。
【0053】
図14は、座席本体10がベース部材30上に取付けられていない状態を示している。この状態では、ストッパ部材82の上方端部が後方受け金具39の上壁裏面に当接し、ロック部材71は、ストッパ部材82に当接することによって後方への移動が禁止されている。また、ロッドホルダー61、引掛けロッド62および表示片63が下方位置にある。
【0054】
図15は、座席本体10の前方係合ロッド14を前方受け金具38の係合凹部内に位置させ、さらに後方係合ロッド16を後方受け金具39の係合凹部に位置させて下方に押し下げた状態を示している。ストッパ部材82は、後方係合ロッド16によって下方に押し下げられて、ロック部材71の後方への移動を許容し得る下方位置にもたらされている。
【0055】
すると、図16に示すように、ばね64(図12参照)の引張力により、ロッドホルダ61が上方位置にもたらされるとともに、ワイヤ81を介してロッドホルダ61に連結されたロック部材71が後方の位置にもたらされて係合プレート73を後方係合ロッド16の上に位置させるようになる。ロック部材71の係合プレート73と後方係合ロッド16との係合状態をロックすることにより、ベース部材30の底壁部31と、座席本体10の座部11との連結状態がロックされる。この状態では、ストッパ部材82はロック部材71の下方突出部74の底面に当接して下方の位置に保持されている。
【0056】
上述のような下部ロック機構70のロック動作に連動して、引掛けロッド62も上方に移動して座席本体10の引掛け環65内にはまり込み、それによりベース部材30の立壁部32と座席本体10の背もたれ部12との連結状態もロックされる。上部ロック機構60および下部ロック機構70のロック状態は、ばね64の付勢力によって強固に維持される。
【0057】
座席本体10をベース部材30から取外す場合には、図17に示すように、操作部材40を前方に引き出す。すると、操作部材40の係合軸41がロック部材71の係合つめ72に係合してロック部材71を前方に移動させる。
【0058】
図17に示す状態では、ロック部材71の係合プレート73が前方に移動し、後方係合ロッド16の上部を解放している。また、ロック部材71の前方への移動に伴って、ロック部材71の下方突出部74の底面とストッパ部材82との当接状態が解除され、ストッパ部材82の上方への移動が許容される。従って、図18に示すように、ばね83(図20参照)の引張力によってストッパ部材82が上方に移動し、後方係合ロッド16を後方受け金具39の外に押し上げる。これにより、ベース部材30の底壁部31と座席本体10の座部11との連結固定状態が解除される。なお、操作部材40は、引張ばね42の引張力により、元の位置にまで引き戻される。
【0059】
操作部材40を操作してロック部材71を前方に移動させることに伴って、ワイヤ81を介してロック部材71に連結された引掛けロッド62が下方に引き下げられて、幅方向連結部材53内に後退する。その結果、引掛けロッド62と引掛け環65との係合が解かれ、ベース部材30の立壁部32と座席本体10の背もたれ部12との連結固定状態が解除される。
【0060】
図14〜図18は、座席本体10を前向きの状態でベース部材30上に取付ける例を示すものである。座席本体10を横向きまたは後ろ向きの状態でベース部材30上に取り付ける場合には、引掛けロッド62が引掛け環65内にはまり込むことは無い。この場合には、図19に示すように、下部ロック機構70が確実にロック状態になっていれば、ベース部材30の立壁部32の上方端部分に設けられた開口37から表示片63を目視することができる。表示片63が明瞭に観察できないようであれば、下部ロック機構70のロック状態が不完全ということを認識できるので安全上好ましい。
【0061】
次に図21〜図24を参照して、衝撃吸収構造の詳細を説明する。図21に示すように、ベース部材30は、剛性のあるフレーム構造体50を備える。車に備え付けの腰ベルトを通過させるための1対の第1ベルト案内部材34は、フレーム構造体50の両側部に位置する金属製側板52上に固定される。金属製帯材90は、その両端が金属製側板52に固定されている。U字形状の金属製フックの形態となっている第2ベルト案内部材35は、固定軸91を介して金属製帯材90の両側部領域に固定される。従って、1対の第2ベルト案内部材35は、1対の第1ベルト案内部材34の内側に位置する。
【0062】
図8を参照して既述したように、車に備え付けのシートベルトの腰ベルト部分3は、1対の第1ベルト案内部材34および1対の第2ベルト案内部材35の両者を通過するようにして、ベース部材30を車の座席上に固定する。例えば、車の衝突事故があった場合には、ベース部材30は前方に移動しようとし、その衝撃荷重が腰ベルト部分3から第2ベルト案内部材35に加わる。第2ベルト案内部材35は金属製帯材90上に固定されているので、第2ベルト案内部材35に衝撃荷重が加わると、金属製帯材90が曲がって塑性変形する。このように金属製帯材90が塑性変形することにより、ベース部材30に加わる衝撃荷重をある程度吸収するので、チャイルドシートに着座した子供に作用する衝撃力を緩和することができる。
【0063】
図9は、ベース部材30の輪郭を示す側面図である。図示するように、好ましくは、ベース部材30は、その底面から下方に突出する位置と、底面内に後退する位置との間を移動可能な傾斜調整部材92を備える。図示した傾斜調整部材92は、ベース部材30に回動可能に保持されている。例えば、車の座席の後部の下方への落ち込みが大きいときには、傾斜調整部材92を突出した状態にして、ベース部材30を車の座席上に固定する。
【0064】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態に限定されるものではない。この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、図示した実施形態に対して種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明は、座席本体とベース部材とが着脱可能な着脱式チャイルドシートに有利に利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明の一実施形態である着脱式チャイルドシートを示す斜視図である。
【図2】ベース部材の正面図である。
【図3】座席本体の斜視図である。
【図4】座席本体の底面図である。
【図5】座席本体を前向きの状態でベース部材上に取付けている状態を示す図解図である。
【図6】座席本体を後ろ向きの状態でベース部材上に取付けている状態を示す図解図である。
【図7】座席本体を横向きの状態でベース部材上に取付けている状態を示す図解図である。
【図8】車に備え付けのシートベルトの取付け方を説明するための図である。
【図9】ベース部材の輪郭を示す図である。
【図10】座席本体の背もたれ部の背面上方部を示す図である。
【図11】ベース部材の上面および座席本体の底面を並べて示す図である。
【図12】ベース部材のフレーム構造体を斜め上から見た斜視図である。
【図13】ベース部材のフレーム構造体を斜め下方から見た斜視図である。
【図14】フレーム構造体を側面から見た図であり、座席本体を取付ける前の状態を示している。
【図15】フレーム構造体を側面から見た図であり、座席本体の後方係合ロッドを下方に押し下げた状態を示している。
【図16】フレーム構造体を側面から見た図であり、座席本体を固定している状態を示している。
【図17】フレーム構造体を側面から見た図であり、座席本体に対するロックを解除操作している状態を示している。
【図18】フレーム構造体を側面からみた図であり、後方係合ロッドが上方に押し上げられた状態を示している。
【図19】ベース部材の立壁部の上方端部分を示す正面図である。
【図20】ストッパ部材の上方端部分が後方受け金具内に入っている状態を示す図解的断面図である。
【図21】衝撃吸収構造を持つフレーム構造体の斜視図である。
【図22】衝撃吸収構造を持つフレーム構造体の側面図である。
【図23】衝撃吸収構造を持つフレーム構造体の背面図である。
【図24】第2ベルト案内部材を取付けた金属製帯材の平面図である。
【符号の説明】
【0067】
チャイルドシート、2 肩ベルト部、3 腰ベルト部、10 座席本体、11 座部、12 背もたれ部、13 溝、14 前方係合ロッド、15 側方係合ロッド、16 後方係合ロッド、30 ベース部材、31 底壁部、32 立壁部、33 ベルトクリップ、34 第1ベルト案内部材、35 第2ベルト案内部材、36 側壁部、37 開口、38 前方受け金具、39 後方受け金具、40 操作部材、41 係合軸、42 引張ばね、50 フレーム構造体、51 L字状金属製棒状部材、52 金属製側板、53,54,55 幅方向連結部材、60 上部ロック機構、61 ロッドホルダー、62 引掛けロッド、63 表示片、64 ばね、65 引掛け環、70 下部ロック機構、71 ロック部材、72 係合つめ、73 係合プレート、74 下方突出部、80 同期機構、81 ワイヤ、82 ストッパ部材、83 ばね、90 金属製帯材、91 固定軸、92 傾斜調整部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部およびこの底壁部の後端から上方に立ち上がって延びる立壁部を有するベース部材と、
座部および背もたれ部を有し、前記ベース部材上に着脱可能に取付けられる座席本体と、
前記ベース部材の立壁部と前記座席本体の背もたれ部とを係脱可能にロックする上部ロック機構と、
前記ベース部材の底壁部と前記座席本体の座部とを係脱可能にロックする下部ロック機構と、
前記上部ロック機構および下部ロック機構を連結し、両ロック機構のロック状態およびロック解除状態を同期させる同期機構とを備える、着脱式チャイルドシート。
【請求項2】
前記上部ロック機構は、上下方向に変位可能となるように前記ベース部材の立壁部に支持された昇降部材と、上方位置にもたらされた前記昇降部材に係合し得るように前記座席本体の背もたれ部背面に設けられた被係合部材とを含み、
前記同期機構は、前記昇降部材と前記下部ロック機構とを連結する連結部材を含む、請求項1に記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項3】
前記上部ロック機構は、前記昇降部材を上方位置にもたらすように付勢する付勢手段を含む、請求項2に記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項4】
前記下部ロック機構は、前記ベース部材の底壁部に設けられた受け金具と、前記受け金具に受け入れられて係合するように前記座席本体の座部の底面に設けられた係合ロッドと、前記受け金具と前記係合ロッドとの係合状態を選択的にロックするように前記ベース部材に変位可能に支持されたロック部材とを含み、
前記同期機構は、前記ロック部材と前記上部ロック機構とを連結する連結部材を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項5】
前記下部ロック機構は、前記ロック部材を係合方向に付勢する付勢手段を含む、請求項4に記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項6】
前記同期機構は、前記ロック部材に当接して前記ロック部材の係合方向への移動を禁止する上方位置と、前記受け金具内に受け入れられた前記係合ロッドによって下方に押し下げられて前記ロック部材の係合方向への移動を許容する下方位置との間を変位し得るように前記ベース部材に支持されたストッパ部材と、このストッパ部材を上方に向かって付勢する弾性部材とを含む、請求項5に記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項7】
前記同期機構は、前記ロック部材をロック解除位置にもたらすように操作する操作部材を含む、請求項4〜6のいずれかに記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項8】
前記上部ロック機構は、上下方向に変位可能となるように前記ベース部材の立壁部に支持された昇降部材と、上方位置にもたらされた前記昇降部材に係合し得るように前記座席本体の背もたれ部背面に設けられた被係合部材とを含み、
前記下部ロック機構は、前記ベース部材の底壁部に設けられた受け金具と、前記受け金具に受け入れられて係合するように前記座席本体の座部の底面に設けられた係合ロッドと、前記受け金具と前記係合ロッドとの係合状態を選択的にロックするように前記ベース部材に変位可能に支持されたロック部材とを含み、
前記同期機構は、前記昇降部材と前記ロック部材とを連結するワイヤを含む、請求項1に記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項9】
前記ベース部材には、前方位置で幅方向に延在するベース側前方係合部材と、後方位置で幅方向に延在するベース側後方係合部材とが設けられ、
前記座席本体の底面には、実質的に正方形の辺に沿って延び、前記ベース側前方係合部材および前記ベース側後方係合部材に係合する座席本体側係合部材が設けられている、請求項1に記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項10】
前記ベース側前方係合部材は、幅方向に離れて位置する2個の前方受け金具を含み、
前記ベース側後方係合部材は、幅方向に離れて位置する2個の後方受け金具を含み、
前記座席本体側係合部材は、前方に位置して幅方向に延びる前方係合ロッドと、後方に位置して幅方向に延びる後方係合ロッドと、両側方に位置して前後方向に延びる1対の側方係合ロッドとを含む、請求項9に記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項11】
前記座席本体を前記ベース部材上に前向きに置く場合には、前記前方係合ロッドおよび前記後方係合ロッドが、それぞれ、前記前方受け金具および前記後方受け金具に係合し、
前記座席本体を前記ベース部材上で後ろ向きに置く場合には、前記後方係合ロッドおよび前記前方係合ロッドが、それぞれ、前記前方受け金具および前記後方受け金具に係合し、
前記座席本体を前記ベース部材上で横向きに置く場合には、前記1対の側方係合ロッドが、それぞれ、前記前方受け金具および前記後方受け金具に係合する、請求項10に記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項12】
前記下部ロック機構は、前記ベース側前方係合部材および前記ベース側後方係合部材の少なくともいずれか一方と、前記座席本体側係合部材とを係脱可能にロックする、請求項11に記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項1】
底壁部およびこの底壁部の後端から上方に立ち上がって延びる立壁部を有するベース部材と、
座部および背もたれ部を有し、前記ベース部材上に着脱可能に取付けられる座席本体と、
前記ベース部材の立壁部と前記座席本体の背もたれ部とを係脱可能にロックする上部ロック機構と、
前記ベース部材の底壁部と前記座席本体の座部とを係脱可能にロックする下部ロック機構と、
前記上部ロック機構および下部ロック機構を連結し、両ロック機構のロック状態およびロック解除状態を同期させる同期機構とを備える、着脱式チャイルドシート。
【請求項2】
前記上部ロック機構は、上下方向に変位可能となるように前記ベース部材の立壁部に支持された昇降部材と、上方位置にもたらされた前記昇降部材に係合し得るように前記座席本体の背もたれ部背面に設けられた被係合部材とを含み、
前記同期機構は、前記昇降部材と前記下部ロック機構とを連結する連結部材を含む、請求項1に記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項3】
前記上部ロック機構は、前記昇降部材を上方位置にもたらすように付勢する付勢手段を含む、請求項2に記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項4】
前記下部ロック機構は、前記ベース部材の底壁部に設けられた受け金具と、前記受け金具に受け入れられて係合するように前記座席本体の座部の底面に設けられた係合ロッドと、前記受け金具と前記係合ロッドとの係合状態を選択的にロックするように前記ベース部材に変位可能に支持されたロック部材とを含み、
前記同期機構は、前記ロック部材と前記上部ロック機構とを連結する連結部材を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項5】
前記下部ロック機構は、前記ロック部材を係合方向に付勢する付勢手段を含む、請求項4に記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項6】
前記同期機構は、前記ロック部材に当接して前記ロック部材の係合方向への移動を禁止する上方位置と、前記受け金具内に受け入れられた前記係合ロッドによって下方に押し下げられて前記ロック部材の係合方向への移動を許容する下方位置との間を変位し得るように前記ベース部材に支持されたストッパ部材と、このストッパ部材を上方に向かって付勢する弾性部材とを含む、請求項5に記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項7】
前記同期機構は、前記ロック部材をロック解除位置にもたらすように操作する操作部材を含む、請求項4〜6のいずれかに記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項8】
前記上部ロック機構は、上下方向に変位可能となるように前記ベース部材の立壁部に支持された昇降部材と、上方位置にもたらされた前記昇降部材に係合し得るように前記座席本体の背もたれ部背面に設けられた被係合部材とを含み、
前記下部ロック機構は、前記ベース部材の底壁部に設けられた受け金具と、前記受け金具に受け入れられて係合するように前記座席本体の座部の底面に設けられた係合ロッドと、前記受け金具と前記係合ロッドとの係合状態を選択的にロックするように前記ベース部材に変位可能に支持されたロック部材とを含み、
前記同期機構は、前記昇降部材と前記ロック部材とを連結するワイヤを含む、請求項1に記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項9】
前記ベース部材には、前方位置で幅方向に延在するベース側前方係合部材と、後方位置で幅方向に延在するベース側後方係合部材とが設けられ、
前記座席本体の底面には、実質的に正方形の辺に沿って延び、前記ベース側前方係合部材および前記ベース側後方係合部材に係合する座席本体側係合部材が設けられている、請求項1に記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項10】
前記ベース側前方係合部材は、幅方向に離れて位置する2個の前方受け金具を含み、
前記ベース側後方係合部材は、幅方向に離れて位置する2個の後方受け金具を含み、
前記座席本体側係合部材は、前方に位置して幅方向に延びる前方係合ロッドと、後方に位置して幅方向に延びる後方係合ロッドと、両側方に位置して前後方向に延びる1対の側方係合ロッドとを含む、請求項9に記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項11】
前記座席本体を前記ベース部材上に前向きに置く場合には、前記前方係合ロッドおよび前記後方係合ロッドが、それぞれ、前記前方受け金具および前記後方受け金具に係合し、
前記座席本体を前記ベース部材上で後ろ向きに置く場合には、前記後方係合ロッドおよび前記前方係合ロッドが、それぞれ、前記前方受け金具および前記後方受け金具に係合し、
前記座席本体を前記ベース部材上で横向きに置く場合には、前記1対の側方係合ロッドが、それぞれ、前記前方受け金具および前記後方受け金具に係合する、請求項10に記載の着脱式チャイルドシート。
【請求項12】
前記下部ロック機構は、前記ベース側前方係合部材および前記ベース側後方係合部材の少なくともいずれか一方と、前記座席本体側係合部材とを係脱可能にロックする、請求項11に記載の着脱式チャイルドシート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2006−335267(P2006−335267A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−163723(P2005−163723)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(390006231)アップリカ育児研究会アップリカ▲葛▼西株式会社 (97)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(390006231)アップリカ育児研究会アップリカ▲葛▼西株式会社 (97)
【Fターム(参考)】
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