説明

着色剤化合物を含む相変化インク組成物

【課題】例えば、高い画質を維持し、また高光密度を有する特に相変化インクに使用可能なマゼンタ着色剤を含有する相変化インクを提供する。
【解決手段】相変化インク組成物は、相変化インクキャリアと、上記化1から化5で表される着色剤化合物とを含み、例えば、着色剤化合物が次の式で表される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、相変化インク組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、カラー印刷用の相変化インクは、相変化インクキャリア組成物を含み、この組成物を、相変化インクに適合する着色剤と調合する。インクキャリア組成物を、適合する減法型原色着色剤と調合することによって、一連の着色済み相変化インクを形成させてよい。減法型原色着色相変化インクは、4つの成分染料、すなわちシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックを含んでよいが、インクは、これらの4色に限定されない。これらの減法型原色インクは、単一の染料を用いて形成させてよく、あるいは、染料の混合物を用いて形成させてよい。着色剤は、顔料も含んでよい。
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,647,675号
【特許文献2】米国特許第4,684,956号
【特許文献3】米国特許第4,851,045号
【特許文献4】米国特許第4,830,671号
【特許文献5】米国特許第4,889,560号
【特許文献6】米国特許第4,889,761号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特に相変化インクに適するマゼンタ着色剤が切望されていた。さらに、高い画質を維持し、また高光密度を有する特に相変化インクに使用可能なマゼンタ着色剤が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の相変化インク組成物は、式
【化1】


【化2】


【化3】


【化4】


【化5】


で表される着色剤化合物と、を含み、
、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、(i)水素原子、(ii)アルキル基、(iii)アリール基、(iv)アリールアルキル基または(v)アルキルアリール基であり、RとRとは一緒になって環を形成してよく、RとRとは一緒になって環を形成してよく、R、R、RおよびRは、それぞれ中心構造部分のフェニル環に結合してよく、aおよびbは、それぞれ互いに独立に、0、1、2または3の整数であり、
およびRは、それぞれ任意選択として存在し、存在する場合、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、(i)アルキル基、(ii)アリール基、(iii)アリールアルキル基、(iv)アルキルアリール基、(v)ハロゲン原子、(vi)エステル基、(vii)アミド基、(viii)スルホン基、(ix)アミン基またはアンモニウム基、(x)ニトリル基、(xi)ニトロ基、(xii)ヒドロキシ基、(xiii)シアノ基、(xiv)ピリジン基またはピリジニウム基、(xv)エーテル基、(xvi)アルデヒド基、(xvii)ケトン基、(xviii)カルボニル基、(xix)チオカルボニル基、(xx)サルフェート基、(xxi)スルフィド基、(xxii)スルホキシド基、(xxiii)ホスフィン基またはホスホニウム基、(xxiv)ホスフェート基、(xxv)メルカプト基、(xxvi)ニトロソ基、(xxvii)アシル基、(xxviii)酸無水物基、(xxix)アジド基、(xxx)アゾ基、(xxxi)シアナート基、(xxxii)イソシアナート基、(xxxiii)チオシアナート基、(xxxiv)イソチオシアナート基、(xxxv)ウレタン基または(xxxvi)尿素基から選択され、RおよびRは、それぞれ中心構造部分のフェニル環に結合してよく、
【化6】


であり、
、RおよびR10は、それぞれ互いに独立に、任意選択として存在し、存在する場合、R、RおよびR10は、それぞれ独立に、(i)水素原子、(ii)アルキル基、(iii)アリール基、(iv)アリールアルキル基または(v)アルキルアリール基から選択され、
R″は、任意選択として存在し、存在する場合、R′およびR″は、それぞれ独立に、(i)アルキル基、(ii)アリール基、(iii)アリールアルキル基または(iv)アルキルアリール基から選択され、R′またはR″の少なくとも1つは、少なくとも約5個の炭素原子を含む、相変化インク組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本開示は、式
【化7】


【化8】


【化9】


【化10】


【化11】


で表される着色剤化合物を含む相変化インクを目的とする。
【0007】
、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、(i)水素原子、(ii)アルキル基、(iii)アリール基、(iv)アリールアルキル基または(v)アルキルアリール基であり、RとRとは一緒になって環を形成してよく、RとRとは一緒になって環を形成してよく、R、R、RおよびRは、それぞれ中心構造部分のフェニル環に結合してよい。aおよびbは、それぞれ互いに独立に、0、1、2または3の整数である。実施態様によっては、aおよびbは、それぞれゼロである。RおよびRは、それぞれ任意選択として存在し、存在する場合、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、(i)アルキル基、(ii)アリール基、(iii)アリールアルキル基、(iv)アルキルアリール基、(v)ハロゲン原子、(vi)エステル基、(vii)アミド基、(viii)スルホン基、(ix)アミン基またはアンモニウム基、(x)ニトリル基、(xi)ニトロ基、(xii)ヒドロキシ基、(xiii)シアノ基、(xiv)ピリジン基またはピリジニウム基、(xv)エーテル基、(xvi)アルデヒド基、(xvii)ケトン基、(xviii)カルボニル基、(xix)チオカルボニル基、(xx)硫酸エステル基、(xxi)スルフィド基、(xxii)スルホキシド基、(xxiii)ホスフィン基またはホスホニウム基、(xxiv)ホスフェート基、(xxv)メルカプト基、(xxvi)ニトロソ基、(xxvii)アシル基、(xxviii)酸無水物基、(xxix)アジド基、(xxx)アゾ基、(xxxi)シアナート基、(xxxii)イソシアナート基、(xxxiii)チオシアナート基、(xxxiv)イソチオシアナート基、(xxxv)ウレタン基、または(xxxvi)尿素基から独立に選択される。RおよびRは、それぞれ中心構造部分のフェニル環に結合してよい。
【化12】


である。
【0008】
、RおよびR10は、それぞれ互いに独立に、任意選択として存在し、1つ以上が存在する場合、R、RおよびR10は、それぞれ独立に、(i)水素原子、(ii)アルキル基、(iii)アリール基、(iv)アリールアルキル基または(v)アルキルアリール基から選択される。さらに別の実施態様では、R+R+R+R+R+R+R+R+R10の炭素原子の数は、少なくとも約4、または少なくとも約16である。R″は、任意選択として存在し、存在する場合、R′およびR″は、それぞれ独立に、(i)アルキル基、(ii)アリール基、(iii)アリールアルキル基または(iv)アルキルアリール基から選択される。R′またはR″は、独立に、直鎖部分または分枝部分、飽和部分または不飽和部分、置換部分または非置換部分、もしくは環状部分から選択される。実施態様によっては、R′またはR″の少なくとも1つは、少なくとも約5個の炭素原子、少なくとも約6個の炭素原子、または少なくとも約10個の炭素原子を有するワックス単位である。存在する場合、実施態様によっては、R′またはR″は、独立に、約0個の炭素原子(すなわちR″は0である)から約8個の炭素原子、約1個の炭素原子から約8個の炭素原子、または約18個の炭素原子から約100個の炭素原子、または約12個の炭素原子、または約18個の炭素原子、または約30個の炭素原子、または約50個の炭素原子、または約100個の炭素原子を含むアルキル基から選択される。存在する場合、実施態様によっては、R′またはR″は、独立に、約5個の炭素原子、または約6個の炭素原子、または約10個の炭素原子を含むアリール基から選択される。存在する場合、実施態様によっては、R′またはR″は、独立に、約7個の炭素原子、または約30個の炭素原子、または約50個の炭素原子、または約100個の炭素原子を含むアルキルアリール基またはアリールアルキル基である。一実施態様では、R′は、約18個の炭素原子を含み、R″は、0炭素原子である。実施態様によっては、R′またはR″は、例えば、以下
【化13】


のように結合する。
【0009】
Aは、アニオンである。CAは、水素原子またはカチオンのどちらかである。適当なアニオンの例は、Cl、Br、I、HSO、HSO、SO2−、SO2−、CHSO、CHSO、NO、HCOO、CHCOO、HPO、HPO2−、SCN、BF、ClO、SSO、PF、SbClまたは類似物ならびにそれらの混合物を含む(しかし限定はされない)。CAは、水素原子またはカチオンのどちらかである。適当なカチオンの例は、Li、Na、K、RbおよびCsなどのアルカリ金属カチオン、非重合体または単量体アンモニウムおよび一般式
【化14】


で表されるものを含む第四アンモニウムカチオンを含むが、それらに限定されない。
【0010】
21、R22、R23およびR24は、それぞれ互いに独立に、(i)水素原子、(ii)少なくとも1つの炭素原子、または少なくとも約2個の炭素原子、または少なくとも約18個の炭素原子、または約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアルキル基(直鎖アルキル基、分枝アルキル基、飽和アルキル基、不飽和アルキル基、環状アルキル基、置換アルキル基および非置換アルキル基を含み、アルキル基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iii)少なくとも約6個の炭素原子、または約26個を超えない炭素原子、または約18個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアリール基(非置換アリール基および置換アリール基を含み、アリール基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iv)少なくとも約7個の炭素原子、または少なくとも約18個の炭素原子、または約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、ベンジルまたは類似物のように、これらの範囲外にあってもよいアリールアルキル基(非置換アリールアルキル基および置換アリールアルキル基を含み、アリールアルキル基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、アリールアルキル基のアルキル部分とアリール部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)または(v)少なくとも約7個の炭素原子、または少なくとも約18個の炭素原子、または約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、トリルまたは類似物のように、これらの範囲外にあってもよいアルキルアリール基(非置換アルキルアリール基および置換アルキルアリール基を含み、アルキルアリール基のアルキル部分は直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、アルキルアリール基のアルキル部分とアリール部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)である。R21、R22、R23およびR24の1つ以上が一緒になって環を形成してよい。置換アルキル基、置換アリール基、置換アリールアルキル基および置換アルキルアリール基上の置換基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アミン基、イミン基、アンモニウム基、シアノ基、ピリジン基、ピリジニウム基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、サルフェート基、スルホネート基、スルホン酸基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基、カルボキシレート基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、それらの混合物および類似物であってよいが、それらに限定されない。2つ以上の置換基が一緒になって、カチオン性重合体またはカチオン性オリゴマーなどの環カチオン、オリゴマーカチオンおよび重合体カチオンおよび類似物、ならびにそれらの混合物を形成してよい。
【0011】
一実施態様では、R+R+R+Rの炭素原子の数は、少なくとも約4、または少なくとも約18、または少なくとも約30、または少なくとも約40、または少なくとも約50、または少なくとも約60、または少なくとも約72である。
【0012】
【化15】


である特定の実施態様において、一実施態様では、R+R+R+Rの炭素原子の数は、少なくとも約44、または少なくとも約50、または少なくとも約60、または少なくとも約72である。
【0013】
【化16】


である特定の実施態様において、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、式
【化17】


で表される基である。
【0014】
41およびR42は、それぞれ互いに独立に、(i)少なくとも1つの炭素原子、または約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアルキル基(直鎖アルキル基、分枝アルキル基、飽和アルキル基、不飽和アルキル基、環状アルキル基、置換アルキル基および非置換アルキル基を含み、アルキル基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(ii)少なくとも約6個の炭素原子、または約26個を超えない炭素原子、または約18個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアリール基(非置換アリール基および置換アリール基を含み、アリール基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iii)少なくとも約7個の炭素原子、または約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、ベンジルまたは類似物のように、これらの範囲外にあってもよいアリールアルキル基(非置換アリールアルキル基および置換アリールアルキル基を含み、アリールアルキル基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、アリールアルキル基のアルキル部分とアリール部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)または(iv)少なくとも約7個の炭素原子、または約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、トリルまたは類似物のように、これらの範囲外にあってもよいアルキルアリール基(非置換アルキルアリール基および置換アルキルアリール基を含み、アルキルアリール基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、アルキルアリール基のアルキル部分とアリール部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)である。R41とR42との1つ以上が一緒になって環を形成してよい。置換アルキル基、置換アリール基、置換アリールアルキル基および置換アルキルアリール基上の置換基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アミン基、イミン基、アンモニウム基、シアノ基、ピリジン基、ピリジニウム基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、サルフェート基、スルホネート基、スルホン酸基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基、カルボキシレート基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、それらの混合物および類似物であってよい(しかし限定はされない)。2つ以上の置換基が一緒になって、カチオン性重合体またはカチオン性オリゴマーなどの環カチオン、オリゴマーカチオンおよび重合体カチオンおよび類似物、ならびにそれらの混合物を形成してよい。
【0015】
【化18】


である特定の実施態様において、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、少なくとも約19個の炭素原子、または少なくとも約20個の炭素原子を有する分枝アルキル基である。
【0016】
アルキル基、アリール基、アリールアルキル基およびアルキルアリール基の中にヘテロ原子が含まれていてよく、これらの基は置換されていてよいので、これらの基の酸素原子が中心構造部分
【化19】


の中の窒素原子、酸素原子または硫黄原子に直接結合しなければ、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、アルコキシ基、ポリアルキレンオキシ基、アリールオキシ基、ポリアリーレンオキシ基、アリールアルキルオキシ基、ポリアリールアルキレンオキシ基、アルキルアリールオキシ基またはポリアルキルアリーレンオキシ基などの基でもあってよいと理解するべきである。
【0017】
〜R基の1つがシクロアルキルである状況の例は、
【化20】


のときである。
【0018】
〜R基が一緒になって環を形成する状況の例は、
【化21】


のときである。
【0019】
〜R基の1つが中心構造部分のフェニル環に結合している状況の例は、
【化22】


のときである。
【0020】
本開示によるインクに適する着色剤化合物は、
【化23】


であるローダミン類、
【化24】


であるアクリジン類、
【化25】


であるスルホローダミン類、
【化26】


であるアントラセン類および類似化合物を含む。
【0021】
特定の実施態様では、アニオンAは、式A1−R11−A2で表される有機ジアニオンであってよい。A1およびA2は、それぞれ互いに独立に、カルボキシレート、スルホネートまたは類似基などのアニオン基である。R11は、(i)少なくとも1つの炭素原子、または少なくとも約18個の炭素原子、または約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアルキレン基(直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、飽和アルキレン基、不飽和アルキレン基、環状アルキレン基、置換アルキレン基および非置換アルキレン基を含み、アルキレン基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(ii)少なくとも約6個の炭素原子、または約26個を超えない炭素原子、または約18個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアリーレン基(非置換アリーレン基および置換アリーレン基を含み、アリーレン基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iii)少なくとも約7個の炭素原子、または少なくとも約18個の炭素原子、または約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、ベンジルまたは類似物のように、これらの範囲外にあってもよいアリールアルキレン基(非置換アリールアルキレン基および置換アリールアルキレン基を含み、アリールアルキレン基のアルキレン部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、アリールアルキレン基のアルキレン部分とアリール部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)または(iv)少なくとも約7個の炭素原子、または少なくとも約18個の炭素原子、または約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、トリルまたは類似物のように、これらの範囲外にあってもよいアルキルアリーレン基(非置換アルキルアリーレン基および置換アルキルアリーレン基を含み、アルキルアリーレン基のアルキル部分は直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、アルキルアリーレン基のアルキル部分とアリーレン部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)である。置換アルキレン基、置換アリーレン基、置換アリールアルキレン基および置換アルキルアリーレン基上の置換基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アミン基、イミン基、アンモニウム基、シアノ基、ピリジン基、ピリジニウム基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、サルフェート基、スルホネート基、スルホン酸基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基、カルボキシレート基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、それらの混合基および類似基であってよい(しかし限定はされない)。2つ以上の置換基が一緒になって環を形成してよい。適当な有機ジアニオンの例は、非置換ナフタレンジスルホネートおよび置換ナフタレンジスルホネート、非置換ベンゼンジスルホネートおよび置換ベンゼンジスルホネートおよび類似ジアニオン、ならびにそれらの混合物を含む。
【0022】
別の特定の実施態様では、アニオンAは、有機トリアニオン、テトラアニオンおよびペンタアニオン以上のポリアニオン、オリゴマーアニオン、およびポリスルホネートまたはポリカルボキシレートまたは類似物などの重合体アニオンであってよい。
【0023】
1つの特定の実施態様では、本開示によるインク用着色剤化合物は、式
【化27】


【化28】


【化29】


【化30】


で表される。
【0024】
1つの特定の実施態様では、本開示によるインク用着色剤化合物は、式
【化31】


【化32】


で表される化合物である。nは、7である。上記の式には、これらの着色剤について考えられるすべての互変異性体が含まれると理解するべきである。
【0025】
本開示のインク用着色剤化合物は、任意の所望の手順または有効な手順によって調製してよい。例えば、式
【化33】


で表され、本明細書において定義される望ましいR′基を有する無水コハク酸の共重合体を、式
【化34】


で表され、望ましいR、R、RおよびR基等を有する1つ以上のアミノフェノール(例えば、N,N−ジエチルアミノフェノール)と混合し、ニートで、あるいは任意選択として溶媒の存在下で加熱した後、酸、例えば濃HSOを加え、さらに加熱してよい。R、R、RおよびR基等は、本明細書において着色剤用に定義したように選択する。
【0026】
無水コハク酸共重合体とアミノフェノールとは、任意の望ましい相対量または有効な相対量、一実施態様では2モルのアミノフェノールあたり少なくとも約0.5モルの無水コハク酸共重合体、または2モルのアミノフェノールあたり約1.9モルを超えない無水コハク酸共重合体を存在させるが、相対量はこれらの範囲外にあってもよい。
【0027】
望むなら、反応は、ニートで、すなわち溶媒非存在下で実行してよい。さらに、反応は、任意選択の溶媒の存在下で実行してよい。適当な溶媒の例は、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、オクタノールまたは類似物、ならびそれらの混合物を含む。存在する場合、任意選択の溶媒は、任意の望ましい量または有効な量、一実施態様では0.1モルの無水コハク酸共重合体あたり少なくとも約1リットル、または1.5モルの無水コハク酸共重合体あたり約1リットルを超えない量存在させてよいが、相対量はこれらの範囲外にあってもよい。
【0028】
次に、無水コハク酸共重合体、アミノフェノールおよび任意選択の溶媒の混合物を、任意の有効な温度、一実施態様では少なくとも約62℃、または約220℃を超えない温度に加熱するが、温度はこれらの範囲外にあってもよい。無水コハク酸共重合体、アミノフェノールおよび任意選択の溶媒の混合物を、任意の有効な時間、一実施態様では少なくとも約5分、または約4日を超えない時間加熱するが、時間はこれらの範囲外にあってもよい。
【0029】
次に、酸を加え、混合物を任意の有効な温度、一実施態様では少なくとも約62℃、または約280℃を超えない温度に加熱するが、温度はこれらの範囲外にあってもよい。
【0030】
無水コハク酸共重合体、アミノフェノール、任意選択の溶媒および酸の混合物を、任意の有効な時間、一実施態様では少なくとも約5分、または約4日を超えない時間加熱するが、時間はこれらの範囲外にあってもよい。
【0031】
結果として得られる生成物は、メタノール、メチルイソブチルケトン、トルエン、ヘキサン、ヘプタンまたは類似物など、生成物に対しては可溶性もしくは相溶性であるが、望ましくない塩副生物に対しては可溶性でない、有機非水溶性および非水相溶性の溶媒の中に反応混合物を注入した後、生成物を含む溶媒を分液ロートの中で水と混合し、水相と有機相とを分離することによって、精製してよい。次に、粗生成物をEDTA水溶液で洗浄して金属塩を除去した後、水で洗浄することによってさらに精製してよい。滴定法、あるいは原子吸光法または誘導結合プラズマ法などの機器技法を実行して金属塩が完全に除去されたか判定してよい。精製した生成物は、溶媒をすべて留去することによって単離してよい。
【0032】
任意の望ましい方法または有効な方法によって、本開示の着色剤の環にさまざまな置換基を配置してよい。本開示の相変化インクは、相変化キャリアシステムまたは組成物を含む。一般に、相変化キャリア組成物は、直接印刷モードあるいは間接またはオフセット印刷転写システムのどちらかに用いるように設計される。
【0033】
直接印刷モードにおいて、一実施態様では、相変化キャリア組成物は、相変化インクが、(1)記録基材へ直接印刷した後常温に冷却したとき、最終記録基材上に一様な厚さの薄膜として塗布され、(2)十分な可撓性を保持しながらも延性を有し、これによって、基材上に塗布された画像は屈曲しても破損せず、(3)高度な明度、色度、透明性および熱安定性を有することを可能にする1つ以上の材料を含む。
【0034】
オフセット印刷転写または間接印刷モードにおいて、一実施態様では、相変化キャリア組成物は、直接印刷モードインクにとって望ましい特性だけでなく、そのようなシステムにおいて用いるのに望ましい特定の流体特性および機械特性も示す。
【0035】
任意の望ましいキャリア組成物または有効なキャリア組成物を用いてよい。適当なインクキャリア材料の例は、モノアミド、テトラアミドなどの脂肪酸アミド、それらの混合物および類似物を含む。適当な脂肪酸アミドインクキャリア材料の具体例は、ステアリルステアラミドと、二量体酸、エチレンジアミンおよびステアリン酸の反応生成物である二量体酸系テトラアミドと、二量体酸、エチレンジアミンおよび少なくとも約36個の炭素原子を有するカルボン酸の反応生成物である二量体酸系テトラアミドと、類似物と、ならびにそれらの混合物とを含む。脂肪酸アミドインクキャリアが、二量体酸、エチレンジアミンおよび少なくとも約36個の炭素原子を有するカルボン酸の反応生成物である二量体酸系テトラアミドであるとき、カルボン酸は、一般式
【化35】


で表される。
【0036】
Rは、直鎖アルキル基、分枝アルキル基、飽和アルキル基、不飽和アルキル基および環状アルキル基を含むアルキル基であり、アルキル基は、一実施態様では少なくとも約36個の炭素原子を有し、または約200個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよい。ウレタンイソシアネート誘導材料、尿素イソシアネート誘導材料、ウレタン/尿素イソシアネート誘導材料、それらの混合物および類似物などのイソシアネート誘導樹脂およびワックスも相変化インクキャリア材料として適当である。脂肪酸アミド材料とイソシアネート誘導材料との混合物も、本開示のインク用のインクキャリア組成物として使用してよい。
【0037】
本開示のための別の適当な相変化インクキャリア材料は、パラフィン、微結晶ワックス、ポリエチレンワックス、エステルワックス、アミドワックス、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸アミドおよびその他のワックス材料、スルホンアミド材料、さまざまな天然資源から作られた樹脂材料(例えばトール油ロジンおよびロジンエステル)、ならびに多くの合成樹脂、オリゴマー、重合体、およびエチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、アクリル酸とポリアミドとの共重合体および類似物などの共重合体、アイオノマーおよび類似物、ならびにそれらの混合物を含む。これらの材料の1つ以上を、脂肪酸アミド材料および/またはイソシアネート誘導材料との混合物としても使用してよい。
【0038】
1つの特定の実施態様では、相変化インクキャリアは、(a)一実施態様では少なくともインクの約25重量パーセント、またはインクの約60重量パーセントを超えない量インクの中に存在するが、これらの範囲外にあってもよい量のポリエチレンワックス、(b)一実施態様では少なくともインクの約8重量パーセント、またはインクの約32重量パーセントを超えない量インクの中に存在するが、これらの範囲外にあってもよい量のステアリルステアラミドワックス、(c)一実施態様では少なくともインクの約10重量パーセント、またはインクの約32重量パーセントを超えない量インクの中に存在するが、これらの範囲外にあってもよい量の、二量体酸、エチレンジアミン、および36個より多い炭素原子を有し、末端カルボン酸基を有する長鎖炭化水素の反応生成物である二量体酸系テトラアミド、(d)一実施態様では少なくともインクの約6重量パーセント、またはインクの約16重量パーセントを超えない量インクの中に存在するが、これらの範囲外にあってもよい量の、2当量のヒドロアビエチルアルコールと1当量のイソホロンジイソシアネートとの反応によって誘導されたウレタン樹脂、(e)一実施態様では少なくともインクの約2重量パーセント、またはインクの約13重量パーセントを超えない量インクの中に存在するが、これらの範囲外にあってもよい量の、3当量のステアリルイソシアネートとグリセロール系プロポキシレートアルコールとの付加体であるウレタン樹脂、および(f)一実施態様では少なくともインクの約0.01重量パーセント、またはインクの約1重量パーセントを超えない量インクの中に存在するが、これらの範囲外にあってもよい量の抗酸化剤を含んでよい。
【0039】
インクキャリアは、任意の望ましい量または有効な量、一実施態様ではインクの少なくとも約0.1重量パーセント、またはインクの約98重量パーセントを超えない量存在するが、量はこれらの範囲外にあってもよい。
【0040】
本着色剤は、望ましい色度または色相を得る任意の望ましい量または有効な量、一実施態様ではインクの少なくとも約0.1重量パーセント、またはインクの約20重量パーセントを超えない量存在するが、量はこれらの範囲外にあってもよい。着色剤は、インクの中の唯一の着色剤であってよく、あるいは、染料、顔料、それらの混合物および類似物などのその他の着色剤と調合して存在してよい。
【0041】
特定の実施態様では、本開示のインクは、着色剤上のカルボン酸および/またはスルホン酸および/またはカルボキシレートおよび/またはスルホネート基のKaより大きなKa値を有する酸をさらに含む。適当な酸の具体的な例は、パラ−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸および類似物などのアルキルベンゼンスルホン酸を含む有機スルホン酸、p-トルエンスルホン酸、塩酸、トリフルオロ酢酸、メチルスルホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、臭化水素酸および類似物ならびにそれらの混合物を含む。酸は、任意の望ましい量または有効な量、一実施態様では着色剤の量の少なくとも約2重量パーセント、または着色剤の量の約100重量パーセントを超えない量存在するが、酸の量はこれらの範囲外にあってもよい。
【0042】
インクは、任意選択として酸化防止剤も含んでよい。インク組成物の任意選択の酸化防止剤は、画像を酸化から保護し、インク成分をインク調製プロセスの加熱工程の間の酸化からも保護する。適当な酸化防止剤の具体的な例は、ナウガード(登録商標)(NAUGUARD)524、ナウガード(登録商標)76およびナウガード(登録商標)512、イルガノックス(登録商標)(IRGANOX)1010および類似品を含む。存在する場合、任意選択の抗酸化剤は、任意の望ましい量または有効な量、一実施態様ではインクの少なくとも約0.01重量パーセント、またはインクの約20重量パーセントを超えない量存在するが、量はこれらの範囲外にあってもよい。
【0043】
インクは、任意選択として粘度調整剤も含んでよい。適当な粘度調整剤の例は、ステアロンおよび類似物などの脂肪族ケトンを含む。存在する場合、任意選択の粘度調整剤は、任意の望ましい量または有効な量、一実施態様ではインクの少なくとも約0.1重量パーセント、またはインクの約99重量パーセントを超えない量存在するが、量はこれらの範囲外にあってもよい。
【0044】
インクへのその他の任意選択の添加物は、一実施態様ではインクの少なくとも約0.01重量パーセント、またはインクの約98重量パーセントを超えないが、これらの範囲外にあってもよい量の清澄剤、一実施態様では少なくともインクの約0.1重量パーセント、またはインクの約98重量パーセントを超えないが、これらの範囲外にあってもよい量の粘着剤、一実施態様では少なくともインクの約0.1重量パーセント、またはインクの約98重量パーセントを超えないが、これらの範囲外にあってもよい量の接着剤、一実施態様では少なくともインクの約0.1重量パーセント、またはインクの約50重量パーセントを超えないが、これらの範囲外にあってもよい量の可塑剤を含む。
【0045】
一実施態様では、インク組成物は、約50℃より低くない、または約160℃を超えない融点を有するが、融点はこれらの範囲外にあってもよい。
【0046】
一般に、インク組成物は、一実施態様では、ジェット温度(一実施態様では約75℃より低くなく、または約180℃を超えないが、これらの範囲外にあってもよい)で約30センチポアズを超えない、または約2センチポアズより低くない溶融粘度を有するが、溶融粘度はこれらの範囲外にあってもよい。
【0047】
インク組成物は、任意の望ましい方法または適当な方法によって調製してよい。例えば、インク成分を一緒に混合した後、一実施態様では少なくとも約100℃、または約140℃を超えないが、これらの範囲外にあってもよい温度に加熱し、均一なインク組成物が得られるまで撹拌した後、インクを常温(一般に約20℃から約25℃)に冷却してよい。インクは、常温で固体である。特定の実施態様では、形成段階の間に、溶融状態にあるインクを型に注入した後、放冷し、固化させてインクスティックを形成させる。
【0048】
これらのインクは、直接印刷インクジェットプロセス用の装置において、および間接(オフセット)印刷インクジェット用途において使用してよい。別の実施態様は、インクジェット印刷装置の中にインクを組み込むこと、インクを溶融させること、および溶融したインクの液滴を記録基材上に画像のパターンで射出させるようにすることを含むプロセスを目的とする。別の実施態様は、インクジェット印刷装置の中にインクを組み込むこと、インクを溶融させること、溶融したインクの液滴を中間転写部材に画像のパターンで射出させるようにすること、および画像のパターンのインクを中間転写部材から最終記録基材へ転写させることを含むプロセスを目的とする。特定の実施態様では、中間転写部材は、最終記録シートの温度より高く、印刷装置の中の溶融したインクの温度より低い温度に加熱される。1つの特定の実施態様では、印刷装置は、圧電振動素子を振動させることによってインクの液滴を画像のパターンで放出させる圧電印刷プロセスを使用する。インクは、ホットメルト音響インクジェット印刷法、ホットメルトサーマルインクジェット印刷法、ホットメルト連続流または偏向インクジェット印刷法および類似印刷法など、他のホットメルト印刷プロセスにおいても使用してよい。相変化インクは、ホットメルトインクジェット印刷プロセス以外の印刷プロセスにおいても用いてよい。
【0049】
無地用紙、罫線つきノート用紙、ボンド紙、シリカ塗工紙、透明基材(例えば、OHPシート)、生地、織物製品、プラスチック、高分子フィルム、金属などの無機基質および木材ならびに類似物を含む任意の適当な基板または記録シートを使用してよい。
【実施例】
【0050】
実施例1.
テフロン(登録商標)被覆磁気撹拌子、コンデンサおよび油浴を備えた100ミリリットルのビーカーに、式
【化36】


のオクタデシル無水コハク酸(MW352)9.4グラムと式
【化37】


のN,N−ジブチルフェノール11.8グラムとを入れた。
【0051】
ビーカーを160℃の油浴の中に置き、撹拌を開始した。数分後、ビーカーの内容物は赤く着色し始めた。160℃で1時間後、約1.14グラムの濃硫酸を0.43グラムの水とともに滴下して加えた。さらに20分間加熱した後、内容物を0.8グラムのNaOHと88グラムの水を含む水酸化ナトリウム溶液の中に注入した。油状の生成物が沈殿した。約100ミリリットルの塩化メチレンを内容物に加えて生成物を水から抽出した。次に、塩化メチレン層をシリカゲルプラグに通した。染料はゲルに強く吸着し、褐色から淡紅色の溶媒はプラグを通過した。メタノールを流して着色分をプラグから溶出させた。次に、メタノールを蒸発させ、マゼンタ色のワックス状固体を得た。この着色剤の双性イオン形は、式
【化38】


で表されると考えられる。
【0052】
他の合成プロセスも用いてよい。
【0053】
実施例2.
テフロン(登録商標)被覆磁気撹拌子、コンデンサおよび油浴を備えた100ミリリットルのビーカーに、式
【化39】


のオクタデセニル無水コハク酸19.9グラムと式
【化40】


のN,N−ジブチルフェノール25グラムとを入れた。
【0054】
ビーカーを150℃の油浴の中に置き、撹拌を開始した。数分後、ビーカーの内容物は赤く着色し始めた。150℃で1時間後、約2.85グラムの濃硫酸と1.1グラムの水とを含む溶液を滴下して加えた。さらに20分間加熱した後、2.2グラムのNaOHと220グラムの水を含む水酸化ナトリウム溶液の中に内容物を注入した。油状の生成物が沈殿した。約100ミリリットルのトルエンを内容物に加えて生成物を水から抽出した。トルエン層を分液ロートに移し、水で洗浄した後、シリカゲルのプラグに流した。染料はゲルに強く吸着し、褐色から淡紅色の溶媒はプラグを通過した。メタノールを用いて着色物をプラグから溶出させた。次に、溶媒を蒸発させ、マゼンタ色のワックス状固体を得た。この着色剤の双性イオン形は、式
【化41】


で表されると考えられる。
【0055】
実施例3.
テフロン(登録商標)被覆磁気撹拌子、コンデンサおよび油浴を備えた200ミリリットルのビーカーに、式
【化42】


で表されるポリイソブチレン系無水コハク酸(50%までの鉱油を有するOLOA15500留分、MW1000)100グラムを入れた。
【0056】
nは、7である。ビーカーを130℃の油浴の中に置き、撹拌を開始した。OLOA15500が適当な温度すなわち約130℃になったら、磁気撹拌子を用いて撹拌を開始した。数分後、式
【化43】


のN,N−ジブチルフェノール約22グラムをビーカーに加え、油浴の温度を150℃に上げた。約15分後、ビーカーの内容物は赤く着色し始め、最終的には非常に濃いマゼンタ色になった。内容物を150℃加熱し、約2.5時間撹拌した。約2.5時間後、4.6グラムのHSOを加え(激しい泡立ちが見られた)、さらに15分間内容物を撹拌し、最後に700ミリリットルのメタノールを含む1リットルのビーカーの中に注入して急冷した。デカンテーションによってメタノールを除き、粘稠なマゼンタ色の油の生成物を得た。この着色剤の双性イオン形は、式、
【化44】


で表されると考えられる。nは、7である。
【0057】
実施例4.
以下の成分を溶融させ、混合し、ろ過することによってインク基材を調製した。式CH(CH50CHのポリエチレンワックス43.59重量部、ステアリルステアラミドワックス19.08重量部、1当量のC−36二量体酸と2当量のエチレンジアミン、および米国特許第6,174,937号の実施例1に記載されているとおりに調製した、末端カルボン酸基を有する長鎖炭化水素であるユニシド(登録商標)(UNICID)700との反応によって得たテトラアミド樹脂18.94重量部、2当量のアビトール(登録商標)(ABITOL)Eヒドロアビエチルアルコールと米国特許第5,782,966号の実施例1に記載されているとおりに調製した1当量のイソホロンジイソシアネートとの反応によって得たウレタン樹脂11.71重量部、3当量のステアリルイソシアネートと、米国特許第6,309,453号の実施例4に記載されているとおりに調製したグリセロール系アルコールとの付加体であるウレタン樹脂6.48重量部、0.20重量部のナウガード(登録商標)(NAUGUARD)445酸化防止剤。その後、上記に列挙した百分率の、600グラムの上記に列挙したインクキャリア成分を、1リットルのビーカーに加え、溶融するまでオーブンの中で135℃に加熱した。続いて、このビーカーをマントルヒーターに入れて135℃に設定し、ビーカーの内容物を45分間撹拌した。結果として得られたインクを、次に、ワットマンの3号と0.2ミクロンNAEフィルタとの組み合わせを通してろ過し、モット(Mott)フィルターアセンブリの中に入れた。1重量パーセントのフィルタエイド(FILTER-AID)を加えてろ過を促進し、6時間後に完了するまで135℃の温度で続行した。約31グラムの無色のインク基材を含むインク基材を型に注入し、放冷した。
【0058】
実施例5.
実施例4のインク基材約30.0グラムを、磁気撹拌子を有する100ミリリットルのビーカーに入れ、続いて溶融するまで135℃の油浴の中に置いた。次に、約2.0グラムの実施例1の生成物を加え、約3時間撹拌した。次に、マゼンタ色の着色剤を、アルミニウム金型の中に注入した。実施例2および3の生成物についてこのプロセスを同じ量で繰り返した。
【0059】
実施例6.
K印刷試験機を用いて、実施例5で調製したインクの印刷標本をハンマーミル(HAMMERMILL)レーザ印刷紙上に作製した。この方法では、150℃の温度に設定した印刷版上で被検インクを溶融させた。次に、溶融したインクを表面に含む版の上で、上記の紙を巻いたローラーバーを回転させた。紙の上のインクを冷却し、3つの分離された矩形ブロックの画像を得た。最も強く着色したブロックは、紙の上に塗布されたインクを最も多く含んでいたので、明度測定値を得るために用いた。目視によって印刷標本を評価した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相変化インクキャリアと、式
【化1】


【化2】


【化3】


【化4】


【化5】


で表される着色剤化合物と、を含み、
、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、(i)水素原子、(ii)アルキル基、(iii)アリール基、(iv)アリールアルキル基または(v)アルキルアリール基であり、RとRとは一緒になって環を形成してよく、RとRとは一緒になって環を形成してよく、R、R、RおよびRは、それぞれ中心構造部分のフェニル環に結合してよく、aおよびbは、それぞれ互いに独立に、0、1、2または3の整数であり、
およびRは、それぞれ任意選択として存在し、存在する場合、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、(i)アルキル基、(ii)アリール基、(iii)アリールアルキル基、(iv)アルキルアリール基、(v)ハロゲン原子、(vi)エステル基、(vii)アミド基、(viii)スルホン基、(ix)アミン基またはアンモニウム基、(x)ニトリル基、(xi)ニトロ基、(xii)ヒドロキシ基、(xiii)シアノ基、(xiv)ピリジン基またはピリジニウム基、(xv)エーテル基、(xvi)アルデヒド基、(xvii)ケトン基、(xviii)カルボニル基、(xix)チオカルボニル基、(xx)サルフェート基、(xxi)スルフィド基、(xxii)スルホキシド基、(xxiii)ホスフィン基またはホスホニウム基、(xxiv)ホスフェート基、(xxv)メルカプト基、(xxvi)ニトロソ基、(xxvii)アシル基、(xxviii)酸無水物基、(xxix)アジド基、(xxx)アゾ基、(xxxi)シアナート基、(xxxii)イソシアナート基、(xxxiii)チオシアナート基、(xxxiv)イソチオシアナート基、(xxxv)ウレタン基または(xxxvi)尿素基から選択され、RおよびRは、それぞれ中心構造部分のフェニル環に結合してよく、
【化6】


であり、
、RおよびR10は、それぞれ互いに独立に、任意選択として存在し、存在する場合、R、RおよびR10は、それぞれ独立に、(i)水素原子、(ii)アルキル基、(iii)アリール基、(iv)アリールアルキル基または(v)アルキルアリール基から選択され、
R″は、任意選択として存在し、存在する場合、R′およびR″は、それぞれ独立に、(i)アルキル基、(ii)アリール基、(iii)アリールアルキル基または(iv)アルキルアリール基から選択され、R′またはR″の少なくとも1つは、少なくとも約5個の炭素原子を含む、
相変化インク組成物。
【請求項2】
前記着色剤は、式
【化7】


【化8】


【化9】


【化10】


【化11】


で表される、請求項1に記載の相変化インク組成物。
【請求項3】
前記着色剤は、式
【化12】


で表される、請求項1に記載の相変化インク組成物。
【請求項4】
前記着色剤は、式
【化13】


で表され、
nは7である、
請求項1に記載の相変化インク組成物。

【公開番号】特開2008−189931(P2008−189931A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24740(P2008−24740)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】